昭和24(つ)1554 食糧管理法及び物価統制令違反被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和25年8月3日 福岡高等裁判所 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人A、同B、同C、同D、同E、同Fを各懲役六月及び罰金五千円 に処する。      被告人G、同H、同Iを各懲役参月及罰金参千円に処する。  

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判決文本文3,554 文字)

主文 原判決を破棄する。 被告人A、同B、同C、同D、同E、同Fを各懲役六月及び罰金五千円に処する。 被告人G、同H、同Iを各懲役参月及罰金参千円に処する。 被告人Jを罰金壱万五千円、同Kを罰金六千円に処する。 被告人L、同M、同Nを各罰金五千円、同Oを罰金四千円に処する。 被告人P、同Q、同Rを各罰金参千五百円、同S、同Tを各罰金参千円に処する。 被告人U、同V、同W、同X、同Yを各罰金弐千五百円に処する。 但し被告人A、同B、同C、同D、同E、同F、同G、同I、同Hに対し、この判決の確定した日から弐年間前記懲役刑の執行を猶予する。 被告人等において前記罰金を完納することができないときは、被告人Jについては金百五十円その他の被告人については金百円をそれぞれ一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。 原審における訴訟費用中その六分の一は被告人Oの負担とする。 理由 各弁護人の控訴趣意は末尾添付の控訴趣意書のとおりである。 被告人A、同B、同C、同D、同E、同F、同Gの弁護人(以下A外六名の弁護人と称する)名嘉直武勝の各被告人に関する控訴趣意各第一点について。 <要旨>所論のように右被告人等は生産者から買い入れる切干甘藷を以て政府に所謂超過供出をなし、よつて得ると</要旨>ころの利益を同被告人等の居住部落の農道等の築造資金に当てる目的であつても、かような目的のために、生産者から統制額を超えて切干甘藷を買い受ける行為は営利を目的とするものに外ならない。又政府以外の者が法定の除外事由がなくして生産者から切干甘藷を買い受くる行為は原判決説明のとおり食糧管理法第九条第三十一条、同法施行令第六条に該当する違反行為であつ 利を目的とするものに外ならない。又政府以外の者が法定の除外事由がなくして生産者から切干甘藷を買い受くる行為は原判決説明のとおり食糧管理法第九条第三十一条、同法施行令第六条に該当する違反行為であつて(控訴趣意書中に原判決が食糧管理法第三十三条を適用したような記載があるのは同趣意書自体の誤りであろう。)たとい政府に供出する目的で買い受けても違法性を阻却すべき理由はない。尚原判決は切干甘藷の移動については何等触れていないのであるからその移動に関し原判決を批難する所論は当らない。それ故論旨はいづれも理由がない。 被告人A外六名の弁護人堤牧太の控訴趣意第一点について。 所論によれば被告人A外六名の被告人等はZ農業協同組合長から、切干甘藷を生産者より買い受けてこれを農業協同組合に(農業協同組合に委託して政府に、という趣旨であろう。)超過供出しても違反にならないと聞いたので、これを信じて生産者より切干甘藷を買受けたのであつて、その間何等の過失もないから違法の認識がなく、従つて犯意がないという。しかし原判決引用の各証拠によれば、被告人等は右協同組合長の意見の当否を確むべき相当の努力もせず慢然その意見に聴従したことが窺はれるのであつて、之の誤信について過失がないとはいえないからこれがため犯意を阻却すべき理由はなく論旨は理由がない。 被告人H、同I、同Jの弁護人(以下被告人H外二名の弁護人と称する。)藤本信喜の控訴趣意第一点について。 しかし食糧管理法及び物価統制令は特殊の経済情勢に対処するため暫定的に制定された法令であるから、その附属法令の改廃によつて加工甘藷の統制が撤廃されても、その統制撤廃前における違反行為の処罰価値を失うものではないから論旨は理由がない。 被告人K、同M、同W、同X、同V、同Y、同S、同L、同P、同Q、同N、同U、同O、同 甘藷の統制が撤廃されても、その統制撤廃前における違反行為の処罰価値を失うものではないから論旨は理由がない。 被告人K、同M、同W、同X、同V、同Y、同S、同L、同P、同Q、同N、同U、同O、同T、同Rの弁護人(以下被告人K外十四名の弁護人と称する。)菖蒲逸良の控訴趣意第一点について。 所論によれば、右十五名の被告人の内被告人K、同M、同W、同Yの四名は前示被告人Iに対し、その他の被告人等は前記被告人Hに対し、それぞれ本件切干甘藷を売り渡したもので、原判決認定のように被告人I、同H、同Gの三名の斡旋によつて前記被告人A外五名に売渡したことを認むべき証拠はなく、原判決の事実認定は誤つているというのである。しかし原判決引用の各証拠、殊に司法警察員作成の被告人H(第三回及び第四回)、同I(第一回)、同A(第一回)の各供述調書、検察官作成の被告人H、同I、同G、同B、同D、同Y、同P、同Jの各供述調書を通観すれば、原判決認定のように被告人K外十四名が被告人H外二名の斡旋で同人等を介して被告人A外五名に本件切干甘藷を売渡したことが認められないことはない。たとい被告人K外十四名が被告人I又は被告人Hに売渡したとしても、所論の事実誤認によつて売主たる同被告人等の犯罪の成立、刑の量定その他に異るところはなく、判決に影響を及ぼすものではないから論旨は理由がない。 同第二点について。 所論は要するに原判決が刑法第三十八条第三項但書を適用して刑を減軽しなかつたのは違法だというのであるが、同但し書を適用して刑を減軽すると否とは原審の裁量に属するものであるから、これを適用しなかつたとしても違法ではない。それ故論旨は理由がない。 被告人A外六名の弁護人名嘉真武勝の同被告人等に関する控訴趣意第二点同弁護人堤牧太の控訴趣意第二点、被告人H外二名の弁護人藤本信喜 れを適用しなかつたとしても違法ではない。それ故論旨は理由がない。 被告人A外六名の弁護人名嘉真武勝の同被告人等に関する控訴趣意第二点同弁護人堤牧太の控訴趣意第二点、被告人H外二名の弁護人藤本信喜の控訴趣意第二点、被告人K外十四名の弁護人菖蒲逸良の控訴趣意第三点について。 所論はいづれも原判決の刑の量定は不当に重いというのである。記録を精査すると本件犯行の動機、犯行後の客観情勢、各被告人の境遇その他諸般の情状に鑑み、原判決の刑の量定は重きに過ぎると認められるので論旨はいづれも理由がある。 そこで刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十一条第四百条但し書に則り原判決を破棄し、当裁判所は自ら更に判決する。 被告人A、同B、同C、同D、同E、同Fの原判示第一の所為は統制額を超えて切干甘藷を買い受けた点において物価統制令第三十三条第三条第四条、昭和二十三年十二月二十八日物価庁告示第千三百三十五号、刑法第六十条に、政府以外の者が切干甘藷を買受けた点において食糧管理法第三十一条第九条、同法施行令第六条、刑法第六十条に各該当するところ、以上は一個の行為にして二個の罪名に触るる場合であるから刑法第五十四条第一項前段第十条によつて犯情の重い前者の刑に従い、情状によつて物価統制令第三十六条を適用して懲役と罰金を併科し、被告人G、同H、同Iの原判示第二の所為は、被告人A等に適用した前記各法条及び刑法第六十二条第一項に各該当するから、刑法第六十三条第六十八条によつて法定の減軽をなし、その他の各被告人及び被告人Iの原判示第三の所為は統制額を超えて切干甘藷に売り渡した点において、物価統制令第三十三条第三条第四条、昭和二十三年十二月二十八日物価庁告示第千三百三十五号に、政府以外の者に切干甘藷を売り渡した点において食糧管理法第三十一条第九条、同法施行令第八条、同法 点において、物価統制令第三十三条第三条第四条、昭和二十三年十二月二十八日物価庁告示第千三百三十五号に、政府以外の者に切干甘藷を売り渡した点において食糧管理法第三十一条第九条、同法施行令第八条、同法施行規則第二十一条に各該当するところ、以上は一個の行為にして二個の罪名に触るる場合であるから刑法第五十四条第一項前段第十条によつて犯情の重い前者の刑に従い、いづれも所定刑中罰金刑を選択し、尚被告人Iの以上第二及び第三の所為は刑法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十八条第二項を適用して各罰金の合算額以内で処断するものとし、各その刑期又は罰金額の範囲内で各被告人を主文第二項乃至第六項の刑に量定処断する。但し主文第七項記載の各被告人については情状により懲役刑の執行を猶予することを相当と認め同法第二十五条に則り同項のとおりその執行を猶予する。尚同法第十八条を適用して主文第八項のとおり罰金を完納することができない場合の労役場留置期間を定め、且つ刑事訴訟法第百八十一条第一項によつて主文第九項のとおり訴訟費用の負担を定め、よつて主文のとおり判決する(裁判長判事谷本寛判事竹下利之右衛門判事吉田信孝)

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