平成29(ワ)5151 損害賠償等請求本訴事件,貸金返還請求反訴事件

裁判年月日・裁判所
令和3年3月30日 名古屋地方裁判所
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判決文本文49,607 文字)

- 1 -令和3年3月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官号損害賠償等請求本訴事件貸金返還請求反訴事件口頭弁論終結日令和2年12月22日判決 主文 1 被告E1及び被告E2は,原告に対し,連帯して,1億9691万6244円及びこれに対する平成25年6月27日から支払済みまで年5分の割合による金員(1022万3144円及びこれに対する平成25年6月27日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告E3と 連帯して)を支払え。 2 被告E3は,原告に対し,被告E1及び被告E2と連帯して,1022万3144円及びこれに対する平成25年6月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告E1及び被告E2は,原告に対し,連帯して,798万0576円 及びこれに対する平成28年5月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告のその余の本訴請求及び被告E2の反訴請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,原告に生じた費用の99分の31と被告E1に生じた費用の33分の31を被告E1の負担とし,原告に生じた費 用の99分の31と被告E2に生じた費用の33分の31を被告E2の負担とし,原告に生じた費用の63分の1と被告E3に生じた費用の21分の1を被告E3の負担とし,その余を原告の負担とする。 6 この判決は,第1項から第3項までに限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 - 2 - 1 本訴事件⑴ 被告らは,原告に対し,連帯して,2億1400万円及びこれに対する平成25年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告E1及び被告E2 - 2 - 1 本訴事件⑴ 被告らは,原告に対し,連帯して,2億1400万円及びこれに対する平成25年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告E1及び被告E2は,原告に対し,連帯して,983万2450円及びこれに対する平成28年5月20日から支払済みまで年5分の割合による 金員を支払え。 2 反訴事件原告は,被告E2に対し,9000万円及びこれに対する平成30年7月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨⑴ 本訴事件ア前記第1の1⑴の請求(以下「本訴請求1」という。)は,宗教法人である原告が,①原告の元代表役員である被告E1及び同人の内妻である被告E2が,宗教法人法及び規則に定める手続によらずに別紙2物件目録1 及び2記載の土地(以下「a の土地」という。)並びに同目録3及び4記載の土地(以下「b の土地」といい,a の土地と併せて「本件土地」という。)を売却して売買代金を着服横領しようと企て,本件土地につき,上記手続を経ることなく売買契約を締結してその所有権を移転し,売買代金を着服横領したことにより,原告が2億3166万5619円(原告は2 億3208万6119円と主張するが,明白な違算と認められる。以下同じ。)の損害を被ったとして,被告E1に対しては債務不履行又は不法行為に基づき,被告E2に対しては不法行為に基づき,②原告と本件土地売買の仲介契約を締結していた被告E3が,不動産売買仲介業者として,宗教法人法及び規則に定める手続を経ていない宗教法人所有土地売却の仲 介行為をしてはならない義務を負っていたにもかかわらず,上記義務に違 - 3 -反したことにより,原告が2億3166万5619円 及び規則に定める手続を経ていない宗教法人所有土地売却の仲 介行為をしてはならない義務を負っていたにもかかわらず,上記義務に違 - 3 -反したことにより,原告が2億3166万5619円の損害を被ったとして,債務不履行又は不法行為に基づき,被告E1,被告E2及び被告E3に対し,上記損害の一部である2億1400万円及びこれに対する最後の不法行為の日である平成25年6月7日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合に よる遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 イ前記第1の1⑵の請求(以下「本訴請求2」という。)は,原告が,被告E1及び被告E2が原告の布施収入及び賃料収入を継続的に横領したことにより,原告が損害を被ったとして,被告E1及び被告E2に対し,不法行為に基づき,983万2450円及びこれに対する最後の不法行為 の日である平成28年5月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 ⑵ 反訴事件は,被告E2が,平成27年5月25日,原告の源泉徴収税,延納税等の支払のために,原告に9000万円を貸し付けたとして,原告に対し,原告との間の上記貸付けに係る金銭消費貸借契約(以下「本件消費貸借 契約」という。)に基づき,9000万円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である平成30年7月5日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実以下の事実は,争いがないか,掲記の証拠(特に断らない限り枝番号を含む。 以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる。 ⑴ 当事者ア原告は,曹洞宗を宗派とする宗教法人である。 イ被告E1は,大正▲ の証拠(特に断らない限り枝番号を含む。 以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる。 ⑴ 当事者ア原告は,曹洞宗を宗派とする宗教法人である。 イ被告E1は,大正▲年▲月▲日生まれの男性であり,平成28年6月27日まで,原告の住職及び代表役員を務めていた。被告E1は,平成30 年2月15日,後見開始の審判を受け,成年後見人としてE4弁護士が選 - 4 -任された。(乙B3,9)ウ被告E2は,昭和▲年▲月▲日生まれの女性である。被告E2は,平成20年8月頃からは原告境内地内の観樹亭という建物において,平成24年9月頃からは原告境内地内に建築した被告E2名義の居宅(名古屋市c区de 丁目f 番地所在。以下「E2邸」という。)において,被告E1と同 居していた。(乙B8,19,76,被告E2本人)エ被告E3は,E5の屋号で不動産売買の仲介業等を営んでいたが,平成28年12月末頃に廃業した。(弁論の全趣旨)オ V株式会社は,不動産売買の仲介等を業とする株式会社である。(弁論の全趣旨) ⑵ 原告の不動産処分に関する法的制約ア宗教法人法23条1号は,宗教法人が不動産を処分する場合は,規則で定めるところによるほか,その行為の少なくとも1か月前に,信者その他の利害関係人に対し,その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならないと定めている。 イ原告は,宗教法人法に基づき作成され,所轄庁の認証を受けた宗教法人F寺規則(以下「本件規則」という。)を定めている。本件規則25条1号は,原告が不動産を処分する場合,①責任役員の定数の3分の2以上の議決を経て,②曹洞宗の代表役員の承認を受けた後,③その行為の少なくとも1か月前に信者その他の利害関係人に対 いる。本件規則25条1号は,原告が不動産を処分する場合,①責任役員の定数の3分の2以上の議決を経て,②曹洞宗の代表役員の承認を受けた後,③その行為の少なくとも1か月前に信者その他の利害関係人に対し,その行為の要旨を示して その旨を公告しなければならないと定めている。(甲1)⑶ 第1売買ア原告は,平成24年11月29日,アールエステート株式会社(以下「アールエステート」という。)に対し,a の土地を代金4400万円で売った(以下「第1売買」といい,第1売買に係る売買契約を「第1売買契約」 という。)。 - 5 -イアールエステートは,原告に対し,第1売買の代金として,平成24年11月30日に220万円を,平成25年3月28日に4026万6678円を,それぞれ三菱東京UFJ銀行s 支店の原告名義の普通預金口座(口座番号●●●●●●●。以下「原告三菱口座」という。)に振り込んで支払い,同日,所有権移転登記を経由した。また,アールエステートは,固 定資産税精算金として,同年4月11日に60万4400円を三井住友銀行j 支店の原告名義の普通預金口座(口座番号●●●●●●●。以下「原告三井口座」という。)に振り込んで支払った。上記のとおり,第1売買により原告三菱口座及び原告三井口座に入金された金額は,合計4307万1078円である。(甲5,6,乙B41の2,乙B43の1,乙B6 0)ウ第1売買契約の特約には,「本契約は,平成25年1月30日までに曹洞宗代表役員から本物件売却の同意を得るものとします。」,「前項の条件不成就が確定した場合,売主は,買主に受領済みの金員を無利息にてすみやかに返還します。」との定めがある。 ⑷ 第2売買ア原告は,平成25年5月10日, します。」,「前項の条件不成就が確定した場合,売主は,買主に受領済みの金員を無利息にてすみやかに返還します。」との定めがある。 ⑷ 第2売買ア原告は,平成25年5月10日,株式会社森不動産(以下「森不動産」という。)に対し,b の土地を代金1億7000万円で売った(以下「第2売買」といい,第2売買に係る売買契約を「第2売買契約」という。また,第1売買と第2売買を併せて「本件各売買」,第1売買契約と第2売買契 約を併せて「本件各売買契約」という。)。 イ森不動産は,原告に対し,第2売買の代金として,平成25年5月13日に1000万円を,同年6月27日に1億5457万0500円を,また固定資産税精算金として,同日に49万3316円を,それぞれ原告三菱口座に振り込んで支払い,同日,所有権移転登記を経由した。上記のと おり,第2売買により原告三菱口座に入金された金額は,合計1億650 - 6 -6万3816円であり,第1売買による入金額との合計額は2億0813万4894円である。(甲7,8,乙B41の2,乙B60)ウ第2売買契約の特約には,「本契約は,平成25年6月25日までに曹洞宗代表役員から本物件売却の同意を得るものとします。」,「前項の条件不成就が確定した場合,売主は,買主に受領済みの金員を無利息にてす みやかに返還します。」との定めがある。 ⑸ 仲介契約ア被告E3は,原告との間で,本件各売買の仲介契約を締結し,原告から,第1売買につき138万6000円,第2売買につき535万5000円の仲介手数料を取得した。 イ原告は,前記アの被告E3に対する仲介手数料の他に,本件各売買に関する費用として,以下のとおり合計1348万2144円を負担した につき535万5000円の仲介手数料を取得した。 イ原告は,前記アの被告E3に対する仲介手数料の他に,本件各売買に関する費用として,以下のとおり合計1348万2144円を負担した。被告E3に対する仲介手数料と合わせると,原告が本件各売買により負担した額は2022万3144円となる。 a の土地の擁壁工事代金 1000万円(甲94) a の土地上の建物解体費 240万円(甲94) 本件土地の測量費合計65万円(甲94,95) 本件各売買契約の印紙代合計9万5000円(甲2,3) 司法書士手数料合計33万7144円(甲94,96~98)ウ Vは,本件土地の買主であるアールエステート及び森不動産との間で, 本件各売買の仲介契約を締結し,両社から仲介手数料を取得した。 ⑹ 被告E2の貴金属の購入被告E2は,平成24年12月4日から平成26年9月22日までの間,株式会社イマックビーシーから,テレビショッピングにより多数の貴金属を購入し,代金合計1億4436万9835円を支払った。また,被告E2は, 上記により購入した貴金属の一部を返品し,合計6011万8335円の返 - 7 -金を受けた。(乙B11の1・4・5)⑺ 税務調査,課税処分ア c 税務署及び国税局(以下併せて「税務当局」という。)は,平成26年9月以降,原告の税務調査を実施した。税務当局は,本件土地の売却代金が被告E2による貴金属購入代金に充てられているとして,平成27年5 月初旬,本件土地の売却代金のうち1億4550万円が平成25年5月から平成26年12月までの間に当時の住職である被告E1に給料として支払われたとみなし,原告に対し,源泉 るとして,平成27年5 月初旬,本件土地の売却代金のうち1億4550万円が平成25年5月から平成26年12月までの間に当時の住職である被告E1に給料として支払われたとみなし,原告に対し,源泉所得税5459万0856円及び加算税1910万3000円の合計7369万3856円の納付を求めた。 原告の代表役員であった被告E1は,これを受け入れ,平成25年分の給 与収入を6504万円,平成26年分の給与収入を8454万円とする確定申告をし,原告は,上記7369万3856円と地方税1342万1000円の合計8711万4856円を納付した。(甲38~46,弁論の全趣旨)イ前記アの納税資金として,平成27年5月21日及び同月22日に合計 9000万円が被告E2名義の預金口座(以下「被告E2口座」という。)から被告E1名義の口座に振り込まれた後,同月25日,同口座から原告三菱口座に同額が振り込まれた。(乙B41の2,乙B52,54~59)⑻ 新聞報道,刑事告発,不起訴処分ア朝日新聞,中日新聞,日本経済新聞及び讀賣新聞は,平成27年12月 19日又は翌20日,被告E2による原告の財産1億5000万円の流用疑惑を報道した。(甲9~12)イ原告は,平成28年始め頃,被告E1及び被告E2による本件土地売却代金の着服横領について,業務上横領被疑事件としてc 警察署に刑事告発した。 ウ名古屋地方検察庁検察官は,平成30年12月26日,被告E1及び被 - 8 -告E2に対する上記業務上横領被疑事件につき,両名をともに不起訴とした。(乙B137) 3 争点⑴ 本件各売買に係る被告E1及び被告E2の責任の有無及び原告の損害額(本訴請求1) ⑵ 本件各売買に係る被告E3の責 につき,両名をともに不起訴とした。(乙B137) 3 争点⑴ 本件各売買に係る被告E1及び被告E2の責任の有無及び原告の損害額(本訴請求1) ⑵ 本件各売買に係る被告E3の責任の有無及び原告の損害額(本訴請求1)⑶ 被告E1及び被告E2による原告現金収入の着服の有無(本訴請求2)⑷ 本件消費貸借契約の成否(反訴) 4 争点に関する当事者の主張の要旨⑴ 争点⑴(本件各売買に係る被告E1及び被告E2の責任の有無及び原告の 損害額)について(原告の主張)ア総論被告E1及び被告E2は,本件土地を宗教法人法及び本件規則の手続を経ることなく違法に売却して売買代金を着服横領しようと企て,同手続を 経ることなく,本件土地について本件各売買契約を締結してその所有権を移転し,原告から本件土地を失わせ,また,売買代金2億1400万円を着服横領し,原告は同金員を失った。 被告E1の行為は,原告の代表役員として宗教法人法及び本件規則に従わなければならない義務に違反した違法なものであり,債務不履行(委任 契約違反)及び不法行為に該当する。被告E2は,被告E1の上記違法行為の共同実行者として不法行為責任を負う。 被告E2が本件各売買に関して被告E1と常に行動を共にしていたこと,被告E2が本件土地売却代金を着服していること(原告三菱口座からの払戻伝票の筆跡が被告E2の筆跡であることは,これを一義的に証明す るものである。)から,被告E2が被告E1と共同して売却代金着服のた - 9 -め本件土地を売却したことは明らかである。 イ手続の未履践本件各売買について,財産処分承認申請書が曹洞宗宗務庁に提出された事実はなく,財産処分の承認がなされた事 - 9 -め本件土地を売却したことは明らかである。 イ手続の未履践本件各売買について,財産処分承認申請書が曹洞宗宗務庁に提出された事実はなく,財産処分の承認がなされた事実もない。また,境内建物新築等承認申請書及びこれに添付される責任役員会議議事録は存在するが,こ れは便所工事の承認申請書及び実際には開催されていないW大仏周辺整備についての責任役員会議議事録であって,本件各売買の承認を求める財産処分承認申請書もこれに添付すべき本件各売買の承認の議決がなされた責任役員会議議事録も存在しない。さらに,本件各売買の各1か月前までに公告がなされた事実もない。 被告E1及び被告E2は,本件各売買が売買代金着服横領のためであり,責任役員,副住職,檀信徒らに知られては困る事情があったため,これらの手続を履践しなかったものである。 ウ被告E2の着服横領 被告E2は,本件土地売却代金を自ら払戻請求書を書いて次々に払い 戻し,払戻金に相当する約1億5000万円の貴金属を購入している。 被告E2は,G及び亡夫Hから引き継いだタンス預金が貴金属購入代金に充てられたと主張するが,いずれも主張自体が不合理で経験則に反する上,客観的な裏付け証拠が全くない。被告E2の貴金属購入代金は,本件土地売却代金以外になく,被告E2が本件土地売却代金を次々に払 い戻して横領したことは明白である。 被告E2が主張する本件各売買以前の様々な支出(乙B1)も,自己資金によるものではなく,原告から横領した金で支出したものか,支払の事実のないものである。 被告E2は,被告E2が平成25年7月17日に原告三菱口座から払 い戻して三井住友銀行j 支店の被告E2名義の普通預金口座(口座番号 で支出したものか,支払の事実のないものである。 被告E2は,被告E2が平成25年7月17日に原告三菱口座から払 い戻して三井住友銀行j 支店の被告E2名義の普通預金口座(口座番号 - 10 -●●●●●●●。以下「被告E2三井口座」という。)に入金した2000万円につき,原告に対する平成24年7月5日の貸付金の返済であると主張する。しかし,被告E1の記帳していた金銭出納帳にはその記載がないこと,同日当時原告の預金残高が不足していた事実がなかったこと,被告E2が上記入金の原資はお寺の土地の売却金と答えたことか らすれば,貸付けの事実は存在せず,被告E2が本件土地売却代金を自己の口座に入金して横領したことは明らかである。 また,被告E2は,平成22年11月19日に貸地立退費用1000万円を立て替えており,原告三菱口座からその返済を受けたとも主張するが,原告への1000万円の交付についての金銭出納帳の記載が返済 の必要のない永代経の名目になっていること,被告E2には1000万円もの自己資金がなかったことからして,この1000万円は日常的な着服金の返還である。 税務調査の過程において,被告E2が自己に有利な税務処理をしてもらうために依頼したI税理士ですら,2億3750万円の使途不明金が あると結論付け,これと被告E2の貴金属購入,個人預金への入出金とを関連付けていることは,被告E2が本件土地売却代金を着服横領していたことの重要な証拠である。 エ被告E2の悪意,共謀原告には,布施収入等の現金収入が年額約2000万円あり,被告E2 が経理に関与するようになってから,これが消失している。このことから,被告E2が,平成20年頃から,原告の現金,通帳,印鑑等を管理 には,布施収入等の現金収入が年額約2000万円あり,被告E2 が経理に関与するようになってから,これが消失している。このことから,被告E2が,平成20年頃から,原告の現金,通帳,印鑑等を管理している立場を利用して,日常的に原告の金銭を着服横領し,自己の生活費や様々な出費,他人への贈与等に充てていたことが分かる。 被告E2は,平成24年に至り,日常的な横領では満足せず,原告所有 の土地を売却させ,多額の金を領得して,貴金属購入代金にしようと企て - 11 -た。被告E2は,宗教法人法等の手続が必要であることを知りながら,Vのj 店店長のJが作成した便所等の工事についての「境内建物新築(改築,増築,移築,除却,模様替,改修)境内地整備承認申請書」(以下「工事申請書」という。)及び責任役員会議議事録の空欄に記入し,また,これらが却下された後にその改ざんをしている。また,被告E2は,原告口座 から払い戻した2000万円を自己の口座に入金する際,「お寺の土地の売却金」と答えてしまい,それを糊塗するために,被告E1と謀議の上,2000万円の借用書をねつ造した。 以上のとおり,被告E2は,私的利得目的のために,被告E1と共謀して,本件土地を売却し,貴金属購入代金等として売却代金を着服横領した ものである。 オ原告の損害原告の平常支出は平常収入で賄われており,平成24年4月以降に臨時支出を必要とするような工事や特別な行事は一切行われていないから,本件土地売却代金は残存していなければならないところ,それが消失してい る。①平成24年11月30日から平成27年5月11日までの使途不明金は,別紙3使途不明金一覧表(甲71)のとおり,合計2億1144万2475円であり,これは,本件各売買により原告 失してい る。①平成24年11月30日から平成27年5月11日までの使途不明金は,別紙3使途不明金一覧表(甲71)のとおり,合計2億1144万2475円であり,これは,本件各売買により原告三菱口座及び原告三井口座に入金された合計2億0813万4894円にほぼ相当する。また,②原告が本件各売買に伴って負担した仲介手数料,擁壁工事代金,建物解 体費,測量費,印紙代及び司法書士手数料の合計2022万3144円も,本件各売買がなければ支払う必要のなかったものである。したがって,上記①及び②の合計2億3166万5619円が,違法な本件各売買によって原告が被った損害である。 (被告E1の主張) 原告の主張はいずれも不知ないし争う。 - 12 -(被告E2の主張)ア手続の履践被告E1は,本件各売買に当たり,責任役員の同意を得ていた。本件各売買については,原告の責任役員全員の押印のある責任役員会議議事録が作成されており,各責任役員の印鑑証明書も添付されている。また, 宗教法人法23条及び本件規則25条に基づく公告も,本件各売買についての公告文の上下4か所にピン止めした際の穴が空いていることから明らかなように,本堂にその旨の公告文を掲示してなされている。宗務庁に対する届出は,一度提出して承認を得たが,住職の印鑑が宗務庁の登録印と異なるなどの理由で返却され,その後再提出が怠られていたも のと思われる。 なお,本件土地は境内地以外の資産であり,本件規則違反や公告規定違反があったとしても,そのこと自体によって売買契約が無効になるものではない(宗教法人法24条)。 被告E1の記帳していた金銭出納帳の記載からは,本件各売買が,度 重なる責任役員会議の議論を経てその同 そのこと自体によって売買契約が無効になるものではない(宗教法人法24条)。 被告E1の記帳していた金銭出納帳の記載からは,本件各売買が,度 重なる責任役員会議の議論を経てその同意の上で進められ,宗務所や被告E3等の仲介業者らとも何度も打合せを重ねながら進められていたものであることが明らかになる。 また,そもそも被告E2と被告E1は内縁関係になく,本件各売買は被告E1が原告の住職として行ったものである。被告E2は,本件各売 買の手続は知らなかったし,売却に関与していない。被告E3やV(J)と本件各売買の打合せをしている被告E1を介添えし,お茶の世話等をしただけである。 イ被告E2の着服横領について 被告E2が,原告の金銭を不法に着服したり費消したりしたことは全 くない。被告E2が多数の宝飾品をテレビショッピングで購入した代金 - 13 -の原資は,被告E2自身の所持金であるが,その所持金は,母であるGと亡夫であるHから引き継いだものである。具体的には,父であるKが遺した現金をGが保管しており,Gの死後,押し入れの布団の間から2億円以上の1万円札が見つかったのと,Hの死亡時に貯金,退職金(約800万円)及び生命保険金2口(合計200万円)の総額約6000 万円が遺されたものである。被告E2は,これらの現金をタンス預金としてそのまま所持し続けていたが,主治医の勧めもあり,平成25年7月に6800万円を預金するに至った。 被告E2は,本件各売買以前に自己資金から1億1741万円を支出しており,本件各売買以降の分も含めると被告E2の自己資金からの支 出額は2億9136万円になるところ,このうち原告関係の出費は合計6930万円に及ぶのであり,被告E2が自己の所持金から原告 しており,本件各売買以降の分も含めると被告E2の自己資金からの支 出額は2億9136万円になるところ,このうち原告関係の出費は合計6930万円に及ぶのであり,被告E2が自己の所持金から原告のために多額の金銭をつぎ込んできたことが分かる。 原告の預金口座の出金伝票に被告E2の筆跡があることは認めるが,それは被告E1が預金を引き下ろしに行くのに付き添い,伝票作成を代 行したものであり,引き下ろした現金は,原告に対する貸付金合計3000万円の返済を受けたものを除き,その場で被告E1に引き渡して原告の運営費に充てられていたのであって,これらの出金は横領などとは無縁である。100万円単位のまとまった現金を出金するという方法は,被告E1が古くから行っている出金方法であり,本件各売買後の出金の みを使途不明金とする合理性はない。 平成27年7月頃にI税理士の指示で給料の支払等を被告E2が担当するようになるまでは,被告E1が,金銭出納帳や口座残高のメモをつけるなどして,原告の金銭管理を一貫して行っていたのであって,被告E2が金銭管理を行っていた事実はない。 被告E2がテレビショッピングで大量の品物を購入していたことは事 - 14 -実であるが,これは本件土地売却代金が入金した以後に始まったものではなく,その約10年前の平成14年頃から始まっていたものである。 被告E2は買物依存症であったことが明らかであるが,その資金は自分の所持金で行われてきたものである。実際,第1売買以降の貴金属の購入及び返品,原告名義の預金口座(以下「原告口座」という。)からの 出金,被告E2の預金の各金額を集計したところ,原告口座からの出金では貴金属の購入はできず,被告E2が原告口座からの出金額を最大で9227 原告名義の預金口座(以下「原告口座」という。)からの 出金,被告E2の預金の各金額を集計したところ,原告口座からの出金では貴金属の購入はできず,被告E2が原告口座からの出金額を最大で9227万1808円上回る貴金属と預金を有していたことが明らかになっている。 原告が使途不明金として主張する原告口座からの出金のうち,①平成 25年4月10日以前の出金については,金銭出納帳の記載から着服横領したものでないことが明らかであり,②平成26年9月1日以降の出金については,税務調査の最中に着服横領することは考え難いから,着服横領したものでないことが明らかであり,③その間の出金については,原告の平均年間経費額や預金の増加分からの試算によれば,原告の経費 に使用されたものであって着服横領したものでないことが明らかである。 ウ税務調査について 税務調査においては,原告三菱口座や原告三井口座からの出金のほとんど全てが使途不明金とされているが,これがおよそ非常識な結論であ 平成25年以降の被告E2の預金額の増加は,古くからの主治医であったL医師の説得により,持ち歩いていた現金6800万円を平成25年7月に一挙に入金したことによるものであり,本件土地売却代金の横領などとは関係がない。 税務署員らは,本件土地売却代金の使途に関して,様々な調査をした - 15 -が,その行方を解明することができず,たまたま同時期に被告E2が多額の宝飾品を購入していたことから,その資金は本件土地売却代金に違いないと憶測し,被告E2が真実タンス預金を有していたか否かなどは調査することなく,本件土地売却代金から宝飾品購入代金が支払われたとみなし,税務署員2名及び関与税理士3名が被 は本件土地売却代金に違いないと憶測し,被告E2が真実タンス預金を有していたか否かなどは調査することなく,本件土地売却代金から宝飾品購入代金が支払われたとみなし,税務署員2名及び関与税理士3名が被告E2及び被告E1を 脅した結果,ついにはみなし課税を納得させたものである。 ⑵ 争点⑵(本件各売買に係る被告E3の責任の有無及び原告の損害額)について(原告の主張)ア責任原因 宗教法人法及び本件規則は,宗教法人において,檀家や責任役員らに秘匿した上での不法な目的の財産処分が行われやすいことから,不法な目的での財産処分がなされ,財産がみだりに消失させられることを防ぐために,財産処分を檀家や責任役員らに知らせ(公告),財産処分の必要性を寺院関係者に明らかにし,その承認を得る(包括団体の承認,責 任役員会の決議)という厳格な手続を定めている。これらの手続は容易に行うことができるものであるのにもかかわらず,それを履践しないことは,財産処分が着服横領など不法な目的のものであって,檀家や責任役員らに知られては困る事情があることを外部にうかがわせる。 被告E3は,不動産売買仲介業者として,宗教法人法及び同法で認証 された宗教法人規則に定める手続を経ていない宗教法人所有地の売却の仲介行為をしてはならない義務があるにもかかわらず,これに違反して違法に,これらの手続を経ていない本件各売買の仲介行為をした。また,本件各売買は,特約の条件不成就が確定したことによって効力が生じなくなっていたため,仲介者として受渡しによって本件土地の所有権を移 転させてはならなかったにもかかわらず,これに違反して代金支払,引 - 16 -渡し及び所有権移転登記手続を行わせて本件土地の所有権を移転させた。 て受渡しによって本件土地の所有権を移 転させてはならなかったにもかかわらず,これに違反して代金支払,引 - 16 -渡し及び所有権移転登記手続を行わせて本件土地の所有権を移転させた。 被告E3は,本件土地の不動産登記簿や売買契約書の記載から,本件土地の所有者が被告E1でなく原告であることを知っており,それにもかかわらず被告E1及び被告E2において本件土地が被告E1の所有で あると言っていたことから,被告E1及び被告E2がその売却代金を私的に利得する意図であることを知り得たのに,あえて被告E1及び被告E2を幇助する意図で,手続を経ることなく本件土地を売却させたのであって,債務不履行責任及び不法行為責任がある。 イ因果関係 因果関係があるというためには,その行為が一般的に同種の損害を生じ得る可能性があれば足り,その損害が行為の直接の結果であるか間接の結果であるかを問わない。被告E1及び被告E2が本件各売買の直後から原告三菱口座及び原告三井口座に入金された本件土地売却代金を引き出して着服横領した本件では,本件各売買と売却代金の着服横領とは一体とな った一連のものであり,本件各売買と売却代金の着服横領との間には因果関係がある。 (被告E3の主張)ア責任原因について被告E3は,本件土地の所有者は原告ではなく被告E1個人であると聞 かされていたため,宗教法人法等の手続は不要と考えていた。なお,被告E3は,本件各売買に当たって不動産登記簿を確認したことはない。 また,被告E3は,本件各売買について,私的利得目的の売却であることは一切知らず,宗教法人法等の所定の手続を執ったものであると認識していた。 工事申請書,責任役員会議事録等の作成を主導 また,被告E3は,本件各売買について,私的利得目的の売却であることは一切知らず,宗教法人法等の所定の手続を執ったものであると認識していた。 工事申請書,責任役員会議事録等の作成を主導していたのはVであり, - 17 -被告E3は,買主の探索,契約書調印以外に関与したことはない。 イ因果関係について原告の損害は被告E1の横領によって生じたものであるから,本件各売買が原告の損害を招来したという関係を是認し得る高度の蓋然性が証明されたとはいえず,そもそも事実的因果関係を欠く。 また,本件各売買の後に被告E1によって重大な犯罪行為である横領が行われて原告に損害が生じることが通常であるとはいえないし,被告E3において被告E1が横領に及ぶことを予見すべきであったという事情もない。 したがって,本件各売買と原告の損害との間には相当因果関係がない。 ⑶ 争点⑶(被告E1及び被告E2による原告現金収入の着服の有無)について(原告の主張)ア被告E2は,本件土地の売買代金とは別に,原告の布施収入及び賃料収入を常習的に窃取していた。被告E1は,被告E2に加担し,原告の金を 被告E2と共同して着服した。別紙4着服金一覧表の「原告の主張」欄記載の金員は,被告E1及び被告E2が原告から着服した金員の一部である。 イ着服金の具体的な内容は,以下のとおりである。 金券……原告では使用しない金券の購入代金の支払に原告の資金を着服したもの 私的飲食代……原告とは無関係の被告E1と被告E2の私的飲食代金の支払に原告の資金を着服したもの Mへの支払……原告における伐採は出入り業者の桃山園芸で行っており,Mが原告の伐採業務を行ったことは ……原告とは無関係の被告E1と被告E2の私的飲食代金の支払に原告の資金を着服したもの Mへの支払……原告における伐採は出入り業者の桃山園芸で行っており,Mが原告の伐採業務を行ったことはなく,Mへの支払という名目で原告の資金を着服したもの 私的使用品……原告とは無関係な被告E2の私的使用品の購入代金の - 18 -支払に原告の資金を着服したもの その他の私的支払……原告とは無関係な被告E1と被告E2の私的な支払に原告の資金を着服したもの 平成28年1月以降の食品代等……本件土地売却代金の横領がマスコミ沙汰になり,原告本堂に来て原告の宗務を行うことがなくなった後, 被告E1と被告E2が私的に購入したものの代金支払に原告の資金を着服したもの KKRホテル名古屋の宿泊代等……被告E1と被告E2がマスコミから逃れるために身を隠していたKKRホテル名古屋の宿泊代,飲食代等の支払に原告の資金を着服したもの 領収証の改ざん……改ざんによる差額分の原告の資金を着服したものウ被告E1が記帳した原告の金銭出納帳に記載があっても,私的流用が免責されるわけではない。 また,上記着服金は,原告が経費として支払ったことを証する領収証綴りにその領収証が貼付されていたもので,現に原告から出金されているも のであり,被告E2が自己資金で支払ったものではない。被告E2の給料で支払が可能であったとする被告E2の主張は無意味である。 (被告E1の主張)原告の主張はいずれも不知。 (被告E2の主張) ア被告E2は,原告の布施収入及び賃料収入を窃取・横領していない。平成27年4月以降については,被告E1が月額100万円,被告E2が 告の主張はいずれも不知。 (被告E2の主張) ア被告E2は,原告の布施収入及び賃料収入を窃取・横領していない。平成27年4月以降については,被告E1が月額100万円,被告E2が月額30万円の給与の支払を受けていたのであり,被告E2が多額の所持金を有していたことを考慮外としても,原告の指摘する領収証記載の金員はこれらの給与により支払が十分可能であり,横領といわれる余地はない。 費目ごとの具体的な反論は,以下のとおりである。 - 19 - 金券……被告E1が主に世話になる医師等に心付けとして贈るために購入したもの 私的飲食代……被告E2が自己負担で支払ったもの Mへの支払……観樹亭の周辺の樹木と大仏の近くの樹木のせん定,隣家の塀が倒れてきたことに関する修復作業をMに依頼し,それらの謝礼 として被告E2が自己負担で支払ったもの 私的使用品……一部を除いて原告の交際費であるが,被告E2が自己負担で支払ったもの その他の私的支払……いずれも原告の宗教活動の一環としての出費又は交際費であり,そのほとんどは被告E2が自己負担で支払ったもの 平成28年1月以降の食品代等……被告E1及び被告E2の給与で十分支払可能なもの KKRホテル名古屋の宿泊代等……住職としての必要経費であり,I税理士の許可を得て出金したもの 領収証の改ざん……ほとんどは被告E1の筆跡であり,原告の経費の 費用化が動機として考えられるものイ金銭出納帳上,被告E1は月額17万円の衣資料(給料)を受け取っていることになっているが,それは税務対策上のものであり,実際には,原告の金銭以外に被告E1の金銭はなく,被告E1は,日常の飲食も物品の購 出納帳上,被告E1は月額17万円の衣資料(給料)を受け取っていることになっているが,それは税務対策上のものであり,実際には,原告の金銭以外に被告E1の金銭はなく,被告E1は,日常の飲食も物品の購入も贈答も,原告の経費として支出していた。 また,被告E2は,宗教法人の宗教活動に関する収入が非課税であることを知らなかったため,様々な領収証を原告の経費として計上することによって税務上有利になると誤解していた。被告E2は,こうした誤解に基づき,自分のお金で購入したものでも,原告宛ての領収証を切ってもらったり,支払先にお礼をするときは,そのお礼分も領収証金額に加えてもら ったりしていたのであり,これらは横領や着服などとは無縁なものである。 - 20 -⑷ 争点⑷(本件消費貸借契約の成否)について(被告E2の主張)被告E2は,原告の依頼により,平成27年5月25日,原告に対し,弁済期及び利息を定めずに9000万円を貸し付けた。本件消費貸借契約については,被告E1が借用書(乙B18。以下「本件借用書」という。)を作 成し,被告E2に渡した。被告E2が貸し付けた9000万円は,原告の納税資金及び原告の顧問会計士のNの報酬に使用された。 (原告の主張)被告E2の主張する9000万円の原資は,被告E2が原告から横領した金員又はそれによって購入した貴金属の返品代金であって,被告E2の金員 ではない。原告は,被告E2が原告から横領した金員の返金を受けたにすぎない。本件借用書は,被告E2が,横領の共犯者である被告E1に書かせたものであり,事実に基づかないものである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 前提事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ の共犯者である被告E1に書かせたものであり,事実に基づかないものである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 前提事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ⑴ 原告の組織及び戒律等原告においては,住職である者が代表役員を務め,代々住職は妻帯が禁止され,住職と養子縁組をした僧侶がO姓を継ぎ,後継の住職となることとされている。原告の現在の住職であり代表役員であるPは,被告E1の養子で ある。(甲88)⑵ 被告E2の経歴並びに被告E2と原告及び被告E1との関係ア被告E2は,戸籍上,Q・R夫婦の長女と記載されているが,幼い頃からRの妹であるGによって養育された。被告E2は,短大卒業後,昭和43年4月から同年6月まで徳倉建設株式会社に勤務した。(乙B19,8 1,161) - 21 -イ被告E2は,昭和49年11月17日,国家公務員(国立大学の司書)であったHと婚姻した。被告E2は,Hとの婚姻後,名古屋市g 区hの借家(以下「i の借家」という。)で,G及びHと3人で生活するようになった。(乙B161)ウ Hは,昭和▲年▲月▲日に死亡した。被告E2は,Hの葬儀を被告E1 に執り行ってもらったことなどをきっかけに,昭和60年頃から,原告の行事に参加したり,催事の手伝いをしたりするようになった。(乙B76)エ被告E2は,Hの死亡に伴い,退職手当として約742万円を受領した。 また,被告E2は,Hの死後,遺族年金(2か月に1回,月額7~8万円程度)を受領するようになった。(乙B180,被告E2本人) オ被告E2は,Hの死後,昭和57年4月から昭和59年6月まで株式会社スキヨ人形研究所に,昭和61年4月から昭和62年3月までエイコー化学株式 ようになった。(乙B180,被告E2本人) オ被告E2は,Hの死後,昭和57年4月から昭和59年6月まで株式会社スキヨ人形研究所に,昭和61年4月から昭和62年3月までエイコー化学株式会社に,昭和62年4月から平成6年4月まで株式会社松枝衣裳店総本店にそれぞれ勤務していた。被告E2は,同社を退職した後は,無職であり,Hの遺族年金と被告E2自身の年金以外には収入がなかった。 (乙B81,被告E2本人)カ Gは,平成▲年▲月▲日に死亡した。被告E2は,Gの死後,毎日のように原告に通い,雑用を手伝うようになった。(乙B181)キ被告E2は,平成14年1月から平成24年10月までの間に,株式会社QVCジャパンに対し,別紙5商品購入代金集計表のとおり,テレビシ ョッピングの商品代金として,合計2456万1840円を支払った。ただし,そのうち合計1052万2929円は,返品により,被告E2の口座に振り込む方法で返金された。(乙B11の1・2)ク被告E2は,平成14年12月から平成22年8月までの間に,ジュピターショップチャンネル株式会社に対し,別紙5商品購入代金集計表のと おり,テレビショッピングの商品代金として,合計2383万9022円 - 22 -を支払った。ただし,そのうち合計1288万1726円は,返品により,被告E2の口座に振り込む方法で返金された。(乙B11の1・3)ケ被告E2は,テレビショッピングによる買物を繰り返すうち,宅配便の配達員として商品を配達していたMと親しくなり,車で送迎してもらったり,食事を共にしたりするようになった。(乙B11,13) コ被告E1は,もともと本堂横の庫裡で生活していたが,平成17年頃から観樹亭で生活するようになった。被告E2は,引き続 してもらったり,食事を共にしたりするようになった。(乙B11,13) コ被告E1は,もともと本堂横の庫裡で生活していたが,平成17年頃から観樹亭で生活するようになった。被告E2は,引き続きi の借家から通って原告の雑用を手伝っていたが,観樹亭に泊まることもあった。(甲88,乙B162,163)サ被告E1は,平成20年5月22日から同年7月31日まで,腰椎骨折 のため入院した。被告E2は,被告E1の退院後の身の回りの世話が必要であるとして,同年8月頃から,観樹亭で被告E1と同居するようになった。被告E1は,遅くとも平成20年頃には,それまで庫裡で保管していた原告の預金通帳,印鑑,経理関係の書類等を観樹亭で保管するようになった。(甲69,88,乙B76,証人N) シ被告E2は,平成23年11月,原告との間で原告境内地の一角の土地(観樹亭の隣地)を賃料月額3万円,賃貸借期間30年の約定で賃借する旨の賃貸借契約を締結し,平成24年8月頃,同土地上にE2邸(木造瓦葺平家建,床面積約91.25㎡,間取りは2LDK)を建設し,被告E2名義で所有権保存登記をした。被告E2は,i の借家を引き払い,同年 9月頃からE2邸で被告E1と同居するようになった。被告E2は,被告E1のために家事や身の回りの世話をするとともに,外出に付き添うなどしていた。(乙B8,被告E2本人)ス被告E1は,E2邸への転居に伴い,観樹亭で保管していた原告の預金通帳や経理関係の書類をE2邸で保管するようになった。被告E2は,被 告E1が原告の預金通帳や経理関係の書類を保管している場所を知って - 23 -いた。(甲69,証人N,被告E2本人)⑶ 被告E1による原告の金銭管理等被告E1は,原告の金銭出納帳を作 告の預金通帳や経理関係の書類を保管している場所を知って - 23 -いた。(甲69,証人N,被告E2本人)⑶ 被告E1による原告の金銭管理等被告E1は,原告の金銭出納帳を作成していたが,金銭出納帳の記載は,平成25年4月10日で終わっており,その後は記載されていない。また,被告E1は,平成23年3月決算期(平成22年度)まで,愛知県学事振興 課に提出する毎年度の収支決算書を作成していた。N会計士は,平成17年頃から原告の経理や税務を担当していたところ,平成23年頃以降は,原告の収支決算書を作成するようになり,年に数回,被告E1との打合せを行っていた。上記打合せは,被告E1と被告E2が同居していた観樹亭又はE2邸で行い,打合せには,被告E2が同席していた。(甲72~78,82, 乙B125,証人N)⑷ 被告E3と原告との関係被告E3は,E5の屋号で不動産業を営んでおり,原告の依頼を受けて,原告所有の駐車場の賃貸管理業務を行っていた。(乙D1,2)⑸ 本件各売買の手続 ア被告E3は,平成24年9月頃,Vのj 店店長であったJに対し,a の土地の買主を探すよう依頼した。Jは,a の土地の買主を探し,Vは,買主(アールエステート)側の仲介業者となった。また,Jは,社内マニュアル等から,宗教法人である原告の所有地を売却するには,原告の責任役員の同意,曹洞宗代表役員の同意及び公告が必要であることを知ってい た。(乙D4,証人J)イ被告E3からVに第1売買の話が持ち込まれた後,第2売買も含めて,本件各売買に関する打合せは,被告E1,被告E2,被告E3及びJの4名が出席して,被告E1及び被告E2が居住するE2邸において行われた。第1売買の打合せの際,被告E3は,被告E3 第2売買も含めて,本件各売買に関する打合せは,被告E1,被告E2,被告E3及びJの4名が出席して,被告E1及び被告E2が居住するE2邸において行われた。第1売買の打合せの際,被告E3は,被告E3と被告E1がいいと言 えば誰も反対しないという趣旨の発言をしていた。Jは,買主側の仲介業 - 24 -者の担当者であったが,被告E3,被告E1及び被告E2との本件各売買に関する打合せに出席し,原告の所有地を売却するために必要な手続等について説明した。(乙D4,証人J)ウ平成24年11月29日,E2邸で,被告E1,被告E2,被告E3及びJが出席して,第1売買契約が締結された。第1売買契約には,平成2 5年1月30日までに曹洞宗代表役員からa の土地の売却に係る同意を得るものとし,同条件の不成就が確定した場合には,売主は買主に受領済みの金員を無利息で速やかに返還する旨の特約が定められていた。また,第1売買契約締結の際に同席した司法書士も,改めて,原告の所有地を売却するには曹洞宗代表役員の同意等が必要である旨を説明した。(乙D4, 証人J)エ原告は,第1売買契約で定められた期限(平成25年1月30日)までに曹洞宗代表役員の同意を取得することができなかったため,アールエステートとの間で,第1売買契約の曹洞宗代表役員の同意取得期限を平成25年1月30日から同年3月29日に,残代金支払期限を同年2月28日 から同年4月30日に,それぞれ変更することを合意した。(乙B147,乙D4,証人J)オ本件土地の売却について,曹洞宗代表役員の承認を得るには,曹洞宗財務部長宛ての「財産処分承認申請書」を提出する必要があり,同申請書には,処分の目的,処分相手の住所及び氏名,処分する財産,処分の方法及 び処分代金,処分 洞宗代表役員の承認を得るには,曹洞宗財務部長宛ての「財産処分承認申請書」を提出する必要があり,同申請書には,処分の目的,処分相手の住所及び氏名,処分する財産,処分の方法及 び処分代金,処分金の使途等を記載し,責任役員全員の署名押印を受けるとともに,責任役員会議議事録のほか,所定の関係書類(登記事項証明書,売買契約書,公租公課証明書等)を添付しなければならないとされている。 また,上記責任役員会議議事録には,会議の日時,場所,出席者,議題,議事経過,議決事項を記載し,責任役員全員が署名押印しなければならな いとされている。さらに,公告文には,処分の目的,処分相手の住所及び - 25 -氏名,処分する財産,処分の方法及び処分代金,処分金の使途を記載しなければならないとされている。(甲4,50)カ平成25年1月30日,曹洞宗愛知県第一宗務所に対し,便所等を改築する旨の同日付け工事申請書(以下「本件工事申請書」という。甲52の1,別紙6の1。)及び平成24年12月16日付け責任役員会議議事録 (以下「本件議事録」という。甲52の2,別紙6の2。)各2通が提出された。曹洞宗愛知県第一宗務所は,うち1通を曹洞宗宗務庁に送付し,残り1通を曹洞宗愛知県第一宗務所において保管した。(甲52)キ本件工事申請書及び本件議事録の手書き部分は,別紙6の1,2(甲52の1・2)のとおり,Jと被告E2が記載したものである(なお,被告 E2は,この筆跡が自分のものであるか分からない旨の供述をするが(被告E2本人),後記サのとおり,別紙6の3(甲54の1)の橙下線部の筆跡が被告E2のものであることは被告E2も認めているところ,これと対照すれば,別紙6の1,2(甲52の1・2)の緑下線部は被告E2の筆跡であると認められる。) 別紙6の3(甲54の1)の橙下線部の筆跡が被告E2のものであることは被告E2も認めているところ,これと対照すれば,別紙6の1,2(甲52の1・2)の緑下線部は被告E2の筆跡であると認められる。)。(甲52) ク本件議事録の「4.付議事項(議題)」欄には,「⑴W大仏週ママ辺整備,⑵設備修復工事,⑶改修工事費念ママ出のための土地売却 (土地表示)名古屋市c 区jk 丁目l 番m,l 番n」との記載があるが,「6.議決事項」欄には,「⑴W大仏周辺整備について,出席者全員承認」としか記載がない。 (甲52) ケ被告E1及び被告E2は,平成25年1月28日頃,本件各売買当時原告の責任役員であったS方を訪ね,本件工事申請書及び本件議事録を示して「責任役員の連署」欄への押印を求めた。Sは,原告の便所の修理に必要な手続であると理解して,本件工事申請書及び本件議事録に押印した。 その他の責任役員についても,被告E1及び被告E2が責任役員方を訪ね て本件工事申請書及び本件議事録の「責任役員の連署」欄に押印してもら - 26 -った。(甲109,原告代表者,被告E2本人)コ曹洞宗宗務庁は,平成25年2月20日,本件工事申請書に係る申請を却下し,原告に対し,本件工事申請書を本件議事録とともに返却した。返却された本件工事申請書には,却下理由として,①被告E1の印鑑が宗務庁登録印と異なること,②便所(東司)以外の工事内容が明記されていな いこと,③工事に関する添付書類がないこと,④土地売却費については財産処分承認申請書を提出する必要があることが記載された付箋が添付されていた。(甲53)サその後,曹洞宗宗務庁から返却された本件工事申請書には,別紙6の3(甲54の1)のとおり,「2.工事する建 承認申請書を提出する必要があることが記載された付箋が添付されていた。(甲53)サその後,曹洞宗宗務庁から返却された本件工事申請書には,別紙6の3(甲54の1)のとおり,「2.工事する建物」,「3.除却する建物」 の各欄の「便所等」の「等」の記載が修正テープで抹消され,被告E1の印影を二本線で抹消して届出印が押されている。また,「2.工事する建物」の「便所」の記載から矢印を引いた先に,被告E2の筆跡で「名古屋市c 区de 丁目o 番地 W大仏参拝経路の通路整備工事周辺外構工事一式」と記載されている(なお,被告E2は,他の部分が書き込まれていない段 階で上記記載をした旨の供述をするが(被告E2本人),甲第54号証の1には曹洞宗宗務庁の収受印や手数料受領印があり,甲第52号証の1と対比すると,本件工事申請書が却下されて返却された後に被告E2が上記記載をしたことは明らかである。)。(甲54の1)また,曹洞宗宗務庁から本件工事申請書とともに返却された本件議事録 には,別紙6の4(甲54の2)のとおり,「4.付議事項(議題)」欄の「⑶改修工事費念ママ出のための土地売却 (土地表示)名古屋市c 区jk 丁目l 番m,l 番n」の記載の下に,Jの筆跡で「名古屋市c 区bp 丁目q 番,q 番r」と書き加えられている。(甲54の2)シ本件土地の売却につき,原告から曹洞宗宗務庁に対し財産処分承認申請 書は提出されておらず,曹洞宗の代表役員は,本件土地の売却を承認して - 27 -いない。平成25年2月20日に却下された本件工事申請書及び本件議事録は,その後曹洞宗宗務庁に提出されていない。(甲4)⑹ 原告口座の入出金状況等ア平成24年7月5日当時,原告の預金残高は,以下 5年2月20日に却下された本件工事申請書及び本件議事録は,その後曹洞宗宗務庁に提出されていない。(甲4)⑹ 原告口座の入出金状況等ア平成24年7月5日当時,原告の預金残高は,以下のとおり,合計1563万4200円であった。 原告三菱口座 61万1916円(乙B41の2) 原告三井口座 859万4994円(乙B43の1) なごや農業協同組合c 支店 99万8179円(甲80) ゆうちょ銀行通常貯金 42万9111円(乙B46) ゆうちょ銀行定期貯金 500万円(乙B46) イ原告三菱口座第1売買後の原告三菱口座の入出金状況は,別紙7の1のとおりである。 原告三菱口座には,原告所有地の駐車場収入や布施収入の一部が振り込まれているほか,本件各売買に係る手付金及び残代金並びに第2売買の固定資産税精算金が入金されている。他方で,原告三菱口座からは,別紙7の 1のとおり,平成24年11月30日から平成27年5月までの間に,原告三井口座及び瀬戸信用金庫t 支店の原告名義の普通貯金口座(口座番号●●●●●●●。以下「原告瀬戸信口座」という。)に対する移動を含めて,1回当たり数百万円以上の金員が連続して引き出されている。(乙B41,42) ウ原告三井口座平成25年4月9日から平成27年5月11日までの原告三井口座の入出金状況は,おおむね別紙7の2のとおりである。原告三井口座は,主として原告の光熱水道料,電話料金等の引き落としや税金の支払のために使用されている口座である。原告三井口座には,第1売買後,別紙7の2の とおり,第1売買による固定資産税精算金が入 口座は,主として原告の光熱水道料,電話料金等の引き落としや税金の支払のために使用されている口座である。原告三井口座には,第1売買後,別紙7の2の とおり,第1売買による固定資産税精算金が入金されているほか,原告三 - 28 -菱口座から合計5500万円が預け替えられている。(乙B43,44)エ原告瀬戸信口座原告瀬戸信口座は,本件各売買後の平成25年11月6日に開設された口座であり,同日,原告三菱口座から1000万円が預け替えられた。原告瀬戸信口座の平成27年2月22日までの入出金状況は,別紙7の3の とおりである。(乙B50)オ第1売買後の原告名義口座からの現金の引き出しは,被告E1及び被告E2が各金融機関に赴いて行ったものである。原告三菱口座からの払戻伝票の大半は,被告E2が記載した。(甲37)⑺ 被告E2口座の入出金状況 ア三菱東京UFJ銀行u 支店の被告E2名義の普通預金口座(口座番号●●●●●●●。以下「被告E2三菱口座」という。)被告E2三菱口座は,被告E2の遺族年金及び国民年金が入金され,光熱水道料等の引き落としなどに使用されている。被告E2三菱口座には,別紙8の1のとおり,平成25年7月10日に2300万円が入金され, その後平成26年5月23日までの間に,合計2000万円が瀬戸信用金庫t 支店の被告E2名義の普通預金口座(口座番号●●●●●●●。以下「被告E2瀬戸信口座」という。)及びゆうちょ銀行の被告E2名義の通常貯金口座(番号●●●●●●●●。以下「被告E2ゆうちょ口座」という。)に預け替えられている。(乙B54,55) イ被告E2三井口座被告E2は,平成25年7月10日,被告E2三井口座を ●●●●●●●。以下「被告E2ゆうちょ口座」という。)に預け替えられている。(乙B54,55) イ被告E2三井口座被告E2は,平成25年7月10日,被告E2三井口座を新規開設し,別紙8の2のとおり,同日1000万円,同年7月17日に2000万円,平成27年5月22日に2000万円を入金している。 被告E2は,平成25年7月17日に上記2000万円を被告E2三井 口座に入金するに際し,三井住友銀行j 支店の行員から上記2000万円 - 29 -の原資を尋ねられて「お寺の土地の売却金」と返答した。(甲84,乙B56,57)ウ被告E2瀬戸信口座被告E2は,別紙8の3のとおり,平成25年7月16日,被告E2瀬戸信口座を開設し,同日,合計1500万円を入金した。その後の同口座 の入出金状況は,別紙8の3のとおりである。(乙B59)エ被告E2ゆうちょ口座被告E2ゆうちょ口座は,主として携帯電話料金の引き落としのために使用されていた口座であるが,別紙8の4のとおり,平成26年5月23日に被告E2三菱口座から1000万円が預け替えられた。(乙B58) ⑻ 税務調査の経緯平成26年9月以降実施された原告の税務調査において,本件土地売却代金が入金された原告口座から高額の出金がされており,同時期に被告E2が高額の貴金属を購入していることが判明した。被告E2は,税務当局に対し,貴金属購入の原資は,タンス預金であると説明したため,税務当局は,被告 E2がE2邸の建築代金として払った紙幣や,被告E2が貴金属購入代金として支払った紙幣について調査したところ,いずれも昭和59年以降に発行された新紙幣(福沢諭吉の肖像が印刷されているもの)である E2がE2邸の建築代金として払った紙幣や,被告E2が貴金属購入代金として支払った紙幣について調査したところ,いずれも昭和59年以降に発行された新紙幣(福沢諭吉の肖像が印刷されているもの)であることが分かった。また,被告E1及び被告E2は,税務当局に対し,本件土地売却代金の使途につき合理的な説明をすることができなかった。税務当局は,本件土地 売却代金が被告E2の貴金属購入代金として使用されているとして,被告E2の貴金属購入代金を原告の被告E2に対する給与として扱い,原告から源泉徴収をする方針を伝えたが,被告E2はこれを受け入れなかった。被告E2は,税務調査が開始された後,T弁護士に相談し,事実を曲げる必要はないとの助言を受けた。また,被告E2は,N会計士が税務当局に同調してい るとして,I税理士に委任して税務調査への対応を相談した。税務当局は, - 30 -被告E1に対し,被告E2の貴金属購入代金を原告の被告E1に対する給与として扱い,原告から源泉徴収する方針を伝えた。被告E1は,原告の代表者としてこれを受け入れることとし,平成25年及び平成26年の給与収入について確定申告をし,原告は,源泉所得税等を納付した。また,被告E2は,原告の納税資金として合計9000万円を被告E2口座から拠出した。 (甲38~46,69,乙B172,証人N,被告E2本人)⑼ 被告E1の認知能力に関する事実ア被告E1は,平成20年9月6日,名古屋脳神経外科クリニックにおいて,海馬がかなり萎縮しているとして認知症の診断を受け,アリセプトの処方を受けた。(乙B131の1) イ被告E1は,平成21年3月10日,名古屋脳神経外科クリニックを再度受診したところ,MMSE(30点満点の認知機能テスト)27点であり セプトの処方を受けた。(乙B131の1) イ被告E1は,平成21年3月10日,名古屋脳神経外科クリニックを再度受診したところ,MMSE(30点満点の認知機能テスト)27点であり,認知症の症状はかなり改善していると診断された。(乙B131の2)ウ被告E1は,平成27年10月29日,名古屋第二赤十字病院の医師により,ラクナ脳梗塞の診断を受けた。もっとも,「お経をあげるなど住職 としての業務は出来ており,聴力低下があるものの理解や判断の能力は年齢相応と考えられる。」と診断された。(乙B131の3)エ被告E1は,平成28年11月1日,名古屋第二赤十字病院の医師により,脳梗塞の診断を受けた。長谷川式簡易知能評価スケールは13点で,見当識障害と高度の記銘力障害が認められると診断された。被告E1は, 平成29年頃,施設に入所した。(乙B131の4,乙B182)オ被告E1は,平成29年10月31日,名古屋第二赤十字病院の医師により,脳梗塞,アルツハイマー型認知症と診断された。上記診断においては,平成27年頃までは住職としての仕事を何とかこなしていたが,平成28年頃から同じことを何度も尋ねるようになり,画像検査上も脳萎縮の 進行が認められ,平成29年には字が書けなくなり,視線は合うもののコ - 31 -ミュニケーションが困難となったとされている。(乙B131の5)カ被告E1は,平成30年2月15日,後見開始の審判を受けた。 2 争点⑴(本件各売買に係る被告E1及び被告E2の責任の有無及び原告の損害額)について⑴ 本件各売買の手続について ア前記1認定のとおり,本件土地の売却につき,原告から曹洞宗宗務庁に対し財産処分承認申請書は提出されておらず,曹洞宗 任の有無及び原告の損害額)について⑴ 本件各売買の手続について ア前記1認定のとおり,本件土地の売却につき,原告から曹洞宗宗務庁に対し財産処分承認申請書は提出されておらず,曹洞宗の代表役員は,本件土地の売却を承認していない。 また,前記1認定のとおり,被告E1,被告E2及び被告E3は,第1売買契約後に便所等を改築しその費用を土地売却代金で賄う旨を記載し た本件工事申請書を提出し,曹洞宗宗務庁によって却下されている。 さらに,本件工事申請書に添付する本件議事録は作成されているものの,その体裁に照らし,本件各売買が責任役員の議決事項とされたことはなく,現に責任役員の一人であったSは便所の修理のために必要であると考えて本件工事申請書及び本件議事録に押印しており,他の責任役員も同様 であったと推認できる。この点につき,被告E2は,被告E1が記帳していた金銭出納帳からの抜粋(乙B128)に基づいて,本件各売買についての責任役員会議,宗務所や被告E3等の仲介業者らとの打合せが多数回行われたと主張する。しかしながら,本件各売買当時責任役員を務めていた複数の者が,上記抜粋(乙B128)に記載された会議や打合せの大半 は存在しなかったと述べていること(甲107)に照らすと,そもそもこれらの会議や打合せが行われたと認定するのは困難である。 以上に加えて,本件工事申請書及び本件議事録が曹洞宗宗務庁に却下され,返却された後,本件工事申請書の「工事する建物」欄に被告E2の筆跡で加筆がされ,本件議事録の付議事項にJの筆跡でb の土地の表示が加 筆されるなどの修正がされ,これらについては再度曹洞宗宗務庁に提出さ - 32 -れることなく,第1売買の決済,第2売買契約の締結,第2売買の決済が順次行われている。 の土地の表示が加 筆されるなどの修正がされ,これらについては再度曹洞宗宗務庁に提出さ - 32 -れることなく,第1売買の決済,第2売買契約の締結,第2売買の決済が順次行われている。 なお,証拠(甲83,乙D4,証人J,被告E2本人)によれば,公告については,平成25年2月25日付けの公告文(甲83)を境内に掲示する方法で行われたことが認められる。しかしながら,本件規則25条で は,原告の不動産を売却する場合には,その行為の少なくとも1か月前に,公告を行わなければならないとされているところ,上記公告文(甲83)の日付に照らし,第1売買よりも前に実施されたとは認め難い(公告文の案を作成したJ自身,公告を行ったのは第1売買の決済完了後であると供述している。)。また,そもそも,本件各売買については,責任役員の議 決及び曹洞宗の代表役員の承認が得られていないだけではなく,これらが得られているかのような体裁が整えられていることからすると,公告文のみを境内に掲示したとしても意味はない(かえって,本件土地売却のための手続が適法に行われているかのような外観を作出することになる。)。 以上によれば,本件各売買につき,宗教法人法及び本件規則に定められ た手続はいずれも執られていなかったと認められる。また,被告E1及び被告E2は,本件各売買について責任役員の議決及び曹洞宗代表役員の承認が得られていないことを知りながら,共同して,これが得られているかのような体裁を整えるために,本件工事申請書及び本件議事録に加筆したものと認められる。 イ被告E2は,本件各売買に関与しておらず,被告E1がE2邸で生活していたため,本件各売買の打合せに被告E1の介添えとして出席し,お茶の世話等をしただけであると主張する。しかしなが る。 イ被告E2は,本件各売買に関与しておらず,被告E1がE2邸で生活していたため,本件各売買の打合せに被告E1の介添えとして出席し,お茶の世話等をしただけであると主張する。しかしながら,前記アのとおり,被告E2は,本件工事申請書や本件議事録の必要事項の一部を記入し,これらが却下されて返却された後にはこれに加筆して,本件各売買の形式を 整えるための書類の作成に積極的に関与していること(当時,被告E1は - 33 -金銭出納帳を記帳するなど字を書くことが可能であって,被告E2が代筆すべき理由はない。)などを考慮すると,本件各売買に関与しておらず,被告E1の介添えのためだけに打合せに同席していたとする被告E2の前記主張は採用できない。 ⑵ 本件各売買の目的について ア前記1認定のとおり,本件工事申請書(甲52の1)には,W大仏周囲整備のため,便所等の工事をする必要があり,その経費は土地売却費等から支出する予定である旨の記載がある。また,第1売買については,W大仏参拝経路の通路整備工事,トイレ(男性用,女性用)新設工事及び周辺外構工事一式に伴う資金捻出のため,a の土地を売却すること,上記工事 に必要な費用は,トイレ新設工事が約1600万円,参拝経路の整備工事が約500万円,周辺外構工事一式が約300万円であり,譲渡所得税及び諸費用を差し引いた売買残代金は約2167万9200円であることが記載された被告E1名義の「土地売却目的」と題する文書(乙B134)が作成されており,上記工事につき,株式会社麦島建設は,工事代金を1 858万5000円とする平成25年5月16日付け見積書(乙B135)を作成している。しかしながら,上記見積書は,第1売買の決済後に作成されたものであること,その後原告において 工事代金を1 858万5000円とする平成25年5月16日付け見積書(乙B135)を作成している。しかしながら,上記見積書は,第1売買の決済後に作成されたものであること,その後原告において上記文書及び見積書に記載された工事は実施されていないこと,原告においては,被告E1が代表役員を退任した後の平成30年2月に屋外トイレの設置工事を実施している が,その工事代金は67万5216円にすぎないこと(甲110)などからすると,上記文書及び見積書に記載された工事の実施が第1売買の目的であったとは認められない。 イ被告E2は,原告においては,平成22年から平成24年にかけて,本堂の修復工事や屋外トイレを建て替えて周辺を整備する工事など,費用が 嵩む工事が予定されていたところ,被告E2からの借入金3000万円を - 34 -返済するとともに,今後の運転資金を準備するには本件土地を売却するよりほかなかったと主張する。 確かに,原告においては,老朽化した本堂の修復工事が必要とされている(原告代表者)が,同工事については,本件各売買の数年前である平成21年6月に建築設計事務所から工事概要書(乙B173)が提出されて いるのみで,本件各売買後,同工事が実施されたことはなく,その準備が行われた形跡もうかがわれない。また,後記⑷,⑹認定のとおり,被告E2が主張する3000万円の貸付金のうち,2000万円については貸付けの事実があったとは認められず,1000万円については,仮に金員交付の事実があったとしても,返還の約束があったとは認められない。さら に,前記1認定のとおり,第1売買の約4か月前(被告E2が原告に2000万円を貸し付けたと主張する日)である平成24年7月5日の時点で,原告口座の預金残高は合計1563万 認められない。さら に,前記1認定のとおり,第1売買の約4か月前(被告E2が原告に2000万円を貸し付けたと主張する日)である平成24年7月5日の時点で,原告口座の預金残高は合計1563万4200円であって,原告の運転資金が不足していたとは認められない(被告E2は,同日時点での原告三菱口座の残高が61万円余りであったと指摘するが,その取引明細(乙B4 1)からも明らかなとおり,同口座には原告の駐車場からの賃料収入が毎月入金され,特別な出費がなければ,おおむね常時100万円を超える残高が維持されていることが認められる。)。以上に加えて,第1売買契約が締結された後,被告E1が代表役員を退任するまで,原告において平常支出以外の工事や行事等,臨時支出の予定はなく,実際にそのような工事 や行事は行われていないこと(原告代表者)を考慮すると,本件各売買が原告の資金調達を目的とするものであったとは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。被告E2の上記主張は採用できない。 ⑶ 原告口座からの出金についてア前記1認定の事実及び証拠(甲71,乙B125の2)を総合すると, 本件土地売却代金の原告口座への入金及び原告口座からの出金の状況は, - 35 -別紙7の1から3までのとおりであるところ,第1売買の手付金の入金後の平成24年11月30日から平成28年5月31日までに,被告E1及び被告E2が,原告口座からまとまった金額を多数回にわたって引き出しており,その多くが金銭出納帳(乙B125の2)等によって使途が明らかにされていないものであると認められる。 前記⑵認定のとおり,第1売買後被告E1の退任に至るまで,原告において平常支出以外の工事や行事等が実施されていないことを考慮すると,上記のとおりの原告 にされていないものであると認められる。 前記⑵認定のとおり,第1売買後被告E1の退任に至るまで,原告において平常支出以外の工事や行事等が実施されていないことを考慮すると,上記のとおりの原告口座からの出金状況は,原告の運営においては極めて異例なことといわざるを得ず,本件各売買前の原告口座からの出金状況(乙B41~51,164)とも,頻度や金額の面で整合しない。 イ被告E2は,前記アの原告口座からの出金について,被告E1が預金を引き出しに行くのに付き添い,伝票作成を代行したものであり,引き出した現金は,基本的にその場で被告E1に引き渡し,原告の運営費に充てられていたのであって,このことは,金銭出納帳のほか,被告E1による原告口座の残高確認メモ(乙B127)の記載から明らかであると主張する。 しかし,上記出金は基本的に金銭出納帳に記載がない(平成25年4月11日以降は,金銭出納帳自体が記載されておらず,同日より前については金銭出納帳に出金の記載がされていない)ものであるし,上記メモは原告口座の残高を記載したものにすぎず,これをもって,上記出金が原告の運営費に充てられたと推認することは困難である。また,被告E2は,被 告E1は原告口座から引き出した現金を本堂で管理していたと主張するが,本堂には金庫もなく(被告E2本人),第三者が出入りする可能性もあることからすると,被告E1が原告口座から引き出した現金を本堂で管理するとは考えにくい。被告E1が預金通帳や印鑑,経理書類等を被告E2と同居していた住居(観樹亭又はE2邸)で管理していたことも併せ考 慮すると,原告口座から出金された現金は,被告E1と被告E2が同居し - 36 -ていた住居(観樹亭又はE2邸)で管理されていたものと推認することができる。 で管理していたことも併せ考 慮すると,原告口座から出金された現金は,被告E1と被告E2が同居し - 36 -ていた住居(観樹亭又はE2邸)で管理されていたものと推認することができる。被告E2の上記主張は採用できない。 ⑷ 被告E2の支出等についてア前記1認定のとおり,被告E2口座には,平成25年7月10日から平成27年5月23日までに,口座間移動を除いて1億円もの入金がなされ ており,そのうち6800万円は,第2売買の残代金(本件土地売却代金全体の約4分の3に相当する金額)が支払われた平成25年6月27日の直後の同年7月10日,16日又は17日に入金されている。また,被告E2は,平成24年12月から平成26年9月までに,1億4436万8935円(返品分を除くと8425万1500円)もの貴金属を購入して いる。これらの事実は,本件各売買と被告E2口座への入金及び被告E2の貴金属の購入との関連性を推認させるものといえる。 中でも,被告E2は,平成25年7月17日に原告三菱口座から払い戻した2000万円を被告E2三井口座に入金する際,行員に対しその原資を「お寺の土地の売却金」と説明している。 被告E2は,この2000万円について,被告E2が原告に対し平成24年7月5日に貸し付けた2000万円の返済金であると主張し,これを裏付ける証拠として,被告E1作成に係る同日付け借用書(乙B17)や,被告E2三菱口座の通帳の「平成22年の返金○寺」(乙B57),「25年7月17日返金していただいた三井住友入金(寺の手薄金¥200 0万円也)」(乙B55の1)とのメモがあると指摘する。しかし,被告E2の行員への上記説明(貸付金の返済であれば行員にもそのように説明すればよく,お寺の土地の売却代金と説明 の手薄金¥200 0万円也)」(乙B55の1)とのメモがあると指摘する。しかし,被告E2の行員への上記説明(貸付金の返済であれば行員にもそのように説明すればよく,お寺の土地の売却代金と説明する必要はない)や,平成24年7月5日当時被告E1が記帳していた原告の金銭出納帳(乙B125の2)には貸付けの記載がないこと,上記借用書(乙B17)には,「現在 は手持金が手薄につき」「手持金手薄すなわち法人の通帳の残金少ない事 - 37 -を意味する」などと記載されているが,前記⑵認定のとおり,同日当時,原告口座の預金残高が不足していたとはいえないこと,残高不足を理由とする貸付けであるとしながら,同日前後に2000万円が原告口座に入金された形跡はうかがわれないこと(乙B41~51,証人N)からすると,被告E2が同日に原告に対し2000万円を貸し付けたとは認められな い。したがって,平成25年7月17日の被告E2三井口座への2000万円の入金が原告からの貸付金の返済であったとは認められない。被告E2の上記主張は採用することができない。 イ被告E2は,貴金属購入の原資は,亡夫のHから相続した約6000万円のタンス預金と,被告E2の実父であるKが実母であるGのために援助 し,Gの死後に発見された2億円以上のタンス預金であると主張し,本人尋問においてもこれに沿う供述をする。 しかし,被告E2がKとGの間の子であることを裏付ける的確な証拠は見当たらない。この点をしばらく措くとしても,長年にわたり愛知県職員を務めた後愛知県議会議員になり,妻と4人の子がいたK(昭和▲年▲月 ▲日死亡,乙B180)が,Gと被告E2の生活費や学費等を負担し,G(平成▲年▲月▲日死亡)の死後に2億円以上の現金が残るほどの援助をすることが可能 なり,妻と4人の子がいたK(昭和▲年▲月 ▲日死亡,乙B180)が,Gと被告E2の生活費や学費等を負担し,G(平成▲年▲月▲日死亡)の死後に2億円以上の現金が残るほどの援助をすることが可能であったとは考え難い(甲66)。被告E2は,Kが公務員としての収入の他に株式取引によって収入を得ていた可能性があると主張するが,根拠のない憶測にすぎず採用できない。また,被告E2は, Gが死亡した約8年後(平成16年頃)に,Gと同居していた借家の古い布団の中から大量の現金(タンス預金)が発見されたと供述している(乙B76,被告E2本人)が,Gが保険金及び預金を全て被告E2に残す旨の遺言書(乙B20)を作成しながら,生前に多額のタンス預金の存在やその保管場所を被告E2に教えていなかったというのも不自然である。さ らに,被告E2の主張によれば,GだけではなくHも被告E2に知られる - 38 -ことなくタンス預金をしており,これを取得した被告E2もまた,平成25年7月頃に被告E2口座に預金するまでの間,金融機関に預けることなくタンス預金として保有していたことになるが,金利が高かった時代に3人ともがそのような行動をとるとは想定し難い。以上に加えて,K及びHは,一万円券の新紙幣が発行された昭和59年(甲57)より前に死亡し ており,被告E2が保管し,使用した現金が新紙幣であること(甲69,証人N,被告E2本人)と矛盾する。この点,被告E2は,Gにおいて旧紙幣を新紙幣に交換済みであってもおかしくないと主張するが,Gが被告E2にもその存在を知らせていなかった高額のタンス預金の旧紙幣を,被告E2に知られることなく新紙幣に交換することができたか疑問が残る といわざるを得ない。 被告E2は,貴金属の購入について,本件各売買以前か 知らせていなかった高額のタンス預金の旧紙幣を,被告E2に知られることなく新紙幣に交換することができたか疑問が残る といわざるを得ない。 被告E2は,貴金属の購入について,本件各売買以前からテレビショッピングでの商品購入をしていたと主張する。確かに,被告E2は,本件各売買前にも,平成14年から株式会社QVCジャパン及びジュピターショップチャンネル株式会社のテレビショッピングを利用して買物を繰り返 していたが,商品の内容は貴金属に限らず家電製品や日用品が含まれ,購入額と返品額との差額は両社を合わせても2500万円程度であり,平成22年頃には両社からの買物をほとんどしなくなっていたのに対し,本件各売買後(平成24年12月以降)の買物は,明らかに購入価格が増加し(購入額と返品額の差額は8425万1500円),商品としても貴金属 類に限定されるようになっていること(乙B11)からすれば,本件各売買以前の商品購入とは質的に異なるというべきである。 被告E2は,本件各売買以前に,上記テレビショッピングの購入代金のほか,原告に対する高額の寄付及び貸付け,観樹亭の改装費用,E2邸の建築費用等を支出したとして,本件各売買当時,高額の自己資金を有して いたと主張する。しかしながら,被告E2が本件各売買前に自己資金によ - 39 -って支出したと主張するもの(乙B1)には,支出の事実やそれが被告E2の自己資金によるものであるか証拠上必ずしも明らかでないものも含まれている上,その原資がタンス預金によるものであるとする被告E2の主張は明らかに不自然,不合理であって採用できないこと,被告E2は平成25年7月17日に原告口座から引き出した2000万円を直ちに被 告E2三井口座に入金していることなどを考慮すると,少なくとも被告 は明らかに不自然,不合理であって採用できないこと,被告E2は平成25年7月17日に原告口座から引き出した2000万円を直ちに被 告E2三井口座に入金していることなどを考慮すると,少なくとも被告E2が本件各売買の前後において十分な自己資金を有していたとは認められない。 ウ以上のとおり,本件土地の売却代金が原告口座に入金されるのと時期を同じくして,被告E2口座に高額の入金がされ(そのうち2000万円に ついては原告口座から引き出された金員がそのまま被告E2口座に入金されていることが明らかである。),被告E2が高額の貴金属を購入している上,被告E2が多額の預金や支出の原資について合理的な説明をすることができていないこと,被告E2の生活状況からしてもその原資となるような収入があったとはうかがわれない(前記1認定のとおり,被告E2は 平成6年4月に勤務先を退職した後は無職であり,年金収入しかない)ことからすると,少なくとも本件各売買後の被告E2口座への入金及び貴金属購入等の大半が,前記⑶の原告口座からの出金を原資にしているものと合理的に推認できるというべきである。 なお,被告E2は,原告口座からの出金状況等と本件各売買後の貴金属 の購入・返品状況を照らし合わせると(乙B167),原告口座からの出金によって貴金属を購入することができないことは明らかであると主張するが,被告E2の上記主張によっても,本件土地売却代金の大半が被告E2の預金や貴金属の購入等に充てられたとする上記推認を覆すには足りない。 ⑸ 被告E1及び被告E2の責任について - 40 -以上のとおり,本件各売買が宗教法人法等によって定められた手続を執らずに行われており,被告E1及び被告E2もそのことを認識しながら適法な手続が び被告E2の責任について - 40 -以上のとおり,本件各売買が宗教法人法等によって定められた手続を執らずに行われており,被告E1及び被告E2もそのことを認識しながら適法な手続が執られているかのような形式を整えていること,本件各売買当時,原告において本件土地を売却する必要があったとは認められず,本件各売買後,特別な出費を要する工事や行事も行われていないこと,本件各売買後,原告 口座からは高額の出金が連続して行われており,これと時期を同じくして,被告E2口座に高額の入金がされ,被告E2が高額の貴金属を購入しているところ,上記入金や支出の原資に関する被告E2の説明は不合理であること,被告E1は,本件各売買当時,原告の代表者であり,原告の収支を管理していたこと,被告E2は,長年にわたり原告の雑用を行い,平成20年8月頃 からは被告E1と同居して身の回りの世話をしていたこと,原告口座から引き出された現金は,預金通帳や印鑑,経理関係の書類と同様に,被告E1及び被告E2が同居していた住居(観樹亭又はE2邸)で管理されていたことなどを総合すると,被告E1と被告E2は,共謀の上,本件土地の売却代金を着服横領する目的で本件各売買をしたものと認められる。 なお,被告E1(大正▲年▲月▲日生)は,本件各売買(平成24年11月30日及び平成25年5月10日)当時は88歳であり,前記1認定のとおり,これに先立つ平成20年9月には認知症の診断を受けている。しかし,被告E1は,平成21年3月には症状が改善し,平成27年10月にも理解や判断の能力は年齢相応と診断されていることからすると,本件各売買当時, 認知症により判断力が著しく低下していたとは認められない。 以上によれば,被告E2は被告E1との共同不法行為に基づき,被告 判断の能力は年齢相応と診断されていることからすると,本件各売買当時, 認知症により判断力が著しく低下していたとは認められない。 以上によれば,被告E2は被告E1との共同不法行為に基づき,被告E1は被告E2との共同不法行為又は原告との委任契約上の債務不履行に基づき,本件各売買によって原告が被った損害を賠償すべき義務を負うというべきである。 ⑹ 原告の損害額について - 41 -ア原告は,別紙3(別紙7の1から3までの塗り潰し部分)の合計2億1144万2475円が使途不明金であり(甲71),これと本件各売買に当たって支払った仲介手数料等2022万3144円の合計2億3166万5619円が,違法な本件各売買による損害であると主張する。 イ本件各売買による費用について 原告が本件各売買に関して負担した費用の合計2022万3144円のうち,仲介手数料,建物解体費,測量費,印紙代,司法書士手数料の合計1022万3144円は,被告E1及び被告E2の不法行為等と因果関係のある原告の損害と認められる。これに対し,擁壁工事代金1000万円は,a の土地の価値を増加させる費用でもあり,違法な第1売買が行われ たことによって余儀なくされた無駄な支出とは認められないから,被告E1及び被告E2の不法行為等と因果関係のある原告の損害とは認められない。 ウ使途不明金について まず,原告の前記アの主張のうち,本件各売買によって原告三菱口座 及び原告三井口座に入金された2億0813万4894円を超える金額を使途不明金として損害に含めている点は,原告が,本訴請求1では,飽くまで本件土地売却代金の着服横領を主張していることに照らして明らかに失当であり,以下では,そのうち2億0813万4894円について被告E 明金として損害に含めている点は,原告が,本訴請求1では,飽くまで本件土地売却代金の着服横領を主張していることに照らして明らかに失当であり,以下では,そのうち2億0813万4894円について被告E2が着服横領したか否かを検討することとする。 被告E2は,原告が使途不明金として主張する原告口座からの出金のうち,①平成25年4月10日以前(以下「期間A」という。)の出金については,金銭出納帳の記載から着服横領したものでないことが明らかであり,②平成26年9月1日以降(以下「期間C」という。)の出金については,税務調査の最中に着服横領することは考え難いから,着 服横領したものでないことが明らかであり,③期間Aと期間Cの間(以 - 42 -下「期間B」という。)の出金については,原告の平均年間経費額や預金の増加分からの試算によれば,原告の経費に使用されたものであって着服横領したものでないことが明らかであると主張する。そこで,この点について以下に検討する。 a 期間Aについて 期間Aの出金については,原告が使途不明金として挙げているものは,基本的に金銭出納帳に記載のないものであるから,使途不明金として問題とせざるを得ない。被告E2は,平成25年4月11日以降,金銭出納帳の記載が途切れているのは,被告E1の認知症が進んだためであり,金銭出納帳に記載がないことをもって,使途不明金と評価 するのは相当ではないと主張する。しかし,被告E1は,平成27年10月の時点でも,お経をあげるなど住職としての業務はできており,聴力低下があるものの理解や判断の能力は年齢相応と診断されていたことからすると,金銭出納帳の記載が途絶えていることが認知症の進行によるものであると認定するのは困難である。 また,被告 り,聴力低下があるものの理解や判断の能力は年齢相応と診断されていたことからすると,金銭出納帳の記載が途絶えていることが認知症の進行によるものであると認定するのは困難である。 また,被告E2は,期間Aの出金のうち,平成25年4月9日の原告三菱口座からの1000万円の出金(以下「本件出金」という。)については,金銭出納帳に,「U借地支拂引出シ」,「助ケ船返金スル」との記載があること(乙B125の2・130頁)などからして,被告E2が原告に代わってU(当時の原告の貸地の賃借人)に支 払った立退料1000万円の返済であると主張する。確かに,原告三井口座には平成22年11月19日に被告E2名義で合計1000万円(500万円×2回)の入金があること(乙B43の1),当時被告E2の代理人であった弁護士は,原告が賃借人に対し支払うべき立退料2150万円のうち1000万円を被告E2が立て替えたと説明 していること(乙B15)が認められる。しかしながら,原告の金銭 - 43 -出納帳には,上記1000万円の入金の名目について,通常返還の必要のない「永代経」と記載されており(乙B125の2),他に借用書等も作成されていないことなどからすると,原告と被告E2との間で,上記1000万円を返還すべき約束があったと認定するのは困難である。これに加え,本件出金の時期が,第1売買の残代金の入金が あった平成25年3月28日の直後の同年4月9日であって,期限の定めのない貸付金の返済時期としては唐突であること,被告E2自身,返済時期を明確に記憶しておらず,従前は異なる時期の出金から上記1000万円の返済を受けた可能性があると述べていたこと(乙B76,被告E2本人),前記⑷ア説示のとおり,被告E2から原告に対 し平成24年7月 記憶しておらず,従前は異なる時期の出金から上記1000万円の返済を受けた可能性があると述べていたこと(乙B76,被告E2本人),前記⑷ア説示のとおり,被告E2から原告に対 し平成24年7月5日に2000万円の貸付けがあったとは認められないにもかかわらず,その旨の借用証が作成され,平成25年7月17日に上記貸付金に対する返済の名目で原告三菱口座から2000万円が出金されていることなどを考慮すると,本件出金が被告E2に対する貸付金の返済であったとは認められない。 そうすると,期間Aにおける原告主張の出金合計1494万2475円の使途は不明であるといわざるを得ない。そして,期間Aにおける原告の必要経費は金銭出納帳上明らかになっているから,上記1494万2475円は,いずれも被告E1及び被告E2が着服横領したものであると推認することができる。 b 期間B及び期間Cについて期間Cについて,被告E2は税務調査後に着服横領することは考えられないと主張するが,税務調査が入った後も原告口座から従前と同様の多額の引き出しがあることは事実であり,その使途が明らかでない以上,税務調査後であることのみをもって,着服横領の事実を否定 することはできない。 - 44 -期間B及び期間Cについては,金銭出納帳が作成されていないところ,原告は,N会計士の作成した収支一覧表(甲70)に基づいて,原告において,本件各売買前は,現金収入のみによって支出が賄われていたから,使途不明金から運営費を控除する必要はないと主張する。 しかしながら,証人Nの証言によっても,「資産収入」である賃料収 入等は原告口座に振り込まれ,「檀信徒布施収入」等も原告口座に振り込まれる場合があるのであるから,現金収入のみによって支出が賄われてい ながら,証人Nの証言によっても,「資産収入」である賃料収 入等は原告口座に振り込まれ,「檀信徒布施収入」等も原告口座に振り込まれる場合があるのであるから,現金収入のみによって支出が賄われていたと認定することは困難である。したがって,本件土地売却代金の中から原告の経費が支出された可能性を否定することはできない。 そうすると,期間B及び期間Cについては,原告の損害額を認定するに当たり,使途が明らかでない原告口座からの出金から,原告の経費に充てられたと合理的に推認できる金額を除外するのが相当である。なお,被告E2は,原告口座の預金の増加額が本件土地売却代金の内部留保であるとして,それに相当する金額も除外すべきであると 主張するが,上記増加額が本件土地売却代金の内部留保によるものであるとは限らず,他の平常収支によるものである可能性もあるから,これを除外するべきではない。 そこで次に,期間B及び期間Cにつき,原告の経費に充てられたと合理的に推認できる金額が幾らかを検討する。期間B及び期間Cにつ いては,金銭出納帳が作成されていないため,その収支状況については,原告の本件各売買前の収支状況から推認せざるを得ない。 原告の本件各売買前の収支状況について,N会計士が収支一覧表(甲70)を作成しているところ,同一覧表は,公認会計士及び税理士の資格を有する同人が,被告E1が作成した金銭出納帳,収入支出一覧 表,収支決算書を基に作成したものであり(甲69,証人N),基本 - 45 -的に信用性が認められる。これによれば,別紙9原告収支計算書のとおり,平成12年度から平成22年度までの年間平均収入が6452万0878円,年間平均支出が5210万4277円,年間平均収支差額が1241万660 められる。これによれば,別紙9原告収支計算書のとおり,平成12年度から平成22年度までの年間平均収入が6452万0878円,年間平均支出が5210万4277円,年間平均収支差額が1241万6601円となるため,以下,これを基に計算することとする(なお,上記収支一覧表(甲70)には,平成13年3月 決算期(平成12年度)から平成23年3月決算期(平成22年度)までの収支しか記載されていないのに対し,被告E2代理人作成の金銭出納帳・収支集計表(乙B165)には,期間B直前の平成24年3月決算期(平成23年度)及び平成25年4月決算期(平成24年度)の収支状況が記載されている。もっとも,上記集計表は,金銭出 納帳に記載された現金の入出金を計算したものであり,預金の増減を反映させていない点で,原告の収支状況を正確に表したものとはいえない上に,平成24年度については第1売買の入金があった後の期間Aにおける入出金を含んでいる点で,原告の本件各売買前の収支状況を表したものともいえないから,これを原告の経費に充てられた金額 の推認に当たって考慮に入れることは相当ではない。)。 期間B及び期間Cは平成25年4月11日から平成27年5月11日までであるところ,これは約2年1か月(25か月)であることから,この期間の原告の必要経費は,5210万4277円×(25/12)=1億0855万0577円(小数点以下切捨て。以下同じ。) (①)と推認することができる。 他方で,上記期間中,別紙7の1,2のとおり,原告主張の使途不明金のほかに,原告三菱口座から677万6265円,原告三井口座から3349万9182円が引き出されており,これらの合計4027万5447円(②)は原告の経費に充てられたものと推認すること が 金のほかに,原告三菱口座から677万6265円,原告三井口座から3349万9182円が引き出されており,これらの合計4027万5447円(②)は原告の経費に充てられたものと推認すること ができる。 - 46 -また,預金を経由しない現金による経費の支出も考慮する必要がある。まず,上記期間の原告の平常収入は,6452万0878円×(2る。また,上記期間中の本件土地売却代金等及び口座間移動以外の入金は,別紙7の1から3までのとおり,原告三菱口座が7804万5 959円,原告三井口座が908万6406円,原告瀬戸信口座が4て,上記期間中,㋐1億3441万8495円-㋑8758万5159円=4683万3336円(③)が,原告口座を経由せずに現金として経費に充てられたものと推認することができる。この金額は,原 告の平成13年から平成24年までの布施収入(宗教活動に伴う現金収入)の金額(乙B169)に照らして不合理な金額とはいえず,このことは,上記推認の妥当性を裏付けるものといえる。 なお,この点について,被告E2は,原告における布施収入,さい銭収入等の現金収入は,一旦金銭出納帳(甲82,乙B125)に記 帳された上で(青丸印が付された収入がこれに当たるとする。),預金口座に振り替えられており,現金のまま支出することはないと主張し,N会計士や原告代表者も,これに沿うかのような供述をしている部分がある(証人N・52頁,原告代表者・29頁)。しかし,仮に金銭出納帳の青丸印の記載が,被告E2の主張するとおり現金収入の 記帳の趣旨であったとして,金銭出納帳や上記各供述部分を含めた本件全証拠によっても,その全部あるいは大半が原告口座に振り込まれるとの法則性を見出すことはできない。また,仮に従前は被告E1が原 記帳の趣旨であったとして,金銭出納帳や上記各供述部分を含めた本件全証拠によっても,その全部あるいは大半が原告口座に振り込まれるとの法則性を見出すことはできない。また,仮に従前は被告E1が原告の現金収入を原告口座に振り込んでいたとしても,被告E1によって金銭出納帳が作成されていない期間B及び期間Cにおいても従前 のような現金収入の管理がされていたかどうかは不明であるといわざ - 47 -るを得ない。そうすると,少なくとも期間B及び期間Cにおいて,上記のように,預金を経由しない現金による経費の支出が相当程度あったと推認することは相当であって,これを覆すに足りる証拠は見当たらない。 以上によれば,原告が主張する期間B及び期間Cの使途不明金か ら,原告の経費に充てられたと合理的に推認できる金額は,①1億0855万0577円-②4027万5447円-③4683万3336円=2144万1794円となる。 以上によれば,原告が主張する使途不明金2億0813万4894円の限度)のうち,期間B及び期間Cについて した部分が,被告E2が着服横領したものと合理的に推認できるというべきである。 したがって,被告E2が着服横領した金額は,2億0813万4894円-2144万1794円=1億8669万3100円と認められ, これは被告E1及び被告E2の不法行為等と因果関係のある原告の損害といえる。 エ前記イとウの損害額は,合計1億9691万6244円である。 ⑺ 小括以上より,本件各売買につき,被告E1及び被告E2は,共同不法行為(被 告E1については債務不履行と選択的)に基づく損害賠償として,連帯して1億9691万6244円及びこれに対する遅延損害 以上より,本件各売買につき,被告E1及び被告E2は,共同不法行為(被 告E1については債務不履行と選択的)に基づく損害賠償として,連帯して1億9691万6244円及びこれに対する遅延損害金を支払う義務がある。 なお,遅延損害金について,原告は,第2売買の決済日を平成25年6月7日とした上で,最後の不法行為の日である同日からの遅延損害金の支払を 求めているところ,前提事実⑷イのとおり,第2売買の決済日(残代金支払 - 48 -及び移転登記手続の日)は同月27日であるから,同日からの遅延損害金に限って認容すべきであり,その余の請求は棄却を免れない。 3 争点⑵(本件各売買に係る被告E3の責任の有無及び範囲)について⑴ 被告E3の責任ア本件各売買契約上,曹洞宗代表役員の承認が停止条件とされており,本 件各売買が宗教法人である原告の財産処分である以上,原告の仲介業者である被告E3は,上記停止条件の成否はもとより,公告や責任役員会の議決の有無についても確認する義務があったと解される。 被告E3は,本件土地の所有者は原告ではなく被告E1個人であると聞かされていたため,宗教法人法等の手続は不要と考えていたと主張する。 しかし,本件土地の所有者がいずれも原告であることは全部事項証明書(甲5~8)から明らかであり,本件各売買契約が原告とアールエステート又は森不動産との間で締結されていることは,被告E3が仲介業者(宅地建物取引主任者)として押印した本件各売買の売買契約書(甲2,3)から明らかであって,被告E3が本件土地の所有者を誤信していたとはお よそ考えられない。また,前記1認定のとおり,被告E3は,本件土地売却のための打合せにおいて,Jから本件土地の売却には宗教法人法等に定められた手続が必要で 件土地の所有者を誤信していたとはお よそ考えられない。また,前記1認定のとおり,被告E3は,本件土地売却のための打合せにおいて,Jから本件土地の売却には宗教法人法等に定められた手続が必要である旨の説明を受けていたこと,本件各売買の売買契約書には,曹洞宗代表役員の承認を条件とする旨が明記されていることなどからすると,被告E3が本件土地の売却のために宗教法人法等の手続 が必要であることを知らなかったとは考えられない。 イ前記1認定のとおり,本件各売買につき,曹洞宗代表役員の承認は得られておらず,被告E2及びJが手書き部分を記入して作成された本件工事申請書及び本件議事録は曹洞宗宗務庁によって却下された上,被告E2及びJによって,追記がされている。この点,Jは,被告E3又は被告E2 に指示されるがまま,本件工事申請書及び本件議事録の必要事項を記入 - 49 -し,被告E3の指示により返却後の本件工事申請書及び本件議事録にb の土地の表示を追記したと供述しているところ,Jの上記供述のみによって,被告E3の指示により本件工事申請書及び本件議事録が作成され,却下後に追記がされたとまでは認められない。しかし,前記1認定のとおり,被告E3は,原告が委任した仲介業者として,本件土地売却のための打合 せに出席し,本件工事申請書及び本件議事録を作成し,これに被告E2及びJが追記した際にも同席していることからすると,被告E3は,上記記載及び追記の際,本件各売買が曹洞宗代表役員の承認や責任役員会の議決を経ていないものであること,また,それにもかかわらずこれらの手続が執られているかのような形式が整えられたことを認識していたものと認 められる。 ウそうすると,被告E3は,原告の仲介業者として,宗教法人法及び本件 た,それにもかかわらずこれらの手続が執られているかのような形式が整えられたことを認識していたものと認 められる。 ウそうすると,被告E3は,原告の仲介業者として,宗教法人法及び本件規則に定める手続を経ていない本件土地売却の仲介行為をしてはならない義務を負っていたにもかかわらず,上記義務に違反したことが認められる。 ⑵ 原告の損害額原告が本件各売買につき支払った仲介手数料,建物解体費,測量費,印紙代,司法書士手数料の合計1022万3144円は,被告E3の債務不履行又は不法行為と因果関係のある原告の損害といえる。一方,擁壁工事代金1000万円は,前記2⑹イと同様の理由により,被告E3の債務不履行又は 不法行為と因果関係のある損害とはいえない。 また,被告E1及び被告E2の着服横領は本件各売買後の事情であり,宗教法人法等の手続を経ない財産処分であれば,通常,宗教法人の代表者らによる代金の着服横領が行われるとまではいえないから,被告E1及び被告E2の着服横領による損害は特別損害といわざるを得ない。被告E3は,前記 ⑴のとおり,本件各売買につき曹洞宗の代表役員の承認や原告の責任役員会 - 50 -の議決が得られていないこと,それにもかかわらずこれらの手続が執られているかのような形式が整えられたことを認識していたことは認められるが,そのことによって直ちに,上記特別損害が予見可能であったと推認することはできない。被告E3は,原告所有地の賃貸管理業務を行っていたものの,原告や被告E1及び被告E2の経済状況等に通暁していたとまでは認められ ないことなどを考慮すると,被告E3が,被告E1及び被告E2に着服横領の目的が存在することについて悪意であるか,又は知らなかったことについて過失があったと認 況等に通暁していたとまでは認められ ないことなどを考慮すると,被告E3が,被告E1及び被告E2に着服横領の目的が存在することについて悪意であるか,又は知らなかったことについて過失があったと認めることは困難であり,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 そうすると,被告E3は,上記特別損害を予見することができたとは認め られないから,被告E3の債務不履行又は不法行為と被告E1及び被告E2の着服横領による損害との間に相当因果関係があるとは認められない。 ⑶ したがって,被告E3は,原告に対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として,1022万3144円及びこれに対する遅延損害金を支払う義務がある。なお,遅延損害金の起算日については,前記2⑺判示のとお りである。 4 争点⑶(被告E1及び被告E2による原告現金収入の着服の有無)について⑴ 証拠(甲18~36)及び弁論の全趣旨によれば,原告が被告E1及び被告E2による着服であると主張する支出の領収証は,被告E2の訴訟代理人であるT弁護士から原告に引き渡された原告の領収証綴りに綴られていたも の(同弁護士において貼付したものを含む)であり,これらに係る支出は,被告E2の自己資金からではなく,経費として原告の資金から支出されたものと認められる。 この点について被告E2は,様々な領収証を原告の経費として計上することによって税務上有利になると誤解していたため,被告E2の自己資金で購 入したものでも原告宛ての領収証を切ってもらうなどしていたと主張する - 51 -が,宗教法人の宗教活動による収入は非課税であり,前記1認定のとおり,長年にわたり原告の雑用等を手伝い,原告代表者である被告E1と同居して身の回りの世話をしていた被告E2が,それを誤解し 51 -が,宗教法人の宗教活動による収入は非課税であり,前記1認定のとおり,長年にわたり原告の雑用等を手伝い,原告代表者である被告E1と同居して身の回りの世話をしていた被告E2が,それを誤解していたとは考え難い。 また,被告E2は,原告が主張する支出の一部は被告E1や被告E2の給与によって支払可能であったとも主張する。確かに,税務調査後,I税理士の 指示により,被告E1に対しては月額100万円,被告E2に対しては月額30万円の給与がそれぞれ支払われている(乙B42の2,乙B106)が,原告において,これらの給与を支払うとの意思決定が存在したか否かが疑わしい上に,上記のとおり,原告が主張する支出は現に経費として原告の資金から支出されている以上,給与から支払可能であったからといって,着服の 事実を否定することはできない。被告E2の上記主張はいずれも採用することができない。 したがって,被告E1及び被告E2による着服の有無を判断するに当たっては,各支出が原告の資金から支出されたことを前提に,各支出が原告の経費として必要かつ合理的なものであったかという観点から検討すべきであ る。 ⑵ 原告が着服横領として主張する各支出についての当裁判所の判断は,別紙4着服金一覧表の「裁判所の認定」欄記載のとおりである。以下においては,原告主張の費目(別紙4着服金一覧表の「着服の内容」欄参照。)ごとに上記判断の理由を補足して説明する。 ア金券被告E2は,医師等に心付けとして贈るために金券を購入したと主張する。しかし,平成26年6月から平成27年11月までの約1年半の間に原告の資金によって購入された金券の総額は260万円にも及んでいる(甲22の3の1・19・32・44・53・59・60・66・67)。 菓子折程度で 月から平成27年11月までの約1年半の間に原告の資金によって購入された金券の総額は260万円にも及んでいる(甲22の3の1・19・32・44・53・59・60・66・67)。 菓子折程度であれば格別,このようなまとまった金額の金券を原告の経費 - 52 -で購入し,医師等へ贈答することが必要かつ合理的とはいえず,私的な金券の購入代金の支払に原告の資金を着服したものと認められる。 イ私的飲食代原告は,原告とは無関係の被告E1と被告E2の私的飲食代金の支払に原告の資金を着服したと主張するが,いずれも領収証の宛名が原告か空欄 になっており,原告の交際費として支払われた可能性も否定できないから,着服とは認められない(ただし,後記カ,キに該当するものを除く。)。 ウ Mへの支払被告E2は,Mに伐採等の様々な仕事をしてもらっており,その対価として支払ったと主張する。確かに,金銭出納帳には,Mに境内の樹木の伐 採や雑用の報酬として数万円を支払った旨の記載が散見される(乙B125の2・76,89,91,92,99,127頁)。しかしながら,原告提出の領収書(甲22の3の22・23,甲33の3の7~17)によれば,①平成25年4月7日に「1日の仕事代」として5万円,②平成25年5月から平成26年2月まで各月の「仕事代」として各10万円(合 計100万円),③平成26年8月31日に「8/5.12の木の伐採2回分と8月の仕事代として」40万円,④平成26年9月30日に「寺内の伐採代として」50万円が支払われた旨が記載されているところ,上記①,②の「仕事代」という記載のみでは,Mが実際に行った仕事の内容やその必要性は明らかでない。また,原告においては,かねてから造園業者 に境内の樹木の手入れ等を依頼して されているところ,上記①,②の「仕事代」という記載のみでは,Mが実際に行った仕事の内容やその必要性は明らかでない。また,原告においては,かねてから造園業者 に境内の樹木の手入れ等を依頼しており,①の直前である平成25年1月に造園業者に39万6210円を支払っていること(乙125の2・122頁),④の数か月後の平成27年1月及び同年2月には造園業者に合計65万7000円を支払っていること(甲105)などからすると,Mに対し境内の樹木の手入れや伐採等を依頼する必要があったとは認められ ないし,Mの陳述書(乙B13)にもその旨の記載がない。そうすると, - 53 -Mに対する支払は,被告E1及び被告E2による着服と認められ,これを覆すに足りる証拠はない。 エ私的使用品原告が私的使用品として挙げるもののうち,健康食品,テレビショッピングの商品,化粧品等は,その品目からして,原告とは無関係な被告E1 及び被告E2の私的使用品であることが明らかである。また,領収証の宛名が被告E1や被告E2(「F寺裏E2」を含む。)となっているものも,被告E1及び被告E2の私的使用品と推認することができる。したがって,これらについては,私的使用品の購入代金の支払に原告の資金を着服したものと認められる。 一方,領収証の宛名が原告又は空欄となっている菓子代,食品代等については,原告が檀家等に贈答するための菓子の購入費用など,原告の交際費等として支出された可能性も否定できない。この点について原告は,領収証の宛名となっている業者がいずれも原告の行事の際に購入する菓子屋とは異なっており,商品の送付先又は納品先住所がE2邸となっている ことなどを理由に,被告E1及び被告E2の私的な支出であると主張する。しかし,購入先によっ れも原告の行事の際に購入する菓子屋とは異なっており,商品の送付先又は納品先住所がE2邸となっている ことなどを理由に,被告E1及び被告E2の私的な支出であると主張する。しかし,購入先によって原告の交際費であったか否かを判断するのは困難である。また,E2邸が原告の境内に位置しており,原告の代表者である被告E1が居住していたことなどからすると,送付先等がE2邸であることをもって私的な支出であると認定することも困難である。他に上記 の支出が私的な菓子代,食品代等であったと認めるに足りる証拠はない。 したがって,これらについては,着服とは認められない(ただし,後記カに該当するものを除く。)。 オその他の私的支払レンタカー代(甲22の3の58,甲24の3の20,甲28の3の4) については,原告の宗教活動に必要な支出である可能性を排斥することが - 54 -できず,着服とは認められない(ただし,後記カに該当するものを除く。)。 猿投温泉ホテル金泉閣の食事代等(甲24の3の19)については,原告とは無関係な私的な遊興費であると認められ,これを覆すに足りる証拠はない。したがって,原告の資金を着服したものと認められる。 宅配便の送料については,いずれも依頼主が被告E2となっている(甲 24の3の22・36・37・40・83・142)か又はこれと同視できる(甲24の3の38)上,宛先は原告の関係者ではない(原告代表者)から,原告とは無関係な被告E2の私的な支払に原告の資金を着服したものと認められ,これを覆すに足りる証拠はない。 カ平成28年1月以降の食品代等 前提事実及び証拠(原告代表者)によれば,被告E1及び被告E2は,平成27年12月に被告E2による原告の財産の流用疑惑が報道され,平成28年 ない。 カ平成28年1月以降の食品代等 前提事実及び証拠(原告代表者)によれば,被告E1及び被告E2は,平成27年12月に被告E2による原告の財産の流用疑惑が報道され,平成28年1月以降,マスコミからの取材等から逃れるためにE2邸から離れてKKRホテル名古屋に宿泊するようになり,被告E1は原告において原告の宗務を行うことがなくなったことが認められる。平成28年1月以 降の食品代等は,上記のとおり被告E1が原告の宗務を行わなくなった後,被告E1及び被告E2が購入した物の代金支払に充てたものであり,これは原告の経費として必要かつ合理的なものとはいえないから,私的な支払に原告の資金を着服したものと認められる。 キ KKRホテル名古屋の宿泊代等 被告E1及び被告E2がマスコミの取材等から逃れるために身を隠していたKKRホテル名古屋の宿泊代,飲食代等は,原告の経費として必要かつ合理的なものとはいえないから,被告E1及び被告E2の私的な支払に原告の資金を着服したものと認められる。ただし,KKRホテル名古屋名城観における食事代(甲26の3の13)については,証拠上認められる 合計額の限度で認容する。 - 55 -ク領収証の改ざん原告が領収証の改ざんを主張するもののうち,日付の改ざん(甲31の3の1,甲32の3の3・6・11・14)については,仮にこれらが改ざんであったとしても,改ざんによる費用の二重計上が認められない限り,原告に損害は生じないから,着服とは認められない。金額の改ざんに ついては,証拠上改ざんが明らかなもの(甲22の3の52・70,甲28の3の2,甲31の3の2,甲32の3の2・5・9・10・12・13)は,改ざんした金額に基づいて原告から支払を受け,その差額を着服 ては,証拠上改ざんが明らかなもの(甲22の3の52・70,甲28の3の2,甲31の3の2,甲32の3の2・5・9・10・12・13)は,改ざんした金額に基づいて原告から支払を受け,その差額を着服したものと認められるが,その余は改ざんが明らかとはいえず,着服とは認められない。 また,金銭出納帳(乙B125の2)上,平成24年2月18日(同84頁)と同年4月18日(同90頁)に二重計上されているもの(甲32の3の4)は,少なくとも日付を改ざんした上で,これらの両日にそれぞれ原告から支払を受け,2回目に支払を受けた金額を着服したものと認められる(ただし,原告は1万円の限度で損害を主張しているため,その限 度で認定する。)。 ⑶ 着服金額合計は,別紙4着服金一覧表のとおり,798万0576円である。前記⑵で認定した着服金の内容,金額に,被告E1と被告E2の関係等を総合すると,これらは被告E1及び被告E2が共同して着服したものと認められる。 5 争点⑷(本件消費貸借契約の成否)について前提事実⑺イのとおり,被告E2口座から,平成27年5月21日及び同月22日に被告E1名義の口座を経由して,同月25日,原告三菱口座に9000万円が振り込まれており,被告E2は,当時の原告代表者であった被告E1作成の本件借用書(乙B18)によって,原告と被告E2との間で上記900 0万円についての本件消費貸借契約が成立したと主張する。 - 56 -しかしながら,前提事実及び前記2で認定,判示したところを総合すると,原告に多額の納税資金が必要になったのは,被告E1及び被告E2が土地売買代金を着服横領したためであって,被告E1及び被告E2の着服横領がなければ,原告の納税の必要はなかったものである。被告E2が被告E 告に多額の納税資金が必要になったのは,被告E1及び被告E2が土地売買代金を着服横領したためであって,被告E1及び被告E2の着服横領がなければ,原告の納税の必要はなかったものである。被告E2が被告E2口座から原告の納税資金を拠出したのは,被告E1及び被告E2の着服横領に伴って発生 した税金が,本来更なる原告の損害になるはずのところを,着服横領を実行した当事者である被告E2が,着服横領した金銭が入金された口座から塡補したものにすぎない。そうすると,本件借用書については,同じく着服横領の当事者である被告E1が原告を代表して,被告E2から交付された金銭の返還を約するとの効果意思を表示したものとみることはできない。また,その他に原告 と被告E2との間の返還約束を認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告と被告E2との間で,本件消費貸借契約が成立したとは認められない。 6 結論以上によれば,本訴請求は,本訴請求1につき,被告E1及び被告E2に対 して1億9691万6244円及びこれに対する平成25年6月27日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金(ただし,うち1022万3144円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の限度で被告E3と連帯して),被告E3に対して1022万3144円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の各連帯支払を 求める限度で,本訴請求2につき,798万0576円及びこれに対する最後の不法行為の日である平成28年5月20日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で,それぞれ理由があるから同限度でこれらを認容し,その余の本訴請求及び反訴請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 主文 の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で,それぞれ理由があるから同限度でこれらを認容し,その余の本訴請求及び反訴請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 理由 事実 争点 判断 名古屋地方裁判所民事第8部 裁判長裁判官吉田彩 裁判官平野佑子 裁判官藤本

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