○ 主文原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。事実 第一当事者の求めた裁判一原告 1 被告が原告に対し昭和四四年三月一五日付でなした、原告を納税者Aの第二次納税義務者として昭和四二年分所得税一、三五〇万四、八〇〇円、過少申告加算税六七万五、二〇〇円を納付すべき旨の納付通知書による告知処分を取消す。2 訴訟費用は被告の負担とする。との判決二被告主文同旨の判決第二当事者の主張一原告の請求原因 1 被告は原告に対し、昭和四四年三月一五日付で、原告が訴外Aから昭和四二年三月一七日大阪市<以下略>の宅地一、八四九・一二平方メートル(以下本件土地という)の持分二分の一を無償で取得し、二、七〇七万円相当の利益を得たとして、国税徴収法第三九条、第三二条第一項により、原告を主たる納税義務者Aの第二次納税義務者として、同人の昭和四二年分所得税一、三五〇万四、八〇〇円、過少申告加算税六七万五、二〇〇円を昭和四四年四月一五日までに納付するよう納付通知書によつて告知した。2 これに対し原告は、昭和四四年四月一六日被告に異議申立てをしたが、棄却され、原告は昭和四五年四月一八日その決定書謄本の送達を受けた。3 しかし原告は、Aから本件土地の持分二分の一の無償譲渡を受けたことはないから、それを前提になされた被告の右納付告知処分は違法であり、取消されるべきである。二被告の請求原因に対する認否と主張(認否)請求原因1、2の各事実は認め、同3の事実は否認する。(主張) 1 Aは、右納付告知がなされた昭和四四年三月一五日当時、昭和四二年分所得税一、三五〇万四、八〇〇円(法定納期限は昭和四三年三月一五日)、過少申告加算税六七万五、二〇〇円および国税通則法の規定による延滞税を滞納しており、これは現在も未納である。2 ところで、右の 所得税一、三五〇万四、八〇〇円(法定納期限は昭和四三年三月一五日)、過少申告加算税六七万五、二〇〇円および国税通則法の規定による延滞税を滞納しており、これは現在も未納である。 四年三月一五日当時、昭和四二年分所得税一、三五〇万四、八〇〇円(法定納期限は昭和四三年三月一五日)、過少申告加算税六七万五、二〇〇円および国税通則法の規定による延滞税を滞納しており、これは現在も未納である。2 ところで、右の 所得税一、三五〇万四、八〇〇円(法定納期限は昭和四三年三月一五日)、過少申告加算税六七万五、二〇〇円および国税通則法の規定による延滞税を滞納しており、これは現在も未納である。2 ところで、右の納付告知がなされた当時、Aには滞納処分を執行すべき財産は皆無であつた。3 本件土地は、もと原告、Aらの実父である訴外Bが所有していたが、同人が昭和三五年五月一三日死亡したので、相続による遺産分割の結果、原告の兄であるAが単独でこれを承継取得した。この事実は、以下に述べるところから認められるが、その後原告は4項で述べるように、Aから本件土地の持分二分の一の無償譲渡を受けたのである。(一) 原告らBの相続人作成にかかる遺産分割協議書(甲第九号証の一)には、本件土地をAが単独相続する旨の記載があり登記もAが本件土地を単独相続したとして、昭和三六年三月一七日、Bから同人に所有権移転登記がなされている(原告は、この遺産分割協議書はAが偽造したものであるというが、それには原告ら作成名義人の登録ずみの印鑑が押捺されており、しかも末尾添付の原告の印鑑証明書は、原告自身が、Aから相続のため必要であるから取つてくるようにいわれて、これに添付使用されるものであることを知りながら受領手続をなしたもので、ほかにも原告は、昭和三六年三月一六日ころ、右遺産分割協議書により兄のCが相続することとされている大阪市<以下略>所在の家屋一棟につき、Cが建物表示の変更登記をした際、阿倍野区長および浪速区長に右登記申請に必要な事項の証明願を提出して、右登記申請に協力したような事実があり、原告が前記遺産分割協議書の存在と内容を知つていたことは明らかで、偽造文書とは考えられない。)。(二) 原告ら相続人から昭和三九年一二月四日所轄の阿倍野税務署長に提出された相続税の申告書(乙第一号証 告が前記遺産分割協議書の存在と内容を知つていたことは明らかで、偽造文書とは考えられない。)。(二) 原告ら相続人から昭和三九年一二月四日所轄の阿倍野税務署長に提出された相続税の申告書(乙第一号証)には、Aが本件土地を単独相続する旨の記載がある。 ていたことは明らかで、偽造文書とは考えられない。)。(二) 原告ら相続人から昭和三九年一二月四日所轄の阿倍野税務署長に提出された相続税の申告書(乙第一号証 告が前記遺産分割協議書の存在と内容を知つていたことは明らかで、偽造文書とは考えられない。)。(二) 原告ら相続人から昭和三九年一二月四日所轄の阿倍野税務署長に提出された相続税の申告書(乙第一号証)には、Aが本件土地を単独相続する旨の記載がある。しかも、この申告書が提出される以前に、右税務署職員Dは原告と面接し、同人から本件土地はAが単独相続し、その旨の登記もなされていることをきいている。(三) 本件土地は、訴外G株式会社に譲渡されるまで、訴外株式会社H枕工場に賃貸されていたが、Hは昭和三九年ないし昭和四一年分の賃料をAに支払つており、原告には賃料を支払つていない。(四) Aは、昭和四一年九月二四日単独で、Gと本件土地の売買契約を締結している。(五) 前記遺産分割協議書が作成された昭和三六年三月一五日ころには、長男Cは病身であり、原告は大学卒業後まもないことで、父亡きあと次男のAが家業のHの経営にあたつていたことや、原告は大学に進学したのに、Aは高校卒業後家業を手伝つてきたことなどの事情から、原告としては、右協議書のとおり遺産分割が行なわれることに多少不本意な点があつたとしても当時の事情からやむを得ないものとして、明示もしくは少なくとも黙示の了解をしたのである。4 その後、Aと原告は昭和四一年一二月二一日大阪簡易裁判所において、本件土地の持分二分の一につき、原告の登記名義に回復する所有権の一部移転登記をなす旨の即決和解をなした。すなわち、本来Aの単独所有である本件土地を共有とするのであるから、その法律上の実質的原因はAから原告への持分二分の一の贈与となるのであるが、税金対策上贈与の形式を避けて、名義回復の形式をとつたのである。そして、これにもとずいて昭和四二年三月一七日、本件土地の二分の一の持分につきAから原告へ所有権の一部移転 の一の贈与となるのであるが、税金対策上贈与の形式を避けて、名義回復の形式をとつたのである。そして、これにもとずいて昭和四二年三月一七日、本件土地の二分の一の持分につきAから原告へ所有権の一部移転登記がなされた。ところで、第二次納税義務が発生するためには、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に滞納者がその財産の無償譲渡等を行なつたことを要するとされているが(国税徴収法第三九条)、無償譲渡等の処分が国税の法定納期限の一年前の日以後であるか否かの判定の基準となる「処分の日」は、不動産のように登記その他の第三者に対する対抗要件を必要とする財産については、その対抗要件を具備した日、すなわち登記の日と解すべきである。 ころで、第二次納税義務が発生するためには、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に滞納者がその財産の無償譲渡等を行なつたことを要するとされているが(国税徴収法第三九条)、無償譲渡等の処分が国税の法定納期限の一年前の日以後であるか否かの判定の基準となる「処分の日」は、不動産のように登記その他の第三者に対する対抗要件を必要とする財産については、その対抗要件を具備した日、すなわち登記の日と解すべきである。すると本件の場合、昭和四二年三月一七日に移転登記がなされているのであるから、同日無償譲渡がなされたとみるべく、それはAの前記滞納国税の法定納期限である昭和四三年三月一五日の一年前の日以後ということになる。5 Aは、原告に贈与する以前の昭和四一年九月二四日Gとの間で本件土地を代金一億一、七三九万円で売買する旨の契約を締結していたが、原告が右贈与によつて受けた利益はそのうち二、七〇七万円である。原告はAの弟で、国税徴収法第三九条の特殊関係者にあたるから、右の受けた利益二、七〇七万円の限度において、第二次納税義務を負う。6 以上被告は、国税滞納者であるAには滞納処分を執行すべき財産が存在しないところ、同人が本件土地の持分二分の一を原告に贈与しなかつたならば、二、七〇七万円の利益を保有し、それによつて自己の滞納国税を納付し得て、徴収不能は生じなかつたものと認め、よつて国税徴収法第三九条の規定により、原告がAの滞納国税につき第二納税義務を負担すべきものとし、その限度額は原告の受けた利益二、七〇七万円と認定して、本件納付告知をなしたもので、 かつたものと認め、よつて国税徴収法第三九条の規定により、原告がAの滞納国税につき第二納税義務を負担すべきものとし、その限度額は原告の受けた利益二、七〇七万円と認定して、本件納付告知をなしたもので、本件納付告知処分に適法になされている。7 なお阿倍野税務署長は、昭和四二年三月一七日前記所有権の一部移転登記がなされたのちに、登記簿上の記載から原告とAが本件土地を持分二分の一ずつで共同相続したものと判断して、相続税法第三四条第一項にもとずき原告に相続税の連帯納付義務を告知したことはあるが、のちに本件土地はAが単独相続したもので、原告に連帯納付義務のないことが明らかとなつたので、昭和四六年三月三一日それを取消している。三原告の被告の主張に対する認否と反論 は、昭和四二年三月一七日前記所有権の一部移転登記がなされたのちに、登記簿上の記載から原告とAが本件土地を持分二分の一ずつで共同相続したものと判断して、相続税法第三四条第一項にもとずき原告に相続税の連帯納付義務を告知したことはあるが、のちに本件土地はAが単独相続したもので、原告に連帯納付義務のないことが明らかとなつたので、昭和四六年三月三一日それを取消している。三原告の被告の主張に対する認否と反論 1 主張1の事実は不知、同2の事実は認める。9 同3の事実中、本件土地はもと原告らの父Bが所有していたこと、同人が昭和三五年五月一三日死亡したので、相続が開始したが、すでに遺産分割の手続は終了していること、被告主張の遺産分割協議書に本件土地をAが単独相続する旨の記載があること、同人が本件土地を単独で相続したとして所有権移転登記がなされていること、本件土地は、Gに譲渡されるまでHに賃貸されていたこと、Aが被告主張の日に単独でGと本件土地の売買契約を締結したことは認めるが、その余の事実は否認する。原告は、本件土地の持分二分の一をBから相続により取得したもので、Aから贈与を受けたのではない。遺産分割協議書(甲号証の一)は、Aが他の相続人の意思に反して勝手に作成した偽造文書で同人は原告の若年、思慮未熟に乗じて、これを利用して本件土地の単独相続登記をなしたもので、末尾添付の原告の印鑑証明書(甲第九号証の五)は、Aから共有名義の登記をするといわれたので、それを信じた原告が同人に手渡したものである に乗じて、これを利用して本件土地の単独相続登記をなしたもので、末尾添付の原告の印鑑証明書(甲第九号証の五)は、Aから共有名義の登記をするといわれたので、それを信じた原告が同人に手渡したものである。阿倍野税務署職員Dが面接したのはAであり、同人にAと原告を混同している。本件土地の賃料は、本件土地の所有者が誰であるかに関係なく、帳簿上の処理としてはHの社長(昭和三七年は亡樽治郎の妻E、昭和三九年ないし昭和四一年はA)が取得することとし、事実上、当時病気療養中のCの生活費、治療費にあてられていたものである。GとA間の昭和四一年九月二四日の本件土地売買契約は、同人が原告に隠して締結したものであるが、その後昭和四二年五月二二日ころ解約されている。3 同4の事実中、被告主張の即決和解が成立し、主張の登記がなされていることは認めるが、その余の事実は否認する。 (昭和三七年は亡樽治郎の妻E、昭和三九年ないし昭和四一年はA)が取得することとし、事実上、当時病気療養中のCの生活費、治療費にあてられていたものである。GとA間の昭和四一年九月二四日の本件土地売買契約は、同人が原告に隠して締結したものであるが、その後昭和四二年五月二二日ころ解約されている。3 同4の事実中、被告主張の即決和解が成立し、主張の登記がなされていることは認めるが、その余の事実は否認する。この登記は、本件土地の持分二分の一につき原告の真正な登記名義を回復するためになされたもので、原告とA間の贈与契約を原因とするものではない。またAには贈与の効果意思がなく、原告にも贈与を受ける効果意思はなかつたから、いずれにしても贈与が認められる余地はない。4 同5の事実中、被告主張の贈与が認められる場合に、原告の受ける利益が被告主張のとおりとなること、原告がAの弟であることは認めるが、その余の事実は否認する。5 阿倍野税務署長は、以前Aとともに原告が本件土地を共同相続したとして、原告に相続税について連帯納付義務を告知したので、原告はこれを認めて昭和四三年一〇月二二日全額納付した。しかるに被告は、昭和四四年三月一五日付でこれと相矛盾する本件納付告知をなしたもので、これは二重課税であるから当然無効である。その後同署長は昭和四六年三月三一日付で、理由を明らかにすることなく、さきの相続税の連帯納付 四四年三月一五日付でこれと相矛盾する本件納付告知をなしたもので、これは二重課税であるから当然無効である。その後同署長は昭和四六年三月三一日付で、理由を明らかにすることなく、さきの相続税の連帯納付義務の告知を取消したが、これは法的安定性を害し、禁反言や信義則に違反するから無効である。6 なお大阪府阿倍野府税事務所長は、昭和四二年六月、原告がAから本件土地の持分を譲受けたとして、不動産取得税を課したが、のちにその誤りであることを認めて、取消している。第三証拠(省略)○ 理由一請求原因1および2の各事実は当事者間に争いがない。二ついで、成立に争いのない甲第一号証、乙第八号証によれば、Aにおいて、本件納付通知書が発せられた昭和四四年三月一五日当時、昭和四二年分所得税一、三五〇万四、八〇〇円(その法定納期限は昭和四三年三月一五日)、過少申告加算税六七万五、二〇〇円を滞納していたことが認められるが、当時同人には滞納処分を執行すべき財産が皆無であつたことは当事者間に争いがない。 請求原因1および2の各事実は当事者間に争いがない。二ついで、成立に争いのない甲第一号証、乙第八号証によれば、Aにおいて、本件納付通知書が発せられた昭和四四年三月一五日当時、昭和四二年分所得税一、三五〇万四、八〇〇円(その法定納期限は昭和四三年三月一五日)、過少申告加算税六七万五、二〇〇円を滞納していたことが認められるが、当時同人には滞納処分を執行すべき財産が皆無であつたことは当事者間に争いがない。三本件土地について、被告は、Aが単独でその全部をBから相続により取得し、その後原告にその持分二分の一を贈与したと主張するところ、原告は、A、原告間の右贈与を否定し、右の本件土地の持分二分の一は、原告がBから直接相続により取得したものであると主張するので、この点について判断する。1 本件土地の相続について(一) 本件土地はもと原告、その兄Aらの父Bが所有していたこと、同人が昭和三五年五月一三日死亡し、本件土地を含めて同人の遺産についてはすでに分割の手続が終了していることは当事者間に争いがない。(二) ところで、遺産分割協議書(甲第九号証の一、乙第一〇号証の三と同じ)に、本件土地はAが単独で取得する旨の記載があり、右土地については昭和三六年三月一七日付で同人の とは当事者間に争いがない。(二) ところで、遺産分割協議書(甲第九号証の一、乙第一〇号証の三と同じ)に、本件土地はAが単独で取得する旨の記載があり、右土地については昭和三六年三月一七日付で同人のために相続を原因とする所有権移転登記がなされていることは当事者間に争いがない。そして成立に争いのない甲第九号証の二ないし五、同第一〇号証の一・二、証人F、同Aの各証言によれば、この協議書はAが同月一五日ころ、右登記をするに必要な書類として司法書士のFに作成を依頼したもので、その原告、C、E名下の各印影は同人らの登録された印鑑によるものであるが、これらはAが同人らの少なくとも暗黙の了解のもとに押捺したものであることが認められるから、反証のない限り、真正に成立したものと推定できる。これについて原告本人は、Aが前記遺産分割協議書を作成したことは知らなかつたとか、原告の印鑑は同人が無断で押捺したものであるとか供述しているが、これは右Aの証言に照らし、また、つぎに認定する各事実と対比しても、たやすく信用することができず、他に右反証と認められる証拠はない。 Aが同人らの少なくとも暗黙の了解のもとに押捺したものであることが認められるから、反証のない限り、真正に成立したものと推定できる。これについて原告本人は、Aが前記遺産分割協議書を作成したことは知らなかつたとか、原告の印鑑は同人が無断で押捺したものであるとか供述しているが、これは右Aの証言に照らし、また、つぎに認定する各事実と対比しても、たやすく信用することができず、他に右反証と認められる証拠はない。すなわち、右遺産分割協議書末尾添付の原告の印鑑証明書(甲第九号証の五)については、証人Aの証言、原告本人尋問の結果によれば、原告自身がAから相続のために必要であるからといわれて、その受領手続をなしたことが認められ、さらに成立に争いのない甲第六号証、乙第一〇号証の一、四ないし八、右乙第一〇号証の五(印鑑証明書)の印鑑欄の印影と乙第一〇号証の二のC名下の印影を対照すると同一であることが肯認できるから真正に成立したと推認すべき乙第一〇号証の二、阿倍野区長作成部分については公文書であり、その余の部分については、原告名下の印影が原告の印章によるものであることは当事者間に争いがないので、全部真正に成立したと推認すべ 推認すべき乙第一〇号証の二、阿倍野区長作成部分については公文書であり、その余の部分については、原告名下の印影が原告の印章によるものであることは当事者間に争いがないので、全部真正に成立したと推認すべき乙第一〇号証の九、浪速区長作成部分については成立に争いがなく、その余の部分については右乙第一〇号証の九と同じ理由により、全部真正に成立したと推認すべき乙第一〇号証の一〇によれば、右の協議書において長男Cが取得すべきものとされている大阪市<以下略>所在の木造瓦葺二階建居宅につき、右Cが昭和三六年三月一七日ころ建物表示の変更登記をした際、原告は阿倍野区長および浪速区長に右登記申請に必要な事項についての証明願を提出して、Cの右登記申請にも協力していることが認められる。すると、真正に成立したものと推定すべき前記遺産分割協議書(甲第九号証の一)によれば、本件土地は遺産分割の結果、Aが単独で取得したものと認められるのであるが、さらに以下(三)ないし(六)において述べる事実からも、これを推認できる。(三) 証人Aの証言により、Aが原告ら相続人四名の名義で作成して、昭和三九年一二月四日阿倍野税務署に提出したと認められる相続税の申告書(乙第一号証)には、Aが本件土地を単独相続した旨記載されていることが明らかである。 産分割協議書(甲第九号証の一)によれば、本件土地は遺産分割の結果、Aが単独で取得したものと認められるのであるが、さらに以下(三)ないし(六)において述べる事実からも、これを推認できる。(三) 証人Aの証言により、Aが原告ら相続人四名の名義で作成して、昭和三九年一二月四日阿倍野税務署に提出したと認められる相続税の申告書(乙第一号証)には、Aが本件土地を単独相続した旨記載されていることが明らかである。被告は、この申告書を提出するについては、事前に右税務署職員Dが原告と面接し、Bの相続に関する事情を聴取したと主張し、証人Dはこれに符合する証言をしているが、これは右Aの証言、原告本人尋問の結果に照らして信用できず、これらの証拠によれば、原告は相続税の申告書は提出していないものと認められる。しかし、のちに認定するとおり、当時原告は大学の法学部を卒業していたことでもあり、証人Aの証言、原告本人尋問の結果によると、相続の対象となる財産としては、前記居 告書は提出していないものと認められる。しかし、のちに認定するとおり、当時原告は大学の法学部を卒業していたことでもあり、証人Aの証言、原告本人尋問の結果によると、相続の対象となる財産としては、前記居宅、本件土地のほか有価証券等もあり、債務は殆んどなく、従つて純資産価額がかなり高額になること(前顕乙第一号証によれば、Aは本件土地の価額を七一三万一、八四〇円、純資産価額を九〇五万二七六〇円として申告している)は原告も知つていたことが窺えるから、もし原告が本件土地の二分の一の持分を相続により取得したというのであれば、相続税の申告書を提出しなければならないことくらいは十分承知していたことと思料される。(四) 本件土地はGに譲渡されるまでHに賃貸されていたことは当事者間に争いがないところ、成立に争いのない甲第一六号証の一、二、乙第一一ないし第一三号証、官署作成部分については成立に争いがなく、その余の部分については弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる乙第二号証の一ないし三、証人Aの証言、原告本人尋問の結果によれば、Hは、Bの妻Eの生存中(昭和三九年一月二五日死亡)は同人にその賃料を支払つていたが、昭和三九年七月以降はこれをAに支払い、Aはこれを兄Cとその家族の生活費として同人らに手渡していたこと、原告に賃料を支払つたことはないことが認められる。 成部分については成立に争いがなく、その余の部分については弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる乙第二号証の一ないし三、証人Aの証言、原告本人尋問の結果によれば、Hは、Bの妻Eの生存中(昭和三九年一月二五日死亡)は同人にその賃料を支払つていたが、昭和三九年七月以降はこれをAに支払い、Aはこれを兄Cとその家族の生活費として同人らに手渡していたこと、原告に賃料を支払つたことはないことが認められる。(五) Aが単独で、昭和四一年九月二四日Gと本件土地全部の売買契約を締結した事実のあることは、当事者間に争いがなく、さらに成立に争いのない甲第四・第五号証、証人Aの証言によれば、同人は単独で、本件土地につき、昭和三六年四月二六日ころ抵当権を設定して、中小企業金融公庫から一、〇〇〇万円を借入れ(借主はH)、同年九月九日ころにはHの債務につき債権者三和銀行のために債権極度額四、〇〇〇万円の根抵当権を設 、昭和三六年四月二六日ころ抵当権を設定して、中小企業金融公庫から一、〇〇〇万円を借入れ(借主はH)、同年九月九日ころにはHの債務につき債権者三和銀行のために債権極度額四、〇〇〇万円の根抵当権を設定し、それぞれその登記を了していることが認められる。(六) 証人Aの証言、原告本人尋問の結果によれば、相続の結果、原告が本件土地を全く取得しないとすれば、原告が得たものは奈良県生駒郡<以下略>所在の山林二筆の共有持分(三分の一)のみで、Aにくらべて原告が取得した財産は少ないことになるが、Aは高等学校在学中からひとり家業を手伝い、同様卒業後はこれに専念してきたのに、原告のみ関西大学法学部に進学して昭和三四年ころ同学部を卒業しており、原告とともにHの事業経営に従事するようになつたのはそれ以後のこと(原告は昭和三六年ころ取締役、ついで昭和四一年四月ころ代表取締役に就任している)であるから、このような事情を考慮する必要がある。(七) これに対し原告本人は、Aが単独で本件土地の相続登記をし、Gと売買契約を締結し、中小企業金融公庫から抵当権を設定して金員を借用したことなどは、Aが原告にかくして行なつたことで、原告は相当長期間知らなかつたと供述しているが、さきに認定したように、原告はAとともに昭和三四年ころからHの経営に携わつていたのであるから、右の事実をその当時全く知らなかつたというのは、極めて不自然で信用できない。 ある。(七) これに対し原告本人は、Aが単独で本件土地の相続登記をし、Gと売買契約を締結し、中小企業金融公庫から抵当権を設定して金員を借用したことなどは、Aが原告にかくして行なつたことで、原告は相当長期間知らなかつたと供述しているが、さきに認定したように、原告はAとともに昭和三四年ころからHの経営に携わつていたのであるから、右の事実をその当時全く知らなかつたというのは、極めて不自然で信用できない。また証人Aは、真実は本件土地を自分と原告とが共同相続したが、登記名義のみ自分の単独相続としたと証言するが、共同相続をしたのであれば、そのような登記をするのが普通であり、本件の場合、全証拠によつても、真実に反する登記をしなければならなかつた事情は認められないのであつて、右の証言もたやすく信用することはできない。2 本件土地の持分二分の一の贈 をするのが普通であり、本件の場合、全証拠によつても、真実に反する登記をしなければならなかつた事情は認められないのであつて、右の証言もたやすく信用することはできない。2 本件土地の持分二分の一の贈与について右のとおり、本件土地は、Aが単独でその全部をBから相続により取得したと認められるところ、昭和四一年一二月二一日原告とA間で、本件土地の二分の一の持分につき、原告の登記名義に回復する所有権の一部移転登記をなす旨の即決和解が成立し、これにもとずいて昭和四二年三月一七日、右の登記がなされたことは当事者間に争いがない。しかし、右の認定によれば、本件土地は遺産分割の結果、全部Aの所有に帰したのであるから、その持分二分の一について、同人が原告名義を回復する趣旨で右の登記をなす義務はないものというべく、右登記をなすにつきその対価が支払われていないことは証人Aの証言、原告本人尋問の結果によつて明らかであるから、右登記の実質的原因は、Aから原告への持分二分の一の贈与とみるべきである。ところで国税徴収法第三九条は、第二次納期税務が発生するためには、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に、滞納者がその財産の無償譲渡等の処分を行なうことを要すると定めているが、不動産の処分のように第三者に対する対抗要件として登記を必要とする物件変動については、滞納処分による差押についても民法第一七七条の第三者対抗要件の規定の適用があり、主たる納税義務者が無償譲渡等の処分をしても、その登記がなされていない限りは、なお主たる納税義務者の財産として滞納処分をなし得るのであるから、その対抗要件を具備したときに第二次納税義務が発生するものとすれば足り、その日を基準として法定納期限の一年前の日以後であるかどうかを判断するのが相当である。 要とする物件変動については、滞納処分による差押についても民法第一七七条の第三者対抗要件の規定の適用があり、主たる納税義務者が無償譲渡等の処分をしても、その登記がなされていない限りは、なお主たる納税義務者の財産として滞納処分をなし得るのであるから、その対抗要件を具備したときに第二次納税義務が発生するものとすれば足り、その日を基準として法定納期限の一年前の日以後であるかどうかを判断するのが相当である。すると、本件滞納国税の法定納期限は昭和四三年三 抗要件を具備したときに第二次納税義務が発生するものとすれば足り、その日を基準として法定納期限の一年前の日以後であるかどうかを判断するのが相当である。すると、本件滞納国税の法定納期限は昭和四三年三月一五日で、Aから原告に本件土地所有権の一部移転登記がなされたのは昭和四二年三月一七日であるから、この要件は充たすことになる。四右の無償譲渡が認められる場合、原告の受ける利益が二、七〇七万円となることは、原告も認めるところである。すると、原告とAは兄弟であるから、原告は国税徴収法第三九条にいう親族その他の特殊関係者にあたり、原告が第二次納税義務を負う限度額は、右の受けた利益二、七〇七万円である。五以上、昭和四二年分所得税一、三五〇万四、八〇〇円、過少申告加算税六七万五、二〇〇円の滞納者であるAには、滞納処分を執行すべき財産がなく、その徴収ができないところ、これは同人が原告に本件土地の持分二分の一を無償譲渡したことに基因すると認められるから、原告は右無償譲渡によつて受けた利益二、七〇七万円の限度において、第二次納税義務を負うものというべく、本件納付告知処分は適法になされたものである。原告は、さきに阿倍野税務署長が原告に対し、Aとの本件土地の共同相続を認めて、その相続税について連帯納付義務を告知しておきながら(この事実は当事者間に争いがない)、被告がこれと相矛盾する本件納付告知をしたのは、二重課税で無効であると主張しているが、阿倍野税務署長はのちに連帯納付義務の告知を取消しており(この事実も当事者間に争いがない)、前記認定のような経緯に照らすと、本件の場合この告知の取消が法的安定を害し、禁反言、信義則に反するとは到底解されないから、原告の右主張は採用できない。つぎに原告は、大阪府阿倍野府税事務所長は、一旦原告がAから本件土地の持分を譲 本件の場合この告知の取消が法的安定を害し、禁反言、信義則に反するとは到底解されないから、原告の右主張は採用できない。 務の告知を取消しており(この事実も当事者間に争いがない)、前記認定のような経緯に照らすと、本件の場合この告知の取消が法的安定を害し、禁反言、信義則に反するとは到底解されないから、原告の右主張は採用できない。つぎに原告は、大阪府阿倍野府税事務所長は、一旦原告がAから本件土地の持分を譲 本件の場合この告知の取消が法的安定を害し、禁反言、信義則に反するとは到底解されないから、原告の右主張は採用できない。つぎに原告は、大阪府阿倍野府税事務所長は、一旦原告がAから本件土地の持分を譲受けたとして不動産取得税を課したが、それが誤りであつたことを認めて取消したと主張し、成立に争いのない甲第一七号証、同第二〇号証によれば、その事実を認めることができるが、それは偶々、右府税事務所長が調査した範囲の資料にもとずいて判断するとそのような結論になつたというにすぎず、当裁判所がその判断に拘束されるものでないことはいうまでもない。六よつて、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判官石川恭鴨井孝之大谷禎男)
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