- 1 -平成26年12月10日判決言渡平成26年(行コ)第301号在留資格認定証明書交付申請不交付処分取消等請求控訴事件 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 東京入国管理局長が平成25年3月21日付けで控訴人に対してした在留資格認定証明書不交付処分を取り消す。 3 東京入国管理局長は,控訴人に対し,在留資格「家族滞在」(在留期間1年)と認定する在留資格認定証明書を交付せよ。 第2 事案の概要 1 控訴人は,パキスタン・イスラム共和国(以下「パキスタン」という。)の国籍を有する男性であるが,平成25年1月23日,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長(以下「東京入管局長」という。)に対し,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)7条の2第1項所定の証明書(以下「在留資格認定証明書」という。)の交付を申請したところ,同年3月21日,入管法5条1項4号の上陸拒否事由に該当するとの理由により,在留資格認定証明書を交付しない旨の処分(以下「本件不交付処分」という。)を受けた。 本件は,控訴人が被控訴人に対し,本件不交付処分は裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用した違法がある旨を主張して,本件不交付処分の取消しを求めるとともに,控訴人に対する在留資格認定証明書の交付の義務付けを求める事案である。 - 2 -原審は,控訴人の請求のうち,控訴人に対する在留資格認定証明書の交付の義務付けを求める部分の訴えを却下して,その余の請求を棄却し,控訴人が控訴した。 2 事案の概要の詳細は,後記3のとおり当審における控訴人の主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第 の義務付けを求める部分の訴えを却下して,その余の請求を棄却し,控訴人が控訴した。 2 事案の概要の詳細は,後記3のとおり当審における控訴人の主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要」1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 当審における控訴人の主張(1) 控訴人を被告人とする銀行法違反被告事件の判決は,平成19年5月22日に確定したものであるところ,同日から起算して控訴人が平成25年1月23日に在留資格認定証明書の交付申請を行うまでに既に5年8か月が経過し,執行猶予期間5年が経過して刑の言渡しが効力を失っている上,控訴人において,真摯に反省して日本政府に謝罪する意思を表明していることを斟酌すれば,本件不交付処分は,重要な事実に誤認があるため,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くため,その判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであり,裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものであって,違法である。 (2) B規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)17条1項「何人も,その私生活,家族,住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。」,2項「すべての者は,前項の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。」及び23条1項「家族は,社会の自然かつ基礎的な単位であり,社会及び国による保護を受ける権利を有する。」は,家族の保護について定めており,これらの規定やその趣旨は,国内法の解釈や適用に当たっても,最大限に尊重されるべきところ,控訴人の年齢や心身の状態を考慮すれば,本件不交付処分は,重要な事実に誤認があるため,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠く っても,最大限に尊重されるべきところ,控訴人の年齢や心身の状態を考慮すれば,本件不交付処分は,重要な事実に誤認があるため,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くため,その判断が社会通念に照らし著しく- 3 -妥当性を欠くことが明らかであり,裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものであって,違法である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求について,控訴人に対する在留資格認定証明書の交付の義務付けを求める部分の訴えは,不適法であるからこれを却下し,その余の請求は,理由がないからこれを棄却すべきものと判断する。その理由は,当審における控訴人の主張も踏まえて,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決11頁9行目の「 これらの関係法令の定めを踏まえると」を次のとおり改める。 「 以上のような入管法及び入管法施行規則の各規定によれば,同法5条1項4号所定の上陸拒否事由がある場合においても,法務大臣等は,法務省令で定める場合において,相当と認めるときは,当該事由のみによっては上陸を拒否しないこととすることができる旨が規定されているのである(同法5条の2)。そして,同法施行規則4条の2第1項2号が同法5条の2に規定する法務省令で定める場合として規定しているところなど上記各規定を総合すれば,同法5条1項4号所定の上陸拒否事由のある外国人が同法5条の2に規定する特例の適用を受けるためには,在留資格認定証明書の交付を受けていることが必要となると解されるのであり,法務大臣等は,外国人に同法5条1項4号所定の上陸拒否事由がある場合においても,上記事由に該当することとなってから相当の期間が経過していること の交付を受けていることが必要となると解されるのであり,法務大臣等は,外国人に同法5条1項4号所定の上陸拒否事由がある場合においても,上記事由に該当することとなってから相当の期間が経過していることその他の特別の理由があると認められる場合において,相当と認めるときは,同法5条の2に規定する上陸拒否の特例を適用する前提として,当該外国人に対し在留資格証明書を交付することができるものと解されるのである。 - 4 -そこで,同法5条の2及び同法施行規則4条の2第1項2号の各規定の文理に加えて,上記の各規定を総合すれば」(2) 同11頁13行目の「もっとも」から同頁24行目末尾までを次のとおり改める。 「(ウ) そこで,入管法5条の2に規定する上陸拒否の特例を適用する前提として,法務大臣等が在留資格証明書を交付するか否かの判断について,裁量権の逸脱又はその濫用があるといえる事情はいかなる場合かについて検討する。」(3) 同12頁24行目の「したがって,」の次に「在留資格認定証明書の交付時において」を加える。 (4) 同15頁17行目の「不安障害」を「身体的疾患を示す不安障害」と改める。 (5) 同17頁15行目の「現時点において」を「本件不交付処分当時において」と改める。 (6) 同18頁16行目冒頭から同頁18行目末尾までを次のとおり改める。 「ア控訴人は,控訴人を被告人とする銀行法違反被告事件の判決は,平成19年5月22日に確定したものであるところ,同日から起算して控訴人が平成25年1月23日に在留資格認定証明書の交付申請を行うまでに既に5年8か月が経過し,執行猶予期間5年が経過して刑の言渡しが効力を失っている上,控訴人において,真摯に反省して日本政府に謝罪する意思を表明していることを斟酌すれば,本件不交付処分は,重要な でに既に5年8か月が経過し,執行猶予期間5年が経過して刑の言渡しが効力を失っている上,控訴人において,真摯に反省して日本政府に謝罪する意思を表明していることを斟酌すれば,本件不交付処分は,重要な事実に誤認があるため,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くため,その判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであり,裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものであって,違法である旨を主張するようである。 しかし,控訴人は,免許を受けないで業として為替取引を行い,銀行- 5 -法違反により懲役1年及び罰金60万円の刑に処せられ,懲役刑につき執行猶予5年の有罪判決を宣告されたことは前記(2)判示のとおりであり,控訴人の行為は,「宗教」の在留資格で入国しながら,外国人の就労活動を制限する入管法の趣旨に反して経済的な事業活動を行ったものである上,その活動が銀行法に違反して有罪判決を受けたものであって,このような行為は,我が国の社会経済秩序を著しく損なう犯罪行為であるばかりでなく,正規の手続で本国に送金することができない外国人の不法就労や日本国内における違法活動を助長するおそれがあって,出入国管理行政上看過でないものであることは,前記1(3)判示のとおりである。その上,執行猶予期間が満了して1年も経ていない時期に在留資格認定証明書の交付申請をしていることが認められるのであって,このような控訴人の在留状況や上記刑事被告事件における犯情に前記(3)に判示するところを総合すれば,刑の言渡しが効力を失い,控訴人において,日本政府に対して謝罪する意思を表明しているとしても,前記(3)ウ判示の認定判断を左右するには足りない。 控訴人の主張は採用することができない。 イ控訴人は,B規約(市民的及び政治的権利 いて,日本政府に対して謝罪する意思を表明しているとしても,前記(3)ウ判示の認定判断を左右するには足りない。 控訴人の主張は採用することができない。 イ控訴人は,B規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)17条1項「何人も,その私生活,家族,住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。」,2項「すべての者は,前項の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。」及び23条1項「家族は,社会の自然かつ基礎的な単位であり,社会及び国による保護を受ける権利を有する。」は,家族の保護について定めており,これらの規定やその趣旨は,国内法の解釈や適用に当たっても,最大限に尊重されるべきところ,控訴人の年齢や心身の状態を考慮すれば,控訴人における家族との交流の保障やその必要性を限定的,制約的に理解することは誤りであって,本邦に妻子が在留- 6 -している控訴人に対しては,在留資格認定証明書が交付されるべきであり,本件不交付処分は,重要な事実に誤認があるため,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くため,その判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであり,裁量権の範囲をこえ又はその濫用があったものであって,違法である旨を主張するようである。」(7) 同19頁1行目の「というべきであって,この点に関する原告の主張は採用できない。」を次のとおり改める。 「というべきである。そして,控訴人の妻子らは,平成16年5月3日に本邦に入国するまでは,パキスタンで生まれ育って生活しており,控訴人の長女と二女は,控訴人が本件不交付処分当時居住するパキスタンで婚姻し居住していることは前記第2の2(引用に係る原判決第2の1)及び(2)判示のとおりであり, タンで生まれ育って生活しており,控訴人の長女と二女は,控訴人が本件不交付処分当時居住するパキスタンで婚姻し居住していることは前記第2の2(引用に係る原判決第2の1)及び(2)判示のとおりであり,本件不交付処分の時点における控訴人の妻子らの生活の本拠が永続的に本邦に所在するものとは認められず,控訴人が本邦に入国できないとしても,控訴人の妻子らが控訴人の下を訪れることが禁止されるものではなく,両者の交流がおよそできなくなるものでないことは,前記(3)判示のとおりであって,この他,前記(3)の各点に判示するところに照らし,控訴人の主張する自身の年齢や心身の状態を考慮しても,前記(3)ウ判示の認定判断を左右するに足りない。 控訴人の主張は採用することができない。」(8) 同19頁2行目の「イ」を「ウ」と改める。 (9) 同20頁7行目の「却下を免れない。」を次のとおり改める。 「 却下を免れない。 3 以上によれば,控訴人の請求のうち,控訴人に対する在留資格認定証明書の交付の義務付けを求める部分の訴えは,不適法であるから却下し,その余の請求は,理由がないから棄却すべきである。」- 7 - 2 よって,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官大竹たかし 裁判官山本剛史 裁判官平田直人
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