平成14年12月11日判決言渡平成11年(行ウ)第4号職員団体登録取消処分取消等請求事件口頭弁論終結日平成14年5月22日判決原告大宇陀町職員組合被告大宇陀町公平委員会同大宇陀町 主文 1 被告大宇陀町公平委員会が,原告に対し,平成11年2月1日付けでなした原告の職員団体の登録を取り消す旨の処分を取り消す。 2 原告の被告大宇陀町に対する請求を棄却する。 3 訴訟費用は,原告と被告大宇陀町公平委員会との間に生じた分については,すべて同被告の負担とし,原告と被告大宇陀町との間に生じた分については,すべて原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項と同旨 2 被告大宇陀町は,原告に対し,200万円及びこれに対する訴状送達の日(平成11年5月1日)の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,大宇陀町の職員によって構成されている職員団体である原告が,被告大宇陀町公平委員会(以下「被告公平委員会」という。)に対し,同委員会が平成11年2月1日付けで,原告に課長補佐が加入していることを理由として原告の職員団体の登録を取り消した(以下「本件取消処分」という。)ことが,原告の団結権等を侵害し違法であるとして,本件取消処分の取消しを,被告大宇陀町(以下,本件で問題となる損害賠償責任の主体となるときは,「被告町」という。)に対し,大宇陀町の町長が原告の執行委員長,副執行委員長及び書記長の3名について,同時に課長補佐への昇格 を,被告大宇陀町(以下,本件で問題となる損害賠償責任の主体となるときは,「被告町」という。)に対し,大宇陀町の町長が原告の執行委員長,副執行委員長及び書記長の3名について,同時に課長補佐への昇格を発令(以下「本件昇格発令」という。)したこと及び大宇陀町の公平委員会のした本件取消処分が,いずれも原告の団結権等を侵害し違法であるとして,これにより原告が無形的損害を被ったとして,国家賠償法1項1条に基づき,その損害の賠償を,それぞれ求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)(1) 当事者等ア原告は,本件取消処分及び本件昇格発令当時,大宇陀町の職員87名により組織されていた,地方公務員法(以下「地公法」という。)52条1項の職員団体(甲1)で,全日本自治団体労働組合奈良県本部(以下「県本部」という。)を通じて,全日本自治団体労働組合(以下「自治労」という。)に加盟しており,また,同法53条1項に基づき,被告公平委員会に職員団体として登録していた。 原告の執行機関である執行委員会には,その役員として,執行委員長,副執行委員長及び書記長が設けられ,組合三役として,中心的な役割を果たしていた。 イ大宇陀町は,本件昇格発令及び本件取消処分当時,町長,助役,収入役,教育長を除く職員169名(臨時職員を含む。)を擁していた地方公共団体で,被告公平委員会は,地公法7条3項及び大宇陀町公平委員会規則(甲2)に基づき設置され,3人の委員からなり,職員の措置要求を審査したり,職員に対する不利益な処分についての不服申立てに対する裁決又は決定をする,地公法53条1項に基づく職員団体の登録認証機関である。 (2) 大宇陀町における管理職員等の範囲被告公平委員会は,地公法 益な処分についての不服申立てに対する裁決又は決定をする,地公法53条1項に基づく職員団体の登録認証機関である。 (2) 大宇陀町における管理職員等の範囲被告公平委員会は,地公法52条3項ただし書及び同条4項を受けて,昭和41年9月12日,「管理職員等の範囲を定める規則」(甲3。以下「本件規則」という。)を定め,昭和59年1月28日に「管理職員等」の範囲に課長補佐を加える改正を行った。本件取消処分当時の,「管理職員等の範囲」関する本件規則の内容は,次のとおりである。 第2条1項本庁に勤務する職員のうち管理職員等は別表第1の左欄に掲げる機関についてそれぞれ同表の右欄に掲げる職を有する者とする。 別表第1機関職町長事務部局部長,参事,課長,室長,主幹,課長補佐,検査主任,室長補佐教育委員会事務局教育長,次長(部長),主幹,次長補佐,課長,課長補佐出納室出納主任議会事務局局長農業委員会事務局局長(3) 大宇陀町長による本件昇格発令大宇陀町長は,平成9年7月4日,原告の執行委員長であったAを上下水道課長補佐に,同副執行委員長(定員2名)の1人であったBを建設課長補佐に,同書記長であったCを産業経済課長補佐に昇格させる旨の辞令を発令した。A,B及びCは,本件昇格発令により,課長補佐に昇格し,それぞれ原告の執行委員長,副執行委員長,書記長を辞任し,原告を脱退した。 (4) 被告公平委員会による本件取消処分被告公平委員会は,平成11年2月1日,原告から平成9年12月15 ぞれ原告の執行委員長,副執行委員長,書記長を辞任し,原告を脱退した。 (4) 被告公平委員会による本件取消処分被告公平委員会は,平成11年2月1日,原告から平成9年12月15日付けで再提出された登録申請記載事項変更届出書及び同年11月5日現在での組合員名簿には,本件規則に規定する管理職員に当たる上下水道課課長補佐であるDが特別執行委員として届けられているとともに,原告の構成員として組合員名簿に記載されており,地公法52条3項ただし書は,管理職員等と管理職員等以外の職員とが組織する団体は,同法にいう「職員団体」でないと規定するから,原告は登録職員団体としての要件を欠いている等として,原告の職員団体としての登録を取消す旨の決定を行い,同日,原告に通知した(甲5)。 2 争点(1) 被告公平委員会の本件取消処分は違法であるか否か。 (2)ア大宇陀町長のした本件昇格発令が国家賠償法1条の「違法行為」に当たるか否か。 イ上記行為が違法であるとして,原告に生じた損害額(3)ア被告公平委員会の本件取消処分が国家賠償法1条の「違法行為」に当たるか否か。 イ上記行為が違法であるとして,原告に生じた損害額 3 争点に対する当事者の主張(1) 争点(1)(被告公平委員会による本件取消処分の違法性)について(原告)ア被告公平委員会による原告の職員団体登録取消処分は,以下の事由により,違法である。 (ア) 本件規則2条別表第1は,憲法28条,ILO87号条約に違反する。 (イ) 大宇陀町事務部局における課長補佐は,地公法52条3項ただし書に規定する「管理職員等」には該当しないのに,本件規則2条別表第1は,地公法5 ,ILO87号条約に違反する。 (イ) 大宇陀町事務部局における課長補佐は,地公法52条3項ただし書に規定する「管理職員等」には該当しないのに,本件規則2条別表第1は,地公法52条3項ただし書に規定する管理職員等以外のものを「管理職員等」と規定し,被告公平委員会は,この規則を根拠に本件取消処分をした。 (ウ) 被告公平委員会は,本件規則2条別表第1の「課長補佐」が町長事務部局のすべての課長補佐を指すものではなく,したがって,Dが地公法52条3項ただし書の「管理職員等」に当たらないのに,これが当たるとして本件取消処分をした。 (エ) 本件取消処分は,行政手続法13条,20条2項ないし地公法53条の規定に違反して行われた。 イ本件規則2条別表第1と憲法28条,ILO87号条約(ア) 本件規則2条別表第1と憲法28条a 地方公務員も,憲法28条の「勤労者」として同条による労働基本権である団結権の保障を受けるところ,団結権の保障は,勤労者の組合結成・加入について,法律などによる国家の介入を禁止することを意味し,組合を結成するかしないか,組合に加入するかしないか,どのような組合にするかは,そもそも勤労者あるいは組合が決すべき事柄であって,法律がこれに介入すべきではない。 b 本件規則2条別表第1は,地公法52条3項と相まって,町長事務部局のすべての課長補佐について,課長補佐が管理職員等以外の職員(以下,「一般の職員」という。)の結成する組合加入を禁止しているという意味で,課長補佐の団結権を否定している。課長補佐が一般の職員の結成する組合に加入することを禁止することが,憲法28条の関係で許されるのは,その禁止が一般の職員の結成する組 加入を禁止しているという意味で,課長補佐の団結権を否定している。課長補佐が一般の職員の結成する組合に加入することを禁止することが,憲法28条の関係で許されるのは,その禁止が一般の職員の結成する組合の団結権を守るという目的・手段である場合に限られるというべきであるが,大宇陀町における管理職員等の指定は,原告の目的達成のための自主性確保という観点からではなく,公務執行上の責任者の必要性とか管理職手当の支給範囲の画定という観点からなされているだけであるから,課長補佐及び原告の団結権の制限は,原告の団結権を守るという目的・手段とはなっておらず,その制限に合理的理由は存在しない。 c したがって,本件規則2条別表第1は,大宇陀町におけるすべての課長補佐を管理職員等と規定している点において,憲法28条に違反するから,本件規則2条別表第1を根拠になされた本件取消処分は違法である。 (イ) 本件規則2条別表第1とILO87号条約a 本件規則2条別表第1は,地公法52条4項に基づき制定されているが,町長事務部局におけるすべての課長補佐を「管理職員等」と規定している点において,課長補佐がいかなる差別もなしにみずから選択する団体に加入する権利を否定しており,「労働者及び使用者は,事前の認可を受けることなしに,自ら選択する団体を設立し,及びその団体の規約に従うことのみを条件としてこれに加入する権利をいかなる差別もなしに有する。」と規定するILO87号条約(昭和40年6月28日・条約第7号,昭和41年6月14日効力発生)2条に違反する。 bILO87号条約2条は,管理職員等が一般の職員が組織する組合に加入する権利をも認めているが,本件規則2条別表第1が課長補佐を管 昭和41年6月14日効力発生)2条に違反する。 bILO87号条約2条は,管理職員等が一般の職員が組織する組合に加入する権利をも認めているが,本件規則2条別表第1が課長補佐を管理職員等と規定し,課長補佐が一般の職員が組織する原告に加入する権利を否定していることによって,大宇陀町における管理職員等は,全職員の37パーセント以上を占めることになり,原告の組織から現在ないし将来の相当数の構成員を奪っており,その結果原告を弱体化させている。これらの観点からも,本件規則2条別表第1は,87号条約2条に違反する。 ウ本件規則2条別表第1と地公法52条3項ただし書(ア) 地公法52条3項ただし書の「管理職員等」の意義及び範囲a 地公法52条3項ただし書にいう「管理職員等」の意義及び範囲は,労働組合法(以下「労組法」という。)5条の「使用者の利益を代表する者」と同趣旨で,その目的は職員団体の自主性の確保を図ることにあることを前提に確定しなければならず,なおかつ,昭和40年のILOのドライヤー委員会(結社の自由に関する実情調査調停委員会)の報告や昭和48年の条約勧告適用専門家委員会の「管理職員等の範囲は,団体からその現在の又は潜在的な組合員の相当な割合を奪うことによって当該団体を弱化させる程広く定義されるべきではない。」との見解にも沿うものでなければならない。 b また,労組法2条但し書1号は,人事権あるいは労働関係に関する機密に接する監督的労働者など会社の利益を代表する立場にある者が参加するものを労働組合に当たらないものとしている。同規定の趣旨は,労働組合の自主性を確保維持するために,使用者側の利益に連なる一定範囲の労働者を例示してその範囲を画し,か 益を代表する立場にある者が参加するものを労働組合に当たらないものとしている。同規定の趣旨は,労働組合の自主性を確保維持するために,使用者側の利益に連なる一定範囲の労働者を例示してその範囲を画し,かつ,組合自治の犠牲においても,これらの者の参加を否定するものであり,その判定に当たっては,当該労働者の担当職務の実質的内容等に即して,個別的,具体的に判断すべきものであると同時に,これを拡張的に解釈することは相当でないというべきである。 そうすると,地公法52条3項ただし書の「管理職員等」も,「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」で,その者が一般の職員が結成する組合に加入すると組合の自主性が阻害される者というべきであり,その範囲も,「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」か否か,すなわち,その者の加入によって使用者と対等の立場に立つべき職員団体の自主性が損なわれるかどうかを基準として決定されるべきであって,あくまで,職員団体の存在を前提にする労使関係での概念であることを前提に,その職員が使用者の利益代表者に当たるか,すなわち使用者側の立場に立って行動すべき職責を有するかが検討されなければならない。その際,その職名を基準とすべきではなく,その職制と担当する職務の実質的内容を吟味して決定すべきである。 (イ) 大宇陀町における課長補佐の職務権限a 昭和59年の本件規則改正当時,大宇陀町の行政組織においては,係は設置されておらず,職制としての役付職員は,課長と課長補佐であった。しかし,課長補佐は,係長の職がない関係で,最下位の役付職員で,課長を補佐するだけで固有の部下を持たず 町の行政組織においては,係は設置されておらず,職制としての役付職員は,課長と課長補佐であった。しかし,課長補佐は,係長の職がない関係で,最下位の役付職員で,課長を補佐するだけで固有の部下を持たず,他の課員(主査・主事)と同じレベルで固有の分掌事務を分掌していたにすぎない。したがって,課長補佐が,「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」で,その者が一般の職員が結成する組合に加入すると組合の自主性が阻害される者であるとはいえないし,使用者の立場に立って行動すべき職責を有するものでもなかった。したがって,昭和59年の本件規則改正は,課長補佐が管理職員等には該当しないのに,これを管理職員等としたのであって,地公法52条3項ただし書に違反する。 b 平成2年4月1日,大宇陀町において,課設置条例が大宇陀町部設置条例(以下,「部設置条例」という。)に改正された際,課長のより上位の職務権限を持つ職として部長の職が設けられたが,被告公平委員会は,部長職の新設が行われたのであるから,課長及び課長補佐の職責の変化について調査し,課長ないし課長補佐が,「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」に該当するか再検討すべきであったのに,部長を管理職員等に追加しただけで,再検討を怠っている。 c 本件取消処分当時も,課長補佐は,課長に事故がある時はその代理として,あるいは課長から具体的な指示がある時に課長の補佐として,主任等の分掌事務につき指揮・命令を行うことがあるが,それは一時的あるいは個別的なもので,一般的に指揮・命令をすべき固有の部下はおらず,しかも,指揮・命令権者が「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」で,その者が一 それは一時的あるいは個別的なもので,一般的に指揮・命令をすべき固有の部下はおらず,しかも,指揮・命令権者が「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」で,その者が一般の職員が結成する組合に加入すると組合の自主性が阻害される者に該当しない。また,対組合関係に関する計画や方針,人事や労務管理に関する決定権は,町長などのいわゆる三役以外では総務部長が独占あるいは保留しており,総務課長さえ,使用者側の立場に立って行動すべき職責を有していなかったから,総務課長補佐ですら対組合との関係において,使用者の立場に立って行動すべき職責はなかった。 d 被告らは,当局対組合との関係において,当局の命に従うべき者で,争議の際に職員団体の指令に従ってはならない立場にある者をもって管理職員等であるとも主張するが,地方公務員は地公法37条により争議権が否定されているのであるから,争議権の存在を前提にして地公法53条が規定されているというのは論理矛盾である。 (ウ) 本件規則2条別表第1の「課長補佐」の意義a 本件規則2条別表第1の「課長補佐」について,すべての課長補佐を指すと解すべきではなく,その者が加入すると原告の自主性を阻害するような管理職に限られると解釈すべきであり,被告公平委員会は,本件規則を地公法52条3項ただし書の立法趣旨から,課長補佐の範囲を限定的に把握し,規則を地公法に合致するよう解釈・適用すべきであった。しかし,被告公平委員会は,Dが「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」でなく,Dが原告に加入しても,その職責上原告の自主性が失われることはないにもかかわらず,Dを本件規則上の「課長補佐」に当たるとして本件取消処分を行ったもの 場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」でなく,Dが原告に加入しても,その職責上原告の自主性が失われることはないにもかかわらず,Dを本件規則上の「課長補佐」に当たるとして本件取消処分を行ったものであり,本件取消処分は違法である。 bDの職務権限Dは,上下水道課課長補佐であるが,その事務分掌からみても,「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」で,その者が一般の職員が結成する組合に加入すると組合の自主性が阻害される者に該当することはない。 エ職員団体登録取消処分の手続違反公平委員会が,職員団体の登録取消をしようとする場合は,行政手続法13条1項1号イによって聴聞の手続をとる必要があるが,本件登録取消処分における聴聞手続は以下に述べるように違法であるから,取消処分自体も違法となる。 (ア) 主宰者の不適格聴聞は,行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する(行政手続法19条1項)。しかし,本件取消処分について行われた聴聞の主宰者は,「大宇陀町公平委員会事務局長 E」であるところ,公平委員会には事務局は存在せず(地公法12条1項,5項参照),したがって,事務局長なる職も存在しない。また,大宇陀町においては,公平委員会の事務職員の定数もなく,事務職員は,公平委員会がそれぞれ任命するとされているのに(地公法12条6項),上記Eは,被告公平委員会によって事務職員に任命されていない。大宇陀町においては,従来,公平委員会事務職員の任命行為をしたことはなく,当該職員が総務課職員に任命されると,「充て職」として当該職員が公平委員会職員となったというが,「充て職」とは,法令の規定により,一定の職にある職 従来,公平委員会事務職員の任命行為をしたことはなく,当該職員が総務課職員に任命されると,「充て職」として当該職員が公平委員会職員となったというが,「充て職」とは,法令の規定により,一定の職にある職員が他の一定の職を当然に占めるという制度であるところ,大宇陀町には,「充て職」に関する法令はない。したがって,「充て職」は成立せず,従前被告公平委員会の事務職員とされていた職員は,被告公平委員会の職員ではなかったこととなる。そうすると,上記Eは,「(行政庁の)職員その他政令で定める者」ではなく,本件聴聞の主宰者の指名は違法・無効である。 (イ) 意見陳述権の否定行政手続法20条2項は,「当事者又は参加人は,聴聞の期日に出頭して,意見を述べ,及び証拠書類等を提出し,並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。」旨規定する。しかし,Eは被告公平委員会と事前に共謀して,聴聞はどのようなことがあっても1時間を経過したら終了するとの合意の元に,聴聞手続を進め,当事者である原告の意見陳述権,証拠提出権,質問権を無視して,聴聞手続を終了した。 (被告公平委員会)ア原告の主張アについて(ア) 被告公平委員会による本件規則の改正は,行政処分ではないから,その改正自体については司法判断が及ばないし,管理職員等の範囲の当否については法的救済を求める途はないというべきである。 (イ) 本件規則の内容の当否を問題にするに当たり,原告は,憲法28条や労組法を引用して,本件規則において課長補佐が管理職員等に入る旨規定している点を非難するが,憲法が直接に公平委員会規則に適用されることはあり得ないし,労組法は直接に地方公務員に適用されることはない。原告は,ILO て,本件規則において課長補佐が管理職員等に入る旨規定している点を非難するが,憲法が直接に公平委員会規則に適用されることはあり得ないし,労組法は直接に地方公務員に適用されることはない。原告は,ILO87号条約も引用して,本件規則が同条約違反であると主張するが,条約が国内法である現行の地公法を直接無効にしたり,公平委員会規則の効力を左右するような解釈は認められない。 イ原告の主張イについて(ア) 原告は,地公法と本件規則の関係を論じるに当たっても,現行規定とは大幅に異なる昭和53年の改正前の地公法52条の旧規定やILO87号条約を引用して主張をしているが,結局,上記改正後の現行の地公法52条3項の規定等をどのように解釈適用するかを問題とすべきである。地公法は,管理職員等の職員に含まれるかどうかの基準について,単なる使用者対被用者の対立に基づく労使関係上の概念という狭い捉え方をしておらず,その職務内容や職務権限の重要性や行政上の決定について参画する管理的地位にあるか否か等を主要な基準の一としている。 (イ) 地公法52条4項は,同条3項ただし書きに規定する「管理職員等の範囲」は,公平委員会規則で定めると規定する。この規定の趣旨は,「管理職員等の範囲」を,中立公正な,かつ専門的な機関である公平委員会が予め確認し公示しておくことにあると解されており,「管理職員等の範囲」を労使間の話合いによって決定したり変更したりすることができないことはもとより,行政処分ではないから,これについて職員団体が公平委員会に交渉を求めたり,その確認を不服として不服申立てを行ったり,訴訟を提起することもできないとされ,公平委員会がその判断により制定した本件規則の制定・改正に対しては司法的判断が及ばないと一般に解釈されている 求めたり,その確認を不服として不服申立てを行ったり,訴訟を提起することもできないとされ,公平委員会がその判断により制定した本件規則の制定・改正に対しては司法的判断が及ばないと一般に解釈されている。本件規則は,被告公平委員会が,地公法52条4項の規定により付与された権限に基づき,大宇陀町の職制と職務権限の分配に基づき客観的に公平かつ公正に判断して制定したものであるから,その制定した規則の内容が基本的に尊重されるべきである。したがって,管理職員等の範囲を定める本件規則の制定ないし改正とその規定する内容については,これを何らかの他の法令に基づいて違法であるとか不当であると主張して,その違法性を云々することはできないというべきである。 ウ原告の主張ウについて(ア) 町長事務部局における課長補佐は,大宇陀町の関係諸規則等に基づいて,課長に事故のあるときは課長を代理して課員全体を指揮監督し,課長不在のときはその事務を代決して課の事務全般を決裁する権限を有するし,現実に,課長を補佐して,課長に協力して課の重要な行政上の決定に参画し,課長の人事権を含む指揮監督権を全面的に補佐し,課員の人事労務管理,服務管理(部下の課員の指揮監督,時間外勤務,各種休暇等の承認許可その他),業務管理を補佐するなど,課長の職務権限の全般にわたってその行使を実質的に補佐し,重要な行政上の権限を行使することのできる客観的な権限を有しており,このような権限を日常の職務遂行に際して行使している。このように,課長補佐が管理職員として十分な職務内容及び職務権限を客観的に保有していることからすれば,地公法52条3項ただし書の「管理職員等」の範囲に当然含まれるべきものである。 (イ) 「当局の立場に立って職務を遂行し」,所属の部下を監督して, を客観的に保有していることからすれば,地公法52条3項ただし書の「管理職員等」の範囲に当然含まれるべきものである。 (イ) 「当局の立場に立って職務を遂行し」,所属の部下を監督して,服務規律を保持し,住民に対する行政事務の遂行を確保するのはすべての管理職員の責務である。地公法37条は争議行為を禁止しているところ,禁止されている争議行為等が行われる可能性のあるときに,当局の立場に立って職務を遂行し,部下の課員らが争議行為等の違法な行為を行わないように説得し,服務規律を保持させるように監督し,争議行為のための年次休暇の申請を拒否するなど,違法行為防止のための措置を率先して講じなければならないのは,単に人事担当部課のみの責任ではなく,管理職員全員の責任である。同じく,日常的にも有給休暇闘争や,時間内職場大会,超勤拒否闘争などの違法な闘争の行われることを防止するために,日頃からの服務規律の管理を適正に保持し,部下に対し,休暇承認,勤務時間の遵守等の服務規律遵守のための指導監督を行うのも,管理職員の責務である。これらの日常的な服務規律を保持することを中心とする管理職員等の責務は,まさに,自治体の職場の基本的単位である課の長である課長を日常的に補佐する課長補佐が「当局の立場に立って職務を遂行する中で」保持しているものである。 (ウ) 奈良県内において,大宇陀町と同程度か幾分規模の異なる他の町村の実例をみても,課長補佐を地公法52条3項の「管理職員等」に含めて規定する公平委員会規則が多数を占めており。このような公平委員会規則の制定は,大宇陀町における特殊な規定ではなく,少なくとも奈良県内においては,一般的なものである。また,奈良県においても,県庁の本庁の各課ごとに,課長を補佐して,各課の人事,給与又は服務等に関する事務 定は,大宇陀町における特殊な規定ではなく,少なくとも奈良県内においては,一般的なものである。また,奈良県においても,県庁の本庁の各課ごとに,課長を補佐して,各課の人事,給与又は服務等に関する事務を担当する課長補佐を少なくとも1名を,「管理職員等」として配置している。これらの実例は,いずれも,奈良県庁や県内の多数の町村の各課の行政事務の中に,人事,給与,服務等に関する諸般の事務が分掌されており,これらの権限を各課に所属する課長補佐が課長を補佐して行使していることを明らかにするものである。したがって,原告の,総務課長以外の課長が管理職員等に含まれないとの主張は,奈良県内の多数の自治体において広く行われている各課の行政事務の職責と職務権限の実態を無視したものである。 (エ) 原告は,Dの職務の実態からみて,本件規則2条1項別表第1に規定する町長事務部局の課長補佐に当たらないと主張するが,Dは,本件取消処分当時,上下水道課の総括課長補佐として,課長を補佐し,日常の水道業務の総括責任者として総括指揮する中,課員(主査2名,主事1名,主事補1名)の職務遂行を把握し,課員を管理し,指導監督していたもので,その総括する上下水道事業に関しては明らかに部下となる課員(主査,主事)が配置されていたし,実質的に課内の職務権限の分配を(指揮監督権者である当局の立場に立って)協議決定し,事務分掌表を作成していた。なお,Dは,現在は大宇陀町の児童館の館長補佐(課長補佐と同等職)に就任しているが,同館長補佐に就任後,平成12年7月から約2か月間の長期にわたり不在となった館長の職務権限のすべてを一人で行使していた実績もある。これらの課長補佐としての職責,職務権限の実態をみれば,実質的にも,Dは,地公法52条3項が規定する管理職員等の職員の基準である「重 不在となった館長の職務権限のすべてを一人で行使していた実績もある。これらの課長補佐としての職責,職務権限の実態をみれば,実質的にも,Dは,地公法52条3項が規定する管理職員等の職員の基準である「重要な行政上の決定を行う職員,重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員」とか「当局の立場に立って遂行すべき職務を担当する職員」その他に該当する権限を行使していたことは明らかであり,原告の主張は,町長事務部局における課長補佐の重要な職責と職務権限を著しく軽視したものである。 (オ) 原告は,本件規則が存在することを前提として認めた上で,Dが大宇陀町から平成7年4月1日付けで産業経済課長補佐の辞令を発令された際に原告を脱退していたにもかかわらず,あえて,Dが本件規則2条1項別表第1に規定する「管理職員等」に該当しないとする独自の判断により,当時の組合規約に反してまで,わざわざ,Dを原告に再加入させた。Dは,平成7年4月1日付けで産業経済課長補佐に任命された後,平成9年7月4日付けで上下水道課長補佐に任命されており,原告に再加入するまで,既に2年間にわたって町長事務部局の課長補佐の職務を遂行しており,本件規則の改正は当分ないであろうとの見通しのもと,平成9年9月16日付けで勤務条件に関する措置要求書を提出しつつ,これと併行して同年9月26日付けで,自らの課長補佐という身分が,本件規則に規定する管理職員等に該当することを承知の上で,あえて原告に再加入したもので,原告の規約自体も,平成9年9月時点では,4条において「(組合員からは)管理職及び臨時職員を除く。」と規定しており,原告も,Dが,本件規則2条1項別表第1規定の「管理職員等」に該当することを承知の上で,再加入することを承認した。Dのみならず,原告に再加入した当時の組合三役や び臨時職員を除く。」と規定しており,原告も,Dが,本件規則2条1項別表第1規定の「管理職員等」に該当することを承知の上で,再加入することを承認した。Dのみならず,原告に再加入した当時の組合三役や執行委員らも,Dの原告再加入により,原告が職員団体の登録効力停止処分がなされ,ひいては,登録取消処分に発展し,さらには訴訟に発展する可能性ないし危険性を十分予期していた。Dの原告への再加入に始まる原告の度重なる地公法52条及び本件規則に違反する行為は,本訴に至る結果を予測した上で,法廷闘争を行うために,あえて行われたものといわざるを得ない。 エ原告の主張エについて(ア) 被告公平委員会が本件聴聞手続の主宰者に指名したEは,被告公平委員会の職員であり,行政手続法19条2項各号に規定する「聴聞を主宰することができない」者には該当しない。被告公平委員会においては,本件以前から,事務職員として町長事務部局の総務課長及び総務課長補佐を任命しており,Eも同様に任命されたものであるが,充て職については,地方自治法180条の3は,普通地方公共団体の長は当該地方公共団体の委員会又は委員と協議して,職員を,当該執行機関の事務を補助する職員と兼ねさせ,又は当該執行機関の事務を補助する職員に充てることができる旨規定し,規模の小さい市町村の公平委員会においては,兼職,充て職等の方法が活用されている。また,公平委員会において,その事務職員と組織に関して,「事務局長」や「事務局」と称することは,自治体行政において奈良県内の各市町村のみならず一般的に認められている事務慣行であり,被告公平委員会も,この一般的な事務慣行を採用して,事務職員により構成される機関を「委員会事務局」,Eを「事務局長」と称していたのであり,被告公平委員会が本件聴聞手続の められている事務慣行であり,被告公平委員会も,この一般的な事務慣行を採用して,事務職員により構成される機関を「委員会事務局」,Eを「事務局長」と称していたのであり,被告公平委員会が本件聴聞手続の主宰者にEを指名したことに違法はない。 (イ) 本件聴聞手続において,原告側は,被告公平委員会職員の冒頭説明を待たず,一方的で独自の見解に基づく質問を矢継ぎ早に浴びせ続けて,主宰者の審理手続を一方的に妨げ,混乱させ続け,被告公平委員会職員による本件不利益処分に関する説明を終えた後も,不利益処分の内容等に関する意見等を全く述べようとせず,一方的な見解に基づく独自の質問や異議を主張し続けたのみであった。主宰者は,再三にわたって原告側に対して,本件不利益処分に関する意見や証拠書類の提出や質問をするように促したが,原告は,本件取消処分に対する意見や質問,証拠書類の提出などを全くしなかったのであり,もとより,主宰者が,この種の申し出を遮ったようなことも一切ない。 (ウ) 本件聴聞手続は,主宰者の適格性に問題はないし,行政手続法に基づいて適正に実施されている。原告は,本件聴聞手続において,行政手続法20条1項に基づく十分な機会と権利を与えられていたにもかかわらず,一方的に,本件規則の制定手続や主宰者の適性を非難し続けるのみで,本来は十分なはずの持ち時間を費消して本件聴聞手続は終わってしまったのであって,その権利を全く行使せず,自らその機会を放棄したのである。そのような原告には,十分な時間を設けて実施された本件聴聞手続の瑕疵を主張する資格はない。 (2) 争点(2)(本件昇格発令が国家賠償法1条の「違法行為」に当たるか否か及び原告の損害額)について(原告)ア本件昇格発令は,原告及びその構成員を驚愕 格はない。 (2) 争点(2)(本件昇格発令が国家賠償法1条の「違法行為」に当たるか否か及び原告の損害額)について(原告)ア本件昇格発令は,原告及びその構成員を驚愕,動揺させ,被告町の町長が約束した新昇格制度実施の回答を回避し,原告の弱体化を図るために行われたものである。 イ原告は,本件昇格発令によって,その中心的活動家を失い,組織崩壊の危機にたたされ,その後,組織の建て直しを図ったが,新昇格制度実施問題は先送りされ,町当局とも交渉らしい交渉も行われなくなり,社会的に多大な無形損害を被った。大宇陀町の町長のした本件昇格発令は,国家賠償法1条の違法行為に当たり,大宇陀町は,原告が受けた無形的損害に対し,100万円を賠償する責任がある。 (被告町)ア地方公共団体における人事権の行使は,人事権者の広範な裁量権に委ねられており,何らの行政上の必要性もなく,人事権者の恣意による行使ならばともかく,当該人事異動を行うべき行政上の必要性が現に存在するときには,裁量権の濫用や著しい逸脱となるものではない。本件昇格発令は,被告町の行政事務上の高度の必要性に基づき,同時期における多数の職員の定例人事異動の一部として,慎重に検討の上選任・実施されたものであるから,違法の問題は生じない。 イ被告町は,本件昇格発令に先立ち,A,B及びCの原告における活動上の立場に配慮して,Aらに人事異動の内容を打診し,その自由な意思に基づく承諾を経た上,本件昇格発令を行い,人事異動を実施したのであり,Aらが協議相談して,原告の組合三役としてのそれぞれの立場において,当時の原告の組合活動に格別の支障がないものと判断し,組合組織の討議にかける必要性がないものとして,被告町の人事権者に当該昇格人事を了 が協議相談して,原告の組合三役としてのそれぞれの立場において,当時の原告の組合活動に格別の支障がないものと判断し,組合組織の討議にかける必要性がないものとして,被告町の人事権者に当該昇格人事を了承する旨の返答をしたのであるから,特段問題とされることではない。また,新昇格制度は,本件昇格発令以前から,被告町と原告との間で,継続的に協議されてきた案件であって,この制度の導入を巡って,被告町が,わざわざ原告の組合組織を弱体化させる必要性は存在しなかった。本件昇格発令後も,原告は,従前と同様に職員組合として団結権と団体交渉権を行使し,役員の改選や被告町側との団体交渉を行い,一定の成果を上げてきたのであって,原告の主張は失当である。 (3) 争点(3)(本件取消処分が国家賠償法1条の「違法行為」に当たるか否か及び原告の損害額)について(原告)被告公平委員会の委員らによって行われた本件登録取消処分は,原告の団結権を侵害するものであり,国家賠償法1条の違法行為に当たる。原告は,本件取消処分によって,Dの加入を認めた意思決定及び組合の存在自体が違法と評価され,社会的に多大な無形損害を被った。したがって,被告町は,原告が受けた多大な無形的損害に対し,100万円を賠償する責任がある。 (被告町)原告の主張を争う。被告公平委員会がした本件取消処分が違法でないことは,被告公平委員会の主張のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(被告公平委員会による本件取消処分の違法性)(1) 本件規則2条別表第1が憲法28条,ILO87号条約2条にそれぞれ違反するかどうかについてア憲法28条違反性について(ア) 憲法が保障する労働基本権(労働者の団結権,団体交渉権 条別表第1が憲法28条,ILO87号条約2条にそれぞれ違反するかどうかについてア憲法28条違反性について(ア) 憲法が保障する労働基本権(労働者の団結権,団体交渉権及び争議権)は,使用者・労働者間においてこれを侵害することは違法となり,正当な争議行為は民事的な責任を問われないとともに,公権力が,正当な争議行為を刑事制裁の対象とせず,また,立法権や司法権を行使し,使用者・労働者間という私人間の関係に介入して,使用者の有する経済的自由権を制限したり,使用者の権利侵害行為に対して救済措置を設けることによって,これらの基本権を保護し,労働者はそのような措置を求めうるというものである。 (イ) 労働者が適正な労働条件の確保を目的として団体を結成する権利である団結権は,団体としての意思を形成し活動する自由を意味し,団体内部の問題に公権力や使用者が不当に干渉することが禁止されるものと解される。公務員も,憲法28条の「勤労者」として団結権の保障を受けるが,地方公共団体に勤務する公務員のうち最も標準的な一般職員(以下「一般職員」という。)の団結権については,一つには,その勤務条件が,行政に対する民主的統制の原則に基づき,最終的には条例で決定されるものであり,この決定を補強し,公正,適正なものとするために,人事委員会又は公平委員会(以下「公平委員会等」という。)に対する勤務条件に関する措置要求の制度があり,更に法に基づく団結権(地公法52条)と交渉(地公法55条)により,重ねて適切な勤務条件を保障しようとしていると解される。その勤務条件決定において,団結権と交渉は,必ずしも中心的な役割を果たすものではなく,また一つには,一般職員は,行政の安定を図る見地から,その身分が分限によって強い保障を受けたり,不利益処 される。その勤務条件決定において,団結権と交渉は,必ずしも中心的な役割を果たすものではなく,また一つには,一般職員は,行政の安定を図る見地から,その身分が分限によって強い保障を受けたり,不利益処分に対する不服申立て制度が設けられている反面,厳しい服務規律に服するべきものとされているなど,その職務の公共的性格による地位の特殊性があることから,特に地方公務員法において規定が設けられていると解されることからすると,これらの地公法の規定が憲法28条に反しないことは明らかである。 (ウ) 本件規則は,地公法52条3項ただし書が一般職員が勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体である職員団体の構成員に関し,そこから除外される「管理職員等」の範囲について,人事委員会規則又は公平委員会規則(以下「公平委員会規則等」という。)で定めるとした地公法52条4項を受けて制定されたものである。ところで,同条3項ただし書が,「管理職員等」と一般職員とを職員団体の組織原理上区別している趣旨は,両者が労使関係における立場が異質であり,両者が混在することを認めると,一般職員の職員団体の御用組合化や一般職員の団結の切り崩しが行われるおそれがあり,そのような団体は職員の利益を適正に代表するための健全な基礎を欠くと考えられたからであり,同条4項が,管理職員等の範囲の画定を公平委員会等に委ねた趣旨は,管理職員等の範囲は個々の地方公共団体における法令その他による職制及び権限分配の実態に基づき客観的に定まるものであるけれども,労使間で紛議を生じがちな問題であるので,中立公正な,かつ,専門的な機関によって予めこれを確認し,公示しておくことにあると認められる。本件規則も,大宇陀町において,地公法52条3項ただし書の適用範囲を具体化し,地公法上の職員団体た ので,中立公正な,かつ,専門的な機関によって予めこれを確認し,公示しておくことにあると認められる。本件規則も,大宇陀町において,地公法52条3項ただし書の適用範囲を具体化し,地公法上の職員団体たるべき団体の構成員の資格を画定するものであることが明らかである。 (エ) 上記のとおり,地公法52条3項ただし書の目的は正当なものである。そうして,本件規則2条の解釈適用に当たっては,これが地公法52条3項ただし書の規定を具体するものとの観点に立ってなされるべきもの,すなわち,本件規則2条別表第1は地公法52条3項ただし書と併せ読んで初めてその内容が確定するものであるというべきである。そうだとすると,本件規則2条別表第1が町長事務部局のすべての課の課長補佐を「管理職員等」と規定しているからといって,これが憲法28条に違反することにはならない。 (オ) よって,本件規則2条別表第1が憲法28条に違反するから,同規則に基づく本件取消処分が違法であるとの原告の主張は採用できない。 イ ILO87号条約2条違反性について(ア) 証拠(甲92,93,96,乙102)と弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。 ILO87号条約(結社の自由及び団結権の保護に関する条約)は,全文は21条からなり,労働者および使用者は事前に認可を受けることなく自ら選択する団体を設立することができ,また,いかなる差別もなしにこれに加入することができる旨の規定がある(2条)。我が国において,昭和32年の春闘で,旧公共企業体等労働関係法に基づき,当局が,禁止されているストライキを行った組合幹部を免職し,また,免職された職員を幹部の地位にとどめた組合側との団体交渉を拒否したことを発 て,昭和32年の春闘で,旧公共企業体等労働関係法に基づき,当局が,禁止されているストライキを行った組合幹部を免職し,また,免職された職員を幹部の地位にとどめた組合側との団体交渉を拒否したことを発端に,我が国の国家公務員,地方公務員及び旧公共企業体職員の全国的労働団体の多くが,幹部の解雇やスト権の否認などを不当として,ILO結社の自由委員会に提訴を行い,ILOは,これらの提訴を一括して179号事件として取り扱った。他方,我が国のILO87号条約の批准は,非職員の組合役員就任が問題となっていた上記事件の審査が続いていたこととも関連し,同条約の批准案及びそれに関連する国内法改正案が,昭和35年以降,数回にわたり国会に提出されたが,審議未了,廃案を繰り返していた。ILOは,昭和38年,上記179号事件をILO実情調査調停委員会に付託することとし,日本政府は,昭和39年4月,これに同意したことから,9名の学識経験者委員によって構成され,実際には3人の委員による実情調査調停委員会(委員長の名を取って,「ドライヤー委員会」と通称された。以下「ドライヤー委員会」という。)が,事情聴取や日本での実情調査などの調査活動を行い,その結果に基づき,昭和40年8月31日,「日本の公共部門に雇用される者に関する報告」(いわゆるドライヤー報告。以下「ドライヤー報告」という。)を公表した。昭和40年5月18日,我が国は,ILO87号条約を批准した。 (イ) 上記認定事実によれば,ILO87号条約は,憲法98条2項にいう「日本国が締結した条約」として国内法源性を有するものと認められる。同条約2条は,団体設立自由の原則を規定しているものと解されるが,本件規則は,職員団体の設立や一般職員の加入自体を禁止するものではないことは明らかであり,また,同条約が日 を有するものと認められる。同条約2条は,団体設立自由の原則を規定しているものと解されるが,本件規則は,職員団体の設立や一般職員の加入自体を禁止するものではないことは明らかであり,また,同条約が日本国内において,憲法21条及び28条により国民に保護される権利・利益を超える権利・利益を,日本国民に対して保護するものということはできない。そうだとすると,本件規則はILO87号条約2条に違反しないというべきである。 (ウ) よって,本件規則2条別表第1がILO87号条約2条に違反するから,同規則に基づく本件取消処分が違法であるとの原告の主張は採用できない。 (2) 本件取消処分が地公法52条3項ただし書に違反するかどうかについてア地公法52条3項ただし書について(ア) 地公法52条3項ただし書が,「管理職員等」について規定し,その範囲については,同条4項が公平委員会規則等で定める旨規定していること及びその趣旨,並びに,管理職員等とされる要件は,同条3項ただし書に定めるとおりであって,これに当たるか否かは,個々の地方公共団体における法令その他による職制及び権限分配の実態に基づき客観的に定まるものであるところ,管理職員等の範囲については,労使間で紛議を生じがちな問題であるので,中立公正な,かつ,専門的な機関である公平委員会等によって予めこれを確認し,公示しておくとされているものと解されることは,先に説示したとおりである。そうして,公平委員会等は,当該職員が地公法52条3項ただし書に定められた要件をみたし,「管理職員等」に当たるか否かのあてはめを行う権限を付与されており,これを公平委員会規則等に規定されて初めて,地公法52条3項ただし書の「管理職員等」として取り扱われるものと解すべきである。公平委員 管理職員等」に当たるか否かのあてはめを行う権限を付与されており,これを公平委員会規則等に規定されて初めて,地公法52条3項ただし書の「管理職員等」として取り扱われるものと解すべきである。公平委員会等は,その責任と判断においてあてはめを行い,それを規則化する職責を有する。 (イ) 証拠(甲93,96,乙102)と弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。すなわち,我が国は,昭和40年5月18日にILO87号条約を批准し,それに伴う国内法の改正が行われた。この改正において,地公法52条3項が新設された。従前は,「職員は,給与,勤務時間その他の勤務条件に関し当該地方公共団体の当局と交渉するための団体を結成し,若しくは結成せず,又はこれに加入し,若しくは加入しないことができる。」と規定され,管理職員等に関する規定はなかったが,この改正により,52条1項に,職員団体が,職員が勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体であると定義されるとともに,52条3項で,管理職員等の範囲に関して,「管理もしくは監督の地位にある職員又は機密の事務を取り扱う職員」と規定された。その後,ドライヤー報告書で管理職員等の範囲の統一的基準を作成することについて示唆があり(同報告2202項),また,昭和48年9月の第3次公務員制度審議会の答申で管理職員等について,労働組合法2条の規定に準じてその規定を整備すべき旨の意見が述べられたことを踏まえて,地公法52条3項は,昭和53年6月21日に再改正され,現行の規定になった。改正の前後を通じて規定自体の趣旨は何ら変更されたものではなく,したがって,管理職員等の範囲がこの改正により拡大されたものでも,縮小されたものでもないとされた(通知昭53・6・21 自治公一第26号1)。この認定の事 定自体の趣旨は何ら変更されたものではなく,したがって,管理職員等の範囲がこの改正により拡大されたものでも,縮小されたものでもないとされた(通知昭53・6・21 自治公一第26号1)。この認定の事実からすると,地公法52条3項ただし書が,昭和53年法律第79号により改正され,「管理職員等」について詳細に定義された現行規定となったのは,「管理職員等」の範囲を明確化し,人事委員会規則等により管理職員等の範囲が不当に拡大しないようにするためであったという立法経緯等からすると,公平委員会等に与えられた裁量の範囲は,狭いものであり,同項ただし書の「管理職員等」に当たらないものまでも公平委員会規則等において「管理職員等」と規定することは許されず,その規定を適用してなされた処分は違法となるというべきである。 (ウ) ところで,地公法52条3項ただし書に「管理職員等」に当たるとして列挙する「重要な行政上の決定を行う職員」ほかについては,一般的には,「重要な行政上の決定を行う職員」及び「重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員」に当たるものとしては,部課長等が,「職員の任免に関して直接の権限を持つ監督的地位にある職員」に当たるものとしては,人事担当部課長等が,「職員の任免,分限,懲戒若しくは服務,職員の給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接」する監督的地位にある職員に当たるものとしては,人事,服務,予算等を担当する課長補佐,係長等が,その他「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」に当たるものとしては,人事,服務担当の係員,秘書等がそれぞれ該当するものと解される。なお,ここでいう「管理職員等」と労働組合法5条の「使用者の利益を代表するもの」との関 すべき職務を担当する職員」に当たるものとしては,人事,服務担当の係員,秘書等がそれぞれ該当するものと解される。なお,ここでいう「管理職員等」と労働組合法5条の「使用者の利益を代表するもの」との関係については,労働組合法にいう「使用者の利益を代表するもの」と地公法上の「当局の立場に立って遂行すべき職務を担当する職員」とは,公務員の職責の性質からみて全く同一のものとはいえない。しかしながら,先に説示した地公法52条3項ただし書において,「管理職員等」と一般職員とが職員団体の組織原理上区別されている趣旨に照らすと,具体的にどのような職員が管理職員等に該当するか否か(管理職員等か一般職員か)の区別は,地方公共団体の労使関係に基づくものであることからして,その労使関係で使用者側の立場に立って行動すべき職責を有する職員がこれに当たると解されるから,その意味においては,労使関係上の概念が考慮されることになる。 (エ) そこで,以下においては,上記見地から,大宇陀町における職の設置・事務分掌,本件規則改正の経緯,大宇陀町の町長事務部局の課長補佐の職務権限並びにDの職務権限について検討し,Dが地公法52条3項ただし書にいう「管理職員等」に当たるのかどうかについて判断する。 イ大宇陀町における職の設置・事務分掌等について認定した事実証拠と弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 (ア) 大宇陀町における職の設置・事務分掌a 大宇陀町においては,大宇陀町の職の設置に関する規則(以下「職の設置に関する規則」という。昭和38年10月16日規則第3号)が設けられており,本件規則の昭和59年改正当時,法令に特別の定めがあるもののほか,課長,課長補佐,主事,主事補等の職が設置されて 「職の設置に関する規則」という。昭和38年10月16日規則第3号)が設けられており,本件規則の昭和59年改正当時,法令に特別の定めがあるもののほか,課長,課長補佐,主事,主事補等の職が設置されていた(乙9)。職の設置に関する規則は,その後6回改正され,そのうち平成2年4月27日の改正の際に,部長職及び参事職が設置され,本件取消処分時には,部長,参事,課長,課長補佐,次長,次長補佐,主幹,主任,主事,主事補等の職が設置された(乙8ないし16)。 b 昭和43年1月1日に,上記大宇陀町課設置条例が廃止され,新たに大宇陀町課設置条例(昭和42年12月条例第20号。以下「課設置条例」という。乙17)が施行され,町長の権限に属する事務を分掌させるため,総務課,税務課,住民課,厚生課,経済課及び建設課の6課が設置された。その後,課設置条例は,5回の改正を経て,昭和59年改正当時は,総務課,企画課,税務課,住民福祉課,同和対策課,産業経済課,建設課及び水道課の8課と用事対策室の1室が設置され(乙18ないし23),その後,昭和61年4月28日に,水道課が上下水道課へと改められた(乙24)。 c 平成2年4月1日,課設置条例の全部を改正する条例(平成2年条例第1号。乙25)が施行され,課設置条例が大宇陀町部設置条例(以下「部設置条例」という。平成2年条例第7号)に改められ,町長の権限を分掌させるために,総務部,民生部及び産業建設部の3部が設置され(2条),町長は同条例に定める部下に必要な課を設けることができるとされた(4条)。部設置条例と同時に,大宇陀町事務分掌規則(平成2年4月1日規則第3号。乙26。以下「事務分掌規則」という。)が制定され,部の内部組織並びにその事務分掌が規定され,総務部の下に,総務課,企画 条)。部設置条例と同時に,大宇陀町事務分掌規則(平成2年4月1日規則第3号。乙26。以下「事務分掌規則」という。)が制定され,部の内部組織並びにその事務分掌が規定され,総務部の下に,総務課,企画課,税務課が,民生部の下に住民福祉課,同和対策課,幼児対策室が,産業建設部の下に産業経済課,建設課,上下水道課が設置された。 その後,事務分掌規則は2回の改正を経て,本件取消処分時には,総務部の下に,総務課,総務課分室,企画開発課,税務課の3課1室が,民生部の下に住民課,福祉保険課,同和対策課,隣保館,児童館,幼児対策室の3課2館1室が,産業建設部の下に産業経済課,建設課,上下水道課の3課が設置されるとともに(2条ないし5条),課長補佐について,「参事又は課長に事故あるときは,課長補佐がその職務を代理する。」と規定されていた(7条2項)。 d 部設置条例,事務分掌規則の制定に伴い,大宇陀町事務専決規程(以下「事務専決規程」という。平成2年4月1日規程第7号。乙30)が制定され,それまで事実上行われていた助役以下の職の専決について,専決権限が明文化された。事務専決規程は,事務分掌規則と同時期の2回の改正を経て,本件取消処分時には,町長の権限に属する事務の一部を助役,部長(総務部長,文化会館館長,産業建設部長,教育部長)及び参事並びに課長(課長,隣保館長,児童館長,幼児対策室長,議会事務局長,給食センター所長,幼稚園長,総務課分室長)に専決又は代決処理されていた。具体的には,助役の専決事項(3条),部長の共通専決事項(4条),各部長の専決事項(5,6,7条),課長の共通専決事項(8条)が定められ,総務課長,企画課長,税務課長,住民福祉課長,同和対策課長,幼児対策課長,隣保館長,児童館長,産業経済課長,建設課長,上下水道課長の各専 事項(5,6,7条),課長の共通専決事項(8条)が定められ,総務課長,企画課長,税務課長,住民福祉課長,同和対策課長,幼児対策課長,隣保館長,児童館長,産業経済課長,建設課長,上下水道課長の各専決事項(9ないし18条)が規定されるとともに,代決規定も置かれ,「課長が不在のときは,課長補佐がその職務を代決することができる。」とされた(20条)(乙31ないし33)。 (イ) 本件規則の改正の経緯a 本件規則制定当時,課長補佐については,総務課長補佐と産業経済課長補佐だけが「管理職員等」と規定されていた(乙74,証人F)。被告公平委員会は,昭和59年1月28日,本件規則を改正し(管理職員等の範囲を定める規則の一部改正する規則(大宇陀町告示第3号,公平委規則第1号)。以下「昭和59年改正」という。乙1),「管理職員等」の範囲に町長事務部局のいわゆる平職員ではないすべての職員を加えた。 b その後,本件規則は,昭和61年4月14日,平成2年4月27日,同年9月3日,平成6年3月31日,平成9年12月26日及び平成10年9月30日にそれぞれ改正され,本件取消処分当時は,2条1項別表第1において,本庁町長部局では,部長,参事,課長,室長,主幹,課長補佐,検査主任,室長補佐の職を有する者を,「管理職員等」とする旨規定していた(乙2ないし8)。 (ウ) 大宇陀町における課長補佐の職務権限a 大宇陀町においては,職の設置に関する規則において,課長,課長補佐の職務については,「課長は,上司の命をうけ,課の分掌事務を掌理する」(2条4項),「課長補佐は,課長を補佐し,課長事故あるときは代理する」(同条8項)と規定され,また,上記のように,事務専決規程において,課長が は,「課長は,上司の命をうけ,課の分掌事務を掌理する」(2条4項),「課長補佐は,課長を補佐し,課長事故あるときは代理する」(同条8項)と規定され,また,上記のように,事務専決規程において,課長が不在のときには代決権限が与えられている。 b 大宇陀町の「一般職の職員の給与に関する条例」において,管理職手当について,「管理又は監督の地位にある職員のうち町長が規則で定めるものには,その職務の特殊性に基づき,給料月額の100分の15をこえない範囲の額を管理職手当として支給することができる。」旨と規定され(13条の2),同条2項において,これらの管理職手当の対象となる管理職については,時間外手当,休日出勤手当等の支給の適用が除外されている。大宇陀町給料等の支給に関する規則5条の4において,管理職手当を支給する職及びその職にある職員に支給する管理職手当の給料月額に対する支給割合は,部長等が給料月額の100分の15,参事が給料月額の100分の14,課長等が給料月額の100分の13とされ,課長補佐は,次長補佐,出納主任,検査主任,主幹などとともに給料月額の100分の10とされている(甲81の1,2)。 (エ) 上下水道課におけるDの職務権限(乙26,73,証人D,同A)a 本件取消処分時,上下水道課は,課長の下に,課長補佐として,D,Aの2人がおり,他に,主査2人,主事が1人配置されており,平成9年7月当時の事務分掌表と異なり,主事補は置かれていなかった。上下水道課は,産業建設部の下に置かれ,事務分掌は,「水道事業に関すること,下水道事業に関すること,流域下水道事業に関すること,その他上下水道の企画,立案に関すること」とされていた。 b 上下水道課の課長の事務分掌 務分掌は,「水道事業に関すること,下水道事業に関すること,流域下水道事業に関すること,その他上下水道の企画,立案に関すること」とされていた。 b 上下水道課の課長の事務分掌は,「上下水道課総括・議会・予算・条例・上下水道協議会・陳情等」とされ,補佐者は,A,Dの両課長補佐とされていた。Dの職名は,「課長補佐(検査員)」とされ,「上下水道課総括補佐・水道事業認可・水道技術及び維持管理総括・県水受水に関すること,開発事業に伴う水道対策に関すること・広報に関すること・町建設工事検査員」,補佐者はAとされていた。なお,Aの職名も同じく,「課長補佐(検査員)」とされ,「上下水道課総括補佐・下水道事業認可・下水道技術及び維持管理総括・排水設備助成に関すること,開発事業に伴う下水道対策に関すること・町建設工事検査員」,補佐者はDとされていた。 cDは,上水道担当の上下水道課長補佐として,大宇陀町においては,大型事業であるといえる水道濾過膜事業導入に参画し,議会全員協議会においてその必要性についての事業説明を行い,また,上下水道課の総括補佐として,日常の水道業務を総括し,課員(主査2名,主事,主事補各1名)の職務遂行を把握し,管理・技術指導等を行っていた。そのほか,平成9年7月ころ,当時のG課長とA課長補佐との協議により,課員の事務分担表なども作成したり,毎月の定例課内会議において,水道事業の責任者として,工事の発注,進捗状況等の説明も行っていた。課長が不在のときには,文書,休暇,支出命令等についても代決権者として決裁を行っていた。 ウ上記認定事実を前提として,Dが地公法52条3項ただし書の「管理職員等」に該当するか否かについて検討する。 (ア) 大宇陀町において,課の分 して決裁を行っていた。 ウ上記認定事実を前提として,Dが地公法52条3項ただし書の「管理職員等」に該当するか否かについて検討する。 (ア) 大宇陀町において,課の分掌事務を掌理し,課の予算要求の取りまとめや課員の事務分担(分掌)の決定を行うのは,課長の職責・権限であって,課長補佐は,課長の職務権限である課員の指揮監督権限の補佐をし,また,課長に事故あるときは課長の職務代理をする課長の補佐・代理職であるといっても,各課における分掌事務との関係でいえば,個別的,具体的な課長の指示なくして,又は課長に事故あるとき以外は,具体的な課員に対する指示命令,監督する権限を有していないというべきであって,「管理職員等」である課長を補佐・代理するからといって,直ちに課長補佐が「管理職員等」に当たるとはいえない。課長補佐が上司として課員を指導監督する職責を負っていることが認められるが,そうであっても同様である。また,被告公平委員会は,課長補佐が管理職手当を受けていることを,「管理職員等」としての職務を行っていることを裏付けているかのように主張するが,管理職手当の支給を受ける職員であることと,地公法上の「管理職員」であることとは,直ちに結びつかない。 (イ) Dは,職務分掌表を作成し,休暇許可,時間外勤務等の命令を行うなど,課長の人事,労務管理権限を補佐,代理していることが認められるが,それは課長補佐固有の労務管理権限ではなく,一時的・個別的な労務管理であるというべきであるし,これをもって,「管理職員等」に該当するとの根拠とすることはできない。少なくとも,上下水道課において,課長補佐が,職員の勤務評定,昇給,昇格,配転等について基礎資料の作成を含めて,人事に関係す るし,これをもって,「管理職員等」に該当するとの根拠とすることはできない。少なくとも,上下水道課において,課長補佐が,職員の勤務評定,昇給,昇格,配転等について基礎資料の作成を含めて,人事に関係することはないと認められ(証人D),これに反する証拠はないから,課長の補佐として人事評価,職務分担という行為に関係していると認めることはできず,職員の任免に関して直接の権限を持つ監督的地位にある職員」,「職員の任免,分限,懲戒若しくは服務,職員の給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接」する監督的地位にある職員であるとまではいうことができない。 (ウ) Dは,上下水道課長補佐として,上下水道事業について,大型事業ともいえる水道膜濾過事業の決定などの上下水道事業等に関する行政事務を,その主軸となって遂行していることが認められるが,これが,「その課に与えられた重要な行政上の決定に参加する」と認めるに足りる証拠はない。むしろ,上下水道課においては,上下水道課における事業の決定などについては,各担当者及び上下水道課全員の関与・参画の下に進められるものと認められる。また,証拠(甲87)によれば,毎月の部課長会議について,課長補佐は必ず出席しているものではないと認められる。また,Dは,上下水道課内において,同課の所掌する予算編成や職員の事務分担に関与していたものと認められる。しかし,しかし,各部や課において,事業計画に基づき予算が編成されるが,これに基づき,町長が予算を調整し,及びこれを執行することは町長の権限である(地方自治法149条)。また,事務分掌規則上,課長は所属職員の事務分担を定めることとなっているが,課内の人事,配置,勤務配分の決定について,課長補佐がこれに補佐として関与したり, は町長の権限である(地方自治法149条)。また,事務分掌規則上,課長は所属職員の事務分担を定めることとなっているが,課内の人事,配置,勤務配分の決定について,課長補佐がこれに補佐として関与したり,課長に事故あるときは課長代理として直接処理するとしても,それは課長補佐の本来的権限ではない。よって,「重要な行政上の決定を行う職員」,「重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員」ということもできない。 (エ) 前記認定の事実によれば,大宇陀町において,人事や労務に関する最終的な決定権者は,任命権者である町長に属しているが,総括的な職務権限は,町全体の人事・労務・服務等を総括し,職員団体との関係でも町当局に対する要求事項等の交渉の窓口となる総務課長(又は総務課長補佐)に属し,さらに,それぞれの課員の人事・労務管理権限などの個別的な職務権限や指揮監督権については,各課長に属しているものと認められる。そして,総務課以外の課長補佐については,課長を補佐する限度でそれに関わるものであるから,その他「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」に当たるとも認めることはできない。 (オ) また,町長事務部局の課長補佐は,課長の共通専決事項(事務専決規程9条)の規定中の管理・監督事項に当たる人事労務関係事務についてもは代決を行う権限を有している。しかし,証拠(乙33)によれば,「急施を要するもの又はその処理についてあらかじめ決済権者の指示を受けたものに限りすることができる。ただし,急施を要する事務であっても重要又は異例と認められるものについては,代決することができない。」(同規程24条)と規定されていることからみて,代決制度は,行政事務の能率的運営と事務遂行上の責任の範囲を明確化し,円滑な事 っても重要又は異例と認められるものについては,代決することができない。」(同規程24条)と規定されていることからみて,代決制度は,行政事務の能率的運営と事務遂行上の責任の範囲を明確化し,円滑な事務処理を行うことを目的としているのであって,これを有しているからといって,代決を行うべき職務は代決権者の本来的な権限ではないから,管理職員等としての職務権限を有していることにはならないというべきである。 (カ) 本件取消処分当時,大宇陀町の職員は150名で,そのうち,本件規則で「管理職員等」とされる者は56名であり,その全職員中に占める割合は,約37パーセントであった(甲84)ところ,この職員数及び「管理職員等」の比率からみて,「管理職員等」とされる者すべてが,一般の職員の人事管理について実質的に関与しているというのは現実的ではない。 (キ) なお,行政解釈として,課長補佐については,「課もしくは所に勤務する職員にかかる人事,給与,服務等に関する事項以外の事務もしくは技術についてのみ上司を補佐する課長補佐またはいわゆる処遇上の課長補佐であって,人事,給与,服務等に関する事項について何らの職務を行わないもののほかは,管理職員等に含まれる」(昭41・1・1自治省公務員課決定,乙70)があり,また,「技術のみを補佐する者,処遇上の補佐にすぎない者等,人事に全く関与しないもの以外は(「管理職員等」の範囲に)含まれる。」とする見解があるが,前記の地公法52条3項ただし書の趣旨に照らしてくみすることができない。したがって,所属する課において,補佐的に又は代理として,人事,給与,服務等に関する事項に関与するというだけでは,「管理職員等」に該当しないと解するのが相当である。 エ以上の認定判断からすると,Dは,その具 おいて,補佐的に又は代理として,人事,給与,服務等に関する事項に関与するというだけでは,「管理職員等」に該当しないと解するのが相当である。 エ以上の認定判断からすると,Dは,その具体的職務権限からみて,「重要な行政上の決定を行う職員」,「重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員」,「職員の任免に関して直接の権限を持つ監督的地位にある職員」,「職員の任免,分限,懲戒若しくは服務,職員の給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接」する監督的地位にある職員のいずれに当たるともいえないし,その他「職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員」に当たるともいえないから,上下水道課長補佐ではあるけれども,地公法52条3項ただし書にいう「管理職員等」に該当しないというべきである。被告公平委員会は,「管理職員等」に当たる課長補佐の範囲について,地公法52条3項ただし書の趣旨に合致するよう,本件規則を解釈・適用すべきであったのに,Dが形式的に町長事務部局の課長補佐であるということだけで,同人が同項ただし書の管理職員等に該当するとし,同人の加入により原告が地公法52条3項にいう「職員団体」でなくなったものとしてなされた本件取消処分は,地公法53条6項所定の職員団体の登録取消事由があったものとはいえない。したがって,本件取消処分は,その余の点を判断するまでもなく違法であって,取消しを免れない。 なお,被告町の公平委員会は,Dが,本件規則2条別表第1をそのまま適用すれば,課長補佐として「管理職員等」に当たり,また,原告の構成員についての規約自体にも反することを承知の上で,あえて原告への再加入を認めたものであり,結局,原告とDは,被告公平委員 をそのまま適用すれば,課長補佐として「管理職員等」に当たり,また,原告の構成員についての規約自体にも反することを承知の上で,あえて原告への再加入を認めたものであり,結局,原告とDは,被告公平委員会に対して職員団体の登録の効力停止や取消しを予想しながらあえて法廷闘争を行うためになしたものであって,何ら合理的理由がないなどと主張する。確かに,前記認定事実によれば,本件に至る経緯において,原告及びDが,本件規則が存在し,この規則の改正は職員団体としての交渉事項には当たらないことを承知の上で,それに反する行動を取り,また,DやAらが課長補佐に昇進するに当たって,原告からの脱退を認めながら,Dの再加入を認めるなど,相矛盾した態度を取っていることが明らかであるが,上記のように,Dは,地公法52条3項ただし書の「管理職員等」に当たらないものであるから,同被告の主張は,上記判断を何ら左右するものではない。 2 争点(2)(本件昇格発令が国家賠償法1条の「違法行為」に当たるか否か及び原告の損害額)について(1) 被告町において,人事権者たる町長が,いつ,いかなる者を昇進させるかは,その広範な裁量に委ねられているものというべきであり,その裁量権の逸脱又は濫用がない限り,それは単に当,不当の問題が生じるにとどまり,国家賠償法上違法の問題を生じることはないと解するのが相当である。 (2) そこで,本件昇格発令に裁量権の逸脱又は濫用があるかどうかについて検討する。 ア前提事実,証拠(乙72,75,84,証人H)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 平成3年度人事院勧告において,昇格制度を,職員が一定級以上に昇格した場合に,現行の昇格の際に決定される号俸より1号俸上位の号俸に決定する方式(以下 ,次の事実が認められる。 (ア) 平成3年度人事院勧告において,昇格制度を,職員が一定級以上に昇格した場合に,現行の昇格の際に決定される号俸より1号俸上位の号俸に決定する方式(以下「新昇格制度」という。)に改めることとし,この措置は平成4年度から漸進的に実施すると勧告された。この勧告を受け,国においては,平成7年4月1日から新昇格制度を本格実施することとした(人事院規則9-8)。原告は,平成8年11月ころから,大宇陀町長に対し,新昇格制度の本格実施に伴う必要な措置の実施を求めるなどしていた。 (イ) 平成9年当時,大宇陀町民の福祉健康増進の拠点施設「多世代交流プラザ」の造成工事の着工や,簡易水道事業の給水拡張及び浄水場改良工事等で,上下水道工事の事業量のピークを迎えること,緊急地方道路整備事業の早期完成,農村集落排水事業等の推進などの重要施策が山積しており,これらの大量に増大した事業量の事業計画を実施するために事業部の組織体制の整備が急務とされていたことなど,行政需要の増大が見込まれ,主として技術経験を有する主任クラスからの課長補佐昇格が課題となっていた。同7月1日,被告町の町長は,主に技術経験を有する主任クラスの中から課長補佐昇格登用を行うこととし,町長室で町理事者3人,総務部長,総務部参事により人事異動の検討に入った。当時の12名の主任クラスの課長補佐候補者名簿に基づいて,年齢,職場経歴,管理指導能力,業務遂行能力及び適性等を総合的に考慮し,各職場における具体的な行政上の必要性を検討することとなった。 (ウ) 上記検討の結果,副委員長のBの建設課長補佐昇格が決定され,次いで委員長のAの上下水道課長補佐の昇格,更に書記長のCの産業経済課長補佐の昇格が決定した。そして,この3名が,原告の三 (ウ) 上記検討の結果,副委員長のBの建設課長補佐昇格が決定され,次いで委員長のAの上下水道課長補佐の昇格,更に書記長のCの産業経済課長補佐の昇格が決定した。そして,この3名が,原告の三役であったので,原告の運営に支障が生じないかどうか確認する必要があるとして,I総務部長が,同月2日,Bを通じて,3名に課長補佐昇格についての打診をし,同日中に結論を出すよう求めた。 BとCは相談の上,出張中のAに連絡してAと合流し,さらに3名で相談の上,それぞれ昇格を受諾することにした。同日,Aを上下水道課長補佐に,Cを産業経済課長補佐に,Bを建設課長補佐に,それぞれ昇格させる旨の内示がなされた。同月4日,内示のとおり,A,C及びBをそれぞれ課長補佐にする旨の昇格が発令された。 イ上記認定事実からすると,本件昇格発令は,被告町を取り囲む情況に即応するために行われたものと認められ,被告町の町長が,A,C及びBをそれぞれ課長補佐に昇進させたことは,これら3名の能力等の面からも行政上の必要性の面からも特に不当なものではないといえるから,被告町の町長に人事権行使について裁量権の濫用又は逸脱はなかったというべきである。 原告は,被告町の町長が,原告及びその構成員を驚愕,動揺させたり,町長が約束した新昇格制度実施の回答を回避し,原告の弱体化を図るために同行為を行ったと主張し,それに沿う証拠(甲49,68,82,83,証人J,原告代表者)を提出する。確かに,原告と町長との間で,国の新昇格制度実施に伴い,被告町でのこれの実施に向けての話合いがなされていたことは認められるし,本件昇格発令による三役の同時昇進によって原告の組織が大きな影響を受けたことは推測できる。けれども,本件昇格発令は,人事権者たる町長の裁量権の範囲内であるし,そ いがなされていたことは認められるし,本件昇格発令による三役の同時昇進によって原告の組織が大きな影響を受けたことは推測できる。けれども,本件昇格発令は,人事権者たる町長の裁量権の範囲内であるし,その後に新昇格制度が実施されたことからみても,人事権者である町長が,原告及びその構成員を驚愕,動揺させたり,約束した新昇格制度実施の回答を回避し,原告の弱体化を図るために行ったものと認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件昇格発令がその裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したということはできない。 (3) そうすると,被告町の町長が本件昇格発令をなすに当たり,職務上の法的義務違反があったと認めることはできないから,本件昇格発令に国家賠償法上の違法はない。そうすると,本件昇格発令が違法であることを前提とする原告の損害賠償請求は,その余の点について判断するまでもなく失当である。 3 争点(3)(本件取消処分が国家賠償法1条の「違法行為」に当たるか否か及び原告の損害額)について(1) 上記第2の1の認定判断によれば,大宇陀町公平委員会(以下「公平委員会」という。)による本件取消処分は違法であるから,取り消されるべきである。 しかし,地方公共団体の公権力の行使に当たる公務員が職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合に,当該地方公共団体が国家賠償法に基づき損害賠償責任を負うのは,当該公務員について故意又は過失があることが必要である。 (2) そこで,被告町の公平委員会の委員に上記故意・過失があったかのかどうかについて検討する。 ア前提事実,上記認定事実,証拠及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 (ア) 原告は,本件昇格発令により,組合三役であったA,C及びBが原告を て検討する。 ア前提事実,上記認定事実,証拠及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 (ア) 原告は,本件昇格発令により,組合三役であったA,C及びBが原告を脱退するに伴い,役員を辞職したため,執行部が総辞職することとった。原告は,急遽,役員選挙を実施することとなったが,立候補者が現れなかったため,平成9年7月18日に臨時大会を開催して,上記3名を除いた旧執行部が同年9月の次期定期大会まで暫定的に業務を行うことを決定した(甲49,原告代表者)。原告は,同年7月23日,7月4日付け人事異動に係る抗議書を提出した(甲49)。 (イ) Dは,同年9月16日,被告公平委員会に対し,地公法46条に基づき,「勤務条件に関する措置要求書」を提出した(乙36)。その内容は,概略,上下水道課の課長補佐(上水道担当課長補佐)である自らの職務権限は,上水道の一担当であり,簡易水道事業に伴う一監督員であって,地公法にいう管理職員の範囲の適用を受けない立場にあり,管理職員の範囲から除外することを求めるというものであった。 (ウ) 同月26日,原告の第32回定期大会において,新たに執行委員長以下の新役員及び執行委員を選任し,新執行部が選出された(甲49)。同日,Dが原告への加入届を提出した(甲17)。同年10月1日,新たに役員及び執行委員を選任したことを受けて,原告は,公平委員会に対し,職員団体の登録に関する条例(甲4)に基づき,登録申請記載事項変更届出書(乙37)とともに,原告の規約4条について,「この組合は,大宇陀町に勤務する職員で組織に管理職及び臨時職員を除く。」から,「この組合は,大宇陀町に勤務する職員で組織し,管理職を除く。」に変更する旨の規約変更届出書(乙38)を提出した。原告におい の組合は,大宇陀町に勤務する職員で組織に管理職及び臨時職員を除く。」から,「この組合は,大宇陀町に勤務する職員で組織し,管理職を除く。」に変更する旨の規約変更届出書(乙38)を提出した。原告において,同月7日の第1回執行委員会において,Dの原告再加入について協議し,「D課長補佐が組合員として活動する権利及び組合加入を妨げる要因はない」旨の執行委員会見解を出した(甲49,乙40)。 (エ) 公平委員会は,原告に対し,原告からの上記登録変更を受理する旨の通知をし,原告は,同月17日,同通知を受け取った(甲49)。同日,公平委員会は,Dからの上記措置要求について,その対象となる職員の勤務条件とは,賃金・給与等はもとより,執務環境等が勤務する上で利害関係のある事項で,これを可能な限り広範囲に解しても,職員の経済的地位の向上に関連したものでなければならないところ,上記措置要求が地公法46条に規定する勤務条件に該当しないとして,これを却下する決定をし,その旨,Dに通知した(乙39の1,2)。 (オ) 原告の規約4条においては,組合員の構成について,「この組合は,大宇陀町に勤務する職員で組織し,管理職を除く。」と規定していたが(乙34),同年11月5日の第2回執行委員会において,Dの加入を認めるとともに,Dを原告の特別執行委員に選出した(甲49,乙40)。これにより,原告は,同月6日,公平委員会に対し,役員に変更があったとして,本件変更届出書を提出した(甲4の2,甲49)。 (カ) 公平委員会は,本件変更届出書に,本件規則規定の管理職員等が混在するから,登録要件を欠くとしてものであるとして,口頭で補正を命じたが,原告が補正に応じなかったため,同年12月2日,原告に対し,補正命令を発した(甲21,乙41) ,本件規則規定の管理職員等が混在するから,登録要件を欠くとしてものであるとして,口頭で補正を命じたが,原告が補正に応じなかったため,同年12月2日,原告に対し,補正命令を発した(甲21,乙41)。原告は,上記補正命令に対し,補正の必要がないとして,同月15日,公平委員会に対し,同内容のまま本件変更届出書を再提出するとともに(甲23,乙42の1ないし4),管理職員等の範囲についての公平委員会規則改正の申し入れを行った(甲24,乙43)。公平委員会は,同月18日,原告の同日付け職員団体登録申請記載事項変更届は,地公法53条に適合しないので登録できない旨を,職員団体の登録に関する条例3条の規定に基づき通知した(甲25,乙44)。 (キ) 原告は,公平委員会からの上記通知に対し,平成10年2月13日付けで,登録できない理由について,地公法53条のどの項に該当するのか明確にするとともに,原告の上記申し入れに対する対応について,文書による回答を求めた(甲26,乙45)。公平委員会は,同月27日付けで,本件変更届出書には本件規則で規定する管理職員が混在しており,原告が地公法52条3項に規定する職員団体としての要件を欠いており,また,同時に提出された組合規約に地公法53条2項4号に規定される構成員の範囲に,規約記載事項と異なる事実があるので,地公法53条5項に適合しないため,職員団体として登録しない旨の通知を行うとともに,管理職員等の範囲については,公平委員会規則で定めることになっており,この範囲は労使間の交渉で変更するものではなく,公平委員会の責任と判断で行うものであるから,本件規則の変更については,職員団体が公平委員会に交渉を求めたりする性格のものでないと解する旨の回答を行った(甲27,乙46)。 (ク) 公平委員 会の責任と判断で行うものであるから,本件規則の変更については,職員団体が公平委員会に交渉を求めたりする性格のものでないと解する旨の回答を行った(甲27,乙46)。 (ク) 公平委員会は,同年4月13日,原告に対し,職員団体登録の効力停止について,弁明書の提出期限を同月30日までと定め,弁明の機会を付与する旨通知した(甲29,乙47)。原告は,同月23日付けで上記通知に対する質問書(甲30,乙48)を提出したが,弁明書は提出しなかった。公平委員会は,同年5月12日,平成9年12月15日付けの本件変更届出書には,原告の構成員に管理職員等が混在しており,登録要件を欠くとして,地公法53条6項,本件条例5条に基づき,同日から平成10年6月10日までの原告の職員団体登録の効力停止を決定し,その旨原告に通知した(甲32,乙50)。原告は,同年5月28日付けで,上記登録効力停止処分に対する抗議書を提出するとともに(甲34,乙51),同年6月5日付けで,上記登録効力停止処分が適正な判断に基づくものとはいえず,手続的にも違法かつ不当であるなどとして異議申立てを行った(甲35,乙52)。 (ケ) 公平委員会は,同年6月9日,原告から上記異議申立てがなされたことを受けて,原告の職員団体の登録効力停止期間を同月11日から同年7月11日まで延長することとし,原告にその旨通知した(甲36,乙54)。原告から請求のあった口頭意見陳述については,公平委員会は,同年7月8日午前10時から被告町役場会議室でこれを開催し,執行委員長のK(以下「K執行委員長」という。)及び執行委員のDらから意見を聴取した(甲37,乙55,56の1ないし8)。公平委員会は,同月10日,原告の上記異議申立てを棄却する決定をし,その旨を原告に通知した(甲38,乙5 委員長」という。)及び執行委員のDらから意見を聴取した(甲37,乙55,56の1ないし8)。公平委員会は,同月10日,原告の上記異議申立てを棄却する決定をし,その旨を原告に通知した(甲38,乙57の1,2)。 (コ) 公平委員会は,同月28日,原告に対し,行政手続法13条1項に基づき,予想される不利益処分を原告の職員団体登録取消しとして,これについての聴聞手続を同年8月11日午前10時から,町役場2階会議室で行うことの通知をした(甲39,乙59の1から6)。原告は,同年7月31日付けで,公平委員会に対し,文書の閲覧申請,聴聞の公開請求並びに,聴聞の日時及び場所を補佐人や傍聴人の収容(100人以上)ないし参加が可能となるように,日時を同年8月19日又は9月1日の午後7時以降,場所を中央公民館ホールとするよう申し出た(甲40,41,乙60の1,2,乙61,63)。これを受けて,公平委員会は,上記聴聞手続の日時及び場所を,同年9月28日午後2時から,被告町中央公民館2階B講座室に変更し,その旨原告に通知した(乙62)。 (サ) 原告は,同年9月7日付けで公平委員会の委員3名に対し,個々に管理職員等の範囲についての公平委員会規則改正の申入れを行い(甲42,乙64の2),被告町長,公平委員会と原告執行委員長,書記長が,本件規則の改正について話合いの場を持ったが,決裂した(甲49)。原告は,同年9月18日付けで,「管理職範囲拡大反対・公平委員会規則改正決起集会」を開催し,同集会参加者一同名で,公平委員会に対し,「『管理職員等』についての公平委員会規則改正を求める要望書」を送付した(甲45,46,49,乙67)。 (シ) 公平委員会は,平成10年9月28日午後2時から,大宇陀町中央公民館で,原告の職員団 』についての公平委員会規則改正を求める要望書」を送付した(甲45,46,49,乙67)。 (シ) 公平委員会は,平成10年9月28日午後2時から,大宇陀町中央公民館で,原告の職員団体登録取消のために聴聞手続(以下「本件聴聞手続」という。)を行った(甲47)。出席したのは,原告側がK執行委員長,J副委員長,L副委員長,M書記長のほか,8名の執行委員,N弁護士,自治労県本部O書記長及びP調査部長であり,公平委員会側がQ委員長(以下「Q委員長」という。),F委員,R委員,S弁護士,同委員会事務局員のT被告町総務課長補佐であり,被告町総務課参事であるE公平委員会事務局長が本件聴聞手続を主宰した(甲71)。原告側は,Eが冒頭に本件聴聞手続の説明を始めると,Eが主宰者として不適格であるとして異議を申し立てたり,本件規則改正についての公平委員会議事録及び公布手続の存否について質問を始めた。しかし,E及び公平委員会は,これに対応せず手続を進めた。原告側は質問や異議申立てを続け,公平委員会はこれを無視し,原告が不利益処分の内容等に関する意見等を述べることなく,手続は終了した(甲71,乙74,証人F,同J,原告代表者)。 (ス) 原告は,同月30日,本件聴聞手続が公平委員会の事務局長であるEが主宰したものであり,また,原告の質問権,意見陳述権及び証拠提出権を侵害したまま手続を終了させたもので違法であるとして,聴聞会の再開を求める申入書を提出した(甲48)。しかし,公平委員会は,平成11年2月1日,本件取消処分を行い,同日,原告に通知した(甲5)。 (セ) 原告は,平成11年4月9日,本件訴訟を提起した。原告は,その後,被告町議会議員宛に,「職員団体としての『登録取り消し』処分についての組合見解」と題する書面を した(甲5)。 (セ) 原告は,平成11年4月9日,本件訴訟を提起した。原告は,その後,被告町議会議員宛に,「職員団体としての『登録取り消し』処分についての組合見解」と題する書面を送付する(甲55)などしたほか,平成10月27日,原告の規約4条について,「この組合は,被告町に勤務する職員で組織し,管理職を除く。」から,「この組合は,被告町に勤務する職員及び組合が認めるもので組織する。」に変更した(甲1,甲64)。 イ公平委員会の委員において,本件取消処分時に,同委員会が現に収集した判断資料及び通常要求される資料収集を行えば入手し得た判断資料を総合勘案して,合理的な判断過程を経た上で,本件取消処分をしたのであれば,本件取消処分についての故意・過失を欠くから,それが直ちに国家賠償法上の違法行為に当たるものではないというべきである。 上記認定事実,証拠(乙70,74,86ないし101,104ないし112,証人F)及び弁論の全趣旨からすると,本件取消処分は,公平委員会が,地公法及び自ら定めた本件規則に基づき行ったものであること,奈良県内においては管理職員等について同様の規定を置いている条例を有する地方公共団体が多数存在することが認められ,管理職員等と一般職員等との区別が,個々の地方自治体における法令その他による職制及び権限分配の実態に基づき客観的に定まるものであって,地方公共団体ごとに異なることもありうるし,単に職名のみによって定まるものではないとはいえ,課長補佐を一律に管理職員等とする取扱いが数多くの自治体に認められる状態であったこと,課長補佐は,広く「管理職員等」に含まれるという趣旨の行政通達があったことなどからして,公平委員会の委員が,Dを本件規則2条別表第1の「管理職員等」に当たるとした上 体に認められる状態であったこと,課長補佐は,広く「管理職員等」に含まれるという趣旨の行政通達があったことなどからして,公平委員会の委員が,Dを本件規則2条別表第1の「管理職員等」に当たるとした上で,本件取消処分を行ったことは無理のないことであって,本件取消処分が違法であることを認識することが可能であったということはできず,故意・過失は認められない。 また,原告は,本件取消処分についての聴聞手続についても行政手続法違反を主張するが,上記認定事実によれば,同手続の主宰者及び意見陳述の機会の付与について,違法とされる余地はない。 (3) 以上のとおりであって,公平委員会の委員が本件取消処分を行うに当たり故意又は過失があったものとは認められないし,その手続に違法があったことも認められないから,公平委員会の委員の不法行為を前提とする,原告の被告町に対する請求は,その余の点について判断するまでもなく,失当である。 第4 結論よって,原告の,被告公平委員会に対する請求は理由があるからこれを認容し,被告町に対する請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 奈良地方裁判所第2民事部裁判長裁判官宮城雅之 裁判官島川勝 裁判官谷口真紀 裁判官谷口真紀
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