【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人米村嘉一郎上告趣意書第一点は原判決ハ被告人ニ対スル犯罪事実タル判示 第二ノ(一)ニ於テ 「被告人A及同Bハ原審相被
主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人米村嘉一郎上告趣意書第一点は原判決ハ被告人ニ対スル犯罪事実タル判示 第二ノ(一)ニ於テ 「被告人A及同Bハ原審相被告人Cト共謀ノ上……D方デ同 人所有ノ衣類等合計四十六点(価格合計金四千二百円相当ノモノ)ヲ窃取タモノデ アル」ト判示シ右認定ノ証拠トシテD提出ノ盗難被害届ニ右判示ニ照応ス被害顛末 ノ記載アルコトニヨリ之ヲ認ムトセラレタリ。然ルニ記録第百五十七丁以下ノD提 出ノ盗難被害届ノ記載ハ判示ノ如ク同人所有ノ衣類等合計四十六点価格合計四千二 百円相当ノモノトノ記載ニアラズ右被害届記載ノ被害金額ハ合計三千八百一円ナリ 何等判示ノ如ク四千二百円相当ノモノトノ記載ハ存在セザルモノナリ。然ルニモ拘 ラズコレヲ以テ判示同趣旨ノ記載アルモノトシテ証拠ニ援用シ犯罪事実ヲ認定セラ レタルハ虚無ノ証拠援用ノ違法アリト云ハザルベカラズ而シテ右ハ被害物件価格ニ 就テノ虚無ノ証拠援用ナルトコロ本件判示ノ如ク単ニ衣類等何点価格何々ト判示シ 被害物件名ヲ詳細ニ判示シアラザルトキハ価格モ又被害物件ノ判示タルモノニシテ 罪トナルベキ事実ニ関スルモノナルコトニ疑ヒナシ然ラズト仮定スルモ価格ハ犯情 等ニ影響スル重要ナル事実ナルヲ以テコレニ関シ虚無ノ証拠ヲ援用スルハ許サレザ ルトコロナリと言ふのであるが、上告理由記載の通り計算に誤りがあつたとしても 犯行全体から観察して極めて軽微で判決に影響を及ぼす程度のもので無いと認めら れるから破毀の理由とはならない。 同第二点は原判決ハ判示第三ノ(一)ニ於テ被告人ハ他ノ者ト共謀ノ上Eヨリ麦 五升ヲ詐取シタルモノト判示セラレタリ、然レ共単ニ麦五升トノミ判示セラレタル ノミニテ被害物件名即チ犯罪構成要件ノ記載トシテ充分ナラズ、麦ニハ種々ノ種類 アリ又精麦アリ押麦アリ丸麦等存ス。若シ判示ニ 麦 五升ヲ詐取シタルモノト判示セラレタリ、然レ共単ニ麦五升トノミ判示セラレタル ノミニテ被害物件名即チ犯罪構成要件ノ記載トシテ充分ナラズ、麦ニハ種々ノ種類 アリ又精麦アリ押麦アリ丸麦等存ス。若シ判示ニ五升ナル数量ノ記載無キトキハ理 - 1 - 由不備ナルベク同様ニ単ニ麦トノ判示セラルヽハ判決理由不備ナルモノト解ス、次 ニ右事実認定ノ証拠トシテEノ司法警察官ニ対スル聴取書ニ判示ニ照応スル被害顛 末ノ記載アリトシテ証拠ニ採用セラレタリ然ルニ右聴取書ニハ袋入リノ押麦五升ト 記載アリ即チ判示ノ如ク単ニ麦五升ナリトノ記載ニアラズ此点ニ於テモ又虚無ノ証 拠援用アリトモ見ラルベシと云ふが詐欺罪の目的物である財物の表示として麦五升 と表示すれば充分であつて、麦の種類を表示し無いでも破毀の理由にはならない。 又上告理由後段は原判決は虚無の証拠によつて麦五升を詐取した事実を認定した違 法のものだと云ふけれども原判決は押麦五升を表示するに当つて押麦と云ふ種類の 表示を省いた丈けで、押麦五升とは別個の麦五升を詐取したものと認定したものと 認める事は出来ないから原判決は虚無の証拠によつて麦五升を詐取したと認定した と云ふ非難は当を得ざるものであつて破毀の理由にはならない。 以上は裁判官全員一致の意見であるので刑事訴訟法第四百四十六条により右の通 り判決する。 検察官安平政吉関与 昭和二十二年十一月十四日 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎 裁判官 井 上 登 裁判官 庄 野 理 一 裁判官 島 保 裁判官 河 村 又 介 - 2 - 庄 野 理 一 裁判官 島 保 裁判官 河 村 又 介 - 2 -
▼ クリックして全文を表示