平成30(行コ)5 違法支出金返還共同訴訟参加請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成30年8月30日 大阪高等裁判所 その他
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判決文本文18,055 文字)

- 1 -平成30年8月30日判決言渡平成30年(行コ)第5号違法支出金返還共同訴訟参加請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成24年(行ウ)第5号(甲事件),同第10号(乙事件))主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,αに対し,96億3000万円及びこれに対する平成24年1月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要本判決で用いる略語は原判決の例による。 1 本件は,大阪府の住民である控訴人ら(原審甲事件原告ら及び原審乙事件原告共同訴訟参加人ら。ただし,控訴をしなかった原告及び原告共同訴訟参加人もいる。)が,大阪府によるβビルの購入及び同ビルへの部局の移転につき,当時の大阪府知事であった補助参加人が,βビルの耐震性等について十分な調査をすることなく,防災拠点となるべき大阪府庁舎として使用する目的でβビル及びその敷地を購入する契約を締結し,その購入費用(本件購入費用)並びに大阪府の部局の移転に要した費用(本件移転費用)を支出したことが違法であるなどと主張して,被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,補助参加人に,不法行為に基づく損害賠償金96億3000万円(本件購入費用の全額及び本件移転費用の一部に相当する額)及びこれに対する甲事件訴状及び乙事件に係る当事者参加申出書送達日の翌日である平成24年1月31日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を請 - 2 -求することを求める住民訴訟の事案である。 原判決は,控訴人らの請求をいずれも棄却したところ,控訴人らが本件控訴をした。 2 本件 定年5分の割合による遅延損害金の支払を請 - 2 -求することを求める住民訴訟の事案である。 原判決は,控訴人らの請求をいずれも棄却したところ,控訴人らが本件控訴をした。 2 本件の関係法令等の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり補正し,3で当審における控訴人らの主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の2ないし5(原判決2頁5行目から37頁7行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決13頁22行目の「ていた。」の次に「また,上記の数ある模擬地震波に優劣を付けることはできないのであるから,提案されている多くの模擬地震波をできるだけ多く使用し,耐震性の判断を行うべきである。」を加える。 (2) 同14頁7行目から8行目にかけての「記載がある。」の次に「府有建築物総合耐震設計要領(甲67の2)には要領の適用範囲を「1-2 大阪府建築部営繕室において整備する府有建築物に適用する。なお,既存建物の耐震設計については,別途定める。」とのみ記載されており,整備対象である府有建築物は大阪府自身が建築する建物に限られない。府有建築物であれば,すべて営繕部において整備するものであって,府が他者から購入するものであっても,営繕部の整備の対象となるのであって,同要領は適用される。同要領が大阪府において新たに耐震設計を行う場合のみを対象にするものとすれば,他者から購入した場合には,どのような重要な府有建物でも特別な耐震基準を考慮する必要がないこととなり,社会通念から逸脱した結論となる。 したがって,府のβビル購入については,同要領の規定(1-3)により官庁施設耐震基準及び官庁施設耐震基準解説が適用される。また,これら基準等が適用されないとしても,βビルの耐震性 脱した結論となる。 したがって,府のβビル購入については,同要領の規定(1-3)により官庁施設耐震基準及び官庁施設耐震基準解説が適用される。また,これら基準等が適用されないとしても,βビルの耐震性については,建物建築の最低基準である性能評価方法書に基づき合理的な判断がされるべきである。」を,11行目の末尾に「また,本件模擬地震波は,過去に受けたことのある地震 - 3 -動のうち最強と考えられるものでも,将来において受けることが考えられる最強の地震動(乙67の64頁)でもないから,上記割増しは当然求められる。」をそれぞれ加える。 (3) 同17頁2行目の「X方向」から3行目までを「X方向が1/59(ι設計報告書記載の対応後も1/77である。),Y方向が1/59であり,上記対応後も,1/100を大きく上回っているのであるから,その他の点を考慮するまでもなく,βビルを購入すべきではなかった。」と改め,21行目の末尾に改行して次のとおり加え,22行目の「(e)」を「(f)」と改める。 「(e) 性能評価方法書は,応答値が前記(b)から(d)までに示した数値を超える場合は,その超過する程度に応じてごとの応答値を算定できる適切な解析モデルを用いて層間変形角,層の塑性率及び部材の塑性率等の妥当性が確かめられていること,応答解析に用いる部材の復元力特性が,応答変形を超える範囲まで適切にモデル化され,かつそのモデル化が適切である構造ディテールを有すること,水平変形に伴う鉛直荷重の付加的影響を算定できる適切な応答解析が行われていることがそれぞれ確認されることを求めている。 しかし,ι設計報告書は上部構造だけのモデルを使用しているところ,専門家会議検証結果においては,上部構造のみでなく杭もモデル化して解析を行っていることに照らし(乙1 認されることを求めている。 しかし,ι設計報告書は上部構造だけのモデルを使用しているところ,専門家会議検証結果においては,上部構造のみでなく杭もモデル化して解析を行っていることに照らし(乙18の6の3頁),適切な解析モデルを用いているとはいえない。また,性能評価方法書には層間変形角の検討理由を外装材等落下の危険性の検討に限定していないし,層間変形角が大きくなると内装材やダクトの損傷,ロープが大きく揺れることによる昇降機の落下等の重大事故も起こりうる。外装材の落下についても,メーカーに回答を求めたのみで十分な検討がされたとはいえない。 また,ι設計報告書には,層間変形角が1/100を超えた場合に,建物の構造が十分それに対応する詳細設計になっているかの確認について - 4 -明記されていない。 さらに,の事項については検討すらされていない(証人ψ)。」(4) 同18頁20行目の末尾に「地震被害想定報告書の液状化予測は,500mメッシュ(大阪市域は250m)であるから,少なくともメッシュごとのボーリングデータがなければ,正確な液状化予測は不可能である。」を加える。 (5) 同19頁1行目の末尾に「地震被害想定報告書では,東南海・南海地震のモーメント・マグニチュードを8.6と想定しているが,1707年の宝永地震のモーメント・マグニチュード8.7ないし9.3,1896年の明治三陸地震の8.5と比較して,東南海・南海地震の規模の想定は明らかに過小である。なお,南海トラフで過去に起きた地震の規模をマグニチュード8. 0から8.4とする記載(甲30)は,表面波マグニチュード又は実体波マグニチュードを表しているから,これを上記モーメント・マグニチュード8. 6と比較することは無意味である。」を加え,その次に改行して次のとおり加え る記載(甲30)は,表面波マグニチュード又は実体波マグニチュードを表しているから,これを上記モーメント・マグニチュード8. 6と比較することは無意味である。」を加え,その次に改行して次のとおり加える。 「 地震被害想定報告書が兵庫県南部地震の液状化を検討した結果等を踏まえた知見によるとしても,南海トラフ巨大地震の最大加速度及び継続時間が兵庫県南部地震を下回るとは考えられず,現に兵庫県南部地震を上回る最大加速度が他の地震で観測されているから(甲83,84),その液状化発生の予測は極めて甘いものである。 また,兵庫県南部地震発生時に大阪市ζ区の大阪管区気象台が観測した最大加速度は81ガルであるのに(甲82)大阪市内のδ岸壁のある地点では液状化現象が発生しているにもかかわらず,液状化発生の可能性を中程度とする防災機能検討報告書の液状化予測は合理的ではない。 d 平成15年度検討結果の津波シミュレーションは,昭和南海地震(マグニチュード8.0)をマグニチュード8.4に拡張したモデルを想定地震 - 5 -としているが,前記宝永地震のモーメント・マグニチュード8.7ないし9.3,明治三陸地震の8.5であることに照らせば,想定地震その津波予測は過小評価というべきである。 地震被害想定報告書の浸水予測は,陸域境界条件は完全反射を予測条件としているから(乙77の52頁),波が遡上しないことを陸との境界条件として予測しており,これを前提とする防災機能検討報告書の津波浸水想定は,津波の特性,越流及び遡上を考慮していないものである。」(6) 同19頁10行目の「ある。」を「あり,液状化の可能性が否定できず,これによりγγ橋,δδ橋及びδ大橋は落橋のおそれがあることを否定できない(甲5の65頁以下)。」と改め,14行目の末尾に「ζζの幹線道路 頁10行目の「ある。」を「あり,液状化の可能性が否定できず,これによりγγ橋,δδ橋及びδ大橋は落橋のおそれがあることを否定できない(甲5の65頁以下)。」と改め,14行目の末尾に「ζζの幹線道路は地盤改良がされていたとしても,その周囲が液状化しやすい地盤であれば,幹線道路上のφ大橋及びχトンネルの耐震補強がされていたとしても,落橋や浸水の起こる可能性は高い。」を,17行目の「わけではない。」の次に「防災機能検討報告書で予定されている耐震対策がいつ具体化されるかは明らかでなく,南海トラフ巨大地震が発生する前に耐震対策が完了する保証はなかった。」を,末行の末尾に「想定を超える規模の地震により,参集ルートが封鎖された場合等には防災拠点として機能しない可能性を認識しながらβビルを防災拠点として機能する庁舎として購入することは,それ自体裁量権の逸脱濫用に当たる。」を,それぞれ加える。 (7) 同20頁10行目の末尾に改行して次のとおり加える。 「 大阪府庁舎の老朽化や執務環境の狭隘化の問題の解決と財政シミュレーションは無関係であり,大阪府庁舎のβビルへの全面移転の可能性が完全になくなったのであるから,再度,財政シミュレーションの修正を行うことは当然である。」(8) 同20頁19行目の末尾に「業務システム移転費用が高額でなかったことの根拠はなく,高額でないとしても,これを計上しなければ正確な財政シミ - 6 -ュレーションはできない。」を加える。 (9) 同26頁9行目の末尾に改行して次のとおり加え,10行目の「(c)」を「(d)」と改める。 「(c) 控訴人ら主張の確認事項については,設計用地震動を杭の先端から入力する場合は杭を含めて一体的にモデル化する必要があるが,地表面又は建物底から入力する場合は杭を含めない。βビルの める。 「(c) 控訴人ら主張の確認事項については,設計用地震動を杭の先端から入力する場合は杭を含めて一体的にモデル化する必要があるが,地表面又は建物底から入力する場合は杭を含めない。βビルの場合,ι設計報告書だけでなく現設計時の構造計算においても,設計用地震動を建物底(地下3階)から入力しているため,上部構造と杭を一体的にモデル化する必要はない。専門家会議検証結果は,東日本大震災に伴う長周期地震動の詳細な地震記録を得て,これを活用してより詳細な建物の挙動を把握するため,杭を軸方向のばねに置き換えて解析モデルに組み込んだものであり,通常の性能評価のための構造解析に上記のような解析は求められていない。 また,ι設計報告書では,エレベータの事故についても適切な検討を加え,対策の必要性を明記している(1-8頁)。外装材の性能の確認するにはその製造メーカーに問い合わせるほかない。 控訴人ら主張の確認は,層間変形角が1/100,層の塑性率が2.0,部材の塑性率が4.0を超えたとしても,その値を正確に測定し,検討することを求める趣旨のものであり,これは適切に算出されている。 控訴人ら主張の確認事項については,当時詳細な計算までは行っていないものの,本件調査結果の数値と過去の事例に照らし,ダンパー設置の実施設計においてクリアできるとの判断がされており,検討はされている。 (10) 同27頁16行目の末尾に「K地区の面積は約1050haであり,250m四方の面積6.25haの168面分に当たるから,上記500本を超えるボーリングデータは,精緻な液状化予測を行うに十分なものである。」を加え,末行の末尾に改行して次のとおり加える。 「 控訴人らが宝永地震のモーメント・マグニチュードを8.7ないし9. - 7 -3とする根拠は不明で 状化予測を行うに十分なものである。」を加え,末行の末尾に改行して次のとおり加える。 「 控訴人らが宝永地震のモーメント・マグニチュードを8.7ないし9. - 7 -3とする根拠は不明であるし,モーメント・マグニチュードの値を算出するには高性能の地震計によるデータが必要であり,そのようなデータの存在しない過去の地震の規模について,研究の域を出ない数値を検討対象としても意味がない。また,甲30が出版された平成15年9月時点の政府公表のマグニチュードはモーメント・マグニチュードによるものであるから,甲30の地震規模の表記はモーメント・マグニチュードで統一されているとみるのが相当である。 地震被害想定報告書を引用する防災機能検討報告書は,βビル購入時点における科学的知見を踏まえて,平成21年に作成されたものであり,東日本大震災発生以降に検討が始まった南海トラフ巨大地震を想定したものではない。 防災機能検討報告書は東南海・南海地震の発生に伴う液状化の分布を予測したものであり,δ岸壁のある地点の大半はPL値は15以上であり液状化発生の可能性は中程度以上とされている(図3-10)。他方,地震被害想定報告書では,海溝型地震発生時の甲B・D岸壁付近のPL値が15に達する限界加速度は0ガルから200ガルとされ(図3-3),液状化の可能性は高いもしくは極めて高いと評価されている。したがって,最大加速度81ガルで液状化が発生したことと,防災機能検討報告書が引用する地震被害想定報告書の予測結果は整合する。 d 平成15年度検討成果は,複数の津波モデルを想定した上で,大阪港で津波が最も大きくなる津波モデルを用いて津波シミュレーションと浸水シミュレーションを行ったものであり(乙44の1頁),当時の科学的知見を踏まえた適切なものである。 地震被 を想定した上で,大阪港で津波が最も大きくなる津波モデルを用いて津波シミュレーションと浸水シミュレーションを行ったものであり(乙44の1頁),当時の科学的知見を踏まえた適切なものである。 地震被害想定報告書の浸水予測は,沿岸に伝播した津波の水位を測定するため,海岸線に沿った直立壁を仮想し,これに当たってせり上がった津波の高さを浸水予測の初期条件とする。控訴人ら指摘の「完全反射」は, - 8 -仮想壁によって津波が完全に跳ね返されたときに津波のせり上がりが最も大きくなるので,これを条件としてシミュレーションを行ったという意味であり,より厳しい浸水予測を行ったものである。」(11) 同28頁5行目の末尾に「防災機能検討報告書には,府庁の移転までに必要な対策を必ず実施・完了すると明記しており,当時,大阪府及び大阪市はこの認識を共有していた(乙17の21頁)。」を加える。 (12) 同28頁末行の末尾に改行して次のとおり加える。 「 庁舎移転構想,府庁舎移転案とも庁舎の老朽化,執務環境の狭隘化,執務室の分散化など庁舎問題の解決を目的に検討されたものであり,財政シミュレーションはその一環として作成されたものである(乙24,28)。」(13) 同32頁11行目の末尾に「総務部統計課に至っては,平成23年3月18日の上記検査実施前にβビルに移転している。」を,19行目の末尾に「η庁舎の正庁の間はβビル移転前には迎賓応接室として利用されておらず,大阪府は迎賓応接室を設置することなく外国の大使や公使の応接をしていたのであるから,本件調度品を備えた本件応接室を設ける必要自体なかった。」をそれぞれ加える。 3 当審における当事者の主張(1) 控訴人らの主張ア βビル立地地点及びK地区の液状化予測地震被害想定報告書において補正係数 た本件応接室を設ける必要自体なかった。」をそれぞれ加える。 3 当審における当事者の主張(1) 控訴人らの主張ア βビル立地地点及びK地区の液状化予測地震被害想定報告書において補正係数Cwを0.9とする(乙31の45頁)根拠は不明であるし,その液状化予測は新道路橋示方書の液状化判定法を用いたものであるが,同判定法はあくまで簡易法であり,想定地震動の最大加速度(483.64ガル)と最長継続時間(56.46秒)は,将来発生する南海トラフ巨大地震のそれと比較して極めて甘い想定である(甲94参照)。 イ参集ルート(σルート)の安全性 - 9 -沈埋工法によるKトンネルの耐震設計はマグニチュード8.4の南海トラフ地震等を想定地震としているが,マグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震の地震動やこれに伴う液状化により補強後の水平及び鉛直せん断キーや継手連結ケーブル等を構成する部材が損傷を受けないとはいえない(甲95)。 また,兵庫県南部地震の際,大阪市内の防潮堤施設に被害が生じたことからすれば,南海トラフ巨大地震が発生したときに防潮堤が有効に機能するとは考えられず,防潮堤の高さのみでKトンネルの水没を否定することはできない。 ウ財政シミュレーションの適否等(大規模修繕費)ααは,専門的な学術的知見に基づきβビルの大規模修繕費用につき,東京都庁舎と同様に当初建築費用の半分に当たる600億円を要すると述べている(甲65。甲96参照)。βビルのような超高層建築では容易に足場を組み立てることができず,足場の組立費用は幾何級数的に増大すると指摘されている。 エ βビルの購入目的と耐震性能調査等のあり方βビルは,南海トラフ地震等の大地震発生時の防災拠点となるべき府庁舎として使用する目的で購 場の組立費用は幾何級数的に増大すると指摘されている。 エ βビルの購入目的と耐震性能調査等のあり方βビルは,南海トラフ地震等の大地震発生時の防災拠点となるべき府庁舎として使用する目的で購入したのであるから,その購入に当たっては,耐震性能の調査や耐震補強の方法の検討について最悪の事態を想定し,より慎重で厳密な検証をする必要があり,本件模擬地震波以外の模擬地震波(例えば釜江波等。原判決13頁参照)による検討もすべきであった。その際には,βビル購入に伴う公費の支出が,災害時の拠点,司令塔と機能すべき府庁舎の購入という目的のための最小限の経費として妥当性があるかの観点も踏まえなければならない。 (2) 被控訴人の主張ア βビル立地地点及びK地区の液状化予測 - 10 -地震被害想定報告書の補整係数Cwは液状化に対する地盤の抵抗率を求めるための係数であり,これを下げることは,より液状化しやすい方向へ向けての検討を行うことである。道路橋示方書の液状化判定法においてはプレート境界型の地震動に対して道路橋示方書においてはCw1.0とされているのを,継続時間が長い東南海・南海地震を適切に考慮するためCw0. 9としたのである。また,地震被害想定報告書が南海トラフ巨大地震を想定したものではないことは前記のとおりである。 イ参集ルート(σルート)の安全性平成21年時点でのKトンネルの耐震性能については,東南海・南海地震の想定地震動による照査に基づき,トンネル継手部の補強が完了,トンネル本体も東南海・南海地震の想定地震動により照査,耐震性能が確保されている(乙17の15頁)。なお,防災機能検討報告書が南海トラフ巨大地震を想定したものでないことは前記のとおりである。 ウ βビルの購入目的と耐震性能調査等のあり方 照査,耐震性能が確保されている(乙17の15頁)。なお,防災機能検討報告書が南海トラフ巨大地震を想定したものでないことは前記のとおりである。 ウ βビルの購入目的と耐震性能調査等のあり方本件調査は,当時の科学的知見に照らして適切に実施されている。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,控訴人らの請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとおり補正し,次項で当審における控訴人らの主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1ないし4(原判決37頁9行目から90頁5行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決49頁1行目の「当たって,」の次に「数値等を操作するなど,」を,2行目の末尾に「ι設計報告書の妥当性は,以下で検討するとおり,その内容を吟味して判断すべきものである。」をそれぞれ加え,(2) 同50頁6行目の「府有建築物総合耐震設計要綱」を「府有建築物総合耐震設計要領」と訂正し,7行目の「同要綱は,」を「同要領1-2には, - 11 -「この要領は,大阪府建築部営繕室において整備する府有建築物に適用する。 なお既存建物の耐震設計については,別途定める。」と定められており,その文言からして,」と改め,10行目の「同要綱」を「同要領」と訂正し,11行目の末尾に「既存建物に係る別途の定めがないとしても,既存建物の購入に当たっては,事情に即した耐震性の判断は必要となるから,社会通念に反する事態が生じるとはいえず,上記文言からしても上記要領が既存建物に適用されるとはいえない。また,性能評価方法書の基準を満たすといえることは,後記のとおりである。」を加える。 (3) 同56頁24行目の末尾に「なお,専門家会議検証結果(乙18の6)においては,上部構造のみ とはいえない。また,性能評価方法書の基準を満たすといえることは,後記のとおりである。」を加える。 (3) 同56頁24行目の末尾に「なお,専門家会議検証結果(乙18の6)においては,上部構造のみでなく杭もモデル化して,建物解析結果を再検討している。しかし,これはβビルに設置された地震計により得られた東日本大震災の観測結果を踏まえた再検討であり,性能評価方法書に基づく評価のために杭もモデル化した解析まで求められているとはいえないし,建物の固有周期について従前の杭をモデル化しない解析モデルと再検討結果に大きな差は見られなかったと評価されている(乙18の6,証人ψ,弁論の全趣旨)。 そうすると,ι設計報告書の解析モデルが杭もモデル化していないからといって,部材ごとの応答値を算定し得る適切な解析モデルを用いていないことにはならない。」を加える。 (4) 同57頁3行目の「認められる。」を「認められ,これを動かすに足りる証拠はない。」と改め,9行目の「によれば,」の次に「実際に外装材を製造したメーカーの担当者に面談して調査した結果,」を,16行目の末尾に「なお,ダクト等の設備の移動や昇降機ロープの揺れについては,曲げ変形成分を含めた層間変形角の関与が大きいことを認めるに足りる証拠はないし,ι設計報告書には昇降機のロープの揺れ止め等の対策が記載されていることも考慮すれば,ダクトの損傷やロープの揺れによる昇降機の落下の可能性をもって,確認事項所定の事項が確認されていないとはいえない。」をそれ - 12 -ぞれ加える。 (5) 同58頁1行目の末尾に「控訴人主張の詳細設計についての確認は,確認事項の問題とはいえない。」を加え,8行目の「ないといえる。」を「なく,これについて検討がされていないとはいうことはできない。」と改める。 (6 末尾に「控訴人主張の詳細設計についての確認は,確認事項の問題とはいえない。」を加え,8行目の「ないといえる。」を「なく,これについて検討がされていないとはいうことはできない。」と改める。 (6) 同61頁24行目の末尾に「したがって,曲げ変形成分を含めた層間変形角の数値が1/100を上回る1/77(X方向。対応策実施後)であるからといって,そのことから直ちにβビルを購入すべきではなかったということにはならない。」を加える。 (7) 同68頁23行目の末尾に「控訴人らは,1707年の宝永地震のモーメント・マグニチュードが8.7ないし9.3,1896年の明治三陸地震のモーメント・マグニチュードが8.5であるから,地震被害想定報告書の東南海・南海地震の規模についてモーメント・マグニチュードを8.6とする想定は,明らかに過小であると主張する。しかし,宝永地震や明治三陸地震のモーメント・マグニチュードが上記の値であることを認めるに足りる確たる証拠はない。 また,控訴人らは,甲30記載の南海トラフで発生した地震の地震規模の表示は表面波マグニチュード又は実体波マグニチュードであるから上記地震被害想定報告書の想定するモーメント・マグニチュード8.6と比較することは無意味であると主張する。しかし,甲30記載のマグニチュードの表示が表面波マグニチュード又は実体波マグニチュードを示すものであるとの記載はどこにも見当たらない。そして,中央防災会議は平成13年には東海地震の地震規模の想定をモーメント・マグニチュードによって記載し(甲42),甲30は平成15年9月に刊行された文献であるから,そこでのマグニチュードの表示はモーメント・マグニチュードとみるのが自然である。そうすると,甲30記載の地震規模を地震被害想定報告書の想定する地震規模と比較することが 月に刊行された文献であるから,そこでのマグニチュードの表示はモーメント・マグニチュードとみるのが自然である。そうすると,甲30記載の地震規模を地震被害想定報告書の想定する地震規模と比較することが意味をなさないということはできない。控訴人らの上記主 - 13 -張は採用することができない。」を加える。 (8) 同70頁5行目の「はない。」の次に「ちなみに,当時想定された地震では,上町断層帯地震では,震度6強以上が大阪府域の面積の約2割,その他の内陸地震では約1割であり,東南海・南海地震では震度5強ないし6弱が大阪府域のほぼ5割に発生するとされ(乙77),地震の揺れによる加速度が震度5で80~250ガル,震度6で250~400ガルとされていること(甲6)に鑑みれば,上記想定地震による液状化予測を行った(乙76)地震被害想定報告書の想定が当時において不相当とまではいえない。」を,同行の「失当である。」の次に「なお,南海トラフ巨大地震について想定や対策の検討が必要とされるに至ったのは,東日本大震災の後のことである(甲85,乙35)。そうすると,地震被害想定報告書が南海トラフ巨大地震を想定したものでないとしても,直ちに不相当ということはできない。」をそれぞれ加え,8行目の「液状化現象が生じたから(甲80)」を「最大加速度81ガルで液状化現象が生じたから(甲80,82)」と,12行目の「されていない。」を「されておらず,地震被害想定報告書では,δ岸壁は,限界加速度0~150又は0~200とされているから,81ガルで液状化現象が生じたことは,上記液状化予測と矛盾しない。」とそれぞれ改める。 (9) 同71頁5行目の「されている」の次に「(K地区の面積は約1050haであるから(弁論の全趣旨。なお乙18の6),250m✕250mのメッ 記液状化予測と矛盾しない。」とそれぞれ改める。 (9) 同71頁5行目の「されている」の次に「(K地区の面積は約1050haであるから(弁論の全趣旨。なお乙18の6),250m✕250mのメッシュ(6.25ha)168面分となるから,500本を超えるボーリングデータは十分な数のデータといえる。)」を加える。 (10) 同72頁18行目の末尾に「また,平成15年度検討結果においては,想定南海地震波を昭和南海地震(マグニチュード8.0)をマグニチュード8.4に拡張したモデルを用いているが,前記のとおり,宝永地震のモーメント・マグニチュードが8.7ないし9.3,明治三陸地震のそれが8.5 - 14 -であることを認めるに足りる確たる証拠はないのであるから,上記想定地震による津波予測が過小評価であるとはいうことはできない。」を加える。 (11) 同73頁6行目の「推認される」の次に「(平成15年度検討結果において,経済活動や市民生活に与える影響を考慮し,政策的判断から抑制的な津波予測をしたことを窺わせる証拠はない。)」を加える。 (12) 同75頁5行目の「認められない」の次に「(津波予測の計算諸元の陸域境界条件に「完全反射」とあるのが(乙77の52頁),波が遡上しないことを条件とするという意味であるとは認められない(54頁の図4-4からは津波が遡上することを前提とするものであることが窺われる。)。むしろ,沿岸に伝播した津波の水位を測定するため,海岸線に沿った直立壁を仮想し,その仮想壁に津波が完全に跳ね返され,津波のせり上がりが最も大きくなるとの条件設定で浸水予測をしたものと考えられる。)」を加える。 (13) 同78頁3行目の「いえない。」の次に「控訴人らは,上記耐震対策がいつ具体化されるかは明らかでないなどと主張するが,いず くなるとの条件設定で浸水予測をしたものと考えられる。)」を加える。 (13) 同78頁3行目の「いえない。」の次に「控訴人らは,上記耐震対策がいつ具体化されるかは明らかでないなどと主張するが,いずれも府庁舎移転までの実施が予定されており(乙24),δ大橋北詰には現に津波防御施設が設置されているし,他の参集ルートが存在することを考慮すれば,上記判断を動かすものではない。」を,14行目の末尾に「また,当初予定していた防災拠点を使用できないような事態が生じた場合に備え,バックアップ施設を予定することが不相当であるとはいえないし,バックアップ施設を予定することは庁舎移転案においても明記されていた(乙24)から,バックアップ施設を予定していたからといって,βビルの購入がそれ自体裁量権の逸脱濫用に当たるとはいえない。」をそれぞれ加える。 (14) 同80頁21行目の「公表後に」の次に「これを踏まえて」を加える。 (15) 同81頁6行目から7行目にかけての「耐震改修案」を「耐震補強案」と訂正し,18行目の末尾に「控訴人らは,大阪府庁舎のβビルへの全面移転の可能性がなくなった以上,再度,財政シミュレーションの修正を行 - 15 -うべきであると主張するが,庁舎移転案における財政シミュレーションが公表された状態で,前記利点を積極的に評価して大阪府議会はβビルの購入に係る議案を可決したのであるから,財政シミュレーションの修正等が行われなかったとしても,その購入が裁量権の逸脱濫用に当たるとはいえないことは前記説示のとおりである。」を加える。 (16) 同82頁7行目の「移転費が」を「移転費は各部局が個別の業務に使用するシステムの移転に要する費用であり,それが」と改める。 (17) 同86頁3行目の末尾に「総務部統計課(統計資料室)の移転は, ) 同82頁7行目の「移転費が」を「移転費は各部局が個別の業務に使用するシステムの移転に要する費用であり,それが」と改める。 (17) 同86頁3行目の末尾に「総務部統計課(統計資料室)の移転は,平成23年3月14日であるが,移転のすぐ後に上記安全性の確認がされているのであるから,総務部統計課(統計資料室)の移転も違法とまではいえない。」を加える。 (18) 同87頁21行目の末尾に「控訴人らは,η庁舎の正庁の間が迎賓応接室として使用されていないのであれば,そもそも本件応接室自体必要がなかったと主張するが,庁舎移転構想や庁舎移転案(乙28,24)においては,執務室が狭隘で迎賓や接遇の環境が不十分であることが指摘されており,正庁の間が執務室に転用されていたからといって,迎賓応接室自体が不要であったとはいうことにはならない。」を加える。 2 当審における当事者の主張に対する判断(1) βビル立地地点及びK地区の液状化予測控訴人らは,βビル立地地点及びK地区の液状化予測について,地震被害想定報告書において補正係数Cwを0.9とする(乙31の45頁)根拠は不明であるし,その液状化予測は新道路橋示方書の液状化判定法を用いたものであるが,同判定法はあくまで簡易法であり,想定地震動の最大加速度(483.64ガル)と最長継続時間(56.46秒)は,将来発生する南海トラフ巨大地震のそれと比較して極めて甘い想定である(甲94参照)と主張する。 - 16 -しかし,地震被害想定報告書の補正係数Cwは,液状化に対する地盤の抵抗率を求めるための地震動特性による係数であり,新道路橋示方書の液状化判定式ではプレート境界型(タイプⅠ)地震動ではCw1.0が用いられているところ(甲94,乙30,31,77),地震被害想定報告書では海溝型地震の継 震動特性による係数であり,新道路橋示方書の液状化判定式ではプレート境界型(タイプⅠ)地震動ではCw1.0が用いられているところ(甲94,乙30,31,77),地震被害想定報告書では海溝型地震の継続時間の長い地震動の影響を考慮するためCwを0.9として液状化発生の判定指標としていることが認められる。そして,控訴人提出の文献(甲94。これは,gらによる平成15年10月の研究である。)においても,道路橋示方書を簡易液状化判定法としているものの,その有用性を否定しているわけではなく,想定される東海・東南海地震のように震動継続時間が非常に長くなるような場合において道路橋示方書の液状化判定法により液状化の危険度を検討するには,Cw0.9程度を用いる必要があると結論付けており,地震被害想定報告書(これは,平成19年3月の報告書である。)もこれに従ったことが窺われる(乙31の45頁)。そうすると,地震被害想定報告書において補正係数Cwを0.9とした上で,新道路橋示方書の液状化判定法により液状化の検討を行ったことが不相当ということはできない。 また,南海トラフ巨大地震について想定や対策の検討が必要とされるに至ったのは,東日本大震災の後であることは原判決を補正の上引用して認定説示したとおりであるから,地震被害想定書が南海トラフ巨大地震を想定していないからといって,その想定が不相当であるとか,本件購入契約の締結及び本件購入費用の支出が違法であるとかいうことはできない。 控訴人らの上記主張は採用できない。 (2) 参集ルート(σルート)の安全性控訴人らは,参集ルート(σルート)について,沈埋工法によるKトンネルの耐震設計はマグニチュード8.4の南海地震等を想定地震としているが,マグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震の地震動やこれに伴う液状化に 参集ルート(σルート)について,沈埋工法によるKトンネルの耐震設計はマグニチュード8.4の南海地震等を想定地震としているが,マグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震の地震動やこれに伴う液状化により補強後の水平及び鉛直せん断キーや継手連結ケーブル等を構成する部 - 17 -材が損傷を受けないとはいえないこと(甲95),兵庫県南部地震の際,大阪市内の防潮堤施設に被害が生じたことから,Kトンネル水没を否定することはできないと主張する。 そこで,検討するのに,甲95,乙17(防災機能検討報告書)によれば,Kトンネルには沈埋工法が用いられ,沈埋函同士あるいは沈埋函と換気塔を可撓性継手で連結しており,水平せん断キー,鉛直せん断キーや継手連結ケーブル等が継手の構成部材となっていること,その耐震設計において,マグニチュード8.4の南海地震,マグニチュード7.25の京都文禄地震が想定地震とされていることが認められる。このような,上記想定の下における耐震設計自体に不合理な点があるとは認められない。そして,マグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震について想定や対策の検討が必要とされるに至ったのは,東日本大震災の後であることは既に説示したとおりであるから,それより以前にされた平成21年のトンネル継手部補強工事が南海トラフ巨大地震を想定していないとしても,直ちに不当ということはできないし,本件購入契約の締結及び本件購入費用の支出が違法なものともいえない。 また,兵庫県南部地震の際,大阪市内の防潮堤施設に被害が生じたことが認められるが(甲80),原判決(74頁参照)を引用して説示したとおり,兵庫県南部地震は内陸直下型地震(甲82)であり,同地震の際に液状化等により防潮堤に被害が生じたからといって,海溝型地震である南海トラフ巨大地震(乙31(11 74頁参照)を引用して説示したとおり,兵庫県南部地震は内陸直下型地震(甲82)であり,同地震の際に液状化等により防潮堤に被害が生じたからといって,海溝型地震である南海トラフ巨大地震(乙31(11頁))が発生したときに同様の事態が生じると断ずることはできない(乙17(15~16頁))。そして,平成21年8月時点において,Kトンネルの内陸側坑口のあるσ地区の防潮堤は内陸直下型地震にも耐え得るように順次補強が実施されているほか,津波の発生を伴う東南海・南海地震(海溝型地震)レベルの揺れに対しては概ね安全性が確保されている。他方,大規模な内陸直下型地震に対しては防潮堤の損傷も想定されるが,この場合には津波の発生はないのであるから,被災直後の津波の影響 - 18 -はないものと考えられる(乙17(15~16頁))。したがって,兵庫県南部地震の際に大阪市内の防潮堤施設に被害が生じたことをもって,σルートが参集ルートとして適格性を有しないということにはならない。控訴人らの上記主張は採用できない。 (3) 財政シミュレーションの適否等(大規模修繕費)控訴人らは,ααは,専門的な学術的知見に基づきβビルの大規模修繕費用につき,東京都庁舎と同様に当初建築費用の半分に当たる600億円を要すると述べており(甲65。甲96参照),そして,βビルのような超高層建築では容易に足場を組み立てることができず,足場の組立費用は幾何級数的に増大すると指摘されていることから,財政シミュレーションにおける大規模修繕費の額は相当でないと主張する。 しかし,証人ααも述べるようにβビルの大規模修繕費が当初建築費の半分にも上ることの根拠は,高さが60mを超える建築物であり,竣工時期が概ね同時期であるとの点で類似する東京都庁舎の修繕費との比較のみである。 これをもって るようにβビルの大規模修繕費が当初建築費の半分にも上ることの根拠は,高さが60mを超える建築物であり,竣工時期が概ね同時期であるとの点で類似する東京都庁舎の修繕費との比較のみである。 これをもって,βビルの大規模修繕費が当初建築費の半分にも上ると認められないことは原判決を引用して説示したとおりである。また,ααは,足場を組み立てることが困難であることも指摘するが,そうであるとしても,その代替措置による大規模修繕費が当初建築費の半分にも上るということの具体的な主張,立証はない。さらに,文献(「建築物のライフサイクルコスト」。甲96)には,事務所ビルのライフサイクルコスト(建築物の生涯に必要なすべてのコスト)のモデルとして,コスト総計に対する建設コストが16.3%であり,修繕コストが14%であるとの記載がある。しかし,これは現実の建築物でなくモデルによる算定結果であり,これを直ちにβビルに当てはめてその大規模修繕費を当初建築費の半分にも上るといえるかどうかには疑問がある(なお,建て替え案の財政シミュレーションでは,新庁舎建築事業費が526億円,大規模修繕費が75億円とされており,前者は - 19 -後者の約14%とシミュレートされている。乙24)。したがって,控訴人らの上記主張は採用できない。 (4) βビルの購入目的と耐震性能調査等のあり方控訴人らは,βビルは,南海トラフ地震等の大地震発生時の防災拠点となるべき府庁舎として使用する目的で購入したのであるから,その購入に当たっての耐震性能の調査や耐震補強の方法の検討については,最悪の事態を想定し,より慎重で厳密な検証をする必要があり,釜江波等の本件模擬地震波以外の模擬地震波による検討もすべきであったなどと主張する。そして,上記検証においては,βビル購入に伴う公費の支出が,災 事態を想定し,より慎重で厳密な検証をする必要があり,釜江波等の本件模擬地震波以外の模擬地震波による検討もすべきであったなどと主張する。そして,上記検証においては,βビル購入に伴う公費の支出が,災害時の拠点,司令塔と機能すべき府庁舎の購入という目的のための最小限の経費として妥当性があるかの観点も踏まえなければならないと主張する。 しかし,府庁舎として使用する目的で建物を購入するに当たり,耐震性能の調査や耐震補強の方法の検討について慎重で厳密な検証をする必要があるとしても,本件模擬地震波は,相応の理論的根拠に基づき作成され,かつ,βビルの立地地点の地盤の特徴を考慮したものであって,これに基づいてβビルの耐震性を検討したことが合理的であることは原判決を引用して説示したとおりである。したがって,必ずしもβビルの立地地点の地盤の特徴を考慮していない釜江波等(原判決13頁参照)の本件模擬地震波以外のあらゆる模擬地震波によってβビルの耐震性を検討することが必要であったとはいえない(原判決50,51頁参照)。また,βビルの耐震性の検討において官庁施設耐震基準解説所定の入力地震動の割増しを行うべきであったとはいえないこと,βビルは性能評価方法書の定める基準を満たしていることは原判決を補正の上引用して説示したとおりである。そして,南海トラフ巨大地震について想定や対策の検討が必要とされるに至ったのは,東日本大震災の後であることは既に説示したとおりであるから,それより以前にされた本件購入契約の締結の違法性判断に当たり,南海トラフ巨大地震を想定していな - 20 -いことを考慮することは相当でない。 そうすると,βビルは,本件購入契約締結当時の知見等に照らすならば,予定されていた防災拠点としての適格性を全く欠いていたということはできないから,補 -いことを考慮することは相当でない。 そうすると,βビルは,本件購入契約締結当時の知見等に照らすならば,予定されていた防災拠点としての適格性を全く欠いていたということはできないから,補助参加人が本件購入契約を締結したことに裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があったとはいえず,これが違法であるとはいえない。したがって,控訴人らの上記主張は採用できない。 (5) 控訴人らはその他にも縷々主張するが,上記判断を動かすものではない。 3 以上によれば,原判決は相当であり,本件各控訴はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第9民事部 裁判長裁判官松田亨 裁判官上田日出子 裁判官檜皮高弘(別紙省略)

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