令和7年3月12日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5年(ワ)第70380号特許権侵害行為差止等請求事件口頭弁論終結日令和6年12月24日判決 原告株式会社ルイファン・ジャパン 同訴訟代理人弁護士溝田宗司同補佐人弁理士白坂一同鬼頭優希 被告株式会社ルミカ 同訴訟代理人弁護士小林幸夫同弓削田博同木村剛大同平塚健士朗同補佐人弁理士南瀬透同遠坂啓太 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙被告製品目録記載の各製品の生産、譲渡、貸渡し、輸出、輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告は、別紙被告製品目録記載の各製品及びその半製品を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、1億1000万円及びこれに対する令和5年7月13日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は、発明の名称を「棒状ライト」とする特許第7169001号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、別紙被告製品目録記載の各製品(以下「被告各 本件は、発明の名称を「棒状ライト」とする特許第7169001号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、別紙被告製品目録記載の各製品(以下「被告各製品」といい、同目録記載1の製品を「被告製品1」などという。)は本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)の技術的範囲に属するも のであり、被告による被告各製品の製造及び販売等が本件特許権の侵害に当たると主張して、被告に対し、被告各製品の生産等の差止め並びに被告各製品及びその半製品の廃棄を求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償金1億1000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によっ て容易に認められる事実)⑴ 当事者原告は、ペンライト等に使用する化学発光体の製造及び販売を業とする株式会社である。 被告は、化学発光体等の製造及び販売を業とする株式会社である。 ⑵ 本件特許(甲1、2)原告は、平成28年12月12日を出願日とする特許出願(特願2016-240332号。以下「本件原々出願」という。)の一部を分割して出願した特許出願(特願2019-148901号)の一部を更に分割して、令和2年12月11日、本件特許の特許出願(特願2020-205719号。 以下「本件出願」という。)をし、令和4年11月1日、本件特許権の設定登 録(請求項の数3)を受けた(以下、本件出願の願書に添付された明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。また、本件明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載する。)。 ⑶ 特許請求の範囲本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以 細書及び図面を併せて「本件明細書」という。また、本件明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載する。)。 ⑶ 特許請求の範囲本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである。 「発光部と、前記発光部を発光させる複数の色のデフォルトの発光順序を定めるデフォルトパターンを記憶する記憶部と、前記複数の色の中から1つの色を推薦色として設定する設定部と、前記発光部を発光させる複数の色を、前記デフォルトパターンで示される発光順序で切り替える第1ボタンと、前記推薦色で前記発光部を発光させるための入力を受け付ける第2ボタンと、 前記発光部を発光させる複数の色を、前記デフォルトパターンで示される発光順序とは逆順に切り替える第3ボタンと、前記第1ボタン、前記第2ボタン、および前記第3ボタンが設けられ、内部に電源を有する把持部と、前記デフォルトパターンで示される発光順序を選択する選択部を備え、前記第1ボタンに対するユーザからの第1所定入力に応じて、前記選択部において選 択されている前記デフォルトパターンで示される発光順序に従い、前記複数の色のうちいずれか1つの色で前記発光部を発光させる発光制御部と、を備え、前記第1ボタンは、所定時間以上継続しない押下である短押しと、前記短押しよりも長い所定時間以上継続した押下である長押しを検出可能なボタンであり、第1所定入力は前記短押しまたは前記長押しであり、前記第2ボ タンは、所定時間以上継続しない押下である短押しと、前記短押しよりも長い所定時間以上継続した押下である長押しを検出可能なボタンであり、第1所定入力は前記短押しまたは前記長押しであり、前記設定部は、前記発光部が発光しているときに、前記第2ボタンの前記第1所定入力を検出した場合、そのとき前記発 である長押しを検出可能なボタンであり、第1所定入力は前記短押しまたは前記長押しであり、前記設定部は、前記発光部が発光しているときに、前記第2ボタンの前記第1所定入力を検出した場合、そのとき前記発光部が発光している発光色を前記推薦色として、前記記憶部 に記憶し、前記発光制御部は、前記第2ボタンの前記第1所定入力を検出し た場合、前記設定部により前記記憶部に記憶された前記推薦色で前記発光部を発光させることを特徴とする棒状ライト。」⑷ 本件発明の構成要件の分説本件発明を構成要件に分説すると、以下のとおりである(以下、分説した各構成要件を「構成要件A」などという。)。 A 発光部と、B 前記発光部を発光させる複数の色のデフォルトの発光順序を定めるデフォルトパターンを記憶する記憶部と、C 前記複数の色の中から1つの色を推薦色として設定する設定部と、D 前記発光部を発光させる複数の色を、前記デフォルトパターンで示され る発光順序で切り替える第1ボタンと、E 前記推薦色で前記発光部を発光させるための入力を受け付ける第2ボタンと、F 前記発光部を発光させる複数の色を、前記デフォルトパターンで示される発光順序とは逆順に切り替える第3ボタンと、 G 前記第1ボタン、前記第2ボタン、および前記第3ボタンが設けられ、内部に電源を有する把持部と、H 前記デフォルトパターンで示される発光順序を選択する選択部を備え、I 前記第1ボタンに対するユーザからの第1所定入力に応じて、前記選択部において選択されている前記デフォルトパターンで示される発光順序に 従い、前記複数の色のうちいずれか1つの色で前記発光部を発光させる発光制御部と、を備え、J1 前記第1ボタンは、所定時間以上継続しない押下である 前記デフォルトパターンで示される発光順序に 従い、前記複数の色のうちいずれか1つの色で前記発光部を発光させる発光制御部と、を備え、J1 前記第1ボタンは、所定時間以上継続しない押下である短押しと、前記短押しよりも長い所定時間以上継続した押下である長押しを検出可能なボタンであり、第1所定入力は前記短押しまたは前記長押しであり、 J2 前記第2ボタンは、所定時間以上継続しない押下である短押しと、前 記短押しよりも長い所定時間以上継続した押下である長押しを検出可能なボタンであり、第1所定入力は前記短押しまたは前記長押しであり、J3 前記設定部は、前記発光部が発光しているときに、前記第2ボタンの前記第1所定入力を検出した場合、そのとき前記発光部が発光している発光色を前記推薦色として、前記記憶部に記憶し、 J4 前記発光制御部は、前記第2ボタンの前記第1所定入力を検出した場合、前記設定部により前記記憶部に記憶された前記推薦色で前記発光部を発光させるK ことを特徴とする棒状ライト。 ⑸ 被告各製品の構成 被告各製品の構成は、以下のとおりである。 ア被告製品1の構成1-aLED及び前記LEDから投射された光が透過するトップパーツと、1-b 前記LEDを発光させる15色のカラーチェンジの順序を定め る発光パターンを記憶するメモリと、1-c 前記15色の中から1つの色を登録色として設定する処理を行う設定部と、1-d 前記LEDを発光させる15色を、前記発光パターンで示される発光順序で切り替えることができるカラー順送りボタンと、 1-e 前記登録色で前記LEDを発光させるための入力を受け付ける推し色チェンジボタンと、1-f 前記LEDを発光させる前記15色を、前記カラ り替えることができるカラー順送りボタンと、 1-e 前記登録色で前記LEDを発光させるための入力を受け付ける推し色チェンジボタンと、1-f 前記LEDを発光させる前記15色を、前記カラー順送りボタンで切り替える前記発光パターンの発光順序とは逆順に切り替えることができるカラー逆送りボタンと、 1-g 前記カラー順送りボタン、前記推し色チェンジボタン、および前 記カラー逆送りボタンが設けられ、内部に電源を有するグリップと、1-h 前記発光パターンで示される発光順序で前記LEDを発光させることができる前記カラー順送りボタン、及び前記発光パターンで示される発光順序の逆順で前記LEDを発光させることができる前記カラー逆送りボタンを備え、 1-i 前記カラー順送りボタンを、前記LEDが発光しているときに短押しすると、前記発光パターンで示される発光順序に従い前記15色のうちいずれか1色で前記LEDを発光させることができ、1-j1~4 前記カラー順送りボタンは、短押しと、長押しを検出可能なボタンであり、前記推し色チェンジボタンは、短押しと、長押しを検 出可能なボタンであり、前記推し色チェンジボタンを、前記LED発光中に長押しした場合、そのとき前記LEDが発光している発光色を前記登録色として、前記メモリに記憶し、前記推し色チェンジボタンを、前記LED発光中に短押しした場合、前記メモリに記憶された登録色で前記LEDを発光させる 1-k ことを特徴とするハート型ペンライト。 イ被告製品2の構成2-aLED及び前記LEDから投射された光が透過するトップパーツと、2-b 前記LEDを発光させる14色のカラーチェンジの順序を定め る発光パターンを記憶するメモリと、2-c 前記14色 LED及び前記LEDから投射された光が透過するトップパーツと、2-b 前記LEDを発光させる14色のカラーチェンジの順序を定め る発光パターンを記憶するメモリと、2-c 前記14色の中から1つの色を登録色として設定する処理を行う設定部と、2-d 前記LEDを発光させる14色を、前記発光パターンで示される発光順序で切り替えることができるRボタンと、 2-e 前記登録色で前記LEDを発光させるための入力を受け付ける バックボタンと、2-f 前記LEDを発光させる前記14色を、前記Rボタンで切り替える前記発光パターンで示される発光順序とは逆順に切り替えることができるLボタンと、2-g 前記Rボタン、前記バックボタン、および前記Lボタンが設けら れ、内部に電源を有するグリップと、2-h 前記発光パターンで示される発光順序で前記LEDを発光させることができる前記Rボタン、及び前記発光パターンで示される発光順序の逆順で前記LEDを発光させる前記Lボタンを備え、2-i 前記Rボタンを、前記LEDが発光しているときに短押しすると、 前記発光パターンで示される発光順序に従い前記14色のうちいずれか1色で前記LEDを発光させることができ、2-j1~4 前記Rボタンは、短押しと、長押しを検出可能なボタンであり、前記バックボタンは、短押しと、長押しを検出可能なボタンであり、前記バックボタンを、前記LED発光中に長押しした場合、そのと き前記LEDが発光している発光色を前記登録色として、前記メモリに記憶し、前記バックボタンを、前記LED発光中に短押しした場合、前記メモリに記憶された登録色で前記LEDを発光させる2-k ことを特徴とする棒状ペンライト。 ウ被告製品3及び4の構成 記憶し、前記バックボタンを、前記LED発光中に短押しした場合、前記メモリに記憶された登録色で前記LEDを発光させる2-k ことを特徴とする棒状ペンライト。 ウ被告製品3及び4の構成 3-aLED及び前記LEDから投射された光が透過するチューブと、3-b トリガーボタン登録モード起動中に前記LEDを発光させる24色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン、および前記LEDを発光させる12色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン(シンプルモード)とを記憶するメモリと、 3-c 前記24色の中から1つの色を登録色として設定する処理を行 う設定部と、3-d 前記LEDを発光させる前記24色を、前記発光パターンで示される発光順序で切り替えることができるRボタンと、3-e 前記登録色で前記LEDを発光させるための入力を受け付けるトリガーボタンと、 3-f 前記LEDを発光させる前記24色を、前記Rボタンで切り替える前記発光パターンで示される発光順序の逆順に切り替えることができるLボタンと、3-g 前記Rボタン、前記トリガーボタン、前記Lボタンおよびセンターボタンが設けられ、内部に電源を有するグリップと、 3-h 前記発光パターンで示される発光順序で前記LEDを発光させることができるRボタン、及び前記発光パターンで示される発光順序の逆順で前記LEDを発光させることができるLボタンを備え、3-i 前記Rボタンは、トリガーボタン登録モード起動中に短押しすると、前記発光パターンで示される発光順序に従い前記24色のうちいず れか1色で前記LEDを発光させることができ、3-j1~4 前記Rボタンは、短押しを検出可能なボタンであり、前記Rボタン及び前記Lボタンは、同時長押しを検出 順序に従い前記24色のうちいず れか1色で前記LEDを発光させることができ、3-j1~4 前記Rボタンは、短押しを検出可能なボタンであり、前記Rボタン及び前記Lボタンは、同時長押しを検出可能であり、前記トリガーボタンは、短押しと、長押しを検出可能なボタンであり、前記LEDを発光させる24色のカラーチェンジの順序を定める前記発光パター ンで発光させるモード(トリガーボタン登録モード)起動中に前記トリガーボタンを短押しした場合、そのとき前記LEDが発光している発光色を前記登録色として、前記メモリに記憶し、前記登録色が登録された状態で、前記トリガーボタン登録モードのまま、Rボタン又はLボタンを押すと前記LEDが発光する色が変わり、前記トリガーボタンを短押 しした場合、前記登録色で前記LEDは発光せず、そのとき前記LED が発光している発光色を新たな登録色として、前記メモリに記憶し、前記トリガーボタン登録モードを終了してから前記シンプルモードに切替えた上で前記トリガーボタンを短押しした場合、前記メモリに記憶された登録色で前記LEDを発光させる3-k ことを特徴とする棒状ペンライト。 ⑹ 被告の行為被告は、被告各製品の製造及び販売等をした。 2 争点⑴ 被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)ア構成要件Bの充足性(被告製品3及び4)(争点1-1) イ構成要件Hの充足性(被告各製品)(争点1-2)ウ構成要件J3及びJ4の充足性(被告各製品)(争点1―3)エ構成要件Kの充足性及び均等侵害(被告製品1)(争点1-4)⑵ 無効の抗弁の成否(争点2)ア実施可能要件違反(争点2-1) イサポート要件違反(争点2-2)ウ明確性要件違反(争点2-3) 足性及び均等侵害(被告製品1)(争点1-4)⑵ 無効の抗弁の成否(争点2)ア実施可能要件違反(争点2-1) イサポート要件違反(争点2-2)ウ明確性要件違反(争点2-3)エ新規事項の追加(争点2-4)オ分割要件違反による新規性欠如(争点2-5)カ KINGBLADEONE1(以下「乙9発明」という。)に基づく 新規性欠如(争点2-6-1)キ KINGBLADEX10 Ⅱ Neo(以下「乙10発明」という。)に基づく新規性欠如(争点2-6-2)ク LumiConneLIVE!(以下「乙1発明」という。)に基づく進歩性欠如(争点2-7-1) ケ MIXPENLaPRO(以下「乙4発明」という。)に基づく進歩 性欠如(争点2-7-2)⑶ 損害の発生及びその額(争点3)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(構成要件Bの充足性(被告製品3及び4))について(原告の主張) ⑴ 構成要件Bの「デフォルトパターン」とは、予め記憶部に記憶された、発光部を発光させる複数の色のデフォルトの発光順序を意味する。そして、本件発明に係る特許請求の範囲及び本件明細書において、「デフォルトパターン」が複数あることを排斥する記載はないから、「デフォルトパターン」は一つであっても、複数であってもよい。 ⑵ 被告製品3及び4は、予め記憶部に記憶された「24色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン」及び「12色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン(シンプルモード)」を有するところ(3-b)、これらは、構成要件Bの「デフォルトパターン」に当たる。 (被告の主張) ⑴ 「デフォルトパターン」すなわち「初期設定の発光パターン」としては、通常、 モード)」を有するところ(3-b)、これらは、構成要件Bの「デフォルトパターン」に当たる。 (被告の主張) ⑴ 「デフォルトパターン」すなわち「初期設定の発光パターン」としては、通常、特定の発光パターンが想定され、特に言及がない限り、複数の発光パターンは想定されない。また、本件明細書には、「デフォルトパターン」が複数であることについての記載はない。したがって、「デフォルトパターン」とは、一つの発光パターンを意味する。 ⑵ 被告製品3及び4の記憶部に予め記憶された「24色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン」及び「12色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン(シンプルモード)」は、「デフォルトパターン」に当たらない。 2 争点1-2(構成要件Hの充足性(被告各製品))について(原告の主張) ⑴ 本件明細書【0011】においては、「発光パターン」と「所定の順序」が 区別されていることから、構成要件Hの「前記デフォルトパターンで示される発光順序を選択する選択部」とは、「所定の順序」すなわちデフォルトパターンの順序や逆順序等を選択する「選択部」を意味する。 ⑵ 被告各製品は、「前記発光パターンで示される発光順序で前記LEDを発光させることができる」ボタンである「カラー順送りボタン」(1-h)ない し「Rボタン」(2-h、3-h)と、「前記発光パターンで示される発光順序の逆順で前記LEDを発光させる」ことができるボタンである「カラー逆送りボタン」(1-h)ないし「Lボタン」(2-h、3-h)を有し、これらは「選択部」に当たる。 (被告の主張) ⑴ 構成要件Hの「選択部」は、「前記デフォルトパターンで示される発光順序を選択する」ものであるから、複数の発光パターンが記憶されている中 、これらは「選択部」に当たる。 (被告の主張) ⑴ 構成要件Hの「選択部」は、「前記デフォルトパターンで示される発光順序を選択する」ものであるから、複数の発光パターンが記憶されている中から、特定の発光パターンで示される発光順序を選択する「選択部」を意味し、一つの発光パターンの順序や逆順序を選択する構成は「選択部」に当たらない。 ⑵ 被告製品1及び2は、「15色のカラーチェンジの順序を定める発光パタ ーン」(1-b)ないし「14色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン」(2-b)を有するのみで、一つの発光パターンしか有しないから、「カラー順送りボタン」及び「カラー逆送りボタン」(1-h)ないし「Rボタン」及び「Lボタン」(2-h)は、「前記デフォルトパターンで示される発光順序を選択する」「選択部」に当たらない。 被告製品3及び4は、「24色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン」と「12色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン」とを有する(3-b)が、24色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン(トリガーボタン登録モード)の起動中は、12色のカラーチェンジの順序を定める発光パターン(シンプルモード)を呼び出すことができず、複数の発光 パターンから特定の発光パターンで示される発光順序を選択するものではな いから、「Rボタン」及び「Lボタン」(3-h)は、「前記デフォルトパターンで示される発光順序を選択する」「選択部」に当たらない。 3 争点1-3(構成要件J3及びJ4の充足性(被告各製品))について(原告の主張)⑴ 被告製品1及び2について ア構成要件J2において、第2ボタンの「第1所定入力」は「前記短押しまたは前記長押し」とされているから、構成要件J3及びJ 製品))について(原告の主張)⑴ 被告製品1及び2について ア構成要件J2において、第2ボタンの「第1所定入力」は「前記短押しまたは前記長押し」とされているから、構成要件J3及びJ4の「前記第2ボタンの前記第1所定入力」とは、第2ボタンの「前記短押しまたは前記長押し」を意味する。 そして、本件発明に係る特許請求の範囲には、構成要件J3の「前記第 1所定入力」及び構成要件J4の「前記第1所定入力」について、前者が短押しであるならば後者も短押し、前者が長押しであるならば後者も長押しに限定する記載はなく、本件明細書【0052】及び【0055】においては、構成要件J3の処理を行うためには第2ボタンを長押しすること、構成要件J4の処理を行うためには第2ボタンを短押しすることが記載さ れている。 したがって、構成要件J3の「前記第2ボタンの前記第1所定入力」と構成要件J4の「前記第2ボタンの前記第1所定入力」とは、異なる入力方法であってもよい。 イ被告製品1及び2は、「推し色チェンジボタン」(1-j1〜4)ないし 「バックボタン」(2-j1〜4)を、LED発光中に長押しした場合にその発光色を登録色としてメモリに記憶し、これらのボタンを短押しした場合に登録色でLEDを発光させるものであるが、前記アによれば、これらのボタンの「長押し」及び「短押し」は構成要件J3及びJ4の「前記第2ボタンの第1所定入力」に当たる。 ⑵ 被告製品3及び4について ア構成要件J4において、「第2ボタンの前記第1所定入力を検出した場合」に「推薦色で前記発光部を発光させる」に際し、「第1所定入力」に先立ってモードを切り替えることを排斥する記載はないから、「第2ボタン」における「第1所定入力」に先だって、モ 所定入力を検出した場合」に「推薦色で前記発光部を発光させる」に際し、「第1所定入力」に先立ってモードを切り替えることを排斥する記載はないから、「第2ボタン」における「第1所定入力」に先だって、モードを切り替える操作を要するとしても、「第2ボタンの前記第1所定入力を検出した場合」に「推薦色で 前記発光部を発光させる」に当たる。 イ被告製品3及び4は、「前記トリガーボタン登録モードを終了してから前記シンプルモードに切替えた上で前記トリガーボタンを短押しした場合」登録色でLEDを発光させる(3-j1〜4)ものであり、「第2ボタンの前記第1所定入力を検出した場合」に「推薦色で前記発光部を発光させる」 に当たる。 また、被告製品3及び4は、推薦色の登録機能及び推薦色による発光機能をトリガーボタンの押下により実現しており、課題及び解決手段が本件発明と共通するとともに、ボタンの一回の押下により推薦色を登録し、推薦色により発光させるという効果も本件発明と共通する。 (被告の主張)⑴ 被告製品1及び2についてア構成要件J2において、「第1所定入力」は「前記短押しまたは前記長押し」とされているところ、構成要件J3及びJ4において、「前記第1所定入力」とされていることや、本件明細書【0014】及び【0074】に おいて、「第1所定入力」と「第2所定入力」とが、同じ場面で長押しと短押しを区別するために用いられていることから、構成要件J3及びJ4の「前記第1所定入力」は、いずれも同じ入力方法を意味する。 イ被告製品1及び2は、登録色の記憶と登録色でのLEDの発光とを異なる入力方法で行うものであるから、構成要件J3及びJ4の「前記第1所 定入力」を充足しない。 ⑵ 被告製品3及び4についてア は、登録色の記憶と登録色でのLEDの発光とを異なる入力方法で行うものであるから、構成要件J3及びJ4の「前記第1所 定入力」を充足しない。 ⑵ 被告製品3及び4についてア本件発明の構成要件J3及びJ4は、本件明細書【0006】に記載された「複数回色選択ボタンを押下しないと、所望の色での発光ができない」との課題を解決するものであり、推薦色の発光のために複数回ボタンを押下する必要がある構成は含まない。 イ被告製品3及び4は、登録色でLEDを発光させるためには、トリガーボタン登録モードを起動して、所望の色を登録した後、トリガーボタン登録モードを終了させるために一回、シンプルモードを開始するために一回ボタンを押下する必要があるから、「第2ボタンの前記第1所定入力を検出した場合」に「推薦色で発光部を発光させる」を充足しない。本件発明の 構成要件J3及びJ4と被告製品3及び4とでは技術的思想が異なるから、被告製品3及び4は、構成要件J3及びJ4を充足しない。 4 争点1-4(構成要件Kの充足性及び均等侵害(被告製品1))について(原告の主張)⑴ 被告製品1は、ペンライトであるから、構成要件Kの「棒状ライト」に当 たる。 ⑵ 仮に被告製品1が構成要件Kに相当する構成を備えないとしても、次のとおり、被告製品1は本件発明と均等なものである。 被告製品1は「ハート型」ペンライトであり、本件発明の構成中の被告製品1と異なる部分は、構成要件Kの「棒状」の構成であるところ、この部分 は本件発明の本質的部分ではないから、均等の第1要件を充足する。 また、「棒状」である部分を「ハート型」と置き換えても、本件発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって、このように置き換えること 分ではないから、均等の第1要件を充足する。 また、「棒状」である部分を「ハート型」と置き換えても、本件発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって、このように置き換えることに、当業者が、被告製品1の製造等の時点において容易に想到することができたから、均等の第2、第3要件を充足する。 原告は、発光体の形状を「棒状」に限定しようとして、本件発明に係る特 許請求の範囲を「発光装置」から「棒状ライト」に補正したものではなく、本件発明に係る特許請求の範囲からハート型ペンライトを意識的に除外していないから、均等の第5要件を充足する。 (被告の主張)⑴ 被告製品1は、ハート型ペンライトであり、「棒状ライト」ではないから、 構成要件Kを充足しない。 ⑵ 本件発明の構成中の被告製品1と異なる部分は、構成要件K、J3及びJ4に係る構成である。 原告は、本件発明に係る特許請求の範囲を「発光装置」から「棒状ライト」に補正しており、本件発明に係る特許請求の範囲からハート型ペンライトを 意識的に除外したものであるから、均等の第5要件を充足しない。 5 争点2-1(実施可能要件違反)について(被告の主張)前記3(被告の主張)⑴アのとおり、構成要件J3及びJ4の「前記第2ボタンの前記第1所定入力」は、同じ入力方法を意味するところ、本件明細書に おいて、第2ボタンに対する同じ入力により、推薦色の記憶と推薦色での発光部の発光とを使い分ける方法は開示されていない。 (原告の主張)前記3(原告の主張)⑴アのとおり、構成要件J3の「前記第2ボタンの前記第1所定入力」と構成要件J4の「前記第2のボタンの前記第1所定入力」 とは、異なる入力方法であってもよい。そして、本件明細書【0052】、【 ⑴アのとおり、構成要件J3の「前記第2ボタンの前記第1所定入力」と構成要件J4の「前記第2のボタンの前記第1所定入力」 とは、異なる入力方法であってもよい。そして、本件明細書【0052】、【0054】及び【図5】によれば、「前記第2ボタンの前記第1所定入力」が検出された場合、記憶部に推薦色が記憶される前ならば、構成要件J3記載の処理がされ、記憶部に推薦色が記憶された後ならば、構成要件J4記載の処理がされることとなるから、実施可能要件に違反しない。 6 争点2-2(サポート要件違反)について (被告の主張)構成要件J3及びJ4においては、同じ「第1所定入力」によって動作をすることとされているものの、これは本件明細書に記載も示唆もされていない。 本件出願時の技術常識に照らしても、本件発明に係る特許請求の範囲に記載された範囲まで、本件明細書に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはい えない。 (原告の主張)本件明細書【0052】、【0054】及び【図5】によれば、構成要件J4記載の発光制御部の処理は、記憶部に推薦色が発光された後に行われる処理であることが明らかであり、被告の主張はその前提が誤っている。本件発明に係 る特許請求の範囲の記載がサポート要件に違反するというべき事情はない。 7 争点2-3(明確性要件違反)について(被告の主張)構成要件J3及びJ4の「第1所定入力」は同じ入力方法を意味するが、一方が成立すると、他方が成立しないとの技術的な欠陥があるため、本件発明に 係る特許請求の範囲の記載は不明確である。 (原告の主張)前記6(原告の主張)のとおり、構成要件J4記載の発光制御部の処理は、記憶部に推薦色が発光された後に行われる処理であることが明らかであり、被告の主張 の範囲の記載は不明確である。 (原告の主張)前記6(原告の主張)のとおり、構成要件J4記載の発光制御部の処理は、記憶部に推薦色が発光された後に行われる処理であることが明らかであり、被告の主張はその前提が誤っている。本件発明に係る特許請求の範囲の記載が明 確性要件に違反するというべき事情はない。 8 争点2-4(新規事項の追加)について(被告の主張)本件出願当初の明細書等には、構成要件J3及びJ4において、同じ「前記第1所定入力」により動作することができるとの説明は記載されておらず、原 告が令和4年7月5日に提出した手続補正書による構成要件J3及びJ4の追 加は、本件出願当初の明細書等に記載されていなかった事項を追加したものである。 (原告の主張)被告は、構成要件J3及びJ4の「前記第1所定入力」が同じ入力方法であることを前提としているが、前記3(原告の主張)⑴アのとおり、被告の主張 はその前提が誤っている。本件出願当初の明細書【0031】及び【0074】には、構成要件J3及びJ4の第1所定入力を区別するような記載がされており、構成要件J3及びJ4の追加は、本件出願当初の明細書等に記載されていなかった事項を追加したものではない。 9 争点2-5(分割要件違反による新規性欠如)について (被告の主張)前記8(被告の主張)のとおり、本件発明は本件出願当初の明細書等に記載されていた事項の範囲内のものではないから、本件出願は特許法44条1項の定める分割要件を満たさない。 そして、本件発明は、後記11(被告の主張)のとおり本件出願前に公知とな っていた乙10発明と同一であるから、新規性を欠く。 (原告の主張)前記8(原告の主張)のとおり、本件発明は本件出願当初の明細書等に記 、後記11(被告の主張)のとおり本件出願前に公知とな っていた乙10発明と同一であるから、新規性を欠く。 (原告の主張)前記8(原告の主張)のとおり、本件発明は本件出願当初の明細書等に記載されていた事項の範囲内のものであり、本件出願は分割要件を満たす。 争点2-6-1(乙9発明に基づく新規性欠如)について (被告の主張)平成27年2月14日付けの記事である乙9の3によれば、乙9発明は、同日までに公衆に利用可能となっていたものであるところ、乙9発明は、本件発明の各構成を備えており、本件発明と同一であるから、本件発明は新規性を欠く。 (原告の主張) 乙9発明と乙9の3記載のペンライトとは異なる製品であり、乙9発明が公衆に利用可能となったのは平成30年3月23日であるから、乙9発明により本件発明の新規性が否定されることはない。 11 争点2-6-2(乙10発明に基づく新規性欠如)について(被告の主張) 乙10の3によれば、乙10発明は、平成28年12月12日までにAmazonのウェブサイトに掲載され、公衆に利用可能となっていたものであるところ、乙10発明は、本件発明の各構成を備えており、本件発明と同一であるから、本件発明は新規性を欠く。 (原告の主張) 乙10発明の商品説明は、平成28年12月13日午前8時41分2秒には、Amazonのウェブサイトに掲載されていなかったところ、本件原々出願は、遅くとも同月12日午後3時34分までにされていたことから、乙10発明により本件発明の新規性が否定されることはない。 12 争点2-7-1(乙1発明に基づく進歩性欠如)について (被告の主張)⑴ 乙1によれば、本件原々出願前に公衆に利用可能であった乙1発明は次の 件発明の新規性が否定されることはない。 12 争点2-7-1(乙1発明に基づく進歩性欠如)について (被告の主張)⑴ 乙1によれば、本件原々出願前に公衆に利用可能であった乙1発明は次のとおりの構成を備える。 a.「フルカラーLEDペンライト」であり、LEDの発光部があるb.「赤→緑→青→赤→白と、200色以上の色を出すこと」ができ、発光部 を発光させる複数の色のデフォルトの発光順序を定めるデフォルトパターンを記憶する記憶部があるc.「お気に入りの色を記憶できるメモリーボタン」があり、前記複数の色の中から1つの色を推薦色として設定する設定部があるd.「ボリュームダイアルは回転でき、順送りと逆送りができ、ダイアル操作 にあわせて、赤→緑→青→赤→白と、スムーズに色が変化します。ボリュ ームダイアルのアナログ信号を8ビットデジタルに変換」することができ、前記発光部を発光させる複数の色を、前記デフォルトパターンで示される発光順序で切り替えるボタンである前記推薦色で前記発光部を発光させるための入力を受け付ける第1ボタンであるe. 「メモリーボタンは、登録されたお気に入りの色をいつでも呼び出すこと」 ができ、推薦色で前記発光部を発光させるための入力を受け付ける第2ボタンであるf. 「ボリュームダイアルは回転でき、順送りと逆送りができ、逆送りすれば、逆順に切替えること」ができ、前記発光部を発光させる複数の色を、前記デフォルトパターンで示される発光順序とは逆順に切り替える第3ボタン であるg.「ボリュームダイアルと、メモリーボタンが設けられ、電源(単4電池×3本)」を有する把持部があるh.「ボリュームダイアルにより、200色以上の色から選択」でき、デフォルトパターンで示され g.「ボリュームダイアルと、メモリーボタンが設けられ、電源(単4電池×3本)」を有する把持部があるh.「ボリュームダイアルにより、200色以上の色から選択」でき、デフォルトパターンで示される発光順序を選択する選択部を備える i.「ボリュームダイアルにより色を選択」でき、第1ボタンに対するユーザからの第1所定入力に応じて、前記選択部において選択されている前記デフォルトパターンで示される発光順序に従い、前記複数の色のうちいずれか1つの色で前記発光部を発光させる発光制御部を備えるj1´.ボリュームダイアルが、短押しと、長押しを検出可能かの記載はな いj2.複数の「メモリーボタン」は、それぞれ第2ボタンに相当し、それぞれ独立して、短押しと、長押しを検出可能であるj3.「ダイアルで選んだ色は、メモリーボタンを長押しすることでお気に入りの色として登録」でき、設定部は、前記発光部が発光しているときに、 前記第2ボタンの第1所定入力を検出した場合(ここでは、構成要件J4 とは異なる、第2所定入力などとして説明されている「長押し」の意味とする)、そのとき発光部が発光している発光色を推薦色として、記憶部に記憶するj4.「メモリーボタンに登録された色は、いつでも呼び出すこと」ができ、発光制御部は、前記第2ボタンの前記第1所定入力を検出した場合(ここ では、構成要件J3の長押しと異なる操作として区別される「短押し」の意味とする)、前記設定部により前記記憶部に記憶された前記推薦色で前記発光部を発光させるk.「フルカラーLEDペンライト」であり、棒状ライト。 ⑵ 本件発明と乙1発明とは、乙1発明は、ボリュームダイアルが短押しと長 押しを検出することができるとの構成を有しない点で相違する。 乙2 「フルカラーLEDペンライト」であり、棒状ライト。 ⑵ 本件発明と乙1発明とは、乙1発明は、ボリュームダイアルが短押しと長 押しを検出することができるとの構成を有しない点で相違する。 乙2の1から乙8の2までの各文献(以下「乙2文献等」という。)によれば、ペンライトやコンサートライトなどの発光装置において、ボタンを設け、ボタンの短押しや長押しを検出するとの技術はありふれていたものであるから、乙1発明に乙2文献等に記載された技術を適用することにより、前記相 違点に係る本件発明の構成を備えることは、当業者において容易に想到することができた。 (原告の主張)⑴ 乙1発明の内容は否認する。本件発明と乙1発明とは、乙1発明は本件発明の記憶部を有しない点、乙1発明は本件発明の設定部を有しない点、乙1 発明が本件発明の構成要件D、F、J1に係る入力時間の長短を検出可能な第1ボタン及び第3ボタンではなくダイアルを備えている点において相違する。 ⑵ 乙1発明は、200色以上という膨大な発光色から色の選択をスムーズに行うために、ボタンではなく、ボリュームダイアルの構成を採用したもので あるから、乙1発明に、ボタンの構成を採用している乙2文献等に記載され た技術を適用することには阻害要因がある。 また、乙1発明はメモリーボタンを三つ備えるところ、本件発明の「第1ボタン」及び「第3ボタン」に相当するボタンを増やすと、ボタンの数が五つとなり、利便性が極めて悪化すること並びに乙1発明では記憶部が不要であるのに対し、乙2文献等に記載された発明では記憶部が必須の構成となる ことから、乙1発明に乙2文献等に記載された技術を適用することには阻害要因がある。 したがって、乙1発明との相違点に係る本件発明の構成は、当業者 等に記載された発明では記憶部が必須の構成となる ことから、乙1発明に乙2文献等に記載された技術を適用することには阻害要因がある。 したがって、乙1発明との相違点に係る本件発明の構成は、当業者において容易に想到することができたとはいえない。 13 争点2-7-2(乙4発明に基づく進歩性欠如)について (被告の主張)⑴ 乙4によれば、本件原々出願前に公衆に利用可能であった乙4発明は次のとおりの構成を備える。 a.LED発光部と、b.前記発光部を発光させる複数の色のデフォルトの発光順序を定めるデフ ォルトパターンを記憶する記憶部と、c.前記複数の色の中から好みの色及び順序(1色のみ選択することも可能)をカスタムモードとして設定する設定部と、d.前記発光部を発光させる複数の色を、前記デフォルトパターンで示される発光順序で切り替えるAボタンと、 f.前記発光部を発光させる複数の色を、前記デフォルトパターンで示される発光順序とは逆順に切り替えるBボタンと、g.前記Aボタン、前記Bボタンが設けられ、内部に電源を有する把持部と、h.カスタムモードと24色モードの切り替えができ、デフォルトパターンで示される発光順序を選択する選択部を備え、 i.前記Aボタンに対するユーザからの短押しに応じて、選択部において選 択されているデフォルトパターンで示される発光順序に従い、前記複数の色のうちいずれか1つの色で前記発光部を発光させる発光制御部と、を備え、j1.前記Aボタンは、所定時間以上継続しない押下である短押しと、前記短押しよりも長い所定時間以上継続した押下である長押しを検出可能なボ タンであり、j3.前記設定部は、前記発光部が発光しているときに、前記Bボタンの長押しを検出し い押下である短押しと、前記短押しよりも長い所定時間以上継続した押下である長押しを検出可能なボ タンであり、j3.前記設定部は、前記発光部が発光しているときに、前記Bボタンの長押しを検出した場合、そのとき前記発光部が発光している発光色及び順序を前記カスタムモードとして、前記記憶部に記憶し、j4.前記発光制御部は、前記Aボタンの短押しを検出した場合、前記設定 部により前記記憶部に記憶された前記カスタムモードで前記発光部を発光させるk.ことを特徴とする棒状ライト。 ⑵ 本件発明と乙4発明とは、乙4発明は、入力手段として、本件発明における「第1ボタン」に相当するAボタンと、本件発明における「第3ボタン」 に相当するBボタンとの二つのボタンのみを備えており、本件発明における「第2ボタン」に相当する独立のボタンを有しない点で相違する。 乙4発明と乙1発明とは、いずれもペンライトの技術分野に属し、特定の色を設定して呼び出すという作用及び機能も共通することから、乙4発明に乙1発明のメモリーボタンに係る構成を適用することにより、前記相違点に 係る本件発明の構成を備えることは、当業者において容易に想到することができた。 (原告の主張)乙1発明の課題並びに作用及び効果は、200色以上存在する発光色の中から、ボタンの押下一つで、ユーザの所望する発光色でLEDを発光させる点に あるのに対し、乙4発明の課題並びに作用及び効果は、デフォルトパターンの 発光順序から、ユーザの所望する発光色を抽出し、発光順序をカスタマイズする点にあるから、乙4発明に乙1発明の構成を適用する動機付けが存しない。 また、ボタン式のペンライトである乙4発明とダイアル式のペンライトである乙1発明とを組み合わせることには阻害要因があ イズする点にあるから、乙4発明に乙1発明の構成を適用する動機付けが存しない。 また、ボタン式のペンライトである乙4発明とダイアル式のペンライトである乙1発明とを組み合わせることには阻害要因がある。さらに、乙4発明に乙1発明を組み合わせると、把持部分にボタンが五つ、ダイアルが一つ存するこ ととなり、利便性が極めて悪化する上、乙4発明には記憶部が存するのに対し、乙1発明には記憶部が存しないため、これらを組み合わせることには阻害要因がある。 したがって、乙4発明との相違点に係る本件発明の構成は、当業者において容易に想到することができたとはいえない。 14 争点3(損害の発生及びその額)について(原告の主張)被告は、被告各製品の譲渡により少なくとも1億円の利益を受けているから、原告が受けた損害の額は1億円を下らない(特許法102条2項)。また、被告による本件特許権の侵害と相当因果関係のある弁護士費用相当額は、1000 万円を下らない。したがって、原告が受けた損害の額は、1億1000万円を下らない。 (被告の主張)否認ないし争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載事項本件明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある(甲2)。 ⑴ 【技術分野】【0001】 本発明は、棒状ライトに関するものである。 ⑵ 【背景技術】 【0003】 一方で、棒状ライトであって、所定の順番で色選択ボタンを 押下するごとに色表示ボタンに表示される色が変化し、色表示ボタンを押下すると、色表示ボタンに表示された色で光源部を発光させる棒状ライトもある(特許文献2参照)。 ⑶ 【発明が解決しようとする課題】【0006】 また、上記特許文献2に示す棒状ライトの場合、色表示ボタ 、色表示ボタンに表示された色で光源部を発光させる棒状ライトもある(特許文献2参照)。 ⑶ 【発明が解決しようとする課題】【0006】 また、上記特許文献2に示す棒状ライトの場合、色表示ボタ ンに表示される所望の色になるまで、場合によっては複数回色選択ボタンを押下しないと、所望の色での発光ができないという問題があった。 【0007】 そこで、本発明は上記問題に鑑みて成されたものであり、従来よりも簡単に所望の色で発光させることができる棒状ライトを提供することを目的とする。 ⑷ 【課題を解決するための手段】【0008】 上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る発光装置は、発光部と、発光部を発光させる複数の色の発光順序を定める所定の順序を示す情報を記憶する記憶部と、発光部を発光させる複数の色を、所定の順序で切り替える第1ボタンと、複数の色の中から1つの色を推薦色として設 定する設定部と、推薦色で発光部を発光させるための入力を受け付ける第2ボタンと、第1ボタンに対するユーザからの第1所定入力に応じて、所定の順序に従って、複数の色のうちいずれか1つの色で発光部を発光させ、第2ボタンに対するユーザからの第1所定入力に応じて所定の順序に関わらず推薦色で発光部を発光させる発光制御部と、を備える。 ⑸ 【発明の効果】【0016】 本発明の一態様に係る棒状ライトは、特定のボタンに対して特定の色を設定することによって、ボタンの押下一つで所望の色の発光を行うことができる。 ⑹ 【発明を実施するための形態】 【0031】 発光制御部121は、発光部120の発光制御を行う機能を 有する。発光制御部121は、発光部120が発光しているとき、発光していないとき、発光パターンの設定中、発光パターンの 031】 発光制御部121は、発光部120の発光制御を行う機能を 有する。発光制御部121は、発光部120が発光しているとき、発光していないとき、発光パターンの設定中、発光パターンの選択中など様々な状況において、第1ボタン111に対する短押し、長押し、第2ボタン112に対する短押し、長押し、第3ボタン113に対する短押し、長押しの押下内容に応じた発光部120の発光処理を行う機能を有する。発光制御部121 は、発光部120を発光させている場合に、選択されている発光パターンに関わらず、第2ボタン112の押下を検出して、設定部122により記憶部124に設定された推薦色で発光部120を発光させる。発光制御部121による発光処理の詳細については、図4~図6に示すフローチャートを参照して後述する。 【0033】 また、設定部122は、発光部120の発光中に発光パターンの順序に関わらずユーザの所望する色で発光させるための推薦色を設定する機能を有する。設定部122は、発光部120が発光しているときに、ユーザからの第2ボタン112の長押しを検出した場合には、そのとき発光部120が発光している発光色を推薦色として、記憶部124に記憶する。 【0042】 <動作>ここから、発光装置100の動作を説明する。図4は、発光装置100の動作例を示すメインフローチャートである。図4に示すフローチャートは、発光装置100が発光していない状態から開始する処理である。 【0043】 発光装置100は、第1ボタン111、第2ボタン112、 第3ボタン113の少なくとも1つに対する入力があるか否かを、いずれかのボタンがユーザにより押下されたか否かに応じて判定する(ステップS401)。入力があった場合には(ステップS401のYES) 第3ボタン113の少なくとも1つに対する入力があるか否かを、いずれかのボタンがユーザにより押下されたか否かに応じて判定する(ステップS401)。入力があった場合には(ステップS401のYES)、ステップS402に移行し、入力がない場合には(ステップS401のNO)、入力があるまで待機する。 【0044】 入力が、第1ボタン111の長押しであった場合には(ステ ップS402のYES)、発光制御部121は、ステップS403に示す発光制御処理を開始する。発光制御処理の詳細については、後述する。発光制御部121が発光制御処理を終了すると、ステップS401に戻る。 【0045】 入力が、第1ボタン111に対する長押しではなく(ステップS402のNO)、第1ボタン111と第3ボタン113双方の長押しで あった場合には(ステップS404のYES)には、設定部122又は選択部123は、ステップS406に示す発光パターンの設定/選択処理を開始する。発光パターンの設定/選択処理の詳細については、後述する。発光パターンの設定/選択処理を終了すると、ステップS401に戻る。 【0046】 入力が、第1ボタン111と第3ボタン113との双方の長 押しでなくとも(ステップS404のNO)、第3ボタン113に対する長押しであった場合には(ステップS405のYES)にも、設定部122又は選択部123による、発光パターンの設定/選択処理を開始する。 【0047】 それ以外の場合には(ステップS405のNO)には、何らかの操作を行うための入力ではないので、ステップS401に戻る。 【0048】 以上が、発光装置100の動作のメインフローチャートの説明である。 【0049】 ここから、メインフローチャートに含まれる発光制御処理 ではないので、ステップS401に戻る。 【0048】 以上が、発光装置100の動作のメインフローチャートの説明である。 【0049】 ここから、メインフローチャートに含まれる発光制御処理について説明する。 【0050】 図5は、図4のメインフローチャート中のステップS403 で示される発光制御処理の詳細を示すサブフローチャートである。 【0051】 発光装置100の第1ボタン111が長押しされたことを受けて、図5に示すように、発光制御部121は、記憶部124に記憶されている選択中の発光パターンに関する情報から、選択されている発光パターンを特定する。そして、発光制御部121は、特定した発光パターンの先頭色 (発光順序の1番目の発光色)で発光部120を発光させる(ステップS5 01)。 【0052】 設定部122は、第2ボタン112が長押しされたか否かを、第2ボタン112が所定時間(例えば、3秒)以上押下されていたか否かに基づいて判定する(ステップS502)。第2ボタン112が長押しされていた場合には(ステップS502のYES)、設定部122は、その時に発光部 120が発光している発光色を、推薦色として記憶部124に設定して(ステップS503)、ステップS502に戻る。 【0053】 第2ボタン112が長押しされていなかった場合には(ステップS502のNO)、発光制御部121は、第1ボタン111が短押しされているか否かを、第1ボタン111が押下され、その押下時間が所定時間以 上になっていないことに基づいて判定する(ステップS504)。第1ボタン111が短押しされていた場合には(ステップS504のYES)、発光制御部121は、発光部120を発光させている発光色を、選択状態にある発光パターン 基づいて判定する(ステップS504)。第1ボタン111が短押しされていた場合には(ステップS504のYES)、発光制御部121は、発光部120を発光させている発光色を、選択状態にある発光パターンの発光順序で示される次の色の発光色に切り替えて(ステップS505)、ステップS502に戻る。 【0054】 第1ボタン111の短押しがなかった場合には(ステップS504のNO)、発光制御部121は、第3ボタン113が短押しされているか否かを判定する(ステップS506)。第3ボタン113が短押しされていた場合には(ステップS506のYES)、発光制御部121は、発光部120を発光させている発光色を、選択状態にある発光パターンの発光順序の逆 順での次の色(順方向で1つ前の色)の発光色に切り替えて(ステップS507)、ステップS502に戻る。 【0055】 第3ボタン113の短押しがなかった場合には(ステップS506のNO)、発光制御部121は、第2ボタン112が短押しされているか否かを判定する(ステップS508)。第2ボタン112が短押しされてい た場合には(ステップS508のYES)、記憶部124において、推薦色と して設定されている発光色で発光部120を発光させ、ステップS502に戻る。 【0056】 第2ボタン112の短押しがなかった場合には(ステップS508のNO)、発光制御部121は、第1ボタン111が長押しされているか否かを判定する(ステップS510)。第1ボタン111が長押しされてい なかった場合には(ステップS510のNO)、ステップS502に戻り、第1ボタン111が長押しされていた場合には(ステップS510のYES)、発光制御部121は、発光部120による発光を停止させて(ステップS5 ステップS510のNO)、ステップS502に戻り、第1ボタン111が長押しされていた場合には(ステップS510のYES)、発光制御部121は、発光部120による発光を停止させて(ステップS511)、発光制御処理を終了する。 【0057】 以上が、発光装置100の発光制御に係る処理である。 【0070】 <まとめ> 発光装置100によれば、発光部120が所望の色で発光しているときに、第2ボタン112を長押しするだけで、推薦色として登録することができ、以降においては、使用している発光パターンの発光順序に関わりなく、第2ボタン112を短押しするだけで、いつでもユーザの望むタイミングで、推薦色で発光部120を発光させることができる。 また、所望の色で発光しているときに第2ボタン112を長押しするだけで、新たに推薦色の登録しなおしも容易に行うことができる。さらには、発光装置100は、ユーザの所望の順序で発光する発光パターンを設定し、その発光パターンで発光色を切り替えて発光させたり、複数の発光パターンを登録して、その中から使用するものを自由に選択できたりするなどの多くの機能 を、少ない入力数(ボタン数)で実現することができる。 【0071】 <補足> 上記実施の形態に係る装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。 【0074】 (3)上記実施の形態において、各ボタン(第1ボタン11 1 、第2ボタン112、第3ボタン113)に対する入力として短押しと、 長押しとの2種類を提示しているが、これは、これに限定されるものではない。例えば、所定時間以内に2回押下することを検出し、その2回の押下をトリガとして、上述した何れか 力として短押しと、 長押しとの2種類を提示しているが、これは、これに限定されるものではない。例えば、所定時間以内に2回押下することを検出し、その2回の押下をトリガとして、上述した何れかの処理のトリガとしてもよい。また、上記実施の形態に示した、短押しと長押しとを入れ替えても同様に動作させることができる。即ち、上述した第1所定入力を短押し、第2所定入力を長押しと してもよいし、第1所定入力を長押し、第2所定入力を短押しとしてもよい。 【図4】 【図5】 2 争点1-3(構成要件J3及びJ4の充足性)について⑴ 被告製品1及び2についての構成要件J3及びJ4の充足性ア構成要件J3及びJ4の「前記第1所定入力」の意義構成要件J2は、第2ボタンは「短押し」又は「長押し」を検出可能なボタンであり、「第1所定入力」は「前記短押しまたは前記長押し」である ことを規定し、これを受けて、構成要件J3及びJ4には、「前記第2ボタンの前記第1所定入力」との記載がある。 そして、用語の普通の意味に照らせば、構成要件J2の「第1所定入力」は、「第2ボタン」が検出する「短押し」又は「長押し」のいずれか一方の入力方法を指し、構成要件J3及びJ4の「前記第1所定入力」は、この ように「第1所定入力」として特定された「短押し」又は「長押し」のいずれか一方を指すものと解するのが相当である。 また、本件明細書の【発明を実施するための形態】には、短押しと長押しとを入れ替えても同様に動作させることができ、「第1所定入力を短押し、第2所定入力を長押しとしてもよいし、第1所定入力を長押し、第2所定 入力を短押しとしてもよい」(【0074】)と記載されている。この記載は、「第1所定入力」が「短押し」又は「長押 短押し、第2所定入力を長押しとしてもよいし、第1所定入力を長押し、第2所定 入力を短押しとしてもよい」(【0074】)と記載されている。この記載は、「第1所定入力」が「短押し」又は「長押し」のいずれか一方を指すことを前提に、「第1所定入力」を「短押し」としても「長押し」としてもよいことを示すものということができ、上記解釈に沿うものといえる。 したがって、構成要件J3及びJ4の「前記第1所定入力」とは、「第1 所定入力」として特定された「短押し」又は「長押し」のいずれか一方の入力方法を指し、構成要件J3と構成要件J4における「前記第1所定入力」は同一の入力方法を意味するものと解される。 イ被告製品1及び2の構成要件充足性被告製品1及び2においては、「推し色チェンジボタン」(被告製品1) ないし「バックボタン」(被告製品2)が本件発明の「第2ボタン」に、「L ED」が本件発明の「発光部」に、「登録色」が本件発明の「推薦色」に、「メモリ」が本件発明の「記憶部」に相当するところ、前記前提事実⑸ア及びイのとおり、被告製品1及び2は、推し色チェンジボタンないしバックボタンを、LED発光中に長押しした場合、そのときLEDが発光している発光色を登録色としてメモリに記憶し、LED発光中に短押しした場 合、メモリに記憶された登録色でLEDを発光させる(構成1-j1~4、2-j1~4)。 このように、被告製品1及び2においては、推し色チェンジボタンないしバックボタンの「長押し」により登録色の記憶を行うのであるから、「長押し」が構成要件J3の「前記第1所定入力」に相当する。そうすると、 構成要件J4の「前記第1所定入力」は「長押し」であることを要するが、被告製品1及び2は、上記各ボタンの「短押し」によ 「長押し」が構成要件J3の「前記第1所定入力」に相当する。そうすると、 構成要件J4の「前記第1所定入力」は「長押し」であることを要するが、被告製品1及び2は、上記各ボタンの「短押し」により登録色での発光を行うものであるから、構成要件J4の「前記第1所定入力」を充足しない。 したがって、被告製品1及び2は、構成要件J4を充足しない。 ウ原告の主張について これに対し、原告は、構成要件J3と構成要件J4における「前記第1所定入力」は、異なる入力方法であってもよいと主張する。 しかしながら、「前記」との特定がされていることに照らせば、「前記第1所定入力」は同一の入力方法を意味するものと解すべきであり、原告の主張する解釈は、特許請求の範囲の記載に基づくものとはいえない。原告 の指摘するその余の点も、以上の判断を左右するものとはいえない。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 ⑵ 被告製品3及び4についての構成要件J4の充足性ア構成要件J4の「前記第1所定入力を検出した場合、…発光させる」の意義 構成要件J4は、「前記発光制御部は、前記第2ボタンの前記第1所定入 力を検出した場合、…前記推薦色で前記発光部を発光させる」というものであり、第2ボタンの「前記第1所定入力」を「検出」したときに、推薦色で発光部を発光させることが記載されている。 本件明細書によれば、本件発明は、複数回色選択ボタンを押下しないと、所望の色での発光ができないという課題を解決するため、従来よりも簡単 に所望の色で発光させることができる棒状ライトを提供することを目的とし、複数の色の中から1つの色を推薦色として設定する設定部と、推薦色で発光部を発光させるための入力を受け付ける第2ボタンと、第1ボタ に所望の色で発光させることができる棒状ライトを提供することを目的とし、複数の色の中から1つの色を推薦色として設定する設定部と、推薦色で発光部を発光させるための入力を受け付ける第2ボタンと、第1ボタンに対するユーザからの第1所定入力に応じて、所定の順序に従って、複数の色のうちいずれか1つの色で発光部を発光させ、第2ボタンに対する ユーザからの第1所定入力に応じて所定の順序に関わらず推薦色で発光部を発光させる発光制御部を備える構成とすることにより、特定のボタンに対して特定の色を設定することによって、ボタンの押下一つで所望の色の発光を行うことができるとの効果を実現するものである(【0006】~【0008】及び【0016】)といえる。そして、本件明細書には、発光 制御部が、推薦色で発光部を発光させるために、第2ボタンの第1所定入力以外の操作をすることを示す記載はない。 そうすると、本件発明は、複数回色選択ボタンを押下しないと、所望の色での発光ができないという課題に対し、特定のボタンに対して特定の色を設定することによって、ボタンの押下一つで所望の色の発光を行うこと ができるようにするため、「発光制御部は、前記第2ボタンの前記第1所定入力を検出した場合、前記設定部により前記記憶部に記憶された前記推薦色で前記発光部を発光させる」という構成を採用したものであり、構成要件J4の「前記第1所定入力を検出した場合、…発光させる」は、第2ボタンの「前記第1所定入力」の「検出」のみによって推薦色で発光部を発 光させることを意味するものと解される。 イ被告製品3及び4の構成要件充足性について被告製品3及び4においては、「トリガーボタン」が本件発明の「第2ボタン」に、「短押し」が本件発明の「前記第1所定入力」に、「 される。 イ被告製品3及び4の構成要件充足性について被告製品3及び4においては、「トリガーボタン」が本件発明の「第2ボタン」に、「短押し」が本件発明の「前記第1所定入力」に、「メモリ」が本件発明の「記憶部」に、「登録色」が本件発明の「推薦色」に、「LED」が本件発明の「発光部」に相当するところ、前記前提事実⑸ウによれば、 24色のカラーチェンジの順序を定める発光パターンで発光させるモード(トリガーボタン登録モード)の起動中に、トリガーボタンの短押しをしても、メモリに記憶された登録色でLEDを発光させることはできず、Rボタン及びLボタンを同時長押し(トリガーボタン登録モードの終了)をし、トリガーボタンの長押し(12色のカラーチェンジの順序を定める発 光パターン(シンプルモード)の起動)をした上で、トリガーボタンの短押しをすることを要する(構成3-j1~4、甲7の1)。 そうすると、被告製品3及び4は、推薦色の発光を第2ボタンの「前記第1所定入力」の「検出」のみによって行うものではないから、「前記第1所定入力を検出した場合、…発光させる」との構成を有していない。 したがって、被告製品3及び4は、構成要件J4を充足しない。 ウ原告の主張についてこれに対し、原告は、本件発明に係る特許請求の範囲において、モードの切り替えをすることを排斥する記載がないことや、被告製品3及び4は、推薦色の登録機能及び推薦色による発光機能をトリガーボタンの押下によ り実現しており、課題及び解決手段が本件発明と共通するとともに、ボタンの一回の押下により推薦色を登録し、推薦色により発光させるという効果も本件発明と共通することから、被告製品3及び4は構成要件J4を充足すると主張する。 しかしながら、推薦色で発 とともに、ボタンの一回の押下により推薦色を登録し、推薦色により発光させるという効果も本件発明と共通することから、被告製品3及び4は構成要件J4を充足すると主張する。 しかしながら、推薦色で発光部を発光させるために、モードの切り替え を要するものとすることは、ボタンの押下一つで所望の色の発光を行うと の本件発明の効果の実現を妨げるものである。また、被告製品3及び4においては、トリガーボタン登録モードの起動中にトリガーボタンを短押しし、登録色を記憶した後、シンプルモードに切り替えた上で、トリガーボタンを短押しすることにより、初めて登録色で発光させることができるから、その課題及び解決手段並びに効果において、本件発明と共通するとは いえない。 したがって、原告の主張は、採用することができない。 ⑶ 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、被告各製品は、本件発明の技術的範囲に属しない。 3 争点2-2(サポート要件違反)について ⑴ 特許法36条6項1号は、特許請求の範囲に記載された発明は、発明の詳細な説明に実質的に裏づけられていなければならないというサポート要件を定めるところ、その適合性の判断は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明 の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。 ⑵ 本件発明は、特許請求の範囲に記載されたとおりであり、第2ボタンの「第 1所定入力」は「短押し」又は を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。 ⑵ 本件発明は、特許請求の範囲に記載されたとおりであり、第2ボタンの「第 1所定入力」は「短押し」又は「長押し」であり(構成要件J2)、設定部が、発光部が発光しているときに、第2ボタンの「前記第1所定入力」を検出した場合、そのとき発光部が発光している発光色を推薦色として記憶部に記憶し(構成要件J3)、発光制御部が、第2ボタンの「前記第1所定入力」を検出した場合、設定部により記憶部に記憶された推薦色で発光部を発光させる (構成要件J4)棒状ライトに関する発明である。 そして、推薦色の記憶(構成要件J3)及び推薦色での発光(構成要件J4)についての「前記第1所定入力」は同一の入力方法を意味するものと解されるのは、前記2⑴アに説示したとおりである。 ⑶ 本件明細書の発明の詳細な説明には、複数回色選択ボタンを押下しないと、所望の色での発光ができないという課題について(【0006】)、設定部は、 第2ボタンが長押しされた場合には、その時に発光部が発光している発光色を、推薦色として記憶部に設定し、発光制御部は、第1ボタン又は第3ボタンの短押しにより発光色の切り替えを行い、第2ボタンが短押しされた場合には、推薦色として設定されている発光色で発光部を発光させることにより(【0052】〜【0055】)、発光部が所望の色で発光しているときに、第 2ボタンを長押しするだけで、推薦色として登録することができ、以降においては、使用している発光パターンの発光順序に関わりなく、第2ボタンを短押しするだけで、いつでもユーザの望むタイミングで、推薦色で発光部を発光させることができ、また、所望の色で発光しているときに第2ボタンを長押しするだけで ターンの発光順序に関わりなく、第2ボタンを短押しするだけで、いつでもユーザの望むタイミングで、推薦色で発光部を発光させることができ、また、所望の色で発光しているときに第2ボタンを長押しするだけで、新たに推薦色の登録しなおしも容易に行うことができる こと(【0070】)の記載がある。 このように、本件明細書の発明の詳細な説明には、推薦色の記憶と推薦色での発光について、第2ボタンの異なる入力方法による構成によって課題を解決することが記載されているといえるが、推薦色の記憶と推薦色での発光について同じ入力方法による構成によって課題を解決することについては、 記載も示唆もない。 以上によれば、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえないし、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決でき ると認識できる範囲のものであるということもできない。 したがって、本件発明は、サポート要件を充足せず、本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから、原告は、被告に対し、本件特許権の権利を行使することができない。 ⑷ 以上に対し、原告は、特許請求の範囲の構成要件J3と構成要件J4における「前記第1所定入力」は、異なる入力方法であってもよいと主張するが、 原告の主張する解釈が、特許請求の範囲の記載に基づくものとはいえないのは前記2⑴に説示したとおりである。 また、原告は、本件明細書の【0052】、【0054】及び【図5】によれば、構成要件J4記載の発光制御部の処理は、記憶部に推薦色が発光された後に行われる処理であると主張するが、推薦色の記憶と また、原告は、本件明細書の【0052】、【0054】及び【図5】によれば、構成要件J4記載の発光制御部の処理は、記憶部に推薦色が発光された後に行われる処理であると主張するが、推薦色の記憶と推薦色での発光について同じ入力方法の構成とすることについて記載も示唆もないとの前記⑶の判断を左右するものではない。したがって、原告の主張は、採用することができない。 第5 結論 以上によれば、原告の請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官髙橋彩 裁判官勝又来未子 裁判官吉川慶 (別紙) 被告製品目録 1 商品名「ルミハート」(ハート型ペンライト) 2 商品名「大閃光ブレード100vol.2」(棒状ペンライト) 3 商品名「大閃光ブレード300」(棒状ペンライト) 4 商品名「大閃光ブレード300カラーグリップ」(棒状ペンライト)
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