昭和26(う)974 業務上横領私文書偽造同行使窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和27年10月3日 広島高等裁判所
ファイル
hanrei-pdf-23483.txt
🤖 AI生成要約2026/3/13

【DRY-RUN】主    文      原判決中被告人Aに関する部分を破棄する。      被告人Aを懲役一年六月に処する。      但し本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。      領置にかかる証第二

タグ

キーワード(AI生成)

判決文本文4,355 文字)

主文 原判決中被告人Aに関する部分を破棄する。 被告人Aを懲役一年六月に処する。 但し本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。 領置にかかる証第二号偽造領収書はこれを没収する。 原審における訴訟費用中証人B、C、D、Eに各支給した分は被告人Aの負担とする。 被告人F、同Gの本件各控訴を棄却する。 当審における訴訟費用中証人H、Iに各支給した分は被告人Fの負担とし、国選弁護人石黒忍に支給した分は被告人Gの負担とする。 理由 被告人Fの弁護人渡部利佐久、同一松定吉、被告人Aの弁護人花本福次郎、被告人Gの弁護人石黒忍の各控訴趣意はいずれも記録編綴の控訴趣意書(F被告は追加分を含む)記載のとおりであるから茲にこれを引用する。 これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。 一、 弁護人渡部利佐久、同一松定吉の控訴趣意並びに弁護人花本福次郎の控訴趣意第二点について論旨は要するに、原判決判示第一の私文書偽造の点は当時右文書の作成名義人であるHの承諾を得たものであるから文書偽造罪を構成せず、仮に右承諾がなかつたものとしても当時被告人F、同Aは被告人Gより右承諾を得たと聞かされこれを信じて為したものであるから犯意を欠き罪とならないというのであるけれども、原審並びに当審における証人H及び被告人Gの供述によればHは右文書の作成を承諾したものでないことが明らかである。即ち当時被告人Gは自宅において被告人F、Aの来訪依頼を受け、右文書作成につきHの承諾を得るべく自宅前の公衆電話より同人に電話をかけたけれどもたまたま同人が不在であつた為その承諾を得ることが出来なかつたにもかゝわらず敢てH名義の本件文書を勝手に作成しこれを同被告人等に手交したものであること 自宅前の公衆電話より同人に電話をかけたけれどもたまたま同人が不在であつた為その承諾を得ることが出来なかつたにもかゝわらず敢てH名義の本件文書を勝手に作成しこれを同被告人等に手交したものであることが認められるのである。この点に関し右被告人等は前記Gが電話をかけた際同家屋内からその内容をきいて居たが、承諾の応答があつたのをきいたと供述しているけれども、右は前記H、Gの供述とも明らかに反するところであるし且つ後記説明の如く同被告人等は司法警察員並びに検事の取調に対し右偽造の事実を自白していることに徴したやすく措信し難いところである。又Jが被告人Gの依頼により名刺に書いた領収書(証第六号)を渡したというのは右文書作成の後のことであることは記録を通じ、明らかなところであり且つ同人は本件文書の名義人ではないのであるから同人の所論の証言を以て本件文書は初めからその名義人の承諾があつたものと推断することの出来ないことは勿論である。よつて更に右被告人等は当時被告人GからHの承諾を得たと聞かされこれを信じていたものであるかどうかにつき検討するに、被告人Gは当公判廷において前記Hとの電話を切り自宅に入つてから待つていた同被告人等に対し承諾を得たと告げた旨供述しているけれども、右供述部分はたやすく首肯し難いものがある。けだし被告人Gが当時右のように真実は承諾を得ないのにもかゝわらず承諾を得たと特に虚偽のことまで告げなければならなかつたとする事情は何等これを認めることが出来ないのみならず、若し右被告人等においてその際真にGから承諾を得たと告げられこれを信じていたものとすれば司法警察員並びに検事の取調に対しその旨を申し述べるべきことは当然であると考えられるのに、右の取調に当りHの承諾を得ないでGと共謀して偽造した旨自白し何等右の点に言及していないからである。尤 とすれば司法警察員並びに検事の取調に対しその旨を申し述べるべきことは当然であると考えられるのに、右の取調に当りHの承諾を得ないでGと共謀して偽造した旨自白し何等右の点に言及していないからである。尤も被告人Fは原審並びに当審公判廷において、前記Hは現職の警察官であつたので同人に迷惑のかゝるのをおそれ特にそのことを秘したものであると弁解しているけれども、右弁解は同被告人の地位その他記録に現われた本件の取調の経過状況等に照し容易に首肯し難いところであり、その他これを肯定するに足る何等の証拠も存しないのであるから、原審が右弁解を容認しなかつたのも相当であると考えられる。そして原判決挙示の証拠によれば右原判示第一の事実を認定することが出来るのであり、且つ右のように認定することは何等経験則に違背するものとも思われない。要するに原判決には所論のような事実誤認、理由不備、理由そご等の違法はない。論旨は理由がない。 二、 弁護人花本福次郎の控訴趣意第一、三点について論旨は要するに、原判示第二の本件医療費は、被告人Aの業務上保管に属していたものではなく、又これを着服横領したものでもないというのであるが、原判決挙示の被告人A、同Fの原審公判廷における供述(特に第一〇、一三回公判調書中の供述記載)によれば被告人Aは尾道市役所K課L係書記として生活保護法関係の事務補助を担当していたものであるところ、右医療費の取扱は先ずK課において請求者よりの請求書類を受付けた上支払に関する稟議書を作成し上司の決裁を経て収入役に廻付し収入役はこれに基き金券を発行交付するのであるが、同市においては事務の都合上従来から右金券は収入役又は余計課より直接請求者に交付せず一旦これをK課係員において受取り被告人Aの手許において現金化した上請求者に送付又は交付するの取扱を例として来たも 同市においては事務の都合上従来から右金券は収入役又は余計課より直接請求者に交付せず一旦これをK課係員において受取り被告人Aの手許において現金化した上請求者に送付又は交付するの取扱を例として来たものであつて、K課には金庫を存し右現金もこれに入れ一時保管しその鍵は同被告人においで保管していたものであることが明らかであゐから、同被告人は右医療費を業務上保管していたものというに何等の妨げはないのである。そして原判決挙示の証拠によれば同被告人は右事務取扱中判示の金券を収入役より受取りながら判示の金額を請求者に交付せず勝手にこれを着服横領した事実を推認することが出来るめであるから業務上横領の罪責を拠れないところであるというべく。従つて原判決がこれに対し刑法第二五三条を適用処断したのは正当であつて所論のような審理不尽、事実誤認、理由不備、理由そご等の違法はない。論旨は理由がない。 三、 同上弁護人の控訴趣意第五点について刑事訴訟法第三三五条の有罪判決に示すべき証拠の標目とは、犯罪事実認定の基礎となつた証拠(証拠書類、証拠物等)を個別性において他と判別し得る程度にその標題種目を示せば足るものと解すべきことはその改正の趣意に照し明らかであるというベく、又その標目として『被告人の当公廷における供述』と示してあるのは、被告人の公判廷における供述中判示事実に符合する部分の供述の趣旨に解すべきものであり、なお右公判はたとえ十数回に亘つたものであつても一々その回数等を限定して明示することは右の趣旨から必ずしもその必要はないのである。従つて原判決には所論のような証拠法則違背、理由不備等の違法はない。論旨は理由がない。 四、 同上弁護人の控訴趣意第四点について記録並びに原審及び当審において取調べた証拠により諸般の情状を精査するに、被告人Aの本件判示第二の 法則違背、理由不備等の違法はない。論旨は理由がない。 四、 同上弁護人の控訴趣意第四点について記録並びに原審及び当審において取調べた証拠により諸般の情状を精査するに、被告人Aの本件判示第二の犯行はその罪状軽くないものがあるけれども、右横領金はその大部分は上司である被告人F原審相被告人M並びに右同人等の命による同市会議員その他外来客との飲食遊興費の支払に充てられたものであつて同被告人のみ独り私腹を肥したものではない事情が窺い知られる。そして当時の右被告人の地位その他所論の事情を考慮するときは、原審が同被告人に対し懲役一年六月の実刑に処したのは量刑重きに過ぎるものがあると認められる。論旨は現由があり、原判決はこの点において破棄を免れない。 五、 弁護人石黒忍の控訴趣意について<要旨>刑法第二三五条にいわゆる窃取とは、支配者の知らない間に他人の財物に対する支配を排除して新しい支配</要旨>を獲得することをいい、その支配獲得は犯人においてこれを得ると、はた又情を知らない他人をして直接これを得せしめるとを問わないものと解すべきである。けだし窃盗罪は他人の支配内に在る他人の財物を、支配者の意思に基かないで支配を排除し、その上に自己又は第三者の支配を設定することによつて所有権を侵害する犯罪であると解すべきものであるからである。 故に被告人が原判決の認定するように、当時N株式会社の保管にかゝり、O並びにP株式会社社長Q各所有の重油タンク、鉄製煙突、鉄等を自己において財務局より払下げを受けたと称し、情を知らないR又はSに売却又は売却方を申入れ、同人等をして直接右置場所から引取らしめた以上窃盗罪を構成するものと解すべきものであるから、原判決がこれに対し刑法第二三五条を適用処断したのは正当であつて、所論のような法令適用の誤はない。論旨は理由がな 等をして直接右置場所から引取らしめた以上窃盗罪を構成するものと解すべきものであるから、原判決がこれに対し刑法第二三五条を適用処断したのは正当であつて、所論のような法令適用の誤はない。論旨は理由がない。 以上被告人F、同Gの本件各控訴は理由がないから刑事訴訟法第三九六条によりこれを棄却し、被告人Aの本件控訴は理由があるから同法第三九七条第三八一条により原判決中同被告人に関する部分を破棄し、同法第四〇〇条但書に従い当裁判所において左のとおり自判する。 原判決の認定した事実を法律に照すと、判示第一の所為は刑法第一五九条第一項第一六一条(第一五九条第一項)第六〇条第五四条第一項後段に、判示第二の所為は各同法第二五三条に該当し、以上は同法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条第一〇条により重い業務上横領罪の刑に決定の加重をした刑期範囲内において同被告人を懲役一年六月に処し、前記情状にかんがみ同法第二五条を適用して本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予すべく、なお没収につき同法第一九条、訴訟費用の負担につき刑事訴訟法第一八一条第一項に従い主文のとおり判決する。 (裁判長判事秋元勇一郎判事尾坂貞冶判事高橋英明)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る