平成26(ワ)9674 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年7月20日 大阪地方裁判所
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平成29年7月20日判決言渡同日原本受領裁判所書記官平成26年(ワ)第9674号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成29年4月28日判決 原告 P ことP 同訴訟代理人弁護士平野 武同人 被告株式会社ニッポー技研同訴訟代理人弁護士三山峻司同清原直己同訴訟復代理人弁護士矢倉雄太主文 1 被告は,原告に対し,114万7600円及びこれに対する平成26年10月29日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを28分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求被告は,原告に対し,3204万2690円及びこれに対する平成26年10月29日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は,被告と販売代理店契約を締結し,被告からその製造する洗車機等の製品(以下,その部品を含め「被告製品」という。)の供給を受けて販売等をしていた原告が,被告製品の供給を停止されるなどしたことから,被告に対し,下記の請求をした事案である。 記① 被告が,平成26年8月1日以降,被告製品の供給を停止したことが前記販売代理店契約に係る債務不履行に当たるとして,債務不履行に基づく同日から平成27年5月末日までの逸失利益2204万2690円の損害賠償請求② 被告が被告製品の供給を停止し,その 止したことが前記販売代理店契約に係る債務不履行に当たるとして,債務不履行に基づく同日から平成27年5月末日までの逸失利益2204万2690円の損害賠償請求② 被告が被告製品の供給を停止し,その後,原告の元社員と結託して原告の営業上の信用を毀損する不正な営業活動をした行為が,前記販売代理店契約に係る債務不履行又は不法行為に当たるとして,債務不履行又は不法行為に基づく,営業上の信用毀損による損害500万円の賠償請求③ 被告の一連の債務不履行又は不法行為により原告の受けた精神的苦痛に対する慰謝料500万円の損害賠償請求④ ①ないし③の合計額3204万2690円に対する催告の日の翌日(訴状送達の日の翌日)である平成26年10月29日から支払済みまで商事法定利率である年6分(不法行為に基づく請求については,不法行為の後の日である同日から支払済みまで民法所定の年5分)の割合による遅延損害金の請求 1 前提事実(当事者間に争いのない事実又は後掲の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告は,昭和50年頃から,P1の屋号で洗車機の販売,メンテナンス等を業として行っている者である(甲105,原告本人。なお,原告のする営業の組織体をいう場合には,「P1」という。)。 イ被告(旧商号・日豊技研工業株式会社)は,昭和48年2月に設立された各種洗車機・高温水洗浄機の製造及び販売業等を目的とする会社である。被告は,平 成7年9月に関連会社を吸収合併した(乙18,乙19)。 ウ亡P3(以下「被告会長」という。)は,平成26年6月当時,被告の会長(取締役)であった者である。 エ P4は,被告の従業員であった平成7年11月頃,P1に出向し,平成8年4月には被告を退職してP1に雇用され,以後,P1で いう。)は,平成26年6月当時,被告の会長(取締役)であった者である。 エ P4は,被告の従業員であった平成7年11月頃,P1に出向し,平成8年4月には被告を退職してP1に雇用され,以後,P1で被告製品の販売の営業等を担当していた者である。P4は,平成26年9月末にP1を退職し,同年10月5日,被告に再度雇用され,新設された被告の中部営業所の所長として稼働している(乙31,証人P4)。 (2) P1と被告との間の販売代理店契約ア P1は,遅くとも昭和53年頃から,被告又はその関連会社と取引を開始し,被告製品(主に洗車機)の供給を受けて被告製品を販売するなどしていた。 イ P1と被告との間では,遅くとも平成13年には販売代理店契約書が交わされ,その契約は順次更新されていた。そして,被告がP1への被告製品の供給を停止した平成26年8月当時,P1と被告との間には平成25年4月24日付けの販売代理店契約書(以下「本件契約書」という。)に基づく契約(以下「本件契約」という。)の効力が及んでいた(甲1,乙1)。 ウ本件契約書には,下記条項が定められていた(本件契約書中の「甲」はP1を,「乙」は被告を指す。以下において,当該条項を指すときには,たとえば1条の場合は「本件契約1条」と表記する。)。なお,更新前の契約においても概ね同様の条項が定められていた(甲1,乙1。)。 記第1条(目的)甲及び乙は,相互に信義と信頼に基づきその利害関係を尊重して,乙の製品の販売促進に協力し,公正なる取引を行い相互の事業発展を図ることを目的とする。 第2条(販売契約)甲は乙より乙の製造する製品を買い取り,甲の顧客に継続的に乙の製品を販売す ることを原則とする。 第7条(製品の発注・受注・受け渡し)第1項(製品の発注)乙に対 販売契約)甲は乙より乙の製造する製品を買い取り,甲の顧客に継続的に乙の製品を販売す ることを原則とする。 第7条(製品の発注・受注・受け渡し)第1項(製品の発注)乙に対する発注については,注文書の送付又はFAXにて行うものとする。 第2項(製品の受注)甲の発注につき乙は,納期等を確認の上FAXにて請け書を送ることで取引の成立とする。 第12条(締切日・代金支払日・支払方法)第1項(締切日)毎月20日を締め切りとする。 第2項(代金支払い)翌月末日を支払日とする。 第13条(契約違反時の措置)甲又は乙が,この契約に違反した場合はそれぞれ次の措置をとることができる。 ③代理店契約の停止又は解除第15条(契約の解除・精算)甲,乙に下記各号に該当する理由ある場合は通知催告をしないでこの契約をただちに解除する事ができる。 ④甲・乙双方より3か月前に解約予告をしたとき。 ⑤その他,本契約に違反したとき。 第16条(契約の期間・更新)この契約書の有効期間は本契約締結から1年間とする。但し,契約期間満了の2か月前までに甲・乙いずれか一方から書面による申し出のないときは,さらに1か年契約を延長し以降も同様とする。 (3) 被告による本件商標の使用状況及び原告によるその商標登録ア被告又はその関連会社は,平成元年から「ねっとう君」という商品名の熱湯 瞬間殺菌消毒洗浄機を製造・販売していた。また被告又はその関連会社は,それ以前から「ニッポーコイン洗車機」という商品名のコイン作動式洗車機等を製造・販売しており,平成2年からは「トライアン432型」という商品名の大型車用門型自動洗車機の,平成4年からは「トライアン250型」という商品名の乗用車用門型洗車機の量産化を開始した(乙 車機等を製造・販売しており,平成2年からは「トライアン432型」という商品名の大型車用門型自動洗車機の,平成4年からは「トライアン250型」という商品名の乗用車用門型洗車機の量産化を開始した(乙11,乙13,乙15,乙17)。 イ被告は,平成16年以前から,別紙本件商標及び被告使用標章一覧表の「被告の使用に係る標章」欄記載の各標章を,同一覧表の「対応被告製品」欄記載の商品及び営業につき使用していた(乙11,乙13,乙15,乙17。以下,被告が使用していた各標章を順次,「被告使用標章1」などといい,これらの標章を併せて「被告使用標章」という。)。 ウ原告は,平成16年2月6日,別紙本件商標及び被告使用標章一覧表の「登録商標」欄記載の各商標について「指定商品」欄記載の物を指定商品とする登録出願をし,それぞれ同一覧表の「登録日」欄記載の日に商標登録された(以下,商標登録された各商標を順次,「本件商標1」などといい,これらの商標を併せて「本件商標」と,登録された商標に係る権利を「本件商標権」という。)。本件商標は被告使用標章と同一又は類似の商標である。 (4) 本件訴訟の提起に至る経緯及びその後の状況ア被告会長や被告の代表取締役(以下「被告代表者」という。)は,平成26年6月頃,原告が本件商標権を取得していることを知った。そして,同月28日,従業員とともにP1の事務所を訪問し,原告に経緯の説明を求めるとともに,原告と本件商標権の譲渡について話し合いを求めた(乙21,被告代表者)。 イ被告は,同年8月1日,原告に対し,原告が被告に無断で本件商標権を取得し,被告に対してその買取りを要求したこと等によって被告との信頼関係を著しく破壊したとして,内容証明郵便によって,本件契約を解除するとの意思表示をし,同日以降,P1への被告製品の供給 件商標権を取得し,被告に対してその買取りを要求したこと等によって被告との信頼関係を著しく破壊したとして,内容証明郵便によって,本件契約を解除するとの意思表示をし,同日以降,P1への被告製品の供給を停止した(乙2の1,2)。 ウ P4は,同年9月1日,P1に退職届を提出し,同月末,P1を退職した。 そして,P4は,同年10月5日には被告に入社し,新設された中部営業所の所長として,P1在職時と同じ営業地域において,被告製品の販売の営業等に従事している。 エ以上の経緯を受けて,原告は,同月8日,本件訴訟を提起し,さらに,同年11月には,P4に対して損害賠償を請求する訴訟を名古屋地方裁判所に提起した(甲8,当裁判所に顕著な事実)。 オ被告は,同年10月10日,特許庁長官に対し,原告が不正の目的及び不正競争の目的をもって本件商標の登録出願をしたなどとして,その登録の無効審判を請求した。 そして,平成28年8月29日,本件商標の登録出願は原告が被告との取引において不正に有利な立場を確保することを目的としてされ,その登録は商標法4条1項7号に違反しているとして,本件商標の登録をいずれも無効とするとの審決がされ,原告はこの審決について争わず,確定した(乙11ないし乙17,乙26の1ないし4)。 カ被告は,平成27年11月2日,本件商標4にあるNとiを図案化した標章と「NIPPO」という標章について指定商品又は指定役務を第7類(乗用車用その他の乗物用洗浄機等)及び第37類(乗物用洗浄機の貸与等)とする商標の登録出願をし,平成28年8月19日にその登録がされた(乙52の1,2)。 2 争点(1) 被告による被告製品の供給停止について債務不履行が成立するか(争点1)(2) 被告が被告製品の供給を停止したことにより 年8月19日にその登録がされた(乙52の1,2)。 2 争点(1) 被告による被告製品の供給停止について債務不履行が成立するか(争点1)(2) 被告が被告製品の供給を停止したことにより原告に生じた損害の額等(争点2)(3) 被告がP4と結託してP1の営業上の信用を毀損する不正な営業活動をしたか(争点3)(4) 被告の営業上の信用毀損による原告の損害の額(争点4)(5) 被告の一連の行為による原告の慰謝料の額(争点5) 第3 争点についての当事者の主張 1 争点1(被告による被告製品の供給停止について債務不履行が成立するか)(原告の主張)(1) 被告の供給義務違反被告は,本件契約1条及び2条から明らかなように,P1に対して被告製品を継続的に供給すべき債務を負っていたが,本件契約を解除したとして,平成26年8月1日以降,P1への被告製品の供給を停止した。これについては被告の債務不履行が成立する。 (2) 被告主張の解除が無効であること被告が主張する本件契約の解除はいずれも無効であるから,被告との間の本件契約は終了していない。 ア本件契約13条3号又は15条5号に基づく即時解除被告が主張する付随義務の存在自体積極的には争わないが,被告のその余の主張は否認し,争う。被告から商標登録にかかった費用くらいは支払うと言われたので,原告は「費用をいただけるのですか。」などと発言したが,本件商標権の買取りを要求したことはない。 原告は,平成7年頃,被告の当時の取締役に対して被告が使用している標章について商標登録出願の意向を伝え,その了解を得ていたし,当該標章が中国の企業等から侵害されることを防ぎ,これを保護することを目的として,被告のために(被告に代わって)本件商標の登 使用している標章について商標登録出願の意向を伝え,その了解を得ていたし,当該標章が中国の企業等から侵害されることを防ぎ,これを保護することを目的として,被告のために(被告に代わって)本件商標の登録出願をしたのである。これはまさに被告製品の販売を促進し,相互に事業発展を図ることを意図したもので,当事者間の契約の目的を達成するための行動にほかならない。原告は,本件商標権を取得した後も,従来どおり被告製品の販売促進に努め,被告の事業発展に尽くしてきたのであり,原告と被告との間の信頼関係が破壊された事実はないし,被告の事業発展を阻害した事実もない。 また,原告は,当初から一貫して,被告に対して本件商標権を無償譲渡すること を伝えているが,被告は何ら合理的な説明もないまま,頑なにそれを拒絶し続けてきた。被告はP1を倒産に追い込み,その取引先を奪取するための方便として,本件商標権取得の事実を利用しているにすぎない。 また,長年にわたり更新が繰り返されてきた本件契約のような継続的な取引契約においては,信義則上,著しい不信行為(正当事由)がない限り,契約を解除することはできないと解されるところ,原告はそのような不信行為をしていない。 以上より,本件契約13条3号又は15条5号に基づく即時解除の要件を満たさないから,本件契約の解除は無効である。 イ民法541条に基づく即時解除上述のとおり,原告は被告の利益を侵害していないし,何らの不信行為もしていない。 したがって,原告の行為について債務不履行は成立せず,無催告解除も認められない。 ウ本件契約15条4号に基づく解約予告による解除本件契約15条4号は,「甲・乙双方より…解約予告をしたとき」と規定しているから,原告又は被告いずれかによる一方的な解約予告による解除権を定めた ウ本件契約15条4号に基づく解約予告による解除本件契約15条4号は,「甲・乙双方より…解約予告をしたとき」と規定しているから,原告又は被告いずれかによる一方的な解約予告による解除権を定めたものではない。 また,被告が発した内容証明郵便(乙2の1)によってなされた解除の意思表示は,原告の債務不履行を前提として契約関係を解消しようとする意思表示であって,原告に債務不履行がない場合にもなお契約関係を解消しようとする意思をくみ取ることはできないから,これに解約予告の通知は含まれていない。 さらに,更新が繰り返されてきた本件契約は継続的な取引契約であり,とりわけP1は,被告と40年近くもの長期間にわたって取引を継続してきて,平成26年当時,その売上げの90%近くを被告製品に係る売上げが占めており,被告との契約関係が解消されれば事業の存続自体が危ぶまれるほどの甚大な影響を受けることになる。そのため,被告による一方的な解約予告による解除が認められるためには, 著しい不信行為(正当事由)の存在が必要と解すべきところ,原告はそのような不信行為をしていない。 したがって,被告からの解約予告による解除によって本件契約は終了しない。 (3) 被告の帰責事由について被告は解除の理由としている前提事実自体を誤っており,その有効性の判断に高度な法的判断など全く必要ない。被告は原告とたった一度の協議をしただけで,十分な事実確認もせず,弁護士に相談の上で本件契約を解除するという選択をしたのであるから,被告に帰責事由があることは明らかである。 また,被告からあった納品の申出は代金の先払を条件とするものであり,これでは本件契約に基づく本来の債務が履行されたとはいえないから,発注済みの被告製品に関しても被告に帰責事由がある。 したがって,被 た,被告からあった納品の申出は代金の先払を条件とするものであり,これでは本件契約に基づく本来の債務が履行されたとはいえないから,発注済みの被告製品に関しても被告に帰責事由がある。 したがって,被告は,供給義務違反の債務不履行について損害賠償責任を負う。 (被告の主張)(1) 被告の供給義務の有無本件契約7条では,P1が被告に対して注文書を送付又はFAXし,被告がFAXにて請け書を送ることで取引が成立することとされており,P1と被告との間では,個々の売買契約が継続的に行われてきたにすぎない。P1は被告製品以外の製品の取扱いを禁じられておらず,現に他社の製品を取り扱っていたから,被告にはP1の発注に応じる義務などない。 したがって,被告は,そもそも債務不履行の理由となる供給義務を負っていない。 (2) 本件契約の即時解除又は解約予告による解除仮に,被告が原告主張の供給義務を負うとしても,次の即時解除又は解約予告による解除によって本件契約は終了したから,被告はそれ以降,被告製品の供給義務を負わない。 ア本件契約13条3号又は15条5号に基づく即時解除原告は,本件契約1条に基づき,被告との信頼関係を尊重し,被告製品の販売を 阻害したり,被告の事業発展を阻害したりしてはならない付随義務を負っている。 ところが,原告は,被告を害する等の不当な目的で,被告が使用していた本件商標について無断で商標権を取得し,被告の利益を明らかに損ない,被告がその事業戦略,ブランド戦略によって商標権を取得することも阻害した。また,原告は被告からの本件商標権譲渡の依頼に応じるどころか,その買取り(金銭の支払)を被告に要求するなど著しい不信行為をし,被告との信頼関係を破壊するとともに,被告の事業発展を阻害し,本件契約の目的を達成すること らの本件商標権譲渡の依頼に応じるどころか,その買取り(金銭の支払)を被告に要求するなど著しい不信行為をし,被告との信頼関係を破壊するとともに,被告の事業発展を阻害し,本件契約の目的を達成することもできなくなった。 したがって,原告は本件契約に違反したことになるから,被告が原告に対してした解除は,本件契約13条3号又は15条5号に基づく即時解除として有効である。 イ民法541条に基づく即時解除契約当事者は条理上,相手方の権利・利益を侵害しないように注意して行動する義務を負っているところ,本件契約においても原告と被告との間に同様の義務があった。 ところが,原告が被告に無断で本件商標権を取得した行為は,被告の業務上の信用力という財産的利益を侵害する行為であり,原告は前記義務に反しているから,債務不履行が成立する。 そして,原告はさらに本件商標権の買取りを被告に要求するという著しい不信行為をし,原告から連絡すると明言しながら,その後1か月以上被告に連絡することなく事態を放置していたから,これらの原告の行為により,原告と被告との間の信頼関係は修復不能な程度に破壊された。 したがって,被告は民法541条に基づき無催告で解除することができる。 ウ本件契約15条4号に基づく解約予告による解除被告が発した内容証明郵便(乙2の1)による本件契約解除の意思表示は,本件契約15条4号の解約予告の通知を包含しているから,本件契約はその3か月後に解除により終了した。また,被告は,平成27年10月6日付け被告第4準備書面を同日,原告訴訟代理人に送付することによっても,原告に対して解約予告の通知 をしたから,少なくともその3か月後に本件契約は解除により終了した。 (3) 被告に帰責事由がないこと仮に,被告が被告製品の供給義務を負 によっても,原告に対して解約予告の通知 をしたから,少なくともその3か月後に本件契約は解除により終了した。 (3) 被告に帰責事由がないこと仮に,被告が被告製品の供給義務を負い,被告がした解除が有効でないとしても,継続的契約の解除の有効性については微妙で高度な法的判断が必要であり,前記のような経緯に鑑みると,被告がその判断を誤ったことはやむを得なかった。したがって,被告において本件契約の終了を前提に被告製品の供給を停止したことについては,帰責事由がない。 また,被告は原告に対して代金の先払があれば発注済みの被告製品(CKS-3C 1台,CKS-30 4台,CKW-30 1台等)を納品すると申し出たのに,原告がこれに応じなかったから,少なくともこれらに関して被告は債務不履行責任を負わない。 したがって,被告は債務不履行責任を負わない。 2 争点2(被告が被告製品の供給を停止したことにより原告に生じた損害の額等)(原告の主張)(1) P1は,平成26年8月1日以降,被告製品の供給を一方的に停止され,他社と共同で新製品を開発して平成27年6月からその販売を開始したものの,同年5月末日までの間,被告製品を販売することができず,逸失利益が生じた。 (2)ア被告が平成26年8月以降も被告製品を供給していれば,P1は従来どおり被告製品を販売等することができ,利益を得ることができたはずであるから,その逸失利益は,平成25年1月から平成26年7月までの間の1か月の平均利益額に,被告製品の販売等をできなかった月数である10を乗じることにより算定すべきである。 イ P1の平成25年1月から平成26年7月までの間の売上げは,別紙売上一覧表(平成25年)及び同売上一覧表(平成26年)記載のとおりである。その取引には,① 乗じることにより算定すべきである。 イ P1の平成25年1月から平成26年7月までの間の売上げは,別紙売上一覧表(平成25年)及び同売上一覧表(平成26年)記載のとおりである。その取引には,①新たな顧客に対し,又は既存顧客の新たな需要を対象として,被告から 仕入れた洗車機を販売又はリースする取引(全5件,同別紙の契約類型欄が①であるもの),②既存顧客とのリース契約の期間満了後に,当該顧客に対する当該リース契約の実質継続の趣旨で,被告から仕入れた洗車機を販売又はリースする取引(全41件,同別紙の契約類型欄が②であるもの),③リース契約期間満了後の洗車機を無償で仕入れて修理の上,中古品を既存顧客に対して販売する取引(全12件,同別紙の契約類型欄が③であるもの),④リース契約期間満了後の洗車機を無償で仕入れて修理の上,中古品を新規顧客に対して販売する取引(全7件,同別紙の契約類型欄が④であるもの)が含まれている(以下,各取引をそれぞれ「取引①」ないし「取引④」という。)。そして,いずれの取引も被告から被告製品を供給されなければすることができないから(取引③及び同④についても,中古品を販売する際には修繕や部品の交換等が必要である。),それらの全てを前記平均利益額算定の基礎にすべきである。 なお,別紙リース契約期間満了一覧表は,取引②に関して一部のリース会社との取引の状況をまとめたものであるが,ほとんどの取引先との間で契約が解消されていることがわかる。一部に契約を更新できた取引先があるが,これは取引先が善意で,新製品が開発されるまで洗車機の入替えを待ってくれただけである。 ウ前記期間の売上額は合計●(省略)●円であり(別紙売上一覧表(平成25年)及び同売上一覧表(平成26年)参照),被告製品の仕入れ原価は合計額●(省略 で洗車機の入替えを待ってくれただけである。 ウ前記期間の売上額は合計●(省略)●円であり(別紙売上一覧表(平成25年)及び同売上一覧表(平成26年)参照),被告製品の仕入れ原価は合計額●(省略)●円であったから,1か月の平均利益額はその差額を月数である19で除した額(●(省略)●円。1円未満切捨て)である。そして,10か月分の逸失利益は●(省略)●円となる。なお,P1では売上げの多寡によって人件費等の経費は増減しないから,原告の損害は粗利をもとに算定すべきである。 エ別紙被告に奪取された取引先一覧表記載のとおり,被告から被告製品が供給されなかった結果,被告に奪取された取引先があり,被告の債務不履行によって原告に損害が生じていることは明らかである。 (3) 過失相殺の抗弁等について 被告による被告製品の供給停止は,十分な根拠もなく本件契約を解除したことによるものであるし,発注済みの分の納品申出は代金の先払を条件とするもので,本件契約に基づく本来の債務の履行ではない。したがって,過失相殺,又は損害軽減義務違反をいう被告のその余の主張は否認し,争う。 (被告の主張)(1) 前記(原告の主張)(1)及び(2)は不知又は否認し,争う。 (2) 原告は被告製品の過去の納入実績をもって逸失利益を主張しているが,P1は被告製品以外の他社の製品も扱っていたから,逸失利益の算定に当たっては,被告製品以外の利益額の変化が明らかにされる必要がある。 また,平均利益額算定の基礎とする期間は1年や2年とすべきであるし,必要な経費を控除すべきである。 さらに,P1において新規の顧客とどのような交渉経緯があったのかは明らかでないし(取引①),リースの顧客についてはその契約期間の満了により当然に再契約を締結できるものではない(取 除すべきである。 さらに,P1において新規の顧客とどのような交渉経緯があったのかは明らかでないし(取引①),リースの顧客についてはその契約期間の満了により当然に再契約を締結できるものではない(取引②。因果関係を認める場合には,そのような実態を踏まえ割合的減額がされるべきである。)。また,P1は在庫として多くの中古品を保有していたから,被告製品の供給とは関係なく,中古品を販売することが可能であり,現に中古品を販売していた(取引③,④)。 なお,P1の取引先のうち,被告と取引を開始した所は,原告がP4作成に係る誓約書を送付してくるなどの原告の行為に起因して原告に対して不信感を抱き,その結果,その自由意思により,P1との取引を止めて被告との取引を開始したものである。 したがって,原告主張の逸失利益と被告の供給義務違反との間には因果関係がない。 (3) 過失相殺の抗弁等仮に原告に損害が生じたとしても,被告がP1への被告製品の供給を停止したのは,原告による本件商標権の無断取得等に原因があり,原告にも相応の過失がある から,損害賠償の責任及びその額を定めるにつき,その点が考慮されるべきである。 また,被告は本件契約を解除した後も発注済みの分については代金の先払があれば納品すると申し出たが,原告はこれを受け入れなかった。原告は損害軽減義務に違反したのだから,損害額は,これを斟酌して減じられるべきである。 さらに,別紙被告に奪取された取引先一覧表の1記載の取引先に係る損害は,原告が平成26年7月中に受注しなかったために生じたし,同4記載の取引先に係る損害は,原告が営業活動を行わなかったために生じたから,これらの損害額も減じられるべきである。 3 争点3(被告がP4と結託してP1の営業上の信用を毀損する不正な営業活動を 同4記載の取引先に係る損害は,原告が営業活動を行わなかったために生じたから,これらの損害額も減じられるべきである。 3 争点3(被告がP4と結託してP1の営業上の信用を毀損する不正な営業活動をしたか)(原告の主張)(1) 被告は,P1の取引先奪取を計画し,P1在職中のP4と結託し,P4を被告に入社させた後は同人を被告の中部営業所長として,以下のような,P1の営業上の信用を毀損する不正な営業活動をした。 ア P4は,営業活動の際,P1の取引先に対して,「P1は,今後,機械,部品,洗剤等消耗品を提供できないし,機械のメンテナンスもできなくなる。」,「P1は倒産する。」,「P1は,適正価格で商品を提供していない。」などと虚偽の事実を告げて,P1の営業上の信用を毀損して,その取引先の奪取行為に及んだ。 イ被告は,P4入社後,P1の取引先に対して本件契約が解除された旨を一方的に通知するとともに,P4が不正に持ち出した顧客情報を利用して,P1の取引先のリース契約期間を把握し,その期間の満了が近付いた取引先に対して,「リース残金を引き受ける。」,「P1より廉価で販売する。」などと持ち掛けて被告との取引を迫るなどの営業活動をしたが,その際,被告代表者も,P4同様の虚偽の事実をP1の取引先に直接告げるなどして積極的に不正な営業活動を行った。 (2) 原告及び被告は,本件契約1条に基づき,あるいは少なくとも本件契約の付随義務として,相互の信頼関係を尊重して,相互の事業発展を阻害してはならない 義務を負っているところ,被告は,原告に解除原因がないのに本件契約を解除したとして被告製品の供給を停止した上,上記(1)のとおり,P4と結託して,P1の営業上の信用を毀損する営業活動を行ったのである。 これらの営業上の信用を毀損する に解除原因がないのに本件契約を解除したとして被告製品の供給を停止した上,上記(1)のとおり,P4と結託して,P1の営業上の信用を毀損する営業活動を行ったのである。 これらの営業上の信用を毀損する不正な営業活動だけでなく,被告による上記一連の行為は,前記義務に違反したものであり,債務不履行が成立するし,社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な行為として不法行為も成立するから,被告にはこれにより原告に生じた損害を賠償すべき責任がある。 (被告の主張)(1)ア被告がP1在職中のP4と結託して,P1の取引先奪取を計画してP1の営業上の信用を毀損する不正な営業活動をしたとの主張は否認する。 イ被告がP1の取引先に本件契約が解除された旨を通知したことは認めるが,それは社会通念上必要な範囲内の行為であり,そのほか,P4又は被告代表者が不正な営業活動をしたとの主張は否認し,争う。 (2) したがって,原告主張の本件契約1条に基づく義務又は本件契約の付随義務の存否にかかわらず,被告の行為について義務違反はないから,被告に債務不履行や不法行為は成立しない。 4 争点4(被告の営業上の信用毀損による原告の損害の額)(原告の主張)被告がP4と結託してした債務不履行又は不法行為を構成する不正な営業活動の結果,P1としての営業上の信用を毀損されたが,それによる無形損害の額は500万円を下らない。 (被告の主張)原告の主張は争う。 5 争点5(被告の一連の行為による原告の慰謝料の額)(原告の主張)原告は,被告の一連の債務不履行又は不法行為の結果,廃業の窮地にまで追い込 まれた上,別紙被告に奪取された取引先一覧表記載のとおり,被告に取引先を奪取されたことで,多大な精神的苦痛を被ったが,その慰謝料の額は500万 法行為の結果,廃業の窮地にまで追い込 まれた上,別紙被告に奪取された取引先一覧表記載のとおり,被告に取引先を奪取されたことで,多大な精神的苦痛を被ったが,その慰謝料の額は500万円が相当である。 (被告の主張)原告の主張は争う。 第4 当裁判所の判断 1 上記第2の1の事実に加え,後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1) P1及び被告の事業ア被告は昭和48年2月に設立され,その関連会社として,昭和50年6月に株式会社ニッポーが,昭和62年5月にトライアン株式会社が設立された。被告はその関連会社やP1を含む被告の販売代理店等を「ニッポーグループ」と称して全国で事業展開していた。なお,株式会社ニッポー及びトライアン株式会社は,平成7年9月,被告に吸収合併された(乙11,乙13,乙15,乙17ないし乙19)。 イ P1は,遅くとも昭和53年頃から,被告又はその関連会社と取引を開始し,被告製品の供給を受け,愛知県及びその周辺(中部地域)において,ニッポーグループの一員として被告製品を販売するなどしていた(甲105,乙11,乙13,乙15,乙17,原告本人)。 ウ P4は,被告の従業員であったが,平成7年11月頃,P1に出向し,平成8年4月からは,原告の要請により被告を退職してP1の従業員として稼働するようになった。原告は,将来,P4に事業を承継させることを考え,そのことをP4に話すなどしており,P4はP1の事業を将来承継させてもらうことが約束されているものと考えていた(乙31,証人P4)。 (2) 本件商標の登録とその前後の経緯ア平成15年11月頃,被告がP1の取引先のうち1社と直接取引を行った。 その取引先はP1が平成4年以降,被告製品の納入及びメンテナンスサービス P4)。 (2) 本件商標の登録とその前後の経緯ア平成15年11月頃,被告がP1の取引先のうち1社と直接取引を行った。 その取引先はP1が平成4年以降,被告製品の納入及びメンテナンスサービスを行 ってきた取引先であったため,原告は平成15年12月末,被告に対し,被告の行為を断じて承服できないとして誠意ある回答を求める旨を内容とする書面を送付した。その書面の末尾には,被告の対応次第では法的手段をもって対処するとの内容が書き添えられていた。さらに原告は,平成16年1月7日頃,被告に対し,メーカーである被告と販売代理店であるP1との関係を問いただすような内容の書面を送付した(乙20,乙38。なお,原告は乙38ないし乙45について,時機に後れた攻撃防御方法であるとして却下を申し立てているが,尋問実施前に乙20が提出されていたことや本件訴訟の審理の経過等を踏まえると,訴訟の完結を遅延させることとなるとは認められないから,原告の申立てを却下する。)。 イ被告は,原告から上記書面の送付を受け,同年1月下旬から同年2月上旬にかけて,原告に対し,上記アの直接取引は,取引先から原告やP1に問題があることを理由として,メーカーが納入しなければ他社製品を購入等すると言われ,他社製品の納入を阻止するために行ったことなどを説明した(乙39ないし乙41の2)。 ウ原告は,同月6日,弁理士に依頼して,被告に連絡をすることなく,本件商標について登録出願をした。 エ前記ア,イのP1の取引先の扱いを巡る対立については,同年3月頃,前記P1の取引先への被告製品納入の功労金として被告がP1に対して100万円を支払うこととし,同年5月,その支払は,P1の被告に対する売掛金支払債務のうち100万円と相殺処理することで済ませ,紛争解決についての明確 への被告製品納入の功労金として被告がP1に対して100万円を支払うこととし,同年5月,その支払は,P1の被告に対する売掛金支払債務のうち100万円と相殺処理することで済ませ,紛争解決についての明確な合意はされなかったが,これで一応の決着となった(乙42,乙45)。 オ上記ウの原告のした本件商標の登録出願は,平成17年3月25日までに全ての登録出願につき登録査定がされ,原告が本件商標権を取得したが,原告は,被告に対してそのことを知らせなかった(甲105,乙4,乙6,乙8,乙10,原告本人)。 カ原告は,平成26年3月28日,最初に登録された本件商標権1について,存続期間の更新登録のための手続をとり,その存続期間が更新された。原告はこの 際にも被告にそのことを知らせなかった(乙4,原告本人)。 (3) 本件商標権取得後のP1の営業ア P1は,原告が本件商標権を取得した後も,被告の販売代理店として,被告製品を主要な取扱商品として営業を継続し,当事者間の販売代理店契約も本件契約に至るまで更新が続けられた。 イこの間,P1の営業は主にP4が担当していたが,平成23年4月に原告の二女がP1で勤務するようになり,平成24年5月頃には,二女の婚姻に伴い,その夫であるP5もP1で勤務することが話題になり始めた。P4は,これらの事情により,原告からP1の事業を承継させてもらえる可能性がなくなったと考え,原告に退職の意向を伝えたが,原告やその妻から懇願され,事業承継の約束は守られるものと考えて退職を思いとどまった(乙31,証人P4)。 ウ P4は,上記経緯を経て,P1で稼働し続けていたが,平成25年4月には,P5がP1で勤務し始めた(甲104,乙31,証人P5,証人P4)。 (4) 被告が本件契約解除の意思表示をするに至る経 ウ P4は,上記経緯を経て,P1で稼働し続けていたが,平成25年4月には,P5がP1で勤務し始めた(甲104,乙31,証人P5,証人P4)。 (4) 被告が本件契約解除の意思表示をするに至る経緯ア被告会長や被告代表者は,平成26年6月頃,原告が本件商標権を取得していることを知り,原告が本件商標権を取得した経緯が納得できるものであれば穏便に収め,本件商標権を取得するのに要した費用を被告が負担することも想定した上で,同月28日,本件商標権の取り扱いについて話し合うことを目的に,従業員とともにP1の事務所を訪問した(乙21,被告代表者)。 イ被告会長らの訪問を受けた原告は,本件商標権を取得した目的について説明し,被告からの本件商標権譲渡の申し入れについても,これに応じる旨を明らかにした。また,原告は被告からあった取得費用等の負担の申出について遠慮するなど,原告と被告との話し合いは終始穏やかに進み,そのような中,原告から,娘婿となるP5の紹介もなされるなどしていた。 しかし,被告会長らが退席するに当たり,再度,本件商標権の譲渡の確認とともに,本件商標権取得費用の負担を申し出たところ,原告がくだけた感じで,「なん ぼ」くれるのかという趣旨の言葉を発したことから,被告会長が激怒して原告が被告の商標を盗ったとして非難し,これに原告が言い返すなどしたため,両名の間で感情的な激しい言い争いになった。 この言い争いについては,原告の妻が止めに入り,後日,原告と一緒に出向く旨述べてその場を収めた(甲105ないし甲107,甲109,甲110,乙21,乙34ないし乙37,原告本人,被告代表者,証人P5)。 ウその後,原告やその妻らが被告に連絡をとったり,その本社等に出向いたりすることなく,また原告が本件商標権を被告に譲渡する 10,乙21,乙34ないし乙37,原告本人,被告代表者,証人P5)。 ウその後,原告やその妻らが被告に連絡をとったり,その本社等に出向いたりすることなく,また原告が本件商標権を被告に譲渡するための手続について弁理士に相談したり,被告との間でそのための協議をすることのないまま推移していたところ,被告は,同年8月1日,原告に対し,原告が被告に無断で本件商標権を取得し,被告に対してその買取りを要求したこと等によって被告との信頼関係を著しく破壊したとして,内容証明郵便によって,本件契約を解除するとの意思表示をし,同日以降,P1への被告製品の供給を停止した(甲105,乙2の1,2,原告本人)。 (5) 被告が本件契約解除の意思表示をした後の経緯ア被告から本件契約解除の意思表示を受けたP1では,平成26年8月4日,原告の妻がP5とともに被告会長の自宅を訪れ,被告会長に対して出向くのが遅くなったことを謝罪するとともに,前記(4)イの6月の訪問の際,原告から出た金員の話は冗談であり,また原告が本件商標権を取得した理由について,「ニッポー」という名前が人に取得されてはならないとの気持ちであって,自らが取得するという意味ではないなどと釈明し,本件契約解除の意思表示の撤回を求めた。 さらにP5は,同年8月5日,被告の北陸工場に被告代表者を訪ね,本件契約解除の意思表示の撤回を求めたが,被告の皆で話し合って決めたことであるとして,これを拒否された。 原告は,同月7日,妻や二女とともに被告の本社を訪れ,被告会長に対し,前記(4)イのやりとりについて重々反省しているなどとして謝罪し,本件商標権を取得 したのは,中国や台湾の企業等から問合せ等があり,これらの企業等から被告使用標章を守るためであったなどと釈明し,本件契約解除の意思表 反省しているなどとして謝罪し,本件商標権を取得 したのは,中国や台湾の企業等から問合せ等があり,これらの企業等から被告使用標章を守るためであったなどと釈明し,本件契約解除の意思表示を撤回して本件契約を継続することを求めたが,被告会長はこれを拒否した(甲105ないし甲107,甲109,甲110,乙34ないし乙37,原告本人,被告代表者,証人P5)。 イ原告は,被告に対し,同月18日付けの書面によって,発注済みの被告製品だけでも納期内に納品することを依頼したところ,被告は,同年9月2日付けの書面によって,前入金という条件であれば個別に注文を受けると連絡し,原告が同月3日付けで本件契約において定められた条件(前記第2の1(2)ウの12条)での納品を依頼したのに対しても,同様の回答をした(乙23,乙25,乙48)。 ウ P1は,同年7月当時,被告以外の他社の製品も販売等していたが,販売等している製品の大半は被告製品であった。そして,P1は,被告製品の供給が停止された同年8月以降,取引先に他社の製品を勧めるなどしたほか,別の会社と新たな製品の開発を始めた(甲104,甲105,原告本人,証人P5)。 エ P4は,上記(3)イ,ウの経緯からP1の退職を考えるようになっていた上に,被告が本件契約を解除するとの意思表示をしてP1への被告製品の供給を停止したこともあり,再びP1を退職する意向を固め,同年9月1日,P1に対し,同月末日をもって退職する旨の退職届を提出した。 P4は,それ以降,原告の二女やP5らとともに取引先に挨拶回りをし,同月18日には,P1在職中,取引先から受け取った名刺等をP1に引き継ぐなど,業務引継の確認をするなどして,同月末日をもってP1を退職した。 なお,P1においては,P4が営業に使用する車両に隠れてボイ 8日には,P1在職中,取引先から受け取った名刺等をP1に引き継ぐなど,業務引継の確認をするなどして,同月末日をもってP1を退職した。 なお,P1においては,P4が営業に使用する車両に隠れてボイスレコーダーを設置して録音し,P4が退職前から,P1の取引先に対して背任的な営業活動をしていることを把握していたので,P4に対する退職金は20万円を支給するに止めた(甲11,甲103,甲104,乙31,証人P5,証人P4)。 オ P4は,P1に退職の申し出をして以降,被告関係者とも連絡を取って,被告の名前を使って独立して事業を営む相談もしていたが,同月末日のP1退職後, 同年10月5日からは,被告の中部営業所所長として,被告の従業員としての営業活動を始めた。なお,被告の中部営業所は,このとき新設されたものであるが,P4がP1在職中から居住している自宅を営業所とするものであり,また同営業所にはP4以外の被告社員がいるわけではない(甲92ないし甲98,証人P4。なお被告は,これら上記エの隠し録音による証拠は違法収集証拠であるとして証拠能力を争うが,このように隠れて録音をしたのは,その当時,被告による本件契約解除とP4による退職の申出が続いたことで両者の関係に疑いの目が向けられてもやむを得ない状況であった中で(その疑いに全く根拠がなかったものでないことは結果的に裏付けられている。),P4がP1に背信的な営業をしていないかを確認することを目的としてしたものであり,しかもボイスレコーダーの設置場所もP4の私的な領域ではなく,P1の業務従事中となるはずのP1の営業用車両内というのであるから,これらの証拠を違法収集証拠として証拠能力を否定するには足りないというべきである。)。 カ P4は,その後,ときに被告代表者とともにP1の取引先を順 なるはずのP1の営業用車両内というのであるから,これらの証拠を違法収集証拠として証拠能力を否定するには足りないというべきである。)。 カ P4は,その後,ときに被告代表者とともにP1の取引先を順に訪ね,被告作成に係る「洗車機メーカー株式会社ニッポー技研からのお詫びとお知らせ」(甲6)と題する書面を配布しながら,P1と被告との取引関係が終了したこと,中部営業所を開設したことを説明し,同取引先を被告の直接の取引先とすべく営業活動をした。 なお,同書面には,P1と被告との間で「恥ずかしながら大きな問題が発生し,どうしても折り合いが付かず,誠に遺憾ではございますが,平成26年8月1日を持ちまして,代理店解除となり当社としては痛恨の思いでございます。つきましては,各ユーザー様へのご不便,ご面倒をお掛け致しませぬ様,苦渋の決断の上,当洗車機メーカーとしての責任と誇りをもち,この度,中部営業所を開設させて頂く運びとなりました。」などの記載があった(甲6,被告代表者,証人P5,証人P4)。 キ他方で,P1は,P4の退職後,相当数の取引先に対し,P4が退職したこ となどを記載した書面とともに,平成26年9月18日付けのP4名義の署名押印のある「誓約書」と題し「私は,貴社を退職するにあたり,次の行為をしないことを誓約します。」として「1)P1の商権(取引先等)を侵害致しません。2)秘密は漏洩致しません。」と予め印刷された書面(甲10)を交付したり,郵送したり,ファックス送信したりした(乙27,乙28,証人P5)。 ク P1は,平成27年5月までに洗車機の新製品を開発し,同年6月以降,新製品の販売等を開始し,被告との取引がないことで影響を受けない事業体制を確立した(甲105,原告本人)。 2 争点1(被告による被告製品の供給停止 5月までに洗車機の新製品を開発し,同年6月以降,新製品の販売等を開始し,被告との取引がないことで影響を受けない事業体制を確立した(甲105,原告本人)。 2 争点1(被告による被告製品の供給停止について債務不履行が成立するか)について(1) 被告の供給義務違反について本件契約においては,その7条において,P1から被告に対して注文書を送付又はFAXし,被告がFAXにて請け書を送ることで取引の成立とすると規定されているから,具体的な被告の供給義務は,被告が主張するように,個々の売買契約から生じるものということができる。 しかし,前記1(1)ないし(3)認定の事実関係によれば,P1と被告との間には,被告製造に係る被告製品をP1が代理店として販売するという継続的商品供給契約関係が長らく維持されてきておりて,その延長線上にある本件契約についても,その存続中,被告はP1から被告製品の発注があった場合,これに応じて被告製品を供給すべき義務を負っていたというべきである。 したがって,被告が平成26年8月1日に本件契約を解除するとの意思表示をし,その後,P1関係者による度重なる懇請にもかかわらず上記意思表示を撤回せず,P1に対して被告製品を供給しなかったことは,被告製品の供給停止を適法とすべき事由がない限り,すなわち上記解除の意思表示が即時効力を生ずるものでない限り,上記義務に違反するものとして債務不履行を構成することになる。 (2) 本件契約の終了事由について ア本件契約13条3号又は15条5号に基づく即時解除(ア) 被告は,原告による本件商標権の取得等が本件契約に違反することを理由として,本件契約13条3号又は15条5号に基づき契約を即時解除した旨主張している。 ところでP1は,被告の販売代理店として営業を行っ は,原告による本件商標権の取得等が本件契約に違反することを理由として,本件契約13条3号又は15条5号に基づき契約を即時解除した旨主張している。 ところでP1は,被告の販売代理店として営業を行っていたもので,被告製品を販売することで事業を成り立たせていたのであるから,被告の商品表示に係る権利及び営業表示に係る権利を尊重し,被告による当該権利の保有及び管理を妨げてはならない信義則上の義務を負っていたものということができる。 そうであるのに,P1の屋号で事業を営む原告は被告の商品表示又は営業表示に同一又は類似であり,かつ指定商品に被告製品を含む本件商標の登録出願をして現に本件商標権を取得したのである。そして,その結果,被告が被告使用標章を使用するための法的な裏付けとなる商標権は原告に保有されるところとなり,被告にとっては,原告の対応次第では被告使用標章の使用に支障を来すなど重大な営業上の不利益を受けるおそれが生じたということができる。しかも原告は,本件商標の登録出願の目的・動機について縷々弁解するが,その当時,原告と被告との間では被告がP1の取引先と直接取引をしたことを巡って紛争状態にあったものである上,原告は,被告から指摘されるまで本件商標権の取得及びその保有・存続期間更新の事実を被告に秘匿し続けたという経緯があることからすると,原告の上記一連の行為は,取得した商標権を直ちに利用しないとしても,被告との紛争において交渉を有利に進めるための取引材料として保持しようとしたなどの何らかの不正な目的によるものであることを推認するのが相当である(本件商標権取得を巡る原告の弁解は,被告の承諾さえあったなどと主張するもので,上記認定の事実経緯に照らせば,不自然,不合理であっておよそ信用できない。)。 したがって,本件商標権を取得したことを巡る原告 標権取得を巡る原告の弁解は,被告の承諾さえあったなどと主張するもので,上記認定の事実経緯に照らせば,不自然,不合理であっておよそ信用できない。)。 したがって,本件商標権を取得したことを巡る原告の一連の行為は,上記信義則上の義務に違反するところといえ,これは本件契約の条項に照らせば,相互に信義と信頼に基づきその利害関係を尊重すべきことを定めた1条の趣旨に反するもので あって,本件契約の文言上,13条3号及び15条5号の該当性を肯定することができる。 (イ) しかし,本件契約が継続的商品供給契約であり,しかも,その前駆となる契約関係を含めると,その関係は約40年間に及び,この間,P1が被告又はその関連会社の販売代理店としてその事業発展に貢献してきた事情等に鑑みると,P1の事業に深刻な打撃を与えることが明らかな被告製品の即時の供給停止をもたらす即時解除の意思表示が有効であるといえるためには,上記解除事由について,信義則上,取引関係を直ちに断ち切ることもやむを得ないような著しい不信行為等,真にやむを得ない事由の存することが必要であると限定して解するのが相当である。 そして,そのような観点からみると,原告が本件商標の登録出願当時,不正な目的を有していたことが認められるとしても,原告は,その後,被告に対して具体的に何らかの不利益をもたらす行動をした事実はなく,むしろ,その後も,P1自身の利益であるとはいえ,被告の販売代理店として営業を行い,被告の事業発展に客観的には貢献してきた事実が認められる。また,被告においてすら,当初は,本件商標権を巡る紛争を穏便に終わらせようとして,話合いの場では,概ね解決の目処がつきかかっていたことも認められるのであり,結局,話合いで解決に至らなかったのは,原告の不用意な発言に端を発して原告と被告 商標権を巡る紛争を穏便に終わらせようとして,話合いの場では,概ね解決の目処がつきかかっていたことも認められるのであり,結局,話合いで解決に至らなかったのは,原告の不用意な発言に端を発して原告と被告会長が感情的になって激しく言い争ったからにすぎないとさえいえるところである。 なお,この点に関し,被告は原告が本件商標権の買取りを要求したと主張しているが,原告は被告が本件商標権の譲渡を求めたのに対して,これを了承し,その際に金員を請求するという話をしたわけではなかったし,被告において原告が本件商標権を取得するのに要した費用を被告が負担することも想定し,原告と被告との間でその費用負担の話が出ていたわけであるから,原告が発した「なんぼ」くれるのかという趣旨の言葉は,その当時の問題状況下で適切でない不用意な発言であるといえるものの,本件商標権の買取り要求の趣旨で発言されたと解することは困難であり,そのことは被告会長ほか,同席していた被告側の関係者でも同様に理解でき たものと認められる。 したがって,上記言い争いの後,後日,被告を訪問することを提案しながら訪問しようともせず,そればかりか何ら連絡もせず,そのため被告の不信感を募らせて事態を悪化させた原告の対応に問題があることを踏まえても,被告が本件契約解除の意思表示をした当時,原告のした本件商標権の取得及びその保有等の事実は,本件契約の即時終了をもたらすには足りないというべきであって,本件契約13条3号又は15条5号に基づき本件契約が即時解除された旨の被告の主張は採用できないというほかない。 イ民法541条に基づく即時解除被告は,本件契約に基づく即時解除が認められないとしても,民法541条に基づく即時解除としての効力があるようにも主張する。 しかし,解除の理由とする事情は い。 イ民法541条に基づく即時解除被告は,本件契約に基づく即時解除が認められないとしても,民法541条に基づく即時解除としての効力があるようにも主張する。 しかし,解除の理由とする事情は,上記アで認定判断してきたところと同じであって,即時解除を肯定し得るものではないから,民法に基づく即時解除を前提とする被告の主張も採用できない。 ウ本件契約15条4号に基づく解約予告による解除被告はさらに,本件契約解除の意思表示が,解約予告の通知を含んでいるとも主張する。 被告が内容証明郵便によってした本件契約解除の意思表示は,文言においては契約解除としているが,結局のところ,原告との契約関係を終了させることを欲した意思表示であると解されるから,この解除の意思表示によって即時解除の効果がもたらされないとしても,当事者間に本件契約が有効に存する以上,その意思表示は,少なくとも本件契約15条4号に基づく解約予告の通知を含んでいるものと解するのが相当である。なお,原告は,同号を一方的な解約予告による解除権を定めたものではないと主張しているが,その規定振りからすると,当事者の合意によって解約予告を経て解除することができることを規定したものとみるのは不自然であるから,この規定は原告と被告のどちらからでも解約予告によって解除することができ ることを規定したものと解するのが相当である。 また,同条は3か月経過後の解除の意思表示を要求しているところ,被告はその解除の意思表示を改めて明示的にしているわけではないけれども,本件契約の解除の意思表示後,P1関係者からの懇請に対して一貫して本件契約解除の意思表示の撤回や取引再開に応じない旨の対応をしていたというのであるから,平成26年8月1日に解約予告をした3か月後の時点においても,なお本件 示後,P1関係者からの懇請に対して一貫して本件契約解除の意思表示の撤回や取引再開に応じない旨の対応をしていたというのであるから,平成26年8月1日に解約予告をした3か月後の時点においても,なお本件契約15条に基づく解除の意思表示を原告に対して黙示的にしていたものと認めるのが相当である。 ところで,上記検討したように本件契約が継続的商品供給契約であり,また当事者間の契約関係が約40年間に及ぶことを考慮すると,この3か月の猶予期間を置く解除であったとしても,形式的に要件を満たすだけで有効な解除といえないことは即時解除についてみたのと同様であるが,原告がした本件商標権の取得及びその保有等の事実が当事者間の信義則に反するものであって,当事者間の継続的契約関係の維持を困難ならしめる事情であることは十分肯定できるから,3か月の猶予期間を置く解除の限度では,その解除は有効と解すべきである。 したがって,本件契約は,平成26年8月1日から3か月の経過をもって終了したと認められる。 (3) 被告の帰責事由について上記検討してきたところによれば,被告主張に係る本件契約解除の意思表示は即時解除の意思表示としては無効であるから,本件契約に基づく被告製品の供給を停止した平成26年8月1日から3か月が経過して本件契約が解除により終了した同年11月1日までの間について被告は本件契約について債務不履行責任を負うべきことになる。 この点について被告は,本件契約解除の有効性の判断を誤ったことはやむを得なかったとして,被告の債務不履行につき帰責事由がないと主張している。 しかし,上記1(4)認定の事実経過に照らすと,原告には本件商標権を隠れて取得したという問題があったとはいえ,そのことにより不当な要求があったわけでも, そのことによる被告の事業に しかし,上記1(4)認定の事実経過に照らすと,原告には本件商標権を隠れて取得したという問題があったとはいえ,そのことにより不当な要求があったわけでも, そのことによる被告の事業に対する具体的影響が現れていたわけでもないから,被告が本件契約の即時解除に踏み切った理由としては,被告会長が原告と感情的な言い争いをしたことが大きく影響したことがうかがえるところである。そうすると,以上のような事実関係のもとでは,被告が本件契約の即時解除が許されるという誤った判断をしたことがやむを得ないものであったということはできず,被告には,むしろ責に帰すべき事由があったというべきである。 また,被告は発注済みの被告製品について納品の申出をしたのに原告が応じなかったから,少なくともこれらに関して被告は債務不履行責任を負わないとも主張しているが,被告の申出は前入金を条件とするもので,本件契約12条の定めに反したものであるから,これをしたからといって被告が債務不履行について責任を免れるということはできない。 (4) したがって,被告は被告製品の供給停止の債務不履行を理由として,供給停止を開始した平成26年8月1日から本件契約が解除により終了した同年11月1日までの間に原告に生じた損害を賠償する責任を負う。 3 争点2(被告が被告製品の供給を停止したことにより原告に生じた損害の額等)について(1) 被告の債務不履行による原告の逸失利益の額についてアまず原告は,平成26年8月から平成27年5月までの逸失利益を請求しているが,本件契約は平成26年8月1日から3か月の経過をもって終了しており,その後の逸失利益は被告の債務不履行によるものとは認められないから,その賠償請求には理由がない。 イ以下,平成26年8月1日から本件契約が終了した同年1 1日から3か月の経過をもって終了しており,その後の逸失利益は被告の債務不履行によるものとは認められないから,その賠償請求には理由がない。 イ以下,平成26年8月1日から本件契約が終了した同年11月1日までの原告の逸失利益の額を検討する。 (ア) この点について原告は,平成25年1月から平成26年7月までの間の被告との取引を取引①ないし取引④に分類し,そのいずれも被告から被告製品を供給されなければすることができないものであるとして,これを基礎として逸失利益を算 定すべきであると主張している。 しかしながら,P1が被告から供給を受けていた被告製品は主に洗車機であるが,洗車機については被告製品以外の他社の製品もあって,P1がこれを仕入れて被告製品の代替品として販売等することも可能であったはずであり,現に平成26年8月以降,これを販売等していたことが認められる(甲104,証人P5,弁論の全趣旨)。そうすると,被告による被告製品の供給停止前後におけるP1の売上額全体の変動を明らかにせずに,被告製品の供給停止分がすべて逸失利益となってくるようにいう原告の主張を直ちに採用することはできない。 また,原告が分類する取引①ないし同④のいずれについても,同月以降,P1に従前と同じ利益が生ずることを当然の前提とすることはできない。 取引①は,新たな取引であるから,その性質上,当然に同月以降,それ以前と同額の利益が生ずると認めることはできないし,また取引②についても,被告における再リースの契約締結状況(乙49)に照らせば,リース契約期間が満了した後にすべてのリース契約の取引先との間で,リース契約の継続の趣旨で新たな取引が成立する蓋然性があったとまで認めることはできない。そうすると,同月からの3か月間のP1における取引成立に向け が満了した後にすべてのリース契約の取引先との間で,リース契約の継続の趣旨で新たな取引が成立する蓋然性があったとまで認めることはできない。そうすると,同月からの3か月間のP1における取引成立に向けた交渉状況等を個別具体的に検討しなければ,被告の債務不履行と原告主張の逸失利益との間に因果関係があるかを判断することはできない。 取引③及び同④については,リース契約期間満了後の中古品を取引対象とするものであるが,これは被告から供給を受ける製品による取引ではないから(弁論の全趣旨),これについての売上減少を被告の債務不履行と因果関係があるものと認めることはできない。なお,原告は中古品を販売するためには修繕や部品の交換等が必要であるから,被告製品の供給停止により,中古品の販売に影響があったもののように主張しているが,P1は中古品の在庫を有していたわけであるから(弁論の全趣旨),損害認定の対象期間の中古品の販売についていかなる影響があったかが個別具体的に主張立証されていない以上,中古品販売の売上減少と被告の債務不履 行との間に因果関係があるものと認めることはできない。 したがって,被告の債務不履行と因果関係が認められるのは,取引①及び②に係る逸失利益に限られることになる。 (イ) そこで,さらに取引①及び同②に相当する取引について,平成26年8月からの3か月間の具体的な事実関係を検討することにする。 a 取引①について被告製品の供給停止による損害発生の因果関係が認められるためには,上記3か月間に具体的な取引が成立する蓋然性があったことが認められる必要があり,単に被告に取引先を奪取されたというだけでは,その逸失利益を被告の債務不履行によるものと認めることはできない。 原告は,別紙被告に奪取された取引先一覧表記載の取引 あったことが認められる必要があり,単に被告に取引先を奪取されたというだけでは,その逸失利益を被告の債務不履行によるものと認めることはできない。 原告は,別紙被告に奪取された取引先一覧表記載の取引先すべてについて逸失利益を主張するが,同表記載14ないし同16の取引先については,平成26年8月からの3か月間にP1との取引が成立すべき具体的事実があったとは認められないから,その取引に係る逸失利益が被告の債務不履行によるものとは認められない。 また,P1は,同表記載13のとおり,平成26年5月,●(省略)●に対して見積書を提出していたものの(甲127,甲128),同社からP4訪問の連絡があった同年11月7日まで,取引が成立しないまま推移していたのであるから(甲104,弁論の全趣旨),P1と同社との間で同日までに取引が成立すべき状況にあったとは認められないから,同社との取引に係る逸失利益も被告の債務不履行によるものとは認められない。 他方で,P1は,同表記載17のとおり,同年7月までに,●(省略)●に対して営業活動をし,同社にデモンストレーション機を貸し出していたが,被告製品の供給を停止されたため,同社との交渉は中断を余儀なくされて同社から注文を受けられず,他方,同社においては同年12月に被告から製品の納入を受けた事実が認められる(甲11,甲104,甲132,乙51の7,証人P5)。これらの事実関係によれば,P1が同社との取引機会を逸したのは,被告がP1への被告製品の 供給を停止したことによるものと認められるから,被告の債務不履行がなければ,同年11月1日までにP1と同社との間で取引が成立する蓋然性があったと認められる。そして,同社が購入予定であった被告製品はCKS-3Cであるところ,証拠(甲64,甲69,乙46の14 行がなければ,同年11月1日までにP1と同社との間で取引が成立する蓋然性があったと認められる。そして,同社が購入予定であった被告製品はCKS-3Cであるところ,証拠(甲64,甲69,乙46の14,乙46の18,乙46の19)及び弁論の全趣旨によれば,P1は被告から●(省略)●円(税込)で供給を受け,同社に対して少なくとも●(省略)●円(税込)で売却する蓋然性があったと認められる。なお,被告の主張によれば,同社は被告から別の機種の納入を受けたということだが,上記認定の同社との交渉経緯に照らせば,その事実によって上記認定は左右されない。したがって,その差額である●(省略)●円が被告の債務不履行と因果関係のある原告の損害ということになる。 b 取引②について上記a同様,被告製品の供給停止による損害発生の因果関係が認められるためには,上記3か月間に既存のリース契約の継続の趣旨で,新たな取引が成立する蓋然性があったことが認められる必要があり,単に被告に取引先を奪取されたというだけでは,その逸失利益を被告の債務不履行によるものと認めることはできない。 原告は,別紙被告に奪取された取引先一覧表記載の取引先すべてについて逸失利益を主張するが,同表記載2,同3,同5ないし同9の取引先については,平成26年8月からの3か月間にリース契約期間が満了するわけでもないから,その取引に係る逸失利益が被告の債務不履行によるものとは認められない。 また,原告は,この間,同表記載4の取引先に対して洗車機の入替えを提案しており,同社から同年9月に入替えの打診があったと主張し,P5はそれに沿う証言をしているが,そのような事実があったとしても,打診にとどまっているというのであり,同年11月1日までにP1と同社との間で取引が成立すべき状況にあったことを具体的に認定する し,P5はそれに沿う証言をしているが,そのような事実があったとしても,打診にとどまっているというのであり,同年11月1日までにP1と同社との間で取引が成立すべき状況にあったことを具体的に認定するに足りる立証があるわけではないから,その取引に係る逸失利益が被告の債務不履行によるものとは認められない。 なお,別紙リース契約期間満了一覧表記載12,同13,同15及び同16の取 引先については,同年8月から同年11月1日までの間にリース契約期間が満了した事実がうかがえるが,リース契約期間満了時に当然に販売又はリースの契約を締結されることが期待できるわけではないから,個別の取引先について,被告製品の供給停止がなければ,販売又はリースの契約を継続することができたはずの事実関係が具体的に立証されない以上,これらの取引先との関係での逸失利益が被告の債務不履行によるものと認めることはできない。 他方で,別紙被告に奪取された取引先一覧表記載1の取引先は,リース契約期間満了直後である同年8月7日にP1に発注していたものの,同年10月に被告から被告製品の納入を受けて,結局,P1との取引をしなかったものと認められる(甲11,甲104,乙32,乙51の1,証人P5,弁論の全趣旨)。これらの事実関係によれば,P1が受注に対応することができなかったのは,被告がP1への被告製品の供給を停止したことによるものと推認されるから,被告の債務不履行がなければ,同年11月1日までにP1と上記取引先との間で取引が成立する蓋然性があったと認められる。そして,上記取引先が再度リースを受ける予定であった被告製品はMH188SRであるところ,証拠(甲112,乙46の16,乙47)及び弁論の全趣旨によれば,P1は被告から●(省略)●円(税込)で供給を受け,同社との間で 再度リースを受ける予定であった被告製品はMH188SRであるところ,証拠(甲112,乙46の16,乙47)及び弁論の全趣旨によれば,P1は被告から●(省略)●円(税込)で供給を受け,同社との間で納入価格を少なくとも●(省略)●円(税込)とするリース契約を締結する蓋然性があったと認められる。したがって,その差額●(省略)●円が被告の債務不履行と因果関係のある原告の損害ということになる。 c なお,被告は,上記損害額の認定に当たり,必要な経費を控除すべきと主張しているが,親族を中心に少人数で営業しているP1の営業形態に照らせば,上記逸失利益から控除すべき具体的な経費は認められない。 d 以上より,被告の債務不履行による原告の逸失利益は合計74万7600円となる。 (2) 過失相殺の抗弁等について被告は,原告にも相応の過失があったとして,過失相殺すべきと主張しているが, 被告の債務不履行による原告の逸失利益は,被告が本件契約を即時解除したとして被告製品の供給を停止したことによる損害であるところ,被告が即時解除という誤った判断をしたことがやむを得ないものであったといえないことは前記判示のとおりであるから,損害の発生について原告に過失があるとはいえない。 したがって,被告の過失相殺の抗弁には理由がない。 また,被告は,原告が発注済みの分については,本件契約解除後も履行することを申し出ていたにもかかわらず,原告がこれを受け入れなかった損害軽減義務違反があるとして損害額を減ずべきとも主張しているが,被告の申出は前入金を条件とするもので,本件契約12条の定めに反したものであるから,原告がこれを受け入れなかったとしても,原告に損害軽減義務の違反があるとはいえない。 したがって,被告の損害軽減義務違反をいう主張には理由がない。 ので,本件契約12条の定めに反したものであるから,原告がこれを受け入れなかったとしても,原告に損害軽減義務の違反があるとはいえない。 したがって,被告の損害軽減義務違反をいう主張には理由がない。 4 争点3(被告がP4と結託してP1の営業上の信用を毀損する不正な営業活動をしたか)について(1) 原告は,P4がP1退職前から被告がP4と結託していたことを前提に,P1退職前のP4によるP1の営業上の信用を毀損する行為の責任についても被告にあるように主張する。 確かに,被告による本件契約解除の意思表示をした時期と,P4がP1からの退職意思を明らかにした時期が近接している上,証拠(甲92ないし甲98)によれば,P4は,P1から退職することが決定した後,被告に就職することを前提としてP1の取引先に対して,被告と取引するよう営業をしていた様子がうかがえ,現にP4はP1退職後間もなく被告に転職し,被告の中部営業所所長としてP1と同じ営業地区で競合しているから,これらの事実関係だけみると,被告はP4と結託し,P1の取引先奪取を予め計画をし,そのためP1退職前のP4をして,そのための営業活動をさせていたことが疑われるところである(P4は,少なくとも被告製品を取り扱う事業で独立しようとして被告と協議していたことを認める証言をしているのであるから,P4が被告のために営業していたことは否定できず,被告に もP4の上記意図についての認識はあったと認められる。)。 しかしながら,原告がここで問題にしているのは,P4によるP1の営業上の信用を毀損する違法な営業活動であるが,上記1(3)の認定経緯に明らかなように,P4は,被告による本件契約解除前から,原告の都合によりP1の事業を承継できる見込みがなくなったことでP1を退職することを考えていた る違法な営業活動であるが,上記1(3)の認定経緯に明らかなように,P4は,被告による本件契約解除前から,原告の都合によりP1の事業を承継できる見込みがなくなったことでP1を退職することを考えていたわけであるし,P1が隠れて録音したP4の発言中(甲92,甲96)に,P1の事業承継への期待を裏切られたことについて原告への不満を表明する部分が多く見られ,さらには被告による本件契約の解除までもがP4の仕組んだ結果のように自慢している部分(甲92,甲95・7頁,甲96・4頁。ただし,事実とは認められない。)さえある。 そして後記(2)で認定判断するとおり,P4の問題を除外すれば,被告についてP1の営業上の信用を毀損する営業活動をした事実が認められるわけではないから,P4が,P1退職前の営業活動において,P1を誹謗する発言に及ぶことがあったとするなら,それは,P4の原告に対する個人的悪感情が背景にあってした行為とみるべきであって,これが被告と結託し,あるいは被告から意を受けてしたものとみることはできない。 したがって,P1在職中のP4の上記行為は,被告に関係なく行われたものといわなければならないから,原告主張の義務を前提にしても,P4の行為を理由に,被告の債務不履行又は不法行為を問うことはできないというべきである。 (2) そこで以下においては,被告がなした営業活動,あるいは被告の中部営業所の所長となった後のP4の営業活動について検討していくこととする。 ア原告は,被告がP1の取引先に対して,本件契約が解除された旨を一方的に通知したことを問題としている。そこで,指摘に係る,被告がP1の取引先に交付した被告名義の書面(甲6)についてみると,その記載文言は,上記1(5)カのとおりであって,その内容は,洗車機メーカーが,販売代理店と取引していた取引先 。そこで,指摘に係る,被告がP1の取引先に交付した被告名義の書面(甲6)についてみると,その記載文言は,上記1(5)カのとおりであって,その内容は,洗車機メーカーが,販売代理店と取引していた取引先に対して当該代理店との販売代理店契約を解除したことを知らせるものにすぎず,また原告による本件商標権取得の問題は,P1と被告との代理店関係を維持していく ことを困難ならしめる問題であるから,これを具体的内容に触れず「大きな問題」とだけ表現して説明することは適切であって,その配布及びこれに伴う内容説明がP1の営業上の信用を毀損する違法な行為とはいえない。 なお,被告のした本件契約解除の意思表示は,即時解除のそれとしては無効であるから,上記書面の記載は,客観的には虚偽の内容を含んでいることになるが,本件契約の終了日に誤りがあったとしても,いずれにせよ,被告とP1との販売代理店契約が終了することは取引先に知らされるべき情報であるから,その書面の配布及び説明行為が違法なものとなるとまではいえない。 イ次に,原告はP4や被告代表者が,P1の取引先に「P1は倒産する。」などと虚偽の事実を告げたと主張する。 P1の取引先が作成した陳述書(甲89ないし甲91,甲101,甲102)によれば,P4は被告の中部営業所所長になった平成26年10月以降に,P1の取引先のうち,少なくとも5か所を営業のため訪れ,そのうち4か所においてはP1がもうすぐ,あるいは直ちに倒産する,またそれとともにP1では被告製品のメンテナンスができなくなるなどと告げて営業活動をした事実が認められる(なお,証人P5の証言は,これより多くの取引先に告げた事実をいうものであるが漠然としており,上記認定を超えて,上記事実を告げた事実を認めるに足りない。)。 ところで,P1がもうす 事実が認められる(なお,証人P5の証言は,これより多くの取引先に告げた事実をいうものであるが漠然としており,上記認定を超えて,上記事実を告げた事実を認めるに足りない。)。 ところで,P1がもうすぐ,あるいは直ちに倒産するなどという情報は,それ自体,その当時のP1の経営見通しを言っただけということもできるが,上記取引先との関係では,P4はP1の担当者であった者であるから,上記発言は,確実な事実を告げたと理解されるし,加えて上記発言は,当該取引先に対してP1との取引を止め,被告と取引するよう勧誘する取引先奪取の営業活動の一環としてされたことは明らかであるから,これはP1の営業上の信用を毀損する違法な行為であるといわなければならない。 そして,その時期が,被告とP1との間の本件契約がいまだ効力を有している時期というべきであることからすると,このP4の営業活動が被告の業務としてされ たものである以上,これは被告の行為として,少なくとも契約相手方の利害関係を尊重すべきなどとする本件契約1条から導かれる信義則上の義務に違反し債務不履行に当たるというべきである。 ウ原告は,倒産するとの発言と関係して,P4又は被告が,P1が本件契約を解除され,今後,機械等を提供できないなどということを営業活動において発言したことも問題としているが,直ちに効力を生ずるかはさておき被告が本件契約を解除したこと,その結果,P1において被告製品の供給を受けられなくなることは客観的事実であり,被告が,そのことを,被告製品を取り扱う取引先に対して説明することは違法とはいえないから,その発言は,P1の営業上の信用を違法に毀損するものと認めることはできない。 エ原告は,P4が,P1退職後の営業活動において,P1の取引先に対して,P1が適正価格で商品を提供 法とはいえないから,その発言は,P1の営業上の信用を違法に毀損するものと認めることはできない。 エ原告は,P4が,P1退職後の営業活動において,P1の取引先に対して,P1が適正価格で商品を提供していないという発言をした旨も主張するが,そのような発言がされたことを認めるに足りる証拠はない。 オ P1の取引先が提出した陳述書(甲101)には,本件契約を解除されたことが,P4及び被告の部長から「P1がとんでもなく悪い事をして契約破棄と」なったと説明されたようにいう部分があるが,原告による本件商標権の取得それ自体は,被告との契約上の信義に反する行為であるとともに,商標法の問題としては公序良俗に反すると評価され得る行為であるから(乙26の1ないし4),被告において,本件契約の解除の経緯を説明する必要があることも考慮すると,これがP1の営業上の信用を毀損する違法な行為であるとはいえない。 カそのほか原告は,P4が不正に持ち出した顧客情報を利用して,P1の取引先のリース契約期間を把握し,その期間の満了が近付いた取引先に対して営業活動をしたことを問題にしているが,仮にその行為が認められたとしても,営業活動を不正取得した情報に基づき優位に行ったというだけであってP1の営業上の信用を毀損することにはならない。そして,違法な営業活動によって取引機会が奪われたのなら,それは逸失利益の問題として,その損害が評価されるべきである(ただし, 原告主張に係る営業情報が不正競争防止法上の営業秘密と主張されているわけではなく,またP4が包括的な競業避止義務を負っているわけではないこと(P4作成とされる誓約書(甲10)は,成立が認められたとしても,そのままの無限定の競業避止義務を負わせることはできない。)からすると,本件契約の解除の効果が生じた平 務を負っているわけではないこと(P4作成とされる誓約書(甲10)は,成立が認められたとしても,そのままの無限定の競業避止義務を負わせることはできない。)からすると,本件契約の解除の効果が生じた平成26年11月2日以降について,その営業活動の不正性を問題にすることはできない。)。 キしたがって,被告による営業上の信用毀損行為としては,P4が被告の中部営業所所長として,P1の取引先の一部(4か所)に対して,P1がもうすぐ,あるいは直ちに倒産すると告げてP1との取引を止め,被告と取引するよう求めた営業活動が問題となり,被告は,これによりP1としての原告が被った営業上の信用毀損について債務不履行に基づきその損害を賠償する責任を負うというべきである。 5 争点4(被告の営業上の信用毀損による原告の損害の額)について債務不履行又は不法行為を構成する原告主張に係る被告及びP4による営業上の信用を毀損する行為は,P4が被告の中部営業所所長になった後の上記4で認定した行為の限度で認められる。 ところでP1は,その当時,被告から被告製品の供給を突然停止されて経営が困難な状態にあったと認められるが,その状況下で,P1の内部事情に詳しいと理解されるP4において,P1の倒産の見込みをP1の取引先に告知したというのであるから,これはP1の経営困難に追い打ちをかけるものとして,その営業上の信用が毀損された程度は大きいといわなければならない。 そして,現にそのような発言があったために,P1においては,当該取引先から取引を中止されないよう取引先への説明等の負担を強いられたこと(甲89ないし甲91,甲102,甲104,証人P5)が認められるから,当該発言を受けた当該取引先との取引が中止されることなく維持されたことを考慮しても,これによるP1の営業上の信用毀 いられたこと(甲89ないし甲91,甲102,甲104,証人P5)が認められるから,当該発言を受けた当該取引先との取引が中止されることなく維持されたことを考慮しても,これによるP1の営業上の信用毀損の程度は大きく,その損害の額は40万円と認めるのが相当である。 6 争点5(被告の一連の行為による原告の慰謝料の額)について原告は,営業上の信用毀損による無形損害とは別に,被告からの製品供給停止により廃業の窮地にまで追い込まれたことや,取引先を奪取されたことによる精神的苦痛の慰謝料としての損害賠償を請求している。 しかし,被告製品の供給が停止され取引先が被告に奪われるというP1に損害をもたらした出来事により,原告が精神的苦痛を被っていたであろうことは十分認められるが,その精神的苦痛を被らせた出来事による財産的側面における損害,すなわち逸失利益や,営業上の信用毀損による損害については,その損害の額を上記3,5でそれぞれ認定したとおりである。 そうすると,これら一連の行為による原告の財産的側面の損害はそれ自体の損害賠償により填補される関係にあるから,経済的損害の補填では賄えないような特別な精神的損害が生じたことを認めるに足りない本件においては,これにより原告の精神的苦痛も慰謝されたとみるべきである。 したがって,上記行為による精神的苦痛を訴えてする原告の被告に対する慰謝料請求には理由がないというべきである。 7 以上によれば,原告の被告に対する損害賠償請求は,合計114万7600円及びこれに対する催告の日の翌日(訴状送達の日の翌日)である平成26年10月29日から支払済みまで商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 8 結語以上の次第で,原告の請求は,その理由がある限度で認 の翌日)である平成26年10月29日から支払済みまで商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 8 結語以上の次第で,原告の請求は,その理由がある限度で認容することとし,その余は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文を,仮執行宣言につき同法259条1項を適用し,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官森崎英二 裁判官野上誠一 裁判官大川潤子

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