令和元年11月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成30年(ワ)第40234号補償金請求事件口頭弁論終結日令和元年10月9日判決 原告 A同訴訟代理人弁護士今村一彦 被告東芝プラントシステム株式会社同訴訟代理人弁護士加藤義樹 同毛塚重行同黒沼拓未 主文 1 被告は,原告に対し,87万円及びこれに対する平成31年1月24日から 支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを5分し,その2を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,157万円及びこれに対する平成31年1月24日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は,被告の共有する特許(特許第4602816号。以下,この特許に係る発明を「本件発明」という。)の発明当時被告の従業員であり,共同発明者の一人として特許を受ける権利の持分を被告に承継させた原告が,被告に対し,特許法(平成16年法律第79号による改正前のもの。以下同じ。)35条3項に基づく相当の対価(以下,単に「相当の対価」ということがある。)の一部請求として,職務発明 についての被告の勤務規則上,実績補償金として算定される対価相当額157万円及びこれに対する職務発明に関 づく相当の対価(以下,単に「相当の対価」ということがある。)の一部請求として,職務発明 についての被告の勤務規則上,実績補償金として算定される対価相当額157万円及びこれに対する職務発明に関する被告の勤務規則上の弁済期の後である平成31年1月24日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原告が本件請求の対象とするのは,上記相当の対価のうち,被告の勤務規則上, 平成30年3月31日までの実績を考慮して算定され,平成31年3月31日までに弁済期が到来する部分である。 2 前提事実(当事者間に争いがない又は後掲の証拠(以下,書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者 ア原告は,被告の元従業員である。 イ被告は,各種産業プラント設備の工事計画,設計,監督施工の請負並びに保守等を目的とする株式会社である。 (2) 原告による職務発明と被告による特許権の取得等ア原告は,平成16年頃,株式会社東芝(以下「東芝」という。)に当時所属し ていたBとともに「熱源機用ポンプの制御方法及び空調用熱源システム」に関する本件発明をした。本件発明は,特許法35条1項所定の職務発明に該当する(甲3,弁論の全趣旨)。 イ被告は,本件発明について,平成17年3月25日までに,被告の勤務規則である●(省略)●(乙4,以下「本件規程」という。)に基づいて原告から特許を 受ける権利の持分を承継して,同日,東芝とともに特許出願をし,平成22年10 月8日に設定の登録を受けて特許権を共有取得した(甲3,弁論の全趣旨)。 (3) 職務発明に対する補償に関する被告の規定ア従業員のした発明の権利承継に もに特許出願をし,平成22年10 月8日に設定の登録を受けて特許権を共有取得した(甲3,弁論の全趣旨)。 (3) 職務発明に対する補償に関する被告の規定ア従業員のした発明の権利承継に対する補償の取扱い及び補償額については,本件規程●(省略)●及び●(省略)●により,別に定める●(省略)●によると規定されていた。 イ本件発明の権利承継に適用される●(省略)●(甲2,乙3,以下「本件細則」という。)では,職務発明に対する実績補償の取扱いについて,別紙本件細則における実績補償の定め(抜粋)記載のとおり規定されていた。 また,本件細則における「年度」とは,4月1日から翌年の3月末日を指す(弁論の全趣旨)。 (4) 被告による実績補償金の既払額等ア被告は,平成26年3月頃,原告に対して,本件発明に対する本件細則に基づく実績補償金(平成23年度支払分から平成25年度支払分まで)として,本件細則上の「実施の区分」を●(省略)●に該当するとした上で,●(省略)●円と算定して,合計●(省略)●円を支払った(乙5の1~3)。 イ原告は,前記アによる支払を受領した後,被告に対して,本件発明についての本件細則上の「実施の区分」及び「補償の種類」の評価について見直しを求めた。 被告は,平成28年7月,原告に対して,再調査の結果,出願日から平成26年度末までの本件発明の社内実施につき,本件細則の●(省略)●に該当するので「実施の区分」を●(省略)●に変更した旨を通知したが,その後も,その「補償 の種類」についての原告と被告の意見は一致しなかった(甲6,弁論の全趣旨)。 (5) 被告による出願補償金の支払被告は,原告に対し,本件発明について,本件細則により,職務発明について特許出願の際に支払う旨規定されて 告と被告の意見は一致しなかった(甲6,弁論の全趣旨)。 (5) 被告による出願補償金の支払被告は,原告に対し,本件発明について,本件細則により,職務発明について特許出願の際に支払う旨規定されている出願補償金を支払った(甲2,乙3,弁論の全趣旨)。 3 争点 本件の争点は,本件発明についての特許法35条3項に基づく相当の対価の未払額である。 4 争点に対する当事者の主張【原告の主張】(1) 本件細則における実績対象額の算定方法 ●(省略)●(2) 本件発明の実績対象額と実績補償金額ア初回支払分(平成23年度支払分)平成23年度支払分につき,実施の区分は●(省略)●であり,出願日である平成17年3月25日が属する平成16年度から本件特許の登録日である平成22年 10月8日が属する平成22年度までの実績対象額は●(省略)●円であるから,補償の種類は●(省略)●であり,これに対応する補償金額は●(省略)●円である。 イ 2回目以降支払分(平成24年度支払分から平成30年度支払分まで)実績調査対象期間を平成23年4月1日から平成24年3月31日までとする平 成24年度支払分から実績調査対象期間を平成29年4月1日から平成30年3月31日までとする平成30年度支払分までの7年間分については,実施の区分は●(省略)●であり,各支払年度の実績対象額は,前記(1)の算定方法によると,いずれの年度も●(省略)●円を超えるため,補償の種類は●(省略)●であり,これに対応する補償金額は●(省略)●円である。 (3) 相当の対価の未払額以上によれば,本件発明についての相当の対価の未払額は,前記(2)の平成30年度支払分までの実績補償金合計●(省略)●円から既払金●(省略)●円を ●円である。 (3) 相当の対価の未払額以上によれば,本件発明についての相当の対価の未払額は,前記(2)の平成30年度支払分までの実績補償金合計●(省略)●円から既払金●(省略)●円を控除した157万円である。 【被告の主張】 (1) 本件細則における実績対象額の算定方法 ●(省略)●(2) 本件発明の実績対象額と実績補償金額ア初回支払分(平成23年度支払分)初回支払分である平成23年度支払分については,●(省略)●実施の区分,実績対象額,補償の種類及び補償金額についての原告の主張は争わない。 イ 2回目以降支払分(平成24年度支払分から平成30年度支払分まで)平成24年度支払分以降については,実施の区分についての原告の主張は争わないが,実績対象額は,●(省略)●実績対象額,補償の種類及び補償金額についての原告の主張は否認する。 (ア) 平成24年度支払分(実績調査対象期間平成23年4月1日から平成24 年3月31日まで)については,●(省略)●が●(省略)●円であり,補償の種類は●(省略)●,補償金額は●(省略)●円である。 (イ) 平成25年度支払分から平成30年度支払分については,●(省略)●(実績調査対象期間)の●(省略)●が●(省略)●円であり,補償の種類は●(省略)●補償金額は各●(省略)●円である。 (3) 相当の対価の未払額以上によれば,本件発明についての相当の対価の未払額は,前記(2)の平成30年度支払分までの実績補償金合計●(省略)●円から既払金●(省略)●円を控除した●(省略)●円である。 第3 当裁判所の判断 1 本件細則における実績対象額の算定方法について●(省略)● 2 本件発明の実績対象額と実績補償金額について前 省略)●円を控除した●(省略)●円である。 第3 当裁判所の判断 1 本件細則における実績対象額の算定方法について●(省略)● 2 本件発明の実績対象額と実績補償金額について前記1を踏まえて,以下,本件発明に対する本件細則に基づく実績補償金額を検討する。 (1) 初回支払分(平成23年度支払分)について 本件細則に基づく補償金額が●(省略)●円(実施の区分は●(省略)●実績対象額●(省略)●は●(省略)●円,補償の種類●(省略)●と算定されることは当事者間に争いがない。 (2) 2回目以降支払分(平成24年度支払分から平成30年度支払分まで)について 証拠(甲6)及び弁論の全趣旨によれば,平成24年度支払分から平成30年度支払分について,●(省略)●実績調査対象期間の実績対象額●(省略)●は,被告が認めるとおり,平成23年度については●(省略)●円,平成24年度から平成29年度までについては●(省略)●円と認めるのが相当であり,それらを超える実績対象額を認めるに足りる証拠はない。 上記の各実績調査対象期間について,実施の区分を●(省略)●とすべきことは当事者間に争いがなく,上記の実績対象額からは,補償の種類は●(省略)●と区分され,平成24年度支払分から平成30年度支払分までの本件細則に基づく補償金額は●(省略)●円,合計●(省略)●円であると認められる。 3 相当の対価の未払額について 以上によれば,本件発明について,本件細則に基づく平成30年度支払分までの実績補償金額は合計●(省略)●円となり,未払額は,同金額から既払額●(省略)●円(前記第2の2(4)ア)を控除した87万円である。 原告は,本件で請求する本件発明についての相当の対価として,上記の額を上回る主張立 ●(省略)●円となり,未払額は,同金額から既払額●(省略)●円(前記第2の2(4)ア)を控除した87万円である。 原告は,本件で請求する本件発明についての相当の対価として,上記の額を上回る主張立証をしていないから,請求部分の相当の対価の未払額は87万円と認める のが相当である。 4 結論(1) 以上によれば,原告は,被告に対して,特許法35条3項に基づく相当の対価として87万円及びこれに対する平成30年度支払分までの実績補償金の弁済期後であることに争いがなく,訴状送達の日の翌日である平成31年1月24日から 支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求権を有する。 原告は商事法定利率による遅延損害金を請求するが,相当の対価の支払を受ける権利は,特許法35条3項による法定の債権であり,商行為によって生じたものではないと解すべきであるから,これに対する遅延損害金は民法所定の年5分の割合によるのが相当である。 (2) よって,原告の請求は,主文第1項の限度で理由があるから,同限度でこれ を認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 なお,被告が申し立てる仮執行免脱宣言は,相当でないからこれを付さないこととする。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 山田真紀 裁判官 矢野紀夫 裁判官 矢野紀夫 裁判官 西山芳樹 別紙本件細則における実績補償の定め(抜粋)●(省略)●以上
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