- 1 -令和3年(あ)第1752号 宅地建物取引業法違反被告事件令和5年10月16日 第一小法廷決定 主 文本件上告を棄却する。 理 由弁護人上田孝明の上告趣意のうち、公訴事実の同一性に関し、仙台高等裁判所昭和39年(う)第14号同40年5月10日判決・高等裁判所刑事判例集18巻3号168頁を引用して判例違反をいう点は、原判決は所論の点につき何ら法律判断を示していないから、前提を欠き、その余は、単なる法令違反の主張であり、被告人本人の上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。 所論に鑑み、公訴事実の同一性に関し、職権で判断すると、本件起訴に係る訴因の要旨は、「被告人は、免許を受けないで、業として、建物賃貸借契約の媒介をし、もって免許を受けないで宅地建物取引業を営んだ」というものであるが、検察官は、第1審において、「被告人は、免許を受けないで、」とあるのを、「被告人は、株式会社Aの代表取締役であるが、同会社の業務に関し、免許を受けないで、」に改める旨の訴因変更を請求し、第1審裁判所はこれを許可して変更後の訴因に係る事実を認定したものである。以上の両訴因は、被告人が、個人として宅地建物取引業を営んだのか、法人の業務に関し法人の代表者としてこれを営んだのかに違いはあるが、被告人を行為者とした同一の建物賃貸借契約を媒介する行為を内容とするものである点で事実が共通しており、両立しない関係にあるものであって、基本的事実関係において同一であるということができる。したがって、以上の両訴因の間に公訴事実の同一性を認めて訴因変更を許可した第1審の訴訟手続に法令違反はなく、第1審判決を維持した原判決は正 って、基本的事実関係において同一であるということができる。したがって、以上の両訴因の間に公訴事実の同一性を認めて訴因変更を許可した第1審の訴訟手続に法令違反はなく、第1審判決を維持した原判決は正当である。 よって、刑訴法414条、386条1項3号、181条1項ただし書により、裁- 2 -判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官 堺 徹 裁判官 山口 厚 裁判官 深山卓也 裁判官安浪亮介 裁判官 岡 正晶)
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