平成8(行ケ)48 放送局開設免許拒否処分に対する異議申立棄却決定の取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成10年5月28日 東京高等裁判所 その他
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判決文本文24,789 文字)

主文 一原告の請求を棄却する。 二訴訟費用は原告の負担とする。 事実 第一申立て一請求の趣旨 1 被告が平成七年一二月二〇日付け郵放総第一五号をもってした放送局開設申請拒否処分に対する異議申立棄却決定を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 第二主張一請求の原因 1 原告原告は、設立中の会社(権利能力なき社団)である。 2 本件処分及び本件決定(一) 原告は、東京における民間UHFテレビジョン放送局を開設する目的で、平成三年三月二〇日付けで被告に対し、電波法(以下「法」という。)四条の規定に基づく無線局免許(以下「本件免許」という。)申請(以下「本件申請」という。)をした。本件免許については、原告のほかに一五八社が申請し、合計一五九社の競願となった。 (二) 被告は、右一五九社の申請に対し、割り当てるチャンネルが一つしかないとの理由で、東京都で活動している主要企業と東京都など地元の公的団体の代表を発起人とする東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(以下「訴外会社」という。)の申請を「中核のものとして扱うことがもっとも適当である」との立場から、当初からいわゆる「一本化調整」を行って、訴外会社一社に免許を与える方針を定めた。 (三) このため、被告は、訴外会社以外の全ての申請者らに対し、訴外会社に対する指定された割合による出資を認め、一部の申請者には役員も割り当てる代わりに、訴外会社以外の申請を取り下げさせるという行政指導を強力に行うこととし、東京商工会議所(以下「東商」という。)に一本化の調整を依頼し、その後、被告及び東証は右の一本化をめざして調整活動を行った。 (四) 被告は、原告に対し、平成五年一月二九 政指導を強力に行うこととし、東京商工会議所(以下「東商」という。)に一本化の調整を依頼し、その後、被告及び東証は右の一本化をめざして調整活動を行った。 (四) 被告は、原告に対し、平成五年一月二九日付郵放第五一号により本件申請を拒否する旨の処分(以下「本件処分」という。)をした。 (五) 原告は、同年三月二三日に本件処分に対し、法八三条に基づく異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)をし、これに対し、被告は、平成七年一二月二〇日に郵放総第一五号をもって本件異議申立てを棄却する旨の決定(以下「本件決定」という。)をした。 3 免許申請手続における公正手続の必要性(一) 法令上の許認可申請手続において、申請者は、公正な手続に従って審査されるべきことを要求する権利を有する。 したがって、右の権利が侵害されたときは、たとえ、右申請が実体的に理由がないものとして拒否処分がされた場合であっても、申請者は、手続上の違法を理由として右拒否処分の取消しを求める訴えを提起することができ、裁判所は右申請の審査が公正手続に違反して行われたことを認めたときは、右申請の実体上の当否にかかわらず右拒否処分を取り消す判決をすることにより、申請人に対して適正な手続で再度申請の審査を受ける機会を与えなければならないものと解すべきである。 (二) 競願審査における公正手続履践の必要性憲法一三条、三一条等によれば、国民の権利、自由は実体的にのみならず、手続的にも尊重されなければならないから、行政庁が国民の権利、自由の規制に係る処分をするに当たっては、法制上手続規定がなく、又は簡略なものにとどまり、具体的にいかなる手続を採用するかは行政庁の裁量に委ねているようにみえる場合においても、行政庁の裁量権には何らの制約がないものと解すべきではなく、いかなる手続を採用すべきかにつ 略なものにとどまり、具体的にいかなる手続を採用するかは行政庁の裁量に委ねているようにみえる場合においても、行政庁の裁量権には何らの制約がないものと解すべきではなく、いかなる手続を採用すべきかについては、恣意、独断ないし法の趣旨からして本来考慮に加うべからざる事項の考慮(以下「他事考慮」という。)の介入を疑われることのないような手続によって処分を行うべきであり、国民はそのような手続によって処分を受けるべき法的利益を有しているというべきである。 本件免許については、免許基準を定める法及び同法施行令の規定の表現が抽象的であり、また、その手続規定としては、被告から申請者に対する出頭及び資料提出の請求権に関する規定があるだけで、他に明文の規定はないが、公正手続の履践が要求されるべきであり、免許要件の審査手続が行政庁の恣意、独断ないし他事考慮の介入を疑うことが客観的にもっともと認められるような場合には、その処分は違法性を帯びるものと解すべきである。 4 本件処分及び本件決定の違法(一) 本件処分の違法本件処分は、次のとおり、本件免許審査手続において公正手続を履践しなかった瑕疵があるから違法である。 (1) 周波数割当計画を開示しなかった違法法七条は、免許申請の審査基準を規定しており、同条三項において、放送用周波数使用計画は放送普及基本計画に定める放送系の数の目標の達成に資することとなるように、法二六条の規定により作成された表に示される割当可能な周波数のうち放送をする無線局に係るものの範囲内で、混信の防止その他電波の公平かつ能率的な利用を確保するために必要な事項を勘案して定める旨を規定している。 そして、法二六条は、郵政大臣は免許の申請等に資するため割り当てることが可能である周波数及び割り当てた周波数の現状を示す表を作成し、公衆の閲覧に供し めに必要な事項を勘案して定める旨を規定している。 そして、法二六条は、郵政大臣は免許の申請等に資するため割り当てることが可能である周波数及び割り当てた周波数の現状を示す表を作成し、公衆の閲覧に供しなければならない旨を規定している。この「割り当てることが可能である周波数」とは、割当未了の周波数のうち、将来において放送用に分配することが可能な全周波数を意味するものと解すべきである。ところが、被告は、一定の地方に関する周波数の割当計画は法七条一項二号の審査のために作成されているものであって、法二六条の公開の対象にはならないとして、その公開を拒否してきたが、右の解釈は、同条の文理に反するばかりか、法の目的にもそぐわないものである上、被告が「当該地区に割り当てることのできる放送用周波数」が一つしかないとして、競願者のうち特定の一社のみに免許を与え、他社の申請を拒否する処分を行うためにも、前記の公正手続の理念に照らし、その前提として少なくとも拒否処分の対象者に対して周波数の割当計画を開示することが必須の要件となるものというべきである。しかし、被告は、本件処分をするについて、原告に対し、右計画を開示しなかったのであるから、本件処分は裁量権の濫用であって違法である。 (2) 具体的免許基準(審査基準)を開示しなかった違法ア本件処分の理由被告が本件申請を拒否した理由は、本件申請に係る地区には、本件申請のほかに訴外会社の申請があるため、同地区に割り当てることのできる一般放送事業者の標準テレビジョン放送用周波数が不足するところ、右各申請について放送局の開設の根本的基準(昭和二五年電波監理委員会規則二一号。以下「根本的基準」という。)一一条の規定により、同基準三条、五条、七条ないし一〇条の規定に適合する度合いについて審査を行った結果、次のとおり、本件申 根本的基準(昭和二五年電波監理委員会規則二一号。以下「根本的基準」という。)一一条の規定により、同基準三条、五条、七条ないし一〇条の規定に適合する度合いについて審査を行った結果、次のとおり、本件申請が訴外会社の申請に劣ると認めた、というにある。 a 出資予定者の具体化の度合いについて、訴外会社の申請が資本の額のうち約七〇パーセントが具体化しているのに対し、本件申請においてはそれが三パーセントであること等から事業開始までに要する資金調達の確実性が高いと考えられるほか、具体化している資本構成及び役員構成から開局後の事業遂行を見通した場合、営業面、資金面等で地元企業等からみて、訴外会社がより幅広い支援を得られると認められ、また、本件申請が演奏所として借用することを予定されている建築物が建築できない可能性があること等から根本的基準三条一項一号に規定する「事業計画実施の確実性」についての適合の度合いにおいて、訴外会社の申請が本件申請に勝ると認められる。 b 出資予定者及び役員候補者の具体化の度合い等から、根本的基準三条一項二号に規定する「法人設立の確実性」についての適合の度合いにおいて、訴外会社の申請が本件申請に勝ると認められる。 c 放送番組審議機関の構成において、本件申請については、七名のうち二名が発起人代表の関連法人社員となっており、放送番組の適正な審議を期待するという観点から、また、訴外会社の申請では、事業開始までの間の放送の受信普及対策に対する取組が具体化されている点から、根本的基準一〇条の規定する「放送の構成かつ能率的な普及に役立つこと」についての度合いにおいて、訴外会社の申請が本件申請に勝ると認められる。 (3) 内部的審査基準の不開示による恣意的審査手続の違法複数の申請者が競願しており、いずれの申請も法七条二項所定の要件を満たし いての度合いにおいて、訴外会社の申請が本件申請に勝ると認められる。 (3) 内部的審査基準の不開示による恣意的審査手続の違法複数の申請者が競願しており、いずれの申請も法七条二項所定の要件を満たしているにもかかわらず、当該地区に割り当てることのできる放送用周波数が不足するために、当該申請又は競願者の申請のうち一に免許を与え、他の申請を拒否すべき場合に、被告がいかなる審査手続をとるべきかについては、関係法令上明文の規定がない。 しかしながら、法令上明文の規定がない場合であっても、免許要件の審査手続が具体的・個別的事実の認定を基礎とする判断手続である限りにおいて、行政庁は恣意、独断ないし他事考慮の介入を疑うことが客観的にもっともと認められるような審査手続をとってはならず、もし行政庁が右のような手続によって競願者の一方を選択して免許を与え、他の者の申請を拒否した場合には、その処分は違法である。 具体的にいえば、右の場合、行政庁は抽象的な法定の免許基準を具体化した内部的な審査基準を設定し、申請人に対し、これを明示してその主張と証拠の提出の機会を与えなければならないものと解すべきである。このことは、最高裁昭和五〇年五月二九日第一小法廷判決(民集二九巻五号六六二頁)の趣旨及び行政手続法五条の趣旨に照らしても明らかである。 このような見地から本件処分をみると、主文に至る理由として挙げられた前記aないしcについては、審査手続の過程において、原告は、被告からこのような審査基準が存在するとの説明は一切受けておらず、また、原告が免許を受けるためにはいかなる要件の具備が必要かの教示を再三求めたのに、郵政省の担当者はこれに一切応えなかったものであって、原告にとっては全くの不意打ちであった。 被告は、平成四年二月二八日の段階で、訴外会社を「中核のもの」として競 具備が必要かの教示を再三求めたのに、郵政省の担当者はこれに一切応えなかったものであって、原告にとっては全くの不意打ちであった。 被告は、平成四年二月二八日の段階で、訴外会社を「中核のもの」として競願をこれに一本化する方針を示したほか、郵政省電波管理局長の経歴を有するAを早々に訴外会社の専務取締役に送り込んだ。郵政省は、当初から大新聞のほかマスコミ各分野を中心とする大企業に呼びかけて、形式的に免許申請をさせた上で訴外会社に一本化し、これらの大企業にはかなりの株式や役員を割り当てるとともに他の申請者には名目的にわずかな株式を配分することによって、これらの者を事実上締め出す方針を決めていたものであり、このことは、被告と訴外会社の当初からの癒着関係を示すもので、実体的裁量統制基準である「動機の不正」ないし「平等原則違反」に当たり、前記判例理論及び行政手続法に照らし、このような審査手続は著しく不公正かつ恣意的であるから、本件処分は違法である。 (4) 一本化行政指導の強行の違法被告は、本件免許申請の取扱いについて、多数の申請者について何ら実質審査をしないまま、特定の一社を当初から「中核のもの」と言明し、一方的に一本化案を作成し、訴外会社を除く全申請者に対して、右案の受諾及び申請の取下げを迫ったが、これは行政指導として行き過ぎたもので違法である。被告の株式配分案においては、株式配分の対象者の中に他の申請者のダミーが多数混じっていた。被告は、原告に対しては、公正な株式割当の希望を持たせながら、平成四年四月には〇・〇五パーセントという低率の株式割当てを提示し、その後同年一一月に〇・一パーセントと訂正し、同年一二月三日の調整会議では原案どおり了承するように強引に迫り、原告の反対にもかかわらず、訴外会社に予備免許を与える方針を表明したものであって、到 し、その後同年一一月に〇・一パーセントと訂正し、同年一二月三日の調整会議では原案どおり了承するように強引に迫り、原告の反対にもかかわらず、訴外会社に予備免許を与える方針を表明したものであって、到底公正な手続とはいえないことが明らかである。 (5) 原告に対する公正競争の機会賦与の拒否の違法被告は、当初から訴外会社を「中核のもの」と位置づけ、他の申請者を強引にこの方針に一本化して、訴外会社に免許を与える方針を定め、これを公表し、一本化へ向けての露骨な、無理を言わせぬ極めて不公正な行政指導を続行し、最終段階に至り、原告のみがこれに応じないとみるや、形の上だけ二社の競願体制としたものである。被告がこのような方針をとらず、当初から原告と訴外会社を対等に扱って審査する方針をとっていれば、原告の傘下にも他の有力な企業が多数参集した可能性があり、公正に競争することができたものであるから、被告の右のような方針により、原告は、対等、公正な競争の機会を意図的に奪われたものである。 (6) 公正手続履践の事実の立証責任被告が本件申請において、公正手続を履践したか否かについて、原告側から疑義が提起された以上、被告側においてその事実関係を明確にする義務があるものと解すべきである。 (二) 本件決定の違法(1) 本件処分は、前記のとおり違法であるから、これを適法であるとして、本件異議申立てを棄却した本件決定も違法である。 (2) また、本件異議申立ての審理手続(聴聞手続)は、電波監理審議会が、行ったものであるが、同審議会は、郵政大臣が本件免許について訴外会社に予備免許を与え、原告の本件申請を拒否するについて、郵政大臣から諮問を受け、これに同意を与えたものであって、右審理手続は右の同意と表裏一体をなす処分に対する異議申立てについての決定のための手続であるから、 を与え、原告の本件申請を拒否するについて、郵政大臣から諮問を受け、これに同意を与えたものであって、右審理手続は右の同意と表裏一体をなす処分に対する異議申立てについての決定のための手続であるから、同審議会は予断と偏見をもってこれに当たったものといわなければならず、その性格上第三者的な立場からする公正な審理とは到底いうことができない。したがって、右審理手続は手続法的に不公正といわざるを得ない。 しかも、右審理手続は、同審議会自体が行ったものではなく、処分庁の職員を審理官に任命して行われたものであるが、審理官は、処分庁の指揮監督下にある郵政事務官であるから、本件の利害関係人といってよく、中立・公正性を欠いていたものである上、右審理手続の過程においても、原告が本件処分手続の不公正な実態を立証するためにした証人申請を一切認めようとせず、却下するなど処分庁側に偏向した手続指揮をした。 5 よって、原告は、被告に対し、本件決定の取消しを求める。 二請求原因に対する被告の認否 1 請求原因1の事実は認める。 2 同2の(一)の事実は認める。 3 同(二)のうち、被告が当初から「一本化調整」を行って、訴外会社一社に免許を与える方針を定めていたことは否認するが、その余の事実は認める。 4 同(三)のうち、被告が、東商に一本化調整の協力を依頼したことは認めるが、その余の事実は否認する。 同(四)、(五)の事実は認める。 5 同3、4は争う。 三被告の主張 1 本件処分に至るまでの経過(一) 東京都を放送対象区域とする一般放送事業者の標準テレビジョン放送局については、平成三年一月三〇日に放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画を変更し、同年三月三〇日までの間において免許申請を受け付けたところ、一五九社から本件免許の申請があった。 (二) 被告は、平成四年二月 、平成三年一月三〇日に放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画を変更し、同年三月三〇日までの間において免許申請を受け付けたところ、一五九社から本件免許の申請があった。 (二) 被告は、平成四年二月二八日に開催された申請者調整会議において、一本化調整を行うことについての提案を行い、原告を含む全申請者の同意を得て、一本化調製を開始したところ、同年一二月三日に開催された申請者打合せ会議で提案された最終調整案に原告が反対したため、一本化調整は不調に終わったが、同年一二月二五日までの間に原告と訴外会社を除く一五七社は申請を取り下げた。 (三) 被告は、原告と訴外会社の申請について個別に審査したところ、いずれも法七条二項一号ないし三号及び根本的基準三条一項、五条、七条から一〇条までの規定に概ね適合するものと認められたが、割当てが可能である周波数が一波であるため、根本的基準の各条項に適合する度合いについての比較審査を行った。 (四) その結果、訴外会社の申請が原告の申請に勝ると認め、平成五年一月二九日訴外会社の申請に対しては予備免許を与え、原告の本件申請に対しては免許を拒否することについて、電波監理審議会に諮問した。 (五) 電波監理審議会は、平成五年一月二九日付けで右諮問が適当である旨答申した。そこで、被告は、同日、訴外会社の申請に対しては予備免許を与え、原告の本件申請に対しては免許を拒否することとし、その旨各申請者に通知した。 2 競願審査における公正手続履践の必要性の主張について法七条二項は、放送局の免許の基準として、法第三章に定める技術的基準に適合すること(一号)、郵政大臣が定める放送用周波数使用計画に基づき、周波数の使用が可能であること(二号)、当該業務を維持するに足りる財政的基盤があること(三号)及び根本的基準に合致すること(四号)を定めて こと(一号)、郵政大臣が定める放送用周波数使用計画に基づき、周波数の使用が可能であること(二号)、当該業務を維持するに足りる財政的基盤があること(三号)及び根本的基準に合致すること(四号)を定めており、複数の申請がこれらの審査基準を満たしているにもかかわらず、割り当てることのできる周波数が不足する場合については、根本的基準一一条が「(同基準の)第三条から第一〇条までの各条項に適合する度合いから見て最も公共の福祉に寄与するものが優先するものとする」として、比較審査基準の実施及び比較の基準を明らかにしている。 そして、放送局の免許処分又は免許拒否処分をするに当たっては、法令の根拠及びそれに定める審査基準等に従い、電波監理審議会への諮問という手続を経て行うことにより、処分の客観的な適正妥当と公正を担保しているのである。本件処分も、右のような審査基準に従い、申請者から提出された申請書を基に客観的な判断と公正な手続により行ったものであり、原告が主張するような「行政庁の恣意、独断ないし他事考慮の介入」が入る余地はない。 被告は、原告に対しては、一の周波数の割当てに対し、二の申請がなされていることから、事前に競願処理(比較審査)となることがありうることを伝え、申請書の修正の機会も与え、また、本件処分についてはその理由を具体的に付記したものであって、手続的にも何ら問題はない。 3 周波数割当計画を開示しなかった違法の主張について法二六条で規定する周波数の公開については、郵政大臣は、日本周波数表及び周波数割当原則を作成し、閲覧に供しており、放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画は、昭和六三年一〇月一日郵政省告示第六六〇号及び同第六六一号として制定、公示されている。放送局の免許申請の審査に当たって周波数の割当が可能であるか否かを判断する基準となるの び放送用周波数使用計画は、昭和六三年一〇月一日郵政省告示第六六〇号及び同第六六一号として制定、公示されている。放送局の免許申請の審査に当たって周波数の割当が可能であるか否かを判断する基準となるのは、右の放送用周波数使用計画であり、右計画は、放送普及基本計画に定める放送系の数の目標の達成に資することとなるように、放送用割当可能周波数の範囲内で、混信の防止その他電波の公平かつ能率的な利用を確保するために必要な事項を勘案して定めるものとされ、また、放送普及基本計画は、放送用割当可能周波数、放送に関する技術の発達及び需要の動向、地域の自然的経済的文化的諸事情その他の事情を勘案して定めるものとされているから、放送用周波数使用計画は、放送用割当可能周波数のすべて、あるいは「割当未了の周波数のうち、将来において放送用に分配することが可能な全周波数」を意味するものではない。 4 具体的免許基準(内部的審査基準)の不開示の違法の主張について根本的基準一一条による比較審査は、複数の免許申請がいずれも同基準の各条項で定める審査基準に適合している場合、これらの各条項への適合の度合いについて各申請の具体的内容を相互に比較して、各申請の間に何らかの相対的な優劣をつける必要があり、具体的にどの点において適合の度合いに差が認められるかは個別具体的な申請の内容により異なってくるものである。原告が教示を求めたのに教示されなかったと主張する「免許を受けるために具備すべき要件」あるいは「提出すべき資料」とは、根本的基準一一条による比較審査において競願者たる訴外会社の申請に勝るための要件あるいは資料と解されるが、このようなものを教示することは、競願者との関係において審査の公正を損なうものであるから、これを教示しないことは当然のことである。 5 一本化行政指導の強行及び公正 めの要件あるいは資料と解されるが、このようなものを教示することは、競願者との関係において審査の公正を損なうものであるから、これを教示しないことは当然のことである。 5 一本化行政指導の強行及び公正競争の機会賦与の拒否の違法の主張について(一) 放送局の免許の申請者が多数に及んだ場合、これを一本化調整するための行政指導は従来から行われてきたが、これは、多数の放送局免許申請に対して割り当てられる周波数が一つしかない場合、これらの申請の中から一つを選んで放送事業を営もうとする多くの者を排除するより、多数の申請者が一体となることにより、地元に密着し、経営的にも確固たる基盤を持つ放送事業者として開局したほうが望ましいとの観点から、基本的には申請者全員の賛同の下に行われているものである。本件免許についても一本化調整の行政指導が行われたが、その経過は次のとおりである。 (1) 郵政省は、本件免許の申請者に対して、放送局経営のあり方(新局への参画意向等)、番組の重点及び内容、設備及び役職員規模並びに資本金等について聴取するため、平成三年五月一日付けでヒアリングの実施についての通知文書を発出し、同月一五日から翌月六日までヒアリングを実施した。原告に対するヒアリングは、同年五月一五日に郵政省放送行政局会議室において行われた。また、同局長は、申請者の主張点等をより明確にするとともに、今後における免許審査の重要な参考資料とするため、同年九月二七日に全申請者に質問書を発出し、同年一〇月三一日までに全申請者からの回答書を受理した。原告は、同年一〇月二九日付けで同局長に対して回答の文書を送付した。 (2) 本件免許について申請のあった一五九件の免許申請の処理については、平成四年二月二八日に開催された申請者調整会議において、「東京UHF民放テレビ開設のための基本的考 して回答の文書を送付した。 (2) 本件免許について申請のあった一五九件の免許申請の処理については、平成四年二月二八日に開催された申請者調整会議において、「東京UHF民放テレビ開設のための基本的考え方について」と題する文書(以下「基本的考え方」という。)により、一本化調整を行うことについての提案を行い、原告を含む全申請者の同意を得て、一本化調整を開始したが、その際、申請の内容、発起人の構成等を総合的に勘案して審査した結果、東京都で活動している主な企業と東京都区等の地元の公的団体の代表を発起人とする「東京メトロポリタンテレビ」の申請を中核のものとして扱うこと及び地元経済界の調整については、東商のB会頭の協力を得て行うこと、並びに新局の経営体制(案)として、資本金の額、株式配分の大枠、役員数等について説明した。 (3) 全申請者から承諾を得た「基本的考え方」の内容に基づいて、東商とも相談の上、同年四月一〇日に出資比率の第一次個別提示を行い、申請者から意見・要望等を求めた。 (4) 同年五月二〇日には出資比率の第二次個別提示に併せて、第一次個別提示の際の意見等を踏まえ、役員構成及び出資構成に関する全体の概要を文書により提示するとともに、「役員の選任については、一パーセント以上の出資予定者と打ち合せていく。」旨提案し、申請者から意見・要望等を求めた。 (5) 本件一本化調整は、同年一二月三日に開催された申請者打合せ会議で提案された最終調整案に原告が反対したため、不調に終わったが、この間原告に対しては、同年二月二八日に開催された申請者調整会議で同意された内容に基づき、同年四月一〇日、五月二〇日及び一一月五日の三回にわたり、東商から出資比率の個別提示を行うとともに、前二回の個別提示に際しては文書による意見の提出を求め、また、原告の出資比率を〇・〇五 容に基づき、同年四月一〇日、五月二〇日及び一一月五日の三回にわたり、東商から出資比率の個別提示を行うとともに、前二回の個別提示に際しては文書による意見の提出を求め、また、原告の出資比率を〇・〇五パーセントから〇・一パーセントに引き上げたほか、同年一〇月二八日、一一月五日及び同月一一日には東商事務局長が原告の事務所を訪ねて調整に当たった。 (二) 以上の経過に鑑みれば、一本化行政指導ないし調整に違法はなく、また、公正競争の機会賦与の機会を不当に拒否したものではなく、原告の主張はいずれも理由がない。 第三証拠関係本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるから、これを引用する。 理由 一請求原因1(原告)、同2の(一)(本件免許申請)、同(四)(本件処分)及び同(五)(本件決定)の各事実については当事者間に争いがない。 二本件処分及び本件決定の手続の経緯について判断する。 1 テレビジョン放送用の無線局(いわゆる放送局)開設ための法令上の規制は、次のとおりである。 (一) まず、テレビジョン放送などのための無線局を開設しようとする者は、「郵政大臣の免許を受けなければならない」(法四条)こととされ、放送をする無線局の免許を受けようとする者は、「申請書に「目的」、「開設を必要とする理由」等法六条二項一号から五号に掲げる事項を記載した書類を添えて、郵政大臣に提出しなければならない」(法六条二項)ことととされている。郵政大臣は、右の申請書を受領したときは、「遅滞なくその申請が次の各号に適合しているかどうかを審査しなければならない」(法七条二項)こととされ、その各号所定の審査事項として、「工事設計が法第三章に定める技術基準に適合すること」(同条一号)、「郵政大臣が定める放送用周波数使用計画(放送をする無線局に使用さ ならない」(法七条二項)こととされ、その各号所定の審査事項として、「工事設計が法第三章に定める技術基準に適合すること」(同条一号)、「郵政大臣が定める放送用周波数使用計画(放送をする無線局に使用させることのできる周波数及びその周波数の使用に関し必要な事項を定める計画)に基づき、周波数の使用が可能であること」(同条二号)、「当該業務を維持するに足りる財政的基礎があること」(同条三号)、「郵政省令で定める放送をする無線局の開設の根本的基準(放送局の開設の根本的基準(昭和二五年電波監理委員会規則二一号)に合致すること」)(同条四号)が定められている。そして、根本的基準三条ないし一〇条において、開局の適合条件を定めている。右基準は、郵政省設置法の一部改正に伴う関係法令の整理に関する法律(昭和二七年法律第二八〇号)により、郵政省令としての効力を有することとされている。 (二) 郵政大臣は、法七条の規定により審査した結果、その申請が同条二項各号に適合していると認めるときは、「申請者に対し、「工事落成の期限」等の事項を指定して、無線局の予備免許を与える」(法八条一項)こととされている。この場合において、複数の免許申請が前記の審査基準を満たしているにもかかわらず割り当てることのできる周波数が不足するときは、根本的基準一一条が、「三条から一〇条までの各条項に適合する度合いから見て最も公共の福祉に寄与するものが優先するものとする。」旨規定し、比較審査基準の実施及び比較の基準を定めている。 (三) 一方、前記の放送用周波数使用計画については、「放送法二条の二第一項一号の放送普及基本計画に定める同条二項三号の放送系の数の目標の達成に資することとなるように、法二六条の規定により作成された表に示される割り当てることが可能である周波数のうち放送をする無線局に係るもの 号の放送普及基本計画に定める同条二項三号の放送系の数の目標の達成に資することとなるように、法二六条の規定により作成された表に示される割り当てることが可能である周波数のうち放送をする無線局に係るものの範囲内で、混信の防止その他電波の公平かつ能率的な利用を確保するために必要な事項を勘案して定めるものとする。」(法七条三項)とされているが、郵政大臣は、「放送系の数の目標、放送用割当可能周波数及び前項に規定する混信の防止その他電波の公平かつ能率的な利用を確保するために必要な事項の変更により必要があると認めるときは、放送用周波数使用計画を変更することができる。」(同条四項)こととされ、放送法においても、郵政大臣は、「放送対象地域ごとの放送系の数の目標等を含む放送普及基本計画を定め(同法二条の二第一項、二項)、これを変更することができる。」(同条四項)こととされている。そして、郵政大臣は、右の放送用周波数使用計画、放送普及基本計画を定め、又は変更しようとするときには、電波監理審議会に諮問し、その議決を尊重して措置をしなければならず(法九九条の一一第一項二号、放送法五三条の一〇第一項一号)、また、放送用周波数使用計画を定め、又は変更したときは、遅滞なくこれを公示しなければならないこととされている(法七条五項、放送法二条の二第五項)。 2 電波監理審議会は、本件異議申立て事件について次の事実を認定しているところ、法九九条一項によれば、法九七条の訴えについては、電波監理審議会が適法に認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときは、裁判所を拘束するものとされている。そして、本件異議申立て事件記録によれば、右事実については実質的な証拠があるものと認められる。 (一) 被告は、東京都については、関東広域圏を対象とする五系統の広域放送の発信元であること されている。そして、本件異議申立て事件記録によれば、右事実については実質的な証拠があるものと認められる。 (一) 被告は、東京都については、関東広域圏を対象とする五系統の広域放送の発信元であることもあり、当該広域放送により地域独自の放送需要にも対応し得るという観点から、東京都を放送対象地域とする放送の導入を見送ってきたが、その後、全国的に県域放送の多局化が進み、県政レベルの情報提供体制が整備されてきたこと、特に、県域放送を導入している埼玉県、千葉県、神奈川県等の隣県と東京都の間において、この点で格差が生じている上、東京都においても地域特有の放送需要が高まっており、東京都を基盤とし都民のニーズに応える放送の導入が求められるに至っていること等から、東京都を放送対象地域とする一般放送事業者によるテレビジョン放送一系統の実施が可能となるよう措置することとした。 (二) 郵政大臣は、法二六条に基づく周波数の公開については、日本周波数表及び周波数割当原則を作成し、閲覧に供しており、また、昭和六三年一〇月一日付けで(放送普及基本計画の変更につき「昭和六三年郵政省告示第六六〇号」、放送用周波数使用計画の変更につき「同第六六一号」)各制定公示しているところ、被告は、平成二年一一月一六日、電波監理審議会に対し、放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更(テレビジョン放送用周波数一波の追加割当て)について諮問し、その答申を受けて平成三年一月三〇日付けで右のとおり変更し、同年二月七日付けでその旨公示した。 (三) 右の変更により、東京都を放送対象地域とする一般放送事業者によるテレビジョン放送について、放送普及基本計画においては放送系の数の目標が一と定められるとともに、放送用周波数使用計画においては使用させることのできる周波数として一のチャンネル(チ 般放送事業者によるテレビジョン放送について、放送普及基本計画においては放送系の数の目標が一と定められるとともに、放送用周波数使用計画においては使用させることのできる周波数として一のチャンネル(チャンネル番号一四)が割り当てられた。 (四) 原告は、平成三年三月二〇日付けで本件申請をしたが、本件免許については同月三〇日までの間に原告を含めて合計一五九社から免許申請があった。 (五) 関東電気通信監理局長は、申請者から放送局の経営の在り方(新局へ参画意向等)、番組の重点及び内容、設備、資本金等について聴取するためのヒアリングを同年五月一五日から六月一六日まで実施したほか、郵政省放送行政局長は、免許審査の参考資料とするために全申請者に対して質問書を同年九月二七日に発出し、同年一〇月三一日までに回答書を受理した。 (六) 被告は、従来から、多数の放送局免許申請に対し割り当てられる周波数が一つしかない場合には、これらの申請の中から一つを選んで放送事業を営もうとする多くの者を排除するより、多数の申請者が一体となることにより地元に密着し、経営的にも確固たる基盤を持つ放送事業者として開局した方が望ましいとの観点から、これを一本に調製するためのいわゆる一本化調整の行政指導を行ってきた。本件についても、平成四年二月二八日に郵政省において、申請者調整会議を開催し、原告も出席した。同会議において、郵政省は、「東京UHF民放テレビ局開設のための基本的考え方について」と題る書面により、一五九件の申請に対し、割り当てるチャンネルが一つしかないことから、いわゆる一本化調整を行うこととしたいこと、東京都で活動している主要企業と東京都等の地元の公共団体の代表を発起人とする訴外会社の申請を中核のものとして扱いたいこと、今後、地元経済界の調整については、東商のBの協力により、 こととしたいこと、東京都で活動している主要企業と東京都等の地元の公共団体の代表を発起人とする訴外会社の申請を中核のものとして扱いたいこと、今後、地元経済界の調整については、東商のBの協力により、また、マスコミ及びその他の申請の調整については、同会頭とも相談しつつ、郵政省において進めたい旨の提案を行い、申請者らの賛同を得た。 (七) 平成四年四月一〇日に東商のD課長が、原告に対し、訴外会社の総発行株式の〇・〇五パーセント(額面金額七五〇万円)を割り当てることとしたので、意見があれば出すように電話で連絡したところ、原告は、同月一七日付けで原告に対する株式割当ての算定根拠を明確にすること、一ないし五パーセントの株式の割当を希望すること、経営陣への参加を希望することなどを内容とする意見書をB会頭及び郵政省放送行政局業務課長に宛てて送付してきた。 (八) その後、東商が再度右と同様の提案を書面でしたり、また、東商のC事務局長が原告の事務所を訪問して右の案に賛同するように説得したり、さらに原告の株式配分を〇・一パーセントとする案を示すなどして一本化の調整に努めたが、原告代表者は、これに応じなかった。 (九) 平成四年一二月三日に郵政省において、申請者打合せ会議が開催された。 郵政省は、一本化調整のための最終調整案を説明し、全会一致で賛同してほしい旨を求めたが、原告が反対した。このため、郵政省は、「これ以上の調製は困難な状況であると判断し、取り下げられなかった各申請を比較審査の上、最も公共の福祉に寄与するものと認められる一の申請に対して予備免許を賦与することとしたい。 一二月二五日までの間において、申請書の修正又は取下げを認める。」旨説明し、郵政省放送行政局長は、同年九日に原告に対して右同旨の通知書を送付した。 (一〇) 平成四年一二月一六日、東商のC事 したい。 一二月二五日までの間において、申請書の修正又は取下げを認める。」旨説明し、郵政省放送行政局長は、同年九日に原告に対して右同旨の通知書を送付した。 (一〇) 平成四年一二月一六日、東商のC事務局長が、原告に対する訴外会社の株式配分率を〇・一パーセントとする提案書を原告の事務所に持参したが、原告はこの提案に応じず、同月二五日、原告の資本金の内容を変更する旨の申請書の訂正届を提出した。同日、訴外会社も申請書の訂正届を提出したが、その余の一五七社は同日までに申請を取り下げた。 (一一) 原告は、平成四年一二月二八日に郵政省放送行政局長に対し、文書で一本化調整の指導手続に関する関係文書の開示及び原告に対する訴外会社の株式割当率決定の理由及び原告を訴外会社の役員に選任しない理由についての回答を求めた。これに対して、郵政省は平成五年一月一四日にそれに対する回答書を原告に送付した。 (一二) 平成五年一月八日、郵政省放送行政局において、原告に対する訂正届に伴う事情聴取が行われたが、その際、原告から指導要請及び質問を受けた郵政省の係官は、「手続面に関する照会には答えられるが、修正の内容に関しての指導はできない。一二月二四日付けで提出した訂正届により申請書の修正をする書類を平成六年一月一一日午後五時までに提出されたい。」旨回答したところ、原告は、同月九日付け「無線局免許申請書訂正届け」を提出した。 (一三) 被告は、原告及び訴外会社の免許申請について、個別に審査し、いずれも法七条二項一号から三号まで及び根本的基準三条一項、五条、七条から一〇条までの規定に概ね適合するものと認めたが、割当が可能な周波数が一波であるため、根本的基準一一条の規定に基づき、同基準の各条項に適合する度合いについての比較審査を行った結果、訴外会社の申請が原告の申請に勝ると認め( ね適合するものと認めたが、割当が可能な周波数が一波であるため、根本的基準一一条の規定に基づき、同基準の各条項に適合する度合いについての比較審査を行った結果、訴外会社の申請が原告の申請に勝ると認め(その具体的内容は、原告の請求の原因4の(一)(2)アaないしcのとおりである。)、平成五年一月二九日訴外会社の申請に対して予備免許を付与し、原告の申請に対しては免許を拒否することについて、電波監理審議会に諮問し、同日それが適当である旨の答申を受けた。 (一四) 被告は、同年二月一日付けで訴外会社の申請に対して予備免許を付与し、原告の申請に対しては免許を拒否し、それぞれその旨を通知した。 三本件処分及び本件決定の適否について原告は、本件処分、本件決定には手続上の違法があると主張するので、判断する。 1 原告は、免許については、免許基準を定める法及び同法施行令の規定の表現が抽象的であり、また、その手続規定も不十分であって、本件免許の審査基準が不明確である旨の主張をする。 確かに、本件におけるように、無線局として開設免許される周波数が一つであるのに申請者が複数存する場合(以下「競願」ともいう。)においては、一方に対する免許処分と他方に対する免許拒否処分は表裏の関係にあるのであるから、その優劣の判定に当たっては、実体的に適法であるのみならず、手続的にも適法でなければならない。この手続的な適法については、当該手続が法令の定めによったものであるとともに客観的に公正なものでなければならず、事実の認定、手続の進行等において、行政庁の独断、恣意を疑うのがもっともとされる事情が認められる場合には、それによる処分、決定は違法となると解される。もっとも、競願についてよるべき手続が法令上規定されている場合においては、右の法令上の規定を超えて、さらにいかなる手続に される事情が認められる場合には、それによる処分、決定は違法となると解される。もっとも、競願についてよるべき手続が法令上規定されている場合においては、右の法令上の規定を超えて、さらにいかなる手続によるかは、当該処分をなすべき行政庁の合理的な裁量に委ねられているというべきであって、右の「事実の認定、手続の進行等において、行政庁の独断、恣意を疑うのがもっともとされる事情」は、これを主張する者が立証すべきであると解される。右の観点に立って、原告の主張する違法事由について判断する。 2 原告は、本件免許の基準が不明確であるとし、また、法二六条が定めている「割り当てることが可能である周波数」とは割当未了の周波数のうち、将来において放送用に分配することが可能な全周波数を意味するものと解すべきところ、被告がこれを開示しなかったから、本件処分は、裁量権の濫用であって違法である旨主張する。 まず、放送局の免許の基準については、前記二の1のとおり、法七条二項及び根本的基準において、適合しなければならない条件が規定されており、これらの規定の内容に照らせば、その規定が具体性、明確性に欠けるとはいえない。また、手続規定については、法、無線局免許手続規則(電波監理委員会規則第一五号)等が定めているところ、右の規定の内容に照らせば、右免許申請の手続が不十分であるともいえない。したがって、免許基準が抽象的であり、また、その手続規定が不十分である旨の原告の主張は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。 次に、放送用周波数使用計画については、法七条二項二号は、放送局の免許の基準の一つとして、「郵政大臣が定める放送用周波数使用計画に基づき、周波数の割当てが可能であること」を定めている。この放送用周波数使用計画は、放送法二条の二第一項の放送普及基本計画に定める同 免許の基準の一つとして、「郵政大臣が定める放送用周波数使用計画に基づき、周波数の割当てが可能であること」を定めている。この放送用周波数使用計画は、放送法二条の二第一項の放送普及基本計画に定める同条二項三号の放送対象地域ごとの放送系の数の目標の達成に資することとなるように、法二六条の規定により作成された表に示される放送用割当可能周波数の範囲内で、混信の防止その他電波の公平かつ能率的な利用を確保するために必要な事項を勘案して定めるものとされている(法七条三項)。右の規定によれば、放送局の免許申請の審査に当たって周波数の割当が可能であるか否かを判断する基準となる「放送用周波数使用計画」とは、放送用割当可能周波数の範囲内で郵政大臣が定めた周波数であり、放送用割当可能周波数のすべて、あるいは「割当未了の周波数のうち、将来において放送用に分配することが可能な全周波数」を意味するものではないと解するのが相当である。そして、郵政大臣は、法二六条で規定する周波数の公開については、日本周波数表及び周波数割当原則を作成し、閲覧に供していたこと、放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画については、昭和六三年一〇月一日付け郵政省告示第六六〇号及び第六六一号として制定し、公示していること、被告が電波監理審議会の諮問、答申を経た上、平成三年一月三〇日付けで東京都を放送対象地域とする一般放送事業者によるテレビジョン放送一波を追加する旨の放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更をし、同年二月七日付けでその旨公示したことは、前示二の2のとおりであるから、原告の前記主張は、その前提において失当である。 3 原告は、本件免許申請については、競願関係になった場合にいかなる審査手続をとるべきかについて、関係法令上明文の規定がないから、被告は、抽象的な法定の免許基準 主張は、その前提において失当である。 3 原告は、本件免許申請については、競願関係になった場合にいかなる審査手続をとるべきかについて、関係法令上明文の規定がないから、被告は、抽象的な法定の免許基準を具体化した内部的な審査基準を設定し、申請人に対し、これを明示してその主張と証拠の提出の機会を与えなければならないのにこれをせず、原告が免許を受けるためにはいかなる要件の具備が必要であるかについて再三教示を求めたのに、郵政省の担当者はこれに一切応えず、被告が本件処分の主文の理由として挙げているような審査基準が存在するとの説明もしなかったものであって、原告にとっては全くの不意打ちであったから違法である旨主張する。 まず、本件処分及び本件決定に係る法令上の根拠及びその経緯は、前示二の1のとおりである。放送局の免許の基準については、法七条二項及び根本的基準に定められている。本件のごとき競願の場合の免許の基準については、根本的基準一一条が「各条件に適合する度合いから見て、最も公共の福祉に寄与するものを優先させる」旨規定し、比較審査の実施及び比較の基準を明らかにしている上、本件申請に係る放送局(標準テレビジョン放送局)に関する比較基準としては、根本的基準においては、事業計画の実施の確実性(三条一号)、申請者が設立中の法人であるときは当該法人の設立の確実性(同二号)、政治的公平等放送番組の編集及び放送が適合すべき条件(同四号)、放送局の空中線装置の設置場所の条件(五条)、送信空中線についての指針(七条)、既設局等への妨害排除(八条)、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするための開設者の条件(いわゆるマスメディア集中排除原則(九条)及び局の開設が放送の公正かつ能率的な普及に役立つものでなければならないこと(一〇条)が定められて だけ多くの者によって享有されるようにするための開設者の条件(いわゆるマスメディア集中排除原則(九条)及び局の開設が放送の公正かつ能率的な普及に役立つものでなければならないこと(一〇条)が定められている。競願の場合は、これらの各基準について「その度合い」をみて「最も公共の福祉に寄与するか否か」が判断されることになる(一一条)が、これらの基準は、基準への適合性の有無の判断を処分権者である郵政大臣に委ねているが、それは、放送局の開設が公共の利益に広く影響を及ぼすものであって、具体的事案ごとの証拠資料の総合判断によらざるを得ないことによるものであって、いずれも基準としての具体性、明確性において欠けるところはなく、基準の定め自体に違法は存しないというべきである。 原告は、本件において、主文に至る理由が事前に明示されなかったと主張するところ、右理由は、請求原因4(一)(二)アaないしcのとおりであって、前示の根本的基準三条一項一号に規定する「事業計画実施の確実性」、同項二号に規定する「法人設立の確実性」、根本的基準一〇条の規定する「放送の構成かつ能率的な普及に役立つこと」の各基準を本件に当てはめたものであり、被告が個々の事案ごとに証拠資料に基づいてなすべき判断の当否の問題であって、基準自体の具体性、明確性の問題ではない。また、これらの基準を総合して、根本的基準一一条による「各条件に適合する度合いから見て、最も公共の福祉に寄与するもの」か否かの判断は、各申請の具体的個別的な内容を相互に比較し、総合的に検討して、優劣を判断することであり、その判断は、右と同様に、処分者である被告が証拠資料を総合考慮してなすべき事柄であって、基準の問題ではなく、したがって、どの点において適合の度合いに差が認められるかということを具体的に予め申請者に教示することは、必 様に、処分者である被告が証拠資料を総合考慮してなすべき事柄であって、基準の問題ではなく、したがって、どの点において適合の度合いに差が認められるかということを具体的に予め申請者に教示することは、必要ではないと解される。 また、右の各基準の開示については、前示の法令に定められている上、具体的に放送局の免許をするに当たっては、申請書及び必要事項を記載した添付書類を提出させ、これらの書類により審査することとされている(法六条二項及び七条二項)ところ、これらの書類の記載事項は無線局免許手続規則(昭和二五年電波監理委員会規則一五条)に定められており(三条、四条、六条、七条、別表第一号の三及び第二号)、これらの記載事項が免許基準への適合性の審査及び競願審査の際の比較の対象となることは、申請者において、当然予期できるものである。被告が本件処分の主文の理由として挙げている内容は、いずれも右の記載事項に含まれている事柄であるから、これが原告にとって不意打ちであったとか、主張と立証の機会が与えられていなかったということはできないというべきである。 また、申請の手続については、法六条、無線局免許手続規則(昭和二五年電波管理委員会規則第一五号)に記載事項、具体的な申請方法等が詳細に定められている。また、右の記載事項が適合性の審査及び競願審査の際の比較の対象となることは、容易に理解できることであって、格別の説明や教示を要するものとはいえない。 したがって、原告の前記主張は、失当である。 4 原告は、被告による一本化行政指導の強行及び公正競争の機会賦与の拒否の違法があるとし、被告は、当初から多数の申請者について何ら実質審査をしないまま、訴外会社を「中核のもの」と位置づけ、これに一本化して訴外会社に免許を与える方針を定め、一本化に向けて強引に、極めて不公正な行政 るとし、被告は、当初から多数の申請者について何ら実質審査をしないまま、訴外会社を「中核のもの」と位置づけ、これに一本化して訴外会社に免許を与える方針を定め、一本化に向けて強引に、極めて不公正な行政指導を行ったと主張する。 被告においては、多数の放送局免許申請に対し割り当てられる周波数が一つしかない場合には、これらの申請の中から一つを選んで放送事業を営もうとする多くの者を排除するより、多数の申請者が一体となることにより地元に密着し、経営的にも確固たる基盤を持つ放送事業者として開局した方が望ましいとの観点から、これを一本化調製するための行政指導を従来から行ってきたこと、本件についても同様に一本化の調整のための行政指導を行ったことは、前示二の2のとおりである。 ところで、テレビジョン放送は、広く一般公衆に受信される番組の放送を目的とするものであって、公共性が極めて強いものであるところ、その放送をする免許の付与について割り当てられる周波数が申請者の数に足りない場合には、多数の申請が殺到し、かつ、申請者間において過当な競争を招き、種々の弊害が生ずるおそれがないとはいえないから、このような場合においては、申請者の協力を得て、公共放送の目的に合致し、運営上も経営上も安定した基盤を持つ放送事業者が免許を受けられるように調整することには、それなりの合理性があり、少なくとも被告の裁量判断の中にあるというべきである。したがって、申請者の自由な意思が妨げられるようなことがない限り、被告が申請者に対し、割り当てられる周波数に応じて申請を調整する、いわゆる一本化の調整のための行政指導をすることが違法であるとはいえないというべきである。 これを本件についてみると、平成三年一月三〇日付け放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更に基づく免許申請の受付に のための行政指導をすることが違法であるとはいえないというべきである。 これを本件についてみると、平成三年一月三〇日付け放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更に基づく免許申請の受付に対し、同年三月三〇日までの間に原告を含む一五九社から免許申請があったこと、被告は、申請者から放送局の経営の在り方(新局へ参画意向等)、番組の重点及び内容、設備、資本金等について聴取するためのヒアリングを同年五月一五日から六月一六日まで実施したほか、免許審査の参考資料とするために全申請者に対して質問書を同年九月二七日に発出し、同年一〇月三一日までにその回答書を受理したこと、被告が一五九社の申請に対し、割り当てるチャンネルが一つしかないことから、いわゆる一本化調整を行うこととし、平成四年二月二八日に開催された申請者調整会議において、東京都で活動している主要企業と東京都等の地元の公共団体の代表を発起人とする訴外会社の申請を中核のものとして扱い、今後、地元経済界の調整については、東商のB会頭の協力により、マスコミ及びその他の申請の調整については、同会頭とも相談しつつ、郵政省において進めたい旨の提案を行い、原告を含む全申請者の賛同を得て、一本化調整を開始したこと、原告も当初はこれに賛同してその調整に応じていたこと、原告が最終的にはこの行政指導に応じず、本件申請を維持したことは、前示二の2のとおりである。 原告は、被告は、当初から多数の申請者について何ら実質審査をしないまま、訴外会社を「中核のもの」と位置づけ、これに一本化して訴外会社に免許を与える方針を定めていたと主張するけれども、被告が一本化の提案をしたのは、免許申請期間の一一か月後の平成四年二月二八日のことであり、その間に全申請者から放送局の経営の在り方(新局へ参画意向等)、番組の重点及び内容、設 いたと主張するけれども、被告が一本化の提案をしたのは、免許申請期間の一一か月後の平成四年二月二八日のことであり、その間に全申請者から放送局の経営の在り方(新局へ参画意向等)、番組の重点及び内容、設備、資本金等について聴取するためのヒアリング、免許審査の参考資料とするための質問書の発出等を行っていたことは前示二の2のとおりである上、行政指導に当たって、その指導の方針を予め明らかにすることは行政指導の透明性を高める意味での有用性も存するのであるから、被告が右のようにその指導の方針を明らかにしつつ行政指導をしたことは、行政庁の裁量の範囲内の行為であり、違法とはいえない。 また、原告は、被告は、強引に行政指導を行ったと主張するが、前示二の2のとおり、原告は、平成四年四月一〇日に東商を通じて示された訴外会社の総発行株式の〇・〇五パーセント(額面金額七五〇万円)の割当案に対し、割当て数の増加や経営陣への参加等を求め、東商側から割当株式を〇・一パーセントに増加する案が示されるなど交渉が重ねられ、郵政省の担当者からも説得されたものの、結局、これに応じなかったものであり、このような経過に照らすと、原告は自由意思に基き自ら選択をしてきたものと推認され、被告の行政指導が強引で違法であったとはいえない。なお、原告は、被告は、訴外会社を除く全申請者に対して、その提示した案の受諾及び申請の取下げを迫ったが、これは行政指導として行き過ぎであると主張するところ、訴外会社と原告以外の申請者は全て右の案を受諾し本件申請を取り下げたものであることは、前示二の2のとおりであって、右の受諾及び取下げが被告の強引な行政指導に基づくものと認めるに足りる証拠はなく、右主張は採用の限りではない。 また、原告は、被告の株式配分案においては、株式配分の対象者の中には他の申請者のダミー の受諾及び取下げが被告の強引な行政指導に基づくものと認めるに足りる証拠はなく、右主張は採用の限りではない。 また、原告は、被告の株式配分案においては、株式配分の対象者の中には他の申請者のダミーが多数混じっていたと主張するけれども、右主張事実を認めるに足りる証拠はないから、これを前提とする主張も採用できない。 さらに、原告は、被告が、訴外会社を中核としてこれに一本化するという方針をとらず、当初から原告と訴外会社を対等に扱って審査する方針をとっていれば、原告の傘下にも他の有力な企業が多数参集した可能性があり、公正に競争することができたものであるから、被告の右のような方針により、原告は、対等、公正な競争の機会を意図的に奪われたと主張するが、被告の一本化のための行政指導が違法ではなく、また、原告もこれに賛同して応じていたことは前示二の2のとおりであるから、右主張はいずれもその前提を欠き、採用することができない。 その他被告のした行政指導等に原告主張の違法があると認めるに足りる証拠はない。 5 以上のとおり、本件処分の手続が違法であるとする原告の主張はいずれも採用することができないから、本件処分の手続が違法であることを前提として本件決定が違法であるとする原告の主張はその余の点について判断するまでもなく、理由がない。 四原告は、本件異議申立ての審理(平成六年改正以前は「聴聞」。以下「審理」という。)手続を本件処分の諮問について答申をした電波監理審議会が行ったこと、審理手続が処分庁の職員を審理官に任命して行われたことが不公正であり違法であると主張するが、法に基づく郵政大臣の処分について異議申立てがされた場合には、郵政大臣は電波管理委員会の議に付さなければならず(法八五条)、審理官は電波管理審議会の議決を経て郵政大臣が任命する(法九九条の一四第 が、法に基づく郵政大臣の処分について異議申立てがされた場合には、郵政大臣は電波管理委員会の議に付さなければならず(法八五条)、審理官は電波管理審議会の議決を経て郵政大臣が任命する(法九九条の一四第三項)ものであって、いずれも法に準拠したものであるから、右手続が公正でないとする原告の主張は採用できない。 また、原告は電波監理審議会の審理手続における人証の却下の違法性を主張する。しかし、同審議会の参考人喚問申請を却下したことは弁論の全趣旨により認められるが、同審議会の審議手続において参考人を取り調べるか否か、取り調べる場合にいかなる範囲で取り調べるかは、同審議会の裁量判断に委ねられていると解されるところ、弁論の全趣旨により認められる右審議の経過に照らすと、右却下処分には相応な根拠があり、右判断に裁量権の逸脱があったことを認めるに足りる証拠はない。したがって、原告の右主張は採用できない。 五他に本件処分又は本件決定が実体上又は手続上違法があると認めるに足りる証拠はない。 六以上の次第であるから、原告の本訴請求は理由がないので、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六一条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第八民事部裁判長裁判官筧康生裁判官村田長生は転補のため、裁判官後藤博は転官のため、いずれも署名押印することができない。 裁判長裁判官筧康生

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