令和3(ワ)11378等 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年11月7日 大阪地方裁判所
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判決文本文54,503 文字)

1令和6年11月7日判決言渡 同日原本受領 裁判所書記官令和3年(ワ)第11378号 損害賠償請求事件(以下「第1事件」という。)令和5年(ワ)第2690号 損害賠償請求事件(以下「第2事件」という。)口頭弁論終結日 令和6年9月25日判決5 第1事件・第2事件原告 株式会社エイジェック(以下「原告」という。)同代表者代表取締役同訴訟代理人弁護士 藤 田 雄 功10同 森 本 純同 安 井 祐 一 郎同 中 紀 人同 芳 賀 彩 15第1事件被告 P1(以下「被告P1」という。) 第1事件被告 P2(以下「被告P2」といい、被告P201と併せて「被告P1ら」ともいう。)上記2名訴訟代理人弁護士 相 沢 祐 太同 末 永 貴 寛 第1事件被告 日本エンジニアリングソリューショ25ンズ株式会社 2(以下「被告会社」という。)同代表者代表取締役同訴訟代理人弁護士 高 倉 太 郎同 林 誠 吾 5第2 )同代表者代表取締役同訴訟代理人弁護士 高 倉 太 郎同 林 誠 吾 5第2事件被告 P3(以下「被告P3」といい、被告P1ら及び被告会社と併せて「被告ら」という。)同訴訟代理人弁護士 鈴 木 靖 裕10主文1 被告らは、原告に対し、連帯して、515万0653円及びこれに対する令和5年3月31日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、第1事件及び第2事件を通じ、被告らに生じた費用の各10分15の9を原告の負担とし、原告に生じた費用の10分の1を被告らの負担とし、その余の費用は各自の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由第1 請求(第1事件・第2事件共通)20被告らは、原告に対し、連帯して、5898万8445円及びこれに対する令和5年3月31日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要1 概要(1) 第1事件25人材派遣・請負事業等を営む原告が、原告又は株式会社ジャパンI&Cテクノロ 3ジー(以下「JICT」という。なお、JICTは令和3年10月1日付けで原告に吸収合併され、JICTの損害賠償請求権は原告に帰属する。)の被用者であった被告P1らが、同じく被用者であった被告P3及びP4とともに、雇用契約に付随する誠実義務に違反して、在職中に背信的で自由競争の範囲を大きく逸脱した競業を行うという債務 に帰属する。)の被用者であった被告P1らが、同じく被用者であった被告P3及びP4とともに、雇用契約に付随する誠実義務に違反して、在職中に背信的で自由競争の範囲を大きく逸脱した競業を行うという債務不履行行為又は不法行為により、原告の従業員11名を原告と5競合する被告会社に引き抜き、当該従業員らが原告に勤務していれば得られたであろう粗利益相当額(逸失利益)の損害を原告に被らせた、被告会社は、被告P3が実質的に支配しているところ、被告P3が被告会社の業務として前記誠実義務に違反する行為を行った場合は会社法350条又は同条類推適用に基づく損害賠償義務を負い、また、被告P3の指揮命令に従い被告P1ら又はP4が被告会社の事業の10執行として前記誠実義務に違反する行為を行った場合は使用者責任(民法715条)に基づく損害賠償義務を負うと主張し、被告P1ら及び被告会社に対し、損害賠償金5898万8445円(弁護士費用を含む。)及びこれに対する前記各行為の日の後である、令和5年3月31日から支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 15(2) 第2事件原告が、前記(1)と同様の主張をし、被告P3は、①雇用契約に付随する誠実義務違反による債務不履行又は不法行為に基づき(主位的請求原因)、②被告P3が原告に対して提出した平成26年12月5日付け管理職誓約書による退職後3年間の競業避止義務違反の債務不履行又は不法行為に基づき(予備的請求原因)、原告に20対する損害賠償義務を負うとして、被告P3に対し、被告P1ら及び被告会社と連帯して、前記(1)と同額の損害賠償金及びこれに対する同様の遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨に 告P1ら及び被告会社と連帯して、前記(1)と同額の損害賠償金及びこれに対する同様の遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)25(1) 当事者等 4ア 原告は、建設施工管理等の建設分野、接客販売業務の商業施設分野、及び、多方面での人材派遣・請負事業等を展開している株式会社である。令和3年7月1日時点で、国内72拠点、合計1万4200名(子会社を含むエイジェックグループ全体では1万7500名)の従業員を雇用していた。 イ JICTは、原告のメーカー総合統括本部メーカーエンジニア事業部(製造5業の技術派遣を行う。以下「エンジニア事業部」という。)の一部が分社化する形で、平成30年10月1日付けで設立された原告の子会社である。JICTは、令和3年10月1日付けで原告に吸収合併され解散した(甲2、3)。 ウ 被告P3は、株式会社フォーラムエンジニアリング、株式会社フルキャストテクノロジー等の勤務を経て、平成23年10月、原告に入社した。被告P3は、10平成30年10月1日付けでJICTの執行役員社長に就任したが、平成31年1月31日付けでJICTを退職した。そして、同年2月1日、被告会社に執行役員専務として入社したが、令和元年7月、被告会社を退職した。 被告P3は、原告に対し、平成26年12月5日付けで管理職誓約書を提出しているところ、当該誓約書には退職後3年間は競業避止義務を遵守することを誓約す15る旨が記載されている。(甲37の3)エ 被告P1は、平成26年5月19日に原告に入社し、エンジニア事業部マネージャーの役職を務めた後、平成30年10月1日付けでJICTに出向した。被告P1は、出向後も原告の事業所で (甲37の3)エ 被告P1は、平成26年5月19日に原告に入社し、エンジニア事業部マネージャーの役職を務めた後、平成30年10月1日付けでJICTに出向した。被告P1は、出向後も原告の事業所である大阪雇用開発センター(所在地:大阪市以下略)で勤務し、原告の主要取引先であるダイハツ工業株式会社(以下「ダイハツ」20という。)の営業及び派遣技術者の管理を担当していたことがあるが、平成31年1月29日に退職届を提出し、同年2月28日を最終出勤日として同日付けで原告を退職した。被告P1は、同年3月1日に被告会社に就職し、令和2年9月25日から同社の取締役を務めている。(乙A3)オ 被告P2は、平成19年2月21日に原告に入社し、エンジニア事業部の事25務職として大阪雇用開発センターで勤務して、ダイハツの営業及び派遣技術者の管 5理を担当していたが、平成31年3月12日に退職届を提出し、同月27日まで出勤した後は有給休暇を消化し、同年4月30日に原告を退職した。被告P2は、令和元年5月1日に被告会社に就職した。(甲6の2、乙A4)カ P4は、平成27年8月19日に原告に入社し、エンジニア事業部シニアマネージャーの役職を務めた後、平成30年10月1日付けでJICTに出向し、名5古屋技術管理担当シニアマネージャーの役職に就任した(ダイハツに対する派遣営業及び派遣技術者管理には直接関与していなかった。)。P4は、平成31年1月16日に退職届を提出し、同年2月1日を最終出勤日として同月28日付けで原告を退職した。P4は、同年3月に被告会社に移籍したが、本件訴訟の提起前に死亡した。(甲7の2、丙6、被告会社代表者本人)10キ 被告会社(代表者P5)は、神奈川県藤沢市を本店所在地として、平成15年9月10日に設立された 被告会社に移籍したが、本件訴訟の提起前に死亡した。(甲7の2、丙6、被告会社代表者本人)10キ 被告会社(代表者P5)は、神奈川県藤沢市を本店所在地として、平成15年9月10日に設立された株式会社であり、平成30年12月までは株式会社モンプロ(以下「モンプロ」という。)との商号で、同県内の横浜市、藤沢市、綾瀬市及び大和市の4拠点において製造派遣業を展開していた。 ク P6は、宮城県仙台市内でP74を経営していたが、平成30年10月1日15から平成31年3月31日までの間は原告の子会社である株式会社キャリアパートナーズと顧問契約を締結し、原告を含むエイジェックグループの新規取引先の開拓に従事していた(原告の事業所である仙台雇用開発センターで勤務し、ダイハツに対する派遣営業及び派遣技術者管理には直接関与していなかった。)。P6は、平成31年1月29日付けで被告会社の取締役に就任した。 20(2) 原告の就業規則では、遵守事項として、会社の内外を問わず、業務上の秘密事項のほか、会社の不利益となる事項を他に漏らさないこと(11条(11))が定められ、懲戒事由として、会社の機密を漏らし、又は漏らそうとしたとき、会社の許可なく、他の会社の役員に就任し、又は他に就業するなど兼業をしたとき(72条(11)、(12))が定められている。(甲26)25(3) 被告P1は、平成31年1月29日午前10時51分、JICTから貸与さ 6れたパソコン内に保存されていた「ダイハツ組織図2018.xls」、「2017 営業交通費明細+(新:原紙).xls」、「2018 営業数字一覧.xlsx」の3点のファイルを、自身の長男のメールアドレス宛てに送信した。また、被告P1は、同日午前11時02分、JICTから貸与されたパソコン内に保存され 紙).xls」、「2018 営業数字一覧.xlsx」の3点のファイルを、自身の長男のメールアドレス宛てに送信した。また、被告P1は、同日午前11時02分、JICTから貸与されたパソコン内に保存されていた上記3点の電子ファイルに加えて「経歴書(P7).xls」の4点の電子ファイルを、自身の長男のメー5ルアドレス宛てに、本文に「仕事書類、少しの間置いといて」と記載の上で送信した。(甲33)(4) 被告P2は、大阪雇用開発センター内において、原告から貸与されていた業務用パソコンを操作して、人材管理システムサーバーにアクセスし、原告エンジニア事業部がダイハツに派遣している技術者74名全員の氏名、自宅住所、平成3010年度の年収が記載された源泉徴収票のデータである「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」と題するファイルを同業務用パソコンに転送して複製を作成した。また、被告P2は、大阪雇用開発センターで派遣する派遣社員675名分の氏名、住所、電話番号、派遣先連絡先、業務内容、派遣単価、給与などの派遣管理情報が記載されたファイルを同業務用パソコンに転送して複製を作成し、その後、同派遣管理情15報から原告からダイハツに派遣する技術者52名を抽出したファイルを作成し、「ダイハツデータ.xlsx」とファイル名を付した上、平成31年1月29日午前11時05分頃、「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」及び「ダイハツデータ.xlsx」と題する2つのファイルを、原告において業務管理インフラとして使用するグループウェアソフト「Garoon」(以下「Garoon」という。)上のメッセージに添20付して、「ダイハツデータ」との件名で被告P1宛てに送信した。(甲31~33、88~90〔各枝番号〕)(5) 被告P1は、平成31年1月29日午前 aroon」という。)上のメッセージに添20付して、「ダイハツデータ」との件名で被告P1宛てに送信した。(甲31~33、88~90〔各枝番号〕)(5) 被告P1は、平成31年1月29日午前11時31分に「ダイハツデータ.xlsx」のファイルを、同日午前11時33分に「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」のファイルを、JICTから貸与されていた業務用パソコンに転送させた上で、同25日午前11時35分に上記の2つのファイルを、Garoon上のメッセージに添 7付して、P4宛てに送信した。(甲33)(6) P4は、平成31年1月30日午前8時40分頃、「ダイハツデータ.xlsx」のファイルを、同日午前8時41分に「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」のファイルを、それぞれJICTから貸与されていた業務用パソコンに転送させた上で、同年2月1日午前9時56分に上記の2つのファイルを、P6の個人メールアドレス5宛てに送信した(甲18の15、甲33)。 (7) 別紙1の≪JICTからの転籍者9名≫記載のJICT従業員のうち少なくとも8名が、平成31年1月から令和元年5月にかけてJICTを退職して被告会社に移籍した。また、別紙1の≪原告からの転籍者14名≫記載の原告従業員のうち少なくとも13名が、平成30年11月から令和元年7月にかけて原告を退職10して被告会社に移籍した。 (8) 平成31年3月から令和元年9月にかけて、別紙5に記載される合計11名の派遣技術者が原告を退職し、被告会社に移籍した。 (9) 原告がダイハツに派遣している派遣技術者の源泉徴収票等の営業秘密が被告会社に漏洩した等の被疑事実(不正競争防止法違反)に基づく大阪府警察本部に15よる捜査が行われ、令和3年6月、捜索差押えが実施された。 ハツに派遣している派遣技術者の源泉徴収票等の営業秘密が被告会社に漏洩した等の被疑事実(不正競争防止法違反)に基づく大阪府警察本部に15よる捜査が行われ、令和3年6月、捜索差押えが実施された。 被告P1らは、不正競争防止法違反被疑事件につき、令和4年3月10日付けで嫌疑不十分により不起訴となった。 3 争点(1) 第1事件及び第2事件の主位的請求原因関係20ア 被告P3及び被告P1らによる誠実義務違反行為の存否(争点1)(ア) 被告P3による管理職勧誘行為(争点1-1)(イ) 被告P3による会社支配行為(争点1-2)(ウ) 被告P3、被告P1ら及びP4による守秘義務違反行為(争点1-3)(エ) 被告P3、被告P1ら及びP4による被告会社としての営業行為(争点1-254) 8(オ) 被告P3及び被告P1らによる派遣技術者引抜行為(争点1-5)イ 被告らの責任(争点2)(ア) 被告P3及び被告P1らの雇用契約に基づく誠実義務違反(争点2-1)(イ) 被告会社の会社法350条又は同条の類推適用、若しくは民法715条に基づく責任(争点2-2)5(2) 第2事件の予備的請求原因関係-被告P3の競業避止義務違反による責任(争点3)ア 被告P3の競業避止義務違反行為(争点3-1)イ 被告P3の責任(争点3-2)(3) 原告の損害及びその額(争点4)10第3 当事者の主張1 争点1(被告P3及び被告P1らによる誠実義務違反行為の存否)原告は、被告P3及び被告P1らには後記2(1)(原告の主張)記載の誠実義務違反行為がある旨主張し、誠実義務違反行為の具体的態様として以下の(1)ないし(5)の各行為を主張しているところ、各行為は事実関係が異なることから、別個の争点15 1)(原告の主張)記載の誠実義務違反行為がある旨主張し、誠実義務違反行為の具体的態様として以下の(1)ないし(5)の各行為を主張しているところ、各行為は事実関係が異なることから、別個の争点15とした。 (1) 争点1-1(被告P3による管理職勧誘行為)について(原告の主張)ア 被告P3は、平成30年10月1日以降、JICTの執行役員社長の地位にあったにもかかわらず、JICTと同一事業を営む新会社を設立して独立しようと20計画し、その従業員とするためにJICT及び原告の従業員少なくとも37名を勧誘し、うち少なくとも23名を、平成31年1月29日に、被告P3が実質的な代表取締役となった被告会社に入社させた。管理職勧誘行為の詳細は別紙1のとおりである(なお、同別紙には、《原告からの転籍勧誘者13名》とあるが、その節で原告が挙げた者は、⑦を欠番とした12名である。ただし、本判決では、同別紙の25記載を用いる。)。 9被告P3の当該行為は、社会的相当性を逸脱し背信的な方法で行われた引抜きであり、被告P3がJICT及び原告に対して負う誠実義務に違反する。 イ また、被告P3は、当該行為を、後に被告P3が支配する被告会社の設立準備行為として行ったものである。 (被告P3の主張)5被告P3は、社会的相当性を逸脱する背信的な方法での引抜行為は行っていない。 ア JICTからの転籍者9名についてP8以外の8名の社員が被告会社に移籍した事実は認めるが、その余は否認する。 被告P3は、平成31年1月31日の退職に当たり、退職の事実を一斉メールで送信したが、勧誘したことはない。 10被告P1は、平成30年10月1日以降仕事が与えられることもなかったため、原告を退職することを決意していたのであり、被告P 当たり、退職の事実を一斉メールで送信したが、勧誘したことはない。 10被告P1は、平成30年10月1日以降仕事が与えられることもなかったため、原告を退職することを決意していたのであり、被告P3の勧誘により移籍したのではない。その余の社員については、60歳を超えており、有期雇用契約を打ち切られたり、定年退職したりする予定であった人物である。 イ 原告からの転籍者14名について15P9以外の13名の社員が被告会社に移籍した事実は認めるが、その余は否認する。被告P3は、平成31年1月31日の退職に当たり、退職の事実を一斉メールで送信したが、勧誘したことはない。 ウ JICTからの転籍勧誘者1名について否認する。被告P3はP10を勧誘していない。 20エ 原告からの転籍勧誘者13名について否認する。被告P3は勧誘をしていない。 (被告会社の主張)被告P3が、管理職引抜行為を、被告会社の設立準備行為として行ったことは知らない。 25(2) 争点1-2(被告P3による会社支配行為)について 10(原告の主張)ア 被告P3は、平成31年1月31日に退職するまでJICTの執行役員社長であったにもかかわらず、JICTと同一事業を営む会社を支配して独立しようと計画し、同月29日に行われた被告会社の臨時株主総会及び取締役会により、JICT及び原告エンジニア事業部と同一事業を営む被告会社を実質的に支配した。会5社支配行為の詳細は別紙2のとおりである。 被告P3の当該行為は、被告P3がJICT及び原告に対して負う競業避止義務に違反する。 イ また、被告P3の当該行為は、被告会社の業務の執行として行われた。 (被告P3の主張)10被告P3の会社支配行為は否認する。 被告会社の株主で 告に対して負う競業避止義務に違反する。 イ また、被告P3の当該行為は、被告会社の業務の執行として行われた。 (被告P3の主張)10被告P3の会社支配行為は否認する。 被告会社の株主でも代表取締役でもない被告P3が被告会社を支配することはできない。被告P3は、被告会社に在籍した約半年間、被告会社において経営コンサルタントとしての役割を果たしていたのであり、最終決定権はなく、被告会社を支配する立場にはなかった。 15(被告会社の主張)被告P3が被告会社を実質的に支配したことは争う。被告P3は、被告会社の株主でも代表取締役でもなく、経営コンサルタントとしての立場にすぎないから、被告会社を支配することはできない。 被告会社代表者は、被告P3が原告との競業事業を行おうとしていたことについ20ては知らされておらず、被告会社は関知していない。 (3) 争点1-3(被告P3、被告P1ら及びP4による守秘義務違反行為)について(原告の主張)ア P4及び被告P1らは、JICT又は原告の従業員であったにもかかわらず、25被告P3と意を通じ、平成31年1月29日から同月30日にかけて、原告がダイ 11ハツに派遣している技術者74名の源泉徴収票及び「ダイハツデータ.xlsx」を被告会社の取締役であるP6に漏洩させ、P6は同源泉徴収票等を被告会社の経営資料として利用した。また、被告P1は、JICTの従業員であったにもかかわらず、被告P3と意を通じ、平成31年1月29日、被告会社の経営資料として用いる目的で「ダイハツ組織図2018.xlsx」及び「2018 営業数字一覧.xlsx」を原告社外に漏5洩させた。漏洩等の行為の詳細は別紙3のとおりである。 被告P1ら及びP4の当該行為は、JICT及び原告に対して負う 2018.xlsx」及び「2018 営業数字一覧.xlsx」を原告社外に漏5洩させた。漏洩等の行為の詳細は別紙3のとおりである。 被告P1ら及びP4の当該行為は、JICT及び原告に対して負う守秘義務に違反するものである。 イ また、被告P1ら及びP4は、被告P3と意を通じて守秘義務違反行為を行っている。 10ウ さらに、被告P1ら及びP4の守秘義務違反行為は、被告会社の業務の執行として行われた。 (被告P3の主張)被告P3がP4及び被告P1らと意を通じて守秘義務違反行為を行ったことは否認する。被告P3は、原告在職中からメイテックの給与基準(他社の新卒技術者、15中途入社技術者の年収等を比較した上で昇給ポイントに応じて昇給するというもの)を採用しており、被告会社においても同給与基準の体系を採用した。前職の給与額等は関係がないため,源泉徴収票は不要であった。被告P3がP6に対し、原告の源泉徴収票を使用した資料の作成を指示することはあり得ない。 原告において、源泉徴収票にアクセス制限をして管理していたことは認める。被20告P3は、原告在職中、情報漏洩を問題とし、情報漏洩対策を検討するプロジェクトチームのメンバーであったことがあるが、原告のシステム上、情報を持ち出した場合、アクセス履歴が残るため、対策は必要がないとの結論になった。被告P3はこの点を熟知しており、被告P1らにデータの持ち出しを指示するはずがなく、実際にも指示していない。 25(被告P1らの主張) 12ア 被告P2が、原告がダイハツに派遣していた技術者の平成30年度の源泉徴収票をダウンロードし被告P1に送信したこと、被告P1が被告P2から受信したデータをP4に送信したことは認め、源泉徴収票が74名分であったことは知らない。被 派遣していた技術者の平成30年度の源泉徴収票をダウンロードし被告P1に送信したこと、被告P1が被告P2から受信したデータをP4に送信したことは認め、源泉徴収票が74名分であったことは知らない。被告P1ら及びP4において「共謀し」たことは否認する。被告P1らは、P4がP6に送信していたか否かを知らない。そして、このことが「営業秘密の不正5取得行為」に該当することは争う。 被告P1が、平成31年1月29日、原告から貸与されていたパソコン内に保存されていた「ダイハツ組織図2018.xls」、「2017 営業交通費明細+(新:原紙).xls」、「2018 営業数字一覧.xlsx」の3点の電子ファイルを、自身の長男のメールアドレス宛てに送信したことは認め、この行為が「漏洩開示行為」に該当することは争う。 10イ 不正取得・漏洩開示行為について(ア) 「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」の秘密管理性について原告において「派遣技術者の氏名・連絡先等の個人情報及び給与や所属等の人事情報」につき、「人材管理システムを自社で構築し、同システムを稼働しているサーバー上に派遣技術者の情報を保管している」ことは認め、それが「営業秘密」で15あることは否認する。 被告P1らにはアクセス権限が付与されていたが、それが原告の拠点ごとに付与されていることや被告P1らが閲覧できる情報の範囲については不知。被告P1らがダイハツに関わる大阪雇用開発センターの源泉徴収票を閲覧できたことは認め、P4及びP6が源泉徴収票を閲覧できなかったことは知らない。 20(イ) 源泉徴収票データの秘密管理性は争う。 原告が人材管理システムを自社で構築し、同システムを稼働しているサーバー上に派遣技術者の情報を保管しており、その中に源泉徴収票のデータを保管してい 0(イ) 源泉徴収票データの秘密管理性は争う。 原告が人材管理システムを自社で構築し、同システムを稼働しているサーバー上に派遣技術者の情報を保管しており、その中に源泉徴収票のデータを保管しているからといって、当然に秘密管理性は認められない。秘密管理性を判断するにあたっては、概ね、①当該情報にアクセスできるものが制限されていること、②当該情報25にアクセスした者に当該情報が営業秘密であると認識できることという2つの要素 13を考慮して判断されているところ、源泉徴収票のデータは、原告のサーバー上において一括で情報を管理しているもので、役職のない一従業員である被告P2にも閲覧権限があり、原告の主張を前提としても大阪雇用開発センターに所属する従業員は閲覧権限があったのであるから、秘密管理性を肯定するほどのアクセス制限があったとは認められない。また、被告P2が閲覧できたのであるから、より上位の立5場であるP4は当然に閲覧できるはずであり、少なくとも、被告P2や被告P1がP4に閲覧権限があると認識していたとしても、不自然ではない。なお、被告P2が利用していたパソコンにダウンロードした源泉徴収票のデータは、大阪雇用開発センターで勤務する者だけが閲覧できるとの表示はなされておらず、データそのものにパスワードがかかっていたり、フォルダ名に「マル秘」などの表示もなされて10いなかった。原告において秘密情報の管理につき、従業員に対する研修や教育は行われておらず、周知もされていない。さらに、源泉徴収票を社内の別の部署や上司に送信してはいけないとの表示や説明もなされていない。被告P1が、被告P2から送信された源泉徴収票をP4に対し送信していたとしても、当該情報に「秘密管理性」が認められない。また、情報セキュリティ規程(甲9)第29条で いとの表示や説明もなされていない。被告P1が、被告P2から送信された源泉徴収票をP4に対し送信していたとしても、当該情報に「秘密管理性」が認められない。また、情報セキュリティ規程(甲9)第29条では社外送15信が禁止されているところ、被告P1らは、社内の業務管理インフラとして使用されていたGaroon上のメッセージで送信している。そして、被告P1からP4への送信も同様にGaroon上のメッセージで送信しているのであるから、情報セキュリティ規程により禁止されている「社外送信」には該当しない。 (ウ) 源泉徴収票のデータに有用性は認められない。 20被告P1らは、ダイハツの派遣技術者の管理を担当していたのであるから、業務上、派遣技術者の氏名や連絡先、年収等を源泉徴収票がなくとも把握しているため、源泉徴収票をたとえ取得したとしても、それは有用な情報にはならない。 ウ その他ダイハツ関連資料等の漏洩開示行為について被告P1が長男のメールアドレス宛てに3点の電子ファイルを送信したことは認25め、それが漏洩開示行為に該当することは争う。 14被告P1が長男のメールアドレス宛てに4点の電子ファイルを送信したことは認め、それが漏洩開示行為に該当することは争う。 (被告会社の主張)原告主張の事実関係は知らない。源泉徴収票は営業秘密(不正競争防止法2条6項)に該当しない。被告P1ら及びP4の行為が、被告会社の業務の執行として行5われたことは争う。 (4) 争点1-4(被告P3、被告P1ら及びP4による被告会社としての営業行為)について(原告の主張)ア P4及び被告P1らは、JICT又は原告の従業員であったにもかかわらず、10被告P3と意を通じ、被告会社のために営業活動を行い、ダイハツパワートレーン制御開 )について(原告の主張)ア P4及び被告P1らは、JICT又は原告の従業員であったにもかかわらず、10被告P3と意を通じ、被告会社のために営業活動を行い、ダイハツパワートレーン制御開発部HV制御開発室の新規派遣案件を被告会社で受注した。被告会社としての営業行為の詳細は別紙4のとおりである。当該行為は、P4及び被告P1らが、JICT及び原告に対して負う誠実義務に違反する。 イ 被告P1ら及びP4は、被告P3と意を通じて誠実義務違反行為を行った。 15ウ さらに、被告P1ら及びP4の誠実義務違反行為は、被告会社の業務の執行として行われた。 (被告P3の主張)被告P3が、JICT在職中、P4及び被告P1らと意を通じて被告会社としての営業行為を行ったことは否認する。P4及び被告P1らが原告在職中に行ってい20た営業活動は、原告のためのものである。被告会社が設立されていない段階又は設立後間もない段階の平成31年1月ないし3月に、新規派遣案件の受注を被告会社が行うことはできない。 (被告P1らの主張)否認する。被告P1らは、被告会社のための営業活動を行っていない。 25被告P1らは、平成31年1月23日、JICTないし原告の業務としてダイハ 15ツ関係者との新年の挨拶を兼ねて新年会を開催したが、原告主張のような被告会社としての営業活動はなかった。同日にダイハツのP11理事から新規受託案件を被告会社で受注することの内諾を受けたことは否認する。 被告P1らが、平成31年2月5日から同年3月9日にかけて、ダイハツ人材開発室のP12との間で、被告会社としての口座開設及び派遣基本契約書の締結行為5を進めたとの事実、同年3月11日にダイハツのHV制御開発室のP13から被告P2に対して同開発室の業務委託契 ツ人材開発室のP12との間で、被告会社としての口座開設及び派遣基本契約書の締結行為5を進めたとの事実、同年3月11日にダイハツのHV制御開発室のP13から被告P2に対して同開発室の業務委託契約書のひな形が送られ、被告P2はP4の個人メールアドレス宛てに同契約書ひな形を転送し、被告会社において正式に同開発室の業務を受託するに至ったとの事実は、いずれも否認する。 (被告会社の主張)10被告会社がダイハツパワートレーン制御開発部HV制御開発室の新規派遣案件を受注したことは認め、その余は知らない。被告P1ら及びP4の誠実義務違反行為が、被告会社の業務の執行として行われたことは争う。 (5) 争点1-5(被告P3及び被告P1らによる派遣技術者引抜行為)について(原告の主張)15ア 被告P1らは、JICT又は原告の従業員であったにもかかわらず、被告P3と意を通じ、平成31年2月以降、原告がダイハツに派遣している技術者を勧誘し、そのうち少なくとも11名を被告会社に入社させた。派遣技術者引抜行為の詳細は別紙5のとおりである。 原告のエンジニア事業部の派遣技術者及びダイハツに派遣されていた技術者の離20職率は、エンジニア事業部全体でも5ないし13%、ダイハツに限ると9ないし12%程度であり、前記11名の転職は明らかに異常な数値である。 イ 被告P1らは、被告P3と意を通じて誠実義務違反行為を行った。 ウ 被告P1らの誠実義務違反行為は、被告会社の業務の執行として行われた。 (被告P3の主張)25被告P1らが被告P3と意を通じて勧誘行為をしたことは否認する。 16被告P3は、平成31年3月19日、同年4月18日、同月25日の面談については不知であり、令和元年6月14日以降の引抜行為については否 3と意を通じて勧誘行為をしたことは否認する。 16被告P3は、平成31年3月19日、同年4月18日、同月25日の面談については不知であり、令和元年6月14日以降の引抜行為については否認する。被告P3は、派遣技術者の引抜きを指示したり、自ら勧誘したりしたことはなく、原告に対する誹謗中傷を行った事実もない。 被告P3が在籍していた当時の原告の離職率は100%以上であり、技術派遣部5門も20%台前半の離職率であった。原告の提出する甲第101号証の1記載の在籍者数、退職者数は虚偽の数字が記載されているものと考えられ、信用性がない。 ダイハツの派遣技術者らは、特に被告P1らが勧誘しなくても、自発的に被告会社に移籍したものであって、原告主張の引抜行為はなかった。 (被告P1らの主張)10ア 否認ないし争う。被告P1らは、原告がダイハツに派遣した技術者を被告会社に勧誘するような行為を行っていない。 被告P1が平成30年12月頃から、原告がダイハツに派遣している技術者に対して、新設する競業会社に転職するように勧誘行為を開始したことは否認する。被告P1が派遣技術者に対し、勧誘行為を行ったことはない。 15被告P2が、平成31年3月19日、被告P1、P6と共に、ダイハツ池田第1工場パワートレーン制御開発部に原告から派遣されていた技術者らと面談し、被告会社の会社説明会及び懇親会を開催したことは否認する。被告P2が、同月12日に同年4月30日を退職日とする退職届を提出し、同月19日に原告従業員と共にダイハツを訪問して派遣技術者と面談をして引継ぎを行ったことは認める。 20P14、P15、P16、P17、P18及びP19の6名が、いずれも平成31年4月末に原告を退職した後、令和元年5月8日から被告会社で勤務を開始したこ 談をして引継ぎを行ったことは認める。 20P14、P15、P16、P17、P18及びP19の6名が、いずれも平成31年4月末に原告を退職した後、令和元年5月8日から被告会社で勤務を開始したことは認める。いずれも、被告P1らは、勧誘したことはなく、不当な引抜行為も行っていない。原告での待遇等に不満が蓄積したために原告を退職したものである。 被告P2が、平成31年3月頃、P20に対し、「原告がエンジニア事業を撤退25する。」と発言したこと、有給休暇消化中の同年4月18日、ダイハツ本社池田第 172工場のロビーで被告P1と合流して、ダイハツ人材開発室に赴いて被告会社の営業活動を行ったことは否認し、その余は不知である。 イ 原告の離職率に関する主張は争う。 原告は、原告のエンジニア事業部に所属していた従業員の離職率に関する証拠として甲第101号証の1ないし11を提出するが、離職率が争点となってから1年5が経過し、既に人証の取調べも終えて結審が見込まれる時期に提出されたものであり、この間、原告が提出できなかった特段の事由も認められないから、時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 (被告会社の主張)別紙5の①ないし⑪の者が原告に入社し、退職した年月日は知らない。同①ない10し⑪の者がいずれも現在は被告会社の従業員であり、①ないし⑥の者がダイハツに派遣されている事実は認める。原告主張のその余の事実関係は不知ないし争う。被告P1らの誠実義務違反行為が、被告会社の業務の執行として行われたことは争う。 2 争点2(被告らの責任)(1) 争点2-1(被告P3及び被告P1らの雇用契約に基づく誠実義務違反)に15ついて(原告の主張)被用者は、使用者の正当な利益を労使間の信頼関係に反するような態 2(被告らの責任)(1) 争点2-1(被告P3及び被告P1らの雇用契約に基づく誠実義務違反)に15ついて(原告の主張)被用者は、使用者の正当な利益を労使間の信頼関係に反するような態様で侵害してはならないという雇用契約上の付随義務ないし信義則上の義務(誠実義務)を負っており、その類型として守秘義務や競業避止義務、社会的相当性を逸脱した違法20な引抜きをしてはならない義務を負っている。原告の就業規則(甲26)でも、遵守事項(第11条)及び懲戒事由(第72条)として、守秘義務及び競業避止義務が規定されている。被用者がそれらの義務に違反した場合は、使用者に対して、債務不履行責任及び不法行為責任を負う。原告の被用者であった被告P3、P4、被告P1らも、その在職中は原告との雇用契約上の付随義務として誠実義務を負って25おり、同義務に違反した場合は使用者たる原告に対して、債務不履行責任及び不法 18行為責任に基づく損害賠償義務を負う。また、誠実義務違反行為が、客観的に関連共同して行われたと評価される場合には共同不法行為が成立する。 被告P1らは、前記1(3)ないし(5)の(原告の主張)記載の誠実義務違反行為(別紙3ないし5)を行ったから、原告に対する雇用契約上の債務不履行又は共同不法行為に基づく損害賠償責任がある。 5被告P3は、前記1(1)及び(2)の(原告の主張)記載の誠実義務違反行為(別紙1及び2)を行ったから、原告に対する雇用契約上の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任があり、また、被告P1ら又はP4と意を通じて同(3)ないし(5)の(原告の主張)記載の誠実義務違反行為(別紙3ないし5)を行ったものであるから、被告P1らとの共同不法行為に基づく損害賠償責任がある。 10なお、JICTは と意を通じて同(3)ないし(5)の(原告の主張)記載の誠実義務違反行為(別紙3ないし5)を行ったものであるから、被告P1らとの共同不法行為に基づく損害賠償責任がある。 10なお、JICTは令和3年10月1日付けで原告に吸収合併され、JICTに対する誠実義務違反行為に基づく損害賠償請求権は原告に帰属している。 (被告P3の主張)前記1(1)ないし(5)の(被告P3の主張)のとおり、被告P3は誠実義務違反行為を行っておらず、被告P1らやP4と意を通じて誠実義務違反行為を行ってもい15ないから、損害賠償責任は発生しない。 (被告P1らの主張)前記1(3)ないし(5)の(被告P1らの主張)のとおり、被告P1らは誠実義務違反行為を行っておらず、損害賠償責任は発生しない。 (2) 争点2-2(被告会社の会社法350条又は同条の類推適用、若しくは、民20法715条に基づく責任)について(原告の主張)被告P3は被告会社を実質的に支配しており会社法350条の「その他の代表者」と評価できることから、被告P3が被告会社の業務として行った前記1(1)ないし(5)の誠実義務違反行為(別紙1ないし5)につき、被告会社は、会社法350条又25は同条類推適用により、原告に対する損害賠償義務を負う。 19また、P4及び被告P1らについても、遅くとも平成30年12月末までには被告会社の転職内定(始期付解約権留保付労働契約の発生)を得ており、少なくとも平成31年1月以降は被告会社の実質的支配者である被告P3の指揮命令に従い被告会社の事業の執行のために行動していることから、被告P1ら又はP4が行った前記1(3)ないし(5)の誠実義務違反行為(別紙3ないし5)につき、被告会社は、5使用者責任(民法715条)に基づき、原告に の事業の執行のために行動していることから、被告P1ら又はP4が行った前記1(3)ないし(5)の誠実義務違反行為(別紙3ないし5)につき、被告会社は、5使用者責任(民法715条)に基づき、原告に対する損害賠償義務を負う。 (被告会社の主張)争う。 被告P3及び被告P1らに誠実義務違反行為は認められないし、仮に同行為が認められるとしても、代表権を有しない者が行った行為について会社法350条が類10推適用される前提はない。被告会社は被告P3とコンサルティング契約を締結しているにすぎないから、指揮命令関係はなく、また、被告P1らが被告会社に入社する前に行った行為に関し、指揮命令を行っていない。したがって、被告会社が会社法350条類推適用及び使用者責任を根拠に責任を負うことはない。 3 被告P3の競業避止義務違反行為(争点3-1)15(原告の主張)被告P3は、平成27年1月に原告の正社員となるに際し、平成26年12月5日付けで管理職誓約書を提出し、同誓約書をもって守秘義務と共に退職後3年間は地域的範囲の限定なく競業避止義務を遵守することを誓約したことから(甲37の3)、被告P3は原告に対し、原告を退職した平成31年2月1日以後3年間の競20業避止義務を負った。被告P3は、競業避止義務を負担する責任に見合う月額113万円(年収1356万円)の給与を得ていた。なお、仮に上記管理職誓約書に基づく競業避止義務特約が無効と判断される場合も、競業行為が使用者の営業秘密情報を利用するなど社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様で、使用者の顧客を奪取したり、従業員を引き抜いたりしたとみられるような場合等は、別途不法25行為責任を構成する。 20被告P3は、被告会社の実質的支配者(代表取締役)として、令和 、使用者の顧客を奪取したり、従業員を引き抜いたりしたとみられるような場合等は、別途不法25行為責任を構成する。 20被告P3は、被告会社の実質的支配者(代表取締役)として、令和元年5月8日以降、原告の取引先であるダイハツに原告の元派遣技術者11名を派遣して、JICT及び原告と競合する事業を行った。なお、被告P3は上記競業行為を行うための準備行為として、JICT又は原告在職中のP4及び被告P1らと意を通じ、別紙1ないし5記載の行為を行った。同行為はいずれも、その計画性、秘匿性、期間5等のいずれの点においても悪質かつ大規模で背信性が極めて高く、自由競争の範囲を逸脱した態様で行われた。 (被告P3の主張)争う。 被告P3は、平成24年、他の人材派遣会社のノウハウを原告に提供することの10見合いとして年収1100万円(月額約92万円)を約束されて原告に入社したから、平成30年時点で月額113万円の給与を得ることは特別な待遇ではない。被告P3に対し、他の人材派遣会社のノウハウ等の提供を受ける見合いとして給与を支払いながら、その給与支給を理由に3年間も他の人材派遣会社への移籍を制限するのは不合理かつ背信的である。また、原告の競合他社は約10万社存在し、人材15派遣業において会社間の従業員の異動は日常的である。原告においても他の人材派遣会社から従業員を引き抜いていながら、他の人材派遣会社への移籍を3年間も禁止するのは不合理かつ背信的であり、職業選択の自由を過度に制限するものであるから、原告の競業避止義務特約は無効である。 被告P3は、被告会社の代表取締役ではなく、実質的支配者でもない。また、被20告P3は、JICT及び原告と競合する事業を行っておらず、当該競業行為を行うための準備行為として、別紙1ない ある。 被告P3は、被告会社の代表取締役ではなく、実質的支配者でもない。また、被20告P3は、JICT及び原告と競合する事業を行っておらず、当該競業行為を行うための準備行為として、別紙1ないし5記載の行為を行ったことはない。これらの行為が悪質かつ大規模で背信性が極めて高く、自由競争の範囲を逸脱した態様で行われたことは争う。 4 被告P3の責任(争点3-2)25(原告の主張) 21別紙1ないし5記載の競業準備行為は、いずれも被告P3が令和元年5月8日以降にダイハツで行った競業行為に向けられたものであり、それらは一体として競業避止義務特約に違反する行為として、被告P3は債務不履行責任及び不法行為責任を負担する。競業避止義務特約が無効と判断される場合も、退職直後の競業行為であり、その競業準備行為の背信性の高さに鑑みると、被告P3は原告に対し別途不5法行為責任に基づく損害賠償責任を負う。 (被告P3の主張)争う。 5 争点4(原告の損害及びその額)(原告の主張)10(1) 被告P3及び被告P1らの故意又は過失による誠実義務違反行為(主位的請求原因)又は被告P3の競業避止義務違反行為(予備的請求原因)により、別紙5のとおり、令和元年5月から令和2年9月末までに少なくとも11名の派遣技術者が、原告エンジニア事業部から被告に引き抜かれ、原告は、以下のとおり、同人らが原告に在籍していたら得られたであろう粗利益相当額合計4404万575515円の損害を被った。 ア 平成31年4月30日付け退職の6名について平成31年3月派遣料 月間経費(給与等) 月間粗利①P14626,343356,829269,514②P15589,843434,0 名について平成31年3月派遣料 月間経費(給与等) 月間粗利①P14626,343356,829269,514②P15589,843434,026155,81720③P16568,426529,23039,196④P17618,406305,802312,604⑤P18632,939332,995299,944⑥P19602,663341,906260,757月間粗利合計133万7832円25逸失利益2675万6640円 22=133万7832円×20か月(令和元年5月~令和2年12月)イ 令和元年6月14日付け退職の1名について令和元年5月派遣料 月間経費(給与等) 月間粗利⑦P21728,974527,174201,800月間粗利合計20万1800円5逸失利益373万3300円=20万1800円×18.5か月(令和元年6月15日~令和2年12月)ウ 令和元年6月30日付け退職の1名について令和元年5月派遣料 月間経費(給与等) 月間粗利⑧P22749,063507,428 241,63510月間粗利合計24万1635円逸失利益434万9430円=24万1635円×18か月(令和元年7 月~令和2年12月)エ 令和元年9月30日付け退職の3 名について令和元年8月派遣料月間経費(給与等) 月間粗利15⑨P23571,631 393,8861 和元年9月30日付け退職の3 名について令和元年8月派遣料月間経費(給与等) 月間粗利15⑨P23571,631 393,886177,745⑩P24551,438324,308227,130⑪P25698,401489,517208,884月間粗利合計61万3759円逸失利益920万6385円20=61万3759円×15か月(令和元年10月~令和2年12月)(2) 弁護士費用原告は、本件訴訟の遂行を代理人に依頼した。被告P3及び被告P1らの誠実義務違反行為又は被告P3の競業避止義務違反行為と相当因果関係のある弁護士費用は536万2586円である。 25(被告P3の主張) 23争う。 被告P3及び被告P1らによる原告の派遣技術者の引抜行為は存在しない。むしろ、原告の待遇に不満を持っていた派遣技術者らが自発的に退職したにすぎない。 原告主張の粗利額は不確定である。派遣技術者による有給休暇取得の有無で損害額が変動しており、また、昇給査定が認められて給与が上がる一方、派遣料が上が5らない場合もあるから、粗利額は原告主張の額より減少する可能性がある。 (被告P1らの主張)争う。 被告P1らによる派遣技術者の引抜行為は存在しない。原告を既に退職していた者や原告を退職する意思を示していた者について、原告において将来にわたって勤10務することは想定されないから、損害は発生しない。 また、企業は、継続的に事業を営む組織体としての性格を有するから、退職者が生じたことによる損害は、これを補充するまでの間において得られるべきであった利益を は想定されないから、損害は発生しない。 また、企業は、継続的に事業を営む組織体としての性格を有するから、退職者が生じたことによる損害は、これを補充するまでの間において得られるべきであった利益をもとに算定すべきであり、粗利を前提に損害を算出すべきではなく、営業利益の算定に当たっては、販売管理費、広告宣伝費、教育研修費等が控除されるべき15である。加えて、派遣技術者が退職した場合、原告としては他の派遣技術者を補充するなどの自助努力により損害を最小限にとどめることができるから、損害が発生するとしても、その期間は最大3か月である。 (被告会社の主張)争う。 20原告が引き抜かれたと主張する派遣技術者は,いずれも原告を自主的に退職して被告会社に入社した者であるから、被告P3及び被告P1らの行為と原告の損害との間に相当因果関係はない。 第4 当裁判所の判断1 認定事実25前記前提事実、後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 24(1) 被告P3は、株式会社フォーラムエンジニアリング、株式会社フルキャストテクノロジー等の勤務を経て、平成23年10月、原告に入社した。このとき、被告P3とともに株式会社フルキャストテクノロジーに管理職として勤務していたP26、P27、P28、P29他数名の者が原告に管理職として採用された。なお、別紙1の第1の≪JICTからの転籍者9名≫及び≪原告からの転籍者14名≫の5各欄記載の者のうち11名は、被告P3が株式会社フォーラムエンジニアリングに勤務していた際の同僚又は部下であった者である。(丙6)(2) 被告P3は、平成30年9月まで原告のエンジニア事業部(製造業の技術派遣事業を行う。)の事業部長であったところ、新たな昇給システムを導入したほか 際の同僚又は部下であった者である。(丙6)(2) 被告P3は、平成30年9月まで原告のエンジニア事業部(製造業の技術派遣事業を行う。)の事業部長であったところ、新たな昇給システムを導入したほか、平成28年頃から業務委託(請負)方式により専門技術者を派遣する契約の受注を10行うことを提案してきた。(甲98、丙2、6)(3) 平成30年10月1日、原告のエンジニア事業部の一部が分社化する形で、原告の子会社であるJICTが設立された。JICTは、情報通信技術に関するコンサルティング、自動車の車体及び部品の製造並びに検査業務の請負等を目的とする会社である。被告P3は、JICTが原告のエンジニア事業部と協力して業務委15託契約の受注を目標とする旨説明され、同年9月にJICTへの出向を命じられた。 (甲3、98、丙6)JICTの代表取締役はP30、執行役員社長は被告P3、執行役員はP6であり、雇用開発センターの技術管理担当シニアマネージャーとして、P4(名古屋)及び被告P1(大阪)が配属された。(甲28の1)20また、同時期における原告のエンジニア事業部の統括本部長はP30、本部長はP31、事業部長はP26、副事業部長はP27であり、総合職一般の関西ブロックに被告P2が配属されていた。(甲28の2)(4) 被告P3は、JICTのみで取引先と業務委託契約(ないし請負契約)を締結する状態にはなく、自身のJICTへの出向が降格人事であり、事業に関する自25己の提案が原告において受け入れられないものと考えた。そこで、被告P3は、J 25ICTを退職して別会社を立ち上げ、新規事業を行う構想を練るようになり、平成30年11月から、P6を介して、以前から被告P3と知り合いであったミマキ電子部品株式会社の代表者P3 、J 25ICTを退職して別会社を立ち上げ、新規事業を行う構想を練るようになり、平成30年11月から、P6を介して、以前から被告P3と知り合いであったミマキ電子部品株式会社の代表者P32などの外部者に連絡を取るなどしていた。(甲86の1~86の3、丙6、被告P3本人)(5) 被告P3は、平成30年12月頃には、P26やP27など、かつての勤務5先在職中からの同僚、部下に対し、前記(4)の構想を伝えた。そして、それらの者が、同月頃から平成31年1月頃に、P33など別紙1の第1の《原告からの転籍勧誘者13名》欄記載の者のうち数名の従業員に対し、現状より高額な収入を提案して被告P3が立ち上げる新会社に移籍する話を持ち掛けるということがあった。(甲97、98、証人P31、同P33)10また、平成30年12月20日、被告P3、P6、P26、P32は、モンプロの代表者P5及び税理士P34らと、神奈川県藤沢市内で面談し、P32がモンプロに2億円を出資して、ICT事業と製造業を柱にして被告P3及びP6が舵取りを行い、新たな技術人材派遣事業を行う構想を伝え、企業の契約を取るためには1月から営業する必要があり、急いでいる旨の説明をした。P5は困惑し、可否につ15いては留保した。同日、前記の者らは、東京都内の弁護士事務所を訪れ、原告との競業避止義務に関する訴訟リスク等について相談し、弁護士からアドバイスを受けた。(甲18の11、20の2、乙B8、証人P6、被告会社代表者本人、被告P3本人)(6) 被告P3は、平成31年1月8日、別紙1の第1の≪JICTからの転籍者209名≫欄及び≪原告からの転籍者14名≫欄各記載の者らに対し、体調不良もありJICTを1月末で退社する旨の社内メールを一斉送信した。これに対し、同≪J 、別紙1の第1の≪JICTからの転籍者209名≫欄及び≪原告からの転籍者14名≫欄各記載の者らに対し、体調不良もありJICTを1月末で退社する旨の社内メールを一斉送信した。これに対し、同≪JICTからの転籍者9名≫欄の④、⑥、⑧、⑨、及び、≪原告からの転籍者14名≫欄の①、②、⑬、⑭各記載の者から、被告P3が他社に移籍するのであればご一緒する旨の連絡があった(これらの者は、被告P3が原告に入社する際に被告P325とともに株式会社フルキャストテクノロジーから原告に移籍した者である。)。(丙 266、被告P3本人、弁論の全趣旨)同月23日、被告P1らとP4は、ダイハツのP11理事や人材開発室のP12らと新年会を行った。この新年会には、ダイハツのパワートレーン制御開発部HV制御開発室のP13も参加していた。また、この新年会が行われることは被告P3も承知していた。新年会に先立ち、ダイハツ側参加者との個別の面談も行われた。 5(甲33、86の2、87の4、被告P1本人)(7) モンプロのP5は、平成31年1月初め頃、P32の出資を受け入れ、被告P3らから提案された新規の事業を行うことを承諾する決断をし、同月29日のモンプロの臨時株主総会において、商号を「日本エンジニアリングソリューションズ株式会社」(被告会社の現商号)に変更すること、定款の変更、普通株式390株10の募集株式発行等が決議された。また、同日付けの取締役会において、募集株式390株を全てP32に割り当てること、P5が引き続き代表取締役を務めることが決議された。(乙B8、被告代表者本人)(8) 被告P1は、平成31年1月29日午前10時51分、JICTから貸与されたパソコン内に保存されていた「ダイハツ組織図2018.xls」、「2017 営業交通1 。(乙B8、被告代表者本人)(8) 被告P1は、平成31年1月29日午前10時51分、JICTから貸与されたパソコン内に保存されていた「ダイハツ組織図2018.xls」、「2017 営業交通15費明細+(新:原紙).xls」、「2018 営業数字一覧.xlsx」の3点のファイルを、自身の長男のメールアドレス宛てに送信し、同日11時02分、JICTから貸与されたパソコン内に保存されていた上記3点の電子ファイルに加えて「経歴書(P7).xls」の4点の電子ファイルを、自身の長男のメールアドレス宛てに、本文に「仕事書類、少しの間置いといて」と記載の上で送信した。(甲33)20(9) 被告P1は、原告からダイハツに派遣されている派遣技術者の源泉徴収票のデータを送信するよう、名古屋の雇用開発センターで勤務していたP4から指示を受けた。被告P1は、被告P2に源泉徴収票等のデータの送信を指示し、被告P2は、原告の大阪雇用開発センター内において、原告から貸与されていた業務用パソコンを操作して、人材管理システムサーバーにアクセスし、原告のエンジニア事25業部がダイハツに派遣している技術者74名全員の氏名、自宅住所、平成30年度 27の年収が記載された源泉徴収票のデータである「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」と題するファイルを同業務用パソコンに転送して複製を作成した。また、被告P2は、大阪雇用開発センターで派遣する派遣社員675名分の氏名、住所、電話番号、派遣先連絡先、業務内容、派遣単価、給与などの派遣管理情報が記載されたファイルを同業務用パソコンに転送して複製を作成し、その後、同派遣管理情報から、原5告からダイハツに派遣する技術者52名を抽出したファイルを作成し、「ダイハツデータ.xlsx」とファイル名を付した上、 ルを同業務用パソコンに転送して複製を作成し、その後、同派遣管理情報から、原5告からダイハツに派遣する技術者52名を抽出したファイルを作成し、「ダイハツデータ.xlsx」とファイル名を付した上、平成31年1月29日午前11時05分頃、「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」及び「ダイハツデータ.xlsx」と題する2つのファイルをGaroon上のメッセージに添付して、「ダイハツデータ」との件名で被告P1宛てに送信した。被告P1は、同日午前11時31分に「ダイハツデー10タ.xlsx」のファイルを、同日午前11時33分に「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」のファイルを、JICTから貸与されていた業務用パソコンに転送させた上で、同日午前11時35分にこれらのファイルを、Garoon上のメッセージに添付して、P4宛てに送信した。(甲31、33、88~90〔各枝番号〕、乙A3、被告P1本人)15(10) P4は、平成31年1月30日午前8時40分頃、「ダイハツデータ.xlsx」のファイルを、同日午前8時41分に「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」のファイルを、それぞれJICTから貸与されていた業務用パソコンに転送させた上で、同年2月1日午前9時56分に上記の2つのファイルを、P6の個人メールアドレス宛てに「データーお送りいたします」との件名で送信した(甲15、33)。 20同日午後0時32分頃、P6は、P4に対し、「ファイルを確認させていただきました。かなり中身の濃い、重要かつセキュアな情報ですね。P3さんは、良いと言っていましたが、現在、内勤者の退職宣言が集中的に発生していることに対して、P30常務が直系の部下に情報収集を指示しているようです。」、「本ダイハツメンバーの引き抜きとなるとかなり問題視される危険性が ていましたが、現在、内勤者の退職宣言が集中的に発生していることに対して、P30常務が直系の部下に情報収集を指示しているようです。」、「本ダイハツメンバーの引き抜きとなるとかなり問題視される危険性があり…訴訟のリスクも出て25くる」、「エイジェックの離職率が25%ということなので、3割程度の移行を数 28か月単位で3回程度に分けて移行させたほうが…目立たないと思う」などと返信した。(甲15、18の15)(11) 平成31年1月当時、原告の大阪オフィス(大阪雇用開発センターのオフィス)では、パソコンは1人1台貸与制であった。貸与パソコンは、帰宅時には鍵のかかるロッカーに複数台をまとめて保管する運用がなされていたが、ロッカーの5鍵は明確に管理がされていたわけではなく、パソコンを立ち上げるためのアカウントパスワードはすべてのパソコンで同じものを使用していたため、パソコンのハードディスクに保存された情報は誰でも閲覧することができる状態であった。また、原告は、派遣技術者の個人情報や取引先の情報等を人材管理システムで管理していたが、アクセス権限を有する従業員はダウンロードすることができた。アクセス権10限は基本的に所属拠点の情報についてのみ与えられるが、センター長等は他の拠点の情報を参照できる権限が与えられ、事業部長等は全部の情報を参照できる権限が与えられていた。もっとも、被告P2のように労務管理等の業務に従事する者は全国の拠点の情報についてアクセス権限が与えられており、従業員から原告のシステム開発部に連絡すると、その都度アクセス権限を付与してもらうことができた。原15告の情報セキュリティ規程では、インターネット等を利用した社外(社内ネットワーク以外の場所)への社業遂行に関する情報等の送信は原則として禁止されており(2 限を付与してもらうことができた。原15告の情報セキュリティ規程では、インターネット等を利用した社外(社内ネットワーク以外の場所)への社業遂行に関する情報等の送信は原則として禁止されており(29条。なお、Garoonは社内ネットワークに該当する。)、原告の従業員が人材管理システムから取得した情報をUSBメモリで持ち出すことも禁止されていたが、機械にはUSBメモリの使用制限を施していなかった。さらに、原告では20社内のEメールや予定管理などのためにグループウェアソフトGaroonを利用しており、これを利用すると、操作ログに操作の日付、ユーザ名、IPアドレス、メールやメッセージなどのソフト、ソフトの操作内容の記録が残るようになっているが、原告の従業員であれば誰でも使用することができた。(甲9、29、30、90の2、96、97、証人P33、同P35)25(12) 被告P3は、平成31年1月31日付けでJICTを退職した。ただし、 29被告P3は、退職に際し、原告代表者宛ての退職届を提出していることから、原告との雇用関係はこの時まで継続しており、同日付けで原告をも退職したものと認められる。(甲37の5、37の6)被告P3は、同年2月1日、被告会社に執行役員専務として入社し、同日付けで被告会社との間で、コンサルティング契約書を締結し、被告会社からコンサルタン5ト料月額130万円(税別)を受領することとなった。(乙B3、B4、B8)同月上旬、被告P3に対し、P4から、被告P3が他社に移籍するのであれば、別紙1の第1の≪JICTからの転籍者9名≫欄の①、③、⑤記載の者(⑤はP4自身)はご一緒する旨の連絡があった。また、被告P1から、被告P2及び別紙1の第1の≪原告からの転籍者14名≫の④記載の者も被告P3とご一緒 JICTからの転籍者9名≫欄の①、③、⑤記載の者(⑤はP4自身)はご一緒する旨の連絡があった。また、被告P1から、被告P2及び別紙1の第1の≪原告からの転籍者14名≫の④記載の者も被告P3とご一緒する旨の連10絡があった。(丙6)別紙1の第1 の≪JICTからの転籍者9名≫欄記載の者については、いずれもかっこ内記載の日にJICTないし原告を退職し、その頃、少なくとも②記載の者以外の8名が被告会社に移籍した(なお、前記②記載の者は、被告P3作成の令和元年5月1日現在の「2019年度組織図」(乙4)には氏名が記載されている。)。 15また、同≪原告からの転籍者14名≫欄記載の者については、いずれもかっこ内記載の日に原告を退職し、⑩記載の者以外の13名が被告会社に移籍した。(甲38~54(各枝番号を含む。)、弁論の全趣旨)(13) P6が代表者となっているP74は、平成30年10月1日、原告の完全子会社である株式会社キャリアパートナーズとの間で顧問契約を締結したが、平成2031年2月28日付けで同契約は合意解除された。(甲8、乙11、弁論の全趣旨)P6は、平成31年1月29日付けで被告会社の取締役に就任する一方、同年2月1日から同月28日まで、P74は被告会社との間でコンサルティング契約を締結していた。(乙1、弁論の全趣旨)P6は、「ダイハツデータ.xlsx」及び「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」のデ25ータを基に、被告P3から指示されて、原告のエンジニア事業部からダイハツに派 30遣されていた派遣技術者の氏名、社歴、給与情報等に加えて源泉徴収票の年収を記載したデータベースを作成した。(甲91の2、証人P6)(14) 平成31年2月5日、ダイハツの人材開発室のP12が、被告P2に対し、メールで の氏名、社歴、給与情報等に加えて源泉徴収票の年収を記載したデータベースを作成した。(甲91の2、証人P6)(14) 平成31年2月5日、ダイハツの人材開発室のP12が、被告P2に対し、メールで労働者派遣基本契約書のひな形を送信して、必要な関係書類を教示し、被告P2は、これをP6に転送した。P6は、被告P3やP5と連絡を取って、ダイ5ハツと被告会社との契約書作成に向けて対応するとともに、同月6日、被告P3及びP5に対し、ダイハツが被告会社との銀行口座を開設する旨を伝えた。被告P2は、同月8日、P6宛てのメールで、「ご返送ありがとうございます。現在の状況はP1さんより随時説明を頂いております。今後、様々な重要な問題に直面すると思います。」などと述べた。被告会社とダイハツとの間で、同年3月1日付けで労10働者派遣基本契約書が締結されたが、同月6日、ダイハツのP12から被告P1らに対し、メールで、労働者派遣基本契約書の記載に関する訂正、差替えの申入れがあり、被告P2がメールをP6に転送して、P6及びP5がこれに対応した。被告会社は、同月、ダイハツのパワートレーン制御開発部HV制御開発室の新規派遣案件を受注した。P6は、被告会社における内勤者の給与体系や単年度キャッシュフ15ローのシミュレーションを作成した。(争いのない事実、甲14の1、18の17ないし18の22、19の5、19の6、乙12、乙B1)(15) 被告P2は、平成31年3月15日と同月23日に、「ダイハツ工業社員一覧.xlsx」、「社員データ.zip」、「ダイハツデータ.xlsx,version:1」、「ダイハツ組織図2019.xls」等のファイルを人材管理システムサーバーからダウンロード20した。(甲14の2)(16) P6及びP4は、平成31年3月20日 lsx,version:1」、「ダイハツ組織図2019.xls」等のファイルを人材管理システムサーバーからダウンロード20した。(甲14の2)(16) P6及びP4は、平成31年3月20日頃、被告P1らを介して集められた別紙5の第2の2の①ないし⑥記載の者らに対し、被告会社の説明会及び懇親会を行い、待遇面で原告よりも多少良くなる旨の話をし、入社の内諾を得た。P6は、その旨をP36(被告P3の弟)に報告した。(甲18の19、99の7、乙B625の8、B6の9、証人P6) 31(17) 原告は、被告P1らによる引抜行為が行われているのではないかと考え、平成31年4月以降、派遣技術者に対する面談を行ったり、給与の増額を試みたりした。原告が派遣技術者と面談を行った際、原告がエンジニア事業から撤退するらしいとのうわさを聞いたと述べる者がいた。(甲99の1、乙8、乙B6〔各枝番号〕、証人P31)5同月25日、ダイハツ担当者と被告会社のP6及びP4が打合せを行い、原告を退職して被告会社に入社を希望する者が多くなった件について話し合った。その中で、P6は、原告の方針や実情に不満の人も、被告会社の事業コンセプトに賛同して自主的に原告を退職して被告会社に入社する人が多くなっている、原告の退職率も25%程度と高くなっている、原告は、エンジニア事業部を拡充する旨をダイハ10ツに話したそうだが、エンジニア事業を拡充できる人もエンジニアもほとんどいない状況である、などと述べたところ、ダイハツ担当者は、法的に問題ないことは理解するものの、原告との関係で道義的な問題は否めないので、退職予定者が、同月30日に原告を退職したことが確認できてから契約手続を進め、連休明けからのスタートになること等を説明した。(乙8)15(18) 、原告との関係で道義的な問題は否めないので、退職予定者が、同月30日に原告を退職したことが確認できてから契約手続を進め、連休明けからのスタートになること等を説明した。(乙8)15(18) 別紙5の第2の2の①ないし⑥記載の者は、それぞれ各項記載の年月日に原告に入社し、退職願を提出して、平成31年4月30日に退職した。これらの者は、いずれも被告会社の従業員となり、ダイハツ(パワートレーン制御開発部ユニット制御開発室)に派遣されている。(争いのない事実、甲71~76〔各枝番号〕、乙B6の2、B6の7~B6の9)20同⑦ないし⑪記載の者は、それぞれ各項記載の年月日に原告に入社し、退職した。 これらの者は、いずれも被告会社に在籍し、ダイハツの派遣技術者として勤務している。(争いのない事実、甲77~81〔各枝番号〕、乙B6の3~B6の5)(19) 被告会社は、代表取締役がP5であり、被告P3は平成31年5月から執行役員社長を名乗っていたものの代表権がなく、取締役としても登記されていなか25った。また、被告会社の銀行口座はP5が管理しており、P5の承諾なく資金を運 32用することはできなかった。一方、被告会社の取締役会は毎月開催されており、被告P3は出席し、大株主であるP32とともに、被告会社の事業の運営について主導的に意見を述べていたが、P5としては、被告P3の事業計画が具体的に説明されているとはいえないと考えていた。P5は、令和元年6月、被告会社の事業計画が稚拙でありキャッシュフローへの懸念があるとして代表取締役の辞任を申し出た5ところ、P32が慰留し、被告P3とP6には被告会社から外れてもらうことに賛同した。(乙B5、B8、丙6、被告会社代表者本人、被告P3本人)(20) 被告P3は令和元年7月に被告会社を 出た5ところ、P32が慰留し、被告P3とP6には被告会社から外れてもらうことに賛同した。(乙B5、B8、丙6、被告会社代表者本人、被告P3本人)(20) 被告P3は令和元年7月に被告会社を退職し、P6は同年8月に被告会社を退職(取締役を退任)した。(証人P6)また、遅くとも令和4年7月時点で、別紙1の第1の≪JICTからの転籍者910名≫欄の①、③、⑤、⑧記載の者及び≪原告からの転籍者14名≫欄の①、④、⑤記載の者は、いずれも被告会社を退職している。(弁論の全趣旨)2 争点に対する判断(1) 争点1(被告P3及び被告P1らによる誠実義務違反行為の存否)について-第1事件及び第2事件の主位的請求原因関係15ア 争点1-1(被告P3による管理職勧誘行為)について前記1認定の事実によれば、被告P3は、JICTの執行役員社長の地位にあった平成30年11月から、JICTを退職して別会社を立ち上げ新規事業を行う構想を実現すべく準備を始め、その中で、同月から平成31年1月にかけて、別紙1の第1の≪JICTからの転籍者9名≫及び≪原告からの転籍者14名≫の各欄記20載の者ら(ただし、≪JICTからの転籍者9名≫欄の②記載の者は、それ以前に退職しており、これに含まれない。)に対し、直接又は間接に上記の構想を伝えて移籍を示唆したことがうかがえるほか、同≪原告からの転籍勧誘者13名≫欄記載の者のうち数名の原告従業員が、現状より高額な収入を提案して被告P3が立ち上げる新会社に移籍する話を間接的に持ち掛けられたこと、同≪JICTからの転籍25者9名≫及び≪原告からの転籍者14名≫の各欄記載の者らが、いずれもかっこ内 33記載の日にJICTないし原告を退職し、そのうち少なくとも21名が被告会社に移籍したことが認め 転籍25者9名≫及び≪原告からの転籍者14名≫の各欄記載の者らが、いずれもかっこ内 33記載の日にJICTないし原告を退職し、そのうち少なくとも21名が被告会社に移籍したことが認められる(前記1(4)ないし(6)、(12))。一方、被告P3が、これらの示唆や持ち掛けを超えて、明確に被告会社への移籍を勧誘した具体的事実を認めるに足りる証拠はなく、直接又は間接に、転籍の意思のない者に対して積極的に被告会社への移籍を勧誘した事実や、虚偽を述べて勧誘行為を行った事実も認め5られない。また、同≪JICTからの転籍者9名≫及び≪原告からの転籍者14名≫の各欄記載の者のうち11名は被告P3のかつての勤務先における同僚又は部下であり、被告P3が積極的に勧誘しなかったとしても自主的に去就をともにする蓋然性が高かったこと、退職した時期は平成31年2月、4月、令和元年5月、6月、7月などとばらばらであり、JICT又は原告の管理職が一時に大量に退職した状10況ではないこと(同(1)、(6))が認められる。なお、退職時期については、原告の離職率を踏まえ、時期をずらすべきと考えていたことがうかがえるP6とP4のやり取りがあるが(同(10))、被告P3が、実際に、退職時期を調整するように働きかけていたと認めるに足りる証拠はない。 以上の事情からすると、被告P3が、平成31年1月までJICTの執行役員社15長の地位にあるにもかかわらず、原告に内密に被告会社の体制構築を進めていたとの事情があったとしても、原告又はJICTの管理職に対し、社会的相当性を逸脱し背信的な方法で被告会社への勧誘行為が行われたとまでは認められない。 したがって、被告P3がJICT及び原告に対する誠実義務に違反する管理職勧誘行為を行った旨の原告の主張は採用できない。 逸脱し背信的な方法で被告会社への勧誘行為が行われたとまでは認められない。 したがって、被告P3がJICT及び原告に対する誠実義務に違反する管理職勧誘行為を行った旨の原告の主張は採用できない。 20イ 争点1-2(被告P3による会社支配行為)について前記1認定の事実によれば、被告P3は、平成31年2月1日に被告会社に執行役員専務の肩書で就職し、被告会社との間でコンサルティング契約を締結し、コンサルタント料月額130万円(税別)を受領することとなったこと、被告P3は、令和元年5月からは執行役員社長を名乗ったが、被告会社の代表権はなく、取締役25としても登記されておらず、被告会社の銀行口座は代表者であるP5が管理してお 34り、P5の承諾なく資金を運用することはできなかったこと、被告P3は、被告会社の取締役会に出席し、事業の運営について主導的に意見を述べていたものの、同年6月、P5が被告P3らによる事業執行に不満があり代表取締役の辞任を申し出たところ、P32が慰留し、被告P3は令和元年7月に被告会社を退職したことが、それぞれ認められる(前記1(12)、(19)、(20))。 5これらの事実からすると、原告が別紙2の第2において主張する事情(原告に悟られないように被告会社の体制を整え、虚偽の理由を述べて原告を退職し、被告会社の執行役員社長と名乗り、高額な報酬を得て経営に関与した等の事情)があるとしても、被告P3が被告会社の事業を意のままに運営していたと評価することは到底できない。 10したがって、被告P3が被告会社を実質的に支配した旨の原告の主張は認められない。 ウ 争点1-3(被告P3、被告P1ら及びP4による守秘義務違反行為)について前記1認定の事実によれば、被告P1が、平成31年1月29日、JICT 質的に支配した旨の原告の主張は認められない。 ウ 争点1-3(被告P3、被告P1ら及びP4による守秘義務違反行為)について前記1認定の事実によれば、被告P1が、平成31年1月29日、JICTから15貸与されたパソコン内に保存されていた「ダイハツ組織図2018.xls」及び「2018 営業数字一覧.xlsx」を含む4点のファイルを自身の長男のメールアドレス宛てに送信したこと、被告P1が、P4から指示を受けて被告P2に源泉徴収票等のデータの送信を指示し、被告P2は、原告から貸与されていた業務用パソコンを操作して、人材管理システムサーバーにアクセスし、「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」と題20するファイル(エンジニア事業部がダイハツに派遣している技術者74名全員の氏名、自宅住所、平成30年度の年収が記載された源泉徴収票のデータのファイル)及び「ダイハツデータ.xlsx」と題するファイル(原告の大阪雇用開発センターで派遣する派遣社員675名分の氏名、住所、電話番号、派遣先連絡先、業務内容、派遣単価、給与などの派遣管理情報が記載されたファイルから、ダイハツに派遣する25技術者52名を抽出したファイル)を作成し、同日、これらのファイルを、Gar 35oonを介して被告P1宛てに送信し、被告P1は、これらのファイルを、Garoonを介してP4宛てに送信し、P4は、同年2月1日、被告P1から送信されたファイルをP6の個人メールアドレス宛てに送信したことが認められる。また、同日、P6は、P4に対し、「ファイルを確認させていただきました。かなり中身の濃い、重要かつセキュアな情報ですね。P3さんは、良いと言っていましたが、5現在…P30常務が直系の部下に情報収集を指示しているようです。」などと返信し、その頃、被告P3 きました。かなり中身の濃い、重要かつセキュアな情報ですね。P3さんは、良いと言っていましたが、5現在…P30常務が直系の部下に情報収集を指示しているようです。」などと返信し、その頃、被告P3から指示されて、「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」及び「ダイハツデータ.xlsx」を基に、原告のエンジニア事業部からダイハツに派遣されていた派遣技術者の氏名、社歴、給与情報等に加えて源泉徴収票の年収を記載したデータベースを作成したことが認められるから、少なくとも、これら2つのファイルの10作成や送信に関しては被告P3が主導的な役割を果たしていたと認められる。(前記1(8)ないし(10)、(13))一方、「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」及び「ダイハツデータ.xlsx」の2つのファイルは一定のアクセス制限がされていたことが認められるが、アクセス権限は、基本的に所属拠点の情報については与えられ、従業員から原告のシステム開発15部に連絡すると、その都度アクセス権限を付与してもらうことができ、USBメモリの機械的な使用制限は施されていなかった(前記1(11))。また、これらのファイルに保存された情報は、原告からダイハツに派遣されている技術者の氏名、住所、収入、配属先等であるところ、転職の勧誘を行う場合に当該情報を直接技術者らから取得することは容易であり、そのこと自体に何らかの制限が課されているわけで20はない。 「ダイハツ組織図2018.xls」及び「2018 営業数字一覧.xlsx」については、JICTから貸与されたパソコン内に保存されていた情報であるが、原告の大阪オフィスでは、パソコンを立ち上げるためのアカウントパスワードはすべてのパソコンで同じものを使用していたため、パソコンのハードディスクに保存された情報は誰で に保存されていた情報であるが、原告の大阪オフィスでは、パソコンを立ち上げるためのアカウントパスワードはすべてのパソコンで同じものを使用していたため、パソコンのハードディスクに保存された情報は誰で25も閲覧することができる状態であって(前記1(11))、これらのファイルの情報に 36アクセス制限がされていた事実を認めるに足りない。 これらの事情を総合すると、前記各ファイルの情報は、原告の事業に関する秘密といえるほどに厳格に管理されていたとはいえないし、その開示が原告にとって特段不利益になるともいえないから、従業員らによる情報の取得行為が、一部情報セキュリティ規程に違反するとしても、雇用契約に付随する誠実義務に違反するとか、5信義則上の義務に違反して不法行為を構成するとまで認めることはできない。また、この結論は、被告P1ら及びP4が原告を退職するに当たり、機密保持に関する誓約書(甲5の3、6の3、7の3)において機密保持を誓約していたとしても左右されない。 したがって、被告P3、被告P1ら及びP4に守秘義務違反行為による誠実義務10違反の債務不履行又は不法行為が成立する旨の原告の主張は採用できない。 エ 争点1-4(被告P3、被告P1ら及びP4による被告会社としての営業行為)について(ア) 前記1認定の事実によれば、被告P3は、JICTに出向後、業務委託(ないし請負)方式により取引先に専門技術者を派遣する契約の受注を行うとの自己の15提案は原告において採用されないものと考え、JICTを退職して別会社を立ち上げ、新規事業を行う構想を練るようになったこと、そのため、平成30年11月頃から新会社設立の準備を開始し、前勤務先在職中からの同僚、部下に自己の構想を伝え、原告との競業避止義務に関する訴訟リスクについて弁護 事業を行う構想を練るようになったこと、そのため、平成30年11月頃から新会社設立の準備を開始し、前勤務先在職中からの同僚、部下に自己の構想を伝え、原告との競業避止義務に関する訴訟リスクについて弁護士にも相談したことが、それぞれ認められる。(前記1(2)ないし(6))20そして、被告P3が承知の上で、平成31年1月23日、被告P1ら及びP4がダイハツの理事やパワートレーン制御開発部HV制御開発室の者に接触したこと、同月29日から同年2月1日にかけて、被告P1ら及びP4が、原告からダイハツに派遣されている技術者の派遣管理情報を入手してP6に送信し(前記ウのとおり)、P6は、被告P3から指示されて、原告からダイハツに派遣されていた技術者に関25するデータベースを作成したこと、同月5日、ダイハツの人材開発室のP12が、 37被告P2に労働派遣基本契約書のひな形等を送信し、同月6日、ダイハツが被告会社との銀行口座を開設することがP6から被告P3及びP5に伝えられたこと、ダイハツと被告会社との労働派遣基本契約書については、P6とP5が対応して同年3月1日付けで締結されたこと、結果として、被告会社が、同月、ダイハツのパワートレーン制御開発部HV制御開発室の新規案件を受注したことが、それぞれ認め5られる。(前記1(6)、(9)、(10)、(13)、(14))(イ) 被告会社は平成31年1月29日付けでモンプロから商号変更され、定款変更等が行われており、被告P1及びP4は同年2月28日付けで、被告P2は同年4月30日付けで、それぞれ原告を退職しているところ、前記(ア)の経緯からすると、被告P1ら及びP4は、原告又はJICTに在籍中から、被告会社がダイハツ10と新規に労働者派遣事業を始めるに当たり、ダイハツ側と接触し、被告会 告を退職しているところ、前記(ア)の経緯からすると、被告P1ら及びP4は、原告又はJICTに在籍中から、被告会社がダイハツ10と新規に労働者派遣事業を始めるに当たり、ダイハツ側と接触し、被告会社がダイハツから新規案件を受注できるよう、契約締結に向けた準備行為を行っていたものと認められる。また、被告P3は、同年1月31日付けでJICT及び原告を退職し、翌日、被告会社に移籍しているが、退職前から被告P1ら及びP4に新会社を設立して新規事業を立ち上げる構想を伝え、直接又は間接に連絡を取って協力を得15ており、被告会社に移籍後も、被告P1ら、P4又はP6に指示を出すなどして、被告会社がダイハツとの新規の労働者派遣事業を開始できるよう行動していたものと認められる。 そして、原告はダイハツへの技術者の派遣を事業の一つとして行っており、被告会社がダイハツと労働者派遣基本契約を締結し、新規案件を受注して、被告会社か20ら技術者を派遣することは、原告に対する競業行為となる上、もともと原告がダイハツの同種の業務に関する技術者派遣を受注し、同様の部署に技術者を派遣していたのであるから(甲10、99〔各枝番号〕)、被告会社が当該新規案件を受注しなければ、原告がこれを受注した蓋然性が相当程度高かったことは明らかである。 (ウ) 被用者は、使用者の正当な利益を労使間の信頼関係に反するような態様で25侵害してはならないとの信義則上の義務(誠実義務)を負うものと解されるところ、 38複数の被用者が互いに連絡を取りながら、短期間に使用者の取引先と競業会社との間の労働者派遣基本契約を締結させ、競業会社に新規案件を受注させる行為を行った場合において、これらの被用者のうち一部の者が前記一連の行為の途中で退職し、競業会社に就職したとの事情があるとし 会社との間の労働者派遣基本契約を締結させ、競業会社に新規案件を受注させる行為を行った場合において、これらの被用者のうち一部の者が前記一連の行為の途中で退職し、競業会社に就職したとの事情があるとしても、当該退職者が前記誠実義務を免れるものではないと解すべきである。 5本件につき、被告P1らが原告又はJICTに在籍中、ダイハツ側と接触して、原告の競業会社である被告会社がダイハツから新規案件を受注できるよう準備行為を行うことは、被告会社のための営業活動を行うことにほかならず、原告に対する雇用契約に付随する誠実義務又は信義則上の誠実義務に違反し、原告に対し、債務不履行責任又は不法行為責任を負うというべきである。 10また、被告P3は、JICT及び原告退職前から被告P1ら及びP4に構想を伝えて協力関係を持ち、退職後も引き続き直接又は間接に連絡を取り、被告P1ら及びP4の前記準備行為につき指示を出すなどしたのであるから、被告会社(モンプロとの商号であった時期を含む。)のための営業活動を行ったといえる。被告P3は、平成31年1月31日付けでJICT及び原告を退職しているものの、退職前15から退職直後まで継続して行われた前記(ア)の行為は一連のものといえるから、前記(ア)に記載した行為全部について、原告に対する被用者として負う信義則上の誠実義務に違反するものと解される。 オ 争点1-5(被告P3及び被告P1らによる派遣技術者引抜行為)について(ア) 前記1認定のとおり、別紙5の第2の①ないし⑥記載の者は、平成31年320月20日頃、被告P1らを介して被告会社の説明会等に集められて参加し、P6及びP4から、待遇面で原告よりも多少良くなる旨の説明を受け、入社の内諾をしたこと、同①ないし⑥記載の者は、平成31年4月30日に原告を退職し P1らを介して被告会社の説明会等に集められて参加し、P6及びP4から、待遇面で原告よりも多少良くなる旨の説明を受け、入社の内諾をしたこと、同①ないし⑥記載の者は、平成31年4月30日に原告を退職し、被告の従業員となってダイハツのパワートレーン制御開発部ユニット制御開発室に派遣されており、同⑦ないし⑪記載の者も、各項記載の年月日に原告を退職し、被告会社の25従業員となってダイハツに派遣されていること、これらの者には、原告に10年以 39上勤務した者が数人含まれていることが、それぞれ認められる。 (前記1(16)、(18))一方、原告の派遣技術者に対し、退職の意思がない者に積極的な移籍の勧誘が行われた事実は認められないほか、原告の派遣技術者の中で、原告がエンジニア事業から撤退するらしいとのうわさを聞いた者がいることは認められるものの(前記1(17))、その出所は不明であり、被告P1らが、これらの者に対し、原告のエンジ5ニア事業部が縮小撤退する旨の虚偽の情報を流布した事実までは認められない。また、P6及びP4が、平成31年4月25日、ダイハツ担当者らに対し、原告の方針や実情に不満の人も自主的に原告を退職して被告会社に入社することが多くなっている、原告の退職率は25%程度と高くなっている、原告は、エンジニア事業を拡充できる人もエンジニアもほとんどいない状況であるなどと述べたことが認めら10れるが(前記1(17))、これはP6らの認識をダイハツ側に伝えたにすぎず、原告に対する誹謗中傷とは認められず、原告の技術者の引抜行為を正当化するために発言されたものでもないことは明らかである。さらに、別紙5の第2の①ないし⑥記載の者は、原告より良い条件を示されたが、それが虚偽の内容とはいえないし(乙B6の2、B6の7ないしB6の9)、 るために発言されたものでもないことは明らかである。さらに、別紙5の第2の①ないし⑥記載の者は、原告より良い条件を示されたが、それが虚偽の内容とはいえないし(乙B6の2、B6の7ないしB6の9)、同⑦ないし⑪記載の者のうち、⑨記載の者15については具体的な勧誘行為(平成30年12月に被告P1が新しい会社への移籍を誘った。)が指摘されているが(証人P33)、社会的相当性の範囲を逸脱したものとまでは認められず、後記(4)イのとおり因果関係も認め難い。それ以外の者については具体的な勧誘行為が明らかでなく、自主的に原告を退職し被告会社に移籍した可能性も十分に考えられる。 20以上の事情を総合すると、原告主張の11名の派遣技術者が被告会社に移籍したことが、社会的相当性の範囲を逸脱した背信的な勧誘行為によるとはいえず、被告P3及び被告P1らについて、原告に対する誠実義務違反があるとは認められない。 (イ) なお、被告P1らの、原告が提出する原告の離職率に関する証拠(甲101の1ないし11)を、いずれも、時機に後れた攻撃防御方法として却下することを25求める申立ては、理由がないので採用しない。 40(2) 争点2(被告らの責任)について-第1事件及び第2事件の主位的請求原因関係ア 争点2-1(被告P3及び被告P1らの雇用契約に基づく誠実義務違反)について前記(1)エのとおり、被告P1らは、原告に対する雇用契約に付随する誠実義務又5は信義則上の誠実義務に違反して、原告の競業会社である被告会社のための営業活動を行い、被告会社にダイハツの新規案件を受注させたのであるから、それによる原告の損害について、債務不履行責任ないし不法行為責任を負う。 また、被告P3も、JICT在職中から転職直後にかけて、被告P1らやP4と連絡 にダイハツの新規案件を受注させたのであるから、それによる原告の損害について、債務不履行責任ないし不法行為責任を負う。 また、被告P3も、JICT在職中から転職直後にかけて、被告P1らやP4と連絡を取り、指示を与えるなどして、一連の被告会社のための営業活動を行い、原10告に対する被用者としての信義則上の誠実義務に違反したと認められ、JICTに対する不法行為責任を負う。 そうすると、被告P3及び被告P1らは、被告会社のために営業活動を行い、ダイハツパワートレーン制御開発部HV制御開発室の新規派遣案件を被告会社に受注させたことによる原告の損害につき、共同不法行為に基づき、連帯して損害賠償責15任を負うというべきである。 イ 争点2-2(被告会社の会社法350条又は同条の類推適用、若しくは、民法715条に基づく責任)について前記(1)イのとおり、被告P3は被告会社の代表取締役ではなく、実質的に被告会社を支配していたともいえないから、会社法350条又は同条の類推適用に基づく20被告会社の責任は認められない。 また、被告P1ら及びP4は、被告P3と連絡を取りながら前記アの行為を行ったことが認められるが、被告P3が被告会社の実質的支配者であったとはいえず、被告P1ら及びP4が被告会社に就職したのは平成31年3月以降であって、被告P1らが平成30年12月末までに被告会社の被用者と同視できる状態であったと25も認められないから、これらを前提として、被告P1ら及びP4の行為が、被告P 413の指揮命令に従って被告会社の事業の執行のために行われたものとして被告会社に使用者責任(民法715条)が生じる旨の原告の主張は採用できない。 しかしながら、被告P3、被告P1ら、P4及びP6は、遅くとも平成31年1月から被告会社にダイ のために行われたものとして被告会社に使用者責任(民法715条)が生じる旨の原告の主張は採用できない。 しかしながら、被告P3、被告P1ら、P4及びP6は、遅くとも平成31年1月から被告会社にダイハツの新規案件を受注させるための一連の営業活動を、連絡を取り協力しながら行っていたのであり(前記(1)エ)、被告会社代表者P5もこれ5を承知していた(前記1(7))。そして、被告会社がダイハツの新規案件を受注した同年3月の時点で、少なくとも被告P1は被告会社の従業員(被用者)であったから、同人に関しては被告会社の被用者としてその事業の執行のために、原告に対する誠実義務に違反する営業活動を行ったものということができる。民法715条は報償責任の法意に基づくものであるところ、上記の事実関係からすると、被告P110ら及びP4が営業活動の一部をなしたのは、原告在籍中であるが、被告P1ら及びP4がその利益を帰属させようとしていた先が被告会社であり、被告会社もそれを受容していたことに鑑みれば、同条の適用又は類推適用により、被告会社は、被告P1ら及びP4の上記一連の行為によって原告に生じた損害についても、連帯して賠償する義務を負うものと解することが相当である。 15そうすると、結局、被告P3、被告P1ら及びP4の行為によって原告に生じた損害の全部について、被告会社は、これらの者と連帯して賠償する義務を負うものと認められる。 (3) 争点3(被告P3の競業避止義務違反による責任)について-第2事件の予備的請求原因関係20原告は、被告P3が、被告会社の実質的支配者(代表取締役)として、令和元年5月8日以降、原告の取引先であるダイハツに原告の元派遣技術者11名を派遣して、JICT及び原告と競合する事業を行った、その準備行為として、P4及び被告 の実質的支配者(代表取締役)として、令和元年5月8日以降、原告の取引先であるダイハツに原告の元派遣技術者11名を派遣して、JICT及び原告と競合する事業を行った、その準備行為として、P4及び被告P1らと意を通じ、別紙1ないし5記載の行為を行った、これらの行為はいずれも背信性が極めて高く自由競争の範囲を逸脱した態様で行われたとして、原告に対25する平成26年12月5日付け管理職誓約書(前提事実(1)ウ)に基づく競業避止義 42務違反、又は、不法行為に基づく責任を負う旨主張する。 しかし、前記(1)イのとおり、被告P3が被告会社の実質的支配者であったとは認められない。また、別紙1ないし5記載の行為についても、前記(2)のとおり、労使間の信頼関係に反するような態様で行われたと認められるのは別紙4に係る営業行為のみであり、その他は原告主張の行為が認定できないか、自由競争の範囲を逸脱5するほどの背信性が認められないものである。 そうすると、被告P3の競業避止義務違反があるとしても、前記(2)アで認められる責任の限度を超えるものではないというべきである。 (4) 争点4(原告の損害及びその額)についてア 前記(2)のとおり、被告P3及び被告P1らは、原告に対し、原告又はJIC10Tに在籍中から被告会社のために営業活動を行い、ダイハツのパワートレーン制御開発部HV制御開発室の新規派遣案件を被告会社に受注させた共同不法行為に基づく損害賠償責任が認められ、被告会社にもこれと連帯して損害を賠償すべき責任が認められる。 イ そこで、当該新規派遣案件を被告会社が受注したことによる原告の逸失利益15について検討する。 原告は、平成31年4月30日から令和元年9月30日までに原告を退職して被告会社に就職した別紙5の第2の① 、当該新規派遣案件を被告会社が受注したことによる原告の逸失利益15について検討する。 原告は、平成31年4月30日から令和元年9月30日までに原告を退職して被告会社に就職した別紙5の第2の①ないし⑪記載の11名の者について得られたであろう粗利益相当額が損害である旨主張する。 前記11名の者の1か月分の派遣料、月間経費(給与等)及び月間粗利は、前記20第3の5の(原告の主張)(1)記載のとおりであることが認められ(甲34の1~34の3)、これと異なる金額を認めるに足りる証拠はない。また、前記アの被告会社受注案件は、ダイハツのパワートレーン制御開発部に関するものであるところ、同年5月以降、被告会社からダイハツのパワートレーン制御開発部に派遣されていることが明らかな者は前記11名のうち6名(①ないし⑥記載の者)にすぎず、被25告P3及び被告P1らによる不法行為と相当因果関係があるのは、この6名に係る 43粗利益相当額程度と考えられる(厳密には、この6名が当該受注案件に携わっているかは不明であるが、仮に当該受注案件に派遣された技術者は異なるとしても、粗利益額は同程度であるものと推認できる。なお、別紙5の第2の⑨記載の者も被告会社からダイハツのパワートレーン制御開発部に派遣されているが、同人が原告を退職したのは令和元年9月30日である上、同人の供述内容(乙B6の5、7の5)5からしても被告P3及び被告P1らの営業活動との相当因果関係が認められない。)。 さらに、原告としては、前記アの新規派遣案件を受注できなかったとしても、派遣労働者を採用して他の案件を受注することにより同等の収益を得ることができるのであり、その収益回復に要する期間は3.5か月程度と解するのが相当である(被告会社が概ね平成31年1月半ば頃から新規事業の立 労働者を採用して他の案件を受注することにより同等の収益を得ることができるのであり、その収益回復に要する期間は3.5か月程度と解するのが相当である(被告会社が概ね平成31年1月半ば頃から新規事業の立上げに向けて始動し、令和元10年5月からダイハツの新規案件を開始したと認められることからも(乙B2、B7ないしB9)、このように解される。)。そうすると、被告P3及び被告P1らの不法行為による原告の損害額は468万2412円(=133万7832円×3. 5)と認められるウ また、被告P3及び被告P1らの行為と相当因果関係のある弁護士費用は4156万8241円と認める。 エ したがって、原告の損害賠償の額は、前記イ及びウの合計額である515万0653円となる。 第5 結論以上によれば、原告の請求は、被告P3、被告会社及び被告P1らに対し、共同20不法行為(被告会社の関係では民法715条又は同条類推適用)に基づき、損害賠償金515万0653円及びこれに対する不法行為後の日である令和5年3月31日から支払済みまで年3パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり、その余はいずれも理由がない。 よって、主文のとおり判決する。 25 44大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官5武 宮 英 子 裁判官10阿 波 野 右 起 裁判官15西 尾 太 一 45別紙1 右 起 裁判官15西 尾 太 一 45別紙1 第1 管理職勧誘行為の概要被告P3は、平成30年10月1日以降JICTの執行役員社長の地位にあったにもかかわらず、JICTと同一事業を営む新会社を設立して独立しようと計画し、5その従業員とするためにJICT及び原告の従業員少なくとも下記37名を勧誘し、うち少なくとも≪JICTからの転籍者9名≫及び≪原告からの転籍者14名≫の各欄記載の23名を、平成31年1月29日に実質的な代表取締役となった被告会社に入社させた。 ≪JICTからの転籍者9名≫10① P37(平成31年2月28日退職 甲38〔各枝番号〕)JICT:名古屋教育担当シニアマネージャー被告会社:中部・トヨタ研修センター顧問② P8(平成30年10月31日退職 甲39〔各枝番号〕)JICT:仙台15被告会社:仙台支店システム室③ P38(平成31年2月28日退職 甲40〔各枝番号〕)JICT:名古屋技術担当シニアマネージャー被告会社:中部・トヨタ研修センター顧問④ P39(平成31年2月28日退職 甲41〔各枝番号〕)20JICT:品川技術管理担当シニアマネージャー被告会社:管理本部総務部長⑤ P4(平成31年2月28日退職 甲7〔各枝番号〕)JICT:名古屋技術管理担当シニアマネージャー被告会社:エンジン適合開発委託化推進部部長25中部・トヨタ研修センター長 46⑥ 被告P1(平成31年2月28日退職 甲5〔各枝番号〕)JICT:大阪技術管理担当シニアマネージャー ジン適合開発委託化推進部部長25中部・トヨタ研修センター長 46⑥ 被告P1(平成31年2月28日退職 甲5〔各枝番号〕)JICT:大阪技術管理担当シニアマネージャー被告会社:関西・池田支店長⑦ P40(平成31年2月28日退職 甲42〔各枝番号〕)JICT:仙台技術管理担当マネージャー5被告会社:仙台支店事務マネージャー⑧ P41(平成31年4月30日退職 甲43〔各枝番号〕)JICT:宇都宮技術管理担当顧問被告会社:宇都宮開発センター長⑨ P42(平成31年5月31日退職 甲44〔各枝番号〕)10JICT:福岡技術管理担当顧問被告会社:九州支店顧問≪原告からの転籍者14名≫① P26(平成31年2月28日退職 甲45〔各枝番号〕)原告:エンジニア事業部事業部長15同東日本エリア長被告会社:常務執行役員、エンジニアリング事業部事業部長、東京支店長② P27(平成31年4月15日退職 甲46〔各枝番号〕)原告:エンジニア事業部副事業部長同西日本エリア長20被告会社:エンジニアリング事業部副事業部長、九州支店長③ P43(令和元年7月31日退職 甲47〔各枝番号〕)原告:エンジニア事業部東北ブロック長被告会社:不明④ P28(令和元年5月31日退職 甲48〔各枝番号〕)25原告:メーカー総合統括本部・製造事業部岡崎拠点責任者 47被告会社:不明⑤ P44(平成31年4月12日退職 甲49〔各枝番号〕)原告:エンジニア事業部首都圏第一ブロック長代理 (横浜)被告会社:東京支店営業課長5 47被告会社:不明⑤ P44(平成31年4月12日退職 甲49〔各枝番号〕)原告:エンジニア事業部首都圏第一ブロック長代理 (横浜)被告会社:東京支店営業課長5⑥ 被告P2(平成31年4月30日退職 甲6〔各枝番号〕)原告:エンジニア事業部(大阪)被告会社:関西池田支店業務マネージャー⑦ P29(令和元年6月16日退職 甲50〔各枝番号〕)原告:メーカー総合統括本部・人材開発本部課長代理(大阪)10被告会社:不明⑧ P45(平成31年2月28日退職 甲51〔各枝番号〕)原告:メーカー総合統括本部・コーディネート本部次長(品川)被告会社:管理本部人事部長⑨ P46(平成31年2月28日退職 甲52〔各枝番号〕)15原告:エンジニア事業部首都圏第二ブロック課長(品川)被告会社:不明⑩ P9(令和元年5月31日退職 甲53〔各枝番号〕)原告:エンジニア事業部総合職管理(仙台)20被告会社:不明⑪ P47(平成31年3月31日退職)原告:エンジニア事業部(宇都宮)被告会社:宇都宮開発センター顧問⑫ P48(平成30年11月30日退職 甲54〔各枝番号〕)25原告:メーカー総合統括本部・人材開発本部品川係長代理 48被告会社:東京支店新卒採用課長⑬ P49(平成31年3月31日退職)原告:エンジニア事業部(品川)被告会社:東京支店顧問⑭ P50(平成31年3月31日退職)5原告:エンジニア事業部(品川)被告会社:東京支店顧問≪JICTからの転籍勧誘者1名≫① P10JICT:仙台技術管理担当シニア ⑭ P50(平成31年3月31日退職)5原告:エンジニア事業部(品川)被告会社:東京支店顧問≪JICTからの転籍勧誘者1名≫① P10JICT:仙台技術管理担当シニアマネージャー10≪原告からの転籍勧誘者13名≫① P33原告:メーカー総合統括本部・エンジニア事業部関西ブロック長② P51原告:メーカー総合統括本部・エンジニア事業部九州ブロック長15③ P52原告:メーカー総合統括本部・エンジニア事業部品川拠点責任者④ P53原告:メーカー総合統括本部・キャリアデザイン本部福岡次長⑤ P5420原告:メーカー総合統括本部・コーディネート部大阪次長⑥ P55⑧ P56(平成31年4月30日退職 甲55)原告:エンジニア事業部名古屋拠点責任者⑨ P5725原告:エンジニア事業部大阪拠点主任 49⑩ P58(平成31年3月31日退職 甲56)原告:エンジニア事業部(横浜)⑪ P59⑫ P60原告:エンジニア事業部福岡拠点責任者5⑬ P61原告:エンジニア事業部福岡係長第2 勧誘引抜行為の背信性1 被告P3は、JICTの執行役員社長の地位にあったにもかかわらず、自身と業務委託契約者のP6を除くJICTの従業員10名全員に対して自ら行う競業10事業への参加を勧誘し、うち9名を被告会社に転籍させており、JICTの事業継続を不可能ならしめた。また、被告P3は、原告のエンジニア事業部の主要管理職を勧誘して転籍させており、エンジニア事業部の事業に混乱を生じさせた。被告P3は引き抜いたJICT又は原告の従業員を、転職前と同じ地域で同じ業務に また、被告P3は、原告のエンジニア事業部の主要管理職を勧誘して転籍させており、エンジニア事業部の事業に混乱を生じさせた。被告P3は引き抜いたJICT又は原告の従業員を、転職前と同じ地域で同じ業務に従事させてJICT及び原告の事業ごと移転させることを計画していた。 152 被告P3は、平成24年10月、原告と年収1100万円で業務委託契約を締結して、原告において技術者派遣事業の立上げ責任者として陣頭指揮を執り、その後平成27年1月からは原告と雇用契約を締結して長年にわたってエンジニア事業部本部長として原告技術者派遣事業を統括してきた。人材派遣業から製造請負事業へのシフトを掲げた原告グループの経営方針に従い平成30年10月に設立され20たJICTの執行役員社長として、月額113万円という原告において破格の給与を得て、設計開発及びICT分野の受託事業の立上げ拡大を期待されていた。 このように、被告P3は、JICTの従業員全員及び原告のエンジニア事業部の主要管理職を退職させて競業事業を行うことで、原告グループ全体の事業計画の修正を避けられない状態にすることを認識していたにもかかわらず、原告に内密に転25職勧誘行為に及んでいる。 503 被告P3は、JICTの執行役員社長に就いたにもかかわらず、新会社を設立又は休眠会社等の経営権を得てJICT及び原告の従業員を組織ごと引き抜き、競業事業を行うことを原告に内密に計画し、実行した。被告P3及びP6らは、平成30年11月27日までに、JICT及び原告エンジニア事業部の管理職等に対して勧誘を行い、少なくとも20名からは転籍の内諾を得、事業立ち上げ時の資金5繰りを見ながら平成31年1月以降時期をずらして転籍させることを計画していた。 その後、横浜市、藤沢市、綾瀬市及び大 対して勧誘を行い、少なくとも20名からは転籍の内諾を得、事業立ち上げ時の資金5繰りを見ながら平成31年1月以降時期をずらして転籍させることを計画していた。 その後、横浜市、藤沢市、綾瀬市及び大和市の4拠点において、プリント基板の試作・製造請負業務を中心に事業を行いながら、一般派遣業の認可も取得していたモンプロ(現被告会社)を受け皿会社とすることが計画され、平成31年1月29日に開かれたモンプロの臨時株主総会及び取締役会で訴外P32が390株の追加出10資をすること及び被告会社への商号変更が行われ、被告P3が被告会社を実質的に支配する体制が作られた。 被告P3は、自身や、P4、被告P1及びP41ら営業担当者に関し、平成30年12月20日に競業避止義務の訴訟リスクについて弁護士に相談し、同弁護士から、被告P3らが競業避止義務違反に問われないよう、同義務を潜脱する方法につ15いて助言を受けている。 4 まとめ以上のとおり、被告P3によるJICT及び原告従業員に対する勧誘行為は、社会的相当性を逸脱し背信的な方法で行われたものであることから、被告P3がJICT及び原告に対して負う誠実義務に反するものといえる。 20 51別紙2 第1 会社支配行為の概要被告P3は、平成31年1月31日に退職するまでJICTの執行役員社長であったにもかかわらず、JICTと同一事業を営む会社を支配して独立しようと計画5し、同年1月29日に行われた被告会社の臨時株主総会及び取締役会により、JICT及び原告エンジニア事業部と同一事業を営む被告会社を実質的に支配した。 被告P3の同行為は、JICT及び原告に対して負う競業避止義務に反するものである。 第2 被告会社を支配するに至る経緯及び支配の事実10被告P3は 一事業を営む被告会社を実質的に支配した。 被告P3の同行為は、JICT及び原告に対して負う競業避止義務に反するものである。 第2 被告会社を支配するに至る経緯及び支配の事実10被告P3は、平成31年1月31日付けでの退職を願い出た。退職理由について、JICTと競業行為を行う計画を進めていることを原告に悟られないよう、虚偽の退職理由を説明していた。 被告P3は、モンプロ代表取締役のP5の承諾を取り付け、同月29日、モンプロの臨時株主総会を開催させ、被告会社への商号の変更、定款の変更(取締役会設15置会社への組織変更等)、取締役5名の選任、普通株式390株の募集株式発行等を決議させた。また、同日付け取締役会において、同株式は全て被告P3の支援者であるP32に割り当てられ、同月31日に合計8556万6000円が出資された。 被告P3は被告会社の取締役等に就いてはいないものの、被告会社の実質的な支20配者として、その後の被告会社の経営を執り行った。被告会社の組織図(乙4)でも被告が社長と記載され、被告会社における給与も、登記上の代表取締役であったP5が年収600万円であるのに対して、年収1560万円とされていたように(乙3・2頁目)、被告P3が被告会社を実質的に支配していたことは明らかである。 25 52別紙3 第1 守秘義務違反行為の概要P4及び被告P1らは、JICT又は原告の従業員であったにもかかわらず、被告P3と意を通じ、平成31年1月29日から同月30日にかけて、原告がダイハ5ツに派遣している技術者74名の源泉徴収票及び原告大阪雇用開発センターに所属する派遣社員675名分の派遣管理情報を人事管理システムからダウンロードした上、原告からダイハツに派遣されていた派遣技術者52名につい ている技術者74名の源泉徴収票及び原告大阪雇用開発センターに所属する派遣社員675名分の派遣管理情報を人事管理システムからダウンロードした上、原告からダイハツに派遣されていた派遣技術者52名について、原告の人事管理システムで管理されていた個人情報(氏名、生年月日、現住所、携帯番号、メールアドレス、緊急連絡先、給与振込口座など)、給与情報(基本給、技術手当、資10格手当など各種手当の支給の有無及び金額、賞与など)、営業情報(取引先部署、就業先名称、就業先電話番号、業務内容、請求金額、請求先住所など)が記載されているデータのファイル(「ダイハツデータ.xlsx」)を作成し、源泉徴収票と共に被告会社の取締役であるP6に漏洩させ、被告P1、被告P2及びP6らは同源泉徴収票等を被告会社の経営資料として利用した。 15また、被告P1は、JICTの従業員であったにもかかわらず、被告P3と意を通じ、平成31年1月29日、被告会社の経営資料として用いる目的で「ダイハツ組織図2018.xlsx」及び「2018 営業数字一覧.xlsx」を原告社外に漏洩させた。 第2 守秘義務違反行為の態様1 被告P1ら、P4及びP6による源泉徴収票等の不正取得・漏洩行為の態様20(1)被告P2による取得・送信行為被告P2は、原告大阪雇用開発センター内において、原告から貸与されていた業務用パソコンを操作して、人材管理システムサーバーにアクセスし、原告エンジニア事業部がダイハツ工業に派遣している技術者74名全員の氏名、自宅住所、平成30年度の年収が記載された源泉徴収票のデータである「ダイハツメンバー2018 源25泉.pdf」と題するファイルを同業務用パソコンに転送して複製を作成する方法によ 53り領得し(甲31)、原告大阪雇用開発センターで 収票のデータである「ダイハツメンバー2018 源25泉.pdf」と題するファイルを同業務用パソコンに転送して複製を作成する方法によ 53り領得し(甲31)、原告大阪雇用開発センターで派遣する派遣社員675名分の氏名、住所、電話番号、派遣先連絡先、業務内容、派遣単価、給与などの派遣管理情報が記載されたファイルを同業務用パソコンに転送して複製を作成する方法により領得した(甲90)。その後、被告P2は、同派遣管理情報から原告からダイハツに派遣する技術者52名を抽出したファイルを作成し、「ダイハツデータ.xlsx」5とファイル名を付した上、平成31年1月29日午前11時05分頃、「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」及び「ダイハツデータ.xlsx」と題する2つのファイルを、原告においてGaroon(業務管理インフラとして使用するグループウェアソフト)上のメッセージに添付して、「ダイハツデータ」との件名で被告P1宛てに送信した(甲33)。 10(2) 被告P1による取得・漏洩行為被告P1は、平成31年1月29日午前11時31分に「ダイハツデータ.xlsx」のファイルを、同日午前11時33分に「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」のファイルを、JICTから貸与されていた業務用パソコンに転送させた上で、同日午前11時35分に上記の2つのファイルを、Garoon上のメッセージに添付して、15P4宛てに送信し、もって原告の営業秘密を漏洩開示した(甲33)。 (3)P4及びP6による不正取得・漏洩行為P4は、平成31年1月30日午前8時40分頃、「ダイハツデータ.xlsx」のファイルを、同日午前8時41分に「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」のファイルをJICTから貸与されていた業務用パソコンに転送させた上で 30日午前8時40分頃、「ダイハツデータ.xlsx」のファイルを、同日午前8時41分に「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」のファイルをJICTから貸与されていた業務用パソコンに転送させた上で、同年2月1日午前209時56分に上記の2つのファイルを、P6の個人メールアドレス(P73)宛てに送信し、もって不正に取得した原告の営業秘密を漏洩開示した(甲18の15)。 (4) 「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」「ダイハツデータ.xlsx」の使用ア 専門技能を有する派遣技術者は個々のスキルや経験年数等に応じて年収額が異なるため、原告がダイハツに派遣する技術者の年収額が一覧できる「ダイハツメ25ンバー2018 源泉.pdf」は製造業や小売業における原価表と同等の有用性を有する。 54そのため被告会社は、原告派遣技術者74名の源泉徴収票を入手することによって、ダイハツとの派遣料の価格交渉や、粗利率等を反映した事業計画書を作成することができた。また、「ダイハツデータ.xlsx」は、派遣技術者の勧誘だけでなく、派遣先との派遣料の価格交渉等にも有利になる。 被告会社において、被告P3から指示を受けて、被告P1が「ダイハツメンバー52018 源泉.pdf」「ダイハツデータ.xlsx」の給与情報を利用して今後原告からの引抜きを予定している派遣技術者の具体的な賃金額を入力することで事業収支をシュミレーションできる電子ファイルを作成していた。 イ 「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」「ダイハツデータ.xlsx」の営業秘密性「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」「ダイハツデータ.xlsx」は、原告において不10正競争防止法上の営業秘密と同等の守秘義務の対象となる秘密として管理されていた。すなわち、原告では、社内 ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」「ダイハツデータ.xlsx」は、原告において不10正競争防止法上の営業秘密と同等の守秘義務の対象となる秘密として管理されていた。すなわち、原告では、社内外のメールやスケジュール管理等を行うイントラネットとは別に人材管理システムを自社で構築し、同システムを稼働しているサーバー上に派遣技術者の情報を保管していた(甲29)。被告P2が「ダイハツデータ.xlsx」を作成するためにダウンロードしたファイルは、同サーバー上に保管さ15れていた原告大阪雇用開発センターに所属する派遣社員675名分のファイルであり、「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」のような派遣技術者の源泉徴収票は、同人材管理システムに保管されている、各派遣社員の個人情報データを源泉徴収票の形式で出力した帳票である。同人材管理システムのアクセス権限は全国にある原告の拠点単位に設定されており、原告で派遣技術者を管理する部門に所属する20従業員は、アクセス権限を付与された拠点に所属する派遣技術者の情報しか確認することができなかった。被告P1ら、P4及びP6のうち、ダイハツに関わる大阪雇用開発センターの源泉徴収票を閲覧できたのは、被告P1らだけであった(甲30)。 守秘義務一般については、原告就業規則で遵守事項として第11条(11)にお25いて、懲戒事由として72条(11)において規定され、源泉徴収票記載の個人情 55報は、機密保持に関する誓約書で機密とされる「④当社におけるスタッフ情報」に該当する。被告P3は平成31年1月7日付けで(甲37の7)、被告P2は平成31年3月27日付けで(甲6の3)、被告P1は同年2月1日付けで(甲5の3)、P4は同年1月21日付けで機密保持に関する誓約書(甲7の3)を提出している。 加 日付けで(甲37の7)、被告P2は平成31年3月27日付けで(甲6の3)、被告P1は同年2月1日付けで(甲5の3)、P4は同年1月21日付けで機密保持に関する誓約書(甲7の3)を提出している。 加えて、被告P3は平成26年12月5日付けで管理職誓約書(甲37の3)を提5出して機密情報を漏えいしないことを誓約しており、被告P1も平成26年5月19日付け管理職誓約書(甲5の4)、P4も平成27年8月1日付け管理職誓約書を提出している(甲7の4)。 以上のとおり、原告において、「ダイハツメンバー2018 源泉.pdf」の情報は、不正競争防止法における営業秘密として管理されており、同情報を被告会社に漏洩10させた上、同社の事業計画及び派遣技術者の引抜きに利用した行為は、雇用契約に付随する守秘義務に違反する。 2 被告P1による漏洩行為の態様(1) 被告P1は、平成31年1月29日午前10時51分、JICTから貸与されたパソコン内に保存されていた「ダイハツ組織図2018.xls」「2017 営業交通費明15細+(新:原紙).xls」「2018 営業数字一覧.xlsx」の3点のファイルを、自身の長男P62のメールアドレス宛てに送信し、原告社外に漏洩した(甲33)。 被告P1は、同月29日午前11時02分、JICTから貸与されたパソコン内に保存されていた上記3点の電子ファイルに加えて「経歴書(P7).xls」の4点の電子ファイルを、上記P62のメールアドレス宛てに、本文に「P62 仕事書類、20少しの間置いといて」と記載の上で送信し、原告社外に漏洩した(甲33)。 (2) 漏洩した電子ファイルの内、「ダイハツ組織図2018.xls」(甲10)は、原告エンジニア事業部がダイハツに派遣していた技術者が所属する部署及び各部署の担当者及 社外に漏洩した(甲33)。 (2) 漏洩した電子ファイルの内、「ダイハツ組織図2018.xls」(甲10)は、原告エンジニア事業部がダイハツに派遣していた技術者が所属する部署及び各部署の担当者及び電話番号が記載された資料であり、被告会社は同情報を利用してダイハツの各部署担当者に直接電話営業をかけたり、対象部署に所属する派遣技術者の氏25名を把握して転職を勧誘することができた。「ダイハツ組織図2018.xls」を、被告P 561が業務上の必要性がないにもかかわらず同資料を自身の⾧男のメールアドレス宛てに送信した行為は、雇用契約に付随する守秘義務に違反する。 57別紙4 第1 被告会社としての営業活動の概要P4及び被告P1らは、JICT又は原告の従業員であったにもかかわらず、被告P3と意を通じ、被告会社のために営業活動を行い、ダイハツのパワートレーン5制御開発部HV制御開発室の新規派遣案件を被告会社で受注した。 第2 被告会社としての営業活動の経緯詳細1 ダイハツパワートレーン制御開発部HV制御開発室の新規受託案件の受注被告P3は、JICTの執行役員社長の立場にある者として、被告P1からの情報を元にJICT又は原告エンジニア事業部として同HV制御開発室の新規受託案10件を受注すべく行動しなければならないにもかかわらず、新設予定の競業会社で同案件を受託することを計画し、平成31年1月23日午後4時から、P4、P72、被告P1らが、ダイハツのP11理事、エンジン制御開発室P63室長、同室P13C・E、同室P64主任と面談し、被告会社を利用した競業事業の計画を説明し、その後新年会と称した接待を行い(原告の接待費を使用、甲33)、ダイハツが被15告会社に対して口座を開設すること、及び被告 ・E、同室P64主任と面談し、被告会社を利用した競業事業の計画を説明し、その後新年会と称した接待を行い(原告の接待費を使用、甲33)、ダイハツが被15告会社に対して口座を開設すること、及び被告会社がHV制御開発室の新規受託業務を受注することの内諾を得た。 2 被告会社のダイハツ口座開設及び派遣基本契約の締結平成31年2月5日にダイハツ人材開発室のP12から被告P2に対して、ダイハツが被告会社に対して新たに口座を開設することが伝えられると共に、被告会社20とダイハツとの間で締結する派遣基本契約書が送られた。そして、遅くとも同年2月11日までに訴外P4らとダイハツのP11理事らとの間で、被告会社がHV制御開発室の新規派遣案件を受注する計画について、具体的に人数や派遣料単価等まで取り決められた。同年3月6日、P12から被告P1らに対して、同年2月6日に送信した派遣基本契約書のひな形に誤字があったとの連絡がなされ(甲18の2252)、訴外P6及び訴外P5において共有されて必要事項の記載等された結果、同 58月1日付け派遣基本契約書(乙B1)が作成された。 被告P1らは、JICT又は原告在職中において両社に対して競業避止義務を負うところ、同年2月5日から同年3月9日にかけて、ダイハツ人材開発室のP12との間で、被告会社としての口座開設及び派遣基本契約書の締結行為を進めた行為は同競業避止義務に違反する行為と言わざるを得ない。 53 HV制御開発室との業務委託契約締結平成31年3月11日にはダイハツが新設するHV制御開発室のP13から被告P2に対して同開発室の業務委託契約書のひな形が送られ、被告P2は既にJICTを退職したP4の個人メールアドレス宛てに同契約書ひな形を転送し、被告会社において正式に同HV制御開発室の P13から被告P2に対して同開発室の業務委託契約書のひな形が送られ、被告P2は既にJICTを退職したP4の個人メールアドレス宛てに同契約書ひな形を転送し、被告会社において正式に同HV制御開発室の業務を受託するに至った。 10被告P2は、原告在職中において原告に対して競業避止義務を負うところ、同月11日以降にダイハツHV制御開発室のP13との間で、被告会社としての業務委託契約書の締結行為を進めた行為は、同競業避止義務に違反する行為と言わざるを得ない。 15 59別紙5 第1 派遣技術者引抜行為の概要被告P1らは、JICT又は原告の従業員であったにもかかわらず、被告P3と意を通じ、平成31年2月以降、原告がダイハツに派遣している技術者を勧誘し、5そのうち少なくとも11名を被告会社に入社させた。 第2 派遣技術者引抜行為の経緯1 被告P3は、被告会社立上げ時は売上もなく派遣技術者の中途採用費用もままならない状態であったことから、被告P1らにJICT又は原告在職中に派遣技術者を引き抜かせることにより、上記採用費用をかけることなくダイハツから受注10したHV制御開発室の新規派遣案件に派遣する技術者を採用した。 被告P1は、被告P3の競業事業計画が具体化してきた平成30年12月頃から、原告がダイハツに派遣している技術者に対して、新設する競業会社に転職するように勧誘行為を開始した。給与体系については、平成31年1月29日及び同月30日にかけて不正に漏洩した派遣技術者74名の源泉徴収票を基にP6が作成したと15考えられる一方、被告P1は同年3月12日までに原告派遣技術者に対して勧誘行為を行い、一定の人数から転職意向の感触を得ていた。 被告P1らは、その在職中の平成31年2月から、原告派遣技術者のP 5考えられる一方、被告P1は同年3月12日までに原告派遣技術者に対して勧誘行為を行い、一定の人数から転職意向の感触を得ていた。 被告P1らは、その在職中の平成31年2月から、原告派遣技術者のP16を通じて原告派遣技術者の勧誘を行い(乙B6の9・2及び7頁など)、原告のエンジニア事業部が縮小撤退するとの虚偽の情報を流し(乙B6の8・3頁など)、原告20在職中の平成31年2月及び3月にかけて原告派遣技術者に対して被告会社への転職勧誘を行っていた。 2 平成31年3月19日の派遣技術者面談原告在職中の被告P2は、同日、被告P1、P6と共に、ダイハツ池田第1工場パワートレイン制御開発部に原告から派遣されていた技術者らと面談し、被告会社25の会社説明会及び懇親会を開催し、下記6名の原告派遣技術者から被告会社への転 60職同意を得た(甲18の19)。被告会社が同日引き抜いた6名は、いずれも平成31年4月末に原告を退職した後、令和元年5月8日から被告会社からダイハツHV制御開発室に派遣されて勤務を始めたと考えられるところ、P14、P15及びP16は平成17年に原告に入社後、約14年間原告からダイハツに派遣されていた技術者で、年齢だけでなく経験年数や能力においても原告がダイハツに派遣して5いる技術者の中でも中心人物であった。 ①P14 平成17年4月11日入社 平成31年4月16日退職願提出パワートレーン制御開発部ユニット制御開発室②P15 平成17年3月14日入社 平成31年4月16日退職願提出パワートレーン制御開発部ユニット制御開発室10③P16 平成17年7月4日入社 平成31年4月18日退職願提出パワートレーン制御開発部ユニット制御開発室④P17 平成28年4月1日入社 平成31年4月18日退 ユニット制御開発室10③P16 平成17年7月4日入社 平成31年4月18日退職願提出パワートレーン制御開発部ユニット制御開発室④P17 平成28年4月1日入社 平成31年4月18日退職願提出パワートレーン制御開発部ユニット制御開発室⑤P18 平成29年3月1日入社 平成31年4月22日退職願提出15パワートレーン制御開発部ユニット制御開発室⑥P19 平成29年4月1日入社 平成31年4月22日退職願提出パワートレーン制御開発部ユニット制御開発室3 平成31年4月18日の派遣技術者面談被告P2は同年3月28日から有給休暇消化に入ったが(甲68)、その間の同20年4月18日、ダイハツ本社池田第2工場のロビーで被告P1と合流して、ダイハツ人材開発室に赴いて被告会社の営業活動を行った。被告P2は、同年3月頃、原告からダイハツに派遣されていたP20に対し、「原告がエンジニア事業を撤退する。」と告げた。 原告は、被告P1らが競業会社で原告の派遣技術者を引き抜こうとしているもの25と考え、同年4月18日及び22日にダイハツに対して被告P1らの競業行為に協 61力しないよう申入れを行った。これに対し、P6及びP4は被告P3から指示を受け、同月25日、ダイハツの人材開発室P65及びP12と面談し(乙8)、自らの派遣技術者の引抜行為を正当化しようと、原告に対する誹謗中傷を行った。 4 令和元年6月14日以降の引抜き令和元年5月以降も原告がダイハツに派遣していた技術者のうち、少なくとも下5記5名が原告から被告会社に転籍し、その後もダイハツで派遣技術者として勤務している。 ⑦ P21 平成16年4月26日入社 令和元年6月14日退職開発コネクト本部QCTユニット品質室勤務⑧ P22 平成1 ら被告会社に転籍し、その後もダイハツで派遣技術者として勤務している。 ⑦ P21 平成16年4月26日入社 令和元年6月14日退職開発コネクト本部QCTユニット品質室勤務⑧ P22 平成19年4月23日入社 令和元年6月30日退職10開発コネクト本部QCTユニット品質室勤務⑨ P23 平成29年1月23日入社 令和元年9月30日退職パワートレーン制御開発部ユニット制御開発室勤務⑩ P24 平成28年4月4日入社 令和元年9月30日退職エンジン開発部エンジン評価解析室勤務15⑪ P25 平成27年9月24日入社 令和元年9月30日退職エンジン開発部エンジン評価解析室勤務上記の者の他にも、同時期に退職したP66、P67、P68、P69(以上4名について令和元年6月末原告退職)、P70、P71(以上3名について同年9月末原告退職)の7名も、被告会社に引き抜かれている可能性が高い。 20

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