平成18(行ケ)10123 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年2月15日 知的財産高等裁判所 2部 判決 請求棄却
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判決文本文35,158 文字)

- 1 -判決言渡平成19年2月15日平成18年(行ケ)第10123号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成19年2月8日判決原告独立行政法人情報通信研究機構訴訟代理人弁理士福田賢三同福田伸一同福田武通同加藤恭介同本田昭雄被告特許庁長官中嶋誠指定代理人小林紀和同羽鳥賢一同立川功同内山進主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求特許庁が不服2003-16065号事件について,平成18年1月30日にした審決を取り消す。 第2事案の概要原告は,後記特許の出願をしたところ,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判請求をしたが,特許庁が請求不成立の審決をしたことから,その- 2 -取消しを求めた事案である。 第3当事者の主張 請求の原因(1)特許庁における手続の経緯原告は,平成14年3月6日,名称を「マイクロストリップアンテナ」とする発明につき,特許出願(請求項の数3。以下「本願」という。甲3)をし,平成15年6月23日には特許請求の範囲等を変更する補正(第1次補正。甲6「旧補正」という)をしたが,拒絶査定(甲7)を受けたため,。 。 平成15年8月21日,これに対する不服の審判請求をした(甲8。 )上記請求は,特許庁において不服2003-16065号事件として審理され,その中で原告は,平成15年9月22日付けで特許請求の範囲を変更する補正(第2次補正。請求項の数は2。甲9,10。以下「本件補正」という)をしたが,特許庁は,平成18年1月30日,本件補正を却下した。 上「本件審判の請求は,成り立たない」との審決をし,その謄本は平成,。 18年2月20日原告に 甲9,10。以下「本件補正」という)をしたが,特許庁は,平成18年1月30日,本件補正を却下した。 上「本件審判の請求は,成り立たない」との審決をし,その謄本は平成,。 18年2月20日原告に送達された。 (2)発明の内容ア本件補正前で旧補正時のもの本願は,旧補正後も請求項の数が3から成るが,その内容は,次のとお。 りである(このうち請求項1に記載された発明を以下「本願発明」という甲6。下線部は旧補正により加入し,かつその後の本件補正で削除した部分)「請求項1】柔軟性の誘電体基板と,【該誘電体基板の下面に設けた柔軟性で導電性のグランド板と,該誘電体基板の上面に設け,前記グランド板より面積の小さい柔軟性で導電性のマイクロストリップパッチとより構成する180度近くまで曲げて使用できることを特徴としたマイクロストリップアンテナ。 - 3 -【請求項2】前記誘電体基板を生地とし,前記グランド板と前記マイクロストリップパッチを導電性布とすることを特徴とした請求項1記載のマイクロストリップアンテナ。 【請求項3】前記誘電体基板をフェルト生地とし,前記グランド板と前記マイクロストリップパッチを導電性布とすることを特徴とした請求項1記載のマイクロストリップアンテナ」。 イ本件補正後のもの本件補正後の請求項の数は2から成るが,その内容は,次のとおりである(このうち本件補正後の請求項1に記載された発明を以下「本願補正発明」という。甲9,10。下線部は本件補正部分。 )「請求項1】生地で形成した柔軟性の誘電体基板と,【該誘電体基板の下面に設けた導電性布で形成した柔軟性で導電性のグランド板と,該誘電体基板の上面に設け,前記グランド板より面積の小さい導電性布で形成した柔軟性で導電性のマイクロストリップパッチとより構成することを特徴と けた導電性布で形成した柔軟性で導電性のグランド板と,該誘電体基板の上面に設け,前記グランド板より面積の小さい導電性布で形成した柔軟性で導電性のマイクロストリップパッチとより構成することを特徴としたマイクロストリップアンテナ。 【請求項2】フェルト生地で形成した柔軟性の誘電体基板と,該誘電体基板の下面に設けた導電性布で形成した柔軟性で導電性のグランド板と,該誘電体基板の上面に設け,前記グランド板より面積の小さい導電性布で形成した柔軟性で導電性のマイクロストリップパッチとより構成することを特徴としたマイクロストリップアンテナ」。 (3)審決の内容ア審決の内容は,別添審決写しのとおりである。 その要点は,①本件補正は平成15年法律第47号による改正前の特許。 ,法(以下「法」という)17条の2第4項の規定に違反するものであり- 4 -②また本願補正発明は下記刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたから独立して特許を受けることができないので,本件補正は却下すべきものである。また,③旧補正時の発明である本願発明は,下記刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである,等としたものである。 記実願昭62-154741号(実開平1-59311号)の願書に添付された明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(甲2。以下「引用例」といい,ここに記載された発明を「引用発明」という)。 イなお審決は,上記判断に当たり,引用発明の内容,及び本願補正発明との一致点及び相違点を次のとおり認定した。 <引用発明の内容>「ガラス繊維を織った布で強化した柔軟性プラスチックプリント基板1と,該柔軟性プラスチック基板1の上面に印刷されたマイクロストリップパッチにより 及び相違点を次のとおり認定した。 <引用発明の内容>「ガラス繊維を織った布で強化した柔軟性プラスチックプリント基板1と,該柔軟性プラスチック基板1の上面に印刷されたマイクロストリップパッチにより構成されるマイクロストリップアンテナ」。 <一致点>「柔軟性の基板と,該基板の上面に設けたマイクロストリップパッチとより構成したマイクロストリップアンテナ」である点。 。 <相違点1>本願補正発明の基板が「生地で形成した柔軟性の誘電体基板」であ,るのに対し,引用発明の基板は,柔軟性ではあるが「ガラス繊維を織,った布で強化した柔軟性プラスチックプリント基板」である点。 <相違点2>本願補正発明は,誘電体基板の下面にグランド板を設け,且つマイク- 5 -ロストリップパッチをグランド板より面積の小さいものとしているのに対して,引用発明は,その点について明示しない点。 <相違点3>本願補正発明は,グランド板,及びマイクロストリップパッチを「導電性布で形成した柔軟性で導電性」のものとしているのに対して,引用発明は,柔軟性プラスチック基板1の上面にアンテナ素子(本願補正発明のマイクロストリップパッチに相当)を印刷すると明示するに止まる点。 (4)審決の取消事由しかしながら,審決は,①本件補正は法17条の2第4項の規定に違反すると誤って判断し(取消事由1,②本願補正発明の進歩性についての判断)を誤り(取消事由2,また③本件補正前の発明である本願発明の進歩性に)ついての判断も誤った(取消事由3)ものであるから,違法として取り消されるべきである。 ア取消事由1(本件補正は法17条の2第4項の規定に違反するとの判断の誤り)本件補正は,法17条の2第4項の規定に違反するものではない。 すなわち本願補正発明は,材質の如何を問わず180度近くまで ア取消事由1(本件補正は法17条の2第4項の規定に違反するとの判断の誤り)本件補正は,法17条の2第4項の規定に違反するものではない。 すなわち本願補正発明は,材質の如何を問わず180度近くまで曲げて使用できるという本願発明から,その構成要件である誘電体基板,グランド板,マイクロストリップパッチの材質を,一読して明らかな「生地(導電性布」に特定し「生地で形成した柔軟性の誘電体基板「導電性布で),」,形成した柔軟性で導電性のグランド板「導電性布で形成した柔軟性で導」,電性のマイクロストリップパッチ」というように表現を変更することにより「180度近くまで曲げて使用できる」という機能は当然含まれたもの,としつつ,その材質を限定したものである。 そして,上記「生地で形成した柔軟性の誘電体基板「導電性布で形成」,- 6 -した柔軟性で導電性のグランド板「導電性布で形成した柔軟性で導電性」,のマイクロストリップパッチ」によって構成される「マイクロストリップアンテナ」が180度近くまで曲げて使用できることは自明のことであるから,もはや「180度近くまで曲げて使用できる」という作用的な表現を請求項中に積極的に記載する必然性がなくなったため,これを削除したものである。 つまり,本願補正発明は,本願発明から「180度近くまで曲げて使用できる」との限定を削除したものではない。したがって,本件補正は特許請求の範囲を拡張するものではなく「請求項の削除(法17条の2第4,」項第1号)又は「特許請求の範囲の減縮(法17条の2第4項第2号)に」当たるものであるから,これを法17条の2第4項の規定に違反するものとした審決は誤りである。 イ取消事由2(本願補正発明の独立特許要件の判断の誤り)審決は,引用例(甲2)には「ガラス繊維を織っ 」当たるものであるから,これを法17条の2第4項の規定に違反するものとした審決は誤りである。 イ取消事由2(本願補正発明の独立特許要件の判断の誤り)審決は,引用例(甲2)には「ガラス繊維を織った布で強化した柔軟「性プラスチックプリント基板1と,該柔軟性プラスチック基板1の上面に印刷されたマイクロストリップパッチにより構成されるマイクロストリップアンテナ」の発明…が開示されているものと認められる(4頁4行。 。」~7行)と誤って認定し,この誤った認定に基づき,本願補正発明と引用発明とを対比し,いわゆる進歩性判断を行い,誤った結論に至ったものである。 (ア)引用発明の認定の誤り①引用発明の平面プリントアンテナは「強度を増すために必要に応,じガラス繊維又はこれを織った布で強化した例えばフッ素系又はスチレン系の柔軟性プラスチックプリント基板1上にアンテナ素子2や給電線3を印刷するとともに当該給電線3端に導電連結した端末器用接続端子としての差込みジャック4を取付けた(引用例(甲2)4頁」- 7 -10行~15行)ものであるから,プラスチックプリント基板と,その上に印刷されたアンテナ素子等とから構成されるものである。 ②しかるに,上記アンテナ素子等は,通常,銅等の金属膜をエッチング等により形成するものであるから,このことからすれば,引用発明のアンテナは,プラスチックプリント基板上に,エッチング等の技術を用いて金属膜を印刷し,それをアンテナ素子とした構成を採用したものであると認められる。そして,引用発明は,そのアンテナの基本的構成が上記の通りであることを前提としつつ,例えば「パッチ型」といったようなアンテナ形態を採りうるものとしているのであるから(引用例(甲2)5頁11行,ここにいう「パッチ型」とは,柔軟)性プラスチッ が上記の通りであることを前提としつつ,例えば「パッチ型」といったようなアンテナ形態を採りうるものとしているのであるから(引用例(甲2)5頁11行,ここにいう「パッチ型」とは,柔軟)性プラスチックプリント基板1上に,小片としてのアンテナ素子2を継ぎ当てる,すなわちパッチを当てるタイプのアンテナを意味するものであり,これにマイクロストリップアンテナに固有の平面状導電地板(本願補正発明にいうグランド板)が存在しないことは明白である。 すなわち,上記「パッチ型」とは下記のようなものであると理解される。 記③このアンテナは,誘電体基板に金属箔をエッチングして製作したものである。誘電体基板はアンテナ性能に直接関わるものではなく,帯状のアンテナ素子のための構造部材の役割を果たす。上記図に「アンテナ素子」と記した構成が「パッチ」である。 - 8 -④また,引用発明は,プラスチックプリント基板の薄型化を図り,その結果,平面プリントアンテナ自体の薄型化を図ろうとするものであるから,誘電体基板を厚手に形成することが必要条件であるマイクロストリップアンテナと認定することはできない。 ⑤以上によれば,引用発明の平面プリントアンテナを,本願補正発明が対象とするような,誘電体基板,マイクロストリップパッチ,グランド板の3つの構成の何れが欠けてもアンテナとして機能せず,かつ,誘電体基板を厚手に形成することが必要条件である「マイクロストリップアンテナ」であると審決が認定したのは誤りである。 ⑥被告は,パッチ型アンテナとはマイクロストリップアンテナのみを意味する旨主張する。 しかし,甲19(電子情報通信学会2004年ソサイエティ大会講演論文集(平成16年9月8日発行)の抜粋)には「プリント基,板上に形成したUWBモノポールアンテナ」が開示されており,ま 主張する。 しかし,甲19(電子情報通信学会2004年ソサイエティ大会講演論文集(平成16年9月8日発行)の抜粋)には「プリント基,板上に形成したUWBモノポールアンテナ」が開示されており,また甲20(富士通株式会社ホームページ抜粋)には,甲19に開示されたアンテナに関する製品情報が記載されている。これらのアンテナは,プリント基板上に導電箔の面状放射体を備えるようにしたものに相当するから,マイクロストリップアンテナとは異なった形式による「パッチ型アンテナ」といえる。 さらに,甲21(特開2004-320356号公報)には,パッチ型の平面アンテナとして,マイクロストリップアンテナ以外の平面アンテナであって,パッチ状の放射導体を備える形式のものが開示されている。 被告は,甲21は本願補正発明の出願日以降に公知になったものであると指摘する。しかし,甲21は平成15年4月15日に出願されたものであるから,それ以前に,パッチ状の放射導体なる用語がマイクロストリップアンテナ以外の形式の平面アンテナを技術的- 9 -に説明するために普通に用いられていたものである。 また被告は,引用例(甲2)に「前記平面プリントアンテナ5は,パッチ型,スロット型,コプレーナー型,ライン型,サスペンデッドライン給電型その他の各種プリントアンテナの形態をとる(5。」頁11行~14行)との記載があることを指摘するが,上記記載はアンテナの形式,名称を羅列しただけのものであって,ここに技術的裏付けや各アンテナ間での明確な棲み分けは存在しない。 (イ)一致点の認定の誤り審決は,本願補正発明と引用発明とは「柔軟性の基板と,該基板の上面に設けたマイクロストリップパッチとより構成したマイクロストリップアンテナ」である点で一致すると認定している(4頁12行~14。 行。 決は,本願補正発明と引用発明とは「柔軟性の基板と,該基板の上面に設けたマイクロストリップパッチとより構成したマイクロストリップアンテナ」である点で一致すると認定している(4頁12行~14。 行。 )しかし,上記(ア)で述べたように,引用発明に開示されるアンテナは本願補正発明が意図する「マイクロストリップアンテナ」ではないし,同アンテナには本願補正発明における「マイクロストリップパッチ」に相当する構成は存在しない。引用発明に開示されるアンテナは,プラスチック基板上にアンテナ素子を印刷したものに過ぎない。 (ウ)相違点3の認定の誤り審決は,相違点3の認定に際し,引用発明において柔軟性プラスチック基板1の上面に印刷したアンテナ素子を,本願補正発明のマイクロストリップパッチに相当すると認定している(4頁24行~27行。 )しかし,引用発明のアンテナはマイクロストリップアンテナではなく,そこに存在するアンテナ素子は,本願補正発明の「マイクロストリップパッチ」には相当しない。 すなわちマイクロストリップアンテナは「誘電体基板「マイクロ,」,ストリップパッチ「グランド板」の3要素があって初めて電波を放」,射する装置(アンテナ素子)となるものである。これに対して,引用発- 10 -明のアンテナは,プラスチック基板上にアンテナ素子(電波を放射する装置)を印刷し,その構成に基づいて電波放射することが可能な装置であって,マイクロストリップアンテナとは異なる。しかも,引用発明のプラスチック基板の上面に印刷されるアンテナ素子は常識的に金属膜であり,本願補正発明のマイクロストリップパッチのような「導電性布」ではない。 (エ)相違点1の判断の誤り①審決は「引用例発明はマイクロストリップアンテナなのであるから…」とする(4頁下4行)が,この 本願補正発明のマイクロストリップパッチのような「導電性布」ではない。 (エ)相違点1の判断の誤り①審決は「引用例発明はマイクロストリップアンテナなのであるから…」とする(4頁下4行)が,この認定がそもそも誤りであることは上記(ア)に述べたとおりである。 ②審決は「…(イ)引用例発明の柔軟性基板はガラス繊維を織った布で強化されるのであるから,当該基板全体の一部は織った布(本願補正発明の生地に相当)で形成される…」とする(4頁下1行~5頁2行。 )しかし,柔軟性を有するプラスチック基板をガラス繊維を織った布で強化したものとした場合,当該基板の柔軟性は損なわれ,本願補正発明の「生地で形成した誘電体基板」のような「180度近くまで,曲げても使用できるような誘電体基板」を得ることはできない。 なお上記(ア)で述べたように,本願補正発明が対象とするマイクロストリップアンテナは,誘電体基板,グランド板,マイクロストリップパッチという要素が一体となることによりアンテナとして機能するものである。このうち誘電体基板の厚さも重要なポイントであり,これが薄すぎると漏れ電界が発生しなくなり電波放射することができなくなる。したがって,仮に引用発明において「180度近,くまで曲げても使用できる」ようにすべくガラス繊維を織った布で強化した柔軟性のプラスチック基板を極端に薄くした場合,このプラスチック基板を金属箔のマイクロストリップパッチと金属箔のグ- 11 -ランド板でサンドイッチしてマイクロストリップアンテナの構成にしても所望周波数の電波放射は行えないことになる。 しかも,本願補正発明の誘電体基板は「一部」ではなくて「全,,部」が「生地で形成」されているものである。 ③審決は「…(ロ)アンテナの基板を布で構成することが周知であ,る(この点 とになる。 しかも,本願補正発明の誘電体基板は「一部」ではなくて「全,,部」が「生地で形成」されているものである。 ③審決は「…(ロ)アンテナの基板を布で構成することが周知であ,る(この点,例えば特開平10-277015号公報の第3頁第4欄末行~第4頁第5欄第3行目に「このアンテナ24は,例えば,不織布に銀メッキを施した可撓性材料からなり,バンド25に沿わせて貼り付けられている。バンド25は,布或いはナイロン等の繊維材料などから出来ていて,被験者の体の一部に巻き付け可能になっている」と記載されている(ハ)アンテナの誘電体層を非金属性の。 。),織物または編み物で形成することが周知である(この点例えば国際公開第99/44257号パンフレット(1999)の第11頁第24~26行の記載参照。よって,…引用例発明の「ガラス繊維を織っ)た布で強化した柔軟性プラスチックプリント基板」を「生地で形成,した柔軟性の誘電体基板」とすることに格別の創意工夫を要するとは言えない」とする(5頁2行~14行。 。 )しかし(ロ)で引用されている特開平10-277015号公報,には,不織布に銀メッキを施して形成したアンテナが開示されているにすぎない。このアンテナは銀メッキ部分がアンテナとして機能するものであり,本願補正発明が意図するマイクロストリップアンテナではない。このアンテナは,通常は金属棒で作る線状アンテナを平面型アンテナとするために,帯状にしたものである。そして,帯状アンテナを銀メッキで形成するための構造部材,すなわち「台」として不,織布を用いるものであって,この部分はアンテナ性能に直接関わるものではない。この点,その部分の厚さがアンテナ性能に直接関係するマイクロストリップアンテナの「誘電体基板」とは明らかに相違する。 - 布を用いるものであって,この部分はアンテナ性能に直接関わるものではない。この点,その部分の厚さがアンテナ性能に直接関係するマイクロストリップアンテナの「誘電体基板」とは明らかに相違する。 - 12 -また(ハ)で引用されている国際公開第99/44257号パン,フレット(1999)には,導電体による線状アンテナをアンテナ素子とし,この線状アンテナを蛇行させ,可撓性とするためにシリコーンエラストマのような可撓性誘電体で上記線状アンテナを覆っており,さらにそれを非金属製の織物または編み物で覆っているのであって,マイクロストリップアンテナの誘電体基板に関する技術の開示とはなっていない。なお,この国際公開パンフレットは,本願に対する平成15年4月14日付け拒絶理由通知書(甲4)で引用された特表2002-505537号公報(甲1)に対応するものである。 ④被告は,乙2(国際公開第01/39326号パンフレット)に開示された周知技術について主張するが,乙2と本願補正発明ではアンテナの構造が相違するから,被告の上記主張は失当である。すなわち,乙2では第1層と第2層がネックで電気的に接続されているが,本願補正発明のマイクロストリップアンテナは,そもそもマイクロストリップパッチとグランド板が電気的に絶縁されている。また,給電点に関し,乙2では第1図や第3図に示すように第2層のうち第1層と電気的に接続されている辺に対して垂直な辺に給電しているが,本願補正発明はそのようなものではない。 (オ)相違点2の判断の誤り審決は,3件の先行文献を例示して「マイクロストリップアンテナが「誘電体基板の下面にグランド板を設け,且つグランド板より面積の小さいマイクロストリップパッチを誘電体基板の上面に形成する」ことは周知…である。そして,引用例発明はマイクロストリ トリップアンテナが「誘電体基板の下面にグランド板を設け,且つグランド板より面積の小さいマイクロストリップパッチを誘電体基板の上面に形成する」ことは周知…である。そして,引用例発明はマイクロストリップアンテナなのだから,当該周知のものを採用することに何ら困難があるとはいえない(5頁16行~21行)とする。 。」しかし,引用発明をマイクロストリップアンテナと認定するのが誤り,であることは,上記(ア)で述べたとおりであるし,これに鑑みるならば- 13 -マイクロストリップアンテナについて周知な事項は,相違点2の判断にとって無意味である。 (カ)相違点3の判断の誤り①審決は「イ)マイクロストリップアンテナのマイクロストリッ,(プ(パッチ)及びグランド板を可撓性を有する又はフレキシブルな材料より形成し,柔軟性で導電性のものとすることは本願出願前に周知である(特開2001-298315号公報,特開平3-283903号公報参照)点(ロ)また,アンテナ材料として,可撓性を有す,る導電金属層の代わりに導電性布地を使用することも周知である(例えば国際公開第01/59880号パンフレット(2001)の第12頁第6~13行の記載参照)点を踏まえ(ハ)引用例発明のマイ,クロストリップアンテナがネクタイに仕込んだものであり,身体に無理なくフィットする柔材であることが要件とされている…点に照らせば,本願補正発明のように,グランド板,及びマイクロストリップパッチを「導電性布で形成した柔軟性で導電性」のものとすることに格別の創意工夫を要するとは言えない」とする(5頁下14行~下3。 行。 )②しかし,引用発明をマイクロストリップアンテナと認定するのが誤りであることは,上記(ア)で述べたとおりである。しかも,引用発明は,アンテナをネクタイに 」とする(5頁下14行~下3。 行。 )②しかし,引用発明をマイクロストリップアンテナと認定するのが誤りであることは,上記(ア)で述べたとおりである。しかも,引用発明は,アンテナをネクタイに仕込もうとするものであるところ,引用例(甲2)の第1図及び第2図に示されているように,当該アンテナは結び目部分や首に巻かれる部分には仕込まれていない。そうすると,引用発明のアンテナに求められる柔軟性は,当該部分において違和感が無い程度のものであって,本願補正発明のごとく「生地(導電性,布」を用いることで「180度近くまで曲げて使用できる」という)ような極めて高い柔軟性ではない。 ③なお特開2001-298315号公報(甲14)は,マイクロス- 14 -トリップライン,グランド板(地板)及び誘電体基板の可撓性について言及するものであるが,マイクロストリップパッチの可撓性に関しては言及していない。さらに,マイクロストリップライン,マイクロストリップパッチ,グランド電極のための可撓性を有する材料については開示されておらず,誘電体基板として生地を使用することや,マイクロストリップパッチやグランド板として導電性布を使用することは一切開示されていない。 ④また特開平3-283903号公報(甲15)はフレキシブルな材料のマイクロストリップアンテナについて言及するものであるが,誘電体基板として発泡ポリエチレンシート等を用いるものであり,本願補正発明のように生地を用いるものではない。そしてグランド板(接地導体板)には金属板又はフレキシブルなプリント基板を用いるとあるが,フレキシブルなプリント基板はポリエステルやポリイミドのフィルム等をベースとしたフレキシブル基板であるところ,ポリエステルやポリイミドのフィルム等は接地導体板用の金属箔のための構造部 いるとあるが,フレキシブルなプリント基板はポリエステルやポリイミドのフィルム等をベースとしたフレキシブル基板であるところ,ポリエステルやポリイミドのフィルム等は接地導体板用の金属箔のための構造部材として使用しているものである。マイクロストリップパッチ用の材料もポリエステルやポリイミドのフィルム等をベースとしたフレキシブルなプリント基板を用いるものであり,この点においても本願補正発明とは明らかに相違する。 ⑤また国際公開第01/59880号パンフレット(2001(甲)16)には,アンテナに導電性布地を使用することが示されているが,本願補正発明に係るマイクロストリップアンテナに導電性布地を使用することについては開示も示唆も存在しない。 ⑥これまでにマイクロストリップアンテナのグランド板及びマイクロストリップパッチを導電性布で形成したものは存在しない。これは導電性布がマイクロストリップアンテナにおける内部電界と漏れ電界を形成させることが可能であるという確証がなかったためである。 - 15 -(キ)作用効果等の判断の誤り本願補正発明は,アンテナを構成するものを全て「生地(導電性布」で形成した点に最大の特徴を有するものである。そして,そのよ)うな構成であることにより「180度近くまで曲げて使用できる」と,いう作用を奏し,且つ,そのまま服や帽子等に縫いつけて使用できるというような効果を有するものである。このような作用効果は,引用発明及び本願出願前公知技術によっては到底期待することができず,予測不能な程度のものである。 ウ取消事由3(本願発明の進歩性の判断の誤り)本件補正前の発明である本願発明は「柔軟性の誘電体基板「柔軟性で,」,導電性のグランド板「柔軟性で導電性のマイクロストリップパッチ」と」,を備え,且つ「180 願発明の進歩性の判断の誤り)本件補正前の発明である本願発明は「柔軟性の誘電体基板「柔軟性で,」,導電性のグランド板「柔軟性で導電性のマイクロストリップパッチ」と」,を備え,且つ「180度近くまで曲げて使用できる」マイクロストリップ,アンテナである。そして,そのような特徴を有するマイクロストリップアンテナは,引用発明及び出願前公知技術の何れにも開示や示唆が存在しない。 請求原因に対する認否請求原因(1)~(3)の各事実は認めるが,同(4)は争う。 被告の反論審決の認定判断は正当であり,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 (1)取消事由1に対し本願補正発明は,本願発明から本件補正により「180度近くまで曲げて使用できる」との限定が削除されることによって「180度近くまで曲げ,て使用できる」ような「生地」又は「導電性布」しか含まれない発明が,例えば150度しか曲がらない「生地」又は「導電性布」も含まれるように,その範囲が拡張されるものである。 したがって,当該限定の削除が特許請求の範囲を減縮するものでないこと- 16 -は明らかであるから,本件補正は,法17条の2第4項各号に規定するいずれの目的にも適合しないものである。 (2)取消事由2に対しア引用発明の認定の誤りにつき審決の引用発明の認定に誤りはない。 (ア)原告が示した図面のアンテナは「パッチ型」ではない。パッチ,(型・アンテナとは,マイクロストリップ・アンテナの一種である。 )例えば,乙1(虫明康人「電波とアンテナのやさしい話-超ブロードバンド化の原理の発見」平成13年8月25日発行,株式会社オーム社〔138頁~140頁)の「7・2パッチ・アンテナ」の項の2~〕6行目に「実用の域に達したのがパッチ・アンテナである。これはかなり以前から 原理の発見」平成13年8月25日発行,株式会社オーム社〔138頁~140頁)の「7・2パッチ・アンテナ」の項の2~〕6行目に「実用の域に達したのがパッチ・アンテナである。これはかなり以前から,マイクロストリップ・アンテナとして,帯状構造の場合については研究されてきたものである。図7・1のように,下面を平面状導電地板で覆われた誘電体基板の上面に,印刷技術によって,パッチと呼ばれる導電箔の面状放射体を形成させた構造のアンテナである」と。 の記載があるように,パッチ・アンテナとは,マイクロストリップ・アンテナの一種であり,また,同139頁の図7・1に示されるように,パッチ,誘電体基板,及び地板導体(グランド板)から成るものである。 すなわち,引用例(甲2)の5頁11行に明記された「パッチ型」とは,乙1に記載されたようなマイクロストリップ・アンテナを指すことは明らかである。 ,(イ)さらに,引用発明でいう「パッチ型」のアンテナ素子とは,例えば上記乙1でいう「パッチと呼ばれる導電箔の面状放射体」のことであり,「印刷技術によって,形成される」ものである。 この点,審決が周知例として挙げた甲13(特開平9-36651号公報,及び甲15(特開平3-283903号公報)にも,上記と同)- 17 -様に「パッチと呼ばれる導電箔の面状放射体(アンテナ素子)が,」「パッチ型導電体(甲13)や「パッチアンテナ素子(甲15)に」」相当する旨の記載がある。 すなわち,甲13(特開平9-36651号公報)の段落【0037】~【0038】には「…また,アンテナ素子の2枚の導電体(パ,ッチ型導電体71および地板導電体72)…パッチアンテナを形成する2枚の導電体71,72の間にテフロン等の誘電体…74を挟んでサンドイッチ型の積層構造とすることによって ナ素子の2枚の導電体(パ,ッチ型導電体71および地板導電体72)…パッチアンテナを形成する2枚の導電体71,72の間にテフロン等の誘電体…74を挟んでサンドイッチ型の積層構造とすることによって,マイクロストリップ型高周波用伝送線路となるように構成したので,パッチ型のマイクロストリップアンテナとして,…小型化できる。…」との記載があり,当該記載に対応する図12,13(12頁)の「パッチ型導電体71」及び甲15(特開平3-283903号公報)の4頁の第4図の10「パッチアンテナ素子」が,乙1の「パッチと呼ばれる導電箔の面状放射体(アン」テナ素子)に相当することは明らかである。 (ウ)以上のとおりであるから,原告が示した図面に記載された「アンテナ素子」が「パッチ」であるとする原告の主張は,失当である。 (エ)原告は,甲19(電子情報通信学会2004年ソサイエティ大会講演論文集(平成16年9月8日発行)の抜粋,甲20(富士通株式会)社ホームページ抜粋,甲21(特開2004-320356号公報))を提出する。 しかし,甲19,20には,パッチという用語は記載されておらず,パッチ型アンテナであることを示唆する記載も見当たらない。 また,甲21の公開日は平成16年11月11日であって,本願発明の出願日(平成14年3月6日)以降に公知となったものであるから,そもそも証拠となりえないものである。また,その記載内容を見ても,原告が指摘するパッチ導体を含む平面アンテナは,甲21の段落【00- 18 -30】に「…本発明の平面アンテナは,パッチ導体4及び接地導体6が設けられた誘電体基板2の面の反対の面に導体が設けられていなくてもよく,誘電体基板2の一面にのみ,パッチ導体4,接地導体6及び中心導体5が設けられた,同一面又は共平面(コプレーナ)構 び接地導体6が設けられた誘電体基板2の面の反対の面に導体が設けられていなくてもよく,誘電体基板2の一面にのみ,パッチ導体4,接地導体6及び中心導体5が設けられた,同一面又は共平面(コプレーナ)構造のアンテナにできるので,平面アンテナを誘電体基板2の片面に形成することができる。…」と記載されているように,マイクロストリップアンテナの接地導体を裏面から共平面に移設した変形マイクロストリップアンテナであって,通常,コプレーナ型と呼ばれるものである。 しかるに,引用例(甲2)の5頁11行~14行には「前記平面プ,リントアンテナ5は,パッチ型,スロット型,コプレーナー型,ライン型,サスペンデッドライン給電型その他の各種プリントアンテナの形態をとる」旨,列記されているから「パッチ型」のアンテナと「コプ。 ,レーナー型」のアンテナを区別して記載しているということができ,引用発明の「パッチ型」には「コプレーナー型」のアンテナは含まれないと解するのが自然である。 イ一致点・相違点3の各認定の誤りにつき上記アで述べたように,引用発明は,本願補正発明と同様のマイクロストリップアンテナであるから,引用発明のアンテナがマイクロストリップアンテナでないことを前提に,一致点・相違点3の各認定の誤りをいう原告の主張は失当である。 ウ相違点1の判断の誤りにつき上記アで述べたように,引用発明は,本願補正発明と同様のマイクロストリップアンテナであるから,引用発明のアンテナがマイクロストリップアンテナでないことを前提に,相違点1の判断の誤りをいう原告の主張は失当である。 また,甲11(特開平10-277015号公報)の段落【0018】- 19 -に記載された「不織布」や「布或いはナイロン等の繊維材料」はアンテナの誘電体基板としての役目を果たしており,また,甲 。 また,甲11(特開平10-277015号公報)の段落【0018】- 19 -に記載された「不織布」や「布或いはナイロン等の繊維材料」はアンテナの誘電体基板としての役目を果たしており,また,甲12(国際公開第9The9/44257号パンフレット)の11頁24行~26行には,「firstlayerofdielectricmaterialmaybeformedfrom(訳:アンテナを組み込む「第non-metalized,wovenorknitfabrics.」1の誘電体層は,非金属製の織物または編み物で形成することができる」)との記載があるから,審決が,アンテナの誘電体層を非金属製の織物または編み物で形成することを周知技術であると認定した点に誤りはない。 さらに,乙2(国際公開第01/39326号パンフレット)には,そApatchのフロント頁の「Abstract」(要約)の欄の1~3行に,「antenna (10) formobiletelecommunicationsuseisdesignedforincorporationintothegarmentofawearer, e.g. inashoulderpad (10)orlapel (30). Theantennacomprisesfirstandsecond (12,16) spacedlayersofelectricallyconductingfabricwithalayer (14) ofinsulating(訳:移動通fabricbetween, andaconnectionbetweentheconduct gfabricwithalayer (14) ofinsulating(訳:移動通fabricbetween, andaconnectionbetweentheconductinglayers.」信に使用するパッチアンテナを,装着者の衣服,例えば,ショルダー(10)パッド又はラペル(襟の折り返し)に組み込むように設計する。 (10)(30)アンテナは,絶縁性布地の層が介在する導電性布地の互いに離間した(14)第1及び第2の層と,導電層間の接続部とを具える)との記載が(12,16)。 Fortheinsulatinglayers,あり,また,同4頁11~13行に「,typicalgarmentand/orshoulderpadmaterialsaresuitable, suchas(訳:絶縁層とacrylic, horsehair, cotton, polyester, woolandtailor'sfoam.」して,典型的には,アクリル,馬の毛,綿,ポリエステル,羊毛,テイラーズフォーム等の衣服及び/又はショルダーパッドの素材が適切である)との記載がある。これらの各記載によれば,パッチアンテナ(マイ。 - 20 -クロストリップアンテナ)の絶縁層(誘電体層,誘電体基板)を布地,つまり,生地で形成することは,周知技術である。 したがって,上記周知技術に基づいて引用発明の「ガラス繊維を織った布で強化した柔軟性プリント基板」を「生地で形成した柔軟性の誘電体,基板」とすることに格別の創意工夫を要するとはいえないとした審決の判断に誤りはない。 なお『180度近くまで曲げても使用できるような誘電体基板」を,「得ることはできない』との原告の主張は,特許請求の範囲に記載 ことに格別の創意工夫を要するとはいえないとした審決の判断に誤りはない。 なお『180度近くまで曲げても使用できるような誘電体基板」を,「得ることはできない』との原告の主張は,特許請求の範囲に記載のない。 事項に基づく主張であるから失当である。 エ相違点2の判断の誤りにつき上記アで述べたように,引用発明は,本願補正発明と同様のマイクロストリップアンテナであるから,引用発明のアンテナがマイクロストリップアンテナでないことを前提に相違点2の判断の誤りをいう原告の主張は失当である。 オ相違点3の判断の誤りにつき(ア)上記アで述べたように,引用発明は,本願補正発明と同様のマイクロストリップアンテナであるから,引用発明のアンテナがマイクロストリップアンテナでないことを前提に相違点3の判断の誤りをいう原告の主張は失当である。また,原告が主張している『180度近くま「で曲げて使用できる」というような極めて高い柔軟性』は,請求項の記載に基づかない主張であるから,失当である。 (イ)甲14(特開2001-298315号公報)の段落【0015】には「マイクロストリップライン,グランド電極に可撓性」を持たせることができる旨記載されている。さらに,その図3,4(6頁)には,本願補正発明のマイクロストリップパッチに相当するマイクロストリップアンテナ212,252と,本願補正発明のグランド板に相- 21 -当するグランド電極213,253とからなるアンテナが記載されている。原告主張のとおり,甲14には,マイクロストリップアンテナ212,252それ自体の可撓性を明示する記載はないが「マイクロ,ストリップライン,グランド電極に可撓性」を持たせていることから,グランド板に対向して一体に形成されるマイクロストリップアンテナ212,252(本願補正発明 撓性を明示する記載はないが「マイクロ,ストリップライン,グランド電極に可撓性」を持たせていることから,グランド板に対向して一体に形成されるマイクロストリップアンテナ212,252(本願補正発明の「マイクロストリップパッチ」に相当)それ自体についても可撓性を持たせていると考えるのが自然である。 (ウ)また甲15(特開平3-283903号公報)には,アンテナ素子としてパッチ形素子を有する「マイクロストリップ平面アンテナ」において,フレキシブルな接地導体板(グランド板,誘電体板及びプリン))。 ト基板を山形に曲げる旨が記載されている(2頁右上欄8行~13行(エ)また甲16(国際公開第01/59880号パンフレット)の12頁6行~13行には,アンテナ材料である導電性テープに代えて,導電性布地を用いる旨記載されている。 (オ)さらに乙2(国際公開第01/39326号パンフレット)には,Apatchそのフロント頁の「Abstract (要約)の欄に,図面とともに「」antenna (10) formobiletelecommunicationsuseisdesignedforincorporationintothegarmentofawearer, e.g. inashoulderpad (10) orlapel (30). Theantennacomprisesfirstandsecond (12,16) spacedlayersofelectricallyconductingfabricwithalayer (14) ofinsulatingfabricbetween, andaconnectionbetweentheconductinglayers. Thec ithalayer (14) ofinsulatingfabricbetween, andaconnectionbetweentheconductinglayers. Theconductinglayers (12,16) maybeasinglestripofshapedfabric (A,B,C) foldedaroundtheinsulatinglayers.Theconductinglayersareshapedsothatthelayeradjacentthewearerisoflargerareaandisconnectedasthegroundplaneoftheantennasoastoshieldthewearerfromthestrongestelectricalfields(.) Also, thepatchantennais- 22 -」arrangedsothatitsradiatingregions(24,38) areremotefromtheuser'shead.(訳:移動通信に使用するパッチアンテナを,装着者の衣服,例え(10)ば,ショルダーパッド又はラペル(襟の折り返し)に組み込む(10)(30)ように設計する。アンテナは,絶縁性布地の層が介在する導電性布(14)地の互いに離間した第1及び第2の層と,導電層間の接続部とを(12,16)具える。導電層を,絶縁層の回りで折り曲げられた成形された布(12,16)地(A,B,C)の単一のストリップ(一枚の布切れ)とする。導電層を,装着者に隣接する層が比較的大きな面積を有するとともにアンテナのグランド面として 回りで折り曲げられた成形された布(12,16)地(A,B,C)の単一のストリップ(一枚の布切れ)とする。導電層を,装着者に隣接する層が比較的大きな面積を有するとともにアンテナのグランド面として接続して強力な電界から装着者を保護するように形成する。また,パッチアンテナを,その放射領域がユーザの頭部(24,38)から離間するように配置する)との記載があり,また,同6頁24行。 には,Figure6(図6)に関し「(上側パッチ),」theupperpatch との記載がある。これらの各記載によれば,パッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)の第1の層(グランド板)と第2の層(マイクロストリップパッチ)を導電性布で形成する点は,周知技術である。 Itwillbeunderstoodthatthe(カ)また上記乙2の3頁23~25頁に「antenna 10 canbeflexedinusetofittheshoulderofthewearerandtherefore(訳tobecomfortableinuse, buttheantennawillstillremainfullyoperative.」:アンテナを,使用の際に可撓性にして装着者の肩に適合させ,した がって,使用の際に快適にすることができるが,アンテナは十分な機能を果たしたままである)との記載があり,これによれば「可撓性」。 ,のパッチアンテナである点も周知技術である。 (キ)さらに乙3(特開平10-215192号公報)には,その【要約】の欄に「腕装着型通信装置において,バンド体4R,4Lに内蔵のアンテナ材41として,線材を編んで成る柔軟性を備える導電材を用い,外皮42としては,皮, 平10-215192号公報)には,その【要約】の欄に「腕装着型通信装置において,バンド体4R,4Lに内蔵のアンテナ材41として,線材を編んで成る柔軟性を備える導電材を用い,外皮42としては,皮,ナイロン,合成皮革,布等の柔軟性を- 23 -有するシート材を用いる」との記載があり,また,段落【0021】。 に「図3(A(B)に示すように,本形態では,バンド体4R,4),Lは,銅線に錫やはんだがコーティングされた金属製の線材(銅線)を網状に編んだアンテナ材41(いわゆる,編組線)と,アンテナ材41を被覆する柔軟性を有する外皮42とから構成されている。この柔軟性を有する外皮42とは,皮,ナイロン,合成皮革,布等が有する程度の柔軟性のことで,バンド体4R,4Lを腕(手首)に巻いたときにその形状に沿って変形してくれる」との記載がある。これらの。 各記載によれば,アンテナ材として,線材を編んで成る柔軟性を備える導電材を用いることは周知技術である。 (ク)そして,審決は,これらの周知技術に基づいて,本願補正発明のように,グランド板及びマイクロストリップパッチを「導電性布で形成した柔軟性で導電性」のものとすることに格別の相違工夫を要するとはいえないと判断したものであって,この点に原告が主張するような判断の誤りはない。 カ作用効果の判断の誤りに対し本願補正発明の作用効果は,引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものにすぎないから,原告の主張は失当である。 (3)取消事由3に対し上記(2)と同様に,本願発明も進歩性を欠く。 なお本願発明には,本願補正発明にない「180度近くまで曲げて使用できる」との要件があるが,可撓性を有するアンテナを「180度近くまで曲げて使用できる」ようにすることは,当業者が適宜採用し得る設計的事項である には,本願補正発明にない「180度近くまで曲げて使用できる」との要件があるが,可撓性を有するアンテナを「180度近くまで曲げて使用できる」ようにすることは,当業者が適宜採用し得る設計的事項である。このことは,甲11(特開平10-277015号公報)に,6頁の図1,2,4とともに「…アンテナ24は,例えば,不織布に銀メッキを,施した可撓性材からなり,バンド25に沿わせて貼り付けられている。バン- 24 -ド25は,布或いはナイロン等の繊維材料などから出来ていて,被験者の体の一部に巻き付け可能になっている。… (段落【0018)との記載が」】あり,人体に巻き付けて配置できる(このとき,アンテナは,180度以上曲げられている)だけの柔軟性を備えたアンテナは周知であることに照らしても明らかである。 第4当裁判所の判断 請求原因(1)(特許庁における手続の経緯,(2)(発明の内容,(3)(審決))の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。 そこで,審決の違法の有無に関し,原告主張の取消事由について判断するが,本件訴訟の事案に鑑み,取消事由2から判断する。 取消事由2(本願補正発明の独立特許要件の判断の誤り)について(1)引用発明の認定の誤りの有無ア引用例(甲2)には,次の記載がある。 (ア)産業上の利用分野「本案は,無線を利用した情報交換,データー伝送,ファクシミリ伝送等の汎用無線電送に供せられる平面プリントアンテナ付ネクタイに関する(2頁4行~7行)。」(イ)従来の技術「…携帯電話の通信システムとしては現在無線利用に頼る以外になく,即ち無線端末器は,①端末器本体②電源③アンテナより構成されるが,…携帯電話端末器において最も問題となるものは如何なる素材,形状のアンテナを使うかであり,その最適条件とし 無線利用に頼る以外になく,即ち無線端末器は,①端末器本体②電源③アンテナより構成されるが,…携帯電話端末器において最も問題となるものは如何なる素材,形状のアンテナを使うかであり,その最適条件としては,()人間の歩行中においても,アンテナは安定度の高い輻射効率を有ⅰすること。 ()人体に接して装着するため,従来のダイポール型等金属製剛体でⅱなく身体に無理なくフィットする素材であること。 - 25 -()携帯に邪魔にならないものであること。 ⅲ以上が要件とされる(2頁14行~3頁11行)。」(ウ)考案が解決しようとする問題点「本案は,個人単位の移動通信システムにおいて前記要望されるアンテナ条件を満した平面プリントアンテナ付ネクタイを提供せんとするものである(3頁13行~16行)。」(エ)問題点を解決するための手段「本案の平面プリントアンテナ付ネクタイは,ネクタイを構成する表地,芯地,裏地のいずれかに所要面積の平面プリントアンテナを備え…て従来同様ネクタイを締めて着用するだけで平面プリントアンテナを携帯自在としてなる(3頁下2行~4頁5行)。」(オ)実施例「…本案の平面プリントアンテナ付ネクタイAは,強度を増すため必要に応じガラス繊維又はこれを織った布で強化した例えばフッ素系又はスチレン系の柔軟性プラスチックプリント基板1上にアンテナ素子2や給電線3を印刷する…所要大きさの平面プリントアンテナ5を予め別途用意して置く。 次いで…ネクタイを構成する表地6と裏地7,7’の内側又は芯地8の片面適宜箇所に平面プリントアンテナ5を接着剤や熱融着して一体積層したり…し,当該芯地8を中に入れ込んで表地6と裏地7,7’を一体縫着して仕立て上げる。 また芯地8自体を平面プリントアンテナ5で構成しても良い。 前記平面プリ アンテナ5を接着剤や熱融着して一体積層したり…し,当該芯地8を中に入れ込んで表地6と裏地7,7’を一体縫着して仕立て上げる。 また芯地8自体を平面プリントアンテナ5で構成しても良い。 前記平面プリントアンテナ5は,パッチ型,スロット型,コプレーナー型,ライン型,サスペンデッドライン給電型その他の各種プリントアンテナの形態をとる。 尚,平面プリントアンテナ5のアンテナ素子2は,主に800MHz帯以上- 26 -の無線周波数帯域に有効に作用し,850~950MHz帯の場合実効長は18㎝程度および1,200~1,300MHz帯の場合実効長は12㎝程度それぞれ必要長となるが電界を高くするためには面積を大きくとることとなる」。 (4頁9行~5頁下1行)(カ)作用「本案は前記のように構成するから外出又は正装に当って第1図乃至第2図に示すよう普通のネクタイ同様にワイシャツカラー…に巻付け着用し,… (6頁2行~5行)」(キ)考案の効果「かくして本案はネクタイに平面プリントアンテナを備えてあるので着用しさえすれば人体にフィットし平面プリントアンテナを手に持ち歩くことはなく平素同様のスタイルを維持して大袈裟な格好となる異和感を生起せず,…優れた実用性,有用性を具有する(8頁下2行~9頁。」10行)イ以上の各記載から,引用発明においては,ガラス繊維を織った布で強化した柔軟性プラスチックプリント基板1上にアンテナ素子2や給電線3を印刷した平面プリントアンテナ5が開示され,その平面プリントアンテナ5は,例えばパッチ型のプリントアンテナの形態を採り得るもので,ネクタイの表地と裏地の内側,又は芯地の片面等の適宜の箇所に,一体積層,貼着,縫着等により付帯して形成されるものと認められる。 そうすると,引用発明のアンテナは,平面プリントアンテナ5 り得るもので,ネクタイの表地と裏地の内側,又は芯地の片面等の適宜の箇所に,一体積層,貼着,縫着等により付帯して形成されるものと認められる。 そうすると,引用発明のアンテナは,平面プリントアンテナ5が所要の大きさを有し,プリント基板1上にアンテナ素子2や給電線3を印刷したものであることを特定したに止まり,平面プリントアンテナとしての形態は,パッチ型,スロット型,コプレーナー型,ライン型,サスペンデッドライン給電型を適宜採り得ることが示されたものというべきであり,特定のアンテナ形態の特定の構造まで規定しているものではない。 - 27 -ウ(ア)そこで,平面プリントアンテナとしてのパッチ型の形態について検討するに,後掲各証拠には,以下の記載がある。 ・甲13(特開平9-36651号公報)「B.パッチアンテナの原理(1)マイクロストリップアンテナプリント基板上に作成されるマイクロストリップアンテナは,…誘電体板15の両面に接着した薄い導体板のうち,一方を地板16としてそのまま残し,他方の導体板をエッチング等で帯状(ストリップ)にしたマイクロストリップ線路(以下,ストリップ線路という)17を形成したものであり,同軸線路に比べ,微細構造の伝送線路である(段落【0020)。」】「マイクロストリップアンテナは,ストリップ線路17を切断して開放したものである…。このように切断したストリップ線路は,パッチ(Patch)とも言われる。… (段落【0023)」】「…アンテナ素子の2枚の導電体(パッチ型導電体71および地板導電体72)の… (段落【0037)」】「また,パッチアンテナを形成する2枚の導電体71,72の間にテフロン等の誘電体(あるいは時計バンドを材質を誘電体として)74を挟んでサンドイッチ型の積層構造とすることによって 【0037)」】「また,パッチアンテナを形成する2枚の導電体71,72の間にテフロン等の誘電体(あるいは時計バンドを材質を誘電体として)74を挟んでサンドイッチ型の積層構造とすることによって,マイクロストリップ型高周波用伝送線路となるように構成したので,パッチ型のマイクロストリップアンテナとして,…小型化できる。… (段落」【0038)】・甲15(特開平3-283903号公報)「1.発明の名称マイクロストリップ平面アンテナ」「課題を解決するための手段〕〔本発明の平面アンテナは,接地導体板,誘電体板及びアンテナ素子- 28 -を形成したプリント基板を…積層し,…構成している。 アンテナ素子として,パッチ形素子…が採用される(2頁左上。」欄下2行~右上欄9行)・乙1(虫明康人「電波とアンテナのやさしい話-超ブロードバンド化の原理の発見」株式会社オーム社,平成13年8月25日発行)には「実用の域に達したのがパッチ・アンテナである。これはかなり,以前から,マイクロストリップ・アンテナとして,帯状構造の場合については研究されてきたものである。図7・1のように,下面を平面状導電地板で覆われた誘電体基板の上面に,印刷技術によって,パッチと呼ばれる導電箔の面状放射体を形成させた構造のアンテナである(138頁「7・2パッチ・アンテナ」の項の2行~6行)。」と記載され,図7・1(139頁)には「印刷配線技術によるパッ,チ・アンテナ」として,パッチ,誘電体基板,及び地板導体から成るアンテナが図示されている。 (イ)以上の各記載によれば,平面プリントアンテナとしてのパッチ型の形態として,プリント基板上にマイクロストリップパッチを配したマイクロストリップアンテナが用いられ,パッチ型アンテナ又はパッチアンテナは,マイ 各記載によれば,平面プリントアンテナとしてのパッチ型の形態として,プリント基板上にマイクロストリップパッチを配したマイクロストリップアンテナが用いられ,パッチ型アンテナ又はパッチアンテナは,マイクロストリップアンテナに相当するものであることが,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)にとって周知であると認められる。 エ上記イの内容に上記ウの周知事項を参酌すれば,引用発明に接した当業者は「ガラス繊維を織った布で強化した柔軟性プラスチックプリント基,板1と,該柔軟性プラスチック基板1の上面に印刷されたマイクロストリップパッチにより構成されるマイクロストリップアンテナ」が開示され。 ていると理解するというべきであるから,これと同旨の審決に誤りはない。 オ原告の主張に対する補足的説明- 29 -(ア)原告は,ここにいう「パッチ型」とは,柔軟性プラスチックプリント基板1上に,小片としてのアンテナ素子2を継ぎ当てるタイプのアンテナを意味するものであるから,マイクロストリップアンテナに固有の平面状導電地板(本願補正発明にいうグランド板)が存在しないことは明白である,すなわち,上記「パッチ型」とは下記のようなものであると理解される,と主張する。 記しかし,引用発明には「パッチ型」として上記の構造が示されてい,るものではなく,仮に上記のような「パッチ型」が一つの具体例として想定できるとしてもそれに限定されるものではない。しかも,上記ウに説示したとおり,平面プリントアンテナとしてのパッチ型の形態として,プリント基板上にマイクロストリップパッチを配したマイクロストリップアンテナが用いられ,パッチ型アンテナ又はパッチアンテナが,マイクロストリップアンテナに相当するものであることが,当業者にとって周知事項というのである クロストリップパッチを配したマイクロストリップアンテナが用いられ,パッチ型アンテナ又はパッチアンテナが,マイクロストリップアンテナに相当するものであることが,当業者にとって周知事項というのである。さらに,マイクロストリップアンテナとして本願補正発明が意図する構造(構成)に対しては,相違点1から3として認定した上,判断したところである。 以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。 (イ)また原告は,引用発明は,プラスチックプリント基板の薄型化を図り,その結果,平面プリントアンテナ自体の薄型化を図ろうとするもの- 30 -であるから,誘電体基板を厚手に形成することが必要条件であるマイクロストリップアンテナと認定することはできない,と主張する。 しかし,引用例(甲2)において,マイクロストリップアンテナを構成できないほどプラスチックプリント基板を薄型化することについて具体的記載があるわけではないし,仮にマイクロストリップアンテナにつき誘電体基板を厚手に形成することが必要条件であったとしても,上記ウに説示したとおり,引用発明に開示された平面プリントアンテナとしてのパッチ型の形態として,プリント基板上にマイクロストリップパッチを配したマイクロストリップアンテナが用いられ,パッチ型アンテナ又はパッチアンテナが,マイクロストリップアンテナに相当するものであることが当業者にとって周知事項である以上は,いまだ引用発明において,マイクロストリップアンテナという技術思想が開示されていると認定する妨げとなるものではない。 以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。 (ウ)さらに原告は,パッチ型アンテナとしてマイクロストリップアンテナとは異なった形式のアンテナが存在すると主張し,甲19~21を提出する。 しかし,甲19(電子情報通 は採用することができない。 (ウ)さらに原告は,パッチ型アンテナとしてマイクロストリップアンテナとは異なった形式のアンテナが存在すると主張し,甲19~21を提出する。 しかし,甲19(電子情報通信学会2004年ソサイエティ大会講演論文集(平成16年9月8日発行)の抜粋,甲20(富士通株式会社)ホームページ抜粋)に,そもそもパッチという用語は記載されておらず,これを直ちにパッチ型アンテナということはできないし,また,原告が指摘する甲21(特開2004-320356号公報)のアンテナは,その段落【0030】に「…本発明の平面アンテナは,パッチ導体4及び接地導体6が設けられた誘電体基板2の面の反対の面に導体が設けられていなくてもよく,誘電体基板2の一面にのみ,パッチ導体4,接地導体6及び中心導体5が設けられた,同一面又は共平- 31 -面(コプレーナ)構造のアンテナにできるので,平面アンテナを誘電体基板2の片面に形成することができる。…」と記載されており,これと,引用例(甲2)の5頁11行~14行の「前記平面プリントアンテナ5は,パッチ型,スロット型,コプレーナー型,ライン型,サスペンデッドライン給電型その他の各種プリントアンテナの形態をとる」との記載とを対照すれば,引用発明の「パッチ型」のアンテナに。 は,上記甲21の「コプレーナー型」のアンテナは含まれないと解するのが相当である。 以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。 (2)一致点の認定の誤りの有無原告は,引用発明に開示されるアンテナは本願補正発明が意図する「マイクロストリップアンテナ」ではないし,同アンテナには本願補正発明における「マイクロストリップパッチ」に相当する構成は存在しない,引用発明に開示されるアンテナは,プラスチック基板上にアンテナ素子を印刷し ロストリップアンテナ」ではないし,同アンテナには本願補正発明における「マイクロストリップパッチ」に相当する構成は存在しない,引用発明に開示されるアンテナは,プラスチック基板上にアンテナ素子を印刷したものに過ぎない,と主張する。 しかし,上記(1)に説示したとおり,引用発明に接した当業者は,まさにマイクロストリップパッチに相当する構成を有するマイクロストリップアンテナが開示されていると理解するものであるから,原告の上記主張は採用することができない。 (3)相違点3の認定の誤りの有無原告は,引用発明のアンテナはマイクロストリップアンテナではなく,そこに存在するアンテナ素子は,本願補正発明の「マイクロストリップパッチ」には相当しない,引用発明のプラスチック基板の上面に印刷されるアンテナ素子は常識的に金属膜であり,本願補正発明のマイクロストリップパッチのような「導電性布」ではない,と主張する。 しかし,上記(1)に説示したとおり,引用発明に開示された平面プリント- 32 -アンテナとしてのパッチ型の形態として,プリント基板上にマイクロストリップパッチを配したマイクロストリップアンテナが用いられることが,当業者にとって周知と認められるものである。また,引用発明のアンテナ素子と本願補正発明のマイクロストリップパッチの材質の違いは,相違点3で認定されており,また引用発明のアンテナ素子が,柔軟性プラスチック基板1の上面に印刷するとされていることを超えて,金属膜であると明示されているとは認められない。 以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。 (4)相違点1の判断の誤りの有無ア(ア)甲11(特開平10-277015号公報)には「…このアンテ,ナ24は,例えば,不織布に銀メッキを施した可撓性材からなり,バンド25に沿わせて貼り付 (4)相違点1の判断の誤りの有無ア(ア)甲11(特開平10-277015号公報)には「…このアンテ,ナ24は,例えば,不織布に銀メッキを施した可撓性材からなり,バンド25に沿わせて貼り付けられている。バンド25は,布或いはナイロン等の繊維材料などから出来ていて,被験者の体の一部に巻き付け可能になっている。… (段落【0018)との記載があり,これによれ」】ば,布或いはナイロン等の繊維材料が,アンテナの誘電体基板としての役目を果たすことが記載されていると認められる。 (イ)甲12(国際公開第99/44257号パンフレット。これに対応するものが,特表2002-505537号公報〔甲1)の11頁2〕4行~26行(甲1の段落【0027)には「…(アンテナ20】,の)第1の誘電体層は,非金属製の織物または編み物で形成することができる。…」との記載があり,これによれば,アンテナの誘電体層を非金属製の織物または編み物で形成することが記載されていると認められる。 (ウ)①乙2(国際公開第01/39326号パンフレット)には,以下の記載がある。 Apatchantenna (10) formobiletelecommunicationsuseisdesigned・「- 33 -forincorporationintothegarmentofawearer, e.g. inashoulderpad (10)orlapel (30). Theantennacomprisesfirstandsecond (12,16) spacedlayersofelectricallyconductingfabricwithalayer (14) ofinsulating(フロfabri nd (12,16) spacedlayersofelectricallyconductingfabricwithalayer (14) ofinsulating(フロfabricbetween, andaconnectionbetweentheconductinglayers.」ント頁「Abstract )」(訳:移動通信に使用するパッチアンテナを,装着者の衣服,(10)例えば,ショルダーパッド又はラペル(襟の折り返し)に(10)(30)組み込むように設計する。アンテナは,絶縁性布地の層が介在(14)する導電性布地の互いに離間した第1及び第2の層と,導電(12,16)層間の接続部とを具える)。 Itwillbeunderstoodthattheantenna 10 canbeflexedinusetofitthe・「shoulderofthewearerandthereforetobecomfortableinuse, butthe(3頁23行~25行)antennawillstillremainfullyoperative.」(訳:アンテナ10を,使用の際に可撓性にして装着者の肩に適合させ,したがって,使用の際に快適にすることができるが,アンテナは十分な機能を果たしたままである)。 Fortheinsulatinglayers,typicalgarmentand/orshoulderpad・「materialsaresuitable, suchasacrylic, horsehair, cotton, polyester, wool(4頁11行~13行)andtailor'sfoam.」 aresuitable, suchasacrylic, horsehair, cotton, polyester, wool(4頁11行~13行)andtailor'sfoam.」(訳:絶縁層として,典型的には,アクリル,馬の毛,綿,ポリエステル,羊毛,テイラーズフォーム等の衣服及び/又はショルダーパッドの素材が適切である)。 ②以上の各記載によれば,パッチアンテナの絶縁層を布地で形成することが示されている。 (エ)そして,前記(1)に説示したとおり,パッチアンテナはマイクロストリップアンテナに相当するものであり,また絶縁層は誘電体層に,布- 34 -地は生地にそれぞれ相当することから,これに上記(ア),(イ)も併せ考慮すれば,引用発明に接した当業者が,相違点1の構成を容易に想到できたことは明らかと言わなければならない。 イ原告の主張に対する補足的説明(ア)原告の,引用発明がマイクロストリップアンテナと認められないとの主張が採用できないことは,上記(1)に説示したとおりである。 (イ)次に原告は,甲11(特開平10-277015号公報,甲12)(国際公開第99/44257号パンフレット)はマイクロストリップアンテナの誘電体基板に関する技術の開示になっていない旨主張する。 しかし,上記ア(ア),(イ)に説示したとおり,これらの各記載事項は,一般的に,アンテナについて開示された技術を認定したものであり,これらをもって直ちにマイクロストリップアンテナの誘電体基板に関する技術が開示されていると認めたものではないし,引用発明に接した当業者が,かかる事項を周知技術として参酌できないとする理由もないから,原告の上記主張は失当である。 (ウ)次に原告は,乙2(国際公開第01/39326号パンフレット)のアンテナと本願補 に接した当業者が,かかる事項を周知技術として参酌できないとする理由もないから,原告の上記主張は失当である。 (ウ)次に原告は,乙2(国際公開第01/39326号パンフレット)のアンテナと本願補正発明のアンテナとでは構造が相違する旨主張する。 しかし,乙2のアンテナと本願補正発明のアンテナとで原告が指摘するような構造の相違があったとしても,かかる構造の相違によって乙2のアンテナがパッチアンテナの概念から外れるものではなく,上記ア(ウ)に説示するように,乙2にパッチアンテナの絶縁層を布地で形成することが示されていることに変わりはない。そして,上記ア(エ)に説示したとおり,パッチアンテナはマイクロストリップアンテナに相当するものであるところ,上記2(1)ア(イ)に認定したように,引用例(甲2)には「…最も問題となるものは如何なる素材,形状のアンテナを使うかであり,その最適条件としては,…()人体に接して装着するたⅱ- 35 -め,従来のダイポール型等金属製剛体でなく身体に無理なくフィットす。 ,る素材であること…が要件とされる」と記載されている。そうするとかかる引用発明のアンテナの柔軟性を有する基板に接した当業者が,乙2に開示された事項を参酌することができないとする理由はないというべきである。 以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。 (エ)なお原告は,本願補正発明の誘電体基板の全部が生地で形成されており,かつ,誘電体基板を180度近くまで曲げて使用できる旨主張するが,かかる原告の主張は,特許請求の範囲の記載に基づかない主張であるから失当と言わざるを得ない上,上記アに認定した各周知技術を参酌すれば,当業者が適宜に採用し得る設計的事項であり,格別なこととは認められない。 (5)相違点2の判断の誤りの有無原告の相 張であるから失当と言わざるを得ない上,上記アに認定した各周知技術を参酌すれば,当業者が適宜に採用し得る設計的事項であり,格別なこととは認められない。 (5)相違点2の判断の誤りの有無原告の相違点2の判断の誤りに係る主張は,引用発明がマイクロストリップアンテナと認められないことを前提とする主張であるところ,かかる原告の主張が採用できないことは,上記(1)に説示したとおりである。 したがって,原告の上記主張はその前提を欠き,採用することができない。 (6)相違点3の判断の誤りの有無ア(ア)甲14(特開2001-298315号公報)には「…マイクロストリップライン,グランド電極に可撓性…を持たせる(段落【001」5)との記載があり,さらに,図3,4(6頁)には,方形マイクロ】ストリップアンテナ212,252と,グランド電極213,253とからなるアンテナが記載されている。 (イ)甲15(特開平3-283903号公報)には「アンテナ素子と,して,パッチ形素子…が採用される。…本発明によれば,フレキシブルな接地導体板,誘電体板及びプリント基板を基台と上台とで挟んで山形- 36 -に曲げ形成する… (2頁右上欄8行~13行)との記載がある。 」(ウ)甲16(国際公開第01/59880号パンフレット。これに対応するものが乙5(特表2003-523122号公報)の段落【00)33】には「上述したようなフィルム布地積層体としての導電性テー,プを形成することの代案として,導電性テープを導電性布地または導電性不織材料として形成することも可能であった。…」として,アンテナ材料である導電性テープに代えて導電性布地を用いる旨記載されている。 (エ)乙2(国際公開第01/39326号パンフレット)には,そのフApatchantenna であった。…」として,アンテナ材料である導電性テープに代えて導電性布地を用いる旨記載されている。 (エ)乙2(国際公開第01/39326号パンフレット)には,そのフApatchantenna (10) formobileロント頁の「Abstract (要約)の欄に「」,telecommunicationsuseisdesignedforincorporationintothegarmentofawearer, e.g. inashoulderpad (10) orlapel (30). Theantennacomprisesfirstandsecond (12,16) spacedlayersofelectricallyconductingfabricwithalayer(14) ofinsulatingfabricbetween, andaconnectionbetweentheconductinglayers. Theconductinglayers (12,16) maybeasinglestripofshapedfabric(A,B,C) foldedaroundtheinsulatinglayers. Theconductinglayersareshapedsothatthelayeradjacentthewearerisoflargerareaandisconnectedasthegroundplaneoftheantennasoastoshieldthewearerfromthestrongestelectricalfields(.) Also, thepatch eoftheantennasoastoshieldthewearerfromthestrongestelectricalfields(.) Also, thepatchantennaisarrangedsothatitsradiating(訳:移動通信に使用するregions(24,38) areremotefromtheuser'shead.」(10)(10)パッチアンテナを,装着者の衣服,例えば,ショルダーパッド又はラペル(襟の折り返し)に組み込むように設計する。アンテナ(30)は,絶縁性布地の層が介在する導電性布地の互いに離間した第1及(14)び第2の層と,導電層間の接続部とを具える。導電層を,(12,16)(12,16)絶縁層の回りで折り曲げられた成形された布地(A,B,C)の単一のストリップ(一枚の布切れ)とする。導電層を,装着者に隣接する層が比較的大きな面積を有するとともにアンテナのグランド面として接続し- 37 -て強力な電界から装着者を保護するように形成する。また,パッチアンテナを,その放射領域がユーザの頭部から離間するように配置す(24,38)る)との記載があり,また,同6頁24行には,Figure6(図6)に。 関し「(上側パッチ)との記載がある。これらのtheupperpatch 」記載によれば,パッチアンテナの第1の層と第2の層を導電性布で形成する点が開示されていると認められる。 Itwillbeunderstoodthatthe(オ)また上記乙2の3頁23~25頁に「antenna 10 canbeflexedinusetofittheshoulderoftheweareran thatthe(オ)また上記乙2の3頁23~25頁に「antenna 10 canbeflexedinusetofittheshoulderofthewearerandtherefore(訳tobecomfortableinuse, buttheantennawillstillremainfullyoperative.」:アンテナを,使用の際に可撓性にして装着者の肩に適合させ,した がって,使用の際に快適にすることができるが,アンテナは十分な機能を果たしたままである)との記載があり,これによれば「可撓性」。 ,のパッチアンテナである点も開示されている。 イ以上の各記載に,上記(1)で説示したようにパッチアンテナはマイクロストリップアンテナに相当することが当業者にとり周知事項であることを併せ考慮すれば,マイクロストリップパッチ及びグランド板として柔軟で導電性の材料から形成することが周知であると認められ,他方,可撓性のアンテナ材料として導電性布地を使用することも周知であると認められる。 そうすると,上記2(1)ア(イ)に認定したように,引用例(甲2)に「…最も問題となるものは如何なる素材,形状のアンテナを使うかであり,その最適条件としては,…()人体に接して装着するため,従来のダイⅱポール型等金属製剛体でなく身体に無理なくフィットする素材であること…が要件とされる」と記載されていることに照らし,可撓性が要求され。 るアンテナにおいて導電部分のアンテナ材料として導電性布地を使用することが周知技術であれば,マイクロストリップアンテナを構成する導電部分の材質としてかかる導電性布地を適用することも,当業者であれば容易- 38 -に想到できるというべきである。 以上によれば,相違 ことが周知技術であれば,マイクロストリップアンテナを構成する導電部分の材質としてかかる導電性布地を適用することも,当業者であれば容易- 38 -に想到できるというべきである。 以上によれば,相違点3が容易想到であるとした審決の判断に誤りはない。 ウ原告の主張に対する補足的説明(ア)原告は,引用発明のアンテナは,結び目や首に巻かれる部分には仕込まれていないから,本願補正発明のごとく「生地(導電性布」を,)用いることで「180度近くまで曲げて使用できる」というような極めて高い柔軟性ではないと主張する。 しかし,引用発明のアンテナと本願補正発明のアンテナの柔軟性の差異については,相違点1,3として認定した上,上記に説示したとおり,当業者は,既に開示されている各事項を参酌することにより容易想到であると判断したところであるから,原告の上記主張は採用することができない。 (イ)また原告は,被告が指摘する甲14~16,乙2,3を含め,マイクロストリップアンテナのグランド板及びマイクロストリップパッチを導電性布で形成することを開示した文献は一切ない,これは導電性布がマイクロストリップアンテナにおける内部電界と漏れ電界を形成させることが可能であるという確証がなかったためである旨主張する。 しかし,これまでにマイクロストリップアンテナのグランド板及びマイクロストリップパッチに導電性布を使用することを開示した文献がなく,マイクロストリップアンテナにおける内部電界と漏れ電界の形成が可能であることの確認する経過が必要だったとしても(原告の宇宙通信ネットワークグループリーダAの陳述書〔甲18〕参照,上記アに認)定した各技術の性質と内容(特に,パッチアンテナの第1の層と第2の層を導電性布で形成する点が開示されていること,上記(1)で説示し)たと ークグループリーダAの陳述書〔甲18〕参照,上記アに認)定した各技術の性質と内容(特に,パッチアンテナの第1の層と第2の層を導電性布で形成する点が開示されていること,上記(1)で説示し)たとおりパッチアンテナはマイクロストリップアンテナに相当すること- 39 -が当業者にとり周知事項であることに照らせば,技術思想として,当業者が本願補正発明の相違点3の構成を容易に想到できるとの判断は,これを是認することができる。 以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。 (7)作用効果の判断の誤りの有無原告は,本願補正発明は,アンテナを構成するものを全て「生地(導電性布」で形成した点に最大の特徴を有し,そのような構成により「180),度近くまで曲げて使用できる」という作用を奏し,且つ,そのまま服や帽子等に縫いつけて使用できるというような効果を有するものであるところ,このような作用効果は,引用発明及び本願出願前公知技術によっては到底期待することができない旨主張している。 しかし,上記(4),(6)で説示したように,マイクロストリップアンテナを構成する部材の材質として,生地又は導電性布を採用することは,当業者は容易に想到できるというべきところ「180度近くまで曲げて使用でき,る」という作用は,マイクロストリップアンテナを構成する部材の材質として,生地又は導電性布を採用するならば,その材質を鑑みて必然的にもたらされることといえるから,引用発明及び本願出願前の周知技術から予測不能というものでないことは明らかである。また,そのような作用があれば,そのまま服や帽子等に縫いつけて使用できるというような効果を有することも予測可能というべきものである。 よって,原告の上記主張は採用することができない。 (8)以上によれば,原告が主張する取 れば,そのまま服や帽子等に縫いつけて使用できるというような効果を有することも予測可能というべきものである。 よって,原告の上記主張は採用することができない。 (8)以上によれば,原告が主張する取消事由2は理由がないことになる。 取消事由3(本願発明の進歩性の判断の誤り)について原告は,本件補正前の発明である本願発明は「柔軟性の誘電体基板「柔,」,軟性で導電性のグランド板「柔軟性で導電性のマイクロストリップパッ」,チ」とを備え,且つ「180度近くまで曲げて使用できる」マイクロストリ,- 40 -ップアンテナであるところ,そのような特徴を有するマイクロストリップアンテナは,引用発明及び本願出願前の公知技術の何れにも開示や示唆が存在しない旨主張する。 しかし,上記2(1)ア(イ)に認定したように,引用例(甲2)に「…最も問題となるものは如何なる素材,形状のアンテナを使うかであり,その最適条件としては,…()人体に接して装着するため,従来のダイポール型等金属製ⅱ剛体でなく身体に無理なくフィットする素材であること…が要件とされる」。 と記載されていることを踏まえ,前記2(4),(6)で説示したとおり,周知の可撓性アンテナにあって,その構成要素である導電部材及び誘電体部材の材質を,それぞれ導電性布地及び生地又は布地で形成することも周知の技術事項であることに鑑みれば,引用発明にこれら周知の技術事項を適用して本願発明の構成とすることは,当業者であれば容易に想到し得ることというべきであり,その際に各部材の材質が生地又は布地であることを鑑みれば「180度近くまで,曲げて使用できる」ことも当業者であれば容易に認識し得る事項であって格別なことではない。 以上によれば,原告の主張する取消事由3は,理由がない。 結語以上のとおり,取 れば「180度近くまで,曲げて使用できる」ことも当業者であれば容易に認識し得る事項であって格別なことではない。 以上によれば,原告の主張する取消事由3は,理由がない。 結語以上のとおり,取消事由2,3にはいずれも理由がない。したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件補正は違法として却下を免れず,また本願発明は進歩性を欠くものとなるから,これと同旨の審決に誤りはない。 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官中野哲弘- 41 -裁判官森義之裁判官田中孝一

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