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主文 一原告の請求をいずれも棄却する。二訴訟費用は原告の負担とする。事実及び理由 第一請求被告が原告の平成五年三月二一日から平成六年三月二〇日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税につき、平成八年四月四日付けでした別紙課税処分目録記載の課税処分のうち、申告欠損額一一億三四六八万二三五九円を超える部分を取り消す。第二事案の概要本件は、原告が、被告のした法人税の更正処分には原告の所得金額を認定するに当たって寄附金該当性についての判断を誤った違法があり、右更正処分を前提とする過少申告加算税賦課処分及び重加算税賦課処分も違法であるとして、右各処分の取消しを求めた事案である。一前提事実(争いのない事実のほかは末尾に証拠を掲記した。) 1 原告及び相互タクシーグループ(一) 原告は、不動産賃貸、証券投資等を目的とする株式会社である(甲11)。(二) 原告には、原告を中心とする多数のグループ会社があり、これらは「相互タクシーグループ」を構成しているところ、相互タクシーグループは、原告、相互不動産株式会社(以下「相互不動産」という。)、京都相互林業株式会社(以下「京都相互林業」という。)のほか、相互林業株式会社、泉相互タクシー株式会社、三国相互タクシー株式会社、株式会社大阪タクシー会館、京都相互タクシー株式会社、大阪相互タクシー株式会社(以下「大阪相互タクシー」という。)及び神戸相互タクシー株式会社の一〇社から構成され、これら相互タクシーグループ各社は、すべて創始者である亡Aによって設立又は買収されたものである(乙25の1、25の7)。2 亡Aの死亡とBの相続(一) 亡Aは、平成三年七月一九日死亡し、その総遺産価額は四二二億二二九一万六五九八円、総相続税額は三五九億五六四一万五〇〇〇円であ ものである(乙25の1、25の7)。2 亡Aの死亡とBの相続(一) 亡Aは、平成三年七月一九日死亡し、その総遺産価額は四二二億二二九一万六五九八円、総相続税額は三五九億五六四一万五〇〇〇円であった。 収されたものである(乙25の1、25の7)。2 亡Aの死亡とBの相続(一) 亡Aは、平成三年七月一九日死亡し、その総遺産価額は四二二億二二九一万六五九八円、総相続税額は三五九億五六四一万五〇〇〇円であ ものである(乙25の1、25の7)。2 亡Aの死亡とBの相続(一) 亡Aは、平成三年七月一九日死亡し、その総遺産価額は四二二億二二九一万六五九八円、総相続税額は三五九億五六四一万五〇〇〇円であった。(二) 右亡Aの遺産は、同人の遺言によりすべてBが取得することになったが、他の相続人から遺留分減殺請求を受けたことにより、最終的に、Bの相続税額は三〇四億二四二五万九五〇九円となった。(三) ただし、これより先の平成元年二月二六日、Bは、亡Aから原告の額面普通株式一五〇万五五三四株を贈与されていた。右贈与は合計一五四億八七四二万八二五八円と評価され、Bは、右贈与にかかる贈与税額一〇八億三二八四万四六〇〇円を納付したので、税法上の規定により、亡Aの死亡前三年間の贈与は相続期産に加算して税額を算出するため、既に納めた右贈与にかかる贈与税額が控除され、Bの右相続税の納付税額は一九五億九一四一万四九〇〇円となった(以下「本件相続税」という。)。3 原告の相互不動産に対する債権の存在原告は、相互不動産に対し、平成五年一二月九日時点において、合計九四一億六二一四万五八七三円の貸付金(以下「本件貸付金」という。)を有していたが、同日現在における相互不動産の資産状況は、帳簿価額で五五一億四九七七万二七四九円、時価評価で五七七億五二〇二万一五三一円の債務超過であった(弁論の全趣旨)。4 B及びCの原告に対する相互不動産株式の贈与原告は、平成五年一一月二四日、原告の当時の代表取締役A及びC(Bの実母)から、相互不動産の額面普通株式四五万株を無償で譲り受けた(別紙取引概略図①参照)。これにより、相互不動産は原告の一〇〇パーセント子会社となった。5 原告による相互不動産の新株引受(一) 相互不動産は、平成五年一一月三〇日付けで同社の発行済額面株式(一 (別紙取引概略図①参照)。これにより、相互不動産は原告の一〇〇パーセント子会社となった。5 原告による相互不動産の新株引受(一) 相互不動産は、平成五年一一月三〇日付けで同社の発行済額面株式(一株の額面金額一〇〇〇円)総数四五万株のすべてを無額面株式に転換し(乙23)、さらに、同年一二月四日付けで相互不動産の発行する無額面株式をすべて額面株式(一株の額面金額五〇円)に転換した(乙24)上、額面普通株式五万二九〇〇株(以下「本件株式」という。 動産は原告の一〇〇パーセント子会社となった。5 原告による相互不動産の新株引受(一) 相互不動産は、平成五年一一月三〇日付けで同社の発行済額面株式(一株の額面金額一〇〇〇円)総数四五万株のすべてを無額面株式に転換し(乙23)、さらに、同年一二月四日付けで相互不動産の発行する無額面株式をすべて額面株式(一株の額面金額五〇円)に転換した(乙24)上、額面普通株式五万二九〇〇株(以下「本件株式」という。)の新株発行を行い、原告は、平成五年一二月九日から同月一六日までの間に、一株当たり一〇〇万円、総額五二九億円でこれをすべて引き受け、同金額を払い込んだ(以下「本件増資払込み」といい、これにかかる増資払込金を「本件増資払込金」と、右相互不動産の増資そのものを「本件増資」という。)。そして、相互不動産は、本件増資払込金のうち一株当たり五〇円、総額二六四万五〇〇〇円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額五二八億九七三五万五〇〇〇円を資本準備金に組み入れると共に、本件増資払込金の全額を原告に対する前記3の債務の弁済にあてた(別紙取引概略図②③④⑤⑥参照)。その詳細は、次のとおりである。① 平成五年一二月九日の額面普通株式一万株引受相互不動産は、平成五年一二月四日、額面普通株式一万株の新株を発行価額一株五〇円として発行し、原告は、同月九日、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店から一〇〇億円を借り入れ、右新株を引受価額一株一〇〇万円、総額一〇〇億円で引き受け、同日、払込取扱銀行(シティバンク・エヌ・エイ大手町支店)に新株申込証拠金として一〇〇億円を払い込んだ。そして、相互不動産は、同月一〇日、右増資払込金一〇〇億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右弁済金により、シティバンク ク・エヌ・エイ大手町支店)に新株申込証拠金として一〇〇億円を払い込んだ。そして、相互不動産は、同月一〇日、右増資払込金一〇〇億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右弁済金により、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店からの借入金一〇〇億円を弁済した。そして、相互不動産は、右増資払込金一〇〇億円のうち、一株当たり五〇円、総額五〇万円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額九九億九〇九五〇万円を資本準備金に組み入れた(乙3の1、4、5の1、6の1、7の1、8の1の1ないし6、9の1、10の1)。 一〇〇億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右弁済金により、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店からの借入金一〇〇億円を弁済した。そして、相互不動産は、右増資払込金一〇〇億円のうち、一株当たり五〇円、総額五〇万円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額九九億九〇九五〇万円を資本準備金に組み入れた(乙3の1、4、5の1、6の1、7の1、8の1の1ないし6、9の1、10の1)。② 平成五年一二月一〇日の額面普通株式一万株引受相互不動産は、平成五年一二月一〇日、額面普通株式一万株の新株を発行価額一株五〇円として発行し、原告は、同日、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店から一〇〇億円を借り入れ、右新株を引受価額一株一〇〇万円、総額一〇〇億円で引き受け、同日、払込取扱銀行(シティバンク・エヌ・エイ大手町支店)に新株申込証拠金として一〇〇億円を払い込んだ。そして、相互不動産は、同月一三日、右増資払込金一〇〇億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右弁済金により、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店からの借入金一〇〇億円を弁済した。そして、相互不動産は、右増資払込金一〇〇億円のうち、一株当たり五〇円、総額五〇万円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額九九億九九五〇万円を資本準備金に組み入れた(乙3の2、4、5の2、6の2、7の2、8の2の1ないし6、9の2、10の2)。③ 平成五年一二月一三日の額面普通株式一万株引受相互不動産は、平成五年一二月一三日、額面普通株式一万株の新株を発行価額一株五〇円として発行し、原告は、同日、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店から一〇〇億円を借り入 三日の額面普通株式一万株引受相互不動産は、平成五年一二月一三日、額面普通株式一万株の新株を発行価額一株五〇円として発行し、原告は、同日、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店から一〇〇億円を借り入れ、右新株を引受価額一株一〇〇万円、総額一〇〇億円で引き受け、同日、払込取扱銀行(シティバンク・エヌ・エイ大手町支店)に新株申込証拠金として一〇〇億円を払い込んだ。そして、相互不動産は、同月一四日、右増資払込金一〇〇億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右弁済金により、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店からの借入金一〇〇億円を弁済した。そして、相互不動産は、右増資払込金一〇〇億円のうち、一株当たり五〇円、総額五〇万円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額九九億九九五〇万円を資本準備金に組み入れた(乙3の3、4、5の3、6の3、7の3、8の3の1ないし6、9の3、10の3)。 金一〇〇億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右弁済金により、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店からの借入金一〇〇億円を弁済した。そして、相互不動産は、右増資払込金一〇〇億円のうち、一株当たり五〇円、総額五〇万円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額九九億九九五〇万円を資本準備金に組み入れた(乙3の3、4、5の3、6の3、7の3、8の3の1ないし6、9の3、10の3)。④ 平成五年一二月一四日の額面普通株式一万株引受相互不動産は、平成五年一二月一四日、額面普通株式一万株の新株を発行価額一株五〇円として発行し、原告は、同日、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店から一〇〇億円を借り入れ、右新株を引受価額一株一〇〇万円、総額一〇〇億円で引き受け、同日、払込取扱銀行(シティバンク・エヌ・エイ大手町支店)に新株申込証拠金として一〇〇億円を払い込んだ。そして、相互不動産は、同月一五日、右増資払込金一〇〇億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右弁済金により、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店からの借入金一〇〇億円を弁済した。そして、相互不動産は、右増資払込金一〇〇億円のうち、一株当たり五〇円、総額五〇万円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額九九億九九五〇万円を資本準備金に組み入れた(乙3の 。そして、相互不動産は、右増資払込金一〇〇億円のうち、一株当たり五〇円、総額五〇万円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額九九億九九五〇万円を資本準備金に組み入れた(乙3の4、4、5の4、6の4、7の4、8の4の1ないし6、9の4、10の4)。⑤ 平成五年一二月一五日の額面普通株式一万株引受相互不動産は、平成五年一二月一五日、額面普通株式一万株の新株を発行価額一株五〇円として発行し、原告は、同日、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店から一〇〇億円を借り入れ、右新株を引受価額一株一〇〇万円、総額一〇〇億円で引き受け、同日、払込取扱銀行(シティバンク・エヌ・エイ大手町支店)に新株申込証拠金として一〇〇億円を払い込んだ。そして、相互不動産は、同月一六日、右増資払込金一〇〇億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右弁済金により、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店からの借入金一〇〇億円を弁済した。そして、相互不動産は、右増資払込金一〇〇億円のうち、一株当たり五〇円、総額五〇万円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額九九億九九五〇円を資本準備金に組み入れた(乙3の5、4、5の5、6の5、7の5、8の5の1ないし6、9の5、10の5)。 込金一〇〇億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右弁済金により、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店からの借入金一〇〇億円を弁済した。そして、相互不動産は、右増資払込金一〇〇億円のうち、一株当たり五〇円、総額五〇万円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額九九億九九五〇円を資本準備金に組み入れた(乙3の5、4、5の5、6の5、7の5、8の5の1ないし6、9の5、10の5)。⑥ 平成五年一二月一六日の額面普通株式二九〇〇株引受相互不動産は、平成五年一二月一五日、額面普通株式二九〇〇株の新株を発行価額一株五〇円として発行し、原告は、同日、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店から二九億円を借り入れ、右新株を引受価額一株一〇〇万円、総額二九億円で引き受け、同日、払込取扱銀行(シティバンク・エヌ・エイ大手町支店)に新株申込証拠金として二九億円を払い込んだ。そして、相互不動産は、同日、右増資払込金二九億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右 受け、同日、払込取扱銀行(シティバンク・エヌ・エイ大手町支店)に新株申込証拠金として二九億円を払い込んだ。そして、相互不動産は、同日、右増資払込金二九億円を本件貸付金の弁済にあて、同日、原告は、右弁済金により、シティバンク・エヌ・エイ大手町支店からの借入金二九億円を弁済した。そして、相互不動産は、右増資払込金二九億円のうち、一株当たり五〇円、総額一四万五〇〇〇円を資本金に組み入れ、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額二八億九九八五万五〇〇〇円を資本準備金に組み入れた(乙3の6、4、5の6、6の6、7の6、8の6の1ないし6、9の6、10の6)。(二) 平成五年一二月一六日の額面劣後株式一一〇万株引受相互不動産は、平成五年一二月一六日、額面劣後株式一一〇万株の新株を発行し、原告は、同日、これを一株当たり五〇円、合計五五〇〇万円で引き受け、右金額を払い込んだ(弁論の全趣旨)。6 原告からフォーエスキャピタルに対する相互不動産株式の売却原告は、同年一二月二〇日、フォーエスキャピタル株式会社(以下「フォーエスキャピタル」という。)に対し、BとCから贈与を受けた前記4の相互不動産の額面普通株式四五万株及び前記5のとおり新株として引き受けた相互不動産の額面普通株式万万二九〇〇株の合計五〇万二九〇〇株を、一株当たり三一六円、合計一億五八九一万六四〇〇円で売却し、フォーエスキャピタルは、同日、原告に対し、右代金全額を支払った(別紙取引概略図⑦⑧参照)。 二月二〇日、フォーエスキャピタル株式会社(以下「フォーエスキャピタル」という。)に対し、BとCから贈与を受けた前記4の相互不動産の額面普通株式四五万株及び前記5のとおり新株として引き受けた相互不動産の額面普通株式万万二九〇〇株の合計五〇万二九〇〇株を、一株当たり三一六円、合計一億五八九一万六四〇〇円で売却し、フォーエスキャピタルは、同日、原告に対し、右代金全額を支払った(別紙取引概略図⑦⑧参照)。7 京都相互林業によるB所有の原告株式及び相互林業株式の買受け京都相互林業は、平成六年一月一一日、Bから、同人が所有する原告株式四六八万九〇〇〇株(一株当たり六七〇〇円)及び相互林業株式二一九万株(一株当たり一万一六二七円)を買い受け、代金合計五六八億七九四三万円のうち、一億八〇〇〇万円 日、Bから、同人が所有する原告株式四六八万九〇〇〇株(一株当たり六七〇〇円)及び相互林業株式二一九万株(一株当たり一万一六二七円)を買い受け、代金合計五六八億七九四三万円のうち、一億八〇〇〇万円については同日支払った上、残金については、Bが負担する債務を京都相互林業が引き受けることとし、平成七年三月五日にBの所得税五億円を立替払したが、残金は未払である(別紙取引概略図⑨⑩参照。弁論の全趣旨)。8 原告から京都相互林業に対する上場有価証券売却(一) 原告は、平成六年三月一八日、京都相互林業との間で、原告の所有する上場有価証券を代金総額五七九億三一一九万三〇〇〇円で京都相互林業に売却した(別紙取引概略図⑭参照。乙14、25の1)。(二) 京都相互林業は、原告に対し、右売却代金のうち二億五〇〇〇万円を平成六年三月一八日に、五七一億五九三六万七六八六円を同年九月七日から同月三〇日にかけて支払った。このうち、後者の支払は、同月七日から同月三〇日にかけて、京都相互林業が額面普通株式四万七五九六株の新株を発行し、これを原告が引き受けて払い込んだ増資払込金五七一億一五二〇万円が原資であった(別紙取引概略図⑮⑯⑱⑲参照)。なお、右増資払込みに当たり、原告は日本スリーエス株式会社(以下「日本スリーエス」という。)ほかから借入れをした(別紙取引概略図⑰⑳参照。弁論の全趣旨)。9 原告の確定申告原告は、本件事業年度について、前記5の相互不動産の普通額面株式合計五〇万二九〇〇株の取得価額は五二九億円である(このうち四五万株については、無償取得し、五万二九〇〇株については、五二九億円で取得した)とし、これと前記6の売買代金一億五八九一万六四〇〇円との差額五二七億四一〇八万三六〇〇円の売却損(以下「本件売却損」という。 から借入れをした(別紙取引概略図⑰⑳参照。弁論の全趣旨)。9 原告の確定申告原告は、本件事業年度について、前記5の相互不動産の普通額面株式合計五〇万二九〇〇株の取得価額は五二九億円である(このうち四五万株については、無償取得し、五万二九〇〇株については、五二九億円で取得した)とし、これと前記6の売買代金一億五八九一万六四〇〇円との差額五二七億四一〇八万三六〇〇円の売却損(以下「本件売却損」という。)が発生したとして、これを前提に、本件 については、五二九億円で取得した)とし、これと前記6の売買代金一億五八九一万六四〇〇円との差額五二七億四一〇八万三六〇〇円の売却損(以下「本件売却損」という。)が発生したとして、これを前提に、本件事業年度の法人税にかかる所得金額について、別紙「所得金額の計算表」の確定申告欄記載のとおり、所得金額を一五億七一八六万二四七四円の欠損金と算定し、その旨法人税の確定申告をした。10 被告の本件更正処分これに対し、被告は、平成八年四月四日付けで、別紙「所得金額の計算表」の原処分欄記載のとおり、原告の本件事業年度の所得金額は五〇〇億二七四二万三二六七円であると算定し、原告に対し、所得金額を五〇〇億二七四二万三二六七円、納付すべき税額を一八五億八二七二万三三〇〇円とする更正決定処分(以下「本件更正処分」という。)をした。本件更正処分の理由は、次のとおりであった。(一) 本件事業年度の原告の所得金額は、原告が平成六年六月二〇日に提出した確定申告書記載の欠損金額一五億七一八六万二四七四円に、以下(1)ないし(11)の金額を加算し、(12)及び(13)の金額を減算した上、(14)の金額を控除して計算した額である。(1) 有価証券売却損計上誤り五二七億四一〇八万三六〇〇円これは、原告が、平成五年一二月二〇日、その所有する相互不動産の株式五〇万二九〇〇株をフォーエスキャピタルに一株当たり三一六円、代金総額一億五八九一万六四〇〇円で売却し(前記6)、原告が本件株式の譲渡原価であるとする五二九億円との差額を有価証券売却損として計上した金額である。しかし、右株式の譲渡にかかる原価は、次のとおり一八〇八万五七六四円であるから、右売却損は発生しない。① B及びCからの贈与による取得四五万株取得価額 〇円② 増資払込(額面普通株式の し、右株式の譲渡にかかる原価は、次のとおり一八〇八万五七六四円であるから、右売却損は発生しない。 〇円で売却し(前記6)、原告が本件株式の譲渡原価であるとする五二九億円との差額を有価証券売却損として計上した金額である。しかし、右株式の譲渡にかかる原価は、次のとおり一八〇八万五七六四円であるから、右売却損は発生しない。① B及びCからの贈与による取得四五万株取得価額 〇円② 増資払込(額面普通株式の し、右株式の譲渡にかかる原価は、次のとおり一八〇八万五七六四円であるから、右売却損は発生しない。① B及びCからの贈与による取得四五万株取得価額 〇円② 増資払込(額面普通株式のうち額面金額に相当する分)五万二九〇〇株取得価額二六四万五〇〇〇円③ 増資払込(劣後株式)一一〇万株取得価額五五〇〇万円④ ①から③の合計一六〇万二九〇〇株取得価額五七六四万五〇〇〇円⑤ 譲渡原価 ④×五〇万二九〇〇株÷一六〇万二九〇〇株=一八〇八万五七六四円(2) 有価証券売却益計上漏れ一億四〇八三万〇六三六円これは、右(1)の本件株式の売却価額一億五八九一万六四〇〇円から同原価一八〇八万五七六四円を控除した金額である。(3) 架空支払手数料一億九四一七万四七五八円これは、原告が、平成六年一月二一日、株式会社エスティエム(以下「エスティエム」という。)に支払った二億円から消費税額を控除した金額である。すなわち、原告は、日本スリーエスとコンサルタント契約を締結し、手数料として支払う金額を両社間で取り決めていたところ、エスティエムに支払う右金銭を右コンサルタント業務の手数料に上乗せし、あたかも同手数料であるかのごとくして支払っていた。しかし、日本スリーエスのコンサルタント業務とエスティエムに対する支払は関係がなく、エスティエムに右金銭を支払う理由が贈与以外には認められなかった。(4) 架空労務対策費五二〇〇万円これは、原告が労務対策費として計上した次の①の二〇〇万円及び②の五〇〇〇万円の合計額である。しかし、① 原告は、平成五年一一月一四日、労務対策費として二〇〇万円を支払ったとして損金に算入しているが、帳簿に支払先及び支出内容の記載がなく、また原告もその内容を明ら 〇〇万円の合計額である。しかし、① 原告は、平成五年一一月一四日、労務対策費として二〇〇万円を支払ったとして損金に算入しているが、帳簿に支払先及び支出内容の記載がなく、また原告もその内容を明らかにしないため、支払った事実及びその使途を確認することができない。 一一月一四日、労務対策費として二〇〇万円を支払ったとして損金に算入しているが、帳簿に支払先及び支出内容の記載がなく、また原告もその内容を明ら 〇〇万円の合計額である。しかし、① 原告は、平成五年一一月一四日、労務対策費として二〇〇万円を支払ったとして損金に算入しているが、帳簿に支払先及び支出内容の記載がなく、また原告もその内容を明らかにしないため、支払った事実及びその使途を確認することができない。したがって、右金額を損金に算入することはできない。② 原告は、平成五年一一月二六日付けで大阪相互タクシーから五〇〇〇万円を借り入れ、これを労務対策費として支出したとして損金の額に算入している。しかし、大阪相互タクシーから原告に対して右借入れにかかる金額が支払われた事実は認められず、また、原告が右金額を労務対策費として実際に支出した事実も認められない。したがって、右金額を損金に算入することはできない。(5) 架空支払利息六三万〇一三六円これは、前記(4)の②の大阪相互タクシーから原告が借り入れたとする五〇〇〇万円に対する利息として未払金に計上された金額である。しかし、右金額は、原告の右借入れの事実がないことから、これに対する利息の支払が発生することはありえないので、右金額を損金に算入することはできない。(6) 減価償却超過額三二六一万一二一二円これは、原告が財団法人A文化教育記念財団に寄附した固定資産に係る減価償却費の金額として本件事業年度の損金の額に算入された金額である。しかし、右固定資産は、原告が取得してから寄附されるまでの間使用されたことはなく、事業の用に供されていたとはいえないから、これに係る減価償却費の金額を損金に算入することはできない。(7) 雑損失の過大計上額一七一六万九七七七円これは、原告が損金の額に算入した次の①の一二〇七万二五九七円及び②の五〇九万七一八〇円の各金額の合計額である。① 原告は、Dの銅像及び壁画 雑損失の過大計上額一七一六万九七七七円これは、原告が損金の額に算入した次の①の一二〇七万二五九七円及び②の五〇九万七一八〇円の各金額の合計額である。① 原告は、Dの銅像及び壁画の取得に係る消費税額一三四一万三九九六円を控除対象外消費税額として雑損失に計上し損金の額に算入した。しかし、右消費税額は、資産取得に係るものであることから、繰延消費税額として一時の損金の額に算入することはできず、損金算入限度額を超える一二〇七万二五九七円は損金に算入されない。 損金の額に算入した次の①の一二〇七万二五九七円及び②の五〇九万七一八〇円の各金額の合計額である。① 原告は、Dの銅像及び壁画の取得に係る消費税額一三四一万三九九六円を控除対象外消費税額として雑損失に計上し損金の額に算入した。しかし、右消費税額は、資産取得に係るものであることから、繰延消費税額として一時の損金の額に算入することはできず、損金算入限度額を超える一二〇七万二五九七円は損金に算入されない。② 原告は、前記(3)のエスティエムに支払った二億円に含まれる消費税額五八二万五二四二円のうち、控除対象外消費税額となる五〇九万七一八〇円を雑損失に計上し、損金の額に算入した。しかし、エスティエムに支払った二億円は手数料ではなく寄附金と認められ、これに対して消費税は課税されないから、原告が右取引に係る控除対象外消費税額として計上した五〇九万七一八〇円は損金に算入されない。(8) 交際費等の損金不算入額七万二一九八円これは、原告が法人税の確定申告書で交際費等の損金不算入額の対象とした交際費等の額二七六万一五五二円に係る消費税額八万一七〇七円のうち、課税売上割合に基づいて計算される控除対象外消費税額であるが、右は交際費等の損金不算入額の対象となるので、損金に算入されない。(9) 受取配当の益金不算入額の過大額二万一一六三円これは、原告が確定申告書に添付した受取配当等の益金不算入に関する明細書に記載した「当年度実績による場合の総資産価額等の計算」に誤りがあり、正当額に基づき再計算した結果、原告の申告に係る益金不算入額が過大と認められた金額である。(10) 雑益の計上漏れ金額五七円これは、原告の決算において未 誤りがあり、正当額に基づき再計算した結果、原告の申告に係る益金不算入額が過大と認められた金額である。(10) 雑益の計上漏れ金額五七円これは、原告の決算において未払消費税額として計算された金額である六七万七九五七円と、消費税の実際の納付額である六七万七九〇〇円との差額であり、いわゆる消費税の精算差額として益金の額に算入される。(11) 寄附金の損金不算入額五二四億八七〇九万四三二五円これは、原告が確定申告書に添付した寄附金の損金算入に関する明細書の「その他の寄附金」の額に次の①ないし③の金額を加算し損金算入限度額を計算した結果生ずる損金不算入額である。すなわち、① 相互不動産が増資を行うに際し、原告が同社に贈与したと認められる普通株式の額面金額を上回る増資払込金五二八億九七三五万五〇〇〇円エスティエムに支払った架空手数料一億九四一七万四七五八円(前記(3))及び同手数料に係る消費税とされる五八二万五二四二円の合計額二億円③ 財団法人A文化教育記念財団に対して寄附した資産に係る減価償却費相当額(前記(6)) 三二六一万一二一二円(12) 寄附金の損金算入額五三一億二九九六万六二一二円これは、右(11)の①ないし③に記載した金額の合計額である。 回る増資払込金五二八億九七三五万五〇〇〇円エスティエムに支払った架空手数料一億九四一七万四七五八円(前記(3))及び同手数料に係る消費税とされる五八二万五二四二円の合計額二億円③ 財団法人A文化教育記念財団に対して寄附した資産に係る減価償却費相当額(前記(6)) 三二六一万一二一二円(12) 寄附金の損金算入額五三一億二九九六万六二一二円これは、右(11)の①ないし③に記載した金額の合計額である。(13) 雑損失の損金算入額三二万九八二二円これは、原告の本件事業年度に係る消費税の確定申告において、課税売上割合の計算に誤りがあったことから、正当額に基づき納付すべき消費税額を計算した結果、控除対象外消費税額が増加して仕入税額控除の金額が減少した金額四九万八六〇〇円のうち、次の①、②の金額を除いた金額である。これらの金額を除くのは、雑損失及び寄附金として既に他の項日で損金の額に算入済みであるからである(前記( 入税額控除の金額が減少した金額四九万八六〇〇円のうち、次の①、②の金額を除いた金額である。これらの金額を除くのは、雑損失及び寄附金として既に他の項日で損金の額に算入済みであるからである(前記(7)の①及び(12))。日本スリーエス(エスティエム)に対する二億円の支払(前記(3)及び(7)の②)に係る消費税として、原告の消費税の確定申告において控除対象として計算された金額五万〇一〇五円D銅像及び壁画の取得に係る消費税額のうち、控除対象外消費税額とされる金額であって、繰延消費税として損金本件事業年度の損金の額に算入された金額(前記(7)の①) 一一万八六七三円(14) 繰越欠損金の控除額九億三六一〇万六〇八七円これは、原告の前事業年度から繰り越した欠損金額で、法人税法(以下「法」という。)五七条に基づき本件事業年度において控除することができる金額である。(二) 原告の右所得金額に基づいて法人税額を計算すると、一八五億八二七二万三三〇〇円となる。11 また、被告は、右10(一)の(3)ないし(5)に述べた所得に係る原告の各行為は、国税通則法六八条一項にいう「国税の課税標準等の計算の基礎となるべき事実の全部及び一部を隠ぺいし、または仮装し、その隠ぺいし、または仮装したところに基づき納税申告書を提出したとき」に当たるとして、平成八年四月四日付で、原告に対し、重加算税三三〇六万一〇〇〇円の賦課課税処分(以下「本件重加算税賦課処分」という。 なる。11 また、被告は、右10(一)の(3)ないし(5)に述べた所得に係る原告の各行為は、国税通則法六八条一項にいう「国税の課税標準等の計算の基礎となるべき事実の全部及び一部を隠ぺいし、または仮装し、その隠ぺいし、または仮装したところに基づき納税申告書を提出したとき」に当たるとして、平成八年四月四日付で、原告に対し、重加算税三三〇六万一〇〇〇円の賦課課税処分(以下「本件重加算税賦課処分」という。)をした。その計算根拠は、右10(一)の(3)ないし(5)によって増加する法人税額九四四六万三三〇〇円(ただし、国税通則法一一八条三項により一万円未満の端数切り捨て)に三五パーセントを乗じた金額である。12 さらに、被告は、平成八年四月四日付で、原告に対し、原告の法人税額一 額九四四六万三三〇〇円(ただし、国税通則法一一八条三項により一万円未満の端数切り捨て)に三五パーセントを乗じた金額である。12 さらに、被告は、平成八年四月四日付で、原告に対し、原告の法人税額一八五億八二七二万三三〇〇円から、右11の重加算税を賦課すべき所得金額に対応する法人税額九四四六万三三〇〇円を差し引いた一八四億八八二六万円について、過少申告加算税二七億七三二一万四〇〇〇円の賦課課税処分(以下「本件過少申告加算税賦課処分」という。)をした。その計算根拠は、右一八四億八八二六万円に一〇パーセントを乗じて計算した一八億四八八二万六〇〇〇円と、当該金額から原告の確定申告に係る税額と五〇万円とのいずれか多い金額を差し引いた金額一八四億八七七六万円に五パーセントを乗じて計算した九億二四三八万八〇〇〇円の合計額である。13 これに対して、原告は、本件事業年度の所得金額は、別紙「所得金額の計算表」の「審査請求(本訴請求)」欄記載のとおり、一一億三四六八万二三五九円の欠損金であるとして、本件更正決定、本件重加算税賦課決定処分及び本件過少申告加算税賦課処分のうち、右欠損金一一億三四六八万二三五九円を超える部分の取り消しを求めて、平成八年六月三日、金沢国税局長に対して異議を申し立てたが、同年九月三日付けで棄却され、同年一〇月二日、国税不服審判所長に審査請求の申立てをしたが、平成一〇年六月二五日付けで棄却された。14 なお、本件において、原告は、本件更正処分における本件事業年度の原告の所得金額の認定のうち前記10(一)の(2)ないし(10)、(13)及び(14)、前記11の本件重加算税賦課処分の要件である国税通則法六八条一項の要件該当性については、その適法性を争っていない。 てたが、同年九月三日付けで棄却され、同年一〇月二日、国税不服審判所長に審査請求の申立てをしたが、平成一〇年六月二五日付けで棄却された。14 なお、本件において、原告は、本件更正処分における本件事業年度の原告の所得金額の認定のうち前記10(一)の(2)ないし(10)、(13)及び(14)、前記11の本件重加算税賦課処分の要件である国税通則法六八条一項の要件該当性については、その適法性を争っていない。二争点 1 本件増資払込金のうち、その額面金額かつ発行価額でもある一 び(14)、前記11の本件重加算税賦課処分の要件である国税通則法六八条一項の要件該当性については、その適法性を争っていない。二争点 1 本件増資払込金のうち、その額面金額かつ発行価額でもある一株五〇円を超える部分は法三七条の寄附金に当たるか。2 本件増資払込金のうち、その額面金額であり発行価額でもある一株五〇円を超える部分を法一三二条一項一号により否認し贈与と認めることはできるか。三当事者の主張 1 争点1について(被告の主張)法三七条六項及び七項が規定する「贈与又は無償の供与」は、税法上の固有概念であるから、その認定の対象となる取引が民法上の贈与である必要はなく、経済的価値を対価なく他に移転する行為であって、そのことにつき経済取引として十分に首肯し得る合理的理由がないものであれば足りるところ、本件増資払込みは、赤字子会社に対する増資払込みであって、債務超過額を減少させるにとどまり、取得する新株の時価に何ら反映されないから、経済的価値を対価なく移転する行為であり、また、原告が本件増資払込みをしたのは、上場株式売却によって生ずる有価証券売却益を消去するために、その売却益に見合う株式譲渡損を発生させることを目的としたものであり、額面金額かつ発行価額である一株当たり五〇円を超えて引き受け、払い込むことに経済取引として十分に首肯し得る合理性は全く認められないから、本件増資払込金のうち、一株当たり五〇円を超える部分は寄附金に当たる。これをふえんすると、次のとおりである。(一) 法三七条六項の「贈与」の概念について寄附金制度の趣旨に照らし、寄附金に当たるか否かは私法上の法形式ではなく、当該行為が利益処分性を有するか否かという実質によって判断されるべきであって、法三七条六項が名義を問わないことを明らかにしており、また、同条七項の資 合理性は全く認められないから、本件増資払込金のうち、一株当たり五〇円を超える部分は寄附金に当たる。これをふえんすると、次のとおりである。(一) 法三七条六項の「贈与」の概念について寄附金制度の趣旨に照らし、寄附金に当たるか否かは私法上の法形式ではなく、当該行為が利益処分性を有するか否かという実質によって判断されるべきであって、法三七条六項が名義を問わないことを明らかにしており、また、同条七項の資 し、寄附金に当たるか否かは私法上の法形式ではなく、当該行為が利益処分性を有するか否かという実質によって判断されるべきであって、法三七条六項が名義を問わないことを明らかにしており、また、同条七項の資産の譲渡が実質的な贈与を意味することからも、同条六項及び七項が規定する「贈与又は無償の供与」は、税法上の固有概念と解すべきである。したがって、その認定の対象となる取引が民法上の贈与である必要はなく、資産又は経済的利益を対価なく他に移転する行為であって、そのことにつき経済取引として十分に首肯し得る合理的理由がないものであれば足りる。(二) 本件増資払込みの対価性について本件増資払込みは、原告の赤字子会社である相互不動産の債務超過額を減少させるにとどまり、本件株式の時価に何ら反映されないため、原告は経済的価値を対価なく相互不動産に移転したものというべきである。すなわち、株式は会社財産に対する割合的持分の性質を有し、株主は会社の純資産を株式保有割合に応じて間接的に保有しているから、増資払込金が増資会社の純資産を増加させる場合は、その増加分は増資後の株式保有割合に応じた間接保有の対象となることによって取得する新株の時価に反映され、時価を超える払込みがされれば株式の時価は上昇する。これに対し、本件のように、増資払込みが増資会社の債務超過額を減少させるにとどまる場合は、時価を超える払込みがされても右のような関係は存在し得ず、本件株式が本件増資払込金の直接の対価としての価値を有するとはいえない。(2) 原告は、増資払込みにより株式を取得した場合は、商法、法人税法施行令及び企業会計原則上、その取得価額は払い込んだ金額によるとされていることを理由として、本件において、原告は本件増資払込みにより払込金額で評価される本件株式を対価として取得したものであり、こ 法施行令及び企業会計原則上、その取得価額は払い込んだ金額によるとされていることを理由として、本件において、原告は本件増資払込みにより払込金額で評価される本件株式を対価として取得したものであり、これによる損益が生ずることはない旨主張するが、法三七条(寄附金の損金不算入)の解釈、適用上、増資払込金の中に寄附金と認定される額がある以上、その部分は法人税法上の評価としては「払い込んだ金額」(法人税法施行令三八条一項一号)に当たらず、また、法三七条は法二二条三項にいう「別段の定め」に当たるため、商法上の評価や企業会計原則上の取扱いにかかわらず適用される。 る本件株式を対価として取得したものであり、これによる損益が生ずることはない旨主張するが、法三七条(寄附金の損金不算入)の解釈、適用上、増資払込金の中に寄附金と認定される額がある以上、その部分は法人税法上の評価としては「払い込んだ金額」(法人税法施行令三八条一項一号)に当たらず、また、法三七条は法二二条三項にいう「別段の定め」に当たるため、商法上の評価や企業会計原則上の取扱いにかかわらず適用される。実質的にみても、法人税法施行令三八条は、法三〇条一項(平成一二年法律第一四号による改正前)及び法人税法施行令三四条一項を受けて、有価証券の譲渡原価の計算のために定められた規定であり、法人が有価証券譲渡益を獲得する上で必要な費用としての原価(法二二条三項一号)を算定するための規定である。そして、発行価額を超えて新株を引き受けることは理論上可能であっても、その必要はなく、実務においても株式の申込者が株式申込証に発行価額と異なる引受価額を記載することは通常予定されていない。このことからすると、法人税法施行令三八条一項一号は、発行価額をもって引き受け、払い込むことが必要であり、かつ、それが常態であることを前提に、払込みによって取得した株式の取得価額を払い込んだ金額によることとしたものと解される。ところが、本件株式の額面金額及び発行価額はいずれも五〇円であって、これを取得するために五〇円を超える金額で引き受ける必要は全くない。にもかかわらず、五〇円を超える金額までを原価に含めることが、右条項の趣旨に反することは明らかである。(3) また、原告は、本件において、相互不動産は本件増資払込金の全額を資本 ける必要は全くない。にもかかわらず、五〇円を超える金額までを原価に含めることが、右条項の趣旨に反することは明らかである。(3) また、原告は、本件において、相互不動産は本件増資払込金の全額を資本勘定に組み入れ、原告は本件増資払込金の全額を有価証券勘定に計上しているから、本件増資払込みによる損益は発生せず、本件増資払込金は相互不動産の益金を構成しない以上、論理必然的にその全額が本件株式の取得価額となる、したがって、増資会社において増資払込金とされるものにつき、法三七条に規定する寄附金に当たるものが含まれていることはあり得ない旨主張する。しかし、資本取引は増資払込みを受けた側の問題であり、相互不動産にとって益金(受贈益)とならず資本勘定となることと、原告にとっての損失(寄附金)が発生するとすることとは、何ら矛盾するものではない。 益金を構成しない以上、論理必然的にその全額が本件株式の取得価額となる、したがって、増資会社において増資払込金とされるものにつき、法三七条に規定する寄附金に当たるものが含まれていることはあり得ない旨主張する。しかし、資本取引は増資払込みを受けた側の問題であり、相互不動産にとって益金(受贈益)とならず資本勘定となることと、原告にとっての損失(寄附金)が発生するとすることとは、何ら矛盾するものではない。(4) さらに、原告は、税務上も債務超過の会社に対する増資払込みについては寄附金認定はしないとする取扱いである旨主張し、根拠として法人税基本通達(以下「基本通達」という。)九‐一‐一〇の二を挙げるが、右通達は、親会社が赤字の子会社に対して増資払込みをすることについては、その事情においてやむを得ない場合があることが考えられることなどから、親会社が赤字子会社の増資を引き受け、時価を超える払込みをした場合に、そのような増資払込み行為にも経済的合理性が認められる場合があり、時価と払込金額の差額を企業支配の対価ととらえる有力な見解もあることに配慮したものであり、そのような経済的合理性がないことが明らかな本件のような事案についてまで、その趣旨が妥当するものではない。本件のような株式売却損を発生させるための増資払込みは、およそ右通達が予定する場合といえない。(三) 本件増資払込みの経済的合理性(1) 原告が、本件株式を まで、その趣旨が妥当するものではない。本件のような株式売却損を発生させるための増資払込みは、およそ右通達が予定する場合といえない。(三) 本件増資払込みの経済的合理性(1) 原告が、本件株式を発行価額をはるかに超える金額で引き受け、本件増資払込みをしたのは、後に原告が京都相互林業に上場株式を売却する(前提事実8)ことによって生ずる有価証券売却益を消去するために、その売却益に見合う株式譲渡損を発生させることを目的としたものであり、額面金額かつ発行価額である一株当たり五〇円を超えて引き受け、払い込むことに経済取引として十分に首肯し得る合理性は全く認められない。(2) 原告は、増資払込金額の決定に当たり時価を基準としなければならないとする法律上、企業会計原則上の制約はないから、増資払込金額について時価を問題とする余地はないし、株式の申込者は、発行価額より高い引受価額で引き受ける旨を株式申込証に記載することができ、これに基づいて株式の割当てがされたとしても商法上は適法であり、このような商法上適法かつ正当な増資払込みについては寄附金と認める余地はない旨主張するが、適法、有効かつ正当な取引であるか、違法、無効かつ不当な取引であるかということは、寄附金に当たるか否かとは無関係であるから、法律や企業会計原則上の制約に反しない適法な増資払込みであっても、寄附金と認めることは可能である。 株式申込証に記載することができ、これに基づいて株式の割当てがされたとしても商法上は適法であり、このような商法上適法かつ正当な増資払込みについては寄附金と認める余地はない旨主張するが、適法、有効かつ正当な取引であるか、違法、無効かつ不当な取引であるかということは、寄附金に当たるか否かとは無関係であるから、法律や企業会計原則上の制約に反しない適法な増資払込みであっても、寄附金と認めることは可能である。すなわち、例えば、贈与をするか否か、いかなる財産を贈与するかについて法律上の特別な制約はないから、法人は自由な意思で贈与契約を締結することができるが、当該贈与契約が民法その他の法律上適法、有効かつ正当であっても寄附金に当たり得るし、他方、当該贈与契約が公序良俗違反等により民法その他の法律上違法、無効かつ不当なものであっても、これにより法人が対価なく経済的価値を他に の他の法律上適法、有効かつ正当であっても寄附金に当たり得るし、他方、当該贈与契約が公序良俗違反等により民法その他の法律上違法、無効かつ不当なものであっても、これにより法人が対価なく経済的価値を他に移転したということができれば、そのことにつき経済取引として十分に首肯し得る合理的理由がない限り寄附金と認めることができる。(3) また、原告は、本件増資払込みは、原告が本件増資直前に相互不動産に対して有していた本件貸付金債権が回収不能となっていたことから、これを相互不動産株式に変換したもの(「貸付金の株式への変換」)にすぎず、被告の主張は、各取引行為者にとってごく当たり前の行為を殊更にあげつらうものであって、失当である旨主張するが、次のとおり、右主張は理由がない。① 本件債権の回収可能性について債権の貸倒損失が認められるためには、当該債権につき「弁済を受けることができない」と認められることが必要であり、債権者が自らの意思に基づいて恣意的に債権の回収不能状態を作出した場合には、「弁済を受けることができない」とは認められないところ、本件増資当時における相互不動産の債務超過は、原告が自らの意思に基づいて作出したものであるため、「弁済を受けることができない」とはいえず、貸倒損失として処理し得ないものであった。すなわち、「弁済を受けることができない」といえるためには、①単に債務者の債務超過の状態が相当期間継続したことのみでは十分ではなく、債務超過が相当期間継続していることによって、他から融資を受ける見込みもなく到底再起の見通しが立たず、事業を閉鎖あるいは廃止して休業するに至るなど、基本通達九‐六‐一の一ないし三に規定されている事由と同程度の信頼性をもって、回収不能が客観的に確認できることが要求され、また、②回収不能に陥った原因が通常の債権回収 いえるためには、①単に債務者の債務超過の状態が相当期間継続したことのみでは十分ではなく、債務超過が相当期間継続していることによって、他から融資を受ける見込みもなく到底再起の見通しが立たず、事業を閉鎖あるいは廃止して休業するに至るなど、基本通達九‐六‐一の一ないし三に規定されている事由と同程度の信頼性をもって、回収不能が客観的に確認できることが要求され、また、②回収不能に陥った原因が通常の債権回収 いは廃止して休業するに至るなど、基本通達九‐六‐一の一ないし三に規定されている事由と同程度の信頼性をもって、回収不能が客観的に確認できることが要求され、また、②回収不能に陥った原因が通常の債権回収努力をしないで漫然と放置したことにあるような場合や回収不能になることを予知しながら債務者からの要請のまま貸付けを行っていた場合等、債権者が自らの意思に基づいて恣意的に債権の回収不能状態を作出したときは当該要件を満たさないというべきであるところ、本件において、①相互不動産の平成五年三月期末における債務超過額は、原告が本件増資直前における本件貸付金の回収不能額(債務免除額)であると主張する五二八億九七三五万五〇〇〇円をはるかに下回る二八六億八六五二万九三九七円であったこと、②相互不動産が平成六年三月期中に事業を閉鎖あるいは廃止して休業したような事実はないこと、③平成六年三月期中に、原告以外の債権者が相互不動産に対して債務免除をした事実はないばかりか、かえって、福井銀行勝山支店は、本件増資直前である平成五年一二月一日に相互不動産に対して六億五〇〇〇万円もの貸付けを行っていること、④原告自身も、本件増資以降である平成六年一月一〇日及び同年二月二八日に相互不動産に対して一億八〇〇〇万円の貸付けを行い、さらに平成七年三月期中には合計一二億五〇〇〇万円の貸付けを行っていること、⑤相互不動産は平成七年二月二二日には、福井銀行勝山支店に対し、右③に係る債務を含め一三億四〇〇〇万円を返済していること等の事実からすれば、回収不能が客観的に確認できるとは到底いえないし、仮に回収不能が客観的に確認できるものであるとしても、⑥原告は、相互不動産に対する債権の担保として設定されていた同社所有土地に対する根抵当権を、本件増資の前後を通じて一切実行していないこと、⑦その上、 回収不能が客観的に確認できるものであるとしても、⑥原告は、相互不動産に対する債権の担保として設定されていた同社所有土地に対する根抵当権を、本件増資の前後を通じて一切実行していないこと、⑦その上、右①のとおり、平成五年三月期末において既に債務超過額が二八六億円を超えていた相互不動産に対して、平成六年三月期中に何ら明確な債権回収計画を設定しないまま、但馬大仏の建築資金の貸付けを漫然と継続していたこと、⑧仮に原告主張のように相互不動産が長楽寺に対して但馬大仏殿等を寄附したのが平成五年一一月一五日であるとしても、建設費用が既に二〇〇億円を超えていた同大仏殿等の寄附を漫然と放置していること等の事実からすれば、本件貸付金については、原告が自らの意思に基づいて恣意的に債権の回収不能状態を作出したというべきである。 何ら明確な債権回収計画を設定しないまま、但馬大仏の建築資金の貸付けを漫然と継続していたこと、⑧仮に原告主張のように相互不動産が長楽寺に対して但馬大仏殿等を寄附したのが平成五年一一月一五日であるとしても、建設費用が既に二〇〇億円を超えていた同大仏殿等の寄附を漫然と放置していること等の事実からすれば、本件貸付金については、原告が自らの意思に基づいて恣意的に債権の回収不能状態を作出したというべきである。したがって、原告が本件貸付金について回収不能(債務免除)であると主張している部分について、「弁済を受けることができない」状態であったということはできない。また、相互不動産の債務超過は、本件増資前である平成五年三月二〇日現在では二八六億八六五二万九三九七円であったのに、本件増資直前の平成五年一二月九日現在において、帳簿価額で五五一億四九七七万二七四九円の債務超過状態にあったとすれば、約九か月の間に帳簿価額で二六四億六三二四万三三五三円分増大したことになる。このように債務超過が約二倍弱にも増加した主な原因は、Dの財団法人A文化教育記念財団に対する寄贈と但馬大仏殿の宗教法人長楽寺に対する寄贈である。ところが、「寄附(贈与)契約書」(乙27)によれば、右寄贈は、いまだ完成していない建物等について、その請負契約上の注文者としての権利(地位)を無償譲渡(贈与)するという不自然な形式で行われている上、その日付は平成五年一一月一五日となっているの ば、右寄贈は、いまだ完成していない建物等について、その請負契約上の注文者としての権利(地位)を無償譲渡(贈与)するという不自然な形式で行われている上、その日付は平成五年一一月一五日となっているのに、観光客向けパンフレット(乙28)には平成六年二月二六日寄進と記載されており、同日、寄進する建造物の目録が手渡されたとの報道もされている。しかも、原告は、相互不動産の大口債権者でありながら、右D及び但馬大仏殿の寄贈による相互不動産の財政状態悪化について、何ら手だてを講じておらず、通常の経済人であれば債権確保のため当然行うであろう行動をとっていない。このことからすると、右の寄贈も、本件増資前の相互不動産の債務超過を増大させるために意図的に行われたものということができ、本件増資直前の相互不動産の債務超過が原告の意思に基づいて作出されたものであることは明らかである。 大口債権者でありながら、右D及び但馬大仏殿の寄贈による相互不動産の財政状態悪化について、何ら手だてを講じておらず、通常の経済人であれば債権確保のため当然行うであろう行動をとっていない。このことからすると、右の寄贈も、本件増資前の相互不動産の債務超過を増大させるために意図的に行われたものということができ、本件増資直前の相互不動産の債務超過が原告の意思に基づいて作出されたものであることは明らかである。② 貸倒れの成否に関する原告の認識また、原告は、本件増資当時において、本件債権について貸倒損失として処理することが可能であるとは考えておらず、法人税の課税を受けずに上場株式を売却する唯一の方法と考えたために、本件一連の行為を選択したものである。③ 以上のとおり、本件増資当時における相互不動産の巨額の債務超過は、原告の意思に基づいて作出されたものであり、かつ、原告自身も、これにつき貸倒処理が可能であるとは考えておらず、法人税の課税を受けずに上場株式を売却する唯一の方法と考えて、本件一連の行為を選択したというのであるから、これをもって取引当事者にとってごく当たり前の行為ということはできない。(原告の主張)法三七条六項が規定する寄附金は典型的な借用概念であって、商法上適法かつ正当な本件増資払込みが問題とされる余地はなく、また、本件増資払込みによって原告は払込金額で評価される新株 。(原告の主張)法三七条六項が規定する寄附金は典型的な借用概念であって、商法上適法かつ正当な本件増資払込みが問題とされる余地はなく、また、本件増資払込みによって原告は払込金額で評価される新株を対価として得たのであって、このことは、商法、法人税法施行令及び企業会計原則が払込みによって取得した株式の取得価額を払い込んだ金額としていることや、基本通達九‐一‐一〇の二が赤字子会社に対する増資払込みについても寄附金には当たらないとする取扱いをしていることからも明らかであり、本件増資払込みによって損益は生じ得ないから、本件増資払込金を寄附金と認める余地はない。また、本件増資払込みは、その直前に原告が相互不動産に対して有していた本件貸付金債権が回収不能となっていたことから、これを相互不動産株式に変換したにすぎず、合理的経済人としてごく当たり前の行為であるから、やはり本件増資払込金を寄附金と認める余地はない。これをふえんすると、次のとおりである。 ることからも明らかであり、本件増資払込みによって損益は生じ得ないから、本件増資払込金を寄附金と認める余地はない。また、本件増資払込みは、その直前に原告が相互不動産に対して有していた本件貸付金債権が回収不能となっていたことから、これを相互不動産株式に変換したにすぎず、合理的経済人としてごく当たり前の行為であるから、やはり本件増資払込金を寄附金と認める余地はない。これをふえんすると、次のとおりである。(一) 法三七条六項の「贈与」の概念について法三七条六項の「金銭その他の資産の贈与」の「贈与」とは、典型的な借用概念であって、民法上の贈与と同意義に解すべきである。すなわち、神戸地裁昭和五八年一二月一九日判決は、法三七条六項の寄附金の一般的意義について、「寄附金の規定が『金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与』と規定していることに照らすならば、寄附金の概念は、民法上の贈与のそれと実質的に同一であり、ただ、移転の対象となるものが財産に限定されず、財産以外の経済的利益を含むところに違いがあるだけであると解するのが相当である。」と判示している。また、一般に、寄附金とは、「私法上の贈与(民法五四九条)を本質とするものである」と解されている。(二) 本件増資払込みの対価性について(1)① けであると解するのが相当である。」と判示している。また、一般に、寄附金とは、「私法上の贈与(民法五四九条)を本質とするものである」と解されている。(二) 本件増資払込みの対価性について(1)① 法人税法施行令三八条一項一号は、払込みにより取得した有価証券については、その払い込んだ金額をもって取得価額とする旨規定している。有価証券の取得価額は、その有価証券について、譲渡した場合の譲渡原価となり、評価換えをする場合の基礎となるところ、法入税法施行令三八条においては、一般的な取得形態、すなわち払込みにより取得した有価証券については払込価額、購入した有価証券については購入対価の額に購入手数料その他の取得に要した費用の額を加算した金額、合併又は現物出資により取得した有価証券についてはその受入価額、その他の方法により取得した有価証券についてはその取得のために通常要する価額によるとしているから、金銭の払込みにより取得した有価証券の取得価額は、有利な発行価額により取得したものとされる場合を除き、その払い込んだ金額である。 券については払込価額、購入した有価証券については購入対価の額に購入手数料その他の取得に要した費用の額を加算した金額、合併又は現物出資により取得した有価証券についてはその受入価額、その他の方法により取得した有価証券についてはその取得のために通常要する価額によるとしているから、金銭の払込みにより取得した有価証券の取得価額は、有利な発行価額により取得したものとされる場合を除き、その払い込んだ金額である。そうすると、額面株式については、その払い込んだ金額を取得価額とするものであり、プレミアムがあるときには、額面金額にプレミアムを加算した金額が取得価額となる。したがって、原告が取得した本件株式五万二九〇〇株は、金銭の払込みにより取得した有価証券に当たるから、本件増資払込金五二九億円全額をその取得価額とすべきものである。② 商法二八五条の六第一項は、「株式ニ付テハ其ノ取得価額ヲ附スルコトヲ要ス」と規定し、同条第三項(平成一一年法律第一二五号による改正前)は、「取引所ノ相場ナキ株式ニ付テハ其ノ発行会社ノ資産状態が著シク悪化シタルトキハ相当ノ減額ヲ為スコトヲ要ス」と規定している。③ 企業会計原則の「第三貸借対照表原則」の五(資産の 五号による改正前)は、「取引所ノ相場ナキ株式ニ付テハ其ノ発行会社ノ資産状態が著シク悪化シタルトキハ相当ノ減額ヲ為スコトヲ要ス」と規定している。③ 企業会計原則の「第三貸借対照表原則」の五(資産の貸借対照表価額)は、次のように定めている。・貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として、当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない。・有価証券については、原則として購入代価に手数料等の付随費用を加算し、これに平均原価法等の方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする。・ただし、取引所の相場のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない。取引所の相場のない有価証券のうち株式については、当該会社の財政状態を反映する株式の実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をしなければならない。・取引所の相場のある有価証券で子会社の株式以外のものの貸借対照表価額は、時価が取得価額よりも下落した場合には時価による方法を適用して算定することができる(貸借対照表原則五A参照)。 ると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない。取引所の相場のない有価証券のうち株式については、当該会社の財政状態を反映する株式の実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をしなければならない。・取引所の相場のある有価証券で子会社の株式以外のものの貸借対照表価額は、時価が取得価額よりも下落した場合には時価による方法を適用して算定することができる(貸借対照表原則五A参照)。そして、右企業会計原則に定める有価証券の取得原価については、一般的には、購入時の購入代価を基礎とするが、具体的には取得形態により測定方法が異なることになり、増資による有償取得の場合には、払込金額をもって貸借対照表価額とすることになると解されている。このように、増資会社において増資払込金とされるものは、出資者にとって増資新株の取得の対価にほかならないから、本件増資払込金には本件株式という対価があり、本件増資払込金に寄附金に当たるものが含まれることはあり得ない。(2)① 相互不動産は、本件増資払込金五二九億円のうち一株当たり五〇円、総額二六四万五〇〇〇 増資払込金には本件株式という対価があり、本件増資払込金に寄附金に当たるものが含まれることはあり得ない。(2)① 相互不動産は、本件増資払込金五二九億円のうち一株当たり五〇円、総額二六四万五〇〇〇円を資本金勘定に計上すると共に、その余の一株当たり九九万九九五〇円、総額五二八億九七三五万五〇〇〇円を資本勘定である資本準備金勘定に計上し、他方、原告は、法人税法施行令三八条一項の規定するところに従い、本件増資払込金五二九億円を、出資払込金として資産勘定である有価証券勘定に計上している。② 本件増資払込み当時、相互不動産の発行済株式総数四五万株の全部を原告が所有し、本件増資払込みにより新たに発行される株式(五万二九〇〇株)の全部を原告が引き受けたのであるから、原告は、相互不動産を一〇〇パーセント支配している株主として、本件増資払込金の全額を実質的に支配するという立場にあった。したがって、本件増資払込みによって、本件増資払込金の全部又は一部が、実質的に、原告以外の第三者に移転するというようなこともなかった。③ 原告は、本件増資直前の平成五年一二月九日現在において、相互不動産に対して有していた貸付金(九四一億六二一四万五八七三円)のうちの五二九億円につき、これを回収した旨の会計処理をしており、原告が本件増資払込みによって一旦相互不動産に対して出捐した五二九億円は、同社に対する貸付金の返済金として原告の手元に戻っている。 金の全部又は一部が、実質的に、原告以外の第三者に移転するというようなこともなかった。③ 原告は、本件増資直前の平成五年一二月九日現在において、相互不動産に対して有していた貸付金(九四一億六二一四万五八七三円)のうちの五二九億円につき、これを回収した旨の会計処理をしており、原告が本件増資払込みによって一旦相互不動産に対して出捐した五二九億円は、同社に対する貸付金の返済金として原告の手元に戻っている。④ したがって、本件増資払込みによって、原告に損失が発生したとする事実はないから、本件増資払込金に寄附金に当たるものが含まれることはあり得ない。(3) 税務上も、債務超過の会社に対する増資払込みについては寄附金認定はしないとする取扱いである。基本通達九‐一‐一〇の二は、「株式(出資を含む。以下九‐一‐一〇の二において同じ。)を り得ない。(3) 税務上も、債務超過の会社に対する増資払込みについては寄附金認定はしないとする取扱いである。基本通達九‐一‐一〇の二は、「株式(出資を含む。以下九‐一‐一〇の二において同じ。)を有している法人が当該株式の発行法入の増資に係る新株を引き受けて払い込みをした場合には、仮に当該発行法人が増資の直前において債務超過の状態にあり、かつ、その増資後においてなお債務超過の状態が解消していないとしても、その増資後における当該発行法人の株式については(法人税法施行)令六八条二号ロ(非上場有価証券及び企業支配株式の評価損の計上ができる場合)に掲げる事実はないものとする。ただし、その増資から相当の期間を経過した後において改めて当該事実が生じたと認められる場合には、この限りでない。」と定めており、右通達は、「株式を有している法人が当該株式の発行法人の増資に係る新株を引き受けて払い込みをした場合に、当該発行法人が増資の直前において債務超過の状態にあり、かつ、その増資後においてなお債務超過の状態が解消していない」という状況が存在することを前提として、「増資直後における評価損の計上」を制限する旨を定めているにすぎない上、右通達は、「当該発行法人が増資の直前において債務超過の状態にあり、かつ、その増資後においてなお債務超過の状態が解消していない」場合であっても、その増資によって取得された新株式については、当該増資払込金額をもって取得価額とするということを当然の前提としているのであって、その増資に当たって増資直前における当該発行会社の株式の時価や増資後における当該株式の時価のいかんによって、当該増資払込金が寄附金に当たるか否かを判断するなどという定めはしていない。 超過の状態にあり、かつ、その増資後においてなお債務超過の状態が解消していない」場合であっても、その増資によって取得された新株式については、当該増資払込金額をもって取得価額とするということを当然の前提としているのであって、その増資に当たって増資直前における当該発行会社の株式の時価や増資後における当該株式の時価のいかんによって、当該増資払込金が寄附金に当たるか否かを判断するなどという定めはしていない。したがって右通達は、「債務超過の赤字会社に対する増資新株の払込みについては、通常の経済取 る当該株式の時価のいかんによって、当該増資払込金が寄附金に当たるか否かを判断するなどという定めはしていない。したがって右通達は、「債務超過の赤字会社に対する増資新株の払込みについては、通常の経済取引からすれは、そのような増資払込みには応じないことであろう。そして、増資後も債務超過の状態が解消しないような増資払込みについては、その赤字会社に対する一種の贈与(寄附金)である」という考え方を否定する趣旨で定められたものである。被告は、右通達は、親会社が赤字子会社の増資を引き受け、時価を超える払込みをした場合に、そのような増資払込み行為にも経済的合理性が認められる場合もあることから、そのような場合を念頭に置いた規定であり、本件のような株式売却損を発生させるための増資払込みは、およそ右通達が予定する場合とはいえない旨主張するが、そもそも、親会社の赤字子会社に対する増資払込みについて時価を問題とする余地はない(増資払込金額の決定に当たり時価を基準としなければならないとする法律上、企業会計原則上の制約はないから、増資払込金額について時価を問題とする余地はない。)。また、有価証券の取得価額は、その有価証券について、譲渡した場合の譲渡原価となり、評価換えをする場合の基礎となるものである(法三〇条参照)から、増資により取得した株式について売却による損益の発生を予定しないで、その評価に関する通達を定めることはあり得ない。(三) 本件増資払込みの経済的合理性(1) 増資払込金額の決定に当たり時価を基準としなければならないとする法律上、企業会計原則上の制約はないから、増資払込金額について時価を問題とする余地はない。また、新株式を発行する会社が定める発行価額は、発行予定価額ないし最低発行価額であって、株式の申込者は、発行価額と異なる引受価額を申込証に記 発生を予定しないで、その評価に関する通達を定めることはあり得ない。(三) 本件増資払込みの経済的合理性(1) 増資払込金額の決定に当たり時価を基準としなければならないとする法律上、企業会計原則上の制約はないから、増資払込金額について時価を問題とする余地はない。また、新株式を発行する会社が定める発行価額は、発行予定価額ないし最低発行価額であって、株式の申込者は、発行価額と異なる引受価額を申込証に記 から、増資払込金額について時価を問題とする余地はない。また、新株式を発行する会社が定める発行価額は、発行予定価額ないし最低発行価額であって、株式の申込者は、発行価額と異なる引受価額を申込証に記載することができると解されているから、額面株式が額面以上の価額をもって発行される場合において、株式の申込者が、新株の発行価額より高い引受価額を株式申込証に記載し、これに基づいて株式の割当てがされたとしても、商法上適法な株式割当てである。そうすると、原告が本件株式を額面金額かつ発行価額である一株当たり五〇円を超える一株当たり一〇〇万円で引き受けたことは、商法上、適法かつ正当な投資行為である。原告の払込金額と発行価額とを比較して論ずる被告の主張は、法律上、何の意味をも有しない事柄を問題とするものであり、失当である。(2) 本件増資の直前である平成五年一二月九日現在、相互不動産の財政状態は、帳簿価額で五五一億四九七七万二七四九円、時価評価で五七七億五二〇二万一五三一円の債務超過であり、このため、原告の相互不動産に対する貸付金の額九四一億六二一四万五八七三円のうちの五七七億五二〇二万一五三一円が回収不能の状況にあり客観的に貸倒れの状態にあった。そこで、原告は、本件増資払込金として相互不動産の預金口座に振り込んだ五二九億円について、これを有価証券勘定に計上すると共に、相互不動産に対する貸付金のうち五二九億円を回収した旨の会計処理を行い、この結果、有価証券(子会社株式)という資産が五二九億円増加したが、その反面で、原告が増資直前に有していた相互不動産に対する貸付金九四一億六一二四万五八七三円のうちの五二九億円が減少するという結果が生じた。これは、原告が相互不動産に対して本件増資の直前に有していた貸付金九四一億六二一四万五八七三円のうちの五二九億 する貸付金九四一億六一二四万五八七三円のうちの五二九億円が減少するという結果が生じた。 この結果、有価証券(子会社株式)という資産が五二九億円増加したが、その反面で、原告が増資直前に有していた相互不動産に対する貸付金九四一億六一二四万五八七三円のうちの五二九億円が減少するという結果が生じた。これは、原告が相互不動産に対して本件増資の直前に有していた貸付金九四一億六二一四万五八七三円のうちの五二九億 する貸付金九四一億六一二四万五八七三円のうちの五二九億円が減少するという結果が生じた。これは、原告が相互不動産に対して本件増資の直前に有していた貸付金九四一億六二一四万五八七三円のうちの五二九億円を、相互不動産株式に変換したもの(「貸付金の株式への変換」)であり、この場合、原告に純資産の減少は何ら生じておらず、また、右行為は合理的経済人の行為として不自然、不合理であるともいえない。2 争点2について(被告の主張)仮に本件増資払込金のうち一株五〇円を超える部分が寄附金に該当しないとすると、本件における原告の法人税負担は、原告が額面金額及び発行価額がいずれも五〇円である本件株式を一株当たり一〇〇万円で引き受け、払込みを行い、これを一株当たり三一八円で売却したことにより著しく減少するということになるが、右行為は、法一三二条一項一号に規定する同族会社である原告の行為、計算であって、純経済人の行為として極めて不自然、不合理なものであるから、同条によって、被告は右引受け、払込みを否認することができ、原告は本件株式をその額面金額であって発行価額である一株当たり五〇円で引き受けて払い込み、その余は相互不動産に贈与したものと引き直して原告の本件事業年度の所得金額を計算することができる。すなわち、(一) 法一三二条にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果」となると認められるか否かは、純経済人の行為として不自然、不合理な行為、計算であるかどうかによって判断されるべきであり、右の経済的合理性を欠く行為、計算とは、それが異常ないし変則的で租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しない場合のほか、独立、対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引と異なっている場合も含まれ、要は、「法入税の負担を不当に減少させる結果」となったか否かが重要で 理由ないし事業目的が存在しない場合のほか、独立、対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引と異なっている場合も含まれ、要は、「法入税の負担を不当に減少させる結果」となったか否かが重要であり、経済的合理性を欠いた行為又は計算の結果として税負担が減少すれば十分であって、納税者である法人に租税回避の意図ないし税負担を減少させる意図が存在することは必要でない。 させる結果」となったか否かが重要で 理由ないし事業目的が存在しない場合のほか、独立、対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引と異なっている場合も含まれ、要は、「法入税の負担を不当に減少させる結果」となったか否かが重要であり、経済的合理性を欠いた行為又は計算の結果として税負担が減少すれば十分であって、納税者である法人に租税回避の意図ないし税負担を減少させる意図が存在することは必要でない。(二) そして、本件増資払込みが、原告の法人税負担とBの所得税負担を軽減するために極めて巧妙に仕組まれた一連の行為の一環として行われたものであり、異常かつ変則的であると共に、租税回避以外に正当な理由ないし事業目的を欠いた、独立、対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引とは全く異なるものであって、純経済人の行為として極めて不合理なものである。(1) 別紙取引概略図にみるとおり、原告ら相互タクシーグループが行った一連の取引は、グループ全体として、代表者であるBの個人負債を整理すると共に、それによって発生する税負担を最大限に回避しようとしたものであり、その中でも本件増資は、原告に株式売却損を発生させると共に、原告株式の一株当たりの純資産価額を低下させる前提として必要不可欠なものであるから、これが原告の法人税負担とBの所得税負担を軽減するために仕組まれたものであることは明らかである。そして、これが早急に行われる必要があったのは、Bが原告株式の売却につき相続税加算の適用を受けることのできる平成六年一月一八日までに、原告株式の一株当たりの純資産価額をより低下させておくために、それ以前に売却損を発生させる必要があったためにすぎず、不良債権の早急な処理が必要であったことによるものとはいえない。このことは、原告が、相互不動産に対し、本件増資払込み以降である平成六年一月一〇日及び 前に売却損を発生させる必要があったためにすぎず、不良債権の早急な処理が必要であったことによるものとはいえない。このことは、原告が、相互不動産に対し、本件増資払込み以降である平成六年一月一〇日及び同年二月二八日に一億八〇〇〇万円の貸付けを、平成六年三月二一日から平成七年三月二〇日までの事業年度においても合同一二億五〇〇〇万円の貸付けを重ねていることからもうかがわれる。(2) また、新株発行の実務においては、発行価額がそのまま引受価額とされ、発行価額と異なる引受価額で引受けがされることは通常予定されていないが、このことも、本件増資が通常の新株発行実務に比していかに異常であるかを端的に示すものといえる。 八日に一億八〇〇〇万円の貸付けを、平成六年三月二一日から平成七年三月二〇日までの事業年度においても合同一二億五〇〇〇万円の貸付けを重ねていることからもうかがわれる。(2) また、新株発行の実務においては、発行価額がそのまま引受価額とされ、発行価額と異なる引受価額で引受けがされることは通常予定されていないが、このことも、本件増資が通常の新株発行実務に比していかに異常であるかを端的に示すものといえる。(三) そして、右一連の取引の結果、原告の「法人税の負担を不当に減少させる結果」が生じたことは明らかである。(原告の主張)(一) 争点1についての主張のとおり、本件増資払込みは、原告が相互不動産に対して本件増資の直前に有していた貸付金九四一億六二一四万五八七三円のうちの五二九億円を、相互不動産株式に変換したもの(「貸付金の株式への変換」)であり、この場合、原告に純資産の減少は何ら生じておらず、また、右行為は合理的経済人の行為として不自然、不合理であるということはできない。(二) (被告の主張に対する反論)(1) 被告は、別紙取引概略図①ないし⑳記載の一連の取引は、原告らグループ全体として、代表者であるBの個人負債を整理することを目的としてされた旨主張するが、Bが行った取引行為は、贈与税、相続税の納付資金を調達するために、同人が贈与、相続により取得した原告株式及び相互林業株式を、京都相互林業に対して譲渡したものであって、贈与税、相続税の納税義務を有するものが当然に行う取引行為であるから、右取引を不自然、不合理であるということはできない。取得した原告株式及び相互林業株式を、京都相互林業に対して譲渡したものであって、贈与税、相続税の納税義務を有するものが当然に行う取引行為であるから、右取引を不自然、不合理であるということはできない。(2) また、被告は、本件増資は、原告株式の一株当たりの純資産価額を低下させる前提として必要不可欠なものであるから、Bの所得税負担を軽減するために仕組まれたものであることは明らかである旨主張するが、Bの財産である原告株式の価値についてみると、前記のとおり、本件増資直前である平成五年一二月九日現在、原告の相互不動産に対する貸付金の額九四一億六二一四万五八七三円のうち五七七億五二〇二万一五三一円は回収不能の状況にあり客観的に貸倒れの状態にあったから、原告株式の時価評価に当たっては、右貸倒損失の額五七七億五二〇二万一五三一円を、原告の相互不動産に対する貸付金の額九四一億六一二四万五八七三円から控除して原告の純資産価額を算定すべきである。 と、前記のとおり、本件増資直前である平成五年一二月九日現在、原告の相互不動産に対する貸付金の額九四一億六二一四万五八七三円のうち五七七億五二〇二万一五三一円は回収不能の状況にあり客観的に貸倒れの状態にあったから、原告株式の時価評価に当たっては、右貸倒損失の額五七七億五二〇二万一五三一円を、原告の相互不動産に対する貸付金の額九四一億六一二四万五八七三円から控除して原告の純資産価額を算定すべきである。そうすると、本件増資払込み及び新株式の売却取引の有無にかかわらず、原告株式の評価に当たっては、右貸倒損失相当額を原告の資産金額から控除すべきことになる。したがって、右一連の取引をBの所得税負担を軽減するために仕組まれたものであるということはできない。(3) 原告は、本件増資払込み後短期間において、相互不動産の普通株式五〇万二九〇〇株を一株当たり三一六円で売却しているが、これは、本件増資払込が回収不能債権を株式に変換したものであり、その譲渡により実質的に回収不能債権の含み損(貸倒れ損)を顕在化させるものであったことから、その処理が急務であったためである。本来譲渡の自由性が法的に保証されている株式について、それが売却されたことを理由として、売却前になされた増資払込行為の適否を税務上問題とすることは本末転倒であり、かつ 処理が急務であったためである。本来譲渡の自由性が法的に保証されている株式について、それが売却されたことを理由として、売却前になされた増資払込行為の適否を税務上問題とすることは本末転倒であり、かつ、株式譲渡の自由性を否定するものである。(4) 回収不能債権を損失として顕在化するためには、債権放棄による貸倒損失の計上という方法もあり得たが、原告及び相互不動産は、増資の方法を選択したものである。損失を顕在化する方法として、合法的かつ合理的な手法が二以上ある場合においてそのいずれの方法を採用するかは、当事者の任意の判断にゆだねられるべきである。いずれにせよ、貸付金の含み損が多額に発生している場合に、これを損失の額に計上して所得金額の計算上損金の額に算入することは、合理的経済人として当然に行うべき事柄であって、異常ないし変則であるとか、独立、対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引と異なっているものではない。(5) 前記のとおり、株式の申込者が、発行価額と異なる引受価額を株式申込証に記載し、これに基づいて株式の割当てがされたとしても、商法上適法な株式割当てであるから、原告が本件株式を発行価額を超える引受価額で引き受けたことが不自然、不合理であるとはいえない。 として当然に行うべき事柄であって、異常ないし変則であるとか、独立、対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引と異なっているものではない。(5) 前記のとおり、株式の申込者が、発行価額と異なる引受価額を株式申込証に記載し、これに基づいて株式の割当てがされたとしても、商法上適法な株式割当てであるから、原告が本件株式を発行価額を超える引受価額で引き受けたことが不自然、不合理であるとはいえない。(三) また、原告は、本件増資前において発生していた相互不動産に対する貸付金の含み損の額を株式売却損として顕在化してこれを本件事業年度の損金の額に算入したのであるから、法人税を不当に減少させる結果を生じさせていない。第三争点に対する判断一本件増資払込金のうち、その額面金額かつ発行価額でもある一株五〇円を超える部分は法三七条の寄附金に当たるか(争点1)について 1 法三七条に定める寄附金の損金不算入の制度の趣旨は、寄附金もまた法人の純資産の減少ではあるが、法人が支出した 発行価額でもある一株五〇円を超える部分は法三七条の寄附金に当たるか(争点1)について 1 法三七条に定める寄附金の損金不算入の制度の趣旨は、寄附金もまた法人の純資産の減少ではあるが、法人が支出した寄附金の全額が無条件で損金となるものとすると、その寄附金に対応する分だけ当該法人の納付すべき法人税額が減少し、その寄附金は国において負担したのと同様の結果になることから、これを排除することにあると解される。そして、寄附金の意義について、法三七条六項は、「寄附金、拠出金、見舞金その他『いずれの名義をもってするかを問わず』、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」と規定しており、また、同条七項は、「『実質的に』贈与又は無償の供与」と規定していることからすると、同条六項にいう「贈与又は無償の供与」とは、民法上の贈与である必要はなく、資産又は経済的利益を対価なく他に移転する行為であれは足りるというべきである。もっとも、右「対価」の有無は、移転された資産又は経済的利益との金額的な評価、価額のみによって決すべきものではなく、当該取引に経済取引として十分に首肯し得る合理的理由がある場合には、実質的に右「対価」はあるというべきである。2 そこで、まず、本件増資払込みが、寄附金すなわち資産又は経済的利益の「贈与又は無償の供与」に当たるか否かを検討するに、原告は、本件増資払込みにより本件株式を取得したことが明らかであるから、本件株式が本件増資払込みの「対価」といえるか否か、すなわち、右取得に経済的取引として十分に首肯し得る合理的理由があるか否かが問題となる。 し得る合理的理由がある場合には、実質的に右「対価」はあるというべきである。2 そこで、まず、本件増資払込みが、寄附金すなわち資産又は経済的利益の「贈与又は無償の供与」に当たるか否かを検討するに、原告は、本件増資払込みにより本件株式を取得したことが明らかであるから、本件株式が本件増資払込みの「対価」といえるか否か、すなわち、右取得に経済的取引として十分に首肯し得る合理的理由があるか否かが問題となる。(一) 株式は会社財産に対する割合的持分の性質を有し、株主は会社の純資産を株式保有割合に応じて間接的に保有するものであるから、増資会社が債務超過の場合に、新株を発行しても増資会社 かが問題となる。(一) 株式は会社財産に対する割合的持分の性質を有し、株主は会社の純資産を株式保有割合に応じて間接的に保有するものであるから、増資会社が債務超過の場合に、新株を発行しても増資会社の債務超過額を減少させるにとどまるときは、増資払込金は増資会社の純資産を増加させることにはならず、したがって、新株式の価格は理論上は零円となる。そして、前記(前提事実3、5)のとおり、平成五年一二月九日現在における相互不動産の資産状況は、帳簿価額で五五一億四九七七万二七四九円、時価評価で五七七億五二〇二万一五三一円の債務超過であり、本件増資によっても債務超過は解消されなかったのであるから、原告の取得した本件株式の理論上の価格は零円というべきである。(1) この点につき、原告は、増資払込みにより株式を取得した場合は、商法、法人税法施行令及び企業会計原則上、その取得価額は払い込んだ金額によるとしているから、原告は本件増資払込みにより払込金額で評価される本件株式を対価として取得したものであると主張する(前記第二の三1(原告の主張)(二)(1)参照)。しかし、本件増資払込みによる現実の出捐があったとしても、法三七条の解釈、適用上、本件増資払込金の中に寄附金に当たる部分がある場合には、当該部分は法人税法上の評価としては「払い込んだ金額」(法人税法施行令三八条一項一号)に当たらないと解される。本件増資払込金は本件株式を取得するための増資払込金としての外形を有するものであるが、後記のとおり、それが実質上寄附金と判断される以上、原告の行った取引の外形に法人税法上の法的評価が拘束される理由はないから、法人税法上これを「払い込んだ金額」として、本件株式の取得価額に当たると解さなければならないものではない。 上の評価としては「払い込んだ金額」(法人税法施行令三八条一項一号)に当たらないと解される。本件増資払込金は本件株式を取得するための増資払込金としての外形を有するものであるが、後記のとおり、それが実質上寄附金と判断される以上、原告の行った取引の外形に法人税法上の法的評価が拘束される理由はないから、法人税法上これを「払い込んだ金額」として、本件株式の取得価額に当たると解さなければならないものではない。また、法三七条は同法二二条三項にいう「別段の定め 法上の法的評価が拘束される理由はないから、法人税法上これを「払い込んだ金額」として、本件株式の取得価額に当たると解さなければならないものではない。また、法三七条は同法二二条三項にいう「別段の定め」に当たるから、商法や企業会計原則上の取扱いにかかわらず適用されるものである。(2) また、原告は、本件において、相互不動産は本件増資払込金の全額を資本勘定に組み入れ、原告は本件増資払込金の全額を有価証券勘定に計上しているから、本件増資払込みによる損益は発生せず、本件増資払込金は相互不動産の益金を構成しない以上、論理必然的にその全額が本件株式の取得価額となる、したがって、増資会社において増資払込金とされるものにつき、法三七条に規定する寄附金に当たるものが含まれていることはあり得ない旨主張する。しかし、相互不動産が本件増資払込金の全額を資本勘定に組み入れたことと、原告にとって損失(寄附金)が発生するとすることとは、何ら矛盾するものではない上、原告が会計処理上、本件増資払込金の全額を有価証券勘定に計上したからといって、右原告の会計処理上の取扱いに法人税法上の法的評価が拘束される理由はない。(3) さらに、原告は、基本通達九‐一‐一〇の二は、「株式(出資を含む。以下九‐一‐一〇の二において同じ。)を有している法人が当該株式の発行法人の増資に係る新株を引き受けて払い込みをした場合には、仮に当該発行法入が増資の直前において債務超過の状態にあり、かつ、その増資後においてなお債務超過の状態が解消していないとしても、その増資後における当該発行法人の株式については(法人税法施行)令六八条二号ロ(非上場有価証券及び企業支配株式の評価損の計上ができる場合)に掲げる事実はないものとする。ただし、その増資から相当の期間を経過した後において改めて当該事実が生じたと認 受けて払い込みをした場合には、仮に当該発行法入が増資の直前において債務超過の状態にあり、かつ、その増資後においてなお債務超過の状態が解消していないとしても、その増資後における当該発行法人の株式については(法人税法施行)令六八条二号ロ(非上場有価証券及び企業支配株式の評価損の計上ができる場合)に掲げる事実はないものとする。ただし、その増資から相当の期間を経過した後において改めて当該事実が生じたと認 (法人税法施行)令六八条二号ロ(非上場有価証券及び企業支配株式の評価損の計上ができる場合)に掲げる事実はないものとする。ただし、その増資から相当の期間を経過した後において改めて当該事実が生じたと認められる場合には、この限りでない。」と定めており、税務上も増資会社が債務超過である場合の増資払込みについては寄附金には当たらないとする取扱いである旨主張する。しかし、右通達は、親会社が赤字の子会社に対して増資払込みをすることについては、企業支配、経営支援等の必要性からその事情においてやむを得ない場合があることが考えられることなどから、親会社が債務超過の子会社の増資を引き受け、時価を超える払込みをした場合に、そのような増資払込みにも経済的合理性が認められ、時価と払込金額の差額を企業支配の対価ととらえることができる場合があることを前提として規定されたものと解され、増資会社が債務超過である場合の増資払込みはおよそすべて寄附金となり得ないことを明らかにしたものではないというべきである。したがって、後に検討するような経済取引として十分に首肯し得る合理的理由がある場合はともかく、そうでない以上、右通達を理由に直ちに本件増資払込みが寄附金に当たらないということはできない。(二) そこで、次に、本件増資払込みに経済取引として十分に首肯し得る合理的理由があるか否かについてみるに、前記前提事実(3ないし6、8)に加えて、証拠(乙21ないし24)及び弁論の全趣旨によれば、原告ら相互タクシーグループは、平成五年一一月二四日から平成六年九月三〇日にかけて、別紙取引概略図①ないし⑳記載の一連の取引を行ったことが認められる。すなわち、(1) 平成五年一一月当時、Bは、原告株式と相互林業株式を所有していたが、グループ会社である両社の経営権を確保する上でその株式を第三 ①ないし⑳記載の一連の取引を行ったことが認められる。 えて、証拠(乙21ないし24)及び弁論の全趣旨によれば、原告ら相互タクシーグループは、平成五年一一月二四日から平成六年九月三〇日にかけて、別紙取引概略図①ないし⑳記載の一連の取引を行ったことが認められる。すなわち、(1) 平成五年一一月当時、Bは、原告株式と相互林業株式を所有していたが、グループ会社である両社の経営権を確保する上でその株式を第三 ①ないし⑳記載の一連の取引を行ったことが認められる。すなわち、(1) 平成五年一一月当時、Bは、原告株式と相互林業株式を所有していたが、グループ会社である両社の経営権を確保する上でその株式を第三者に売却することはできなかったため、膨大な相続税債務を返済する原資として、多額の含み益がある原告所有の上場株式を売却し、グループ全体として右債務の返済資金を捻出する方法を考えた。(2) そこで、Bは、その具体的方法として、同人の所有する原告株式と相互林業株式を、両社以外のグループ会社であってBがその発行済株式の九〇パーセントを保有する京都相互林業に売却し(別紙取引概略図⑨)、京都相互林業は、その代金の弁済に代えてBの債務の弁済を引き受け(別紙取引概略図⑩)、原告は、その所有する東北電力株式会社等の株式を京都相互林業に売却し(別紙取引概略図⑭⑮)、京都相互林業は、それを市場で売却してBから引き受けた債務の弁済資金にあてるという方法を考えた。ただし、Bの京都相互林業に対する株式の売却に対する課税は、同人に新たな債務を負担させることとなるので、できるだけその額を少なくする必要があり、そのためにはBにおいて相続税加算(相続によって取得した財産を相続税の申告期限の翌日以後二年を経過する日までに譲渡した場合に、譲渡所得の金額の計算上その譲渡した資産に係る相続税額を取得費に加算することを認めた平成六年法律第二二号による改正前の租税特別措置法三九条一項)の適用を受けることのできる平成六年一月一八日までに右売却を行うことが必要であった。(3) 原告の京都相互林業に対する上場株式の売却は、時価を下回ると原告の京都相互林業に対する寄附金の問題が生じるので、時価で行う必要があったが、右株式の時価は高額であったため、京都相互林業が仮に自己資金で賄うこととすると、右 する上場株式の売却は、時価を下回ると原告の京都相互林業に対する寄附金の問題が生じるので、時価で行う必要があったが、右株式の時価は高額であったため、京都相互林業が仮に自己資金で賄うこととすると、右株式を市場で売却しても原告への株式購入代金の支払に充てることは困難であった。 金の問題が生じるので、時価で行う必要があったが、右株式の時価は高額であったため、京都相互林業が仮に自己資金で賄うこととすると、右 する上場株式の売却は、時価を下回ると原告の京都相互林業に対する寄附金の問題が生じるので、時価で行う必要があったが、右株式の時価は高額であったため、京都相互林業が仮に自己資金で賄うこととすると、右株式を市場で売却しても原告への株式購入代金の支払に充てることは困難であった。そこで、京都相互林業における上場株式購入資金を原告からの増資払込みという形式をとることによって(別紙取引概略図⑯⑱⑲)、結果的に京都相互林業は自己資金を費消することなしに上場株式を取得し、それを市場で売却してBの債務弁済資金に充てることとした。なお、右増資払込みに当たり、原告は日本スリーエスほかから借入れ(別紙取引概略図⑰⑳)をした。(4) 他方、原告の京都相互林業に対する上場株式の売却が時価で行われれば、原告に多額の株式売却益が発生することになるため、これによる課税を免れる方法として、多額の債務超過となっている相互不動産を利用し、原告がB及びCから相互不動産株式を無償取得して(別紙取引概略図①)、相互不動産を一〇〇パーセント子会社とした上で、相互不動産に対する増資によって原告が高額で取得した新株式(別紙取引概略図②④)と併せて、第三者(フォーエスキャピタル)に低額で売却(別紙取引概略図⑦⑧)することによって、原告に株式売却損を発生させることが考え出された。このような方法で予想される売却益に見合う売却損を発生させるには、相当高額な払込みをする必要があったが、原告は相互不動産に対し巨額の貸付金を有していたため、一時的に銀行から増資資金の融資を受け、それを相互不動産に払い込んだ後、直ちに相互不動産からその額に見合う貸付金の返済を受けて銀行に返済すれば(別紙取引概略図③ないし⑥)、実質的な資金負担なしに払込資金を賄うことができた。また、これにより売却損が発生すれば、原告 後、直ちに相互不動産からその額に見合う貸付金の返済を受けて銀行に返済すれば(別紙取引概略図③ないし⑥)、実質的な資金負担なしに払込資金を賄うことができた。また、これにより売却損が発生すれば、原告株式の一株当たりの純資産価額は下落し、Bの所有する原告株式の売却価額を安く設定することができた。もっとも、右上場株式の売却益が発生すると原告株式の価額は上昇するから、原告株式の売却価額を安く設定するためには、まず貸付金の減少と売却損を発生させて価額を下げ、その価額でBが原告株式を売却し、その後に上場株式の売却益を発生させる必要があった。 金を賄うことができた。また、これにより売却損が発生すれば、原告株式の一株当たりの純資産価額は下落し、Bの所有する原告株式の売却価額を安く設定することができた。もっとも、右上場株式の売却益が発生すると原告株式の価額は上昇するから、原告株式の売却価額を安く設定するためには、まず貸付金の減少と売却損を発生させて価額を下げ、その価額でBが原告株式を売却し、その後に上場株式の売却益を発生させる必要があった。そのため、原告からフォーエスキャピタルヘの相互不動産株式の売却が平成五年一二月二〇日に行われ、翌六年一月一一日のBから京都相互林業への原告株式の売却を経て、同年三月一八日に原告から京都相互林業への上場株式の売却が行われた。(5) 原告が取得した相互不動産の株式をフォーエスキャピタルに売却すれば、その後、原告が相互不動産の議決権を確保するために必要な全株式の三分の二以上の株式を保持するには、さらに相互不動産の株式の発行を受けることが必要であったため、相互不動産は額面普通株式の二倍以上の劣後株式を発行し、これを原告が額面額で引き受け(別紙取引概略図②④)、取得した。(6) 相互不動産は、平成五年一一月三〇日付けで同社発行済額面株式(一株の額面金額一〇〇〇円)総数四五万株のすべてを無額面株式に転換し、さらに、同年一二月四日付けで相互不動産の発行する無額面株式をすべて額面株式(一株の額面金額五〇円)に転換した。これは、相互不動産株式の一株当たりの額面金額が一〇〇〇円のままであると、原告は、引き続き所有する相互不動産の劣後株式(右(5))の取得のため、少なくとも一一億円を相互不動産に払い込まなければならず、相互不動産 動産株式の一株当たりの額面金額が一〇〇〇円のままであると、原告は、引き続き所有する相互不動産の劣後株式(右(5))の取得のため、少なくとも一一億円を相互不動産に払い込まなければならず、相互不動産がこの払込金を原告からの借入金の返済に充てると、結果的に相互不動産の一株当たりの純資産価格が上昇するため、これを避けるための措置であった。(7) そして、右五〇円の額面金額を前提として、商法三四七条(会社が発行する株式の総数は発行済株式の総数の四倍を超えて増加することができない。)の制限内で平成六年一月一八日までに発行できる株式数等を考慮して上場株式の売却益にほぼ見合う売却損を発生させることができるものとして決定されたのが、五万二九〇〇株について一株当たり一〇〇万円を払い込むという本件増資であった。 、これを避けるための措置であった。(7) そして、右五〇円の額面金額を前提として、商法三四七条(会社が発行する株式の総数は発行済株式の総数の四倍を超えて増加することができない。)の制限内で平成六年一月一八日までに発行できる株式数等を考慮して上場株式の売却益にほぼ見合う売却損を発生させることができるものとして決定されたのが、五万二九〇〇株について一株当たり一〇〇万円を払い込むという本件増資であった。以上に認定の本件増資払込み及びその前後に行われたこれと関連する原告ら相互タクシーグループの取引内容によれば、本件増資払込みは、後に原告が京都相互林業に上場株式を売却することによって生ずる有価証券売却益に見合う株式譲渡損を発生させ、右有価証券売却益に対する法人税の課税を回避することを目的としたものであることは明らかであり、本件株式を額面金額かつ発行価額である一株当たり五〇円を超える額で引き受けて払い込んだことに、経済取引として十分に首肯し得る合理性は認められないというべきである。(三)(1) もっとも、前記(前提事実5)のとおり、本件増資払込金は、払い込まれた直後である平成五年一二月一〇日から一五日にかけて、本件貸付金の返済として相互不動産から原告に返戻されていることが認められ、右本件増資払込とそれに引き続く本件貸付金の処理とを全体的にみれば、実質的には、原告が相互不動産に対して本件貸付金のうち本件増資払込金のうち一株五〇円を超える部分に相当す されていることが認められ、右本件増資払込とそれに引き続く本件貸付金の処理とを全体的にみれば、実質的には、原告が相互不動産に対して本件貸付金のうち本件増資払込金のうち一株五〇円を超える部分に相当する額を債務免除したものと考える余地もないではない。(2) この場合、法人の有する貸金等について貸倒れが発生した場合には、その貸倒れによる損失の額は、法二二条三項三号に規定する損失の額に含まれ、損金の額に算入される(貸倒損失)と解されていることから、本件増資払込みとそれに引き続く本件貸付金の処理が、実質的に債務免除による貸倒損失に当たるか否かが問題となる(なお、貸倒損失には、①会社更生法等の法的負債整理等による債権の切捨てや債権放棄により、その貸金等そのものが法律上消滅し、貸金等の資産価値が消滅した場合及び②法律上債権が存在するが、その全額が回収不能となり、貸金等の資産価値が事実上消滅した場合の二つの態様があるが、本件の場合は、右①と実質的に同視することができるか否かが問題となる。 の処理が、実質的に債務免除による貸倒損失に当たるか否かが問題となる(なお、貸倒損失には、①会社更生法等の法的負債整理等による債権の切捨てや債権放棄により、その貸金等そのものが法律上消滅し、貸金等の資産価値が消滅した場合及び②法律上債権が存在するが、その全額が回収不能となり、貸金等の資産価値が事実上消滅した場合の二つの態様があるが、本件の場合は、右①と実質的に同視することができるか否かが問題となる。)。そして、一般に、債務免除による貸倒損失として損金算入が認められるためには、①債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められる債権について、②確定的に債権放棄をすることが必要と解される。そして、本来、債務免除は無償の経済的利益の供与として寄附金に当たるものであり、貸倒損失として損金の額に算入されるのはその例外というべきであるから、本件増資払込みについても、右各要件が満たされなければ、貸倒損失として損金に算入することのできる債務免除と実質的に同視することができるとして、経済取引として十分に首肯し得る合理的理由があると認めることはできないというべきである。(3) そこで、まず、本件貸付金の回収可能性について検討するに、「弁 除と実質的に同視することができるとして、経済取引として十分に首肯し得る合理的理由があると認めることはできないというべきである。(3) そこで、まず、本件貸付金の回収可能性について検討するに、「弁済を受けることができない」場合とは、①単に債務者の債務超過の状態が相当期間継続したことのみをもって右回収不能の要件として十分であるとせず、債務超過が相当期間継続していることによって、他から融資を受ける見込みもなく到底再起の見通しが立たず、事業を閉鎖あるいは廃止して休業するに至るなど、回収不能が客観的に確認できることが要求されているというべきである(基本通達九‐六‐一の一ないし三参照)。なぜなら、このように解さないと、債権者が実際に回収不能になっている部分を超えて、恣意的に債務免除額を設定することにより、自己の都合によって債務免除の時期及び内容を決定し、その結果、法二三条二項の禁止する債権の評価損の計上を認めたのと同様の結果を認めることになるからである。しかし、本件においては、①相互不動産の平成五年三月期末における債務超過額は、本件増資払込金のうち一株五〇円を超える部分である五二八億九七三五万五〇〇〇円をはるかに下回る二八六億八六五二万九三九七円であったこと、②相互不動産が平成六年三月期中に事業を閉鎖あるいは廃止して休業した事実はないこと、③平成六年三月期中に、原告以外の債権者が相互不動産に対して債務免除をした事実はない上、かえって、福井銀行勝山支店は、本件増資払込み直前である平成五年一二月一日、六億五〇〇〇万円の貸付けを行っていること、④原告は、本件増資払込み以降である平成六年一月一〇日及び同年二月二八日、一億八〇〇〇万円の貸付けを行い、さらに平成七年三月期中には合計一二億五〇〇〇万円の貸付けを行っていること、⑤相互不動産は、平成七年二 年三月期中に、原告以外の債権者が相互不動産に対して債務免除をした事実はない上、かえって、福井銀行勝山支店は、本件増資払込み直前である平成五年一二月一日、六億五〇〇〇万円の貸付けを行っていること、④原告は、本件増資払込み以降である平成六年一月一〇日及び同年二月二八日、一億八〇〇〇万円の貸付けを行い、さらに平成七年三月期中には合計一二億五〇〇〇万円の貸付けを行っていること、⑤相互不動産は、平成七年二 本件増資払込み以降である平成六年一月一〇日及び同年二月二八日、一億八〇〇〇万円の貸付けを行い、さらに平成七年三月期中には合計一二億五〇〇〇万円の貸付けを行っていること、⑤相互不動産は、平成七年二月二二日、福井銀行勝山支店に対し、右③の債務を含め、一三億四〇〇〇万円を返済していること等の事実が認められ(いずれも争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる。)、右各事実に照らせば、回収不能が客観的に確認できるとは到底いえない。(4) そうすると、その余の点について判断するまでもなく、本件増資払込みとそれに引き続く本件貸付金の処理を、貸倒損失として損金に算入することのできる債務免除と実質的に同視することはできないというべきである。(四) 原告は、増資払込金額の決定に当たり時価を基準としなければならないとする法律上、企業会計原則上の制約はないから、増資払込金額について時価を問題とする余地はないし、株式の申込者は、発行価額より高い引受価額で引き受ける旨を株式申込証に記載することができ、これに基づいて株式の割当てがされたとしても商法上は適法であり、このような商法上適法かつ正当な増資払込みについては寄附金と認める余地はない旨主張する。しかし、法律や企業会計原則上の制約に反しない適法な増資払込みであるか否かと、税法上寄附金に当たるか否かとは次元を異にする問題であるから、原告の主張は理由がない。このことは、例えば、贈与契約が民法その他の法律上適法、有効かつ正当であるからといって法人税法上寄附金に当たり得ないことになるものではないし、他方、贈与契約が公序良俗違反等により民法その他の法律上違法、無効かつ不当なものであっても、これにより法人が資産又は経済的利益を対価なく他に移転したものであるということができれば、法人税法上は寄附金と認めることができ 良俗違反等により民法その他の法律上違法、無効かつ不当なものであっても、これにより法人が資産又は経済的利益を対価なく他に移転したものであるということができれば、法人税法上は寄附金と認めることができる場合があることからも明らかである。 の法律上違法、無効かつ不当なものであっても、これにより法人が資産又は経済的利益を対価なく他に移転したものであるということができれば、法人税法上は寄附金と認めることができ 良俗違反等により民法その他の法律上違法、無効かつ不当なものであっても、これにより法人が資産又は経済的利益を対価なく他に移転したものであるということができれば、法人税法上は寄附金と認めることができる場合があることからも明らかである。(五) また、原告は、本件増資払込みは、原告が本件増資直前に相互不動産に対して有していた貸付金が回収不能となっていたことから、これを相互不動産株式に変換したもの(「貸付金の株式への変換」)にすぎず、各取引行為者にとってごく当たり前の行為であると主張するが、前記のとおり、本件増資払込みとそれに引き続く本件貸付金の処理が貸倒損失として損金に算入することのできる債務免除と実質的に同視することはできないものであるから、原告のいうような「債務の株式化」に当たるか否かにかかわらず、本件増資払込みにつき経済取引として十分に首肯し得る合理的理由があると認める余地はないというべきである。(六) このように、本件増資払込みに経済取引として十分に首肯し得る合理的理由があるとは認められない。3 したがって、本件増資払込金のうち一株五〇円を超える部分については、対価がなく、「資産又は経済的利益の無償の供与」として、法三七条の寄附金に当たるというべきである。二以上によれば、本件事業年度における原告の所得金額は、原告の確定申告書記載の欠損金額一五億七一八六万二四七四円に、次の1、2の金額を加算し、3の金額を減算した上、争いのない前記(前提事実10(一)(2)ないし(10))の金額を加算し、同前記(前提事実10(一)(13)及び(14))の金額を控除して計算すると、五〇〇億二七四二万三二六七円となる。1 有価証券売却損計上誤り五二七億四一〇八万三六〇〇円(一) 本件株式の譲渡原価一八〇八万五七六四円(1) B及 額を控除して計算すると、五〇〇億二七四二万三二六七円となる。1 有価証券売却損計上誤り五二七億四一〇八万三六〇〇円(一) 本件株式の譲渡原価一八〇八万五七六四円(1) B及びCからの贈与による取得四五万株取得価額 〇円(2) 増資払込(額面金額相当分)五万二九〇〇株取得価額二六四万五〇〇〇円(3) 増資払込(劣後株式分)一一〇万株取得価額五五〇〇万円(4) 合計一六〇万二九〇〇株取得価額五七六四万五〇〇〇円(5) 譲渡原価④×(五〇万二九〇〇株÷一六〇万二九〇〇株)=一八〇八万五七六四円(二) 原告主張の譲渡原価との差額五二九億円‐一八〇八万五七六四円=五二七億四一〇八万三六〇〇円 る取得四五万株取得価額 〇円(2) 増資払込(額面金額相当分)五万二九〇〇株取得価額二六四万五〇〇〇円(3) 増資払込(劣後株式分)一一〇万株取得価額五五〇〇万円(4) 合計一六〇万二九〇〇株取得価額五七六四万五〇〇〇円(5) 譲渡原価④×(五〇万二九〇〇株÷一六〇万二九〇〇株)=一八〇八万五七六四円(二) 原告主張の譲渡原価との差額五二九億円‐一八〇八万五七六四円=五二七億四一〇八万三六〇〇円 2 寄附金の損金不算入額五二四億八七〇九万四三二五円(一) 原告の確定申告書添付の寄附金の損金算入に関する明細書(乙一五)「その他の寄附金額」の額一億二九五七万八一二二円(二) 本件株式の額面金額を上回る増資払込額五二八億九七三五万五〇〇〇円(三) エスティエムに支払った架空手数料一億九四一七万四七五八円同消費税五八二万五二四二円計二億円(四) 財団法人A文化教育記念財団に寄附した資産に係る減価償却費相当額三二六一万一二一二円(五) 損金算入限度額六億四三七八万一九七七円原告の確定申告書添付の寄付金の損金算入に関する明細書(乙一五)「以上のうち損金に算入されない金額」の額一億二八六六万八〇三二円(一)+(二)+(三)+(四)‐(五)‐(六)五二四億八七〇九万四三二五円 3 寄附金の損金算入額(2の(二)+(三)+(四))五三一億二九九六万六二一二円三結論以上の次第で、 〇三二円(一)+(二)+(三)+(四)‐(五)‐(六)五二四億八七〇九万四三二五円 3 寄附金の損金算入額(2の(二)+(三)+(四))五三一億二九九六万六二一二円三結論以上の次第で、本件更正処分の理由のうち前記(前提事実10)の「(1)有価証券売却損計上誤り」五二七億四一〇八万三六〇〇円、「(11)寄附金の損金不算入額」五二四億八七〇九万四三二五円、及び「(12)寄附金の損金算入額」五三一億二九九六万六二一二円はいずれも相当であり、原告は他の本件更正処分の理由についてはその適法性を争っていないから、本件更正処分は適法であり、右処分を前提とする本件重加算税賦課処分及び本件過少申告加算税賦課処分も適法である。よって、原告の請求はいずれも理由がない。福井地方裁判所民事第二部裁判長裁判官小原卓雄裁判官酒井康夫裁判官岩崎邦生
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