令和2(ワ)28384 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年7月5日 東京地方裁判所
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判決文本文47,550 文字)

令和6年7月5日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 令和2年(ワ)第28384号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日令和6年4月18日判決 原告 株式会社スノーピーク 同訴訟代理人弁護士 角谷直紀 墳崎隆之 大野徹 同訴訟復代理人弁護士 成田凌 被告 株式会社山谷産業 (以下「被告会社」という。) 被告X (以下「被告X」という。) 上記両名訴訟代理人弁護士 高瀬亜富 高橋正憲 丸山真幸 同訴訟代理人弁理士 高林芳孝 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告会社及び被告Xは、別紙被告商品目録記載の各商品を製造し、譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、又は輸入してはならない。 2 被告会社及び被告Xは、原告に対し、連帯して、2億1507万3874円及びこれに対する令和2年12月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告会社及び被告Xは、第1項の各商品を廃棄せよ。 4 被告会社及び被告Xは、別紙広告目録記載第1の内容の謝罪広告を、同記載第2の要領で掲載せよ。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は、原告が、被告らに対し、原告の販売する別紙原告商品目録記載の各商品(以下、項番号に従って「原告商品1」などといい、これらを総称して「原告商品」という。)の形態は、原告の商品等表示 案の要旨本件は、原告が、被告らに対し、原告の販売する別紙原告商品目録記載の各商品(以下、項番号に従って「原告商品1」などといい、これらを総称して「原告商品」という。)の形態は、原告の商品等表示として需要者の間に広く認 識されており、原告商品の形態と実質的に同一の別紙被告商品目録記載の各商品(以下、これらを総称して「被告商品」という。)を販売等して原告の商品と混同を生じさせた被告会社及び被告Xの行為は、不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号の不正競争に該当すると主張して、① 不競法3条1項に基づき、被告商品の製造、譲渡、引渡し、譲渡及び引渡 しのための展示、輸出並びに輸入の差止めを、② 不競法3条2項に基づき、被告商品の廃棄を、③ 不競法4条及び民法719条に基づき、平成29年11月10日から令和2年11月9日までの間にされた不正競争による損害金2億1507万3874円(不競法5条1項により算定される損害金1億9552万1704円 及び弁護士費用相当額1955万2170円の合計)及びこれに対する令和2年12月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を、④ 原告のブランド価値の著しい毀損により、営業上の信用が害され、これを 回復する必要があるとして、不競法14条に基づき、別紙広告目録記載第2 の要領による同記載第1の内容の謝罪広告の掲載を、それぞれ求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(以下、特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者 ア原告は、主にキャンプ用品、登山用品等の開発・製造 者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(以下、特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者 ア原告は、主にキャンプ用品、登山用品等の開発・製造・販売等を業とする株式会社である。 イ被告会社は、金属プレス加工等、船具等の販売、機械工具等の販売、家庭雑貨器物の販売を業とする株式会社である。 被告Xは、被告会社の代表取締役である。 (2) 原告商品の販売ア原告は、平成7年3月頃、「ソリッドステーク」との名称で、キャンプ等のアウトドア・レジャーで使用するテント、タープ(幕体)用ペグ(地中に打ち込んで、テントやタープから延びるロープを固定するための杭。以下、特記しない限り、「ペグ」とは、キャンプ等のアウトドア・レジャーで 使用するペグのことをいう。)である原告商品の販売を開始した。 原告商品1ないし4の長さは、順に、20cm、30cm、40cm及び50cmである。また、原告商品の外観は、別紙原告商品外観目録のとおりであり、頭部に穴及び長さのあるフックを備えている(ただし、原告商品1ないし4は、それぞれの軸やフックの長さ等に応じ、外観に差異が ある。)。 イ平成11年から令和2年4月までの原告商品の販売数は、別紙販売数一覧表の「原告商品」欄記載のとおりである(甲3)。 (3) 原告が保有していた意匠権(甲12、乙42)ア原告は、平成6年10月4日、意匠に係る物品を「テント張設用ペグ」 とする意匠登録出願をし、平成9年5月30日、意匠権の設定登録がされ た(意匠登録第990949号。以下、当該意匠権を「原告意匠権」といい、原告意匠権に係る登録意匠を「原告意匠」という。)。 原告意匠権は、平成24年5月30日、存続期間の満了により消滅した た(意匠登録第990949号。以下、当該意匠権を「原告意匠権」といい、原告意匠権に係る登録意匠を「原告意匠」という。)。 原告意匠権は、平成24年5月30日、存続期間の満了により消滅した。 イ原告意匠は、別紙原告意匠図面目録のとおりである。 (4) 被告商品の販売等 ア被告会社は、平成25年以降、「エリッゼステーク」との名称で、テント、タープ用ペグである被告商品を、販売及び販売のために展示している。 被告商品は、品番に応じて、軸の長さ(18cm、28cm、38cm及び48cm)及び色に違いがある。また、被告商品の外観は、別紙被告商品外観目録のとおりであり、頭部に穴及び長さのあるフックを備えてい る(ただし、各品番の被告商品は、それぞれの軸やフックの長さ、色等に応じ、外観に差異がある。)。 イ平成25年から令和2年7月1日までの被告商品の販売数は、別紙販売数一覧表の「被告商品」欄記載のとおりである(乙2)。 (5) 他社が販売するテント、タープ用ペグの状況 原告及び被告会社以外の他社が販売するテント、タープ用ペグのうち、頭部に穴及び長さのあるフックをいずれも備える金属製ペグの販売状況は、別紙同種商品一覧表記載のとおりである(以下、番号に従って「本件同種商品1」などということがある。)。 なお、別紙同種商品一覧表の「販売数」欄が空欄の箇所は、本件全証拠に よってもその数量が明らかでない。 3 争点(1) 不競法2条1項1号の不正競争の成否(争点1)ア原告商品の形態が原告の周知な商品等表示であるか(争点1-1)イ原告商品の形態に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示が 同一又は類似であるか(争点1-2) ウ被告商品の販売等が原告の商品と混同を生じさ あるか(争点1-1)イ原告商品の形態に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示が 同一又は類似であるか(争点1-2) ウ被告商品の販売等が原告の商品と混同を生じさせる行為であるか(争点1-3)エ被告Xが被告会社と共同して被告商品の販売等をしたか(争点1-4)(2) 差止め及び廃棄の必要性(争点2)(3) 故意又は過失の有無(争点3) (4) 損害の有無及びその額(争点4)(5) 謝罪広告の必要性(争点5) 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点1-1(原告商品の形態が原告の周知な商品等表示であるか)について (原告の主張)ア原告商品の形態(ア) 主位的主張原告商品全体の形態は、別紙原告商品外観目録のとおりであり、次のような特徴(以下、頭書の符号に従って「本件特徴1①」などという。) を有する(以下、これら全ての特徴を有する形態を「本件形態1」という。)。 ① 鍛造されたスチールが構成材料として選択されている。 ② 上記①により、硬く、重みがあり、光沢感のない金属の質感を有することが外観的に明らかである。 ③ 頭部のうち打撃部が円柱形であり、その部分が頭部全体よりやや大きくなっている。 ④ 頭部フック部分の長さが25ないし40mmであり、全体に比して大型である。 ⑤ 頭部において、フックとは別に引き抜く際にハンマーのフックを引 っかける穴がある。 ⑥ 会社名(ブランド名)のロゴが記載されている上部から打ち込み部にかけてなだらかに細くなっており、打ち込み部分の先端もなだらかに細くなっている。 ⑦ 上記①ないし⑥が組み合わされている。 (イ) 予備的主張 本件形態1では特定が不十分であると判断される場合に備 だらかに細くなっており、打ち込み部分の先端もなだらかに細くなっている。 ⑦ 上記①ないし⑥が組み合わされている。 (イ) 予備的主張 本件形態1では特定が不十分であると判断される場合に備え、原告商品全体の形態として、次のような特徴(以下、頭書の符号に従って「本件特徴2①」、「本件特徴2④ア」などという。)を有する形態(以下、これらの全ての特徴を有する形態を「本件形態2」という。)を主張する。 ① 鍛造されたスチールが構成材料として選択されたテント、タープ用 ペグであり、上方がやや太く、下方がそれに比べると細くなっている軸及び軸の上方側面に軸に沿って設けられたテント、タープのロープを引っ掛けるための板状の掛具部から構成されている。 ② 軸の頭部は、短い円柱形で軸の他の部分よりやや大きくなっている(以下、この頭部を「原告商品打撃部」という。)。 ③ 軸の上方には、ロゴが記載されている。 ④ 掛具部は、次の形態を有している。 アペグを地面から引き抜く際にハンマーのカギ部を引っ掛けるための穴が設けられている。 イテント、タープのロープを引っ掛けるためのフックが設けられて いる。 ウ穴は、原告商品打撃部の斜め下に位置し、軸とフックの隙間部分の直上に位置する。また、穴は、掛具部の幅の半分以上を占め軸に接するように位置し、フックの上に及んでいる。 エフックの先端の長さは、掛具部全体の長さのほぼ半分か、それ以 上であり(25ないし40mm)、フックは軸と平行に直線的に伸び ている。 オ掛具部の厚さは掛具部の設けられている部分の軸の直径よりやや薄く、横幅は当該軸の直径の1.5倍以上である。 カフックと軸との間の隙間は、フックの横にある会社名(ブランド名)のロゴの記載がある箇所の軸 部の厚さは掛具部の設けられている部分の軸の直径よりやや薄く、横幅は当該軸の直径の1.5倍以上である。 カフックと軸との間の隙間は、フックの横にある会社名(ブランド名)のロゴの記載がある箇所の軸の直径とほぼ同じ比率であり、フ ックの先端の直径はこれよりやや小さい。 キ掛具部の上部は、フック穴に沿うように丸みを帯びている。 ⑤ 鍛造されたスチールが構成材料として選択されていることから、硬く、重みがあり、光沢感のない金属の質感を有することが、外観的に見て取れる。 ⑥ 上記①ないし⑤が組み合わされている。 原告商品は、この本件形態2に係る特徴により、くちばし(フック)、首(フックと平行に伸びる軸)、目(掛具部の穴)からなるフラミンゴの頭部のような印象を需要者に与え、需要者の注意を強く引き付けている。 イ原告商品の形態が周知な商品等表示に当たること (ア) 「鍛造されたスチールが構成材料として選択され」ていることが商品等表示となること不競法2条1項1号は、「商品等表示」を「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。」と定義している。同号の「氏名、商号、商標、標章、商品 の容器」又は「包装」が例示列挙であることからも、本来、商品等表示となり得るものに制限はないから、商品等表示として認められる商品の形態的特徴から、商品を構成する素材や材料は排除されない。 ある素材が同種商品において全く用いられていない場合、当該素材を構成材料とすることは、それだけで需要者の目を引くものであるから、 商品等表示となり得る。そして、ある素材を構成材料とすることが商品 等表示となっている場合、需要者は、表面の特徴や手に持った際の質感といった当該構成材 の目を引くものであるから、 商品等表示となり得る。そして、ある素材を構成材料とすることが商品 等表示となっている場合、需要者は、表面の特徴や手に持った際の質感といった当該構成材料が持つ一つ又は複数の特徴を経路として、当該素材を認識することになるところ、どのような経路で認識したとしても、他の同種商品において用いられていない素材が商品に用いられていることを認識できれば、需要者は当該商品の出所を認識することができる。 なお、商品等表示の全体又はその一部の要素は、視覚や触覚等の五感のみで知覚されなければならないのではなく、広告宣伝等における記述的表示によって認識できるものでもよい。広告宣伝等の記述的表示は、当該記述的表示の文字による情報と視覚や触覚等の五感により知覚される情報とを互いに結合させることによって、当該素材を構成材料とする 商品の識別力を高めることになる。 したがって、「鍛造されたスチールが構成材料として選択され」ていることは、原告商品の商品等表示の要素となる形態的特徴である。 (イ) 原告商品の形態の特別顕著性a 原告が原告商品の販売を開始した平成7年3月当時、テント、ター プ用ペグの構成材料には、プラスチックやアルミ等の素材が用いられるのが一般的であり、鍛造されたスチールが用いられることは皆無であった。 そして、鍛造に由来する表面の細かいざらつきを有し、硬質性の金属特有の重厚感がある原告商品の外観は、原告商品の販売開始から約 10年が経過した平成16年当時も、他のテント、タープ用ペグと比較して全く異質なものであったから、需要者は、外観から原告商品と他の商品とを識別できた。また、外観で識別できない需要者がいたとしても、原告商品を手に取ったり、使用したりすれば、手触 タープ用ペグと比較して全く異質なものであったから、需要者は、外観から原告商品と他の商品とを識別できた。また、外観で識別できない需要者がいたとしても、原告商品を手に取ったり、使用したりすれば、手触り、硬さ、重量感、打感、打音の違いにより、原告商品と他の商品とを容易に識 別することができた。さらに、原告商品を紹介する多くの雑誌記事に おいて、「鋼材を鍛造した」などのように、鍛造スチール製であることが言及されており、原告のウェブサイトやカタログなどにおいても、「鍛造」、「鍛造ペグ」という表記や、「鋼を打って叩いて形を整える」、「プレス機で叩いて成形」、「高熱処理を施した鋼を叩き成型する製造方法」という鍛造の製造過程が説明されていた。このように、需要者は、 平成16年当時、原告商品の外観等の特徴に加え、原告商品についての雑誌記事、ウェブサイトやカタログにおける表示、説明といった記述的表示を目にすることで、原告商品が鍛造スチール製であることを強く認識することができた。 したがって、本件特徴1①及び②は、商品等表示の要素としての、 客観的に他の同種商品とは異なる顕著な形態的特徴である。 b 加えて、他社の販売するテント、タープ用ペグには様々なデザインが採用されているものの、原告が原告商品の販売を開始した平成7年3月頃はもちろんのこと、それから約10年が経過した平成16年当時も、本件特徴1③ないし⑥を有するペグは、原告商品以外には皆無 であった。 c このように、本件形態1は、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有している。 また、本件形態2は、本件形態1をより具体化したものにすぎない。 したがって、原告商品の形態は、客観的に他の同種商品とは異なる 顕著な特徴を有しているといえる。 (ウ) 特徴を有している。 また、本件形態2は、本件形態1をより具体化したものにすぎない。 したがって、原告商品の形態は、客観的に他の同種商品とは異なる 顕著な特徴を有しているといえる。 (ウ) 原告商品の形態の周知性a 販売期間及び販売数量原告は、平成7年3月頃に原告商品の販売を開始した後、平成11年から平成16年までの約6年間で、少なくとも63万5133本の 原告商品を販売し、その売上高は2億7158万8190円を下らな い。その後も、原告商品の販売数及び売上高は増加し続け、平成11年から令和2年4月までの間の原告商品の販売数量は少なくとも663万5618本、同期間の原告商品の売上高は26億9726万0960円に上る。 b 販売店舗数 原告商品は、販売開始当初から、全国において販売されている。 原告商品の販売開始から約10年が経過した平成16年時点において原告商品を取り扱っていた店舗の数は、原告商品1が238店舗、原告商品2が243店舗、原告商品3が151店舗、原告商品4が71店舗である。また、平成25年時点において原告商品を取り扱って いた店舗の数は、原告商品1が292店舗、原告商品2が272店舗、原告商品3が182店舗、原告商品4が94店舗である。 c 広告宣伝等原告商品の販売開始以来、原告商品は、新聞、雑誌等で繰り返し取り上げられているところ、これらの記事等の大半で、「スノーピーク」 との原告を表す表示と共に原告商品の写真が掲載され、かつ「鍛造した」、「鍛造で作られる」、「最強ペグの秘密は“鍛造”にあり」などと、本件形態1及び2の最大の特徴である鍛造製である旨が記載されている。 また、原告は、原告商品を含め、原告が販売する商品を実際に使用 してもら 、「最強ペグの秘密は“鍛造”にあり」などと、本件形態1及び2の最大の特徴である鍛造製である旨が記載されている。 また、原告は、原告商品を含め、原告が販売する商品を実際に使用 してもらうイベントを開催したり、直営店や量販店の一画などに原告商品の魅力について説明するスタッフを配置したりなどして、原告商品を宣伝している。 d まとめ原告が、平成7年3月頃から平成16年まで約10年間という長期 間にわたり継続して、膨大な数量の原告商品を全国的かつ独占的に販 売してきたことや、原告商品を原告の表示と共に多数の新聞、雑誌等において広告宣伝してきたことなどにかんがみれば、平成16年12月31日時点において、また、遅くとも平成24年までには、本件形態1及び2を有する原告商品の形態が周知となっていたことは明白である。 ウ本件形態1及び2は機能的形態であること等を理由に特別顕著性(自他識別力)が否定されるものではないこと機能的形態であることを理由に特別顕著性(自他識別力)が否定されるのは、特定の商品形態が不可避で、他の形態を選択する余地がないような必須の形態に限られ、ある技術的機能等の実現のために複数の商品形態が 考えられ、特定の商品形態以外を選択する余地がある場合には、その選択の余地の程度に応じて、個別具体的に特別顕著性(自他識別力)の有無を判断すべきである。 テント、タープ用ペグの技術的機能及び効用に由来する必然的、不可避的な特徴は、①テントやタープのロープを引っ掛ける部分があること及び ②ペグを地面に打ち込むための軸部分があることである。本件形態1及び2における上記以外の特徴は、出所を表示するために記載しているロゴを除き、いずれも機能に関連する特徴ではあるものの、それらの特徴に係る ペグを地面に打ち込むための軸部分があることである。本件形態1及び2における上記以外の特徴は、出所を表示するために記載しているロゴを除き、いずれも機能に関連する特徴ではあるものの、それらの特徴に係る形態には多数の選択肢が存在するのであるから、必然的な形態ではない。 このようにテント、タープ用ペグの形態に多くの選択肢がある状況下に おいて、原告は、原告商品の形態として本件形態1及び2を選択したものであり、その点に他の同種商品と異なる独自性(自他識別力)がある。 エ本件形態1及び2の特別顕著性及び周知性の判断において原告意匠権の存在を考慮する必要はないこと(ア) 原告意匠権に基づく独占期間内に獲得した特別顕著性及び周知性も商 品等表示該当性の基礎として考慮できること a 意匠権の存続期間中に広告宣伝しても不競法による保護を得られないのであれば、販売開始から3年間は、不競法2条1項3号に基づいて商品の形態が保護されることも考慮して、意匠登録を受けず、当該3年間で当該形態について同項1号所定の商品等表示を獲得し、以後25年間より長期にわたって保護を受けるという判断の方が、合理性 を有することとなり、意匠権制度を設けた趣旨が没却される。そして、同項1号に基づく保護は、権利者による販売実績、広告宣伝の継続等がなければ失われるものであるから、意匠権の存続期間中に行った広告宣伝等により獲得した周知性も商品等表示該当性の基礎として考慮すべきである。 b ある技術を実現するための形態を一つしかとりえない場合、かかる形態につき特許法や実用新案法によらない半永久的な保護を認めれば、その技術を有した製品を市場に参入させることができず、公正な競争を害する。 他方で、デザインを保護する意匠法は、ある技術を実現する 形態につき特許法や実用新案法によらない半永久的な保護を認めれば、その技術を有した製品を市場に参入させることができず、公正な競争を害する。 他方で、デザインを保護する意匠法は、ある技術を実現するために 形態がその一つに絞られるのであればともかく、そうでない限り、同技術の効果を達成する他の形態を選択して市場に参入することが可能であり、公正な競争を害するものではない。すなわち、意匠法は、物品の機能を確保するために不可欠な形状等からなる意匠(同法5条3号)や、市場において混同を生ずるおそれのある意匠(同条2号)の ような、市場における公正な競争を阻害するような意匠を登録の対象から除外している。原告意匠が実際に意匠登録されたということは、特許庁において、その形状等が物品の機能を確保するために不可欠な形状等ではなく、市場における公正な競争を阻害するような意匠ではないと判断されたことになる。 このように、特許権及び実用新案権とは異なり、意匠権の対象とな った形状等については、第三者は、当該技術の機能効果を果たす他の形状等を選択して市場に参入することが可能であるから、原告意匠を不競法で保護しても、公正な競争を阻害するといった事態は生じない。 c また、原告は、本件において、原告意匠権の効力の及ぶ形態よりも狭い範囲について、すなわち、「鍛造されたスチールを構成材料とする こと」及び「硬く、重みがあり、光沢感のない金属の質感を有すること」との特徴を有する形態に限定して、原告商品の形態が商品等表示に該当すると主張している。そして、原告意匠の範囲に、鍛造スチール製という特徴は含まれていないから、原告意匠権は、上記各特徴が需要者に原告の周知な商品等表示の特徴として認識されていることと 全く関係がない。すな いる。そして、原告意匠の範囲に、鍛造スチール製という特徴は含まれていないから、原告意匠権は、上記各特徴が需要者に原告の周知な商品等表示の特徴として認識されていることと 全く関係がない。すなわち、本件形態1及び2が周知性を獲得するに至ったことは、原告の努力の賜物である。 (イ) 原告意匠権の存続期間満了後に十分な期間があったこと原告意匠権の存続期間満了日から被告商品が販売されるまで、約1年の期間があるところ、原告は、その間も、原告意匠権の存続期間満了前 と同様の広告宣伝と販売実績を継続し、本件形態1及び2が周知性を獲得するために十分な実績を残している。 オ原告商品の形態が獲得した商品等表示該当性は喪失していないこと前記イのとおり、原告商品の形態は、販売開始から10年が経過した平成16年頃、遅くとも被告商品の販売開始前の平成24年頃までには、原 告の周知な商品等表示となっていた。 また、平成24年から現在に至るまで、原告商品の販売数量及び売上高が著しく減少したり、広告宣伝や新聞雑誌等で取り上げられる頻度が著しく減少したりするといった事実もない。 したがって、原告商品の形態がいったん獲得した商品等表示該当性は、 現時点においても、喪失していない。 カ小括以上のとおり、原告商品全体の形態は、原告商品の販売開始から10年が経過した平成16年頃までには、また、遅くとも被告商品の販売開始前の平成24年頃までには、原告の周知な商品等表示となり、現在もその状態が継続している。 (被告らの主張)ア原告商品の形態について(ア) 本件形態1は抽象的かつ不明確で、形態としての特定性を欠くものであることa 本件特徴1①について 不競法における「商品の形態」とは、「需要者が通 ア原告商品の形態について(ア) 本件形態1は抽象的かつ不明確で、形態としての特定性を欠くものであることa 本件特徴1①について 不競法における「商品の形態」とは、「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう」(不競法2条4項)から、需要者が知覚によって認識することができない特徴は、同法の保護の対象である商品等表示としての商品の形態に 当たらない。 ある商品が「鍛造」との製法で製造されたものであるとしても、原材料やその後の加工如何で全く異なる外観(光沢・質感)となり得るから、「鍛造」であるか否かを商品の外観のみから区別することは不可能である。同様に、「スチール」との材料の点についても、炭素を含む 鉄の合金であれば広くこれに該当し、その最終製品は様々な形態をとり得るから、外観のみから材料がスチールか否かを判断することは不可能である。そもそも、打音、打感、質感、重量感といった五感の作用により知覚できる要素を離れて、「鍛造されたスチール」を構成材料とするとの特徴を有することのみで同法2条1項1号所定の商品等表 示に該当する商品の形態を特定できるとすることは、そのような材料 及び製造方法自体を保護することとなり不当である。 したがって、「鍛造されたスチールが構成材料として選択されている」という点(本件特徴1①)は、単に原告商品の製造方法及び材料について述べたものにすぎず、原告商品の形態を特定する特徴となり得ない。 b 本件特徴1②について「硬く」、「重みがある」との特徴は、商品の形態ではなくその性質について述べたものである上、「硬さ」や「重み」の程度も具体的に特定され 定する特徴となり得ない。 b 本件特徴1②について「硬く」、「重みがある」との特徴は、商品の形態ではなくその性質について述べたものである上、「硬さ」や「重み」の程度も具体的に特定されておらず、極めて抽象的である。また、「光沢感のない」との特徴については、あらゆる商品の光沢感は「有」か「無」のどちらかに分 類し得るのであるから、このような抽象的な特徴は、特別顕著性や周知性を基礎付ける要素となり得ない。さらに、「金属の質感」についても、「金属」の素材や製法は様々で、その「質感」も素材や製法に応じて変化し得るものであるから、「金属の質感」との特徴は、個別具体的な素材、製法により製造された原告商品とはかけ離れたものを措定し てその特徴を述べるものにすぎない。 したがって、「硬く、重みがあり、光沢感のない金属の質感を有する」との点(本件特徴1②)は、原告商品の形態を特定する特徴となり得ない。 c 本件特徴1③ないし⑥について 本件特徴1③ないし⑥においては、商品の形態の特定において必須となる全体の形状並びにペグという商品に特有の構成要素である「軸部」、「頭部」、「打撃部」、「フック部」、「穴」等における具体的な形状、寸法及び位置関係が何ら具体的に特定されていない。本件特徴1③ないし⑥は、いずれもペグという商品の構成要素として、ごくありふれ た形状及び構造を示すものにすぎないし、これらの特徴を全て充足す るペグについても数多くのバリエーションが想定されるから、本件特徴1③ないし⑥により特定される形態は、需要者が、その形状、構造及び位置関係を知覚によって具体的に認識することはできないものである。 また、ペグの「頭部フック部分の長さ」には、フックの外縁部分の 長さと、ロープを引っ掛け 形態は、需要者が、その形状、構造及び位置関係を知覚によって具体的に認識することはできないものである。 また、ペグの「頭部フック部分の長さ」には、フックの外縁部分の 長さと、ロープを引っ掛ける内側部分の長さの2通りがあり得るところ、本件特徴1④の「頭部フック部分の長さ」がどこを指すのかが明らかでない。 さらに、本件特徴1⑤の「引き抜く際にハンマーのフックをひっかける」との特徴は、原告商品の用途や使い方を示すものであって、客 観的な形状を特定するものではないから、原告商品の形態的特徴となり得ない。そうすると、本件特徴1⑤のうち、原告商品の形態の特定として意味を有するのは、「頭部において、フックとは別に穴があること」という特徴のみであるが、このような特定では頭部のどこに穴があるのかが不明確である。 加えて、本件特徴1⑥は、原告商品の客観的な外観に反している上、どこが「打ち込み部」であるのかも特定されておらず、不明確である。 d まとめしたがって、本件形態1は、具体的な原告商品を離れた抽象的かつ観念的なもので、かつ、形態の特定として不明確なものであるから、 原告商品の出所を識別する表示となり得ない。 (イ) 本件形態2について本件特徴2①について、「鍛造されたスチールが構成材料として選択された」との点は、前記(ア)aのとおり、需要者が知覚によって認識できる形態ではない。また、原告は、「フック」と「軸とフックの隙間部分」を 合わせたものを「掛具部」と称していると考えられるところ、「板状」な のは「掛具部」ではなく「フック」であるから、「板状の掛具部」は「板状のフック」とするのが正当である。 さらに、本件特徴2③について、原告商品のロゴに関する正しい形態は、「軸の上方には、『SNOW のは「掛具部」ではなく「フック」であるから、「板状の掛具部」は「板状のフック」とするのが正当である。 さらに、本件特徴2③について、原告商品のロゴに関する正しい形態は、「軸の上方には、『SNOWPEAK』のロゴが刻印されている」である。 加えて、本件特徴2⑤の「鍛造されたスチール」であるとの点は、前記(ア)aのとおり、需要者が知覚によって認識できる形態ではなく、「硬く」、「重みがあ(る)」、「光沢感のない」、「金属の質感」といった各要素も不明確かつ抽象的で、原告商品の形態を特定するに足りるものとはいえない。 イ本件形態1及び2はいずれも特別顕著性を有しないこと(ア) 本件形態1についてa 原告商品と、平成24年以前に発売された本件同種商品1ないし3とを対比すると、本件同種商品1及び3は、本件特徴1①ないし⑥のうち円柱形の打撃部(本件特徴1③)以外の全てを備えており、本件 同種商品2は、本件特徴1①ないし⑥の全てを備えている。そして、本件同種商品1は、世界的な著名ブランドである「コールマン」の商品で、同社の製品カタログに掲載されて販売されていたこと、本件同種商品2は、販売開始後1年半で約100件もの口コミが付けられていたこと等を踏まえると、これらの同種商品が市場において相当数販 売されていたことは明らかである。 したがって、本件形態1は、平成24年時点において、特別顕著性を有しない。 b また、平成29年11月10日より前の時点で、鍛造スチール製の同種商品は10商品存在し、本件特徴1③ないし⑥についても、これ らを備える商品は、各特徴それぞれにつき約10商品以上に上る。 令和4年3月1日時点でみると、鍛造スチール製の同種商品は18商品存在し、本件特徴1③ないし⑥を備える も、これ らを備える商品は、各特徴それぞれにつき約10商品以上に上る。 令和4年3月1日時点でみると、鍛造スチール製の同種商品は18商品存在し、本件特徴1③ないし⑥を備える同種商品は、各特徴(細部の構成のみが異なるものを含む。)それぞれにつき、約40商品存在する。 このように、鍛造スチール製であるとの点及び本件特徴1③ないし ⑥は、いずれも同種商品においてありふれたものであるところ、同種商品においてありふれた形態的特徴を組み合わせても、ありふれた形態にしかならない。 c さらに、平成29年から令和2年にかけて、鍛造スチール製であるとの点を除く本件形態1の全ての特徴を備えている複数の意匠につき、 意匠に係る物品をペグ又はテント用ペグとする意匠登録出願がされ、いずれも意匠登録の査定がされた。特に原告商品と形態が酷似する意匠については、その審査過程で原告意匠が参照された上で、意匠登録の査定がされている。 これは、本件形態1はありふれた形態にすぎず、それ以外の具体的 な形態上の差異があることをもって、本件形態1と上記意匠登録出願に係る意匠とが非類似と評価されていることにほかならない。 d したがって、本件形態1は、特別顕著性を有しない。 (イ) 本件形態2についてa 本件形態2のうち、本件形態1との相違点である本件特徴2④ウな いしキを備える同種商品は、平成29年11月10日より前の時点で、各特徴につきそれぞれ10商品以上、令和4年3月1日時点で、各特徴につきそれぞれ約40商品以上存在する。 このように、本件特徴2④ウないしキは、いずれも同種商品においてありふれたものであるところ、同種商品においてありふれた形態的 特徴を組み合わせても、ありふれた形態にしかならない。 このように、本件特徴2④ウないしキは、いずれも同種商品においてありふれたものであるところ、同種商品においてありふれた形態的 特徴を組み合わせても、ありふれた形態にしかならない。 b 前記(ア)cと同様に、平成29年から令和2年にかけて、鍛造スチール製であるとの点を除く本件形態2の全ての特徴を備えている複数の意匠について、意匠に係る物品をペグ又はテント用ペグとする意匠登録出願がされ、特に原告商品と形態が酷似する意匠については、その審査過程で原告意匠が参照された上で、いずれも意匠登録の査定がさ れていることからすると、本件形態2はありふれた形態にすぎず、それ以外の具体的な形態上の差異があることをもって、本件形態2と上記意匠登録出願に係る意匠とが非類似と評価されているといえる。 c したがって、本件形態2は、特別顕著性を有しない。 ウ本件形態1及び2は鍛造スチールを構成材料とするペグ(以下「鍛造ペ グ」ということがある。)としての機能に由来する技術的形態、競争上似ざるを得ない形態又は独占適応性を認めるべきではない形態であること(ア) 本件形態1についてa 本件特徴1①及び②についてペグを製造するに当たり、鍛造スチールを構成材料とすることは、 強度を有するペグを製造するという機能的な要請に由来するものであると共に、技術、コストの面からこれに代わる選択肢が容易に見つからないものであるから、競争上似ざるを得ない事項である。また、スチールはごく一般的な材料であり、鍛造という製法自体も古くから存在する一般的な技術であるから、独占適応性もない。このように、本 件特徴1①は、鍛造ペグにおける必須の性質であり、同②は、同①により不可避的、必然的にもたらされるものである。したがって、これらの特徴 般的な技術であるから、独占適応性もない。このように、本 件特徴1①は、鍛造ペグにおける必須の性質であり、同②は、同①により不可避的、必然的にもたらされるものである。したがって、これらの特徴は、鍛造ペグとしての機能に由来する技術的形態、競争上似ざるを得ない形態及び独占適応性を認めるべきではない形態に当たる。 b 本件特徴1③及び④について 鍛造ペグのように深く地面に打ち込むペグであれば、その打撃部は ハンマーで叩きやすいように大きい方が望ましく、その形態として円柱を選択することも自然である。 また、テントやタープのロープをしっかりと地面に固定するためには、ある程度大型のフックであることが必須となるし、当該ロープをペグに引っ掛けて使いやすくすることを考えると、頭部フック部分の 長さも必然的に25ないし40mmほどの範囲に収まる。 c 本件特徴1⑤及び⑥について地中深くに打ち込まれる鍛造ペグにおいては、引き抜く際に土砂との間に大きな抵抗力(摩擦力)が発生するから、本件特徴1⑤のように、ハンマーのフックや他のペグを引っ掛けて抜きやすくするための、 ペグの直径よりやや大きいサイズの穴がほぼ必須となる。本件特徴1⑥についても、鍛造ペグが地面に刺して使用する器具である以上、打ち込み時に土中に埋まってしまうことのないヘッド部分にロゴを設け、かつ、先端側を細くするのは必然的な形態といえる。 d まとめ 本件特徴1①ないし⑥及びその組合せである同⑦は、いずれも、鍛造ペグの機能に由来する技術的形態であり、競争上似ざるを得ない形態であると共に独占適応性を欠く形態である。 (イ) 本件形態2についてa 本件特徴2④ウについて ペグの軸にはハンマーの打撃により大きな力が加わるため、軸の延長 争上似ざるを得ない形態であると共に独占適応性を欠く形態である。 (イ) 本件形態2についてa 本件特徴2④ウについて ペグの軸にはハンマーの打撃により大きな力が加わるため、軸の延長上に穴を設けてしまうと、強度が保たれずに穴がつぶれてしまったり、ハンマーの力が逃げてしまったりするため、軸からずらした位置に穴を設けることが望ましい。また、穴をフックの隙間部分より下に設けてしまうと、ペグを打ち込んだ際に土中に埋まってしまい、引き 抜く際にハンマーのフック等を差し込んで抜きやすくするとの役割を 果たせなくなるから、必ずフックの隙間部分よりも上に穴を設ける必要がある。 さらに、鍛造ペグは、スチール製の丸棒を熱してから金型でプレスし、ハンマーで叩いて成形するとの工程で製造されるところ、軸を挟んでフックと逆の側に穴を設けるには、当該丸棒を太くする必要があ り、プレス加工の際に廃棄部分が増えて材料効率が悪くなる。そのため、穴はフックと同じ側に設けることが好ましく、その場合の穴の位置として最も自然なのは、軸とフックの隙間部分の直上である。 そして、当該形態が、頭部に穴及び長さのあるフックを有する同種商品のほぼ全てに備わっていることも、上記の理解の正当性を裏付け ている。 したがって、本件特徴2④ウは、技術的機能等に由来する形態、競争上似ざるを得ない形態であって、独占適応性に乏しいものである。 b 本件特徴2④エについてフックの伸びる方向については、軸から見て内向きにするとロープ が入れにくくなり、外向きにするとロープが外れやすくなるから、フックを軸と平行に直線的に伸ばすのが最もバランスが良く、製造する際も簡単である。そして、当該形態が頭部に長さのあるフックを有する同種商品のほぼ全てに備わっ 向きにするとロープが外れやすくなるから、フックを軸と平行に直線的に伸ばすのが最もバランスが良く、製造する際も簡単である。そして、当該形態が頭部に長さのあるフックを有する同種商品のほぼ全てに備わっていることも、上記の理解の正当性を裏付けている。 したがって、本件特徴2④エは、技術的機能等に由来する形態、競争上似ざるを得ない形態であり、独占適応性に乏しいものである。 c 本件特徴2④オについて鍛造ペグは、スチール製の丸棒を熱してから金型でプレスし、ハンマーで叩いてペグを成形するとの工程で製造されるところ、その過程 で、フック部分は、幅をもたせるために叩いて引き伸ばされるため、 必然的に本体部分(軸)よりも薄くなる。また、本体部分(軸)は、打込時にハンマーの力を受け止めるためにある程度厚く頑丈に作る必要があるものの、掛具部は、ロープの張力に耐えられる程度の強度があれば足り、軽量化のためには薄い方が望ましい。掛具部の横幅については、穴を掛具部に設けると、それだけで掛具部の横幅は軸の直径 より大きくなるし、他のペグ等を通して引き抜くという穴の役割上、穴の直径は必然的に軸の直径より大きくなる。そして、フックは必ず本体(軸)から見て穴の外側に形成されるから、穴の直径にフックの幅を足すと、掛具部の幅は軸の直径の1.5倍以上にならざるを得ない。そして、当該形態が頭部に穴及び長さのあるフックを有する同種 商品のほぼ全てに備わっていることも、上記の理解の正当性を裏付けている。 したがって、本件特徴2④オは、技術的機能等に由来する形態、競争上似ざるを得ない形態であり、独占適応性に乏しいものである。 d 本件特徴2④カについて テントやタープのロープの直径は、4ないし6mm程度とされているため、 機能等に由来する形態、競争上似ざるを得ない形態であり、独占適応性に乏しいものである。 d 本件特徴2④カについて テントやタープのロープの直径は、4ないし6mm程度とされているため、これを引っ掛けるためのフックと軸の間の隙間部分の大きさも、ロープの直径に合わせて必然的に決まる。また、前記cのとおり、穴の大きさは軸の直径よりやや大きい程度となるから、前記aの理由により当該隙間部分の直上に穴を設けると、必然的に軸の直径、穴の 直径及びフックの隙間はいずれも同程度となる。そして、当該形態が頭部に穴及び長さのあるフックを有する大半の同種商品に備わっていることも、上記の理解の正当性を裏付けている。 また、フックの先端の直径がフックの隙間より小さい、すなわち、フックの直径が軸部の直径より小さいのは、前記cのとおり、フック には軸部ほどの強度が要求されないことと軽量化のためである。そし て、当該形態が頭部に長さのあるフックを有する同種商品のほぼ全てに備わっていることも、上記の理解の正当性を裏付けている。 したがって、本件特徴2④カは、技術的機能等に由来する形態、競争上似ざるを得ない形態であり、独占適応性に乏しいものである。 e 本件特徴2④キについて 掛具部の上部が丸みを帯びているのは、人に接触した際に痛みが少なく取り扱いやすいようにするためである。そして、当該形態が掛具部を有する大半の同種商品に備わっていることも、上記の理解の正当性を裏付けている。 したがって、本件特徴2④キは、技術的機能等に由来する形態、競 争上似ざるを得ない形態であり、独占適応性に乏しいものである。 f まとめ前記aないしeの各特徴は、本件形態1の抽象的な特徴を具体化したものにすぎないから、前記(ア)の主張と合わ 態、競 争上似ざるを得ない形態であり、独占適応性に乏しいものである。 f まとめ前記aないしeの各特徴は、本件形態1の抽象的な特徴を具体化したものにすぎないから、前記(ア)の主張と合わせると、結局のところ、本件特徴2①ないし⑤及びその組合せである同⑥は、いずれも鍛造ペ グの機能に由来する技術的形態であり、競争上似ざるを得ない形態であると共に独占適応性を欠く形態である。 エ原告意匠権に基づく独占期間内に獲得した特別顕著性及び周知性のみをもって商品等表示該当性を認めるべきではないこと(ア) 意匠権等の知的財産権の存在により独占状態が生じ、これに伴って当 該意匠権に係る形態につき周知性ないし著名性を獲得するのは当然のことであるから、この過程で獲得した特別顕著性及び周知性のみを根拠として、当該形態に不競法の適用を認めることは、結局、知的財産権の存続期間経過後も、第三者による当該形態の利用を妨げてしまうことに等しい。したがって、商品等表示該当性を判断するに当たっては、意匠権 等による独占状態の過程において獲得した特別顕著性及び周知性を考慮 すべきではなく、意匠権等に基づく独占状態の影響が払拭された後でもなお当該形態に特別顕著性及び周知性が認められるか否かに基づいて判断すべきである。 (イ) 原告意匠は、本件形態1との関係において、材料や質感に関する特徴(本件特徴1①及び②)を除く全ての特徴を備えている。なお、原告商品 における具体的なフック部分の長さの点は、登録意匠に記載がないものの、別紙原告意匠図面目録のとおり、ペグ全体の長さを基準としたときのフック部分の長さの割合は、本件形態1も原告意匠もほぼ同じである。 したがって、原告意匠が本件形態1と同一又は類似するものであることは明らかである 匠図面目録のとおり、ペグ全体の長さを基準としたときのフック部分の長さの割合は、本件形態1も原告意匠もほぼ同じである。 したがって、原告意匠が本件形態1と同一又は類似するものであることは明らかである。 また、原告意匠は、本件形態2との関係においても、材料や質感に関する特徴(本件特徴2①及び⑤)を除く全ての特徴を備えている。一方で、構成材料やそれに起因する外観、穴の大きさ、フックの太さといった点は、いずれも需要者等が外観上注目する大きな差異点とはいえないから、原告意匠と本件形態2は類似する。 このように、本件形態1及び2のいずれを前提としても、原告商品の形態と原告意匠とは、同一又は類似するものである。 (ウ) そうすると、原告商品の形態に対応した原告意匠権が平成24年5月30日まで存続していたのであるから、仮に原告が主張するように、同日時点で原告商品の形態について特別顕著性及び周知性が認められると しても、それは原告意匠権の存在による独占状態に伴って生じた結果であるから、そのような独占状態の過程において獲得した特別顕著性及び周知性のみを根拠として、原告商品の形態についての商品等表示該当性を肯定することはできない。 そして、原告意匠権の存続期間が満了して間もなく、多くの他社がテ ント、タープ用ペグ市場に参入してきたため、原告商品の形態と同一又 は類似の形態を有するテント、タープ用ペグが多数販売されるに至っており、現在もその数は減るどころか増える一方である。 (エ) したがって、原告意匠権による独占状態の影響が払拭された後で、原告商品の形態が特別顕著性及び周知性を獲得したとはいえない。 オ原告商品の形態が獲得した出所識別能力は喪失していること 著名ブランドの「コール 意匠権による独占状態の影響が払拭された後で、原告商品の形態が特別顕著性及び周知性を獲得したとはいえない。 オ原告商品の形態が獲得した出所識別能力は喪失していること 著名ブランドの「コールマン」から、平成17年に、同じ鍛造スチールを構成材料とし、形態が酷似するテント、タープ用ペグが発売され、その後も、鍛造スチールを構成材料とする点を含め、原告商品と同一の形態的特徴を多く備えた同種商品が次々と発売され、これらの同種商品の多くは、市場において十分な販売実績があった。 したがって、仮に、原告商品の形態が、平成16年時点において、一定の出所識別能力を有していたとしても、当該出所識別能力は平成17年時点をピークとして、以後徐々に下降し続け、それから10年以上が経過した平成29年までの間に希釈化し、優に消滅している。 カアンケートの結果について 原告が実施したアンケートの結果によれば、ペグを使用する機会が多い「キャンプ・登山関心層」においても、原告商品の外観自体から原告のブランドを想起する者は3パーセント弱であり、メーカー又はブランド名を答えるように誘導したり、選択肢を示したりした場合でも、正解率は15ないし20パーセントにとどまる。かえって、他のメーカー又はブランドを 回答したり、不明と回答したりする者が大半を占め、選択肢を示しても不正解の割合が80パーセント近い。 したがって、アンケートの結果からも、原告商品の形態が原告の周知な商品等表示であるとはいえない。 キ小括 以上によれば、原告が損害賠償請求をする期間の始期である平成29年 11月10日以降、現在に至るまで、原告商品の形態が周知な商品等表示であったことはない。 (2) 争点1-2(原告商品の形態に係る商品等表示と被告商品 する期間の始期である平成29年 11月10日以降、現在に至るまで、原告商品の形態が周知な商品等表示であったことはない。 (2) 争点1-2(原告商品の形態に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示が同一又は類似であるか)について(原告の主張) ア被告商品の形態に係る商品等表示被告商品の形態は、以下の共通する特徴を有する。 ① 鍛造されたスチールが構成材料として選択されている。 ② 上記①により、硬く、重みがあり、光沢感のない金属の質感を有することが外観的に明らかである。 ③ 頭部のうち打撃部が円柱形であり、その部分が頭部全体よりやや大きくなっている。 ④ 頭部フックの長さが25ないし40mm程度であり、全体に比して大型である。 ⑤ 頭部において、フックとは別に引き抜く際にハンマーのフックを引 っかける穴がある。 ⑥ 会社名(ブランド名)のロゴが記載されている上部から打ち込み部にかけてなだらかに細くなっており、打ち込み部分の先端もなだらかに細くなっている。 ⑦ 上記①ないし⑥が組み合わされている。 そして、被告らは、この特徴を備える被告商品の形態を、商品等表示として使用している。 イ原告商品の商品等表示と被告商品の商品等表示との対比(ア) 本件形態1に係る商品等表示との対比被告商品の商品等表示は、原告商品の最大の特徴である本件特徴1① を有し、かつ、その結果として本件特徴1②を有する。また、被告製品 の形態は、本件特徴1③ないし⑥を有し、本件特徴1①ないし⑥を組み合わせている(同⑦)点で、原告商品の細部にわたる形態をそのまま剽窃するものである。 したがって、被告商品の商品等表示は、原告商品の商品等表示と酷似している。 (イ) 本 ①ないし⑥を組み合わせている(同⑦)点で、原告商品の細部にわたる形態をそのまま剽窃するものである。 したがって、被告商品の商品等表示は、原告商品の商品等表示と酷似している。 (イ) 本件形態2に係る商品等表示との対比a 被告商品は、鍛造されたスチールを構成材料としており、上方がやや太く、下方がそれに比べると細くなっている軸及び軸の上方側面に軸に沿って設けられたテント及びタープのロープを引っ掛けるための板状の掛具部から構成されているから、本件特徴2①を備えている。 b 被告商品の軸の頭部は、楕円の短い円柱形で軸の他の部分より大きくなっている(以下「被告商品打撃部」という。)から、被告商品は、本件特徴2②を備えている。 c 被告商品においても、記載内容が異なるものの、軸の上方に英文字でロゴが記載されているから、被告商品は、本件特徴2③を備えてい る。 d 被告商品の掛具部には、ハンマーのカギ部を引っ掛けるための穴(本件特徴2④ア)及びロープを引っ掛けるためのフック(本件特徴2④イ)が設けられている。当該穴は、被告商品打撃部の斜め下に位置し、軸とフックの隙間部分の直上に位置し、掛具部の幅の半分以上を 占め、軸に接するように位置し、フックの上に及んでいる(本件特徴2④ウ)。掛具部のフックの先端の長さは、掛具部全体の長さのおよそ半分かそれ以上であり、フックは軸と平行に直線的に伸びている(本件特徴2④エ)。そして、掛具部の厚さは掛具部の設けられている部分の軸の直径よりやや薄く、その横幅は当該軸の直径の1.5倍以上で あり(本件特徴2④オ)、掛具部のフックと軸との間の隙間はその真横 に位置する軸の直径とほぼ同じ比率であり、フックの先端の直径はこれよりやや小さく(本件特徴2④カ)、掛具部の あり(本件特徴2④オ)、掛具部のフックと軸との間の隙間はその真横 に位置する軸の直径とほぼ同じ比率であり、フックの先端の直径はこれよりやや小さく(本件特徴2④カ)、掛具部の上部は、掛具部の穴に沿うように丸みを帯びている(本件特徴2④キ)。 したがって、被告商品は、原告商品の本件特徴2④アないしキを全て備えている。 e 被告商品は、鍛造されたスチールを構成材料として選択していることから、硬く、重みがあり、光沢感のない金属の質感を有することが外観的に見て取れるから、本件特徴2⑤を備えている。 f 前記aないしeのとおり、被告商品は、本件特徴2①ないし⑤をいずれも備えており、それらが組み合わされているから、本件特徴2⑥ を備えている。 (ウ) 以上のとおり、被告商品の商品等表示は、原告商品の本件形態2に係る商品等表示の特徴を全て備えている。 そして、前記(1)(原告の主張)ア(イ)のとおり、原告商品は、これらの形態的特徴により、くちばし(フック)、首(フックと平行に伸びる 軸)、目(掛具部の穴)からなるフラミンゴの頭部のような印象を需要者に与え、需要者の注意を強く引き付けるものであるところ、被告商品も同じ形態的特徴を備えており、被告商品においても原告商品と同じようにフラミンゴの頭部のような印象を需要者に与える。 したがって、本件形態2に係る商品等表示との対比においても、被告 商品の商品等表示は、原告商品の商品等表示と酷似している。 ウ被告らの主張する相違点について被告商品は、被告商品打撃部分、すなわち、フックから連なる部分がハンマーで打撃する部分の上端まで達している点において、円柱状の打撃部分が出っ張っている原告商品と相違しているものの、被告商品には被告商 品打 告商品打撃部分、すなわち、フックから連なる部分がハンマーで打撃する部分の上端まで達している点において、円柱状の打撃部分が出っ張っている原告商品と相違しているものの、被告商品には被告商 品打撃部分の下部に全周囲にわたるくびれがあることで、打撃部分のみが 出っ張り円柱形に見える外観となっていることから、当該相違点は全体の印象に特に影響を与えない些末なものである。 また、①軸部の断面形状が楕円であること、②カラーバリエーションを有すること、③「ELLISSE」の刻印があることは、いずれも被告商品の特徴といえるほどのものではないし、需要者が原告商品と被告商品と を離隔的に観察した場合にその差を認識することは困難なものである。 したがって、原告商品の形態と被告商品との形態との間に、被告らが主張するような相違点があるとしても、これらは、原告商品の形態と被告商品の形態とに共通するフラミンゴの頭部のような印象を凌駕するものではないから、被告商品の形態に係る商品等表示が、原告商品の本件形態1及 び2に係る商品等表示に類似していることを否定する根拠とはならない。 エ小括したがって、被告商品の形態に係る商品等表示は、原告商品の形態に係る商品等表示と同一であるか、又は少なくとも類似している。 (被告らの主張) ア原告商品の本件形態1に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示との対比(ア) 被告商品の形態に係る商品等表示a 被告商品の形態に係る商品等表示が、原告の主張する本件特徴1①ないし⑦のうち、以下の特徴を有することは認める(以下、頭書の番 号に従って「共通点1①」などという。)。 ① 鍛造されたスチールが構成材料として選択されている。 ④′ フックの長さが25ないし40mm程度であ 特徴を有することは認める(以下、頭書の番 号に従って「共通点1①」などという。)。 ① 鍛造されたスチールが構成材料として選択されている。 ④′ フックの長さが25ないし40mm程度である。 ⑤ 頭部において、フックとは別に引き抜く際にハンマーのフックを引っかける穴がある。 ⑥ 会社名(ブランド名)のロゴが記載されている上部から打ち込 み部にかけてなだらかに細くなっており、打ち込み部分の先端もなだらかに細くなっている。 b しかし、被告商品の形態に係る商品等表示は、以下のとおり、原告商品の本件形態1に係る商品等表示とは異なる特徴を有する(以下、頭書の番号に従って「相違点1①」などという。)。 ① 軸部の断面形状が、被告商品では楕円形であるのに対し、原告商品では真円に近い。 ② 被告商品は、色彩豊富なカラーバリエーションを有するのに対し、原告商品は、黒一色のみである。 ③ 被告商品は、ヘッド部分のうち打撃部が出っ張っておらず、フッ ク部分の上端と一体となったなだらかな湾曲面を形成しているのに対し、原告商品は、打撃部が円柱状に出っ張っている。 ④ 被告商品には、軸部のうち穴の真横に周方向のくびれが形成されているのに対し、原告商品には、当該くびれがない。 ⑤ 被告商品の頭部には、商品名を示す「ELLISSE」の刻印が あるのに対し、原告商品の頭部には、会社名を示す「SNOWPEAK」の刻印がある。 (イ) 共通点及び相違点の評価a 共通点について共通点1①についてみると、スチールを鍛造すること自体は、金属 製品の加工法において古くから一般的に用いられている技法で、少なくとも20商品弱以上の同種商品がこの特徴を備えている。 また、共通点1④′は、ほぼ全ての同種商品 ルを鍛造すること自体は、金属 製品の加工法において古くから一般的に用いられている技法で、少なくとも20商品弱以上の同種商品がこの特徴を備えている。 また、共通点1④′は、ほぼ全ての同種商品に備わっている形態であり、同⑤も、「フックとは別に穴がある」という意味において、頭部に穴及び長さのあるフックを備えている全ての同種商品がこれを備え ている。 さらに、共通点1⑥についても、少なくとも20商品以上の同種商品で採用されている形態であり、特に鍛造ペグにおいてほぼ必須な形態である。 加えて、前記(1)(被告らの主張)ウのとおり、本件形態1を構成する各特徴は、いずれも鍛造ペグとしての機能に由来する技術的形態、 競争上似ざるを得ない形態及び独占適応性を認めるべきではない形態に当たる。 以上のとおり、原告商品の商品等表示と被告商品の商品等表示における形態上の共通点は、いずれも同種商品においてありふれた形態にすぎない。 b 相違点について相違点1①に係る被告商品の形態である軸部の断面形状が楕円であることは、「エリッゼ」という被告商品の名称の一部ともなっているものであると共に、地面への打ち込みやすさ、地面からの抜きやすさとのメリットをもたらすとの点で、被告商品を他の商品と差別化するた めの重要な要素となっている。 相違点1②に係る被告商品の形態であるカラーバリエーションについては、被告商品ほど豊富なカラーバリエーションを取り揃えた同種商品は存在しない。暗がりや草むらにおけるペグの視認性を高める上で役立つこと、鍛造ペグという商品の性質上、どの商品もある程度似 たようなデザインにならざるを得ない中、豊富な色彩の中から自分好みの色を選べることから、需要者において好評を博している。このよう 役立つこと、鍛造ペグという商品の性質上、どの商品もある程度似 たようなデザインにならざるを得ない中、豊富な色彩の中から自分好みの色を選べることから、需要者において好評を博している。このように、原告商品と被告商品とは、カラーバリエーションの有無という点において、需要者に与える印象を大きく異にする。 相違点1③に係る被告商品の形態につき、ペグの頭部、特に打撃部 付近は、ペグをハンマーで地面に打ち込む際に使用者が必ず見る部分 であると共に、ペグという商品の使い勝手に大きく影響する部分でもあるから、ペグ全体の中でも特に注目度の高い部分である。そして、原告商品のように打撃部が円柱形に出っ張った形状は同種商品においてありふれている一方で、被告商品のように打撃部が出っ張っていない形態は極めて少数であるから、相違点1③に係る被告商品の形態は、 それのみで他の同種商品と大きく異なる形態上の特徴である。 相違点1④に係る被告商品の形態は、それのみで他の同種商品と大きく異なる形態上の特徴である。 相違点1⑤に係る被告商品の形態である「ELLISSE」の刻印は、被告商品の商品名(ブランド名)であり、鍛造ペグのように競争 上似ざるを得ない形態を有する商品においては、自他商品を識別するための有力な手がかりとなる。 このように、原告商品の本件形態1に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示との相違点は、他の同種商品において見られない特徴的なもので、かつ、需要者に対し強い印象を与えるものである。 c まとめ以上のとおり、原告商品の本件形態1に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示とは、他の同種商品においてありふれた形態においてのみ共通する一方で、他の同種商品には見られない形態において相違する。 とおり、原告商品の本件形態1に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示とは、他の同種商品においてありふれた形態においてのみ共通する一方で、他の同種商品には見られない形態において相違する。 イ原告商品の本件形態2に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示との対比(ア) 被告商品の形態に係る商品等表示a 被告商品の形態に係る商品等表示が、原告の主張する本件特徴2①ないし⑥のうち、以下の特徴を有することは認める(以下、頭書の番 号に従って「共通点2①」などという。)。 ① 鍛造されたスチールが構成材料として選択されたテント、タープ用ペグであり、上方がやや太く、下方がそれに比べると細くなっている軸及び軸の上方側面に軸に沿って設けられたテント、タープのロープを引っ掛けるための板状の掛具部から構成されている。 ④ 掛具部は、次の形態を有している。 アペグを地面から引き抜く際にハンマーのカギ部を引っ掛けるための穴が設けられている。 イテント・タープのロープを引っ掛けるためのフックが設けられている。 ウ穴は、打撃部の斜め下に位置し、軸とフックの隙間部分の直上 に位置する。また、穴は、掛具部の幅の半分以上を占め軸に接するように位置し、フックの上に及んでいる。 エフックの先端の長さは、掛具部全体の長さのほぼ半分か、それ以上であり(25ないし40mm)、フックは軸と平行に直線的に伸びている。 オ掛具部の厚さは掛具部の設けられている部分の軸の直径よりやや薄く、横幅は当該軸の直径の1.5倍以上である。 カフックと軸との間の隙間は、フックの横にある会社名(ブランド名)のロゴの記載がある箇所の軸の直径とほぼ同じ比率であり、フックの先端の直径はこれよりやや小さい。 直径の1.5倍以上である。 カフックと軸との間の隙間は、フックの横にある会社名(ブランド名)のロゴの記載がある箇所の軸の直径とほぼ同じ比率であり、フックの先端の直径はこれよりやや小さい。 b しかし、被告商品の形態に係る商品等表示は、以下のとおり、本件形態2とは異なる特徴を有する(以下、頭書の番号に従って「相違点2①」などという。)。 ① 被告商品の軸の頭部は、フック部分の上端と一体となったなだらかな湾曲面を形成している。 ② 被告商品の頭部には、商品名を示す「ELLISSE」の刻印が あるのに対し、原告商品の頭部には、会社名を示す「SNOWPEAK」の刻印がある。 ③ 被告商品における穴は、軸方向に沿う直径の全域が、フック部分の外形線が直線を維持している範囲内に収まるように形成されている。 ④ 被告商品のカラーバリエーションのうち、表面に粉体塗装が施された赤・黄・青・白・ピンク・オレンジ・紫といった色や、表面にメッキ処理が施されたゴールド・シルバー・ブロンズ・クロームといった色は、いずれも光沢のある色合いである。 (イ) 共通点及び相違点の評価 前記(1)(被告らの主張)ウのとおり、原告商品の本件形態2に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示との共通点は、いずれも鍛造ペグとしての機能に由来する技術的形態、競争上似ざるを得ない形態及び独占適応性を認めるべきではない形態であって、同種商品においてありふれた形態である。 これに対し、原告商品の本件形態2に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示との相違点、特に、相違点2①及び④は、前記ア(イ)bのとおり、他の同種商品において見られない特徴的なもので、かつ、需要者に対し強い印象を与えるものである。 ウ小括 告商品の形態に係る商品等表示との相違点、特に、相違点2①及び④は、前記ア(イ)bのとおり、他の同種商品において見られない特徴的なもので、かつ、需要者に対し強い印象を与えるものである。 ウ小括 以上のとおり、原告商品の本件形態1及び2に係る商品等表示と被告商品の形態に係る商品等表示とは、両形態の相違点が与える印象が、他の同種商品においてありふれた形態であるフラミンゴの頭部のような形状の共通点がもたらす印象を凌駕する一方で、両形態の共通点は、いずれも鍛造ペグとしての機能に由来する技術的形態、競争上似ざるを得ない形態及び 独占適応性を認めるべきではない形態であって、同種商品においてありふ れた形態である。 したがって、被告商品の形態に係る商品等表示は、原告商品の形態に係る商品等表示と類似していない。 (3) 争点1-3(被告商品の販売等が原告の商品と混同を生じさせる行為であるか)について (原告の主張)原告の商品等表示である原告商品の形態は、テント、タープ用ペグに用いられた形態であるところ、原告商品の形態と同一又は類似した形態を、商品等表示として、同じテント、タープ用ペグである被告商品に使用して販売又は販売のための展示をすると、需要者において、被告商品が原告の商品であ るとの誤認を生じさせるおそれがある。 実際に、インターネット上のSNSサイトやフリーマーケットサイトにおいて、一般の消費者が記事を投稿したり、商品を出品したりする際に、被告商品に原告や原告商品の名称を付している例が生じている。 したがって、被告商品の販売及び販売のための展示は、不競法2条1項1 号所定の不正競争に当たる。 (被告らの主張)否認ないし争う。 (4) 争点1-4(被告Xが被告会社と共同して被 したがって、被告商品の販売及び販売のための展示は、不競法2条1項1 号所定の不正競争に当たる。 (被告らの主張)否認ないし争う。 (4) 争点1-4(被告Xが被告会社と共同して被告商品の販売等をしたか)について (原告の主張)被告Xは、被告会社と共同して、被告商品の販売及び販売のための展示をしている。 したがって、被告Xは、不競法2条1項1号所定の不正競争の行為主体である。 (被告らの主張) 否認ないし争う。 (5) 争点2(差止め及び廃棄の必要性)について(原告の主張)前記(1)ないし(4)の各(原告の主張)のとおり、被告らは、被告商品を販売等して、需要者に被告商品が原告の商品であるとの誤認を生じさせている ところ、これは、不競法2条1項1号所定の不正競争により、原告による原告商品の販売機会を収奪し、原告の営業上の利益を侵害するものである。 したがって、被告らに対し、不競法3条1項に基づき、被告商品の製造、譲渡、引き渡し、譲渡及び引渡しのための展示、輸出並びに輸入の差止めを、同条2項に基づき、被告商品の廃棄を、それぞれ命じる必要がある。 (被告らの主張)否認ないし争う。 (6) 争点3(故意又は過失の有無)について(原告の主張)被告らが被告商品を販売等するまでに、原告商品は既に約18年間販売さ れており、本件形態1又は2は商品等表示として需要者の間に広く認識されていた。また、被告らは、被告商品の商品化前に、ペグの市場を調査し、日本国内で鍛造製のペグを販売しているのは1社のみで、被告会社が2社目であると認識し、類似品の研究を行っていた。さらに、原告と被告会社とは、新潟県三条市という同一地域に本店を置く競業企業であることからすると、 ペグを販売しているのは1社のみで、被告会社が2社目であると認識し、類似品の研究を行っていた。さらに、原告と被告会社とは、新潟県三条市という同一地域に本店を置く競業企業であることからすると、 被告らは、原告が本件形態1又は2を備える原告商品を販売していたことを知っていた。加えて、被告らは、原告が平成25年9月に被告商品の販売停止を求めたにもかかわらず、これを敢えて無視して、継続的に被告商品を販売等している。 これらの事実に照らせば、被告らには、被告商品を販売等するに当たり、 不競法2条1項1号の不正競争行為についての故意又は過失があったといえ る。 (被告らの主張)否認ないし争う。 (7) 争点4(損害の有無及びその額)について(原告の主張) ア不競法5条1項により算定される損害額(ア) 譲渡数量被告らは、平成29年4月から平成30年3月までの1年間で、被告商品を40万本以上販売しているから、平成29年11月10日から令和2年11月9日までの3年間で、被告商品を少なくとも120万本販 売したといえる。 また、被告商品には、長さの違いにより、18cm、28cm、38cm及び48cmの4種類がある。これに対し、原告商品1ないし4の長さは、それぞれ20cm、30cm、40cm及び50cmであり、その販売数量の割合はそれぞれ37.75パーセント、58.05パー セント、3.50パーセント及び0.70パーセントである。原告商品と被告商品の各長さはいずれも4種類で、その異同の程度に照らせば、被告商品もその長さに応じて原告商品と同様の割合で販売されたものと考えられるから、被告商品については、18cmのものが45万3000本、28cmのものが69万6600本、38cmのものが4万20 、被告商品もその長さに応じて原告商品と同様の割合で販売されたものと考えられるから、被告商品については、18cmのものが45万3000本、28cmのものが69万6600本、38cmのものが4万20 00本、48cmのものが8400本販売されたといえる。 (イ) 単位数量当たりの利益の額原告商品1ないし4の1本当たりの利益額は、直営店及び原告のウェブサイト(以下「直営店等」という。)で販売する場合、これらの店舗以外の卸先(以下「小売店等」という。)で販売する場合のそれぞれにおい て、別紙損害額計算表の「原告商品」「1本当たり利益額(円)」欄記載 のとおりである。 そして、原告における販路ごとの原告商品の販売数量の割合は、別紙損害額計算表の「原告商品」「販売割合」欄記載のとおりであるところ、被告らによる被告商品の販売等がなければ販売することができた原告商品の販路及び販売数量の割合も同様になると考えられる。 (ウ) まとめ前記(ア)及び(イ)によれば、平成29年11月10日から令和2年11月9日までの間の被告らの不正競争についての不競法5条1項により算定される損害額は、1億9552万1704円となる。 イ弁護士費用相当額 被告らの不正競争と相当因果関係のある弁護士費用は1955万2170円を下らない。 ウ合計以上によれば、被告らの不正競争によって原告に生じた損害額は、2億1507万3874円を下らない。 (被告らの主張)否認ないし争う。 (8) 争点5(謝罪広告の必要性)について(原告の主張)原告商品は、耐久性が高く、かつ、緻密なつくりの高品質な商品であるの に対し、被告商品は、原告商品に比して耐久性が低く品質も低いものであるから、両商品が混同されるこ ついて(原告の主張)原告商品は、耐久性が高く、かつ、緻密なつくりの高品質な商品であるの に対し、被告商品は、原告商品に比して耐久性が低く品質も低いものであるから、両商品が混同されることによって、原告のブランドの価値が著しく毀損され、原告の営業上の信用が害された。 したがって、原告の営業上の信用を回復させるためには、被告らによる別紙広告目録記載第2の要領による同記載第1の内容の謝罪広告の掲載が必要 である。 (被告らの主張)否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1-1(原告商品の形態が原告の周知な商品等表示であるか)について(1) 商品の形態の商品等表示該当性について 不競法2条1項1号の「商品等表示」とは、「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」をいうところ、商品の形態は、「商標」等と異なり、本来的には商品の出所を表示する目的を有するものではないが、商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有するに至る場合がある。このように商品の形態自体が特 定の出所を表示する二次的意味を有し、同号にいう「商品等表示」に該当するためには、その形態が「商標」等と同程度に不競法による保護に値する出所表示機能を発揮し得ること、すなわち、①商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)、かつ、②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に利用され、又は極めて強力な宣伝広告 や爆発的な販売実績等により、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要すると解するのが相当である。 本件において、原告商品の形態の商品等表示該当性を検 り、需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要すると解するのが相当である。 本件において、原告商品の形態の商品等表示該当性を検討するに当たり、その判断の基準となる需要者については、原告が、主にキャンプ用品、登山 用品等の開発・製造・販売等を業とする株式会社であり、原告商品が、キャンプ等のアウトドア・レジャーで使用するテント、タープ用ペグであること(前提事実(1)ア及び(2)ア)に照らし、我が国においてキャンプ等のアウトドア・レジャーで使用するテント、タープ用ペグの購入及び使用に関心のある一般消費者並びにこれらを取り扱う事業者と認めるのが相当である。 (2) 原告商品の形態的特徴について ア原告は、原告商品全体の形態について、本件特徴1①ないし⑦の形態的特徴を有すると主張する。 しかし、証拠(甲11、乙8、9、40)によれば、フックや穴は、多くのテント、タープ用ペグが備える構成要素であって、これらの形状、位置関係及び取付方向は、ペグによって様々であることが認められる。そう であるにもかかわらず、本件特徴1③ないし⑤は、フックや穴といった原告商品の構成要素について、それらの形状、位置関係及び取付方向を何ら特定していない。このように、本件特徴1③ないし⑤は、フックや穴の形状、位置関係及び取付方向において様々な態様が存在しているテント、タープ用ペグについて、不競法2条1項1号所定の商品等表示としての形態 に当たるか否かを議論する前提であるべき特徴としてはあまりにも抽象的であって、同号の保護の対象となる形態を明確に特定するものとはいえない。 したがって、形態としての特定性を欠く本件特徴1③ないし⑤を含んだ本件形態1について同号 るべき特徴としてはあまりにも抽象的であって、同号の保護の対象となる形態を明確に特定するものとはいえない。 したがって、形態としての特定性を欠く本件特徴1③ないし⑤を含んだ本件形態1について同号所定の商品等表示を論じる原告の主張は、失当で あるといわざるを得ない。 イしたがって、原告商品全体の形態が商品等表示に当たるか否かについては、原告の主張する本件形態2に基づいて検討するのが相当である。 (3) 原告意匠権の存在による商品等表示該当性判断に対する影響についてア総論 前提事実(3)のとおり、原告は、平成9年5月30日、意匠に係る物品を「テント張設用ペグ」とする原告意匠について原告意匠権の設定登録を受け、原告意匠権は、平成24年5月30日、存続期間の満了により消滅した。 この原告意匠権の存在により、原告意匠に類似する形態の独占状態が生じ、これに伴って、特別顕著性及び周知性が獲得又は維持されるのは、当 然のことであるから、このような独占状態に基づいて獲得又は維持された 特別顕著性及び周知性のみを根拠として、原告商品の形態について不競法2条1項1号所定の商品等表示としての保護を認めることは、結局、原告意匠権の存続期間満了後も、第三者による原告意匠の利用を妨げることになる。このような事態は、価値ある意匠の提供の対価として一定期間の独占を認める一方、期間経過後はこれを公衆に開放することとした意匠権の 制度趣旨に反する上、事業者間の公正な競争等を確保し、もって国民経済の健全な発展に寄与するという不競法の目的に反するものであって、相当でない。 もっとも、原告商品の形態に係る特別顕著性や周知性が原告意匠権に基づく独占により生じ又は維持された場合でも、原告意匠権が消滅し、第三 者の同 不競法の目的に反するものであって、相当でない。 もっとも、原告商品の形態に係る特別顕著性や周知性が原告意匠権に基づく独占により生じ又は維持された場合でも、原告意匠権が消滅し、第三 者の同種商品が市場に投入されて相当期間経過するなどして、原告意匠権に基づく原告商品の形態に係る独占状態の影響が払拭された後で、新たに原告商品の形態が出所を表示するものとして特別顕著で周知となったとの事情が認められれば、原告商品の形態について、不競法2条1項1号所定の商品等表示として保護する余地があると解すべきである。 イ原告商品の形状等と原告意匠との類否原告意匠権の存在により原告商品の形態の独占状態が生じていたか否かを判断する前提として、原告の主張する本件形態2に基づき、原告商品の形状等と原告意匠とが類似しているか否かについて検討する。 (ア) 共通点について 前提事実(2)ア及び(3)イ(別紙原告商品外観目録及び同原告意匠図面目録参照)によれば、原告意匠は、本件特徴2②及び④アないしウ、オないしキを備えていると認められる。 本件特徴2①に関し、原告意匠に係る物品が鍛造されたスチールが構成材料として選択されたものであるか否かは明らかでないが、原告意匠 は、本件特徴2①に係るその余の特徴を有するものと認められる。 また、本件特徴2④エに関し、原告意匠における頭部フック部分の具体的な長さは明らかでない。しかし、原告商品の軸の長さは20ないし50cm(前提事実(2)ア)、頭部のフック部分の長さは25ないし40mm(本件特徴2④エ)であるところ、原告意匠の軸の長さと頭部のフック部分の長さとの割合にかんがみれば、原告商品と原告意匠とでは、 軸の長さと頭部フック部分の長さとの割合が概ね一致しているといえる。 本件特徴2④エ)であるところ、原告意匠の軸の長さと頭部のフック部分の長さとの割合にかんがみれば、原告商品と原告意匠とでは、 軸の長さと頭部フック部分の長さとの割合が概ね一致しているといえる。 (イ) 差異点について本件特徴2③に関し、原告商品の軸の上方には、「SNOWPEAK」とのロゴが記載されているのに対し、原告意匠の軸の上部には、頭部のフック部分と平行に、二つの半円と二つの直線を組み合わせた長円形状 の模様が設けられているとの点において、両者の間には差異がある。 また、本件特徴2①及び⑤に関し、原告商品は、鍛造されたスチールが構成材料として選択されており、そのことから、硬く、重みがあり、光沢感のない金属の質感を有することが、外観的に見て取れるというものであるのに対し、原告意匠では、構成材料、硬さ、重量感及び質感が 特定されていない点において、両者の間には差異がある。 (ウ) 検討前記(イ)のとおり、原告商品の形状等と原告意匠との間には、軸の上部に長円形状の模様があるか、「SNOWPEAK」とのロゴが記載されているかとの差異点がある。しかし、当該部分は、形状等の基本的な外縁 を構成するものではない上、形状等全体に占める割合も大きくないことからすると、当該差異点は細部における差異にすぎないから、類否判断に及ぼす影響は小さいといえる。また、意匠は、「物品…の形状、模様」又は「色彩若しくはこれらの結合」を保護するものであるから(意匠法2条1項)、原告意匠において構成材料、硬さ、重量感及び質感が規定さ れていないことは、原告商品の形状等との実質的な差異点とはいえない。 そして、前記(ア)において認定した共通点にかんがみれば、原告商品の形状等と原告意匠とは、需要者の視覚を通じて起こさせる ないことは、原告商品の形状等との実質的な差異点とはいえない。 そして、前記(ア)において認定した共通点にかんがみれば、原告商品の形状等と原告意匠とは、需要者の視覚を通じて起こさせる全体的な美感を共通にしているものと認められる。 したがって、原告商品の形状等は、原告意匠に類似するものといえる。 (エ) まとめ 以上によれば、原告意匠権が存在することにより、原告商品の形態の独占状態が生じていたと認められる。 ウ原告意匠権に基づく原告商品の形態に係る独占状態の影響が払拭されたか(ア) 前記ア及びイにおいて検討したとおり、原告が、従前、原告商品の形 態を独占的に使用できたのは、原告意匠権を有していたことによるものと認められるから、原告商品の形態が商品等表示に当たるというためには、原告意匠権に基づく原告商品の形態に係る独占状態の影響が払拭された後に、新たに原告商品の形態が出所を表示するものとして特別顕著かつ周知となる必要がある。 (イ) そこで、原告意匠権に基づく原告商品の形態に係る独占状態の影響が払拭されているか否かについて検討する。 a 前提事実(2)イのとおり、原告商品は、被告商品の販売が開始された平成25年(前提事実(4)ア)から令和2年4月まで、合計約425万本販売されており(別紙販売数一覧表参照)、その間の平均年間販売数 は約58万本であった。 他方で、原告意匠権が存続期間満了により消滅した平成24年5月30日から上記の被告商品の販売開始時までは、長くみても1年半程度しか経過しておらず、この期間において、原告商品と同種の商品のうち、本件同種商品1ないし3の販売がされていたものの、その販売 数は●(省略)●にとどまる(前提事実(5)。別紙同種商品一覧表参 ず、この期間において、原告商品と同種の商品のうち、本件同種商品1ないし3の販売がされていたものの、その販売 数は●(省略)●にとどまる(前提事実(5)。別紙同種商品一覧表参 照)。 その後、被告商品の販売数は、平成26年に年間10万本を超え、平成28年に年間約41万本、平成30年に年間約59万本、令和元年に約77万本に達した(前提事実(4)イ。別紙販売数一覧表参照)。 また、原告商品と同種の商品のうち、●(省略)●の販売数は、● (省略)●に上っていた(前提事実(5)。別紙同種商品一覧表参照)。 b 前記aのとおり、原告意匠権が存続期間の満了により消滅した平成24年5月30日から被告商品の販売が開始された平成25年までは、長くみても1年半程度という比較的短い期間しか経過しておらず、かつ、その間に販売されていたと認められる同種商品は3商品にとどま り、その販売数も●(省略)●にすぎなかったことからすると、この期間をもって、第三者の同種商品が市場に投入されて相当期間経過するなどして、原告意匠権を有していたことに基づく独占状態の影響が払拭されたとはいえない。 これに対し、被告商品の販売開始後についてみると、前記aのとお り、被告商品の販売数は平成28年に年間約41万本、平成30年に年間約59万本と、原告商品の販売数と肩を並べる程度となっていた上、令和元年以降、原告商品及び被告商品以外にも、それらの同種商品が●(省略)●販売されていたことからすると、遅くとも令和元年には、原告意匠権に基づく原告商品の形態に係る独占状態の影響が払 拭されたといえる。 (ウ) したがって、原告商品の形態については、原告意匠権に基づく原告商品の形態に係る独占状態の影響が払拭されたといえる令和元年以降、新たに当該形態 独占状態の影響が払 拭されたといえる。 (ウ) したがって、原告商品の形態については、原告意匠権に基づく原告商品の形態に係る独占状態の影響が払拭されたといえる令和元年以降、新たに当該形態が出所を表示するものとして特別顕著かつ周知となったとの事情が認められれば、不競法2条1項1号所定の商品等表示に該当し 得る。 エ原告意匠権の存在を考慮する必要はないとの原告の主張について(ア) 原告は、意匠権の存続期間中に広告宣伝しても不競法による保護を得られないのであれば、意匠権制度を設けた趣旨が没却されるし、不競法2条1項1号に基づく保護は、権利者による販売実績、広告宣伝の継続等がなければ失われるものであるから、意匠権の存続期間中に行った広 告宣伝等により獲得又は維持された特別顕著性及び周知性も商品等表示該当性の基礎として考慮すべきであると主張する。 しかし、意匠権による意匠の保護制度は、登録意匠を公開した者に対し、一定期間、当該登録意匠に係る物品の製造、使用等についての独占的権利を付与することによって、意匠の創作を奨励すると共に、第三者 が当該登録意匠を利用する機会を与え、産業の発達に寄与することを目的とするものであるから(意匠法1条参照)、意匠権が存続期間満了等により消滅した後は、何人も当該登録意匠を自由に利用できるようにすることで、更に産業の発達に寄与させることが前提とされていると解される。そうすると、登録意匠と同一又は類似する商品の形態につき、当該 登録意匠に係る意匠権に基づく独占状態を前提として獲得又は維持された特別顕著性及び周知性を根拠として、当該意匠権の存続期間の満了後に直ちに不競法2条1項1号による保護を受け得るとすることは、上記の意匠の保護制度が前提とするところと相容れない して獲得又は維持された特別顕著性及び周知性を根拠として、当該意匠権の存続期間の満了後に直ちに不競法2条1項1号による保護を受け得るとすることは、上記の意匠の保護制度が前提とするところと相容れないというべきである。 そして、意匠権を取得して維持するためには、登録意匠を公開し(意 匠法20条3項、4項)、登録料を納付することが必要である一方(同法42条)、意匠権者は、当該登録意匠を自ら実施したり、当該登録意匠を実施した物品に係る広告宣伝等をしたりしなくとも、登録意匠について意匠権による保護を受けることができる。その結果、意匠権者は、意匠権の存続期間中、当該登録意匠に係る物品の形状等を独占して利用する ことができるから、大規模な広告宣伝をすることなく、当該物品の販売 等から多額の利益を得られる可能性がある。そうすると、原告の主張するように、販売開始から3年間は、不競法2条1項3号に基づいて商品の形態が保護されることも考慮して、意匠登録を受けず、当該3年間で当該形態について同項1号所定の商品等表示性を獲得し、以後意匠権の存続期間よりも長期にわたって保護を受けるという判断の方が、より合 理性を有するとは、必ずしもいえない。そもそも、同項3号による短い保護期間で商品等表示性を獲得するには、相当規模の広告宣伝等が必要であるとも考えられるから、その点からしても、原告の主張する方法が必ずしも合理性を有するとはいえないというべきである。したがって、意匠権制度を設けた趣旨が没却されるとの原告の上記主張は、その前提 を欠くものであるといわざるを得ない。 確かに、登録意匠を利用した商品の形態が周知性を獲得するためには、その前提として意匠権者による当該物品に係る相応の販売実績や広告宣伝が必要になると考えられるものの、そ のであるといわざるを得ない。 確かに、登録意匠を利用した商品の形態が周知性を獲得するためには、その前提として意匠権者による当該物品に係る相応の販売実績や広告宣伝が必要になると考えられるものの、その周知性を獲得する過程において意匠権に基づく当該形態の独占状態が大きく寄与していることは明ら かであるから、意匠権者による当該物品に係る販売、広告宣伝の有無及びその程度は、上記判断を左右する事情とはいえない。 (イ) また、原告は、特許権及び実用新案権とは異なり、意匠権の対象となった形状等については、第三者は、当該技術の機能効果を果たす他の形状等を選択して市場に参入することが可能であって、原告意匠を不競法 で保護しても、公正な競争を阻害するといった事態は生じないと主張する。 しかし、第三者において、意匠権の存在により、その対象となった形状等と同一又は類似の形状等を選択して市場に参入できないという点では、特許権及び実用新案権が存在する場合と変わりがないというべきで ある。そして、意匠法も、特許法及び実用新案法と同様に、意匠権消滅 後の意匠の自由利用を志向しているものと解するのが相当である。そうすると、原告が主張する根拠のみをもって、意匠権による影響について特許権及び実用新案権による影響と別異に解するのは、無理があるといわざるを得ない。 (ウ) その他、原告が種々主張するところを検討しても、いずれも、原告商 品の形態が出所を表示するものとして特別顕著かつ周知か否かの判断において、原告意匠権の存在を考慮することを否定するには足りないというべきである。 (4) 原告商品の形態の特別顕著性についてア前記(3)で検討したとおり、本件において、原告商品の形態が不競法2条 1項1号所定の商品等表示として 定するには足りないというべきである。 (4) 原告商品の形態の特別顕著性についてア前記(3)で検討したとおり、本件において、原告商品の形態が不競法2条 1項1号所定の商品等表示として保護され得るのは、原告意匠権に基づく原告商品の形態に係る独占状態の影響が払拭されたと認められる令和元年以降に限られる。 そして、商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有するためには、需要者において特定の事業者の出所を表示するものとして周知と なった当該商品の形態が、他の同種商品から識別できる程度に客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴(特別顕著性)を備えることが必要であるところ、どのような特徴が客観的に他の同種商品とは異なる顕著なものとなるかは、その時点で市場に存在する他の同種商品が備える形態によっても変化し得る。そうすると、原告意匠権に基づく原告商品の形態に係る 独占状態の影響が払拭されたと認められる令和元年以降において、新たに原告商品の形態が出所を表示するものとして特別顕著となったというためには、令和元年以降に市場に存在する他の同種商品との対比において、原告商品の形態が客観的に異なる顕著な特徴を有しているかを検討する必要があると考えられる。 また、原告商品の形態的特徴が、市場においてごく少数しか流通してい ない商品の形態的特徴と合致していたとしても、そのことから、直ちに、原告商品の形態がありふれたものである、すなわち客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有していないものであるとはいい難い。 このような観点からすると、原告商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているか否かを検討するに当たっては、原告商 品と、被告商品並びに●(省略)●と認められる本件同種商品2、 このような観点からすると、原告商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しているか否かを検討するに当たっては、原告商 品と、被告商品並びに●(省略)●と認められる本件同種商品2、4、5、13、15、19、20、22、27及び39とを、対比するのが相当である。 イ原告商品と、被告商品並びに本件同種商品2、4、5、13、15、19、20、22、27及び39とを対比すると、本件形態2が有する各形 態的特徴につき以下の指摘をすることができる(乙38、40)。 (ア) 本件特徴2①a 本件特徴2①は、「鍛造されたスチールが構成材料として選択された」との特徴を含むものである。 まず、この点について検討すると、商品の形態を不競法2条1項1 号所定の商品等表示として保護する趣旨は、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を持つ当該商品の形態自体が特定の出所を表示する二次的意味を有することに着目し、それを保護しようとするものであるから、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴というためには、当該特徴が出所表示機能を有するもの、すなわち、需要者におい て、通常の用法に従って使用する際に、五感によって認識できるものでなければならないと解される。 これを原告商品についてみると、本件全証拠によっても、需要者が通常の用法に従って使用する際に、原告商品が金属製であることに由来する重量感、打音といった質感を有することを超えて、五感によっ て構成材料が鍛造スチールであることを認識することができると認め ることはできない。したがって、原告商品が、「鍛造されたスチールが構成材料として選択された」との特徴を有するとしても、当該特徴は、商品等表示該当性の判断に際し、他の同種商品と対比されるべき特徴に当たる とはできない。したがって、原告商品が、「鍛造されたスチールが構成材料として選択された」との特徴を有するとしても、当該特徴は、商品等表示該当性の判断に際し、他の同種商品と対比されるべき特徴に当たるとはいえない。 そして、本件特徴2①のうち、「鍛造されたスチールが構成材料とし て選択された」との点を除く形態的特徴は、被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、13、15、19、20、22、27及び39が備える特徴と認められる。 b 仮に、原告が主張するように、「鍛造されたスチールが構成材料として選択された」との特徴が他の同種商品と対比されるべき特徴に当た るとしても、本件特徴2①は、被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、27及び39が備える特徴と認められる。 (イ) 本件特徴2②少なくとも本件同種商品2、13、15、19、20及び22が備える特徴と認められる。 (ウ) 本件特徴2③本件特徴2③に関し、原告商品では「SNOWPEAK」とのロゴが記載されているところ(前提事実(2)ア。別紙原告商品外観目録参照)、原告以外の事業者が販売する商品に、原告の名称の英語表記である「SNOWPEAK」とのロゴが付されることは通常あり得ないから、当該 特徴は、軸の上方に何らかのロゴが記載されているとの趣旨と解するのが相当である。そして、軸の上方に何らかのロゴが記載されているとの特徴は、被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、15、19、20、27及び39が備える特徴と認められる。 これに対し、本件同種商品13では、ロゴがフックの上に記載されて いること、本件同種商品22では、商品にロゴが記載されていないこと から、いずれも本件特徴2③を備えていないと認められる。 、本件同種商品13では、ロゴがフックの上に記載されて いること、本件同種商品22では、商品にロゴが記載されていないこと から、いずれも本件特徴2③を備えていないと認められる。 (エ) 本件特徴2④ア被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、13、15、19、20、22、27及び39が備える特徴と認められる。 (オ) 本件特徴2④イ 被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、13、15、19、20、22、27及び39が備える特徴と認められる。 (カ) 本件特徴2④ウ本件同種商品4、13、15、19、20及び27が備える特徴と認められる。 これに対し、被告商品及び本件同種商品5においては、軸の頭部が掛具部から突出しておらず、ハンマーで打撃することになる部分が穴の直上にまで広がっていることに伴って、穴が打撃部の斜め下に位置するとの特徴を備えていないものの、その余の特徴を備えていると認められる。 また、本件同種商品2は、穴が軸に接するように位置しておらず、か つ、本件証拠上、穴がフックの上にまで及んでいるか否かが明らかでないものの、その余の特徴を備えていると認められる。 さらに、本件同種商品22及び39は、穴が軸とフックの隙間部分の斜め上にあり、かつ、軸に接するように位置していないものの、その余の特徴を備えていると認められる。 (キ) 本件特徴2④エ被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、13、15、19、20、22及び27が備える特徴と認められる。 (ク) 本件特徴2④オ被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、13、15、 19、20、22、27及び39が備える特徴と認められる。 (ケ) 本件特徴2④カ被告商 本件特徴2④オ被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、13、15、 19、20、22、27及び39が備える特徴と認められる。 (ケ) 本件特徴2④カ被告商品のほか、少なくとも本件同種商品4、5、13、15、19、20、22、27及び39が備える特徴と認められる。 なお、本件同種商品2のフックと軸との間の隙間は、フックの横にあるロゴの記載がある箇所の軸の直径よりもかなり広いと認められるから、 本件特徴2④カを備えると認めることはできない。 (コ) 本件特徴2④キ被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、13、15、19、20、22、27及び39が備える特徴と認められる。 (サ) 本件特徴2⑤ a 前記(ア)のとおり、本件全証拠によっても、需要者が通常の用法に従って使用する際に、原告商品が金属製であることに由来する重量感、打音といった質感を有することを超えて、五感によって構成材料が鍛造スチールであることを認識することができると認めることはできない。したがって、原告商品が「鍛造されたスチールが構成材料として 選択されている」との特徴を有するとしても、当該特徴は、商品等表示該当性の判断に際し、他の同種商品と対比されるべき特徴に当たるとはいえない。 そして、本件特徴2⑤のうち、「鍛造されたスチールが構成材料として選択されていることから、」との点を除く形態的特徴は、被告商品の ほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、13、22、27及び39が備える特徴と認められる。 b 仮に、原告が主張するように、「鍛造されたスチールが構成材料として選択されていることから、」との特徴が他の同種商品と対比されるべき特徴に当たるとしても、本件特徴2⑤は、被告商品のほか、本件 。 b 仮に、原告が主張するように、「鍛造されたスチールが構成材料として選択されていることから、」との特徴が他の同種商品と対比されるべき特徴に当たるとしても、本件特徴2⑤は、被告商品のほか、本件同 種商品2、4、5、27及び39が備える特徴と認められる。 (シ) 本件特徴2⑥前記(ア)ないし(サ)のとおり、本件証拠上、本件特徴2①ないし⑤の形態的特徴の全てを厳密に備えた同種商品が存在すると認めることはできない。 ウ検討 (ア) 前記イ(シ)のとおり、本件証拠上、本件特徴2①ないし⑥の形態的特徴の全てを厳密に備えた同種商品が存在すると認めることはできない。 しかし、本件同種商品13は、ロゴの記載位置が軸上かフック上かという商品の形状の基本的な外縁を構成しない要素において差異がある点及び「鍛造されたスチールが構成材料として選択された」との特徴を除 き、本件形態2に係る形態的特徴を全て備えていると認められる。 また、本件同種商品22は、ロゴが商品に記載されているか否かや、穴が軸とフックの隙間部分の斜め上にあり、かつ、軸に接するように位置していないという商品の形状の基本的な外縁を構成しない要素において差異がある点及び「鍛造されたスチールが構成材料として選択された」 との特徴を除き、本件形態2に係る形態的特徴を全て備えていると認められる。 さらに、被告商品のほか、本件同種商品2、4、5、15、19、20、27及び39についても、本件形態2に係る形態的特徴の大半を備えているものと認められる。 (イ) そして、前提事実(2)イのとおり、原告商品は、令和元年以降も、年間約58万本が販売されていたと推認できる。 これに対し、被告商品、本件同種商品5及び22に限っても、これらの令和元年以 (イ) そして、前提事実(2)イのとおり、原告商品は、令和元年以降も、年間約58万本が販売されていたと推認できる。 これに対し、被告商品、本件同種商品5及び22に限っても、これらの令和元年以降の年間販売数は、●(省略)●と認められる(●(省略)●前提事実(4)イ、(5)。別紙販売数一覧表及び別紙同種商品一覧表参照)。 (ウ) このように、令和元年以降、原告商品の形態的特徴の大半を備えた同 種商品が、被告商品を含めて複数種類、かつ、原告商品の販売数と同程度以上の数量が市場に流通していることが認められる。 仮に、原告が主張するように、「鍛造されたスチールが構成材料として選択された」との特徴を考慮しても、「鍛造されたスチールが構成材料として選択された」との特徴を除く原告商品の形態的特徴は、本件同種商 品13及び22がそのほとんど全てを備えているところ、「鍛造されたスチールが構成材料として選択された」との特徴は、被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、27及び39等の多数の同種商品が備えるものであることからすると、これらの特徴を組み合わせたからといって、直ちに、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な形態的特徴を 有することになるとはいえない。 (エ) 以上によれば、令和元年以降において、原告商品の形態が、客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有していると認めることはできない。 エ 「鍛造されたスチールが構成材料として選択され」ていることが商品等 表示を基礎付ける形態的特徴となるとの原告の主張について(ア)a まず、スチールを構成材料として選択されたとの点についてみると、商品の構成材料は、一般消費者であっても、手に持った際の重量感や打音などによってある程度推測することが可能と考え について(ア)a まず、スチールを構成材料として選択されたとの点についてみると、商品の構成材料は、一般消費者であっても、手に持った際の重量感や打音などによってある程度推測することが可能と考えられる。しかし、商品の重量は、構成材料の密度及び商品の体積によって決まる ものであるところ、スチール(炭素鋼)やステンレス鋼など、異なる種類の金属であっても密度が概ね同程度である素材が存在する上(顕著な事実)、商品によってもその具体的な構成材料の組合せや体積は様々であるから、需要者が、商品を手に持った際の重量感や打音から、当該商品の構成材料が金属であることを認識できたとしても、テント、 タープ用ペグの購入及び使用に関心のある一般消費者及び取扱事業者 の有する能力に照らし、具体的な金属の種類まで認識できるのが通常であるとはいえない。そして、本件全証拠によっても、需要者が、原告商品の構成材料がスチールであると具体的に認識することができると認めることはできない。 b また、鍛造製であるとの点についてみると、構成材料である金属を 鍛造とすることによって、客観的に当該構成材料の密度が大きくなったり打音に変化が生じたりするとしても、その変化の程度から、テント、タープ用ペグの購入及び使用に関心のある一般消費者及び取扱事業者が、当該構成材料が鍛造により製造されたことを認識できるのが通常であるとはいえない。 この点、原告は、原告商品の表面に細かいざらつきがあるとの特徴が、鍛造に由来するものであると主張する。 確かに、証拠(甲232)によれば、鉄やスチールを鍛造する過程において、素材を加熱した際に当該素材の表面に酸化膜が形成され、その後当該素材を叩くなどした際に当該酸化膜が部分的に剥がれるこ とで、表面 証拠(甲232)によれば、鉄やスチールを鍛造する過程において、素材を加熱した際に当該素材の表面に酸化膜が形成され、その後当該素材を叩くなどした際に当該酸化膜が部分的に剥がれるこ とで、表面にざらつきや凹凸模様が形成される場合があることが認められる。 しかし、鍛造は、加工時の温度によって、熱間鍛造、冷間鍛造などに分類されるところ(乙184。なお、原告が、原告商品の表面に細かいざらつきがあるとの特徴が生ずる理由として主張している鍛造と は、熱間鍛造を意味すると解される。)、熱間鍛造以外の方法によって製造した場合にも、当然に素材の表面に細かいざらつきが形成されることが立証されているとはいえない。 そもそも、商品の表面の性状は、仕上げの有無やその方法によって様々に変化し得るところ、原告商品の表面の細かいざらつきが、構成 材料を鍛造とすることによってのみ形成される性状であると認めるに 足りる証拠はない。 このほか、本件全証拠によっても、需要者が、原告商品の構成材料が鍛造により製造されたものであると具体的に認識することができると認めることはできない。 c 以上によれば、需要者が、原告商品の構成材料がスチールであり、 かつ、それが鍛造により製造されたものであるとのいずれの点についても、五感によって認識できると認めることはできないから、「鍛造されたスチールが構成材料として選択され」たことは、商品等表示該当性を基礎付ける他の同種商品と対比されるべき特徴に当たるとはいえない。 (イ) 仮に、需要者が、原告商品の構成材料がスチールであり、かつ、それが鍛造により製造されたものであるとの特徴を、五感によって認識できるとしても、前記イ及びウのとおり、令和元年以降、当該特徴は、被告商品のほか、少なくとも本 商品の構成材料がスチールであり、かつ、それが鍛造により製造されたものであるとの特徴を、五感によって認識できるとしても、前記イ及びウのとおり、令和元年以降、当該特徴は、被告商品のほか、少なくとも本件同種商品2、4、5、27及び39等の多数の同種商品が備えているものであるから、客観的に他の同種商品と異 なる顕著な特徴とはいえない。 (ウ) したがって、原告の前記各主張を採用することはできない。 (5) 新たに原告商品の形態が出所を表示するものとして周知となったかアなお、令和元年以降、新たに原告商品の形態が出所を表示するものとして周知となったか否かについても検討する。 (ア) テント、タープ用ペグの販売状況前記(4)ウ(イ)のとおり、原告商品の令和元年以降の年間販売数は約58万本と推認される。これに対し、被告商品の令和元年の年間販売数は77万本を上回っており、●(省略)●と認められる。 (イ) 広告宣伝の状況 証拠(甲9、15ないし73)によれば、原告は、原告商品の販売開 始以降、原告商品に関し、新聞、雑誌、ウェブサイト等に広告を掲載したり、直営店や量販店等において宣伝したりしているほか、第三者による原告商品の紹介記事がウェブサイトに複数掲載されていると認められる。しかし、原告商品について、令和元年以降、需要者において原告商品の形態を強く認識、記憶させるに足りるような、極めて強力な広告宣 伝が行われていることを認めるに足りる証拠はない。 (ウ) 原告が実施したアンケートの結果(甲122)a 概要原告は、株式会社日本能率協会総合研究所に依頼して、原告商品の形態が原告の商品を示すものとして認識されているかどうかを確認す る目的で、アンケート方式による調査を実施した。 b 調査 概要原告は、株式会社日本能率協会総合研究所に依頼して、原告商品の形態が原告の商品を示すものとして認識されているかどうかを確認す る目的で、アンケート方式による調査を実施した。 b 調査期間令和3年5月27日から同年6月2日までc 調査対象及び回答人数自身が使用する目的でテント、タープ又はペグのいずれかを所有し ている全国の20歳から65歳の男女を対象とし、1008人から有効回答を得た。 d 質問内容原告商品の外観が写った写真を呈示した上で、どこのブランドの商品だと思うかを、自由回答式(純粋想起)及び選択式(助成想起)で 尋ねた。 e 結果(a) 原告商品の外観が写った写真から、メーカー名又はブランド名を自由回答式で回答させたところ、次のとおりの結果であった。 原告又は原告商品 9.3パーセント コールマン 7.8パーセント 被告会社又は被告商品 1.2パーセントモンベル 2.1パーセントロゴス 1.3パーセントその他計 6.4パーセントわからない 71.8パーセント 同様に選択式で回答させたところ、次のとおりの結果であった。 原告又は原告商品 12.2パーセントユージャック 2.1パーセントコールマン 9.6パーセントホールアース 4.5パーセント ハイランダー 4.8パーセント被告会社又は被告商品 3.4パーセントキャプテンスタッグ 4.7パーセントその他のブランド 5.5パーセントわからない 53.4パーセント (b) ①最近3年以内に、テント、タープ及びペグのいず キャプテンスタッグ 4.7パーセントその他のブランド 5.5パーセントわからない 53.4パーセント (b) ①最近3年以内に、テント、タープ及びペグのいずれかを購入した、かつ、②キャンプ、登山のどちらかに1年に1回以上行くとの二つの条件を満たす者に対し、原告商品の外観が写った写真から、メーカー名又はブランド名を自由回答式で回答させたところ、次のとおりの結果であった。 原告又は原告商品 14.9パーセントコールマン 7.8パーセント被告会社又は被告商品 1.2パーセントモンベル 2.1パーセントロゴス 1.3パーセント その他計 6.4パーセント わからない 61.4パーセント同様に選択式で回答させたところ、次のとおりの結果であった。 原告又は原告商品 20.4パーセントユージャック 4.7パーセントコールマン 11.7パーセント ホールアース 8.9パーセントハイランダー 8.6パーセント被告会社又は被告商品 6.0パーセントキャプテンスタッグ 7.6パーセントその他のブランド 6.3パーセント わからない 25.8パーセント(エ) 検討前記(4)ウにおいて検討したとおり、令和元年以降、原告商品の年間販売数は約58万本と推認されるのに対し、原告商品に係る形態的特徴の大半を備えている被告商品及び本件同種商品5の年間販売数は、少なく ともそれぞれ77万本及び●(省略)●と認められる。そして、「鍛造されたスチールが構成材料として選択され」ている点を除いて原告商品に係 ている被告商品及び本件同種商品5の年間販売数は、少なく ともそれぞれ77万本及び●(省略)●と認められる。そして、「鍛造されたスチールが構成材料として選択され」ている点を除いて原告商品に係る形態的特徴のほとんど全てを備えている本件同種商品22の年間販売数は、●(省略)●と認められる。このように、令和元年以降、原告商品の形態的特徴の大半を備えた同種商品が、被告商品を含めて複数種 類、かつ、原告商品の販売数と同程度以上の数量が市場に流通していることが認められるから、需要者は、頭部に穴及び長さのあるフックを備えているテント、タープ用ペグ市場において、原告商品とほぼ同様の形態的特徴を有する商品を多数目にしているといえ、需要者の認識において、原告商品の形態は、同種商品の形態に埋没している可能性が高い。 また、原告商品について、令和元年以降、需要者において原告商品の 形態を強く認識、記憶させるに足りるような、極めて強力な広告宣伝が行われていると認めるに足りる証拠はない。 さらに、原告が実施したアンケート(被告らが実施したアンケート(乙78)と比較すると、原告商品の外観が写った写真から、原告又は原告商品名を正答した割合が高い結果が得られている。)においても、自身 が使用する目的でテント、タープ及びペグのいずれかを所有している者であっても、どこの商品であるのかがわからないと回答した者が、自由回答式で71.8パーセント、選択式で53.4パーセントに達している上、誤った回答が様々なブランド名に広く分散していることは、むしろ、原告商品の形態が出所を表示するものとして広く知られていないこ とを示すものといえる。 イ前記アの各事情を総合しても、令和元年以降、新たに、原告商品の形態が出所を表示するものとして周 ろ、原告商品の形態が出所を表示するものとして広く知られていないことを示すものといえる。 イ前記アの各事情を総合しても、令和元年以降、新たに、原告商品の形態が出所を表示するものとして周知であるということはできず、本件全証拠によっても、周知であるとの評価に至る事実を認めることはできないというべきである。 (6) まとめ以上によれば、原告主張の原告商品の形態については、いずれも、原告の周知な商品等表示であると認めることはできない。 2 小括よって、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないというべきである。 第4 結論以上のとおり、原告の請求は理由がないから、これをいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官 木村洋一

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