平成16年(ニ)第1号決定上記当事者間の再審請求事件について,当裁判所は再審被告を審尋した上,次のとおり決定する。 主文 本件再審を開始する。 理由 第1 再審原告らは,名古屋簡易裁判所平成14年(ハ)第8749号立替金等請求事件(以下「前訴」という。)について同裁判所が平成15年1月16日に言い渡した判決の再審を求め,その理由として再審原告らは前訴の訴状送達当時から控訴期間が経過するまでの間知的障害等により訴訟能力を欠いており,そのような状態で特別代理人の選任もされないままなされた前訴判決には民事訴訟法338条1項3号の再審事由があると主張する。 第2 記録によれば,前訴は平成14年12月11日に提起され,その訴状は,再審原告A及び同Bのいずれについても同年同月16日に両名の母親であるCが長浜郵便局の窓口で交付を受ける方法で送達されていること,第1回口頭弁論期日は平成15年1月16日に開かれ再審原告ら(前訴被告ら)両名欠席のまま再審被告(前訴原告)が請求を一部減縮して弁論が終結されたこと,前訴判決は平成15年1月16日に言い渡され,その判決正本は再審原告ら両名につき平成15年1月28日に両名の母親であるCが長浜郵便局の窓口で交付を受ける方法で送達されていること,同判決はいずれの再審原告に対しても平成15年2月13日に確定したこと,がいずれも認められる。 記録及び再審原告ら代理人審尋の結果によれば,再審原告らは双生児として生まれ,両名ともに小学校高学年になって学校から知恵の遅れを指摘され,中学校では養護学級に在籍したが,成績は最低であったこと,平成16年7月30日時点では前頭葉に軽度の脳萎縮が認められ,兄Aは,3品目の記銘再生力や場所,時間,人の見当識には問題ないものの計算力については,一桁の引き算をする計算能力 成績は最低であったこと,平成16年7月30日時点では前頭葉に軽度の脳萎縮が認められ,兄Aは,3品目の記銘再生力や場所,時間,人の見当識には問題ないものの計算力については,一桁の引き算をする計算能力すらなく,理解力,判断力にも欠けており,知能指数50精神年齢8歳0月(平成15年10月10日に実施した鈴木・ビネー式知能検査による。)であって中等度の知的障害を有し言語疎通も十分ではなかったことが,また,弟Bは,4品目までの記銘再生力はあるものの場所や時間の見当識に問題が窺われ一桁の足し算引き算をする計算力すらなく,簡単な漢字の読みや理解力,判断力にも欠けており,知能指数43精神年齢6歳10ヶ月(平成16年2月26日に実施した鈴木・ビネー式知能検査による。)であって中等度の知的障害を有し言語疎通も十分ではなかったこと,再審原告ら両名に対して平成16年9月6日大津家庭裁判所長浜支部で保佐開始の審判がなされ同審判は平成16年9月25日に確定していることが,いずれも認められるのであって,再審原告らの病状は前訴の訴状が送達された平成14年12月16日当時も同様であったことが推認される。 第3 以上認定した事実によれば,再審原告らはいずれも前訴訴状送達時において,訴状の意味を理解し,自己の権利を擁護するために適切な行為をなす意思能力に欠けていたものと認められ,訴訟能力を有していなかったものと認めるのが相当である。 そうすると,前訴での訴状の送達は無効であって,現実には再審原告らの母親が訴状の交付を受けていることを考慮に入れても再審原告らに訴訟に関与する機会が与えられたとは言えず,その機会が与えられないままなされた前訴判決には民事訴訟法338条1項3号の再審事由があるものと解するのが相当である。 平成17年3月29日名古屋簡易裁判所 与えられたとは言えず,その機会が与えられないままなされた前訴判決には民事訴訟法338条1項3号の再審事由があるものと解するのが相当である。 平成17年3月29日名古屋簡易裁判所裁判官矢倉章三
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