平成23年10月24日判決言渡平成22年(行ケ)第10405号審決取消請求事件平成23年9月14日口頭弁論終結判決 原告マイクロ・モーション・インコーポレーテッド 訴訟代理人弁護士鈴木修同岡本義則同星埜正和訴訟代理人弁理士増井忠弐 被告特許庁長官指定代理人松浦久夫同江塚政弘同須藤康洋同芦葉松美 主文 1 特許庁が不服2007-24327号事件について平成22年8月23日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求主文同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯原告は,発明の名称を「直管型コリオリ流量計の組立体」とする発明について,平成12年6月23日を国際出願日として特許出願(特願2001-506453号。パリ条約による優先権主張平成11年6月30日,米国。以下「本願」という。)をしたが,平成19年6月4日付けで拒絶査定を受けた。これに対し,原告は,平成19年9月5日,拒絶査定に対する不服審判の請求(不服2007-24327号)をしたが,特許庁は,平成22年8月23日,不服審判請求は成り立たないとの審決をし(附加期間90日。以下,単に「審決」という。),その謄本は,同年9月2日,原告に送達された。 2 特許請求の範囲の記載平成22年5月 22年8月23日,不服審判請求は成り立たないとの審決をし(附加期間90日。以下,単に「審決」という。),その謄本は,同年9月2日,原告に送達された。 2 特許請求の範囲の記載平成22年5月31日付けの手続補正書(甲10)による補正後の本願の特許請求の範囲(請求項の数18)の請求項1の記載は,次のとおりである(以下,請求項1に係る発明を「本願発明」といい,上記補正後の明細書を「本願明細書」という。なお,上記補正後の本願の願書に添付された図1ないし3,7ないし10は,順に別紙図面1ないし7のとおりである。)。 【請求項1】 第1の金属で形成された直線状流管(101)を有するコリオリ流量計を製造する方法(1000)であって,上記直線状流管(101)の縦方向の軸に実質的に平行に向いていて上記直線状流管(101)の一部を包囲するバランスバー(102)に上記直線状流管を接合して上記直線状流管(101)と上記バランスバー(102)とが流管組立体(150)を形成するようにするステップ(1001)と,駆動系(104)及び検出器(105-105’)を上記直線状流管(101)及び上記バランスバー(102)に設置するステップ(1002)と,からなり,上記第1の金属と異なる第2の金属で形成されたケーシング(103)の開口に上記流管組立体(150)を挿入するステップ(1003)と, 局所的加熱を用いて上記流管組立体(150)の各端部を上記ケーシング(103)の少なくとも2つの点に取り付けて(1004),上記流管組立体(150)の各端部を取り付けることが上記バランスバー(102)の各端部の近くにおいて上記流管組立体(150)の各端部にケース連結部(111)を取り付ける(2002)ことからなるようにするステップと,上記ケーシング(10 けることが上記バランスバー(102)の各端部の近くにおいて上記流管組立体(150)の各端部にケース連結部(111)を取り付ける(2002)ことからなるようにするステップと,上記ケーシング(103)の各端部において,上記ケーシング(103)の内面にあって各々上記第1の金属と実質的に同様な特性を有するブラケット(133)に上記ケース連結部(111)を連結するステップ(3002)と,をさらに含むことを特徴とするコリオリ流量計を製造する方法。 3 審決の理由審決の理由は,別紙審決書写しのとおりである。要するに,審決は,以下のとおり,特開平5-248913号公報(以下「引用刊行物2」という。なお,引用刊行物2の図面1,2,4は,順に別紙図面8ないし10のとおりである。)記載の発明(以下「引用発明2」という。),同発明と本願発明との一致点及び相違点を認定したうえで,相違点1に係る本願発明の構成は引用発明2に基づいて,相違点2に係る本願発明の構成は引用発明2及び周知技術(真空硬ろう付けや溶接などの局所的加熱を用いる部材の接合技術)に基づいて,相違点3に係る本願発明の構成は引用発明2及び特開平10-38654号公報(以下「引用刊行物1」という。)に記載された発明(以下「引用発明1」という。)に基づいて,当業者が容易に想到することができたものであるから,本願発明は特許法29条2項により特許を受けることができないとするものである。 審決が認定した引用発明2の内容,同発明と本願発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。 (1) 引用発明2の内容チタン又はチタン合金で形成され,一体状に構成されているコリオリ導管1及び接続導管11を有するコリオリ原理で作動している質量流量測定装置を製造する方 法であって,前記コリオリ導管1及び接続 チタン又はチタン合金で形成され,一体状に構成されているコリオリ導管1及び接続導管11を有するコリオリ原理で作動している質量流量測定装置を製造する方 法であって,前記コリオリ導管1及び接続導管11の縦方向の軸に平行に向いていて前記コリオリ導管1及び接続導管11の一部を覆う補償シリンダ6及び結合リング7に前記コリオリ導管1及び接続導管11を結合し,前記コリオリ導管1,前記接続導管11,前記補償シリンダ6及び前記結合リング7とから成る組立体を形成し,振動発生器2,揺動アーム4及び測定ピックアップ3を前記コリオリ導管1及び補償シリンダ6に設置し,ステンレス鋼で形成された受容シリンダ8の内方に前記組立体を配置し,前記組立体の各端部を前記受容シリンダ8に取り付けて,前記組立体の各端部を取り付けることが前記補償シリンダ6及び結合リング7の各端部の近くにおいて前記組立体の各端部に接続フランジ10を取り付けることからなるようにし,前記受容シリンダ8の各端部において,前記受容シリンダ8の内面にあって各々ステンレス鋼からなる結合リング9に前記接続フランジ10を接続する,ことをさらに含むことを特徴とする,コリオリ原理で作動している質量流量測定装置を製造する方法。 (2) 一致点第1の金属で形成された直線状流管を有するコリオリ流量計を製造する方法であって,上記直線状流管の縦方向の軸に実質的に平行に向いていて上記直線状流管の一部を包囲するバランスバーに上記直線状流管を接合して上記直線状流管と上記バランスバーとが流管組立体を形成するようにするステップと,駆動系及び検出器を上記直線状流管及び上記バランスバーに設置するステップと,からなり,上記第1の金属と異なる第2の金属で形成されたケーシングの内方に上記流管組立体を配置するステップと,上 テップと,駆動系及び検出器を上記直線状流管及び上記バランスバーに設置するステップと,からなり,上記第1の金属と異なる第2の金属で形成されたケーシングの内方に上記流管組立体を配置するステップと,上記流管組立体の各端部を上記ケーシングに取り付けて,上記流管組立体の各端部を取り付けることが上記バランスバーの各端部の近くにおいて上記流管組立体の各端部にケース連結部を取り付けることからなるようにするステップと,上記ケーシングの各端部において,上記ケーシングの内面にあって各々ブラ ケットに上記ケース連結部を連結するステップと,をさらに含むことを特徴とするコリオリ流量計を製造する方法。 (3) 相違点ア相違点1第1の金属と異なる第2の金属で形成されたケーシングの内方に上記流管組立体を配置するステップにおいて,本願発明では,ケーシング(103)の開口に流管組立体(150)を挿入するのに対し,引用発明2では,受容シリンダ8の内方に組立体を配置するに,留まる点。 イ相違点2上記流管組立体の各端部を上記ケーシングに取り付けて,上記流管組立体の各端部を取り付けることが上記バランスバーの各端部の近くにおいて上記流管組立体の各端部にケース連結部を取り付けることからなるようにするステップにおいて,本願発明では,局所的加熱を用いて,流管組立体(150)の各端部をケーシング(103)の少なくとも2つの点に取り付けるのに対し,引用発明2では,組立体の各端部と受容シリンダ8とをどのように取り付けるかが明記されておらず,また,2つの点で取り付けられているとも明記されていない点。 ウ相違点3上記ケーシングの各端部において,上記ケーシングの内面にあって各々ブラケットに上記ケース連結部を連結するステップにおいて,本願発明は,ブラケット(133)が も明記されていない点。 ウ相違点3上記ケーシングの各端部において,上記ケーシングの内面にあって各々ブラケットに上記ケース連結部を連結するステップにおいて,本願発明は,ブラケット(133)が「第1の金属と実質的に同様な特性を有する」のに対し,引用発明2では,結合リング9を形成する「ステンレス鋼」が,コリオリ導管1の「チタン合金」(本願発明の「第1の金属」に相当)と実質的に同様な特性を有するものとの限定がなされていない点。 第3 取消事由に関する原告の主張 1 取消事由1-1,1-2,1-3(引用発明2,同発明と本願発明との一致点及び相違点の認定の誤り) (1) 引用刊行物2は,物の発明に関するものであり,コリオリ流量計の構造としての配置を示しているが,具体的な製造方法について明示しておらず,具体的な製造方法の発明を認定することはできない。 (2) 引用刊行物2には,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7により構造ユニットが構成されることが記載されているが,接続導管11を含んだ構造ユニットは記載されておらず,「組立体」との記載もない。接続導管11は,流体を流す外側のパイプ等とつなげるものであり,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7からなる構造ユニットとは異質のものであり,機能的には全く別である。これに対し,審決は,引用発明2の「組立体」との部分を認定し,本願発明の「流管組立体(150)」に相当すると認定し,また,引用発明2の「組立体を形成し」とのステップを認定し,本願発明の「流管組立体(150)を形成するようにするステップ(1001)」に相当すると認定した誤りがある。 (3) 審決には,引用発明2の「振動発生器2,揺動アーム4及び測定ピックアップ3を前記コリオリ導管1及び補償シリンダ6に設置し」 うにするステップ(1001)」に相当すると認定した誤りがある。 (3) 審決には,引用発明2の「振動発生器2,揺動アーム4及び測定ピックアップ3を前記コリオリ導管1及び補償シリンダ6に設置し」というステップを認定し,本願発明の「駆動系(104)及び検出器(105-105’)を上記直線状流管(101)及び上記バランスバー(102)に設置するステップ(1002)」に相当するとした誤りがある。 (4) 審決には,引用発明2の「ステンレス鋼で形成された受容シリンダ8の内方に前記組立体を設置し」というステップを認定し,本願発明の「上記第1金属と異なる第2の金属で形成されたケーシング(103)の開口に上記流管組立体(105)を挿入するステップ(1003)」とは,第1の金属と異なる第2の金属で形成されたケーシングの内方に流管組立体を配置するステップである点で共通するとした誤りがある。 (5) 審決には,引用発明2について「組立体の各端部を前記受容シリンダ8に取り付けて」と認定し,本願発明の「局所的加熱を用いて上記流管組立体(150)の各端部を上記ケーシング(103)の少なくとも2つの点に取り付けて(104)」 とは,流管組立体の各端部をケーシングに取り付ける点で共通するとした誤りがある。 なお,被告は,本願明細書の段落【0014】ないし【0018】の記載から,上記「2つの点」とは,片側2点(第1の取付け点と第2の取付け点)を指すから,本願発明の「局所的加熱」には,第2の取付け点の局所的加熱だけでなく,第1の取付け点の溶接,真空ろう付けも含まれると主張する。しかし,本願明細書の段落【0063】において,熱を局所的領域に加えるろう付けを用いて,流管101の「左の端部101L」及び「右の端部101R」をケーシング103(ケース端部 まれると主張する。しかし,本願明細書の段落【0063】において,熱を局所的領域に加えるろう付けを用いて,流管101の「左の端部101L」及び「右の端部101R」をケーシング103(ケース端部132を含む)の左右の両側の2点で取り付ける例が示されている。したがって,被告の上記主張は前提に誤りがある。 (6) 審決には,引用発明2について「前記組立体の各端部を取り付けることが前記補償シリンダ6及び結合リング7の各端部の近くにおいて前記組立体の各端部に接続フランジ10を取り付けることからなるようにし」と認定し,引用発明2の「接続フランジ10」は,本願発明の「流管組立体(150)」の各端部に取り付けられる「ケース連結部(111)」に相当するとし,引用発明2の「組立体の各端部に接続フランジ10を取り付けることからなるようにし」が,本願発明の「ケース連結部(111)」の取付けに関する要件に相当するとした誤りがある。 なお,被告が主張する組立体の各端部と接続フランジ10との取付け点は,結合リング9の外側であり,質量流量測定装置の最も外側に位置しているのに対し,補償シリンダ6及び結合リング7の各端部は,結合リング9の内側に位置しており,両者が近くであるとはいえない。 (7) 審決には,引用発明2について「組立体の各端部を受容シリンダ8に取り付けて,前記組立体の各端部を取り付けることが,前記補償シリンダ6及び結合リング7の各端部の近くにおいて前記組立体の各端部に接続フランジ10を取り付けることからなるようにし」との認定をし,本願発明の「局所的加熱を用いて流管組立体(150)の各端部をケーシング(103)の少なくとも2つの点に取り付けて (1004)・・・流管組立体(150)の各端部にケース連結部(111)を取り付ける(2002)ことからなる 管組立体(150)の各端部をケーシング(103)の少なくとも2つの点に取り付けて (1004)・・・流管組立体(150)の各端部にケース連結部(111)を取り付ける(2002)ことからなるようにするステップ」とは,流管組立体の各端部を上記ケーシングに取り付けて,上記流管組立体の各端部を取り付けることが上記バランスバーの各端部の近くにおいて上記流管組立体の各端部にケース連結部を取り付けることからなるようにするステップである点で共通するとした誤りがある。 (8) 審決には,引用発明2の「受容シリンダ8の内面にあって各々ステンレス鋼からなる結合リング9に」と,本願発明の「ケーシング(103)の内面にあって各々第1の金属と実質的に同様な特性を有するブラケット(133)に」とは,ケーシングの内面にあって各々ブラケットに,とする点で共通するとした誤りがある。 (9) 審決には,引用発明2の「結合リング9に接続フランジを接続する」というステップを認定し,本願発明の「ブラケット(133)に上記ケース連結部(111)を連結するステップ(3002)」とは,ケーシングの内面にあって各々ブラケットにケース連結部を連結するステップであると認定した誤りがある。 (10) 審決には,引用発明2の接続フランジ10は,接続導管11を外部のパイプ等と接続するものであり,ケース連結部ではないのに,本願発明のケース連結部(111)に相当するとし,また,引用発明2の結合リング9は,受容シリンダ8の端部にすぎないのに,ケース連結部(111)が連結される本願発明のブラケット(133)に相当するとした誤りがある。 なお,審決は,引用発明2において,結合リング9の接続フランジ10への取り付けが,接続フランジ10の接続導管11への取り付けの後に行われるとの認定をしておら (133)に相当するとした誤りがある。 なお,審決は,引用発明2において,結合リング9の接続フランジ10への取り付けが,接続フランジ10の接続導管11への取り付けの後に行われるとの認定をしておらず,この点についての相違点も看過している。 2 取消事由1-4(周知技術の認定の誤り)審決は,部材の接合技術として,真空硬ろう付けや溶接などの局所的加熱を用いることは周知技術であると認定するが,真空硬ろう付けや溶接は,広範囲に熱の影響を与えるものであり,本願発明における局所的加熱に当たらない。コリオリ流量計の製造技術において,局所的加熱を用いることは周知技術ではなかった。 3 取消事由1-5(容易想到性判断の誤り)(1) 上記2のとおり,本願優先日当時,コリオリ流量計の製造技術において,局所的加熱を用いることは周知技術ではなかったから,本願発明は,引用発明2に引用発明1及び周知技術を適用することにより,容易に想到できたとはいえない。 (2) 仮に,本願優先日当時,局所的加熱が周知技術であったとしても,引用発明2に引用発明1及び周知技術を適用する動機付けがなく,本願発明に容易に想到できたとはいえない。 すなわち,本願発明が局所的加熱を用いる技術上の意義は,電子的部分への損傷を減少させることである。しかし,審決が周知技術であると認定した溶接又は真空ろう付けを適用すると,電子的部分への損傷を招くから,引用発明2に周知技術を適用する動機付けは認められない。また,引用発明1は,流管(薄肉管3)とセルケース18との間に厚肉支持円板2を介在させるものであり,引用刊行物2において,審決が流管組立体に対応すると認定するもの(コリオリ導管1,補償シリンダ6,結合リング7及び接続導管11)と受容シリンダ8と結合リング9との関係に対応せず, させるものであり,引用刊行物2において,審決が流管組立体に対応すると認定するもの(コリオリ導管1,補償シリンダ6,結合リング7及び接続導管11)と受容シリンダ8と結合リング9との関係に対応せず,これらを組み合わせる動機付けはない。さらに,引用刊行物2においては,結合リング9とコリオリ導管1との接合は予定されておらず,溶接の際に真空ろう付けが用いられるとの開示はなく,結合リング9の材料をステンレス(SUS430)に変えるとの動機付けも存在しない。 (3) さらに,引用刊行物2は,約1000℃という高温の熱をコリオリ導管1,接続導管11に伝播させて,引っ張り予張力の積極的付与をするものであり,他方,引用刊行物1は,従来のトーチによる局部加熱や真空ろう付けを採用せず,真空炉における全体加熱を用いるところ,ろう付け時に部材が熱膨張することを前提として,スポット溶接を用いた仮付けにより位置ずれを防止し,加熱時に熱に弱い電子的部分を付けず,アダプタピンを用いるものであって,このように技術的前提が異なる引用発明2と引用発明1を組み合わせることには阻害事由がある。この点に関し,被告は,審決で認定した引用発明2は,引用刊行物2に記載された実施例2に 基づいたものであると主張するが,引用刊行物2の図1,2(別紙図面8,9)は,第1実施例に関するものであり,被告の上記主張は失当である。 (4) 審決は,引用発明2において,組立体の接続導管11と接続フランジ10とが接合されている個所に局所的加熱を用いた接合手段を適用して,これらの部材を取り付けることに格別の困難性はないと認定するが,接続導管11と接続フランジ10が接合されていることは開示されておらず,上記審決の認定には誤りがある。 4 取消事由2(手続違背)特許法50条所定の拒絶理由通 格別の困難性はないと認定するが,接続導管11と接続フランジ10が接合されていることは開示されておらず,上記審決の認定には誤りがある。 4 取消事由2(手続違背)特許法50条所定の拒絶理由通知は,特許出願人に対し,拒絶理由に対する意見表明の機会を与える趣旨であるから,①出願に係る発明と対比する引用発明の内容,②対比判断の結果である一致点及び相違点,③相違点に係る出願発明の構成が容易に想到し得るとする根拠について,記載する必要があるところ,特許庁からされた平成18年9月29日付け及び平成22年2月1日付けの各拒絶理由通知は,上記①ないし③について,具体的に記載されていない。また,平成22年2月1日付け拒絶理由通知は,引用刊行物1及び2を並列的に引用例とし,相違点2が認定されていないなど,審決の拒絶理由との間に齟齬がある。したがって,審決には,特許法159条2項,50条に違反する手続違背がある。 第4 被告の反論 1 取消事由1-1,1-2,1-3(引用発明2,同発明と本願発明との一致点及び相違点の認定の誤り)に対して(1) 特許を受けようとする発明が物の製造方法の発明である場合,特許を受けようとする発明と対比される特許法29条1項3号所定の刊行物には,その物を製造する構成が,特許を受けようとする発明の内容との対比に必要な限度で開示されていることが必要であり,かつ,それをもって足りる。これを引用刊行物2についてみると,引用刊行物2の質量流量測定装置の第2実施例が図示された図1,2,4の図面(別紙図面8ないし10)及び明細書の段落【0009】ないし【0011】,【0016】ないし【0018】,【0020】によれば,当業者は,本願発明との 対比に必要な限度において,上記質量流量測定装置の構造,これを構成する部品の形状, 009】ないし【0011】,【0016】ないし【0018】,【0020】によれば,当業者は,本願発明との 対比に必要な限度において,上記質量流量測定装置の構造,これを構成する部品の形状,相互の配置関係等から,特定の一連の製造工程を認識することができる。 (2) 引用刊行物2の段落【0010】,【0017】,【0021】及び図2(別紙図面9)によれば,コリオリ導管1と接続導管11は一体の導管であり,補償シリンダ6及び結合リング7に結合し,組立体を構成している。したがって,引用刊行物2には,補償シリンダ6及び結合リング7にコリオリ導管1及び接続導管11を結合し,コリオリ導管1,接続導管11,補償シリンダ6及び結合リング7とから成る組立体を形成するとの構成が開示されている。 (3) 引用刊行物2の段落【0009】及び図1(別紙図面8)には,振動発生器2,揺動アーム4及び測定ピックアップ3が,コリオリ導管1及び補償シリンダ6に設置された配置関係が示されている。このような配置関係は,振動発生器2,揺動アーム4及び測定ピックアップ3をコリオリ導管1及び補償シリンダ6に設置することにより得られるから,引用刊行物2には,振動発生器2,揺動アーム4及び測定ピックアップ3を前記コリオリ導管1及び補償シリンダ6に設置したとの構成が示されている。 (4) 引用刊行物2の段落【0017】には,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7から成る構造ユニットは,ステンレス鋼から成る受容シリンダ8の内方に配置されることが記載されている。このような配置関係は,ステンレス鋼から成る受容シリンダ8の内方にコリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7から成る構造ユニットを配置することによって得られるから,引用刊行物2には,ステンレス鋼で形成された受容 は,ステンレス鋼から成る受容シリンダ8の内方にコリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7から成る構造ユニットを配置することによって得られるから,引用刊行物2には,ステンレス鋼で形成された受容シリンダ8の内方にコリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7から成る組立体を配置する構成が開示されている。 (5) 引用刊行物2の図1,2(別紙図面8,9)によれば,引用刊行物2において,組立体を構成する接続導管11の端部が,接続フランジ10及び結合リング9を介して,受容シリンダ8に接続される構成となっており,このような構成から,当業者は,接続導管11の端部と受容シリンダ8を接続する製造工程を理解するこ とができる。また,引用刊行物2の図1(別紙図面8)に示された質量流量測定装置全体における各部材の配置関係からみて,接続導管11の端部と接続フランジ10との接続箇所は,補償シリンダ6及び結合リング7の近くであるといえる。さらに,審決は,原告が主張するような,接続導管11に接続フランジ10を取り付けてから,受容シリンダ8の内面にある結合リング9に接続フランジ10を接続する,との認定はしていない。そして,引用刊行物2の記載からは,組立体の各端部を受容シリンダ8に取り付けて,組立体の各端部を取り付けることが補償シリンダ6及び結合リング7の各端部の近くにおいて,組立体の各端部に接続フランジ10を取り付けることからなるようにし,受容シリンダ8の各端部において,受容シリンダ8の内面にあって各々ステンレス鋼からなる結合リング9に接続フランジ10を接続するとの構成を当業者が認識することができる。 (6) 本願発明のケース連結部は,①流管組立体(150)の各端部に取り付けられる部材であり,②ケーシングの内面にあるブラケット(133)に連結される部 るとの構成を当業者が認識することができる。 (6) 本願発明のケース連結部は,①流管組立体(150)の各端部に取り付けられる部材であり,②ケーシングの内面にあるブラケット(133)に連結される部材である。他方,引用刊行物2の段落【0017】によれば,接続フランジ10は,コリオリ導管1と一体状に構成された接続導管11の各端部に接続された部材であり,結合リング9にも接続されている。また,接続導管11は,上記のとおり,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7とともに組立体を構成している。 さらに,結合リング9は,引用刊行物2の図1,2(別紙図面8,9)に示された受容シリンダ8との位置関係からみて,受容シリンダ8の内面に存在する。そうだとすると,引用刊行物2の接続フランジ10は,接続導管11を含む組立体の各端部に接続される部材であり,受容シリンダ8の内面にある結合リング9と接続される部材といえる。そして,引用刊行物2の図2(別紙図面9)に示された接続関係からみて,結合リング9及び接続フランジ10は,協同して受容リング8と上記組立体とを接続する機能を有しており,引用発明2の結合リング9,接続フランジ10は,本願発明のブラケット(133),ケース連結部(111)に相当する。したがって,引用発明2の接続フランジ10は,本願発明のケース連結部に当たる。 (7) 本願発明のブラケット(133)は,①ケーシング(103)の内面にあること,②第1の金属と実質的に同様な特性を有すること,③ケース連結部と連結される部材であること,によって特定される部材である。他方,引用発明2の結合リング9は,上記のとおり,受容シリンダ8の内面にあり,接続フランジ10と連結される部材であり,本願発明のブラケット(133)に当たる。 (8) 以上のとおり,審 材である。他方,引用発明2の結合リング9は,上記のとおり,受容シリンダ8の内面にあり,接続フランジ10と連結される部材であり,本願発明のブラケット(133)に当たる。 (8) 以上のとおり,審決の引用発明,同発明と本願発明との一致点及び相違点の認定には誤りはない。 なお,引用刊行物2において,実施例2は,接続導管11と補強シリンダ12が結合されているか否かの点で実施例1と相違するものの,その他の構成は共通するから,実施例2の構成を理解する際には,実施例1の記載も参酌する必要がある。 また,本願明細書の段落【0070】では,ケース端部132とケーシング103とは,別の部材として記載されており,ケーシング103にケース端部132が含まれることはない。さらに,本願の請求項1及び本願明細書の段落【0049】によれば,本願発明において,局所的加熱を用いて流管組立体の各端部をケーシングに取り付けることは,ブラケット(133)にケース連結部(111)を連結することに関連しており,ケース端部132を取り付けることとは無関係である。 2 取消事由1-4(周知技術の認定の誤り)に対して原告は,本願明細書の段落【0063】の「熱を局所的領域に加えるろう付け」との記載をもって,本願発明の請求項1に記載された「局所的加熱」に対応する誘導ろう付けの実施例であると主張する。しかし,請求項1の記載からみて,本願発明における局所的加熱の対象は,ケース端部132ではない。また,本願明細書の段落【0064】には,「局所的領域に熱を加える1つの方法は誘導ろう付けである」と記載されており,本願における局所的加熱は,周知技術である真空硬ろう付け,溶接,誘導ろう付けを含む,加熱による金属部材の接合手段である。したがって,原告の上記主張は失当である。 3 取消事由 と記載されており,本願における局所的加熱は,周知技術である真空硬ろう付け,溶接,誘導ろう付けを含む,加熱による金属部材の接合手段である。したがって,原告の上記主張は失当である。 3 取消事由1-5(容易想到性判断の誤り)に対して (1) 上記2のとおり,本願発明における局所的加熱は周知技術であるから,本願発明は,引用発明2に引用発明1及び周知技術を適用することにより,容易に想到できたといえる。 (2) 引用発明2においても,受容シリンダ8に,コリオリ導管1,接続導管11,補償シリンダ6及び結合リング7から成る組立体の各端部が取り付けられており,金属製の上記部材の取付けの際,電子的部分である測定ピックアップ3への損傷を減少させるため,周知技術である真空硬ろう付けや溶接などの局所的加熱を適用する動機付けが存在する。 また,引用刊行物1の段落【0001】,【0003】,【0004】には,構成要素をろう付けするコリオリ式流量計の製造方法が記載されており,段落【0030】には,真空ろう付けすることにより製造する実施例において,薄肉管3の素材としてチタン合金を使用し,これに真空ろう付けされる厚肉支持円盤2及び4には,チタン合金の小さい熱膨張係数に合わせるため,ステンレスを使用することが記載されている。さらに,引用刊行物1には,コリオリ流量計の検出部を構成するチタン合金の薄肉直管をステンレス製のケースに別部材を介して接合する際,コリオリ流量計の各部材における理想的な金属材料の組合せが記載されており,このことは,引用発明2において,組立体を受容シリンダ8に結合リング9や接続フランジ10を介して取り付ける場合にも当てはまる。したがって,引用発明1を引用発明2に組み合わせる動機付けが存在する。 (3) 原告は,引用刊行物2の実施例 体を受容シリンダ8に結合リング9や接続フランジ10を介して取り付ける場合にも当てはまる。したがって,引用発明1を引用発明2に組み合わせる動機付けが存在する。 (3) 原告は,引用刊行物2の実施例1に基づき,引用刊行物2はコリオリ導管1に熱的な影響を積極的に与える方向性を有しているとして,阻害事由がある旨の主張をする。しかし,審決は,引用刊行物2の図1,2,4(別紙図面8ないし10)に記載された実施例2に基づき,引用発明2の認定を行っているのであって,原告の主張は前提を欠いており失当である。 (4) 以上のとおり,本願発明は,引用発明2に引用発明1及び周知技術を適用することにより,容易に想到できたといえる。 4 取消事由2(手続違背)に対して(1) 原告は,特許庁からなされた平成18年9月29日付け及び平成22年2月1日付けの各拒絶理由通知は,①出願に係る発明と対比する引用発明の内容,②対比判断の結果である一致点及び相違点,③相違点に係る出願発明の構成が容易に想到し得るとする根拠について,具体的に記載されていない,と主張する。しかし,特許法には,拒絶理由通知をする際,上記①ないし③の事項について記載しなければならない旨規定されておらず,拒絶理由通知に上記事項が記載されていないからといって,直ちに違法とはいえない。また,特許庁は,原告に対し,平成22年2月1日付けで拒絶理由通知を行い,原告から提出された意見書及び手続補正書を検討した上で,審決を行っており,平成18年9月29日付け拒絶理由通知の不備は,審決の取消事由とならない。さらに,平成22年2月1日付け拒絶理由通知には,引用刊行物1を主引用例とした進歩性否定の拒絶理由と,引用刊行物2を主引用例とし,引用刊行物1を副引用例とした進歩性否定の拒絶理由が示されており,特許 さらに,平成22年2月1日付け拒絶理由通知には,引用刊行物1を主引用例とした進歩性否定の拒絶理由と,引用刊行物2を主引用例とし,引用刊行物1を副引用例とした進歩性否定の拒絶理由が示されており,特許法159条2項,50条に違反せず,審決の拒絶理由との間にも齟齬はない。 (2) 特許庁は,平成22年2月1日付け拒絶理由通知において,相違点2について直接的に言及しなかったものの,相違点2に係る本願発明の構成は,引用刊行物2に示唆されている旨の判断を実質的に行った。審決において,相違点2を認定し,その判断に際して周知技術に言及したのは,本願発明における局所的加熱である真空硬ろう付けや溶接などの接合技術を当業者であれば当然に想起し得ることを補助的に確認したにすぎず,周知技術を引用発明として用いたものではない。原告は,意見書の提出期間中に,本願発明と引用発明2とを対比し,局所的加熱を用いた取り付けに関して反論する機会が十分にあった。 以上のとおり,平成22年2月1日付け拒絶理由通知において,相違点2の認定及びそれに係る周知技術の認定,当該周知技術の認定の根拠文献を示していなかったとしても,直ちには手続違背とならない。 第5 当裁判所の判断 1 取消事由1-1,1-2,1-3(引用発明2,同発明と本願発明との一致点及び相違点の認定の誤り)について審決は,引用発明2の内容について,前記第2,3,(1)のとおりであると認定した。しかし,当裁判所は,引用発明2についての審決の認定には,①チタン又はチタン合金で形成され,一体状に構成されているコリオリ導管1及び接続導管11を有するコリオリ式質量流量計の製造方法が開示されているとした点,②コリオリ導管1,接続導管11,補償シリンダ6及び結合リング7とから成る組立体を形成するとした点,③組 リオリ導管1及び接続導管11を有するコリオリ式質量流量計の製造方法が開示されているとした点,②コリオリ導管1,接続導管11,補償シリンダ6及び結合リング7とから成る組立体を形成するとした点,③組立体の各端部を受容シリンダ8に取り付けて,組立体の各端部を取り付けることが補償シリンダ6及び結合リング7の各端部の近くにおいて組立体の各端部に接続フランジ10を取り付けることからなるようにするとした点において,誤りがあり,したがって,上記認定に基づいてした,引用発明2と本願発明との対比,相違点についての容易想到性判断にも誤りがあると判断する。その理由は,以下のとおりである。 (1) 引用刊行物2の記載引用刊行物2(甲9)には,以下の記載がある(なお,引用刊行物2の図1,2,4は,別紙図面8ないし10のとおりである。)。 【請求項1】コリオリの原理で作動する,流れ媒体のための質量流量測定装置であって,流れ媒体を案内する少くともほぼ直線状の少くとも1つのコリオリ導管と,コリオリ導管に作用する少くとも1つの振動発生器と,コリオリ力及び又はこのコリオリ力に基くコリオリ振動を検出する測定値ピックアップとを備えている形式のものにおいて,補償シリンダ(6)が設けられており,かつコリオリ導管(1)が補償シリンダ(6)の内方に配置されていることを特徴とする,流れ媒体のための質量流量測定装置。 【請求項14】ステンレス鋼から成るより外方の受容シリンダ(8)が設けられており,該受容シリンダ(8)内には,コリオリ導管(1),補償シリンダ(6)及び結合リング(7)からなる構造ユニットが配置されていることを特徴とする,請 求項1ないし13までのづれか(判決注・「いずれか」の誤記)1項記載の質量流量測定装置。 【請求項15】受容シリンダ(8)は,両側部に接 る構造ユニットが配置されていることを特徴とする,請 求項1ないし13までのづれか(判決注・「いずれか」の誤記)1項記載の質量流量測定装置。 【請求項15】受容シリンダ(8)は,両側部に接続されてステンレス鋼から成る2つの結合リング(9)を有しており,該結合リング(9)には,夫々1つの外方に突出している接続フランジ(10)が接続されており,またコリオリ導管(1)に結合されている接続導管(11)が,結合リング(9)を貫通して接続フランジ(10)内に突き出ていることを特徴とする,請求項14記載の質量流量測定装置。 【0001】【産業上の利用分野】本発明は,コリオリの原理で作動する,流れ媒体のための質量流量測定装置であって,流れ媒体を案内する少くともほぼ直線状の少くとも1つのコリオリ導管と,コリオリ導管に作用する少くとも1つの振動発生器と,コリオリ力及び又はコリオリ力に基くコリオリ振動を検出する測定値ピックアップとを備えている形式のものに関する。 【0004】1本乃至は複数本のコリオリ導管で直線状に形成されている質量流量測定装置の構成は,機械的な構造が簡単であり,かつ比較的少ないコストで有利に製作することができる。その際導管内面も,例えば研磨仕上で良好に加工可能である。更に圧力損失も少ない。 【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は,1本乃至複数本のコリオリ導管が少くともほぼ直線状に構成されている冒頭で述べた形式の質量流量測定装置を改良して,温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントが,各場合とも極く僅かでも,誤測定や機械的損傷を惹き起すことのないようにすることにある。 【0007】【課題を解決するための手段】本発明では,補償シリンダが設けられており,かつコリオリ導管が補償シリンダの内方に配置されて 誤測定や機械的損傷を惹き起すことのないようにすることにある。 【0007】【課題を解決するための手段】本発明では,補償シリンダが設けられており,かつコリオリ導管が補償シリンダの内方に配置されていることによって,上記課題をほぼ完全に解決することができた。有利にはコリオリ導管と補償シリンダとは,軸 方向の相対運動が排除されるような形式で互いに結合されている。つまり端側部で補償シリンダに接続された2つの結合リングを介して結合されている。その際補償シリンダは,有利にはコリオリ導管を同心的に取り囲みかつ-金属の-コリオリ導管に結合されている金属シリンダを意味しており,該シリンダによって,乃至は温度変動に関連して,並びに外方から作用する力及びモーメントによって-その作用が少くとも完全に除去されるように-補償を行っている。コリオリ導管及び補償シリンダから成る構造ユニットは,-補償シリンダによって及び場合によっては別の手段によって-温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントに対し同じように非感応である。 【0009】【実施例】本発明の流れ媒体のための質量流量測定装置は,コリオリ原理で作動している質量流量測定装置である。有利には本発明の質量流量測定装置は,流れ媒体を案内する直線状のコリオリ導管1(図1乃至図6)並びにほぼ直線状のコリオリ導管1(図7及び図8)と,コリオリ導管1に作用している振動発生器2と,1つ及び又は複数のコリオリ力に起因するコリオリ振動を検出している2つの測定ピックアップ3とから成っている。図1に図示の実施例にあっては,振動発生器2がコリオリ導管上に設けられた揺動アーム4と協働している。この例に実現されている「揺動アーム4付きコリオリ導管」の構成に関しては,ドイツ連邦共和国特許第4023989.6号明細書を参考に 動発生器2がコリオリ導管上に設けられた揺動アーム4と協働している。この例に実現されている「揺動アーム4付きコリオリ導管」の構成に関しては,ドイツ連邦共和国特許第4023989.6号明細書を参考にしており,その開示内容はこの場合も明かに同一の開示内容である。図1にはそれ以外に,コリオリ導管1に質量体5が設けられているのが図示されており,その質量と配置とによって,コリオリ導管1の固有振動数が-所定の限界内で-影響を受ける。 【0010】本発明には補償シリンダ6が設けられており,かつコリオリ導管1が補償シリンダ6の内方に配置されている。その際コリオリ導管1と補償シリンダ6とは,軸方向の相対運動が排除されるような形式で互いに結合されており,図示の総ての実施 例にあっては,端側部で補償シリンダ6に接続されている結合リング7を介して互いに結合されている。結合リング7は,溶接又は硬ろう付によって補償シリンダ6に結合されている。また結合リング7を端側部で補償シリンダ6内に螺入せしめることも考えられる。有利には結合リング7は,コリオリ導管1の材料と同一の材料から成っている。コリオリ導管1は溶接又は硬ろう付,有利には真空硬ろう付によって結合されている。 【0011】本コリオリ導管1は,先づ補償シリンダ6を貫通し乃至は補償シリンダ6に結合されて,かつ場合によっては別の手段によって,温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントに対し同じように非感応になるように構成されている。 【0012】コリオリ導管1を,温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントに対して非感応にするための第1の補完手段は,コリオリ導管が引張予張力を備えて補償シリンダの内方に配置されることによって達成される。その場合は温度上昇につれて引張予張力が減少し,かつそれによっ ントに対して非感応にするための第1の補完手段は,コリオリ導管が引張予張力を備えて補償シリンダの内方に配置されることによって達成される。その場合は温度上昇につれて引張予張力が減少し,かつそれによって,その後に発生する圧縮応力が許容限界内に保持され得るようになる。 【0013】コリオリ導管を引張予張力によって補償シリンダの内方に配置するという構成の実現に対しては,コリオリ導管1と補償シリンダ6とのために特別な材料が選択されると効果的である。有利にはコリオリ導管1は,ニッケル合金特にハステロイC22から成り,また補償シリンダ6は,ニッケル合金特にハステロイC4又は非合金鋼AISI1078から成っている。 【0016】コリオリ導管1を,温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントに対して非感応にするための第2の補完手段は,コリオリ導管1及び補償シリンダ6のために同一若しくは殆んど同一の熱膨張係数を備えた材料,特に比較的小さな熱膨張係数を備えた材料を使用することによって達成される。このような観点から,コリオリ導管に対してはチタン又はチタン合金を使用し,また補償シリンダ6に対しては非合金鋼,フェライト系ステンレス鋼又はニッケル合金を使用するの が望ましい。 【0017】コリオリ導管1を,温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントに対して非感応にするための別の補完手段は,外方に有利にはステンレス鋼から成る受容シリンダ8が設けられ,かつコリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7から成る構造ユニットが受容シリンダ8の内方に配置されることによって達成される。有利にはこの構成は,受容シリンダ8が端側部で接続されて有利にはステンレス鋼から成る2つの結合リング9を備え,該結合シリンダ9に夫々1つの外方に向って突出する接続フランジ10が接 よって達成される。有利にはこの構成は,受容シリンダ8が端側部で接続されて有利にはステンレス鋼から成る2つの結合リング9を備え,該結合シリンダ9に夫々1つの外方に向って突出する接続フランジ10が接続され,またコリオリ導管1に結合された接続導管11が結合リング9を貫通して接続フランジ10内に突き出ることによって,更に補完される。その際コリオリ導管1及び接続導管11は,有利には1体状に構成されている,つまり有利には全体として一貫した導管になっている。 【0018】この外接続導管11を保護するため,接続導管11を夫々補償シリンダ12で被覆するのが望ましい。 【0019】更に上述の理由から,引張予張力を備えた接続導管11を補強シリンダ12の内方に配置すると機能的である。その際接続導管11は,硬ろう付によって,有利には真空硬ろう付によって,かつ有利には約1000℃のろう付温度を備えたニッケル合金によって,補強シリンダ12に結合可能である。このことが,図3に示唆されている。 【0020】更に既に述べたように,コリオリ導管を温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントに対して非感応にするための補完手段は,コリオリ導管1及び補償シリンダ6に対し同一若しくは殆んど同一の熱膨張係数を備えた材料,特に比較的小さな熱膨張係数を備えた材料を選択することによって達成される。本発明の質量流量測定装置のこのような構成にあっては,接続導管11と補強シリンダ12とを結合せしめる必要がない。このことが図4に示唆されている。 【0021】本発明の重要な構成「コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7から成るユニット」は,既に説明したように,-測定に対して重要な-コリ オリ導管1が-程度の差こそあれ-温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントに対して「非 シリンダ6及び結合リング7から成るユニット」は,既に説明したように,-測定に対して重要な-コリ オリ導管1が-程度の差こそあれ-温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントに対して「非感応」であるという点に帰着する。この構成は,既に接続導管11に関して説明を行った。ここには図5に図示の別の構成,つまり接続導管11が波形状に構成されているという形式が提示されている。これによってコリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リングから成る構造ユニットは,全体として許容されないような高い応力を発生することなく,所定の限界内で熱的に制約されて膨張することができる。 (2) 審決の引用発明2の認定の当否についてア審決は,引用刊行物2の段落【0004】,【0009】,【0010】,【0016】,【0017】の記載及び図1(別紙図面8)の記載を根拠として,同刊行物には,チタン又はチタン合金で形成され,一体状に構成されているコリオリ導管1及び接続導管11を有するコリオリ式質量流量計の製造方法が開示されていると認定する。 しかし,審決の上記認定には,誤りがある。すなわち,引用刊行物2には,結合リング7と補償シリンダ6とを溶接又は硬ろう付け又は螺入せしめることにより結合すること,コリオリ導管1は溶接又は硬ろう付け,有利には真空硬ろう付けにより接合することが記載されており,結合リング7,補償シリンダ6,コリオリ導管1からなる構造ユニットの製造方法は示されているものの(段落【0010】),コリオリ式質量流量計全体の製造方法については記載も示唆もされていない。また,引用刊行物2には,本願発明の課題と密接に関連する電子的装置の取付手順については記載も示唆もされていない。以上によれば,コリオリ式質量流量計の一部分の接合方法に関する記載を根拠として,コリ 。また,引用刊行物2には,本願発明の課題と密接に関連する電子的装置の取付手順については記載も示唆もされていない。以上によれば,コリオリ式質量流量計の一部分の接合方法に関する記載を根拠として,コリオリ式質量流量計全体の製造方法を認定することはできない。 したがって,審決が,引用刊行物2について,チタン又はチタン合金で形成され,一体状に構成されているコリオリ導管1及び接続導管11を有するコリオリ式質量流量計の製造方法が開示されていると認定したことは誤りである。 イ審決は,①引用刊行物2の段落【0010】,【0017】の記載及び図1(別紙図面8)に基づき,コリオリ導管1と補償シリンダ6とは,結合リング7を介して互いに結合されており,結合リング7は溶接又は硬ろう付けによって補償シリンダ6に結合され,更にコリオリ導管1に接続導管11が一体状に構成されていることから,補償シリンダ6及び結合リング7に,コリオリ導管1及び接続導管11が結合されていることで,コリオリ導管1,接続導管11,補償シリンダ6及び結合リング7が1つの組立体を形成していることが記載されている,②上記組立体を製造するためには,それぞれの部材を結合し,組立体を形成する作業が必要であることは明らかであるから,補償シリンダ6及び結合リング7に,コリオリ導管1及び接続導管11を結合し,コリオリ導管1,接続導管11,補償シリンダ6及び結合リング7とから成る組立体を形成することが記載されている,と認定する。 しかし,審決の上記認定も誤りである。すなわち,引用刊行物2の段落【0010】,【0017】の記載及び図1(別紙図面8)から,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7からなる組立体を観念することは可能であるとしても,引用刊行物2には,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び ,【0017】の記載及び図1(別紙図面8)から,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7からなる組立体を観念することは可能であるとしても,引用刊行物2には,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7に,接続導管11も含めて,組立体のようにひとまとまりのものとして取扱うことについては記載も示唆もされていない。引用刊行物2は,温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントが,誤測定や機械的損傷を惹き起こすことのないようにすることを解決課題とし,課題解決の方法として,補償シリンダを設けるとともに,コリオリ導管をその内方に配置するものであって,その具体的構成である,コリオリ導管及び補償シリンダからなる構造ユニットは,温度変動並びに外方から作用する力及びモーメントに対して非感応とされており,引用発明2の重要な構成と位置付けられている。そうだとすると,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7に加えて,接続導管11も含めて,組立体のようにひとまとまりのものとして取扱うことはできない。 したがって,審決が,引用発明2について,コリオリ導管1,補償シリンダ6及 び結合リング7に,接続導管11も含めて組立体を認定したことは誤りである。 ウ審決は,引用刊行物2の段落【0010】,【0017】の記載及び図1(別紙図面8)に基づき,組立体の各端部を受容シリンダ8に取り付けて,組立体の各端部を取り付けることが補償シリンダ6及び結合リング7の各端部の近くにおいて組立体の各端部に接続フランジ10を取り付けることからなるようにした構成が示されていると認定する。 しかし,審決の上記認定も,以下のとおり誤りがある。すなわち,引用刊行物2には,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7に,接続導管11を含めた組立体は記載されていない。また, と認定する。 しかし,審決の上記認定も,以下のとおり誤りがある。すなわち,引用刊行物2には,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7に,接続導管11を含めた組立体は記載されていない。また,引用刊行物2の【請求項14】,【請求項15】,段落【0017】の記載及び図1,2(別紙図面8,9)によれば,接続導管11は,結合リング9を貫通して接続フランジ10内に突き出るものであって,それ以上に,接続フランジ10或いは受容シリンダ8に何らかの手段により結合することなどの取り付けを想定しているとは解されない。仮に,引用刊行物2において,第1の補完手段を採用した場合,組立体の端部に位置する接続導管11は,補強シリンダ12に対し,有利には真空ろう付けによって,かつ有利には約1000℃のろう付け温度で結合されるが(段落【0019】),その場合であっても,結合された補強シリンダ12が,接続フランジ10或いは受容シリンダ8とどのように接続されるかは明らかでなく,また,コリオリ導管は,チタン又はチタン合金ではなく,ニッケル合金を使用するとされている(甲9の段落【0013】)。 したがって,引用刊行物2には,組立体の各端部を受容シリンダ8に取り付けることは記載されておらず,審決の上記認定には誤りがある。 エ被告の主張に対しこの点,被告は,引用刊行物2には,構造,部品形状,配置関係等から,当業者が質量流量測定装置を得るための特定の一連の製造工程を認識するに足る図面等が記載されており,製造方法に関する発明を把握でき,センサ部分は予め動作試験が必要なので,補償シリンダ6,結合リング9等とともに予め組立てられていると理 解できると主張する。しかし,上記のとおり,引用刊行物2には,質量流量測定装置の一部分の製造方法についての記載はあるものの,質量流 シリンダ6,結合リング9等とともに予め組立てられていると理 解できると主張する。しかし,上記のとおり,引用刊行物2には,質量流量測定装置の一部分の製造方法についての記載はあるものの,質量流量測定装置全体の製造方法が記載されているとはいえない。また,本願発明は,直線状流管を有するコリオリ流量計の製造において,熱膨張の影響を少なくしかつ電子的装置の損傷を防止するように局所的な方法で部分間の接合を行うことを課題としているところ(本願明細書段落【0005】ないし【0007】),引用刊行物2には,このような電子的装置をどのようにして組み入れるのかについて記載も示唆もない。電子的装置であるセンサ部分について動作試験が必要であるとしても,必ずしも組立手順が決まるわけではなく,他の構成要素と接合する前に予め組み立てられているということはできない。 また,被告は,引用刊行物2の段落【0010】,【0017】によれば,コリオリ導管1と接続導管11は一体の導管であり,これが補償シリンダ6及び結合リング7に結合されて組立体を構成していると主張する。しかし,上記のとおり,引用刊行物2において,コリオリ導管1,補償シリンダ6及び結合リング7に加えて,接続導管11も含めて,組立体のようにひとまとまりのものとして取扱うことは妥当を欠く。 オ小括以上のとおり,審決は,引用発明2の認定を誤っており,これを前提とした本願発明と引用発明2との対比,相違点についての容易想到性判断にも誤りがあることになる。 2 結論以上のとおりであり,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求には理由がある。その他,被告は,縷々主張するが,いずれも理由がない。よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 でもなく,原告の請求には理由がある。その他,被告は,縷々主張するが,いずれも理由がない。よって,主文のとおり判決する。 主文 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官八木貴美子 裁判官知野明 (別紙)図面1〔本願の願書に添付された図1〕 図面2〔本願の願書に添付された図2〕 図面3〔本願の願書に添付された図3〕 図面4〔本願の願書に添付された図7〕 図面5〔本願の願書に添付された図8〕 図面6〔本願の願書に添付された図9〕 図面7〔本願の願書に添付された図10〕 図面8〔引用刊行物2の図1〕 図面9〔引用刊行物2の図2〕 図面10〔引用刊行物2の図4〕
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