平成15年(行ケ)第173号特許取消決定取消請求事件平成15年10月14日口頭弁論終結判決原告豊田工機株式会社原告トヨタ自動車株式会社原告ら訴訟代理人弁理士小林茂雄被告特許庁長官今井康夫指定代理人村本佳史同前田幸雄同高木進同涌井幸一 主文 1 特許庁が異議2002-71977号事件について平成15年3月17日にした決定中,「特許第3256737号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。」との部分を取り消す。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 1 原告らの請求(1) 主文第1項と同旨(2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 当事者間に争いのない事実(1) 特許庁における手続の経緯原告は,発明の名称を「駆動力伝達装置」とする特許第3256737号(平成9年11月21日出願。平成13年12月7日設定登録。以下「本件特許」という。請求項の数は5である。)の特許権者である。 本件特許の請求項1ないし5のすべてについて,特許異議の申立てがあり,特許庁は,これを異議2002-71977号事件として審理した。原告らは,この審理の過程で,本件出願の願書に添 ある。 本件特許の請求項1ないし5のすべてについて,特許異議の申立てがあり,特許庁は,これを異議2002-71977号事件として審理した。原告らは,この審理の過程で,本件出願の願書に添付した明細書の訂正を請求した(以下「本件訂正請求」という。同訂正後の請求項の数は3である。)。特許庁は,審理の結果,平成15年3月17日,「訂正を認める。特許第3256737号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件取消決定」という。)をし,平成15年4月2日に,その謄本を原告に送達した。 (2) 審決の理由本件審決の理由は,要するに,本件訂正請求を認めた上で,本件訂正請求に係る発明は,引用各刊行物に記載された発明並びに周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項に該当し,特許を受けることができない,というものである。 (3) 訂正審決の確定原告は,本訴係属中,平成15年6月20日付けで,本件特許出願の願書に添付した明細書につき,特許請求の範囲に係るものを含む訂正の審判を請求した。 特許庁は,これを訂正2003-39127号事件として審理し,その結果,平成15年8月12日に上記訂正を認める審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,これが確定した。 (4) 本件訂正審決による特許請求の範囲に係る訂正の内容(ア) 本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲「【請求項1】互いに同軸的かつ相対回転可能に位置する内外両回転部材間に,摩擦係合によりこれら両回転部材間のトルク伝達を行うメインクラッチ機構と,通電により作動して摩擦係合する電磁式のパイロットクラッチ機構と,前記メインクラッチ機構と前記パイロットクラッチ機構の間に位置し同パイロッ りこれら両回転部材間のトルク伝達を行うメインクラッチ機構と,通電により作動して摩擦係合する電磁式のパイロットクラッチ機構と,前記メインクラッチ機構と前記パイロットクラッチ機構の間に位置し同パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記メインクラッチ機構に対する押圧力に変換するカム機構を備えた駆動力伝達装置であって,前記外側回転部材は,非磁性材料からなる有底筒状のフロントハウジングと,同フロントハウジングの後端開口部の内周に螺着されて同後端開口部を覆蓋する磁性材料からなるリヤハウジングとにより構成され,前記パイロットクラッチ機構は,前記両回転部材間に配設された摩擦クラッチと,通電により作動して前記摩擦クラッチを摩擦係合させる電磁式の制御手段によって構成され,かつ,前記制御手段は,前記フロントハウジング内に位置する前記摩擦クラッチの一側に前記リヤハウジングの内端部を介して対向する電磁石と,前記フロントハウジング内にて前記摩擦クラッチの他側に位置し前記電磁石のコイルへの通電により軸方向へ吸引されて前記摩擦クラッチを押圧するアーマチャにて構成されていることを特徴とする駆動力伝達装置。 【請求項2】請求項1に記載の駆動力伝達装置において,前記フロントハウジングはアルミ合金製であり,かつ,前記リヤハウジングは鉄製であることを特徴とする駆動力伝達装置。 【請求項3】請求項1または2に記載の駆動力伝達装置において,前記リヤハウジングの後端部外周上にナット部材が進退可能に螺着されて,同ナット部材にて前記フロントハウジングが後端側から締付け固定されていることを特徴とする駆動力伝達装置。」(イ) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲(下線部は,(ア)と異なる部分である。)「【請求項1】互いに同軸的かつ相対回転可能 れていることを特徴とする駆動力伝達装置。」(イ) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲(下線部は,(ア)と異なる部分である。)「【請求項1】互いに同軸的かつ相対回転可能に位置する入力軸に連結された外側回転部材と出力軸に連結された内側回転部材との間に,摩擦係合によりこれら両回転部材間のトルク伝達を行うメインクラッチ機構と,通電により作動して摩擦係合する電磁式のパイロットクラッチ機構と,前記メインクラッチ機構と前記パイロットクラッチ機構の間に位置し同パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記メインクラッチ機構に対する押圧力に変換するカム機構を備え,駆動力が前記外側回転部材に入力され,前記メインクラッチ機構を介して前記内側回転部材に伝達される駆動力伝達装置であって,前記外側回転部材は,駆動力を伝達する非磁性材料からなる有底筒状のフロントハウジングと,同フロントハウジングの後端開口部の内周に螺着されて同後端開口部を覆蓋する磁性材料からなる駆動力を伝達しないリヤハウジングとにより構成され,前記パイロットクラッチ機構は,前記両回転部材間に配設された摩擦クラッチと,通電により作動して前記摩擦クラッチを摩擦係合させる電磁式の制御手段によって構成され,かつ,前記制御手段は,前記フロントハウジング内に位置する前記摩擦クラッチの一側に前記リヤハウジングの内端部を介して対向する電磁石と,前記フロントハウジング内にて前記摩擦クラッチの他側に位置し前記電磁石のコイルへの通電により軸方向へ吸引されて前記摩擦クラッチを押圧するアーマチャにて構成されていることを特徴とする駆動力伝達装置。 【請求項2】請求項1に記載の駆動力伝達装置において,前記フロントハウジングはアルミ合金製であり,かつ,前記リヤハウジングは鉄製で チャにて構成されていることを特徴とする駆動力伝達装置。 【請求項2】請求項1に記載の駆動力伝達装置において,前記フロントハウジングはアルミ合金製であり,かつ,前記リヤハウジングは鉄製であることを特徴とする駆動力伝達装置。 【請求項3】請求項1または2に記載の駆動力伝達装置において,前記リヤハウジングの後端部外周上にナット部材が進退可能に螺着されて,同ナット部材にて前記フロントハウジングが後端側から締付け固定されていることを特徴とする駆動力伝達装置。」 3 当裁判所の判断前記当事者間に争いのない事実の下では,本件訂正請求に係る特許請求の範囲請求項1ないし3について,特許法29条2項に違反して登録された特許であることを理由にこれを取り消した本件取消決定の取消しを求める訴訟の係属中に,上記請求項1ないし3に係る特許請求の範囲の減縮を含む結果となる訂正の審判の請求がなされ,特許庁は,同請求を認めるとの本件訂正審決をし,これが確定した,ということができる。本件取消決定は,これにより,結果として,判断の対象となるべき発明の認定を誤ったことになる。この誤りが本件取消決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,本件訂正請求に係る特許請求の範囲請求項1ないし3に係る特許を取り消した本件取消決定は,取消しを免れない。 4 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,原告らに負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第6民事部 裁判長裁判官山下和明 東京高等裁判所第6民事部 裁判長裁判官 山下和明 裁判官 阿部正幸 裁判官 高瀬順久
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