【DRY-RUN】主 文 原判決中被告人等に対する部分を破棄する。 被告人A1を懲役壱年六月及び罰金千円に処する。 但し此の判決確定の日より参年間右懲役刑の執行を猶予する。
主文 原判決中被告人等に対する部分を破棄する。 被告人A1を懲役壱年六月及び罰金千円に処する。 但し此の判決確定の日より参年間右懲役刑の執行を猶予する。 被告人A1に於て右罰金を完納することが出来ないときは、金弐百円を壱日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。 被告人A1に対する関係に於て、押収に係る証第三号特配購入票三枚はこれを没収する。 原審訴訟費用中証人B1、同B2、同B3、同B4、同B5に支給した分は、被告人A1と、原審相被告人昇との連帯に依る負担とし、証人B6、同B7、同B8、同B9、同B10、同B11に支給した分は、被告人A1と、原審相被告人A2、同A3との連帯による負担とし、証人B12(二回)に支給した分はその四分の一を被告人A1の負担とする。 被告人A1に対する本件公訴事実中別紙記載の部分(原判示第五並に第六の所為)につき被告人A1は無罪。 被告八A4、同A5、同A6、同A7はいずれも無罪。 理由 弁護人堀江喜熊の控訴趣意は、昭和二十九年三月二十四日付控訴趣意書記載の通りであるから、此処にこれを引用する。 記録に依れば、原判決は、判示第五に於て(一)被告人A1(株式会社Cの代表取締役)が原審相被告人A8(同社常務取締役)と共謀し、昭和二十三年十二月中旬頃福井県坂井郡a町D旅館に於て、右Cが震害復旧工事を請負うことにつき、有利な取扱を受けたいとの趣旨で、被告人A5(当時福井県坂井郡b村農業協同組合長)及び被告人A6(当時同農業協同組合理事)の両名に対し、被告人A7(被告人A1の遠縁の者)を介し、現金五万円宛をそれぞれ交付し、以て被告人A5及び被告人A6の農業協同組合役員としての職務に関し賄賂を供与した事実、(二 時同農業協同組合理事)の両名に対し、被告人A7(被告人A1の遠縁の者)を介し、現金五万円宛をそれぞれ交付し、以て被告人A5及び被告人A6の農業協同組合役員としての職務に関し賄賂を供与した事実、(二)被告人A5及びA6が、その情を知りながら、前記の如く被告人A1及び原審相被告人A8から、被告人A7を介して現金を受領し、以て農業協同組合長又は理事たる自己の職務に関し賄賂を収受した事実、(三)被告人A7が、その情を知りながら、被告人A1及び原審相被告人A8の依頼に応じ、被告人A5及び同A6に対し、前記の如く現金を手交し、以て被告人A1及び原審相被告人A8の叙上贈賄を容易ならしめてこれを幇助した事実、(四)被告人A1が原審相被告人A8と共謀し、前同日頃被告人A4(当時福井県坂井郡E村長)の肩書居宅に於て、前同旨の下に、同被告人に対し、被告人A7を介し現金弐万円を交付し、以て被告人A4の公務員たる其の職務に関し賄賂を供与した事実、(五)被告人A7が、その情を知りながら、被告人A1及び原審相被告人A8の依頼に応じ、被告人A4に対し前記の如く現金を供与し、以て被告人A1及び原審相被告人A8の前示贈賄を要易ならしめて、これを幇助した事実、(六)被告人A4が、その情を知りなから、前記の如く被告人A1及び原審相被告人A8から、被告人A7を介して現金を受領し、以て公務員たる自己の職務に関し賄賂を収受した事実、(七)被告人A1が原審相被告人A8と共謀の上、昭和二十三年十二月末頃、被告人A7の肩書居宅に於て、株式会社Cが震害復旧工事を請負うことになつたにつき、その謝礼並に同工事の施行上便宜な取扱を受けたいとの趣旨で、被告人A7を介し、被告人A4、同A5、同A6の三名に対し、現金拾万円宛をそれぞれ交付し、もつてこれ等の者の公務員又は農業協同組合役員たる職務に関 並に同工事の施行上便宜な取扱を受けたいとの趣旨で、被告人A7を介し、被告人A4、同A5、同A6の三名に対し、現金拾万円宛をそれぞれ交付し、もつてこれ等の者の公務員又は農業協同組合役員たる職務に関し賄賂を供与した事実、(八)被告人A4、同A5、同A6の三名が、その情を知りながら、前記の如く被告人A1及び原審相被告人A8から、被告人A7を介して現金を受領し、以て公務員又は農業協同組合役員たる自己の職務に関し賄賂を収受した事実、(九)被告人A7が、その情を知りながら、被告人A1及び原審相被告人A8の依頼に応じ、被告人A4、同A5、同A6の三名に対し、前記の如く現金を手交し、以て被告人A1及び原審相被告人A8の叙上贈賄を容易ならしめてこれを帯助した事実を各認定し、判示第六に於て(一)被告人A1が原審相被告人A8と共謀し、昭和二十四年六月頃、被告人A6(当時福井県坂井郡b村農業協同組合長)の肩書居宅に於て、前記震害復旧工事について、世話になつたことに対する謝礼の趣旨で、被告人A6の母Fの手を経て、被告人A6に対し現金五万円を交付し、もつて同人の農業協同組合役員たる職務に関し賄賂を供与した事実、(二)被告人A6が、その情を知りながら、前記の如く被告人A1及び原審相被告人A8から、母Fの手を経て現金を受領し、もつて農業協同組合役員たる自己の職務に関し賄賂を収受した争実を各認定し、これ等の所為に対し、贈収賄に関する刑法各本条の規定、経済関係罰則の整備に関する法律の規定等を適用し、被告人等を、原判決主文掲記の如く、それぞれ処罰していることを認め得る。よつて、その当否如何を案ずるに、(1)押収に係る証第八号乃至第十三号各工手契約書、証第二十二号出来形調書七通、証集二十三号資金貸付伺書及び添付の附属書類証第二十四号、証第二十五号、記第二十七号、証第二十八 その当否如何を案ずるに、(1)押収に係る証第八号乃至第十三号各工手契約書、証第二十二号出来形調書七通、証集二十三号資金貸付伺書及び添付の附属書類証第二十四号、証第二十五号、記第二十七号、証第二十八号各領収書綴合計四冊の各存在並に該記載、(2)G金庫H支部発b村農業協同組合宛融資決定通知書謄本の記載(記録第九二六丁)(3)公共事業証明書謄本三通の記載(記録第九二八丁乃至第九三〇丁)原審第六回公判調書中(4)証人B13、(5)同B14、(6)同B15、(7)同B16、(8)同B17の各供述記載、原審第七回公判調書中(9)証人B18、(10)同B19、(11)同B20の各供述記載、(12)証人B21に対する原審受命判事の証人尋問調書の記載、原審第八回公判調書中(13)証人B22の供述記載、原審第九回公判調書中(14)証人B23の供述記載、原審第十回公判調書中(15)証人B24、(16)同B13、(17)同B25、(18)同B26、(19)同B27、(20)同B28、(20)同B29の各供述記載、原審第十一回公判調書中(22)証人B30、(23)同B31、(24)同B17の各供述記載、(25)証人B32こ対する原審証人尋問調書の記載、当審受命判事の(26)証人B33、(27)同B34、(28)同B23、(29)同B13、(30)同B35、(31)同B36、(32)同B37に対する各証人尋問調書の記載、(33)証人B38、(34)同B32、(35)同B39、(36)同B40、(37)同B13、(38)同B41、(39)同B42、(40)同B43に対する当審各証人尋問調書の記載を綜合すれば、b村震害復旧工事の註文者、すなわち、工事遂行の主体として、株式会社Cに対する請負契約の当事者となつた者は、b村災害復旧委員会なる名称を附せられ、b村民多数を 当審各証人尋問調書の記載を綜合すれば、b村震害復旧工事の註文者、すなわち、工事遂行の主体として、株式会社Cに対する請負契約の当事者となつた者は、b村災害復旧委員会なる名称を附せられ、b村民多数をその構成員とする、法人格を有しない団体であつて、b村、同村農業協同組合、若しくはE村長を管理者とする同村内の各水利組合等の諸団体は、いずれも該工事の註文者でなく、従つて、言う迄もなく工事遂行の主体として、契約締結の当事者となつたものでなく、また、これ等団体の二個以上が、共同して斯る契約上の地位を占めたものでもなかつたことを認定するに足る。以上、斯の如き認定に到達した所以のものを分説するに、(第一)先づb村災害復旧委員会なる団体の成立するに至つた経緯を、前顕資料中(4)(16)(29)(37)(5)(7)(8)(12)の各資料によつて検討すれば(一)昭和二十三年六月二十八日発生した震災に依り、福井県坂井郡b村に於ては、家屋、橋梁、堤防、道路、耕地、用排水路等に多大の損害を蒙つたこと、(二)当時、被告人A4はE村長、被告人A5は同村農業協同組合長、被告人A6は同組合理事であつたこと、(三)被告人A4は震災発生の翌日、急遽b村議会を招集し、席上災害の対策を協議した結果、此の際b村の採るべき対策としては、学校校舎の再建、橋梁、道路の修繕に全力を傾注すべく、耕地、水路の復旧工事の如きは、農協其の他b村以外の団体に、これを委ねるべきであるとの意見が多数を制したこと、(四)然るに被告人A5及び被告人A6等農協側関係者の意見は耕地、水路の復旧工事もまた、学校再建等の工事に劣らず多額の経費を要する大規模な事業であり農業協同組合一個のカを以てしては、これを完遂することが至難であると言うに在つて容易に村側の意見と同調するに至らなかつたこと、(五)偶々昭和二十三年 工事に劣らず多額の経費を要する大規模な事業であり農業協同組合一個のカを以てしては、これを完遂することが至難であると言うに在つて容易に村側の意見と同調するに至らなかつたこと、(五)偶々昭和二十三年十月頃福井県I地方事務所の斡旋に依り福井県坂井郡災害復旧促進協議会なる名称の下に、坂井郡町村会長を会長とし福井県農業協同組合連合会O支所長を副会長とし、郡下三十数個町村長及び農業協同組合長を評議員とし、震害の復旧に関する諸般の事務につき、側面より協力、援助を与えることを目的とする団体が組織さんたこと、(六)協議会の成立に暗示を受けた結果、b村に於ても、昭和二十三年十二月頃b村災害復旧委員会なる団体を結成し、該団体をして耕地、用排水路の復旧工事を為さしめることに衆議一決し、各部落(区)ごとに委員一名宛合計十六名の委員を選出し、選出された委員の互選に依り、委員長、副委員長を定めたこと、(七)互選の結果、村長である被告人A4が委員長に、農業協同組合長である被告人A5が副委員長に当選したこと、(八)村長及び農業協同組合長が委員長、副委員長に当選したのは、坂井郡災害復旧促進協議会の例に暗示された結果とも言い得べく、また、衆望の一致するところ、自然斯る結果に落付いたものであつて、必ずしもb村災害復旧委員会の委員長、副委員長は、E村長及びb村農業協同組合長をもつて、これに充つべきものと定めた訳でなかつたこと、(これをその後の実績に徴するに、昭和二十四年二月被告人A5がb村農業協同組合長を辞職し、被告人A6がこれに代つた際、被告人A5は副委員長を辞任して一委員となり、代つて被告人A6が副委員長に就任している事実があると思えば、他方、同年四月被告人A4がE村長を辞職し、Jが村長と為り、数個月にして同人も辞職し、さらに代つてKが村長と為つた際の如きは、これ等J、 代つて被告人A6が副委員長に就任している事実があると思えば、他方、同年四月被告人A4がE村長を辞職し、Jが村長と為り、数個月にして同人も辞職し、さらに代つてKが村長と為つた際の如きは、これ等J、K等は、いずれも前記委員会の委員にも選任されず、従つて、勿論委員長となることもなかつたものであつて、従つてこれ等の実例より推論するも、叙上委員会の正副委員長の席は、必ずしもE村長、同村農業協同組合長たる者の、当然就任すべき地位として予定せられて居たものでないことを看取するに足る。)(九)同委員会の事務は、日を逐うて増加したので、昭和二十四年三月頃同村農業協同組合の建物の一室を借受け、同委員会の事務所を設置し、建物出入口に会名を記した看板を掲げ専任の事務員Lを雇入れて事務を執らしめるに至つたこと、(十)斯る委員会の設置は、もとより法令の根拠に基くものでなく、村内各部落に居住するところの、工事による受益者中より選任された、代表者達の集会に外ならなかつたこと等の諸事実を認め得べく、以上に依れば、b村災害復旧委員会とは、b村民多数を構成員とする法人格を有しない団体であり、b村内に於ける用排水路、耕地等の復旧を目的として組織されたものであると言わなければならぬ。(第二)そこで、前記b村災害復旧委員会は、b村内の用排水路、耕地に関する災害の復旧について、如何なる行為を如何なる方法で為したかを検討するに、前顕(1)(2)(3)(4)(16)(29)(37)(9)(10)(11)(12)(13)(14)(17)(18)(19)(21)(22)(24)(25)(34)の各資料を綜合すれば、(一)同委員会は、(1)委員提出の復旧工事案に基き、復旧工事施工の必要の有無、施行の順序を定めた上、福井県指導農業協同組合連合会開拓課其の他に委嘱して現地の調査、測量を為さし の各資料を綜合すれば、(一)同委員会は、(1)委員提出の復旧工事案に基き、復旧工事施工の必要の有無、施行の順序を定めた上、福井県指導農業協同組合連合会開拓課其の他に委嘱して現地の調査、測量を為さしめ(2)次で前記連合会等又は福井県に依頼して、各工事につき、その設計書に基いて工事費を算出して貰い、(4)請負人を選定した上、設計書に基いて該請負人との間に工事請負契約を締結し、(5)工事の監督を行い(工事全汎につき、その監督を実際に行つた者は、専任事務員のLであり、その外、個々の工事については、受益部落を代表する委員若しくは其の代理人が、これを監督した。)(6)工事の出来形(出来高)を調査の上、農業協同組合よりの借入金こよつて、請負人に出来形に応じた工事費を支払い、(7)地方事務所を経由して、福井県に補助金下附の申請をし、(8)県側の検査が済み、補助金の交付を受けると、これを借入金の弁済に充充当し、(9)全工程完了後、請負人との間に清算を遂げる等、工事施工の主体すなわち、請負契約に於ける註文者の立場に於て、工事の施工に関する一切の事務を処理したものであり、(二)福井県坂井郡災害復旧促進協議会の如く、災害の復旧を側面より援助することを目的とし、ただ其の目的範囲内に於てのみ一定の活動をしたものでなく、(三)災害復旧の工事の施行に関し、国庫よりの補助を受け、又はG金庫より融資を受けるに当り、申請書其の他関係書類に農業協同組合長A6名義を用いたり、さらに土木業者と工事に関する契約を締結するに当り、水利組合管理者A4名義を用いたり(M用水路復旧工事)肩書は記してないが当時村長であつたA4の名義を用いたり(N第一、第二排水路各復旧工事)農業協同組合長A6名義を用いたり(c区耕地復旧工事)しているけれども、これ等はいずれも、補助又は融資を受ける手続上、 してないが当時村長であつたA4の名義を用いたり(N第一、第二排水路各復旧工事)農業協同組合長A6名義を用いたり(c区耕地復旧工事)しているけれども、これ等はいずれも、補助又は融資を受ける手続上、便宜の措置に過ぎず、もとよりb村、b村農業協同組合、M普通水利組合などの諸団体の意思機関は、前記の工事について何等の決議をしたこともなく、工事に関するすベてを叙上b村災害復旧委員会にゆだね、敢て干渉することがなかつたこと、b付農業協同組合は工事施行の主体でないにも拘らず、恰も自己が工事施行の主体であるが如く記載した書類を関係当局に提出してG金庫より融資を受け、該金員をb村災害復旧委員会に貸付け、同委員会より元本並に利子の返済を受け、これによつてG金庫に対うる債務を償却したものであつたことを認め得べく以上の事実を綜合すれば、b村災害復旧委員会は、b村内に於ける用排水路、耕地に関する復旧工事の主体たる地位に於て、工事の実施に関する対内、対外一切の事務を自ら処理したものであつて、村水利組合又は農協の特別会計事業等として工事を施行したものでなかつたと見るのが相当であると考えられる。 前記第一、第二の各観察より、冒頭に記載したb村災害復旧工事の主体及び其の性格に関する認定が導き出される次第である。次に(41)A8、(42)被告人A1、(43)同A4、(44)同A5、(45)同A6、(46)同A7に対する検察官作成各供述調書の記載を綜合すれば、(一)被告人A1は土木建築を業とする株式会社Cの代表取締役であり、b村内に災害復旧の土木事業が施行されようとしていることを聞き、同会社官務取締役A8と協議の上、Cに於て右災害復旧工事を請負い度く、これに関して有利な取扱を受けたい趣旨で、工事関係者に金員を贈与しようと企て、(1)昭和二十三年十二月中旬頃福井県坂井郡a町 聞き、同会社官務取締役A8と協議の上、Cに於て右災害復旧工事を請負い度く、これに関して有利な取扱を受けたい趣旨で、工事関係者に金員を贈与しようと企て、(1)昭和二十三年十二月中旬頃福井県坂井郡a町D旅館に於て、予て情を打明けておいた被告人A7の手を介し、被告人A5及ひ同A6に対し金五万円宛をそれぞれ交付し、被告人A5及び同A6はその情を知りながらこれを受領したこと、(2)前同日頃被告人A4の肩書居宅に於て、前同様その情を知る被告人A7の手を介し、被告人A4に対し金二万円を交付し、被告人A4はその情を知りながらこれを受領したこと、(二)被告人A1はA8と協議の上、株式会社Cに於て、叙上災害復旧工事を請負うことになつたに就て、これに対する感謝の趣旨並に将来工事の施行に関し、便宜な取扱を受け度く、其の報酬たる趣旨をもつて、工事関係者に金員を贈与しようと企て、同月末頃被告人A7の肩書居宅に於て、その情を知る被告人A7の手を介し、被告人A4、同A5、同A6に対し、それぞれ現金十万円宛を交付し、被告人A4、同A5、同A6はその情を知りながらこれを受領したこと、(三)被告人A1はA8と協議の上、工事の施行に関し、何かと世話になつたことに対する謝礼の趣旨で工事関係者に金員を贈与しようと企て、昭和二十四年六月頃被告人A6の肩書居宅に於て、同人に対し金五万円を交付し被告人A6はその情を知りながら、これを収受したことをそれぞれ認定するに足るところ、しかるに、被告人A4は本件災害発生当時より昭和二十四年四月迄E村長、被告人A5は災害当時より昭和二十四年二月迄同村農業協同組合長、被告人A6は当初同農業協同組合理事、A5辞職後農業協同組合長たる地位にあつた者であることは既に認定したところにより明白であるから、被告人A1の金員交付、被告人A4、同A5、同A6の各 協同組合長、被告人A6は当初同農業協同組合理事、A5辞職後農業協同組合長たる地位にあつた者であることは既に認定したところにより明白であるから、被告人A1の金員交付、被告人A4、同A5、同A6の各金員受領、被告人A7の右仲介の各所為は、被告人A4、同A5、同A6の前記職務に関するものでないかとの疑問が当然此処に生じて来る。そこでその如何をさらに審究するのであるが、前顕被告人A1の供述に徴すれば、(一)贈与者側の意思は、既に認定した事実よりも推知し得るが如く、工事を請負わせて貰い度く、又は将来工事に関し世話になるから、若しくは是迄世話になつたから、其の報酬として工事関係者に金員を贈ると言う単純なものであつて、それ以上の何者てもなかつたことか明かである。(二)勿論被告八A4が村長であり、被告人A5、同A6等が農協役員であることは、被告人A1に於ても、これを承知して居ない筈はない。しかしながら、被告人A1が被告人A4等に金員を贈与したのは、彼等が村長てあり又は農協役員であつたからでなく、彼等が昭利二十三年十二月頃既に成立していたb村災害復旧委員会の役員であつたからであることは、前記(一)の認定より優にこれを推認することが出来る。(三)農業協同組合法は公法人でない。しかしながら金融緊急措置令第八条所定の金融機関として、経済関係罰則の整備に関する法律別表乙号第二十四条に依り、農業協同組合の役職員がその職務に関し賄賂を収受、要求、又は約束した場合には一定の刑罰を受ける。 b村災害復旧委員会がb村農業協同組合の責任において、G金庫から融資を受け国庫より支出される補助金をもつて、その返済に充てていたことは既に説示した通りであるが、しからば、農協役員たりし被告人A5、同A6等が、工事に関し前叙の如き趣旨で業者より金員を受領することは、農協役員たる自己の職 れる補助金をもつて、その返済に充てていたことは既に説示した通りであるが、しからば、農協役員たりし被告人A5、同A6等が、工事に関し前叙の如き趣旨で業者より金員を受領することは、農協役員たる自己の職務に関し賄賂を収受することにならないかと言うに、本件の場合、これを積極に決することは至難である。蓋し贈与者は、農協より金融を受け度いとか、その他その金融業務に関する請託の趣旨で金員を贈与したものでないのみならず、農協役職員は、農協よりの融資が、所期の事業に使用された後、国庫の補助等により、一定の金利を附加して確実に返済されるよう、債務者を監視する義務を、或は負担して居るかも知れないけれども、たとえ債務者と工事請負人との間にどのような贈答が為されようと、それが元利金の返済に影響を与えるものでない限り、これに干渉すべき何等の職権職務を有するものでないからである。(四)E村長が、例えばM用水組合の如き、同村内に所在し、他村の管轄にまたがらない水利組合につき、これが管理者たる地位を占めて居たことは、前出(1)(27)(31)(32)(33)(36)(38)等の資料に依り明かであるが、しからばE村長たりしA4が前叙のような趣旨で、業者より金員を収受することは、公務員たる自己の職務に関し賄賂を収受することにならないかと言うに、本件の場合これを肯定することを得ないこと、農協役員の場合と同様である。蓋しb村災害復旧工事は水利組合の施行に係る工事でなく、b村災害復旧委員会が主体となつて行つた事業であるから、水利組合の管理者は、用水路が復旧するか否かにつき関心を持ち、若し工事の結果につき不備あるときは、工事施行者に抗議し、又は改めて自ら工事を施行する等の職務を持つているとしても、工事施行者と請負人との間に、如何なる贈答が行われようと、それが工事の結果に影響する し工事の結果につき不備あるときは、工事施行者に抗議し、又は改めて自ら工事を施行する等の職務を持つているとしても、工事施行者と請負人との間に、如何なる贈答が行われようと、それが工事の結果に影響するものでない限り、これに干渉容喙すべき何等の権限を持つていないと解すべきであり、なお記録を精査するも、本件金員授受行為が、例えば、その結果不完全な工事を監督者が看過す<要旨>る等、工事の結果に影響を及ぼした事実を、毫も証拠上認め得ないからである。(五)さらに進んで、E村長た</要旨>りしA4の金員収受は、地方自治法第百五十七条所定普通地方公共団体の長の指揮監督権に関し、賄賂を収受したことにならないかの点につき案ずるに、本件の場合これまた積極に解するを得ないと言わざるを得ない。その所以を説明すれば、地方自治法第百五十七条第一項は「普通地方公共団体の長は当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の綜合調整を図るため、これを指揮監督することが出来る。」旨定めているが、其の趣旨とするところは、例えば青年団、婦人会等当該普通地方公共団体の区域内に所在し、存立の目的其の他に公共的な性質を持つたいくつかの団体が、互に相容れないような活動をした場合、普通地方公共団体の長、例えば村長は、これ等諸団体の活動の綜合調整を図るため、すなわち、綜合、調整の目的より逸脱しない限度内に於て、これ等諸団体に対し一定の指揮をなし又は監督をすることが出来ると言うにあり、本件の場合の如き、b村災害復旧委員会なる一団体の内部的事務について迄、村長に対し指揮、監督権を附与したものでないこと、敢て縷説を俟たずしで明かであるからである。(六)なお、前掲(27)の証拠に依れば、本件M其の他の用水路敷地は、元国有であつたところ、大正十二年頃関係各区に払下げられたものであつて、E村有でない と、敢て縷説を俟たずしで明かであるからである。(六)なお、前掲(27)の証拠に依れば、本件M其の他の用水路敷地は、元国有であつたところ、大正十二年頃関係各区に払下げられたものであつて、E村有でないことを認め得るから、地方自治法第二条第三項第二号第百四十九条による村長の管理権もこれに及ばないと言わねばねらぬ。その他記録を検討しても、右公訴事実を肯定せしめるに足る資料を発見することが出来ないから、本件における被告人A1の被告八A4、A5、A6に対する金員贈与、被告人A7の仲介、被告人A4、A5、A6の全員収受は、公務員たる被告人A4、農協役員たる被告人A5A6の職務に関し為されたものと認定することが出来ない次第であつて、原審認定第五、第六に相当する公訴事実については、その証明がないと断ずるの外なく、これと認定を異にする原判決には、その限度に於て事実の誤認があると結論せざるを得ない。右の誤認は判決に影響するから、論旨は理由があり、原判決はこれを破棄すべきである。 よつて、刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十二条に則り、原判決中被告人等に対する部分を破棄した上、同法第四百条但書に従い次の通り判決する。 被告人A1正議の所為に対する当審認定は、原判示第五、第六の事実を除き原審認定の通りであり、右記定の資料は原判示第五、第六の事実に対し援用されたものを除き原判決挙示の証拠と同一であるから此処にこれを引用する。 法律に照すに、被告人A1の判示所為中第一の賍物故買は刑法第二百五十六条第二項(犯罪後罰金等臨時措置法の施行により刑に変更を見たが刑法第六条第十条により軽い従前の刑による)第六十条に、第二の公文書偽造の点は各同法第百五十五条第一項第六十条に、偽造公文書行使の点は同法第百五十八条第一項第百五十五条第一項第六十条に、詐欺の点は各同法第二百四十六条 より軽い従前の刑による)第六十条に、第二の公文書偽造の点は各同法第百五十五条第一項第六十条に、偽造公文書行使の点は同法第百五十八条第一項第百五十五条第一項第六十条に、詐欺の点は各同法第二百四十六条第一項第六十条に、第三の一、第四の贈賄は同法第百九十八条第百九十七条第一項前段(犯罪後罰金等臨時措置法の施行により刑に変更を見たが刑法第六条第十条により軽い従前の例による)第六十条仁各該当するところ公文書偽造、同行使、詐欺は其の間順次手段結果の関係があるから同法第五十四条第一項後段第十条により犯情の重い偽造公文書行使の罪の刑に従い、贈賄罪の所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法第四十五条前段の併合罪であるから、同法第四十七条第十条により最も重い昭和二十四年一月二十日頃数量欄記入の数量七八六瓩とある分の偽造公文書行使罪の刑に法定の加重を為し、同法第四十八条第一項により賍物故買罪の罰金刑をこれに併科することとし、所定刑期及び罰金額の範囲内で被告人A1を懲役壱年六月及び罰金千円に処すべく、諸般の情状に鑑み同法第二十五条第一項を適用し此の裁判確定の日より参年間同被告人に対し右懲役刑の執行を猶予すべく、同被告人に於て右罰金を納完することが出来ないときは向法第十八条により金弐百円を壱日に換算した期間、同被告人を労役場に留置することとし、押収に係る証第三号特配購入券三枚は判示第二の公文書偽造の罪より生じたものであり、何人の所有をも許されないものであるから同法第十九条第一項第三号第二項によつて被告人A1に対しこれを没収すべく、訴訟費用の負担については刑事訴訟法第百八十一条第百八十二条を適用し主文掲記の如く被告人A1をしてその負担をたさしむべきものとする。 本件公訴事実中別紙(省略)記載の事実に対しては、論旨に対し既こ判示したところによつて明かである如く、犯罪の 条第百八十二条を適用し主文掲記の如く被告人A1をしてその負担をたさしむべきものとする。 本件公訴事実中別紙(省略)記載の事実に対しては、論旨に対し既こ判示したところによつて明かである如く、犯罪の証明がないから、刊事訴訟法第四百四条第三百三十六条により、被告人A1に対しては該部分につき無罪の言渡をたすべく、被告人A4、同A5、河A6こ対しては各無罪の言渡をなすべきものとする。 よつて主文の通り判決する。 (裁判長判事成智寿朗判事沢田哲夫判事岩崎善四郎)
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