主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人橋本二三夫の上告理由について所論は、被上告人の年齢詐称の事実を本件解雇の理由として主張することはできないとした原審の判断は、懲戒権の行使に関する法律解釈を誤るものであると主張する。しかしながら、使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。したがって、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情のない限り、当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないものというべきである。これを本件についてみるに、原審の適法に確定したところによれば、本件懲戒解雇は、被上告人が休暇を請求したことやその際の応接態度等を理由としてされたものであって、本件懲戒解雇当時、上告人において、被上告人の年齢詐称の事実を認識していなかったというのであるから、右年齢詐称をもって本件懲戒解雇の有効性を根拠付けることはできない。これと同旨の原審の前記判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はなく、右判断は、所論引用の判例に抵触するものではない。 論旨は採用することができない。 所論のその余の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、いずれも採用することができない。 - 1 -よって、民訴法四〇一条、九五条、八 は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、いずれも採用することができない。 - 1 -よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官藤井正雄裁判官小野幹雄裁判官高橋久子裁判官遠藤光男裁判官井嶋一友- 2 -
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