平成15(ワ)567 慰謝料請求

裁判年月日・裁判所
平成17年7月5日 甲府地方裁判所
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判決文本文25,694 文字)

当事者省略 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告らに対し,別紙記載の謝罪文(省略)を交付せよ。 2 被告は,原告X1に対し金2000万円,原告X2に対し金1000万円及びこれらに対する平成15年12月2日以降支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 4 仮執行宣言第2 事案の概要本件は,被告がNHK総合テレビジョンの山梨県内ニュースにおいて放送した,山梨県歯科医師会会員であった歯科医師(以下「A歯科医師」という。)による診療報酬の不正請求事件に対する同歯科医師会の対応についての放送内容が,一般視聴者に対し,同歯科医師会の幹部であった原告らが上記診療報酬の不正請求の事実を監督官庁に発覚することをおそれて隠ぺい工作に走ったかのような,事実とは異なる印象を与えるものであったことから,原告らの名誉が著しく毀損され,多大な精神的損害を被ったとして,原告らが,不法行為に基づき,謝罪文の交付並びに原告X1につき2000万円,原告X2につき1000万円の慰謝料及び上記各金員に対する不法行為(放送)の後である平成15年12月2日以降支払済みまでそれぞれ民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める事案である。 1 争いのない事実(1) 当事者被告は,テレビ及びラジオの放送等を目的とする法人であり,その甲府放送局は,山梨県内全域において,テレビの取材放送を行うものである。 原告らは,山梨県内の歯科医師を構成員とする社団法人山梨県歯科医師会(以下「県歯科医師会」という。)の会員であり,平成9年4月から平成15年3月まで,原告X1が会長,原告X2が医療保険担当理事を務めていた。 県内の歯科医師を構成員とする社団法人山梨県歯科医師会(以下「県歯科医師会」という。)の会員であり,平成9年4月から平成15年3月まで,原告X1が会長,原告X2が医療保険担当理事を務めていた。 (2) 不正請求事件報道と県歯科医師会総会県歯科医師会の会員であったA歯科医師は,平成8年ころから平成12年ころまでの5年間に,診療報酬を不正に請求し受給していた(以下「本件不正請求事件」という。)ところ,本件不正請求事件は,平成14年7月18日の被告テレビニュースや,新聞報道などによって報じられ,初めて明るみに出た。 県歯科医師会においては,平成14年7月27日午後5時から平成14年臨時総会が開催され,当時の会長である原告X1は,本件不正請求事件に関する発言をした(その内容は後述する)。 (3) 放送内容被告の甲府放送局は,NHK総合テレビジョンの山梨県内ニュースにおいて,平成15年6月5日午後零時15分ころから午後8時48分ころまでの間,4回にわたり,別紙放送目録(省略)のとおり,上記県歯科医師会総会における発言に関わる内容を,山梨県内に放送した(以下「本件放送」という。)。 (4) 県歯科医師会理事会上記(3)の本件放送が行われたのと同じ日,別紙放送目録放送部分1(以下単に「放送部分1」などという。)が報じられた後である午後5時から,県歯科医師会平成15年度第3回定例理事会が開催され,新会長に就任したB会長が,会長挨拶において,本件不正請求事件に対する前執行部の対応に関する発言をした(その内容は後述する)。 2 争点(1) 本件放送の対象者の特定性(2) 本件放送の主要な伝達事実及びこれにより原告らの社会的評価が低下したか否か。 (3) 本件放送内容の公益性・公益目的・真実性( 2 争点(1) 本件放送の対象者の特定性(2) 本件放送の主要な伝達事実及びこれにより原告らの社会的評価が低下したか否か。 (3) 本件放送内容の公益性・公益目的・真実性(4) 真実と信じるにつき相当な理由 3 当事者の主張(1) 本件放送の対象者の特定性ア原告らの主張被告は,本件放送により,県歯科医師会の平成14年当時の幹部が,間接的ないし暗黙に,会員歯科医師の診療報酬の不正請求について隠ぺいを図っていたという事実をテレビ放送を通じて公然と摘示するものであり,一般視聴者が上記放送を一見した場合に,当時の県歯科医師会の会長あるいは医療保険担当理事の職にあった原告らに対して極めて否定的な印象を抱くことは明らかであり,本件報道は原告らの社会的評価ないし信用を低下させるものである。 イ被告の主張(ア) 本件放送においては一貫して「当時の幹部」ないしは「歯科医師会の幹部」とのみ伝えており,氏名はもちろん,役職名すら述べていない。被告は,原告X1,原告X2という一個人についての報道をする意図ではなく,歯科医師会という公益団体の幹部が不適切な発言をしたという事実をこそ報道する意図であったことの現れでもある。 (イ) テレビジョン放送によってある者の社会的評価が低下したか否かについては,一般の視聴者の普通の注意と視聴方法を基準にして判断すべきところ(テレビジョン放送による報道に関する最高裁平成15年10月16日第一小法廷判決),一般の視聴者は「当時の幹部」ないしは「歯科医師会の幹部」との表現のみをもってしては,それが「会長」を指しているとは特定し得ず,ましてや,「X1」のことを指しているとは特定し得ない。したがって,そもそも本件放送においては,原告X1はその対象として特 部」との表現のみをもってしては,それが「会長」を指しているとは特定し得ず,ましてや,「X1」のことを指しているとは特定し得ない。したがって,そもそも本件放送においては,原告X1はその対象として特定されておらず,本件放送によってその社会的評価が低下したこともないというべきである。 実際に県歯科医師会平成14年臨時総会に参加していた者であれば,本件放送を視聴して,「当時の幹部」が原告X1のことであることは認識できるかもしれない。しかしながら,そのような者はすでに原告X1の発言内容を知っているのであるから,その段階で当該発言についての評価をそれぞれ内心で行っているのであって,仮に評価を下げることがあるとすれば,その時点で下げているのであるから,本件放送を視聴したことによって新たに原告X1に対する内心の評価を新たに下げるようなことはない。 (ウ) 原告X2については,そもそも県歯科医師会平成14年臨時総会で何らの発言をしておらず,本件放送でも一切触れられていない。一般の視聴者が本件放送を視聴して,原告X2に対する社会的評価を下げるなどということは到底想定し得ない。このことは,県歯科医師会平成14年臨時総会に出席した者についても同様である。 (エ) 県歯科医師会平成14年臨時総会に出席した者であれば,「当時の幹部」が原告X1だと認識でき,原告X1に対する内心の評価を低下させ,間接的に当時の理事会を構成していた理事であった原告X2についても社会的評価を低下させるということがあるかもしれないが,それは,県歯科医師会平成14年臨時総会の際に原告X1の発言を聞いた時点のことであり,本件放送を視聴したことによってそれとは別に新たに評価を低下させる訳ではない。 (2) 本件放送の主要な伝達事実及びこれにより原告らの社会的評価が低下したか否 1の発言を聞いた時点のことであり,本件放送を視聴したことによってそれとは別に新たに評価を低下させる訳ではない。 (2) 本件放送の主要な伝達事実及びこれにより原告らの社会的評価が低下したか否か。 ア原告らの主張(ア) テレビ放送は,映像及び音声を情報伝達手段とするもので,その情報の受け手である視聴者は流された情報を瞬時に捉えてその内容を判断するものであるから,テレビ放送の内容が何人かの名誉ないし信用を毀損するものであるか否かについては,一般視聴者がその放送を一見した場合に通常受けるであろう印象を基準として,放送において取り上げられた者の社会的評価がその放送によって低下するかどうかを判断すべきである。本件放送は,アナウンサーの発言内容として,①当時の幹部が歯科医師の不正請求について隠ぺいを図っていたことを示唆する発言を県歯科医師会の臨時総会の席上でしたという事実(放送部分1ないし4)とともに,②県歯科医師会の会員から当時の幹部の対応がモラルに反するとの批判の声が上がっているという事実(放送部分1),③上記隠ぺい疑惑問題について本件放送の当時県歯科医師会の理事会が開催された事実(放送部分2ないし4),④同理事会で現会長が「不正請求について隠ぺいしようなどと考えるのは全くの筋違いであって,あってはならないことだ。」という意味の遺憾の意を表明した事実(放送部分2ないし4)を併せて指摘した上,放送に当たって,放送部分2ないし4においては「歯科医師不正請求隠ぺい問題」というスーパーを表示しながらトップニュースとしてニュースの冒頭報道する扱いをするなどしており,原告らの社会的評価を低下させる内容となっている。 本件放送における主要な伝達事実は,県歯科医師会の当時の幹部が平成14年7月の総会において,本件不正請求 道する扱いをするなどしており,原告らの社会的評価を低下させる内容となっている。 本件放送における主要な伝達事実は,県歯科医師会の当時の幹部が平成14年7月の総会において,本件不正請求事件について隠ぺいを図っていたことを示唆する発言をしたという事実,会長となったB会長が理事会において不正請求の隠ぺいに対し遺憾の意を表明したという事実にとどまらず,平成14年当時の県歯科医師会の幹部である原告らが,A歯科医師の診療報酬の不正請求事件について山梨社会保険事務局等の行政に隠ぺいしたという事実についても及ぶ。そして,隠ぺいしたという事実は,事実の摘示であり,評価ではない。 本件放送における「隠ぺいを図った疑いがもたれている問題」といったアナウンサーの発言や,「隠ぺい問題」「隠ぺい疑惑」というテロップに加えて,本件不正請求事件について理事会が開催されたことを指摘し,B会長が,隠ぺいについて「全く筋違いで,あってはならないこと」と強く非難する意を表明した事実を放送していることや,山梨県内のトップニュースとして重大性を印象づけている番組の構成等に照らすと,一般の視聴者を基準に判断すると,本件放送は,原告らが本件不正請求事件を隠ぺいしたことをことさら印象づける放送内容となっている。 (イ) 各放送部分について具体的にいうと,放送部分1は,当時の県歯科医師会の幹部が本件不正請求事件について,隠ぺいを示唆する発言を行ったという伝達事実が主たる内容であり,その表現方法によれば,一般視聴者には,原告らが本件不正請求事件について行政に発覚しないように隠ぺいを図っていたという内容の報道をしたものとみられる。 放送部分2ないし4は,同一内容の放送であるから,放送部分2をみればよいが,同部分は,B会長が定例理事会にお 政に発覚しないように隠ぺいを図っていたという内容の報道をしたものとみられる。 放送部分2ないし4は,同一内容の放送であるから,放送部分2をみればよいが,同部分は,B会長が定例理事会において,当時の幹部がA歯科医師の不正請求について隠ぺいしたことに対して遺憾の意を表明したという事実が幹になっている。組織の理事会において,組織の前の最高責任者の不祥事である隠ぺいに対して,組織の最高責任者である現会長が遺憾の意を表明したからこそ,当時の幹部が隠ぺいしたという事実が印象付けられ,本件不正請求事件について当時の幹部が隠ぺいしたという内容が伝達事実の主たる部分となっている。また,上記のとおり,アナウンサーの発言,テロップ,ニュース番組の構成等を合わせれば,放送部分2は,一般の視聴者を基準に判断すれば,当時の県歯科医師会の幹部であった原告らが本件不正請求事件を隠ぺいしたことがことさらに印象付けられている。 したがって,本件放送部分2の主要な伝達事実は,原告X1が臨時総会において本件不正請求事件を隠ぺいしたことを示唆したという事実,B会長が理事会において不正請求の隠ぺいに対し遺憾の意を表明したという事実にとどまらず,原告らが本件不正請求事件を隠ぺいしたという事実である。 (ウ) 仮に,原告らが本件不正請求事件に関して行政に隠ぺいをしたという事実が主要な伝達事実でないとしても,原告らが本件不正請求事件を一般やマスコミに隠ぺいしたという事実が主要な伝達事実である。 イ被告の主張(ア) 本件放送内容の主要な伝達事実は以下のとおりである。 (①ないし③は,放送部分1についてのもの,④ないし⑥は放送部分2ないし放送部分4についてのものである。)① 本件不正請求事件が報道され発覚した後,「この問題をめぐ 下のとおりである。 (①ないし③は,放送部分1についてのもの,④ないし⑥は放送部分2ないし放送部分4についてのものである。)① 本件不正請求事件が報道され発覚した後,「この問題をめぐって問題の発覚直後に開かれた県歯科医師会の臨時総会で,当時の幹部が不正請求の発覚について,『知られないようにするのがつとめだと認識し,社会保険事務局など行政に何回となく対応したので未然に防げたと思っていたのに残念だ』と述べ,問題の隠ぺいを図っていたことを示唆する発言をしていた」事実② このような幹部の発言に対し,「歯科医師会の会員からは,『本来不正請求をなくすことに力を入れるべきでモラルに反する』と批判の声が上がってい」る事実③ 「山梨社会保険事務局は,時間が経過していて確認できないとしてい」る事実④ 平成14年「7月甲府市の歯科医師が架空の診療報酬請求を行っていた事が発覚し,当時の県歯科医師会の幹部が臨時総会の席上『不正がもれないように行政に対応したのに残念だ』などと隠ぺいを図ったことを示唆する発言をしていた」事実⑤ 放送当日の午後開かれた県歯科医師会の理事会において,「B会長が,不正請求については本来事実を深く受け止めて再発防止を徹底するのが当然であるのにそれを隠ぺいしようなどと考えるのは全くの筋違いで,あってはならないことだ,と遺憾の意を表明し」た事実⑥ B会長が同席上において「再発防止の取り組みを進めていく方針を示し」た 事実 これら以外の部分は,これらの主たる伝達事実を視聴者に伝えるための補足的な部分に過ぎないので,上記①ないし⑥の事実の摘示によって名誉毀損が成立するか否かが検討されるべきである。 なお,本件放送では,キャスターの読み上げるニュース原稿以外に映像やテロップ等の画像も 足的な部分に過ぎないので,上記①ないし⑥の事実の摘示によって名誉毀損が成立するか否かが検討されるべきである。 なお,本件放送では,キャスターの読み上げるニュース原稿以外に映像やテロップ等の画像も併せて放送されており,上記最高裁判決の基準に照らせばこれらも加味して一般人の受ける印象を検討すべきである。ただ,本件放送で用いられている映像は県歯科医師会館の外観のみであり,テロップもキャスターが読み上げる原稿の内容の抜粋ないしは要約に過ぎず,内容の確認ないしはタイトルとして用いられているに過ぎず,視聴者に付加的に与える印象はないので,映像やテロップそれ自体が単独で主要な伝達事実とはならない。 (イ) 上記①及び④については,その発言の内容が社会通念上県歯科医師会の発言としては不適切ともいい得るので,その範囲では原告らの社会的評価が低下する可能性がないとはいえない。 しかし,上記部分のうち③は,原告らの社会的評価とは無関係であり,この表現により原告らの社会的評価が低下するということはそもそもあり得ない。 また,②は,①の事実について第三者が批判的な意見を述べた事実であるところ,第三者が批判的な意見を述べたという事実のみから直接原告らの社会的評価が低下するということは理論的にあり得ず,仮にこの事実の摘示によって原告らの社会的評価が低下することがあるとすれば,この②の事実の摘示によって,①の事実の存在が推認されるという限度でしかない。したがって,原告らの名誉を毀損するかという観点からは,本件では②の事実の摘示を独立して検討する必要はなく,①に含めて考えれば足りる。⑤及び⑥についても同様のことがいえるので,④に含めて考えれば足りる。 結局,本件では,①及び④の事実に関し,その摘示により原告らの社会的評価が低下するか否か,公共の利害 ①に含めて考えれば足りる。⑤及び⑥についても同様のことがいえるので,④に含めて考えれば足りる。 結局,本件では,①及び④の事実に関し,その摘示により原告らの社会的評価が低下するか否か,公共の利害に関する事実か,専ら公益を図る目的のための摘示であったか,真実であったか,(真実でない場合)真実相当性があるか,を検討すれば足りるというべきである。 (3) 本件放送内容の公益性・公益目的・真実性ア被告の主張(ア) 前提としての公益性と公益目的そもそも,A歯科医師による本件不正請求事件にかかわる事実は公共の利害に関する事実である。そして,このような不正請求事件が発生した際に,当該歯科医師が所属する歯科医師会の幹部らがどのような対応をするのかといった事実は公共の利害に関する事実というべきである。 被告が本件放送を行ったのは,県歯科医師会の幹部らが会員の不正請求を国民の目に触れないように画策して行政に働きかけをしていたという国民の重大な関心事を憲法上保障された知る権利を有する国民に知らせ,もってマスメディアとしての責務を果たそうとしたためであり,もっぱら公益を図る目的で行われたことは明らかである。 (イ) 発言がなされたことの真実性表現の自由及び報道の自由の憲法上の優越的地位に鑑み,報道機関である被告が立証責任を負う真実性の範囲が真に必要な限度を超えて過度に広範に認められることがあってはならない。公人が公的な場であるいは公人として発言したような場合には,「当該公人がこういった内容の発言を行った」事実ないし「当該公人がオフィシャルにこういった内容のコメントを発した」事実そのものが国民の関心事であり,報道する価値を有しているというべきである。報道機関が負う義務は,どのような発言が を行った」事実ないし「当該公人がオフィシャルにこういった内容のコメントを発した」事実そのものが国民の関心事であり,報道する価値を有しているというべきである。報道機関が負う義務は,どのような発言がなされたのかを正しく伝えることに尽きるのであって,当該発言内容たる事実が真に事実に合致しているかについて確認すべき義務を負っていない。逆に,それが正しいか否かにかかわらず,発言者が発言した内容をできる限り正確に伝えることこそ重要であるというべきである。このような観点から検討する。 a 主要な伝達事実①について県歯科医師会平成14年臨時総会議事録(乙3)によると,原告X1は平成14年7月27日に山梨県歯科医師会館3階大ホールにおいて行われた臨時総会において,「これはやはり業界として未然にマスコミにも,一般の人たちにも知られないように対応するのが,私たちの務めだというふうに認識しまして,一生懸命X2先生を中心に,行政と,また県行政また保険事務所等の対応をして未然に防げたと思っていた」(3頁6行目),「それを未然に防げたのに,どうして出てきたか。本当に残念でなりません。とくにX2先生は本当に自分の診療時間を惜しんで,何回となく行政との対応をし,またその当事者とも対応してきたのです」(3頁16行目)などと発言している。これらの発言と主要な伝達事実①を比較してみると,主要な伝達事実①はこの議事録と同内容の事実を伝えているにすぎないことが一目瞭然である。 b 主要な伝達事実④について主要な伝達事実④は,乙3の議事録と同内容の事実を伝えているにすぎないことが明らかである。 c 主要な伝達事実⑤及び⑥について主要な伝達事実⑤及び⑥はそれ自体原告らの社会的評価を低下させるものではない以上,その真実性は,本件放送が原告らの名誉を毀損 いるにすぎないことが明らかである。 c 主要な伝達事実⑤及び⑥について主要な伝達事実⑤及び⑥はそれ自体原告らの社会的評価を低下させるものではない以上,その真実性は,本件放送が原告らの名誉を毀損する違法なものであるかどうかを検討する上で本来問題とならないものである。 もっとも,県歯科医師会平成15年度第3回定例理事会議事録(乙4)によると,B会長は,平成15年6月5日に山梨県歯科医師会第3会議室において行われた定例理事会において,「県歯会長としての私のコメントは,実は昨年の臨時総会の席上で発言したことと全く同じでして,歯科医師の不正請求という事実について,非常に残念なことである。会長としてそれを重く受け止め,会員に対してそのような不正請求が起きないよう厳しく指導・徹底するのが当然の姿勢だと思います。それが漏れないようにという目的をもって行政などに対応したとすれば筋違いです。今後は診療報酬の不正請求など,医師の倫理に背くようなことが起きないよう会員に徹底したいと思います」と発言していることが認められる。当該発言と,主要な伝達事実⑤及び⑥の事実を比較してみると,⑤及び⑥の事実はいずれもこの議事録と同一の事実を伝えていることが一目瞭然である。したがって,⑤及び⑥の事実はいずれも真実である。 なお,原告らは,かかるB会長の発言は遺憾の意を表明したものではない旨主張しているが,「遺憾」とは,「思っているようにならなくて心残りであること。残念な,そのさま。」(大辞林)であるところ,B会長は「非常に残念なこと」「筋違い」「今後は(中略)会員に徹底したい」などと繰り返し述べており,遺憾の意を表していることは文言上明らかである。 県歯科医師会平成15年度第3回定例理事会議事録(乙4)におけるB会長の発言部分は録音反訳の方法によって作成 員に徹底したい」などと繰り返し述べており,遺憾の意を表していることは文言上明らかである。 県歯科医師会平成15年度第3回定例理事会議事録(乙4)におけるB会長の発言部分は録音反訳の方法によって作成されていないが,そもそも県歯科医師会において理事会議事録を録音反訳の方法で作成しなくてはならないとの規則上の定めはなく,当該議事録は同会の規則上適式に作成されている(乙5の1ないし3)。適式に作成されたものである以上,業務の過程で作成された文書としての高い信用性と証明力を有していることに変わりはない。 (ウ) 原告らの主張に対する反論上記のとおり,報道機関である被告が真実性の立証を求められる事実は,主要な伝達事実①,④について,そのような発言がなされた事実のみであり,それを超えて,「発言の内容となった事実」,すなわち,原告らの主張するところの「原告らが隠ぺいを行ったという事実」までが主要な伝達事実であるとしてその真実性の立証を求められることはない。しかも,本件では,当該発言の主体である原告X1が報道主体である被告に対し自らの発言内容たる事実について真実性の立証を求めるということになるが,これは不当である。 ただし,念のため,原告らが隠ぺいを行ったという事実の真実性についても以下検討する。 原告らは,本件不正請求事件が発生から平成14年7月18日に至るまでマスコミや国民の目に触れずにいたことについて,マスコミや国民の目に触れないことを意図しつつ,少なくともA歯科医師に対して自主的な廃業を促したり,県行政や社会保険事務局に対応したりといった形で積極的に,また,その後も本件不正請求事件に関する情報が県歯科医師会から外部に漏れないようにすることで消極的に,関与していることは明らかである。これらの事実をもって社会通念上「隠ぺい」と評価す 形で積極的に,また,その後も本件不正請求事件に関する情報が県歯科医師会から外部に漏れないようにすることで消極的に,関与していることは明らかである。これらの事実をもって社会通念上「隠ぺい」と評価することは可能である。 原告らは,本件放送において用いられている「発覚」という言葉に関し,監督官庁に対して発覚したのか,県歯科医師会に対して発覚したのか,あるいは一般市民に対して発覚したのかの区別がつかないと主張し,また,本件放送は,平成14年当時の県歯科医師会の幹部が,本件不正請求事件について,行政に発覚しないように隠ぺいを図っていたという内容の報道をしているなどと主張する。しかし,本件放送において,「発覚」が,「行政に対する発覚」という意味ではなく,「公になった」すなわち「報道機関を含む国民一般の知るところとなった」という意味で使用されていることは明らかである。 原告らはさらに,隠ぺいと評価しうる事実の存在から離れて,隠ぺいの有無が独立した立証の対象であるかのような主張をしている。しかし,「隠ぺい」という言葉から通常の一般人がイメージする行為は千差万別であり,一定の事象について,「隠ぺいと評するのが正しい」「隠ぺいと評するのは正しくない」などということを証拠によって証明することは不可能である。したがって,仮に本件において原告らの主張するように発言者の発言の内容たる事実についてまでもが真実性の立証の範囲だとしても,隠ぺいという評価が正当かどうかは立証の範囲ではない。そして,仮に本件放送が,隠ぺいと評しうる一定の行為を原告らが行った事実を暗に摘示しているとしても,かかる摘示は事実に基づくものであり,かかる事実を前提とする隠ぺいとの評価は「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したもの」(最高裁平成9年9月9日第3小法廷判決民 示しているとしても,かかる摘示は事実に基づくものであり,かかる事実を前提とする隠ぺいとの評価は「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したもの」(最高裁平成9年9月9日第3小法廷判決民集51巻8号3804頁など)とは到底いえないから,名誉毀損の不法行為が成立することはない。 イ原告らの主張(ア) 本件放送の主たる伝達事実は,原告らが本件不正請求事件を行政に隠ぺいした事実であるところ,原告らは行政に隠ぺいしたことはなく,真実ではない。 (イ) 主要な伝達事実が原告らが本件不正請求事件を一般やマスコミに隠ぺいしたということであった場合,確かに,原告らは,本件不正請求事件を知った後,一般やマスコミに対してこれを公表しなかったが,原告らは,不正請求額の総額,不正請求の方法等その全貌を知り得ない上,行政当局が公表できない事実であり,A歯科医師のプライバシーの保護,不正請求金額を返還して被害が回復していること等から,原告らが公表をすべきでないと判断して公表をしなかったものであり,かかる行為は隠ぺいとはいえない。 (ウ) 被告は,その主張する主要な伝達事実の内,検討すべきは,①及び④のみであるというが,②,⑤,⑥も真実性が問題となるべきである。 そして,⑤,⑥については放送部分2を検討しても,真実性が証明されていないというべきである。すなわち,放送部分2で放送された,理事会議事録中のB会長挨拶部分はねつ造されたものであり,その内容からも,B会長が当時の幹部が隠ぺいしたことについて理事会において遺憾の意を表明した事実及び再発防止の取り組みを進めていく方針を示した事実は何ら証明されていない。B会長が「遺憾の意を表明し」,「再発防止の取り組みを進めていく方針を示した」という報道は,虚偽である。 意を表明した事実及び再発防止の取り組みを進めていく方針を示した事実は何ら証明されていない。B会長が「遺憾の意を表明し」,「再発防止の取り組みを進めていく方針を示した」という報道は,虚偽である。 県歯科医師会平成15年定例理事会議事録(乙4)の内容を検討しても,前半部分は,B会長が被告の記者であるC記者の取材にどのように対応したかということを詳しく説明しているだけであり,なぜニュースになったのかを説明しているに尽きる。また,後半部分は,ニュースの責任は自分ではなく,原告X1が会長当時,言わなくてもいいことまで言ってしまったからであるとし,さらに,今後の県歯科医師会の方針としても,「この件に関して会員やマスコミに対して文書をもって応じる」ことはせず,コメントをしない方針,いわば,本件不正請求事件に関することはすべて隠ぺいするとも受け取れる方針を示したものというべきである。 つまり,B会長発言は,隠ぺい工作ではなく,不正請求が遺憾であり,不正請求の再発防止の取り組みを進める方針を明らかにしたにすぎない。 したがって,被告の主張する⑤,⑥の伝達事実についても真実ではない。 (4) 本件放送内容を信じるにつき相当な理由ア被告の主張被告は,本件放送に当たって,県歯科医師会平成14年臨時総会議事録の記載を確認し,その内容に合致する放送を行ったのである。県歯科医師会の総会議事録は医師会の通常の業務の過程において作成されるものであり,仮に上記主要な伝達事実①及び④が真実でなかったとしても,これを被告が真実と信じるにつき相当の理由があり,故意ないしは責任が阻却されるというべきである。 イ原告らの主張本件放送内容の主要な伝達事実は真実でないし,被告は真実であると信じた相当の理由を立 と信じるにつき相当の理由があり,故意ないしは責任が阻却されるというべきである。 イ原告らの主張本件放送内容の主要な伝達事実は真実でないし,被告は真実であると信じた相当の理由を立証できていない。 第3 当裁判所の判断 1 上記争いのない事実に証拠(甲1,4,7ないし9,11,乙1,3,4,5の1ないし3,乙7の1ないし4,乙8,9,10の1ないし4及び原告X2本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) 保険医療機関(厚生労働大臣の指定を受けた病院又は診療所)及び保険医(保険医療機関において保険診療に従事する医師若しくは歯科医師であって厚生労働大臣の登録を受けた者)については,保険診療の質的向上及び適正化を図ることを目的として,次のような規制がされている。すなわち,保険医療機関は療養の給付に関し,保険医は保険診療に関し,厚生労働大臣又は都道府県知事の指導を受けなければならず,さらに,必要があると認められるときは,的確に事実関係を把握し,公正かつ適切な措置を採ることを主眼として,厚生労働大臣又は都道府県知事による監査が行われる(健康保険法73条,78条,国民健康保険法41条,45条の2,老人保健法27条,31条,船員保険法28条ノ5)。監査の結果,診療報酬の請求について不正があったと認められたときは,厚生労働大臣は,保険医療機関の指定の取消し,保険医の登録の取消しをすることができる(健康保険法80条,81条)ほか,戒告,注意といった処分がなされることもある。取消処分がなされた場合には,その内容が官報に公示され,インターネットの厚生労働省のホームページで公開される。 本件不正請求事件に関しては,A歯科医師に対し,山梨社会保険事務局と山梨県福祉保健部による個別指導と監査が平成12年7月から 公示され,インターネットの厚生労働省のホームページで公開される。 本件不正請求事件に関しては,A歯科医師に対し,山梨社会保険事務局と山梨県福祉保健部による個別指導と監査が平成12年7月から平成13年1月にかけて実施された。山梨社会保険事務局は,健康保険法,国民健康保険法等の規定に基づき,個別指導,監査への学識経験者の立会いが必要であると判断し,県歯科医師会に対し立会者の派遣を要請した。この要請により,原告らは本件不正請求事件のことを知り,原告X1は,原告X2と協議の上,県歯科医師会として,医療保険問題に精通している原告X2を立会者として派遣することとした。 その際,原告らは,A歯科医師に対して取消処分等の厳しい行政上の措置がとられることになれば,その具体的内容が厚生労働省によって公表され,その結果,本件不正請求事件がマスコミによって報道されて国民の知るところとなり,歯科医師全体の社会的信頼を損なうおそれがあるほか,県歯科医師会に対する悪いイメージが広がるおそれが大きいことを懸念していた。 原告X2は,平成12年7月12日に行われた個別指導,同年11月29日に行われた1回目の監査,平成13年1月10日に行われた2回目の監査に立ち会った。 原告X2は,その過程で,A歯科医師及びその家族に直接会い,歯科医師を自主的に廃業することを勧めた。 監査の結果は,平成13年3月8日付けで県歯科医師会に通知された。 A歯科医師は,指摘のあった診療報酬の不正請求分についてこれを認めて返還する意思を示したほか,歯科医師を廃業することとし,保険医療機関の指定の辞退をするとともに保険医の登録の抹消を求めた。そのため,A歯科医師に対する取消処分その他の行政上の処置がとられることはなく,当然,それが公表されることもなかったので,平 とし,保険医療機関の指定の辞退をするとともに保険医の登録の抹消を求めた。そのため,A歯科医師に対する取消処分その他の行政上の処置がとられることはなく,当然,それが公表されることもなかったので,平成13年の時点においては,本件不正請求事件が報道されることもなかった。 (2) 本件不正請求事件は,平成14年7月18日の被告テレビニュースや,新聞報道などによって報じられ,初めて明るみに出た。 原告X1は,平成14年7月27日午後5時から開催された県歯科医師会の平成14年臨時総会の冒頭あいさつにおいて,以下のとおりの発言をした(乙3)。 記「今月の18日にNHKのニュースで,2年も前に終わったことが報道されました。」「私たち執行部が始まりまして,同じような事件が2つございました。これはやはり業界として未然にマスコミにも,一般の人たちにも知られないように対応するのが,私たちの務めだというふうに認識しまして,一生懸命X2先生を中心に,行政と,また県行政また保険事務所等の対応をして未然に防げたと思っていた。しかも,本人もそれなりの犠牲を払って,社会的制裁を受けているということです。それがどうしてああいう形で出たのか。私は一般の人たちから出たとは思えません。多分会員の中のだれかから漏れたのでは,そういうふうに私は思えてなりません。これはやはりゆゆしき問題だと思います。どうして,2年も前のことが今ごろになって出るのか。本当に残念だと思います。」「このことが,私たちの業界にとってプラスになることは一つもありません。全部マイナスです。全員にとってマイナスですし,日本の歯科医療界にとってもマイナスのことです。それは一個人のマイナスということで仕方のないことですけれども,それを未然に防げたのに,どうして ません。全部マイナスです。全員にとってマイナスですし,日本の歯科医療界にとってもマイナスのことです。それは一個人のマイナスということで仕方のないことですけれども,それを未然に防げたのに,どうして出てきたか。本当に残念でなりません。とくにX2先生は本当に自分の診療時間を惜しんで,何回となく行政との対応をし,またその当事者とも対応してきたのです。それなのにこういうことが出たということは,本当に残念な思いでございます。ぜひ,今後とも会員の中の先生方,また自分たちもそういう会の中の危惧を,おまけの第三者に話すことがないように,団体としての団結を図っていただきたい。」(3) 被告は,甲府放送局のNHK総合テレビジョンの山梨県内ニュースにおいて,平成15年6月5日,昼のニュースとして放送部分1を,夕方のニュースとして放送部分2を報じ,その後夕方と夜の2回にわたって,放送部分2と同じニュースを報じた(放送部分3,4)。 放送部分1においては,平成14年7月に甲府市の歯科医師が架空の診療報酬請求をしていたことが発覚したことに関連して,本件不正請求事件がマスコミに発覚した直後に開かれた県歯科医師会の臨時総会において,「当時の幹部」が「不正請求の発覚について,知られないようにするのがつとめだと認識し,社会保険事務局など行政に何回となく対応したので未然に防げたと思っていたのに残念だ」と発言した内容に触れて,「問題の隠ぺいを図っていたことを示唆する発言をしていた」として伝え,さらに,「当時の幹部」の発言が「事実自体をもみ消そうとしたわけではなく,業界の責任としてどうすれば事実を公にしないで処分を軽くできるかを考え,社会保険事務局に相談して対応を取った」というものであると付加している。さらに,当該幹部の発言に対し,県歯科医師会の会員から本来不正 責任としてどうすれば事実を公にしないで処分を軽くできるかを考え,社会保険事務局に相談して対応を取った」というものであると付加している。さらに,当該幹部の発言に対し,県歯科医師会の会員から本来不正請求をなくすことに力を入れるべきでモラルに反するとの批判が上がっていること,山梨社会保険事務局は,時間が経過していて確認ができないことを伝えるものである。 放送部分2においては,本件不正請求事件が発覚したことについて,当時の県歯科医師会幹部が臨時総会の席上で,「不正請求が知られないように行政に対応したのに残念だ」として,「問題の隠ぺいを図ったことを示唆する発言をしていたことが分か」ったと報じた上で,本件放送当日開催された理事会において,県歯科医師会のB会長が「不正請求については本来事実を深く受け止めて再発防止を徹底するのが当然であるのにそれを隠ぺいしようとするなどと考えるのは全くの筋違いで,あってはならないこと」と発言し,遺憾の意を表明したこと,その上で,「不正請求など医師の倫理に背くようなことが起きないよう徹底したいと再発防止の取り組みを進めていく方針を示」したことを報じるものである。 本件放送においては,別紙放送目録「放送(テロップ)」記載のとおり,アナウンサーによる発言と同時に,画面上にテロップが流されていた。 (4) 本件放送があった日である平成15年6月5日の午後5時から,県歯科医師会の平成15年度第3回定例理事会が開催された。その冒頭における会長挨拶の中で,新会長に就任したB会長は,本件不正請求事件に関し,概ね以下のとおりの発言をした(乙4。ただし,かっこ内は加入。)。 記同日午前11時過ぎころ,C記者(被告甲府放送局の記者Cのこと。以下同じ。)から電話取材を受けた。そ の発言をした(乙4。ただし,かっこ内は加入。)。 記同日午前11時過ぎころ,C記者(被告甲府放送局の記者Cのこと。以下同じ。)から電話取材を受けた。その内容は,平成14年7月の臨時総会でX1会長(原告X1のこと。以下同じ。)が不正請求を隠ぺいしたかの様な発言をしたことが取材の中で判明したことから,X1会長に電話で聞いたところ,不正請求があった事実を認め,「その事実をなかったようにもみ消しをした訳ではなく,会のことを考えて社会的に明らかにならないように行政等に対応した」というコメントがあったので,これに関して,現会長として,本件不正請求事件と県歯科医師会の対応についてコメントをもらいたいという趣旨のものであった。私(B会長)は,X1会長が本件不正請求事件が事実であったことを認め,行政等に対応したことを認めたことをC記者に確認した上で,本件不正請求事件に関して「歯科医師の不正請求という事実について,非常に残念なことである。会長としてそれを重く受け止め,会員に対してそのような不正請求が起きないよう厳しく指導・徹底するのが当然の姿勢だと思います。それが漏れないようにという目的をもって行政などに対応したとすれば筋違いです。今後は診療報酬の不正請求など,医師の倫理に背くようなことが起きないよう会員に徹底したいと思います。」と回答し,C記者に対し,同日5時から開催される理事会の席で回答したのと全く同じ内容のことを会長として申し述べると返答した。X1会長は,不正請求の事実,また不正請求のあったことが公表されないように県や社会保険事務局に相談したことも認めてしまったが,「マスコミにとって,また社会通念上このような事実は,隠ぺい工作と受け取られても仕方がない。」(5) 本件放送の基礎となった取材を行った うに県や社会保険事務局に相談したことも認めてしまったが,「マスコミにとって,また社会通念上このような事実は,隠ぺい工作と受け取られても仕方がない。」(5) 本件放送の基礎となった取材を行ったのは被告甲府放送局のC記者であり,同記者は,本件放送の前日である平成15年6月4日に原告X1,原告X2に電話取材を行い,本件放送当日昼にはB会長に電話取材を行っていた。 2 本件放送による原告らの特定について(争点(1))(1) テレビジョン放送によりある者の社会的評価が低下したか否かについては,一般の視聴者の普通の注意と視聴方法を基準にして判断すべきであるところ,被告の主張するとおり,本件放送では,県歯科医師会の「当時の幹部」の発言としてその内容を報じるものであり,具体的な氏名を明示していないし,会長職を含め役職名を具体的に摘示することもしていない。 (2) しかしながら,本件放送を普通に視聴すれば,山梨県の歯科医師会という限られた地域における職業集団に属する者であり,かつ,平成14年当時その幹部を務めていた者が,県歯科医師会の総会の席という限られた場面で述べた発言内容や本件不正請求事件に対して取った対応を取り上げた報道内容であることは明らかである。また,本件放送が,山梨県全域に昼,夕方のトップニュースとして放映されたものであることに照らせば,「当時の幹部」として報じられた当事者が,平成14年7月当時の会長である原告X1や医療保険担当理事である原告X2であることを,県歯科医師会の会員や地元の住民などを含む一般視聴者が推知することは十分に可能であるといわざるを得ない。そして,本件放送の内容が,本件不正請求事件に関する県歯科医師会の当時の幹部の発言やその対応を問題視するものであることをみれば,本件放送が原告らに対する否定的な印象を与え であるといわざるを得ない。そして,本件放送の内容が,本件不正請求事件に関する県歯科医師会の当時の幹部の発言やその対応を問題視するものであることをみれば,本件放送が原告らに対する否定的な印象を与え得るものであることも否定できない。 したがって,本件放送が「当時の幹部」としか述べてないことをもって,その対象者が原告らであることが特定されていないとはいえず,むしろ特定性に欠けるところはないといえるから,本件放送によっておよそ原告らに対する名誉毀損が成立しないということはできない。 (3) そこで,以下,本件放送の主要な伝達事実を認定し,実際に原告らに対する名誉毀損が成立するかにつき検討を加えることとする。 3 本件放送の主要な伝達事実について(争点(2))(1) 放送部分1について放送部分1の内容は上記のとおりであるところ,一般視聴者においてアナウンサーの発言内容,テロップの表示等を合わせて視聴した場合に,①平成14年7月に本件不正請求事件が発覚した後,その直後に開かれた県歯科医師会の臨時総会で,当時の幹部が不正請求の発覚について,「知られないようにするのがつとめだと認識し,社会保険事務局など行政に何回となく対応したので未然に防げたと思っていたのに残念だ」と述べたという事実,②当時の幹部の発言に対し,県歯科医師会の会員から,本来不正請求をなくすことに力をいれるべきでモラルに反するとの批判の声が上がっている事実,③山梨社会保険事務局は,時間が経過していて確認できないとしている事実が,それぞれ主要な事実として伝達されていることが認められる。 (2) 放送部分2について放送部分2においては,①本件不正請求事件が発覚した当時の県歯科医師会幹部が,「不正がもれないように行政に対応したのに残念だ」と述べた事実,②放 が認められる。 (2) 放送部分2について放送部分2においては,①本件不正請求事件が発覚した当時の県歯科医師会幹部が,「不正がもれないように行政に対応したのに残念だ」と述べた事実,②放送当日の午後に開かれた県歯科医師会定例理事会において,新会長として就任したB会長が,「不正請求については本来事実を深く受け止めて再発防止を徹底するのが当然であるのにそれを隠ぺいしようなどと考えるのは全くの筋違いで,あってはならないことだ」として遺憾の意を表明した事実,③B会長が同席上において,今後診療報酬の不正請求など医師の倫理に背くようなことがおきないよう徹底したいと再発防止の取り組みを進める方針を示した事実が,それぞれ主要な事実として伝達されていることが認められる。 (3) 「隠ぺい」についてアさらに,本件放送においては,上記放送部分1①及び放送部分2①で,当時の幹部の発言内容に加えて,「問題の隠ぺいを図っていたことを示唆する発言をしていた」と報じていることや,放送部分1の②において,B会長が不正請求について「隠ぺいしようと考えるのは全く筋違い」などと発言したと報じていることから,「当時の幹部」の発言内容に加えて,「当時の幹部により本件不正請求事件の隠ぺいが行われた」という事実が伝達事実となっているか否かが問題となる。この点,原告らは,原告らが本件不正請求事件について山梨社会保険事務局等の行政に対する発覚を隠ぺいをした事実が主要な伝達事実となっている,すなわち,本件放送において,「隠ぺい」とは,行政に対して不正が明るみにでないように働きかけたという意味であると主張するのに対し,被告は,そもそも「問題の隠ぺいを図っていたことを示唆する発言をしていた」ことが主要な伝達事実であり,仮に発言の内容が問題になるとしても,原告らが隠ぺ 働きかけたという意味であると主張するのに対し,被告は,そもそも「問題の隠ぺいを図っていたことを示唆する発言をしていた」ことが主要な伝達事実であり,仮に発言の内容が問題になるとしても,原告らが隠ぺいしようとしたのは行政に対する発覚ではなくマスコミを含めた一般国民に対する発覚であると主張している。 イ放送部分1①及び同2①は,平成14年当時の幹部が臨時総会の席上発言した内容を,放送部分2②及び③は,B会長が理事会で発言した内容を,それぞれ主として伝達する方法によって,本件不正請求事件をめぐる県歯科医師会の従前の対応と新体制における今後の取組み,方針を報じようとしたものであることが認められる。そして,ある団体の幹部が公式の席上で自ら隠ぺいを示唆する発言をし,新しく会長となった者が同じく公式の席上でそれに対する批判的な見解を表明したのであれば,一般の視聴者としては,実際に隠ぺいの事実があったのであろうと受けとめるのが自然である。しかも,本件放送においては,アナウンサーの発言に加えて,「隠ぺいを示唆する発言」とか「隠ぺい疑惑問題で遺憾の意」などと表示されたテロップが流され,ことさらに「隠ぺい」が強調されているのであるから,一般視聴者が本件放送を視聴した場合,県歯科医師会の幹部が隠ぺいを示唆する発言をしたという事実が報じられたにとどまらず,同幹部が,同歯科医師会の対応や取組みにおいて,本件不正請求事件に関する何らかの「隠ぺい」を図った事実があると報じられたものと捉えるのが自然といえる。 ウ次に,本件放送の構成は,本件不正請求事件が平成14年7月に発覚したことを報じた上で,当時の幹部の対応を取り上げており,アナウンサーの発言内容は,当時の幹部が「不正請求の発覚について,知られないようにするのが務めだと認識し,社会保険事務局など行政 年7月に発覚したことを報じた上で,当時の幹部の対応を取り上げており,アナウンサーの発言内容は,当時の幹部が「不正請求の発覚について,知られないようにするのが務めだと認識し,社会保険事務局など行政に何回となく対応した」「不正請求の事実自体をもみ消そうとしたわけではなく,業界の責任としてどうすれば事実を公にしないで処分を軽くできるかを考え,社会保険事務局に相談して対応を取った」(放送部分1)とか,「不正請求が知られないよう行政に対応した」(放送部分2)というものである。放送部分1については,不正請求の事実自体をもみ消そうしたわけではないことが報じられており,「知られないよう」に対応した対象が,行政ではなくマスコミや国民であることが理解できる。放送部分2については,マスコミや一般の人たちに知られることのないように行政に対応をしたことが明確に理解できる表現になっているとはいえず,要約の不十分なところがあることは否めない。しかしながら,本件不正請求事件の発覚を前提としたニュースの構成や「行政に対応」とのアナウンサーの発言に照らしてみれば,行政に知られないようにするために行政に対応するというのは矛盾であるから,「当時の幹部」が行政に対して不正請求の事実を隠匿するなどの「隠ぺい」を図ったとの内容を報じたものとみることはできず,結局,本件放送は,平成14年当時の県歯科医師会の幹部が,本件不正請求事件をマスコミや一般国民に対して「隠ぺい」するために行政に対応をしたことを報じたものであると認められる。 エなお,「隠ぺい」とは,一般的に「かくすこと,隠匿」を意味するものであるところ,上記の意味における「隠ぺい」があったのか否かは,証拠等により明らかにすることができる事実であると解される。 オしたがって,本件放送が視聴者に向けて報じた主要 匿」を意味するものであるところ,上記の意味における「隠ぺい」があったのか否かは,証拠等により明らかにすることができる事実であると解される。 オしたがって,本件放送が視聴者に向けて報じた主要な伝達事実は,県歯科医師会の平成14年当時の幹部や新会長であるB会長の上記のとおりの発言があったことに尽きるのではなく,上記のような発言をするに至った背景に,本件不正請求事件をめぐって,県歯科医師会の平成14年当時の幹部の対応に「隠ぺい」を図った事実があったということ自体を取り上げて報じたものと認めるのが相当である。 4 原告らの社会的評価の低下について(争点(2))(1) 以上を前提に,本件放送によって原告らの社会的評価が低下したかどうかを検討する。 (2) 上記のとおり,放送部分1①及び同2①は,平成14年当時の幹部の発言内容を取り上げ,本件不正請求事件に関する「問題の隠ぺいを示唆」したこと及び実際に「隠ぺい」があったことを報じていると解されるところ,このような発言や行動が県歯科医師会幹部の立場にある者の発言や行動として適切なものとはいい難いもので,これが公に摘示されることによって,社会通念上,原告らの社会的評価の低下をもたらすものであることは容易に認められる。したがって,放送部分1①及び同2①については,名誉を毀損するにたり得る事実の摘示に当たると解される。 放送部分2②及び③のB会長発言については,平成14年当時の幹部による問題の「隠ぺい」のあった事実を前提としてなされた発言であるが,県歯科医師会の幹部が診療報酬の不正請求に関わる問題の「隠ぺい」があったことを前提とする報道がなされれば,一般視聴者が,「当時の幹部」である原告らに対する社会的評価を低下させることは明らかである。したがって,放送部分2②及び③につい 求に関わる問題の「隠ぺい」があったことを前提とする報道がなされれば,一般視聴者が,「当時の幹部」である原告らに対する社会的評価を低下させることは明らかである。したがって,放送部分2②及び③についても,これが問題の「隠ぺい」の事実を前提としていることに照らせば,その範囲で原告らの名誉を毀損する事実の摘示に当たると解される。 (3) なお,放送部分1②は,放送部分1①で取り上げられた当時の幹部の発言に対する県歯科医師会の会員の反応であり,会員らの批判の有無自体が原告らの社会的評価を低下させるというものではなく,放送部分1①の摘示事実の内容を検討することで足りるものと認められるし,放送部分1③も原告らの社会的評価を低下させるものとは解されない。 5 本件放送の公益性と公益目的について(争点(3))(1) 主要な伝達事実を上記のように解するとして,次に,本件において名誉毀損の成立を否定する事情があるかどうかを検討する。人の社会的評価を低下させる報道が行われたとしても,それが公共の利害に関わる事実で,その報道がもっぱら公益を図る目的であった場合,その報道内容の主要な部分が真実であると認められれば,名誉毀損の不法行為は成立しないと解される。 (2) まず,本件放送の目的であるが,本件放送は,A歯科医師による本件不正請求事件が報道されて一般に発覚したことに関し,A歯科医師の所属する県歯科医師会の対応などを報じたものである。保険医療機関による診療報酬の不正請求といった案件は,公共の利害にかかわる事実であり,本件のA歯科医師の場合,自ら保険医療機関の指定を辞退し保険医の登録を返上したため,取消処分を受けなかったという点はあるにせよ,本件不正請求事件自体が公共性の高い事項であることに変わりはない。そして,県歯科医師会は,任意加入の団体ではあ の指定を辞退し保険医の登録を返上したため,取消処分を受けなかったという点はあるにせよ,本件不正請求事件自体が公共性の高い事項であることに変わりはない。そして,県歯科医師会は,任意加入の団体ではあるものの,歯科医師という職業的集団によって構成される団体で,その存在目的が歯科医師の社会的立場の維持,向上を目指すとともに,医療に従事する者の団体として社会的役割を果たすことを期待された公的な側面を有する団体とも認められるところ,本件不正請求事件に関する県歯科医師会の対応も,公共の利害に関する事実に当たると解するべきである。 (3) 次に,本件放送の目的であるが,本件放送はニュースとしてテレビで放映されたものであり,上記のとおり公共の利害に関する事実を広く国民に知らせるという公益をもっぱら図る目的で行ったものであることが明らかである。 (4) そこで,本件放送でなされた事実の摘示により,原告らの社会的評価を低下させると認められる放送部分1①及び同2①の発言の事実,さらに,この発言や,放送部分2②及び③のB発言などの前提となっている「隠ぺい」の事実があったか否かについては,その真実であることが証明されたかどうかが問題となるため,以下検討する。 6 本件放送内容の真実性について(争点(3))(1) 放送部分1①及び同2①について放送部分1①及び同2①で報じられた原告X1の発言は,平成14年7月に開催された県歯科医師会の臨時総会の席上で行われたものとして報道されているが,放送内容と同臨時総会の議事録(乙3)とを照らし合わせると,内容においてほぼ一致していることが認められる。 これに関して,原告は,臨時総会議事録は一般には閲覧も入手もし得るものではあり得ないことから,本件放送が当該議事録によってなされたものであるとは考 いてほぼ一致していることが認められる。 これに関して,原告は,臨時総会議事録は一般には閲覧も入手もし得るものではあり得ないことから,本件放送が当該議事録によってなされたものであるとは考えられず,本件放送に当たっては情報源の正確性をも問題とすべきである旨主張している。 しかし,放送内容と臨時総会議事録の内容が整合していることは前述のとおりであるし,原告X1も,臨時総会において臨時総会議事録記載のような会長挨拶をしたことは認めている(甲8)。そうである以上,このような発言があったことの真実性についての被告の立証は尽くされており,これを超えて,取材源の秘匿に関わるような臨時総会議事録の入手経緯や方法,そもそもの情報源が誰であるかなどを問題とする余地はないといわざるを得ない。 したがって,放送部分1①及び同2①の発言があったことは真実であることの証明がなされていると認められる。 (2) 放送部分2②及び③について放送部分2②及び③におけるB発言については,夕方から開催される予定だった県歯科医師会の定例理事会に先立ち,C記者がB会長へ電話取材を行った上,定例理事会の開催された後にニュースとして報じられたことが認められる。そして,放送されたB会長の発言内容は,定例理事会議事録(乙4)と照らし合わせても,その内容において整合していることが認められる。 原告らは,定例理事会議事録は,上記放送された会長挨拶部分のみが文章体であり,その他の部分が逐語体で作成されているところ,会長挨拶部分は作為が加えられたおそれがあり,定例理事会議事録の作成過程を明らかにしない限りその信用性はないものと主張している。しかし,県歯科医師会において,議事録の作成を逐語体で行うべきものとする規定はなく,適式に作成されたことに があり,定例理事会議事録の作成過程を明らかにしない限りその信用性はないものと主張している。しかし,県歯科医師会において,議事録の作成を逐語体で行うべきものとする規定はなく,適式に作成されたことに疑いを入れる点も認められない(乙5の1ないし3)。したがって,B発言の発言内容についても,真実であることの証明がなされていると認められる。 (3) 「隠ぺい」があったか否かについてアさらに,上記の放送部分1①及び②や,放送部分2②及び③のB発言が前提とした,平成14年当時の県歯科医師会幹部が本件不正請求事件に関する問題の「隠ぺい」をしていたとの事実について検討する。 イ本件不正請求事件は,A歯科医師が平成8年から平成12年までの診療報酬について行っていたものであり,監督官庁による措置結果も平成13年3月には出されていたところ,不正請求の事実自体がマスコミによって報道され,国民の知るところとなったのは,平成14年7月になってからのことであった。原告らは,県歯科医師会が山梨社会保険事務局等から個別指導や監査への協力を求められ,立会いをする学識経験者の派遣を求められたことによって本件不正請求事件のことを知り,この事実が一般に公表されることで歯科医師に対する社会的信頼が損なわれ,県歯科医師会に悪影響を及ぼすことを懸念し,立会いをすることになった原告X2は,個別指導や監査の過程において,A歯科医師が取消処分を受け,官報で公示されるなどしてこれが公表されることとなる事態を避けられるように対応するとともに,本件不正請求事件がマスコミに報道されるなどして一般国民の知るところとなることをも避ける意図を有して行動していたことは,上記認定事実に加え,県歯科医師会平成14年臨時総会における原告X1の発言をあわせ考えれば,優に認めることができる。 などして一般国民の知るところとなることをも避ける意図を有して行動していたことは,上記認定事実に加え,県歯科医師会平成14年臨時総会における原告X1の発言をあわせ考えれば,優に認めることができる。 なお,原告らは,本件不正請求事件の処分については行政庁の対応によるべきものであるし,A歯科医師のプライバシーの問題等について配慮が必要であったため,県歯科医師会としてあえて積極的に公表することはしなかったのみで,「隠ぺい」を図ったわけではないとしている。確かに,経済上の措置にとどまった本件不正請求事件について県歯科医師会が積極的に公表をすべきであったかどうかという点については原告らの説明も傾聴に値するところである。しかしながら,本件において「隠ぺい」として問題視される原告らの行動は,A歯科医師が保険医療機関の指定を辞退するなどして問題が終息した後のことではなく,それ以前の,不正請求の疑惑が生じてからそれに対する行政の措置が行われていた過程のものであると理解すべきである。 ウ原告X1が,県歯科医師会の平成14年臨時総会における会長挨拶の中で「業界として未然にマスコミにも,一般の人たちにも知られないように対応するのが,私たちの務めだというふうに認識」し,原告X2を中心に,「行政」「保険事務所等の対応をして未然に防げたと思っていた」,「多分会員の中のだれかからもれたのでは,そういうふうに私は思えてなりません。これはやはりゆゆしき問題だと思います。どうして2年も前のことが今ごろになって出るのか。本当に残念だと思います。」といった発言をしていること(乙4),原告X2が,本件不正請求事件についてマスコミにもれることのないよう行政に対応するなどしたことを供述していること(原告X2本人)に照らせば,原告らが,A歯科医師に対する個別指導,監査 こと(乙4),原告X2が,本件不正請求事件についてマスコミにもれることのないよう行政に対応するなどしたことを供述していること(原告X2本人)に照らせば,原告らが,A歯科医師に対する個別指導,監査といった行政の措置が行われていた過程において,本件不正請求事件について,広くマスコミや国民に知られることのないように対応したという事実が明らかに認められる。 エしたがって,県歯科医師会の当時の幹部である原告らが,本件不正請求事件についてマスコミや国民に対して事実を隠そうと対応した事実が認められるのであり,これを「隠ぺい」と評することは至当であるから,結局,「隠ぺい」の事実についても真実性の立証があったということができる。 7 結論上記の次第で,被告の本件放送の中には,原告らの社会的評価を低下させる事実の摘示があったと認められるものの,被告において,これが公共の利害に関し,もっぱら公益目的で報道したことに加え,当該摘示事実の真実であることを証明できているといえるため,その余の争点を判断するまでもなく,原告らの請求は理由がないものと認められる。 よって,主文のとおり判決する。 甲府地方裁判所民事部裁判長裁判官新堀亮一裁判官倉地康弘裁判官青木美佳

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