【DRY-RUN】主 文 原判決中被告人を懲役六月に処するという部分並びに訴訟費用中窃盗に 関する部分を破毀する。 公訴事実中窃盗に関する部分は被告人は無罪 理 由
主文 原判決中被告人を懲役六月に処するという部分並びに訴訟費用中窃盗に関する部分を破毀する。 公訴事実中窃盗に関する部分は被告人は無罪 理由 弁護人銭坂喜雄の上告趣意は同人作成名義の上告趣意書と題する末尾添附の書面記載の通りである。これに対し当裁判所は次の通り判断する第一点論旨は原判決は他の三名の者と地下足袋を窃盗することを共謀し、途中女鳥羽橋の辺まで行つたが犯行を思い止り単身で同所から引返したと認定しながら本件を有罪と認定したのは法律の解釈を誤つたものであるというにある。よつて記録を調査するに原判決は「第一、昭和二十二年三月一日頃予て知合のAからB、Cも行くことになつているから地下足袋を窃みに行こうと誘はれこれに同意し、茲に四名共謀し被告人は同日午後八時頃右Aと共に当時被告人の居住して居た松本市a町D方を出発し途中でB、Cと落合い女鳥羽橋の辺まで行つたが被告人は執行猶予中の身であることを思い出したので犯行を思い止り単身で同所から引返したが云々」と認定したが共謀者が判示の通り窃盗の罪を犯したので被告人をも右窃盗について責任あるとし有罪の認定をしたものである。しかし原判示と原判決引用の証拠を綜合すると被告人は窃盗現場に到る前判示女鳥羽橋附近に於て自発的に本件窃盗の意思を放棄し、これを他の共謀者にも明示した上引返したのであるが、判示A、B、Cは被告人の右脱退を諒承し右三名だけが意思連絡の上<要旨>判示窃盗を遂行したものであること明白である。かくの如く一旦他の者と犯罪の遂行を共謀した者でもその着</要旨>手前他の共謀者にもこれが実行を中止する旨を明示して他の共謀者がこれが諒承し、同人等だけの共謀に基き犯罪を実行した場合には前の共謀は全くこれなかりしと同一に評価すべきものであつて、他の の着</要旨>手前他の共謀者にもこれが実行を中止する旨を明示して他の共謀者がこれが諒承し、同人等だけの共謀に基き犯罪を実行した場合には前の共謀は全くこれなかりしと同一に評価すべきものであつて、他の共犯者の実行した犯罪の責を分担すべきものでない。従つて原判決が上述のような証拠により原判示の如く事実の認定をしながらこれを窃盗の罪の共同正犯に間擬したのは法令の解釈を誤り、延いて判決に影響あるものである。従つて原判決中窃盗に関する部分は破毀を免がれない。論旨理由あるものである。従つて他の論旨に対しては判断を省略する。 よつて旧刑事訴訟法第四百四十七条第四百四十八条第三百六十二条に則り主文の通り判決する。 (裁判長判事吉田常次郎判事保持道信判事鈴木勇)
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