平成26年9月25日判決言渡平成25年(行ケ)第10317号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成26年8月5日判決 原告ソシエテ ビック 訴訟代理人弁理士澤田俊夫同山田英治 被告特許庁長官 指定代理人藤井昇同新海岳同井上茂夫同堀内仁子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求特許庁が不服2012-25495号事件について平成25年7月16日にした審決を取り消す。 第2 前提となる事実 1 特許庁における手続の経緯等(争いがない。)原告は,発明の名称を「操作抵抗を具備する燃料サプライシステム」とする発明につき,平成17年2月16日に国際出願(特願2007-556119。以下「本願」という。)をしたが,平成24年8月15日付けで特許庁に拒絶査定をされた。 原告は,これを不服として,平成24年12月21日,特許庁に対し,不服審判請求(不服2012- 25495号)をするとともに,同日付けの手続補正書により,特許請求の範囲の補正をした(以下「本件補正」という。 これを不服として,平成24年12月21日,特許庁に対し,不服審判請求(不服2012- 25495号)をするとともに,同日付けの手続補正書により,特許請求の範囲の補正をした(以下「本件補正」という。)。 特許庁は,平成25年7月16日,本件補正を却下するとともに,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本を,同月30日,原告に送達した。 2 特許請求の範囲の記載(1) 本件補正前の特許請求の範囲本件補正前の特許請求の範囲(請求項の数15)のうち,請求項1の記載は,次のとおりである(以下,請求項1に係る発明を「本願発明」という。また,本願の明細書及び図面を併せて「本願明細書」という。なお,本件補正によって本願明細書は補正されていない。)。 「燃料サプライと,装置であって,燃料電池により電力供給され,上記燃料サプライに貯蔵されている燃料を上記燃料電池に搬送して電気が生成され当該装置に電力が供給されるようになすように,上記燃料サプライを収容するように構成された,上記装置と,上記燃料装置(判決注:「燃料サプライ」の誤記と認められる。)の上記装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段とを有し,上記操作抵抗を増大させる手段は,以下の(a)~(g)の構成要素のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする燃料電池システム。 (a)第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられ,当該第2のバルブ要 素は上記装置に取り付けられ,当該第1のバルブ要素および第2のバルブ要素が相互に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送するために相対的に少なくとも2つの方向に移動可能である。 (b)アクチュエータ,第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素 互に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送するために相対的に少なくとも2つの方向に移動可能である。 (b)アクチュエータ,第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられ,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられ,当該第1のバルブ要素および第2のバルブ要素が相互に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送し,上記アクチュエータが上記第1のバルブ要素を選択的に開として燃料の搬送を可能にする。 (c)第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられ,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられ,上記燃料サプライを上記装置に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送するために,または上記燃料サプライを上記装置から離すために,少なくとも約3kgの力が必要である。 (d)第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられる第1のセンサを有し,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられる第2のセンサを有し,上記第1のセンサおよび上記第2のセンサが上記燃料サプライの中心線から離れて配置され,かつ,上記第1のセンサおよび上記第2のセンサが操作可能に整合されたときに,上記第1のバルブ要素および上記第2のバルブ要素が相互に結合されて燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送可能である。 (e)ゲート。 当該ゲートは上記燃料サプライまたは上記装置のバルブ要素またはセンサの一部をカバーする第1の位置に配置され,上記ゲートは上記第1の位置から,非カバー状態の位置に移動して上記バルブ要素を開にし,または上記センサをアクセス可能にして,燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送可能にする。 (f)第 配置され,上記ゲートは上記第1の位置から,非カバー状態の位置に移動して上記バルブ要素を開にし,または上記センサをアクセス可能にして,燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送可能にする。 (f)第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられ,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられ,当該第1のバルブ要素および第2のバルブ要素が相互に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送し,上記第1のバルブ要素が通常時にはシーリング位置にロックされるプランジャを有し,上記プランジャがロック解除されたのちに上記プランジャが上記シーリング位置から退避可能である。 (g)ON/OFFスイッチ。 当該ON/OFFスイッチは,外側表面より下方へ後退して当該スイッチがユーザの指の肉付き部分によりON位置に移動可能となり,上記燃料サプライから上記装置に燃料を搬送する。」(2) 本件補正後の特許請求の範囲本件補正後の特許請求の範囲(請求項の数3)のうち,請求項1の記載は,次のとおりである(以下,本件補正後の請求項1に係る発明を「本願補正発明」という。 なお,補正部分には,下線を付した。)「燃料サプライと,装置であって,燃料電池により電力供給され,上記燃料サプライに貯蔵されている燃料を上記燃料電池に搬送して電気が生成され当該装置に電力が供給されるようになすように,上記燃料サプライを収容するように構成された,上記装置と,上記燃料サプライの上記装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段とを有し,上記操作抵抗を増大させる手段は,ON/OFFスイッチを有し,当該ON/OFFスイッチは,外側方面(判決注:「外側表面」の誤記と認められる。)より下方へ後退して当該スイッチがユーザの指の し,上記操作抵抗を増大させる手段は,ON/OFFスイッチを有し,当該ON/OFFスイッチは,外側方面(判決注:「外側表面」の誤記と認められる。)より下方へ後退して当該スイッチがユーザの指の肉付き部分により移動可能であることを特徴とする燃料電池システム。」 3 審決の理由審決の理由は,別紙審決書写しに記載のとおりである。その要旨は,①本件補正は,平成18年法律第55号による改正前の特許法17条の2第4項各号に掲げる いずれの事項を目的とするものにも該当せず,同法17条の2第4項の規定に違反するものであるから,同法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである,②仮に本件補正が特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても,本願補正発明は,特開2003-142135号公報(甲5。 以下「引用例1」という。)に記載された発明(以下「引用発明」という。)及び特開平3-208216号公報(以下「引用例3」という。)に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないから,本件補正は,平成18年法律第55号による改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するものであり,同法159条1項で準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである,③本願発明は,引用発明及び国際公開第2004/093229号(甲6,7。以下「引用例2」という。)に開示された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである,というものである。 に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである,というものである。 審決が認定した引用発明の内容,本願補正発明及び本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,以下のとおりである。 (1) 引用発明の内容「燃料供給源20と,ポータブル電子装置10であって,燃料電池12により電力供給され,上記燃料供給源20に貯蔵されている燃料溶液を上記燃料電池12に送り出して電気が生成され当該ポータブル電子装置10に電力が供給されるようになすように,上記燃料供給源20を嵌合するようにソケット32を載置した,上記ポータブル電子装置10と,上記燃料供給源20の外側容器22は,上記燃料供給源20の接触部の内側に配置されている板ばね64のような保持装置と係合するように構成されている保持構 成要素62を含んでいる,上記ポータブル電子装置10に電源を供給するために,上記燃料電池12に取外し可能に接続できるように構成されている上記燃料供給源20。」(2) 本願補正発明と引用発明との一致点「燃料サプライと,装置であって,燃料電池により電力供給され,上記燃料サプライに貯蔵されている燃料を上記燃料電池に搬送して電気が生成され当該装置に電力が供給されるようになすように,上記燃料サプライを収容するように構成された,上記装置と,上記燃料サプライの上記装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段とを有する,燃料電池システム。」(3) 本願補正発明と引用発明との相違点本願補正発明では,「操作抵抗を増大させる手段は,ON/OFFスイッチを有し,当該ON/OFFスイッチは,外側表面より下方へ後退して当該スイッチ ム。」(3) 本願補正発明と引用発明との相違点本願補正発明では,「操作抵抗を増大させる手段は,ON/OFFスイッチを有し,当該ON/OFFスイッチは,外側表面より下方へ後退して当該スイッチがユーザの指の肉付き部分により移動可能である」のに対して,引用発明では,そのような特定はなされていない点。 (4) 本願発明と引用発明との一致点上記(2)と同じ。 (5) 本願発明と引用発明との相違点燃料サプライの装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段に関し,本願発明では,「操作抵抗を増大させる手段は,以下の(a)~(g)の構成要素のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする燃料電池システム。 (a)第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられ,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられ,当該第1のバルブ要素および第2のバルブ要素が相互に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送するために相対的に少な くとも2つの方向に移動可能である。 (b)アクチュエータ,第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられ,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられ,当該第1のバルブ要素および第2のバルブ要素が相互に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送し,上記アクチュエータが上記第1のバルブ要素を選択的に開として燃料の搬送を可能にする。 (c)第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられ,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられ,上記燃料サプライを上記装置に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送するために,または上記燃料サプライを上記装置から離すため に取り付けられ,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられ,上記燃料サプライを上記装置に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送するために,または上記燃料サプライを上記装置から離すために,少なくとも約3kgの力が必要である。 (d)第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられる第1のセンサを有し,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられる第2のセンサを有し,上記第1のセンサおよび上記第2のセンサが上記燃料サプライの中心線から離れて配置され,かつ,上記第1のセンサおよび上記第2のセンサが操作可能に整合されたときに,上記第1のバルブ要素および上記第2のバルブ要素が相互に結合されて燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送可能である。 (e)ゲート。 当該ゲートは上記燃料サプライまたは上記装置のバルブ要素またはセンサの一部をカバーする第1の位置に配置され,上記ゲートは上記第1の位置から,非カバー状態の位置に移動して上記バルブ要素を開にし,または上記センサをアクセス可能にして,燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送可能にする。 (f)第1のバルブ要素および第2のバルブ要素。 当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられ,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられ,当該第1のバルブ要素および第2のバルブ要素が相 互に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送し,上記第1のバルブ要素が通常時にはシーリング位置にロックされるプランジャを有し,上記プランジャがロック解除されたのちに上記プランジャが上記シーリング位置から退避可能である。 (g)ON/OFFスイッチ。 当該ON/OFFスイッチは,外側表面より下方へ後退して当該スイッチがユーザの指の肉付き部分に 除されたのちに上記プランジャが上記シーリング位置から退避可能である。 (g)ON/OFFスイッチ。 当該ON/OFFスイッチは,外側表面より下方へ後退して当該スイッチがユーザの指の肉付き部分によりON位置に移動可能となり,上記燃料サプライから上記装置に燃料を搬送する。」であるのに対して,引用発明では,「燃料供給源20の外側容器22は,上記燃料供給源20の接触部の内側に配置されている板ばね64のような保持装置と係合するように構成されている保持構成要素62を含んでいる」ものの,そのような特定はなされていない点。 第3 取消事由に関する原告の主張 1 取消事由1(本件補正却下についての認定判断の誤り)について(1) 取消事由1の1(本件補正が目的要件違反との認定判断について)ア本件補正は,本件補正前の請求項1における択一的な記載の中において,構成要件(g)を選択するものであり,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,これに該当しないとの審決の認定は誤りである。 本件補正により,「ON位置に」及び「燃料サプライから装置に燃料を搬送する」との事項が削除されても,「燃料サプライ」が「装置」に装着されて燃料を搬送可能にすることを考慮すると,本件補正後の請求項1の「当該ON/OFFスイッチは,外側方面より下方へ後退して当該スイッチがユーザの指の肉付き部分により移動可能である」という記載の中に,本件補正前の請求項1の(g)の事項が内包されていると解すべきであり,本願明細書の記載(図88B,図85,図83)を参照しても,それ以外の想定はできない。 また,ON/OFFスイッチの「ON位置」,「OFF位置」は特定のスイッチ機構とは無関係な抽象的な概念であり,「燃料サプライ」が「装置」に装着されて燃料 を搬送可能にすることを考 できない。 また,ON/OFFスイッチの「ON位置」,「OFF位置」は特定のスイッチ機構とは無関係な抽象的な概念であり,「燃料サプライ」が「装置」に装着されて燃料 を搬送可能にすることを考慮すると,本件補正により「ON位置に」を削除しても,「ON位置」で燃料が燃料サプライから装置に搬送されると考えるのが合理的である。仮に,本件補正後のスイッチの「ON位置」,「OFF位置」の意味が不明瞭であるので,「ON位置」で燃料が燃料サプライから装置に搬送されると考えることはできないとしても,逆に,「ON位置」で燃料が燃料サプライから装置に搬送されないと考えることもできないから,「ON位置に」及び「燃料サプライから装置に燃料を搬送する」との事項が形式的に削除されている一事をもって請求範囲の減縮に相当しないと判断する合理的な根拠はない。仮に「ON位置」,「OFF位置」が不明瞭であるというなら,審判官は,特許法36条6項2号の拒絶理由を通知すべきであった。 原告は,上記主張と同様の主張を,回答書(甲10)及び審理再開申立書(甲11)においても行っており,そのような経緯からも,本件補正後の請求項1の記載は原告の主張するように解釈されるべきである。 イ被告は,本願明細書の段落【0129】に,図87のシステムのオプションとしてスイッチ761を具備する実施態様が記載されていることを根拠として,本件補正後の記載中に本件補正前の(g)が内包されていることを否定する。 しかし,オプションとしてのスイッチ761を設けない通常の実施態様では,ON/OFFスイッチ(スイッチ760)のON位置への移動によってだけ,燃料サプライから装置への燃料の搬送が行われるのであり,ゲートを制御するスイッチ761は本願補正発明とは関係のないものであるから,オプションのスイッチ7 イッチ760)のON位置への移動によってだけ,燃料サプライから装置への燃料の搬送が行われるのであり,ゲートを制御するスイッチ761は本願補正発明とは関係のないものであるから,オプションのスイッチ761を含む実施態様であっても,本件補正後の請求項1のON/OFFスイッチは,図87のスイッチ760と解すべきであり,本願補正発明を把握する場合には,すでにスイッチ761がONとされゲートが開になっていることを前提とすべきである。 また,本願補正発明の特徴は本願明細書の段落【0133】(図88b)に記載されているが,同段落にはオプションのスイッチについての言及がないから,ON/OFFスイッチのON位置への移動だけで,燃料サプライから装置への燃料の搬送 が行われるようになっていると考えるのが合理的である。 仮に,ON/OFFスイッチのON位置への移動だけでは,燃料サプライから装置への燃料の搬送が行われない構成であると考えるならば,そのようなスイッチがどのような働きをするか不明であり,本願補正発明の内容は不明瞭であるから,そもそも特許請求の範囲の減縮に該当するか否か判断できないというべきである。 したがって,被告の主張は理由がない。 (2) 取消事由1の2(本件補正が独立特許要件違反との判断について)審決には,以下のとおりの認定の誤り又は手続違背があるから,これを前提とする独立特許要件違反の判断も誤っている。 ア引用発明と本願補正発明の一致点の認定の誤り引用発明では,燃料供給源20を電子装置から容易に装着・取り外す構成を設けることを主眼としており(引用例1の段落【0020】),これは「操作抵抗を増大させる手段」とは正反対のものであるから,引用発明は,本願補正発明と同じ構成を開示,示唆するものではない。また,引用発明の「板ばね 主眼としており(引用例1の段落【0020】),これは「操作抵抗を増大させる手段」とは正反対のものであるから,引用発明は,本願補正発明と同じ構成を開示,示唆するものではない。また,引用発明の「板ばね64のような保持装置」は,「保持装置」という名称のとおり,単に燃料供給源20の落下を防止する程度のものであり,板ばね64及び保持構成要素62があっても,ハンドル60により燃料供給源20の着脱を容易にできるし,仮に板ばね64により局所的に着脱の操作抵抗を増大させる力が働いたとしても,ハンドル60によってその効果は滅失し,ユーザが抵抗感を抱かないものであるから,板ばね64は,本願補正発明の「着脱の操作抵抗を増大させる手段」に該当しない。 なお,被告は,審査段階での原告の意見書記載の主張を引用するが,原告はその後,審理再開申立書において,同主張を撤回する内容の主張をしている。 したがって,審決の引用発明と本願補正発明の一致点の認定は誤りである。 イ引用例3に関連する手続の誤り引用例3は,審査・審判手続において出願人である原告に通知されていない。そして,後記ウのとおり引用例3記載の技術は周知技術ではないから,審決には,特 許法50条に違背する手続の誤りがある。 ウ引用例3記載の技術の認定の誤り本願明細書の段落【0133】記載のとおり,本願補正発明は,指の肉付き部分のみがスイッチにアクセス可能であるため,肉付きが少ない幼い子供はアクセスができないという内容のものである。これに対し,引用例3の操作部は障害物による誤操作は抑制するように構成されるものであるが,テープレコーダ等の音響機器の操作部である以上,その操作性は良好なものでなければならず,親指の腹の部分のみが凹部内1aに入ることができるほど凹部内1aが狭くて「操作抵抗を増大させる るものであるが,テープレコーダ等の音響機器の操作部である以上,その操作性は良好なものでなければならず,親指の腹の部分のみが凹部内1aに入ることができるほど凹部内1aが狭くて「操作抵抗を増大させる手段」を構成することを記載し,又は示唆するものではない。しかも,引用例3記載の図面の操作部では,小さな指の子供の方が大きな指の大人よりアクセスが容易なものとなっている。 したがって,審決が,引用例3には,本願補正発明の「ON/OFFスイッチの操作抵抗を増大する手段」と同じ手段が記載されており,これを周知技術と判断したことは誤りである。 2 取消事由2(本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り)について仮に本件補正却下が適法であるとしても,前記1(2)アのとおり,引用発明の板ばね64は,本願発明の「着脱の操作抵抗を増大させる手段」に該当しないから,審決の本願発明と引用発明との一致点の認定は誤りである。 3 取消事由3(引用例2に開示された事項の認定の誤り)について仮に本件補正却下が適法であるとしても,以下のとおり,引用例2に開示された事項の認定は誤っているから,これを前提とした審決の判断は誤りである。 (1) 審決は,引用例2において「上記燃料補給カートリッジ6(燃料サプライ)を上記装置の燃料供給ポート4に接続(着脱)させる際には,着脱時に何らかの操作抵抗が生じていることは明らかである。」と認定している。しかしながら,これは着脱に通常必要とされる構成に起因して生じるものであり,本願発明の「上記燃料サプライの上記装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段」ではない。 また,引用例2では,燃料補給カートリッジ6を燃料供給ポート4に挿入・回転させるのは,燃料補給カートリッジ6が燃料供給ポート4から脱落しないように固定する を増大させる手段」ではない。 また,引用例2では,燃料補給カートリッジ6を燃料供給ポート4に挿入・回転させるのは,燃料補給カートリッジ6が燃料供給ポート4から脱落しないように固定するためであり,この時点では燃料は搬送可能でない。しかも,ボールバルブ43(第2のバルブ)と,ボールバルブ60(第1のバルブ)の間にはチューブ42があり,両バルブが相互に連結するものでないから,引用例2には本願発明の構成(a)に相当する構成は開示されていない。 したがって,引用例2に,「上記燃料サプライの上記装置に対する着脱の操作抵抗を生じさせる手段」が開示されている旨の審決の認定は誤りであり,これを前提として本願発明を容易に想到することができると判断した審決は誤っている。 (2) 上記のとおり,引用例2には,本願発明の構成要素(a)に相当する構成は開示されておらず,(b)ないし(g)に相当する構成も何ら開示,示唆されていない。したがって,構成要素(a)ないし(g)が引用例2に記載されていると誤って認定した審決は取り消されるべきである。 第4 取消事由に関する被告の主張 1 取消事由1(本件補正却下についての認定判断の誤り)について(1) 取消事由1の1(本件補正が目的要件違反との認定判断について)本件補正により,ON/OFFスイッチについて,「ON位置に」移動可能とすることにより,「燃料サプライから装置に燃料を搬送する」という機能が削除されていることから,本願補正発明は,少なくとも「ON/OFFスイッチ」のスイッチ操作による「燃料サプライから装置に燃料を搬送する」以外の機能も包含するように補正されたことが明らかであり,特許請求の範囲は拡張されている。 本願明細書の段落【0129】は,スイッチ作動の3パターンを開示するが,3パ ライから装置に燃料を搬送する」以外の機能も包含するように補正されたことが明らかであり,特許請求の範囲は拡張されている。 本願明細書の段落【0129】は,スイッチ作動の3パターンを開示するが,3パターン目として,ON/OFFスイッチのON位置への移動だけでは,燃料サプライから装置への燃料の搬送が行われないものも開示されているのであるから,本願補正発明の請求項の記載の中には本件補正前の請求項1の(g)の事項が内包されており,それ以外の想定はできない,との原告の主張は理由がない。 したがって,本件補正は特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当するとは認められないから,その旨の審決の認定及び判断に誤りはない。 (2) 取消事由1の2(本件補正が独立特許要件違反との認定判断について)ア引用発明と本願補正発明の一致点の認定の誤り引用発明の板ばね64と保持構成要素62により,燃料供給源20(その外側容器22)が,ソケット32に対して着脱の操作抵抗を増大することは明らかであり,原告自身,審査段階の意見書(乙1)で,「操作抵抗を若干増大させる」ものであること自体は認めていた。そして,本願補正発明では,操作抵抗の程度について,何ら限定されていない。また,引用発明において,燃料供給源20を容易に装着・取り外すための構成はハンドル60であり(引用例1の段落【0020】),ハンドル60が存在しても,板ばね64と保持構成要素62が操作抵抗を増大させる手段であることに変わりない。 したがって,本願補正発明と引用発明が,「燃料サプライの装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段とを有」する点で一致するとの審決の認定に誤りはない。 イ引用例3に関連する手続の誤り審決における独立特許要件の判断は補足的なものにすぎないし,引用例3は周知 する着脱の操作抵抗を増大させる手段とを有」する点で一致するとの審決の認定に誤りはない。 イ引用例3に関連する手続の誤り審決における独立特許要件の判断は補足的なものにすぎないし,引用例3は周知技術の例として提示したものであるから,引用例3を原告に通知しなかったことは,特許法50条の規定には違背せず,審決には手続の誤りはない。 ウ引用例3記載の技術の認定の誤り原告の本願補正発明の技術内容についての主張は,請求項の記載に基づかないものである。そして,引用例3記載の従来例としてのスイッチの構成では,操作ボタン2はフロントパネル1の前面部よりも奥に存在することから,その配置構造に照らして,本願補正発明のスイッチの構成と異なるものではないし,その操作手法も,「操作ボタン2の曲面部2cに親指の腹の部分を当てて矢印x方向に移動させて」行うことから,本願補正発明の操作手法と異なるものではない。そもそもそのようなスイッチは,本願の国際出願時にありふれた周知の技術である(乙2~5)。 したがって,審決の引用例3記載の技術の認定に誤りはない。 2 取消事由2(本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り)について前記1(2)アのとおり,引用発明の板ばね64及び保持構成要素62は,本願発明の「着脱の操作抵抗を増大させる手段」に該当するから,審決の一致点の認定に誤りはない。 3 取消事由3(引用例2に開示された事項の認定の誤り)について(1) 引用例2の記載内容によれば,引用例2には,本願発明の構成要素(a)の構成が開示されている。 原告は,燃料補給カートリッジ6を燃料供給ポート4に対して挿入・回転させるのは固定するためであり,この時点では,燃料は搬送可能ではないと主張するが,引用例2において,燃料補給カートリッジ6に取り付けら 告は,燃料補給カートリッジ6を燃料供給ポート4に対して挿入・回転させるのは固定するためであり,この時点では,燃料は搬送可能ではないと主張するが,引用例2において,燃料補給カートリッジ6に取り付けられたボールバルブ60と燃料供給ポート4に取り付けられたボールバルブ43を最終的に相互に開状態として燃料を搬送可能とするために操作者の行う動作としては,燃料補給カートリッジ6を燃料供給ポート4に挿入し,更に回転させるという二つの方向に移動させることが,まず必要であり,挿入と回転という動作の後に,更に別の動作が必要であるとしても,燃料補給カートリッジから燃料を装置に補給するという作用を奏するためには,「挿入」と「回転」という二つの方向の動作が前提であり,本願発明の「少なくとも二つの方向に移動可能」という限りにおいて相違するものではないから,引用例2の挿入・回転による接続が,本願発明の「少なくとも2つの方向に移動可能」にあたるとした審決の判断に誤りはない。 また,原告は,引用例2記載のボールバルブ43(第2のバルブ)とボールバルブ60(第1のバルブ)とは相互に連結するものではないとも主張する。確かに,引用例2には,「燃料供給ポート4はまた,上述の管12に構造が類似する管42を有している。管42の近くにボールバルブ43が配置されている。」(甲7の段落【0013】),「チャンバ56と燃料リザーバ62との間には,ボールバルブ60が配置されている。」(同段落【0014】)と記載され,図3B,図3Dでは,ボールバル ブ43,60を構成する弁体としてのボールに「43」,「60」の図番が付されているところ,審決では,「(a)ボールバルブ60(第1のバルブ要素)とボールバルブ43(第2のバルブ要素)。 当該ボールバルブ60(第1のバルブ要素)は,上 ールに「43」,「60」の図番が付されているところ,審決では,「(a)ボールバルブ60(第1のバルブ要素)とボールバルブ43(第2のバルブ要素)。 当該ボールバルブ60(第1のバルブ要素)は,上記燃料補給カートリッジ6(燃料サプライ)に取り付けられ,当該ボールバルブ43(第2のバルブ要素)は上記装置の燃料供給ポート4に取り付けられ,」と記載されている。しかし,同記載は,流体の流れをバルブの開閉により制御する装置としての「ボールバルブ」を代表して示す符号として,「ボールバルブ」の図番である「43」と「60」を付記したものであって,図3B,図3Dで,図番「43」と「60」が,それぞれ弁体としての「ボール」を指示しているからといって,審決は,流体の流れをバルブの開閉により制御する装置としての「ボールバルブ」を,図3Bと図3D中で図番「43」,「60」と指示された「ボール」のみと限定して捉えたものではない。引用例2では,燃料供給ポート4と燃料補給カートリッジ6を接続する際に,それぞれに設けられたボール(弁体)や弁座,ハウジング等からなるバルブ装置同士を連結しており,これは,本願発明の第1のバルブ要素と第2のバルブ要素を相互に連結する構成に相当する。 したがって,審決の引用例2に開示された事項の認定に誤りはない。 (2) 原告は,引用例2には,本願発明の(a)ないし(g)の構成要素が開示されていないとも主張するが,審決は,これらの構成要素のうちの(a)が引用例2に開示されていると認定したものであり,上記のとおり,引用例2には(a)に相当する構成が開示されているのであるから,原告の主張は理由がない。 第5 当裁判所の判断当裁判所は,原告主張の各取消事由にはいずれも理由がなく,審決にはこれを取り消すべき違法はないものと判断する。その理 示されているのであるから,原告の主張は理由がない。 第5 当裁判所の判断当裁判所は,原告主張の各取消事由にはいずれも理由がなく,審決にはこれを取り消すべき違法はないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 1 取消事由1の1(本件補正が目的要件違反との認定判断について)(1) 前記第2の2(1)のとおり,本件補正前の請求項1(本願発明)は,燃料サプライの装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段として選択的に(a)ない し(g)を設け,そのうち(g)については「当該ON/OFFスイッチは,外側表面より下方へ後退して当該スイッチがユーザの指の肉付き部分によりON位置に移動可能となり,上記燃料サプライから上記装置に燃料を搬送する」と記載していたものであり,同記載からすれば,本願発明の「ON/OFFスイッチ」は,ON位置で「燃料サプライから装置に燃料を搬送する」ものに限定されていた。 これに対し,前記第2の2(2)のとおり,本件補正は,請求項1のうち,(a)ないし(f)の記載を削除するとともに,上記(g)の記載のうち,ON/OFFスイッチが「ON位置に」(移動可能となり)という記載及び「上記燃料サプライから上記装置に燃料を搬送する。」という記載を削除したものである。そうすると,本件補正は,本件補正前の構成要素(g)のON/OFFスイッチの構成から,「(ON位置で)燃料サプライから装置に燃料を搬送する」という機能を削除するものであるから,「ON/OFFスイッチ」に,そのような機能を有しないスイッチをも含まれるように特許請求の範囲を拡張するものである。 したがって,本件補正は,特許請求の範囲を拡張するものであり,特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に当たるとは認められないから,その旨の審決の認定に誤りはない。そ 求の範囲を拡張するものである。 したがって,本件補正は,特許請求の範囲を拡張するものであり,特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に当たるとは認められないから,その旨の審決の認定に誤りはない。そして,本件補正は,請求項の削除,誤記の訂正又は明りようでない記載の釈明のいずれにも当たらない(当事者間に争いがない。)から,本件補正が目的要件違反である旨の審決の判断に誤りはない。 (2) 原告の主張について原告は,「燃料サプライ」が「装置」に装着されて燃料を搬送可能にすることを考慮すると,本件補正後の請求項1の記載中には,本件補正前の請求項1の(g)の事項が内包されていると解すべきであり,本願明細書の記載(図88B,図85,図83)を参照しても,それ以外の想定はできないから,本件補正は特許請求の範囲の減縮に当たると主張する。 ア原告の主張する「(g)の事項が内包されている」とは,本件補正後の「ON/OFFスイッチ」は,本件補正前の(g)の「ON/OFFスイッチ」と同じも のと解釈されるべきであるとの主張と解される。この点,本件補正後の請求項1の記載によれば,「燃料サプライ」は「装置」に収容(装着)されるものであり,また,「燃料サプライ」に貯蔵されている燃料が「燃料電池」に搬送されて「装置」に電力を供給するものであることは特定されているが,燃料の搬送とON/OFFスイッチとの関わりに関する特定はなく,同記載から,当然に,燃料サプライの装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段として特定されている本件補正後の「ON/OFFスイッチ」が,「燃料サプライから装置に燃料を搬送する」ものでもあると解することはできない。 イかえって,本願明細書(甲2)には,ON/OFFスイッチに関する実施例について,以下の記載があると認められる(図 ,「燃料サプライから装置に燃料を搬送する」ものでもあると解することはできない。 イかえって,本願明細書(甲2)には,ON/OFFスイッチに関する実施例について,以下の記載があると認められる(図85,図87及び図88bは,別紙1のとおり)。 「【0019】 ・・・他の燃料システムは図85~87に示されるように燃料へのアクセスを制御するON/OFFの機械的または電子的スイッチを有している。 これらスイッチは図85-87に示すように開成のために複数の方向に移動し,図88に示すようにバイアスされてよい。図88bに示されるように大人のユーザのパルプによっていくつかのスイッチは接触して動かすことができる。・・・」「【0129】 別の実施例では,燃料サプライシステムはオン/オフスイッチ760を具備する。スイッチ760は電源,例えばバッテリーまたは燃料電池に動作可能に接続され,この電源がソレノイドアクチュエータ762に接続されている。 図85および87で例示されるように,それぞれの電源,スイッチおよび/またはソレノイドアクチュエータはカートリッジまたは燃料サプライ725の上,または,燃料電池FCの上,または,装置の上に配置できる。スイッチ760が閉じられ,すなわちON位置にあると,ソレノイドアクチュエータが駆動されてゲート746を開とし,開位置に維持し,ゲート746により先に被覆されたバルブ要素726またはセンサ740を露出させる。代替的には,ソレノイドアクチュエータ762およびバルブ要素726は一体にでき,すなわち,ソレノイドバルブで置換でき, スイッチ760がON位置にあるとき,電源がバルブ要素726を開とし,スイッチ760がOFF位置にあるとき,バルブ要素726を閉とする。さらに,図87に示されるシステムはオプションとしてスイッ スイッチ760がON位置にあるとき,電源がバルブ要素726を開とし,スイッチ760がOFF位置にあるとき,バルブ要素726を閉とする。さらに,図87に示されるシステムはオプションとしてスイッチ761を具備して良く,これがゲート746の開および閉を別個に制御する。この構成で,スイッチ760が閉じられるとき,ゲート746はすぐに,開かれない。したがって,ユーザは,カートリッジ725を装置に挿入でき,あるいはカートリッジ725を燃料電池に結合できる。そして,装置または燃料電池が,制御装置を介してスイッチ761を閉じ,ゲート746を開く。・・・」「【0130】 この実施例では,有利なことに,電源が燃料電池または当該燃料電池が給電する電子装置の上に配置され,カートリッジ725がそれらから切り離され,バルブ要素726および/またはゲート746が開くことができず,カートリッジに含まれる燃料が隔離される。オプションのゲート761【判決注:スイッチ761の誤記と認められる。】を含むと,有利なことに,ユーザはゲート746を開とすることなしにスイッチ760を駆動でき,このため,カートリッジが装置または燃料電池の外にある間,バルブ726,740へのアクセスを制約できる。」「【0131】 ユーザによって指作動部分764を移動可能にしてスイッチ760をOFF位置からON位置へと移動させる事例的な経路が図86a-dに示される。よりねじれている経路は意図的でないユーザに対して,より多くの操作抵抗として働く。・・・」「【0133】 図88bを参照すると,指作動部分764は,カートリッジ,燃料電池または装置の側壁よりも低くなるような寸法および形状を有してよい。指作動部分764を後退させると,有利なことに,子供より肉付きの多い指を持っている大人のユーザがそ 分764は,カートリッジ,燃料電池または装置の側壁よりも低くなるような寸法および形状を有してよい。指作動部分764を後退させると,有利なことに,子供より肉付きの多い指を持っている大人のユーザがその指の平を押して指作動部分764に接触させてスイッチ760を動かせる。より幼い子供は,後退したスイッチにアクセスすることができない。 同様に,・・・も後退構造に製造でき,燃料サプライを操作する操作上の困難をより増加させることができる。」 「【0135】 また,図85および86で示されるように,スイッチ760は機械的なスイッチ,すなわち図87に例示される電気回路に電気的または磁気的に接続されていないものであってよい。ON位置で,スイッチ760の指作動部分764が装置,燃料電池の起伏またはチャンネルと整合して当該部分764が装置または燃料電池の壁と緩衝しない。OFF位置では,指作動部分764が起伏またはチャンネルと整合せず,このため,装置または燃料電池の壁と緩衝する。したがって,OFF位置では,カートリッジは挿入できない。・・・」ウ上記認定によれば,本願明細書には,スイッチ760が閉じられてON位置にあるとき,バルブ要素726を開とする実施例(バルブ要素726が開となることによって,燃料サプライから装置に燃料が搬送されるものと解される。)以外に,スイッチ760とともにオプションスイッチ761を設け,スイッチ761によって燃料サプライのバルブ要素等を被覆したゲートの開閉を別個に制御するという実施例が開示されており,この実施例においては,スイッチ760がON位置にあるとき常にスイッチ761によって先にゲートが開になっているものとは限らず,かえって,スイッチ760を先にON位置にし,次いでスイッチ761をON位置にしてゲートを開くという チ760がON位置にあるとき常にスイッチ761によって先にゲートが開になっているものとは限らず,かえって,スイッチ760を先にON位置にし,次いでスイッチ761をON位置にしてゲートを開くという手順が記載されているのであるから,指作動部分を後退させるなどして操作抵抗を設けるスイッチであるスイッチ760(ON/OFFスイッチ)をON位置に移動しても燃料サプライから装置に燃料が搬送されない構成が記載されていることは明らかである。したがって,本願明細書の記載を参照しても,本願補正発明のON/OFFスイッチが常に(ON位置で)燃料サプライから装置に燃料を搬送する機能を有すると解釈することはできず,本件補正後の請求項1中には,本件補正前の請求項1の(g)の事項が内包されているとの原告の主張は採用することができない。 エ原告は,本願明細書の上記記載に関し,オプションとしてのスイッチ761を設けない通常の実施態様では,ON/OFFスイッチ(スイッチ760)のON位置への移動によってだけ,燃料サプライから装置への燃料の搬送が行われるので あり,ゲートを制御するスイッチ761は本願補正発明とは関係のないものであるから,オプションのスイッチ761を含む実施態様であっても,本願補正発明を把握する場合には,すでにスイッチ761がONとされゲートが開になっていることを前提とすべきであるし,本願補正発明の特徴を記載した段落【0133】(図88b)にはオプションのスイッチについての言及がないから,本願補正発明においては,ON/OFFスイッチのON位置への移動だけで,燃料サプライから装置への燃料の搬送が行われるようになっていると考えるのが合理的であるなどと主張する。 しかし,前記認定のとおり,本願明細書の段落【0129】,【0130】には,操作抵抗を だけで,燃料サプライから装置への燃料の搬送が行われるようになっていると考えるのが合理的であるなどと主張する。 しかし,前記認定のとおり,本願明細書の段落【0129】,【0130】には,操作抵抗を増大させる手段であるスイッチ760(ON/OFFスイッチ)とは別に,燃料サプライに設けられたゲートを制御するスイッチ761を設ける構成とすることの利点及びその場合には,スイッチ760のON位置への移動だけでは燃料の搬送が行われないことが明記されており,スイッチ760(ON/OFFスイッチ自体)が燃料を装置に搬送する機能を備えている場合と,それ以外の場合とでは効果が異なるのであり,特許請求の範囲の記載上,燃料の搬送との関係について何ら特定されていない本願補正発明の「ON/OFFスイッチ」が,その実施態様(オプションスイッチ761の有無)に関わらず,当然に本願発明のON/OFFスイッチの構成(ON位置で燃料を装置に搬送する構成)を備えているものと解することはできない。 なお,原告は,仮に,本願補正発明が,ON/OFFスイッチのON位置への移動だけでは,燃料サプライから装置への燃料搬送が行われない構成であると考えるならば,そのようなスイッチがどのような働きをするか不明であり,本願補正発明の内容は不明瞭であるから,そもそも特許請求の範囲の減縮に該当するか否か判断できないというべきであるなどとも主張する。しかし,本願補正発明のON/OFFスイッチは,操作抵抗を増大させる手段であり,燃料サプライから装置への燃料搬送を行う機能を有しないからといって,そのこと自体をもって本願補正発明の内容が不明瞭となるものとはいえないし,この点を措くとしても,「燃料搬送を行う」 と特定されたON/OFFスイッチの構成と,そのような特定がないON/OFFスイッチの もって本願補正発明の内容が不明瞭となるものとはいえないし,この点を措くとしても,「燃料搬送を行う」 と特定されたON/OFFスイッチの構成と,そのような特定がないON/OFFスイッチの構成とを比較して,請求の範囲が減縮されたかどうかを判断することは可能である。 上記のほか,原告は,審査及び審判段階においても本訴と同様の主張を行っているなどとも主張するが,そのことが上記判断を左右するものではなく,原告の主張は失当である。 オしたがって,その余の原告の主張について判断するまでもなく,取消事由1の1は認められない。 (3) 以上によれば,取消事由1の2について判断するまでもなく,本件補正を却下すべきものであるとした審決の判断に誤りはない。 2 取消事由2(本願発明と引用発明との一致点の認定の誤り)について(1) 原告は,引用発明の板ばね64は,本願発明の「着脱の操作抵抗を増大させる手段」に該当しないと主張する。そこで検討すると,引用例1(甲5)には,以下の記載があることが認められる(図2は,別紙2のとおり)。 「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は燃料電池用燃料供給源に関する。 より詳細には,本発明は,可動障壁によって分離されている燃料貯蔵領域と廃棄物貯蔵領域とを有する燃料供給源に関する。」「【0004】燃料電池はポータブル電子装置で使用するための従来の電池よりも優れた利点を提供する場合があるが,いくつかの問題を提起する場合もある。例えば水素燃料電池の動作中に生成される廃棄物を処理又は貯蔵して,電子装置に悪影響を及ぼしたり,利用者を濡らしたりすることがないようにしなければならない。・・・最後に,燃料供給源によっては,ポータブル電子装置で利用するには危険であったり,高価であったり,不適切である場合がある。例 及ぼしたり,利用者を濡らしたりすることがないようにしなければならない。・・・最後に,燃料供給源によっては,ポータブル電子装置で利用するには危険であったり,高価であったり,不適切である場合がある。例えば圧縮水素ガスは爆発することがあり,利用者を危険にさらすことがある。同様に,液体水素は,極低温及び特殊な極低温貯蔵容器を必要とするので,生成し,かつ貯蔵するのに非常にコストがかかる場合がある。 【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は,安全かつ低コストで利用することができる燃料電池用燃料供給源の提供を課題とする。」「【0007】【発明の実施の形態】本発明は,ポータブル電子装置に電源を供給するために,燃料電池に取外し可能に接続できるように構成されている燃料供給源を提供する。装置の一例が,ラップトップコンピュータとして,図1に概して10で示される。装置内の燃料電池の配置の一例が,概略的に12 で示されており,燃料供給源の典型的な実施形態及び配置が概略的に20 で示されている。この電子装置は典型的には,利用者が燃料供給源20 を容易に挿入又は取外しできるように構成され,以下により詳細に記載されるソケット,差込口を含む。・・・」「【0008】図2~図4は,燃料供給源20 をさらに詳細に示す。燃料供給源20は,燃料溶液を貯蔵する燃料貯蔵領域24 及び,廃液を貯蔵する廃棄物貯蔵領域26を収容する外側容器22 を含む。燃料溶液は,燃料貯蔵領域24 から燃料溶液送出口 28 を介して燃料電池に送り出され,廃棄物は,廃棄物受入口30 を介して廃棄物貯蔵領域26 に受け入れられる。 【0009】燃料供給源20 は,燃料電池12 と相互接続するように,電子装置上に配置されているソケット内に嵌合するように構成されている。このソケットは, 廃棄物貯蔵領域26 に受け入れられる。 【0009】燃料供給源20 は,燃料電池12 と相互接続するように,電子装置上に配置されているソケット内に嵌合するように構成されている。このソケットは,概して図2の参照番号32 で示され,以下により詳細に記載される。・・・」「【0020】再び図2を参照すると,燃料供給源20 は,燃料供給性能を改善するための種々の他の造作,機構を含むことができる。例えば外側容器22 は,電子装置に対して燃料供給源20 を容易に挿入し又は取外しできるようにするためのハンドル60 を含む。ハンドル60 は,燃料供給源20 がソケットに挿入される方向に対して後端上に配置され,挿入を容易にする。さらにハンドル60 は,外側容器22 に旋回可能に取り付けられ(又は折り畳み可能に取り付けられ),ハンドル60 を,よりコンパクトに,より容易に握ることができるようにすることができる。また外側容器22 は,燃料供給源の接触部の内側に配置されている板ばね64 のような保持装置と係合するように構成されている1つ又は複数の保持構成要素62 も含むことがあ る。ハンドル60 及び保持構成要素62 は,成形されるか,又は外側容器22 の一部として形成される場合もあるが,あるいは外側容器に別個の部品として取り付けられる場合もある。」(2) 上記認定事実によれば,前記第2の3(1)のとおり,引用発明は,燃料供給源20の接触部の内側に配置された板ばね64と,この板ばね64と係合する燃料供給源20の外側容器22に設けられた保持構成要素62とを備えている。 そして,図2(別紙2)のとおり,板ばね64は,円弧状に湾曲され,一端がポータブル電子装置10のソケット32の内壁に固定され,保持構成要素62は,ソケット32に対する燃料供給源 とを備えている。 そして,図2(別紙2)のとおり,板ばね64は,円弧状に湾曲され,一端がポータブル電子装置10のソケット32の内壁に固定され,保持構成要素62は,ソケット32に対する燃料供給源20の着脱方向において離間する一対の隆起部で構成されている。したがって,燃料供給源20をポータブル電子装置10に装着する際には,板ばね64が,保持構成要素62の挿入側の隆起部に当たり,燃料供給源20を押し込む力によって変形し,隆起部を乗り越えた後,その弾性力により形状復元に向かって二つの隆起部の間の凹部に嵌り込むことになり,他方,燃料供給源20をポータブル電子装置10から外す際には,板ばね64が,燃料供給源20を引き抜く力によって変形し,隆起部を乗り越えて,保持構成要素62との係合を解除することになるから,利用者は,燃料供給源20をポータブル電子装置10に装着するにあたり,板ばね64の弾性力に抗して燃料供給源20をソケット32内に押し込む必要があり,あるいは,燃料供給源20をポータブル電子装置10から外すにあたり,板ばね64の弾性力に抗して燃料供給源20をソケット32から引き抜く必要があり,それら燃料供給源20の着脱の際に,板ばね64の弾性力に抗した変形による抵抗を受けることになる。 したがって,引用発明の「保持構成要素62」及び「板ばね64」は,「燃料供給源20のポータブル電子装置10に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段」であると認められるから,審決が,引用発明は,「燃料サプライの装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段」を有する,と認定したことに誤りはない。 (3) 原告の主張について 原告は,①引用発明では,燃料供給源20を電子装置から容易に装着・取り外す構成を設けることを主眼としていること,②引用発明の「板ばね64 とに誤りはない。 (3) 原告の主張について 原告は,①引用発明では,燃料供給源20を電子装置から容易に装着・取り外す構成を設けることを主眼としていること,②引用発明の「板ばね64のような保持装置」は,単に燃料供給源20の落下を防止する程度のものであり,仮に板ばね64により局所的に着脱の操作抵抗を増大させる力が働いたとしても,ハンドル60によってその効果は滅失し,ユーザが抵抗感を抱かないものであるから,板ばね64は,本願発明の「着脱の操作抵抗を増大させる手段」に該当しないと主張する。 確かに,引用発明の電子装置は,全体として,利用者が燃料供給源20を容易に挿入又は取り外しができるように構成されているものであるが(【0007】),構成要素のうち,板ばね64及び保持構成要素62の部分は,利用者が意図せずに燃料供給源20が電子装置から外れてしまうことなどがないように燃料供給源20をソケット内に嵌合するために設けられていることは,その構成上,自明であり,原告の上記主張①は採用することができない。 また,原告の上記主張②は,本願発明の「着脱の操作抵抗を増大させる手段」には,単に燃料供給源20の落下を防止する程度の操作抵抗を生じさせる手段は含まれないということを前提とするものと解されるが,本願発明の特許請求の範囲には,「着脱の操作抵抗を増大させる手段」の操作抵抗の程度を,一定の程度以上のものと特定する記載はないのであるから,原告の上記主張②は,その前提を欠き,採用することができない。 したがって,原告の上記主張はいずれも採用することができない。 (4) 以上によれば,審決の引用発明と本願発明との一致点の認定に誤りはなく,取消事由2は認められない。 3 取消事由3(引用例2に開示された事項の認定の誤り)について(1) 原告 きない。 (4) 以上によれば,審決の引用発明と本願発明との一致点の認定に誤りはなく,取消事由2は認められない。 3 取消事由3(引用例2に開示された事項の認定の誤り)について(1) 原告は,引用例2には,本願発明の構成要素(a)に相当する構成は開示されていないと主張する。そこで検討すると,引用例2(甲6,7)には,以下の記載があることが認められる(図1,3Aないし3Dは別紙3のとおり)。 「【0006】 簡単にまとめると,本発明では,それが電力を供給している装置 内に埋め込まれた燃料電池をはじめとする直接酸化燃料に迅速に,容易に且つ安全に燃料を補給することのできる装置が提供される。当該装置は,燃料電池に結合された燃料供給ポートと,前記燃料供給ポートと接続されるように形状及び大きさが決められている継ぎ手を有する燃料補給カートリッジとを備える。継ぎ手は燃料流路を備えており,当該燃料流路が開状態の際にカートリッジから燃料供給ポートに燃料が通過し得る。」「【0013】 本発明の代替の実施形態を図3A~3Dに示す。当該実施形態では,燃料供給ポート4は,その中心付近に管42の配置されている,非対称の「鍵穴」形状の凹部50を備えている。凹部50の上部76は,好ましくは,凹部の下部78とは異なる形状若しくは大きさ(又はその両方)である。また,内側表面44,46は,継ぎ手8の挿入及び回転によって継ぎ手8が燃料供給ポート4へと移動するように,粗いねじ山,好ましくは一回転にも満たないもの,を形成する。継ぎ手8の上部52と下部54は,凹部50の対応部に整合するように形状及び寸法が決められており,上述のようにキー合わせされた装置を形成し,ユーザが燃料供給ポート4と継ぎ手8とを誤った方向にて接続することが防止される。燃料供給ポート4はまた 対応部に整合するように形状及び寸法が決められており,上述のようにキー合わせされた装置を形成し,ユーザが燃料供給ポート4と継ぎ手8とを誤った方向にて接続することが防止される。燃料供給ポート4はまた,上述の管12に構造が類似する管42を有している。管42の近くにボールバルブ43が配置されている。 【0014】 燃料補給カートリッジ6は,管42を受容するよう設計されているチャンバ56を備える。継ぎ手8の外側端部58は,好ましくは,上述のものと同様のシール材料から構成される。チャンバ56と燃料リザーバ62との間には,ボールバルブ60が配置されている。燃料は,ドライブシャフト64,スリップクラッチプランジャ66,止め具70,スプリング80,ラチェットギア72及び容器74を含んで成るアセンブリを用いてリザーバ62から排出される。リザーバ62内の燃料残量の可視指標は,表示スロット68を通してもたらされる。 【0015】 ユーザは単に,燃料補給カートリッジ6を手でつかみ,継ぎ手8を燃料供給ポート4に接触して止まるまで挿入し,次いでカートリッジ8を時計回 りに回転させることで,図3A~3Dに記載される実施形態の発明を用いて燃料補給手順を実施することができる。この動作によって,継ぎ手8の部分52及び54は内部空間44,46においてそれぞれ回転し,継ぎ手は効果的に接続位置へと誘導され且つ固定される。同時に,外側端部58のシール材料は管42の周囲に液体不透過性のシールを形成し,また,管はボールバルブ60に接触し開状態位置へと移動させる。 【0016】 この時点で,ユーザは,容器74に,例えば時計回りにトルクをかけることができる。この動作によって,プランジャ66が前進し,燃料は,ボールバルブ60を通って,チャンバ56及び管42へと移動する。ユーザ この時点で,ユーザは,容器74に,例えば時計回りにトルクをかけることができる。この動作によって,プランジャ66が前進し,燃料は,ボールバルブ60を通って,チャンバ56及び管42へと移動する。ユーザは,背圧を感じるであろうし,スリップクラッチプランジャ66は,燃料の最大圧を制限するために,ユーザが過剰のトルクをかけることを防止すべく機能する際に,聞き取れる「カチッ」という音などのフィードバックをユーザにもたらすであろう。十分な圧力がかかると(即ち,圧力がボールバルブ43の閾圧より高い場合),管42内の燃料はバルブ43を開状態とし,燃料は燃料電池のリザーバへと通過するであろう。 燃料電池のリザーバが満たされると,スリップクラッチプランジャ66に停止力が加わるのに十分なまで背圧が高くなり,聞き取れるカチッという音が放出される。 ユーザは,今度は,カートリッジを反時計方向に回転させることで,燃料補給カートリッジ6を燃料供給ポート4から外すことができる。これによって,スリップクラッチプランジャ66及び管42内の燃料の圧力が緩和される。圧力が低下すると,ボールバルブ43は閉状態となり,それによって,管42への燃料の逆流が防止され,継ぎ手をさらに回転させた際の漏れが防止される。また,カートリッジを反時計方向に回転させることによって,ラチェットギア72が咬み合い,それによって今度は,継ぎ手4の内側表面44,46内部で継ぎ手8の構造52,54が回転し,管42がボールバルブ60から離れ,燃料が遮断される。継ぎ手8の表面52,54と継ぎ手4の内側表面44,46とが互いに接触するため,さらなる反時計方向への回転は防止される。次いで,ユーザは,それら要素を互いに引き離すことがで きる。」(2)ア上記認定事実によれば,引用例2には,以下の事項が記載さ に接触するため,さらなる反時計方向への回転は防止される。次いで,ユーザは,それら要素を互いに引き離すことがで きる。」(2)ア上記認定事実によれば,引用例2には,以下の事項が記載されていると認められる。 「燃料補給カートリッジ6と,装置であって,燃料電池により電力が供給され,上記燃料補給カートリッジ6の燃料リザーバ62に貯蔵されている燃料を上記燃料電池のリザーバに通過して電気が生成され当該装置に電力が供給されるようになすように,上記燃料補給カートリッジ6の継ぎ手8を燃料供給ポート4に挿入するように構成された,上記装置と,上記燃料補給カートリッジ6を上記装置の燃料供給ポート4に接続させる手段を有し,上記接続させる手段は,以下の(a)の構成要素を有する燃料電池に燃料を補給するための装置。 (a)ボールバルブ60を有する第1のバルブ要素とボールバルブ43を有する第2のバルブ要素。 当該ボールバルブ60を有する第1のバルブ要素は,上記燃料補給カートリッジ6の継ぎ手8に設けられ,当該ボールバルブ43を有する第2のバルブ要素は上記装置の燃料供給ポート4に設けられ,当該ボールバルブ60を有する第1のバルブ要素およびボールバルブ43を有する第2のバルブ要素が相互に開状態となり燃料を上記燃料補給カートリッジ6から燃料電池に結合された上記装置の燃料供給ポート4に移動するために,上記燃料補給カートリッジ6の継ぎ手8を上記装置の燃料供給ポート4に挿入し,次いで回転させ,さらに上記燃料補給カートリッジ6の容器74を回転させてプランジャ66を前進させる。」イ上記引用例2に開示された事項によれば,燃料補給カートリッジ6を装着する際には,「燃料補給カートリッジ6の挿入と回転の二つの操作」に伴う抵抗を受けることになり,燃料補給カート を前進させる。」イ上記引用例2に開示された事項によれば,燃料補給カートリッジ6を装着する際には,「燃料補給カートリッジ6の挿入と回転の二つの操作」に伴う抵抗を受けることになり,燃料補給カートリッジ6を外す際には,「燃料補給カートリッジ6の逆方向への回転と引抜きの二つの操作」に伴う抵抗を受けることになる。したがっ て,引用例2には,「燃料サプライ(燃料補給カートリッジ)の装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段」であって,本願発明の構成要素(a)に相当する構成(「当該第1のバルブ要素は上記燃料サプライに取り付けられ,当該第2のバルブ要素は上記装置に取り付けられ,当該第1のバルブ要素および第2のバルブ要素が相互に連結して燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送するために相対的に少なくとも2つの方向に移動可能である。」)が開示されていると認められる。 (なお,前記アの認定のとおり,燃料補給カートリッジ6を装置の燃料供給ポート4に接続させる手段が,装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段であることからすれば,そもそも引用例2に開示された事項は,本願発明の構成要件をすべて満たし,同一の発明である。)(3) 原告の主張についてア上記認定に対し,原告は,引用例2において生じる操作抵抗は,着脱に通常必要とされる構成に起因して生じるものであり,本願発明の「上記燃料サプライの上記装置に対する着脱の操作抵抗を増大させる手段」には当たらないと主張する。 しかし,原告の主張は,本願発明の「着脱の操作抵抗を増大させる手段」には,一定程度以上の操作抵抗を生じさせる手段のみが含まれるということを前提とするものと解されるところ,前記2(3)のとおり,本願発明の特許請求の範囲には,「着脱の操作抵抗を増大させる手段」の操作抵抗の程度を,一定の の操作抵抗を生じさせる手段のみが含まれるということを前提とするものと解されるところ,前記2(3)のとおり,本願発明の特許請求の範囲には,「着脱の操作抵抗を増大させる手段」の操作抵抗の程度を,一定の程度以上のものと特定する記載はないのであるから(本願発明自体が,引用例2において開示された事項と同じ,第1バルブ要素及び第2バルブ要素が相対的に少なくとも二つの方向に移動可能であるという構成を,操作抵抗を増大させる手段の一つとして挙げている。),原告の上記主張は,その前提を欠き,採用することができない。 イまた,原告は,①引用例2では,燃料補給カートリッジ6を燃料供給ポート4に挿入・回転させる時点では燃料は搬送可能でないし,②ボールバルブ43(第2のバルブ)と,ボールバルブ60(第1のバルブ)の間には管42があり,両バルブが相互に連結するものでないから,引用例2には本願発明の構成(a)に相当 する構成は開示されていないと主張する。 (ア) 上記主張①については,確かに,前記(2)アのとおり,引用例2に開示された事項においては,燃料補給カートリッジ6の継ぎ手8に設けられた第1のバルブ要素と燃料供給ポート4に設けられた第2のバルブ要素を最終的に開状態として燃料を搬送可能とするためには,燃料補給カートリッジ6の挿入と回転の二つの操作の後に,さらに別の操作(燃料補給カートリッジ6の容器74の回転操作)が必要である。しかし,本願発明の特許請求の範囲の記載は,燃料を燃料サプライから装置に搬送するために相対的に「少なくとも」二つの方向に移動可能というものであり,燃料サプライから装置への燃料の搬送のために,二つの方向への動作に加えて,別の動作を要するものもこれに含まれると解されるから,引用例2に開示された事項は,本願発明の「燃料を上記燃料サプ ものであり,燃料サプライから装置への燃料の搬送のために,二つの方向への動作に加えて,別の動作を要するものもこれに含まれると解されるから,引用例2に開示された事項は,本願発明の「燃料を上記燃料サプライから上記装置に搬送するために相対的に少なくとも2つの方向に移動可能である」という構成に相当する。したがって,原告の主張①は採用することができない。 (イ) また,上記主張②については,確かに,引用例2記載のボールバルブ43(第2のバルブ)と,ボールバルブ60(第1のバルブ)の間には管42があり,両ボールバルブ同士が相互に連結するものではない。したがって,審決が,引用例2に開示された事項について,「ボールバルブ60(第1のバルブ要素)およびボールバルブ43(第2のバルブ要素)が相互に開状態となり(連結して)燃料を・・移動(搬送)するために相対的に挿入と回転により(二つの方向に)移動可能である。」と認定した趣旨が,ボールバルブ60及びボールバルブ43自体が第1のバルブ要素及び第2のバルブ要素であり,ボールバルブ同士が直接「連結」するという構成であるという意味であれば,同認定は誤っているといえる。 しかし,引用例2に記載されたボールバルブ43と60とは,弁体としての「ボール」自体を指しているところ(別紙3の図3B及び3D参照),当該ボール(弁体)がバルブとして機能するためには,弁体を離接させるための弁座,ハウジング等が必要であるのが通常であり,引用例2においても,装置側の燃料供給ポート4には, ボールバルブ43からなるバルブ装置として,弁体としてのボールのみならず,弁座,弁体を弁座に付勢するバネ部材,流路あるいは相手側のボールバルブ60を駆動する駆動部材としての管42及びそれらを保持するハウジングが,燃料補給カートリッジ6についても してのボールのみならず,弁座,弁体を弁座に付勢するバネ部材,流路あるいは相手側のボールバルブ60を駆動する駆動部材としての管42及びそれらを保持するハウジングが,燃料補給カートリッジ6についても,ボールバルブ60からなるバルブ装置として,同じく弁体としてのボールのみならず,弁座,弁体を弁座に付勢するバネ部材,流路及びそれらを保持するハウジングが,それぞれ設けられており(【0013】~【0015】),これらがそれぞれ一体となってバルブの機能を果たすための各「バルブ要素」を構成するものと認められる。本願発明の請求項1に記載された「バルブ要素」も,このようなバルブとしての機能を発揮するひとまとまりのバルブ装置をいうものと解するのが相当である。そして,引用例2においては,燃料を補給するために,燃料補給カートリッジ6を燃料供給ポート4に挿入し,次いで回転させて取り付けるものであり,このような動作により,燃料補給カートリッジ6側と燃料供給ポート4側がそれぞれ有するボールバルブ(弁体),弁座,バネ部材,ハウジング等からなる,ひとまとまりのバルブ装置(バルブ要素)同士が,相互に連結されることになる。 以上からすれば,引用例2には,前記(2)イの認定のとおり,ボールバルブ60を有する第1のバルブ要素(ひとまとまりのバルブ装置)と,ボールバルブ43を有する第2バルブ要素(ひとまとまりのバルブ装置)を有し,これらのバルブ要素が相互に連結する構成が開示されているといえるから,審決の上記認定が誤っているとしても,引用例2に,本願発明の構成要素(a)に相当する構成が開示されているとの審決の判断を左右するものではない。したがって,原告の主張②も採用することができない。 (4) 以上によれば,原告の主張する取消事由3は,理由がない。 4 結論よって,原告の各 されているとの審決の判断を左右するものではない。したがって,原告の主張②も採用することができない。 (4) 以上によれば,原告の主張する取消事由3は,理由がない。 4 結論よって,原告の各取消事由の主張にはいずれも理由がなく,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官設樂一 裁判官大寄麻代 裁判官大須賀滋は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官設樂一 (別紙1) 本願明細書の図85 本願明細書の図88b 本願明細書の図87 (別紙2) 引用例1の図2 (別紙3) 引用例2の図1 引用例2の図3Aないし3D
▼ クリックして全文を表示