平成23(ネ)10004 特許権侵害差止等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成23年11月30日 知的財産高等裁判所 3部 判決 控訴棄却 東京地方裁判所 平成21(ワ)35184
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判決文本文26,894 文字)

- 1 -平成23年11月30日判決言渡平成23年(ネ)第10004号特許権侵害差止等請求控訴事件(原審東京地方裁判所平成21年(ワ)第35184号)口頭弁論終結日平成23年7月11日判決 控訴人(第1審原告) パイオニア株式会社 訴訟代理人弁護士佐長功同服部誠同江幡奈歩訴訟代理人弁理士加藤志麻子 被控訴人(第1審被告) 株式会社ナビタイムジャパン 訴訟代理人弁護士熊倉禎男同渡辺光同小林正和訴訟代理人弁理士近藤直樹同越柴絵里補佐人弁理士鈴木信彦主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人(第1審原告)の負担とする。 事実 及び理由 第1 控訴の趣旨- 2 - 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人(第1審被告)(以下「被告」という。)は,別紙物件目録記載1のナビゲーション装置に含まれるサーバーを使用してはならない。 3 被告は,別紙物件目録記載2のプログラムを譲渡等(譲渡,貸渡し,電気通信回線を通じた提供をいう。)し,譲渡等の申出をしてはならない。 4 被告は,別紙物件目録記載3のプログ してはならない。 3 被告は,別紙物件目録記載2のプログラムを譲渡等(譲渡,貸渡し,電気通信回線を通じた提供をいう。)し,譲渡等の申出をしてはならない。 4 被告は,別紙物件目録記載3のプログラムを抹消せよ。 5 被告は,控訴人(第1審原告)(以下「原告」という。)に対し,金10億円及びこれに対する平成21年10月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 訴訟費用は,第1審,第2審を通じて,被告の負担とする。 第2 事案の概要以下,略語は,当裁判所も原判決と同一のものを用いる。また,別紙被告装置説明書及び別紙各特許公報は,原判決のものを引用する。 本件は,発明の名称を「車載ナビゲーション装置」とする特許発明に係る特許権(2件)を有する原告が被告に対し,被告の提供するナビゲーションサービスに係る装置等は,当該各特許発明の構成要件を充足し,被告がユーザに当該サービスを使用させ,又は当該サービスに供する装置を生産することによって原告の各特許発明を実施して当該各特許権を侵害し,かつ,当該サービスに供する携帯端末用のプログラムを譲渡等する行為は当該各特許権の間接侵害に該当する等と主張して,①上記使用による特許発明の実施(特許権侵害)を理由とする別紙物件目録記載1のナビゲーション装置に含まれるサーバーの使用の差止め(特許法100条1項)及び別紙物件目録記載3のプログラムの廃棄(同条2項),②上記生産による特許発明の実施(特許権侵害)又は前記間接侵害を理由とする別紙物件目録記載2の携帯端末用プログラムの譲渡等及び譲渡等の申出等の差止め(同条1項)をそれぞれ求めるとともに,③上記ナビゲーションサービスの使用による侵害に基づくロイヤリティ相当額の損害賠償金4億3200万円(民法709条,特許法102条3項)- 3 -のう 差止め(同条1項)をそれぞれ求めるとともに,③上記ナビゲーションサービスの使用による侵害に基づくロイヤリティ相当額の損害賠償金4億3200万円(民法709条,特許法102条3項)- 3 -のうち2億円,及び,上記携帯端末用プログラムの譲渡等による間接侵害に基づくロイヤリティ相当額の損害賠償金16億5000万円(民法709条,特許法102条3項)のうち8億円の合計10億円,並びに,これに対する訴状送達の日の翌日である平成21年10月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原判決は,被告装置は,本件各特許発明の構成要件である「車載ナビゲーション装置」を充足せず,本件各特許発明の技術的範囲に属しない等と判示して,原告の請求をいずれも棄却した。 原告は,原判決を不服として控訴し,控訴の趣旨記載の判決を求めた。 1 争いのない事実等原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の「1 争いのない事実等」(原判決3頁2行目から7頁10行目)記載のとおりであるから,引用する。 2 争点原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の「2 争点」(原判決7頁11行目から8頁24行目)記載のとおりであるから,引用する。 3 争点についての当事者の主張次のとおり付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 争点についての当事者の主張」(原判決8頁25行目から108頁15行目)記載のとおりであるから,引用する。 (1) 原判決30頁12行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。 「すなわち,ディスプレイの表示は,『第1記憶手段』に記憶された複数のサービス施設に関するデータが読み出され,読み出されたデータに『応じて』行われているといえる。」(2) 原判決35頁4行目の後に, なわち,ディスプレイの表示は,『第1記憶手段』に記憶された複数のサービス施設に関するデータが読み出され,読み出されたデータに『応じて』行われているといえる。」(2) 原判決35頁4行目の後に,行を改めて,次のとおり挿入する。 「また,被告サービスにおいて,サービス施設のデータは,ユーザからの要求に応じてその都度検索され,抽出されたものであるから,『データ』と『複数のサー- 4 -ビス施設』との表示は直接的な対応関係になく,表示データに『応じて』複数のサービス施設を表示器に表示させるともいえない。」 4 当審において追加された当事者の主張(1) 均等侵害について(原告の主張-予備的主張)以下のとおり,被告装置における「携帯電話端末とサーバーを電話通信回線で接続して行うナビゲーションサービス」は,本件特許発明1及び本件特許発明2の「車載ナビゲーション装置」と均等である。 ア本件特許発明1の本質的部分は,目的地が設定される毎に目的地座標データをメモリの異なる記憶位置に書き込んでおき,目的地設定の際に当該メモリに記憶された目的地座標データを読み出して目的地を設定するとの構成部分にあり,また,本件特許発明2の本質的部分は,「ユーザ地点登録機能」において,簡単な操作で地点登録が実現でき,地点座標データが示す地図上の地点を所定のパターンにより地図に重畳して表示する構成部分にある。したがって,被告装置のうち,本件各特許発明の構成(「車載ナビゲーション装置」)と異なる部分は,本件各特許発明の本質的部分ではないから,被告装置は,均等の第1要件を充足する。 イ本件特許発明1の課題解決原理は,過去に設定した目的地と同一の目的地を設定する場合には簡単な操作により目的地の設定を可能とすることであり(本件明細書1の段落【0003】),また 件を充足する。 イ本件特許発明1の課題解決原理は,過去に設定した目的地と同一の目的地を設定する場合には簡単な操作により目的地の設定を可能とすることであり(本件明細書1の段落【0003】),また,本件特許発明2の課題解決原理は,面倒な操作をすることなくユーザ地点登録を可能とすることである(本件明細書2の段落【0003】)。被告装置は,ナビゲーション装置の構成の一部を車両外の被告サーバーにより実現しているが,本件各特許発明とその課題解決原理において同一である。したがって,被告装置は,均等の第2要件を充足する。 ウ被告装置は,その製造時において,ナビゲーション装置を車両の外に設けられたサーバーを含めて構成することは当業者において周知であったから(甲44),「車載ナビゲーション装置」を被告装置のような構成に置換することは,当業者に- 5 -とって容易である。したがって,被告装置は,均等の第3要件を充足する。 エ被告装置は,本件特許発明1及び本件特許発明2の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから同出願時に容易に推考できたものではない。したがって,被告装置は,均等の第4要件を充足する。 オ本件各特許発明の出願過程等において,「『車両には搭載されていない被告サーバー』と『ユーザにおいて保持する本件携帯端末等』からなる(ナビゲーションサービス)」について,発明の技術的範囲に属しない旨を意識的に除外したことはない。したがって,被告装置は,均等の第5要件を充足する。 (被告の反論)ア時機に後れた主張等について原告の予備的主張は,原審においては一度も触れられていなかった論点で,控訴審において初めてされた主張であり,時機に後れたものとして却下されるべきである。なお,原告の均等に係る主張は,本件特許発明1の構成要件1-A及び ,原審においては一度も触れられていなかった論点で,控訴審において初めてされた主張であり,時機に後れたものとして却下されるべきである。なお,原告の均等に係る主張は,本件特許発明1の構成要件1-A及び1-F,並びに,本件特許発明2の構成要件2-A及び2-H(「車載ナビゲーション装置」)の充足性に係るものである。しかし,被告装置は,本件各特許発明の構成要件2-Bないし2-E及び2-Gの充足性も欠くから,均等の主張により,原告の請求が肯定されるものではない。 イ均等の主張に対する反論以下のとおり,被告装置における「『車両には搭載されていない被告サーバー』と『ユーザにおいて保持する本件携帯端末等』からなる(ナビゲーションサービス)」は,本件特許発明1及び本件特許発明2の「車載ナビゲーション装置」と均等であるとはいえない。 (ア) 第1要件について以下のとおり,「車載ナビゲーション装置」における「車載」は,本件各特許発明の本質的部分である。 すなわち,本件明細書1及び本件明細書2において,本件各特許発明が,使用可- 6 -能な記憶媒体としてCD-ROMあるいはDAT,ICカードなどの小型記録媒体を用いることが前提とされ,CD-ROM等を使用しないことを提案するものでないこと等に照らせば,「車載ナビゲーション装置」の「車載」は,本件各特許発明の本質的部分であるというべきである。 (イ) 第2要件について被告装置の「携帯電話端末とサーバーを電話通信回線で接続して行うナビゲーションサービス」は,本件各特許発明における「車載ナビゲーション装置」とは,以下のとおり,課題解決原理,作用効果等において相違するから,置換可能とはいえない。 すなわち,①本件特許発明は,目的地座標データとして目的地の属性のついたデータをまとめて記憶する(本 置」とは,以下のとおり,課題解決原理,作用効果等において相違するから,置換可能とはいえない。 すなわち,①本件特許発明は,目的地座標データとして目的地の属性のついたデータをまとめて記憶する(本件特許発明1)のに対し,被告装置は,サーバーの記憶容量の大きさと処理速度の速さ等から,過去に使用された全ての検索履歴のデータの中から任意(具体的にはカテゴリ)の条件により選択することが可能であり,目的地を,過去に目的地として設定した場所のデータ以外のデータ等からも広く検索し,選択できる点で,解決原理において相違する,②本件特許発明は,「複数のサービス施設を示す表示データを記憶した第1記憶手段」,及び,これを「読み出して」,「応じて」,「表示する」は,地域毎の種類別サービス施設のデータをまとめてCD-ROM等の小型記憶媒体に記憶させ,これをそのまま読み出し表示する(本件特許発明2)のに対し,被告装置は,サーバーの記憶容量の大きさと処理速度の速さ等からすべての施設のデータの中から任意の条件により選択することが可能であるから,自動車の存在する地域に関係なく,検索条件に従って選択できる膨大なデータベースを「店舗施設全文検索サーバー」に保存し,これを随時検索する点で,解決原理において相違する,③本件各特許発明の車載ナビゲーション装置は,スタンドアローンの装置であり,電話通信回線の混雑・不通状態でも使用することができるのに対し,被告装置は,携帯端末に対するサービスであるから,サーバー接続ができないこと,本件各特許発明の車載ナビゲーション装置は,当該装置- 7 -を搭載した車両においてのみ使用が可能であるのに対し,被告装置は一定の電話会社の携帯電話端末を有している者であれば,どの車両に搭乗しても使用可能である点で,解決原理において相違する,④また,被告装 を搭載した車両においてのみ使用が可能であるのに対し,被告装置は一定の電話会社の携帯電話端末を有している者であれば,どの車両に搭乗しても使用可能である点で,解決原理において相違する,④また,被告装置は,サーバーに地図データや検索履歴を保管し,ルート検索処理を担わせることにより,携帯電話端末におけるデータの保存に要するメモリ容量を著しく減らすことが可能である,地図,サービス施設等の情報を表示することが可能である,迅速かつ高度な検索が可能であるなどの点で,本件各特許発明の車載ナビゲーション装置と,解決原理において相違する。 したがって,本件各特許発明における「車載ナビゲーション装置」を被告装置の「携帯電話端末とサーバーを電話通信回線で接続して行うナビゲーションサービス」への置換は可能といえない。 (2) 本件特許発明2についての無効理由の存在(被告の主張)本件特許発明2には,以下の無効理由がある。 ア本件特許発明2の新規性欠如(乙7発明に基づく新規性欠如)本件特許発明2は,乙7発明と構成が同一であり,作用及び効果も一致する。 したがって,本件特許発明2は,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができない。 イ本件特許発明2の進歩性欠如(乙7発明に基づく容易想到)仮に,本件特許発明2と乙7発明とは,本件特許発明2の構成要件2-C及び2-Dにおいて相違するとしても,同相違点に係る構成は,乙7発明に,乙6発明,乙8発明,乙10発明及び乙26発明(乙26の図4には,ディスプレイ画面上に地図を表示するとともに,ホテル,駐車場,ガソリンスタンド,ディーラ等の複数の施設名称を表示する「ガイドメニュー」をディスプレイ画面の所定位置(画面の上部及び下部)に表示させ,施設名称の該当箇所を指で触ることによって,所望の施 ,駐車場,ガソリンスタンド,ディーラ等の複数の施設名称を表示する「ガイドメニュー」をディスプレイ画面の所定位置(画面の上部及び下部)に表示させ,施設名称の該当箇所を指で触ることによって,所望の施設を選択できることが記載されている。)を適用することにより,容易に想到し- 8 -得る。 したがって,本件特許発明2は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 ウ本件特許発明2の進歩性欠如(乙9発明に基づく容易想到)本件特許発明2と乙9発明とは,本件特許発明の構成要件2-B,2-C,2-D及び2-Eにおいて相違するとしても,同相違点に係る構成は,乙9発明に乙6発明を適用することにより,当業者は,本件特許発明2に容易に想到し得る。 したがって,本件特許発明2は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 (原告の反論)本件特許発明2に無効理由があるとの被告の主張は,以下のとおり失当である。 ア乙7に基づく新規性欠如の主張に対し本件特許発明2と乙7発明とは,以下のとおりの相違点があり,同一ではない。 (ア) 本件特許発明2においては,第1記憶手段から表示データを読み出して当該表示データに応じて複数のサービス施設を表示器に表示させる手段,及び,当該表示器に表示された複数のサービス施設のうちの1つのサービス施設を操作に応じて指定する手段が備えられているのに対し,乙7発明においては,登録候補地点を1つずつ地図上に表示させるとともに,併せてその記事情報(地点名称等)を表示する手段と,1つの登録候補地点が示されている時に,これを登録地点にセットする地点登録手段が備えられているにすぎない点(構成要件2-C,2-D)(イ) 本件特許発明2は,指定された1つのサービス施設に対応する地点座標データを前記 されている時に,これを登録地点にセットする地点登録手段が備えられているにすぎない点(構成要件2-C,2-D)(イ) 本件特許発明2は,指定された1つのサービス施設に対応する地点座標データを前記第1記憶手段から読み出す手段を備えるのに対し,乙7発明には,このような読み出す手段が設けられていない点(構成要件2-E)(ウ) 本件特許発明2における表示手段は,地図が表示されているときに第2記憶手段から当該登録した地点の座標データを読み出してその座標データが示す地図上の地点を所定のパターンにより地図に重畳して前記表示器に表示させるのに対し,- 9 -乙7発明の表示手段は,地図が表示されていても,当該地図に含まれる登録地点を表示するためには,「地点」キーを順次押下して,1つずつ表示させなければならない点(構成要件2-G)以上のとおり,本件特許発明2と乙7発明とは,同一とはいえない。 イ乙7発明に基づいて容易想到であるとの主張に対し本件特許発明2の上記相違点に係る構成は,乙6,乙8,乙10及び乙26の記載の技術を適用することによって,当業者が容易に想到し得るとはいえない。 ウ乙9発明に基づいて容易想到であるとの主張に対し本件特許発明2と乙9発明とは,以下のとおりの相違点がある。 (ア) 本件特許発明2の第1記憶手段には,複数のサービス施設を示す表示データ及び各サービス施設の存在地点を示す地点座標データが予め記憶されているのに対し,乙9発明のメモリには,地図情報が記憶されているにすぎない点(構成要件2-B)(イ) 本件特許発明2においては,第1記憶手段から前記表示データを読み出してその前記表示データに応じて前記複数のサービス施設を前記表示器に表示させる手段を有するのに対し,乙9発明においては,地図メモリから現在位置に対応す おいては,第1記憶手段から前記表示データを読み出してその前記表示データに応じて前記複数のサービス施設を前記表示器に表示させる手段を有するのに対し,乙9発明においては,地図メモリから現在位置に対応するエリアの地図情報を呼び出して表示する手段を有するにすぎない点(構成要件2-C)(ウ) 本件特許発明2においては,表示器に表示された複数のサービス施設のうちの1のサービス施設を操作に応じて指定する手段を有するのに対し,乙9発明においては,表示された地図の任意の位置を指定する手段を有するにすぎない点(構成要件2-D)(エ) 本件特許発明2においては,指定された1のサービス施設に対応する地点座標データを前記第1記憶手段から読み出す手段を有するのに対し,乙9発明においては,指定された任意の地点の座標データを読み出す手段を有するにすぎない点(構成要件2-E)- 10 -本件特許発明2は,地図上に存在するサービス施設のうち,ユーザに必要なものの存在地点を地図上で表示するための登録機能に関する発明であり,当該登録を面倒な操作をすることなく実現できるようにしたものであるのに対し,乙9発明は,地図上の任意の点に対して,地点の登録をする発明にすぎず,両者は異なる技術思想に基づく発明であり,乙6発明は,地点登録機能とは無関係な発明であるから,本件特許発明2の相違点に係る構成は,乙9発明に乙6発明を適用することによって,容易に想到し得るとはいえない。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,以下のとおり,被告装置は,本件各特許権の文言侵害に当たらず,また,均等侵害にも当たらないものと判断する。 1 争点(1) ア及び争点(2) アについて--「車載ナビゲーション装置」該当性の有無(構成要件1-A及び1-Fの充足性,構成要件2-A及び2-Hの充足性の 侵害にも当たらないものと判断する。 1 争点(1) ア及び争点(2) アについて--「車載ナビゲーション装置」該当性の有無(構成要件1-A及び1-Fの充足性,構成要件2-A及び2-Hの充足性の有無)について当裁判所は,被告装置は,構成要件1-A,1-F,2-A及び2-H所定の「車載ナビゲーション装置」に該当しないと判断する。その理由は,以下のとおりである。 (1) 「車載ナビゲーション装置」の意義--特許請求の範囲の記載本件各特許発明の構成要件は,以下のとおりである。 「[本件特許発明1]1-A 目的地を設定しその設定した目的地を示す目的地座標デ―タ及び車両の現在地を示す現在地座標デ―タに基づいて現在地から目的地に至る航行情報を表示する車載ナビゲ―ション装置であって,1-B 目的地座標デ―タを記憶するための記憶位置を複数有するメモリと,1-C 目的地が設定される毎にその目的地を示す目的地座標デ―タを前記メモリの少なくとも前回の目的地座標デ―タの記憶位置とは異なる記憶位置に書き込む手段と,- 11 -1-D 目的地の設定の際に前記メモリに記憶された目的地座標デ―タを読み出す読出し手段と,1-E 読み出された目的地座標デ―タのうちから1の目的地座標デ―タを操作に応じて選択し前記1の目的地座標デ―タの選択によって目的地を設定する手段とを含むことを特徴とする1-F 車載ナビゲ―ション装置。 [本件特許発明2]2-A 地図を表示器に表示する車載ナビゲーション装置であって,2-B 複数のサービス施設を示す表示データ及び各サービス施設の存在地点を示す地点座標データを予め記憶した第1記憶手段と,2-C 前記第1記憶手段から前記表示データを読み出してその前記表示データに応じて前記複数のサービス施設を前記表示 タ及び各サービス施設の存在地点を示す地点座標データを予め記憶した第1記憶手段と,2-C 前記第1記憶手段から前記表示データを読み出してその前記表示データに応じて前記複数のサービス施設を前記表示器に表示させる手段と,2-D 前記表示器に表示された複数のサービス施設のうちの1のサービス施設を操作に応じて指定する手段と,2-E 指定された1のサービス施設に対応する地点座標データを前記第1記憶手段から読み出す手段と,2-F 読み出された地点座標データを記憶する第2記憶手段と,2-G 前記表示器に地図が表示されているとき前記第2記憶手段から地点座標データを読み出してその地点座標データが示す地図上の地点を所定のパターンにより地図に重畳して前記表示器に表示させる手段とを含むことを特徴とする2-H 車載ナビゲーション装置。」本件特許発明1に係る特許請求の範囲の記載によれば,構成要件「1-F」に係る「車載ナビゲーション装置」は,「1-B」ないし「1-E」記載の各手段を含んだ,車に積み込まれているナビゲーション装置であることを必須の要件として規定する。また,本件特許発明2に係る特許請求の範囲の記載によれば,構成要件- 12 -「2-H」に係る「車載ナビゲーション装置」は,「2-B」ないし「2-G」記載の各手段を含んだ,車に積み込まれているナビゲーション装置であることを要件として規定する。 ところで,「車載」の語義は,「車に荷物などを積みのせること。」,「荷物などを車に積むこと。」,「車に積みのせること。」(甲22ないし甲25)であることに照らすならば,「車載ナビゲーション装置」は,車両に積みのせられて,常時その状態に置かれている「ナビゲーション装置」を意味するものと解される。その理由は,以下のとおりである。 (2) 「車載ナ に照らすならば,「車載ナビゲーション装置」は,車両に積みのせられて,常時その状態に置かれている「ナビゲーション装置」を意味するものと解される。その理由は,以下のとおりである。 (2) 「車載ナビゲーション装置」の意義--各明細書の記載の参照「車載ナビゲーション装置」の意義を詳細に検討するため,各明細書の記載を参照する。 ア本件明細書1の発明の詳細な説明には,「車載ナビゲーション装置」に関して,次のとおり記載されている(甲2の1)。 【0002】【背景技術】地図の道路上の各点を数値化して得られる道路データを含む地図データをCD-ROM等の記憶媒体に記憶しておき,車両の現在地を認識しつつその現在地を含む一定範囲の地域の地図データ群を記憶媒体から読み出して車両の現在地周辺の地図としてディスプレイ上に映し出すとともに,その地図上に車両の現在地を示す自車位置を自動表示させる車載ナビゲーション装置は例えば,特開昭63-12096号公報に開示され既に公知である。 【0003】かかる車載ナビゲーション装置においては,現在地から目的地に至る航行情報としての方位及び距離を方位センサ及び距離センサ等のセンサの出力に応じて算出してディスプレイ上に表示することも行なわれている。目的地は運転者等のユーザのキー操作によりデータ入力されてメモリに目的地座標データとして記憶される。メモリに目的地座標データが記憶されている限り,その目的地座標データに基づいて現在地から目的地に至る方位及び距離が算出されてディスプレイ上に表示されるが,車両の走行時に現在地から目的地までの距離が所定値以下になったと- 13 -き車両が目的地に到着したとして目的地座標データがメモリから自動的に消去されて方位及び距離が表示されなくなる。従って,従来の装置においては,前回と同一の目的 距離が所定値以下になったと- 13 -き車両が目的地に到着したとして目的地座標データがメモリから自動的に消去されて方位及び距離が表示されなくなる。従って,従来の装置においては,前回と同一の目的地を新たな目的地として設定する場合であっても複雑なキー操作により設定する必要があった。 【0004】【発明の目的】本発明の目的は,過去に設定した目的地と同一の目的地を設定する場合には簡単な操作で目的地を設定することができる車載ナビゲーション装置を提供することである。 【0005】【発明の構成】本発明の車載ナビゲーション装置は,目的地を設定しその設定した目的地を示す目的地座標データ及び車両の現在地を示す現在地座標データに基づいて現在地から目的地に至る航行情報を表示する車載ナビゲーション装置であって,目的地座標データを記憶するための記憶位置を複数有するメモリと,目的地が設定される毎にその目的地を示す目的地座標データを前記メモリの少なくとも前回の目的地座標データの記憶位置とは異なる記憶位置に書き込む手段と,目的地の設定の際にメモリに記憶された目的地座標データを読み出す手段と,読み出された目的地座標データのうちから1の目的地座標データを操作に応じて選択し1の目的地座標データの選択によって目的地を設定する手段とを含むことを特徴としている。 【0007】【実施例】図1は本発明による車載ナビゲーション装置の一実施例を示すブロック図である。本ナビゲーション装置において,方位センサ1は車両の走行方位を検出し,角速度センサ2は車両の角速度を検出し,距離センサ3は車両の走行距離を検出するためのものであり,GPS(GlobalPositioningSystem) 装置4は経度及び緯度情報等から車両の絶対的な位置を検出するためのものであり,これら各センサ(装置 走行距離を検出するためのものであり,GPS(GlobalPositioningSystem) 装置4は経度及び緯度情報等から車両の絶対的な位置を検出するためのものであり,これら各センサ(装置)の検出出力はシステムコントローラ5に供給される。方位センサ1としては,例えば地磁気(地球磁界)によって車両の走行方位を検出する地磁気センサが用いられる。また,距離センサ3は車両のドライブシャフト(図示せず)の所定角度の回転毎にパルスを発生するパルス発生器からなる。…- 14 -【0008】システムコントローラ5は各センサ(装置)1~4の検出出力を入力としA/D(アナログ/ディジタル)変換等の処理を行なうインターフェース6と,種々の画像データ処理を行なうとともにインターフェース6から順次送られてくる各センサ(装置)1~4の出力データに基づいて車両の走行距離,走行方位及び現在地座標(経度,緯度)等の演算を行なうCPU(中央処理回路)7と,このCPU7の各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれたROM(リード・オンリ・メモリ)8と,プログラムを実行する上で必要な情報の書込み及び読出しが行なわれるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)9とから構成されている。 RAM9は本ナビゲーション装置の電源断時にもバッテリー(図示せず)の出力電圧を安定化した電圧が供給されて後述する目的地座標データ,目的地記憶フラグ等のデータが消滅しないようにバックアップされる。…【0009】外部記憶媒体として,読出し専用の不揮発性の記憶媒体としての例えばCD-ROMが用いられる。なお,外部記憶媒体としては,CD-ROMに限らず,DATやICカード等の不揮発性記憶媒体を用いることも可能である。CD-ROMには,地図の道路上の各点をディジタル化(数値化)して得られ 用いられる。なお,外部記憶媒体としては,CD-ROMに限らず,DATやICカード等の不揮発性記憶媒体を用いることも可能である。CD-ROMには,地図の道路上の各点をディジタル化(数値化)して得られる地図データが予め記憶されている。このCD-ROMはCD-ROMドライバー10によって記憶情報の読取りがなされる。CD-ROMドライバー10の読取出力はCD-ROMデコーダ11でデコードされてバスラインLに送出される。 【0010】車両のいわゆるアクセサリスイッチ12を経たバッテリーからの車両電源電圧がレギュレータ13で安定化されて装置各部の電源として供給されるようになっている。なお,上記したRAM9への供給電源はアクセサリスイッチ12を介さずにレギュレータ13とは別の図示しないレギュレータで安定化される。CPU7は,車両の走行時には,タイマー割込みにより所定周期で方位センサ1の出力データに基づいて車両の走行方位を計算し,かつ距離センサ3の出力データに基づく一定距離走行毎の割込みにより走行距離及び走行方位から車両の現在地の座標データである経度及び緯度データを求め,その現在地点座標を含む一定範囲の地域の- 15 -地図データをCD-ROMから収集し,この収集したデータをRAM9に一時的に蓄えるとともに表示装置16に供給する。 【0011】表示装置16は,CRT等のディスプレイ17と,V(Video)-RAM等からなるグラフィックメモリ18と,システムコントローラ5から送られてくる地図データをグラフィックメモリ18に画像データとして描画しかつこの画像データを出力するグラフィックコントローラ19と,このグラフィックコントローラ19から出力される画像データに基づいてディスプレイ17上に地図を表示すべく制御する表示コントローラ20とから構成されてい データを出力するグラフィックコントローラ19と,このグラフィックコントローラ19から出力される画像データに基づいてディスプレイ17上に地図を表示すべく制御する表示コントローラ20とから構成されている。入力装置21はキーボード等からなり,使用者によるキー操作により各種の指令等をシステムコントローラ5に対して発する。そのキーとして目的地を設定するための設定キー,ディスプレイ17上に示された事項の選択用の数字キー及び過去に設定した目的地を呼び出すための目的地復帰キー(共に図示せず)等のキーが設けられている。 イまた,本件明細書2の発明の詳細な説明には,「車載ナビゲーション装置」に関して,次のとおりの記載がある(甲2の2)。 【0002】【背景技術】地図の道路上の各点を数値化して得られる道路データを含む地図データをCD-ROM等の記憶媒体に記憶しておき,車両の現在地を認識しつつその現在地を含む一定範囲の地域の地図データ群を記憶媒体から読み出して車両の現在地周辺の地図としてディスプレイ上に映し出すとともに,その地図上に車両の現在地を示す自車位置を自動表示させる車載ナビゲーション装置は例えば,特開昭63-12096号公報に開示され既に公知である。 【0005】【発明の目的】本発明の目的は,面倒な操作をすることなくユーザ地点登録をすることができる車載ナビゲーション装置を提供することである。 【0006】【発明の構成】本発明の車載ナビゲーション装置は,地図を表示器に表示する車載ナビゲーション装置であって,複数のサービス施設を示す表示データ及び各サービス施設の存在地点を示す地点座標データを予め記憶した第1記憶手段と,該第1記憶手段から表示データを読み出してその表示データに応じて複数のサ- 16 -ービス施設を表示器に表示させる手段と,表示器に表示 設の存在地点を示す地点座標データを予め記憶した第1記憶手段と,該第1記憶手段から表示データを読み出してその表示データに応じて複数のサ- 16 -ービス施設を表示器に表示させる手段と,表示器に表示された複数のサービス施設のうちの1のサービス施設を操作に応じて指定する手段と,指定された1のサービス施設に対応する地点座標データを第1記憶手段から読み出す手段と,読み出された地点座標データを記憶する第2記憶手段と,表示器に地図が表示されているとき第2記憶手段から地点座標データを読み出してその地点座標データが示す地図上の地点を所定のパターンにより地図に重畳して表示器に表示させる手段とを含むことを特徴とを特徴としている。 【0008】【実施例】図1は本発明による車載ナビゲーション装置の一実施例を示すブロック図である。本ナビゲーション装置において,方位センサ1は車両の走行方位を検出し,角速度センサ2は車両の角速度を検出し,距離センサ3は車両の走行距離を検出するためのものであり,GPS(GlobalPositioningSystem) 装置4は緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するためのものであり,これら各センサ(装置)の検出出力はシステムコントローラ5に供給される。方位センサ1としては,例えば地磁気(地球磁界)によって車両の走行方位を検出する地磁気センサが用いられる。また,距離センサ3は車両のドライブシャフト(図示せず)の所定角度の回転毎にパルスを発生するパルス発生器からなる。…【0009】システムコントローラ5は各センサ(装置)1~4の検出出力を入力としA/D(アナログ/ディジタル)変換等の処理を行なうインターフェース6と,種々の画像データ処理を行なうとともにインターフェース6から順次送られてくる各センサ(装置)1~4の出力デ 検出出力を入力としA/D(アナログ/ディジタル)変換等の処理を行なうインターフェース6と,種々の画像データ処理を行なうとともにインターフェース6から順次送られてくる各センサ(装置)1~4の出力データに基づいて車両の走行距離,走行方位及び現在地座標(経度,緯度)等の演算を行なうCPU(中央処理回路)7と,このCPU7の各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれたROM(リード・オンリ・メモリ)8と,プログラムを実行する上で必要な情報の書込み及び読出しが行なわれるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)9とから構成されている。 RAM9は本ナビゲーション装置の電源断時にもバッテリー(図示せず)の出力電圧を安定化した電圧が供給されて後述する経度及び緯度データ,地点表示パターン- 17 -データ,地点登録フラグ等のデータが消滅しないようにバックアップされる。…【0010】外部記憶媒体として,読出し専用の不揮発性の記憶媒体としての例えばCD-ROMが用いられる。なお,外部記憶媒体としては,CD-ROMに限らず,DATやICカード等の不揮発性記憶媒体を用いることも可能である。CD-ROMには,地図の道路上の各点をディジタル化(数値化)して得られる地図データの他に後述するサービスリスト表示データ,詳細表示データ,地点座標データとしての経度及び緯度データ並びに地点表示パターンデータが予め記憶されている。 このCD-ROMはCD-ROMドライバー10によって記憶情報の読取りがなされる。CD-ROMドライバー10の読取出力はCD-ROMデコーダ11でデコードされてバスラインLに送出される。 【0011】車両のいわゆるアクセサリスイッチ12を経たバッテリーからの車両電源電圧がレギュレータ13で安定化されて装置各部の電源として供給されるようになっ ードされてバスラインLに送出される。 【0011】車両のいわゆるアクセサリスイッチ12を経たバッテリーからの車両電源電圧がレギュレータ13で安定化されて装置各部の電源として供給されるようになっている。なお,上記したRAM9への供給電源はアクセサリスイッチ12を介さずにレギュレータ13とは別の図示しないレギュレータで安定化される。CPU7は,車両の走行時には,タイマー割込みにより所定周期で方位センサ1の出力データに基づいて車両の走行方位を計算し,かつ距離センサ3の出力データに基づく一定距離走行毎の割込みにより走行距離及び走行方位から車両の現在地の座標データである経度及び緯度データを求め,その現在地点座標を含む一定範囲の地域の地図データをCD-ROMから収集し,この収集したデータをRAM9に一時的に蓄えるとともに表示装置16に供給する。 【0012】表示装置16は,CRT等のディスプレイ17と,V(Video)-RAM等からなるグラフィックメモリ18と,システムコントローラ5から送られてくる地図データをグラフィックメモリ18に画像データとして描画しかつこの画像データを出力するグラフィックコントローラ19と,このグラフィックコントローラ19から出力される画像データに基づいてディスプレイ17上に地図を表示すべく制御する表示コントローラ20とから構成されている。入力装置21はキーボード- 18 -等からなり,使用者によるキー操作により各種の指令等をシステムコントローラ5に対して発する。そのキーとしてディスプレイ17上に示された事項の選択用の選択キー,ディスプレイ17の表示内容を切換えるための取消しキー及びRAM9にデータを記憶させるための地点登録キー(共に図示せず)等のキーが設けられている。 ウ上記(1) の特許請求の範囲の記載を基礎 ー,ディスプレイ17の表示内容を切換えるための取消しキー及びRAM9にデータを記憶させるための地点登録キー(共に図示せず)等のキーが設けられている。 ウ上記(1) の特許請求の範囲の記載を基礎に,ア及びイの本件明細書1及び本件明細書2(以下,これらを総称して「本件各明細書」ということがある。)の記載を参照して,「車載ナビゲーション装置」の意義について判断する。 本件明細書1の段落【0003】ないし【0005】,及び,本件明細書2の段落【0002】,【0005】,【0006】の各記載によれば,本件特許発明1及び本件特許発明2の目的は,従来の車載ナビゲーション装置である「地図の道路上の各点を数値化して得られる道路データを含む地図データをCD-ROM等の記憶媒体に記憶しておき,車両の現在地を認識しつつその現在地を含む一定範囲の地域の地図データ群を記憶媒体から読み出して車両の現在地周辺の地図としてディスプレイ上に映し出すとともに,その地図上に車両の現在地を示す自車位置を自動表示させる車載ナビゲーション装置」に対して,一層の利便性・操作性を向上させることを目的とするものである。すなわち,本件特許発明1では,「過去に設定した目的地と同一の目的地を設定する場合には簡単な操作で目的地を設定することができる」ための技術上の工夫を付加し,また,本件特許発明2では,「面倒な操作をすることなくユーザ地点登録をすることができる」ための技術上の工夫を付加した点に,本件各特許発明の特徴がある。 ところで,本件明細書1の段落【0005】,【0007】ないし【0011】,及び,本件明細書2の段落【0006】,【0008】ないし【0012】,並びに各添付図面をみても,「ナビゲーション装置」の機能を発揮させるためには,安定的な電力供給があることが必要であり,その電 ,及び,本件明細書2の段落【0006】,【0008】ないし【0012】,並びに各添付図面をみても,「ナビゲーション装置」の機能を発揮させるためには,安定的な電力供給があることが必要であり,その電力は,「装置」と一体化している車両から供給することを前提とした実施例が記載されているが,他方「装置」が車- 19 -両と一体化していない場合に,当然必要になると考えられる充電等の機能については,何らの記載,開示はない。 上記のとおりの本件各明細書の記載によれば,①本件各特許発明は,「車載ナビゲーション装置は,出願前に公知であった従来型の「車載ナビゲーション装置」と比較して,本件各特許発明の特徴たる新たな技術上の工夫を付加したものであるが,そのような技術上の工夫がされたことにより,常時設置するとの態様について,必然的に変更を伴うと理解すべき理由がないこと,②常時設置するとの態様に変更を加えたと解されるに足りる記述は,明示的にも黙示的にも存在しないこと,③ユーザが,車両を利用しないときに,ナビゲーション装置を車外に搬出することの利便性等を示唆するような記述も見あたらないこと,④ユーザが,車両を利用しないときに,ナビゲーション装置を車外に持ち出すことを含む趣旨であれば,特許請求の範囲に,「車両用ナビゲーション装置」ないし「ナビゲーション装置」等の語が選択されるのが自然であること等の事実を総合すれば,本件各特許発明の特許請求の範囲に記載された「車載ナビゲーション装置」における「車載」とは,車両が利用されているか否かを問わず,車両に積載されて,常時その状態に置かれていることを意味するものと解するのが合理的である(なお,原告が提出する甲26(発明の名称を「車載用映像再生装置」とする公開特許公報)は,ポータブル装置も含むことが特許請求の範囲に明示的に記 置かれていることを意味するものと解するのが合理的である(なお,原告が提出する甲26(発明の名称を「車載用映像再生装置」とする公開特許公報)は,ポータブル装置も含むことが特許請求の範囲に明示的に記載され,ポータブルとして使用する場合の電源供給についても発明の詳細な説明に開示されていることに照らすと,仮に,甲26における「車載」の語について,本件各特許発明と上記の解釈と,異なる意義を有するものとして理解されることがあり得たとしても,そのことが,本件各特許発明の解釈を左右するものとはいえない。)。 (3) 被告装置について被告装置は,以下のとおりである(当事者間に争いがない。)。 ア被告装置は,被告が管理・運営し,車両には搭載されていない被告サーバーと,ユーザにおいて保持する本件携帯端末等から構成される。 - 20 -イ被告サーバーは,CPU,記憶手段,データ送受信部を含んで構成されている。そして,当該記憶手段には,経路探索を行う探索エンジン,道路網データ及び地図描画データが記憶されており,被告サーバーは,ルート探索結果に基づき,地図描画データを作成することができる。また,本件携帯端末ごとの固有の情報を記憶する記憶手段が設けられている。 ウ本件携帯端末は,CPU,記憶手段,データ送受信部,GPS受信部,ディスプレイ,入力のためのキーを含んで構成されている。そして,当該記憶手段は,被告サーバーで作成された地図描画データを表示するための地図レンダリングエンジンを含むアプリケーションが搭載されている。 エ被告サーバーと本件携帯端末は,それぞれ次の機能を有する(弁論の全趣旨)。 (ア) 本件携帯端末のGPS受信部によってGPS信号を受信することにより本件携帯端末の所在地である現在地情報を取得し,また,本件携帯端末におけるキー ,それぞれ次の機能を有する(弁論の全趣旨)。 (ア) 本件携帯端末のGPS受信部によってGPS信号を受信することにより本件携帯端末の所在地である現在地情報を取得し,また,本件携帯端末におけるキー操作に基づき目的地が指定される。 (イ) これらの現在地情報及び目的地に関する情報は,被告サーバーに転送され,被告サーバーにおいては,これらの情報に基づき,現在地から目的地に至るルートを探索し,探索結果に基づき,地図描画データが作成される。 (ウ) 当該地図描画データは,本件携帯端末に転送され,本件携帯端末のディスプレイの画面上にルートの探索結果が表示される。 (エ) 移動中は,地図上に車両の現在地を表示し,車両の移動とともに地図がスクロールするマップモード(別紙被告装置説明書の画面1-⑫,1-⑯)等によりルート案内が行われる。 (4) 小括以上のとおりであるから,被告装置は,「被告サーバー」はいうまでもなく,「本件携帯端末」のいずれも,車両に積載されて,常時その状態に置かれることはなく,被告装置は,「車載ナビゲーション装置」には該当しないというべきである。 - 21 -被告装置は,本件特許発明1の構成要件「1-A」及び「1-F」,並びに,本件特許発明2の構成要件「2-A」及び「2-H」を充足しない。 2 争点(1) エについて--「目的地座標データの選択」該当性の有無(構成要件1-Eの充足性)について当裁判所は,被告装置は,構成要件1-E所定の「目的地座標データの選択」を有しないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 (1) 構成要件1-E所定の「目的地座標データの選択」の意義ア本件特許発明1の構成要件1-Eは,上記1の(1)記載のとおりである。 イ本件明細書1の発明の詳細な説明には,上記1の(2) ア認 1) 構成要件1-E所定の「目的地座標データの選択」の意義ア本件特許発明1の構成要件1-Eは,上記1の(1)記載のとおりである。 イ本件明細書1の発明の詳細な説明には,上記1の(2) ア認定の段落【0005】の記載のほか,次のとおりの記載がある(甲2の1)。 【0006】【発明の作用】本発明の車載ナビゲーション装置においては,目的地が設定される毎にその目的地を示す目的地座標データをメモリの少なくとも前回の目的地座標データの記憶位置とは異なる記憶位置に書き込んで過去に設定した目的地の座標データを記憶して置き,目的地の設定の際にメモリに記憶された目的地座標データを読み出し,読み出された目的地座標データのうちから1の目的地座標データを操作に応じて選択し1の目的地座標データの選択によって目的地を設定することが行なわれる。 【0012】次に,CPU7によって実行される目的地座標データのRAM9への書き込みについて図3及び図4にフローチャートとして示した目的地設定ルーチンに従って説明する。この設定ルーチンは,センサ1及び3の各出力データに基づいて車両の現在地を認識しつつその現在地を含む一定範囲の地域の地図データ群をCD-ROMから読み出して車両の現在地周辺の地図としてディスプレイ17上に映し出すとともに,その地図上に車両の現在地を示す自車位置を表示させる処理等をなすメインルーチン(図示せず)の実行中において,入力装置21におけるユーザによるキー操作によって設定メニューが選択されたときに呼び出されて実行されるものとする。 - 22 -【0013】目的地設定ルーチンにおいて,CPU7は先ず,目的地設定方法の選択要求を行なう(ステップS1)。これは例えば,ディスプレイ17上に「1.登録選択設定 2.新規設定」の如く表示させて入力装置21に 3】目的地設定ルーチンにおいて,CPU7は先ず,目的地設定方法の選択要求を行なう(ステップS1)。これは例えば,ディスプレイ17上に「1.登録選択設定 2.新規設定」の如く表示させて入力装置21によるキー操作によりいずれか一方を選択させることにより行なわれる。そして,選択のためにキー操作されたか否かを判別し(ステップS2),キー操作されたならば選択結果が目的地の新規設定であるか否かを判別する(ステップS3)。入力装置21の例えば,設定キー或いは数字の「2」キーが操作されて新規設定が選択された場合には目的地の指定要求を行なう(ステップS4)。これはディスプレイ17上に地図を表示させて目的地を入力装置21によるキー操作により地図上にカーソルで指定するメッセージをその地図と共に表示させることにより行なわれる。そして,指定入力があったか否かを判別し(ステップS5),指定入力があった場合にはその指定入力された地点の経度及び緯度データ(x,y)を地図データから得て目的地座標データDESTとしてRAM9に記憶させる(ステップS6)。 【0014】次いで,目的地記憶フラグFに1をセットし(ステップS7),目的地座標データが設定されてRAM9へ書き込まれたことを記憶させて置く。そして,ポインタPに1を加算し(ステップS8),ポインタPがRAM9の登録データテーブルの最大アドレスAmaxより大であるか否かを判別する(ステップS9)。ポインタPはRAM9の登録データテーブルに現段階で最後に書き込まれた目的地座標データの記憶位置のアドレスを示しており,RAM9への電源投入直後におけるその初期値は例えば,最大アドレスAmaxにされている。P≦Amaxならば,目的地座標データDESTを登録データテーブルのポインタPで指定されるアドレス位置に書き込む(ステップS 源投入直後におけるその初期値は例えば,最大アドレスAmaxにされている。P≦Amaxならば,目的地座標データDESTを登録データテーブルのポインタPで指定されるアドレス位置に書き込む(ステップS10)。P>Amaxならば,ポインタPを登録データテーブルの最小アドレスA1に等しくさせ(ステップS11),その後,ステップS10に移行して目的地座標データDESTを登録データテーブルに書き込む。…【0015】入力装置21の例えば,目的地復帰キー或いは数字の「1」キーが操作されてステップS3において登録選択設定と判別した場合にはアドレスAwをポ- 23 -インタPに等しくさせ(ステップS12),アドレスAwが登録データテーブルの最小アドレスA1より小であるか否かを判別する(ステップS13)。Aw≧A1ならば,そのアドレスAwで指定される登録データテーブルの記憶位置からデータを読み出す(ステップS14)。Aw<A1ならば,アドレスAwを登録データテーブルの最大アドレスAmax に等しくさせ(ステップS15),その後,ステップS14に移行する。ステップS14の実行後,読み出したデータが目的地座標データであるか否かを判別する(ステップS16)。…読み出したデータが目的地座標データである場合には,読み出した目的地座標データが示す目的地を表示させるべくディスプレイ17上に表示すべく目的地座標データをグラフィックコントローラ19に供給する(ステップS17)。これにより例えば,ディスプレイ17上に「目的地:139°30′00″E,36°00′00″N」の如く目的地の経度及び緯度が表示される。次いで,入力装置21の設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS18)。…設定キーが操作されたならば,読み出した目的地座標データを目的地座標データDESTとし 地の経度及び緯度が表示される。次いで,入力装置21の設定キーが操作されたか否かを判別する(ステップS18)。…設定キーが操作されたならば,読み出した目的地座標データを目的地座標データDESTとしてRAM9に記憶させ(ステップS21),ステップS7に進む。 【0016】従って,目的地が設定される毎にその目的地を示す目的地座標データがRAM9の登録データテーブルに記憶される。その記憶はアドレスA1からAmaxまでにおいてアドレス順に繰り返し行なわれ,最新の目的地座標データの記録位置のアドレスはポインタPによって示される。また,アドレスAmaxの次にはアドレスA1が指定され,いわゆるエンドレスで目的地座標データが記憶される。すなわち,登録データテーブルには設定が新しい目的地座標データがポインタPで示されるアドレスから順にアドレス数だけ記憶され得る。登録選択設定が選択された場合には先ず,ポインタPによって示されるアドレスAwに記憶された前回の目的地座標データが読み出され,その目的地座標データが示す経度及び緯度がディスプレイ17上に表示される。次いで,入力装置21の目的地復帰キーが操作されたならば,アドレスAwが1だけ減ぜられて前前回の目的地座標データが読み出され,その前- 24 -前回の目的地座標データが示す経度及び緯度がディスプレイ17上に表示される。 よって,目的地復帰キーが操作される毎に現在表示されている目的地より1だけ前に設定された目的地の経度及び緯度がディスプレイ17上に表示される。目的地の経度及び緯度がディスプレイ17上に表示されている状態で設定キーが操作されると,表示されている目的地の経度及び緯度データが目的地座標データDESTとしてRAM9に記憶され,ポインタPが1だけ加算されて,目的地座標データDESTが登録データテーブ 状態で設定キーが操作されると,表示されている目的地の経度及び緯度データが目的地座標データDESTとしてRAM9に記憶され,ポインタPが1だけ加算されて,目的地座標データDESTが登録データテーブルのポインタPで指定されるアドレス位置に書き込まれる。 【0018】次いで,CPU7によって実行される現在地から目的地への距離及び方位を算出する動作について図5にフローチャートとして示した距離及び方位算出ルーチンに従って説明する。この算出ルーチンは,上記のメインルーチン中のサブルーチンとして処理されるものである。距離及び方位算出ルーチンにおいて,CPU7は先ず,目的地記憶フラグFが1であるか否かを判別する(ステップS31)。 F=0ならば,目的地座標データDESTがRAM9へ書き込まれていないので,直ちに本ルーチンを終了する。F=1ならば,目的地座標データDESTがRAM9へ書き込まれているので,目的地座標データDESTをRAM9から読み出し(ステップS32),センサ1及び3の各出力データに基づいて車両の現在地を示す経度及び緯度データからなる現在地座標データを求める(ステップS33)。…ステップS33の実行後,目的地座標データ及び現在地座標データに基づいて現在地から目的地への距離D及び方位θを算出し(ステップS34),算出した距離D及び方位θをディスプレイ17上に所定期間だけ表示すべく距離D及び方位θを示すデータをグラフィックコントローラ19に供給する(ステップS35)。…【0019】なお,上記した実施例においては,目的地を示すデータとして目的地座標データだけを登録データテーブルに書き込んでいるが,目的地座標だけでなく目的地名をも含むデータを書き込み,目的地名をディスプレイ17に表示させても良い。また,ディスプレイ17上に一度に複数の目的地名 データだけを登録データテーブルに書き込んでいるが,目的地座標だけでなく目的地名をも含むデータを書き込み,目的地名をディスプレイ17に表示させても良い。また,ディスプレイ17上に一度に複数の目的地名や目的地の経度及び緯度を表示させてその表示させた複数の目的地のうちからキー操作により1の目的地を- 25 -選択させるようにしても良い。 【0020】【発明の効果】本発明の車載ナビゲーション装置においては,目的地が設定される毎にその目的地を示す目的地座標データをメモリの少なくとも前回の目的地座標データの記憶位置とは異なる記憶位置に書き込んで過去に設定した目的地の座標データを記憶して置き,目的地の設定の際にメモリに記憶された目的地座標データを読み出し,読み出された目的地座標データのうちから1の目的地座標データを操作に応じて選択し1の目的地座標データの選択によって目的地を設定することが行なわれる。よって,過去に設定した目的地と同一の目的地を設定する場合には簡単な選択操作だけで済むので,目的地を容易に設定することができる。 ウ上記アの特許請求の範囲の記載を基礎とし,イの本件明細書1の記載を参照して,構成要件1-Eの「読み出された目的地座標データのうちから1の目的地座標データを操作に応じて選択」の意義について判断する。 (ア) 本件特許発明1は,読み出された目的地座標データのうちから1の目的地座標データを操作に応じて選択し1の目的地座標データの選択によって目的地を設定する手段とを含むことを特徴とする発明である(段落【0005】)。「目的地座標データ」は,目的地を設定しその設定した目的地を示すものであり,ユーザが目的地設定方法として「登録選択設定」を選択した場合,「RAM9の登録データテーブル」に記憶された「目的地座標データ」が読み出され,読み は,目的地を設定しその設定した目的地を示すものであり,ユーザが目的地設定方法として「登録選択設定」を選択した場合,「RAM9の登録データテーブル」に記憶された「目的地座標データ」が読み出され,読み出された「目的地座標データ」のうちの1がユーザの操作に応じて選択され「目的地座標データDEST」としてRAM9に記憶されることによって「目的地」が「設定」されること(ユーザが目的地設定方法として「新規設定」を選択した場合には,ディスプレイ上に表示された地図上のカーソルで目的地を指定することによる入力を行うことによって「目的地」が「設定」される。),航行情報を表示するために必要な「現在地から目的地への距離D及び方位θ」は,「目的地座標データDESTをRAM9から読み出し」た上でこれと現在地座標データに基づいて算出されるものである。 そうすると,本件明細書1の発明の詳細な説明には,「RAM9の登録データテー- 26 -ブル」に記憶された「目的地座標データ」の読み出しは,「目的地」を「設定」すべく1の目的地座標データを「選択」することに先立って行われることが開示されているといえる。 以上によれば,構成要件1-E所定の「読み出された目的地座標データのうちから1の目的地座標データを操作に応じて選択」とは,ユーザの操作による「選択」に先立って「目的地座標データ」が読み出され,そのうちの1から目的地の「選択」が行われることを指す。 (イ) これに対し,原告は,本件明細書1の段落【0016】,【0019】の記載からすれば,構成要件1-Eにおいては,登録データテーブルに,目的地座標データとともに当該目的地の目的地名のデータを書き込み,当該目的地名のデータに基づいてディスプレイに複数の目的地名を表示させ,そのうちから1の目的地を選ぶことによって当該目的地の目 ルに,目的地座標データとともに当該目的地の目的地名のデータを書き込み,当該目的地名のデータに基づいてディスプレイに複数の目的地名を表示させ,そのうちから1の目的地を選ぶことによって当該目的地の目的地座標データが選択され,目的地が設定されることも当然に予定されている旨主張する。 しかし,原告の主張は,以下のとおり誤りである。 すなわち,本件明細書1の段落【0016】,【0019】の記載によっても,ユーザの操作による「選択」に先立って「RAM9の登録データテーブル」から読み出されるデータは,「目的地座標データ」又は「目的地名をも含む目的地座標データ」にすぎない。確かに,「目的地名」が,ディスプレイ上に表示されることがあるが,そのような表示がされたとしても,そのことが,「目的地座標データ」と関係なく,直接,「目的地名」から目的地の「選択」が行われることを意味するものではない。この点の原告の主張は,採用の限りでない。 (2) 被告装置について被告装置は,以下のとおりである(甲6,7,乙16,弁論の全趣旨)。 設定された目的地の履歴を利用する場合,「検索履歴」画面(別紙被告装置説明書の画面2-⑬)において表示された目的地名等の情報(例えば「プランタン銀座(09/10 09:41 修正)」,なお,座標データは含まれない。)が選択されることに- 27 -より「目的地」画面(同2-⑯)に遷移する。この画面において,「地図(確認/修正)」を選択すると,選択された情報の地点(例えば「プランタン銀座(09/1009:41 修正)」)を示すピンク色の星印が同地点付近の地図上に表示される(同2-⑰)。また,上記の「目的地」画面において,「今すぐ出発」を選択すると,携帯端末によるGPS信号の受信が開始され,選択された情報が示す履歴として格納された座標 同地点付近の地図上に表示される(同2-⑰)。また,上記の「目的地」画面において,「今すぐ出発」を選択すると,携帯端末によるGPS信号の受信が開始され,選択された情報が示す履歴として格納された座標データが読み出され,車両の現在地の経度・緯度を含む現在地の情報に基づき,「現在地から目的地までのルートが探索されたことを示す画面」に遷移し,この画面において,「ルート地図確認」を選択すると,現在地から目的地までの「ルートを示す地図の画面」に遷移する。 (3) 小括以上のとおり,被告装置においては,ユーザの操作による「選択」に先立って「目的地座標データ」が読み出されることはない。したがって,被告装置は,「読み出された目的地座標データのうちから1の目的地座標データを操作に応じて選択」によって目的地を設定することはないから,構成要件1-Eを充足しない。 3 当審において追加された当事者の主張(1)--均等侵害について原告は,予備的に,被告装置の「携帯電話端末とサーバーを電話通信回線で接続して行うナビゲーションサービス」は,本件特許発明1の構成要件1-A及び1-F,本件特許発明2の構成要件2-A及び2-H所定の「車載ナビゲーション装置」と均等である,と主張する。 原告の上記予備的主張は,控訴審において新たに提出された攻撃方法であり,時機に後れたものと評価されるべきであるが,その点はさておいても,原告の予備的主張は,以下のとおり失当である。 すなわち,本件各特許発明における「車載ナビゲーション装置」における「車載」の意義は,前記のとおり,車両が利用されているか否かを問わず,車両に積載されて,常時その状態に置かれていることを意味する。このような状態に置かれていることにより,ユーザは,ナビゲーションの利用を欲したにもかかわらず,持ち- 用されているか否かを問わず,車両に積載されて,常時その状態に置かれていることを意味する。このような状態に置かれていることにより,ユーザは,ナビゲーションの利用を欲したにもかかわらず,持ち- 28 -込みを忘れるなどの事情によって,その利用の機会を得られないことを防止できる効果がある。これに対して,被告装置は,前記のとおり,端末等は携帯(保持)されているものであるから,ユーザは,端末等を車内に持ち込まない限り,車両用のナビゲーション装置としては利用することができない。したがって,本件各特許発明における構成要件「車載ナビゲーション装置」を被告装置の「送受信部を含んだ携帯端末」に置換することによって,本件各特許発明が「ナビゲーション装置が車載されたこと」としたことによる課題解決を実現することはなく,本件各特許発明において「車載ナビゲーション装置」としたことによる作用効果が得られず,結局,本件各特許発明の目的を達することができない。 以上のとおりであり,被告装置におけるユーザにおいて保持する本件携帯端末が,本件特許発明1の構成要件1-A及び1-F,本件特許発明2の構成要件2-A及び2-H所定の「車載ナビゲーション装置」と均等であるとする原告の主張は採用できない。 第4 結論原告の請求は,その余の争点について判断するまでもなく,いずれも理由がないから棄却すべきものであり,これと同旨の原判決は正当である。原告は,その他縷々主張するが,いずれも上記認定判断を左右しない。 よって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官飯村敏明 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官池下朗 裁判官武宮英子 別紙物件目録 1 「EZ助手席ナビ」という名称のナビゲーションサービスに係るナビゲーション装置 2 「EZ助手席ナビ」という名称のナビゲーションサービスに係る携帯端末用プログラム 3 「EZ助手席ナビ」という名称のナビゲーションサービスに係るサーバー用プログラム

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