平成20(ワ)8 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成21年2月25日 広島地方裁判所
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判決文本文25,446 文字)

- 1 -主文 被告は,原告らに対し,それぞれ1690万5245円及びこれに対する。 平成18年12月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その3を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求被告は,原告らに対し,それぞれ4535万9256円及びこれに対する。 平成18年12月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え第2事案の概要本件は,原告らが,同人らの子である亡Aが列車との衝突事故により死亡するに至ったのは,被告が所有し管理していた踏切の設置又は保存に瑕疵があったことが原因であると主張して,被告に対し,不法行為(民法717条1項)に基づき,原告ら各自に対する,損害賠償金4535万9256円及びこれに対する不法行為の日である平成18年12月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 争いのない事実等( ) 当事者等 ア原告らは,亡A(昭和63年5月11日生まれ,平成18年12月12日死亡,本件事故時の住所広島県東広島市a町bc番地d)の両親である。 Aは,本件事故当時,B高等学校の3年生であった(甲3,弁論の全趣旨。 )イ被告は,昭和62年4月1日に設立された,旅客鉄道事業を主な目的- 2 -とする株式会社である。 ( ) 関連法令の定め等 ア(ア) 踏切道改良促進法(昭和36年法律第195号)同法3条は「国土交通大臣は,踏切道における交通量,踏切事故の,発生状況その他の事情を考慮して国土交通省令で定める基準に該当する踏切道のうち,平成18年度以降の5箇年間におい 6年法律第195号)同法3条は「国土交通大臣は,踏切道における交通量,踏切事故の,発生状況その他の事情を考慮して国土交通省令で定める基準に該当する踏切道のうち,平成18年度以降の5箇年間において立体交差化,構造の改良(踏切道に接続する鉄道又は道路の構造の改良を含む。以下同じ,歩行者等立体横断施設(横断歩道橋その他の歩行者又は自。)転車が安全かつ円滑に鉄道を横断するための立体的な施設であって国土交通省令で定めるものをいう)の整備又は保安設備の整備により改。 良することが必要と認められるものについて,その改良の方法を定めて,指定するものとする」と定めている。 。 (イ) 踏切道の立体交差化,構造の改良及び保安設備の整備に関する省令(平成13年国土交通省令第86号)前記踏切道改良促進法3条1項に基づいて,上記省令4条1項は,国土交通大臣が踏切遮断機(踏切遮断機を設置することが技術上著しく困難であると認められる踏切道にあっては,踏切警報機)を設置するべきものとする指定を行う踏切道を,次の各号のいずれかに該当する踏切道と定めている。 自動車が通行できるものであって,道路交通法4条1項の規定により自動車の通行が禁止されているもの(禁止される予定のものを含む)以外のもの。 平成13年4月1日以後の日を含む3年間において3回以上又は平成13年4月1日以後の日を含む1年間において2回以上の事故が発生し,かつ,踏切遮断機の設置によって事故の防止に効果があると認められるもの- 3 - 複線以上の区間にあるもので,踏切遮断機の設置によって事故の防止に効果があると認められるもの 付近に幼稚園又は小学校があることその他の特別の事情により危険性が大きいと認められるものイ(ア) 鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年国土交通 故の防止に効果があると認められるもの 付近に幼稚園又は小学校があることその他の特別の事情により危険性が大きいと認められるものイ(ア) 鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年国土交通省令第151号(乙15))40条「踏切道は,踏切道を通行する人及び自動車等(以下「踏切道通行人等」という)の安全かつ円滑な通行に配慮したものであり,かつ,。 第62条の踏切保安設備を設けたものでなければならない」。 62条1項「踏切保安設備は,踏切道通行人等及び列車等の運転の安全が図られるよう,踏切道通行人等に列車等の接近を知らせることができ,かつ,踏切道の通行を遮断することができるものでなければならない。 ただし,鉄道及び道路の交通量が著しく少ない場合又は踏切道の通行を遮断することができるものを設けることが技術上著しく困難な場合にあっては,踏切道通行人等に列車等の接近を知らせることができるものであればよい」。 (イ) 鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令(平成14年国土交通省令第19号(乙16))同省令3条1項2号により,前記鉄道に関する技術上の基準を定aめる省令の施行に伴って廃止された普通鉄道構造規則(昭和62年運輸省令第14号)4条1項の許可を受けている施設に係る技術上の基準については,鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行後最初に行う改築又は改造の工事が完成するまでの間,なお従前の- 4 -例によるものとされている(乙16。 )普通鉄道構造規則の4条1項及び附則5条は,同規則の施行前にb工事に着手し,又は完成した施設であって同規則の規定に適合しないものについては,同規則の施行後に最初に行われる改築又は改造の工事が完成するまでの間,同規則の規定と異なる 5条は,同規則の施行前にb工事に着手し,又は完成した施設であって同規則の規定に適合しないものについては,同規則の施行後に最初に行われる改築又は改造の工事が完成するまでの間,同規則の規定と異なる構造とすることについての許可が擬制されるものと規定していた(乙17。 )ウ「地方鉄道及び専用鉄道の踏切道保安設備設置標準について(昭和2」9年4月27日鉄監第384号鉄道監督局長から陸運局長あて通達(以)下「本件通達」という(乙18の1)。)(ア) 本件通達の本文には,以下の記載がある。 「2この標準は踏切道における危険率,道路交通量,列車回数及び見通し距離により算定したものであるが,踏切事故の誘因としては多くの要素があるので個々の踏切道の保安設備の新設又は改良については過去の事故経歴等を参照し,充分実情に添うよう考慮すること」「5この標準は,踏切道の保安設備としての必要の最低限度を示す一応の標準であるから,この標準以上に完全であることはもとより望ましいことである」。 (イ) 本件通達の別紙の内容本件通達の別紙においては,踏切道の種別について,概要次のよaうに定められている(なお,括弧内の数字は,広島県内に該当する踏切道が平成19年の時点で何か所あるかを示しているものである(甲19の1。 )。)第1種踏切遮断機(警報装置及び遮断装置を備えたもの)を設置している踏切道(広島県内771か所)第2種踏切保安係を設置し,一定時間内の列車等に対して遮断- 5 -機を閉じる踏切道(存在しない)第3種踏切警報機を設置している踏切道(広島県内39か所)第4種踏切遮断機・踏切警報機をともに設置していない踏切道(広島県内126か所)本件通達の別紙においては,見通し距離が50m以上ある踏切でbは,1日当たりの換算列車回 切道(広島県内39か所)第4種踏切遮断機・踏切警報機をともに設置していない踏切道(広島県内126か所)本件通達の別紙においては,見通し距離が50m以上ある踏切でbは,1日当たりの換算列車回数(踏切道を通過する列車の回数について,列車種別ごとに一定の換算率を乗じて計算し,それらを合計したもの)が200ないし300の場合,1日当たりの換算交通量(換算交通量の計算に際しては,バイクについて1台当たり8,自転車について1台当たり2という換算値が用いられている)が24。 00ないし3200程度以上あれば原則として第1種踏切道とするべき旨が記載されている(乙18の1の55ないし57頁。 )( ) 事故の発生 下記の日時場所においてAが3列車に順次轢過される事故が生じた以,(下「本件事故」という(弁論の全趣旨。 。))ア日時平成18年12月12日午後6時28分ころイ場所広島県東広島市e町fg番地h所在の山陽本線i踏切(以下「本件踏切」という)。 ウ態様本件踏切を南側から北側へ向かい,自転車に乗って横断していたAが,被告従業員が運転する上り列車(列車番号5372)()M及び下り列車列車番号1579M及び列車番号375Mに順次轢過された。 ( ) 本件踏切の設置等 本件踏切は,山陽本線j駅(以下「j駅」という)から,同駅よりも東。 側に位置する同線k駅(以下「k駅」という)方面に約900m進んだ地。 点に位置している。本件踏切が設置されたのは,昭和34年4月ころであ- 6 -ったが,それ以前にも,本件踏切の辺りには,線路を横断する形で,里道が存在していた(弁論の全趣旨。 )被告は,昭和62年4月1日,旧日本国有鉄道(国鉄)から本件踏切を含む設備を引き継ぎ,これ以降現在に至るまで,本件踏切を所有し,管 りには,線路を横断する形で,里道が存在していた(弁論の全趣旨。 )被告は,昭和62年4月1日,旧日本国有鉄道(国鉄)から本件踏切を含む設備を引き継ぎ,これ以降現在に至るまで,本件踏切を所有し,管理している(弁論の全趣旨。 )本件事故当時,本件踏切には,踏切警報機及び踏切遮断機が設置されていなかった。 争点及びこれらに対する当事者の主張( ) 設置又は保存の瑕疵の有無(争点1) (原告らの主張)本件踏切は,本件事故当時,本件踏切の北側にある県道59号線と,本。 件踏切の南側にある団地の間の付近住民の往来にしばしば利用されていたしかしながら,通行者が,Aが横断を開始したのと同じ本件踏切の南側,,入口付近から最初にAを轢いた上り列車が走行して来る西側を見た場合特に周囲の視認が困難な夜の時間帯にあっては,線路と併走する県道59号線を走行する自動車のヘッドライトと列車の前照灯を誤認混同しやすい状況であった。また,本件踏切の東側では,約100m先から線路が県道59号線の方向へ曲がっていてその先が見えない状態となっていたため,通行者が,本件踏切の入口から,下り列車の接近を認識することは極めて困難な状況であった。 ,,このように付近住民が本件踏切を利用する頻度が高いにもかかわらず本件踏切付近においては,通行者が列車の接近を認識することを非常に困難にする要素があったことに加え,①本件踏切においては,平成17年1月23日において,昼間の明るい時間帯に,1件の死亡事故が発生した経,,,緯があり本件踏切の危険性は本件事故以前に既に現実化していたこと②被告が,本件踏切のような自動車が横断できない踏切道に踏切遮断機を- 7 -設置することは技術的にも経済的にも容易なことであったし,踏切警報機のみを設置することは更に容易であった 化していたこと②被告が,本件踏切のような自動車が横断できない踏切道に踏切遮断機を- 7 -設置することは技術的にも経済的にも容易なことであったし,踏切警報機のみを設置することは更に容易であったことを併せ考慮すれば,本件踏切が本来備えるべき安全性が確保されるためには,踏切遮断機及び踏切警報機,少なくとも踏切警報機が設置されている必要があったものといえる。 しかるに,本件事故当時,本件踏切には踏切警報機すらも設置されておらず,単に「とまれみよ」という標識や,車両通行を禁止する標識が設置,。 ,,,されていたにすぎなかったそして上記の標識すらも照明がない中で周囲が暗くなれば視認することができないようなものにすぎなかった。さらに,本件踏切には,自転車での横断を禁止する文字表示や自転車による進入を防ぐ柵もなく,踏切道の両端には,脱輪を警告する有効な目印が設置されていなかった(少なくとも,本件事故当時,目印のオレンジ色の塗色は剥げており,夜間において,通行者が目印を認識することは不可能であった。 。)(被告の主張)ア本件踏切からk駅方向への見通し距離は,北側踏切外から187m,上り線路上から192m,下り線路上から197m,南側踏切外から205mであって,見通しは良好といえる。また,本件踏切からj駅方向への見通しも,線路が直線であるため,非常に良好である(見通し距離は680m程度である。 。)そして,本件踏切付近において山陽本線の線路と併走している県道59号線は,東側からカーブしながら下っていくのに対し,線路は高低差のない路面上を走っているから,本件踏切を通行する者が,下り列車の前照灯と,県道59号線を東側から西側に走行する自動車のヘッドライ。 ,,トとを誤認混同することはあり得ないまた本件踏切を通行する者が 面上を走っているから,本件踏切を通行する者が,下り列車の前照灯と,県道59号線を東側から西側に走行する自動車のヘッドライ。 ,,トとを誤認混同することはあり得ないまた本件踏切を通行する者が上り列車の前照灯と県道59号線を西側から東側に走行する自動車あるいは市道を走行する自動車のヘッドライトとを誤認混同するようなこと- 8 -も,通行者が通常の注意を払っている限り,起こり得ない。 そうすると,原告らが指摘するように,本件踏切において,通行者が列車の接近を視認することを困難にするような要素があるとは到底いえない。 イ①本件踏切の付近には団地があるものの,上記団地の住民はj駅に近い別の踏切を利用していること,②本件踏切の北側には県道が,南側には川がそれぞれあり,しかも,本件踏切付近の県道には横断歩道がないことのために,本件踏切を利用しているのは,付近に点在する民家の住民や散歩をする者等,ごくわずかな人数であって,本件踏切の交通量は少ない。 また,本件踏切の近くには,本件踏切を利用しなければ通学できないような幼稚園や学校,子供の遊び場となる神社,公民館,老人ホーム,集会所等は存在しない。 ウ本件踏切を通行する列車の本数は1日当たり230本であるところ,この本数は,山陽本線としては通常の本数である。 エ本件踏切においては,車両通行を禁止する交通規制が行われており,また,両側の入口には踏切注意柵,踏切警標が設置されており,踏切の両端にはオレンジ色の塗色がされていた。 以上の具体的事実を総合すれば,通行者が,車両通行禁止の規制を遵守した上で,通常の注意を払って踏切を通行することを前提とする限り,本件踏切に,踏切遮断機や踏切警報機を設置する必要がないことは明白である(現に,本件踏切は,踏切道の立体交差化,構造の改良及び保安設備に関す ,通常の注意を払って踏切を通行することを前提とする限り,本件踏切に,踏切遮断機や踏切警報機を設置する必要がないことは明白である(現に,本件踏切は,踏切道の立体交差化,構造の改良及び保安設備に関する省令4条1項によって踏切遮断機又は踏切警報機を設置するべきものとされている踏切には該当しないし,その他にも,本件踏切に踏切遮断機や踏切警報機を設置することを義務付ける根拠となるような行政法規は見当たらない。 。)- 9 -なお,本件事故以前に,本件踏切において1件だけ死亡事故があったことは事実であるが,当該事故は,通行者が,列車が急接近しているにもかかわらず踏切内に進入したことによって起きたものであり,通行者が通常の注意を払ってさえいれば,事故の発生を未然に防止できたものと思われるから,上記のような事故歴は,本件踏切の設置又は保存に瑕疵があることとは何ら結び付かない。 ( ) 因果関係の有無(争点2) (原告らの主張),,,本件踏切に少なくとも踏切警報機が設置されていれば本件事故当時Aは列車の接近をあらかじめ認識することができたといえるから,Aが本件事故に遭うことはなかったものといえる。 (被告の主張)否認し,争う。踏切を通行する者が,車両通行規制を遵守しないというような,およそ予測し得ない異常な行動をとるときには,仮に踏切警報機等を設置してあったとしても,事故の発生を回避することはできなかったといえる。 ( ) 過失相殺の可否及び割合(争点3) (被告の主張)Aは,本件事故当時までに何回か本件踏切を通行したことがあったのだから,本件踏切において車両の通行が禁止されていることや,本件踏切に踏切警報機や踏切遮断機が設置されていないことについては十分に熟知していたはずである。それにもかかわらず,本件事故当時,Aは,必要 から,本件踏切において車両の通行が禁止されていることや,本件踏切に踏切警報機や踏切遮断機が設置されていないことについては十分に熟知していたはずである。それにもかかわらず,本件事故当時,Aは,必要な注,,意を怠り本件踏切に向かって列車が接近していることに気付かないまま車両通行禁止の規制にも違反して,自転車に乗ったままで一旦停止をすることもなく踏切内に進入したものである。 そして,①列車の運転手は,線路上において横断者を発見しても,容易- 10 -には列車を急停止させて横断者との衝突を回避することができないため,一般論としても,踏切を通行する者には,例えば道路を通行する場合以上の注意が期待されること,②本件踏切の見通しはよいのだから,Aが,通常の注意さえ払っていれば,列車の接近を確認し,本件事故の発生を未然に防ぐことができたといえることを併せ考慮すれば,上記のAの過失は,過失相殺の判断において重視されるべきである。 これらの事情に,Aは,本件事故当時高校3年生であり,体力,運動能力及び正常かつ堅実な判断能力をすべて備えていたばかりでなく,交通の安全に対する知識を十分に有し,かつ,交通の安全を十分確保しつつ自転車を運転する能力を有していたことをも勘案すれば,Aの過失割合は100%であるといってもよいと思われる。 (原告らの主張)否認し,争う。 ( ) 損害額(争点4) (原告らの主張)ア葬儀関係費用149万5647円(内訳)(ア) 葬儀代金148万3617円(イ) 火葬費用1万2030円イ文書料5万円(内訳)(ア) 死体検案書作成料4万円(イ) 死体検案書謄本料1万円ウ逸失利益5017万2865円Aの逸失利益算定の基礎とすべき基礎収入額は552万3000円とみるのが相当であるところ,Aの稼働可能 死体検案書作成料4万円(イ) 死体検案書謄本料1万円ウ逸失利益5017万2865円Aの逸失利益算定の基礎とすべき基礎収入額は552万3000円とみるのが相当であるところ,Aの稼働可能期間は49年間であったとい- 11 -え,その間における生活費の割合は5割とみるべきであるから,上記49年間にわたる年5分の割合による中間利息をライプニッツ方式により控除し,Aの逸失利益を算定すると,以下の計算式のとおり,5017万2865円となる。 (計算式)552万3000円×0.5×18.1687=5017万2865円エ死亡慰謝料2500万円Aは,1列車に轢過されたのみならず,合計3列車に轢かれたものであって,その遺体は,歯型によらなければ本人を特定することができないような状態にまで損壊された。その精神的損害に対して認められるべき慰謝料は,2500万円を下らない。 オ原告ら固有の慰謝料各300万円原告らは,次男であるAを本件事故によりわずか18歳で亡くしたばかりでなく,Aが遺体の身元の特定が困難になるほどの損傷を受けたために,大きな精神的衝撃を受けた。 現に,原告らは,本件事故による精神的なショックのために心療内科に通っているところであり,特に,原告Cは,精神科への入院が必要であると診断されるまでに至っている。 加えて,被告は,自ら本件事故後に本件踏切の危険性を認識して踏切遮断機及び踏切警報機を設置しながら,他方では,本件訴訟において,本件踏切の危険性を否定する答弁をする等,不当な責任逃れの姿勢をとり続けているものであり,こうした被告の不誠実な訴訟対応のために,原告Cの精神状態は一層悪化し,原告らが訴訟を継続することにすら困難が伴う状態が生じている。 このような事情にかんがみれば,原告らに対して支払われるべき固有の慰謝料 被告の不誠実な訴訟対応のために,原告Cの精神状態は一層悪化し,原告らが訴訟を継続することにすら困難が伴う状態が生じている。 このような事情にかんがみれば,原告らに対して支払われるべき固有の慰謝料は,1人当たり300万円(合計600万円)を下らない。 - 12 -カ弁護士費用800万円第3争点に対する判断 前提として認定することのできる事実前記争いのない事実等に,関係各証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の各事実を認めることができる(各事実の認定に用いた主要な証拠は,当該事実の末尾に掲記した。 。)( ) 本件踏切及びその周辺の状況等 ア(ア) 本件踏切の幅は約1m,長さは約9.8mであり,本件踏切は,山陽本線の線路(複線となっており,北側を上り車両,南側を下り車両が走行している)とほぼ垂直に交差している。本件踏切の中央部分は。 アスファルト舗装されているが,路面は凸凹になっている(甲5,乙9,弁論の全趣旨。 )なお,j駅方面から本件踏切付近にかけて上り列車が通過する線路のレールは,25m間隔で継ぎ目がある通常のレールと異なり,約390mにわたって継ぎ目の部分がないレール(ロングレール)とされている。これにより,j駅から本件踏切までの上り区間の線路を通過する列車の音や振動は,通常よりも抑えられている(原告D本人,証人E,弁論の全趣旨。 )(イ) 本件踏切は,山陽本線の線路の南側に,一部線路に沿って東西にのびる幅約2mの市道(アスファルトで舗装されている(以下「本件。)市道」という)と,線路の北側に位置する県道59号線を結ぶ里道の。 一部をなすものとして設置されている。同里道の幅員は約2.5mである(甲5,甲15の4,乙22,弁論の全趣旨。 )同里道は,本件踏切の約7m北側で県道59号線に交わる(甲15の 線を結ぶ里道の。 一部をなすものとして設置されている。同里道の幅員は約2.5mである(甲5,甲15の4,乙22,弁論の全趣旨。 )同里道は,本件踏切の約7m北側で県道59号線に交わる(甲15の4,弁論の全趣旨。また,上記里道は,本件踏切のすぐ南側で,本)件踏切付近において山陽本線の線路と併走している市道(アスファル- 13 -,(,)。)トで舗装された道路でその幅は約2mである甲5甲15の4()。 ,(),と交わる乙5本件市道の更に南側には川l川が流れており本件市道は,本件踏切の西にある橋(m橋)又は本件踏切の東側にある橋を通じl川の南側にある大型車も通行可能な1車線の道路歩,,(車道の区別はない)とつながっている(甲15の4,乙2,乙5,乙。 6。 )(ウ) j駅の辺りから本件踏切付近にかけては,山陽本線の線路と県道59号線(片側1車線で,通行量は多い。歩道は,車道の北側にのみ設置されている)が併走している(本件事故当時には,本件踏切のすぐ。 西側の辺りにおいて,工事のために,県道59号線の路面が線路の路面と同じ高さになっていた。ただし,現在においては,本件踏切のすぐ西側の辺りでは,県道59号線の路面の方が線路の路面よりも低くなっている(甲16写真2,甲31の3頁,乙5,原告D本人,弁。)論の全趣旨。 )(エ) 本件踏切の西側において,線路は,若干南側にカーブしてはいるものの,j駅方面に向かって,概ねまっすぐ続いていて見通しも良いのに対し,本件踏切の東側においては,線路は37m程度離れた辺りから北側にカーブしており,線路よりも高い位置にある県道59号線のために,見通しがさえぎられることになる(甲4,甲15の4,甲16,甲27,弁論の全趣旨。 )なお,日中の場合,本件踏切 離れた辺りから北側にカーブしており,線路よりも高い位置にある県道59号線のために,見通しがさえぎられることになる(甲4,甲15の4,甲16,甲27,弁論の全趣旨。 )なお,日中の場合,本件踏切付近から東側への見通し距離は,北側踏切入口から187m,上り線路上から192m,下り線路上から197m,南側踏切入口から205mである(乙10,弁論の全趣旨。 )イ本件事故当時において本件踏切に設置されていたもの(ア) 本件踏切の両側には「とまれみよ」という標識(金属ポールの上部,に黒と黄の塗料を交互に塗装した金属板2枚をバツ印に組みあわせて- 14 -,「」),設置しその下部にとまれみよの長方形の金属板を設置したもの車両通行禁止の標識(金属ポールの上部に車両通行禁止を意味する道路交通標識を設置したもの,赤の塗料が塗られた金属板に黒の塗料で)「危険」と記載された標識及び黒と黄の塗料を交互に斜めに塗装した踏切注意柵がそれぞれ設置されていたが,街灯等の照明装置は設置されていなかった(甲5,甲15の4,弁論の全趣旨。 )(イ) 本件踏切の北側入口付近には,メッセージロボ(踏切への電車の接近とは無関係に,踏切への人の接近を感知し,音声で「ここは踏切です。左右をよくみて渡りましょう」等と踏切の存在を知らせる機械)。 が設置されていたが,本件事故当時,上記メッセージロボは故障していた(証人E,弁論の全趣旨。 )(ウ) 本件踏切道の両端は,幅10cm程度にわたり,オレンジ色の塗色がされていた(もっとも,特に北側では,塗色が剥がれているところがあり,全体的に,塗色はそれほど鮮明ではなかった(甲17,甲。)21の1頁,甲23,甲31,弁論の全趣旨。 ),,(エ) 本件踏切には自転車等の車両での横断を禁止する旨の文字表示や自転車等 あり,全体的に,塗色はそれほど鮮明ではなかった(甲17,甲。)21の1頁,甲23,甲31,弁論の全趣旨。 ),,(エ) 本件踏切には自転車等の車両での横断を禁止する旨の文字表示や自転車等による進入を防ぐための柵は設置されていなかった(弁論の全趣旨。 )ウ本件踏切における電車の通行量等平日においては,上下線を通じて,1日当たり約230本の列車(貨物列車を含む)が本件踏切を通過する(ただし,土曜日,休日,休校日。 には,運休の関係で,列車の本数が異なる場合がある。本件踏切付近。),(,における列車の走行速度は最高で時速70km程度である甲6の12,甲19の2,乙22,乙39,弁論の全趣旨。 )エ本件踏切の周囲に設置されていた他の踏切の状況等(ア) 本件踏切の539m西側には,n踏切(自動車も通行できるもの)- 15 -が設置されている(乙3。同踏切は,踏切警報機及び踏切遮断機が設)置されている第1種踏切である。もっとも,本件踏切の南側から本件踏切に進入する者がn踏切付近の状況を確認することは,日中であっ,,()。 ,てもよほど注意深く観察しない限り不可能である甲31なお,(,)。 j駅はn踏切の334m西側に位置している乙1弁論の全趣旨また,本件踏切の621m東側に,o踏切(自動車も通行できるもの)が設置されている。同踏切は,踏切警報機及び踏切遮断機が設置されている第1種踏切である(乙1,乙4,弁論の全趣旨。 ),,(イ) 本件踏切付近において山陽本線の線路とl川に挟まれた部分には農地が並んでおり,また,数件の民家が点在している(乙2。 )また,本件踏切を間に挟むようにして,県道59号線の北側にF団地及びG団地が,l川の南側にH団地がある(乙2。 )F団地・G団地の住民が, 地が並んでおり,また,数件の民家が点在している(乙2。 )また,本件踏切を間に挟むようにして,県道59号線の北側にF団地及びG団地が,l川の南側にH団地がある(乙2。 )F団地・G団地の住民が,徒歩ないし自転車で最寄り駅であるj駅に向かうには,県道59号線沿いの歩道(前記ア(ウ))を通れば足りる。 また,H団地の住民がj駅に向かうには,m橋を渡って本件市道を通り,本件踏切を渡ってから県道59号線沿いの歩道を通ることもできるし,n踏切を渡って同駅に向かうこともできる(甲4,乙2,弁論の全趣旨。 )オ本件踏切の通行者に関する状況被告の調査したところによれば,本件踏切の通行者数は,下記の日時(,,)。 において以下のとおりであった乙12ないし乙14乙23乙24①平成19年1月31日午後9時から平成19年2月1日午後9時まで歩行者16名,自転車3台,バイク8台(本件通達に基づいて計算された換算交通量(以下「換算交通量」という)は86である)。 。 ②平成20年1月31日午前11時から同年2月1日午前11時まで- 16 -(曇のち雨)歩行者19名,自転車5台,バイク3台(換算交通量53)③平成20年2月1日午前11時から同月2日午前11時まで(晴れのち曇)歩行者11名,自転車4台,バイク1台(換算交通量27)④平成20年2月2日午前11時から同月3日午前11時まで(雪のち曇)歩行者3名,自転車1台,バイク0台(換算交通量5)⑤平成20年2月12日午前6時ないし同日午前9時まで(曇のち晴れ)歩行者6名,自転車2台,バイク4台(換算交通量42)⑥平成20年2月27日午前6時ないし同日午前9時まで(雪のち曇)歩行者3名,自転車3名,バイク2台(換算交通量25)⑦平成20年5月8日午後6時から同月9日午後6時まで歩行者2 算交通量42)⑥平成20年2月27日午前6時ないし同日午前9時まで(雪のち曇)歩行者3名,自転車3名,バイク2台(換算交通量25)⑦平成20年5月8日午後6時から同月9日午後6時まで歩行者20名,自転車14台,バイク10台(換算交通量128)( ) 本件事故以前における本件踏切での事故 ア本件踏切において,平成17年1月23日に死亡事故が発生した(以下「平成17年の事故」という(弁論の全趣旨。平成17年の事故。)),(,,,)。 ,の概要は以下のとおりである甲6の1 甲14乙19なお昭和62年4月1日から本件事故が起こるまでの間,本件踏切における事故として被告内部で報告の手続がとられたのは,平成17年の事故のみである(弁論の全趣旨。 )日時平成17年1月23日午前11時28分(天候曇)態様上り列車が時速65kmで進行中,運転士が,進行方向右側(南側)から踏切内に進入する男性(当時76歳)を- 17 -,,約80m手前で発見し直ちに非常停止の手配をとったが衝突を回避できなかった。 同日の交通量321(換算交通量)イ上記事故発生後,本件踏切において,約1か月間「注意「死亡事故,」発生「平成17年1月23日(発生日時「踏切道横断の際は,一旦」)」停止後左右確認を!」の文字が入った注意喚起の看板が設けられた(乙20,弁論の全趣旨。 )( ) 本件事故の態様等 アAは,平成18年12月12日,午後6時ころに下校し,当時,仲が,,,良かった女生徒と同人の自宅近くまで一緒に帰るためj駅まで行き同駅に置いてあった自転車に乗って,本件踏切よりも東側に位置していたIへ向かった。Aは,女生徒をIまで送った後,j駅へ戻ろうとする途中,自転車に乗ったまま本件市道から本件踏切へ るためj駅まで行き同駅に置いてあった自転車に乗って,本件踏切よりも東側に位置していたIへ向かった。Aは,女生徒をIまで送った後,j駅へ戻ろうとする途中,自転車に乗ったまま本件市道から本件踏切へと進入し,本件事故に遭った(甲22,甲33の2頁,原告D本人,弁論の全趣旨。本件事)故当時,Aは,紺色の制服を着用していた(弁論の全趣旨。 )なお,Aが本件踏切を通るに至る上記の経緯については,原告Dが,上記の女生徒に連絡して確認をとったことにより判明したものである甲(33,原告D本人。 )イ本件事故において,Aは,時速約70kmで走行する3列車に立て続けに轢過されたため,Aの遺体は,原型をとどめないほどの激しい損傷を受けた。そのため,Aの身元確認も,最終的には歯型によってなされた(甲33,乙39,原告D本人,弁論の全趣旨。 )ウ本件事故においてAを轢いた3列車はいずれも普通電車であった最,(初にAを轢いた上り列車及び列車番号1579Mの下り列車は,いずれも115系の4両編成の列車であった。これらの列車を構成する車両。)1両の長さは約20m,幅は約2.8ないし2.9m,重さは数十トン- 18 -にも上る。また,パンタグラフを除く車両の高さは,約4mであり,地面から約1.1ないし1.2mほどは車台部となっている。この車台部の前部には,スカートと呼ばれる金属の覆いが取り付けられているが,車両が何らかの物体に衝突した場合に,その衝撃を緩和するような装置。 ,,,が取り付けられているわけではないそのため仮にこれらの列車が時速70kmで人間に衝突した場合には,人間は直ちに跳ね飛ばされ,(,,)。 致命傷を負わされることになる甲15の2ないし4乙38証人Eまた,運転士が視認できる前方の距離は約50ないし60m程 時速70kmで人間に衝突した場合には,人間は直ちに跳ね飛ばされ,(,,)。 致命傷を負わされることになる甲15の2ないし4乙38証人Eまた,運転士が視認できる前方の距離は約50ないし60m程度にとどまるし,また,列車に装備されている灯火は,標識灯と呼ばれ,夜間に列車の前方及び後方からその列車の進行方向を確認できるようにする目的で装備されているものにすぎないから,上記灯火によって運転士の障害物の発見が容易になるというわけでもないため,特に夜間においては,運転士が,進行方向の障害物等をあらかじめ発見し,列車を安全に停止させることは困難である(乙43,証人E,弁論の全趣旨。 )( ) 本件事故後の踏切保安設備の改善等 ア本件事故後新たに設置された設備等(ア) 本件事故発生後,本件踏切において,約1か月間「注意「死亡事,」故発生「平成18年12月12日(発生日時「踏切道横断の際は,」)」一旦停止後左右確認を!」の文字が入った注意喚起の看板が設けられた(乙20,証人E,弁論の全趣旨。 )(イ) 踏切の両側の入口に,平成19年1月ころにセンサーライト(人を感知して踏切入口付近を照らすもの,平成20年3月ころに踏切警報)機及び踏切遮断機(設置費用の合計は約3000万円であった)がそ。 れぞれ設置された(なお,本件踏切から西側約90mの地点には,ガードレールの切れ目から線路を渡ることができるようになっている場所があったが,その場所は,上記踏切警報機及び踏切遮断機の設置と- 19 -同時期に封鎖された(甲5,甲20,乙40ないし乙42,証人E,弁論の全趣旨。 )踏切警報機及び踏切遮断機の設置は,後記イの警察による指摘を契機として行われたものである(乙41,証人E。ただし,①本件踏切に)ついては,前記第2の1( )ア所 42,証人E,弁論の全趣旨。 )踏切警報機及び踏切遮断機の設置は,後記イの警察による指摘を契機として行われたものである(乙41,証人E。ただし,①本件踏切に)ついては,前記第2の1( )ア所定の指定がされているわけでもなく, また,②本件踏切が設置されたのは昭和34年であったから,本件踏,切については普通鉄道構造規則4条1項所定の許可が擬制されるため改造等が行われない限り,本件踏切について鉄道に関する技術上の基準を定める省令が適用されることもない(前記第2の1( )イ参照)の で,本件踏切に踏切警報機又は踏切遮断機を設置することが,行政法規上義務付けられていたわけではない(弁論の全趣旨。 )(ウ) 本件事故後の平成19年1月ころまでに,本件踏切の南側の入口にも新たにメッセージロボが設置され,また,北側に設置されていたメッセージロボも新しいものに付け替えられた(甲5,原告D本人,弁論の全趣旨。また,踏切道の両端の目印の塗色もやり直された(甲2)0,甲31。 )イ平成18年12月22日,本件事故現場に,広島県警察本部,西条警察署,広島県,東広島市及び被告の担当者が一同に会し,2年間で2人の死亡者を出している本件踏切についての今後の対応策に関する協議を行った。警察側の出席者は,被告に対し,本件踏切を閉鎖し,n踏切を拡幅することを検討するように要望するとともに,当面,本件踏切に看板を立てたり彩色を施したりして視認性を向上させる等の対策を講じるように要望した(乙36,証人E。 )ウ(ア) 中国四国管区行政評価局及び島根行政評価事務所は踏切遮断機警,(報装置及び遮断装置を備えたもの)が設置されていない踏切において死亡事故が発生していること,付近住民が生活道として利用している- 20 -,線路を横断する里道等において 所は踏切遮断機警,(報装置及び遮断装置を備えたもの)が設置されていない踏切において死亡事故が発生していること,付近住民が生活道として利用している- 20 -,線路を横断する里道等においても同様の死亡事故が発生していること踏切遮断機が設置されている踏切に比べて設置されていない踏切の事故発生率は高いこと(例えば,第1種踏切の場合には,平成13年から平成18年までを通じて100か所当たり0.78件の踏切事故が起きたのに対し,第4種踏切の場合には,同じ期間を通じて100か所当たり1.937件の踏切事故が起きたと報告されている(甲19の2の2頁)を踏まえ,平成19年4月から同年11月にかけて,)。 広島県内及び島根県内の踏切遮断機が設置されていない踏切269か所のうち195か所及び線路と交錯する生活道26か所について,実地調査を行い,その結果を踏まえて,平成19年11月30日に,中国運輸局に対して改善意見を通知した(甲19の1。 )(イ) 上記の実地調査の結果,本件踏切は「複線区間で複数回の死亡事故,が発生しているものなど,踏切延長が長いことや見通しが悪いことから,踏切保安設備の設置や近隣の踏切道との統廃合等の安全対策が必要とみられるもの」に分類され,さらに,本件踏切について,以下の点が指摘された(甲19の2の3頁,乙22。 )「複線区間で踏切延長が9.7mと長い」。 「踏切の左右とも,福山駅方面からくる列車の見通しが170mから190mと悪く,また,列車の踏切通過速度(最高)が70km/hと速いことから,計算上,列車が視認されてから,8.7秒から9. 7秒で列車が踏切に到着する状態となっている」。 「平成17年1月及び18年12月に死亡事故が発生している」。 ( ) 本件事故後における原告らの状況 ア本件事故後,原告 ら,8.7秒から9. 7秒で列車が踏切に到着する状態となっている」。 「平成17年1月及び18年12月に死亡事故が発生している」。 ( ) 本件事故後における原告らの状況 ア本件事故後,原告Cは,平成19年1月からうつ病に関して医師による加療を受けているところ,原告Cはしばしば自殺を図ったり,夜になると本件事故現場を訪れたりしており,原告Cのうつ病の症状は重篤で- 21 -ある。原告Cは,同年10月25日から同年11月8日にかけて,J病院に入院した(甲8,甲13の2。原告Cは,その後もJ病院への入院)を繰り返している(甲21の2頁,甲26。 )イ原告Dは,妻である原告Cが自殺を図る可能性があったことから,平成19年1月17日から同年3月20日まで休職を余儀なくされた甲,(8,甲13の2。また,原告D自身も,うつ病であると診断され,平成)19年1月6日から同年5月28日にかけて,薬物療法及び通院精神療法の治療を受けた(甲13の1。 )さらに,原告Dは,平成20年5月30日に,誤って自身が運転していた自動車をガードレールに衝突させる事故を起こし,その後,車内において,自傷行為に及んだ(原告D本人。 )( ) 損害に関係する事実 アAは,平成19年2月には,大学を受験し,スポーツ人間学科に進学することを目指しており,将来は,スポーツインストラクターの仕事に就くことを志していた(甲33,原告D本人。 )イ原告らは,Aの葬儀のために148万3617円,同人の遺体の火葬のために1万2030円を支出した(甲9,甲10。 )ウ原告らは,Aの死体検案書及びその謄本の作成手数料として,K医院に対し,5万円を支出した(甲11,甲12の1ないし3。 ) 争点1について( ) 踏切道は,列車が通過する線路と人車の通行する道 原告らは,Aの死体検案書及びその謄本の作成手数料として,K医院に対し,5万円を支出した(甲11,甲12の1ないし3。 ) 争点1について( ) 踏切道は,列車が通過する線路と人車の通行する道路が行き交う場所で あるから,踏切道の機能が果たされるためには,列車運行の確保と道路交通の安全の適切な調整が行われることが必要不可欠である。そして,その調整は,一義的には,当該踏切道が置かれた具体的な状況に応じて設置される保安設備によって行われるべきものであるから,保安設備と踏切道の軌道施設は,一体たる土地の工作物をなしているとみるべきである。 - 22 -そうすると,踏切道における見通しの良否,交通量,列車回数等の具体的状況を基礎として考えた場合に,踏切警報機や踏切遮断機といった保安設備を欠くために踏切道における列車運行の確保と道路交通の安全との調整が全うされず,列車と横断しようとする人車との接触による事故が生じる危険が少なくないといった状況が生じていると評価できるときには,当該踏切道における軌道施設に保安設備が欠けることが,保安設備と本来一体となるべき工作物としての軌道施設の設置の瑕疵であるといえるものと解される(最高裁判所昭和40年(オ)第536号同46年4月23日第二小法廷判決民集25巻3号351頁参照。 )( ) そこで,上記に述べた観点から,本件踏切において,本件事故当時,踏 切警報機あるいは踏切遮断機が設置されていなかったことが,踏切道における軌道施設の設置の瑕疵であると評価できるか否かについて検討する。 アまず,本件踏切における見通しの点を中心に,通行者が,本件踏切付近において,列車の接近を認識して事故を回避することの困難性に関して検討する。 ,,(ア)前記1( )ア(エ)において認定したとおり本件踏切の西側にお る見通しの点を中心に,通行者が,本件踏切付近において,列車の接近を認識して事故を回避することの困難性に関して検討する。 ,,(ア)前記1( )ア(エ)において認定したとおり本件踏切の西側においてa 線路は,若干南にカーブしているものの,概ねj駅の辺りまでまっすぐに続き見通しを妨げる物はないしかしながら前記1( )ア(ウ),。 , のとおり,j駅から本件踏切付近にかけては,山陽本線の線路と,そのすぐ北側にある県道59号線の車線が併走しているところ,前記1( )ア(イ)において認定した県道59号線と山陽本線の線路の位置 関係からは,県道59号線を東に向けて走行する車両と山陽本線の上り列車が併走する場合,両者の間隔は10m未満になることもあると認められることにかんがみれば,夜間においては,列車あるいは自動車が本件踏切に相当接近しない限り,上り列車の前照灯の光と県道59号線を東に向けて走行する自動車のヘッドライトの光を- 23 -正確に識別することは困難であるといえる(甲33の7頁,乙11参照。そして,県道59号線の交通量が多いことを勘案すると,上)記に述べたような識別の困難さのために,列車の視認が遅れる危険性を軽視することはできない。 ,,とすれば本件踏切における安全の確保という観点からみた場合特に夜間における本件踏切の西側に向けた見通しが良好であるとは認められない。 また,前記1( )ア(ア)及び(イ)において示したとおり,振動や騒音b を小さく抑える機能を持つロングレールの存在や,気動車と比較した場合の電車の騒音の程度,更には県道59号線の交通量の多さのために,本件踏切付近において,上り列車,特に編成の短い上り列車の接近を音や振動によって感知することにも一定の困難が伴うものといわざるを得ない。 ,, 音の程度,更には県道59号線の交通量の多さのために,本件踏切付近において,上り列車,特に編成の短い上り列車の接近を音や振動によって感知することにも一定の困難が伴うものといわざるを得ない。 ,,,(イ) さらに前記1( )ア(エ)において認定したとおり山陽本線の線路は 本件踏切の37m程度東側から北側にカーブし,県道59号線に隠れるような形となるため,日中においても,本件踏切付近からの見通し距離は187m(北側入口から)ないし205m(南側入口から)にとどまる。このことに,①本件踏切を通過する列車の速度が最高で時速70km(秒速約20m)にも上るものであること(前記1( )ウ), ②本件踏切の長さは約9.8mであって(前記1( )ア(ア)),歩いて本 件踏切を横断するには少なくとも数秒間はかかることをも併せて考えたとき,特に,視力がそれほど良好でなく,歩行速度も速くないような通行者が,本件踏切を通行し始めてから,列車が線路がカーブする辺りにさしかかって初めて列車の接近を視認したような場合を想定すると,通行者が,列車との衝突を回避する時間的余裕を確保することが非常に困難になることも十分にあり得るといえる。さらに,本件事- 24 -故当時,本件踏切付近には照明設備が設置されていなかったこと(前記1( )イ(ア))にかんがみれば,夜間においては,なおさら東側から来 。 る下り列車の視認が困難になったであろうことは容易にうかがわれる,,そうすると本件踏切における安全の確保という観点からみた場合本件踏切の東側に向けた見通しが良好であったとは認められない(このことは,前記1( )ウ(イ)の調査結果における指摘によっても裏付けら れる。 。)(ウ) 以上に述べたところをまとめると,①本件踏切の西側方向における視認条件は あったとは認められない(このことは,前記1( )ウ(イ)の調査結果における指摘によっても裏付けら れる。 。)(ウ) 以上に述べたところをまとめると,①本件踏切の西側方向における視認条件は,夜間において悪くなるばかりか,日中においても,本件踏切の東側に向けた見通しは良好であるとはいえず,②本件踏切の西側から列車が接近する場合,音や振動によって列車の接近を認識することは困難であることが認められる。 そうすると,特に,本件事故が発生したような夜間においては,本件踏切付近において,通行者が,列車の接近を認識して列車との衝突を安全に回避することが容易であるとはいえない。そして,上記のような本件踏切における通行の危険性は,現に,本件事故のわずか2年足らず前に生じた死亡事故においても既に現実化していたということができる。 イ次に,本件踏切の交通量や列車回数の点を中心に,本件事故当時における,前記アにおいて述べたような危険が現実化する可能性の程度について検討する。 (ア)まず,前記1( )ウにおいて認定したとおり,本件事故当時,休日a 等における運休の点を除外して考えれば,1日当たり230本程度の列車が本件踏切を通過していたものである。 すなわち,本件踏切においては,単純に計算しても,およそ6分に1本の割合で,列車が通過していたということになるし,通勤時- 25 -間帯や夕方の時間帯には,一層頻繁に,列車が通過していたことがうかがわれる。 そうすると,本件事故当時,本件踏切における列車の通行は,相当頻繁なものであったと評価するのが相当である。 また,実際に本件事故現場付近の山陽本線において運行に供されbていた列車は,一両当たりの自重が数十トンにも及ぶ車両であり,しかも,本件踏切付近においては,最高時速70kmにも及ぶ速度を出し る。 また,実際に本件事故現場付近の山陽本線において運行に供されbていた列車は,一両当たりの自重が数十トンにも及ぶ車両であり,しかも,本件踏切付近においては,最高時速70kmにも及ぶ速度を出して走行していたことがうかがわれるところ,そのような列車が,列車の接近に気付かずに本件踏切を渡ろうとした者に衝突すれば,その者に,瞬間的に致命傷が生じることになることもまた,自明であったといえる(前記1( )ウ)。 (イ) ところで,本件事故当時,本件踏切から数百m離れたところに第1,,,種踏切が2つ設置されており特にそのうちの一つであるn踏切は本件踏切付近にある団地の住民が最寄り駅であるj駅に向かうために利用するのに便利な位置にあったこと(前記1( )エ)等のために,団地 の住民等が,本件踏切を利用する必要があった場合はそれほど多くなかったことがうかがわれる。 しかしながら,山陽本線の線路とl川に挟まれた部分には農地や民家が並んでいる(前記1( )エ(イ))のだから,本件事故当時,本件踏切 を生活道として利用していた者が一定数いたことは容易にうかがわれるし,現に,前記1( )オにおいて示した被告による調査結果からは, 本件事故当時においても,平均すれば,1日当たり10数名程度の歩行者等が本件踏切を利用していたことを推認することができる。 そうすると,本件事故当時,本件踏切の利用者が著しく少なかったとまでは認められない。 (ウ) 以上述べたように,本件事故当時,著しく少ないとはいえない人数- 26 -が本件踏切を利用していた中で,本件踏切を列車が通過する頻度は高かったこと,本件踏切を通過する列車の構造や速度からして,ひとたび衝突事故が生じれば直ちに人命に対する危険が現実化することは明らかであったことにかんがみれば,前記アに 件踏切を列車が通過する頻度は高かったこと,本件踏切を通過する列車の構造や速度からして,ひとたび衝突事故が生じれば直ちに人命に対する危険が現実化することは明らかであったことにかんがみれば,前記アに述べた危険が現実化する可能性は相当程度に高かったというべきである。 ウ(ア) 以上,ア及びイにおいて述べた事情を総合すれば,本件事故当時を基準に,本件踏切における見通しの良否,交通量,列車回数等の具体的状況を基礎として考えた場合,列車と人車との接触を確実に防ぎ得る踏切警報機や踏切遮断機が設置されていないために,列車と本件踏切を横断しようとする人車との接触による事故が生じる危険が少なくなかったことは明らかであるといえる。したがって,本件事故当時,本件踏切において,単に「とまれみよ」の標識等の形での通行者に対す,る注意喚起がなされているにとどまり,踏切警報機,踏切遮断機がいずれも設置されていなかった点は,本件踏切における軌道施設に係る設置の瑕疵であると評価することができる。 この点,被告は,本件踏切に踏切警報機や踏切遮断機を設けることは求められておらず,本件踏切に軌道施設に係る設置の瑕疵があったということはできないと主張する。確かに,本件踏切の設置時期が早かったために,踏切道改良促進法あるいは本件通達の上では,本件踏切に踏切警報機あるいは踏切遮断機を設置する義務が生じるわけではない(前記1( )ア(イ))。しかしながら,本件通達は,鉄道の整備状況 や走行する列車の種類も現在とは異なる昭和29年に発出されたものであり,これを本件事故当時における本件踏切の瑕疵の有無の判断に当たって参考とするのは相当でないこと,現在の行政法規は,踏切の通行人等に列車等の接近を知らせることができ,踏切の通行を遮断することができるような踏切保安設備を設けることを原 切の瑕疵の有無の判断に当たって参考とするのは相当でないこと,現在の行政法規は,踏切の通行人等に列車等の接近を知らせることができ,踏切の通行を遮断することができるような踏切保安設備を設けることを原則としているこ- 27 -と(前記第1の1( )イ(ア)),本件事故後においてではあるが,中国四 国管区行政評価局及び島根行政評価事務所が,本件踏切について踏切保安設備の必要性を指摘したことに照らすならば,上記の被告の主張は到底採用することができない。 争点2について前記1( )において認定したとおり,Aは,帰宅途中に本件踏切を通行しよ うとしていたものであるから,仮に,本件事故当時,最初にAを轢過した上り列車が本件踏切を通過する前に,列車の接近を知らせる踏切警報機が作動,,,していれば又は列車の接近を感知した踏切遮断機が作動していればAが本件踏切にあえて進入しなかったであろうことは明らかである。 とすれば,前記2において認めた設置の瑕疵と,本件事故によって生じたAの死亡という結果との間に,相当因果関係を肯定することができる。 争点3について( ) 前記2( )アにおいて述べたような視認等の困難性,とりわけ,本件事故 が起きたのは冬の時期における午後6時台の時間帯であって,本件踏切の入口の辺りから上り列車の接近を認識することは前記のとおり困難であったと認められることを勘案しても,本件踏切を通行していたAが,本件踏切に進入する前に,一旦停止をし,本件踏切に列車が接近しているか否かを注意深く確認すれば,最初に接近してきた上り列車の存在を認識すること自体は可能であったと認められる。 しかるに,Aが,本件踏切において車両通行が禁止されており,その旨の表示が本件踏切の南側入口にも掲げられていたにもかかわらず(前記1( ) 列車の存在を認識すること自体は可能であったと認められる。 しかるに,Aが,本件踏切において車両通行が禁止されており,その旨の表示が本件踏切の南側入口にも掲げられていたにもかかわらず(前記1( )イ(ア)),自転車に乗ったままで,幅が約1mしかない本件踏切を通過し ようとしたこと(前記1( )ア(ア),1( )ア)からすれば,Aが,本件踏切に ,。 進入する際一旦停止をした上で十分な安全確認を行ったとは考えがたいとすれば,Aが,十分な安全確認を行わなかったことが,本件事故の一- 28 -因をなしたことを否定することはできない。 ( ) このことに加え,①Aは,本件事故当時,高校3年生であり,基本的な 交通法規を十分に習得していたはずであるし,また,交通に関する適切な状況判断を行う能力も十分に備えていたものと考えられること,②弁論の全趣旨によれば,Aは,本件事故以前にも,女生徒を送った帰り等に,本件踏切を何回か通行したことがあったと認めるのが相当であるところ,そうであるとすれば,Aは,少なくとも,本件踏切に踏切警報機・踏切遮断機がなく,また,本件踏切付近において列車の接近を視認することが困難な場合があり得ることをあらかじめ認識することができたといえることを併せ勘案すれば,過失相殺の判断において,Aが本件事故当時十分な安全確認を行わなかったことを相応に考慮せざるを得ない。 ( ) 以上に述べた事情の他,特に夜間においては,踏切警報機又は踏切遮断 機が設置されていないために生じる本件踏切の危険性が増すこと等本件に現れた一切の事情をしんしゃくし,6割の過失相殺を行うのが相当であると認める。 争点4について( ) Aに生じた損害について ア葬儀関係費用149万5647円前記1( )イのとおり,原告らは,Aの葬儀のため しゃくし,6割の過失相殺を行うのが相当であると認める。 争点4について( ) Aに生じた損害について ア葬儀関係費用149万5647円前記1( )イのとおり,原告らは,Aの葬儀のために,合計149万5 647円の葬儀関係費用を支出したものと認められるところ,これらの費用は,すべて本件事故と相当因果関係を有すると認めるのが相当である。 イ文書料5万円前記1( )ウのとおり,原告らは,Aの死因の解明のために,合計5万 円の死体検案書作成料及び謄本料を支出したものと認められるところ,これらの費用は,すべて本件事故と相当因果関係を有すると認めるのが- 29 -相当である。 ウ逸失利益4948万0576円①前記第2の1( )アの事実及び前記1( )アにおいて認定したところに よれば,Aは,本件当時高校3年生(18歳)であり,大学に進学する予定であったこと,②Aの本件事故以前の健康状態に特に問題があった,,,ことはうかがわれないことにかんがみればAは本件事故がなければ大学卒業後,22歳から67歳までの間,就労を続けることが可能であったと認めるのが相当である。 そして,Aの逸失利益の算定の基礎とすべき収入額は,1年当たり676万7500円(平成18年時点における,男子大学・大学院卒労働者の全年齢平均収入)と認めるのが相当であるところ,Aの稼働可能期間は,大学卒業時点から45年間であったといえ,その間における生活費の割合は5割と認めるのが相当だから,上記45年間にわたる年5分の割合による中間利息をライプニッツ方式により控除し,Aの逸失利益を算定すると,以下の計算式のとおり,4948万0576円であると認められる。 (計算式)676万7500円×0.5×(18.169-3.546)=4948万0576 式により控除し,Aの逸失利益を算定すると,以下の計算式のとおり,4948万0576円であると認められる。 (計算式)676万7500円×0.5×(18.169-3.546)=4948万0576円エ死亡慰謝料2000万円①本件において,Aは,短時間のうちに,3列車に轢過され,歯型によらなければ遺体の身元が特定できないほどの激しい損傷を受けたこと(前記1( )イ),②Aは,翌年4月における大学進学を目指していたもの であるところ,本件事故当時における同人の年齢からしても,Aが,自己の将来についての希望を持っていたことは容易にうかがわれるところであって,そのような時期に一瞬にして生命を奪われることになったA- 30 -の無念さは察するに余りあること等本件に現れた一切の事情を勘案すれば,Aに対する死亡慰謝料としては,2000万円が相当であると認める。 オ小括以上において認定した損害額の合計は,7102万6223円であるから,6割の過失相殺を経た上で認められるべき賠償額は,以下の計算式により,原告らそれぞれについて1420万5245円となる。 (計算式)7102万6223円×0.4×0.5=1420万5245円( ) 原告ら固有の慰謝料について 本件において,原告らは,わずか18歳の息子を,本件踏切における軌道施設に係る設置の瑕疵に起因する事故によって亡くしたものであるところ,両親である原告らが,Aの将来に対して大きな期待を寄せていたことは想像に難くない。また,Aが,前記のように,3列車に立て続けに轢過され,遺体の特定すら困難なほどの損傷を受けたことそれ自体によって,原告らが受けた衝撃も,非常に大きなものであったと考えられる。 こうした事情に,前記1( )において認定したとおり,③原告Cは,本件 事故後,重いうつ病に罹 ほどの損傷を受けたことそれ自体によって,原告らが受けた衝撃も,非常に大きなものであったと考えられる。 こうした事情に,前記1( )において認定したとおり,③原告Cは,本件 事故後,重いうつ病に罹り,その治療のために入退院を繰り返す状況にあること,④原告Dは,上記のような原告Cの状態を案じなければならない状況となり,休職を余儀なくされたばかりか,自身もうつ病に罹って,不慮の事故がきっかけとはいえ,一時は,自傷行為にまで及ぶような精神状態に追い込まれたことを併せ考慮すれば,原告らが,Aの死亡によって受けた精神的苦痛は,極めて大きいものであったといえる。 以上述べた内容に,本件に現れた一切の事情を勘案すれば,Aの死亡に関する原告ら固有の慰謝料としては,1人当たり300万円が相当であると認める。 - 31 -したがって,6割の過失相殺を経た上で,賠償が認められるべき慰謝料の額は,原告らそれぞれについて120万円となる。 ( ) 損害賠償額に関するまとめ 以上において示した賠償額を合計すると,1人当たり1540万5245円となるところ,本件訴訟の経過等一切の事情にかんがみ,弁護士費用,,に係る賠償額として1人当たり150万円を加えるのが相当であるから結論として,原告D,原告Cのそれぞれについて,1690万5245円の損害賠償が認められるべきことになる。 以上検討したところによれば,原告らの本訴請求は,それぞれ,損害賠償金1690万5245円及びこれに対する不法行為の日である平成18年12月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その限度で原告らの請求を認容し,原告らのその余の請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担について,民事訴訟法64条本文,61条,65条1項本文を 延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その限度で原告らの請求を認容し,原告らのその余の請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担について,民事訴訟法64条本文,61条,65条1項本文を,仮執行宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 広島地方裁判所民事第1部裁判長裁判官野々上友之裁判官大須賀寛之裁判官佐藤政達

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