昭和26(ネ)2556 約束手形金請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和28年3月30日 東京高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。      控訴費用は控訴人の負担とする。          事    実  控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人は控訴人に対し金三百万円及びこれ に対

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判決文本文2,870 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人は控訴人に対し金三百万円及びこれに対する昭和二十五年九月三十日から完済に至るまで年六分の割合による金員を支払え。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上の主張は控訴代理人において、本件手形は被控訴会社京都支社長Aが被控訴会社取締役社長B代理京都支社長名義をもつて振出したものである。しかして同支社は商法にいわゆる支店ではないとしても支店と認められる程の広範囲の営業をなし又株式会社中央信託銀行京都支店と当座預金契約を継続し、小切手による預金の出入をなしているから被控訴会社京都支社長たるAは被控訴会社を代理して本件手形を振出す権限を有したるべく、仮にしからずとするも、支社と支店とはその名称全く類似し、支社長は支店長又は支店支配人と同一又は類似の職務権限を有するものと思惟さるるを通常とするをもつて、これをも合せて考えると、被控訴会社京都支社長たるAは被控訴会社を代理して本件手形を振出す権限ありと信ずべき正当の事由ありたるものであるから民法第百十条により被控訴会社は本件手形金支払の義務を免れることができないと述べ、被控訴代理人において、被控訴会社京都支社長が被控訴会社を代理して手形行為をなす権限を有した事実、並びに、Aに被控訴会社を代理して本件手形を振出す権限ありと信ずべき正当の事由が存した事実はいずれも否認すると述べたほかは、原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。 証拠として、控訴代理人は、甲第一号証の一、二、第二、第三号証、第四号証の一ないし三、第五号証の一、二を提出し、甲第三号証は被控訴 たほかは、原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。 証拠として、控訴代理人は、甲第一号証の一、二、第二、第三号証、第四号証の一ないし三、第五号証の一、二を提出し、甲第三号証は被控訴会社京都支社を撮影した写真であると述べ、当審証人C、A、Dの各証言、当審における控訴本人尋問の結果を援用し、乙第一号証の成立は不知と述べ、被控訴代理人は、乙第一号証を提出し、原審証人C、原審並びに当審証人A、当番武人E、Fの各証言、原審における控訴本人尋問の結果を援用し、甲第一号証の一中押捺せられある記名のゴム印、支社の角判、Aの丸印が真正のものであることは認めるが、その余の部分並びに国号証の二の各成立は不知、同第三号証が被控訴会社京都支社を撮影した写真であること、及び爾余の甲各号証の成立はいずれも認めると述べた。 理由 訴外Aが被控訴会社京都支社長であり、Bが被控訴会社の取締役社長であることは当事者間に争のないところであつて、押捺せられある記名のゴム印、支社の角判、Aの丸印の真正について争がなく、よつて全部が真正に成立したものと推認し得る甲第一号証の一の記載、原審並びに当審証人A、Cの各証言を綜合すると、訴外Aは、控訴会社取締役社長Bの代理人として、同会社京都支社長A名義をもつて、昭和二十五年三月三十一日金額三百万円、満期同年五月二十九日、振出地、支払地共に京都市支払場所株式会社中央信託銀行京都支店、受取人Fなる約束手形一通を振出し、控訴人は同年七月中右受取人の白地裏書により右手形の譲渡を受け、所持人となつたことが認められるから、右手形につい<要旨>て、被控訴会社がその責に任ずべきものであるかどうかを判断するに、前示証人Aの証言によりて</要旨>も、被控訴会社京都支社長は、会社の基本行為たる保険契約の締結、復活の承 るから、右手形につい<要旨>て、被控訴会社がその責に任ずべきものであるかどうかを判断するに、前示証人Aの証言によりて</要旨>も、被控訴会社京都支社長は、会社の基本行為たる保険契約の締結、復活の承認、支社における社員任免の権限を有せず、主として保険契約の募集、外務員の指揮監督事務を取扱つているに過ぎないことが認められるだけであつて、他に右認定を覆えして同支社が自ら本店と同一の営業をなし得る組織を有している商法にいわゆる支店たる事実を肯認するに足る証拠はないから、同支社長たるAを目して商法第四十二条の営業主任者となし得ない。従つて本件手形の振出について、被控訴会社が同法条により責を負うべきものでなく、他にAに被控訴会社のために本件手形を振出す権限があつたことを認めるに足りる証拠はない。よつて、進んで右Aが被控訴会社を代理して振出した本件手形について他に被控訴会社としてその支払の責に任すべき理由があるか否かを審究するに、成立に争ない甲第四号証の一、二、三、同第五号証の一、二、前示証人Aの証言によると、被控訴会社京都支社は株式会社千代田銀行京都支店及び株式会社第一銀行京都支店と当座取引契約を結び、同支社長A名義の小切手により金員の出入をなしていたことが認められるが、同証人並びに前示証人C(但し一部)、当審証人E、F、D(但し一部)の各証言右Cの証言によりその成立を認め得る乙第一号証の記載を綜合すると、本件手形は被控訴会社京都支社の業務に関係なく、Aがその弟Eの依頼により、同人及びFに金融を得させ、その得た割引金の内金百万円はA自身の債務の決済に振当て、残金の内金百万円はCの関係する平和産金鉱業株式会社にEとFとが重役として入社する条件として同社の事業資金として出資し、残金百万円はEとFとがこれを流用して同社の株式価格を操作し、かくして該株 て、残金の内金百万円はCの関係する平和産金鉱業株式会社にEとFとが重役として入社する条件として同社の事業資金として出資し、残金百万円はEとFとがこれを流用して同社の株式価格を操作し、かくして該株式の売買によつて得た利得命で本件手形の決済をなす目的で殊更に被控訴会社取締役社長B代理京都支社長名義を冒用して振出し、Fは右を了承して右手形の割引方をCに依頼したことが認められ、前示C、Dの各証言中右認定に反する部分は措信し難く、他に右認定を覆えすに足る証拠はないから、その余の争点につき判断するまでもなく、本件手形の振出は被控訴会社につきその効力を生ずるものでなく、F信武はこれを知つていたものというべく、従つて、本件手形の振出、について、被控訴会社はFに対し民法第九十九条に基く責を負うものでなく、更に進んで同法第百十条に基く責任を負うものでもない。既にしかる以上、満期後の譲受人である控訴人はその善意なると悪意なるとを問わず、叙上の事由をそのまま対抗せられ得べきものであるから、控訴人の本訴請求は爾余の判断に俟つまでもなく失当として棄却すべきである。 よつて右と同旨に出でた原判決を相当と認め、民事訴訟法第三百八十四条、第九十五条、第八十九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長判事柳川昌勝判事村松俊夫判事中村匡三)

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