令和3(行ケ)10146 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年10月17日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
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令和4年10月17日判決言渡令和3年(行ケ)第10146号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和4年8月10日判決 原告グリッドマーク株式会社 同訴訟代理人弁理士細谷道代同平川明 被告ソニックステクノロジー株式会社 同訴訟代理人弁護士矢部耕三同髙畑豪太郎同岡本義則 同訴訟代理人弁理士松尾淳一 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2018-800157号事件について令和3年10月20日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は、特許無効審判請求により特許を無効とした審決の取消訴訟である。 1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。) ⑴ 原告代表者は、平成23年2月28日、その名称を「ドットパターン」とする発明について特許出願(特願2011-41190号。以下「本件出願」という。)をし、平成24年1月13日、その設定登録(特許第4899199号、請求項の数5)を受けた(以下、この登録に係る特許を する発明について特許出願(特願2011-41190号。以下「本件出願」という。)をし、平成24年1月13日、その設定登録(特許第4899199号、請求項の数5)を受けた(以下、この登録に係る特許を「本件特許」という。)。 その後、本件特許権は、原告代表者から原告に移転し、その旨の登録がされた。 ⑵ 被告は、平成30年12月28日、本件特許の請求項1ないし5に係る発明について特許無効審判請求(無効2018-800157号)をした。 ⑶ 原告は、令和3年3月30日付けで本件特許の請求項1、4及び5に係る 特許請求の範囲及び明細書の記載を訂正する訂正請求を行った(以下、この訂正を「本件訂正」という。)。 特許庁は、令和3年10月20日、「令和3年3月30日付け訂正請求において、特許第4899199号の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書の段落0232、0233、0237、0238のとおり訂正することを 認める。特許第4899199号の請求項1ないし5に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同月29日、原告に送達された。 ⑷ 原告は、令和3年11月26日、本件審決の取消しを求めて本件訴えを提起した。 2 特許請求の範囲の記載本件訂正前の本件特許の請求項1ないし5発明(以下、項番号順に「本件発明1」のようにいい、本件発明1ないし5を合わせて「本件発明」という。)及び本件訂正後の本件特許の請求項1ないし3の発明(以下、項番号順に「本件訂正発明1」のようにいい、本件訂正発明1ないし3を合わせて「本件訂正発 明」という。請求項4及び5についてはこれらを削除する訂正請求があった。) に係る特許 に「本件訂正発明1」のようにいい、本件訂正発明1ないし3を合わせて「本件訂正発 明」という。請求項4及び5についてはこれらを削除する訂正請求があった。) に係る特許請求の範囲の記載は、次のとおりである(下線は、審決において、訂正された部分を示すとして付されたもの。以下同じ。)。 本件発明1の構成要件の分説は、本件審決による。 ⑴ 本件発明ア本件発明1 A 等間隔に所定個数水平方向に配置されたドットと、B 前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ドットから等間隔に所定個数垂直方向に配置されたドットと、C 前記水平方向に配置されたドットから仮想的に設定された垂直ラインと、前記垂直方向に配置されたドットから水平方向に仮想的に設定され た水平ラインとの交点を格子点とし、該格子点からのずれ方でデータ内容が定義された情報ドットと、からなるドットパターンであって、D 前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味しているE ことを特徴とするドットパターン。 イ本件発明2前記ドットパターンは、上下および/または左右に2以上連設したことを特徴とする、請求項1記載のドットパターン。 ウ本件発明3前記垂直方向に配置されたドットの1つを当該ドット本来の位置からず らすことによって一般コードまたはXY座標を示すフラグを意味していることを特徴とする、請求項1または2に記載のドットパターン。 エ本件発明4前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ドットから等間隔に所定個数垂直方向に配置さ していることを特徴とする、請求項1または2に記載のドットパターン。 エ本件発明4前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ドットから等間隔に所定個数垂直方向に配置されたドットのうち、当該端点に位置するド ットの次のドットを左右いずれかにずらすことによって前記ドットパタ ーンの上下方向(向き)を意味していることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のドットパターン。 オ本件発明5前記垂直方向に配置された所定個数のドット数は4個であって、前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ドットの次のド ットまたは3個目のドットを左右いずれかにずらすことによって前記ドットパターンの上下方向(向き)を意味していることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のドットパターン。 ⑵ 本件訂正発明ア本件訂正発明1 等間隔に所定個数水平方向に配置されたドットと、前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ドットから等間隔に所定個数垂直方向に配置されたドットと、前記水平方向に配置されたドットから仮想的に設定された垂直ラインと、前記垂直方向に配置されたドットから水平方向に仮想的に設定された水 平ラインとの交点を格子点とし、該格子点から前記水平方向または前記垂直方向へのずれ方でデータ内容が定義された情報ドットと、からなるドットパターンであって、前記垂直方向に配置されたドットのうち、前記端点に位置するドットの次のドットもしくは前記端点に位置するドットから3つめのドットは、当 該ドット本来の位置から前記水平方向にずらされて前記端点からスタート 向に配置されたドットのうち、前記端点に位置するドットの次のドットもしくは前記端点に位置するドットから3つめのドットは、当 該ドット本来の位置から前記水平方向にずらされて前記端点からスタートする垂直方向のライン上にないことによって前記ドットパターンの上下方向を意味していることを特徴とするドットパターン。 イ本件訂正発明2前記ドットパターンは、上下および/または左右に2以上連設したこと を特徴とする、請求項1記載のドットパターン。 ウ本件訂正発明3前記垂直方向に配置されたドットの1つを当該ドット本来の位置からずらすことによって一般コードまたはXY座標を示すフラグを意味していることを特徴とする、請求項1または2に記載のドットパターン。 3 本件審決の理由の要旨(本件訴訟に関連する部分に限る。下記訂正事項のほ かに本件審決が認めた訂正事項がある。)本件審決は、①本件訂正中、請求項1に係る訂正(訂正事項2)は、特許法134条の2第1項ただし書に掲げるいずれかの事項を目的とするものではなく、同条第9項で準用する同法126条6項の規定に適合せず、また、その他の請求項1(訂正事項1)、請求項4及び5(訂正事項3及び4)並びに本件特 許に係る明細書及び図面(以下、本件訂正の前後を通じて「本件明細書」という。)【0009】(訂正事項5)、【0012】(訂正事項6)及び【0013】(訂正事項7)に係る訂正は、訂正事項1ないし4が請求項1ないし5からなる一群の請求項に係る訂正で、訂正事項5ないし7が特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、請求項1ないし7は請求項 1ないし5からなる一群の請求項に係る訂正であるところ、訂正事 項に係る訂正で、訂正事項5ないし7が特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であって、請求項1ないし7は請求項 1ないし5からなる一群の請求項に係る訂正であるところ、訂正事項1が認められないことから、これら訂正事項に係る訂正も認められない、②本件発明1ないし5は同法36条6項1号のサポート要件を充足しないものであるから、本件発明1ないし5に係る特許は同法123条1項4号の規定に該当し無効とすべきものである(無効理由2について)、③本件明細書は同法36条4項1号 の実施可能要件を充足しないものであるから、本件発明1ないし5に係る特許は同法123条1項4号の規定に該当し無効とすべきものである(無効理由1について)旨判断した。 それぞれの論点に関する本件審決の理由の要旨は、以下のとおりである。 ⑴ 訂正要件違反について ア訂正事項2について 訂正事項2は、本件発明1に「前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」とあるのを、「前記垂直方向に配置されたドットのうち、前記端点に位置するドットの次のドットもしくは前記端点に位置するドットから3つめのドットは、当該ドット本来の位置から前記 水平方向にずらされて前記端点からスタートする垂直方向のライン上にないことによって前記ドットパターンの上下方向を意味している」に訂正するというものである。 訂正事項2に係る訂正前の発明特定事項(以下「訂正前発明特定事項」という。)の「ドット本来の位置からのずらし方」とは、「ドット本来の 位置」から、何れの「方向」に「どの程度」の距離ずらすかということである。一方、訂正 明特定事項(以下「訂正前発明特定事項」という。)の「ドット本来の位置からのずらし方」とは、「ドット本来の 位置」から、何れの「方向」に「どの程度」の距離ずらすかということである。一方、訂正後の発明特定事項(以下「訂正後発明特定事項」という。)の「前記端点からスタートする垂直方向のライン上にないことによって」とは、ライン上にドットがあるかないかだけを認識して上下方向を判断するものであり、訂正前発明特定事項のように、異なる複数の 「ドットパターンの向き」を表現することができるというものではない。 そうすると、訂正前発明特定事項と訂正後発明特定事項とは、相互に異なる「ドットパターンの向き(上下方向)の判断方法」を規定したものであって、何れか一方の概念が他方の概念に含まれるというような上位概念と下位概念の関係にあるというものではない。 加えて、訂正前発明特定事項から「ずらし方」との文言が削除されることによって、「ずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」という技術的事項が削除されており、特許請求の範囲は拡張されているといえる。 そうすると、訂正事項2は、特許法134条の2第1項ただし書1号 に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとはいえない。 また、訂正事項2は、「誤記又は誤訳の訂正」、「明瞭でない記載の釈明」、又は「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」のいずれを目的とするものともいえないことは明らかである。 訂正前発明特定事項と訂正後発明特定事項とは、相互に異なる「ドッ トパターンの向き(上下方向)の判断方法」を規定したものであって、いず とするものともいえないことは明らかである。 訂正前発明特定事項と訂正後発明特定事項とは、相互に異なる「ドッ トパターンの向き(上下方向)の判断方法」を規定したものであって、いずれか一方の概念が他方の概念に含まれるというような上位概念と下位概念の関係にあるというものとはいえないものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである。 また、訂正前発明特定事項から「ずらし方」との文言が削除されるこ とによって、「ずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」という技術的事項が削除されていることから、特許請求の範囲を拡張するものである。 イ訂正事項1、3ないし7について 請求項2ないし5は、請求項1を直接又は間接に引用しているもので あるから、請求項1ないし5は一群の請求項である。 訂正事項1及び2は請求項1を訂正するものであり、訂正事項3は請求項4を削除するものであり、訂正事項4は請求項5を削除するものであるから、訂正事項1ないし4は、請求項1ないし5からなる一群の請求項に係る訂正である。 また、訂正事項5は、訂正事項1及び訂正事項2に係る請求項1の訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、訂正事項6は、訂正事項3に係る請求項4の削除に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であり、訂正事項7は、訂正事項4に係る請求項5の削除に伴い特許請求の範囲の 記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、訂正事項5 ないし7は、請求項1ないし5からなる一群の請求項に係る訂正である。 そして、前記アのとおり、請求項1に係 書の記載との整合を図るための訂正であるから、訂正事項5 ないし7は、請求項1ないし5からなる一群の請求項に係る訂正である。 そして、前記アのとおり、請求項1に係る訂正事項2が認められないことから、請求項1ないし5からなる一群の請求項に係る訂正である訂正事項1、3ないし7についても一体的に認められない。 ⑵ サポート要件の充足について ア本件明細書には、ドットを本来の位置とは違う位置に配置し、本来の位置と実際に配置された位置のずれ方によってドットパターンの向きを表現することに関係し得るものとして、【0009】に特許請求の範囲と同じ記載があるほかは、キードットKDのずらし方に関係する記載があることを除いて、何ら記載がない。 イ本件明細書【0240】ないし【0242】からは、キードットKDの配置のずらし方によって、ドットパターンの向きを示すことが記載されているともいえる。 しかしながら、上記記載は、本件明細書【図103】ないし【図106】及び【0230】ないし【0241】に記載されている技術思想のドット パターン(以下「図105ドットパターン」という。)に関するものであるところ、図105ドットパターンは、「前記水平方向に配置されたドットから仮想的に設定された垂直ラインと、前記垂直方向に配置されたドットから水平方向に仮想的に設定された水平ラインとの交点」である「格子点からのずれ方でデータ内容が定義された情報ドット」(構成要件C)に係る構 成を有するものではない。また、【図105】及び【図106】においては、キードットKDは、「等間隔に所定個数水平方向に配置されたドット」(構成要件A)の1つであり、「前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する はない。また、【図105】及び【図106】においては、キードットKDは、「等間隔に所定個数水平方向に配置されたドット」(構成要件A)の1つであり、「前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ドットから等間隔に所定個数垂直方向に配置されたドット」(構成要件B)ではないから、「前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当 該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向き を意味している」(構成要件D)ものには当たらない。 図105ドットパターンに関する記載をもって、本件発明1について、「ずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D)についての記載があるといえるものではなく、また、当業者にとって、その記載があると理解することはできない。 ウ本件明細書【図5】ないし【図8】においては、垂直ライン上にドットがないところがあり、そこには、ドットが本来の位置と比べて左右にずれた位置に配置されている(「x、y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」)と記載されたドットが配置されている。)。 しかしながら、上記記載は、本件明細書【図5】ないし【図8】及び【0 069】ないし【0073】に記載されている技術思想のドットパターン(以下「図5ドットパターン」という。)に関するものであるところ、【0069】ないし【0073】には、上記の本来の位置と比べて左右にずれた位置に配置されているドットについて、その本来の位置と実際に配置された位置との関係に基づいてドットパターンの向きを意味することを示 す記載は全く存在しない。かえって、「x、y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」は、ドットの本来の位置と実際に配置された位置との関係によってドットパタ ドットパターンの向きを意味することを示 す記載は全く存在しない。かえって、「x、y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」は、ドットの本来の位置と実際に配置された位置との関係によってドットパターンのデータの種類を定義していることがうかがえる。 そして、本件明細書【0072】には、「垂直ラインは、水平ラインを構成するドットからスタートし、次の点もしくは3つ目の点がライン上にな いことから上下方向を認識する。」という記載があるが、これは、ライン上にドットがあるかないかだけを認識して上下方向を判断することが記載されているのであって、構成要件Dの「ずらし方」(本来のドットの位置と実際に配置されたドットの位置との関係)に基づいてドットパターンの向きが表現されることが記載されているとはいえない。 これらによれば、図5ドットパターンについてみても、本件明細書には、 「ずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D)との構成について、何ら記載はない。 そのほか、本件明細書に、本件発明1における上記構成について説明していると解される記載は存在しない。 エ以上によれば、本件明細書には、「ずらし方によって前記ドットパターン の向きを意味している」(構成要件D)との構成について、具体的に何ら記載がないといえるし、具体的な記載がないにもかかわらず、当業者が、技術常識に照らして上記構成を理解し得たことを認めるに足りる証拠もない。 したがって、本件発明1の構成要件Dは、本件明細書の発明の詳細な説 明に記載したものとは認められないから、本件発明1は、サポート要件に適合しない。 オ本件発明2ないし5は、本件発明1の構成を全て含むもの 1の構成要件Dは、本件明細書の発明の詳細な説 明に記載したものとは認められないから、本件発明1は、サポート要件に適合しない。 オ本件発明2ないし5は、本件発明1の構成を全て含むものであるところ、構成要件Dを含む本件発明1はサポート要件に適合しないものであるから、本件発明2ないし5も、同様に、サポート要件に適合しない。 ⑶ 実施可能要件の充足について本件発明1は、構成要件Dを含むドットパターンの発明であるところ、前記⑵のとおり、本件明細書の発明の詳細な説明には、構成要件Dを含むドットパターンの具体的な記載はないし、当業者がそのドットパターンを製造し使用することができる程度に記載されているともいえない。 したがって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、構成要件D含む本件発明1のドットパターンに係る発明を、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。 本件発明2ないし5は、本件発明1の構成を全て含むものであるから、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件発明2ないし5を、当業者が実 施することができる程度に、明確かつ十分に記載したものとはいえない。 4 取消事由本件訂正の訂正要件違反に関する判断の誤り第3 当事者の主張 1 原告⑴ 訂正要件違反に関する判断の誤りについて ア訂正事項2による訂正前の「前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D)との特許請求の範囲の記載は、ずらし方は特に限定されていないから、これを、「ドット本来の位置から、何れの「方向」に「どの程度」の距離ずらすか 前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D)との特許請求の範囲の記載は、ずらし方は特に限定されていないから、これを、「ドット本来の位置から、何れの「方向」に「どの程度」の距離ずらすかということ」という特定の方法のもの に限定する必要も、また、ずらし方による作用効果が「異なる複数の「ドットパターンの向き」を表現することができる」ものでなければならない必要もない。「ずらし方」の中に異なる複数のドットパターンの向きを表現することができないものを含まないことが含意されているものではなく、「ずらし方によって」は、単一の向きのみが定義できるものも含むと解釈 できる。 したがって、本件審決の判断は、上記発明特定事項に、図105ドットパターンの中の一変形例に係る本件明細書【0239】の記載を参酌して、図5ドットパターンに基づくと理解されるべき本件発明1の発明特定事項に不必要な限定を加えてされたものである。 イ訂正事項2は、「当該ドット本来の位置からのずらし方によって」という何ら限定のなかったずらし方を1つの特定のずらし方に限定するものである。すなわち、①ずらされるドットを「前記端点に位置するドットの次のドットもしくは前記端点に位置するドットから3つめのドット」という特定のドットがずらされるずらし方に限定し、②ずらし方として「前記端 点からスタートする垂直方向のライン上にないずらし方」と「前記端点か らスタートする垂直方向のライン上にあるずらし方」の2つのずらし方のうち、前者のずらし方に限定し、③ずらし方により意味するドットパターンの向きとして、「向き」に関して限定のないずらし方から、「上下方向を意味している」ずらし方に限定し、④端点からスタートする垂直方向のライ 者のずらし方に限定し、③ずらし方により意味するドットパターンの向きとして、「向き」に関して限定のないずらし方から、「上下方向を意味している」ずらし方に限定し、④端点からスタートする垂直方向のライン上にないことによるずらし方として、1つ目または3つ目の位置にあ るなど上下方向に関して非対称な位置を本来の位置とすることによってドットパターンの上下方向を意味することが可能なずらし方と、端点からスタートする垂直方向のライン上で2つ目の位置にあるなど上下方向に対称な位置を本来の位置とすることによってドットパターンの上下方向を意味することができないずらし方のうち、前者の上下非対称位置のドッ トをずらす方法に限定するものである。 したがって、訂正事項2は特許請求の範囲の減縮に該当する。 ウ 「本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」ドットパターンとは、下記左図のようなものである。他方、「本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味して いる」ドットパターンとは異なるもの、すなわち、「ずらし方」によらないで「ドットパターンの向きを意味している」ドットパターンとは、ドット本来の位置からずらされたドットが存在せず、ずらしたドットがないドットの配置で向きを意味するものであり、これは、例えば下記右図のようなものである。 訂正事項2による訂正後のドットパターンは、ドットは「本来の位置から前記水平方向にずらされて前記端点からスタートする垂直方向のライン上にない」のであるから、「垂直方向のライン上」以外の位置にずれて存在し、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味しているこ 前記端点からスタートする垂直方向のライン上にない」のであるから、「垂直方向のライン上」以外の位置にずれて存在し、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味していることに変わりはない。すなわち、「前記端点に位置す るドットの次のドットもしくは前記端点に位置するドットから3つめのドットは、当該ドット本来の位置から前記水平方向にずらされて前記端点からスタートする垂直方向のライン上にないことによって」とは、「前記端点に位置するドットの次のドットもしくは前記端点に位置するドットから3つめのドットは、当該ドット本来の位置から前記水平方向にずらされ て前記端点からスタートする垂直方向のライン上にないずらし方によって」と同義である。 エ訂正事項2によって、「ずらし方」との文言が削除されているが、形式的に「ずらし方」との文言が削除されたとしても、「ずらし方」という文言に代わる文言を用いることにより、訂正事項2による訂正は、訂正前に何ら 限定のない「前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当該ドット本来の位置からのずらし方によって」を、ずらし方の1つである「前記垂直方向に配置されたドットのうち、前記端点に位置するドットの次のドットもしくは前記端点に位置するドットから3つめのドットは、当該ドット本来の位置から前記水平方向にずらされて前記端点からスタートする垂直方 向のライン上にない」とのずらし方に限定したものである。そして、訂正事項2によっても、訂正の前後において作用効果は同一か又は更に限定されたものであり、新たな作用効果を追加するものではない。 したがって、特許請求の範囲が拡張されているということはない。 ⑵ 取消事由について 本件審決は、訂正事項2による訂 のであり、新たな作用効果を追加するものではない。 したがって、特許請求の範囲が拡張されているということはない。 ⑵ 取消事由について 本件審決は、訂正事項2による訂正を認めず、その結果、一群の請求項で ある請求項1ないし5に対する訂正事項1、3ないし7による訂正を認めず、本件訂正前の本件発明に基づいて無効理由1及び無効理由2により無効であると判断したものであり、その判断には誤りがある。 ⑶ 予備的主張本件訂正が適法であったとしても、本件訂正後の本件特許が無効理由1及 び2により無効を免れないとする判断に備えて、原告は、本件訂正により無効理由1及び2の無効理由が解消されていることを明らかにするする。 アサポート要件の充足について本件訂正発明は、少なくともその一例が、本件明細書【0071】、【0072】及び【図5】ないし【図8】に記載されているから、サポート要 件を充足する。 なお、本件発明に係る構成要件Dの「前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」は、ずらし方に限定がなく、本件発明も、その一例が本件明細書【0071】、【0072】及び【図5】ないし【図8】 に記載されているといえる。すなわち、【0072】の「次の点もしくは3つ目の点がライン上にない」ことを認識する前提として、ドットパターンの認識のために「連続する等間隔のドット605により構成されたライン」(【0071】)の存在が前提となっているから、この「連続する等間隔のドット605により構成されたライン」上の位置が「当該ドット本来の位 置」であることは明らかである。そして、【 れたライン」(【0071】)の存在が前提となっているから、この「連続する等間隔のドット605により構成されたライン」上の位置が「当該ドット本来の位 置」であることは明らかである。そして、【0072】に記載のとおり、「垂直ラインは、水平ラインを構成するドットからスタートし、次の点もしくは3つ目の点がライン上にない」のであるから、「次の点もしくは3つ目の点が」ライン上以外の位置にあることは明らかであり、ライン上以外の位置にあるのであるから、「当該ドット本来の位置」であるラインから「ずれ て」いることは明らかである。この記載に対応して、【図5】ないし【図8】 には、上から2番目のドットに矢印が付され、ずれた位置とライン上のずれる前の当該ドット本来の位置が示されていると理解できる。 イ実施可能要件の充足について本件訂正により、前記⑴イの記載から、本件訂正後の発明は、当業者がそのドットパターンを製造し使用できる程度に記載されたものとなった。 2 被告⑴ 訂正要件違反に関する判断の誤りについてア 「ずらし方」という用語に対応する本件明細書の記載は、【0239】の「また、本発明のドットパターンでは、キードットのずらし方を変更することにより、同一のドットパターン部であっても別の意味を持たせること ができる。」しかないので、本件審決は【0239】を参酌したが、その参酌により用語を限定解釈したものではない。「ずらし方」の辞書的な意味は、「少しすべらせて動かすやり方」であり(乙3ないし5)、本件審決が、「ドット本来の位置からのずらし方」を、「ドット本来の位置」から、何れの「方向」に「どの程度」の距離ずらすかと認定したのは、用語の一般的意味に 沿うものにすぎな (乙3ないし5)、本件審決が、「ドット本来の位置からのずらし方」を、「ドット本来の位置」から、何れの「方向」に「どの程度」の距離ずらすかと認定したのは、用語の一般的意味に 沿うものにすぎない。そして、特許請求の範囲の記載には、この「ずらし方」について方向・距離に具体的な制限は設けられていないから、異なる複数の「ずらし方」により、異なる複数のドットパターンの向きを表現できる必要がある。 イ本件訂正後は、ドットパターンが表現するのは上下方向1つとなり、異 なる複数の「ずらし方」によって異なる複数のドットパターンの向きを表現できるものではなくなるから、本件発明1と本件訂正発明1とは全く異なる発明である。「本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」ドットパターンの下位概念は、やはり異なる複数の「ずらし方」によって異なる複数のドットパターンの向きを表現でき る構成を有しなければならない。もしこのような構成を有しないのであれ ば、本件訂正後の構成は、本件訂正前の構成から発明を構成する要素が少なくなっている部分を含むはずであるから、下位概念にならない。 ウ原告の主張する前記1⑴ウ右図のようなドットパターンのみが特許請求の範囲の減縮に該当しないという主張は、根拠がない。 また、「ライン上にないことによって」は、「ライン上にないこと」だけ を見ればよいが、「ライン上にないずらし方によって」は、「ずらし方によって」との内容が付加されているから、「ライン上にないことによって」が「ライン上にないずらし方によって」と同義とはいえない。 エ本来の位置であるライン上からどのようにずらされても、ライン上にないことは同じであるから、本件訂正後の「ライン ないことによって」が「ライン上にないずらし方によって」と同義とはいえない。 エ本来の位置であるライン上からどのようにずらされても、ライン上にないことは同じであるから、本件訂正後の「ライン上にないことによって」 との文言は、「ライン上にないこと」が満たされれば「ずらし方」にかかわらずドットパターンの向きを示すということであり、訂正前発明特定事項である「ずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」という技術的事項が削除されており、特許請求の範囲が拡張していることは明らかである。 また、本件発明1は、「ずらし方」により、異なる複数の「ドットパターンの向き」を表現することができるのに対し、本件訂正発明は、異なる複数の「ドットパターンの向き」を表現することはできず、また、ドットパターン全体の上下非対称性の情報を利用できる場合でなければ発明として実施し得ないから、両発明は作用効果が異なる。 ⑵ 取消事由について本件訂正を不適法とした本件審決の判断に誤りはなく、原告の取消事由は理由がない。 ⑶ 予備的主張についてアサポート要件の充足について 本件発明について 原告は、本件審決に係る審判手続において、本件訂正は、本件発明を構成要件Dを含まない図5ドットパターンとして記載されたものとすると主張しているから(乙6)、本件発明が構成要件Dの「前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」をサポートしていな いことを認めている。 それを措くとしても、本件明細書【0072】には「次の点もしくは3つ目の点がライン上にない よって前記ドットパターンの向きを意味している」をサポートしていな いことを認めている。 それを措くとしても、本件明細書【0072】には「次の点もしくは3つ目の点がライン上にない」との記載があるが、上下対称なドットパターンでは、この構成で上下方向の認識をすることはできず、常に利用可能なものではない。また、これは、ドットがライン上にあるかないか にしか言及しておらず、「ずらし方」とは異なる。そして、【図5】ないし【図8】のドットパターンにおいて、「x、y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」のいずれかが用いられている記載があるが、この「x、y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」とされたドットは、いずれも、データ内容を定義するドットの一つにすぎず、ドットパターンの方向を 意味するドットではない。 本件発明の「ずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」との構成は、本件明細書に全く記載されていないものである。 本件訂正発明について本件明細書【0072】は、「次に、抽出したラインの1つを水平ライ ンとする。この水平ラインを基準としてそこから垂直に延びるラインを抽出する。垂直ラインは、水平ラインを構成するドットからスタートし、次の点もしくは3つ目の点がライン上にないことから上下方向を認識する。」と記載されており、あくまでもライン上にないことにしか言及しておらず、次の点もしくは3つ目の点が、ライン上以外の位置にあるとは 記載されていない。また、【図5】ないし【図8】のドットパターンの「x、 y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」はいずれもデータ内容を定義するドットの一つにすぎないから、上記各図面に、特定のドットが上下方向を意 図8】のドットパターンの「x、 y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」はいずれもデータ内容を定義するドットの一つにすぎないから、上記各図面に、特定のドットが上下方向を意味していることが示されているものでもない。 イ実施可能要件の充足について本件明細書には、本件訂正発明1ないし3の構成のドットパターンの具 体的な記載はなく、当業者がそのドットパターンを製造し使用することができる程度に記載されているともいえない。したがって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、本件訂正発明1ないし3を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明について本件明細書(甲69)には、別紙「本件明細書の記載事項(抜粋)」のとおりの記載があり、この記載によると、本件発明について、次のような開示があると認められる。 従来から、光センサを用いて絵本やゲームカードに印刷されたバーコードを 読み取り、特定の音声を発音させる音声発生玩具が提案されており(【0002】)、先行技術においては、バーコードに代わってドットパターンで印刷されたコード情報を読み取って情報を再生させる方法が提案されていた(【0005】)。同技術においては、ドットを所定の法則で紙面の二次元方向に印刷したドットパターンをペン型のスキャナで読み取り、このスキャナの走査速度と走 査方向を情報処理装置で解析してあらかじめ対応付けられた音声等の情報を再生させるが(【0006】)、動的にスキャナを走査させることを前提としているために、紙面上にキャラクタ等が自由に印刷配置された絵本等で静的に読取装置を当接させるだけで情報を再生させる用途には不向きであった るが(【0006】)、動的にスキャナを走査させることを前提としているために、紙面上にキャラクタ等が自由に印刷配置された絵本等で静的に読取装置を当接させるだけで情報を再生させる用途には不向きであった(【0007】)。 本件発明は、印刷物に形成したドットパターン情報を光学的に読み取り該ド ットパターンに対応した種々の情報を再生する技術に関するものであり(【0 001】)、極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提案し、このドットパターンに基づいた情報再生方法及び情報再生装置を提案するものである(【0008】)。 そして、上記課題を解決するための手段として、本件発明1ないし5は、特許請求の範囲に記載のとおりの特徴を有するドットパターンをとるものである。 本件発明によれば、極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提供することができるとの効果を奏する(【0058】)。 2 ドットパターンについて⑴ 図5ドットパターンについて図5ドットパターンに関係して、本件明細書には、別紙の【0069】な いし【0073】の記載がある。これらには、情報を示すドットパターンについて、等間隔のドットにより構成されたラインが抽出されるとともに、そのうちの一つを水平ラインとして、そこから垂直に延びるラインを抽出し、その垂直ラインは、水平ラインを構成するドットの次の点、又は3つ目の点がライン上にないことから上下方向を認識し、情報領域を抽出して、その数 値情報を再生することが記載されている。 ⑵ 図105ドットパターンについて図105ドットパターンに関係して、本件明細書には、【0230】ないし【0241】の記 して、その数 値情報を再生することが記載されている。 ⑵ 図105ドットパターンについて図105ドットパターンに関係して、本件明細書には、【0230】ないし【0241】の記載がある。これらによれば、そのドットパターンは、格子状に配置されたドットで構成される。そして、格子ドットLDと呼ばれるド ットを四隅に配置し、その4つの格子ドットLDで囲まれた領域の中心からどの程度ずらすかによってテータ内容が定義され、同領域の中心から等距離の位置で45度ずつずらした点を8個定義することで、8通りのデータを表現でき、このずらす距離を変更した点を8個定義することで16通りのデータを表現できる。また、格子ドットLDは、本来、縦横方向の格子線の交点 上である格子点上に配置されるが、その位置をずらしたドットをキードット KDとして、このキードットKDに囲まれた領域、又は、キードットKDを中心にした領域が一つのデータを示している。また、キードットKDを格子点から等距離で45°ずつずらすことにより、その角度ごとに別の情報を定義することができることが記載されている。 3 取消事由について ⑴ 訂正要件違反の有無についてア訂正事項2について訂正事項2は、前記第2の3⑴アのとおり、本件発明1の「前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」との構成を、本件訂 正発明1の「前記垂直方向に配置されたドットのうち、前記端点に位置するドットの次のドットもしくは前記端点に位置するドットから3つめのドットは、当該ドット本来の位置から前記水平方向にずらされて前記端点からスタートする垂直方向のライン上 ドットのうち、前記端点に位置するドットの次のドットもしくは前記端点に位置するドットから3つめのドットは、当該ドット本来の位置から前記水平方向にずらされて前記端点からスタートする垂直方向のライン上にないことによって前記ドットパターンの上下方向を意味している」の構成に訂正するというものである。 本件訂正前の上記構成は、特定のドットの1つの「本来の位置からのずらし方」によってドットパターンの向きを意味するものである一方、本件訂正後の上記構成は、特定の1つのドットの「本来の位置から・・・ライン上にないこと」によってドットパターンの方向を意味するものである。 前者は、「ずらし方」との語義からいって、ドットの本来の位置と実際に配 置された位置との関係に基づいてドットパターンの向きが表現されるものであるのに対し、後者は、「ないこと」との語義からいって、ドットがライン上の本来の位置にあるかないかだけに基づいてドットパターンの向きが表現されるものであるから、両者は、ドットパターンの向きを表現する指標(ドットであるか、又は、本来の位置であるか)、表現する場所(ド ット及び本来の位置であるか、又は、本来の位置であるか)、表現の方法(特 定のドットと本来の位置との位置関係であるか、又は、ドットの存否であるか)とを異にするものであり、端的に、両者は異なる構成というべきものであって、包含ないしは上位下位概念の関係には立たない。 なお、訂正事項2は、「ドット本来の位置から・・・水平方向にずらされて」との訂正を含むところ、この場合、この「水平方向にずらされ」たド ットがドットパターンの中のどこにも存在しないとすると、無いものの所在位置を定める意味はないので「水平」と規定する理由が見当たらないから、本件訂 ころ、この場合、この「水平方向にずらされ」たド ットがドットパターンの中のどこにも存在しないとすると、無いものの所在位置を定める意味はないので「水平」と規定する理由が見当たらないから、本件訂正発明1の「当該ドット本来の位置から前記水平方向にずらされて前記端点からスタートする垂直方向のライン上にないこと」が規定する「当該ドット」がドットパターンの中に存在しないことは不自然な解釈 であり、「当該ドット」はドットパターンの中にずらされて存在し、その位置を問題にする余地があるとの指摘もあり得ないではない。しかしながら、本来の位置とずらされた位置の双方にドットがあった場合には、語義からしてドットがずらされとはいえないから、ドットが「ずらされ」たというからには、少なくとも本来の位置にドットは存在しないことは明らかであ る。また、「ライン上にないことによって・・・ドットパターンの上下方向を意味している」との文言である以上は、ドットパターンの方向は本来の位置におけるドットの存否によって意味付けられなければならないというべきである。したがって、本件訂正発明1の「ドット本来の位置から・・・水平方向にずらされて・・・垂直方向のライン上にないこと」との構成が、 ドット本来の位置から水平方向にずらしたドットがドットパターンの中に現に存在する場合を含むものと解釈しても、本件訂正発明1は、そのずらされたドットがどのような位置にあろうともそれらを区別せず、専らドット本来の位置のドットの存否によってドットパターンの方向を意味するよう構成したものと理解することが相当であって、本件訂正発明1を、 ドット本来の位置からの「ずらし方」によってドットパターンの向きを意 味するドットパターンということはできない。 することが相当であって、本件訂正発明1を、 ドット本来の位置からの「ずらし方」によってドットパターンの向きを意 味するドットパターンということはできない。 以上によれば、訂正事項2は、特許法134条の2第1項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとはいえない。 イ訂正事項1、3ないし7について前記第2の3⑴イにて本件審決が説示するとおり、訂正事項1ないし7 は、請求項1ないし5からなる一群の請求項に係る訂正であるから、前記アのとおり、訂正事項2は訂正要件違反があるから訂正を認められない以上は、訂正事項1、3ないし7に係る訂正も認められない(特許法134条の2第3項、同条9項、126条4項参照)。 ウ原告の主張について 原告は、前記第3の1⑴のとおり、①本件発明のドットパターンは、ドット本来の位置から距離をずらして異なる複数のドットパターンの向きを表現することができるものでなくてもよい(同ア)、②訂正事項2は、ずらされるドットの箇所、ドットがずらされる先、ドットがずらされることによって意味する向き、ドットがずらされることによって上下方向を意味 できるか否かの点において、ドットのずらし方を限定するものである旨(同イ)主張する。 しかしながら、前記アの認定判断は、本件発明が異なる複数のドットパターンの向きを表現することができることを必須の構成と解することを前提とするものではないから(たとえ表現されるドットパターンの向きが が一つであったとしても、ドットを他の位置にずらすこととドット本来の位置にドットが「ないこと」とは、ドットパターンの向きの認識方法として異なる手段である。)、原告の上記①の主張は、前 向きが が一つであったとしても、ドットを他の位置にずらすこととドット本来の位置にドットが「ないこと」とは、ドットパターンの向きの認識方法として異なる手段である。)、原告の上記①の主張は、前記認定判断に影響を与えるものではない。 また、原告自らが前記第3の1⑴ウにおいて主張するように、本件発明 における「ずらし方」との構成は、ドット本来の位置からずらされたドッ トが存在し、当該ドット本来の位置からの位置関係によってドットパターンの向きを意味することをいうものである。そうすると、ずらされるドットやそのずらされる先等にいくら限定を加えても、ドットパターンの向きを意味するのが、そのドットがドット本来の位置にないことによるとしている限りは、「ずらし方」によってドットパターンの向きを意味するものに はならない。したがって、原告の上記②の主張も採用することはできない。 ⑵ 取消事由について前記⑴のとおり、本件訂正を認めなかった本件審決の判断には誤りはないところ、原告は、本件訂正が認められなかった場合の本件審決の誤りを主張するものではないから、本件訂正が認められた場合についての予備的請求の 当否について判断するまでもなく、取消事由は理由がないことになる。 ⑶ サポート要件の充足についてア原告の予備的主張中には、前記第3の1⑶のとおり、本件発明がサポート要件を充足する旨の記載があり、その趣旨や内容は判然としないものではあるものの、これは、本件訂正を認めず、その上で本件発明がサポート 要件を充足しないとした本件審決の判断の誤りを主張する趣旨と善解する余地もないではないから、念のために、同主張についての判断を示す。 イ前記2⑴及び⑵のとおり、本件明細書には、図 ト 要件を充足しないとした本件審決の判断の誤りを主張する趣旨と善解する余地もないではないから、念のために、同主張についての判断を示す。 イ前記2⑴及び⑵のとおり、本件明細書には、図5ドットパターンと図105ドットパターンについての記載がある。本件訴訟において、原告は、本件発明は図5ドットパターンに基づくと理解されるべきである旨主張 するので、以下、これを前提に、本件発明がサポート要件を充足するか検討する。 本件発明は、「前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D)ことを特徴とするドットパターンであるところ、図5 ドットパターンにおいては、本件明細書【0072】に「垂直ラインは、 水平ラインを構成するドットからスタートし、次の点もしくは3つ目の点がライン上にないことから上下方向を認識する。」との記載が、【図5】及び【図7】では、左端の垂直ラインに配置されたドットの一つが他の同一の垂直ラインに配置されたドットとは異なり水平ラインに沿って左側に配置され、「x、y座標フラグ」とされていることが示され、【図6】及び 【図8】では、左端の垂直ラインに配置されたドットの一つが他の同一の垂直ラインに配置されたドットとは異なり水平ラインに沿って右側に配置され、「一般コードフラグ」とされていることが示されている。 しかしながら、【0072】には、そもそも「ずらす」という表現は一切用いられておらず、その記載は、文字どおり、垂直ライン上の特定位置(本 来の位置)にドットがないことによってドットパターンの上下方向を認識するとの意味の記載であって、「ドット本来の位置からのずらし方」によ らず、その記載は、文字どおり、垂直ライン上の特定位置(本 来の位置)にドットがないことによってドットパターンの上下方向を認識するとの意味の記載であって、「ドット本来の位置からのずらし方」によってドットパターンの向きを意味する記載とはいえない。また、【図5】ないし【図8】の図中の記載によれば、「x、y座標フラグ」がある場合には、情報を表現する部分のドットパターンはXY平面上の特定の座標値を示 し、「一般コードフラグ」がある場合には、情報を表現する部分のドットパターンはある特定のコード(番号)を示すものと認められ、「x、y座標フラグ」あるいは「一般コードフラグ」とされたドットは、情報を表現する部分のドットパターンのデータ内容の定義方法を示すというデータ内容を定義するドットの一つにすぎず、フラグとしてその位置を認識され、ド ットの本来の位置と実際に配置された位置との関係によってドットパターンのデータの内容を定義しているが、ドットパターンの向きを意味しているものではない。そして、そのほか、【図5】ないし【図8】には、ドットパターンの向きを意味するドットは記載されていないし、データの内容を定義しているドットがドットパターンの向きを意味するドットを兼ね るとの記載もない。さらに、「垂直方向に配置されたドット」の一つにつき、 その本来の位置からのずらし方によってドットパターンの向きを意味することを特徴とする本件発明の実施形態について、上記ドットがどのような方向、距離において配置されるのかについては、本件明細書にはその記載はない。 以上によると、図5ドットパターンは、「ドット本来の位置からのずらし 方によって前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D)との構成を有せず、 明細書にはその記載はない。 以上によると、図5ドットパターンは、「ドット本来の位置からのずらし 方によって前記ドットパターンの向きを意味している」(構成要件D)との構成を有せず、本件発明は、図5ドットパターンとは異なるドットパターンを意味することは明らかであるし、本件明細書には、上記構成要件Dにつきサポート要件を充足させるに足りる記載は見当たらない。 以上からすると、本件発明のドットパターンは発明の詳細な説明に記載 されたものではないから、本件発明はサポート要件に適合しない。したがって、本件発明1の構成を全て含む本件発明2及び3もサポート要件を充足しない。 これに対して、原告は、前記第3の1⑶アのとおり、本件明細書【0072】の「垂直ラインは、水平ラインを構成するドットからスタートし、 次の点もしくは3つ目の点がライン上にない」というのは「次の点もしくは3つ目の点が」ライン上以外の位置にあるということである、【図5】ないし【図8】には、上から2番目のドット(「x、y座標フラグ」又は「一般コードフラグ」)について、ずれた位置とドット本来の位置が示されている旨主張する。しかしながら、上記のとおり、【0072】には「ライン上 にないこと」と記載されているから、この記載は「ドット本来の位置からのずらし方」でドットパターンの向きを意味する旨の記載ではないし、【図5】ないし【図8】の「x、y座標フラグ」及び「一般コードフラグ」は情報ドットの一つにすぎず、ドットパターンの向きを意味するためのドットではない。 したがって、原告の上記主張を採用することはできない。 ウ以上のとおり、いずれにせよ、本件発明はサポート要件に適合しないものである ではない。 したがって、原告の上記主張を採用することはできない。 ウ以上のとおり、いずれにせよ、本件発明はサポート要件に適合しないものである。 4 結論以上の次第であり、取消事由は理由がないから、原告の請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官菅野雅之 裁判官本吉弘行 裁判官中村恭 (別紙)本件明細書の記載事項(抜粋)(本件訂正が認められた部分のうち、変更前の部分を二重線で抹消し、変更後の部分に下線を付す。) 【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は、印刷物に形成したドットパターン情報を光学的に読み取り該ドットパターンに対応した種々の情報を再生する技術に関する。 【背景技術】【0002】従来より、光センサを用いて絵本やゲームカードに印刷されたバーコードを読み取り、特定の音声を発音させる音声発生玩具が提案されている。これらの音声発生玩具では、読み込んだバーコードに対応した音声情報をメモリから読み出すことで 多種の音声情報を再生できるようにしていた。 【0003】しかし、このようなバーコードを用いた技術は、紙面上にバーコード印刷用の専用領域を確保しなければならず、かつバー すことで 多種の音声情報を再生できるようにしていた。 【0003】しかし、このようなバーコードを用いた技術は、紙面上にバーコード印刷用の専用領域を確保しなければならず、かつバーコードは情報処理システムが読み取るためのものであり、絵本や書籍の読者にとっては目視でそのコード内容を把握しかね るものであったため、限られた紙面上にバーコードが印刷されていることは読者にとっては煩わしく絵本等書籍の製品価値を下げかねないものとなっていた。 【0004】さらに、上記のようにバーコード技術は、紙面上に印刷された文字、図形、記号に重ねて印刷することができないために、これらの文字、図形、記号等に対して音 声再生を行いたい場合に文字等の近傍にバーコードを印刷するしかなく、読者にと って直感的に文字等に別の音声情報等が付加されていることを伝えにくい特性を有していた。 【0005】この点について、特開平10-261059号公報に開示されている「ドットコード」技術では、ドットパターンで印刷されたコード情報を読み取って情報を再生 させる方法が提案されている。 【0006】係る先行技術では、ブロック領域内のドットパターンの配置の仕方によってデータを定義するとともに、データドットパターンではあり得ないドットパターンでマーカを定義することにより、これを同期信号として機能させている。したがって、 この技術では、ドットを所定の法則で紙面の二次元方向に印刷したドットパターンをペン型のスキャナで読み取り、このスキャナの走査速度と走査方向を情報処理装置で解析して予め対応付けられた音声等の情報を再生させる方法となっている。 【0007】しかし、係るドットコード技術では、動的にスキャナ で読み取り、このスキャナの走査速度と走査方向を情報処理装置で解析して予め対応付けられた音声等の情報を再生させる方法となっている。 【0007】しかし、係るドットコード技術では、動的にスキャナを走査させることを前提と しているために、紙面に印刷された文字に沿って音声情報を再生することは可能であるものの、紙面上にキャラクタ等が自由に印刷配置された絵本等で静的に読取装置を当接させるだけで情報を再生させたいような用途には不向きであった。すなわち、このドットコード技術では意味のあるコード情報を取得するためにはXY座標上で一定の距離以上のスキャニングを実行する必要があるため、紙面上に印刷され た極小領域にドットコードを対応付けて印刷することはできなかった。 【特許文献1】特開平10-261059号公報【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0008】 本発明は、極小領域であってもコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパ ターンを提案するものである。 【課題を解決するための手段】【0009】(1)本発明に係るドットパターンは、等間隔に所定個数水平方向に配置されたドットと、前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ドットから等間 隔に所定個数垂直方向に配置されたドットと、前記水平方向に配置されたドットから仮想的に設定された垂直ラインと、前記垂直方向に配置されたドットから水平方向に仮想的に設定された水平ラインとの交点を格子点とし、該格子点からのずれ方でデータ内容が定義された情報ドットと、からなり、前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターン の向きを意味していることを特徴とする。 【0010】 義された情報ドットと、からなり、前記垂直方向に配置されたドットの1つは、当該ドット本来の位置からのずらし方によって前記ドットパターン の向きを意味していることを特徴とする。 【0010】(2)さらに、前記ドットパターンは、上下および/または左右に2以上連設したことを特徴とする。 【0011】 (3)さらに、前記ドットパターンは、前記垂直方向に配置されたドットの1つを当該ドット本来の位置からずらすことによって一般コードまたはXY座標を示すフラグを意味していることを特徴とする。 【0012】(4)さらに、前記ドットパターンは、前記水平方向に配置されたドットの端点 に位置する当該ドットから等間隔に所定個数垂直方向に配置されたドットのうち、当該端点に位置するドットの次のドットを左右いずれかにずらすことによって前記ドットパターンの上下方向(向き)を意味していることを特徴とする。 【0013】(5)さらに、前記ドットパターンは、前記垂直方向に配置された所定個数のド ット数は4個であって、前記水平方向に配置されたドットの端点に位置する当該ド ットの次のドットまたは3個目のドットを左右いずれかにずらすことによって前記ドットパターンの上下方向(向き)を意味していることを特徴とする。 【0015】(7)また、本発明は、種々のマルチメディア情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムにより生成されたドットを所定の規則に則って配列したドッ トパターン部が形成された印刷物等の媒体を読取り手段で画像データとして読み取り、該ドットパターン部の画像データをコードデータ化し、該コードデータに対応したマルチメディア情報を記憶手段から読み出して再生するようにしたものである。 【00 を読取り手段で画像データとして読み取り、該ドットパターン部の画像データをコードデータ化し、該コードデータに対応したマルチメディア情報を記憶手段から読み出して再生するようにしたものである。 【0017】ここで、ドットパターン部には、記憶手段に登録された音声データに対応するコ ード情報を定義しておいてもよいし、XY座標値を定義しておいてもよい。また、コード情報とXY座標値とを混在させておいてもよい。ドットパターン部のヘッダには当該ドットパターン部がコード情報なのかXY座標なのかを定義するフラグを登録しておくことができる。 【0024】 (8)また、本発明は、種々の情報を認識させるためにドットコード生成アルゴリズムによりドットを所定の規則により配列したドットパターン部と、文字または図等で表示することにより、そのまま情報内容を認識させる情報伝達部とを印刷物の同一面に印刷して、このドットパターン部の画像データのみをカメラユニットで取り込み、この画像データをデジタル化して数値化し、この数値より、前記ドット パターン部に対応した情報およびプログラムを、記憶部より出力および実行させるカメラ入力による情報入出力方法である。 【0026】また、前記ドットパターン部をXY座標情報で定義し、そのXY座標情報を前記情報伝達部の内容と関連させることもできる。 【0027】 また、前記ドットパターン部はコード番号情報で定義し、そのコード番号情報を前記情報伝達部の内容と関連させることもできる。 【発明の効果】【0058】本発明によれば、本発明によれば(判決注誤記と認める。)、極小領域であって もコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提供することができる。 【図 発明の効果】【0058】本発明によれば、本発明によれば(判決注誤記と認める。)、極小領域であって もコード情報やXY座標情報が定義可能なドットパターンを提供することができる。 【図面の簡単な説明】【0059】【図5】他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【図6】他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【図7】他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【図8】他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【図74】実施形態の使用例を示す図である。 【図103】実施形態のドットパターンの仕様を説明した図(1)である。 【図104】実施形態のドットパターンの仕様を説明した図(2)である。 【図105】実施形態のドットパターンの仕様を説明した図(3)である。 【図106】実施形態のドットパターンの仕様を説明した図(4)である。 【発明を実施するための形態】【0063】本発明のドットパターン601の生成は、ドットコード生成アルゴリズムにより、 音声情報を認識させるために微細なドット605を第一方向ライン603に所定の規則に則って配列し、かつこの第一方向ライン603に交差するように配置した第二方向ライン604に所定の規則に則ってドット605を配列する。さらに、パソコン608内のメモリまたはカメラ602内に設けられたメモリにマッピングテーブルも生成する。この第一方向ライン603と第二方向ライン604とは90度の 角度で交差させたものに限定されず、たとえば、60度の角度で交差させたもので もよい。 【0069】・・・図5から図8は他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【0071】このドットパターンの認識では、先ず連続する等間隔 もので もよい。 【0069】・・・図5から図8は他のドットパターンの一例を示す正面図である。 【0071】このドットパターンの認識では、先ず連続する等間隔のドット605により構成 されたラインを抽出し、その抽出したラインが正しいラインかどうかを判定する。 このラインが正しいラインでないときは別のラインを抽出する。 【0072】次に、抽出したラインの1つを水平ラインとする。この水平ラインを基準としてそこから垂直に延びるラインを抽出する。垂直ラインは、水平ラインを構成するド ットからスタートし、次の点もしくは3つ目の点がライン上にないことから上下方向を認識する。 【0073】最後に、情報領域を抽出してその情報を数値化し、この数値情報を再生する。 【0109】 本発明のドットパターン1の生成は、ドットコード生成アルゴリズムにより、情報を認識させるために微細なドット(キードット(KD)3a、格子ドット(LD)3b、情報ドット4)を所定の規則に則って配列する。・・・【0230】次に、本発明におけるドットパターンの仕様について図103~図106を用い て説明する。 【0231】ドットパターン部601は、図105に示すように、格子状に配置されたドットで構成されている。なお縦横方向の格子線はドットの配置位置を説明するためのものであり実際の印刷物上には存在しない。 【0232】 ここで、図105における4×45個の格子領域を1つのデータブロックまたは格子ブロックと呼び、この格子ブロック領域の四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている。格子ドットLD同士の間隔は0.35mm~1.0mm、好ましくは のデータブロックまたは格子ブロックと呼び、この格子ブロック領域の四隅(格子線の交点(格子点)上)には格子ドットLDが配置されている。格子ドットLD同士の間隔は0.35mm~1.0mm、好ましくは0.5mm程度であることが最適である。また、ドットの直径は前記格子ドット間隔の8~10%程度であることが望ましい。 【0233】どの格子ブロック領域からどの格子ブロック領域までが1つのデータであるかを示すためにキードットKDを配置している。 【0234】キードットKDとは、格子ドットLDの位置をずらしたものである。すなわち、 格子ドットLDは本来格子点上に配置されているが、この位置をずらしてキードットKDを配置している。なお、キードットKDの格子点からのずれは約20%前後程度が好ましい。 【0235】前記キードットKDに囲まれた領域、またはキードットKDを中心にした領域が 1つのデータを構成している。 【0236】このデータの並びは、図104に示すように、左上から下方向に向かって順番に配置されている。 【0237】 データは、図103に示すように、ドット605を格子ブロック領域内の中心点からどの程度ずらすかによってデータ内容が定義できるようになっている。同図では、中心から等距離で45度ずつそれぞれずらした点を8個定義することによって単一の格子ブロック領域で8通り、すなわち3ビットのデータを表現できるようになっている)。なお、さらに中心点から距離を変更した点をさらに8個定義すれば1 6通り、すなわち4ビットのデータを表現できる。 【0238】本発明のドットパターンは、1個のデータブロックを構成する格子を自由に定義することができる点に特徴がある。つまり すなわち4ビットのデータを表現できる。 【0238】本発明のドットパターンは、1個のデータブロックを構成する格子を自由に定義することができる点に特徴がある。つまり、前述のようにキードットKDがデータ領域の範囲を定義しているため、このキードットKDの配置を変更すれば任意の可変長の格子ブロック領域群をデータ格納領域として扱うことができるわけである。 【0239】また、本発明のドットパターンでは、キードットのずらし方を変更することにより、同一のドットパターン部であっても別の意味を持たせることができる。つまり、キードットKDは格子点からずらすことでキードットKDとして機能するものであるが、このずらし方を格子点から等距離で45度ずつずらすことにより8パタ ーンのキードットを定義できる。 【0240】ここで、ドットパターン部をC-MOS等の撮像手段で撮像した場合、当該撮像データは当該撮像手段のフレームバッファに記録されるが、このときもし撮像手段の位置が紙面の鉛直軸(撮影軸)を中心に回動された位置、すなわち撮影軸を中心 にして回動した位置(ずれた位置)にある場合には、撮像された格子ドットとキードットKDとの位置関係から撮像手段の撮像軸を中心にしたずれ(カメラの角度)がわかることになる。この原理を応用すれば、カメラで同じ領域を撮影しても角度という別次元のパラメータを持たせることができる。そのため、同じ位置の同じ領域を読み取っても角度毎に別の情報を出力させることができる。 【0241】いわば、同一領域に角度パラメータによって階層的な情報を配置できることになる。 【0242】この原理を応用したものが図74、・・・に示すような例である。図74では、ミ ニフィギュア いわば、同一領域に角度パラメータによって階層的な情報を配置できることになる。 【0242】この原理を応用したものが図74、・・・に示すような例である。図74では、ミ ニフィギュア1101の底面に設けられたスキャナ部1105でこのミニフィギュ ア1101を台座上で45度ずつ回転させることでドットパターン部の読取り情報とともに異なる角度情報を得ることできるため、8通りの音声内容を出力させることができる。 【0243】本発明において、ダミードットDDを定義することができる。このダミードット DDは、4個の格子ドットLDの正中心に配置したドットである(図106(a)参照)。このようなダミードットは、マスク領域毎に境界を定義した絵本等に適している。図106(c)に示すようにmask1とmask2の領域の境界にダミードットDDを配置している。このようなマスク境界にダミードットDD領域を配置することにより、それぞれのマスク領域に定義されたコード情報を同時に読み取っ てしまうことを防止している。図106(d)はダミードットDDの配置状態を示した図である。 【0244】また、絵本等の背景部分については、格子ドットの中心にドットを配置しない空ドットを配置することが好ましい。空ドットは、情報が記録された通常のデータド ットに比べてドット数が少ないため、ドットパターンの目立たない印刷が可能となる。また、空ドットの連続であるために、模様が生じにくく、単一色の背景に適している。 【0245】また、本発明では、本来撮影中心を含む1ブロック分のデータを解析する必要が あるが、撮影中心の近傍の格子データ(情報データ)をブロックをまたがって読取りデータとしてもよい。このような場合、本来 また、本発明では、本来撮影中心を含む1ブロック分のデータを解析する必要が あるが、撮影中心の近傍の格子データ(情報データ)をブロックをまたがって読取りデータとしてもよい。このような場合、本来の1ブロックから欠けている情報データに該当するデータを隣り合う他のブロックから読み込んで1ブロック分のデータに補完して入力を完了することができる。 【0246】 XY座標を定義するドットパターンについては、撮影中心とは異なるブロックか らそれに相当するXY座標を構成する情報ドットを読み、補正をかけて撮影中心のXY座標値とすることができる。 【0247】本発明は、以上に説明したような、格子ドットを用いたドットパターンであるため、撮影条件にあまり左右されないという特性を有している。すなわち、撮影条件 (カメラのレンズのひずみ、カメラの写す角度、紙の変形)によってドットパターン全体がひずみを起こした場合、4個の格子ドットで形成される形状と、情報ドットの位置のずれが同様に起きるため、格子ドットからの相対的な位置関係にかわりはなく、これら格子ドットを基準に補正計算を行えば、各情報ドット、キードットについての真の位置がわかる。 【0248】つまり、本発明の格子ドットを用いたドットパターンは歪みに強いといえる。 【符号の説明】【0346】1、601 ドットパターン 3 キードット 4 情報ドット6、601、607、803、1122 ドットパターン部 603 第一方向 604 第二方向 605 ドット 【図5】 【図6】 【図7】 方向 604 第二方向 605 ドット 【図5】 【図6】 【図7】 【図8】 【図74】 【図103】 【図104】 【図105】 【図106】

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