主文 1 福岡県公安委員会が原告に対して令和2年7月22日付けでした犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律に基づく遺族給付金を支給しない旨の裁定を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求福岡県公安委員会が原告に対して令和2年7月22日付けでした犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(以下「犯給法」という。)に 基づく遺族給付金を支給しない旨の裁定(以下「本件裁定」という。)を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨原告の内縁の夫(以下「本件犯罪被害者」という。)は、本件犯罪被害者の実父(以下「本件加害者」という。)によって殺害された(この殺害行為を「本件犯罪行為」 という。)。 本件は、原告が、福岡県公安委員会に対し、犯給法5条1項1号に規定する「犯罪被害者の配偶者」に当たるとして、犯罪被害者等給付金(遺族給付金)の支給に係る裁定の申請(犯給法10条1項の申請。以下「本件申請」という。)をしたところ、福岡県公安委員会から、本件犯罪被害者と本件加害者との間に親族関係がある こと(犯給法6条等所定のもの)を理由に、犯罪被害者等給付金を支給しない旨の裁定(本件裁定)を受けたため、被告を相手に、本件裁定の取消しを求める事案である。 2 犯罪被害者等給付金制度の概要⑴ 犯給法上の犯罪被害者等給付金の仕組みの概要 犯給法は、犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族又は重傷病を負い若しくは 障害が残った者の犯罪被害等を早期に軽減するとともに、これらの者が再び平穏な生活を営むことができるよう支援するため、犯罪被害等を受けた者に対し犯罪被害者等給付金を支給し、及び当該犯罪行 は 障害が残った者の犯罪被害等を早期に軽減するとともに、これらの者が再び平穏な生活を営むことができるよう支援するため、犯罪被害等を受けた者に対し犯罪被害者等給付金を支給し、及び当該犯罪行為の発生後速やかに、かつ、継続的に犯罪被害等を受けた者を援助するための措置を講じ、もって犯罪被害等を受けた者の権利利益の保護が図られる社会の実現に寄与することを目的とする(犯給法1条)。 国は、犯罪被害者があるときは、犯給法の定めるところにより、犯罪被害者又はその遺族(これらの者のうち、当該犯罪被害の原因となった犯罪行為が行われた時において、日本国籍を有せず、かつ、日本国内に住所を有しない者を除く。)に対し、犯罪被害者等給付金(犯給法4条に規定する遺族給付金、重傷病給付金又は障害給付金をいう。犯給法2条7項参照)を支給する(犯給法3条)。 ⑵ 犯罪被害者給付金の種類並びに遺族の範囲及び順位ア犯罪被害者等給付金は、次表のとおり一時金として支給される(犯給法4条)。 種類支給を受ける者遺族給付金犯罪行為により死亡した者の第一順位遺族(犯給法5条3項及び4項の規定による第一順位の遺族をいう。)重傷病給付金犯罪行為により重傷病を負った者障害給付金犯罪行為により障害が残った者イ遺族給付金の支給を受けることができる遺族は、犯罪被害者の死亡の時において、次表のいずれかに該当する者とされ(犯給法5条1項)、遺族給付金の支給を受けるべき遺族の順位は、同条1項各号の順序とし、同項2号及び3号に掲げる者 のうちにあっては、それぞれ当該各号に掲げる順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にするとされている(同条3項)。 号犯罪給付金の支給を受けることができる遺族 犯罪被害者の配偶者 にあっては、それぞれ当該各号に掲げる順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にするとされている(同条3項)。 号犯罪給付金の支給を受けることができる遺族 犯罪被害者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。) 犯罪被害者の収入によって生計を維持していた犯罪被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹 前号に該当しない犯罪被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹ウ犯罪被害者を故意に死亡させ、又は犯罪被害者の死亡前に、その者の死亡によって遺族給付金の支給を受けることができる先順位若しくは同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族給付金の支給を受けることができる遺族としない(遺族給付金の支給を受けることができる先順位又は同順位の遺族を故意に死亡させた者も、同様である。)とされている(犯給法5条4項)。 ⑶ 犯罪被害者等給付金をしないことができない場合ア犯給法6条1号は、犯罪被害者と加害者との間に親族関係があるときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、犯罪被害者等給付金の全部又は一部を支給しないことができる旨を規定する。 犯給法6条1号の委任を受けた犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等 の支援に関する法律施行規則(以下「犯給法施行規則」という。)2条1号は、犯罪行為が行われた時において、犯罪被害者と加害者との間に直系血族に該当する親族関係(以下「直系血族関係」という。)があったとき(婚姻を継続し難い重大な事由が生じていた場合その他の当該親族関係が破綻していたと認められる事情がある場合又はこれと同視することが相当と認められる事情がある場合を除く。以下、これ らの場合を「犯給法施行規則2条柱書所定の除外事由 いた場合その他の当該親族関係が破綻していたと認められる事情がある場合又はこれと同視することが相当と認められる事情がある場合を除く。以下、これ らの場合を「犯給法施行規則2条柱書所定の除外事由」という。)は、犯給法9条の規定による額の全部を支給しないものとする旨を規定する。 イ福岡県公安委員会が令和2年4月1日に作成した審査基準(以下「本件審査基準」という。乙1)には、要旨次のような定めがある(警察庁長官官房長の警察庁丙給厚発第8号令和2年3月19日「犯罪被害給付制度事務処理要領の改正につ いて(通達)」〔乙38〕にも、同旨の定めがある。)。 (ア) 犯給法施行規則2条柱書の「婚姻を継続し難い重大な事由が生じていた場合その他の当該親族関係が破綻していたと認められる事情がある場合」とは、犯罪行 為が行われた時において、既に婚姻関係や養子縁組関係が破綻していたと認められる事情がある場合をいい、例えば、「犯罪被害者である妻が加害者である夫と同居していたものの、夫からの暴力の継続等により両者が支配・隷属関係にあったと認められる事情がある場合」、「養子縁組関係が事実上解消していたと認められる事情がある場合」等をいう。 (イ) 「これと同視することが相当と認められる事情がある場合」とは、犯罪行為が行われた時において、既に、婚姻関係や養子縁組関係が破綻していたと認められる事情がある場合と同一視できるような、親族としての関係が絶たれていたと認められる事情がある場合をいい、例えば、「犯罪被害者である親が加害者である子の暴力から逃れるため別居し、居所を知られないよう住民票の閲覧制限を行っていた場 合」、「犯罪被害者である甥と加害者である叔父との間において、もともと交流がなく、人間関係が形成されていなかった場合」をい 逃れるため別居し、居所を知られないよう住民票の閲覧制限を行っていた場 合」、「犯罪被害者である甥と加害者である叔父との間において、もともと交流がなく、人間関係が形成されていなかった場合」をいう。 3 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠〔特に断らない限り、枝番号のものを含む。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。以下、その項番号等に応じ、「前提事実⑴」等と略称する。) ⑴ 当事者等ア原告(昭和40年生)は、平成31年3月25日当時、本件犯罪被害者(昭和36年生)と内縁関係にあった。 イ本件加害者(昭和13年生、令和5年3月19日死亡)は、本件犯罪被害者の実父である。 ⑵ 本件犯罪行為の発生本件加害者は、平成31年3月25日、自宅(以下「本件加害者自宅」という。)において、本件犯罪被害者に対し、その右胸部を包丁で1回突き刺すなどして、本件犯罪被害者を殺害した(本件犯罪行為)。 ⑶ 本件裁定等 ア原告は、福岡県公安委員会に対し、令和元年9月10日、本件犯罪被害者が 本件犯罪行為により死亡したことを理由として、犯罪被害者等給付金(遺族給付金)の支給に係る裁定の申請(犯給法10条1項の申請。本件申請。乙10)をした。 イ福岡県公安委員会は、原告に対し、令和2年7月22日、本件犯罪行為が行われた時において、本件犯罪被害者と本件加害者との間に、犯給法6条及び犯給法施行規則2条1号に該当する関係(本件犯罪被害者が本件加害者の実子であり、両 者の関係は直系血族に該当する。)があったとして、犯罪被害者等給付金(遺族給付金)を支給しない旨の裁定(本件裁定。甲1)をした。 ウ原告は、令和2年9月17日、国家公安委員会に対し、本件裁定の取消し等を求めて審査請 当する。)があったとして、犯罪被害者等給付金(遺族給付金)を支給しない旨の裁定(本件裁定。甲1)をした。 ウ原告は、令和2年9月17日、国家公安委員会に対し、本件裁定の取消し等を求めて審査請求をした(乙11、12)が、国家公安委員会は、令和3年8月26日、同審査請求を棄却する旨の裁決(乙25)をし、その頃、原告に裁決書の謄 本を送付した(乙24)。 エ原告は、令和4年2月24日、本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 4 本件の争点及びこれに関する当事者の主張本件の争点は、本件裁定の適法性、具体的には、本件犯罪被害者と本件加害者との間の直系血族関係につき、犯給法施行規則2条柱書所定の除外事由の該当性の有 無等であり、これに関する当事者の主張は、別紙「争点に関する当事者の主張」のとおりである(同別紙中の略語は、本文の例による。)。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実、掲記の証拠並びに弁論の全趣旨によれば、次の事実(以下、その項番 号等に応じ、「認定事実⑴」等と略称する。)が認められる。 ⑴ 本件犯罪行為に至る経緯(全体につき、乙5~7、9、36、37)ア本件犯罪被害者(昭和36年生)は、本件加害者(昭和13年生)とA(昭和15年生)の長男として出生した(乙3、4)。 イ本件犯罪被害者は、昭和61年、前妻と結婚し、同年、前妻との間に子(以 下「本件孫」という。)をもうけたが、平成2年、協議離婚した(乙4)。 ウ本件犯罪被害者と原告(昭和40年生)は、遅くとも平成13年頃、内縁関係となった。 本件加害者及びA は、その頃、本件孫を引き取り、以後、福岡県飯塚市内の当時の住居において本件孫を養育した。 エ本件犯罪被害者は、平成16年6月、福岡県鞍手郡小竹 年頃、内縁関係となった。 本件加害者及びA は、その頃、本件孫を引き取り、以後、福岡県飯塚市内の当時の住居において本件孫を養育した。 エ本件犯罪被害者は、平成16年6月、福岡県鞍手郡小竹町所在の土地及び建 物(以下、「本件土地」及び「本件犯罪被害者自宅」という。)を親族から譲り受け、原告と居住を始めた。 オ本件加害者、A 及び本件孫は、平成23年頃、当時の居宅から立ち退きを求められたため、本件土地内に自宅建物(本件加害者自宅)を新築し、本件加害者自宅で生活を始めた。 カ A は、平成25年7月、病死した(甲14)。その後、本件加害者は、本件土地上に二世帯住宅を建築する話が実現しなかったことに端を発して、本件犯罪被害者及び原告との関係が次第に悪化し(本件犯罪被害者らから、車庫の前に石を置かれたり、防風林を切られたりするなどの嫌がらせを受けることもあった。)、本件犯罪被害者と口論をするようになった。 キ本件加害者は、平成29年1月から、本件犯罪被害者らの要求に応じて、地代等の名目で、毎月2万円(土地代1万5000円、駐車場代5000円)を支払うようになった。 ク平成30年12月13日、本件土地において、本件加害者が運転する車両と原告が衝突し、原告が頚椎捻挫及び腰椎捻挫の傷害を負う事故(以下「本件衝突事 故」という。)が発生した。 その後、本件加害者は、本件衝突事故をめぐり本件犯罪被害者及び原告との感情的対立が深刻になり、本件被害者方に押し掛けた本件犯罪被害者や原告から大声で叫ばれたり、本件犯罪被害者や原告との間で本件衝突事故をめぐって口論をしたりするようになった。 ケ本件孫は、平成31年3月4日、本件犯罪被害者方において、本件犯罪被害 者と共に食事をした際、本件 犯罪被害者や原告との間で本件衝突事故をめぐって口論をしたりするようになった。 ケ本件孫は、平成31年3月4日、本件犯罪被害者方において、本件犯罪被害 者と共に食事をした際、本件犯罪被害者から、本件衝突事故に関して、要旨「ひいたなら適切な処理をしてほしかった」、「本件加害者が保険屋に原告を当たり屋と言った」などと言われた。 コ(ア) 本件被害者は、平成31年3月6日、福岡県直方警察署を訪れ、警察官に対し、要旨「原告から車をぶつけたなどと因縁をつけられ、治療費等を請求されて いる。本件犯罪被害者が、一昨日頃、治療費を全部払えなどと言って家に怒鳴り込んできて、家を散々散らかしていった。もし今度本件犯罪被害者が押しかけてきてもめたら、本件犯罪被害者を現行犯逮捕できないか。本件犯罪被害者は、私に対して、土地代を5万9000円値上げする、家を出ていくか、本件犯罪被害者名義の土地を買い取るかどちらか選べ、今日の18時までに決めろなどと無理難題を押し 付けてくる」などと相談した(甲28)。 他方、本件犯罪被害者も、平成31年3月6日、福岡県直方警察署に電話し、要旨「本件加害者が、本件衝突事故の治療費を一円も払う気はないと言っていた。本件加害者からは、警察に対しては、原告がわざと車にぶつかったと話していると聞いており、本件加害者がそのことで原告が逮捕される可能性があると言われた。」と 述べ、原告が逮捕されるか否かを尋ねるなどした。 (イ) その後、本件加害者は、平成31年3月6日、本件犯罪被害者との間で、㋐お互いに同年8月末までに現在の家から転居すること、㋑本件加害者が、本件犯罪被害者に対し、その間、毎月地代等5万5000円を支払うこと、㋒本件加害者自宅を令和元年7月までに解体すること又は本件孫に譲り渡すこと 年8月末までに現在の家から転居すること、㋑本件加害者が、本件犯罪被害者に対し、その間、毎月地代等5万5000円を支払うこと、㋒本件加害者自宅を令和元年7月までに解体すること又は本件孫に譲り渡すこと等を約束し、「① 月55000の土地代を8/31日迄に納入します」、「②家屋は解体するか又本件孫に残すものとする」、「③家屋はいらない時は、7月迄に解体するものとする」、「④佛だん家財道具は全部出すものとす。」旨の記載があるノート(乙6〔8枚目〕)に署名した(甲19、31)。 ⑵ 本件犯罪行為の発生(全体につき、甲4、乙7~9) ア本件加害者は、平成31年3月25日午後6時30分頃、本件加害者自宅に 押しかけた本件犯罪被害者及び原告から、約束どおり地代を支払わないとして激しく罵倒されるなどしたことから、とっさに本件犯罪被害者に対する激しい怒りを覚え、本件犯罪被害者に対し、同人が死亡する危険性が高いことを認識しながら、敢えて、その右胸部を包丁(刃体の長さ約19㎝)で1回突き刺し、よって、同日、福岡県飯塚市内の病院において、同人を右胸部刺創による肝臓損傷に基づく出血性 ショックにより死亡させた(本件犯罪行為)。 イさらに、本件加害者は、原告の姿を認めるや、原告に対する怒りを爆発させ、原告を殺害しようと考え、原告の背後から、左手で持っていた包丁(刃体の長さ約18.3cm)で、その左外側胸部を突き刺した上、右に払って左脇部を切り、更に右手を切りつけた。 原告は、その場から逃走したが、本件加害者の上記行為により加療約2か月間を要する左外側胸部から左上背部にわたる刺切創等の傷害を負った。 ウその後、本件加害者は、本件加害者自宅において、自ら腹部等を包丁で刺し、自殺を図ったが、死亡するに至らなかった り加療約2か月間を要する左外側胸部から左上背部にわたる刺切創等の傷害を負った。 ウその後、本件加害者は、本件加害者自宅において、自ら腹部等を包丁で刺し、自殺を図ったが、死亡するに至らなかった。 ⑶ 本件加害者に対する刑事裁判 ア本件加害者は、平成31年4月26日、本件犯罪被害者に対する殺人罪(前記⑵アの事実に係るもの)で起訴され、令和元年5月28日、原告に対する殺人未遂罪(前記⑵イの事実に係るもの)で起訴された(甲26の4、乙2)。 イ本件犯罪被害者は、令和2年2月6日、福岡地方裁判所において、本件犯罪被害者に対する殺人罪及び原告に対する殺人未遂罪により懲役15年6月の有罪判 決(甲4。以下「本件有罪判決」という。)を受けた。 ウ本件加害者は、これを不服として控訴したが、福岡高等裁判所は、令和2年6月19日、本件加害者の本件有罪判決に対する控訴を棄却し(甲5)、その後、本件有罪判決は、確定した。 ⑷ 原告と本件加害者間の本件衝突事故に関する民事裁判 ア原告は、令和元年、本件加害者に対し、本件衝突事故による損害賠償を求め る民事訴訟を提起した。 原告は、本件加害者が自動車を後退させ、被告の自宅敷地内に佇立中の原告を故意に2回轢過した旨を主張し、本件加害者は、これを否認し、自動車が原告と接触していない旨を主張した。 イ福岡地方裁判所は、令和3年7月14日、原告の本件加害者に対する請求を 一部認容する旨の判決(甲21)を言い渡した。当該判決は、原告の前記主張を排斥し、「本件加害者が、原告と口論となった後、原告が自動車の後ろで片付けをしているにもかかわらず、過失により自動車を後退させて原告の腰部に衝突させ、頚椎捻挫及び腰椎捻挫の傷害を負わせた」旨の説示がある。当該判決は、 者が、原告と口論となった後、原告が自動車の後ろで片付けをしているにもかかわらず、過失により自動車を後退させて原告の腰部に衝突させ、頚椎捻挫及び腰椎捻挫の傷害を負わせた」旨の説示がある。当該判決は、その後、確定した(甲26の3)。 2 争点について⑴ 犯給法施行規則2条柱書所定の除外事由についてア犯給法の目的(1条。前記第2の2⑴参照)、犯罪被害者等基本法の制定、その後の犯給法及び犯給法施行規則の改正経緯等に鑑みると、犯罪被害者等給付金の支給制度は、犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族等の精神的、経済的打撃を 早期に軽減するなどし、もって犯罪被害等を受けた者の権利利益の保護が図られる社会の実現に寄与することを目的とするものであり、同制度を充実させることが犯罪被害者等基本法による基本的施策の一つとされていること等にも照らせば、犯給法及び犯給法施行規則の解釈に当たっては、同制度の上記目的を十分に踏まえる必要があるものというべきである(最高裁令和4年(行ツ)第318号、同年(行ヒ) 第360号同6年3月26日判決・民集78巻1号99頁参照)。 イ犯給法6条1号は、国家公安委員会規則で定めるところにより、犯罪被害者等給付金の全部又は一部を支給しないことができる場合として、「犯罪被害者と加害者との間に親族関係(事実上の婚姻関係を含む。)があるとき」を掲げている。そして、その委任を受けた犯給法施行規則2条は、犯罪行為が行われた時において、 犯罪被害者と加害者との間に直系血族に該当する親族関係(直系血族関係)があっ たときは、犯給法9条の規定による額の全部を支給しないことを原則としつつ、その例外として、「婚姻を継続し難い重大な事由が生じていた場合その他の当該親族関係が破綻していたと認められる事 っ たときは、犯給法9条の規定による額の全部を支給しないことを原則としつつ、その例外として、「婚姻を継続し難い重大な事由が生じていた場合その他の当該親族関係が破綻していたと認められる事情がある場合又はこれと同視することが相当と認められる事情がある場合」(犯給法施行規則2条柱書所定の除外事由)を規定する。 このような犯給法等の規定や犯罪被害者等給付金の支給制度の前記目的に照らす と、犯給法施行規則2条柱書所定の除外事由は、犯罪被害者と加害者との間に親族関係があったとしても、当該親族関係が破綻していたと認められる事情又はこれと同視することが相当と認められる事情がある場合には、当該犯罪被害者の死亡により精神的、経済的打撃を受けた遺族に対し、その早期の軽減等を図る必要性が高いと考えられるから、当該親族関係があることを理由とする犯罪被害者等給付金の支 給を制限しないこととしたものであると解される。 そして、犯給法施行規則2条柱書所定の除外事由の例示である「婚姻を継続し難い重大な事由が生じていた場合」については、これと同様の文言が使われている民法770条1項5号は、夫婦が婚姻の目的である共同生活を達成しえなくなり、その回復の見込みがなくなった場合には、夫婦の一方は他方に対し訴えにより離婚を 請求することができる旨を定めたものと解され(最高裁昭和61年(オ)第260号同62年9月2日大法廷判決・民集41巻6号1423頁参照)、同号の「婚姻を継続し難い重大な事由」があるか否かは客観的に判断すべきものであると解されている。このようなことをも併せ考慮すると、犯給法施行規則2条柱書にいう「婚姻を継続し難い重大な事由が生じていた場合その他の当該親族関係が破綻していたと 認められる事情がある場合」については、家族関係の実 ようなことをも併せ考慮すると、犯給法施行規則2条柱書にいう「婚姻を継続し難い重大な事由が生じていた場合その他の当該親族関係が破綻していたと 認められる事情がある場合」については、家族関係の実態に即して、現実的な観点から理解すべきであり、犯罪被害者と加害者との間の婚姻関係、養子縁組関係等が実体を失い、かつ、その状態が近い将来解消される見込みのないというような事情がある場合をいうものと解すべきである。そして、同条柱書にいう「これと同視することが相当と認められる事情がある場合」については、犯罪被害者等給付金の支 給制度の前記目的を踏まえて、犯罪被害者と加害者との間の直系血族関係等に関し て、前記のような「当該親族関係が破綻していたと認められる事情」と同視することが相当と認められる事情があるか否かを判断することとした趣旨であると解される。 以上によれば、犯給法施行規則2条柱書の除外事由中の「これと同視することが相当と認められる事情がある場合」に当たるか否かの判断に当たっては、家族関係 の実態に即して、犯罪被害者と加害者との間の親族関係が親族関係の実体を欠くか否か、その回復の見込みがあるか否か等の諸般の事情を考慮した上で、当該親族関係が事実上破綻しているものと同視することができ、当該犯罪被害者の遺族が受けた精神的、経済的打撃の軽減等を図る必要性が高いため、当該遺族に対し、当該親族関係があることを理由とする犯罪被害者等給付金の支給を制限しないことが相当 であるか否かという観点から客観的に判断するのが相当である。 ⑵ 当てはめこれを本件についてみると、前提事実及び認定事実によれば、次のとおり指摘することができる。 ア本件犯罪被害者(及び原告)と本件加害者は、平成23年以降、本件土地上 に住居( 当てはめこれを本件についてみると、前提事実及び認定事実によれば、次のとおり指摘することができる。 ア本件犯罪被害者(及び原告)と本件加害者は、平成23年以降、本件土地上 に住居(本件犯罪被害者自宅、本件加害者自宅)を有して生活しており、相応の交流をしていたが(認定事実⑴エ・オ)、平成25年7月のA の死後、本件土地上に二世帯住宅を建築する話が実現しなかったことに端を発して、本件犯罪被害者と本件加害者の関係が次第に悪化していった(認定事実⑴カ)。本件加害者は、本件犯罪被害者らから土地代等の名目で金員の支払を要求され、平成29年1月以降、本件犯 罪被害者らに対し、土地代等の名目で毎月2万円を支払うようになった(認定事実⑴キ)。 本件加害者自宅は、本件犯罪被害者が所有する本件土地上に新築されたものであり(認定事実⑴エ・オ)、平成28年12月以前に両者間でその地代等の支払がされていたことはうかがわれないことを踏まえると、上記の土地代等名目の金銭のやり 取りは、本件犯罪被害者と本件加害者の関係の悪化に伴い、本件土地の利用に対す る対価の支払としてされるようになったものといわざるを得ず、これをもって、本両者間の親子関係を前提としたその関係に甘えた言動であったとは断じ難い。 本件犯罪被害者と本件加害者との間では、上記の土地代等名目の金銭のやり取り以外に、親族としての経済的な扶養扶助の関係があったことはうかがわれない。 イその後、本件犯罪被害者(及び原告)と本件加害者は、平成30年12月1 3日の本件衝突事故の発生により、本件衝突事故をめぐり両者間の感情的対立が深刻になり、本件被害者方に押し掛けた本件犯罪被害者や原告から大声で叫ばれたり、本件犯罪被害者や原告との間で本件衝突事故をめぐって口論をしたり 故の発生により、本件衝突事故をめぐり両者間の感情的対立が深刻になり、本件被害者方に押し掛けた本件犯罪被害者や原告から大声で叫ばれたり、本件犯罪被害者や原告との間で本件衝突事故をめぐって口論をしたりするようになった(認定事実⑴ク)。本件加害者は、平成31年3月6日、福岡県直方警察署を訪れ、警察官に対して、本件犯罪被害者への対応を相談しており、本件加害者自宅に 押し掛けてきた本件犯罪被害者を現行犯逮捕してほしい旨の意向も示すに至っていた(認定事実⑴コ(ア))。 また、本件衝突事故に関しては、原告と本件加害者の事故状況の認識が全く異なっており(認定事実⑷)、本件加害者が、警察に対して原告がわざと車にぶつかったと述べ、本件犯罪被害者に対しても原告が逮捕される可能性を示唆するなどしたこ と(認定事実⑴コ(ア))により、本件犯罪被害者は、本件加害者に対する感情を更に悪化させ、その態度を硬化させるようになったものと推認される。 そうすると、以上のような本件加害者の言動は、本件犯罪被害者において、本件加害者との通常の社会生活上一般にみられるような親子としての交際や精神的なつながりを維持することを困難にする一因となったものであるといわざるを得ない。 ウそして、本件犯罪被害者(及び原告)と本件被害者は、平成31年3月6日、話し合いの結果、①お互いに令和元年8月末までに現在の家から転居すること、②本件加害者が本件犯罪被害者に対してその間の所定の地代等を支払うこと、③本件加害者自宅を同年7月までに解体するか、本件孫に譲り渡すことを約束するに至ったものである(認定事実⑴コ(イ))。 本件犯罪被害者と本件加害者の前記約束のうち、①の点は、お互いに令和元年8 月末までに現在の家から転居することで両者の関係を断とうと に至ったものである(認定事実⑴コ(イ))。 本件犯罪被害者と本件加害者の前記約束のうち、①の点は、お互いに令和元年8 月末までに現在の家から転居することで両者の関係を断とうとしていたものというべきであり、両者間の感情的対立は、近い将来解消される見込みがあるとはいえない状態にあったものと推認される。 エところが、本件犯罪被害者及び原告は、平成31年3月25日、本件被害者が前記ウ②の約束どおり地代を支払わないとして本件加害者宅に押し掛けて、本件 加害者に対して激しく罵倒するなどしたところ、本件加害者は、本件犯罪被害者や原告に対する激しい怒りを覚え、本件犯罪行為等に及んだ(認定事実⑵)というのである。 オ以上の事実によれば、本件犯罪被害者と本件加害者は、直系血族関係にあったものの、親族としての経済的な扶養扶助の関係はなく、特に本件衝突事故の発生 後、感情的対立が深刻化して、前記イのようないやがらせ行為や本件衝突事故をめぐる口論が生じ、通常の社会生活上一般にみられるような親子としての交際や精神的なつながりを維持することが困難な状況に陥り、平成31年3月6日の時点で、お互いに令和元年8月末までに現在の家から転居することで両者の関係を断とうとしていたものということができる。そうすると、本件犯罪行為が行われた時におい ては、本件犯罪被害者と本件加害者との間の親族関係は、親族関係の実体が失われており、その回復の見込みがあったともいい難いのであるから、当該親族関係が事実上破綻しているものと同視することができ、また、本件犯罪被害者の遺族である原告が受けた精神的、経済的打撃の軽減等を図る必要性が高いことを否定すべき事情もうかがわれないから、原告に対し、当該親族関係があることを理由とする犯罪 被害者等給 、本件犯罪被害者の遺族である原告が受けた精神的、経済的打撃の軽減等を図る必要性が高いことを否定すべき事情もうかがわれないから、原告に対し、当該親族関係があることを理由とする犯罪 被害者等給付金の支給を制限しないことが相当であるといえる。したがって、本件犯罪被害者と本件加害者との間の親族関係については、犯給法施行規則2条柱書の除外事由中の「これと同視することが相当と認められる事情がある場合」に当たり、犯給法6条1号及び犯給法施行規則2条1号に基づき犯罪被害者給付金の全部を支給しないことはできないというべきである。 以上によれば、本件犯罪行為が行われた時において、本件犯罪被害者と本件加害 者との間に、犯給法6条及び犯給法施行規則2条1号に該当する関係(本件犯罪被害者が本件加害者の実子であり、両者の関係は直系血族に該当する。)があったとして、犯罪被害者等給付金(遺族給付金)を支給しない旨の裁定(前提事実⑶イ)をした福岡県公安委員会の判断は、考慮すべき事項を十分に考慮していない一方で、考慮された事実に対する評価が明白に合理性を欠いた結果、社会通念に照らして著 しく妥当性を欠いたものというべきである。 ⑶ 被告の主張についてこれに対し、被告は、別紙「争点に関する当事者の主張」【被告の主張】⑴のとおり、本件犯罪被害者と本件加害者との親族関係が破綻していたと認められる事情がある場合又はこれと同視することが相当と認められる事情がある場合に当たるとは いえない旨を主張する。 しかしながら、前記⑵で説示したところに照らし、被告の前記主張は、採用することができない。 ⑷ 小括以上によれば、本件裁定は、その余の点を検討するまでもなく、違法である。 第4 結語よって、原告の請求は、理由が 照らし、被告の前記主張は、採用することができない。 ⑷ 小括以上によれば、本件裁定は、その余の点を検討するまでもなく、違法である。 第4 結語よって、原告の請求は、理由があるからこれを認容することとし、主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第1民事部 裁判長裁判官林史高 裁判官溝渕章展 裁判官高橋弘乃 別紙当事者目録は掲載省略 (別紙)争点に関する当事者の主張【被告の主張】⑴ 本件犯罪被害者と本件加害者との親族関係が破綻していたと認められる事情がある場合又はこれと同視することが相当と認められる事情がある場合とは認めら れないことア本件犯罪被害者は、本件加害者の長男であるから、両者の関係は直系血族に該当し、犯給法施行規則2条1号所定の親族関係がある。 イ本件加害者は、平成13年頃から、その妻であるA と共に、本件犯罪被害者に代わり、同人の子である本件孫を養育していた。本件加害者は、平成23年頃、 当時の居宅からの立ち退きを求められたことから、本件犯罪被害者の承諾を得て、同人所有の本件土地内に建物(本件加害者自宅)を新築し、A や本件孫と暮らすようになり、本件犯罪行為に至るまで、本件加害者自宅に居住し続けていた。本件犯罪行為に至るまで、本件加害者が、本件犯罪被害者に対して親子関係を破綻させるような振舞いに及んでいたことをうかがわせる事情は見当たらない。 他方で、本件犯罪被害者においても、A の死後、原告と共に、本件加害者に対して種々の嫌がらせや迷惑行為に及ぶようになったが、同人との関係を絶とうとしていた様子は認められない。むしろ、本 。 他方で、本件犯罪被害者においても、A の死後、原告と共に、本件加害者に対して種々の嫌がらせや迷惑行為に及ぶようになったが、同人との関係を絶とうとしていた様子は認められない。むしろ、本件犯罪被害者は、本件加害者に対し、金銭的な要求をしたり、本件土地上に建てた建物(本件加害者自宅)の名義を本件孫に変更するように求めていたりしていたが、これらは、いわば本件加害者との親子関係 を前提として、その関係に甘えた言動であったとみることもできる。 以上の事実関係に照らせば、本件犯罪被害者と本件加害者との親族関係が破綻していたと認められる事情がある場合又はこれと同視することが相当と認められる事情がある場合に当たるとはいえない。 ウ原告指摘に係る本件加害者の警察官調書の供述は、本件加害者が、本件犯罪 被害者から本件土地の賃料の請求を受けたことについて、意見・感想を述べたもの に過ぎないのであるから、これをもって客観的、外形的に親族関係が破綻していたと認められる事情又はこれと同一視すべき事情があるとはいえない。 本件衝突事故の際の本件加害者の言動や本件衝突事故に係る民事訴訟における原告の主張内容については、原告が本件犯罪被害者の内縁の妻に過ぎないから、直ちに本件犯罪被害者と本件加害者との親族関係の破綻又はこれと同視すべき事情を裏 付けるとはいえない。本件加害者が警察官に対して本件犯罪被害者を現行犯逮捕できないかと相談したことについても、本件犯罪被害者らの迷惑行為を止めさせるためにすぎず、家庭内のトラブルを解決するために警察等の公的機関の介入を求めることは一般的にあり得るから、本件犯罪被害者と本件加害者との親族関係の破綻又はこれと同視すべき事情を裏付けるとはいえない。 本件加害者の言動等に関する原告 に警察等の公的機関の介入を求めることは一般的にあり得るから、本件犯罪被害者と本件加害者との親族関係の破綻又はこれと同視すべき事情を裏付けるとはいえない。 本件加害者の言動等に関する原告本人の供述部分については、信用できないことが明らかであるから、他に本件裁定について必要な事情を考慮せずに誤った判断をしたというべき点はない。 ⑵ 本件裁定の審査手続について本件裁定がその判断の基礎とした本件加害者の警察官調書は、原告の指摘する点 によってその信用性を否定されない。また、本件裁定は、原告や本件孫の警察官調書、本件犯罪行為に係る刑事裁判書その他の証拠も判断の基礎としているから、その審査手続に違法な点はなく、前記⑴の認定判断に誤りがあるとはいえない。 ⑶ 本件裁定の憲法14条違反をいう点について本件裁定が憲法14条に違反するという原告の主張は、争う。 【原告の主張】⑴ 本件犯罪被害者と本件加害者との親族関係が明らかに破綻していたことア犯給法施行規則2条柱書の「当該親族関係が破綻していたと認められる事情」は、客観的に親族関係が破綻していたと認められることで足り、加害者が親族関係を破綻させていることは要しない。犯罪被害者と加害者について親族関係以外の何 らかの関係が続いていても、親族関係として破綻していると認められる場合は、支 給要件を満たすと考えるべきである。 ウ本件加害者は、本件犯罪行為当時、本件犯罪被害者から本件加害者自宅に怒鳴り込みを受け、本件衝突事故に関する原告の治療費を要求されるなどしており、警察に対して本件犯罪被害者を現行犯逮捕できないかと相談していた(甲28)。本件加害者の当該主張は事実に反するものであるが、本件加害者は、実の子である本 件犯罪被害者を逮捕 されるなどしており、警察に対して本件犯罪被害者を現行犯逮捕できないかと相談していた(甲28)。本件加害者の当該主張は事実に反するものであるが、本件加害者は、実の子である本 件犯罪被害者を逮捕してほしいと相談するに至っていたから、それほどまでに親子関係が破綻していたことが分かる。 エ本件犯罪行為に係る本件加害者の警察官調書(甲29、30、乙5)によれば、本件加害者は、①本件土地の賃料として本件犯罪被害者に月2万円を支払っていることについて、「80歳にもなる親から金をとろうとすること自体が、正常の考 えではない」、「私としては、親子で土地代を払うこと自体が常識から外れていると思っていますし」と供述し、②上記賃料を2万円から5万5000円に値上げされたとして、「5万5千円払えということは私に死ねと言っていることと同じ」と供述した。 本件加害者が本件犯罪被害者に金銭を支払うようになった経緯は事実に反するも のの、通常の親子関係においてこのような金銭の請求をすることは常識から外れていることは確かである上、本件加害者は、実の息子の言動について死ねと言われているのと同じと認識していたのである。このような本件犯罪行為当時の状況や本件加害者の認識からすれば、本件加害者と本件犯罪被害者は正常な親子関係ではなかったものと認められる。 オ原告は、本件衝突事故について、本件加害者を相手に損害賠償請求訴訟を提起し、本件加害者の運転する車両との衝突が本件加害者の故意によるものであると主張したところ、それほどに原告と本件加害者との関係は悪化していたといえる。 本件衝突事故に係る民事訴訟の判決(甲21)によれば、本件加害者は、本件衝突事故発生後、原告が車両の後方で転倒していたのを見て原告と口論になったが、 そのまま本件加 悪化していたといえる。 本件衝突事故に係る民事訴訟の判決(甲21)によれば、本件加害者は、本件衝突事故発生後、原告が車両の後方で転倒していたのを見て原告と口論になったが、 そのまま本件加害者の車両で出かけたと認定されており、衝突事故が発生したにも かかわらず原告を放置するほどに原告と本件加害者との関係が悪化していたといえる。 カ被告は、本件裁定に当たり、本件加害者自宅が本件犯罪被害者の同意なく建築されたものであること、A 死亡後の相続放棄をめぐる軋轢、本件加害者が原告及び本件犯罪被害者の法律婚の障害となっていたことなどの事情を考慮していない。 キ以上によれば、本件犯罪被害者と本件加害者との親族関係は破綻しているというべきであるところ、本件裁定は、親族関係の破綻について極めて限定的に解釈し、犯給法施行規則2条柱書所定の除外事由の該当性を否定したのであるから、違法である。 ⑵ 本件裁定の審査手続に瑕疵があること 福岡県公安委員会は、本件裁定に当たり、本件犯罪行為に係る刑事裁判において提出されていない証拠を事実認定に用いた可能性がある。また、本件裁定は、上記刑事裁判において提出された統合証拠を事実認定に利用しているところ、二次証拠である統合証拠は、統合の過程で原証拠に備わっていた客観的情報やその真偽判断のために必要であった情報が失われるおそれがあるものであり、信用性について慎 重な検討が求められるものである。しかしながら、本件裁定は、本件の特異性や本件加害者の異常な性格等について十分踏まえた上で判断されたものとは思われず、その手続には瑕疵がある。 ⑶ 本件裁定が憲法14条違反により違法無効であること本件加害者と本件犯罪被害者との関係は、通り魔的犯行の加害者と被害者の関係 判断されたものとは思われず、その手続には瑕疵がある。 ⑶ 本件裁定が憲法14条違反により違法無効であること本件加害者と本件犯罪被害者との関係は、通り魔的犯行の加害者と被害者の関係 と何ら差異がないから、犯給法施行規則2条1号を適用して犯罪被害者等給付金を支給しないこととした本件裁定は、犯罪被害者遺族の生活を守り、被害を軽減するという犯給法の目的に反し、他の犯罪被害者との比較において憲法14条に違反し、違法である。 以上
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