令和3年1月21日判決言渡令和2年(行ケ)第10062号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和2年12月21日判決 原告 X同訴訟代理人弁護士森田憲右同渡邉孝太同訴訟代理人弁理士磯野富彦同鉾田慶亮 被告株式会社主婦の友社 同訴訟代理人弁理士加藤勉同山田清治 同高昌宏同熊坂美由紀主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2018-890093号事件について令和2年4月9日にした審決のうち,「登録第6043736号の指定役務中,第41類「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,乳幼児のためのセミナーの企画・運営 又は開催,電子出版物の提供」についての登録を無効とする。」とした部分を 取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等⑴ 原告は,以下のとおりの商標登録第6043736号商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲1の1・2,45)。 商標の構成(標準文字)久保田メソッド(AKANON)登録出願 3736号商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲1の1・2,45)。 商標の構成(標準文字)久保田メソッド(AKANON)登録出願日平成29年5月29日登録査定日平成30年5月2日設定登録日平成30年5月18日 指定役務第41類「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,乳幼児のための娯楽施設の提供,おもちゃの貸与」⑵ 被告は,平成30年12月12日,本件商標について商標登録無効審判を 請求した(甲46)。 ⑶ 特許庁は,上記請求を無効2018-890093号事件として審理を行い,令和2年4月9日,「登録第6043736号の指定役務中,第41類「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供」(以下「本件指定役務」という。) についての登録を無効とする。その余の指定役務についての審判請求は成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月22日,原告に送達された。 ⑷ 原告は,令和2年5月13日,本件審決のうち本件指定役務についての登録を無効とした部分の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨 本件審決は,本件商標はその指定役務中本件指定役務について商標法4条1項11号に該当するが,その余の指定役務について同号に該当せず,また,同7号及び同15号には該当しないとした。 本件審決において本件指定役務につき本件商標が同11号に該当するとした判断の理由の要旨は,本件商標は,別紙記載1の構成からなる登録第3321 当せず,また,同7号及び同15号には該当しないとした。 本件審決において本件指定役務につき本件商標が同11号に該当するとした判断の理由の要旨は,本件商標は,別紙記載1の構成からなる登録第3321 541号商標(以下「引用商標1」という。甲2の1・2,44),別紙記載2の構成からなる登録第5693470号商標(以下「引用商標2」という。 甲3の1・2。なお,引用商標1と引用商標2を併せて「引用商標」という。)と類似する商標であって,本件指定役務と引用商標1及び引用商標2の指定役務とは同一又は類似であるから,本件商標は,同11号に該当するというもの である。 第3 当事者の主張取消事由(商標法4条1項11号該当性判断の誤り)の存否に係る当事者の主張は,次のとおりである。 1 原告の主張 ⑴ 本件商標の要部認定の誤りア本件審決は,本件商標中の「久保田メソッド」の部分がその指定役務との関係において自他役務の出所識別機能を有しないとはいえないとして,同部分を要部として抽出した。 しかしながら,その認定は誤りである。 イ 「メソッド」との文字は,役務に係る方法,方式を意味する一般的,普遍的な語といえ(甲60,61,69ないし72),役務に係る方法,方式を考案した人物の姓氏に「メソッド」の文字を繋げた表記方法は,本件商標の指定役務と密接に関連する役務の分野を含めて一般に広く用いられているところ(甲74ないし85。枝番があるものは枝番をすべて含む。 以下同じ。),この表記方法は,当該役務の取引者,需要者に対し,単に 「そのような姓氏の者が発案した方法,方式」程の意味合いを想起させるにすぎず,誰がその役務を提供するかということまで意味するものではないから,「役務の質」 当該役務の取引者,需要者に対し,単に 「そのような姓氏の者が発案した方法,方式」程の意味合いを想起させるにすぎず,誰がその役務を提供するかということまで意味するものではないから,「役務の質」を表示するものである。 そして,複数の辞典等の書籍やウェブサイトに掲載の情報によると,「久保田」の文字は,我が国において同種の姓氏が多数存在するありふれた姓 氏の一つといえるから(甲60ないし68),「久保田メソッド」の文字は,全体として「(ありふれた姓氏である)久保田という者が発案した方法,方式」といった意味合いを想起させるにすぎない。なお,仮に,「久保田」が久保田メソッドとの名称の育児法の考案者である「A」(引用商標2の商標権者である株式会社脳研工房の代表者)を意味するとしても, 同人が幼児教育の分野において著名であったとすれば,「久保田メソッド」は,その幼児教育に関する方法,方式を意味するものとして,なおさら「役務の質」を表示するものといえる。 そうすると,本件商標の前半部分の「久保田メソッド」の部分は,指定役務との関係において出所識別機能を有しないか極めて弱い部分であっ て,それ自体では独立して自他役務の出所識別機能を果たし得ない。 ウ他方,本件商標の後半部の括弧で囲われた「AKANON」の部分については,辞書等に載録されていない語であり,それゆえ取引者,需要者をして一種の造語として認識させるものであり,自他役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える。 エ以上からすると,本件商標は,「AKANON」という出所が提供する「久保田メソッド」という役務を表示するものとして全体が不可分一体のものであり,「久保田メソッド」を要部として抽出することはできない。 仮に,「久保田メソッド」と 「AKANON」という出所が提供する「久保田メソッド」という役務を表示するものとして全体が不可分一体のものであり,「久保田メソッド」を要部として抽出することはできない。 仮に,「久保田メソッド」と「AKANON」とを分離して観察することができるとしても,その後半部の括弧で囲われた「AKANON」の部分 が取引者,需要者に対して自他役務の出所識別標識として強く支配的な印 象を与えるものである一方,その前半部の「久保田メソッド」の部分が独立して自他役務の出所識別機能を果たし得るものではないから,「AKANON」の部分を要部として抽出して他の商標と対比することは許されても,「久保田メソッド」の部分を要部として抽出してこの部分を他人の商標と対比して商標の類否判断をすることは許されない。 ⑵ 引用商標の要部認定の誤り本件審決は,引用商標1から「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」の文字部分を,引用商標2から「クボタメソッド」の文字部分をそれぞれ要部として抽出した。 しかしながら,その認定は誤りである。 ア引用商標1について(ア) 引用商標1は,赤ちゃんと思しき下部の図形部分が看者に対して格別に強い印象を与える。 (イ) 引用商標1の上部の文字部分を構成する各部のうち,「久保田メソード」の部分については,「メソード」が「メソッド」と同じく「方法, 方式」の意味を有する語であるから(甲61,70,72),上記⑴イのとおり,「(ありふれた姓氏である)久保田という者が発案した方法,方式」といった意味合いを想起させる。 また,引用商標1の上部の文字部分を構成する各部のうち,「KUBOTAMETHOD」の文字部分についても,「クボタ」を読みとす した方法,方式」といった意味合いを想起させる。 また,引用商標1の上部の文字部分を構成する各部のうち,「KUBOTAMETHOD」の文字部分についても,「クボタ」を読みとす るありふれた姓氏の一つである「久保田」をローマ字表記した「KUBOTA」と,「メソッド」と同じく「方法,方式」といった意味合いの「method」の語(甲60,61,69ないし71)を大文字表記した「METHOD」とを結合したものにすぎない構成であり,「(ありふれた姓氏である)久保田という者が発案した方法,方式」といった 意味合いを想起させる。 そうすると,引用商標1において「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」の文字部分は,いずれも指定役務との関係において出所識別機能を有しないか極めて弱い部分であって,それ自体で独立して自他役務の出所識別機能を果たし得るものではない。 (ウ) 引用商標1の上部の文字部分を構成する各部のうち,「赤ちゃん能 力開発教室」の文字部分についても,指定役務の「技芸・スポーツ又は知識の教授」の提供場所又は質を表示すると認められるから,出所識別機能を有しない。 (エ) 引用商標1の上部の文字部分を構成する各部のうち,「赤ちゃんのびのびママもいきいき」の文字部分は,一種の標語・キャッチフレーズ であるかのように認識させるものであって,取引者,需要者に対して自他役務の出所識別標識としての印象を強く与えるものであるといえる。 (オ) 以上からすると,引用商標1は,特徴的な図形部分と図案化された文字部分が一体となることで出所識別機能を果たしているから要部を取り出すことができないか,そうでないとしても,上部の文字部分を構成す る各部のうち,「赤ちゃ は,特徴的な図形部分と図案化された文字部分が一体となることで出所識別機能を果たしているから要部を取り出すことができないか,そうでないとしても,上部の文字部分を構成す る各部のうち,「赤ちゃんのびのびママもいきいき」の文字部分又は下部の赤ちゃんの図形部分を要部として取り出してその部分を他人の商標と対比して類否判断をすることのみが許容される。 イ引用商標2について(ア) 引用商標2は,左側の高齢の女性と思しき図形部分が看者に対して 格別に強い印象を与えるものといえる。 (イ) 引用商標2の吹き出し部分に記載された文字のうち,「0歳からの脳育法」の文字部分は,指定役務の「乳幼児教育及び育児におけるセミナーの企画・運営又は開催,乳幼児教育及び育児における教材の企画・制作」の内容を表示するものと認識されるにすぎない。 また,吹き出し部分に記載された文字のうち,「クボタメソッド」の 文字部分は,ありふれた姓氏の一つである「久保田」又は「窪田」(甲60ないし68,73)を片仮名表記した「クボタ」の文字と,「方法,方式」の意味を有する「メソッド」の文字とを結合したものであるから,前記⑴イのとおり,「(ありふれた姓氏である)久保田又は窪田という者が発案した方法,方式」といった意味合いを想起させる。 そうすると,引用商標2において,吹き出し部分に記載された「0歳からの脳育法」及び「クボタメソッド」の文字部分は,いずれも指定役務との関係において出所識別機能を有しないか極めて弱い部分であり,それ自体で独立して自他役務の出所識別機能を果たし得るものではない。 (ウ) 以上からすると,引用商標2は,特徴的な図形部分と図案化された 文字部分が一体となることで出所識 分であり,それ自体で独立して自他役務の出所識別機能を果たし得るものではない。 (ウ) 以上からすると,引用商標2は,特徴的な図形部分と図案化された 文字部分が一体となることで出所識別機能を果たしているから要部を取り出すことができないか,そうでないとしても,高齢の女性の図柄部分を要部として取り出してその部分を他人の商標と対比して類否判断をすることのみが許容される。 ⑶ 類否判断の誤り 本件審決は,本件商標が引用商標1及び引用商標2のいずれとも類似する旨判断した。 しかしながら,本件商標並びに引用商標1及び引用商標2は,全体的な対比しか許されないか,そうでないとしても,その要部は前記⑴及び⑵のとおりであるから,類否判断の前提を誤った本件審決の判断は誤りである。 加えて,本件商標と引用商標1及び引用商標2が類似しないことは明らかであり,要部を対比するとしても,本件商標は,文字であるのに対し,引用商標1は赤ちゃんと思しき図形又は「赤ちゃんのびのびママもいきいき」を,引用商標2は高齢の女性の図形をそれぞれ要部とするものであるから,外観上,一見して相違し,看者に直ちに区別される。また,本件商標の要部 からは「アカノン」の称呼が生じるのに対し,引用商標1及び引用商標2の 要部からは,これと聞き誤るような称呼は生じない。さらに,本件商標からは特定の観念は生じないから,観念上も引用商標1及び引用商標2のいずれとも明確に区別される。このように,本件商標は,引用商標1及び引用商標2のいずれとも非類似の商標である。 したがって,本件商標を本件指定役務に使用しても,出所を混同するおそ れはない。 ⑷ 小括以上のとおり,本件商標は商標法4条1項11号に該当し とも非類似の商標である。 したがって,本件商標を本件指定役務に使用しても,出所を混同するおそ れはない。 ⑷ 小括以上のとおり,本件商標は商標法4条1項11号に該当しないから,同号に該当するとした本件審決の判断には,誤りがある。 2 被告の主張 ⑴ 本件商標の要部認定の誤りの主張についてア 「久保田」又は「窪田」がありふれた姓氏であり,「メソッド」が英語の「method」を表し,「方法」の意味を有する語であるにすぎないとしても,直ちに,これらを結合したものが自他役務の出所識別機能を有しない語とはいえない。姓氏と「メソッド」の文字を繋げた構成には自他 役務の出所識別機能があり,現に,このような構成を有する多数の商標登録例(乙1ないし5,9,10)があるほか,ありふれた姓氏と「式」を結合した多数の商標登録例(乙13ないし乙16,乙19)もある。 イそして,本件商標において,「AKANON」の文字部分は括弧でくくられているが,「括弧」の意味するところは,「他との区別を明らかにす るための記号」(「広辞苑第四版504頁」〔乙7〕)であるから,括弧で括られた「AKANON」の文字部分は「久保田メソッド」の文字部分から区別されて認識される。 ウ以上からすると,本件商標は,「久保田メソッド」及び「AKANON」のそれぞれの文字部分が独立して自他役務の出所識別機能を果たし得る ものであるから,その構成中の前半部分に位置する「久保田メソッド」の 文字部分を要部として抽出し,他人の商標と対比して類否判断をすることは許される。 ⑵ 引用商標の要部認定の誤りの主張についてア引用商標1について(ア) 引用商標1において,上部の文字部分と下部 出し,他人の商標と対比して類否判断をすることは許される。 ⑵ 引用商標の要部認定の誤りの主張についてア引用商標1について(ア) 引用商標1において,上部の文字部分と下部の図形部分とが分離し て看取され,上部の文字部分を構成する各部のうち,「赤ちゃん能力開発教室」の文字部分には自他役務の出所識別機能はないといえる。 (イ) 引用商標1の上部の文字部分を構成する文字のうち,「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」の文字部分は,前記⑴の主張のとおり,自他役務の出所識別機能を有する部分であり,しかも,引用 商標1の中央に大きく横書きされているから強い印象を与える。 なお,引用商標1の上部の文字部分を構成する文字のうち,「赤ちゃんのびのびママもいきいき」の部分は,一種の標語として認識されるものであり,文字自体も小さく書されているから,自他役務の出所識別機能は弱い。 (ウ) 以上からすると,引用商標1において,上部の文字部分を構成する各部のうち,「久保田メソード」及びその英文字表記の「KUBOTAMETHOD」を要部として抽出してその部分を他人の商標と対比して類否判断をすることは許される。 イ引用商標2について (ア) 引用商標2において,左側の図形部分と右側の吹き出し部分とが分離して看取され,吹き出し部分に記載された文字のうち,「0歳からの脳育法」の文字部分に自他役務の出所識別機能はないといえる。 (イ) 引用商標2の吹き出し部分に書された文字のうち,「久保田メソッド」を片仮名書きした「クボタメソッド」の文字部分が自他役務の出所 識別機能を有することは,前記⑴において主張したとおりである。 (ウ) 分に書された文字のうち,「久保田メソッド」を片仮名書きした「クボタメソッド」の文字部分が自他役務の出所 識別機能を有することは,前記⑴において主張したとおりである。 (ウ) 以上からすると,引用商標2において,吹き出し部分に記載された文字のうち,「クボタメソッド」を要部として抽出してその部分を他人の商標として対比して類否判断をすることは許される。 ⑶ 類否判断の誤りの主張について本件商標の構成中の前半部分に位置する「久保田メソッド」の文字部分と 引用商標1の構成中の「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」並びに引用商標2の「クボタメソッド」の文字部分とを対比し,本件商標は引用商標1及び引用商標2と類似するとした本件審決の判断に誤りはない。 ⑷ 小括 以上のとおり,本件商標は,本件指定役務については商標法4条1項11号に該当するから,同号に該当するとした審決の判断には,誤りはない。 第4 当裁判所の判断 1 本件商標と引用商標との類否について⑴ 本件商標 本件商標は,前記第2の1⑴のとおり,「久保田メソッド(AKANON)」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中前半部の「久保田メソッド」の文字部分中,「久保田」については,ありふれた姓氏である久保田がまず想起され,「メソッド」が「方法,方式」の意味を有する英語「method」の片仮名表記であることはよく知られたことであるから,「久保田 メソッド」の文字部分からは,「(ありふれた姓氏である)久保田という者による方法,方式」といった意味合いを想起させる。また,構成中後半部の「(AKANON)」中の欧文字部分の「AKANON」は,辞書等に載録されていない造語と認められ,ローマ字読 ある)久保田という者による方法,方式」といった意味合いを想起させる。また,構成中後半部の「(AKANON)」中の欧文字部分の「AKANON」は,辞書等に載録されていない造語と認められ,ローマ字読みで「アカノン」と称呼されるものの,これに類する語は想起されず,特定の観念を生じさせないものであり, 「久保田メソッド」の語と括弧内の「AKANON」の語との間に観念上の 結び付きはない。また,文法上,「( )」(括弧)は,他の部分と区別しその中に他の部分の補充,注釈等を記入するための記号であり,通常,括弧外の文字が主として,括弧内の文字が従として扱われることに照らせば,本願商標が,「久保田メソッド」と括弧内の「AKANON」の語とに分離されて観察され,「久保田メソッド」が主として認識されることは明らかであ る。これに加えて,「久保田メソッド」が日本語表記で先に配置されていてより目立ち,構成文字全体から生ずる「クボタメソッドアカノン」の称呼がやや冗長であって,本件商標は「クボタメソッド」と略して称呼され得ること,「久保田メソッド」が明確な意味を有するのに対し,「AKANON」は造語であって特定の意味を有するものではないことから一般人にはなじみ にくいことも併せて考慮すると,本件商標中,「久保田メソッド」の部分が役務の出所識別標識として支配的な印象を与えていることは否定し難いというべきである。 そうすると,本件商標の構成中,その前半部に位置する「久保田メソッド」の部分は独立して自他役務の出所識別機能を果たし得るものと認められ,こ の部分を要部として抽出でき,本件商標は,その要部である「久保田メソッド」の文字部分に相応して,「クボタメソッド」の称呼を生じ,「(ありふれた姓氏である)久保田という者による方法, られ,こ の部分を要部として抽出でき,本件商標は,その要部である「久保田メソッド」の文字部分に相応して,「クボタメソッド」の称呼を生じ,「(ありふれた姓氏である)久保田という者による方法,方式」といった観念を生ずるものである。 ⑵ 引用商標 ア引用商標1引用商標1は,別紙記載1のとおり,上部に,着色された扇様の帯部分に「赤ちゃんのびのびママもいきいき」の文字を書し,その下に「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」の文字を二段に記載し,その下の着色された横長の長方形の帯部分に白抜きで「赤ちゃん能力開発 教室」の文字を記載し,下部に,ぬいぐるみを抱えた乳幼児や遊具の図形 を配した構成からなる。 引用商標1の構成中の下部の図形部分と上部の文字部分は,視覚上分離して看取されるから,それぞれの部分を分離して観察することができる。 そして,上部の文字部分のうち,「赤ちゃんのびのびママもいきいき」の文字部分は,キャッチフレーズとして認識され,「赤ちゃん能力開発教 室」の文字部分は,その指定役務との関係から役務の提供場所又は質を表したものとして認識され,いずれも自他役務の出所識別機能を有さないか,極めて弱いものといえるから,引用商標1においては,「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」の文字部分が自他役務の出所識別機能を果たしているものと認められ,この部分を要部として抽出できる。 そうすると,「メソード」は「メソッド」と同義であるから,前記⑴のとおり,引用商標1からは,その要部である「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」の文字部分に相応して,「クボタメソード」及び「クボタメソッド」の称呼を生じ,「(ありふれた姓氏 前記⑴のとおり,引用商標1からは,その要部である「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」の文字部分に相応して,「クボタメソード」及び「クボタメソッド」の称呼を生じ,「(ありふれた姓氏である)久保田という者による方法,方式」といった観念を生ずるものである。 イ引用商標2引用商標2は,別紙記載2のとおり,左側に,高齢の女性の頭部と掌を描いたイラストを配置し,右側に,吹き出しを配置し,その吹き出し部分の中に「0歳からの脳育法」の文字とそれより大きな「クボタメソッド」との黒縁取りの白文字を記載した構成からなる。 引用商標2の構成中の左側の図形部分と右側の吹き出し内の文字部分は,視覚上分離して看取されるから,それぞれの部分を分離して観察することができる。 そして,吹き出し内の文字部分のうち,「0歳からの脳育法」の文字部分は,その指定役務との関係から役務の質を表したものとして認識され, 自他役務の出所識別機能を有さないか,極めて弱いものといえるから,引 用商標2においては,「クボタメソッド」の文字部分が自他役務の出所識別機能を果たしているものと認められ,この部分を要部として抽出できる。 そうすると,引用商標2からは,その要部である「クボタメソッド」の文字部分に相応して,「クボタメソッド」の称呼を生じ,「(ありふれた姓氏である)久保田(クボタ)という者による方法,方式」といった観念 を生ずるものである。 ⑶ 対比本件商標と引用商標とをそれぞれ対比すると,本件商標の要部である「久保田メソッド」の文字部分と引用商標1の要部である「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」並びに引用商標2の要部である「クボタ メソッド」の文字 比すると,本件商標の要部である「久保田メソッド」の文字部分と引用商標1の要部である「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」並びに引用商標2の要部である「クボタ メソッド」の文字部分とは,表記方法が異なるのみであり,当該文字部分から生じる「クボタメソッド」又は「クボタメソード」との称呼が共通し,又は聞き誤りのおそれがあり,「(ありふれた姓氏である)久保田(クボタ)という者による方法,方式」の観念をいずれも共通にするものであるから,本件商標と引用商標とは,互いに相紛れるおそれのある類似の商標であると 認められる。 そうすると,本件商標と引用商標1が本件商標の指定役務中,引用商標1の指定役務とも類似する「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供」に使用された場合には,その役務の出所について混同が生ずるおそれがあり,本件商標と引用商標2が本件商標の指定役務中,引用 商標2の指定役務とも類似する「乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催」に使用された場合には,その役務の出所について誤認混同が生じるおそれがあるから,本件商標は,「乳幼児のための技芸・スポーツ又は知識の教授,乳幼児のためのセミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供」(本件指定役務)ついて,商標法4条1項11号に該当する。 2 原告の主張について 原告は,①姓氏と方法,方式を意味する「メソッド」又は「メソード」の文字とを結び付けた商標は「役務の質」を表示するものであるから,「久保田」が「(ありふれた姓氏である)久保田」を示すものであろうと幼児教育の分野における「A」を示すものであろうと,本件商標中の「久保田メソッド」の文字部分は,その指定役務との関係において独立して自他役務の出所識別機能を 姓氏である)久保田」を示すものであろうと幼児教育の分野における「A」を示すものであろうと,本件商標中の「久保田メソッド」の文字部分は,その指定役務との関係において独立して自他役務の出所識別機能を 有しない,②同様に引用商標1中の「久保田メソード」及び「KUBOTAMETHOD」並びに引用商標2中の「クボタメソッド」の部分も,それら指定役務との関係において独立して自他役務の出所識別機能を有しない,③本件商標も,引用商標1及び引用商標2も,全体が不可分一体のものであるから要部抽出はできない,仮に要部抽出をするとしても,要部は「久保田メソッド」, 「久保田メソード」,「KUBOTAMETHOD」又は「クボタメソッド」のいずれの文字部分でもない,④そうすると,上記各部分を要部として抽出して商標を対比し,本件商標と引用商標とが類似すると判断した本件審決の判断は誤りである旨主張する。 しかしながら,姓氏と「メソッド」とを結び付けた商標が「ある者が発案し た方法,方式」の意味をも含む場合があるとしても,当該商標が「ある者による(実施される)方法,方式」の意味をも有すること自体は否定し難いから,当該商標を直ちに「役務の質」のみを表示する商標であるなどということはできない。そして,姓氏又は名称と「メソッド」の文字を繋げた構成を有する相当数の商標登録例が現に認められていること(甲97)からも明らかなとおり, たとえありふれた姓氏であるとしても,姓氏と「メソッド」とを結合した商標は,その構成から直ちに出所識別機能を有さない商標といえるものでもない。 そして,本件において,「久保田メソッド」が,その姓氏を有する発案者及びその関係者以外の者にも広く用いられるなどした結果,需要者,取引者に,特定の幼児教育方法としての役務の質を表 えるものでもない。 そして,本件において,「久保田メソッド」が,その姓氏を有する発案者及びその関係者以外の者にも広く用いられるなどした結果,需要者,取引者に,特定の幼児教育方法としての役務の質を表示するものとのみ認識されるようにな っており,特定の役務の出所先を表示するものではないことをうかがわせる証 拠もない。 したがって,「久保田メソッド」に自他役務の出所識別機能がないとはいえないから,原告の上記主張は,前提を欠くものであって,その余の点について論じるまでもなく採用することができないものである。 なお,原告は,Aが自らの育児法を幼児教育現場の指導者の間で積極的に採 用させ,これを幼児教育の現場において広く実践させているから,「久保田メソッド」の商標的使用を制限することは不当であり,「久保田メソッド」は独占適応性に乏しい商標であるなど,るる主張する。しかしながら,その主張を裏付けるに足りる証拠は提出されていない上,そもそも仮に,「久保田メソッド」がAの考案に係る久保田メソッドの名称であるとすれば,原告に本件商標 の商標権者の地位を保有させ,その名称の独占を認めることは,かえって不当というべきであるから,いずれにせよ,上記主張を採用する余地はない。 3 結論以上のとおり,本件商標は,本件指定役務について,他人の登録商標に類似する商標であって,かつ,当該登録商標の指定役務に類似する役務について使 用するものであるから,商標法4条1項11号に該当する商標であり,同号に該当するとした本件審決の判断に誤りはない。 したがって,原告主張の取消事由は理由がなく,本件審決を取り消すべき違法は認められない。 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 断に誤りはない。したがって,原告主張の取消事由は理由がなく,本件審決を取り消すべき違法は認められない。よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 主文 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官菅野雅之 裁判官本吉弘行 裁判官中村恭 (別紙) 1 登録第3321541号商標 商標の構成 登録出願日平成5年6月17日登録査定日平成9年4月3日設定登録日平成9年6月13日更新登録日平成19年3月27日平成29年6月20日指定役務第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,映写フィルムの貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」 2 登録第5693470号商標 商標の構成 登録出願日平成25年10月28日登録査定日平成26年6月25日設定登録日平成26年8月15日指定役務第41類「乳幼児教育及び育児に 登録出願日平成25年10月28日 登録査定日平成26年6月25日設定登録日平成26年8月15日指定役務第41類「乳幼児教育及び育児におけるセミナーの企画・運営又は開催,乳幼児教育及び育児における教材の企画・制作,書籍の企画・制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制 作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」
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