【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。 理 由 被告本人の上告趣意は、違憲をいう点もあるが、その実質は事実誤認、法
主 文 本件上告を棄却する。 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。 理 由 被告本人の上告趣意は、違憲をいう点もあるが、その実質は事実誤認、法令違反 (なお、第一審判決は、警察官及び検察官に対する所論被告人の供述調書を証拠に 採用していないこと判文上明らかである。)、量刑不当の主張を出でないものであ つて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。 弁護人酒井大の上告趣意第一点について。 所論は、原審における弁護人の選任は、控訴趣意書提出期間後になされており、 弁護人に対し右趣意書提出の機会が与えられていないから、原判決は憲法三七条三 項(単に三七条とあるが三七条三項の趣旨と認める。)に違反すると主張する。 しかし、本件のような強制弁護事件であつても、被告人が貧困その他の事由で自 から弁護人の選任ができないため、裁判所に対しその理由を付してこれが選任請求 をした場合(刑訴三六条、刑訴規則二八条各参照)に限り、裁判所においてこれが 選任義務を負い、したがつて以上に違反した場合は所論の憲法問題を生ずることが あるけれども、かかる選任請求に基ずかずして、刑訴二八九条の規定により裁判所 が被告人の意思如何にかかわりなく職権で弁護人を選任する場合は、単なる刑訴法 上の問題であつて憲法三七条三項の問題ではないことは、既に当裁判所大法廷判例 (昭和二五年(あ)第二一五三号同二八年四月一日大法廷判決刑集七巻四号七一三 頁以下、昭和三二年(あ)第三〇〇号同年七月一七日大法廷決定刑集一一巻七号一 八四二頁以下各参照)の示すところである。 本件記録によれば、被告人は、昭和三三年三月五日に、弁護人選任照会書と同年 四月四日と定めた控訴趣意書差出期日通知書の送達を受け、同年三月一一日私選弁 - 1 - 護人を選任する旨の回答書を原裁判所に差し 件記録によれば、被告人は、昭和三三年三月五日に、弁護人選任照会書と同年 四月四日と定めた控訴趣意書差出期日通知書の送達を受け、同年三月一一日私選弁 - 1 - 護人を選任する旨の回答書を原裁判所に差し出したが、同年四月四日の控訴趣意書 差出期日までは私選弁護人を選任せずして同日被告人自から控訴趣意書を提出し、 その後弁護人を私選して同年五月二三日右弁護届を提出したことが明らかである。 さすれば、本件は必要弁護事件ではあるけれども、被告人において進んで自から私 選弁護人を選任する旨回答して来たものであつて、なんら前記のような刑訴三六条 刑訴規則二八条による弁護人選任請求はしていないのであるから、この場合には所 論の憲法問題を生じないこと前説明のとおりであり、従つて所論違憲の主張はその 前提を欠き適法な上告理由とならない。 同第二点は単なる訴訟法違反の主張(なお、控訴審において、なんら事実の確定 に影響を及ぼさない法令適用の誤りを理由として第一審判決を破棄自判する場合に は、第一審判決の確定した事実に法令の適用を示せば足りるとすることは、既に当 裁判所の再三判例とするところであるから、所論のように証拠の標目を掲げる必要 はない。)、同第三点は事実誤認の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理 由に当らない。 また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。 よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で 主文のとおり決定する。 昭和三四年二月六日 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 小 谷 勝 重 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 河 村 大 助 裁判官 奥 野 勝 重 裁判官 藤 田 八 郎 裁判官 河 村 大 助 裁判官 奥 野 健 一 - 2 -
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