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昭和31(ツ)11 家屋明渡請求事件

裁判所

昭和31年6月13日 東京高等裁判所 棄却

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1,475 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用を上告人の負担とする。理由 上告代理人は「原判決を全部破毀する」旨の判決を求める旨申立て、その理由として、別紙のとおり主張した。上告理由に対する判断。借地法第一〇条は、賃借地上の建物を譲受けた者が、その敷地の賃借権を譲受けるか、又は敷地を転借しようとするのに、その敷地の所有者がこれを承諾しない場合には、建物を譲受けた者は敷地の所有者に対する関係では、権原なくして建物を所有して土地を占有することになり、そのままでは建物を収去して土地を明渡さなければならない関係になるから、その者に対し土地所有者に建物の買取を請求する権利を認めて、社会経済上の立場から、せつかく建つている建物の取毀を防止すると共に建物の譲受人の利益をも保護しているものである。他方、借家法第一条は、建物の賃借人の地低の安定をはかるために、建物が譲渡された当時に、その建物の引渡しを受けている賃借人は、その賃借権を以つて建物の譲受人に対抗し得るとしているのである。右の<要旨>ように両条の関係は、その立法の趣旨に照して考えても、相矛盾又は排斥しているものではない。借地法第一</要旨>〇条の買取請求権が行使された場合でも、その実質は建物の売買であるから、建物の賃借人は、売買当時その建物の引渡を受けておれば、その賃借権を対抗し得る建物の買受人のなかから、借地法第一〇条による建物の買受人を排除する特別の理由はなにも見出すことはできない。この場合に借家法第一条の適用がないとすれば、建物の賃借人には、建物から退去せざるを得ないような余りに酷な結果となり、借家法第一条を設けて借家人を保護する趣旨が全く没却されるに至るが、他方、その土地の所有者は、その土地の賃借権の譲渡又は転貸を承諾するかしないかの 物から退去せざるを得ないような余りに酷な結果となり、借家法第一条を設けて借家人を保護する趣旨が全く没却されるに至るが、他方、その土地の所有者は、その土地の賃借権の譲渡又は転貸を承諾するかしないかの自由を有していると共に、建物を買取請求権の行使を受けて取得するについても、それが実質上売買であることには変りがなく、その代金については、買受人に対抗し得る賃借権が存する場合には、そのことが家屋の価額の算定について斟酌されるのであるから、借家法第一条の適用があると解しても、通常の場合に比して特に不利益を受けることにはならない。 、その土地の所有者は、その土地の賃借権の譲渡又は転貸を承諾するかしないかの自由を有していると共に、建物を買取請求権の行使を受けて取得するについても、それが実質上売買であることには変りがなく、その代金については、買受人に対抗し得る賃借権が存する場合には、そのことが家屋の価額の算定について斟酌されるのであるから、借家法第一条の適用があると解しても、通常の場合に比して特に不利益を受けることにはならない。右のような関係であるから、借地法第一〇条によつて建物が譲渡された場合にも、その建物の賃借人は借家法第一条によつて建物譲渡人にその賃借権を対抗できるものと解するのを相当とする。従つて、これに反する上告人の主張は独自の見解を主張するにすぎず、原判決の説明はかんたんに失してはいるが、結局において、上記説明と同趣旨であるから、本件上告は理由がない。よつて民事訴訟法第四〇一条によつて本件上告を棄却し、上告審での訴訟費用の負担について同法第九五条、第八九条を適用し、主文のように判決する。(裁判長判事柳川昌勝判事村松俊夫判事中村匡三)

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