- 1 -平成28年4月8日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成27年第3285号損害賠償請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成26年第3179号)口頭弁論終結日平成28年2月3日判決控訴人(一審原告)A同訴訟代理人弁護士岩坪哲同速見禎祥被控訴人(一審被告)サンエス自動車興業株式会社被控訴人(一審被告)コルハート株式会社上記両名訴訟代理人弁護士川村和久主文 原判決を次のとおり変更する。 被控訴人らは,控訴人に対し,連帯して,13万円及びこれに対する平成25年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人サンエス自動車興業株式会社は,控訴人に対し,22万円及びこれに対する平成25年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人コルハート株式会社は,控訴人に対し,30万円及びこれに対する平成25年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 2 - 控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを50分し,その47を控訴人の,その余を被控訴人らの各負担とする。 事実 及び理由第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人らは,控訴人に対し,連帯して550万円及びこれに対する平成25年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人サンエス自動車興業株式会社は,控訴人に対し,330万円及びこれに対する平成25年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被控訴人コルハート株式会社は,控訴人に対し,220万円及びこれに対する平成25年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人ら 員を支払え。 被控訴人コルハート株式会社は,控訴人に対し,220万円及びこれに対する平成25年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 第2事案の概要 本件は,控訴人が,被控訴人らが控訴人の登録商標に類似する標章を使用して控訴人の商標権を侵害したと主張して,不法行為に基づく損害賠償として,①被控訴人らに対し,被控訴人コルハート株式会社(以下「被控訴人コルハート」という。)が製作管理した被控訴人サンエス自動車興業株式会社(以下「被控訴人サンエス」という。)のホームページにおける標章使用について,平成23年5月から平成25年4月までの2年間の全損害756万円の一部として500万円及び弁護士費用50万円並びにこれらに対する不法行為以後の日である同月4日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払,②被控訴人サンエスに対し,同被控訴人の看板及び従業員の名刺における標章使用について,平成16年5月から平成25年4月までの9年間の全損害4536万円の一部として300万円及び弁護士費用30万円並びにこれらに対す- 3 -る同月4日から支払済みまで前記割合による遅延損害金の支払,③被控訴人コルハートに対し,同被控訴人が運営するポータルサイトにおける標章使用について,平成20年11月から平成25年4月までの54か月間の全損害1701万円の一部として200万円及び弁護士費用20万円並びにこれらに対する同月4日から支払済みまで前記割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 略称は,特に断らない限り,原判決の例による。 原審は,被控訴人らが使用した標章は控訴人の登録商標に類似するとはいえないとして,控訴人の請求をいずれも棄却したところ,控訴人が控訴した。 る。 略称は,特に断らない限り,原判決の例による。 原審は,被控訴人らが使用した標章は控訴人の登録商標に類似するとはいえないとして,控訴人の請求をいずれも棄却したところ,控訴人が控訴した。 前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,以下のとおり補正し,後記4のとおり,当審における当事者の補充主張を付加するほか,原判決「事実及び理由」中の第2の2,3及び第3に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴原判決3頁2行目の「同被告の」から5行目の「使用し」までを「同被控訴人のホームページにおける同被控訴人の自動車の車検・一般点検整備・鈑金・貸与等の業務の広告のページに原判決別紙被告標章目録記載1の標章(以下「被告標章1」という。)を付してこれを使用し」に,7行目の「同被告の」から9行目の「使用し」までを「同被控訴人の自動車の車検・損害保険代理業務等に従事する従業員の名刺に原判決別紙被告標章目録記載2の1及び2の各標章(以下,これらを併せて「被告標章2」という。)を付してこれを使用し」に,11行目の「全国から」から13行目の「ポータルサイト」を「全国各地の自動車整備・鈑金業者(工場)・自動車販売業者が会員登録し,利用者において会員である業者を検索することができるポータルサイト」にそれぞれ改める。 ⑵原判決4頁5行目を「⑴被告標章の使用は商標的使用に当たらないか」に改める。 - 4 -⑶原判決5頁12行目及び17行目の各「役務である」を「役務を示すものである」に改める。 ⑷原判決13頁8行目の末尾に「仮に使用料相当額の損害が発生しているとしても,その額は1か月当たり2000円を超えることはない。」を加える。 当審における当事者の補充主張⑴控訴人ア原告商標からは「くるまのひゃくとーばん」という称呼が生じ,被告標章 ているとしても,その額は1か月当たり2000円を超えることはない。」を加える。 当審における当事者の補充主張⑴控訴人ア原告商標からは「くるまのひゃくとーばん」という称呼が生じ,被告標章からは「くるまひゃくとーばん」という称呼が生じる。原告商標及び被告標章の外観は,原審が認定したとおりである。原告商標及び被告標章からは,ともに「車両に関する緊急連絡先(相談窓口)」という観念が生じる。 そうすると,原告商標と被告標章は,称呼,外観,観念において共通し,全体的観察において相紛らわしいことは明らかである。本件において,取引の実情等から原告商標と被告標章の間に格別誤認混同のおそれがないとする事情は存在しない。原告商標から「くるまのひゃくとーばん」の称呼の他に「ちゅうこしゃのひゃくとーばん」の称呼が生じるとしても,これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど両者が不可分に結合しているとする事情は全く見受けられない。 したがって,原告商標と被告標章とは類似商標と判断されるべきである。 イ原審は,原告商標1から「くるまのひゃくとーばん」の称呼が生じるとしつつ,「中古車」の部分が大きな字体で表現されているという理由で,原告商標1から「車両」「車一般」の「110番」(緊急連絡先・相談窓口)が観念されるわけでもないとして,原告商標1から想起される「中古車の緊急連絡先・相談窓口」の役務と被告標章から想起される「車両(車一般)の緊急連絡先・相談窓口」の役務の間に誤認混同の生ずるおそれがあるとは認められないとし,原告商標1と被告標章の類似性を否定した。 - 5 -しかし,漢字に対し,その通常の読み方と異なる振り仮名が振られた場合における日本人の音読行動,認識は,一次的には当該振り仮名に従ったものとなることが経験則上当然である。原判 を否定した。 - 5 -しかし,漢字に対し,その通常の読み方と異なる振り仮名が振られた場合における日本人の音読行動,認識は,一次的には当該振り仮名に従ったものとなることが経験則上当然である。原判決の論理では,漢字に「自然な読み」でない振り仮名が振られた場合,その語からは振り仮名に従った称呼,観念は発生しないことになるが,このような解釈が経験則に反し違法であることは明白である。 ウ原告商標2における「くるま」と「中古車」は,看者である取引者,需要者に並列的なものと認識されるから,「くるまのひゃくとーばん」「ちゅうこしゃのひゃくとーばん」という2つの称呼を生じ,「車両一般の緊急連絡先(相談窓口)」「中古車の緊急連絡先(相談窓口)」という2つの観念を生じる。並列的に生じる称呼,観念のうちの1つにおいてほぼ共通する被告標章と原告商標2が相紛らわしく,両者が類似することは明らかである。原審が,原告商標2について,需要者は「くるま」の部分と「中古車」の部分は並列的に記載されていると認識すると認定しながら,原告商標2から「くるまちゅうこしゃのひゃくとーばん」の称呼が生じると認定したのは誤りである。「くるま」と「中古車」が互いに関係のない並列的なアイテムと認識される以上,原告商標2からは,「くるまのひゃくとーばん」と「ちゅうこしゃのひゃくとーばん」の2つの称呼が並列的に生じると解釈するのが自然である。 被控訴人らア原告商標1における「くるま」は「中古車」の振り仮名であるところ,振り仮名は,その漢字の読み方を指示しているにすぎず,これを振ることで漢字の意義の理解を助けることはあっても,漢字の意義(観念)を限定するものとは認識されないのが通常である。したがって,原告商標1の「くるま」は「中古車」の読みとして奇抜な印象を与えるものにすぎず,「中 の意義の理解を助けることはあっても,漢字の意義(観念)を限定するものとは認識されないのが通常である。したがって,原告商標1の「くるま」は「中古車」の読みとして奇抜な印象を与えるものにすぎず,「中古車」の観念を変容させるものではないから,原審の判断は正当であ- 6 -る。 イ原告商標2における「くるま」も「中古車」の振り仮名と認識されるのが通常である。なぜなら,「くるま」は「中古車」の読み方として,奇抜ではあるが許容範囲内のものであるところ,漢字のすぐ上にその読み方として許容範囲内の平仮名が配されている場合,通常の日本人の言語感覚では,振り仮名が振られているであろうと認識,理解するのが一般であり,それらを相互に連関のない並列的な言葉と認識することはないからである。 そして,振り仮名と認識する以上,それが振られた漢字と一体のものとして理解されるのは当然である。そうすると,被告標章との類似性に関しては,原告商標2も原告商標1の場合と同様に考えるべきであり,原審の判断は結論としては正当である。 第3当裁判所の判断 当裁判所は,控訴人の請求は,被控訴人らに対し,13万円及びこれに対する平成25年4月4日から支払済みまで年5分の割合による金員の連帯支払,被控訴人サンエスに対し,22万円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による金員の支払,被控訴人コルハートに対し,30万円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による金員の支払をそれぞれ求める限度で理由があり,その余はいずれも理由がないと判断する。その理由は,以下のとおりである。 争点 (被告標章の使用が商標的使用に当たらないか)について被控訴人らは,被告標章は「車に関する(緊急の)相談窓口」等の意味のキャッチフレーズ又は宣伝文句として使用していたのであり,需要者は被告標章 点(被告標章の使用が商標的使用に当たらないか)について被控訴人らは,被告標章は「車に関する(緊急の)相談窓口」等の意味のキャッチフレーズ又は宣伝文句として使用していたのであり,需要者は被告標章によってそれが付された役務の出所を識別しているのではないから,被告標章の使用は商標的使用ではないと主張する。しかし,被告標章が付された役務又は広告の対象である自動車点検整備業務等において,「車110番」の表示が被控訴人らが主張するような意味で一般的に用いられているとは認められない- 7 -し,被告標章の使用態様,すなわち,被控訴人サンエスのホームページのうち自動車点検整備業務等の宣伝用のページの冒頭の標題部分に「鈑金レスキュー」の表記とともに二段書きで表記する(甲4),被控訴人サンエスの従業員の名刺の上部に独立して表記する(甲5),被控訴人サンエスの店舗敷地内に設置された看板に単独で表記する(甲6),被控訴人コルハートの運営する自動車整備業者等を検索するポータルサイト「車検110番」において,そのサイトの副次的な名称として表記する(甲3,6)という使用態様からすると,被告標章は,被控訴人らの役務を表示するものとして使用されているものと認められる。 したがって,被告標章は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標であるとは認められないから,当然に原告商標権の効力が及ばないということはできない(商標法26条1項6号)。 争点 (被告標章は原告商標に類似するか)について商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであり,商標の類否の判断に当たっては,同一又は類似の商品又は役務に使用さ が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであり,商標の類否の判断に当たっては,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,かつ,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえた上で全体的に考察すべきものである。そして,商標の外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品又は役務につき出所を誤認混同するおそれを推測させる一応の基準にすぎず,上記三点のうち類似する点があるとしても,他の点において著しく相違するか,又は取引の実情等によって,何ら商品又は役務の出所を誤認混同させるおそれが認められないものについては,これを類似商標と解することはできない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集- 8 -22巻2号399頁,最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。 また,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないというべきである(最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事第228号561頁参照)。 本件における原告商標と被告標章の類否の判断についても,上記の観点から検討すべきである。 原告商標1についてア原告商標1は,原判決別紙商標目録記載 法廷判決・裁判集民事第228号561頁参照)。 本件における原告商標と被告標章の類否の判断についても,上記の観点から検討すべきである。 原告商標1についてア原告商標1は,原判決別紙商標目録記載1のとおりであり,①ゴシック体横書きで「中古車」,その右側に②小さなゴシック体で「の」,さらにその右側に③太ゴシック体で①よりはやや小さく「110番」とし,④「中古車」の上には小さなゴシック体で「くるま」,⑤「110番」の上には小さなゴシック体で「ヒャクトーバン」と記載してなるものである。 イ原告商標1の外観について上記アの④及び⑤部分は,それぞれ①及び③部分の上に小さく添えるように平仮名及び片仮名で記載されていることからすると,①及び③部分の振り仮名として認識されると認められる。そうすると,上記④及び⑤は振り仮名で,文字も小さいことから,原告商標1に接した需要者には,①ないし③の「中古車の110番」が特に強く支配的な印象を与えると認められる。 ウ原告商標1の称呼は,振り仮名に従い,④②⑤の構成から,一次的には- 9 -「くるまのひゃくとーばん」の称呼が生じると認められる。しかし,「中古車」は,「ちゅうこしゃ」と読むのが通常であり,これを「くるま」と読むのは一般的ではないこと,原告商標1のうち「中古車の110番」の部分は外観上強く支配的な印象を与えることからすると,二次的には「ちゅうこしゃのひゃくとーばん」の称呼も生じると認められる。 なお,控訴人は,業界では,「中古車」を「くるま」と省略して呼ぶ取引の実情があると主張する。しかし,原告商標1と被告標章との類否判断の前提となる原告商標1の指定役務のうち「自動車の修理又は整備」の役務に関する取引の場面において,「中古車」と表記された場合に「くるま」と称呼するのが一般的であると認めるに足り 被告標章との類否判断の前提となる原告商標1の指定役務のうち「自動車の修理又は整備」の役務に関する取引の場面において,「中古車」と表記された場合に「くるま」と称呼するのが一般的であると認めるに足りる証拠はない。 エ原告商標1の観念については,外観上強く支配的な印象を与える「中古車の110番」のうち,「中古車の」の部分からは,文字どおりに「中古車についての」の観念が生じると認められる。また,「110番」については,一般に「110番」が警察に緊急通報する周知の電話番号であること,そこから転じて,「○○110番」という場合,「○○についての緊急対応先」とか「○○についての相談窓口」といった意味で使用される例が多数見られること(乙8,弁論の全趣旨)からすると,同様に,「緊急対応先」とか「相談窓口」といった観念が生じると認められる。したがって,「中古車の110番」全体からは,「中古車についての緊急対応先・相談窓口」という観念が生じると認められる。 なお,原告商標1からは,振り仮名に従い「くるまのひゃくとーばん」の称呼が生じることは前記のとおりである。しかし,これは,飽くまで「中古車の110番」の振り仮名として認識されるものであることからすると,原告商標1に接した需要者が,このような振り仮名の部分のみに着目して,「自動車についての緊急対応先・相談窓口」といった,自動車一般に関する観念を想起するとは認められない。 - 10 -原告商標2についてア原告商標2は,原判決別紙商標目録記載2のとおりであり,①左側部分に,ゴシック体横書きで,上段に「くるま」,下段に「中古車」を配し,②右側部分に,左側部分の上下段の中間高さ部分に,ゴシック体で「の」,その右側に太ゴシック体で「110番」を配してなるものである。 イ原告商標2の外観について上 ,下段に「中古車」を配し,②右側部分に,左側部分の上下段の中間高さ部分に,ゴシック体で「の」,その右側に太ゴシック体で「110番」を配してなるものである。 イ原告商標2の外観について上記ア①の「くるま」及び「中古車」の部分が,同じ字体,同じ大きさの文字で,左右両端がそろうように表されていること,ア②の「の110番」が,ア①の「くるま」及び「中古車」の上下段の中間高さ部分に配されることによりア①の「くるま」及び「中古車」の双方をくくる形となっていることからすると,「くるま」及び「中古車」は,「110番」の目的又は対象を特定するものとして並列的に表記されているものと認識されるから,「くるまの110番」「中古車の110番」がそれぞれ1つのまとまりとして印象付けられるものと認められる。 ウ原告商標2の称呼について①上記イの認識に加え,②「くるま」「中古車」はそれぞれよく使われる用語であるのに対し,「くるま中古車」は一般には使用されない用語であって,「くるま」と「中古車」が分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないこと,③原告商標2と被告標章の類似性判断の前提となる原告商標2の指定役務のうち「損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」「自動車の貸与」「自動車の車検のための検査代行,自動車の車検のための申請代行,車検のための自動車の検査」「広告」「商品の販売に関する情報の提供」「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務の性質上,また,被控訴人らが被告標章を使用し- 11 -て提供している役務の実情において,特に「中古車」と「車」又は「自動車」の区別が重視されているとは認められないため,「くるまの110番」と「中古車の11 ,被控訴人らが被告標章を使用し- 11 -て提供している役務の実情において,特に「中古車」と「車」又は「自動車」の区別が重視されているとは認められないため,「くるまの110番」と「中古車の110番」とは近似した意味を示しているにすぎないことからすれば,原告商標2においては,前記まとまりである「くるまの110番」「中古車の110番」のそれぞれの部分が,取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。したがって,原告商標2の称呼としては,「くるまの110番」の部分から「くるまのひゃくとーばん」,「中古車の110番」の部分から「ちゅうこしゃのひゃくとーばん」,全体から「くるまちゅうこしゃのひゃくとーばん」の3つが生じると認められる。 ちなみに,特許庁において,原告商標2と類似の構成(「110番」の文字がやや大きく,「110番」の上に小さくカタカナで「ヒャクトーバン」と振り仮名が振られている以外はほぼ同じ)である登録番号第4105678号の商標の称呼(参考情報)としても,「くるまのひゃくとーばん」「ちゅうこしゃのひゃくとーばん」「くるまちゅーこしゃのひゃくとーばん」の3つが挙げられていることが認められる(甲15)。 エ原告商標2の観念としては,上記ウのとおり,「くるまの110番」「中古車の110番」のそれぞれの部分が,取引者,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることから,それぞれから「自動車についての緊急対応先・相談窓口」「中古車についての緊急対応先・相談窓口」が,全体から「自動車と中古車についての緊急対応先・相談窓口」が生じると認められる。 これに対し,被控訴人らは,原告商標2における「くるま」は「中古車」の振り仮名と認識されるのが通常であるとして,原告商標2から生 自動車と中古車についての緊急対応先・相談窓口」が生じると認められる。 これに対し,被控訴人らは,原告商標2における「くるま」は「中古車」の振り仮名と認識されるのが通常であるとして,原告商標2から生じる観念は「中古車についての緊急相談窓口」であると主張する。しかし,「くるま」は「中古車」と同じ字体,同じ大きさの文字で,左右両端がそ- 12 -ろうように表記されていることなどから,外観上両者は並列的なものと認識するのが通常であること,「中古車」を「くるま」と読むのは一般的な読み方ではなく,原告商標2と被告標章との類否判断の前提となる原告商標2の指定役務のうち「損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」「自動車の貸与」「自動車の車検のための検査代行,自動車の車検のための申請代行,車検のための自動車の検査」「広告」「商品の販売に関する情報の提供」「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」の役務に関する取引の場面においても,そのような読み方が通用しているとか,「くるま」と「中古車」の分類が意味をなさないため,「中古車」と「くるま」が上記のような態様で併記された場合に「くるま」を振り仮名と理解するのが自然であるといった事情は認められないことからすると,「くるま」と「中古車」が原告商標1のような構成で配置された場合に「くるま」を「中古車」の振り仮名として認識するのに抵抗がないからといって,原告商標2における「くるま」が「中古車」の振り仮名であると解することはできない。したがって,「くるま」が振り仮名であることを前提として,原告商標2から「中古車についての緊急相談窓口」以外の観念が生じないとする被控訴人らの主張は採用することができない。 被告標章について被告標章は,いずれも,白地に黒文字又は黒地 ることを前提として,原告商標2から「中古車についての緊急相談窓口」以外の観念が生じないとする被控訴人らの主張は採用することができない。 被告標章について被告標章は,いずれも,白地に黒文字又は黒地に白文字のゴシック体で,「車110番」と一体に横書きしてなるものであり,「くるまひゃくとーばん」の称呼と「自動車についての緊急対応先・相談窓口」との観念が生じると認められる。 原告商標と被告標章の類否についてア原告商標1と被告標章の類否外観は,原告商標1のうち強く支配的な印象を与える部分の1つである- 13 -「110番」と被告標章の「110番」がほぼ同じであるが,原告商標1の「中古車」と被告標章の「車」の部分は相違している。称呼については,原告商標1の一次的な称呼である「くるまのひゃくとーばん」と被告標章の称呼である「くるまひゃくとーばん」はほぼ同じである。観念は,原告商標1では「中古車についての緊急連絡先・相談窓口」であるのに対し,被告標章では「自動車の緊急連絡先・相談窓口」であり,相違している。 商標の類否は,前記のとおり,同一又は類似する役務について使用されていることを前提に判断すべきところ,原告商標1と被告標章の類似性判断の前提となる原告商標1の指定役務のうち「自動車の修理又は整備」の役務に関してみると,その対象となるのは,一度使用に供された自動車である「中古車」であることが多く,被告標章が使用された同役務に関する業務も「中古車」を対象としているものと推認されることからすると,「中古車」と「中古車」及びその対義語である「新車」を包含する上位概念である「車」「自動車」との区別がさほど重視されるとは考えられない(一般の商取引において「中古車」と「新車」の区別が重視されるのは販売・買取りの場面であることが多い。)。したがって,原告 る上位概念である「車」「自動車」との区別がさほど重視されるとは考えられない(一般の商取引において「中古車」と「新車」の区別が重視されるのは販売・買取りの場面であることが多い。)。したがって,原告商標1から生じる観念と被告標章から生じる観念の相違は著しいということはできない。 そうすると,原告商標1の一次的な称呼と被告標章の称呼はほぼ同じであり,観念は著しく相違しているとはいえないし,被控訴人らによる被告標章の使用が何ら役務の出所を誤認混同させるおそれが認められないものであるといえる取引の実情等は認められないから,原告商標1と被告標章の外観の相違を考慮しても,原告商標1と被告標章は類似しているというべきである。 イ原告商標2と被告標章の類否外観は,原告商標2の「110番」と被告標章の「110番」はほぼ同じであるが,原告商標2の「くるまの」「中古車の」「くるま/中古車- 14 -の」と被告商標の「車」とは相違している。称呼は,原告商標2から生じる称呼の1つである「くるまのひゃくとーばん」と被告標章の称呼である「くるまひゃくとーばん」はほぼ同じである。観念は,原告商標2から生じる観念の1つである「自動車についての緊急対応先・相談窓口」は被告標章から生じる観念と同じである。 このように原告商標2から生じる複数の称呼及び観念のうちの1つと被告標章の称呼及び観念は同じ又はほぼ同じである。 また,原告商標2と被告標章の外観は,「110番」の部分がほぼ同じであり,その他の部分にいずれも著しく特異で奇抜な点もないことからすると,両者の外観の相違は,称呼及び観念における類似性を凌駕するほどのものであるとは認められない。 そうすると,原告商標2から生じる称呼及び観念が,被告標章から生じる称呼及び観念と同じ又はほぼ同じであり,被控訴人らによる被告標章の び観念における類似性を凌駕するほどのものであるとは認められない。 そうすると,原告商標2から生じる称呼及び観念が,被告標章から生じる称呼及び観念と同じ又はほぼ同じであり,被控訴人らによる被告標章の使用が何ら役務の出所を誤認混同させるおそれが認められないものであるといえる取引の実情等は認められないから,原告商標2には他の称呼及び観念も生じること及び原告商標2と被告標章の外観の相違を考慮した上で全体的に考察しても,原告商標2と被告標章は類似しているというべきである。 争点 (被告標章の使用が商標法26条1項3号に該当するか)について被控訴人らは,被告標章は,役務に関してその質や効能,態様を普通に用いる方法で表示したものであるから,その使用については商標法26条1項3号の適用又は類推適用があると主張する。しかし,本件全証拠によっても,「車110番」という表示が,被告標章が付された役務又は広告が対象とする役務において「車に関する緊急の相談窓口」などの意味で普通に用いられているとは認められないから,被控訴人らの上記主張は採用することができない。 したがって,被控訴人らによる被告標章の使用は,原告商標に係る商標権侵- 15 -害となる。 争点 (控訴人の損害の有無及び額)について被控訴人らは,原告商標は,被控訴人らの商圏では全く知られておらず,被告標章の使用態様等に照らしても,被告標章は,被控訴人らの事業の売上げに全く寄与していないから,控訴人には損害が発生していないと主張する。 しかし,原告商標に顧客吸引力が全くなく,被告標章を使用することが被控訴人らの売上げに全く寄与していないものと認めるに足りる証拠はないから,原告商標が被控訴人らの商圏である九州北部周辺において認知されていないとしても,控訴人に得べかりし利益としての使用料相当額の 控訴人らの売上げに全く寄与していないものと認めるに足りる証拠はないから,原告商標が被控訴人らの商圏である九州北部周辺において認知されていないとしても,控訴人に得べかりし利益としての使用料相当額の損害が発生していないということはできない。 控訴人は,登録商標1類・1件につき,原則として毎月10万5000円で他者に使用を許諾しているから,本件においても,これと同じ基準で使用料相当額を算定すべきであると主張する。しかしながら,原告商標が,被控訴人らの商圏である九州北部周辺において使用実績等により相当の顧客吸引力を獲得したといった事情は見当たらない。また,原告商標のうち「中古車」「くるま」の部分は,自動車関連の業務に係る役務又はその広告に付されても出所識別機能は低く,「110番」についても役務に関する表示に付記することにより「○○に関する緊急対応先・相談窓口」を意味する商標は多数存在し,目新しいものとはいえないから,使用実績等から離れた高い価値を有するともいえない。 控訴人は,上記金額が相当であることの証拠として株式会社エスオーエスとの間で締結されたという登録商標通常使用権許諾契約の契約書(甲19)及び株式会社ファイナルセレクトとの間で交わしたとする和解書(甲20)を提出する。しかし,これらには登録商標1件の月額の使用料を10万円程度とする旨の記載があるものの,いずれも原告商標を対象としたものではない上,前者の契約の相手方は控訴人の親族が代表取締役を務める会社であっ- 16 -て,客観的な市場価値を反映しているとは認め難いし(弁論の全趣旨),後者は過去の使用による損害賠償金の解決を含むものと認められるところ(甲20),過去の使用態様や使用規模が不明であるから,やはり客観的な市場価値を反映したものとは認められない。また,控訴人が,原告商標 者は過去の使用による損害賠償金の解決を含むものと認められるところ(甲20),過去の使用態様や使用規模が不明であるから,やはり客観的な市場価値を反映したものとは認められない。また,控訴人が,原告商標1その他1件の登録商標に係る商標権の侵害を理由として第三者に対して提起した別件の損害賠償請求訴訟の判決(大阪地方裁判所平成16年第12032号同17年12月8日判決)(甲28)において,控訴人が株式会社エスオーエスに対し,原告商標1を含む10件の登録商標について,主として関西地区と四国地区における通常使用権を許諾し,その使用料を月額31万5000円と定めていることが認定されているが,この認定事実は本件において控訴人が主張する株式会社エスオーエスとの間の使用許諾契約の内容とは異なっている。これらのことからすると,控訴人が他者との間で締結したとする登録商標の使用許諾契約についての控訴人の主張及び提出書証(甲19~21)をもって控訴人主張の使用料が,原告商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額であることの証左とすることはできない。 前記のとおり,原告商標は被控訴人らの商圏において顧客吸引力に乏しく,商標としての価値は低いものといわざるを得ない。また,被告標章の使用態様も,被控訴人サンエスのホームページにおける使用に関しては,その表示の横に被控訴人サンエスの商号及び連絡先が表示されており(甲4),被告サンエスの従業員の名刺における使用に関しては,名刺上に被控訴人サンエスの商号及び住所等が表示されており(甲5),被控訴人サンエスの看板における使用に関しては,被控訴人サンエスの店舗にその商号が表記された看板が別途設置されており(甲5),被控訴人コルハートのポータルサイトにおける使用に関しては,運営主体として被控訴人コルハートの表示があり,同ポ しては,被控訴人サンエスの店舗にその商号が表記された看板が別途設置されており(甲5),被控訴人コルハートのポータルサイトにおける使用に関しては,運営主体として被控訴人コルハートの表示があり,同ポータルサイトの名称として「車検110番」と表示されている(甲3)というものである。これらの事情その他本件に表れた一切の事情を考慮する- 17 -と,被告標章の使用についての原告商標の使用料相当額としては,被控訴人サンエスのホームページにおける使用については,1か月当たり5000円(ただし,1か月に満たない日数も同額と認定する。以下同じ。),被控訴人サンエスの従業員の名刺及び看板における使用については,併せて1か月当たり5000円,被控訴人コルハートのポータルサイトにおける使用については,1か月5000円とするのが相当である。 ア証拠(甲4,7)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人らは,平成23年5月から平成25年4月4日までの間,被控訴人サンエスのホームページにおいて被告標章1を使用していたものと認められる。上記以外の期間における使用を認めるに足りる証拠はない。 したがって,上記使用の不法行為による使用料相当損害金は12万円(5000円×24か月)となる。控訴人は,本件訴訟の提起,追行を弁護士及び弁理士に委任しているところ,本件訴訟の審理の経過,認容額等に鑑みれば,上記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用及び弁理士費用相当額の損害は,1万円と認める。 イ証拠(甲5)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人サンエスは,平成22年から平成25年4月4日までの間,被控訴人サンエスの従業員の名刺又は同店舗敷地の看板において,名刺については被告標章2を,看板については被告標章3を使用していたものと認められる。上記以外の期間における使用を認めるに足りる証 の間,被控訴人サンエスの従業員の名刺又は同店舗敷地の看板において,名刺については被告標章2を,看板については被告標章3を使用していたものと認められる。上記以外の期間における使用を認めるに足りる証拠はない。 したがって,上記使用の不法行為による使用料相当損害金は20万円(5000円×40か月)となる。控訴人は,本件訴訟の提起,追行を弁護士及び弁理士に委任しているところ,本件訴訟の審理の経過,認容額等に鑑みれば,上記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用及び弁理士費用相当額の損害は,2万円と認める。 ウ証拠(甲3,6)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人コルハートは,- 18 -平成20年11月から平成25年4月4日までの間,被控訴人コルハートが運営するポータルサイトにおいて,被告標章4を使用していたものと認められる。上記以外の期間における使用を認めるに足りる証拠はない。 したがって,上記使用の不法行為による使用料相当損害金は27万円(5000円×54か月)となる。控訴人は,本件訴訟の提起,追行を弁護士及び弁理士に委任しているところ,本件訴訟の審理の経過,認容額等に鑑みれば,上記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用及び弁理士費用相当額の損害は,3万円と認める。 争点 (消滅時効の成否)について被控訴人らは,平成23年4月8日以前の被控訴人らの行為に基づく損害賠償債務について消滅時効を援用するが,控訴人が平成25年4月1日頃より前に被控訴人らによる被告標章の使用行為を認識していたと認めるに足りる証拠はないから,上記損害賠償債務について消滅時効期間が経過したとは認められない。したがって,被控訴人らによる消滅時効の抗弁は採用することができない。 結論 以上によれば,控訴人の請求は,前記1の限度で理由があるから同限度で認容し,その余 効期間が経過したとは認められない。したがって,被控訴人らによる消滅時効の抗弁は採用することができない。 結論 以上によれば,控訴人の請求は,前記1の限度で理由があるから同限度で認容し,その余は理由がないからいずれも棄却すべきある。 よって,これと一部異なる原判決を上記のとおり変更することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第8民事部裁判長裁判官山田知司- 19 -裁判官寺本佳子裁判官中尾彰
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