平成28(ワ)89 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年11月7日 長崎地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-91685.txt

判決文本文139,684 文字)

- 1 - 主文 1 被告は、原告番号1、2、3-1、3-2、4、8ないし11、13、14-2ないし14-4、15、17-1ないし17-5及び19の各原告に対し、それぞれ、別紙2「請求額・認容額一覧表」の「認容額」・「合計」欄記載の各金額及びこれらに対する同表「訴状送達日」欄記載の翌日から各支払済みまで 年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、原告番号5-1ないし5-6、6、7、12及び16の各原告と被告との間に生じた費用は、それぞれ各原告の負担とし、原告番号1、2、3-1、3-2、4、8ないし11、13、14-2ないし14-4、15、 17-1ないし17-5及び19の各原告と被告との間に生じた費用は、それぞれ、別紙2「請求額・認容額一覧表」の「訴訟費用」・「原告負担割合」欄記載の負担割合を各原告の負担とし、その余は被告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は、原告らに対し、それぞれ、別紙2「請求額・認容額一覧表」の「請求額」・「合計」欄記載の各金員及びこれらに対する同表「訴状送達日」欄記載の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は、原告らが、被告が設営する長崎造船所構内において、自身(原告番号1、2、4、6~12、15、16、19)又は被相続人(原告番号3、5、13、14、17〔特記しない場合、枝番を含む。以下同じ。〕)が、被告の労働者又は被告の下請会社(孫請会社を含む。)の労働者(以下「下請労働者」 という。)として従事した 人(原告番号3、5、13、14、17〔特記しない場合、枝番を含む。以下同じ。〕)が、被告の労働者又は被告の下請会社(孫請会社を含む。)の労働者(以下「下請労働者」 という。)として従事した船舶建造又は修繕の労務の際の粉じん曝露に起因し - 2 -て、じん肺又は肺がんに罹患したなどと主張して、安全配慮義務違反の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として、別紙2「請求額・認容額一覧表」の「請求額」・「合計」欄記載の各金員及びこれらに対する訴状送達の日の翌日から各支払済みまで民法(平成29年法第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(争いのない事実並びに後掲各証拠〔特段しない場合、枝番を含む。 以下同じ。〕及び弁論の全趣旨により認定した事実)⑴ 当事者等ア被告 被告は、船舶及び艦艇の建造、販売、修理及び救難解体等を業とする 株式会社であり、長崎県内に、長崎造船所及び長崎研究所を有し、大型タンカー、客船、艦艇、LNG船、LPG船等の各種船舶、船用・陸用(発電用)ボイラー・タービン等の製造等を行っている。長崎造船所は、長崎地区の本工場(立神地区、飽の浦地区等)及び香焼地区等により構成され、各地区の工場等の配置は、別紙3-1・2のとおりである。 (甲195) 被告は、昭和25年1月11日、いわゆる財閥解体により旧三菱重工業株式会社を母体として、中日本重工業株式会社の商号で設立された(その後新三菱重工業株式会社と商号変更)。旧三菱重工業株式会社が有していた長崎造船所は、同様に設立された西日本重工業株式会社(そ の後三菱造船株式会社と商号変更)に引き継がれたが、被告は、昭和39年に同社及び同様に設立された外1社を吸 菱重工業株式会社が有していた長崎造船所は、同様に設立された西日本重工業株式会社(そ の後三菱造船株式会社と商号変更)に引き継がれたが、被告は、昭和39年に同社及び同様に設立された外1社を吸収合併し、現在の商号へと変更した(以下、被吸収会社を併せて「被告」という。)。(甲104)イ原告等 原告番号1、2、4、6~12、15、16及び19の各原告並びに 原告番号3、5、13、14及び17の各原告の被相続人(後記ない - 3 -しの各被相続人。以下、両者を併せて「本件労働者」という。)は、被告又は被告の下請会社の労働者として長崎造船所において就労した経歴を有する(ただし一部争いがある。)。 C(以下「亡C」という。)は、令和●年●月●日、死亡し(甲C14)、妻である原告A3及び子である原告A4が相続し、訴訟承継した (原告番号3)。 D(以下「亡D」という。)は、平成●年●月●日、死亡し(甲E5)、妻である原告A6並びに子である原告A7、原告A8、原告A9、原告A10及び原告A11が相続した(原告番号5)。 E(以下「亡E」という。)は、令和●年●月●日、死亡し(甲M 9)、子である原告A19が相続し、訴訟承継した(原告番号13)。 F(以下「亡F」という。)は、平成●年●月●日、死亡し(甲N7)、妻であるG並びに子である原告A20、原告A21及び原告A22が相続した。Gは、令和●年●月●日、死亡し、上記各原告が訴訟承継した。(原告番号14) H(以下「亡H」という。)は、平成●年●月●日、死亡し(甲Q23)、子である原告A25、原告A26、原告A27、原告A28及び原告A29が相続し、訴訟承継した(原告番号17)。 ⑵ じん肺に関する制度の概要 という。)は、平成●年●月●日、死亡し(甲Q23)、子である原告A25、原告A26、原告A27、原告A28及び原告A29が相続し、訴訟承継した(原告番号17)。 ⑵ じん肺に関する制度の概要等アじん肺法 じん肺法は、じん肺に関し、適正な予防及び健康管理その他必要な措置を講ずることにより、労働者の健康の保持その他福祉の増進に寄与することを目的とする法律である(同法1条)。じん肺法は、けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法(昭和30年7月27日制定、同年9月1日施行。以下「けい肺等特別保護法」という。)から、対象をじん肺全体 に拡充し、更に適正な予防及び健康管理の措置を講ずるため、昭和35年 - 4 -3月31日に制定され、同年4月1日から施行された。じん肺法は、その後の粉じん作業実態の変化等を踏まえ、大幅に改正され、昭和52年7月1日に改正法が制定され、昭和53年3月31日から施行された。(乙1)イじん肺の定義等 じん肺は「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化 を主体とする疾病」をいい(じん肺法2条1項1号)、気道の慢性炎症性変化、気腫性変化を伴う。一般に、その病変は進行性かつ不可逆性であり、緩徐に進行する。(甲1、80、102、乙1、2の1) じん肺法は、じん肺の合併症を「じん肺と合併した肺結核その他のじん肺の進展経過に応じてじん肺と密接な関係があると認められる疾病」 をと規定し(2条1項2号)、その範囲について、同法施行規則は、じん肺管理区分(後記ウ)が管理2又は管理3と決定された者に係るじん肺と合併した肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸及び原発性肺がんと規定している(同条2項、同法 、じん肺管理区分(後記ウ)が管理2又は管理3と決定された者に係るじん肺と合併した肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸及び原発性肺がんと規定している(同条2項、同法施行規則1条)。 粉じん作業は、「当該作業に従事する労働者がじん肺にかかるおそれがあると認められる作業」をいい(同法2条1項3号)、その範囲は同法施行規則2条、別表において定められている(同法2条3項)。 ウじん肺のエックス線(X線)写真の像の区分(以下、一度用いた医学用語等の略称は断りなく表記することがある。) じん肺法は、じん肺のX線写真(直接撮影による胸部全域のX線写真をいう。以下同じ。)の像について、次のとおり、第1型から第4型までに区分するものとしている(4条1項)。 第1型両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が少数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの 第2型両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が多数あり、 - 5 -かつ、大陰影がないと認められるもの第3型両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が極めて多数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの第4型大陰影があると認められるもの上記区分の陰影については、次のとおりである(甲1・33~37頁、 乙2の1・73頁)。 粒状影小円形に見える陰影であり、その直径が約10mmまでのものをいう。 粒状影は、主要陰影の直径により、p(1.5mmまで)、q(1.5mmを超え3mmまで)及びr(3mm を超え10mmまで)の3つに分類される。 不整形陰影主に線状、細網状、線維状、網目状、蜂窩状、斑状の 直径により、p(1.5mmまで)、q(1.5mmを超え3mmまで)及びr(3mm を超え10mmまで)の3つに分類される。 不整形陰影主に線状、細網状、線維状、網目状、蜂窩状、斑状の陰影をいう。 大陰影融合陰影や塊状陰影で、その長径が10mmを超える陰影をいう。 の型の区分は、じん肺の種類に対応した標準X線フィルムを用いてされ、小陰影については、粒状影又は不整形陰影の密度に応じて、0/-、0/0、0/1、1/0、1/1、1/2、2/1、2/2、2/3、3/2、3/3、3/+の12階尺度により区分される。 左側の数字が1ないし3のものが、それぞれ第1型ないし第3型と判 定されるもので、0はじん肺の陰影が認められないか、認められるが第1型と判定されるに至らないものである。1/1、2/2、3/3が、それぞれ、第1型ないし第3型の同区分の標準X線フィルムに概ね一致されると判定されるものであり、右の数字が左の数字より小さいものは、上記各標準フィルムに至らない又はそれより数が少ないと認められるも のであり、右の数字が左の数字より大きいもの、右が+のものは、上記 - 6 -各標準フィルムより数が多いと認められるものである。 (甲1・35~39頁)エ管理区分制度 じん肺法は、粉じん作業に従事する労働者及び粉じん作業に従事する労働者であった者について、じん肺健康診断の結果に基づき、次のとお り管理1から4に区分して、健康管理を行うものとし(4条2項)、管理4と決定された者及び合併症にかかっていると認められた者について、療養を要するとしている(23条)。 管理1 じん肺の所見がないと認められるもの管理2 X線写真の像が第1型で、じん肺による れた者及び合併症にかかっていると認められた者について、療養を要するとしている(23条)。 管理1 じん肺の所見がないと認められるもの管理2 X線写真の像が第1型で、じん肺による著しい肺機能の障 害がないと認められるもの管理3イ X線写真の像が第2型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの管理3ロ X線写真の像が第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著 しい肺機能の障害がないと認められるもの管理4⑴ X線写真の像が第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超えるものに限る。)と認められるもの管理4⑵ X線写真の像が第1型、第2型、第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、 じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの 管理2ないし4の管理区分は、都道府県労働局長が、X線写真及びじん肺健康診断結果証明書等を基礎として、地方じん肺診査医の診断又は審査により決定し、都道府県労働局長は、地方じん肺診査医の意見により、同決定のため必要があると認めるときは、事業者又は申請者に対し X線写真撮影若しくは同法施行規則15条所定の検査の実施又は指定す - 7 -る物件の提出を命じることができる(じん肺法13条2項、3項、15条、16条、16条の2)。 オじん肺健康診断等 じん肺健康診断は、粉じん作業の職歴調査、X線写真検査、胸部臨床検査、肺機能検査等により行われる(じん肺法3条)。 そのうち胸部臨床検査は、既往歴の調査、胸部の自覚症状及び他覚所見の有無の検査により行われ(同法施行規則4条)、自覚症状として最も重要な呼吸困難につい り行われる(じん肺法3条)。 そのうち胸部臨床検査は、既往歴の調査、胸部の自覚症状及び他覚所見の有無の検査により行われ(同法施行規則4条)、自覚症状として最も重要な呼吸困難については、次の分類によるのが通常である(甲1)。 第Ⅰ度同年齢の健康者と同様に仕事ができ、歩行、登山あるいは階段の昇降も健康者と同様に可能である。 第Ⅱ度同年齢の健康者と同様に歩くことに支障ないが、坂や階段は同様に昇れない者第Ⅲ度平地でも健康者なみに歩くことができないが、自己のペースでなら1km以上歩ける者第Ⅳ度 50m以上歩くのに一休みしなければ歩けない者 第V度話したり、着物を脱ぐのにも息切れがして、そのため屋外に出られない者 合併症の検査は、じん肺所見があると診断された者のうち合併症の疑いがあると診断された者について行われる(同法3条3項)。 続発性気管支炎については、胸部臨床検査で1年のうち3か月以上毎 日のようにせきとたんがあるとの自覚症状が認められる者について、たんに関する検査(同法施行規則7条2号)として、たんの量、性状等の精密検査が行われ、たんの量が3ml以上で、性状がP1(粘濃性たん1度、膿がたんの3分の1以下)、P2(同2度、同3分の1~3分の2)、P3(同3度、同3分の2以上)の場合に、続発性気管支炎と判 定される(甲1・98、99頁)。 - 8 -カその他関係法令労働安全衛生法65条1項(昭和47年10月1日施行、以下「安衛法」という。)は、事業者は、政令で定める有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、作業環境測定を行う旨規定している。上記屋内作業場について、同委任を受けた同法 和47年10月1日施行、以下「安衛法」という。)は、事業者は、政令で定める有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、作業環境測定を行う旨規定している。上記屋内作業場について、同委任を受けた同法施行令21条1号(昭和48年4月1日施行) は「土石、岩石又は鉱物の粉じんを著しく発散する屋内作業場」と規定していたが、その後、「土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場で、労働省令で定めるもの」と改正され(昭和54年10月1日施行)、同委任を受けた粉じん障害防止規則(以下「粉じん規則」という。)25条(同日施行)は「常時特定粉じん作業が行われる屋 内作業場」と規定している。特定粉じん作業とは、粉じん作業のうち、粉じん規則別表第2の特定粉じん発生源を粉じん発生源とするものをいう(粉じん規則2条1項2、3号)。 ⑶ 本件労働者らに対するじん肺管理区分決定等(平成29年11月9日付け、平成30年9月4日付け〔2件〕各調査嘱託の結果) ア原告A1(昭和●年●月●日生)(甲A3、乙A9) 原告A1は、平成21年6月23日、管理2の決定を受けた。また、同日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、平成22年2月5日、療養補償給付支給決定を、同年3月4日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記管理区分決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された高原中央病院I医師作成の平成21年3月10日付け同健康診断証明書によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴a 昭和32年7月~昭和40年3月大和工業株式会社(被告下請) で、新船エンジン室の掃除や塗装 - 9 -b 昭和42年~昭和44年6月興洋工業小柳組(被告下請)で、船の鉄板サンダーかけ、 年7月~昭和40年3月大和工業株式会社(被告下請) で、新船エンジン室の掃除や塗装 - 9 -b 昭和42年~昭和44年6月興洋工業小柳組(被告下請)で、船の鉄板サンダーかけ、さび落としc 同年7月~昭和50年12月三浦工業所で、bと同じX線写真検査(平成21年2月23日撮影)粒状影1/1・p 胸部臨床検査a 既往歴気管支拡張症(63歳頃)、X線のくもり有(63歳)、不整脈(77歳)b 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+c 他覚所見副雑音+(両肺) 合併症に関する検査a 自覚症状せき、たん、息切れb たん検査同年3月2日7ml・P1、同月9日5ml・P1イ原告A2(昭和●年●月●日生)(甲B2、6、乙B9) 原告A2は、昭和61年4月11日、管理2の決定を受けた。また、 平成22年6月24日には、管理2、合併症なしとの決定を受けたが、平成27年7月14日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同月28日、休業補償支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された社会医療法人健友会大浦診療所J医師作成の同年2月21日付け同 健康診断証明書によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴昭和32年6月~平成22年4月久保工業株式会社で、電気溶接、グラインダー、ガウジング X線写真検査(平成26年12月16日撮影) 粒状影1/0・p、不整形陰影0/0 - 10 - 胸部臨床検査a 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+b 他覚所見なしc 喫煙歴 15本/日×44年(20~64歳 1/0・p、不整形陰影0/0 - 10 - 胸部臨床検査a 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+b 他覚所見なしc 喫煙歴 15本/日×44年(20~64歳) 合併症に関する検査 a 自覚症状せき、たんb たん検査同年1月27日6ml・P2、同年2月3日4ml・P2ウ亡C(昭和●年●月●日生) 亡Cは、平成26年8月7日、日本赤十字社長崎原爆病院呼吸器内科S医師により、右上葉肺癌との診断を受けた(甲C3)。 亡Cは、平成27年10月13日、石綿にさらされる業務による肺がん(労働基準法75条2項、同施行規則35条、別表第1の2第7号8)に該当するとして、労災認定を受けた。その基となった石綿確定診断委員会の同月7日付け意見、及び石綿ばく露作業従事歴の認定は、次の、のとおりである。(甲C10) 石綿確定診断委員会の意見(甲C12)。 a 原発性肺がんと認める。平成26年3月13日撮影のX線写真及びCTでは、第1型以上の石綿肺の所見及び胸膜プラークを認めない。 b 神戸労災病院病理診断科による石綿小体計測検査の結果、石綿小体濃度は5604本/g(乾燥肺)であった。 石綿ばく露作業従事歴(甲C10、11)a 昭和55年3月~平成12年9月久保工業株式会社で、足場架設、解体作業b 平成16年11月~平成20年11月有限会社長崎機工で、修繕船パイプ取替等の作業、足場の設置、解体作業 亡Cは、令和●年●月●日、死亡した。亡Cは、令和2年1月20日、 - 11 -長崎労働基準監督署長により、肺がんが、直接死因である急性肺血栓栓塞症に影響を与えたことは否定できず、相対的に有力な原因 、令和●年●月●日、死亡した。亡Cは、令和2年1月20日、 - 11 -長崎労働基準監督署長により、肺がんが、直接死因である急性肺血栓栓塞症に影響を与えたことは否定できず、相対的に有力な原因になったと認められるとして、業務上の事由による死亡と認定され、原告A3は、同月21日、遺族年金及び葬祭料の支給決定を受けた(甲C15)。 エ原告A5(昭和●年●月●日生)(甲D2、乙D1) 原告A5は、平成9年9月30日、管理2の決定を受けた。また、平成27年3月7日には、管理2、合併症なしとの決定を受けたが、同年7月14日、続発気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同月22日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出さ れた高原中央病院I医師作成の同年3月16日付け同健康診断証明書によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴a 昭和43年1月~昭和45年7月佐伯鉄工所で製缶工b 昭和46年3月~平成3年6月被告長崎造船所で船殻取付職 c 同年7月~平成14年10月 bと同じd 平成15年10月~平成27年2月株式会社日本冷熱下請の本村工業で船殻取付X線写真検査(平成27年2月27日撮影)粒状影1/1・p 胸部臨床検査a 既往歴肋骨骨折(44歳)、肺炎(51歳)、狭心症・心不全(62歳)b 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+c 他覚所見副雑音+(両肺) 合併症に関する検査 - 12 -a 自覚症状せき、たん、息切れb たん検査同年3月7日8ml・P1、同月14日6ml・P1オ亡D(昭和●年●月●日生)(甲E1、2、乙E1、4 併症に関する検査 - 12 -a 自覚症状せき、たん、息切れb たん検査同年3月7日8ml・P1、同月14日6ml・P1オ亡D(昭和●年●月●日生)(甲E1、2、乙E1、4) 亡Dは、平成27年1月27日、管理2の決定を受けた。また、同日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、同年6月10日、療養 補償給付支給決定を、同年7月21日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記管理区分決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された高原中央病院I医師作成の平成26年10月29日付け同健康診断証明書等によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴 a 昭和47年8月~昭和48年5月池島炭鉱孫請で、岩粉を坑道に撒くb 昭和49年2月~同年8月共立工建で、鉄板のガス切断c 同年9月~昭和53年8月河野船舶工業で、防熱作業d 平成3年3月~平成12年5月株式会社丸金佐藤造船で、溶接、 切断e 平成13年8月~平成20年5月有限会社奥田工業所で、溶接、切断X線写真検査(平成26年10月14日撮影)健康診断証明書上は、粒状影2/2・p、不整形陰影2/2であった が、地方労災医院医師により第1型(粒状影1/0・r)と認定。 胸部臨床検査a 既往歴狭心症(50歳)、間質性肺炎(71歳)b 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+c 他覚所見副雑音+(両肺) d 喫煙歴 20本/日×45年(20~65歳) - 13 -肺機能検査(第1次検査)健康診断証明書上は、F+(じん肺による肺機能の障害がある。)であったが、管理区分決定では認定されていない。 合併症に関する検査a 自覚症状せき、た -肺機能検査(第1次検査)健康診断証明書上は、F+(じん肺による肺機能の障害がある。)であったが、管理区分決定では認定されていない。 合併症に関する検査a 自覚症状せき、たん、息切れ b たん検査同月21日、同月29日とも10ml・P1カ原告A12(昭和●年●月●日生)(甲F1~3、乙F5) 原告A12は、昭和54年10月4日、管理2の決定を受け、昭和62年3月18日及び平成20年12月9日に、再度、管理2の決定を受けた。また、平成27年12月10日、同認定を前提に、続発性気管支 炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同月11日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された大浦診療所J医師作成の同年9月6日付け同健康診断証明書等によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴a 昭和47年3月~昭和61年11月三菱石炭鉱業株式会社高島鉱業所で、採炭現場の機械保守点検、火力発電所の運転管理b 平成9年11月から平成21年10月株式会社新星興業(被告下請)で、グラインダー作業 X線写真検査(平成27年8月21日撮影)健康診断証明書上は粒状影1/0、p、不整形陰影1/0であったが、地方労災委員医師により不整形陰影は認められないと認定。 胸部臨床検査a 自覚症状呼吸困難第Ⅱ度、せき+、たん+、心悸亢進+ b 他覚所見ばち状指+、副雑音+(背側部) - 14 -c 喫煙歴 20本/日×40年(20~60歳)合併症に関する検査a 自覚症状せき、たんb たん検査同年8月25日、同年9月2日とも10ml・P3キ原告A13 - 14 -c 喫煙歴 20本/日×40年(20~60歳)合併症に関する検査a 自覚症状せき、たんb たん検査同年8月25日、同年9月2日とも10ml・P3キ原告A13(昭和●年●月●日生)(甲G1、4、乙G3) 原告A13は、昭和55年3月17日、管理2の決定を受けた。また、平成25年10月31日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同年11月7日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出さ れた高原中央病院I医師作成の同年5月1日付け同健康診断証明書等によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴a 昭和31年4月~昭和36年頃丸井工業(被告下請)で、配管工、断熱材(石綿)巻付作業 b 同年6月~昭和60年頃株式会社日本冷熱(被告下請)で、配管工、断熱材(石綿)巻付作業 X線写真検査(平成25年4月10日撮影)粒状影1/1・p 胸部臨床検査 a 既往歴大腸がん(71歳)b 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+c 他覚所見副雑音+(両肺) 肺機能検査(第1次検査) F+合併症に関する検査 a 自覚症状せき、たん - 15 -b たん検査同月15日、同年5月1日とも6ml・P1ク原告A14(昭和●年●月●日生)(甲H2、乙H1) 原告A14は、昭和54年3月16日、管理2の決定を受けた。また、平成20年1月21日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同月29日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の 日、管理2の決定を受けた。また、平成20年1月21日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同月29日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された大浦診療所J医師作成の平成19年12月6日付け同健康診断証明書等によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴(乙H1・申立書)a 昭和43年12月~昭和44年4月大丸工業株式会社で、造船、 溶接工b 同月~昭和45年5月株式会社日本冷熱で、造船、溶接工c 同月~昭和55年11月林兼船渠株式会社で、造船、艤装係溶接工d 昭和59年6月~平成7年7月日章工業有限会社(被告長崎造船 所)で、溶接作業 X線写真検査(平成19年10月18日撮影)粒状影1/0・p 胸部臨床検査a じん肺の経過平成18年9月管理2、第1型、F+ b 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+、心悸亢進+c 他覚所見副雑音+(背側部) 合併症に関する検査a 自覚症状せき、たんb たん検査平成19年10月18日3ml・P3、同月25日5ml・ P3 - 16 -ケ原告A15(昭和●年●月●日生)(甲I1、2、乙I16) 原告A15は、平成27年3月2日、管理2の決定を受けた。また、平成28年3月22日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同月29日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出さ れた大浦診療所J医師作成の同年2月7日付け同健康診断証明書等によると、次の 、同月29日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出さ れた大浦診療所J医師作成の同年2月7日付け同健康診断証明書等によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴(乙I16・申立書)a 昭和44年10月~昭和54年1月菱工業で、電気溶接、グラインダー b 同年2月~平成3年4月久保水道設備で、配管c 同月~平成22年6月日進工業で、水道管敷設工事X線写真検査第1型(健康診断証明書上は記載なし)胸部臨床検査 a 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+b 喫煙歴 20本/日×45年(20~65歳)合併症に関する検査a 自覚症状せき、たんb たん検査平成28年1月6日、同月25日とも3ml・P2 コ原告A16(昭和●年●月●日生)(甲J1、2、乙J2~5) 原告A16は、昭和53年3月23日、管理2の決定を受け、平成21年1月29日、再度、管理2の決定を受けた。また、平成26年3月7日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同年4月22日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出さ - 17 -れた大浦診療所J医師作成の平成25年11月29日付け同健康診断証明書等によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴a 昭和40年11月~平成4年7月長崎木装で、保温防熱作業b 平成5年4月~平成16年5月菱陽商事で、保温防熱作業 X線写真検査(平成25年10月11日撮影)粒状影1/0・p、不整形陰影0/1胸部臨床検査自覚症状呼吸困難第 b 平成5年4月~平成16年5月菱陽商事で、保温防熱作業 X線写真検査(平成25年10月11日撮影)粒状影1/0・p、不整形陰影0/1胸部臨床検査自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+合併症に関する検査 a 自覚症状せき、たんb たん検査同月15日、同月22日とも3ml・P2サ原告A17(昭和●年●月●日生)(甲K3、乙K9) 原告A17は、平成6年12月22日、管理2の決定を受けた。また、平成23年12月7日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、 療養補償給付支給決定を)、同月14日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された高原中央病院I医師作成の同年10月11日付け同健康診断証明書によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴a 昭和41年5月~昭和51年3月有限会社宝和工業で、錆打ちb 同月~平成17年8月共栄工業株式会社で、錆打ちX線写真検査(平成23年9月27日撮影)粒状影1/1・p 胸部臨床検査 - 18 -a 既往歴高血圧症(65歳頃)c 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+d 他覚所見副雑音+(両肺)e 喫煙歴 20本/日×42年(20~62歳)肺機能検査(第1次検査) F++(じん肺による肺機能の著しい障害がある。)合併症に関する検査a 自覚症状せき、たんb たん検査同年10月4日18ml・P1、同月11日10ml・P1シ原告A18(昭和●年●月●日生)(甲L2、11、乙L14) 原告A18は、昭和55年3月17日、管理2の決定を受けた。また、 年10月4日18ml・P1、同月11日10ml・P1シ原告A18(昭和●年●月●日生)(甲L2、11、乙L14) 原告A18は、昭和55年3月17日、管理2の決定を受けた。また、平成21年3月19日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同月26日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された高原中央病院I医師作成の同年1月23日付け同健康診断証明書等 によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴(乙L14)a 昭和37年6月~昭和41年12月合資会社吉本協運(造船下請)で、電気溶接工b 昭和42年1月~平成12年1月株式会社日本冷熱で、電気溶接 工c 同年2月~平成14年3月株式会社日装で、電気溶接工d 同年4月~平成18年3月船舶メンテナンスで、電気溶接、ガス切断等艤装金物の改修作業X線写真検査(平成21年1月19日撮影) 粒状影2/2・p - 19 -胸部臨床検査a 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+b 他覚所見副雑音+(両側)肺機能検査(第1次検査) F+合併症に関する検査 a 自覚症状せき、たん、息切れb たん検査同月16日10ml・P1、同月23日6ml・P1ス亡E(昭和●年●月●日生)(甲M1、4、乙M1、2) 亡Eは、平成27年12月22日、管理2の決定を受けた。また、同日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、平成28年2月1 8日、療養補償給付支給決定及び休業補償給付支給決定を受けた。 上記管理区分決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された 支炎により療養を要すると認められ、平成28年2月1 8日、療養補償給付支給決定及び休業補償給付支給決定を受けた。 上記管理区分決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された高原中央病院I医師作成の平成27年10月29日付け同健康診断証明書等によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴 a 昭和45年5月~昭和48年12月松石電設工業で、船内での電装工b 同月~昭和54年11月林兼造船株式会社で、電装工c 昭和55年1月~平成6年10月松石電設工業で、電装工X線写真検査(平成27年10月15日撮影) 健康診断証明書上は不整形陰影2/2であったが、地方労災医院医師により、同日撮影のX線写真及び胸部CTから、第1型(不整形陰影1/0)と認定。 胸部臨床検査a 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+ b 他覚所見副雑音+(両側) - 20 -e 喫煙歴 15本/日×40年(20~60歳)肺機能検査(第1次検査)健康診断証明書上は、F++であったが、管理区分決定では認定されていない。 合併症に関する検査 a 自覚症状せき、たん、息切れb たん検査同月22日、29日とも6ml・P1セ亡F(昭和●年●月●日生)(甲N8、9、17、乙N1、14) 亡Fは、平成7年8月28日、管理2の決定を受けた。また、平成20年7月18日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養 補償給付支給決定を、同年9月1日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された大浦診療所J医師作成の同年5月29日付け同健康診断証明書等によると、次のないしのとおり 休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された大浦診療所J医師作成の同年5月29日付け同健康診断証明書等によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴(乙N14・申立書) a 昭和36年11月~昭和41年7月大丸工業で、ガス切断b 同月~昭和44年6月興洋工業で、ガス切断c 昭和47年11月~昭和50年10月小柳組で、ガス切断d その後(時期不明)、平成14年12月まで興洋工業で、ガス切断等 X線写真検査健康診断証明書上は記載なし(労働安全衛生法67条1項、同規則53条所定の健康管理手帳記載の上記直近の平成19年11月14日のX線検査は第1型〔甲N5〕)。 胸部臨床検査 a じん肺の経過平成10年、平成15年7月、管理2 - 21 -b 自覚症状呼吸困難第Ⅱ度、せき+、たん+、心悸亢進+c 他覚所見副雑音+(背側部)合併症に関する検査a 自覚症状せき、たんb たん検査平成20年4月23日、同月30日とも10ml・P3 亡Fは、平成●年●月●日、死亡した。死亡診断書(甲N7)によると、直接死因はニューモシスチス肺炎、その原因は肺がん、その原因はじん肺であり、同年9月3日、長崎労働基準監督署長により、主治医の肺がんの存在により免疫力が低下していたため、ニューモシスチス肺炎により死亡した旨の所見等を踏まえて、じん肺症(じん肺合併症)が増 悪し、相対的に有力な原因となって死亡したと認められるとして、業務上の事由による死亡と認定され、Gは、同月11日、遺族補償年金支給決定を受けた。 ソ原告A23(昭和●年●月●日生)(甲O2、8、乙O4) 原告A2 なって死亡したと認められるとして、業務上の事由による死亡と認定され、Gは、同月11日、遺族補償年金支給決定を受けた。 ソ原告A23(昭和●年●月●日生)(甲O2、8、乙O4) 原告A23は、平成23年8月30日、管理2の決定を受けた。また、 同日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、同年11月17日、療養補償給付支給決定を、同年9月30日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記管理区分決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された大浦診療所K医師作成の同年7月26日付け同健康診断証明書等 によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴(乙O4、5)a 昭和37年1月~同年2月崎陽工業で、タービン翼の仕上げ作業b 同年3月~昭和41年5月吉本協運で、タービンブレードの仕上げ c 昭和42年5月~昭和49年2月丸菱商会で、船体ブロックの電 - 22 -気溶接作業d 同年3月~昭和50年12月長崎鋼業所で、船体ブロックの電気溶接e 昭和55年5月~昭和57年4月長田工業株式会社で、タービンブレードの仕上げ作業 X線写真検査(平成23年5月27日撮影)粒状影1/0・p胸部臨床検査a 既往歴心臓疾患(78歳)b 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+、心悸亢進+ 合併症に関する検査たん検査同年6月3日6ml・P2タ原告A24(昭和●年●月●日生)(甲P4、乙P1) 原告A24は、平成7年8月28日、管理2の決定を受け、平成18年10月4日、再度、管理2の決定を受けた。また、平成28年11月 16日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同 7年8月28日、管理2の決定を受け、平成18年10月4日、再度、管理2の決定を受けた。また、平成28年11月 16日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同年12月16日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された高原中央病院I医師作成の平成28年7月29日付け同健康診断証明書によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴a 昭和38年3月~昭和64年1月早瀬鉄工所で、溶接、ガス切断、グラインダーb 平成6年11月~平成8年8月港栄船舶で、ガス切断、グラインダー c 同年9月~平成12年2月小浜総業(洲崎工業)で、ガス切断、 - 23 -グラインダーd 平成13年2月~平成18年8月一ノ瀬商会(長田工業)で、ガス切断、グラインダーe 同年9月~平成21年9月松尾鉄工所で、溶接、組立てX線写真検査(平成28年7月15日撮影) 粒状影1/1・p胸部臨床検査a 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+b 他覚所見副雑音+(両肺)c 喫煙歴 10本/日×55年(18~73歳) 肺機能検査(第1次検査) F+合併症に関する検査a 自覚症状せき、たん、息切れb たん検査同月22日、同月29日とも6ml・P1チ亡H(大正●年●月●日生)(甲Q5、乙Q13) 亡Hは、昭和60年6月6日、管理2の決定を受けた。また、平成28年1月13日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定及び休業補償給付支給決定を受けた。 上記管理区分決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された大浦診 年1月13日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定及び休業補償給付支給決定を受けた。 上記管理区分決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された大浦診療所J医師作成の平成27年10月4日付け同健康診断証 明書等によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴(甲Q9・申立書等)a 昭和41年7月~昭和50年12月日電で、船内照明取付けb 昭和51年11月~昭和53年10月、昭和57年11月~昭和61年3月長崎木装で、防熱作業 X線写真検査(平成27年9月16日撮影) - 24 -粒状影1/0・p、不整形陰影1/0胸部臨床検査自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+合併症に関する検査a 自覚症状せき、たん b たん検査同月18日3ml・P1、同月25日4ml・P2ツ原告A30(昭和9年2月10日)(甲S2、乙S1、2) 原告A30は、昭和58年4月30日、管理2の決定を受けた。また、平成28年7月22日、続発性気管支炎により療養を要すると認められ、療養補償給付支給決定を、同月27日、休業補償給付支給決定を受けた。 上記各支給決定の際のじん肺健康診断の結果の概要は、その際提出された大浦診療所J医師作成の平成28年6月3日付け同健康診断証明書等によると、次のないしのとおりである。 粉じん作業職歴(乙S2・申立書)a 昭和29年4月~昭和42年1月長崎木装有限会社で、石綿防熱 作業b 昭和45年2月~昭和47年6月向井組で、石綿防熱作業c 同月~平成2年11月長崎船舶装備株式会社で、石綿防熱作業X線写真検査(平成28年5月10日撮影)粒状影1/0・p 作業b 昭和45年2月~昭和47年6月向井組で、石綿防熱作業c 同月~平成2年11月長崎船舶装備株式会社で、石綿防熱作業X線写真検査(平成28年5月10日撮影)粒状影1/0・p、不整形陰影1/0 胸部臨床検査a 自覚症状呼吸困難第Ⅲ度、せき+、たん+、心悸亢進+b 他覚所見副雑音+(背側部)合併症に関する検査a 自覚症状せき、たん b たん検査同月11日5ml・P2、同月18日5ml・P1 - 25 -⑷ 本訴の提起(顕著な事実)第1事件は平成28年4月7日、第2事件は同年7月19日、第3事件は同年8月25日、第4事件は平成29年6月8日に、それぞれ提起された。 第3 争点等 1 争点(本案) ⑴ じん肺罹患の有無(亡Cを除く本件労働者ら。以下「本件労働者ら17名」という。)⑵ 続発性気管支炎罹患の有無(本件労働者ら17名)⑶ 長崎造船所における就労との因果関係⑷ 安全配慮義務違反の有無 ⑸ 過失相殺の可否⑹ 損害額⑺ 消滅時効の成否 2 本案前の抗弁について⑴ 原告A1の訴訟委任の有効性について ア原告A1について、平成28年3月30日付け訴訟委任状が提出されているところ、被告は、原告A1が、同日時点において、認知症のため訴訟委任能力を欠き、訴訟委任が無効である旨主張する。 原告A1が、認知症の既往症を有していたことは認められるが、同年1月20日ないし同年2月4日及び同年3月25日ないし同月28日に高原 中央病院に入院した際の診療記録上、常時、意思能力を欠く程度に重度であったとは認められず(甲A5、6)、上記訴訟委任状作成時において、原告A1が訴訟委任能力を欠いていたことを認め 8日に高原 中央病院に入院した際の診療記録上、常時、意思能力を欠く程度に重度であったとは認められず(甲A5、6)、上記訴訟委任状作成時において、原告A1が訴訟委任能力を欠いていたことを認めるに足りる証拠はない。 イ被告は、上記訴訟委任状の原告A1の署名の筆跡が上記診療記録中の同人の署名の筆跡(甲A5・6、31頁、甲A6・6頁)と異なり、原告A 1が署名したものではないから、訴訟委任が無効である旨主張する。 - 26 -しかし、上記各筆跡と原告A1の陳述録取書(甲A7、8)の署名の筆跡は同一と認められ、原告A1の陳述録取書の押印の陰影と訴訟委任状の押印の陰影は同一と認められるから、同訴訟委任状は、原告A1の意思に基づくものと推認され(民事訴訟法228条4項)、これを覆すに足りる特段の事情は認められない。 ウしたがって、原告A1の訴訟委任は有効であると認められ、被告の主張は理由がない。 ⑵ 亡Hの訴訟委任の有効性についてなお、被告は、亡Hが、訴訟委任当時、認知症により意思能力を欠き、訴訟委任は無効である旨主張していたが、原告番号17の各原告が訴訟承継し、 従前の訴訟代理人による訴訟行為を追認したことが明らかであるから、亡Hの訴訟委任の有効性は、本案前の抗弁として問題とならない。 第4 争点に関する当事者の主張 1 争点⑴(じん肺罹患の有無)⑴ 管理区分決定によるじん肺罹患の推認の可否 (原告らの主張)じん肺管理区分は、主治医等によるじん肺健康診断(①粉じん作業歴の調査、②胸部X線直接撮影検査、③胸部臨床検査、④肺機能検査、⑤合併症に関する検査)の結果、じん肺に罹患していると判断された場合に申請され、複数名の地方じん肺診査医による合議を踏まえて決定される。じん肺 、②胸部X線直接撮影検査、③胸部臨床検査、④肺機能検査、⑤合併症に関する検査)の結果、じん肺に罹患していると判断された場合に申請され、複数名の地方じん肺診査医による合議を踏まえて決定される。じん肺健康診 断の診断手順は、じん肺診査ハンドブック(甲1)に則って行われ、②のX線検査は、標準X線写真を基準として行われ、画一性が保たれている。このように、じん肺管理区分は二重の医学的審査を経て決定される上、地方じん肺診査医はじん肺に関する相当の学識経験を有する医師のうちから任命されることからすれば、その医学的審査を踏まえて決定されたじん肺管理区分決 定の医学的信頼性は極めて高いといえる。 - 27 -したがって、管理2以上のじん肺管理区分決定を受けた者については、当該管理区分に相当する程度のじん肺に罹患していることが強く推認される。 (被告の主張)次のとおり、管理2のじん肺管理区分決定を受けたことから推認することができるのは、X線写真上、第1型の陰影が認められたという事実にとどま り、じん肺罹患の事実まで推認することはできない。 アじん肺管理区分の決定手続上、管理1と管理2の区分は、粉じん作業職歴があることを前提に、X線写真検査により、標準X線フィルムと比較して同等の陰影があるか否かにより機械的に判定される。 イ単純X線写真は、立体的な身体の状態を一枚の平面に投影し、背側から 腹側までの様々な組織の重なり像を示すものであるため、陰影から肺野の病変を鑑別することは困難な場合があり、CT画像による診断と比べて、診断精度が劣る。また、基準となる標準X線フィルムには昭和53年版と平成23年版があるところ、前者は経年のため劣化し、後者は各型のフィルムが2枚以下で、男性の画像しかなく、個人差も考慮して的 べて、診断精度が劣る。また、基準となる標準X線フィルムには昭和53年版と平成23年版があるところ、前者は経年のため劣化し、後者は各型のフィルムが2枚以下で、男性の画像しかなく、個人差も考慮して的確に判断す ることは困難であり、X線写真検査により判定するには限界がある。 ウじん肺は、粉じん吸入により肺に繊維増殖性変化(線維化)が生じる疾病であるところ、管理1と管理2の区分は、X線写真検査により、標準X線フィルムと同等の陰影の有無により判定され、その原因の鑑別を要しないため、当該陰影は他の原因により生じた可能性がある。上記イのとおり、 単純X線写真による判定には限界があり、他の疾患による可能性や、肺気腫、陳旧性病変、加齢・肥満、胸膜プラーク、血管影、喫煙の影響等により粒状影や不整形陰影のように見えている可能性がある。 エ肺の線維化は、自然治癒せず、治療方法も存在しないため、不可逆性変化であり、本件で問題となり得る溶接工肺や石綿肺による繊維化は、大量 の粉じんに曝露した直後を除けば、緩徐に進行する。そのため、時間の経 - 28 -過により陰影が消失した場合や、陰影が突然現れたり、急激に拡大した場合は、じん肺によるものではないことの根拠となるが、じん肺管理区分の決定手続において、陰影の経時的変化の確認は求められていない。 また、溶接工肺や石綿肺の場合、大量の粉じん曝露により線維化が生じ、粉じん曝露量や潜伏期間を考慮することにより、じん肺と矛盾する症例を 除外することができるが、じん肺管理区分の決定手続において、粉じんの曝露量や潜伏期間も考慮されていない。 ⑵ CT等による反証の可否(被告の主張)ア CTの画像所見 CT画像は、一定のスライス厚を有する断層像を平面に表示したも いて、粉じんの曝露量や潜伏期間も考慮されていない。 ⑵ CT等による反証の可否(被告の主張)ア CTの画像所見 CT画像は、一定のスライス厚を有する断層像を平面に表示したもので、肺内の変化が重なり合うことはなく、陰影が生じている箇所を三次元的に特定することが可能である上、解像度や濃度分解能が高く、陰影の形状・大きさを正確に把握することができるため、単純X線写真より、診断精度が高い。 じん肺管理区分の決定手続において、CTが利用されていないのは、じん肺健康診断が、確定診断ではなく、粉じん作業従事者全員を対象としたスクリーニング、サーベイランスにより健康管理を行うことを目的とするものであり、これに適した単純X線写真により、判定することとしたためにすぎず、じん肺罹患の診断における単純X線写真の優位性を 示すものではない。 単純X線写真の診断精度の問題から、じん肺健康診断におけるCTの導入が検討されており、「じん肺の診断基準及び手法に関する調査研究」(平成26年度~28年度、甲106、乙173)、「じん肺エックス線写真による診断精度向上に関する研究」(平成29年度~令和元年度、 乙174、254)、「モニターを用いたじん肺画像診断に関する研究」 - 29 -(同年度~令和2年度、乙448、503)といった最新の研究結果からも、CTの有用性は明らかである。 したがって、じん肺罹患の有無は、CT画像の所見により認定されるべきであり、管理区分決定により、じん肺の罹患が推認されるとしても、これにより反証することができる。 イその他の反証方法等じん肺管理区分決定により、じん肺の罹患が推認されるとしても、上記⑴(被告の主張)エのとおり、同決定手続において、陰影の経 も、これにより反証することができる。 イその他の反証方法等じん肺管理区分決定により、じん肺の罹患が推認されるとしても、上記⑴(被告の主張)エのとおり、同決定手続において、陰影の経時的変化や粉じんの曝露量、潜伏期間は考慮されておらず、これらが粉じん作業職歴より想定されるじん肺の特徴と整合しない場合にも、上記推認は覆される。 (原告らの主張)次のとおり、CT画像所見は、管理区分決定による推認を覆す根拠となるものではない。 ア単純X線写真は被写体の体内をそのまま映し出すのに対し、CTは被写体の体内をコンピュータ処理して一定の厚みに圧縮したものを映し出すも ので、両者は原理が異なり、検査目的により使い分けられているのが実情であり、CTの方が診断精度が高いと位置付けられるものではない。 イ CTによるじん肺の判定は、平成22年頃から本格的な検証が始まったばかりで、研究、治験の蓄積が浅く、撮影条件(スライス厚、ウインドウ幅・レベル)や読影基準が確立されておらず、定量的評価ができないため、 恣意的な読影のおそれがある。 ウ CT画像所見の精度には限界があり、CT画像所見上、じん肺罹患が否定された者について、病理解剖の結果、じん肺所見が確認された例がある。 エじん肺法は、じん肺罹患の有無をX線画像により認定する旨規定しており、平成28年3月14日付け厚生労働省労働基準局長通達(基発031 4第4号、甲111)においても、じん肺所見はX線写真により判断すべ - 30 -きものとされ、CT写真は参考として提出されるにとどまる。被告主張の最新の研究結果においても、検討課題の提示にとどまり、CTによる診断基準を提示するには至らず、CTの優位性が確認されたとはいえない。 ⑶ 各論(本件労働者ら1 として提出されるにとどまる。被告主張の最新の研究結果においても、検討課題の提示にとどまり、CTによる診断基準を提示するには至らず、CTの優位性が確認されたとはいえない。 ⑶ 各論(本件労働者ら17名)(原告らの主張) ア本件労働者ら17名は、別紙4主張整理表(以下「主張整理表」という。 左欄が原告らの主張であり、右欄が被告の主張である。)「①被災状況、管理区分等に関する事情」(以下「主張整理表①」という。)、「管理区分等」欄記載のとおり、管理2の管理区分決定を受けているから、管理2に相当する程度のじん肺に罹患していることが強く推認される。 本件労働者ら17名が曝露した粉じん、じん肺の種類及びその根拠については、主張整理表①「じん肺の種類」欄記載のとおりである。なお、本件労働者ら17名は、長崎造船所において、種々の粉じんに曝露し、典型的な所見を示すとは限らないから、同欄にチェックしていない場合にも、当該粉じんに曝露したことを否定する趣旨ではない。 イ被告は、本件労働者ら17名のじん肺罹患の有無について、後記被告協力医の意見書(乙54~56、412)に基づき主張するが、日本医師会認定産業医等の資格を有し、職業性呼吸器疾患を専門とするL医師の意見書(甲203)記載の読影結果や、管理区分決定等の際の主治医等や地方じん肺診査医の読影結果等に反するものであり、信用することはできない。 L医師の読影結果は、別紙5記載のとおり、主治医等の読影結果や管理区分決定と整合するものであり、信用性が高い。 ウそのほか、本件労働者ら17名がじん肺に罹患していることは、後記別紙7の「原告準備書面(33)で原告らが引用するCT所見」及び「原告の主張」欄に記載するとおりである。 (被告の主張) - 31 - 労働者ら17名がじん肺に罹患していることは、後記別紙7の「原告準備書面(33)で原告らが引用するCT所見」及び「原告の主張」欄に記載するとおりである。 (被告の主張) - 31 -ア本件労働者ら17名のじん肺罹患について、主張整理表①「じん肺の種類」欄記載のとおり、原告A15以外がじん肺に罹患した事実は認められない。同原告については、同欄記載のとおり、珪肺(遊離珪酸粉じん)に罹患したことは認められるが、後記のとおり、長崎造船所における粉じん曝露との因果関係が認められない。 イ上記アの根拠について、M医師、N医師、O医師及びP医師(以下「被告協力医」という。)作成の意見書(乙54~56、412)によると、本件労働者ら17名の所見は、別紙6「原告らのCT画像についての被告が依頼した専門医4名の所見」のとおりである。被告協力医は、いずれも長年地方じん肺審査医を務め、それぞれ、じん肺や石綿関連疾患に関する 豊富な診察・研究実績と高度の専門知識を有する専門医であり、上記意見書は、読影に適した最新のCT画像とX線写真とを、個別に読影し検討した上、その結果を持ち寄り全員で検討会を実施し、再度検討して、診断結果をまとめたもので、高度の信用性を有する。 他方、L医師の意見書は、経時的変化の検討をしていないこと、X線写 真上の位置とCT上の位置が比較できないこと、胸部CT読影の基本的知識の説明に誤りがあり、CT読影に必要な知見が欠如していること、L氏が指摘する粒状影は、ほとんどが血管影であること、石綿に曝露していない原告A23について胸膜プラークが認められるとの所見を示していること等の諸点に照らし、信用性がない。 ウまた、原告は、別紙7「CT所見に関する原告準備書面(33)に対する反論」の「原 い原告A23について胸膜プラークが認められるとの所見を示していること等の諸点に照らし、信用性がない。 ウまた、原告は、別紙7「CT所見に関する原告準備書面(33)に対する反論」の「原告準備書面(33)で原告らが引用するCT所見」及び「原告の主張」欄記載のとおり主張するが、これに対する被告の反論は、同「被告反論」欄記載のとおりである。 2 争点⑵(続発性気管支炎罹患の有無) (原告らの主張) - 32 -⑴ 労災保険給付支給決定による推認続発性気管支炎は、じん肺法2条1項2号、2項、同施行規則1条3号により定められた法定の合併症であり、じん肺診査ハンドブックの診断基準に即して、主治医が診断し、労働基準監督署長が厳格な審査を行い認定し、その際、地方じん肺診査医の意見を求めるのが通常であり、その信頼性は高い。 したがって、続発性気管支炎について、労災保険給付の支給決定を受けた者は、続発性気管支炎に罹患していたと推認される。 ⑵ 本件労働者ら17名についてア本件労働者ら17名は、続発性気管支炎により労災保険給付の支給決定を受け、そのうち原告については、別紙8記載のとおり、最新のじん肺健 康診断結果証明書においても、続発性気管支炎に罹患していると診断されており、続発性気管支炎が治癒してはいない。また、被告は、抗菌薬が投与されていない旨主張するが、続発性気管支炎の治療方法として、抗菌薬の投与は必須ではない。 イ後記(被告の主張)⑵ウないしカは、時機に後れた攻撃防御方法として 却下すべきである。 原告A12について、被告は、口腔常在菌しか検出されていない旨主張するが、別紙8記載のとおり大腸菌が検出されており、続発性気管支炎に罹患していることを裏付ける 却下すべきである。 原告A12について、被告は、口腔常在菌しか検出されていない旨主張するが、別紙8記載のとおり大腸菌が検出されており、続発性気管支炎に罹患していることを裏付けるものである。 (被告の主張) ⑴ 労災保険給付支給決定による推認について続発性気管支炎は、じん肺による気道の慢性炎症に細菌感染が加わった病態であるが、続発性気管支炎の診断基準として、細菌検査は要件とされず、たんの量、性状により診断され、診断医の診断結果を第三者が検証することはできない。このように続発性気管支炎の労災認定には制度上の限界があり、 客観的信頼性を欠くから、労災保険給付支給決定により、続発性気管支炎に - 33 -罹患したと推認することはできない。 ⑵ 本件労働者ら17名についてア続発性気管支炎は、細菌感染が加わった病態であるが、本件労働者ら17名については、診療記録上、抗菌薬が投与されたことは確認できない。 また、続発性気管支炎は可逆性であるが、本件労働者ら17名について、 続発性気管支炎の状態が継続していることの立証はない。 イ高原中央病院及び大浦診療所における続発性気管支炎診断の問題点本件労働者ら17名は、高原中央病院又は大浦診療所において続発性気管支炎との診断を受けたが、次のとおり、同診断は不適切である。その他、個別の問題点については、次のウないしカのとおりである。 別紙9「高原中央病院及び大浦診療所における労災認定にかかる診断状況」のとおり、高原中央病院及び大浦診療所は、本件労働者ら17名につき、3か月以上せき、たんが持続することを確認することなく、続発性気管支炎と診断した。 高原中央病院及び大浦診療所において、続発性気管支炎の 央病院及び大浦診療所は、本件労働者ら17名につき、3か月以上せき、たんが持続することを確認することなく、続発性気管支炎と診断した。 高原中央病院及び大浦診療所において、続発性気管支炎の診断対象と なった検体に対する細菌検査を実施した結果等は、別紙9の「外部検査機関による検査結果」欄記載のとおりである。 高原中央病院における喀痰細胞診検査・細菌検査の結果続発性気管支炎の診断対象となった検体に対する喀痰細胞診検査の結果、原告A1、原告A13について、検体が唾液であることが、原告A 5、亡Eについて、検体が唾液又は鼻水であることが確認されており、膿性痰ではなかったことが明らかである。また、亡D、原告A17、原告A18、原告A24について、細菌検査の結果、口腔常在菌又は鼻咽頭粘膜の常在菌しか確認されず、気道が細菌感染しておらず、膿性痰ではない。 大浦診療所における喀痰細胞診検査・細菌検査の結果 - 34 -大浦診療所では、続発性気管支炎と診断した検体について、喀痰細胞診検査を行っていないが、原告A14について、別の機会にP2痰と評価した検体の細菌検査を行った結果、口腔内常在菌しか同定されず、膿性痰ではなかった。原告A2、原告A12、原告A15、原告A16、亡Hについて、別の機会に行った喀痰細胞診検査の結果、検体は不適正 であった。また、細菌検査の結果、原告A2、原告A12、原告A15について、常在菌が同定されただけで、膿性痰ではなかったことなどからすると、大浦診療所は、痰の正常を正確に診断する能力を有していなかった。 ウ原告A1について 原告A1は、平成21年2月23日、高原中央病院を始めて受診した。 I医師は、原告A1の主治 診療所は、痰の正常を正確に診断する能力を有していなかった。 ウ原告A1について 原告A1は、平成21年2月23日、高原中央病院を始めて受診した。 I医師は、原告A1の主治医ではなかったが、3か月以上連続するせき、たんの状態について、前医から診療情報の提供を受けることも、自身で3か月以上経過観察することもなく、同年3月10日付けで続発性気管支炎と診断した。 原告A1は、高原中央病院に、同月2日及び同月9日、喀痰の検体を提出し、I医師は7ml・P1、5ml・P1と診断した。高原中央病院は、前者の検体について、喀痰細胞診検査を依頼したが、同検体は、唾液のみで喀痰がとれておらず、不適であった。以降、令和2年1月までの間に、高原中央病院の依頼で、原告A1が提出した検体について、上記喀 痰細胞診検査を含め13回の喀痰細胞診検査が行われ、うち12回について検体として不適又は不適正であったが、I医師は、これらをP1の濃性痰と診断した。また、うち8回について、同じ検体で、一般細菌・真菌検査が行われたが、検出されたのは、ほとんどが口腔常在菌であり、検体が唾液であったことが判明した。 上記諸事情によれば、I医師による続発性気管支炎との診断は信用で - 35 -きない。特に上記は明らかな誤診で、I医師の診断能力、誠実性にも影響するものであり、I医師による他の本件労働者らの診断についても信用できない。 エ亡Dについて 亡Dは、平成26年10月14日、高原中央病院を始めて受診したが、 I医師は、上記ウと同様、同月29日付けで続発性気管支炎と診断した。 亡Dは、同月21日、高原中央病院に喀痰の検体を提出し、I医師は10ml・P1と診断した。高原中央 診したが、 I医師は、上記ウと同様、同月29日付けで続発性気管支炎と診断した。 亡Dは、同月21日、高原中央病院に喀痰の検体を提出し、I医師は10ml・P1と診断した。高原中央病院は、同検体について、一般細菌・真菌検査を依頼したが、その結果は、口腔常在菌のみで、抗酸菌培養 検査の結果も陰性であり、同検体は唾液であったと考えられるから、上記診断は誤りである。 オ原告A12について 原告A12は、平成27年8月21日、大浦診療所を始めて受診した。 J医師は、原告A12の主治医ではなかったが、3か月以上連続するせ き、たんの状態について、前医から診療情報の提供を受けることも、詳細に問診し、その原因を慎重に検討することもなく、同年9月6日付けで続発性気管支炎と診断した。 原告A12は、大浦診療所に、同年8月25日及び同年9月2日、喀痰の検体を提出し、J医師は、いずれも10ml・P3と診断した。大浦 診療所は、同検体について、一般細菌・真菌検査を依頼したが、その結果は、口腔常在菌のみで、同検体は唾液であったと考えられ、細菌感染した状態にはなかったから、上記診断は明らかに誤りである。 原告A12は、同年12月16日、済生会長崎病院において、じん肺健康診断を受診したが、その際実施された喀痰検査は、B判定(現在異 常を認めない)であり、合併症の欄も空欄であった。 - 36 - また、J医師は、続発性気管支炎と診断したが、その後、原告A12に対し、対処療法である去痰剤等を処方するのみで、抗菌薬の処方をしていない。 上記諸事情によれば、J医師による続発性気管支炎との診断は信用できない。上記諸点はJ医師の診断能力、誠実性にも影響するものであり、 去痰剤等を処方するのみで、抗菌薬の処方をしていない。 上記諸事情によれば、J医師による続発性気管支炎との診断は信用できない。上記諸点はJ医師の診断能力、誠実性にも影響するものであり、 J医師による他の本件労働者らの診断についても信用できない。 カ原告A23について 原告A23は、平成22年11月2日、じん肺・続発性気管支炎による労災補償申請と心疾患治療の転院を希望して、大浦診療所を初めて受診したが、平成23年7月14日までの間、じん肺に関する診断、治療 は行われず、せき、たんの症状も診療記録に記載されていなかった。 原告A23は、同年5月13日、じん肺の労災補償申請を希望し、それまで、じん肺健康診断は実施されていなかったが、看護師が、医師に対する確認事項として、申請準備をしていいか尋ねた。同日まで、診察医ははT医師であり、せき、たんについて診療記録上記載がなく、同症 状の治療もされていなかったが、K医師は、同年7月26日付けでじん肺健康診断結果証明書を作成し、通年性のせき、たんがあると記載した。 原告A23は、同年6月3日、喀痰の検体を提出し、K医師は、6ml・P2と診断した。K医師は、じん肺健康診断結果証明書に「培養にてグラム陽性球菌(++)」と記載し、同検体について、一般細菌検査が 実施されているが、同検査において同定されたのは口腔常在菌であり、細菌感染していなかったことを示すものである。また、その後、原告が平成24年8月10日に受診したじん肺健康診断では、提出した検体が検体不良(唾液成分のみ)と判定され、平成25年1月21日に大浦診療所に提出した検体も口腔内成分のみであり不適正と判定されている ことからすると、平成23年6月3日提出の検体も適正な検 検体が検体不良(唾液成分のみ)と判定され、平成25年1月21日に大浦診療所に提出した検体も口腔内成分のみであり不適正と判定されている ことからすると、平成23年6月3日提出の検体も適正な検体であった - 37 -とは認められない。 3 争点3(長崎造船所における就労との因果関係)(原告らの主張)⑴ 長崎造船所における粉じん作業造船所における粉じん作業には、溶接作業やこれに付随するグラインダー 作業、ガウジング作業、ガス切断作業、錆削りのためのサンダー掛け作業、石綿を含有する防熱剤を配管や隔壁に使用する防熱作業など種々のものがあり、長崎造船所においても、これらの作業により、大量に粉じんが発生した。 そのことは、次の諸事情からも明らかである。 ア長崎造船所のじん肺有所見者 平成元年度粉じん作業従事者2822人、転職者60人、合計2882人のうち、管理2が198人、管理3イが11人、合計209人、有所見率7.25% 平成2年度粉じん作業従事者2797人のうち、管理2が229人、管理3イが9人、合計238人、有所見者率8.5% 平成4年度粉じん作業従事者2652人、転職者93人、合計2745人のうち、管理2が286人、管理3が7人、合計293人、有所見率10.7%イ石綿労災認定厚生労働省公表の資料(甲100)によると、平成17年度ないし平成 28年度の長崎造船所におけるアスベスト関連疾患の労災保険法支給決定件数及び石綿救済法支給決定件数は、本工だけで、肺がん122件(死亡24件)、中皮腫62件(同12件)、石綿肺5件(同0件)(平成23年度ないし平成28年度)、その他9件(同3件)、合計198件(同39件)であり、全国 決定件数は、本工だけで、肺がん122件(死亡24件)、中皮腫62件(同12件)、石綿肺5件(同0件)(平成23年度ないし平成28年度)、その他9件(同3件)、合計198件(同39件)であり、全国の事業所の中で最も多い。 ウ粉じん測定結果 - 38 -長崎造船所において昭和24年度ないし昭和55年度に実施された粉じん測定結果のうち、原告らに関係する作業又は作業場において、昭和29年に労働省珪肺対策審議会内に設置された粉塵恕限度専門部会の基準案で示された粉じん恕限度1000個/cc 又は昭和40年に日本産業衛生学会が勧告した許容濃度(石綿粉じんmg/㎥、酸化鉄粉じん5mg/㎥)を 上回るものは、別紙10「被告長崎造船所構内粉じん測定結果一覧」記載のとおりであった。 ⑵ 本件労働者ら17名の粉じん曝露ア長崎造船所における粉じん作業本件労働者ら17名の長崎造船所における就業状況等は、主張整理表 「②被告会社作業所における就業状況等に関する事情」(以下「主張整理表②」という。)に記載のとおりであり、長崎造船所において、粉じん作業に従事し、粉じんに曝露したことにより、本件労働者ら17名はじん肺及び続発性気管支炎に罹患した。 イ他の粉じん作業職歴がある場合について 本件労働者ら17名の長崎造船所以外での粉じん作業職歴に関する事情は、主張整理表「③他社作業所における就業状況等に関する事情」(以下「主張整理表③」という。)に記載のとおりである。 本件労働者ら17名は、いずれも長崎造船所における粉じん作業職歴が5年を超えており、各症状を惹起させるに足りる粉じんに曝露したと評価 し得るから、長崎造船所以外での粉じん作業職歴を有し、粉じんに曝露したこと 名は、いずれも長崎造船所における粉じん作業職歴が5年を超えており、各症状を惹起させるに足りる粉じんに曝露したと評価 し得るから、長崎造船所以外での粉じん作業職歴を有し、粉じんに曝露したことにより、各症状に一定の影響を与えた可能性があるとしても、被告は、民法719条1項後段により、その損害の全部について責任を負う。 ⑶ 亡Cの肺がんと長崎造船所における就労との因果関係ア亡Cの長崎造船所における粉じん作業職歴は、主張整理表②記載のとお りであり、同粉じん作業によりじん肺に罹患した。長崎造船所以外の粉じ - 39 -ん作業職歴については、主張整理表③記載のとおりである。 イ前提事実⑶ウのとおり、亡Cは、平成27年10月13日、原発性肺がんについて、労災認定を受け、令和2年1月21日、業務上の事由による死亡として、遺族給付の支給決定がされた。上記労災認定に際し、石綿小体濃度が5604本/g(乾燥肺)であったこと、石綿作業の通算曝露期 間が24年7か月であったことから、原発性肺がんと認定されている。 ウ上記石綿ばく露期間のうち長崎造船所における期間が昭和55年3月から平成12年9月まで20年6か月であったこと、そのほか主張整理表①記載の諸事情によれば、亡Cの長崎造船所における粉じん作業と肺がん及び死亡との相当因果関係が認められる。 ⑷ 亡Fの肺がんと長崎造船所における就労との因果関係ア前提事実⑶セのとおり、亡Fは、原発性肺がんに起因するニューモシスチス肺炎による死亡について、業務上の事由による死亡として、遺族補償年金給付支給決定がされた。 イ長崎亡Fについて、長崎大学大学院医師薬学総合研究科原研病理学教室 教授・Q医師により、病理解剖が実施され、その病理組織標本の 由による死亡として、遺族補償年金給付支給決定がされた。 イ長崎亡Fについて、長崎大学大学院医師薬学総合研究科原研病理学教室 教授・Q医師により、病理解剖が実施され、その病理組織標本の石綿小体を計測した結果、石綿小体濃度は7246本/g(乾燥肺)であった。 ウ上記諸事情のほか、主張整理表①記載の諸事情及び同②記載の長崎造船所における粉じん作業職歴によれば、亡Fの長崎造船所における粉じん作業と肺がん及び死亡との相当因果関係が認められる。 (被告の主張)⑴ 長崎造船所における粉じん作業について次のとおり、長崎造船所が大量の粉じんが発生する作業環境であったとはいえない。 ア長崎造船所のじん肺有所見者について 原告主張のじん肺有所見者率は、ある年の管理1ないし3の人数を分母 - 40 -とし、過去の粉じん作業従事者で管理2と認定された者も加算した管理2以上の者を分子として算出したもので、全粉じん作業従事者に対するじん肺有所見者の割合を的確に反映していない。分母についても、過去の粉じん作業従事者を含む累計粉じん作業従事者として算出するのが適切であり、その場合、じん肺有所見者率は原告主張よりも相当程度少なくなる。 イ石綿労災認定について原告は、長崎造船所における労災保険法支給決定件数及び石綿救済法支給決定件数が全国の事業所の中で最も多いと主張するが、事業所の規模、操業年数、累積粉じん作業者数、支給決定を受けた労働者の職種、職歴等の諸条件は考慮されておらず、支給決定件数のみで比較しても意味がない。 ウ粉じん測定結果について原告主張の恕限度は珪肺予防のための遊離珪酸粉じんを対象とするものであるが、長崎造船所内で遊離珪酸粉じんが発生 決定件数のみで比較しても意味がない。 ウ粉じん測定結果について原告主張の恕限度は珪肺予防のための遊離珪酸粉じんを対象とするものであるが、長崎造船所内で遊離珪酸粉じんが発生する作業は限られるため、長崎造船所内における測定結果と比較することはできない。また、原告主張の許容濃度は、1日8時間の大半を粉じん作業に従事する労働者が連日 曝露した場合の許容限度であり、粉じん作業に従事する時間や粉じん発生源との位置関係等の諸条件により異なるのに対し、測定結果は一測定地点の瞬間値(最大値)であるから、両者の比較により、許容濃度を上回る大量の粉じんが発生していたことを示すものとはいえない。 ⑵ 本件労働者ら17名の粉じん曝露について ア本件労働者らの長崎造船所における就業状況等についての反論は、主張整理表②に記載のとおりである。 イ他の粉じん作業職歴について本件労働者ら17名の長崎造船所以外での粉じん作業職歴に関する事情は、主張整理表③に記載のとおりであり、特に亡D、原告A12、原告A 14、原告A15、原告A17、亡E、原告A24については、長崎造船 - 41 -所以外の他社での粉じん作業職歴が長い。 後記4(被告の主張)のとおり、被告は、各時代で最先端の粉じん対策を導入し、他社よりも実効的な対策を講じてきたことも考慮すると、他社での粉じん作業職歴が長い者については、粉じん曝露により何らかの健康被害が生じているとしても、他社での粉じん曝露により生じたと考えられ、 被告は損害賠償責任を負わない。 ⑶ 亡Cの肺がんと長崎造船所における就労との因果関係についてア亡Cの長崎造船所における粉じん作業職歴については、主張整理表②記載のとおりである。亡Cが原発 告は損害賠償責任を負わない。 ⑶ 亡Cの肺がんと長崎造船所における就労との因果関係についてア亡Cの長崎造船所における粉じん作業職歴については、主張整理表②記載のとおりである。亡Cが原発性肺がんに罹患したことは認めるが、長崎造船所における粉じん作業により罹患したことは否認する。主張整理表③ 記載のとおり、石綿粉じんの曝露は、有限会社長崎機工において従事した粉じん作業によるものと考えられる。 イ亡Cの石綿小体濃度は、平成26年10月30日に岡山労災病院で計測された際には3986本/g(乾燥肺)と、労災認定基準を満たしていなかった。2回目の計測で、同基準を満たしたが、同基準は、相対リスク2 倍となる石綿小体濃度は5000~1万5000本/g(乾燥肺)であったところ、その下限を採用したものであり、同基準を満たしたことにより、石綿ばく露により肺がんを発症したことの高度の蓋然性があるとはいえない。 ウ亡Cは、重度の喫煙者であり、主張整理表①「喫煙歴」欄記載のとおり、 喫煙の影響の方が、石綿ばく露による影響よりも大きいと考えられる。 エそのほか主張整理表①記載の諸事情によれば、亡Cの長崎造船所における粉じん作業と肺がん及び死亡との相当因果関係は認められない。 ⑷ 亡Fの肺がんと長崎造船所における就労との因果関係についてア広島大学医学部(病理学)名誉教授・R医師による亡Fの病理組織標本 に基づく病理所見によれば、亡Fの上葉に気腫性変化(肺気腫)が認めら - 42 -れるところ、これは、喫煙と関係する小葉中心性と傍隔壁性気腫が混在した所見であり、呼吸細気管支周囲の線維化所見等の石綿肺に特徴的な所見や、酸化鉄による線維化の所見等の溶接工肺に特徴的な所見は認められず、上記気腫性変化 喫煙と関係する小葉中心性と傍隔壁性気腫が混在した所見であり、呼吸細気管支周囲の線維化所見等の石綿肺に特徴的な所見や、酸化鉄による線維化の所見等の溶接工肺に特徴的な所見は認められず、上記気腫性変化及びこれに伴う線維化の原因としては、喫煙の可能性が最も高い旨が指摘されている。 イ令和2年12月25日に石綿健康被害判定小委員会が改訂した「医学的判定に関する留意事項」(乙353)によれば、肺組織切片中の石綿小体数について、最低限の基準として2本/㎠を目安とするとされており、これを石綿小体濃度に換算すると4万本/g(乾燥肺)となるから、石綿小体濃度が7246本/g(乾燥肺)であったことにより、石綿肺を発症さ せる程の大量の石綿に曝露したことを示すものとはいえない。 ウそのほか主張整理表①記載の諸事情によれば、亡Fの長崎造船所における粉じん作業と肺がん及び死亡との相当因果関係は認められない。 4 争点⑷(安全配慮義務違反の有無)(原告らの主張) ⑴ 安全配慮義務の存在ア使用者は、労働契約関係に立つ労働者に対し、労働者の生命、身体の安全と健康を保持し、その侵害を未然に防止すべき高度の安全配慮義務を負い、粉じん作業を行う事業所においては、じん肺及び石綿関連疾患の防止のため、絶えず実践可能な最高の医学的・科学的・技術的水準に基づく作 業環境管理、作業条件管理、健康管理に関する諸措置を総合的・体系的に講ずべき義務を負う。 イ元請業者は、下請労働者が、元請業者の事業所において、その管理する設備、工具等を用い、事実上その指揮・監督を受けて稼働し、本工と同様の作業に従事していたなど、下請労働者との間に特別な社会的接触の関係 に入った場合、信義則上、下請労働者に対しても、安全配慮義務を負い、 - 事実上その指揮・監督を受けて稼働し、本工と同様の作業に従事していたなど、下請労働者との間に特別な社会的接触の関係 に入った場合、信義則上、下請労働者に対しても、安全配慮義務を負い、 - 43 -粉じん作業を行う事業所においては、上記アと同様の義務を負う。 そして、被告は、長崎造船所を経営、支配し、その作業環境を左右する立場にあり、粉じん発生の原因となる原材料や工具類を決定し、本件労働者ら下請労働者の作業内容や日程、作業条件は、被告が決定し下請会社に通知した内容に左右され、下請会社が作業を指示したとしても、被告が定 めた工程や使用の範囲内での指示にすぎなかった。このように、被告が、長崎造船所で稼働する下請労働者の労務及び労務の有する危険性を直接支配し、その程度、割合も高かったことからすれば、被告は、長崎造船所で稼働した本件労働者ら下請労働者に対しても、上記安全配慮義務を負う。 ⑵ 安全配慮義務の具体的内容及び同義務違反 次のとおり、被告は、上記安全配慮義務の具体的内容として、法令上の義務の有無に関わらず、作業環境管理に関し、粉じん測定、換気対策等の措置を、作業条件管理に関し、粉じん作業時間の短縮、混在作業の回避等の措置を、健康管理に関し、防じんマスクの支給、じん肺教育の実施等の措置を講ずべきところ、これらを怠った。 ア粉じん測定 作業場における有害粉じんの有無、程度を知るため、定期的に粉じん測定を実施し、粉じんの種類、遊離珪酸、石綿粉じん、酸化鉄の含有率を測定するとともに、防じん対策の必要性を理解させるため、その結果を作業従事者に周知すべきところ、被告は、これらを怠った。 被告は、粉じん測定を実施した旨主張するところ、昭和55年度までは、被告作成の衛生年報等に測 要性を理解させるため、その結果を作業従事者に周知すべきところ、被告は、これらを怠った。 被告は、粉じん測定を実施した旨主張するところ、昭和55年度までは、被告作成の衛生年報等に測定結果が記載されているが、昭和56年度以降は、測定結果は記載されていない(甲131~178)。昭和20年代は、重要な場所での粉じん測定は行われず、昭和30年代は、測定場所は改善されたが、2年に1回しか測定されていない。昭和40年 代は、測定地点は増加したが、測定精度が不十分で瞬間的な最大値を測 - 44 -定したにすぎない旨自認し、同一月・作業場所での一般定期測定(粉じん)の数値が粉じん作業なしの測定結果より低いなど、適切な方法により測定されていたとはいえない。平成年代について、被告は、作業環境測定の年間計画(乙434)を提出するが、実施月の記載がない場所が散見されるなど、適切に粉じん測定が実施されていたとはいえない。 イ換気対策 作業場の粉じんを可及的速やかに除去、希釈するため、換気対策として、作業場の構造や状況に応じて、全体換気装置、局所換気装置、集じん装置の設置等を適切に実施すべきところ、被告は、これらを怠った。 全体換気対策が不十分であったことは、原告A12、原告A13、原 告A17、原告A5、原告A2及び原告A14の供述や、全日本造船機械労働組合三菱重工支部長崎造船分会(以下「長崎造船分会」という。)が、平成2年、平成3年に4、5A棟の抜本的な換気対策の実施、平成4年に建屋内の壁付け排気ファンの交換、4A、5A、F、S、A、B、C、W、X棟の全体換気対策、船台、ドックの建造船タンク内の全体換 気装置の設置等、平成5年にドックのエンジンルームの全体換気装置の設置、平成6年にA棟の の交換、4A、5A、F、S、A、B、C、W、X棟の全体換気対策、船台、ドックの建造船タンク内の全体換 気装置の設置等、平成5年にドックのエンジンルームの全体換気装置の設置、平成6年にA棟の大型の排気ファンの設置等、平成8年にD棟の排気ダクトの設置を要求し、平成11年に内組課A、4A、5A棟の換気対策の改善を求めていたことなどから、明らかである。 局所換気対策について、被告は、昭和54年の時点でミニファンを1 346台保有していた旨主張するが、直接工4、5人に1台程度しかなく、不足していた。また、ミニファンが吸引した粉じんを屋外まで排出するダクト(蛇腹)も不足していた。局所換気対策が不十分であったことは、原告A12、原告A16、原告A5、原告A17、原告A13、亡Eの供述等や、長崎造船分会が、平成2年に外船課で狭隘部用の換気 用ミニ蛇腹の設置、平成5年にドックのエンジンルームの局所排気装置 - 45 -の設置等、平成8年に換気用ミニファン・ミニ蛇腹の専用置場の設置等を要求していたことなどから、明らかである。 ウ混在作業の回避 同一又は近接する場所において同時並行的に複数の職種の作業に従事する混在作業が行われると、粉じん発生量が著しく増大して、粉じん対 策効果が損なわれること、また、粉じん作業に従事しない作業者が粉じん作業により発生する粉じんに曝露する危険性があることから、混在作業を禁止又は可及的に制限すべきところ、被告は、これを怠った。 混在作業が常態化していたことは、原告A1、原告A2、亡C、原告A5、原告A12、原告A13、原告A14、原告A15、原告A16、 原告A17、亡E、原告A24、亡H、原告A30の供述等や、長崎造船分会が平成以降も混在作業の防止を求め、被告が 亡C、原告A5、原告A12、原告A13、原告A14、原告A15、原告A16、 原告A17、亡E、原告A24、亡H、原告A30の供述等や、長崎造船分会が平成以降も混在作業の防止を求め、被告が混在作業の削減に努め、周辺者業者にも防じんマスクの着用を徹底させる等の回答をしていたことなどから、明らかである。 エ防じんマスクの支給等 造船所において、粉じん曝露を完全に防止することは困難であるから、その時期の国家検定に合格した最良の防じんマスクを支給し、作業者の顔に合った形状、寸法のものを支給するため、複数のマスクを用意し、フィットネステストを実施し、また、性能・効力の維持のため、マスク及びフィルターを適時交換すべきであり、下請会社に支給を委ねる場合 は、適正な防じんマスクを指定し、下請労働者に支給、着用することを厳重に指示、監督すべきところ、被告は、これらを怠った。 被告及びその下請会社は、労働安全衛生法、同施行規則が施行された昭和47年以前は、有効な防じんマスクを支給しておらず、施行後も、次第に防じんマスクが支給されたが、フィットネスチェックはされず、 マスクやフィルターの交換、点検、清掃に関する体制は取られず、着用 - 46 -についての指導も不十分であった。そのことは、原告A13、原告A16、原告A17、原告A23、原告A24、亡H、原告A1、原告A2、原告A12、原告A14、原告A15、原告A18、亡Eの供述等や、被告作成の衛生年報に、防じんマスク不着用に対する指導、教育の徹底を図ること等の記載があることなどから、明らかである。 オじん肺教育 実効性のあるじん肺防止対策を行うためには労働者の理解と協力が不可欠であり、じん肺の病理、病状や原因についての教育や、じん肺の予 記載があることなどから、明らかである。 オじん肺教育 実効性のあるじん肺防止対策を行うためには労働者の理解と協力が不可欠であり、じん肺の病理、病状や原因についての教育や、じん肺の予防方法、防じん対策についての教育を、定期的に繰り返し実施すべきところ、被告は、これらを怠った。 じん肺教育が不十分であったことは、原告A12、原告A16、原告A5、原告A17、原告A13、原告A30、亡C、原告A14、原告A15、原告A23、原告A24、亡H、原告A30の供述等から、明らかである。被告は、後記のとおり主張するが、十分なじん肺教育が実施されていたとはいえず、被告が下請会社に指示をしたとしても、下請 会社において下請労働者に対するじん肺教育はほとんど実施されておらず、不十分であった。 ⑶ 各論本件労働者ら各自に対する安全配慮義務違反を基礎付ける諸事情については、主張整理表②に記載のとおりである。 (被告の主張)⑴ 安全配慮義務の存在について原告は、被告が下請労働者に対しても安全配慮義務を負う旨主張するが、下請労働者に対する安全配慮義務を負うのは下請会社であり、被告は、次のとおり、下請労働者との間に特別な社会的接触の関係に入ったとはいえない から、下請労働者に対して安全配慮義務を負わない。 - 47 -ア被告が管理する設備、工具等の使用について本件労働者らが下請労働者として防熱工事・電気配線工事で使用した工具は、被告が管理していたものではなく下請会社や下請労働者が提供、購入していた。高い溶接品質を実現できる高価な溶接機・溶接棒のように、品質や安全の観点から、被告が調達し下請会社に貸与した設備・工具等も あるが、上記観点から貸与することは、下請労働者が 提供、購入していた。高い溶接品質を実現できる高価な溶接機・溶接棒のように、品質や安全の観点から、被告が調達し下請会社に貸与した設備・工具等も あるが、上記観点から貸与することは、下請労働者が被告に従属することを意味するものではなく、被告が安全配慮義務を負う根拠となるものではない。材料、資材は被告が調達するものが多いが、これらは下請労働者の従属性の根拠となるものではない。また、作業場所を提供していたことも、下請労働者の従属性に結び付くものではない。 イ作業の指揮・監督について安全配慮義務発生の根拠となる指揮・監督は、下請労働者が行う個別の作業に対する直接的・具体的な指揮監督であるところ、これらは下請会社の現場責任者及び作業責任者が行っていた。長崎造船所では、本工の作業班及び下請会社の作業班の代表者(作業長・班長)が出席するミーティン グを実施して、作業工程や、防じんマスク等各種保護具等の着用の周知徹底等の安全上のポイント等の確認、連絡等を行い、下請労働者に対しては、班長等が班ミーティングで周知等していた。作業区域単位でみれば、本工の作業班と下請会社の作業班が同時に作業を行うことはあったが、相当な広さがあり、作業班ごとに作業を行い、直接の指示は班長等が行っていた。 また、被告の出向者が作業長として指示を行うことはあったが、下請会社の従業員として指示していたものである。 ウ作業内容の同一性作業内容の同一性だけで、元請業者が下請労働者に対する安全配慮義務を負うものではなく、長崎造船所では、上記ア、イの事情が認められない から、作業内容の同一性は問題とならない。 - 48 -⑵ 安全配慮義務の具体的内容及び同義務違反について前記⑴のとおり、下請労働者に対する安全配慮義 、イの事情が認められない から、作業内容の同一性は問題とならない。 - 48 -⑵ 安全配慮義務の具体的内容及び同義務違反について前記⑴のとおり、下請労働者に対する安全配慮義務を負うのは下請会社であるが、次のとおり、被告又はその下請会社は、長崎造船所において、各時代における最善の粉じん対策及びじん肺予防対策を実施してきたものであり、安瀬配慮義務違反はない。 ア粉じん測定について 原告らが主張する粉じん作業は、昭和47年当時、安衛法施行令21条1号にいう屋内作業場について、同施行令の取扱い等について定めた労働省労働基準局長通達(同年9月18日付け基発第602号、乙248)で列挙する屋内作業場(じん肺法施行規則別表第1の作業の一部が 行われる屋内作業場)には該当せず、同号の改正、粉じん規則施行後も、特定粉じん作業に該当せず、安衛法65条1項に基づく作業環境測定は義務付けられていなかった。また、溶接作業について、じん肺法制定当時、密閉した狭隘な場所に乗じ勤務する電気溶接作業に限り、粉じん作業に該当するとされ、昭和46年に、屋内において行うアーク溶接作業 が粉じん作業に追加されたが、特定粉じん作業には該当しない。 上記のとおり、原告ら主張の粉じん作業について、作業環境測定義務はなく、また、作業環境測定・評価の仕組みが整備されたのは昭和50年代以降であったが、被告は、次のとおり、自主的に、各時点において、最善の方法で、粉じん測定を実施し、作業環境の改善に努めてきた。 粉じん測定の概要被告が長崎造船所において実施した粉じん測定の概要は、別紙11「衛生年報リスト」の「粉じん測定の概要」欄記載のとおりである。 昭和48年以前被告は、長崎造 ん測定の概要被告が長崎造船所において実施した粉じん測定の概要は、別紙11「衛生年報リスト」の「粉じん測定の概要」欄記載のとおりである。 昭和48年以前被告は、長崎造船所において、昭和24年には、労研式塵埃計を使用 して、粉じん測定を実施し、以降、毎年、粉じん測定を実施し、2、3 - 49 -年毎に同一・同種の作業・作業場について粉じん測定を実施して、継続的・定期的に粉じん測定を実施していた。 もっとも、労研式塵埃計は、採取した粉じんの個数を顕微鏡を用いて、粒子の種類や大きさを考慮することなく計数するもので精度が低く、昭和40年代前半以降は、粉じん濃度を測定するデジタル粉じん計等を使 用するようになったが、一測定地点における瞬間的な最大値しか測定できず、作業場の平均的な粉じん濃度を測定することはできず、また、測定結果の評価基準も策定されておらず、測定結果は作業環境に関する一応の目安となるにすぎなかった。 昭和49年以降 昭和47年に安衛法の施行により作業環境測定が義務付けられ(65条1項)、昭和50年に、作業環境測定法の施行により指定作業場の測定は作業環境測定士が行うこととされ、安衛法65条2項が改正され、作業環境測定は労働大臣の定める作業環境測定基準に従って行うこととされ、作業環境測定基準(昭和51年4月22日付け労働省告示第46 号)が制定された。また、被告は、長崎造船所において、昭和48年11月に作業環境測定要領(乙423)を策定し、昭和52年1月に改訂した。 被告は、立法過程において検討、公表された情報の検討を含む上記経過を踏まえて、昭和49年以降は、作業環境測定要領に基づき平均的な 場の測定を行うなど、粉じん測定の精度が 改訂した。 被告は、立法過程において検討、公表された情報の検討を含む上記経過を踏まえて、昭和49年以降は、作業環境測定要領に基づき平均的な 場の測定を行うなど、粉じん測定の精度が大幅に向上して正確な測定ができるようになり、粉じん測定の数値が、昭和48年以前と比較して大幅に低下した。 イ換気対策について 換気対策の概要 被告が長崎造船所において実施した換気対策の概要は、別紙11の - 50 -「作業環境改善又は設備購入」に記載のとおりである。昭和54年には大型ファン1020台、小型ファン355台、ミニファン1346台を保有するに至り、被告及び下請会社の作業者が必要な換気対策を行うのに十分な台数を備えていた。 換気対策設備・装置の導入状況 被告の建屋(工場)は、大型船建造のため、天井が高く、長さ、幅があり間仕切りのない大空間であり、粉じん濃度が希釈され易く、被告は、持ち運びが簡便な可搬式軸流式ファン(ミニファン、ママファン)や各建屋に柱付きの排気ファンや窓、天井、扉、開閉式屋根の開放部に誘導し建屋外に排気する全体換気によって粉じんを屋外に排出していた。 切断作業や溶接作業等の自動化・機械化が進むと、各機械装置への集塵機能を有した装置の設置を導入するなどし、工法の変化・進化に対応した換気対策を実施してきた。 ブロック工法におけるブロック内の換気についても、ブロックの形状に応じて効果的にミニファン等を設置して粉じんをブロック外に排出し、 総組場、ドック及び船台における換気対策も、各種架設換気ファンをブロックのサイズやデッキ・区画の種類等に応じて使い分けて全体換気及び局所換気を行い、ミニファン等を作業者の近くに置いて局所排気を行う 総組場、ドック及び船台における換気対策も、各種架設換気ファンをブロックのサイズやデッキ・区画の種類等に応じて使い分けて全体換気及び局所換気を行い、ミニファン等を作業者の近くに置いて局所排気を行うなどした。 粉じん作業の種類に応じた換気対策 原告らが主張する粉じん作業は、特定粉じん作業には該当せず、局所排気装置の設置は義務付けられていないが、長崎造船所においては、ある程度固定された位置で移動することなく行う粉じん作業については、自主的に局所排気装置及び集塵装置による換気対策を実施していた。 特定粉じん作業以外の粉じん作業については、全体換気装置による換 気の実施又はこれと同等以上の措置を講じることとされているところ - 51 -(粉じん規則5条)、被告は、上記のとおり、全体換気設備・装置だけでなく、局所排気を行うための装置も多数導入するなどして、作業内容・場所に応じた適切な換気対策を実施してきた。 長崎造船分会の改善要求について長崎造船分会の改善要求は、組合活動としての要求であり、これによ り被告の換気対策が不十分であったことを基礎付けるものではないが、同要求に対しては、別紙12「長崎分会の要求に対する会社回答一覧」記載のとおり、回答し、対応していた。 ウ混在作業の回避について長崎造船所においては、昭和30年以降、ブロック建造工法が本格的に 採用された。ブロック建造工法は、約10万個の船殻部材を組立工場で段々と大きなブロックとして構築していき、約200個のブロックに組み立て、これらを積み上げて船を建造する工法である。ブロック建造工法では、各ブロックでの作業を分離化・分散化・専業化し、工程を標準化し、標準時間を設定して工程管理、工数管理を行うこ 個のブロックに組み立て、これらを積み上げて船を建造する工法である。ブロック建造工法では、各ブロックでの作業を分離化・分散化・専業化し、工程を標準化し、標準時間を設定して工程管理、工数管理を行うことにより、全工程の進捗率の 調整や作業職種間の調整が容易となった。また、船殻工事、艤装工事も、職種別所要工数の推量等に基づき計画された区画別の作業順序等を示した表に従い、工程管理を行うことが可能となった。 このように、長崎造船所においては、合理的・効率的な工程管理が行われ、工程や区画別の作業順序が決まっていることから、通常、混在作業は 発生せず、例外的に、その可能性が生じた場合にも、工程連絡調整会議において、工程調整を行い、混在作業を回避し、各作業が他の作業に干渉しないよう対策を講じていた。 エ防じんマスクの支給等について 昭和27年4月、被告長崎造船所の主要下請会社により、三菱造船請 負安全協力会(現「協同組合三菱長船協力会」、以下「協力会」とい - 52 -う。)が設立された。被告は、下請会社に対し、遅くとも同月以降、直接又は協力会を通じて、防じんマスクの規格の制定・改正内容や、規格を満たす防じんマスク、被告長崎造船所の購入・配布状況や指導内容等を含む協力会(下請会社)の安全衛生活動に必要な情報・資料提供を行い、長崎造船所構内で作業を行う全作業員に適切な防じんマスクを支給 し、着用を徹底させるよう要請、指導するとともに、日々、安全衛生パトロールを行って、防じんマスクの着用の徹底を図ってきた。また、昭和47年の安衛法の施行を受けて、防じんマスクの使用に関する基準を定めた。 下請会社は、昭和40年代初め頃から、作業内容、作業条件、作業環 境等を考慮して適切に選択した防じんマス 昭和47年の安衛法の施行を受けて、防じんマスクの使用に関する基準を定めた。 下請会社は、昭和40年代初め頃から、作業内容、作業条件、作業環 境等を考慮して適切に選択した防じんマスク等の支給を始め、昭和42年には、協力会の下部組織として安全衛生委員会を設置して、安全衛生保護具等の整備、運用を行うなどして、防じんマスクの支給を進め、昭和47年に被告長崎造船所が定めた使用基準に従い、長崎造船所構内で作業する全ての粉じん作業者に対して防じんマスクを支給し、昭和55 年頃には全ての現業部門の作業者に対して防じんマスクを支給した。 下請会社は、朝昼のミーティングや各作業長による衛生保護具の始業時点検、衛生保護具の着用・手入れ状況等の点検を含む衛生パトロール等を通じて、防じんマスクの着用を徹底するよう努め、防じんマスクを適正に使用できるよう、密着性の重要性や着用時の留意点、フィットチ ェックの方法、防じんマスクの点検方法、フィルター交換の目安、マスク本体及びフィルターの手入れ方法等についても、指導していた。 オじん肺教育について 被告は、別紙13「じん肺に関する教育実績」記載のとおり、各種講習会を実施し、昭和54年の粉じん規則制定を踏まえて、昭和56年1 月に社安全衛生教育基準を定め、粉じんの有害性、保護具の使用の必要 - 53 -性・使用方法、粉じんの発散防止対策等についての教育を実施し、教育トレーナーを養成して、昭和57年から、教育トレーナーによる作業者への教育を実施し、また、防じんマスクの使用の必要性・重要性、着用の仕方・徹底等について、種々の教育を実施してきた。 下請労働者に対する安全配慮義務を負うのは下請会社であり、被告は、 下請会社に対して直接又は協力会を通 クの使用の必要性・重要性、着用の仕方・徹底等について、種々の教育を実施してきた。 下請労働者に対する安全配慮義務を負うのは下請会社であり、被告は、 下請会社に対して直接又は協力会を通じて、教育受講の機会や教育資料等の情報を提供し、下請会社は、被告が開催する教育・講習会等に作業長や安全担当者を参加させ、参加者が学んだ内容をミーティングや研修会を開いて作業者に対して教育したり、自社の安全衛生管理計画で粉じん教育を企画・実施したり、協力会が主催する安全行事に安全担当者を 参加させ、作業者に教育するなどしていた。 また、被告は、下請労働者が新規に長崎造船所に入構する際、安全教育を実施し、下請労働者も対象として、上記講習会や教育トレーナーの養成を実施した。 ⑶ 各論 本件労働者ら各自に対する安全配慮義務違反がないことを基礎付ける諸事情については、主張整理表②に記載のとおりである。 5 争点⑸(過失相殺の可否)(被告の主張)⑴ 喫煙について ア原告A2、亡D、原告A12、原告A14、原告A15、原告A17、亡E、亡F及び原告A24(以下「本件労働者ら9名」という。)について じん肺は気道の慢性炎症を含めた概念であるところ、喫煙は、気管支や肺胞に炎症を起こし、気道の慢性炎症発生を促進させるため、じん肺 の発症や悪化に影響を与える。また、続発性気管支炎は気道の慢性炎症 - 54 -に細菌感染が加わった状態であるところ、管理2の決定を受けた後も喫煙を継続することは、気道の慢性炎症を発生・悪化させるとともに、細菌感染を生じ易くさせることにより、続発性気管支炎の発症や悪化を促進させる。 ブリンクマン指数(一日に吸うたばこの平均本数に喫煙年数を乗じた 道の慢性炎症を発生・悪化させるとともに、細菌感染を生じ易くさせることにより、続発性気管支炎の発症や悪化を促進させる。 ブリンクマン指数(一日に吸うたばこの平均本数に喫煙年数を乗じた 数値)が高いと、肺がんや肺気腫、慢性気管支炎のリスクが高くなる。 本件労働者ら9名の喫煙歴及びブリンクマン指数は、別紙14記載のとおりである。 そのほか主張整理表①「喫煙歴」欄記載の諸事情によれば、重度の喫煙歴を有する本件労働者ら9名については、大幅な過失相殺をすべきで ある。 また、亡Fについて、肺がん及び死亡との因果関係が認められたとしても、前記3(被告の主張)⑷記載の諸事情によれば、喫煙の寄与度の方が大きいというべきであるから、大幅な過失相殺をすべきである。 イ亡Cについて 仮に、亡Cの肺がんと長崎造船所における粉じん作業との間に因果関係が認められたとしても、前記3(被告の主張)⑶記載の諸事情によれば、亡Cの肺がんは、石綿粉じん曝露と喫煙との複合的な作用によるものであり、喫煙の寄与度は石綿粉じん曝露の寄与度を下回るものではないから、少なくとも5割の過失相殺をすべきである。 ⑵ 続発性気管支炎について本件労働者ら17名は、続発性気管支炎の診断を受けることを目的として、あえて高原中央病院又は大浦診療所に通院し、適切な診療を受けていないのであるから、続発性気管支炎と認められた場合、この点について、過失相殺をすべきである。 (原告らの主張) - 55 -⑴ 喫煙についてア本件労働者ら9名について 本件労働者ら9名の喫煙歴は主張整理表①「喫煙歴」欄記載のとおりである。 喫煙とじん肺との関係について、喫煙が肺の線維化を促進 喫煙についてア本件労働者ら9名について 本件労働者ら9名の喫煙歴は主張整理表①「喫煙歴」欄記載のとおりである。 喫煙とじん肺との関係について、喫煙が肺の線維化を促進するという 知見はなく、喫煙が肺気腫や慢性気管支炎の原因となり得るとしても、肺気腫や慢性気管支炎が喫煙によるものかじん肺に伴うものかの鑑別は、臨床上不能であり、じん肺に伴う上記疾患への喫煙の影響についての知見も確立しておらず、本件労働者ら9名について、喫煙が続発性気管支炎の増悪に影響したことや、その寄与度の立証があるとはいえない。 そのほか、国のタバコ販売促進政策の結果、喫煙習慣は通常の行動であったのに対し、被告のじん肺教育及び喫煙についての教育が不十分であったこと等の諸事情も考慮すれば、喫煙を理由に過失相殺することは、損害の公平な分担の趣旨に反し、許されない。 イ亡Cについて 前記3(原告の主張)⑶記載の諸事情によれば、亡Cの肺がんと長崎造船所における粉じん作業との間の因果関係が認められるのに対し、喫煙により肺がんが発生したとは認められない。 仮に、亡Cの肺がんと喫煙との関連性の可能性があるとしても、国のタバコ販売促進政策の結果、タバコの肺がん発生の危険に関する警告表 示の義務付けが不十分であり、タバコの発がん性や石綿粉じん曝露との重複により肺がん発症可能性が増加することを認識し得なかったこと、亡Cを含む多くの国民が喫煙し、タバコには依存性があるため亡Cの喫煙継続を非難し得ないこと等の諸事情によれば、喫煙を理由に過失相殺することは、損害の公平な分担の趣旨に反し、許されない。 ⑵ 続発性気管支炎について - 56 -高原中央病院又は大浦診療所の本件労 等の諸事情によれば、喫煙を理由に過失相殺することは、損害の公平な分担の趣旨に反し、許されない。 ⑵ 続発性気管支炎について - 56 -高原中央病院又は大浦診療所の本件労働者ら17名に対する続発性気管支炎の治療に不適切な点はない。 6 争点⑹(損害額)(原告らの主張)⑴ 主位的主張 ア本件労働者らは、いずれも被告の安全配慮義務違反によりじん肺に罹患し、本件労働者ら17名は、管理2の決定を受け、続発性気管支炎の合併症を発症し、亡Cは、原発性肺がんを発症して死亡し、それぞれ、重篤な身体的被害を受け、これに伴う重大な精神的苦痛を受けた。 イじん肺の主要な病理変化である肺の線維性増殖変化、気道の慢性炎症性 変化、肺の気道性変化は、不可逆的かつ進行性の病理変化であり、粉じん作業離職後も進行し、根本的な治療方法がないため、じん肺患者は、二度と健康な生活を送ることができず、生涯、夜も寝られない程の執拗なせきや持続的な痰に苦しめられ、いずれは肺機能の低下や胸水等により呼吸困難に陥ることになり、日々増悪する症状に恐怖を抱き、身体的、精神的苦 痛に苦しめられることになる。 ウ上記のようなじん肺の特質を考慮すれば、管理区分決定等に関わらず、一律の慰謝料額を認めるのが相当であり、上記諸事情のほか、被告の安全配慮義務違反の責任の重大性、被告が謝罪をせず、不当な応訴により訴訟が長期化したこと等の諸事情も考慮して、本件労働者1人当たり、慰謝料 3200万円、弁護士費用320万円を認めるのが相当である。 ⑵ 予備的主張じん肺の管理区分や合併症の有無等の個別の事情に応じて、慰謝料額を算定するとした場合であっても、次の慰謝料額及び弁護士費用を認めるのが相当である。 当である。 ⑵ 予備的主張じん肺の管理区分や合併症の有無等の個別の事情に応じて、慰謝料額を算定するとした場合であっても、次の慰謝料額及び弁護士費用を認めるのが相当である。 ア亡C、亡F - 57 -前記3(原告の主張)⑶、⑷のとおり、亡C及び亡Fは、長崎造船所における粉じん作業により、じん肺に罹患し、肺がんを発症して死亡したのであるから、慰謝料額は2800万円と認めるのが相当である。 イその余の本件労働者らその余の本件労働者は、いずれも、管理2の管理区分決定を受け、続発 性気管支炎の合併症を発症しているところ、そのうち各原告については、その慰謝料額を1700万円と認めるのが相当であり、亡D、亡H及び亡Eについては、被告が紛争を長期化させ、未解決のまま死亡したこと(じん肺との因果関係を主張するものではない。)も考慮して、同額を上回る慰謝料額を認めるのが相当である。 ⑶ 労災保険給付等の考慮について被告は、後記(被告の主張)⑵のとおり、慰謝料額算定の際、労災保険給付等を受給したことを考慮すべき旨主張するが、これらは財産的損害の填補等を目的とするものであり、精神的損害に対する慰謝料額の算定に際し、考慮することは許されない。 (被告の主張)⑴ 損害額は否認し、争う。 ⑵ 労災保険給付等の考慮ア本件労働者らは、続発性気管支炎等について、それぞれ、別紙15記載のとおり、休業補償及び休業特別支給金の支給を受け、亡C及び亡Fの遺 族らは、それぞれ、別紙16記載のとおり、遺族給付を受けた。 イ原告らは、名目上、慰謝料として請求するが、じん肺管理区分等に応じた類型的な金額の賠償を求めており、財産的損害と明確に区分された純粋な 、それぞれ、別紙16記載のとおり、遺族給付を受けた。 イ原告らは、名目上、慰謝料として請求するが、じん肺管理区分等に応じた類型的な金額の賠償を求めており、財産的損害と明確に区分された純粋な精神的苦痛に対する賠償を求めるものではない。このような場合、上記アの給付を受けたことは、慰謝料額算定の際に考慮するのが相当である。 7 争点⑺(消滅時効の成否) - 58 -(被告の主張)⑴ 消滅時効の起算日(原告A2、原告A5、原告A12、原告A13、原告A14、原告A16、原告A17、原告A18、亡F、原告A24、亡H、原告A30〔以下「本件労働者ら12名」という。〕分について)本件労働者ら12名について、初めて管理2の管理区分決定を受けたのは、 別紙17の「じん肺管理区分決定」欄記載のとおりであるところ、前記2(被告の主張)のとおり、続発性気管支炎に罹患したとは認められず、前記3(被告の主張)⑷のとおり、亡Fがじん肺を原因として死亡したとも認められないから、本件労働者ら12名に関する本訴請求債権の消滅時効の起算日は、上記管理区分決定日となる。 ⑵ 消滅時効の援用本件労働者ら12名に関する本訴請求債権は、いずれも本訴提起前に消滅時効が完成しているから、これを援用する。 (原告らの主張)⑴ じん肺に関する損害賠償請求権の消滅時効の起算日は、①最終の管理区分 決定日、②①の後にじん肺法所定の合併症に罹患した場合は、その行政上の認定を受けた日、③①又は②の後にじん肺を原因として死亡した場合には死亡日である。 ⑵ 本件労働者ら12名は、前記2(原告らの主張)のとおり、いずれも続発性気管支炎に罹患しており、亡Fは、前記3(原告らの主張)⑷のとおり、 じん肺を原因として死亡したから、本 亡日である。 ⑵ 本件労働者ら12名は、前記2(原告らの主張)のとおり、いずれも続発性気管支炎に罹患しており、亡Fは、前記3(原告らの主張)⑷のとおり、 じん肺を原因として死亡したから、本件労働者ら12名に関する本訴請求債権の起算日は、亡Fについては、別紙17の「死亡日」欄記載のとおりであり、その余の11名については、同「労災認定日」欄記載のとおりとなる。 ⑶ したがって、原告A14、原告A17、原告A18及び亡Fに関する債務不履行に基づく損害賠償請求権並びにその余の8名に関する本訴請求債権に ついては、いずれも消滅時効は完成していない。 - 59 -第5 当裁判所の判断(認定事実は、前提事実、争いのない事実、各掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認定。なお、以下、初出後の「株式会社」等の記載は省略する。) 1 長崎造船所における造船・修繕工事及び粉じん作業の概要(甲195、乙139、140、151、152) ⑴ 新造船工事新造船の建造は、設計、原図、罫書、切断、曲げ、組立て、総組及び船台搭載、進水(以上、船殻作業)、艤装、試運転の工程に分けられ、主として切断、組立て、総組及び船台(ドックを含む)搭載、艤装の工程で粉じん作業が問題となる。 ア切断工程切断作業は、罫書線・設計図に沿って鋼材を溶断する工程であり、鋼材溶断の際に酸化鉄粉じんが発生する。戦後当初は、平行板材は機械切断機で切断し、機械に乗らないものや曲線部分は手動ガス切断機で切断していたが、昭和27年頃には可搬式自動ガス切断機が導入され、昭和30年頃 には自走式の自動ガス切断装置や光電制御式の半自動ガス切断機が導入され、機械切断可能な範囲が増え、昭和50年頃にはNC切断装置による数値制御自動切断機が 動ガス切断機が導入され、昭和30年頃 には自走式の自動ガス切断装置や光電制御式の半自動ガス切断機が導入され、機械切断可能な範囲が増え、昭和50年頃にはNC切断装置による数値制御自動切断機が導入され、昭和60年頃には集塵機能付のNC切断装置が増設された。 イ組立て、総組、船台搭載工程 組立作業は、小組立作業、中組立作業、大組立作業に区分される。 小組立作業では、船殻加工職が加工工程を終了した鋼板や型銅を電気溶接機で部分溶接し組み立てた後、造船溶接職が接合面を電気溶接機で溶接し、骨材等の小物部材を製作する。 中組立作業では、造船溶接職が加工工程を終了した鋼板を電気溶接機 で溶接して複数個継ぎ合わせた後、船殻組立職が小物部材の位置を決め、 - 60 -電気溶接機で部分溶接して組み立てた後、不要部分をガス切断機で切断又はグラインダーで除去する。その後、造船溶接職が接合面を電気溶接機で溶接し、溶接不良個所等はアークガウジング又はグラインダー等で除去し、平面及び曲面上のパネルブロックを製作する。 大組立作業では、造船溶接職が平面及び曲面状の鋼板を電気溶接機で 溶接し複数個継ぎ合わせた後、船殻組立職がクレーン玉掛職と共同で小・中組立てで製作されたブロックを組み合わせて位置を決め、電気溶接機で部分溶接し組み立てた後、不要部分をガス切断機で切断又はグラインダーで除去する。その後、造船溶接職が接合面を電気溶接機で溶接し、溶接不良個所等はアークガウジング又はグラインダー等で除去し、大型 の立体ブロックを製作する。 総組及び船台搭載作業は、クレーン玉掛職と船殻取付職が共同で総組場又は船台の盤木上に上記大型の立体ブロックを搭載した後、船殻取付職がブロック間の寸 型 の立体ブロックを製作する。 総組及び船台搭載作業は、クレーン玉掛職と船殻取付職が共同で総組場又は船台の盤木上に上記大型の立体ブロックを搭載した後、船殻取付職がブロック間の寸法調整を行って位置を決め、電気溶接機で部分溶接し組み立て、不要部分をガス切断機で切断又はグラインダーで除去する。 その後、造船溶接職が接合面を電気溶接機で溶接し、溶接不良個所等はアークガウジング又はグラインダーで除去し、船体を作り上げていく。 上記工程のガス切断、電気溶接、グラインダー、アークガウジング作業等で粉じん作業が行われる。 小組立作業から大組立作業の一部は屋内作業であるが、大組立作業の 一部、総組及び船台搭載作業は屋外作業である。また、昭和23、24年頃から、船体を地上段階でできるだけ大きなブロックに組み立ててから、船台上に搭載して建造していくブロック建造工法が採用され、一部作業がブロック組立前に行われるようになった。 ウ艤装工程 艤装工程は、船体艤装、機関艤装、電気艤装の工程が並行して行われ、 - 61 -各工程の電気溶接、ガス切断、グラインダー作業等で粉じん作業が行われる。 船体艤装では、荷役用のポンプ、係船装置、厨房機器等が搬入・据付され、内装職又は外装職が付随する鉄艤品や管サポート等を電気溶接機で船体へ取り付け、不要部分はガス切断機で切断又はグラインダーで除 去する。塗装職は、エアーディスクサンダーやエアーブラシ等で錆や付着物を除去した後、エアーレススプレーや刷毛で塗料を散布する。 機関艤装作業では、主機関、輔機関、ボイラー等が搬入・据付され、機装職が、事前にヤスリやグラインダー等で据付台をすり合わせ、ドリルで穴を空け、付随する鉄艤 プレーや刷毛で塗料を散布する。 機関艤装作業では、主機関、輔機関、ボイラー等が搬入・据付され、機装職が、事前にヤスリやグラインダー等で据付台をすり合わせ、ドリルで穴を空け、付随する鉄艤品や管サポート等を電気溶接機で船体へ取 り付け、不要部分はガス切断機で切断又はグラインダーで除去する。 電気艤装作業は、電装職が機器の据付台や電路等を電気溶接機で船体に取り付け、不要部分はガス切断機で切断又はグラインダーで除去する。 艤装工程は、基本的に、艤装岸壁に係留されている船内又は甲板上で行われるが、昭和25年頃から、船体の組立工程において艤装品類や補 機関類を船体に取り付けるブロック擬装法が導入され、昭和46年頃には補機関類以外にパイプや弁も取り付けた上で船体ブロックに取り付けるユニット艤装法が導入された。 エ保温・防熱作業 艤装工程の過程で、機関室周囲壁における高熱遮断、居住区域壁にお ける空気調和効果の向上及び機関室等の配管における熱損失の防止のため、保温材・断熱材を取り付ける作業が行われる。 長崎造船所では、保温・防熱工事を下請会社に外注しており、下請会社は、被告の要求仕様に基づき、保温・断熱材を仕入れ、保温・防熱対象の形状に合う成形品が存在する場合はそれを使用し、合わない場合は、 保温・防熱材を対象の寸法に合わせて切断するなどして取り付ける。 - 62 -保温・断熱作業は、船体が組み上がった後、船台上や岸壁に係留された船内で行われる。 長崎造船所では、当初、石綿含有保温・断熱材が使用されていたが、被告は、昭和56年2月に石綿含有保温・断熱材の使用を禁止した。 ⑵ 修繕船工事 ア修繕船工事は、船首から船尾までの 長崎造船所では、当初、石綿含有保温・断熱材が使用されていたが、被告は、昭和56年2月に石綿含有保温・断熱材の使用を禁止した。 ⑵ 修繕船工事 ア修繕船工事は、船首から船尾までの外板・甲板上、居住区、船倉及び機関室等、船内外のあらゆる部分にわたり、修繕箇所の損傷の程度、検査の種類、船主の要求内容に応じて様々な作業が存在するが、①甲板、船側外板、船底外板及び隔壁や、艤装品といった船体関係の修繕作業、②主機関、補機関といった機関関係の修繕作業、③電気機器及び配線といった電気関 係の修繕作業に大別される。 イ修繕船工事は、主に、本工場・香焼工場のドックに入渠し又は岸壁等に係留している修繕船の船内外及びその周辺で行われ、船から取り外した船体関係の一部の艤装品やパイプ等については船体内業作業場において、主機関や補機関等機関関係の一部の諸機械については機関内業作業場におい て、修繕作業が行われる。 ウ修繕船工事の作業際の主な粉じん作業は、各修繕作業に伴い実施されるガス切断作業、電気溶接作業、グラインダー作業等であり、また、船側外板の塗装前の下地処理作業を行う際に、粉じんの発生を伴うサンドブラスト作業が行われることがある。 2 本件労働者らの粉じん作業職歴⑴ 原告A1ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲A7) 昭和32年7月1日~昭和40年3月4日大和工業株式会社の従業員として、向島に係留する新造船内のエンジン室等で、サンダー掛け、 塗装、清掃作業に従事(甲A3、4、乙A6、7)。 - 63 - 昭和42年7月3日~昭和44年6月30日興洋工業株式会社の下請の小柳組の従業員として、立神工場(船部門)構内で、サンダー掛け(錆落し)、塗装作業に従事(甲 、7)。 - 63 - 昭和42年7月3日~昭和44年6月30日興洋工業株式会社の下請の小柳組の従業員として、立神工場(船部門)構内で、サンダー掛け(錆落し)、塗装作業に従事(甲A3、10の1、乙A6、7)。 昭和44年7月1日~昭和50年12月27日株式会社三浦工業所の従業員として、立神工場(船部門)構内で、サンダー掛け、塗装作業 に従事(甲A3、4、10の2、乙A4、6、7)。 イ他の事業所での粉じん作業職歴昭和61年~平成5年秋頃福田建設株式会社の従業員として、建設現場において、清掃作業に従事(乙A6~8)。 ⑵ 原告A2 ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲B5、8) 昭和33年4月~平成12年7月31日久保工業株式会社の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)において、ドック、船台、地上組立て場、艤装船や修繕船の船内で、主に溶接作業に従事したほか、ガス切断、ガウジング、グラインダー、サンダー、保温材の取 り外し、清掃作業に従事(甲B2、4、6、乙B4、9)。 平成12年10月12日~平成16年3月31日有限会社ピーワイテック(久保工業の下請)の従業員として、上記と同様の作業に従事(甲B7、乙B4、9)。 平成16年4月~平成22年4月7日個人事業主(久保工業の下請) として、上記と同様の作業に従事(乙B4、9)。 イ他の事業所での粉じん作業職歴無し。 ⑶ 亡Cア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲C9) 昭和39年3月18日~昭和40年4月27日株式会社丸菱商会の - 64 -従業員として、立神工場(船部門)において、船内の機関室で、配管作業に従事(甲C 業職歴(甲C9) 昭和39年3月18日~昭和40年4月27日株式会社丸菱商会の - 64 -従業員として、立神工場(船部門)において、船内の機関室で、配管作業に従事(甲C5、6)。 昭和55年3月17日~平成12年9月久保工業の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)において、主として足場の架設、解体作業に従事したほか、エンジンのパイプ、バルブの取付け・取 替え作業に従事(甲C5、6、15)。亡Cは、同年10月以降も、平成15年9月30日まで、久保工業の従業員として、長崎造船所において稼働したことが認められるが、上記期間については、同社関係者の粉じん作業を否定する回答等(乙C10、11)を排斥して、粉じん作業に従事していたことを認めるに足りる証拠はない。 そのほか、原告らは、主張整理表②のとおり、平成21年1月から平成22年9月まで、株式会社豊工業において、平成22年10月から平成23年11月まで、大丸工業株式会社において、石綿粉じん作業に従事した旨主張し、これに沿う亡C作成の陳述書(甲C9)を提出するが、健康管理手帳(石綿)(甲C5)に記載がなく、前提事実⑶ウの労災申 請に際し、石綿ばく露作業職歴として記載していないこと(甲C10)に照らし、同主張を認めるには足りない。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(甲C5、9、10、11)平成16年11月1日~平成20年12月31日有限会社長崎機工において、足場の架設、解体、修繕船のエンジンのバルブ、パイプの取替え 作業に従事。 ⑷ 原告A5ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲D6、7) 昭和46年3月1日~平成3年6月、平成8年8月1日~平成9年8月被告の従業員として、立神 え 作業に従事。 ⑷ 原告A5ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲D6、7) 昭和46年3月1日~平成3年6月、平成8年8月1日~平成9年8月被告の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)、 向島工場において、船内、建屋内で、船殻取付作業や船の修繕作業の工 - 65 -程で、ガス切断、アーク溶接、グラインダー作業に従事(甲D2、4) 平成3年7月1日~平成8年7月、平成9年9月1日~平成14年12月3日被告から日本冷熱株式会社に出向し、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)、向島工場において、船の修繕作業の工程で、上記と同様の作業に従事したほか、保温作業(手伝い)に従事(甲D2)。 平成15年10月~平成21年2月船舶メンテナンス(日本冷熱下請)の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)、向島工場において、船の修繕作業の工程で、ガス切断、アーク溶接、グラインダー作業に従事(乙D1)。 平成21年3月~平成27年2月本村工業(日本冷熱下請)の従業 員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)、向島工場において、上記と同様の作業に従事(甲D4、乙D1)。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(甲D2、4、6、7、乙D1)昭和43年1月19~昭和45年7月26日佐伯鉄工所において、製缶工として消音器の製作作業に従事。 ⑸ 亡Dア長崎造船所における粉じん作業職歴 原告らは、主張整理表②のとおり、昭和49年9月から昭和53年8月まで、河野船舶工業に所属し、長崎造船所において、石綿粉じん作業(防熱作業)に従事した旨主張し、これに沿う原告A6(亡Dの妻)の 陳述書(甲E6、7)を提出する。関係 年9月から昭和53年8月まで、河野船舶工業に所属し、長崎造船所において、石綿粉じん作業(防熱作業)に従事した旨主張し、これに沿う原告A6(亡Dの妻)の 陳述書(甲E6、7)を提出する。関係証拠(甲E2、乙E2)によれば、亡Dが河野船舶工業に所属し同作業に従事したことは窺われるが、同原告は、河野船舶工業がどこにあるか分からず、亡Dが長崎造船所に行っていたか分からない旨供述していること(同原告本人・10頁、17頁)、河野船舶工業が被告の下請であったことを裏付ける証拠はない ことからすると、亡Dが、長崎造船所において上記作業に従事したこと - 66 -を認めるには足りない。 平成14年1月~平成20年4月有限会社奥田工業所から久保工業に派遣され、立神工場(船部門向島地区)において、溶接作業に従事(甲E2、6、7、16、17、20、21、乙E1~3)。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(甲E2) 昭和47年8月~昭和48年5月池島炭鉱坑道内において、岩粉を坑道に撒く作業に従事。 昭和49年2月20日~昭和49年8月23日共立土建株式会社において、鉄板のガス切断作業に従事(甲E3、乙E2) 平成3年3月6日~平成12年5月20日株式会社丸金佐藤造船鉄 工所において、溶接、切断作業に従事(甲E3、7)。 ⑹ 原告A12ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲F2~6、乙F1、2、5、6)平成9年2月~平成21年6月株式会社新星興業の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)、長浜工場において、船内(船底 等)で、船体ブロック工事(艤装工事)の工程で、アーク溶接作業、グラインダー作業に従事。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(甲F2~ 門)、香焼工場(船部門)、長浜工場において、船内(船底 等)で、船体ブロック工事(艤装工事)の工程で、アーク溶接作業、グラインダー作業に従事。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(甲F2~5、乙F1、6)昭和47年3月15日~昭和61年11月28日三菱石炭鉱業株式会社高島鉱業所において、昭和53年12月まで、採炭現場での採炭・移送 用の機械・器具の保守管理作業に、昭和54年2月以降、同所内の火力発電所の運転管理作業に従事。 ⑺ 原告A13ア長崎造船所における粉じん作業職歴 原告A13は、主張整理表②のとおり、昭和31年4月から昭和36 年5月まで、丸井工業に所属し、長崎造船所において、石綿粉じん作業 - 67 -(石綿布団作成、保温作業)に従事した旨主張し、これに沿う供述等(甲G7、11、12、原告A13本人)をする。同供述等及び関係証拠(甲G1、乙G3)によれば、原告A13が、中学卒業後、一定期間、丸井工業に所属し、同作業に従事したことは窺われるが、上記関係証拠間で、洋裁学校卒業後に就職したか否かが齟齬するなど、記憶の正確性 に疑義があり、丸井工業への所属や丸井工業が被告の下請であったことを裏付ける証拠はないことからすると、原告A13が、長崎造船所において上記作業に従事したことを認めるには足りない。 昭和36年6月1日~昭和42年12月31月(但し、後記イの期間を除く) 株式会社日本冷熱工産工業部の従業員として、立神工場(船 部門)において、船内で、保温作業に従事(甲G1、2、7、9、11、12、乙G3)。 昭和42年1月1日~平成12年6月30日株式会社日本冷熱の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)において、船内、屋内で、入社当 G1、2、7、9、11、12、乙G3)。 昭和42年1月1日~平成12年6月30日株式会社日本冷熱の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)において、船内、屋内で、入社当初は、石綿布団の作成作業に従事し、その後は、断熱材 を配管に巻き付けるなどの保温作業に従事(甲G1、2、7、8、10~12、乙G3、原告A13本人)。 原告A13は、主張整理表②のとおり、平成12年7月から平成15年4月まで、株式会社日装に所属し、長崎造船所において、粉じん作業に従事した旨主張するが、当初、「職種ないし作業内容」と「分類」と で、石綿取扱作業の有無が齟齬するなど、従事した作業が不明であり、健康管理手帳(じん肺)(甲9)、同(石綿)(甲10)にも記載がないことに照らし、同主張を認めるには足りない。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(甲G7、11)昭和37年頃~昭和38年頃の一定期間日本冷熱工産工業部の従業員 として、他の造船所での保温作業、ビルの配管の保温作業に従事。 - 68 -⑻ 原告A14ア長崎造船所における粉じん作業職歴 昭和30年10月3日~昭和33年8月15日被告の従業員として、立神工場(船部門)において、船内、建屋内で、新造船の船殻作業の工程で、溶接作業、グラインダー作業に従事(甲H3、5、7、14、1 6、乙H1)。 原告A14は、主張整理表②のとおり、昭和40年12月から昭和43年11月まで、日本商工株式会社に所属し、長崎造船所において、粉じん作業に従事した旨主張し、これに沿う供述等(甲H5、7、原告A14本人)をするが、原告A14が同社に在籍していたことを裏付ける 証拠はなく、同主張を認めるには足りない。 昭和4 じん作業に従事した旨主張し、これに沿う供述等(甲H5、7、原告A14本人)をするが、原告A14が同社に在籍していたことを裏付ける 証拠はなく、同主張を認めるには足りない。 昭和43年12月1日~昭和44年4月3日大丸工業株式会社の従業員として、立神工場(船部門)において、船内、屋内外で、溶接作業に従事(甲H3、5、7、15、乙H1)。 昭和44年4月9日~昭和45年5月10日日本冷熱の従業員とし て、向島岸壁、八軒屋岸壁において、船内で、防熱材を貼り付けるなどの保温作業、溶接作業に従事(甲H3、5、7、15、乙H1)。 昭和59年6月5日~平成7年7月22日日章工業有限会社の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)において、船内、屋内外で、溶接作業、修繕作業に従事(甲H2、3、5、7、14~1 6、乙H1)。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(甲H3、5、7) 昭和35年9月27日~同年12月14日川岸工業株式会社の従業員として、他の造船所において、溶接作業に従事(甲H14、16、乙H1)。 昭和39年8月1日~同年10月10日、昭和40年2月1日~同年 - 69 -11月13日富田工業株式会社の従業員として、他の造船所において、溶接作業、グラインダー作業に従事(甲H14、16、乙H1)。 昭和39年11月1日~同年12月25日共進工業株式会社の従業員として、他の造船所において、溶接作業、グラインダー作業に従事。 昭和45年5月16日~昭和54年11月30日林兼船渠株式会社 の従業員として、他の造船所において、溶接作業、グラインダー作業に従事(甲H15、乙H1)。 平成7年7月23日~平成8年2月 5年5月16日~昭和54年11月30日林兼船渠株式会社 の従業員として、他の造船所において、溶接作業、グラインダー作業に従事(甲H15、乙H1)。 平成7年7月23日~平成8年2月20日町工場において、日雇のアルバイトとして、溶接作業に従事。 ⑼ 原告A15 ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲I2、4~6、13、14、乙I16)昭和44年10月4日~昭和54年1月12日菱工業株式会社の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)において、屋内で、アーク溶接、グラインダー作業に従事。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(甲I4~6、14、乙I16) 昭和54年2月1日~平成3年3月31日有限会社久保水道設備工業所の従業員として、水道管敷設配管作業に従事。 平成3年4月1日~平成22年6月25日有限会社日進工業の従業員として、水道管敷設配管作業に従事。 ⑽ 原告A16ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲J2、6、7、9、10、乙J4) 昭和40年11月~平成4年7月31日有限会社長崎木装の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門、機械部門)、向島に おいて、船内、屋内外で、新造船、修繕船の保温材の取付け、取外し等 - 70 -の保温作業、清掃作業に従事(甲J4、11、乙J1)。 平成5年4月~平成16年5月菱陽商事の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門、機械部門)、向島において、船内、屋内外で、主に新造船の保温作業、清掃作業に従事。 イ他の事業所での粉じん作業職歴 無し。 ⑾ 原告A17ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲K3、6、7、10、14、乙 内外で、主に新造船の保温作業、清掃作業に従事。 イ他の事業所での粉じん作業職歴 無し。 ⑾ 原告A17ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲K3、6、7、10、14、乙K9) 昭和41年5月2日~昭和51年3月15日有限会社宝和工業(被 告下請の岩永工業株式会社の関連会社)の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)において、船内外で、錆打ち・塗装作業に従事。 昭和51年3月18日~平成14年11月共栄工業株式会社の従業員として、立神工場(船部門)、香焼工場(船部門)において、船内外 で、錆打ち・塗装作業に従事(甲K4)。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(乙K9) 昭和35年頃~昭和38年4月頃、同年7月頃~昭和41年4月頃梶山組の従業員として、採石場において、掘削・砕石積込作業に従事(甲K6、10、原告A17本人)。 平成14年11月~平成17年7月31日共栄工業の従業員として、久保工業の福田工場(長崎造船所構外)において、錆打ち作業に従事(甲K7、原告A17本人)。 ⑿ 原告A18ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲L5、6、乙L14) 昭和37年6月15日~昭和41年12月26日合資会社吉本協運 - 71 -の従業員として、立神工場(船部門)、向島において、船内、屋内で、冷暖房機の取付け・取替え(主に修繕船)の工程で、溶接作業、グラインダー作業に従事(甲L4)。 昭和42年1月7日~平成12年1月31日日本冷熱の従業員として、立神工場(船部門)、向島において、上記と同様の作業に従事 (甲L4)。 平成12年2月1日~平成14年3月31日日装(日本冷熱下 日~平成12年1月31日日本冷熱の従業員として、立神工場(船部門)、向島において、上記と同様の作業に従事 (甲L4)。 平成12年2月1日~平成14年3月31日日装(日本冷熱下請)の従業員として、立神工場(船部門)、向島において、上記と同様の作業に従事(甲L4)。 平成14年4月1日~平成16年3月頃船舶メンテナンス(日本冷 熱下請)の従業員として、立神工場(船部門)、向島において、上記と同様の作業に従事(乙L1)。なお、原告A18は、平成18年3月まで、長崎造船所において、上記作業に従事した旨主張し、上記各証拠によれば、同月末日まで船舶メンテナンスに所属していたことは認められるが、同社が労働基準監督署に対し、離職前2年間は別会社で仕事を していた旨回答していることに照らし、上記期間を超えて、長崎造船所において、上記作業に従事したと認めるには足りない。 イ他の事業所での粉じん作業職歴無し。 ⒀ 亡E ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲M2~4、6) 昭和45年5月1日~昭和48年12月14日松石電設工業株式会社の従業員として、立神工場(船部門)、飽ノ浦工場、向島工場において、船内で、新造船の電気設備の配線作業に従事。 昭和55年1月8日~平成6年9月30日松石電設工業の従業員と して、香焼工場(船部門)において、船内で、修繕船の電気設備の配線 - 72 -作業に従事。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(甲M2~4)昭和48年12月16日~昭和54年11月30日林兼造船の従業員として、他の造船所において、船内で、電気設備の配線作業に従事。 ⒁ 亡F ア長崎造船所における粉じん作業職歴 昭和 48年12月16日~昭和54年11月30日林兼造船の従業員として、他の造船所において、船内で、電気設備の配線作業に従事。 ⒁ 亡F ア長崎造船所における粉じん作業職歴 昭和36年11月1日~昭和41年6月30日大丸工業の従業員として、立神工場(内業工場)において、建屋内で、ガス切断作業に従事(甲N1、5、15、16の1、乙N14)。 昭和41年7月1日~昭和44年11月30日興洋工業の従業員と して、立神工場(内業工場)において、建屋内で、上記と同様の作業に従事(甲N5、15、16の2・3、乙N14)。 原告は、主張整理表②のとおり、昭和47年9月1日から昭和50年9月30日まで、昭和51年4月1日から昭和52年5月31日まで、同年7月4日から昭和53年3月31日まで、同年7月7日から同年8 月31日までの間、小柳組の従業員として、長崎造船所において、ガス切断、溶接、グラインダー作業に従事していた旨主張する。亡Fが上記の間、小柳組に所属して稼働していたことは認められる(甲N16の4~7)が、亡Fの健康管理手帳(甲N5)には、概ね上記に対応する期間(小柳組は興洋工業の下請であり、昭和51年1月ないし昭和56年 2月の興洋工業所属期間の一部も含む。)、「鉄銅センター」でガス切断作業に従事していた旨が記載されているところ、同事業所が長崎造船所を指すことを認めるに足りる証拠はなく、長崎造船所において稼働していたと認めるには足りない。 昭和56年3月1日~平成11年12月31日興洋工業の従業員と して、立神工場(内業工場)において、建屋内で、主としてガス切断作 - 73 -業に従事したほか、一部、溶接、グラインダー作業に従事(甲N2、5、10、12、15 興洋工業の従業員と して、立神工場(内業工場)において、建屋内で、主としてガス切断作 - 73 -業に従事したほか、一部、溶接、グラインダー作業に従事(甲N2、5、10、12、15、16の8、20、乙N14)。 原告は、主張整理表②のとおり、昭和54年8月1日から、長崎造船所において、稼働していた旨主張するが、上記のとおり、健康管理手帳記載の「鉄銅センター」が長崎造船所を指すことを認めるに足りる証 拠はなく、同日から昭和56年2月までの間は、長崎造船所において稼働していたと認めるには足りない。 また、亡Fが従事した作業について、原告及び被告は、それぞれ、主張整理表②のとおり主張するところ、亡Fは、昭和49年3月25日にガス溶接の技能講習を受講して同作業資格を取得し(甲N10)、上記 認定期間中、亡Fが溶接作業にも従事していた旨のU及びVの陳述書(甲N2、20)があり、亡Fの臨床病歴(甲N12)に、これに沿う職歴の記載があることからすると、上記のとおり、認定することができる。他方、上記、の間、亡Fが溶接、グラインダー作業に従事したことを認めるに足りる証拠はない。 平成13年12月~平成14年12月興陽工業の従業員として、香焼工場敷地内の一画に所在する株式会社九州スチールセンターの工場において、三共工業に所属して、ガス切断作業に従事(甲195、甲N4、5、10、11、乙N14、15、41)。原告は、主張整理表②のとおり、亡Fが溶接作業、グラインダー作業に従事した旨主張するが、こ れを認めるに足りる証拠はない。 イ他の事業所での粉じん作業職歴上記アのとおり、亡Fが、小柳組の従業員として、ガス切断作業に従事していたことは認められるところ、長崎造船所に れを認めるに足りる証拠はない。 イ他の事業所での粉じん作業職歴上記アのとおり、亡Fが、小柳組の従業員として、ガス切断作業に従事していたことは認められるところ、長崎造船所において稼働していたとは認められない以上、その間、長崎造船所以外の事業所において同作業に 従事していたものと推認される。そのほか、被告は、主張整理表③のとお - 74 -り主張するが、本件証拠上、亡Fが他に粉じん作業に従事したことを認めるに足りる証拠はない。 ⒂ 原告A23ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲O4の1、5、10) 昭和37年1月4日~同年2月17日崎陽工業有限会社の従業員と して、立神工場(機械部門)において、屋内で、タービンブレードの仕上げ作業に従事(乙O5)。 昭和39年3月2日~昭和41年5月19日合資会社吉本協運の従業員として、立神工場(機械部門)において、屋内で、タービンブレードの仕上げ作業に従事(甲O9、乙O4の1、5、10、11)。 昭和42年5月6日~昭和49年2月18日株式会社丸菱商会本部の従業員として、立神工場(船部門)において、屋内で、溶接作業に従事(乙O4の1、5)。 昭和55年5月15日~昭和57年4月16日長田工業株式会社の従業員として、立神工場(機械部門)において、屋内で、タービンブレ ードの仕上げ作業に従事(乙O4の1)。 イ他の事業所での粉じん作業職歴昭和49年3月~昭和50年12月長崎鋼業所の従業員として、他の造船所において、溶接作業に従事(甲O5、10、乙O4の1、5)。 ⒃ 原告A24 ア長崎造船所における粉じん作業職歴 昭和36年2月20日~昭和37年5月7日日本 て、他の造船所において、溶接作業に従事(甲O5、10、乙O4の1、5)。 ⒃ 原告A24 ア長崎造船所における粉じん作業職歴 昭和36年2月20日~昭和37年5月7日日本冷熱工産工業部の従業員として、立神工場(船部門)において、船内で、蒸気用の配管に保温材を取り付けるなどの保温作業に従事(甲P1、5、8、9)。 平成6年11月~平成8年8月有限会社港栄船舶の従業員として、 香焼工場(長浜工場)において、屋内で、仮付溶接、ガス切断、グライ - 75 -ンダー作業に従事(甲P4、5、7、9)。 平成8年9月~平成12年2月有限会社小浜総業から洲崎工業に派遣され、立神工場(船部門)において、屋外で、ガス切断、グラインダー作業に従事(甲P4、5、7、9)。 原告A24は、主張整理表②のとおり、平成13年2月から平成18 年8月まで、一ノ瀬商会から長田工業に派遣され、粉じん作業に従事した旨主張する。関係証拠(甲P4、5、7、9)によれば、原告A24が、上記の間、一ノ瀬商会から長田工業に派遣され、長崎造船所において稼働したことは窺われるが、従事した作業の主要部分に変遷があり、粉じん作業に従事したことを認めるには足りない。 イ他の事業所での粉じん作業職歴(甲P4、7、9) 昭和38年3月26日~平成元年2月28日株式会社早瀬鉄工所の従業員として、他の造船所において、溶接、ガス切断、グラインダー作業に従事(甲P1)。 平成18年9月~平成21年9月有限会社松尾鉄鋼所において、溶 接、ガス切断、グラインダー作業に従事(乙P1)。 ⒄ 亡Hア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲Q1、9) 昭和37年3月~昭和41年2月長崎 会社松尾鉄鋼所において、溶 接、ガス切断、グラインダー作業に従事(乙P1)。 ⒄ 亡Hア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲Q1、9) 昭和37年3月~昭和41年2月長崎木装の従業員として、立神工場(船部門)、向島、飽の浦工場において、船内で、居住区の天井、壁、 床面に保温材を貼り付けるなどの保温作業に従事(甲Q3~5、18)。 昭和41年7月~昭和50年12月有限会社日電の従業員として、向島において、船内で、照明用の電気配線作業に従事(甲Q18)。 昭和51年11月~昭和53年10月長崎木装の従業員として、立神工場(船部門)、向島、飽の浦工場において、船内で、上記と同様 の作業に従事(甲Q3~5、13)。 - 76 - 昭和57年11月~昭和61年3月長崎木装の従業員として、立神工場(船部門)、向島、飽の浦工場において、船内で、上記と同様の作業に従事(甲Q3~5、13)。 イ他の事業所での粉じん作業職歴無し。 ⒅ 原告A30ア長崎造船所における粉じん作業職歴(甲S1、7、8、乙S2) 昭和29年4月~昭和42年1月長崎木装の従業員として、立神工場(船部門)において、船内で、居住区の天井、壁面に断熱材を貼り付けるなどの保温作業、清掃作業に従事(甲S2、5、13)。 昭和45年2月1日~昭和47年6月20日有限会社向井組(長崎船舶装備下請)の従業員として、立神工場(船部門)において、船内で、断熱材を居住区の天井、壁面に貼り付け、パイプに巻き付けるなどの保温作業に従事(甲S10、13)。 昭和47年6月21日~平成3年2月28日長崎船舶装備株式会社 の従業員として、立神工場(船部門)に 井、壁面に貼り付け、パイプに巻き付けるなどの保温作業に従事(甲S10、13)。 昭和47年6月21日~平成3年2月28日長崎船舶装備株式会社 の従業員として、立神工場(船部門)において、船内で、上記と同様の作業に従事(甲S2、5、乙S3)。 なお、乙S3号証によれば、原告A30は、昭和51年3月31日から昭和53年6月21日までの間、有限会社橋沢建装に出向していたことが認められるが、同期間中の作業内容はその前後と同一であり、他の 関係証拠と併せると、同出向期間中も、長崎造船所において稼働していたものと推認される。 イ他の事業所での粉じん作業職歴無し。 3 争点⑴(じん肺罹患の有無)について ⑴ じん肺の種類及び特徴 - 77 -アじん肺の種類じん肺は、吸入した粉じんの種類や量によって病変の発生機序やX線写真、CT画像(以下、特に断らない限り胸部CT画像をいう。)の画像所見が異なり、労働省安全衛生部労働衛生課(当時)編「じん肺診査ハンドブック」(甲1)においては、「けい肺」、「石綿肺」、「その他のじん 肺」の3つに大別されている。その他のじん肺は、粉じんの種類により種々のものがあるが、本件に関係するものとして、溶接工肺(鉄肺・酸化鉄肺)がある。(甲1、乙2の1)イけい肺(甲1、75、80、102、乙2の1、4の1、5の1・2、54) けい肺の特徴等けい肺は、遊離珪酸を含む粉じんの吸入によって発生する。遊離珪酸は肺に吸い込まれた後、マクロファージ等に貪食されリンパ流に乗って肺から排除されるが、その途中に沈着して結節状の線維化病巣(けい肺結節)を形成する。遊離珪酸粉じんはリンパ流の動きが相対的に少ない 上葉、 まれた後、マクロファージ等に貪食されリンパ流に乗って肺から排除されるが、その途中に沈着して結節状の線維化病巣(けい肺結節)を形成する。遊離珪酸粉じんはリンパ流の動きが相対的に少ない 上葉、背側に多く溜まり易いため、けい肺結節は上葉、背側に生じ易く、リンパ路に沿って小葉中心、小葉間隔壁、臓側胸膜などに多く生じる。 けい肺結節は、密度が高くなるに従ってより大きな結節を形成し、1cmを超えたけい肺結節は進行性塊状線維症(PMF)と呼ばれる。また、けい肺結節は肺門部や縦隔リンパ節にも生じる。 けい肺は、採石業、採鉱業、窯業、鋳物業、金属製錬業、セメント製造業、船舶製造業、珪酸化学工業等で発生し得る。 けい肺の画像所見の特徴aX線上肺野優位に比較的境界明瞭な1~5mm程度の粒状影がみられる。 じん肺の進行とともに粒状影の密度が増していき、中下肺野に拡がる。 - 78 -基本的に左右均一に分布するが、不均一な場合は右肺野優位に出現し、内層背側優位に出現することが多い。さらに進行すると、癒合して大陰影(PMF)がみられることがある。 bCT粒状影は上肺野背側より優位に分布し、吸入粉じんが沈着し易い細 気管支部で線維化病巣を形成することにより、小葉中心性分布を示し、そのほか小葉間隔壁、胸膜下等の広義間質に分布する。粒状影は辺縁明瞭でコントラストの高い結節陰影を呈する。進行すると粒状影の癒合による大きな結節影(塊状の線維化巣)がみられることがある。 ウ石綿肺(甲1、75、80、102、乙2の1、4の2、5の1・4、 48、54、80) 石綿肺の特徴等石綿肺は、通常、石綿粉じんの高濃度曝露により大量に吸入することによっ 甲1、75、80、102、乙2の1、4の2、5の1・4、 48、54、80) 石綿肺の特徴等石綿肺は、通常、石綿粉じんの高濃度曝露により大量に吸入することによって発生する。吸入された石綿線維をマクロファージが貪食することと、石綿線維が直接肺胞上皮細胞を障害することから一連の生体反応 が生じてびまん性間質性線維化をきたす。石綿粉じんは、遊離珪酸と異なり、繊維状粉じんであり、末梢肺に到達後の貯留率が高いため、両側下葉肺底部や上葉下部の胸膜下領域から線維化が生じ、呼吸細気管支から、周囲肺胞壁・終末細気管支壁・肺胞道壁の間質部に沿って拡がり、緩徐に進行する。粗い網目状や、辺縁不明瞭な星芒状細葉中心性線維化 巣を形成し、進行すると蜂巣肺を形成することがあるが、頻度は高くはない。また、石綿線維に鉄蛋白が付着して石綿小体が形成され、石綿小体の検出、計測は、石綿粉じん曝露、石綿肺の鑑別の重要な所見となる。 石綿肺は、石綿加工業、石綿セメント製造業、断熱性石綿製品、ブレーキライニングの製造等、石綿製品取扱作業等で発生し得る。 石綿肺の画像所見の特徴 - 79 -aX線下肺野優位に線状影・網状影等の不整形陰影がみられる。両側下肺外側部から上方に進展する下葉優位、背側優位の分布を呈し、進展するに従い、中肺野から上肺野に広がり、線条影・網状影が増強し、心陰影が不鮮明となり、蜂巣肺が出現することがある。また、胸膜プラ ークやびまん性胸膜肥厚のような胸膜病変を伴うことが多く、特に胸膜プラークは石綿ばく露を示す所見として重要である。 bCT下肺野・背側優位で、両側下葉肺底部や上葉下部の胸膜下領域に初期病変が認められる。細気管 うことが多く、特に胸膜プラークは石綿ばく露を示す所見として重要である。 bCT下肺野・背側優位で、両側下葉肺底部や上葉下部の胸膜下領域に初期病変が認められる。細気管支周囲の線維化を反映して、胸膜直下に 小葉中心性に分布する数mm大の粒状影がみられ、進行した症例でも、病変の軽微な上中肺野の胸膜下にみられる。病変が進行すると、胸膜下粒状影が連結して胸膜下線条影を形成する。さらに病変が進行すると、小葉内間質肥厚像、小葉間隔壁肥厚像を呈し、すりガラス影を伴うことがあり、さらに、牽引性気管支拡張が生じ、蜂巣肺所見を呈す ることがある。また、胸膜下楔状影や肺実質内帯状影、モザイク状影がみられることがあり、胸膜プラークやびまん性胸膜肥厚も石綿ばく露を示す指標となる。 エ溶接工肺(甲80、82、102、乙2の1、4の3、5の1・3、54、80、365) 溶接工肺の特徴等溶接工肺は、溶接の際に発生する酸化鉄等のヒューム(高温により帰化した後、急速に冷却され凝縮して生じた個体粒子。酸化鉄が主であるが、母材、溶接棒、被覆材の種類によりケイ素、マンガン、チタン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、クロム、ニッケル、 炭素等種々の成分が含まれる。)を吸入することにより発生する。吸入 - 80 -された酸化鉄主体の粉じんは終末細気管支から呼吸細気管支及びその周囲肺胞に達し、排泄されなかった酸化鉄粉じんは肺胞内でマクロファージに貪食されて存在する。多くの場合、線維化を起こさず、粉じん作業離脱後、肺内の粉じんが排出され、画像所見が改善することがあるが、一部酸化鉄粉じん沈着部の細葉や小葉が収縮し、肺胞隔壁から網状線維 増殖をきたし、粉じん巣を形成 合、線維化を起こさず、粉じん作業離脱後、肺内の粉じんが排出され、画像所見が改善することがあるが、一部酸化鉄粉じん沈着部の細葉や小葉が収縮し、肺胞隔壁から網状線維 増殖をきたし、粉じん巣を形成し、膠原線維化することにより線維化が生じ、肺胞壁の線維性肥厚、膠原繊維の増殖・結節形成、肺気腫などの不可逆的変化をきたすことがある。 溶接工肺(鉄肺・酸化鉄肺)は、電気溶接作業、ガス切断、グラインダー研磨、鉄鉱採鉱作業等で発生し得る。溶接作業の内容によっては、 石綿ばく露を受け、石綿肺を生じることもある。 溶接工肺の画像所見の特徴aX線主たる所見は、中下肺野を中心に左右均等に分布する0.5~2mm程度の比較的大きさがそろった小粒状影であり、珪肺等に比べ影が 淡く辺縁が不鮮明なものが多い。縦隔リンパ節腫大は伴わず、通常大陰影は形成しない。進行例では、全肺野に微細結節状陰影が密に分布する。 bCT境界不明瞭な小葉中心性の淡い微細結節影、分岐状影及び淡い小斑 状影がびまん性に現れることが特徴的であり、分岐状影は、細気管支周囲に鉄の貪食を伴うマクロファージが沈着することによるものと考えられ、進行すると分岐状影周囲にすりガラス影を伴うようになり、さらに小葉中心性の微細粒状影や結節状のすりガラス影を認めることがある。 ⑵ じん肺罹患についての管理区分決定による推認とその反証 - 81 -ア管理区分決定による推認 前提事実⑵のとおり、じん肺法は、粉じん作業に従事する労働者及び元労働者について、じん肺健康診断の結果に基づき、管理1から4に区分して健康管理を行うものとし、管理2ないし4の管理区分は、一般医師によるX線写真 とおり、じん肺法は、粉じん作業に従事する労働者及び元労働者について、じん肺健康診断の結果に基づき、管理1から4に区分して健康管理を行うものとし、管理2ないし4の管理区分は、一般医師によるX線写真及びじん肺健康診断結果証明書等を基礎として、地方 じん肺診査医の診断又は審査により決定される。 上記じん肺健康診断の実施方法や判定方法は、じん肺法、同法施行規則及びじん肺診査ハンドブック(甲1)により、その詳細が定められ、X線写真検査については、標準X線写真(昭和53年作成の「じん肺標準エックス線写真フィルム」並びに平成23年3月作成の「じん肺標準 エックス線写真集」フィルム版及び電子媒体版〔参考として22症例中14症例について胸部CT写真を収録〕)を用いて判断することとされている(乙23)。また、地方じん肺診査医は、じん肺に関し相当の学識経験を有する医師のうちから任命され(じん肺法39条4項)、審査管理区分決定は、その診断又は審査により決定され、厚生労働省労働基 準局長の平成28年3月14日付け通達(甲111)により、複数の地方じん肺診査医がいる都道府県労働局においては、複数の診査医による合議によることが推奨されている。 このような管理区分制度の仕組みや運用状況、特にじん肺健康診断を実施した医師と地方じん肺診査医による二段階の医学的な診断又は審査 を経て決定することとされていることからすれば、管理区分決定は、じん肺罹患の有無及び程度を判断する方法として合理性を有するということができ、管理区分決定を受けた労働者のじん肺の罹患及びその程度を示すものとして、高度の信用性を有するものと認められる。 したがって、管理2以上の決定を受けた労働者については、特段の事 情がない限り、これに相当する程 者のじん肺の罹患及びその程度を示すものとして、高度の信用性を有するものと認められる。 したがって、管理2以上の決定を受けた労働者については、特段の事 情がない限り、これに相当する程度のじん肺に罹患したことが推認され、 - 82 -これを覆すに足りる反証がされない限り、上記事実を認めるのが相当である。 この点、被告は、前記第4の1⑴(被告の主張)のとおり、管理区分決定により、じん肺罹患の事実まで推認することはできない旨主張するが、被告主張の諸事情により、X線写真検査のほか粉じん作業の職歴調 査、胸部臨床検査等のじん肺健康診断を実施し、これらを踏まえて、上記仕組みによりじん肺罹患の有無及び程度を判断することが、一般的に、医学的知見に照らして合理性、相当性を欠くということはできないから、被告主張の諸事情により、上記推認についての判断を左右するものとはいえず、採用することはできない。 イ CT等による反証について CTの仕組み等CTは、多方向からX線を照射し、その透過強度を計測し、断層面のX線吸収値分布を再構成する方式であり、人体を螺旋状に走査するヘリカルスキャンが主流である。CT画像は、微小な画素(ピクセル)に断 層厚を乗じた単位体積(ボクセル)に含まれる平均X線吸収値の大小に応じて、白黒の濃淡をつけた画像として表示される。取得したデータから目的に応じて任意の画像を再構成でき、胸部CT画像では、通常、肺野条件(肺野を中心に表示)と縦隔条件(縦隔や胸壁の軟部組織を中心に表示)の二種類で出力される。CTは、X線写真よりも、濃度分解能 が高く、空間分解能では劣るが、ピクセル数を増し、断層厚を薄くし、局所的に拡大して再構成することにより、0.3~0.4mm程度の分解 の二種類で出力される。CTは、X線写真よりも、濃度分解能 が高く、空間分解能では劣るが、ピクセル数を増し、断層厚を薄くし、局所的に拡大して再構成することにより、0.3~0.4mm程度の分解能が得られ、肺などの高コントラスト領域に有用である。 他方、胸部X線写真は、全体像を把握し易いが、一方向からX線を照射し、その透過像を平面的に写し出すため、胸壁組織、胸郭骨組織、胸 膜等が肺と重なって投影される。 - 83 -(甲9、乙10、66、67、186、187、189) じん肺の診断におけるCTの有用性についてa 「第二版産業保健ハンドブックⅣ じん肺」(平成20年、乙2の1・76頁)には、じん肺診断におけるCTの意義等について、概要、次の記載がある。 CTはじん肺の診断においても不可欠の手段である。胸部X線写真のような重複像が少なく、胸部X線写真と比較して解像力は低いがコントラスト分解能が高く、じん肺の陰影の表現に優れており、陰影の病態が理解されやすい画像を提供している。すなわち、胸部X線写真で表現されない微細な粒状影、淡い粒状影、粒状影の融合、間質性肺 線維化影、気腫化、ブラ、ブレブ、蜂窩肺、胸膜斑、胸膜石灰化斑、大陰影の周辺の変化、空洞形成などにおいては優れた検出能を有している。石綿ばく露者の胸部X線写真では表現されない早期の下肺後面胸膜直下の微細な間質性病変の検出にHRCTは優れている。また、胸部X線写真で胸膜斑とされる陰影を認めてもCTでは表現されない ことがある。さらに、傍胸骨椎体部分の胸膜斑については、胸部X線写真では表現されないのに対し、CTでは鮮明に表現される。 b そのほか多数の文献等(「じん肺のHRCT所見」〔平成10年、甲7 ことがある。さらに、傍胸骨椎体部分の胸膜斑については、胸部X線写真では表現されないのに対し、CTでは鮮明に表現される。 b そのほか多数の文献等(「じん肺のHRCT所見」〔平成10年、甲78〕、「びまん性肺疾患の画像診断指針」〔平成10年、乙10〕、「塵肺症の画像診断は胸部単純写真で可能か? CTがあれば 何がわかるか?」〔平成14年、乙13〕、「職業性呼吸器疾患、特にじん肺のCT、ヘリカルCT検査」〔平成15年、乙188〕、「石綿肺(asbestosis)の画像診断」〔平成19年、乙15〕、「肺HRCT 原書4版」〔平成22年、甲79〕、「石綿、石綿肺、及びがん、診断及び原因判定に関するヘルシンキ・クライテ リア2014年版:勧告」〔乙76〕、「じん肺の診断基準及び手法 - 84 -に関する調査研究平成26年度分担研究報告書」〔乙173〕、「じん肺の診断基準及び手法に関する調査研究平成26~28年総合研究報告書」〔甲106〕、「医学的判定に関する留意事項」〔令和2年、乙353〕)において、じん肺の診断におけるCTの有用性が指摘されている。 c 他方、前記アのとおり、管理区分決定は、標準X線写真に基づくX線写真検査等を基礎としてされ、胸部CT写真は、補助的に用いることとされている(乙61)。 平成22年5月13日付け「じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会報告書」(甲116)には、胸部CT写真について、検 査の普及が進んでおり、じん肺にかかるCT写真の国際的なガイドラインが発刊されている一方、放射線被爆量が単純X線写真に比べて高いこと、事業者がじん肺健康診断の費用を負担すること、読影技術の普及が必要であることから、現時点において、胸部CT写真検査をじん肺健康診 ンが発刊されている一方、放射線被爆量が単純X線写真に比べて高いこと、事業者がじん肺健康診断の費用を負担すること、読影技術の普及が必要であることから、現時点において、胸部CT写真検査をじん肺健康診断における検査として位置付け、全ての対象者に対し一律 に検査を行うことは妥当ではないが、じん肺の所見を的確に把握するためには、胸部CT写真の画像所見も有用であることや、じん肺の合併症である肺がんに関する検査として胸部CT検査が実施されていることも踏まえ、じん肺所見の有無は胸部X線写真により判断することを基本とし、胸部CT写真がある場合、診断の参考にとどめることが 適当である旨が記載されている。 また、前記平成28年3月14日付け通達(甲111)の留意事項として、同報告書において、胸部CT写真の取扱いについて引き続き情報収集に努めることが必要であると提言されていること、上記「じん肺の診断基準及び手法に関する調査研究」が実施され、その手法や 安全性について検討し、その有用性、安全性、経済性が明らかになれ - 85 -ば、じん肺健康診断への積極的な導入を考慮することとしている旨が記載されている。 CT等による反証上記諸事情によれは、じん肺の診断において、CT画像所見が有用であることが認められる。そして、上記管理区分決定は、X線写真及びじ ん肺健康診断結果証明書等を基礎として、地方じん肺診査医の診断又は審査により決定され、CT画像所見はX線写真による画像所見の適否を検証する上で有用であるということができるから、上記管理区分決定による推認に対する反証として用いることができるというべきである。 この点、原告らは、前記第4の1⑵(原告らの主張)のとおり、CT 画像所見は推認を覆す ができるから、上記管理区分決定による推認に対する反証として用いることができるというべきである。 この点、原告らは、前記第4の1⑵(原告らの主張)のとおり、CT 画像所見は推認を覆す根拠となるものではない旨主張するが、同アないしウは、X線写真の方が有利な点もあること、読影上の問題があることを指摘するにとどまるから、一般的にCT画像所見による反証を否定する根拠となるものではない。また、同エは、上記cのとおり、胸部CT検査について、放射線被爆量、費用負担の問題や、読影技術の普及上 の問題(標準X線写真に代わる標準的なCT画像の整備が未了であることを含むものと解される。)から、全対象者一律に行うじん肺健康診断において実施することができず、参考にとどめるというにすぎず、その有用性を否定するものではないから、上記反証を否定する根拠となるものではない。上記指摘のうちCT画像の読影上の問題については、被告 が指摘するX線写真の読影上の問題と併せて、必要に応じて、個別の反証の可否において検討するのが相当である。 また、前記第4の1⑵(被告の主張)イの指摘についても、必要に応じて、個別の反証の可否において検討するのが相当である。 ⑶ 本件労働者ら17名のじん肺罹患についての医師の意見 ア本件労働者ら17名のじん肺罹患の有無について、被告は、被告協力医 - 86 -に対し、X線写真・CT画像のデータ、じん肺健康診断結果証明書等の資料を提供して画像診断を依頼し、被告協力医は、意見書(乙54~56)を作成した。被告協力医は、地方じん肺診査医の経歴が長く、じん肺や石綿関連疾患に関する豊富な診察・研究業績を有している(乙287~351)。被告協力医は、それぞれ、X線写真の読影による12階尺度の検討、 。被告協力医は、地方じん肺診査医の経歴が長く、じん肺や石綿関連疾患に関する豊富な診察・研究業績を有している(乙287~351)。被告協力医は、それぞれ、X線写真の読影による12階尺度の検討、 CT画像の読影によるじん肺罹患の診断、同所見を参考にしたX線写真所見の再検討をした上、その検討結果を持ち寄り、4名全員で再読影の上、診断結果をまとめた(乙54~56)。 被告協力医の意見の要旨は、別紙6の「専門医4名の所見」欄(ただし【乙412のその他の記載】部分を除く。以下「別紙6被告協力医意見」 という。)記載のとおりであり、被告協力医の後記イのL医師の意見に対する反論等の要旨は、別紙18-1~17の「被告協力医意見(乙412)」(以下「別紙18-1被告協力医意見」等という。)欄記載のとおりである(乙54~56、412)。 イ本件労働者ら17名のじん肺罹患の有無について、原告は、L医師に対 し、X線写真・CT画像のデータ、被告協力医作成の意見書(乙54~56)等の資料を提供して意見書の作成を依頼し、L医師は、意見書(甲203)を作成した。L医師は、一般内科、職業性呼吸疾患(じん肺・アスベスト関連疾患)を専門とする産業医資格を有する医師であり、じん肺や石綿関連疾患に関する豊富な診察・研究業績を有している。L医師は、上 記画像データを医療用高精細モニターで読影し、意見書を作成した。(甲203)L医師の意見(甲203)及び被告協力医の意見書(乙412)に対する反論の補充意見(甲224)の要旨は、別紙18-1~17の「L医師意見(甲203)」(以下「別紙18-1L医師意見」等という。)欄記 載のとおりである。 - 87 -⑷ 本件労働者ら17名のじん肺罹患について本件労働者ら17名 7の「L医師意見(甲203)」(以下「別紙18-1L医師意見」等という。)欄記 載のとおりである。 - 87 -⑷ 本件労働者ら17名のじん肺罹患について本件労働者ら17名は、前提事実⑶のとおり、いずれも管理2の決定を受けており、同程度のじん肺に罹患したと推認される。 上記推認に対する反証の可否に関して、上記⑶のとおり、被告協力医の意見とL医師の意見とが対立するところ、同見解の相違は、それぞれの立場を 反映したことが窺われるものの、被告協力医の意見(乙54~56)は、その手法に鑑み、相当程度の信用性を有するものということができる。 被告協力医のL医師の意見書(甲203)に対する指摘(乙412。ただし、X線写真とCT画像との位置・高さの相違のみの指摘については、当該所見がじん肺所見であるか否かに必ずしも影響するとはいえないから、考慮 しない。)は、L医師が指摘した箇所に対する検討が中心であり、これに対して、L医師は、印刷用紙でも確認し易い箇所を指摘したもので、医療用高精細モニター上は他にもじん肺所見が確認できるとするほか、粒状影が血管影の誤読であるとの指摘について、血管影の可能性を考慮して読影し、粒状影との所見を記載したと反論するが、個別には原告A16分について指摘す るにとどまり、その中で、別紙18-9のとおり、一部は血管影であることを認めていること(甲224)からすると、被告協力医の指摘が的を射ている部分があることを示すものといえる。 そのほか前記1で認定の粉じん作業職歴及び関係各証拠を総合すれば、次のとおりと認められる。 ア原告A1について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-1被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認 総合すれば、次のとおりと認められる。 ア原告A1について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-1被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-1L医師意見記載のとおりであり、管理区分決定に沿うものであるが、被告協力医の指摘に対し、 十分に合理的な説明をするものということはできず、他に被告協力医の - 88 -指摘が不合理であることを窺わせる証拠もない。 そうすると、被告協力医の意見は、管理区分決定による推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分なものということができ、他に、原告A1が、管理2に相当する程度のじん肺に罹患していることを認めるに足りる的確な証拠はない。 もっとも、原告A1は、前記2⑴のとおり、長期間、粉じん作業に従事してきたところ、両肺に石灰化した胸膜プラークが多数認められる等の所見から、石綿粉じんに曝露したことが認められ、また、管理区分決定の際に前提事実⑶ア、の諸症状(ただし、たん検査の結果を除く。)を有していたことが認められる。そして、上記被告協力医の指摘 の中にも、右肺中野外側の小葉中心性の粒状影と疑われる所見など、一部、じん肺所見に沿うと考えらえる所見もあり、L医師に対する指摘は、L医師が指摘した箇所に対する検討が中心であり、L医師が印刷用紙で確認し易い箇所を指摘したものであることから、L医師が読影したじん肺に沿う所見の全部を否定するものとまではいえないこと、画像所見に よる病変の検出にも一定の限界があること、じん肺の病変は、一般に進行性かつ不可逆性であり、管理2に相当する線維増殖性変化も緩徐に進行していくものと考えられることからすると、原告A1は、粉 に よる病変の検出にも一定の限界があること、じん肺の病変は、一般に進行性かつ不可逆性であり、管理2に相当する線維増殖性変化も緩徐に進行していくものと考えられることからすると、原告A1は、粉じんを吸入したことにより、管理2には至らない程度の線維増殖性変化が生じているか、これに進展する可能性のある状態にあると推認することができ、 一定の健康被害を受けているものと認められる。 イ原告A2について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-2被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-2L医師意見記載のとお りであり、これに対して、被告協力医は、同被告協力医意見記載のとお - 89 -り指摘している。 被告協力医及びL医師とも、左右横隔膜に一部石灰化を伴う胸膜プラークが認められることは一致しており、原告A2の粉じん作業職歴に照らし、原告A2が石綿粉じんに曝露したことが認められる。 また、L医師は、平成28年12月27日撮影のX線について、溶接 工肺に典型的な所見であると指摘し、被告協力医は、これを否定しているが、その理由は必ずしも判然とせず、平成29年1月27日撮影のCT画像について、右上葉・下葉にわずかに分岐状影の増加が疑われ、非特異的な所見であるため溶接ヒュームの吸入による影響の可能性も否定できないとしている。被告協力医は、同所見について、喫煙による気管 支細気管支炎の関与が考えられるとしているが、原告A2が長期間溶接作業に従事してきたことも考慮すると、溶接ヒュームに曝露したことによる影響の可能性を排斥するものではない。 原告A2は、社会医療法人健友会上戸町病院において、平成28年 原告A2が長期間溶接作業に従事してきたことも考慮すると、溶接ヒュームに曝露したことによる影響の可能性を排斥するものではない。 原告A2は、社会医療法人健友会上戸町病院において、平成28年9月13日、CT検査を受け、左下葉胸膜下にすりガラス状陰影結節の所 見がみられ、平成29年1月27日のCT検査においても、同様の所見がみられた。原告A2は、同所見について、じん肺所見の根拠として主張しているが、被告協力医は、同所見については言及していない。 前提事実⑶イのとおり、原告A2は、昭和61年4月11日、管理2の決定を受け、その後も、平成22年6月24日に再度認定を受けてお り、管理2に相当する程度のじん肺に罹患したことが推認されるところ、上記諸事情に照らすと、被告協力医の意見が、上記推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分であるとまではいえず、反証に奏功したとは認められない。 ウ原告A5について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-3被告協力医意見記載の - 90 -とおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-3L医師意見記載のとおりであり、管理区分決定に沿うものであるが、被告協力医の指摘に対し、十分に合理的な説明をするものということはできず、他に被告協力医の指摘が不合理であることを窺わせる証拠もない。 そうすると、被告協力医の意見は、管理区分決定による推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分なものということができ、他に、原告A5が、管理2に相当する程度のじん肺に罹患していることを認めるに足りる的確な証拠はない。 もっとも、原告A5は、前記2⑷のとおり、長期間、粉じん作業に従 事 ことができ、他に、原告A5が、管理2に相当する程度のじん肺に罹患していることを認めるに足りる的確な証拠はない。 もっとも、原告A5は、前記2⑷のとおり、長期間、粉じん作業に従 事してきたところ、胸膜プラーク所見から、石綿粉じんに曝露したことが認められ、また、続発気管支炎認定の際に、X線写真による画像所見のほかに前提事実⑶エ、の諸症状(ただし、たん検査の結果を除く。)を有していたことが認められる。そして、上記被告協力医の指摘の中にも、左右上葉に軽度の分岐上映及び不規則に分布する微細で淡い 粒状影が認められ、非特異的な所見であるため溶接ヒュームの吸入による影響の可能性も否定できないとするなど、一部、じん肺所見に沿うと考えられる所見もあり、上記アと同様、被告協力医の指摘が、L医師が読影したじん肺に沿う所見の全部を否定するものとまではいえないこと、画像所見による病変の検出にも一定の限界があること、じん肺の病 変は、一般に進行性かつ不可逆性であり、管理2に相当する線維増殖性変化も緩徐に進行していくものと考えられることからすると、原告A5は、粉じんを吸入したことにより、管理2には至らない程度の線維増殖性変化が生じているか、これに進展する可能性のある状態にあると推認することができ、一定の健康被害を受けているものと認められる。 エ亡Dについて - 91 - 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-4被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-4L医師意見記載のとおりであり、これに対して、被告協力医は、同被告協力医意見記載のとおり指摘している。 被告協力医は、一部石灰化を伴う胸膜プラークが認 る。L医師の意見は、別紙18-4L医師意見記載のとおりであり、これに対して、被告協力医は、同被告協力医意見記載のとおり指摘している。 被告協力医は、一部石灰化を伴う胸膜プラークが認められ、過去の石綿ばく露によるものと考えられると指摘しており、亡Dの粉じん作業職歴に照らし、亡Dが石綿粉じんに曝露したことが認められる。 L医師は、平成27年6月1日撮影のCT画像について、Im44 に不整形陰影(微細粒状影と網状影)が認められるとし、被告協力医は、 Im44 は胸膜肥厚と炎症後変化に伴うすりガラス影が認められ、非特異的な軽度の線維化像が混在しているとしているが、L医師の指摘を否定する根拠は必ずしも判然としない。 亡Dは、平成26年9月18日、社会医療法人長崎記念病院において、CT検査を受け、両側胸膜に一部石灰化を伴うプラーク様の肥厚が散見 され、石綿による胸膜病変を疑う、両側肺野の気腫性変化+、両側下葉や右中葉に左舌区など限局性の網状影が分布している、これらの陰影が肺炎(気腫性変化によるスイスチーズ様を呈しているもの)によるものか石綿に関連した間質性肺炎によるものか鑑別は難しく、経過観察を要するとの所見が見られ、同日及び同月25日の診察の結果、石綿肺、間 質性肺炎と診断された(甲E12)。 前提事実⑶オのとおり、亡Dは、平成27年1月27日、管理2の決定を受けており、管理2に相当する程度のじん肺に罹患したことが推認されるところ、上記諸事情に照らすと、被告協力医の意見が、上記推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分であるとまではいえず、反 証に奏功したとは認められない。 - 92 -オ原告A12について 前提事実⑶カのとおり、原告A12は、昭和54 、合理的な疑いを抱かせるのに十分であるとまではいえず、反 証に奏功したとは認められない。 - 92 -オ原告A12について 前提事実⑶カのとおり、原告A12は、昭和54年10月4日、昭和62年3月18日及び平成20年12月9日に管理2の決定を受けており、管理2に相当する程度のじん肺に罹患したことが推認される。 原告A12は、前記2⑹のとおり、昭和47年3月15日から昭和6 1年11月28日までの間、高島鉱業所において、平成9年2月から平成21年6月までの間、長崎造船所において、粉じん作業職歴を有する。 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-5被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものであるが、意見書作成の経緯に照らし、主として長崎造船所にお ける粉じん作業職歴から想定し得るじん肺の種類を念頭において検討したものと考えられ、原告A12と三菱マテリアル株式会社との間で、原告A12が高島鉱業所における粉じん作業によりじん肺に罹患したことを前提とする和解が成立していること(甲F8)も考慮すると、被告協力医の意見により、高島鉱業所における粉じん作業従事期間中及びその 離脱後間もない時期の上記昭和54年10月4日及び昭和62年3月18日の管理区分決定による推認を覆すことはできない。 そうすると、原告A12は管理2に相当する程度のじん肺に罹患したと認められるが、これが長崎造船所における粉じん作業に起因するものであるかは、後記5⑴ウで検討する。 カ原告A13について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-6被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意 カ原告A13について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-6被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-6L医師意見記載のとおりであり、これに対して、被告協力医は、同被告協力医意見記載のとお り指摘している。 - 93 - 被告協力医及びL医師とも、左右胸膜及び横隔膜等に一部石灰化を伴う広範囲な胸膜プラークが認められることは一致しており、原告A13が石綿粉じんに曝露したことが認められる。 被告協力医は、平成28年10月31日撮影のCT画像について、左右上葉の胸膜下の分岐上影は、医学的な石綿肺の初期病変の所見と矛盾 しないとし、右上葉の気道周囲に微小粒状影、線状影、すりガラス影が、左上葉の主に末梢気道周囲にすりガラス影が認められ、これらは非特異的な所見であり、画像のみで原因を判断するのは困難であるとする。 上記指摘や、L医師の不整形陰影の指摘に対する反論は、じん肺に沿う所見であることを否定する根拠が必ずしも判然とせず、個々の所見に ついて、限局的で軽微な所見であり、第1型(1/0)に相当するだけの陰影が確認できないとするにとどまる。 原告A13は、平成18年以降、毎年、日本赤十字社長崎原爆病院において、じん肺健康診断を受け、平成24年7月までは、CT検査の結果も参照して、第1型と診断され、CT検査の結果、平成18年11月 6日には、両側微細粒状影、両側胸膜肥厚石灰化との所見が、平成19年11月6日には、右上葉に結節ありとの所見が、平成20年8月18日には、右肺の結節は消失、胸膜肥厚石灰化、間質性変化との所見が、平成21年8月7日には、両肺びまん性、粒状影に変化ないと 、平成19年11月6日には、右上葉に結節ありとの所見が、平成20年8月18日には、右肺の結節は消失、胸膜肥厚石灰化、間質性変化との所見が、平成21年8月7日には、両肺びまん性、粒状影に変化ないとの所見が、平成22年7月30日には、両肺びまん性、小粒状影との所見が、平成 24年7月4日には、両肺びまん性、小粒状影との所見がみられたが、平成25年以降は、第1型とは診断されず、CT検査の結果、同年7月3日及び平成26年7月2日には、胸膜肥厚石灰化あるも昨年と同様との所見が、平成27年7月1日には、胸膜プラーク不変との所見が、平成28年6月29日には、胸膜プラーク石灰化ありとの所見がみられた (甲G9、乙G4)。 - 94 - 前提事実⑶キのとおり、原告A13は、昭和55年3月17日、管理2の決定を受けており、管理2に相当する程度のじん肺に罹患したことが推認されるところ、上記諸事情に照らすと、原告A13については、第1型に相当するか否か、読影する医師により見解が分かれ、判断が困難な状態にあるといえ、被告協力医の意見が、上記推認に対して、合理 的な疑いを抱かせるのに十分であるとまではいえず、反証に奏功したとは認められない。 キ原告A14について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-7被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないと いうものである。L医師の意見は、別紙18-7L医師意見記載のとおりであり、これに対して、被告協力医は、同被告協力医意見記載のとおり指摘している。 被告協力医は、軽度の胸膜プラークが認められ、過去の石綿ばく露によるものと考えられると指摘しており、原告A14の粉じん作業職歴に 照らし、原告A14が石綿粉じんに り指摘している。 被告協力医は、軽度の胸膜プラークが認められ、過去の石綿ばく露によるものと考えられると指摘しており、原告A14の粉じん作業職歴に 照らし、原告A14が石綿粉じんに曝露したことが認められる。 L医師は、平成28年1月8日撮影のCT画像について、気腫性変化が強く、線維化が見にくくなっているとし、強い気腫性変化は溶接工肺でよく観察される所見であるとしている。被告協力医は、溶接工肺に特徴的な陰影は認められないとし、その根拠は必ずしも判然としないが、 左右全肺野(上肺優位)に肺気腫所見が著名であり、Goddard 分類で7点に相当する気腫性変化を認めるとする点について、結節が結合して気腫が生じたとするには、核となる結節が見当たらず、じん肺による結節周辺の気腫性変化とは異なる分布や形状をしており、喫煙が原因の肺気腫と考えられることを根拠としているものと考えられる。しかし、原告 A14が長期間溶接作業に従事してきたことや後記の点も考慮すると、 - 95 -溶接ヒュームに曝露したことによる影響の可能性を排斥し、喫煙のみに帰すには疑義が残る。 原告A14は、別紙7の「原告準備書面(33)で原告らが引用するCT所見」欄(平成23年2月9日分を除く。)記載のとおり、大浦診療所において、じん肺の経過観察中、合併症の有無等の精査のため、上 戸町病院において、平成13年6月3日から平成29年1月24日にかけて、CT検査を受け、「所見」欄記載の所見が見られた。肺気腫、気腫性変化や不整形陰影については、L医師の意見と沿うものがあり、同日のCT所見では、右肺尖部に結節が見られ、昨年のCTでも見られ、増大傾向はないとの所見もある。 前提事実⑶クのとおり、原告A14は、昭和54 ては、L医師の意見と沿うものがあり、同日のCT所見では、右肺尖部に結節が見られ、昨年のCTでも見られ、増大傾向はないとの所見もある。 前提事実⑶クのとおり、原告A14は、昭和54年3月16日、管理2の決定を受けており、管理2に相当する程度のじん肺に罹患したことが推認されるところ、上記諸事情に照らすと、被告協力医の意見が、上記推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分であるとまではいえず、反証に奏功したとは認められない。 ク原告A15について前提事実⑶ケのとおり、原告A15は、平成27年3月2日、管理2の決定を受けており、管理2に相当する程度のじん肺に罹患したことが推認される。被告協力医の意見も、別紙6及び別紙18-8被告協力医意見記載のとおり、管理2に相当する典型的なけい肺の所見であるというもので あり、同推認に対する反証を基礎付ける事情は見当たらない。 ケ原告A16について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-9被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-9L医師意見記載のとお りであり、これに対して、被告協力医は、同被告協力医意見記載のとお - 96 -り指摘している。 被告協力医及びL医師とも、両側に一部石灰化を伴う多数の胸膜プラークが認められることは一致しており、原告A16の粉じん作業職歴に照らし、原告A16が石綿粉じんに曝露したことが認められる。 L医師が粒状影と指摘する箇所について、被告協力医は、その大部分 が血管影であると指摘し、L医師も、一部これを認めているが、具体例を上げて血管影ではないと指摘している箇所もあり、また、L医師が指摘したの 状影と指摘する箇所について、被告協力医は、その大部分 が血管影であると指摘し、L医師も、一部これを認めているが、具体例を上げて血管影ではないと指摘している箇所もあり、また、L医師が指摘したのは印刷用紙で確認し易い箇所を指摘したものであるから、被告協力医の指摘により、L医師が読影した粒状影の所見を全部否定するものとまではいえない。 原告A16は、平成16年から平成25年まで、毎年、被告長崎造船所病院(以下「被告病院」という。)において、じん肺健康診断を受け、CT検査の結果も参照して、第1型と診断された。同CT検査については、別紙7の「原告準備書面(33)で原告らが引用するCT所見」欄及び「被告反論」欄の所見を引用する部分に記載のとおりの所見が記載 され、健康管理手帳(石綿)には、平成22年7月2日の診断以降、順次、前回のCTと不変との記載が付記されている。(甲J10、11、15、乙J1)この点、被告は、同診断の際のCT所見が、被告協力医の意見と同じである旨主張するが、上記CT所見も踏まえたじん肺診断検診の結果、 第1型と診断されているのであり、採用できない。 前提事実⑶コのとおり、原告A16は、昭和53年3月23日及び平成21年1月29日、管理2の決定を受けており、管理2に相当する程度のじん肺に罹患したことが推認されるところ、上記諸事情に照らすと、被告協力医の意見が、上記推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに 十分であるとまではいえず、反証に奏功したとは認められない。 - 97 -コ原告A17について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-10被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の 7 -コ原告A17について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-10被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-10L医師意見記載のとおりであり、管理区分決定に沿うものであるが、被告協力医の指摘に 対し、十分に合理的な説明をするものということはできない。原告A17は、平成19年から平成23年まで、毎年、被告病院において、じん肺健康診断を受け、CT検査の結果も踏まえ、第1型と診断されている(甲K14)が、CT検査の結果を示す証拠はなく、他に被告協力医の指摘が不合理であることを窺わせる証拠もない。 そうすると、被告協力医の意見は、管理区分決定による推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分なものということができ、他に、原告A17が、管理2に相当する程度のじん肺に罹患していることを認めるに足りる的確な証拠はない。 もっとも、原告A17は、前記2⑾のとおり、長期間、粉じん作業に 従事してきたところ、石灰化胸膜プラークが多数認められる等の所見から、石綿粉じんに曝露したことが認められ、また、続発気管支炎認定の際に、X線写真による画像所見のほかに前提事実⑶サ、の諸症状を有していたことが認められる。そして、上記アと同様、被告協力医の指摘が、L医師が読影したじん肺に沿う所見の全部を否定するものとま ではいえないこと、画像所見による病変の検出にも一定の限界があり、上記のとおり、その根拠となる所見は定かではないものの、長年、じん肺健康診断において第1型と診断されていること、じん肺の病変は、一般に進行性かつ不可逆性であり、管理2に相当する線維増殖性変化も緩徐に進行していくものと考えられることからすると、 ものの、長年、じん肺健康診断において第1型と診断されていること、じん肺の病変は、一般に進行性かつ不可逆性であり、管理2に相当する線維増殖性変化も緩徐に進行していくものと考えられることからすると、原告A17は、 粉じんを吸入したことにより、管理2には至らない程度の線維増殖性変 - 98 -化が生じているか、これに進展する可能性のある状態にあると推認することができ、一定の健康被害を受けているものと認められる。 サ原告A18について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-11被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められない というものである。L医師の意見は、別紙18-11L医師意見記載のとおりであり、管理区分決定に沿うものであるが、被告協力医の指摘に対し、十分に合理的な説明をするものということはできない。高原中央病院医師は、別紙6の「原告準備書面(33)で原告らが引用するCT所見」欄記載のとおり、CT検査の結果、PR1ないしPR4Aと診断 しているが、線維増殖性変化が不可逆的に進行するというじん肺の特徴に反することが明らかであり、採用できない。他に被告協力医の指摘が不合理であることを窺わせる証拠もない。 そうすると、被告協力医の意見は、管理区分決定による推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分なものということができ、他に、原告 A18が、管理2に相当する程度のじん肺に罹患していることを認めるに足りる的確な証拠はない。 また、原告A18については、上記証拠状況に照らし、画像所見上、胸膜プラーク等の粉じんに一定程度曝露したことを具体的に示す所見があるということもできないから、粉じん吸入により、管理2には至らな い程度の一定の健康被害を 上記証拠状況に照らし、画像所見上、胸膜プラーク等の粉じんに一定程度曝露したことを具体的に示す所見があるということもできないから、粉じん吸入により、管理2には至らな い程度の一定の健康被害を受けたとも認めるには足りない。 シ亡Eについて 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-12被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-12L医師意見記載の とおりであり、これに対して、被告協力医は、同被告協力医意見記載の - 99 -とおり指摘している。 亡Eは、眼サルコイドーシス症の既往症を有し、平成23年12月、長崎呼吸器リハビリクリニックを受診し、CT検査の結果、縦隔リンパ節の腫大、胸膜の結節影、中下肺野主体の線状網状影を認め、肺サルコイドーシス症が考えられ、また、胸膜に無数のプラークを認め、職歴も 併せてアスベストーシスが考えられたことや、左肺下葉に辺縁不整の結節影を認め、平成24年1月4日のCT検査の結果、同部位と縦隔リンパ節に集積があったことから、精査目的で、平成24年1月17日、長崎大学病院呼吸器内科を受診し、同年2月14日から同月21日まで、同科に入院した。同月14日のX線検査の結果、右気胸あり、CT検査 の結果、縦隔リンパ節や右肺門リンパ節は多数腫大、左肺門リンパ節にも腫大、右側優位に両上肺野末梢側や胸膜面に沿って微細な粒状影が多発、両側に平滑な胸膜肥厚あり、右側では石灰化も散見、胸膜肥厚は横隔膜面にも認められ、アスベスト関連の胸膜プラークが疑われる、両側肺底部を主体に線状網状影や牽引性気管支拡張あり、加齢やアスベスト ーシスによるものが疑われ、サルコイドーシスによる病変も加味されている可 められ、アスベスト関連の胸膜プラークが疑われる、両側肺底部を主体に線状網状影や牽引性気管支拡張あり、加齢やアスベスト ーシスによるものが疑われ、サルコイドーシスによる病変も加味されている可能性あり、両下葉胸膜下に不整な結節影が散見され、左側で目立つ、形態は扁󠄀平なものが多く、境界は不明瞭なものあり、といった所見が認められた。そのほか諸検査の結果、眼、肺サルコイドーシス症の患者に合併した気胸の一例と考察され、右続発性気胸、肺、眼サルコイド ーシス症、アスベストーシス疑いと診断された。その後、亡Eは、肺サルコイドーシス症について、同科で経過観察を受けていたところ、平成27年2月17日、右肺気胸の所見が認められたため、再度、入院し、同月26日、続発性気胸は治癒、肺サルコイドーシス症は軽快し、退院した。(甲M8、乙56Ⅱ-13添付資料) 上記診療経過は、被告協力医の意見に沿うものである。 - 100 - 亡Eは、管理区分決定等の申請の際、申立書に眼サルコイドーシス症については記載したが、I医師作成の平成27年10月29日付けじん肺健康診断結果証明書には、既往症として、肺サルコイドーシス症についての記載はなく、高原中央病院へは、長崎大学病院呼吸器内科から平成28年3月1日付けで、上記診療経過についての診療情報提供がされ ている。管理区分決定、続発性気管支炎の認定の過程で、長崎労働局地方労災医員から、胸部X線写真及び胸部CTから、粒状影は0/0相当であるが、右下肺野に不整形陰影が認められ、1/0の第1型と判断すると聴取され、その際、胸部X線写真にサルコイドーシスによるものと思われる右リンパ節の腫脹が認められると聴取されているが、肺サルコ イドーシスの既往症については触れられていない。(甲M 判断すると聴取され、その際、胸部X線写真にサルコイドーシスによるものと思われる右リンパ節の腫脹が認められると聴取されているが、肺サルコ イドーシスの既往症については触れられていない。(甲M4、乙56Ⅱ-13添付資料、乙M1)上記諸事情によれば、管理区分決定等の際、サルコイドーシスの可能性も考慮されたとはいえるが、じん肺健康診断において、既往歴の調査を含む胸部臨床検査が適切にされず、肺サルコイドーシスの既往症につ いて適切に考慮せずに判断された可能性があると認められる。また、L医師は、別紙18-12L医師意見のとおり、サルコイドーシスの肺病変の陰影と考えても矛盾しないとしつつ、他に粒状影が認められるとして、粒状影2/2と評価するが、上記地方労災医員の評価と整合しない。 上記諸事情及び被告協力医の意見は、管理区分決定による推認に対し て、合理的な疑いを抱かせるのに十分なものということができ、他に、亡Eが、管理2に相当する程度のじん肺に罹患していたことを認めるに足りる証拠はない。 もっとも、亡Eは、前記2⒀のとおり、長期間、粉じん作業に従事してきたところ、上記及び被告協力医の意見のとおり、一部石灰化を伴 う胸膜プラークが認められ、石綿粉じんに曝露したことが認められ、ま - 101 -た、管理区分決定の際に前提事実⑶ス、の諸症状(ただし、たん検査の結果を除く。)を有していたことが認められる。そして、上記のとおり、亡Eの肺の病変について、肺サルコイドーシスと石綿粉じんによる影響とが合併していることが疑われ、L医師の意見も同旨であり、被告協力医の意見によっても、その可能性を否定するものとはいえない こと、じん肺の病変は、一般に進行性かつ不可逆性であり、管理2に相当する線 合併していることが疑われ、L医師の意見も同旨であり、被告協力医の意見によっても、その可能性を否定するものとはいえない こと、じん肺の病変は、一般に進行性かつ不可逆性であり、管理2に相当する線維増殖性変化も緩徐に進行していくものと考えられることからすると、亡Eは、粉じんを吸入したことにより、管理2には至らない程度の線維増殖性変化が生じていたか、これに進展する可能性のある状態にあったと推認することができ、一定の健康被害を受けていたものと認 められる。 ス亡Fについて 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-13被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-13L医師意見記載の とおりであり、これに対して、被告協力医は、同被告協力医意見記載のとおり指摘している。 亡Fは、平成●年●月●日、死亡し、同日、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科原研病理学教室Q医師により、病理解剖が実施された。Q医師は、剖検所見概要で、「肺重量は480,550gm と増量、黒色調 で上葉を主体に気腫性変化があり、肺部門リンパ節は硬く黒色調に腫大、塵肺を思わせた。」、「背景の肺組織には間質の線維性肥厚、気腫性変化、扁󠄀平上皮化生がみられ、間質パターンの肺炎像で、気管支周囲間質には形質細胞・リンパ球主体の慢性炎症細胞湿潤を散在性に認めた。塵芥の沈着とともにアスベスト小体を含んでいて、アスベスト関連肺疾患 を疑う。さらに肺部門リンパ節も含め、珪肺結節もあり、アスベスト以 - 102 -外の塵肺症の共存が示唆される。」、「本例は、アスベスト関連の塵肺症による間質性肺炎を背景に扁󠄀平上皮癌を合併、死に至ったものと推察する。」と記載してい 節もあり、アスベスト以 - 102 -外の塵肺症の共存が示唆される。」、「本例は、アスベスト関連の塵肺症による間質性肺炎を背景に扁󠄀平上皮癌を合併、死に至ったものと推察する。」と記載している。組織学的所見として、アスベスト小体が検出され、また、右上葉に蜂窩肺に近いかなり進展した線維化所見を認めたことから、線維化高度と記載した。 Q医師は、病理解剖の際には、石綿小体の定量的検査を行わなかったが、令和元年10月1日、左上葉、左下葉、右下葉の肺組織を用いて標本を作製して、石綿小体を計測し、石綿小体濃度7426本/g(乾燥肺)と計測した。同石綿小体濃度は、石綿による肺がんの労災認定基準の一つである5000本/g(乾燥肺)(乙51、後記5⑵ア)を超 えるものであるところ、Q医師は、後記R医師の石綿小体の指摘に対して、上記程度の石綿小体が確認されると、職業的に石綿粉じんに曝露していたと考えられ、石綿肺を発症する原因と考えて差支えなく、石綿小体が肺線維化巣を背景に散見されていて、線維化との関連を想定する根拠となり得るとしている。 また、Q医師は、後記R医師の喫煙が気腫性変化及び線維化の主たる原因と考えられるとの意見に対し、肺組織の黒色調の変化は、喫煙と酸化鉄粉じん曝露のいずれによっても生じ、上記気腫性変化は喫煙と粉じん曝露のいずれによっても生じ得るものであり、いずれが優位か鑑別することはできないとしている。 (甲N18、22、乙N2) 上記病理解剖所見に対して、被告の依頼を受けた広島大学名誉教授(病理学)R医師は、亡Fの病理組織標本の提供を受け、意見書(乙N33)を作成した。 R医師は、左右肺とも上葉に軽度の線維化が随伴する気腫性変化を認 め、中葉及び下葉に 大学名誉教授(病理学)R医師は、亡Fの病理組織標本の提供を受け、意見書(乙N33)を作成した。 R医師は、左右肺とも上葉に軽度の線維化が随伴する気腫性変化を認 め、中葉及び下葉にも同様の所見を認めるが、その程度は軽度である、 - 103 -これらの所見からは、喫煙又は鉄を含む粉じんの吸入による気腫性変化と考え、高度な呼吸困難を引き起こし、死因にも繋がる病変といえる、少数の石綿小体も同じ部位に認めることから、石綿による線維化(石綿肺)の可能性も考慮する必要がある、気腫性変化と線維化の原因について、肺胞腔内に生じた線維化結節(酸化鉄肺の特徴)の所見はなく、沈 着物は喫煙によると考えられる黒色粉じんの方が多いことから酸化鉄による所見とは考えにくく、石綿による線維化については、呼吸細気管支周囲から進展した線維化はないこと、膠原線維の増生の程度が軽いことから、その可能性は低いと考えられ、上記原因の重要性の程度は、喫煙≫酸化鉄吸引>石綿曝露と推測すると指摘している。 また、石綿小体の計測結果について、石綿肺と診断できるか否かについては、組織標本上2本/㎠の石綿小体を認めれば石綿肺とするとの基準があり(乙353、N35)、16,667~20,000本/g又は4万本/gに換算され、7426本/gでは少なすぎ、組織標本上に少数の石綿小体をみることにより石綿肺と診断することは誤りであると 指摘している。 前提事実⑶セのとおり、亡Fは、平成7年8月28日、管理2の決定を受けており、管理2に相当する程度のじん肺に罹患したことが推認されるところ、上記のとおり、Q医師は、病理解剖の結果、じん肺と死亡原因との関連を指摘している。R医師の意見は、喫煙が主たる原因と 指摘するものの、Q医師の喫煙と じん肺に罹患したことが推認されるところ、上記のとおり、Q医師は、病理解剖の結果、じん肺と死亡原因との関連を指摘している。R医師の意見は、喫煙が主たる原因と 指摘するものの、Q医師の喫煙と酸化鉄粉じん曝露といずれが優位か鑑別できないとの意見を否定するものということはできず、また、石綿小体濃度の点も、Q医師は、線維化が生じた箇所との関係を考慮して検討しているものであり、Q医師の意見を否定するものとはいえない。そして、被告協力医の意見は、上記Q医師の病理解剖所見と整合しないから、 これによって、上記推認に対して合理的な疑いを抱かせるものというこ - 104 -とはできず、反証に奏功したとは認められない。 セ原告A23について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-14被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-14L医師意見記載の とおりであり、これに対して、被告協力医は、同被告協力医意見記載のとおり指摘している。 被告協力医は、X線写真上、両下肺野に1/0又は1/1程度の不整形陰影が認められるとしつつ、CT画像上、これに相当する線状影・網状影等が中下肺野優位に認められ、石綿肺との鑑別が問題となるとし、 別紙18-14被告協力医意見記載の①~④の諸点から、石綿肺の所見とは異なるとする。そのうち④について、L医師は、胸膜プラークの所見を指摘する。後記のとおり、上戸町病院の医師により、原告A23につき、CT検査がされているところ、胸膜プラークの所見を指摘するものはない。また、前記2⒂の原告A23の粉じん作業職歴から主に想 定し得るのは、溶接工肺であり、石綿肺の所見を否定する被告協力医の意見は、同 がされているところ、胸膜プラークの所見を指摘するものはない。また、前記2⒂の原告A23の粉じん作業職歴から主に想 定し得るのは、溶接工肺であり、石綿肺の所見を否定する被告協力医の意見は、同粉じん作業職歴と整合する。もっとも、被告協力医が溶接工肺を否定する根拠は、必ずしも判然としない。 原告A23は、大浦診療所を受診し、その依頼で、上戸町病院において、平成23年4月20日及び同年6月4日、CT検査を受け、同日、 両肺には胸膜下を主体として線状網状影やすりガラス影を認める、末梢側ではわずかに索引性気管支拡張も疑われる、(NSIPパターンの)間質性肺炎を考える、蜂窩肺は認めない、縦隔に有意なリンパ節腫大はなく、胸水はない、胸膜の肥厚は認めない等の所見を得た。大浦診療所K医師は、原告A23のじん肺健康診断結果証明書に、同日のCT所見 として、両肺胸膜下主体に線状網状影やすりガラス影を認めると記載し、 - 105 -原告A23は、同証明書を提出して、前提事実⑶ソのとおり、平成23年8月30日、管理2の決定を受けた。 原告A23は、その後、大浦診療所において、じん肺につき経過観察を受け、精査目的で、上戸町病院において、CT検査を受け、平成24年1月4日には、前年6月4日と同様、両肺には胸膜下を主体として線 状網状影やすりガラス影を認める、間質性肺炎を考える、蜂窩肺は認めないとの所見がみられたが、末梢側の索引性気管支拡張の疑い、NSIPパターンとの記載はなく、左舌区に限局的なvolumelossありとの所見がみられ、平成24年12月11日には、両下葉胸膜直下には軽度の線状網状影、すりガラス影あり、加齢による線維化や軽度の 間質性肺炎を反映していると思われる、珪肺を疑う結節やアスベスト関連胸 見がみられ、平成24年12月11日には、両下葉胸膜直下には軽度の線状網状影、すりガラス影あり、加齢による線維化や軽度の 間質性肺炎を反映していると思われる、珪肺を疑う結節やアスベスト関連胸膜病変などは明らかではない等の所見がみられた。平成28年12月6日には、両側胸膜下に線状~網状陰影が認められる、肺野に腫瘤や湿潤影はみられない、両側胸膜に軽度の肥厚がみられる、胸水なしとの所見がみられ、じん肺、間質性変化、軽度の胸膜肥厚と診断された。 また、原告A23は、被告病院において、じん肺健康診断を受け、平成24年8月10日、CT検査の結果、両下肺線状・網状・粒状影あり、舌区に索状影との所見も参照して、第1型と診断された。 (甲O2、10、乙O6、7) 前提事実⑶ソのとおり、原告A23は、平成23年8月30日、管理 2の決定を受けており、管理2に相当する程度のじん肺に罹患したことが推認される。上記のとおり、被告協力医は、X線上、両下肺野に認められる1/0又は1/1相当の不整形陰影について、特発性肺線維症(IPF)又は通常型間質性肺炎(UIP)に類似し、典型的な石綿肺の所見と異なるとするが、画像診断のみから特発性肺線維症等と診断す ることは必ずしも容易ではなく(乙O1)、上記のとおり、上戸町病 - 106 -院医師や被告病院におけるCT画像の読影結果が、被告協力医の意見と一致していない部分もあり、その読影結果等に基づいて、じん肺と評価するものもあることからすると、被告協力医の意見が、上記推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分であるとまではいえず、反証に奏功したとは認められない。 ソ原告A24について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-15被告協力医意見記 対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分であるとまではいえず、反証に奏功したとは認められない。 ソ原告A24について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-15被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-15L医師意見記載のとおりであり、これに対して、被告協力医は、同被告協力医意見記載の とおり指摘している。 被告協力医及びL医師とも、両肺に石灰化した胸膜プラークが認められることは一致しており、原告A24の粉じん作業職歴に照らし、原告A24が石綿粉じんに曝露したことが認められる。 被告協力医は、平成28年9月5日撮影のCT画像について、Im33、 36 の両側中下肺野に分岐状影の軽度の増強が認められ、周囲にわずかにすりガラス影が認められ、これは、X線写真で認められた両側中下肺野の辺縁が鮮明でない粒状影や淡い陰影に相当し、溶接工肺と矛盾しない所見であるが、その程度は、第1型に相当するものではないとする。 L医師は、平成28年9月5日撮影のCT画像について、Im14 に粒 状影とIm29 の下肺野に網状影(不整形陰影)が認められるとし、被告協力医は、粒状影について、正常血管影を粒状影としている可能性が高く、粒状影があるとしても、第1型に相当するだけの密度・分布が確認できないとし、網状影について、背側の胸膜直下で分岐状影や軽度高吸収域(すりガラス影)が増強して認められるものの、呼気不足及び荷重 による陰影であり、線維化による陰影とは異なり、網状影が混在してい - 107 -るとしても、石綿肺に特徴的な所見は認められず、第1型に相当するものではないとする。 原告A24は、平 による陰影であり、線維化による陰影とは異なり、網状影が混在してい - 107 -るとしても、石綿肺に特徴的な所見は認められず、第1型に相当するものではないとする。 原告A24は、平成22年から平成28年まで、毎年、被告病院において、じん肺健康診断を受け、CT検査の結果も参照して、第1型と診断されたが、CT検査の結果は定かではない(甲P7)。 前提事実⑶タのとおり、原告A24は、平成7年8月28日及び平成18年10月4日に、管理2の決定を受けており、管理2に相当する程度のじん肺に罹患したことが推認されるところ、上記のとおり、被告協力医とL医師の意見とでは差異があるものの、主たる点は、第1型に相当する程度か否かの評価の点にあるといえ、前者が後者を排斥し得る ものとはいえず、上記のとおり、CT検査の結果は定かではないものの、CT検査の結果も参照して、長年、被告病院におけるじん肺健康診断において、第1型と診断されてきたことも考慮すると、被告協力医の意見が、上記推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分であるとまではいえず、反証に奏功したとは認められない。 タ亡Hについて 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-16被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。L医師の意見は、別紙18-16L医師意見記載のとおりであり、管理区分決定に沿うものであるが、被告協力医の指摘に 対し、十分に合理的な説明をするものということはできない。 亡Hは、平成20年から平成27年まで、毎年、被告病院において、じん肺健康診断を受け、CT検査の結果も踏まえ、第1型と診断されている(甲Q3)が、CT検査の結果を示す証拠はない。また、上戸町 亡Hは、平成20年から平成27年まで、毎年、被告病院において、じん肺健康診断を受け、CT検査の結果も踏まえ、第1型と診断されている(甲Q3)が、CT検査の結果を示す証拠はない。また、上戸町病院におけるCT検査の結果、両側に石灰化を伴う胸膜プラークの所見が みられるが、他にじん肺を窺わせる所見はない(甲Q21)。その他に - 108 -被告協力医の指摘が不合理であることを窺わせる証拠もない。 そうすると、被告協力医の意見は、上記じん肺健康診断の結果を考慮しても、管理区分決定による推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分なものということができ、他に、亡Hが、管理2に相当する程度のじん肺に罹患していたことを認めるに足りる的確な証拠はない。 もっとも、亡Hは、前記2⒄のとおり、長期間、粉じん作業に従事してきたところ、石灰化を伴う胸膜プラークが多数認められる等の所見から、石綿粉じんに曝露したことが認められ、また、続発気管支炎認定の際に前提事実⑶チ、の諸症状を有していたことが認められる。そして、上記アと同様、被告協力医の指摘が、L医師が読影したじん肺に 沿う所見の全部を否定するものとまではいえないこと、画像所見による病変の検出にも一定の限界があり、上記のとおり、その根拠となる所見は定かではないものの、長年、じん肺健康診断において第1型と診断されていること、じん肺の病変は、一般に進行性かつ不可逆性であり、管理2に相当する線維増殖性変化も緩徐に進行していくものと考えられ ることからすると、亡Hは、粉じんを吸入したことにより、管理2には至らない程度の線維増殖性変化が生じているか、これに進展する可能性のある状態にあったと推認することができ、一定の健康被害を受けていたものと認められる。 亡Hは、粉じんを吸入したことにより、管理2には至らない程度の線維増殖性変化が生じているか、これに進展する可能性のある状態にあったと推認することができ、一定の健康被害を受けていたものと認められる。 チ原告A30について 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-17被告協力医意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものであり、L医師の意見も、別紙18-17L医師意見記載のとおり、画像所見上、第1型に相当するじん肺の陰影は認められないというものである。 原告A30は、平成20年から平成27年まで、毎年、被告病院にお - 109 -いて、じん肺健康診断を受け、CT検査の結果も踏まえ、第1型と診断されている(甲S5)が、CT検査の結果を示す証拠はない。また、上戸町病院におけるCT検査の結果、両側胸膜に石灰化プラークが多数見られるとの所見がみられ、多発胸膜プラーク、肺アスベスト症と診断されている(乙S4の6)が、他にじん肺を窺わせる所見はない。 そうすると、被告協力医の意見は、管理区分決定による推認に対して、合理的な疑いを抱かせるのに十分なものということができ、他に、原告A30が、管理2に相当する程度のじん肺に罹患していることを認めるに足りる的確な証拠はない。 もっとも、原告A30は、前記2⒅のとおり、長期間、粉じん作業に 従事してきたところ、石灰化を伴う胸膜プラークが多数認められる等の所見から、石綿粉じんに曝露したことが認められ、また、続発気管支炎認定の際に前提事実⑶ツ、の諸症状を有していたことが認められる。 そして、上記アと同様、被告協力医の指摘が、L医師が読影したじん肺に沿う所見の全部を否定するものとまではいえないこと、画 気管支炎認定の際に前提事実⑶ツ、の諸症状を有していたことが認められる。 そして、上記アと同様、被告協力医の指摘が、L医師が読影したじん肺に沿う所見の全部を否定するものとまではいえないこと、画像所見に よる病変の検出にも一定の限界があり、上記のとおり、その根拠となる所見は定かではないものの、長年、じん肺健康診断において第1型と診断されていること、じん肺の病変は、一般に進行性かつ不可逆性であり、管理2に相当する線維増殖性変化も緩徐に進行していくものと考えられることからすると、亡Hは、粉じんを吸入したことにより、管理2 には至らない程度の線維増殖性変化が生じているか、これに進展する可能性のある状態にあったと推認することができ、一定の健康被害を受けていたものと認められる。 4 争点⑵(続発性気管支炎罹患の有無)について⑴ 時機に後れた攻撃防御方法との主張について 前記第4の2(原告らの主張)⑵イのとおり、原告らは、同(被告の主張) - 110 -⑵ウないしカの被告の主張について、時機に後れた攻撃防御方法として却下すべき旨主張する。本件訴訟の審理経過に鑑み、被告の同主張は、より早期にすることができたとはいえるが、これにより訴訟の完結を遅延させることになったとは認められないから、同主張を却下することはしない。 ⑵ じん肺に罹患したと認められる者について 前記3のとおり、原告A2、亡D、原告A12、原告A13、原告A14、原告A15、原告A16、亡F、原告A23及び原告A24は、じん肺に罹患したと認められるところ、次のとおり、原告A2、亡D、原告A12、原告A14、原告A15、原告A16、亡F及び原告A23については、続発性気管支炎に罹患したと認められるが、原告A13及び原告A24につ たと認められるところ、次のとおり、原告A2、亡D、原告A12、原告A14、原告A15、原告A16、亡F及び原告A23については、続発性気管支炎に罹患したと認められるが、原告A13及び原告A24について は、続発性気管支炎に罹患したとは認められない。 ア原告A2について 原告A2は、前提事実⑶イのとおり、平成27年7月14日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。大浦診療所医師作成の同年2月21日付けじん肺健康診断証明書(甲B2)によれば、原告A 2には、せき、たんの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、たん検査の結果は、同年1月27日6ml・P2、同年2月3日4ml・P2であった。 被告は、別紙9のとおり、初診後、喀痰検査のため再診を受けてから、短期間で続発性気管支炎の診断を受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨主張するが、関係証拠(甲B9、乙B 2、原告A2本人)によれば、上記自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 また、上記喀痰検査が不適切であったことを認めるに足りる的確な証拠はない。被告が主張するように、平成27年8月11日受付の喀痰細胞診検査の結果、口腔内成分のみであり、標本不適正と評価されている (乙B12)が、これにより、上記診断の際の喀痰検査が不適切であっ - 111 -たとは直ちには認められない。上記続発性気管支炎認定の際、労働基準監督署は、喀痰検査について、培養の結果、口腔常在菌のみであったことを聴取しており(乙B3)、続発性気管支炎の認定に際して、喀痰細胞診検査等により細菌感染が確認されることが必須であるとはいえない。 原告A2は、その後、平成31年から令和4年にかけて、大浦診療所 り(乙B3)、続発性気管支炎の認定に際して、喀痰細胞診検査等により細菌感染が確認されることが必須であるとはいえない。 原告A2は、その後、平成31年から令和4年にかけて、大浦診療所 において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん検査等の結果、続発性気管支炎と診断されている(甲B12、15~17)。 上記諸事情によれば、原告A2は、続発性気管支炎に罹患したものと認められる。 イ亡Dについて 亡Dは、前提事実⑶オのとおり、平成27年1月27日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。高原中央病院医師作成の平成26年10月29日付けじん肺健康診断証明書(甲E2)によれば、原告A2には、せき、たん、息切れの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、 たん検査の結果は、同月21日、同月29日とも10ml・P1であった。 被告は、別紙9のとおり、初診後、短期間で続発性気管支炎の診断を受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨主張するが、関係証拠(甲E7、乙E18、原告A6本人)によれば、上記自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 また、上記喀痰検査が不適切であったことを認めるに足りる的確な証拠はない。被告が主張するように、平成26年10月21日採取の喀痰一般細菌・真菌検査の結果、口腔常在菌しか検出されていない(乙E19)が、これにより、上記診断の際の喀痰検査が不適切であったとは直ちには認められず、上記アのとおり、続発性気管支炎の認定に際して、 喀痰細胞診検査等により細菌感染が確認されることが必須であるとはい - 112 -えない。 上記諸事情によれば、亡Dは、続発性気管支炎に罹患 、続発性気管支炎の認定に際して、 喀痰細胞診検査等により細菌感染が確認されることが必須であるとはい - 112 -えない。 上記諸事情によれば、亡Dは、続発性気管支炎に罹患していたと認められる。 ウ原告A12について 原告A12は、前提事実⑶カのとおり、平成27年12月10日、続 発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。大浦診療所医師作成の同年9月6日付けじん肺健康診断証明書(甲F2)によれば、原告A12には、せき、たん、心悸亢進の自覚症状があり、呼吸困難第Ⅱ度、たん検査の結果は、同年8月25日、同年9月2日とも10ml・P3であった。 被告は、別紙9のとおり、初診後、短期間で続発性気管支炎の診断を受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨主張するが、関係証拠(甲F10、乙F19、原告A12本人)によれば、上記自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 他方で、上記両日に採取された喀痰の一般細菌・真菌検査の結果、口 腔常在菌しか検出されず(乙F10、11)、同年12月16日、長崎病院において実施されたじん肺健康診断の際には、心悸亢進を除き上記自覚症状は認められたが、喀痰検査の結果は、B判定(現在異常を認めない)であり、翌年11月2日、同病院において実施されたじん肺健康診断の際には、たんの自覚症状も認められず、喀痰検査の結果は、B判 定であった(甲F3の2)。また、大浦診療所において標本を採取した同年12月27日受付の細胞診検査では、細胞由来の組織球が少なく唾液成分又は口腔成分と思われ、標本不適切であった(乙F9)。 原告A12は、その後、平成31年から令和4年にかけて、大浦診療所において、じ 受付の細胞診検査では、細胞由来の組織球が少なく唾液成分又は口腔成分と思われ、標本不適切であった(乙F9)。 原告A12は、その後、平成31年から令和4年にかけて、大浦診療所において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん 検査等の結果、続発性気管支炎と診断されている(甲F11、13~1 - 113 -5)。 上記は、原告A12が、その当時、続発性気管支炎に罹患していたことに疑義を抱かせる事情であるが、上記、の事情のほか、のとおり、毎年、続発性気管支炎と診断されていることを併せると、その頃には、続発性気管支炎に罹患していたものと認められる。 エ原告A13について 原告A13は、前提事実⑶キのとおり、平成25年10月31日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。高原中央病院医師作成の同年5月1日付けじん肺健康診断証明書(甲G4)によれば、原告A13には、せき、たんの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、肺機能 検査(第1次検査)の結果はF+、たん検査の結果は、同年4月15日、同年5月1日とも6ml・P1であった。 同年4月15日に採取された喀痰の細胞診検査の結果、検体は、唾液のみで痰がとれておらず、不適正であり、一般細菌・真菌検査の結果、食中毒原因菌と口腔常在菌しか検出されなかった(乙G5、7、10)。 また、平成25年から平成28年にかけて、長崎原爆病院において実施されたじん肺健康診断の際には、せき、たん、心悸亢進の自覚症状は認められず、呼吸困難第Ⅰ度で、喀痰細胞診の結果、異常は認められなかった(甲G6、9、10)。 原告A13は、その後、平成31年から令和3年にかけて、高原中央 病院において、じん肺健康診断 ず、呼吸困難第Ⅰ度で、喀痰細胞診の結果、異常は認められなかった(甲G6、9、10)。 原告A13は、その後、平成31年から令和3年にかけて、高原中央 病院において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん検査等の結果、続発性気管支炎と診断されているが、たん検査の際のたんの量はいずれも3ml 未満であった(甲G14~16)。 上記、のとおり、原告A13が続発性気管支炎と認定された際の喀痰検査で採取された検体は痰ではなく不適正であったことから、膿性 痰が認められなかったことが明らかであり、上記のとおり、その後の - 114 -高原中央病院における続発性気管支炎との診断も、たんの量が基準を満たさないことが明らかである。関係証拠(甲G13、原告A13本人)によれば、原告A13は、自覚症状を訴えているが、上記の長崎原爆病院におけるじん肺健康診断の結果と齟齬するものである。これらの諸事情によれば、原告A13が続発性気管支炎に罹患しているとは認めら れない。 オ原告A14について 原告A14は、前提事実⑶クのとおり、平成20年1月21日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。大浦診療所医師作成の平成19年12月6日付けじん肺健康診断証明書(甲H2)によれば、 原告A2には、せき、たん、心悸亢進の自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、たん検査の結果は、同年10月18日3ml・P3、同月25日5ml・P3であった。 被告は、別紙9のとおり、初診後、短期間で続発性気管支炎の診断を受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨 主張するが、関係証拠(甲H10、乙H6、原告A14本人)によれば、上記自覚症状は、そのとおり、持続 で続発性気管支炎の診断を受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨 主張するが、関係証拠(甲H10、乙H6、原告A14本人)によれば、上記自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 また、上記喀痰検査が不適切であったことを認めるに足りる的確な証拠はない。被告が主張するように、平成20年2月7日受付の喀痰細胞診検査の結果、異常が認められず(乙H7)、同年12月16日採取の 喀痰一般細菌検査の結果、常在菌しか検出されていない(乙H8)が、これにより、上記診断の際の喀痰検査が不適切であったとは直ちには認められず、上記アのとおり、続発性気管支炎の認定に際して、喀痰細胞診検査等により細菌感染が確認されることが必須であるとはいえない。 原告A14は、その後、平成21年から令和3年にかけて、大浦診療 所において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん - 115 -検査等の結果、続発性気管支炎と診断されている(甲H11、17、18)。 上記諸事情によれば、原告A14は、続発性気管支炎に罹患したものと認められる。 カ原告A15について 原告A15は、前提事実⑶ケのとおり、平成28年3月22日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。大浦診療所医師作成の同年2月7日付けじん肺健康診断証明書(甲I2)によれば、原告A15には、せき、たんの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、たん検査の結果は、同年1月6日、同月25日とも3ml・P2であった。 被告は、別紙9のとおり、平成27年6月9日に痰が出る旨を訴えた後、平成28年1月まで喀痰検査が行われていない旨主張するが、喫煙の影響を除外するため、禁煙後に実 ・P2であった。 被告は、別紙9のとおり、平成27年6月9日に痰が出る旨を訴えた後、平成28年1月まで喀痰検査が行われていない旨主張するが、喫煙の影響を除外するため、禁煙後に実施したにすぎず(乙I6、15)、関係証拠(甲I8、乙I6、原告A15本人)によれば、上記自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 また、上記喀痰検査が不適切であったことを認めるに足りる的確な証拠はない。被告が主張するように、平成28年1月6日及び同月26日及び同年12月21日採取の喀痰一般細菌・真菌検査の結果、口腔常在菌しか検出されておらず(乙I11の1・2、18)、平成29年1月26日受付の細胞診の結果、異常細胞が見られず、唾液成分又は口腔成 分と思われ、材料不適と評価されている(乙I12)が、これらにより、上記診断の際の喀痰検査が不適切であったとは直ちに認められず、上記アのとおり、続発性気管支炎の認定に際して、喀痰細胞診検査等により細菌感染が確認されることが必須であるとはいえない。 原告A15は、その後、平成29年から令和3年にかけて、大浦診療 所において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん - 116 -検査等の結果、続発性気管支炎と診断されている(甲I7、12、13、15、16)。 上記諸事情によれば、原告A15は、続発性気管支炎に罹患したものと認められる。 キ原告A16について 原告A16は、前提事実⑶コのとおり、平成26年3月7日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。大浦診療所医師作成の平成25年11月29日付けじん肺健康診断証明書(甲J2)によれば、原告A16には、せき、たんの自覚症状があり、呼吸 3月7日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。大浦診療所医師作成の平成25年11月29日付けじん肺健康診断証明書(甲J2)によれば、原告A16には、せき、たんの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、たん検査の結果は、同年10月15日、同月22日とも3ml・P2であった。 被告は、別紙9のとおり、初診後、短期間で続発性気管支炎の診断を受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨主張するが、関係証拠(甲J12、乙J16、17、原告A16本人)によれば、上記自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 また、上記喀痰検査が不適切であったことを認めるに足りる的確な証拠はない。被告が主張するように、平成25年10月15日採取の喀痰一般細菌・真菌検査の結果では、口腔常在菌しか検出されていないが、同月22日採取の同検査の結果では、アシネトバクターが検出され(乙494、J19)、平成28年8月3日受付の細胞診の結果、口腔内成 分のみのため、不適性と評価されている(乙J18)が、これらにより、上記診断の際の喀痰検査が不適切であったとは直ちに認められず、上記アのとおり、続発性気管支炎の認定に際して、喀痰細胞診検査等により細菌感染が確認されることが必須であるとはいえない。 原告A16は、その後、平成30年及び令和2年から令和4年にかけ て、大浦診療所において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機 - 117 -能検査、たん検査等の結果、続発性気管支炎と診断されている(甲J14、16~18)。 上記諸事情によれば、原告A16は、続発性気管支炎に罹患したものと認められる。 ク亡Fについて 亡Fは、前提事実⑶セの 診断されている(甲J14、16~18)。 上記諸事情によれば、原告A16は、続発性気管支炎に罹患したものと認められる。 ク亡Fについて 亡Fは、前提事実⑶セのとおり、平成20年7月18日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。大浦診療所医師作成の同年5月29日付けじん肺健康診断証明書(甲N9)によれば、原告A16には、せき、たん、心悸亢進の自覚症状があり、呼吸困難第Ⅱ度、たん検査の結果は、同年4月23日、同月30日とも10ml・P3であった。 被告は、別紙9のとおり、初診後、短期間で続発性気管支炎の診断を受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨主張するが、関係証拠(甲N19、乙N19、原告A21本人)によれば、上記自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 上記同日採取の喀痰一般細菌検査の結果、種々の細菌が検出されてい るところ(乙N43)、亡Fは、同月22日、かぜ気味であったのであり(乙N19)、同症状が影響した可能性は否めない。もっとも、亡Fは、その際、せき、たん等の症状が通年性のものであった旨を訴えている(乙N19)。また、亡Fは、平成22年11月及び12月、長崎病院において、じん肺健康診断を受けた際、せき、たん、心悸亢進の自覚 症状、呼吸困難第Ⅲ度と確認され、平成21年、平成22年及び平成24年に、大浦診療所において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、たん検査等の結果、続発性気管支炎と診断されている(甲N17) 上記諸事情によれば、亡Fは、続発性気管支炎に罹患していたものと認められる。 ケ原告A23について - 118 - 原告A23は、前提事実⑶ソのとお 7) 上記諸事情によれば、亡Fは、続発性気管支炎に罹患していたものと認められる。 ケ原告A23について - 118 - 原告A23は、前提事実⑶ソのとおり、平成23年8月30日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。大浦診療所医師作成の同年7月26日付けじん肺健康診断証明書(甲O2)によれば、原告A23には、せき、たん、心悸亢進の自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、たん検査の結果は、同年6月3日6ml・P2であった。 被告は、別紙9のとおり、じん肺申請目的で受診しており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨主張するが、関係証拠(甲O6、乙O2、14、原告A23本人)によれば、平成22年11月2日の初診時から上記自覚症状を訴えており、自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 他方で、平成23年6月3日に採取された喀痰の一般細菌検査の結果、口腔常在菌、真菌しか検出されず(乙O16)、平成24年8月10日、被告病院において実施されたじん肺健康診断の際には、上記自覚症状が認められ、呼吸困難第Ⅲ度であったが、喀痰細胞診は検体不良であった(甲O10)。また、大浦診療所において標本を採取した平成25年1 月21日受付の細胞診検査では、口腔内成分のみのため、標本不適正と評価された(乙O15)。 原告A23は、その後、平成30年から令和4年にかけて、大浦診療所において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん検査等の結果、続発性気管支炎と診断されている(甲O7、11~1 5)。 上記は、原告A23が、その当時、続発性気管支炎に罹患していたことに疑義を抱かせる事情であるが、上記、の事 等の結果、続発性気管支炎と診断されている(甲O7、11~1 5)。 上記は、原告A23が、その当時、続発性気管支炎に罹患していたことに疑義を抱かせる事情であるが、上記、の事情のほか、のとおり、毎年、続発性気管支炎と診断されていることを併せると、その頃には、続発性気管支炎に罹患していたものと認められる。 コ原告A24について - 119 - 原告A24は、前提事実⑶タのとおり、平成28年11月16日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。高原中央病院医師作成の同年7月29日付けじん肺健康診断証明書(甲P4)によれば、原告A24には、せき、たんの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、たん検査の結果は、同月22日、同月29日とも6ml・P1であった。 たんの検査について、たんの量は、起床後概ね1時間の痰を採取して、その量を測定することとされている(乙162)ところ、原告A24は、たんの採取方法について、朝から昼にかけて喀出した数回分のたんを容器に入れて提出した旨供述している(原告A24本人)。平成28年7月22日に採取された喀痰の細胞診検査の結果、異常は認められず、一 般細菌・真菌検査の結果、口腔常在菌しか検出されなかった(乙P5)。 また、平成22年から平成27年にかけて、被告病院において実施されたじん肺健康診断の際には、続発性気管支炎とは診断されず、平成28年7月6日、重工記念病院において実施された同健康診断の際にも、たん、心悸亢進の自覚症状を認め、呼吸困難第Ⅱ度であったが、喀痰細 胞診検査の結果、異常は認められず、続発性気管支炎とは診断されなかった。 原告A24は、その後、平成31年から令和3年にかけて、高原中央病院に 、呼吸困難第Ⅱ度であったが、喀痰細 胞診検査の結果、異常は認められず、続発性気管支炎とは診断されなかった。 原告A24は、その後、平成31年から令和3年にかけて、高原中央病院において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん検査等の結果、続発性気管支炎と診断されているが、平成31年の2 回目及び令和2年の2回のたん検査では、たんの量が3ml 未満であった(甲P11~13)。 上記、のとおり、原告A24が続発性気管支炎と認定された際の喀痰検査の採取方法は不適切であり、膿性痰と認められるか疑義があり、その後の高原中央病院における続発性気管支炎との診断の際にも、たん の量が基準を満たさない場合があり、同様に疑義がある。関係証拠(甲 - 120 -P、乙P、原告A24本人)によれば、原告A24は、自覚症状を訴えているが、上記の被告病院及び重工記念病院におけるじん肺健康診断の結果と齟齬するものである。これらの諸事情によれば、原告A24が続発性気管支炎に罹患しているとは認められない。 ⑶ じん肺に罹患したと認められない者について 前提事実⑵イのとおり、じん肺法は、続発性気管支炎をじん肺の合併症と定めているところ、続発性気管支炎は、法定の合併症であり、前記3のとおり、原告A1、原告A5、原告A17、原告A18、亡E、亡H及び原告A30は、じん肺に罹患したとは認められないから、続発性気管支炎に罹患したとは認められない。もっとも、原告A18以外の6名については、粉じん 吸入により、管理2には至らない程度の線維性増殖性変化が生じているか、これに進展する可能性のある状態にあり、一定の健康被害(以下「じん肺に準じた健康被害」という。)を受けていたと認められるところ、次の 入により、管理2には至らない程度の線維性増殖性変化が生じているか、これに進展する可能性のある状態にあり、一定の健康被害(以下「じん肺に準じた健康被害」という。)を受けていたと認められるところ、次のとおり、そのうち、原告A5、原告A17、亡H及び原告A30については、続発性気管支炎に類する症状が生じたと認められるが、原告A1及び亡Eについて は、同症状が生じたとは認められない。 ア原告A1について 原告A1は、前提事実⑶アのとおり、平成21年6月23日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。高原中央病院医師作成の同年3月10日付けじん肺健康診断証明書(甲A3)によれば、原告 A1には、せき、たん、息切れの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、たん検査の結果は、同月2日7ml・P1、同月9日5ml・P1であった。 同月2日に採取された喀痰の細胞診検査の結果、検体は、唾液のみで痰がとれておらず、不適正であり、平成22年、平成23年、平成25年から令和2年にかけて、高原中央病院において採取された喀痰の細胞 診検査の結果についても、検体は、唾液のみで痰がとれていない、組織 - 121 -球の出現が認められないなど、不適正であり、平成24年の喀痰細胞診検査の結果は、異常は認めず、正常範囲内であった(乙A25)。 原告A1は、その後、平成31年から令和3年にかけて、高原中央病院において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん検査等の結果、続発性気管支炎と診断されたが、平成31年の2回のた ん検査では、たんの量が3ml 未満であった(甲A9、11、12)。 上記、のとおり、原告A1が続発性気管支炎と認定された際の喀痰検査で採取された検体は痰ではなく 1年の2回のた ん検査では、たんの量が3ml 未満であった(甲A9、11、12)。 上記、のとおり、原告A1が続発性気管支炎と認定された際の喀痰検査で採取された検体は痰ではなく不適正であったことから、膿性痰が認められなかったことが明らかであり、高原中央病院におけるその後の喀痰検査も不適正な状況が続き、上記のとおり、その後の高原中央 病院における続発性気管支炎との診断も、たんの量が基準を満たさない場合があり、膿性痰と認められるか疑義がある。関係証拠(甲A8)によれば、原告A1は、自覚症状を訴えているが、上記諸事情によれば、その症状が、粉じん吸入により、続発性気管支炎に類する症状を生じたことによるものとは認められない。 イ原告A5について 原告A5は、前提事実⑶エのとおり、平成27年7月14日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。高原中央病院医師作成の同年3月16日付けじん肺健康診断証明書(甲D2)によれば、原告A5には、せき、たん、息切れの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、た ん検査の結果は、同月7日8ml・P1、同月14日6ml・P1であった。 被告は、別紙9のとおり、初診後、短期間で続発性気管支炎の診断を受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨主張するが、関係証拠(甲D8、原告A5本人)によれば、上記自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 他方で、同月7日に採取された喀痰の細胞診検査の結果、検体は、組 - 122 -織球が認められず、不適正であり(乙D9)、一般細菌・真菌検査の結果、口腔常在菌しか検出されなかった(乙D10)。 原告A5は、その後、平成31年から令和3年にかけ - 122 -織球が認められず、不適正であり(乙D9)、一般細菌・真菌検査の結果、口腔常在菌しか検出されなかった(乙D10)。 原告A5は、その後、平成31年から令和3年にかけて、高原中央病院において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん検査等の結果、続発性気管支炎と診断された(甲D9~11)。 上記は、原告A5が、続発性気管支炎と認定された際、これに類する症状が生じていたことに疑義を抱かせる事情であるが、上記、の事情のほか、のとおり、その後、毎年、続発性気管支炎と診断されており、同診断の際のたん検査の方法については、これが不適切であったことを基礎付ける的確な証拠はないことからすると、その頃には、続発 性気管支炎に類する症状が生じていたと認められる。 ウ原告A17について 原告A17は、前提事実⑶サのとおり、平成23年12月7日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。高原中央病院医師作成の同年10月11日付けじん肺健康診断証明書(甲K3)によれば、 原告A17には、せき、たんの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、肺機能検査の結果はF++、たん検査の結果は、同月4日18ml・P1、同月11日10ml・P1であった。 上記喀痰検査が不適切であったことを認めるに足りる的確な証拠はない。被告が主張するように、同月4日に採取された喀痰の細胞診検査の 結果、異常は認められず(乙K17)、一般細菌・真菌検査の結果、口腔常在菌しか検出されなかったが(乙K18)、これらにより、上記診断の際の喀痰検査が不適切であったとは直ちに認められず、上記⑵アのとおり、続発性気管支炎の認定に際して、喀痰細胞診検査等により細菌感染が確認されることが必須 ったが(乙K18)、これらにより、上記診断の際の喀痰検査が不適切であったとは直ちに認められず、上記⑵アのとおり、続発性気管支炎の認定に際して、喀痰細胞診検査等により細菌感染が確認されることが必須であるとはいえない。 被告は、別紙9のとおり、初診後、短期間で続発性気管支炎の診断を - 123 -受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨主張する。関係証拠(甲K11、原告A17本人)によれば、原告A17は、上記自覚症状を訴えていたが、他方で、同年7月7日、被告病院において、じん肺健康診断を受けた際には、せき、たんの自覚症状を訴えておらず、続発性気管支炎とは診断されず、同月27日、高原中央病 院の初診時には、症状がないと話していた(乙K16)のであり、その頃、3か月以上せき、たんが持続していたことについては疑義がある。 原告A17は、その後、平成31年から令和3年にかけて、高原中央病院において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん検査等の結果、続発性気管支炎と診断された(甲K12、15、1 6)。 上記は、原告A17が、続発性気管支炎と認定された際、これに類する症状が生じていたことに疑義を抱かせる事情であるが、上記、の事情のほか、のとおり、その後、毎年、続発性気管支炎と診断されていることからすると、その頃には、続発性気管支炎に類する症状が生 じていたと認められる。 エ亡Eについて 亡Eは、前提事実⑶スのとおり、平成28年2月18日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。高原中央病院医師作成の平成年27年10月29日付けじん肺健康診断証明書(甲M4)によれば、 亡Eには、せき、たん、息切れの自覚症 月18日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。高原中央病院医師作成の平成年27年10月29日付けじん肺健康診断証明書(甲M4)によれば、 亡Eには、せき、たん、息切れの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、たん検査の結果は、同月22日、29日とも6ml・P1であった。 同月22日に採取された喀痰の細胞診検査の結果、検体は、組織球が認められないため、不適正であり(乙M6)、一般細菌・真菌検査の結果、口腔常在菌しか検出されなかった(乙M7)。 上記のとおり、亡Eが続発性気管支炎と認定された際の喀痰検査で採 - 124 -取された検体は痰ではなく不適正であったことから、膿性痰が認められなかったことが明らかである。また、関係証拠(乙M3)によれば、亡Eが上記自覚症状を訴えていたことは認められるが、前記2⑷シのとおり、亡Eは、肺サルコイドーシスと診断されており、その自覚症状・臨床症状としても、せき、たん、息切れ、呼吸困難がみられること(乙M 4、11)からすると、亡Eの上記症状が、肺サルコイドーシスの影響による可能性も否定できない。そうすると、亡Eが、粉じん吸入により、続発性気管支炎に類する症状を生じたとは認められない。 オ亡Hについて 亡Hは、前提事実⑶チのとおり、平成28年1月13日、続発性気管 支炎により療養を要するとの認定を受けた。大浦診療所医師作成の平成27年10月4日付けじん肺健康診断証明書(甲Q5)によれば、亡Hには、せき、たんの自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、たん検査の結果は、同年9月18日3ml・P1、同月25日4ml・P2であった。 被告は、別紙9のとおり、初診後、短期間で続発性気管支炎の診断を 受けており、3か月以上せき、たん 、たん検査の結果は、同年9月18日3ml・P1、同月25日4ml・P2であった。 被告は、別紙9のとおり、初診後、短期間で続発性気管支炎の診断を 受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨主張するが、関係証拠(甲Q19、乙Q15、原告A25本人)によれば、上記自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 また、上記喀痰検査が不適切であったことを認めるに足りる的確な証拠はない。被告が主張するように、同月18日に採取された喀痰の一般 細菌・真菌検査の結果、口腔常在菌しか検出されず(乙Q18)、平成28年8月4日受付の細胞診の結果、口腔内成分のみのため、不適性と評価されているが(乙Q17)、これらにより、上記診断の際の喀痰検査が不適切であったとは直ちに認められず、上記⑵アのとおり、続発性気管支炎の認定に際して、喀痰細胞診検査等により細菌感染が確認さ れることが必須であるとはいえない。 - 125 - 亡Hは、平成30年1月26日、大浦診療所において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん検査等の結果、続発性気管支炎と診断された(甲Q20)。 上記諸事情によれば、亡Hは、続発性気管支炎に類する症状を生じていたものと認められる。 カ原告A30について 原告A30は、前提事実⑶ツのとおり、平成28年7月22日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受けた。大浦診療所医師作成の同年6月3日付けじん肺健康診断証明書(甲S2)によれば、原告A30には、せき、たん、心悸亢進の自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、 たん検査の結果は、同月11日5ml・P2、同月18日5ml・P1であった。 被告は、 (甲S2)によれば、原告A30には、せき、たん、心悸亢進の自覚症状があり、呼吸困難第Ⅲ度、 たん検査の結果は、同月11日5ml・P2、同月18日5ml・P1であった。 被告は、別紙9のとおり、初診後、短期間で続発性気管支炎の診断を受けており、3か月以上せき、たんが持続することを確認していない旨主張するが、関係証拠(甲S11、乙S4の1、原告A30本人)によ れば、上記自覚症状は、そのとおり、持続していたものと認められる。 また、上記喀痰検査が不適切であったことを認めるに足りる的確な証拠はない。 原告A30は、令和2年から令和4年にかけて、大浦診療所において、じん肺健康診断を受け、胸部臨床検査、肺機能検査、たん検査等の結果、 続発性気管支炎と診断された(甲S14~16)。 上記諸事情によれば、原告A30は、続発性気管支炎に類する症状を生じていたものと認められる。 5 争点⑶(長崎造船所における就労との因果関係)について⑴ じん肺等及び続発性気管支炎等との因果関係 ア原告A1、原告A2、原告A5、原告A13、原告A16、原告A17、 - 126 -亡E、亡F、原告A23、亡H及び原告A30について前記3及び4のとおり、原告A2、原告A16、亡F及び原告A23はじん肺及び続発性気管支炎に罹患したと認められ、原告A13はじん肺に罹患したと認められ、原告A5、原告A17、亡H及び原告A30はじん肺に準じた健康被害を受け、続発性気管支炎に類する症状が生じたと認め られ、原告A1及び亡Eはじん肺に準じた健康被害を受けたと認められるところ、前記2のとおり、上記11名は、それぞれ、長崎造船所における粉じん作業職歴が長く、累積すると大量の粉じんに曝露 と認め られ、原告A1及び亡Eはじん肺に準じた健康被害を受けたと認められるところ、前記2のとおり、上記11名は、それぞれ、長崎造船所における粉じん作業職歴が長く、累積すると大量の粉じんに曝露し、これが主たる要因となって、上記じん肺、じん肺に準じた健康被害、続発性気管支炎、続発性気管支炎に類する症状が生じたと推認することができるから、これ らと長崎造船所における粉じん作業との間の因果関係が認められる。 イ亡Dについて 前記2⑸のとおり、亡Dは、長崎造船所以外の事業所において、昭和47年8月から昭和48年5月までの間、炭鉱坑道内で岩紛を撒く作業に、昭和49年2月から同年8月までの間、鉄板のガス切断作業に、平 成3年3月から平成12年5月までの間、溶接、切断作業に従事し、その後、平成14年1月から平成20年4月までの間、長崎造船所において、溶接作業に従事した。 亡Dは、前提事実⑶オのとおり、平成27年1月27日、管理2の決定を受け、前記3⑷エのとおり、じん肺に罹患したと推認され、また、 前記4⑵イのとおり、続発性気管支炎に罹患したと認められるところ、上記のとおり、長崎造船所以外の事業所における粉じん作業職歴が10年半程度と長期間に及んでいる。 その後、亡Dは、平成14年1月から平成20年4月まで、6年3月程度、溶接作業に従事しているところ、後記6⑵、⑶のとおり、被告は、 長崎造船所において、漸次、粉じん対策を拡充し、平成10年までには、 - 127 -粉じん測定の数値が大幅に低下しており、平成初期頃までは、一定程度粉じんに曝露する作業環境にあったと認められるが、その頃以降も、そのような作業環境にあったことを認めるに足りる的確な証拠はなく、亡Dが、長崎造船所におけ 幅に低下しており、平成初期頃までは、一定程度粉じんに曝露する作業環境にあったと認められるが、その頃以降も、そのような作業環境にあったことを認めるに足りる的確な証拠はなく、亡Dが、長崎造船所における上記稼働期間に、じん肺の罹患に影響を与える程度に大量の粉じんに曝露していたとは認められない。 以上のとおり、亡Dが、長崎造船所における粉じん作業による粉じん曝露が影響して、じん肺に罹患したことを認めるには足りず、同粉じん作業とじん肺及び続発性気管支炎の罹患との間の因果関係は認められない。 ウ原告A12について 前記2⑹のとおり、原告A12は、長崎造船所以外の事業所において、昭和47年3月から昭和53年12月までの間、炭鉱所において、採炭・移送用の機械・器具の保守管理作業に、昭和54年2月から昭和61年11月までの間、同所内の火力発電所の運転管理作業に従事し、その後、平成9年2月から平成21年6月までの間、長崎造船所において、 溶接作業、グラインダー作業に従事した。 原告A12は、前提事実⑶カのとおり、昭和54年10月4日、昭和62年3月18日及び平成20年12月9日、管理2の決定を受け、前記3⑷オのとおり、じん肺に罹患したと推認され、また、前記4⑵ウのとおり、続発性気管支炎に罹患したと認められるところ、上記のとおり、 長崎造船所以外の事業所における粉じん作業職歴が14年8月程度と長期間に及んでいる。 上記昭和54年10月4日及び昭和62年3月18日の管理区分決定は、他の事業所における粉じん作業職歴の期間中及びその離脱直後にされたものであり、原告A12は、その後、平成20年12月9日にも管 理区分決定を受けているが、じん肺の病変が進行性かつ不可逆性のもの 事業所における粉じん作業職歴の期間中及びその離脱直後にされたものであり、原告A12は、その後、平成20年12月9日にも管 理区分決定を受けているが、じん肺の病変が進行性かつ不可逆性のもの - 128 -であることからすると、同管理区分決定を受けたことは、上記離脱後の粉じん作業による粉じん曝露によりじん肺に罹患したことを推認させるものではない。 原告A12は、その後、平成9年2月から平成21年6月まで、12年5月程度、溶接作業、グラインダー作業に従事しており、その期間は 長期間に及ぶが、上記イと同様、上記長崎造船所における稼働期間に、じん肺の罹患に影響を与える程度に大量の粉じんに曝露していたとは認められない。 また、L医師は、別紙18-5L医師意見記載のとおり、原告A12がじん肺に罹患しているとの意見を示しているが、上記炭鉱所における 粉じん作業職歴と、その後の長崎造船所における粉じん作業職歴から想定されるじん肺の種類、特徴等を踏まえて、後者の影響によることを示すものとはいえず、L医師の意見により、これを否定する別紙6及び別紙18-5被告協力医意見を排斥して、長崎造船所における粉じん作業による粉じん曝露が、原告A12のじん肺の罹患に影響を与えたという こともできない。 以上のとおり、原告A12が、長崎造船所における粉じん作業による粉じん曝露が影響して、じん肺に罹患したことを認めるには足りず、同粉じん作業とじん肺及び続発性気管支炎の罹患との間の因果関係は認めらない。 エ原告A14について 前記2⑻のとおり、原告A14は、長崎造船所において、昭和30年10月から昭和33年8月までの間、溶接作業、グラインダー作業に、昭和43年12月から昭和44年4 エ原告A14について 前記2⑻のとおり、原告A14は、長崎造船所において、昭和30年10月から昭和33年8月までの間、溶接作業、グラインダー作業に、昭和43年12月から昭和44年4月までの間、溶接作業に、同月から昭和45年5月までの間、保温作業、溶接作業に、昭和59年6月から 平成7年までの間、溶接作業、修繕作業に従事し、他方、長崎造船所以 - 129 -外の事業所において、昭和35年9月から同年12月までの間、溶接作業に、昭和39年8月から同年12月までの間、昭和40年2月から同年11月までの間、昭和45年5月から昭和54年11月までの間、溶接作業、グラインダー作業に、平成7年7月から平成8年2月までの間、溶接作業に従事した。 原告A14は、前提事実⑶クのとおり、昭和54年3月16日、管理2の決定を受け、前記3⑷キのとおり、じん肺に罹患したと推認されるところ、上記のとおり、それまでの長崎造船所における粉じん作業職歴は4年4月程度であり、長崎造船所以外の事業所における粉じん作業職歴は10年3月程度と長期間に及んでいる。また、原告A14は、前提 事実⑶クのとおり、平成20年1月21日、続発性気管支炎により療養を要するとの認定を受け、前記4⑵オのとおり、続発性気管支炎に罹患したと認められるところ、上記管理区分決定後、上記認定時までの間の、長崎造船所における粉じん作業職歴は11年1月程度と長期間に及び、長崎造船所以外の事業所における粉じん作業職歴は1年4月程度である。 後記6⑵、⑶のとおり、長崎造船所における上記粉じん作業職歴の多くの期間については、未だ粉じん対策が十分なものであったとまでは認められず、累積すると大量の粉じんに曝露したと推認される。 上記管理 、⑶のとおり、長崎造船所における上記粉じん作業職歴の多くの期間については、未だ粉じん対策が十分なものであったとまでは認められず、累積すると大量の粉じんに曝露したと推認される。 上記管理区分決定時までは、他の事業所における粉じん作業職歴が長いことからすると、長崎造船所における粉じん作業による粉じん曝露が 主たる要因となって、じん肺に罹患したとは認められないが、同粉じん作業職歴も相当程度の期間に及んでいることからすると、同粉じん作業による粉じん曝露も相まって、じん肺に罹患したものと推認される。他方、その後は長崎造船所における粉じん作業職歴が長く、同粉じん作業による粉じん曝露の影響の方が大きいものと推認される。 上記のとおり、原告A14は、長崎造船所と他の事業所における粉じ - 130 -ん作業による粉じん曝露が相まって、じん肺及び続発性気管支炎に罹患したと推認され、両者の間の因果関係が認められるものの、長崎造船所における粉じん曝露が、それのみによって、じん肺及び続発性気管支炎に罹患する程のものであったとまでは認められない。そして、上記経過、特に各粉じん作業職歴の期間に鑑み、長崎造船所における粉じん曝露の 寄与度を5分の3と認めるのが相当である。 オ原告A15について 前記2⑼のとおり、原告A15は、長崎造船所において、昭和44年10月から昭和54年1月までの間、溶接作業、グラインダー作業に従事し、他方、長崎造船所以外の事業所において、同年2月から平成22 年6月までの間、水道管敷設配管作業に従事した。 原告A15は、前提事実⑶ケのとおり、平成27年3月2日、管理2の決定を受け、平成28年3月22日、続発性気管支炎の認定を受け、前記3⑷クのとおり、じん肺に罹 管敷設配管作業に従事した。 原告A15は、前提事実⑶ケのとおり、平成27年3月2日、管理2の決定を受け、平成28年3月22日、続発性気管支炎の認定を受け、前記3⑷クのとおり、じん肺に罹患したと推認され、前記4⑵カのとおり、続発性気管支炎に罹患したと認められる。 上記管理区分決定及び続発性気管支炎認定時までの長崎造船所における粉じん作業職歴は9年4月程度と長期間に及ぶが、他方で、その後の他の事業所における粉じん作業職歴は、31年5月程度とさらに長期間に及んでおり、それぞれ、累積すると大量の粉じんに曝露したものと推認される。 被告協力医の意見は、別紙6及び別紙18-8被告協力医意見記載のとおり、典型的なけい肺の所見であり、一部石灰化した軽度の胸膜プラークが認められ、L医師指摘の箇所に、わずかに分岐状影と粒状影が認められるが、典型的な石綿肺の所見とは異なるというものである。他方、L医師の意見は、別紙18-8L医師意見記載のとおり、けい肺の所見 が認められるが、石綿肺初期の所見も認められ、MDP(混合粉じん性 - 131 -じん肺)ないし溶接工肺の所見としても矛盾しないというものであり、被告協力医は、これを否定している(乙412)。もっとも、MDPないし溶接工肺の所見と矛盾しないものであるか否かについては、双方とも、その根拠は定かではない。 上記諸事情によると、原告A15のじん肺は、けい肺を主体としたも のといえ、原告A15は、水道管敷設配管作業に従事した際、電気ピック、エアーブレーカー等を使用して、コンクリート等のはつり作業にも従事していたこと(乙I16、原告A15本人)、同作業はけい肺の発生原因となり得る粉じん作業に当たること(前記3⑴イ、乙264、 エアーブレーカー等を使用して、コンクリート等のはつり作業にも従事していたこと(乙I16、原告A15本人)、同作業はけい肺の発生原因となり得る粉じん作業に当たること(前記3⑴イ、乙264、265)からすると、原告A15のじん肺及び続発性気管支炎の罹患は、 長崎造船所以外の事業所における粉じん作業による粉じん曝露によるところが大きいものと推認される。 もっとも、上記のとおり、長崎造船所における粉じん作業においても累積すると大量の粉じん曝露が生じたと推認され、原告A15に一部石灰化した胸膜プラークが認められることはL医師、被告協力医とも一致 しており、原告A15は、石綿粉じんに曝露したことが認められる。前記3⑴ウのとおり、溶接作業においても石綿ばく露を受けることがあること、その根拠は定かではないものの、L医師は溶接工肺と矛盾しない所見であると指摘し、これを否定する被告協力医の根拠も定かではないことからすると、長崎造船所における粉じん作業による粉じん曝露も、 原告A15のじん肺及び続発性気管支炎の罹患に影響したものと推認され、粉じん作業職歴の先後関係に照らすと、これと他の事業所における粉じん作業による粉じん曝露とが相まって発症したものと推認されるから、両者の間の因果関係が認められる。 そして、長崎造船所における粉じん作業による粉じん曝露の寄与度は、 以上の諸事情に加え、各粉じん作業職歴の期間を考慮して、4分の1と - 132 -認めるのが相当である。 カ原告A24について 前記2⒃のとおり、原告A24は、長崎造船所において、昭和36年2月から昭和37年5月までの間、保温作業に従事し、平成6年11月から平成12年2月までの間、溶接、ガス切断、グラインダー作業に従 前記2⒃のとおり、原告A24は、長崎造船所において、昭和36年2月から昭和37年5月までの間、保温作業に従事し、平成6年11月から平成12年2月までの間、溶接、ガス切断、グラインダー作業に従 事し、他方、長崎造船所以外の事業所において、昭和38年3月から平成元年2月までの間、溶接、ガス切断、グラインダー作業に従事し、平成18年9月から平成21年9月までの間、溶接、ガス切断、グラインダー作業に従事した。 原告A24は、前提事実⑶タのとおり、平成7年8月28日及び平成 18年10月4日、管理2の決定を受け、前記3⑷ソのとおり、じん肺に罹患したと推認されるところ、上記のとおり、長崎造船所以外の事業所における粉じん作業職歴が26年程度と長期間に及んでいる。 上記平成7年8月28日の管理区分決定の際、原告A24は、長崎造船所において粉じん作業に従事していたが、同決定時までの粉じん作業 職歴は、長崎造船所においては通算2年2月程度にとどまり、その大部分は、他の事業所のものである。原告A24は、その後、平成18年10月4日にも管理区分決定を受けているが、じん肺の病変が進行性かつ不可逆性のものであることからすると、同管理区分決定を受けたことは、最初の管理区分決定後の粉じん作業による粉じん曝露によりじん肺に罹 患したことを推認させるものではない。 また、原告A24は、平成6年11月から平成12年2月まで、5年4月程度、長崎造船所において、溶接、ガス切断、グラインダー作業に従事しているが、前記4⑵コのとおり、原告A24が続発性気管支炎に罹患したとは認められず、また、上記イと同様、上記長崎造船所にお ける稼働期間に、じん肺の罹患に影響を与える程度に大量の粉じんに曝 - 133 -露し り、原告A24が続発性気管支炎に罹患したとは認められず、また、上記イと同様、上記長崎造船所にお ける稼働期間に、じん肺の罹患に影響を与える程度に大量の粉じんに曝 - 133 -露していたとは認められない。 以上のとおり、原告A24が、長崎造船所における粉じん作業による粉じん曝露が影響して、じん肺に罹患したことを認めるには足りず、同粉じん作業とじん肺の罹患との間の因果関係は認められない。 ⑵ 肺がんとの因果関係 ア石綿による肺がんの認定基準 「石綿による疾病の認定基準について」平成24年3月29日付け厚生労働省労働基準局長通達(基発0329第2号、以下「平成24年通達」という。)は、石綿による肺がんの認定基準として、第2の2で、石綿ばく露労働者に発症した原発性肺が んであって、次の⑴から⑹(⑶以外は省略)までのいずれかに該当するものは、最初の石綿ばく露作業(労働者として従事したものに限らない。)を開始したときから10年未満で発症したものを除き、業務上の疾病として取り扱うと定めている(乙51)。 「⑶ 次のアからオまでのいずれかの所見が得られ、かつ、石綿ばく露 作業への従事期間が1年以上あること。 ア乾燥肺重量1g当たり5000本以上の石綿小体イ乾燥肺重量1g当たり200万本以上の石綿線維(5μm超)ウ乾燥肺重量1g当たり500万本以上の石綿線維(1μm超)エ気管支肺胞洗浄液1ml 中5本以上の石綿小体 オ肺組織切片中の石綿小体又は石綿線維」 平成24年通達は、ヘルシンキ国際会議のコンセンサスレポート(ヘルシンキ・クライテリア)等を参考にして定められた平成18年2月9日付け通 オ肺組織切片中の石綿小体又は石綿線維」 平成24年通達は、ヘルシンキ国際会議のコンセンサスレポート(ヘルシンキ・クライテリア)等を参考にして定められた平成18年2月9日付け通達(基発第0209001号、以下「平成18年通達」という。)を、「石綿による疾病の認定基準に関する検討会」の検討結果を 踏まえて改正されたものであり、同検討結果は、平成18年通達後の重 - 134 -要な医学的知見を収集し、様々な観点から検討した結果に基づくものである。また、ある要因と健康障害との因果関係の程度を示す疫学指標として、寄与危険度割合が用いられ、寄与危険度割合は{(相対リスク-1)/相対リスク}×100で計算されるところ、上記認定基準は、基本的に、肺がんの発症リスク(相対リスク)が2倍以上となる所見を基 準として採用したものである。(乙48、49、51)イ亡Cについて 前記2⑶のとおり、亡Cは、長崎造船所において、昭和39年3月から昭和40年4月までの間、配管作業に従事し、昭和55年3月から平成12年9月までの間、足場の架設、解体作業に従事し、他方、長崎造 船所以外の事業所において、平成16年11月から平成20年12月までの間、足場の架設、解体、修繕船のエンジンのバルブ、パイプの取替え作業に従事した。 また、前提事実⑶ウ、後記のとおり、亡Cが労災認定を受けた際の石綿ばく露作業従事歴の調査の過程で、被告において、昭和56年2月 までの間は、構内作業で石綿関連製品が使用され、それ以降も、修繕船で石綿含有製品が使用された箇所の修繕の際に石綿ばく露作業があったことを被告が認めていたことが確認された(甲C11)。 亡Cは、平成26年1月11日、ながさきハートクリニック 降も、修繕船で石綿含有製品が使用された箇所の修繕の際に石綿ばく露作業があったことを被告が認めていたことが確認された(甲C11)。 亡Cは、平成26年1月11日、ながさきハートクリニックにおいて、CT検査の結果、右上葉肺結節が認められ、原発性肺がんが疑われた。 同病院の紹介で、長崎大学病院において、同年3月13日、CT検査を受け、同結節の性状から原発性肺がんが疑われたが、胸膜プラークは認められず、同月17日から同月19日まで、同病院に入院し、気管支鏡検査等を受けたが、有意な所見が得られず、長崎原爆病院を紹介された。 同年4月23日、同病院において、CT検査の結果、肺がん疑いと診断 され、同年6月29日から同年7月13日まで、同病院に入院し、同月 - 135 -1日、胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術を受けた。同日、同手術後の病理診断の結果、リンパ節にアスベストの断片が多く見られた。同病院のS医師は、同年8月7日、右上葉肺癌と診断して、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく認定申請用の診断書(石綿を原因とする肺がん用)を作成し、上記所見のほか、同年4月23日のCT画像に胸膜プラークの 所見が認められるとした。(甲C3、4、乙C1~5) 亡Cは、前提事実⑶ウのとおり、平成27年10月13日、石綿にさらされる業務による肺がんに該当するとして労災認定を受けた。同認定の根拠の概要は、同、記載のとおりであり、石綿小体濃度は5604本/g(乾燥肺)(平成27年8月26日付け神戸労災病院報告)で あった。なお、同報告に先立つ平成26年10月30日付け岡山労災病院報告によると、石綿小体濃度は3986本/g(乾燥肺)であり、石綿小体濃度については、上記アの認定基準⑶アの要件を満たさないものであったが、同 同報告に先立つ平成26年10月30日付け岡山労災病院報告によると、石綿小体濃度は3986本/g(乾燥肺)であり、石綿小体濃度については、上記アの認定基準⑶アの要件を満たさないものであったが、同エの気管支肺胞洗浄液の要件を満たすものであった(甲C4)。 上記アのとおり、平成24年通達は、上記検討会の検討結果を踏まえて定められたもので、当時の医学的知見に即したものであり(乙48、49)、これが、医学的知見に反して不合理であることを認めるに足りる的確な証拠はなく(なお、中央環境審議会石綿健康被害判定小委員会作成の「医学的判定に関する留意事項」〔乙353〕には、肺組織切片 中の石綿小体数について、最低限の基準として2本/㎠を目安とすると記載され、これを1g乾燥肺に換算すると4万本と推定されるとの文献〔乙N33の4〕があるが、上記目安は平成24年通達の上記認定基準⑶オに相当するもので、計測方法が異なることから、同アの基準が不合理であるとは直ちにはいえず、同文献でも同基準を否定していない。)、 上記諸事情によれば、上記の労災認定は、同認定基準を満たし、かつ、 - 136 -上記の診療経過に沿うもので、合理的なものであるといえるから、亡Cは、石綿にさらされる業務により原発性肺がんに罹患したものと推認することができる。 そして、上記のとおり、亡Cは、長崎造船所における粉じん作業職歴が長く、労災認定の際の石綿ばく露作業従事歴の調査の過程で、石綿 ばく露作業にも従事していたことが確認されていることからすると、後記6⑵、⑶のとおり、平成初期頃以降は、一定程度粉じんに曝露する作業環境にあったとは認め難いことを考慮しても、その頃までの間に、累積すると大量の石綿粉じんに曝露していたと推認すること からすると、後記6⑵、⑶のとおり、平成初期頃以降は、一定程度粉じんに曝露する作業環境にあったとは認め難いことを考慮しても、その頃までの間に、累積すると大量の石綿粉じんに曝露していたと推認することができ、その後の他の事業所(長崎機工)での作業の際の石綿粉じん曝露と相まって、 原発性肺がんに罹患したと推認することができるから、亡Cの原発性肺がんと長崎造船所における粉じん作業による粉じん曝露との間の因果関係が認められる。 長崎造船所における粉じん作業による石綿粉じん曝露の寄与度は、上記諸事情に加え、各粉じん作業職歴の期間や、亡Cが、長崎造船所にお いては、昭和55年3月以降は主として足場の架設、解体作業に従事し、その後の他の事業所(長崎機工)での作業の方が修繕船のパイプやバルブの取替え作業の比率が高かったこと(甲C9)、他方で、上記認定基準は、石綿による肺がんの潜伏期間が石綿ばく露開始から10年以上と考えられることを前提としたものであり(乙49)、発症の10年以上 前までの稼働期間も考慮して、5分の4と認めるのが相当である。 被告は、前記第4の3(被告の主張)⑶のとおり、亡Cは、重度の喫煙者であり、亡Cの原発性肺がんは、喫煙による影響の方が大きい旨主張し、その根拠として、「肺がんの疫学」(平山雄、平成2年1月。乙53)に依拠して、ブリンクスマン指数と肺がんによる死亡率との関係 について、同指数が高くなるほど死亡率が高くなることが報告され、同 - 137 -指数が800を超える重喫煙者では、肺がんによる死亡の相対危険度が非喫煙者の6.9倍となり、同指数が同じでも、喫煙開始年齢が若い程、肺がんによる死亡率が高くなる傾向があり、喫煙開始が19歳以下で同指数が800以上であれば、肺がんによる んによる死亡の相対危険度が非喫煙者の6.9倍となり、同指数が同じでも、喫煙開始年齢が若い程、肺がんによる死亡率が高くなる傾向があり、喫煙開始が19歳以下で同指数が800以上であれば、肺がんによる死亡の相対危険度は非喫煙者の6.8倍となることが報告されているなどと指摘する。 しかし、上記文献記載の相対危険度等は、非喫煙者の肺がん死亡率を1とした場合の比率を指すものであり(乙53)、上記アの寄与危険度割合算定に際しての相対リスクと同一の概念ではないから、上記文献により、一般的に、喫煙の方が石綿粉じん曝露よりも肺がん発症の危険性が高いとは認められない。 上記文献のほかにも、非喫煙者に比べ、喫煙者の肺がん発症のリスクが高いことが指摘されており(乙48、C9)、亡Cは、15歳から62歳まで喫煙本数30~40本/日と重度の喫煙者であったことが認められ(甲C3、乙C1、2)、喫煙が肺がんの発症に一定程度影響した可能性は否めないものの、上記のとおり、亡Cが原発性肺がんと診断 された過程において、上記喫煙歴が生活歴を超えて、原発性肺がんの原因として具体的に考察された形跡は見当たらないこと(乙C1~5)からすると、喫煙の影響を考慮して、亡Cの原発性肺がんと石綿粉じん曝露との因果関係を否定することはできない。 ウ亡Fについて 前記2⒁のとおり、亡Fは、長崎造船所において、昭和36年11月から昭和44年11月までの間、ガス切断作業に従事し、昭和56年3月から平成11年12月までの間、主としてガス切断作業に従事したほか、一部、溶接、グラインダー作業に従事し、平成13年12月から平成14年12月までの間、ガス切断作業に従事し、他方、長崎造船所以 外の事業所で、昭和47年9月から昭 ガス切断作業に従事したほか、一部、溶接、グラインダー作業に従事し、平成13年12月から平成14年12月までの間、ガス切断作業に従事し、他方、長崎造船所以 外の事業所で、昭和47年9月から昭和50年9月まで、昭和51年4 - 138 -月から昭和52年5月まで、同年7月から昭和53年3月まで、同年7月から同年8月までの間、ガス切断作業に従事した。 亡Fは、前提事実⑶セのとおり、平成7年8月28日、管理2の決定を受け、平成20年7月18日、続発性気管支炎の認定を受けたところ、前記3⑷スのとおり、じん肺に罹患したと推認され、前記4⑵クのとお り、続発性気管支炎に罹患したと認められ、前記⑴アのとおり、じん肺及び続発性気管支炎と長崎造船所における粉じん作業との間の因果関係が認められる。 亡Fは、大浦診療所において、じん肺症、関節リウマチの通院治療を受けていたところ、急性肺炎(間質性肺炎)のため、平成21年8月2 2日、上戸町病院に入院し、同年9月3日、呼吸不全が悪化し、人工呼吸管理となり、その後も細菌性肺炎を繰り返し発症し、また、悪性関節リウマチと診断され、平成22年7月12日まで、同病院で入院し、治療を受けた。平成22年8月、平成23年3月にも、細菌性肺炎を発症し、同病院に入院した。同年9月1日、CT検査で、右縦隔~肺門部、 右肺S6に腫瘤を認め、精査のため、同病院に入院し、同月20日、肺がん・肺門部リンパ節移転による変化として矛盾しないと診断され、治療方針検討のため、長崎大学病院において診察を受けたが、間質性肺炎後のステロイド及び免疫抑制剤内服中であることを考慮し、放射線治療や抗癌剤による化学療法等の治療適応は困難と判断された。同年12月 20日頃から労作時の呼吸困難が出現し、平 けたが、間質性肺炎後のステロイド及び免疫抑制剤内服中であることを考慮し、放射線治療や抗癌剤による化学療法等の治療適応は困難と判断された。同年12月 20日頃から労作時の呼吸困難が出現し、平成24年1月10日、上戸町病院に入院し、同月20日、細菌性肺炎を発症したが、同年2月3日には改善した。同年3月9日、肺炎が再燃し、同年3月16日、CT検査で右胸水貯留と両肺野陰影の増強がみられ、同月21日から、徐々に呼吸困難が増悪し、同月23日、ニューモシスチス肺炎と診断され、同 月27日、さらに容態が悪化し、●月●日、死亡した。(甲N6、12、 - 139 -14、乙N2、4、8~13、16、24~32) 上戸町病院の主治医は、亡Fの死因につき、肺がんの存在により免疫力が低下していたため、ニューモシスチス肺炎により死亡した旨の所見であり、長崎労働基準監督署長は、同旨の長崎地方労働医員の意見を踏まえて、じん肺の合併症である原発性肺がんが増悪し、相対的に有力な 原因となって死亡したと認められるとして、遺族補償年金支給決定をした(甲N7、12、17)。 亡Fの病理解剖を実施したQ医師の所見及びその後の石綿小体の計測等も踏まえた意見は、概要、前記3⑷スのとおりであり、これに対するR医師の意見は、概要、同のとおりである。そのほか、Q医師は病 理解剖の剖検所見概要で、「臨床的にリウマチ関連肺疾患(膠原病肺)が疑われているが、アスベスト関連肺疾患を含む塵肺症が存在する以上、間質パターンの肺炎の病因として第一義的には考えにくい。ニューモシスチス肺炎については、肺胞内泡沫状好酸性滲出物はなく、カリニ病原体は指摘できなかった。」、「悪性関節リウマチやニューモシスチス肺 炎を示唆する組織所見は指摘できなか は考えにくい。ニューモシスチス肺炎については、肺胞内泡沫状好酸性滲出物はなく、カリニ病原体は指摘できなかった。」、「悪性関節リウマチやニューモシスチス肺 炎を示唆する組織所見は指摘できなかった。」と記載し(乙N2)、R医師は、病理解剖時の所見では、古い炎症を示唆する右肺上葉の限局性の線維化と肺がんの進展に随伴する右肺下葉の気質化肺炎を認めたが、ニューモシスチス肺炎や細菌性肺炎などの活動性の炎症の所見はなく、末期の呼吸困難の増悪は、両肺の気腫性変化と慢性気管支炎による気管 支内腔での粘液貯留によるものと考えられる旨を指摘している(乙N33)。 前記3⑷スのとおり、亡Fの病理解剖組織標本から、石綿小体濃度7426本/g(乾燥肺)が計測され、上記、の諸事情によると、亡Fの肺がんは、平成24年通達の認定基準⑶アを満たすことになる。他 方で、Q医師は、黒色調の上葉を主体とした気腫性変化やその他の所見 - 140 -から、アスベスト以外の塵肺症の共存が示唆されるとし、上記気腫性変化について、喫煙と酸化鉄粉じん曝露のいずれによっても生じ得るものであり、いずれが優位か鑑別できないとし、R医師は、石綿による線維化については否定的であり、亡Fの気腫性変化及び線維化の原因について、沈着物に黒色粉じんが多いことから、一次的に喫煙が考えられ、次 いで酸化鉄吸引が考えられるものの、酸化鉄肺特有の所見がなく、酸化鉄による所見とは考えにくいとする。前記3⑷スのとおり、Q医師は、上記認定基準を満たす石綿小体が肺線維化巣を背景に散見され、線維化との関連を想定する根拠となるとしており、石綿粉じん曝露の影響を示すものであるが、上記上葉を主体とした気腫性変化については、両医師 の見解は、酸化鉄粉じん曝露及び喫煙の影響を示 見され、線維化との関連を想定する根拠となるとしており、石綿粉じん曝露の影響を示すものであるが、上記上葉を主体とした気腫性変化については、両医師 の見解は、酸化鉄粉じん曝露及び喫煙の影響を示すものである。上記諸点に加え、上記の粉じん作業職歴や、亡Fが、上戸町病院医師作成の臨床病歴(甲N12)によると、20歳から73歳まで喫煙本数15本/日と重度の喫煙者であったことも考慮すると、亡Fの肺がんは、石綿及び酸化鉄粉じん曝露による影響と、喫煙の影響とが相まって生じたも のと推認され、長崎造船所における粉じん作業との間の因果関係が認められる。 また、亡Fの死因について、上記、のとおり、上戸町病院の主治医は、ニューモシスチス肺炎を直接死因と診断しているが、上記のとおり、Q医師及びR医師は、病理解剖の結果から、同肺炎に否定的であ り、Q医師は、前記3⑷スのとおり、アスベスト関連の塵肺症による間質性肺炎を背景に扁󠄀平上皮癌を合併し、死に至ったものと推察するとし、R医師は、上記のとおり、末期の呼吸困難の増悪は、両肺の気腫性変化と慢性気管支炎による気管支内腔での粘液貯留によるものと考えられるとしており、亡Fの肺疾患が死亡原因となったという点では一致 している。上記のとおり、亡Fは、じん肺及び続発性気管支炎に罹患し - 141 -たと認められ、粉じん曝露及び禁煙の影響が相まって肺がんを発症したと認められるところ、上記のとおり、亡Fは、急性肺炎(間質性肺炎)発症後、細菌性肺炎を繰り返し、間質性肺炎後の投薬療法を考慮して、肺がんの治療適応が困難と判断され、呼吸困難が増悪して、死亡するに至っており、じん肺及び続発性気管支炎による病状と、その影響もあっ て肺がんの治療適応が困難となったことが亡Fの死亡 を考慮して、肺がんの治療適応が困難と判断され、呼吸困難が増悪して、死亡するに至っており、じん肺及び続発性気管支炎による病状と、その影響もあっ て肺がんの治療適応が困難となったことが亡Fの死亡の要因となったと推認される。 以上のとおり、長崎造船所における粉じん作業による粉じん曝露と、じん肺、続発性気管支炎及び肺がんとの因果関係が認められ、さらに死亡との因果関係が認められるところ、上記のとおり、肺がんについて は、喫煙の影響も相まって発症したと推認されるから、一定程度、死亡にも影響したと推認され、また、上記で検討したとおり、亡Fの肺疾患が死亡の主たる要因になったということができるものの、上記の診療経過及びその間他にも多数の疾病に罹患していたこと(乙N16)からすると、死亡原因の全てを粉じん作業に由来する上記疾病に帰すこと はできず、上記粉じん曝露の肺がん及び死亡への寄与度は、これらの諸事情も考慮して、3分の2と認めるのが相当である。 6 争点⑷(安全配慮義務違反の有無)について⑴ 安全配慮義務の存否ア粉じん作業従事者に対する安全配慮義務 使用者は、労働契約関係に立つ労働者に対し、労務遂行に際して、労働者の生命、身体を害することがないよう配慮すべき安全配慮義務を負うと解される。 前提事実⑵、前記3⑴のとおり、じん肺は、粉じん曝露による粉じんの吸入を原因として肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病で、進 行性かつ不可逆性を特質とする。 - 142 -じん肺又は粉じん作業に関連する規制として、労働安全衛生規則(昭和22年労働省令第9号)が、事業者に対する粉じん防止措置を講ずべき義務を規定していたところ、昭和30年9月1日には、けい肺等特 じん肺又は粉じん作業に関連する規制として、労働安全衛生規則(昭和22年労働省令第9号)が、事業者に対する粉じん防止措置を講ずべき義務を規定していたところ、昭和30年9月1日には、けい肺等特別保護法が施行され、昭和35年4月1日には、じん肺法が施行され、昭和47年10月1日には、安衛法が施行され、昭和53年3月31日に は、じん肺法が改正、施行され、事業者の義務として、安衛法等の規定によるほか、じん肺の予防に関し、粉じんの発散の防止及び抑制、保護具の使用その他について適正な措置を講ずるよう努めることや(5条)、常時粉じん作業に従事する労働者に対してじん肺に関する予防及び健康管理のために必要な教育を行わなければならないこと(6条)が規定さ れている。 被告は、前提事実⑴ア、前記1のとおり、古くから長崎造船所において、新造船工事、修繕船工事等の事業を営み、その各工程で粉じん作業が生じていたところ、上記のようなじん肺又は粉じん作業に関連する規制や関係法令の制定過程及びこれらが前提としたじん肺又は粉じん作 業についての知見等に鑑みると、被告は、遅くともじん肺法が施行された昭和35年4月頃には、長崎造船所における上記事業に際して、粉じん作業従事者のじん肺罹患やその増悪を防止するため、その当時の実践可能な最高の科学的・工学的技術水準に基づいて、粉じん発生の防止・抑制(作業方法の可及的改善)、粉じん曝露の防止・抑制(作業工程の 改善、換気装置の設置等の作業現場における粉じん滞留防止措置、防じんマスクの使用等の労働者による粉じん吸入の可及的防止措置)を主体とするじん肺防止対策を実施するとともに、その実効性を確保するため、粉じん量を測定し、粉じん作業従事者にじん肺教育を講じる等の措置を講じることにより、粉 働者による粉じん吸入の可及的防止措置)を主体とするじん肺防止対策を実施するとともに、その実効性を確保するため、粉じん量を測定し、粉じん作業従事者にじん肺教育を講じる等の措置を講じることにより、粉じん作業従事者の生命・健康を保護すべき安全配 慮義務を負っていたというべきである。 - 143 -イ下請労働者に対する安全配慮義務 下請労働者に対して安全配慮義務を負うのは、一次的にはその使用者であるが、安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の附随義務として、信義則上認められるものであるから(最高裁昭和50年2月25日第三小 法廷判決・民集29巻2号143頁参照)、元請企業が下請労働者との間で、特別な社会的接触の関係に入ったといえる場合には、信義則上、下請労働者に対しても、安全配慮義務を負う場合があるというべきである(最高裁平成3年4月11日第一小法廷判決・集民162号295頁参照)。 前提事実⑴ア、前記1のとおり、被告は、長崎造船所において、新造船工事、修繕船工事等の事業を営んでいたところ、長崎造船所内の各種工場、船台、ドック等の施設や、各施設内の主要な設備等は、被告の所有又は管理に帰属し、各施設内の換気状況や集じん設備・装置の有無、量、配置等に影響するものであるから、粉じん作業における粉じんの発 生又は滞留状況等に影響する。新造船工事、修繕船工事等の工程は多岐にわたり、その過程で、多数の下請業者が関与し、下請労働者が従事していたものの、その作業工程は、被告において、直接又は間接的に管理していたことが認められ、作業工程に多大な影響を与える工法についても、被告の判断により導入・変革されてきたことが認められる。また、 いたものの、その作業工程は、被告において、直接又は間接的に管理していたことが認められ、作業工程に多大な影響を与える工法についても、被告の判断により導入・変革されてきたことが認められる。また、 長崎造船所内で使用する石綿含有保温・断熱材の使用を禁止したように原材料の仕様等についても、被告の判断の影響下にあったことが認められる。これらも粉じんの発生又は滞留状況等に影響するものである。 (甲195、乙139、151、152)このように長崎造船所内の粉じん作業に関して、粉じんの発生又は滞 留状況等に大きく影響する作業環境等について、被告の支配、管理によ - 144 -るところが大きく、これらの点について、下請労働者の使用者である下請業者において対策を講じることは困難であったと考えられることからすると、被告は、長崎造船所内において粉じん作業に従事する下請労働者との間においても、粉じん作業に関しては、上記特別な社会的接触の関係に入ったと認められ、粉じん作業従事者の生命・身体を保護すべき 安全配慮義務を負うと認めるのが相当である。 以上によれば、被告は、本件労働者に対し、長崎造船所内における粉じん作業について、下請労働者として従事していた期間についても、上記アと同様の安全配慮義務を負うと認められる。もっとも、下請労働者に対し、一次的に安全配慮義務を負うのは、その使用者であり、下請 業者が、下請労働者に対し、指示命令をすることにより達成可能な措置についてまで、被告が責任を負うということはできないから、下請労働者と共同で作業に従事し、直接、指揮監督するような場合を除き、粉じんマスクについては、必要な量を確保して、下請業者に対し、下請労働者に適切に着用させるよう周知し、じん肺教育については、下請労働 労働者と共同で作業に従事し、直接、指揮監督するような場合を除き、粉じんマスクについては、必要な量を確保して、下請業者に対し、下請労働者に適切に着用させるよう周知し、じん肺教育については、下請労働者 も含めたじん肺教育の機会を確保し、下請業者を通じて、下請労働者に対しても周知するような体制を構築すれば足りるというべきである。 ⑵ 長崎造船所における粉じん作業・粉じん対策の状況等ア粉じん作業の状況等 管理区分決定を受けた者の推移 被告の長崎造船所における粉じん作業従事者について、管理区分決定を受けた者の推移は、別紙19記載のとおりであり、平成12年まで漸増した後、減少に転じ、平成21年以降、減少傾向が顕著となっている(甲98、99、143、146、151、156、160)。 上記推移は、じん肺が進行性の疾患であり、発症まで一定の期間を要 することを考慮しても、平成初期頃までは、長崎造船所において、継続 - 145 -的に、粉じん作業による一定程度の粉じん曝露が生じる作業環境にあったことを示すものと考えられる。 本件労働者らの供述等原告らは、本件労働者の粉じん作業状況について、陳述書等(甲A7、B5、8、C9、D6、7、F4、6、G7、11、12、H5~7、 L5、6、M6、O5、P5、9、Q1、S7、8)を提出し、原告A2、原告A5、原告A12、原告A13、原告A14、原告A15、原告A16、原告A17、原告A18、原告A24、原告A23及び原告A30は、それぞれ、本人尋問において、粉じん作業状況を供述している。また、原告らは、本件労働者の粉じん作業に関係する粉じん作業状 況として、別紙20記載のとおり、同種関連事件における粉じん作 A30は、それぞれ、本人尋問において、粉じん作業状況を供述している。また、原告らは、本件労働者の粉じん作業に関係する粉じん作業状 況として、別紙20記載のとおり、同種関連事件における粉じん作業従事者の陳述書等(甲18、19、21~28、30、31、33~42、43の2、44~68)を提出する。 本件労働者の上記陳述等(ただし、前記2の認定に反する部分を除く。)は、相応に具体的で、同種関連事件における関係する粉じん作業 従事者の陳述と整合する部分が多く、上記の状況に沿うものであり、これらは、それぞれ、長崎造船所において従事していた粉じん作業の際に、継続的に一定程度の粉じん曝露を受けていたという点で、信用することができる。 もっとも、常態的に、混在作業により粉じん曝露を受けたという部分 については、この点に関して、原告らが、長崎造船所における各施設の規模や、新造船・修繕船やその内部の区画の形状・寸法等を度外視した主張をする部分があり、上記各陳述等についても、誇張等が含まれている部分があると考えられること、前記第4の4(被告の主張)⑵ウのとおり、長崎造船所においては、昭和30年以降、ブロック建造工法を本 格的に採用し、工程の標準化、標準時間の設定、工程連絡調整会議にお - 146 -ける工程調整等により、合理的、効率的な工程管理に努めてきたことが認められ(甲95、乙139、140、209)、関連又は隣接する作業間で混在作業が生じることがあるにしても、それが常態化していたとは考え難いことに照らし、初期の頃を除いて、採用することはできない。 イ粉じん測定・作業環境測定等 被告は、別紙11「衛生年報リスト」の「粉じん測定の概要」欄記載のとおり、長崎造船所において、粉じ し、初期の頃を除いて、採用することはできない。 イ粉じん測定・作業環境測定等 被告は、別紙11「衛生年報リスト」の「粉じん測定の概要」欄記載のとおり、長崎造船所において、粉じん測定を実施した(甲131~178)。なお、安全衛生管理年報には、平成5年以降、粉じん測定について記載されていないが、被告は、平成3年以降も、粉じん測定を継続していた(乙136、138、434)。 被告の粉じん測定方法は、前記第4の4(被告の主張)⑵アのとおり、その時々の法令に即したものであり、自主的に実施したものもあったが、粉じん測定地点が大きく拡充されたのは昭和42年に入ってからであり、また、同のとおり、作業環境測定に関する法令等が整備されていったのは、昭和47年の安衛法の施行以降であるところ、被告は、昭和48年1 1月に作業環境測定要領(乙423)を策定して、同測定方法を改善し、昭和49年以降は、それ以前と比較して、粉じん測定の数値が大幅に低下した(別紙10参照。甲143、144、147~150、152~160)。上記の差異は、測定方法の違いによるところが大きいが、その後の昭和53年、昭和63年、平成10年の測定値を比較すると、作業場所に より差異があるものの、昭和63年には、昭和53年に比べて、測定値が増加した箇所が多く、平成10年には、全般に大幅に低下している(乙133)。 ウ作業環境、換気対策の実施状況等被告は、別紙11「衛生年報リスト」の「作業環境改善又は設備購入」 欄記載のとおり、長崎造船所において、作業環境改善、換気対策を実施し - 147 -た。これらは、概要、前記第4の4(被告の主張)⑵イのとおりであった。 (甲131~178、乙139)。 もっとも り、長崎造船所において、作業環境改善、換気対策を実施し - 147 -た。これらは、概要、前記第4の4(被告の主張)⑵イのとおりであった。 (甲131~178、乙139)。 もっとも、長崎造船分会は、平成2年から平成11年にかけて、被告に対し、前記第4の4(原告の主張)⑵イ、別紙12「組合(長船分会)の要求概要」欄記載のとおり、換気対策等について、改善を求めており、 これに対し、被告は、同「会社(被告長崎造船所)の回答概要」欄記載のとおり、対応していた(甲182~190、乙229~235)。 エ防じんマスクの支給等被告は、前記第4の4(被告の主張)⑵エのとおり、協力会を通じて、下請会社に、関係法令の規格を満たす防じんマスクを支給し、防じんマス クの使用基準(乙88)を定めるなどして、適正なマスクの着用の指導、周知を図ってきた旨主張するところ、関係証拠(乙83~89、101~114、139、215)によれば、同、のとおり、上記各措置を実施してきたことが認められる。 オじん肺教育の実施状況等 被告は、前記第4の4(被告の主張)⑵オのとおり、各種じん肺教育を実施し、下請業者に対し、各種資料を提供し、下請労働者へのじん肺教育の直接又は下請業者を通じた実施に努めてきた旨主張するところ、関係各証拠(甲131~178、乙108~112、127、167、245、366~380、382~389、390~399、402、403、4 28~431)によれば、同記載のとおり、上記各措置を実施してきたことが認められる。 ⑶ 安全配慮義務違反の有無ア被告は、長崎造船所において、上記⑵イのとおり、粉じん測定・作業環境測定等を実施し、同ウのとおり、継続的に作業環境の改善、換気 施してきたことが認められる。 ⑶ 安全配慮義務違反の有無ア被告は、長崎造船所において、上記⑵イのとおり、粉じん測定・作業環境測定等を実施し、同ウのとおり、継続的に作業環境の改善、換気対策の 実施等に取り組み、同エのとおり、防じんマスクを支給し、その適切な着 - 148 -用等の指示、周知に努め、同オのとおり、じん肺教育を実施してきたものである。他方で、上記⑵アのとおり、管理区分決定を受けた者が平成12年まで漸増し、同イの粉じん測定値が、測定方法が改善された昭和49年以降、昭和63年の時点では、従前よりも悪化した状態にあり、これが平成10年までには、大幅に改善されていること、同アのとおり、多数 の粉じん作業従事者が粉じん曝露を訴えており、これらは、上記管理区分決定を受けた者の推移や、上記測定値の傾向と整合することからすると、長崎造船所においては、平成初期頃までは、粉じん作業の際に、一定程度粉じんに曝露する作業環境にあったものと推認される。被告は、上記のとおり、粉じん対策に取り組み、漸次、拡充してきたものであるが、上記測 定値の傾向や、上記⑵ウのとおり、平成2年から平成11年にかけても、長船分会から改善要求が出され、対策に取り組んでいる状況にあったことからすると、平成初期頃までに講じた措置では、前記⑴ア、イの基準に照らして、なお、不十分なものであったといわざるを得ない。 イ原告A1、原告A2、原告A5、原告A13、原告A16、原告A17、 亡E、亡F、原告A23、亡H、原告A30について前記3ないし5のとおり、上記11名は、平成初期頃までに長崎造船所において粉じん作業に従事し、その際の粉じん曝露により、それぞれ、じん肺ないし続発性気管支炎に罹患し、又はじん肺に準じた健康 前記3ないし5のとおり、上記11名は、平成初期頃までに長崎造船所において粉じん作業に従事し、その際の粉じん曝露により、それぞれ、じん肺ないし続発性気管支炎に罹患し、又はじん肺に準じた健康被害ないし続発気管支炎に類する症状を受け、亡Fについては、さらに原発性肺がん に罹患したと認められるところ、上記アのとおり、被告による粉じん対策措置では未だ不十分であったと認められるから、被告は、上記11名に対して、安全配慮義務に違反したと認められる。 ウ亡C、原告A14及び原告A15について前記3ないし5のとおり、上記3名は、平成初期頃までに長崎造船所に おいて粉じん作業に従事し、その際の粉じん曝露と、それぞれ他の事業所 - 149 -における粉じん曝露の影響が相まって、原告A14及び原告A15については、じん肺及び続発性気管支炎に罹患し、亡Cについては、原発性肺がんに罹患したと認められ、その寄与度は、原告A14については、前記5⑴エのとおり5分の3と、原告A15については、同オのとおり4分の1と、亡Cについては、同⑵イのとおり5分の4と認められる。そして、上 記アのとおり、被告による粉じん対策措置では未だ不十分であったと認められるから、被告は、上記3名に対して、安全配慮義務に違反したと認められ、民法719条1項後段を類推適用し(不法行為の場合につき、最高裁令和3年5月17日第一小法廷判決・民集75巻5号1359頁参照)又はその法意に照らして、それぞれ、各寄与度の割合に応じた損害賠償責 任を負うと解するのが相当である。 7 争点⑸(過失相殺の可否)について⑴ 喫煙についてア喫煙の影響前記5⑵イのとおり、喫煙は肺がんのリスク要因となるほか、肺の気 腫性変化や慢 るのが相当である。 7 争点⑸(過失相殺の可否)について⑴ 喫煙についてア喫煙の影響前記5⑵イのとおり、喫煙は肺がんのリスク要因となるほか、肺の気 腫性変化や慢性気管支炎、呼吸機能の低下に影響する要因となり、重度の喫煙者の方が、その度合いが高くなることが指摘されている(乙48、53、163、197~199、202、C9)。 イ原告A2について 原告A2は、20歳から64歳まで喫煙本数15本/日と重度の喫煙 者であった(甲B7)。 前提事実⑶イ、前記3⑷イのとおり、原告A2は、昭和61年4月11日、管理2の決定を受け、じん肺に罹患したと推認されるところ、喫煙が、じん肺の罹患に影響を与えたことを窺わせる具体的事情は見当たらず、じん肺の罹患について、損害の算定に当たり、喫煙の影響を考慮 することは相当ではない。 - 150 - 他方で、喫煙は、肺の気腫性変化や呼吸機能の低下に影響し得るところ、原告A2は、管理2の決定を受けた後も、上記のとおり喫煙を続け、前提事実⑶イのとおり、平成27年7月14日に続発性気管支炎の認定を受けたことからすると、その程度は定かではないものの、喫煙の継続が、続発性気管支炎の発症又はその症状の悪化に一定程度影響したと考 えられ、損害の算定に当たり、これを考慮することが相当である。 したがって、損害の公平な分担の見地から、民法418条を類推適用して、損害の算定に当たり、続発性気管支炎による増加分から1割を減額して算定するのが相当である。 ウ原告A14について 原告A14は、20歳から66歳頃まで喫煙本数20本以上/日と重度の喫煙者であった(乙H1、2) 前提事実⑶ク、前記3 るのが相当である。 ウ原告A14について 原告A14は、20歳から66歳頃まで喫煙本数20本以上/日と重度の喫煙者であった(乙H1、2) 前提事実⑶ク、前記3⑷キのとおり、原告A14は、昭和54年3月16日、管理2の決定を受け、じん肺に罹患したと推認されるところ、喫煙が、じん肺の罹患に影響を与えたことを窺わせる具体的事情は見当 たらず、じん肺の罹患について、損害の算定に当たり、喫煙の影響を考慮することは相当ではない。なお、前記3⑷キのとおり、被告協力医は、肺の気腫性変化について、喫煙の影響を指摘しているが、平成28年1月8日撮影のCT画像所見に基づくものであり、管理区分決定の際の画像所見に基づくものではないから、上記具体的事情として考慮すること はできない。 他方で、喫煙は、肺の気腫性変化や呼吸機能の低下等に影響し得るところ、原告A14は、管理2の決定を受けた後も、上記のとおり喫煙を続け、前提事実⑶クのとおり、平成20年1月21日に続発性気管支炎の認定を受けたところ、上記のとおり、肺の気腫性変化について喫煙 の影響が指摘されていることも考慮すると、喫煙の継続が、続発性気管 - 151 -支炎の発症又はその症状の悪化に一定程度影響したと考えられ、損害の算定に当たり、これを考慮することが相当である。 したがって、損害の公平な分担の見地から、民法418条を類推適用して、損害の算定に当たり、続発性気管支炎による増加分からさらに1割を減額して算定するのが相当である。 エ原告A15について 原告A15は、20歳から65歳まで喫煙本数20本/日と重度の喫煙者であり、平成26年12月29日時点では10本/日程度であり、大浦診療所医師の禁煙 エ原告A15について 原告A15は、20歳から65歳まで喫煙本数20本/日と重度の喫煙者であり、平成26年12月29日時点では10本/日程度であり、大浦診療所医師の禁煙指導を受け、平成27年夏頃には数本/日程度に減煙し、平成28年3月5日には禁煙を達成した(甲I2、乙I6)。 前提事実⑶ケ、前記3⑷クのとおり、原告A15は、平成27年3月2日、管理2の決定を受け、じん肺に罹患したと推認されるところ、喫煙が、じん肺の罹患に影響を与えたことを窺わせる具体的事情は見当たらない。 また、前提事実⑶ケのとおり、原告A15は、平成28年3月22日、 続発性気管支炎の認定を受けたところ、喫煙の継続が、続発性気管支炎の発症又はその症状の悪化に一定程度影響した可能性は否定できない。 もっとも、前記5⑴オのとおり、原告A15の続発性気管支炎の罹患について、長崎造船所における粉じん曝露の寄与度は4分の1にとどまり、喫煙の継続が、これを左右する程の影響を与えたということはでき ず、原告A15が、じん肺の管理区分決定を受けたのと相前後して禁煙に取り組んできたことにも鑑みると、損害の公平な分担の見地から、喫煙の継続を減額要素として考慮することは相当ではない。 オ原告A17について 原告A17は、20歳から68歳まで喫煙本数20本/日と重度の喫 煙者であった(乙K9)。 - 152 - 原告A17は、前提事実⑶サのとおり、平成6年12月22日、管理2の決定を受け、平成23年12月7日、続発性気管支炎の認定を受けたが、前記3⑷コ及び4⑶ウのとおり、粉じん曝露によって、じん肺に準じた健康被害、続発性気管支炎に類する症状を受けたと認められるにとどま 決定を受け、平成23年12月7日、続発性気管支炎の認定を受けたが、前記3⑷コ及び4⑶ウのとおり、粉じん曝露によって、じん肺に準じた健康被害、続発性気管支炎に類する症状を受けたと認められるにとどまり、これらが原告A17に生じた関係症状をすべて包摂するとは いえない。喫煙の継続が、原告A17の健康状態に影響を与えた可能性は否めないが、上記じん肺に準じた健康被害等に影響を与えたことを窺わせる具体的事情は見当たらず、上記損害の算定に当たり、喫煙の影響を考慮することは相当ではない。 カ亡Fについて 亡Fは、20歳から73歳まで喫煙本数15本/日と重度の喫煙者であった(甲N12)。 前提事実⑶セ、前記3⑷スのとおり、亡Fは、平成7年8月28日、管理2の決定を受け、じん肺に罹患したと推認されるところ、喫煙が、じん肺の罹患に影響を与えたことを窺わせる具体的事情は見当たらず、 じん肺の罹患について、損害の算定に当たり、喫煙の影響を考慮することは相当ではない。なお、被告協力医は、別紙6被告協力医意見記載のとおり、肺の気腫性変化について、喫煙の影響を指摘しているが、平成21年6月23日撮影のCT画像所見に基づくものであり、管理区分決定の際の画像所見に基づくものではないから、上記具体的事情として考 慮することはできない。 他方で、前提事実⑶セ、前記4⑵ク、5⑵ウのとおり、亡Fは、平成20年7月18日、続発性気管支炎の認定を受け、平成23年9月20日、肺がんと診断され、平成●年●月●日、死亡したところ、肺がんについては、喫煙の影響も相まって発症したと推認され、じん肺及び続発 性気管支炎による病状と、その影響もあって肺がんの治療適応が困難と - 153 -なったことが死亡の要因とな 、肺がんについては、喫煙の影響も相まって発症したと推認され、じん肺及び続発 性気管支炎による病状と、その影響もあって肺がんの治療適応が困難と - 153 -なったことが死亡の要因となったと推認され、喫煙の影響その他の要因による影響も考慮して、長崎造船所における粉じん作業による粉じん曝露の肺がん及び死亡への寄与度を3分の2と認めるのが相当であることから、民法418条を類推適用して、損害の算定に当たり、肺がん及び死亡による増加分から、3分の1を減額して算定するのが相当である。 なお、亡Fは、管理2の決定を受けた後も、禁煙を続け、続発性気管支炎の認定を受けたものであり、喫煙の継続が、続発性気管支炎の発症又はその症状の悪化に一定程度影響したと考えられるが、上記の過程で喫煙の影響を考慮したのとは別に、さらに減額考慮すべき程の影響があったということはできず、損害の公平な分担の見地から、さらに減額 考慮することは相当ではない。 キ亡Cについて 亡Cは、15歳から62歳まで喫煙本数30~40本/日と重度の喫煙者であった(甲C3、乙C1、2)。 前記5⑵イのとおり、亡Cは、長崎造船所及び他の事業所における粉 じん作業による粉じん曝露により、原発性肺がんに罹患し、死亡したと認められるところ、重度の喫煙が肺がんのリスク要因となることが指摘され、その程度は定かではないものの、喫煙の継続も肺がんの発症に一定程度影響したと考えられることからすると、損害の算定に当たり、これを考慮することが相当である。 したがって、損害の公平な分担の見地から、民法418条を類推適用して、損害の算定に当たり、さらに1割を減額して算定するのが相当である。 ク原告らは、前記第4の5(原 る。 したがって、損害の公平な分担の見地から、民法418条を類推適用して、損害の算定に当たり、さらに1割を減額して算定するのが相当である。 ク原告らは、前記第4の5(原告らの主張)⑴ア、同イのとおり、喫煙の影響を考慮すべきではない旨主張するが、被告は、喫煙について規制 すべき立場にはなく、長崎造船所におけるじん肺教育の一環として、喫煙 - 154 -の弊害を指摘し、禁煙を勧奨していたこと(乙153、375)からすると、同主張を採用することはできない。 ⑵ 続発性気管支炎の診療について被告は、前記第4の5(被告の主張)⑵のとおり、続発性気管支炎について、高原中央病院又は大浦診療所において、適切な診療を受けていなかった 旨主張するが、本件労働者のうち続発気管支炎と認定できる者について、この点について、相殺すべき過失があるとは認められない。 8 争点⑺(消滅時効の成否)について⑴ 消滅時効の起算点ア本訴請求債権は、安全配慮義務違反の債務不履行又は不法行為に基づく 損害賠償請求権であるところ、前者は権利を行使し得る時から(民法166条1項)、後者は損害及び加害者を知った時から(同法724条本文)、それぞれ消滅時効が進行する。 そして、同義務違反によりじん肺ないしその法定合併症に罹患したことを理由とする損害賠償請求権の消滅時効は、じん肺の進行性と、じん肺法 上、管理区分制度が設けられ、各区分に相当するじん肺による損害は質的に異なり、法定合併症に罹患し又はじん肺を原因として死亡した場合にも、その損害は質的に異なるものと解されることから、①最も重い管理区分決定を受けた時、②その後に法定合併症に罹患した場合は、その行政上の認定を受けた時、③①ないし②の後 肺を原因として死亡した場合にも、その損害は質的に異なるものと解されることから、①最も重い管理区分決定を受けた時、②その後に法定合併症に罹患した場合は、その行政上の認定を受けた時、③①ないし②の後にじん肺を原因として死亡した場合は死 亡時に、権利行使可能となり又は損害及び加害者を知ったといえ、その時から進行すると解するのが相当である。 イまた、前記3及び4のように、管理2の決定を受けたものの、じん肺に罹患したとまでは認められず、じん肺に準じた健康被害を受けたと認められるにとどまる場合や、続発性気管支炎との行政上の認定を受けたものの、 続発性気管支炎に罹患したとまでは認められず、続発性気管支炎に類する - 155 -症状が生じたと認められるにとどまる場合においても、管理2の決定や上記行政上の認定を受けるまでは、各損害に対する権利行使が可能であるということはできず、損害又は加害者を知り得たということはできないから、上記アに準じて、消滅時効が進行すると解するのが相当である。 ⑵ 原告A2、原告A5、原告A14、原告A16、原告A17、亡F、亡H 及び原告A30について前記3及び4のとおり、原告A2、原告A14、原告A16はじん肺及び続発性気管支炎に罹患したと認められ、原告A5、原告A17、亡H及び原告A30は、じん肺に準じた健康被害及び続発性気管支炎に類する症状が生じたと認められ、亡Fは、じん肺及び続発性気管支炎に罹患し、じん肺を原 因として死亡したと認められる。 そして、原告A2、原告A5、原告A14、原告A16、原告A17、亡H及び原告A30の管理2の決定日及び続発性気管支炎の認定日、亡Fの死亡日は、それぞれ、別紙17の「じん肺管理区分決定日」、「労災認定日」及び「死亡日」記載のと 告A14、原告A16、原告A17、亡H及び原告A30の管理2の決定日及び続発性気管支炎の認定日、亡Fの死亡日は、それぞれ、別紙17の「じん肺管理区分決定日」、「労災認定日」及び「死亡日」記載のとおりであり、本訴提起日は、それぞれ、同「提訴日」 記載のとおりであるから、原告A2、原告A5、原告A16、亡H及び原告A30については、債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償請求権とも、消滅時効が成立したとは認められず、原告A14、原告A17及び亡Fについては、不法行為に基づく損害賠償請求権については消滅時効が成立したと認められるが、債務不履行に基づく損害賠償請求権については消滅時効が成 立したとは認められない。 ⑶ 原告A13について前記3⑷カ及び4⑵エのとおり、原告A13は、じん肺に罹患したと認められるが、続発性気管支炎に罹患したとは認められないから、消滅時効の起算点は管理2の決定時を基準とすることとなる。 そして、原告A13の管理2の決定日は、昭和55年3月17日であり、 - 156 -本訴提起日は、平成28年4月7日であるから、原告A13については、債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償請求権とも、消滅時効が成立したと認められる。 9 争点⑹(損害額)について⑴ 算定の基準 ア前記のとおり、原告A1、原告A2、亡C、原告A5、原告A14、原告A15、原告A16、原告A17、亡E、亡F、原告A23、亡H、原告A30については、じん肺ないしその合併症に罹患したこと等を理由として安全配慮義務違反の債務不履行又は不法行為(原告A14、原告A17及び亡Fを除く。)に基づく損害賠償請求権が認められ、上記13名は、 それぞれ、精神的苦痛を受けたものと認められる。 前記 配慮義務違反の債務不履行又は不法行為(原告A14、原告A17及び亡Fを除く。)に基づく損害賠償請求権が認められ、上記13名は、 それぞれ、精神的苦痛を受けたものと認められる。 前記8⑴アのとおり、上記損害賠償請求権は、管理区分に相当するじん肺の罹患、法定合併症の罹患又はこれらを原因とする死亡とで、その損害が質的に異なるものとなるというべきであり、前二者に準ずる場合も同様であると解されるところ、それぞれの損害の程度に鑑み、次の基準に従い、 慰謝料額を算定することが相当である。 管理2に相当するじん肺に罹患した者 900万円 管理2に相当するじん肺に罹患し、続発性気管支炎に罹患した者300万円 じん肺又はその法定合併症を原因として死亡した者 2500万円 じん肺に準じた健康被害を受けた者 350万円 じん肺に準じた健康被害を受け、続発性気管支炎に類する症状を生じた者 500万円イ損害に関する当事者の主張について 原告は、前記第4の6(原告らの主張)⑴のとおり、一律に算定すべ き旨主張するが、前記8⑴アで説示した性質に反するものであり、採用 - 157 -できない。 被告は、前記第4の6(被告の主張)⑵のとおり、損害額の算定に当たり、労災保険給付等を受給したことを考慮すべき旨主張するが、慰謝料とは、性質を異にするから、採用できない。 ⑵ 損害額 上記⑴アの基準に基づき、前記3ないし7で説示した損害及び割合等に従って算定すると、上記13名の損害額等は次のとおりと認められ、その認容額は、別紙2「認容額」欄記載のとおりとなる。 ア原告A1について 慰謝料 350万円 等に従って算定すると、上記13名の損害額等は次のとおりと認められ、その認容額は、別紙2「認容額」欄記載のとおりとなる。 主文 ア原告A1について 慰謝料 350万円 弁護士費用 35万円 イ原告A2について 慰謝料 1260万円 900万円+400万円×9/10 弁護士費用 126万円 ウ亡Cについて 慰謝料 1800万円 2500万円×4/5×9/10 弁護士費用 180万円 原告A3及び原告A4の相続分 上記各2分の1 エ原告A5について 慰謝料 500万円 弁護士費用 50万円 オ原告A14について 慰謝料 756万円 900万円×3/5+400万円×3/5×9/10 弁護士費用 75万6000円 カ原告A15について 慰謝料 325万円 1300万円×1/4 弁護士費用 32万5000円 キ原告A16について 慰謝料 1300万円 弁護士費用 130万円 ク原告A17について 慰謝料 500万円 弁護士費用 50万円 ケ亡Eについて 慰謝料 350万円 弁護士費用 35万円 コ亡Fについて 慰謝料 1666万6666円 2500万円×2/3 弁護士費用 166万6666円 原告A20、原告A21及び原告A22の相続分 上記各3分の1 謝料 1666万6666円2500万円×2/3 弁護士費用 166万6666円 原告A20、原告A21及び原告A22の相続分上記各3分の1サ原告A23について 慰謝料 1300万円 弁護士費用 130万円シ亡Hについて 慰謝料 500万円 弁護士費用 50万円 原告A25、原告A26、原告A27、原告A28及び原告A29の相続分上記各5分の1ス原告A30について 慰謝料 500万円 弁護士費用 50万円 結論 以上の次第で、原告らの請求は、主文第1項の限度で理由があるから、その限度で認容し、その余はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 長崎地方裁判所民事部 裁判長裁判官天川博義 裁判官松本武人 裁判官松本恭平は、転補につき、署名押印することができない。 裁判長裁判官天川博義 別紙1「当事者目録」は、掲載省略 別紙単位(万円)訴訟費用原告番号原告名慰謝料弁護士費用合計慰謝料弁護士費用合計原告負担割合訴状送達日 原告A1 3200 3520 9/10平成28年5月16日 原告A2 3200 3520 1260 13866/10同上 原告A3 1600 1760 平成28年5月16日 原告A2 3200 原告A3 1600 原告A4 1600 原告A5 3200 原告A6 1600 原告A7 原告A8 原告A9 原告A10 原告A11 原告A12 3200 原告A13 3200 原告A14 3200 原告A15 3200 原告A16 3200 原告A17 3200 原告A18 3200 原告A19 3200 原告A20 1066.6 1066.6 173.2 555.5 555555.5 5555611.1 原告A21 1066.6 1066.6 173.2 同上 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原告A 原

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る