平成25年12月19日判決言渡平成24年(行ウ)第339号相続税更正処分等取消請求事件 主文 1 奈良税務署長が原告の平成19年▲月▲日相続開始に係る相続税について平成22年7月22日付けでした更正処分のうち課税価格9億3659万8000円及び納付すべき税額3億4045万3300円を超える部分,並びに同日付けでした過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要 1 原告の母であるAは平成19年▲月▲日(以下「本件時点」という。)に死亡し,原告は,Aの唯一の相続人としてAを相続した(以下,この相続を「本件相続」という。)。原告は,本件相続について,平成20年1月28日,相続税の申告をし,平成21年12月3日及び同月11日に修正申告をした(以下,これらの申告をまとめて「本件申告」といい,その内容は上記修正申告をした後のものを指す。)。原告は,本件申告において,Aが原告補助参加人(以下「補助参加人」という。)との間で加入していた変額個人年金保険(以下,Aと補助参加人との間で締結された変額個人年金保険への加入に係る契約を「本件保険契約」という。)に係る死亡給付金支払請求権(以下「本件受給権」という。)について,相続税法(平成19年法律第6号による改正前のもの。 以下,「相続税法」という場合,特に断りがない限り,本件時点において有効であった相続税法をいう。)3条1項1号に規定するみなし相続財産とした上で,本件受給権は同法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約で当該契約 に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利に該当し,残存期間が35年を超える有期定期金に該当するとして,同条1号に規定 に規定する定期金給付契約で当該契約 に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利に該当し,残存期間が35年を超える有期定期金に該当するとして,同条1号に規定されている評価方法に基づいてその価額を1224万1706円と評価し,本件相続における課税標準となる課税価格を9億3659万8000円,納付すべき税額を3億4045万3300円として申告をした。 奈良税務署長は,本件申告について,本件受給権は相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約に関する権利に該当しないと判断して,平成22年7月22日,原告に対し,本件相続における課税価格を9億6035万6000円,納付すべき税額を3億5130万0600円とする旨の更正処分(以下「本件更正処分」という。),及び過少申告加算税を108万4000円とする旨の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい,本件更正処分と本件賦課決定処分を併せて「本件各処分」という。)をした。 本件は,原告が,本件各処分は違法であるとして,それらの取消しを求めている事案である。 2 相続税法の定め本件に関係する相続税法の定めは別紙1「相続税法の定め」のとおりである。 3 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められるか,又は当裁判所に顕著である。 (1) 原告原告は,平成19年▲月▲日に死亡したAの養子であり,Aの唯一の相続人である。 (2) 本件保険契約の締結及びその内容等ア Aは,平成16年12月20日,補助参加人(当時の商号は,B・インシュアランス・カンパニー)との間で,Aを被保険者及び年金受取人とし,原告を死亡給付金の受取人とする保険料一時払いの変額個人年金保険契約 (災 12月20日,補助参加人(当時の商号は,B・インシュアランス・カンパニー)との間で,Aを被保険者及び年金受取人とし,原告を死亡給付金の受取人とする保険料一時払いの変額個人年金保険契約 (災害10%加算型)(本件保険契約)を締結し,同日までに,当該保険料3600万円を補助参加人に対して支払った(甲1)。 Aが平成16年12月6日付けで本件保険契約の申込みに当たり提出した変額個人年金保険(災害10%加算型)契約申込書兼告知書(以下「本件保険申込書」という。)には,契約者自ら受け取る年金に関して,「据置期間」欄の「10年」,「年金種類/年金支払期間・保証期間」欄の「確定年金/20年」にそれぞれ丸印が付されており,死亡給付金に係る年金支払特約に関して,「年金支払特約」欄の「付加します」に丸印が付されているが,同年金支払特約については,年金種類及び年金支払期間の指定は行われていない(乙1)。 本件保険契約に係る保険証券の裏面には,「ご契約内容のご案内」との標題の下,「適用条項・特約」欄に,「年金支払特約」との記載がされている(甲1の2枚目)。 イ変額個人年金保険(災害10%加算型)普通保険約款(甲2。以下「本件普通保険約款」という。)などによれば,本件保険契約に係る年金及び死亡給付金の支払に関する内容は,要旨,次のとおりである。 (ア) 被保険者(A)が年金支払開始日に生存している場合平成26年12月20日を年金支払開始日として,被保険者であるAがその年金支払開始日に生存しているときは,年金支払期間を20年とする確定年金の方法により,補助参加人が年金受取人であるAに対し,年金支払開始日及び各年の年金支払開始日の応答日に年金を支払う(甲1,甲2〔本件普通保険約款9条2項及び11条(2)「①年金」欄〕)。 (イ) 被保険 により,補助参加人が年金受取人であるAに対し,年金支払開始日及び各年の年金支払開始日の応答日に年金を支払う(甲1,甲2〔本件普通保険約款9条2項及び11条(2)「①年金」欄〕)。 (イ) 被保険者(A)が年金支払開始日前に死亡した場合被保険者であるAが上記の年金支払開始日前に死亡したときは,補助参加人が,死亡給付金の受取人である原告に対し,死亡給付金を一時に支払う。その支払額については,Aが死亡した日における積立金相当額 (補助参加人が行う資産の管理・運用の結果によって変動する。)とし,同金額が一時払保険料を下回る場合には,一時払保険料相当額とする(甲2〔本件普通保険約款15条(1)〕)。 (3) 年金支払特約の付加についてア Aは,本件保険契約の締結時に,本件保険契約に「年金支払特約」を「付加します」としているところ,その年金支払特約に係る条項(平成3年3月2日実施,平成16年7月1日改正。甲2。以下「本件特約条項」という。)の「この特約の趣旨」と題された項にある記載によれば,年金の支払開始日前(平成26年12月20日。上記(2)イ(ア))にAが死亡したときに補助参加人から原告に対して支払われる死亡給付金(以下「本件死亡給付金」という。)を,「年金の方法により支払」うこととなる。 イ本件特約条項の1条以下によれば,本件保険契約に付加された年金支払特約(以下「本件特約」という。)の内容は,要旨,次のとおりである(甲2)。 (ア) 本件特約は,保険金等(死亡給付金を含む意味。以下同じ。)の支払後である場合を除き,元保険契約申込みの際及び元保険契約継続中においては保険契約者の申出により,また,保険金等の支払事由発生後においてはその受取人(以下「保険金等受取人」という。)の申出により締結する(1条1項及び2項)。 込みの際及び元保険契約継続中においては保険契約者の申出により,また,保険金等の支払事由発生後においてはその受取人(以下「保険金等受取人」という。)の申出により締結する(1条1項及び2項)。 保険契約者の申出によって本件特約を締結したときは,保険証券に裏書きする(同条3項)。 (イ) 本件特約が締結されたときは,保険契約者の申出により本件特約を締結した場合には保険金等の支払事由発生時に保険金等の全部又は一部を年金基金に充当し,保険金等の支払事由発生後に保険金等受取人の申出により本件特約を締結した場合には本件特約の締結時に保険金等の全部又は一部を年金基金に充当する(2条)。 (ウ) 本件特約における年金受取人は,年金基金に充当された保険金等の受取人とする(3条)。 (エ) 年金の種類は,「保証期間付終身年金」,「確定年金」,「保証期間付夫婦年金」,「定額保証付終身年金」及び「保証金額付終身年金」とする(5条)。 (オ) 確定年金においては,年金基金を一定額の年金に分割して支払い(7条1項),年金支払期間中に年金受取人が死亡したときは,未払金の現価を一時にその相続人に支払う(7条2項)。 (カ) 年金支払開始日は,保険金等の支払事由発生日とし(11条1項本文),第2回以後の年金支払日は,毎年の年金支払開始日の応答日とする(11条2項)。 (キ) 年金は,毎年1回,上記(カ)規定の年金支払日に支払う(12条1項)。 (ク) 保険契約者(年金支払開始日以後は年金受取人)は,元保険契約である本件保険契約継続中に限り,年金の種類その他年金支払の内容を変更することができ(16条1項,29条2項),この変更をしたときは,保険証券に裏書きする(16条2項)。 (ケ) 保険契約者(年金支払開始日以後は年金受取人)は,元保険契約継 他年金支払の内容を変更することができ(16条1項,29条2項),この変更をしたときは,保険証券に裏書きする(16条2項)。 (ケ) 保険契約者(年金支払開始日以後は年金受取人)は,元保険契約継続中に限り,いつでも将来に向かってこの特約を解約することができ,この場合には保険証券に裏書きする(17条1項,29条2項)。 また,確定年金において,年金受取人は,あらかじめ保険契約者の反対の申出がない限り,上記(イ)により年金基金が設定された後いつでも将来に向かってこの特約を解約することができ(17条2項),年金支払開始日後に年金受取人がこの特約を解約したときは,未払金の現価を一時に支払う(17条3項)。 (4) 本件死亡給付金の支払請求等 ア原告は,Aの死亡(平成19年▲月▲日)に伴い,同年7月2日,本件保険契約及び本件特約に基づき,補助参加人に対し,年金保険用「年金支払特約(初回請求用)」の年金支払請求書(以下「本件請求書」という。)を提出した(以下,本件請求書による年金支払請求を「本件支払請求」という。)。原告は,本件請求書において,年金支払の原資となる年金基金への充当額につき「全額」を選択する旨記載した上で,「年金支払申込内容」として,年金支払期間を36年とする確定年金とする旨を記載した(乙2)。 イ本件死亡給付金の金額は4566万8470円であり,同額が年金基金に充当された(甲3)。 そして,上記アのとおり,本件死亡給付金が支払期間36年間の確定年金とされた結果,原告が36年間に受け取るべき年金の総額は6120万8532円,1年間の支給金額は170万0237円となった(甲3)。 ウ本件保険契約に係る保険証券の表面にある「裏書事項」欄は,空欄となっており,本件特約は,前記(2)アのとおり,「ご契約内容のご案内 32円,1年間の支給金額は170万0237円となった(甲3)。 ウ本件保険契約に係る保険証券の表面にある「裏書事項」欄は,空欄となっており,本件特約は,前記(2)アのとおり,「ご契約内容のご案内」との標題の下,保険証券の裏面に記載されている。(甲1)(5) 原告による相続税の申告書の提出及び修正申告(本件申告)ア相続税の申告書の提出原告は,法定申告期限内の平成20年1月28日,本件相続に係る相続税の申告書を奈良税務署長に提出した(甲3)。 原告は,同申告書において,本件受給権は相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約に関する権利に当たるとして,同項1号を適用し,本件受給権の評価額について,本件受給権の残存期間が36年であるから,原告が受け取るべき死亡給付金の総額6120万8532円に100分の20を乗じた1224万1706円としていた(甲3及び甲6)。 イ調査の開始及び相続税の修正申告のしょうよう 奈良税務署の調査担当職員は,平成21年8月,原告の自宅において,本件相続に係る相続税について調査を実施した。 その結果,奈良税務署長は,① 相続税法19条(相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額)の規定により相続税の課税価格に加算すべきであったAから原告への贈与財産558万8960円が加算漏れとなっている,② 本件受給権の評価が誤っている(評価額の増差額は2375万8294円である。)として,同年10月,原告に対し,Aの相続に係る相続税の修正申告をしょうようした。 ウ原告による相続税の修正申告書の提出原告は,平成21年12月3日,上記イ①の贈与財産558万8960円のうち505万3181円の加算漏れについて是正した相続税の修正申告書を,さらに,同月11日,残りの53万5779 正申告書の提出原告は,平成21年12月3日,上記イ①の贈与財産558万8960円のうち505万3181円の加算漏れについて是正した相続税の修正申告書を,さらに,同月11日,残りの53万5779円の加算漏れについて是正した相続税の修正申告書を,奈良税務署長にそれぞれ提出した。なお,原告は,いずれの修正申告書においても,上記アの申告書と同様に,本件受給権の価額を1224万1706円と評価した。 上記修正申告を行った結果,本件申告における課税標準となる課税価格は9億3659万8000円,納付すべき税額は3億4045万3300円となった。 (6) 原告の修正申告に対する過少申告加算税の賦課決定処分奈良税務署長は,平成22年2月5日,上記(5)ウの2回の修正申告によるそれぞれの増差税額を基礎として,原告に対して,本件相続に係る相続税の各修正申告に伴う過少申告加算税(18万3000円及び2万6000円)の各賦課決定処分をした。 (7) 本件各処分奈良税務署長は,本件申告について,本件受給権は相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約に関する権利に該当せず,本件受給権の価額 は,本件死亡給付金の受取人が本件死亡給付金を一時金で受領した場合の額であるから本件受給権の価額は3600万円であると判断し,平成22年7月22日,原告に対し,課税価格を9億6035万6000円,納付すべき税額を3億5130万0600円とする旨の更正処分(本件更正処分),及びこれに伴う過少申告加算税を108万4000円とする旨の賦課決定処分(本件賦課決定処分)をした(甲4)。 (8) 異議申立て原告は,平成22年9月8日,上記本件各処分を不服とし,それらの取消しを求めて異議申立てをした。奈良税務署長は,同年10月29日,本件各処分は適法であるとし をした(甲4)。 (8) 異議申立て原告は,平成22年9月8日,上記本件各処分を不服とし,それらの取消しを求めて異議申立てをした。奈良税務署長は,同年10月29日,本件各処分は適法であるとして,原告の上記異議申立てを棄却する旨の決定をした(甲5)。 (9) 審査請求原告は,平成22年11月26日,上記(8)の異議決定に不服があるとして審査請求をした。国税不服審判所長は,平成23年11月18日,本件各処分は適法であるとして,上記審査請求を棄却する旨の裁決をした(甲6)。 (10) 本件訴訟の提起原告は,平成24年5月22日,本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著)。 (11) 申告等の経緯及びその内容の詳細申告等の経緯及びその内容の詳細については,別紙2「申告等の経緯」のとおりである。 4 被告の主張する本件各処分の適法性及びその価額の内訳被告の主張する本件各処分の適法性及びその価額の内訳は,別紙3「被告の主張する本件各処分の適法性及びその価額の内訳」のとおりであり,後記5で争点となっている部分を除いては,その計算の基礎となる金額及び計算方法に争いはない。 5 争点及び争点に関する当事者の主張 本件の争点は,相続税法3条に規定するみなし相続財産である本件受給権が,同法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利として,同項に基づいて権利の価額を算定すべきといえるか否かである。 この点についての当事者の主張の要旨は,以下のとおりである。 (被告)本件受給権は,相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利には該当しない。 おりである。 (被告)本件受給権は,相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利には該当しない。 (1) 前記前提事実(2)アのとおり,Aが本件保険申込書の「年金支払特約」欄の「付加します」に丸印を付したことが認められるものの,具体的な年金の種類や支払期間(以下,本件特約に基づいて支払われる年金の種類及び支払期間のことを「年金の種類等」という。),年金基金充当額は何ら定められず,同(4)アのとおり,これらはAの死亡後に原告が本件支払請求によって指定したものである。かかる事実に加え,本件特約条項に基づく特約は,死亡給付金の支払事由発生後は,年金受取人においても締結することができるものとされている(本件特約条項1条)ことからすれば,Aが上記「年金支払特約」欄の「付加します」に丸印を付して本件保険契約書を補助参加人に提出した時点においては,いまだAと補助参加人との間で本件特約が締結されたということはできず,むしろ,原告が本件請求書を補助参加人に提出した時点において,原告と補助参加人との間で本件特約が締結されたというべきである。 そうすると,本件相続の開始時点においては本件特約は締結されていなかったことになるから,本件受給権は年金支払の方法によるものとされていたとはいえず,相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約には該当しない。 (2)ア仮にAが本件特約を締結したといえる場合であっても,補助参加人においては,保険契約者自身が死亡給付金の年金支払について,年金の種類等を具体的に指定することは予定されておらず,死亡給付金の支払事由である被保険者の死亡後に,その死亡給付金の受取人においてそれらを確定することが予定されていたと 給付金の年金支払について,年金の種類等を具体的に指定することは予定されておらず,死亡給付金の支払事由である被保険者の死亡後に,その死亡給付金の受取人においてそれらを確定することが予定されていたところ,本件死亡給付金の受取人である原告は,年金による支払を拒むことにより,本件死亡給付金を一時金で受け取ることができた。また,本件特約条項17条2項は,保険契約者(A)が本件特約を締結した場合であっても,確定年金においては,あらかじめ保険契約者の反対の申出がない限り(本件ではかかる申出はされていない。),保険金等受取人(原告)は,被保険者(A)の死亡後,いつでも本件特約を解約することができるとしているから,結局,原告はAの死亡後はいつでも本件特約を解約して一時払いを受けることができたのであって,本件特約が締結されているというのは形式にすぎない。 これに加え,下記(3)のとおり,本件受給権については,年金の種類等が何ら定まっていなかったものであるから,相続税法24条1項1号が適用されるべき定期金給付契約に関する権利としての実体を備えていない。 イそして,前記前提事実(3)イ(イ)のとおり,本件特約においては,年金の方法による支払は,被保険者の死亡を支払事由として発生する死亡給付金そのものを一定額の年金に分割して支払うというものではなく,死亡給付金を原資とする年金基金を設定した上,選択した年金の種類に応じて年金基金から年金が支払われる仕組みがとられており,また,年金基金に充当される死亡給付金はその全額ではなく一部でもよいものとされていることを考え併せると,本件特約に基づく死亡給付金の受取人による年金の取得は,被保険者の死亡後に死亡給付金の受取人が一時金で受け取った死亡給付金の全部又は一部を原資として,年金の種類等を指定して新たに年金契 考え併せると,本件特約に基づく死亡給付金の受取人による年金の取得は,被保険者の死亡後に死亡給付金の受取人が一時金で受け取った死亡給付金の全部又は一部を原資として,年金の種類等を指定して新たに年金契約を締結した上,当該年金契約に基づいて年金を取得するのと,実態とし ては何ら異なるところはないから,相続税法24条1項の趣旨に照らしても,本件受給権は同項に規定する定期金給付契約に関する権利には該当しない。 (3)ア相続税法24条1項は,将来にわたって受けるべき各定期金の金額を,その受給権の取得の時における現在価値に引き直すため,課税時期(相続開始時)において給付事由の発生している定期金給付契約に関する権利を定期金の給付期間に応じて有期定期金,無期定期金及び終身定期金に区分した上で,その区分に応じて現在価値の評価方法を定めており,かかる評価は原告が本件受給権を取得した時点の状況を基礎として行われることとなる。そうすると,原告が本件受給権に関する権利を取得した時点において年金の種類等が定まっていなければ,上記の定期金の給付期間に応じた受給権の区分を行うことはできず,区分に応じた現在価値の算定をすることもできない。そして,前記前提事実(2)ア記載のとおり,Aは年金の種類等について具体的な指定を行っていたものではなく,原告がAの死亡後に年金の種類等を決定したのであって,本件受給権は相続開始時において年金の種類等が定まっていなかったのであるから,同項を適用する余地はない。 イ原告及び補助参加人は,原告がした本件支払請求の効果は死亡給付金の支払事由発生時(被保険者であるAの死亡時)に遡って発生するなどと主張するが,かかる遡及効の存在を認めるべき根拠はない。 仮にかかる遡及効が認められるとしても,相続税の評価は,相続開始時に 支払事由発生時(被保険者であるAの死亡時)に遡って発生するなどと主張するが,かかる遡及効の存在を認めるべき根拠はない。 仮にかかる遡及効が認められるとしても,相続税の評価は,相続開始時における財産の現況によってすべきものであり,これは相続税法3条に規定するみなし相続財産においても変わらないから,相続開始後における相続人の私法上の行為が,相続開始時において現存する同法上の経済的価値という経済実態的な事実状態までも覆すものではない。そうすると,仮にかかる遡及効が認められるとしても,相続開始時において本件受給権が同 法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約に関する権利に該当するか否かの判断には影響しない。 (原告)本件受給権は,相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利に該当する。 (1) Aは,補助参加人との間で本件特約を締結し,原告は,本件特約に基づいて本件保険契約における死亡給付金を現実に年金として受給していたから,本件受給権は相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利である。 (2) みなし相続財産は,相続開始時点で被相続人が有していた資産ではなく,保険金であれば保険契約,退職手当金であれば雇用契約などの第三者のためにする契約その他を原因として,契約等に基づいてその受取人らが直接に受給権を取得するものであるから,保険金や退職手当金等のみなし相続財産たる受給権の発生時期,内容及び確定時期は全て契約等によって定まることとなる。みなし相続財産はこのような性質を有するから,受給権の発生及び内容が確定した後,その確定した受給権を相 等のみなし相続財産たる受給権の発生時期,内容及び確定時期は全て契約等によって定まることとなる。みなし相続財産はこのような性質を有するから,受給権の発生及び内容が確定した後,その確定した受給権を相続財産として課税することとなるのであって,相続開始時点で権利内容が確定している必要はない。 本件においては,相続開始時点では年金の種類等の内容が確定していなかったとしても,その後,原告が本件支払請求によって内容を確定させ,現実にその確定した内容によって年金の支給が開始しているのであるから,その確定した年金がみなし相続財産となる。 なお,原告は,相続開始時(本件死亡給付金の支払事由発生時と同じ)において,本件特約に基づき受給する年金の種類等を指定する権利を有していたのであり,この指定権は,本件特約上,本件死亡給付金の支払事由発生時 点に遡って指定の効力が生ずる。そして,原告が本件支払請求において36年の確定年金を指定した以上,本件死亡給付金は,本件保険契約における死亡給付金の支払事由発生時において36年の確定年金として確定した。 (補助参加人)本件受給権は,相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利に該当する。 (1) 本件特約条項においては,保険契約者が本件特約を締結した場合には保険金等の支払事由発生日に年金基金の設定を行い,保険金等受取人の別異の意思表示を必要とせずに当然に保険金等が年金基金に充当される旨定めており(2条),これによって保険金等を年金払いの方法で保険金等受取人に受け取らせるという保険契約者の意思が明確に表示されているということができるから,保険金等の全額を年金基金に充当するという保険契約者の意思も明確に表示 って保険金等を年金払いの方法で保険金等受取人に受け取らせるという保険契約者の意思が明確に表示されているということができるから,保険金等の全額を年金基金に充当するという保険契約者の意思も明確に表示されていると解釈するのが合理的である。そうすると,本件特約が付された本件保険契約によって発生する本件受給権は,保険金等の支払事由発生時に,保険者に対して一定期間,定期的に金銭給付を請求することができる基本債権としての年金受給権であり,これは相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利に該当する。 そして,本件保険契約と同種の保険契約(本件特約条項付き)においては,保険契約者が年金の種類等を指定しないままに死亡した場合においては,保険金等受取人がその指定を行うことができると考えるのが合理的であるところ,本件特約においては保険金等の支払事由発生日が年金基金の設定日及び第1回年金支払日とされている(2条,11条1項)ことを併せ考えると,保険金等受取人が年金の種類等を指定した場合においても,年金の種類等は死亡給付金の支払事由発生時(被保険者の死亡時)に遡って確定すると解釈 されるべきである。 (2) 被告は,保険金等受取人(原告)が被保険者(A)の死亡後に,本件死亡給付金を一時金により受け取るか,年金の方法により受け取るかを選択できたなどと主張しているが,本件特約においては,死亡給付金の支払事由発生後において,保険金等受取人が一時払いか年金払いかを決めることができるとする旨の規定は存在せず,保険契約者によって本件特約が付加されている場合においては,保険金等受取人は本件特約を将来に向かって解約することが可能とされているにすぎないから,保険金等受取人が死 できるとする旨の規定は存在せず,保険契約者によって本件特約が付加されている場合においては,保険金等受取人は本件特約を将来に向かって解約することが可能とされているにすぎないから,保険金等受取人が死亡給付金の支払事由発生時においていかなる権利を取得したかという問題とは無関係である。 また,平成22年法律第6号による改正(以下「本件改正」という。)後の相続税法24条1項1号ロは,定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には当該一時金相当額により権利の価額を評価すべきものとしているが,本件改正前の相続税法にはかかる規定は存在しなかった。そうすると,保険金等受取人が死亡給付金の支払事由発生後に,本件特約を解約して一時に死亡給付金の支払を受けることができたとしても,平成19年▲月▲日時点では,実際に死亡給付金を一時金の方法により受け取らない限り,一時金として権利の価額を評価することはできなかったものというべきである(そのような評価をすることは,本件改正後の相続税法を根拠なく遡及的に適用するものであって,許されない。)。 第3 当裁判所の判断 1 本件保険契約について本件では,当事者間において本件保険契約における本件特約の締結の時点等についての理解に相違があるので,争点に関する判断を行う前提として,本件保険契約の内容について検討する。 (1) Aによる本件特約の締結についてア前提事実(2)アのとおり,Aは,本件保険申込書の「年金支払特約」欄の 「付加します」に丸印を付しており,本件保険契約に係る保険証券の裏面には,「適用条項・特約」として「年金支払特約」との記載がされている(なお,同保険証券の表面には,「特約付の場合はその特約条項に基づいて保険契約者とこの保険契約を締結しました。」との記載がある(甲1)。 ,「適用条項・特約」として「年金支払特約」との記載がされている(なお,同保険証券の表面には,「特約付の場合はその特約条項に基づいて保険契約者とこの保険契約を締結しました。」との記載がある(甲1)。)。 したがって,Aと補助参加人との間において,本件保険契約の締結に際して,本件特約条項にいう年金支払特約(本件特約)を付加する旨の合意がされたことは明らかということができる。 これに対し,被告は,具体的な年金の種類等及び年金基金充当額は何ら定められなかったことなどからして,Aが上記「年金支払特約」欄の「付加します」に丸印を付して本件保険申込書を補助参加人に提出した時点においては,いまだAと補助参加人との間で本件特約が締結されたということはできず,むしろ,原告が本件請求書を補助参加人に提出した時点において,原告と補助参加人との間で本件特約が締結されたというべきであるから,本件時点においては本件特約は締結されていなかったと主張する。 イ確かに,Aは,本件特約を付加するとしているものの,年金の種類等及び年金基金充当額が明示的に定められていないことは被告が指摘するとおりである。そこで,これらの事項が明示的に定められていないことにより,内容の特定を欠くものとして本件特約の締結が否定されるか否かを検討する。 (ア) まず,年金基金充当額についてみるに,保険契約者であるAによって本件特約が締結されたとすれば,下記(2)のとおり,原則として保険金等の支払事由発生時までに年金基金充当額が定められている必要があるということができるものの,Aの意思を合理的に解釈すれば全額を充当するとしたものと評価することができるから,本件特約の締結時においてその内容は特定されていたということができる(仮に,そのように解することができないとしても,Aによる本件特約の締 釈すれば全額を充当するとしたものと評価することができるから,本件特約の締結時においてその内容は特定されていたということができる(仮に,そのように解することができないとしても,Aによる本件特約の締結が直ちに否定さ れるものでないことは,下記(イ)と同様である。)。 (イ) 次に,年金の種類等についてみるに,年金の種類等が定まっていなければ実際に年金を支払うことができないから,これらの事項は年金の支払時期までには定められる必要があるということができる。そして,本件特約条項においては,年金の種類等を誰が定めるかということを規定した条項は存在しないものの,保険契約者が補助参加人との間でこれらの事項を定めておくことができるのは当然である(前提事実(3)イ(ク)のとおり,本件特約条項16条は,保険契約者が年金の種類等を定めることができることを前提とした規定を設けている。)。しかしながら,保険契約者がこれらの事項を定めずに,死亡給付金の支払事由発生後に保険金等受取人が定めることとして,これらの事項を未確定の状態のまま本件特約を締結したとしても,そのことを禁ずるべき特段の理由はないから(本件特約条項1条が保険契約者によって本件特約が締結され得ることを予定し,本件保険申込書の「年金支払特約」欄に付加するか否かの記載をすることとしながら,年金の種類等を必ず記入するものとしていないこと,「ご契約のしおり」(甲2)の「年金支払特約について」「年金種類の選択」の項には,「支払事由発生後,受取人に選択いただきます。」との記載がされていることからすると,本件特約の締結に当たってこのような事態を当然想定しているものということができる。),年金の種類等が定まっていなかったことによって,Aによる本件特約の締結が否定されるとはいえない。 ウなお,本件特 特約の締結に当たってこのような事態を当然想定しているものということができる。),年金の種類等が定まっていなかったことによって,Aによる本件特約の締結が否定されるとはいえない。 ウなお,本件特約条項1条3項においては,保険契約者の申出によって本件特約を締結したときは,保険証券に裏書きするとされているところ,本件保険契約に係る保険証券の「裏書事項」欄は空欄となっている。しかしながら,前提事実(2)アのとおり,本件特約は,「ご契約内容のご案内」との標題の下,保険証券の裏面に「適用条項・特約」として記載されている のであって,補助参加人においては,これをもって上記の裏書きをしたものと扱っているものと認めることができる(また,原告は,補助参加人に対し,本件請求書を提出しているところ,証拠(乙2)によれば,本件請求書には「年金支払特約を締結していない場合はこの書面を以って申込みをし,かつ請求するものとします。」との記載があり,本件特約を締結していない場合に本件請求書を使用するかのようであるが,同記載の前には,「貴社普通保険約款および特約条項を承知のうえ下記契約の保険金等の一括支払に代えて年金支払を申し込みます。」との記載もあり,これらの記載を総合し,本件特約条項13条によれば,年金受取人は「年金支払請求書」等の書類を提出して年金を請求してくださいとされていること(甲2),帳票の統一化のポリシーから二つの場合に同じ書式を共用できるように一つの書式としている旨の補助参加人変額年金保険部長の陳述書(丙2)の存在を併せ考慮すれば,補助参加人においては,本件特約の締結の有無にかかわらず,本件請求書を使用することとなっているものと認めるのが相当である。)。 エ以上のとおりであるから,本件においては,Aが本件保険契約の締結時に本件特約を締 ては,本件特約の締結の有無にかかわらず,本件請求書を使用することとなっているものと認めるのが相当である。)。 エ以上のとおりであるから,本件においては,Aが本件保険契約の締結時に本件特約を締結したものであると認められる。 (2) 死亡給付金の年金基金への充当についてア本件特約条項2条においては,保険契約者によって本件特約が締結されたときは,保険金等の支払事由発生時に,保険金等の全部又は一部を年金基金に充当するものとしている(前記前提事実(3)イ(イ)のとおり)。そうすると,A(保険契約者)が本件特約を締結していた本件保険契約においても,本件死亡給付金の支払事由が発生したときには,原告(保険金等受取人)の別個の意思表示等を要することなく,保険金等の支払事由であるAの死亡という事実が発生したときに,本件死亡給付金を年金基金に充当することとされていたものと理解するべきである。 イもっとも,本件特約条項においては,上記のとおり,保険金等の全部又は一部を年金基金に充当することとしているから,保険金等が年金基金に充当されるまでには,保険契約者によって,保険金等の全部を年金基金に充当するのか,又は一部を充当する場合に具体的にどの範囲で充当するのかが決定されていること(以下,単に「充当範囲の指定」などということがある。)が必要となるところ,本件保険申込書には充当範囲の指定を行う記載欄はないし,少なくともAが明示的に充当範囲の指定をした事実は存在しない。また,本件普通保険約款及び本件特約条項のいずれにおいても,充当範囲の指定が行われていなかった場合の取扱い(例えば,別異の意思表示がない限り,保険金等の全額を充当範囲として指定したこととみなす等)を定めた規定も存在しない。 しかしながら,仮に保険金等の一部を充当範囲として指定 ていなかった場合の取扱い(例えば,別異の意思表示がない限り,保険金等の全額を充当範囲として指定したこととみなす等)を定めた規定も存在しない。 しかしながら,仮に保険金等の一部を充当範囲として指定する場合には,当然,その具体的な範囲が問題となるところであるから,保険契約者が保険金等の一部を充当範囲として指定するとの意思を有していたのであれば,その具体的な範囲を併せて指定するのが通常であると考えられ,かかる具体的な範囲の指定がない以上は,保険金等の全部を充当範囲として指定するとの意思を有していたと理解するのが最も合理的である。そして,保険金等の支払事由が発生して年金基金が設定された後においては,保険金等受取人は,いつでも将来に向かって本件特約を解約することができるとされている(本件特約条項17条2項)のであるから,充当範囲の指定を事後的に変更することも可能であると理解するのが合理的であり,上記のように解しても,保険契約者及び保険金等受取人にとって特段の不利益が生じるものでもない(もっとも,保険契約者が,本件特約条項17条2項に基づき,保険金等受取人が年金基金の設定後に年金特約を解約することはできないとする旨の別段の意思表示をしている場合には,充当範囲の指定が保険金等受取人に重大な影響を及ぼすこととなるから,このような場合 には別異に考える余地があるとしても,本件においてはAは上記にいう別段の意思表示はしていない。)。 また,被告は,原告が本件請求書において年金支払の原資となる年金基金への充当額について「全額」を選択する旨記載したこと(前記前提事実(4)ア)などを指摘して,年金基金への充当額を決定したのは原告であると主張するが,本件特約条項に照らしてAが本件特約を締結した時点において年金基金への充当額が全額と定められていたと (前記前提事実(4)ア)などを指摘して,年金基金への充当額を決定したのは原告であると主張するが,本件特約条項に照らしてAが本件特約を締結した時点において年金基金への充当額が全額と定められていたと解すべきことは上記のとおりであって,これは本件請求書の書式や原告が本件請求書にいかなる記載をしたかによって左右されるものではない。 ウ以上のとおりであるから,Aは,本件保険契約について,同人の死亡によって発生する本件死亡給付金の全額を年金基金に充当する旨の意思表示をしていたということができる。 (3) 原告がした本件支払請求における年金の種類等の指定についてア本件においては,上記のとおり,Aは本件特約の締結時には年金の種類等を指定しなかったものであり,前記前提事実(4)アのとおり,これらについては,原告が,Aの死後,本件支払請求において指定した(以下,これらの指定を「本件指定」という。)ものであると認められる。 イ原告と補助参加人の間において,本件指定が有効であることは当然として,原告及び補助参加人は,本件指定の効力が本件時点(本件死亡給付金の支払事由発生時,本件相続の開始時と同時であり,原告が本件保険契約に基づく権利を取得した時点でもある。)に遡及すると主張する。原告及び補助参加人は,上記主張の根拠として,本件特約を含む本件保険契約に基づいて発生する,保険金等受取人の年金の種類等に関する指定権の内容又は性質としてかかる遡及効が認められるべきであると主張し,補助参加人は本件特約条項11条1項においては保険金等の支払事由発生日が第1回年金支払日とされていることをその理由として挙げる。 ウ確かに,保険金等の支払事由発生日が第1回年金支払日とされているその年金の内容が,支払事由発生日後の指定によって定まることを説明す 年金支払日とされていることをその理由として挙げる。 ウ確かに,保険金等の支払事由発生日が第1回年金支払日とされているその年金の内容が,支払事由発生日後の指定によって定まることを説明するためには,指定の効力が遡及するとみるのが簡便であり,その関係についての当事者の合意内容を,そのようなものであるということも可能である。 しかしながら,本件普通保険約款20条は,「(年金,死亡一時金または給付金の支払時期および場所)」として,「年金,死亡一時金または給付金は,事実の確認その他の事由のため特に時日を要する場合のほかは,必要書類が会社の日本における主たる店舗に到着してから5営業日以内に会社の日本における主たる店舗で支払います。」として保険金等の履行期について規定しているところ,本件特約条項11条1項の第1回年金支払日に関する規定が本件特約条項に基づく年金の支払について本件普通保険約款20条による履行期の定めを変更する趣旨とは思われないし,かかる理解は本件特約条項11条2項が,第2回以降の年金支払日を保険金等の支払事由発生日の応当日としていることと矛盾するものでもない。むしろ,第1回年金支払日に関する規定は,それ自体としては,保険金等の支払事由の発生した年分から年金を支払うことを明らかにし,また,第2回以降の年金支払日の規定を明確にするために設けられたものである以上に特段の法的な意味を有していないものであると理解することもできる。 したがって,第1回年金支払の履行期は,本件普通保険約款20条の規定により,原則として必要書類が補助参加人の主たる店舗に到着してから5営業日に当たる日であると解される。そうすると,本件特約条項に基づく年金の支払を行うためには,年金の種類等が定まっていなければならないとしても,その指定は上記の必要 加人の主たる店舗に到着してから5営業日に当たる日であると解される。そうすると,本件特約条項に基づく年金の支払を行うためには,年金の種類等が定まっていなければならないとしても,その指定は上記の必要書類が補助参加人に送付された時までに行われれば足りる。そして,本件特約条項11条1項により保険金等の支払事由発生日が支払日とされている第1回年金の内容がその後の指定によって定まることを説明する便宜を除いて,年金の種類等の指定の効力を 保険金等の支払事由発生日まで遡及させる必要性は見いだせないから,およそ全ての法律効果の面で,保険金等受取人による年金の種類等の指定の効力が保険金等の支払事由発生日まで遡るということはできない。 以上によれば,本件指定についても,相続税法の適用の場面において,当然にその効力が本件時点まで遡るということまではできない。 2 本件受給権は,相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利に該当するかについて(1) 本件においては,本件保険契約の本件死亡給付金の支払事由(Aの死亡)が発生したことによって,本件保険契約における本件死亡給付金受取人に指定されていた原告が本件保険契約に関する権利を取得したものであるところ,原告のかかる権利取得との関係において,本件保険契約が相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約に該当するか検討する。 ア Aが本件特約を締結したことが認められることは前記1(1)のとおりであるところ,本件特約は,前記前提事実(3)アのとおり,年金の支払開始日前にAが死亡したときに補助参加人から原告に対して支払われる本件死亡給付金について,年金の方法により支払うことをその趣旨とするものであり,前記 特約は,前記前提事実(3)アのとおり,年金の支払開始日前にAが死亡したときに補助参加人から原告に対して支払われる本件死亡給付金について,年金の方法により支払うことをその趣旨とするものであり,前記前提事実(3)イ(カ),(キ)のとおり,年金は毎年1回支払われるものとされ,その支払日も支払事由発生日を基準として定まるものである(そして,第1回年金の支払の履行期までにその支払の内容も定まることになる。)。そうすると,本件特約は,死亡給付金を定期金の方法によって支払うことをその目的としたものであるということができ,その内容も抽象的で無限定とまではいえないから,本件特約が付された本件保険契約は,原告の上記権利取得との関係において,定期金給付契約に該当するということができる。 イ(ア) 被告は,原告がAの死亡後は本件特約を解約して本件保険契約に基 づく本件死亡給付金を年金(定期金)ではなく一時金の方法により受け取ることができたのであるから,本件特約の締結は形式にすぎないとか,本件特約に基づく死亡給付金の受取人による年金の取得は,被保険者の死亡後に死亡給付金の受取人が一時金で受け取った死亡給付金の全部又は一部を原資として,年金の種類等を指定して新たに年金契約を締結した上,当該年金契約に基づいて年金を取得するのと実態としては何ら異なるところはないから,相続税法24条1項の趣旨に照らしても,本件受給権は同項に規定する定期金給付契約に関する権利には該当しないと主張する。 確かに,前記前提事実(3)イ(ケ)のとおり,本件特約条項においては,確定年金については,あらかじめ保険契約者の反対の申出がない限り,死亡給付金の支払事由(被保険者の死亡)が発生して年金基金が設定された後は,いつでも本件特約条項に基づく特約を解約することができるこ 確定年金については,あらかじめ保険契約者の反対の申出がない限り,死亡給付金の支払事由(被保険者の死亡)が発生して年金基金が設定された後は,いつでも本件特約条項に基づく特約を解約することができることとされ(なお,本件のように,保険契約者が年金の種類等を指定せず,保険金等受取人が年金の種類等を指定することが予定されていた場合,かかる指定がされるまでは,年金の種類等が確定していないから,年金の種類が確定年金であるか否かも,かかる指定が行われるまでは定まっていない。しかし,上記条項は,保険契約者の反対の申出がない限り,死亡給付金の支払事由(被保険者の死亡)発生後は本件特約に関する決定を保険金等受取人が行うことができるとする趣旨と理解されるから,年金基金の設定後,保険金等受取人が年金の種類等を指定する前であっても,保険金等受取人はかかる指定を行わないまま,本件特約条項に基づく特約を解約することもできると解される。),本件においても,Aは上記反対の申出をしていなかったのであるから,原告は,年金基金が設定された後,本件指定を行わずに本件特約を解約して,本件死亡給付金を一時金として受け取るという選択をすることが可能であったこと が認められる。 (イ) しかし,相続税法においては,定期金に関する権利の評価として,定期金給付契約を解約して解約返戻金の支払を受けたり,又は定期金に代えて一時金の支払を受けたりすることができる場合には,相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約とは扱わないなどの規定はなく,保険金等受取人において上記のような解約又は一時金による支払を選択し得る場合であっても,権利を取得した時において,当該権利を発生させる契約が定期金給付契約であるということができるならば,定期金給付契約として扱う趣旨と解するのが相当であ 又は一時金による支払を選択し得る場合であっても,権利を取得した時において,当該権利を発生させる契約が定期金給付契約であるということができるならば,定期金給付契約として扱う趣旨と解するのが相当である(なお付言すると,本件改正後の相続税法24条1項は,定期金給付契約の解約による解約返戻金の支払又は一時金による給付を受けることができる場合について,当該権利の評価方法をこれらの場合に支払等を受けることができる解約返戻金又は一時金の金額を考慮して行う旨を定めているが,解約返戻金の支払又は一時金による給付を受けることができるという事情が存在することをもって当該契約が定期金給付契約としての性質を有すること自体を否定するものではない。)。 (2)ア被告は,原告が本件保険契約に基づく権利を取得した時点(本件時点)において年金の種類等が定まっていなかった以上,本件受給権については,同時点において相続税法24条1項各号のいずれの定期金に該当するかを判断することもできないのであるから,本件受給権については同項各号を適用する基礎を欠いていると主張する。 イ(ア) 確かに,本件においては,前記1(3)記載のとおり,保険契約者であるAは年金の種類等を指定しておらず,年金の種類等については,原告が本件指定によって定めたものであるところ,本件指定の効力が相続税法の適用上当然に本件時点まで遡るということまではできない。 そこで検討すると,相続税法22条は,「この章で特別の定めのある ものを除くほか,相続,遺贈又は贈与により取得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価によ」る旨規定しているから,同法第1章の規定によって相続若しくは遺贈又は贈与により取得したものとみなされる財産についても,当該財産の取得の時における時価によって財産の価額を決 取得の時における時価によ」る旨規定しているから,同法第1章の規定によって相続若しくは遺贈又は贈与により取得したものとみなされる財産についても,当該財産の取得の時における時価によって財産の価額を決定するのが原則である。その上で,同法24条は,取得の時における定期金に関する権利の評価については,その評価が困難であるため,同法22条にいう特別の定めとして,専ら同条が定める方法によって行う旨を規定しているものと解される。 前記(1)のとおり,本件時点において,本件保険契約は定期金給付契約であったことが認められるが,一方,相続税法24条によれば,本件保険契約から生じる本件受給権の価額は年金の種類等が確定しなければ定まらないものであるところ,本件保険契約においては,本件死亡給付金の支払事由が発生した後に原告が年金の種類等を指定することが予定されていたものである。このような場合,① 契約上同条1項所定の権利に当たることは認められるとしても,形式的には,その取得の時において年金の種類等が定まっていない以上,上記の権利には当たらないものとして,又は同項適用の基礎を欠くとして,本件死亡給付金を一時金で受領した場合の額をもって評価するのと,② 取得の時よりも後とはいえ当初から予定されている指定がされたことにより第1回目からの支払内容が定まった年金の種類等に応じて,同項を適用して又はこれに準じて評価するのと,いずれが取得の時における当該権利の時価の評価として相当かというのが本件における問題である。 確かに,論理的には①のような被告の主張にも理由がないわけではない。しかしながら,そのような解釈は,余りに形式的であって,本件特約のような年金支払特約やそのような定期金給付契約上の権利の評価に関する当事者の合理的な意思及び一般人の通念から懸け離れるものとい い。しかしながら,そのような解釈は,余りに形式的であって,本件特約のような年金支払特約やそのような定期金給付契約上の権利の評価に関する当事者の合理的な意思及び一般人の通念から懸け離れるものとい わざるを得ない(一時金との選択可能性がある場合の問題は,本件改正後の相続税法24条1項のような定めをすることをもって対処すべきものである。)。本件保険契約は,相続人による年金の種類等の指定によって本件受給権の本件時点における価額が定まることを予定していたものと理解すべきであり,実際に,原告は本件指定によって年金の種類等を確定させたものである(なお,原告が本件指定を行ったのは平成19年7月2日であり(前記前提事実(4)),その後,原告は法定申告期限内である平成20年1月28日に本件相続に係る相続税の申告を行ったものである。)。そして,原告は第1回年金から現にその内容に従った年金の支払を受けているのである。このような事情によれば,本件受給権の本件時点における価額を,本件指定によって確定した年金の種類等を前提として算定することは,本件保険契約が予定する年金の種類等の指定の手続とも整合するというべきであるから,本件時点における本件受給権の価額は,本件指定により確定した年金の種類及び受給期間を基礎として相続税法24条1項を適用し,又はこれに準じて算定されるべきものと解するのが相当である。 (イ) 以上によれば,本件受給権の本件時点における価額は,本件受給権が支払期間を36年間とする確定年金であったことを前提として算定されるべきである。 (ウ) なお,相続税法3条1項2号により,被相続人の死亡により相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであった退職手当金,功労金その他これらに準ずる給与で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したも なお,相続税法3条1項2号により,被相続人の死亡により相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであった退職手当金,功労金その他これらに準ずる給与で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては,当該給与の支給を受けた者について,当該給与はみなし相続財産又はみなし遺贈財産とされているように,相続税法上も相続開始の時よりも後に生じた事情によって相続財産の範囲が事後的に変動し得ることが想定されているし,相続税法32 条1項のように,遡及的な権利変動があり得ることを予定した同法の規定もある。また,本件改正に伴って一部改正が行われる前の相続税法基本通達24-3は「年金の方法により支払又は支給を受ける生命保険契約若しくは損害保険契約に係る保険金又は退職手当金等の額は,相続税法24条の規定により計算した金額による。ただし,当該保険金又は退職手当金等を選択により一時金で支払若しくは支給を受けた場合又は当該一時金の額を分割の方法により利息を付して支払若しくは支給を受ける場合には,当該一時金の額による。」旨規定し,一時金による支払又は支給を選択したという,年金の方法により支払又は支給を受ける生命保険契約等に関する権利を取得した後に生じた事情によって当該権利の価額が変動することとしており,これに沿った取り扱いが行われていたと考えられるところである。 そうすると,上記のように,取得の時において,「定期金給付契約で当該契約に関する権利」に当たるものの,年金受給期間がその後速やかに指定されることが予定され,その時点ではいまだ定まっていないものの評価という限定された場面において(これに対し,保険契約者である被相続人の意思により年金支払特約が付された上,年金受給期間も定まっていた場合において,相続開始後に相続人である だ定まっていないものの評価という限定された場面において(これに対し,保険契約者である被相続人の意思により年金支払特約が付された上,年金受給期間も定まっていた場合において,相続開始後に相続人である受取人が年金受給期間を変更したときには,取得(相続開始)の時において年金受給期間が定まっていた以上,飽くまでもその時点における年金受給期間を基に相続税法24条1項各号を適用するべきであり,変更後の年期受給期間を基にこれを適用して算定することとなるものではないことは,いうまでもない。),取得(相続開始)の時点において予定されていたその後の事情も考慮して取得(相続開始)の時における財産の価額を決定することが相続税法の建前に絶対的に反するものということはできない(当初の保険契約において年金の方法により保険金が支払われることとされて いたが,受取人である相続人において相続開始後に一時金として支払を受けることを選択した場合ですら,上記通達に従えば,取得(相続開始)の時における保険金の額は当該一時金の額により評価されることとなるが,本件は,本件死亡給付金の支払事由が発生した後に原告が年金の種類等を指定することが予定されており,実際に相続開始後にそのような指定が行われた事案であり,上記事案との均衡からも,相続開始後の事情を考慮して取得(相続開始)の時における財産の価額を決定するのが相当というべきである。)。 (3)ア被告は,本件時点においては年金の種類等の履行方法が定まっていなかったのであるから,原告が本件受給権に関する権利を取得した時において相続税法24条1項柱書きにいう定期金給付事由が発生していたとはいえないと主張する。 イしかし,同項にいう定期金給付事由が発生している場合とは,被保険者の死亡等の保険事故が発生したこと又は定期金の給 税法24条1項柱書きにいう定期金給付事由が発生していたとはいえないと主張する。 イしかし,同項にいう定期金給付事由が発生している場合とは,被保険者の死亡等の保険事故が発生したこと又は定期金の給付を開始する時期の到来若しくは条件の成就など,保険金等受取人において定期金の支払を請求することができる状態となっている場合をいうものと解するのが相当であって,保険金等受取人がいまだ支払請求をしていないことや,定期金を支払うべき者における事務手続の未了などは,たとえこれが定期金の支払についての履行期の到来を妨げるものであっても,定期金給付事由が発生しているか否かには影響しないというべきである。そして,本件においては,前記前提事実(2)記載のとおり,Aの死亡が本件死亡給付金の支払事由とされ,同死亡給付金の全額を原資として年金基金が設定されたものであるから,原告が本件受給権に関する権利を取得した時において,同項にいう定期金給付事由が発生したと認めることができる。 (4) 以上によれば,本件受給権は,相続税法24条1項柱書きに規定する定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が 発生しているものに関する権利に該当するということができる。 3 結論以上のとおりであるところ,本件受給権は年金支払期間を36年間とする確定年金として支給されるものであり,同年金については,平成19年(2007年) ▲月 ▲日を年金支払開始日として毎年 ▲月 ▲日に支給され,最終の支払日は平成54年(2042年)▲月▲日となる(甲3)から,原告が本件受給権に関する権利を取得した平成19年(2007年)▲月▲日時点(本件時点)における残存期間は36年となる。そうすると,本件受給権の価額は,残存期間に受けるべき給付金額の総額の20%とし 告が本件受給権に関する権利を取得した平成19年(2007年)▲月▲日時点(本件時点)における残存期間は36年となる。そうすると,本件受給権の価額は,残存期間に受けるべき給付金額の総額の20%として評価されることとなる(ただし,1年間に受けるべき金額の15倍を超えることができない。)。 そして,原告が本件受給権に基づいて上記残存期間に支給される総額は6120万8532円(前記前提事実(4)イ)であり,この20%は1224万1706円である(なお,原告が年間に給付を受ける金額は170万0237円であり(甲3),この15倍は2550万3555円である。)。 以上のとおり,本件受給権の価額は1224万1706円であるから,当裁判所の認定する本件相続における課税価格及び納付すべき税額は,別紙4「裁判所の認定する本件相続における課税価格及び納付すべき税額」のとおり,それぞれ9億3659万8000円,3億4045万3300円(本件申告に係るそれらと同額)であり,本件更正処分はこれらを超えない範囲では適法であるが,これらを超える部分については違法であるから取り消されるべきである。 また,本件申告に係る税額を超えて原告が新たに納付すべき税額は存在しないから,本件賦課決定処分は違法であり,取り消されるべきである。 よって主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神裕 裁判官佐野義孝 裁判官瀬戸信吉は転補のため署名・押印することができない。 裁判長裁判官川神裕 別紙1相続税法の定め (1) 3条(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合)次の各号のいずれかに該当する場 い。 裁判長裁判官川神裕 別紙1相続税法の定め (1) 3条(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合)次の各号のいずれかに該当する場合においては,当該各号に掲げる者が,当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において,その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失った者を含まない。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし,その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。 1号被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約の保険金を取得した場合においては,当該保険金受取人について,当該保険金のうち被相続人が負担した保険料の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分(2) 22条(評価の原則)この章で特別の定めのあるものを除くほか,相続,遺贈又は贈与により取得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価により,当該財産の価額から控除すべき債務の金額は,その時の現況による。 (3) 24条(定期金に関する権利の評価)1項定期金給付契約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利の価額は,次に掲げる金額による。 1号有期定期金については,その残存期間に応じ,その残存期間に受けるべき給付金額の総額に,次に定める割合を乗じて計算した金額。 ただし,1年間に受けるべき金額の15倍を超えることができない。 残存期間が5年以下のもの 100分の70残存期間が5年を超え10年以下のもの 100分の60残存期間が10年を超え15年以下のもの 100分の50 残存期間が15年を超え25 。 残存期間が5年以下のもの 100分の70残存期間が5年を超え10年以下のもの 100分の60残存期間が10年を超え15年以下のもの 100分の50 残存期間が15年を超え25年以下のもの 100分の40残存期間が25年を超え35年以下のもの 100分の30残存期間が35年を超えるもの 100分の202号無期定期金については,その1年間に受けるべき金額の15倍に相当する金額3号終身定期金については,その目的とされた者の当該契約に関する権利の取得の時における年齢に応じ,1年間に受けるべき金額に,次に定める倍数を乗じて算出した金額25歳以下の者 11倍25歳を超え40歳以下の者 8倍40歳を超え50歳以下の者 6倍50歳を超え60歳以下の者 4倍60歳を超え70歳以下の者 2倍70歳を超える者 1倍 別紙3被告の主張する本件各処分の適法性及びその価額の内訳 (1) 本件更正処分ア Aの相続財産及びその価額の内訳相続財産の価額は,相続税法23条ないし26条に規定された財産を除き,相続又は遺贈により取得した財産の価額は,当該財産の取得の時における時価によるものとされており(同法22条),実務上,そのような時価についての具体的な評価は,評価通達によることが定着している。本件においても,Aの相続財産を評価通達に基づき評価し,保険金の非課税限度額(別紙5の順号⑧欄の△の金額)を控除すると,その価額は,9億3944万3913円(別紙5の順号⑩「取得財産の価額」欄参照)となる。 イ原告が取得した相続財産及びその価額Aの相続人は原告のみであるから,原告が取得した相続財産及びその価額は,上記アで述べた 4万3913円(別紙5の順号⑩「取得財産の価額」欄参照)となる。 イ原告が取得した相続財産及びその価額Aの相続人は原告のみであるから,原告が取得した相続財産及びその価額は,上記アで述べた相続財産すべてであり,その価額は,9億3944万3913円となる。 ウ債務及び葬式費用の金額相続税法13条1項は,相続又は遺贈により財産を取得した者の当該財産の課税価格に算入すべき価額は,当該財産の価額から,その者が負担する被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)及び被相続人に係る葬式費用の金額を控除した金額による旨規定している。 本件において,相続財産の価額から控除されることとなる債務及び葬式費用の金額は,243万8819円(別紙5の順号⑪参照)となる。 エ相続税の課税価格に加算される暦年課税分の贈与財産価額相続税法19条1項は,相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産(贈与財産) を取得したことがある場合には,当該贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなす旨規定している。 本件における相続税の課税価格に加算される贈与財産の価額は,本件申告に係る申告書(甲3の1枚目の原告の「純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額」欄)に計上されている2743万1011円に本件贈与財産558万8960円を加算して算出した3301万9971円(別紙5の順号⑫参照)となる。 オ原告の課税価格原告の課税価格は,上記イ記載の原告が取得した相続財産の価額から,上記ウ記載の債務及び葬式費用の金額を控除し,その金額に上記エ記載の相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算した金額であり,その金額は,9億7002万5000円 の原告が取得した相続財産の価額から,上記ウ記載の債務及び葬式費用の金額を控除し,その金額に上記エ記載の相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算した金額であり,その金額は,9億7002万5000円(なお,国税通則法118条1項により,1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。別紙5の順号⑬参照。)となる。 カ遺産に係る基礎控除額遺産に係る基礎控除額は,5000万円と1000万円に法定相続人の数を乗じて得た金額との合計(相続税法15条1項)であるところ,Aの法定相続人は,原告のみであるから,遺産に係る基礎控除額は,6000万円(別紙5の順号⑭参照)となる。 キ相続税の総額相続税の総額は,課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した金額を,法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして,その金額を算出し,これに相続税法で定めた税率を乗じて計算した額を合計した金額である(相続税法16条)。 そうすると,課税される遺産総額は,別紙5の順号⑬の「課税価格」から順号⑭の「基礎控除額」を控除した9億1002万5000円(別紙5の順号⑮参照)となる。そして,原告の法定相続分は1であるから,法定相続分 に応じて取得した金額も同額となり(なお,国税通則法118条1項により,1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。別紙5の順号⑰参照。),これに相続税法16条が定める税率を乗じると(別紙5の順号⑱の計算式は,順号⑰の金額が3億円を超える場合の「相続税の総額の基礎となる税額」の簡易な計算式である。),相続税の総額の基礎となる税額は,4億0801万2500円となる。 そして,Aの法定相続人は原告のみであることから,相続税の総額は,別紙5の順号⑲記載のとおり,上記で算出された税額と同額の4億0801万2500円(なお,国 ,4億0801万2500円となる。 そして,Aの法定相続人は原告のみであることから,相続税の総額は,別紙5の順号⑲記載のとおり,上記で算出された税額と同額の4億0801万2500円(なお,国税通則法119条1項により,100円未満の端数を切捨てた後のもの。)となる。 ク原告の相続税額相続又は遺贈により財産を取得した者に係る相続税額は,相続税の総額に,それぞれ被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者に係る相続税の課税価格が当該財産を取得した全ての者に係る課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて計算することとされているところ(相続税法17条),Aの相続人は原告のみであることから,本件における原告の相続税額は,上記キで算出された相続税額と同額の4億0801万2500円(別紙5の順号⑳参照)である。 ケ原告の贈与税額控除額相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産がある場合において,当該贈与による財産の取得につき課せられた贈与税があるときは,相続税額から当該財産に係る贈与税の税額を控除した金額をもって,納付すべき相続税額とすることとされている(相続税法19条1項)。 本件において,原告の相続税額から控除すべき贈与税額控除額は,原告の平成16年分ないし平成18年分の贈与税額の合計額である,1160万6600円(別紙5の順号〈21〉参照)である。 コ原告の相次相続控除額被相続人が相続開始前10年以内に開始した相続により財産を取得したことがあるときは,相続税法20条の規定により,相次相続控除を適用することができるところ,Aは,平成12年の第一次相続において,相続財産を取得していることから,別紙6のとおり,原告の相次相続控除額は,4069万0659円(別紙5の順号〈22〉参照)となる。 用することができるところ,Aは,平成12年の第一次相続において,相続財産を取得していることから,別紙6のとおり,原告の相次相続控除額は,4069万0659円(別紙5の順号〈22〉参照)となる。 サ原告の納付すべき相続税額原告の納付すべき相続税額は,上記クの相続税額から上記ケの贈与税額控除額及び上記コの相次相続控除額を控除した金額であり,3億5571万5200円(なお,国税通則法119条1項の規定により,100円未満を切り捨てた後のもの。別紙5の順号〈23〉参照。)となる。 シ本件更正処分の適法性本件更正処分は,原告の納付すべき税額を3億5130万0600円とするものであるところ,上記サの金額の範囲内であるから適法である。 (2) 本件賦課決定処分本件賦課決定処分は,国税通則法65条1項の規定により別紙7の過少申告加算税の計算書記載のとおり算出される過少申告加算税を原告に賦課したものであるところ,本件更正処分が適法である以上,その増差税額を基にされた本件賦課決定処分もまた適法である。 別紙4裁判所の認定する本件相続における課税価格及び納付すべき税額 (1) 本件相続における課税価格ア Aの相続財産及びその価額の内訳Aの相続財産から保険金の非課税限度額(別紙8の順号⑧欄の△の金額)を控除すると,その価額は,9億0601万7149円(別紙8の順号⑩「取得財産の価額」欄参照)となる。 イ原告が取得した相続財産及びその価額Aの相続人は原告のみであるから,原告が取得した相続財産及びその価額は,上記アで述べた相続財産すべてであり,その価額は,9億0601万7149円となる。 ウ債務及び葬式費用の金額本件において,相続財産の価額から控除されることとなる債務及び葬式費用の金額は は,上記アで述べた相続財産すべてであり,その価額は,9億0601万7149円となる。 ウ債務及び葬式費用の金額本件において,相続財産の価額から控除されることとなる債務及び葬式費用の金額は,243万8819円(別紙8の順号⑪参照)となる。 エ相続税の課税価格に加算される暦年課税分の贈与財産価額本件における相続税の課税価格に加算される贈与財産の価額は,本件申告に係る申告書(甲3の1枚目の原告の「純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額」欄)に計上されている2743万1011円に本件贈与財産558万8960円を加算して算出した3301万9971円(別紙8の順号⑫参照)となる。 オ原告の課税価格原告の課税価格は,上記イ記載の原告が取得した相続財産の価額から,上記ウ記載の債務及び葬式費用の金額を控除し,その金額に上記エ記載の相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算した金額であり,その金額は,9億3659万8000円(なお,国税通則法118条1項により,1000円 未満の端数を切り捨てた後のもの。別紙8の順号⑬参照。)となる。 (2) 納付すべき税額ア遺産に係る基礎控除額遺産に係る基礎控除額は,5000万円と1000万円に法定相続人の数を乗じて得た金額との合計(相続税法15条1項)であるところ,Aの法定相続人は,原告のみであるから,遺産に係る基礎控除額は,6000万円(別紙8の順号⑭参照)となる。 イ相続税の総額課税される遺産総額は,別紙8の順号⑬の「課税価格」から順号⑭の「基礎控除額」を控除した8億7659万8000円(別紙8の順号⑮参照)となる。そして,原告の法定相続分は1であるから,法定相続分に応じて取得した金額も同額となり(なお,国税通則法118条1項により,1000円未満の端数 8億7659万8000円(別紙8の順号⑮参照)となる。そして,原告の法定相続分は1であるから,法定相続分に応じて取得した金額も同額となり(なお,国税通則法118条1項により,1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。別紙8の順号⑰参照。),これに相続税法16条が定める税率を乗じると(別紙8の順号⑱の計算式は,順号⑰の金額が3億円を超える場合の「相続税の総額の基礎となる税額」の簡易な計算式である。),相続税の総額の基礎となる税額は,3億9129万9000円となる。 そして,Aの法定相続人は原告のみであることから,相続税の総額は,別紙8の順号⑲記載のとおり,上記で算出された税額と同額の3億9129万9000円(国税通則法119条1項により,100円未満の端数を切捨てた後のもの。)となる。 ウ原告の相続税額Aの相続人は原告のみであることから,本件における原告の相続税額は,上記イで算出された相続税額と同額の3億9129万9000円(別紙8の順号⑳参照)である。 エ原告の贈与税額控除額 本件において,原告の相続税額から控除すべき贈与税額控除額は,原告の平成16年分ないし平成18年分の贈与税額の合計額である,1160万6600円(別紙8の順号〈21〉参照)である。 オ原告の相次相続控除額Aは,平成12年の第一次相続において,相続財産を取得していることから,別紙9のとおり,原告の相次相続控除額は,3923万9059円(別紙8の順号〈22〉参照)となる。 カ原告の納付すべき相続税額原告の納付すべき相続税額は,上記ウの相続税額から上記エの贈与税額控除額及び上記オの相次相続控除額を控除した金額であり,3億4045万3300円(なお,国税通則法119条1項の規定により,100円未満を切り捨てた後のもの。別 上記ウの相続税額から上記エの贈与税額控除額及び上記オの相次相続控除額を控除した金額であり,3億4045万3300円(なお,国税通則法119条1項の規定により,100円未満を切り捨てた後のもの。別紙8の順号〈23〉参照。)となる。
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