令和4(行コ)222 所得税更正処分等取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和5年4月19日 東京高等裁判所
ファイル
hanrei-pdf-93581.txt

判決文本文3,567 文字)

令和5年4月19日判決言渡し令和4年(行コ)第222号所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和2年(行ウ)第195号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 事実及び理由 (略称は原判決の例による。)第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 処分行政庁が平成30年5月29日付けで控訴人に対してした控訴人の平成26年分の所得税及び復興特別所得税に係る更正処分のうち課税総所得金額1億5033万4000円、納付すべき税額72万7400円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし、平成30年11月26日付け変更決定処分により一部取り消された後のもの)を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨控訴人は、自らが全ての株式を保有する外国法人に対して外貨建てで貸付けを行い、同貸付けをしたこと及び同貸付けに係る債権の一部に対する弁済を受けたことにより為替差益を得たが、同為替差益を雑所得の金額に含めないで平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告をした。処分行政庁は、控訴人に対し、同為替差益が雑所得に含まれるものとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。 控訴人は、所得税法51条4項に基づき、上記貸付けに係る債権の一部を放棄したことにより控訴人に生じた損失を雑所得の金額の計算上必要経費に算入すること- 2 -ができるとして、上記更正処分の一部及び同処分を前提とする過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求めた。 原審は、控訴人の請求を棄却したところ、控訴人が請求の認容を求めて控訴した。 2 当事者の主張等所得税法 、上記更正処分の一部及び同処分を前提とする過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求めた。 原審は、控訴人の請求を棄却したところ、控訴人が請求の認容を求めて控訴した。 2 当事者の主張等所得税法の関係規定、事実関係、争点及びこれに関する当事者の主張は、次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1から6までに記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 6頁12行目の「交換し、」の次に「4億5058万5000円の」を加える。 ⑵ 7頁5行目の「及び」を「、」に改め、6行目の「為替差益」の次に「及び本件交換に係る前記⑷ウの為替差益」を加える。 第3 当裁判所の判断当裁判所も、控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は、1のとおり補正し、2のとおり当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」に説示するとおりであるから、これを引用する。 1 原判決の補正⑴ 34頁25行目の「、又は将来発生させ得るといっ」を削除する。 ⑵ 35頁22行目の「当該資産の」から25行目の「可能性がない」までを次のとおり改める。 「雑所得の発生過程にたまたま当該資産が介在していたとしても、当該資産の客観的な性質を原因として雑所得の発生することが見込まれるといえない場合には、その性質上雑所得を発生させる原因となる資産とはいえない」⑶ 36頁2行目の「」、6行目の「所得税法51条4項の」から13行目の末尾まで、20行目から21行目にかけての「この点からも」、22行目から37頁8行目までをいずれも削除する。 - 3 -⑷ 37頁12行目の「。これは」から22行目の末尾までを次のとおり改める。 「が、このような為替差益が発生するか否かは、利息の定めの 2行目から37頁8行目までをいずれも削除する。 - 3 -⑷ 37頁12行目の「。これは」から22行目の末尾までを次のとおり改める。 「が、このような為替差益が発生するか否かは、利息の定めのような当該外貨建債権自体の客観的性質とは当然には関わりのない、弁済時の外貨に対する円の価値が貸付時のそれより下落していたという外部的な事情により決定されるものであるから、為替差益の発生が見込まれる為替水準に達すると弁済期が到来することとされているなど、当該外貨建債権の客観的な性質を原因として雑所得の発生することが見込まれるといえるものでない限り、外貨建債権であること自体から当然に雑所得基因資産に該当するということはできない。」⑸ 37頁23行目の「前記1⑵ア」の次に「、イ」を加える。 ⑹ 38頁18行目から39頁9行目までを次のとおり改める。 「このように、本件各貸付債権は、そもそも確実に元本の弁済が見込まれるものではないところ、仮に元本が返済されても、本件各貸付債権の客観的な性質を原因として為替差益の発生することが見込まれるといえる事情はないから、雑所得基因資産に該当しない。」⑺ 39頁22行目の冒頭から40頁1行目までを次のとおり改める。 「本件各弁済によって結果的に為替差益が発生したからといって、本件各貸付債権の客観的な性質を原因として為替差益の発生することが見込まれたといえなければ、本件各貸付債権が雑所得基因資産に該当するとはいえず、本件貸付残債権についても同様である。」⑻ 40頁2行目から41頁7行目までを次のとおり改める。 「ウ控訴人は、種々の理由から本件貸付残債権と本件各弁済を受けた部分とは本件各貸付債権として一体性を有するとした上で、本件貸付残債権も雑所得基因資産に該当すると主張するが、本件各貸付債権が雑所得基因 ウ控訴人は、種々の理由から本件貸付残債権と本件各弁済を受けた部分とは本件各貸付債権として一体性を有するとした上で、本件貸付残債権も雑所得基因資産に該当すると主張するが、本件各貸付債権が雑所得基因資産に該当するといえない以上、上記の一体性を理由として本件貸付残債権が雑所得基因資産に該当するとはいえない。」⑼ 42頁11行目の「弁済による」から12行目の「可能性」までを「当該資- 4 -産の客観的な性質を原因として雑所得の発生することが見込まれること」に改める。 2 当審における控訴人の主張に対する判断⑴ 控訴人は、雑所得基因資産に係る原判決の判示内容は関連法令の解釈・適用を誤っているとして種々の主張をするが、これらの主張は、いずれも本件貸付残債権を含む本件各貸付債権が雑所得基因資産に該当することを基礎付けるものではなく、争点1-2(本件貸付残債権の雑所得基因資産該当性)に関する前記判断に影響しない。 ⑵ 控訴人は、争点1-1(本件貸付残債権の業務供用資産該当性)について、最高裁平成27年3月10日第三小法廷判決・刑集69巻2号434頁及び最高裁平成29年12月15日第二小法廷判決・民集71巻10号2235頁においては、対象行為の期間、回数、頻度その他の態様、及び利益発生の規模、期間その他の状況等を総合的に考慮するという総合考慮を前提とした判断枠組みが採用されているところ、原判決は本件の全体像を理解することなく、本件各貸付による利息獲得、為替差益獲得といった個々の活動について、利益獲得の意図ないし目的がなかったという主観的事情に判断のウェイトを置くことで、営利性が認められないとの結論を形式的に導いており、上記各最高裁判決とも矛盾するなどと主張する。 しかし、上記各最高裁判決は、インターネットを介して馬券を購入することができ のウェイトを置くことで、営利性が認められないとの結論を形式的に導いており、上記各最高裁判決とも矛盾するなどと主張する。 しかし、上記各最高裁判決は、インターネットを介して馬券を購入することができるサービスを利用して数年間にわたり多数の馬券を購入し続けたという、主観的には行為者が利益を得る目的を有していたことが明らかな事案において、当たり馬券の払戻金が所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たるか否かに関して、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否かは、文理に照らし、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して判断するのが相当であると判断したものであって、業務供用資産該当性について判断したものではなく、また、利益獲得の意図ないし目的という主観的事情がなくとも営利性を肯定すべきであるとしたものでもないから(甲29・108頁参照)、控訴人の主張は、上記各最高裁判決を正解しないものであって、採用する- 5 -ことができない。 第4 結論以上によれば、控訴人の請求は理由がないから棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当であって、本件控訴は理由がない。 東京高等裁判所第20民事部 裁判長裁判官村上正敏 裁判官中山雅之 裁判官鈴木拓児

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る