主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主位的請求被告は,原告に対し,金19万4400円及びこれに対する平成15年5月10日から,金24万1700円及びこれに対する平成16年5月7日から,金18万1700円及びこれに対する平成17年5月17日から,金25万4500円及びこれに対する平成18年4月27日から,金19万6900円及びこれに対する平成19年5月2日から,金17万6900円及びこれに対する平成20年5月3日から,金22万6500円及びこれに対する平成21年5月2日から,30万円及びこれに対する平成23年2月10日から,各支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。 2 予備的請求被告は,原告に対し,金147万2600円及びこれに対する平成23年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,被告に対し,①主位的に,課税免除となるべき原告所有の軽自動車の軽自動車税について,被告が平成15年度から平成21年度にかけて課税処分を行い,これに基づき原告が納税をしたことにより損害が発生したとして,国家賠償法1条1項に基づいて,納税額合計147万2600円及びこれに対する各納税日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金並びに弁護士費用30万円及びこれに対する訴状送達日の翌日(平成23年2月10日)から支払済みまで上記割合による遅延損害金の支払を,②予備的に,上記課税処分には課税免除を定めた野洲市税条例81条,野洲町税条例81条並び に憲法14条及び84条に反する重大かつ明白な違法があり,同処分は無効であるから,納税は法律上の原因がないと 的に,上記課税処分には課税免除を定めた野洲市税条例81条,野洲町税条例81条並び に憲法14条及び84条に反する重大かつ明白な違法があり,同処分は無効であるから,納税は法律上の原因がないとして,民法703条に基づいて,納税額合計147万2600円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成23年2月10日)から支払済みまで上記割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。 2 関連法令等(1) 地方税法の定め(公益等に因る課税免除及び不均一課税)6条1項地方団体は,公益上その他の事由に因り課税を不適当とする場合においては,課税をしないことができる。 (軽自動車税に関する用語の意義)442条軽自動車税について,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。 一原動機付自転車道路運送車両法第2条第3項に規定する原動機付自転車のうち原動機により陸上を移動させることを目的として製作したものをいう。 二軽自動車道路運送車両法第3条にいう軽自動車をいう。 三小型特殊自動車道路運送車両法第3条にいう小型特殊自動車をいう。 四二輪の小型自動車道路運送車両法第3条にいう小型自動車のうち二輪自動車(側車付二輪自動車を含む。)をいう。 (軽自動車税の納税義務者等)442条の2第1項軽自動車税は,原動機付自転車,軽自動車,小型特殊自動車及び二輪の小型自動車(以下,これらを併せて「軽自動車等」という。)に対し,主 たる定置場所在の市町村において,その所有者に課する。 (軽自動車税の賦課期日及び納期)445条1項軽自動車税の賦課期日は,4月1日とする。 (2) 野洲市税条例の定め(軽自動車税の課税免除)81条商品であって使用しない軽自動車等に対しては,軽 課期日及び納期)445条1項軽自動車税の賦課期日は,4月1日とする。 (2) 野洲市税条例の定め(軽自動車税の課税免除)81条商品であって使用しない軽自動車等に対しては,軽自動車税を課さない。 (3) 野洲町税条例の定め81条次の各号に掲げる軽自動車等に対しては,軽自動車税を課さない。 ⑴ 商品であって使用しない軽自動車等(以下,野洲市税条例と野洲町税条例を併せて「本件条例」といい,野洲市税条例81条及び野洲町税条例81条1号を併せて「本件課税免除規定」という。) 3 前提事実(当事者間に争いがないか,証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者原告は,野洲市内に本店を置き,自動車販売等を業とする株式会社である。 被告は,普通地方公共団体たる市であり,平成16年10月1日,合併によりα町の権利義務を承継した。 (2) 本件課税処分α町は,平成15年度及び平成16年度の軽自動車税として,別紙「課税処分一覧表」の「平成15年度」及び「平成16年度」欄記載の車両番号の軽自動車について,原告に対し,同欄記載の金額を課する旨の課税処分を行い,原告から同処分に基づく納税を受けた。 被告は,平成17年度ないし平成21年度の軽自動車税として,別紙「課税処分一覧表」の「平成17年度」ないし「平成21年度」欄記載の車両番号の軽自動車について,原告に対し,同欄記載の金額を課する旨の課税処分を行い(以下,α町の行った上記課税処分と併せて「本件課税処分」といい,本件課税処分の課税客体たる軽自動車を「本件軽自動車」という。),原告から同処分に基づく納税を受けた。 なお,本件軽自動車は,いずれも本件課税処分における賦課期日において道路運送車両法60条1項に基づく車両番号の指定を受けてい 動車を「本件軽自動車」という。),原告から同処分に基づく納税を受けた。 なお,本件軽自動車は,いずれも本件課税処分における賦課期日において道路運送車両法60条1項に基づく車両番号の指定を受けていたものであった(甲1の1[以下,枝番があるものは特に標記をしない限り枝番を含む。],甲2の1,甲3の1,甲4の1,甲5の1,甲6の1,甲7の1)。 (3) 平成22年度以前の被告の取扱い等被告は,本件課税免除規定に基づく平成19年度から平成21年度の軽自動車税の課税に関しては,本件課税免除規定に該当する軽自動車等を所有者において販売を目的としている軽自動車をいうものと解釈し,販売を目的として軽自動車を所有しているとの届出をした者についてのみ課税免除を行うとの取扱いをしていた。そこで,商品であるとの届出をした野洲市内の訴外自動車販売会社(以下「訴外会社」という。)1社については,その届出に係る同社所有の軽自動車5台(いずれも車両番号の指定のあるもの。)につき,上記各年度のいずれの年も,本件条例の軽自動車税の減免の手続を準用して課税免除の措置を採っていた。 平成22年度に至って,訴外会社に加え,原告も平成22年度の軽自動車税に関して同様の届出を行い,これを契機に被告が本件課税免除規定につき改めて確認・調査をしたところ,被告は,従前の取扱いと異なり,本件課税免除規定は車両番号の指定のない自動車を対象とするものであったと判断するに至り,既に届出のされていた平成22年度の軽自動車税については従前と同様の取扱いをすべく,訴外会社及び原告について,その届出に係る原告 ら所有の軽自動車につき,同様に課税免除の措置を採ったが,平成23年度以降は,車両番号の指定を受けている軽自動車については,商品であるとの届出があったとしても本件課税免除規定を適用 係る原告 ら所有の軽自動車につき,同様に課税免除の措置を採ったが,平成23年度以降は,車両番号の指定を受けている軽自動車については,商品であるとの届出があったとしても本件課税免除規定を適用しないこととしている。 (4) 軽自動車税の課税免除に係る通達(乙1,弁論の全趣旨)平成11年以前は,軽自動車税の課税免除に関する国の依命通達(以下「本件依命通達」という。)があり,本件依命通達は,「商品であつて使用されていない軽自動車等に対しては,課税しないこととすること。」としていたところ,具体的には,軽自動車については,商品であって,車両番号の指定を受けていない軽自動車を想定してその取扱いが示されていた(ただし,本件依命通達は,平成12年以降,地方分権推進のため課税免除については市町村の判断によるべきであるとの理由で削除された。)。 4 争点(1) 本件軽自動車が「商品であって使用しない軽自動車等」(本件課税免除規定)に該当するか(2) 国家賠償請求権の成否(主位的請求)(3) 不当利得返還請求権の成否(予備的請求) 5 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件軽自動車が本件課税免除規定に該当するか)についてア原告の主張(ア) 本件課税免除規定の解釈租税規定の解釈は,課税要件明確主義及び法的安定性の要請から,原則として文理解釈によるべきである。したがって,本件課税免除規定における「商品であって使用しない軽自動車等」についても,文言に忠実に解釈して「商売の品物であって,原動機により陸上を移動させていない軽自動車等」と解釈すべきである。このように,本件課税免除規定の文理解釈によれば,商品か否か,陸上を移動させているか否かという点 に着目して判断すべきことが明らかである。被告が主張するような「登録 車等」と解釈すべきである。このように,本件課税免除規定の文理解釈によれば,商品か否か,陸上を移動させているか否かという点 に着目して判断すべきことが明らかである。被告が主張するような「登録がされていないこと」という書かれざる要件を付加することは,租税規定の文言から一般人が通常予測できる範囲を逸脱し,非課税対象をみだりに縮小解釈するものであり,到底許されない。 仮に,本件課税免除規定の意味内容を文理解釈で明らかにすることが困難であり,趣旨目的による解釈が許される場合,「使用しない軽自動車」に該当するか否かは,自動車の価値を減殺させるような消費行為の有無によるべきである。 (イ) 本件軽自動車は,いずれも自動車販売業者である原告が商品として保管,陳列していたものであり,陸上を走行させていたものではなかったのであるから,「商品であって使用しない軽自動車」に該当する。 イ被告の主張(ア) 本件課税免除規定の解釈軽自動車1台1台について陸上移動の有無を把握するのは現実的に困難であることや,平成11年以前の国の依命通達において道路運送車両法における登録の有無によって課税免除要件該当性を判断することが想定されていたこと,現在多くの市町村において同登録の有無により課税免除要件該当性の判断がされていることといった事情に照らせば,本件課税免除規定における「商品であって使用しない軽自動車」とは,「商品であって,道路運送車両法における登録をしていない軽自動車」と解すべきである。 (イ) 本件軽自動車は,いずれも道路運送車両法の規定に基づく登録を行っていたのであるから,「商品であって使用しない軽自動車」に該当しない。 (2) 争点(2)(国家賠償請求権の成否)についてア原告の主張 (ア) 本件課税免除規定の内容は,前記( 行っていたのであるから,「商品であって使用しない軽自動車」に該当しない。 (2) 争点(2)(国家賠償請求権の成否)についてア原告の主張 (ア) 本件課税免除規定の内容は,前記(1)ア原告の主張のとおり解すべきところ,本件で,被告及びα町は,次に述べるとおり,職務上注意すべき義務に違反し,漫然と本件課税処分を行ったものであり,国家賠償法上違法なものとして,原告に生じた後記(イ)の損害を賠償すべき責任があるというべきである。 a 課税要件該当性を調査すべき義務の違反被告及びα町職員には,課税に際して,実地調査,軽自動車の所有者・使用者に対する質問及びこれらの者から提出された書類等を確認・閲覧することなどを通じて,税務担当者として通常要求される程度の注意を払って本件課税免除規定該当性の判断を行い,本件課税免除規定に該当する軽自動車については課税免除を行うべき注意義務があるといえる。 しかるに,被告及びα町の職員は,自動車販売業者である原告が毎年数十台もの軽自動車に係る軽自動車税を納付していることから,容易に原告所有の軽自動車に本件課税免除規定が適用されると予見できたにもかかわらず,何らの調査もせずに,漫然と原告に対して課税を続け,上記注意義務に違反した。 b 適切な情報提供をする義務の違反被告及びα町職員は,本件課税免除規定を単に公開するに止まらず,公報等を通じて,前記⑴ア(ア)記載の「商品であって使用しない軽自動車等」の意義を具体的に明示し,軽自動車の所有者・使用者が自ら本件課税免除規定該当性を判断することができるように配慮し,課税免除となるべき軽自動車について誤って課税処分がされた場合には,処分を受けた者がその旨気づいて課税庁に申告することが可能となるよう注意喚起すべき注意義務がある。 しかるに,被 るように配慮し,課税免除となるべき軽自動車について誤って課税処分がされた場合には,処分を受けた者がその旨気づいて課税庁に申告することが可能となるよう注意喚起すべき注意義務がある。 しかるに,被告及びα町の職員は上記のような適切な情報提供を行 う措置を採らず,上記注意義務に違反した。 c 平等取扱いをすべき義務の違反被告及びα町職員は,本件課税免除規定の意義を何人に対する関係においても画一的に解釈し,客観的に課税免除要件に該当する場合には,一律に課税免除を行い,同じ課税免除要件に該当する物の所有者のうち一方の者には課税を免除しながら他方の者には課税をするというような不公平が生じないように注意すべき義務がある。 しかるに,被告及びα町職員は,平成19年度に訴外会社の申し出により,現に本件課税免除規定に該当する軽自動車に賦課決定がなされている事実が判明したにもかかわらず,訴外会社のみ課税免除措置をとり,原告を含む他の者に対しては漫然と課税し続け,上記注意義務に違反した。 (イ) 原告の損害額原告は,課税免除となるべき軽自動車に対する本件課税処分を受け,本件課税処分に基づき納税を行ったことで,納税額合計147万2600円及び弁護士費用30万円の損害を被った。 なお,原告は,取引の都合上,商品である中古の軽自動車を一時的に原告従業員又は原告代表者名義で登録し保有していた。そのため,本件課税処分のうちには原告以外の者が名宛人となっているものもあるが,それらについても全て原告の計算において納税を行っている。 (ウ) 消滅時効被告は,消滅時効が完成したと主張するが,原告が損害を知ったのは,平成22年4月22日であるから,消滅時効は完成していない。 イ被告の主張(ア) 本件課税免除規定の意義は,前記⑴イ(ア)記載のとお は,消滅時効が完成したと主張するが,原告が損害を知ったのは,平成22年4月22日であるから,消滅時効は完成していない。 イ被告の主張(ア) 本件課税免除規定の意義は,前記⑴イ(ア)記載のとおりであるが,被告及びα町は,平成22年度以前は,「商品であって使用しない軽自 動車」とは,所有者において販売を目的としている軽自動車をいうものと解釈し,販売を目的として軽自動車を所有しているとの届出をした者についてのみ課税免除を行うとの運用を行っていた。 仮に「商品であって使用しない軽自動車」の意義を上記のように解したとしても,被告及びα町の行政区域内において所有されている軽自動車1台1台について,所有者の届出を契機とせずに,販売目的を調査把握するのは現実的に極めて困難であるから,届出を行わせる以上に,販売目的の有無について質問検査権を行使すべき注意義務違反があったとはいえない。 そして,上記運用が適正である以上,所有者において販売を目的としていたにもかかわらず,届出をしなかったがために課税免除を受けられず,また,届出をした所有者との間で課税免除の有無について差異が生じたとしても,それは適法な運用の結果にすぎず,租税法律主義や平等原則に反しないように租税規定を運用すべき注意義務に違反したとはいえない。 また,適切な情報提供をする義務の違反があったともいえない。 (イ) 原告が主張する損害額については否認する。 (ウ) 仮に,国家賠償責任が認められるとしても,平成15年度から平成20年度までにされた課税処分については,原告が損害及び加害者を知ったときから3年が経過しているので,消滅時効が完成している。 被告は,上記消滅時効を援用する。 (3) 争点(3)(不当利得返還請求権の成否)についてア原告の主張本件課税処分は,前 を知ったときから3年が経過しているので,消滅時効が完成している。 被告は,上記消滅時効を援用する。 (3) 争点(3)(不当利得返還請求権の成否)についてア原告の主張本件課税処分は,前記(1)ア記載のとおり,課税免除となるべき本件軽自動車についてされたものであり,本件課税免除規定に違反する。加えて,本件課税処分のうち平成19年度以降のものについては,前記3(3)記載 のとおり,訴外会社についてのみ課税免除措置が採られていたのであるから,憲法14条及び84条に違反するともいえる。 これらの違法は,重大かつ明白であり,本件課税処分は無効であるので,被告は,法律上の原因なく納税額合計147万2600円を利得したといえる。 イ被告の主張前記(1)イ記載のとおり,本件軽自動車は,本件課税免除規定に該当しないから,本件課税処分は本件課税免除規定に違反するとはいえない。また,前記(2)イ記載のとおり,本件課税処分が,憲法14条及び84条に違反するともいえない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件軽自動車が本件課税免除規定に該当するか)について(1) 「使用しない軽自動車等」の意義についてア軽自動車税は,軽自動車等の所有の事実に担税力を見出して課される税であって,軽自動車等を課税客体としている点において資産税としての性質を有するということができるが,他方において,固定資産税にみられるような経年減価措置を採ることが想定されておらず,軽自動車等の所有者につき定額により課されるものとされていること等に照らすと,その運行によって生じるべき道路損傷に対する負担金としての性質をも有するものと解される。 ところで,地方税法は,軽自動車税を,軽自動車等の主たる定置場所在の市町村において,その所有者に課することとする一方 によって生じるべき道路損傷に対する負担金としての性質をも有するものと解される。 ところで,地方税法は,軽自動車税を,軽自動車等の主たる定置場所在の市町村において,その所有者に課することとする一方(地方税法442条の2第1項),公益上その他の事由に因り課税を不適当とする場合においては軽自動車税の課税をしないことができることとしている(同法6条)。同法6条は,各種政策目的や税負担の観点から画一的に一定範囲のものに課税しないこととする,課税免除につき定めるものであるが,本件 条例は,これを受けて,本件課税免除規定において,商品であって使用しない軽自動車等に対しては軽自動車税を課さない旨規定している(本件課税免除規定)。これは,構造的・機能的に道路運送車両法に定める軽自動車等の基準に該当するものであれば,地方税法上,軽自動車税の課税客体となるべきところ(同法442条,442条の2第1項),未だ流通段階にあって使用の段階にすら至っていない軽自動車等については,その運行によっておよそ道路損傷を生じる余地がないことから,軽自動車税の上記性質に照らし,課税対象から除外するのが適当であるとの考慮によるものと解される。本件課税免除規定が設けられるに先立って発出されたことの窺われる本件依命通達が,軽自動車税につき商品であって使用されていない軽自動車に対しては課税しないこととしていたのも,同趣旨によるものと解される。 そこでさらに検討すると,本件条例においては,本件課税免除規定にいう「使用」の意義につき何らの定義規定も置いてないところ,上記のとおり道路の損傷は軽自動車が運行の用に供されることにより生じるものであること,道路運送車両法上,軽自動車を運行の用に供するためには車両番号の指定を受け,指定された車両番号を記載した車両番号標を当該軽自動車 の損傷は軽自動車が運行の用に供されることにより生じるものであること,道路運送車両法上,軽自動車を運行の用に供するためには車両番号の指定を受け,指定された車両番号を記載した車両番号標を当該軽自動車に表示する必要があり,車両番号の指定のない軽自動車を運行の用に供することは想定されないこと(道路運送車両法58条,60条,73条,97条の3参照)にかんがみると,本件課税免除規定にいう「使用」の有無については,軽自動車を運行の用に供するために要する車両番号の指定の有無によって定まるものと解するのが相当である。本件依命通達において,商品であって使用されていない軽自動車の該当性を車両番号の指定の有無によって判断することを念頭に置いていたのも(前記第2,3(4)),これと同様の趣旨に出たものと解され,上記のように課税対象となる軽自動車を車両番号の指定の有無により定めることは,本件課税免除規定が課 税免除を定めるものであることにも適するものである。 以上によれば,本件課税免除規定に規定する「使用しない軽自動車」とは,車両番号の指定を受けていない軽自動車をいうものと解するのが相当である。 イこれに対し,原告は,①本件課税免除規定に規定する「使用しない軽自動車」は「原動機により陸上を移動させていない軽自動車」と解釈すべきであり,前記アのように解釈することは,「登録がされていないこと」という書かれざる要件を付加することとなって不当である,②「使用しない軽自動車」に該当するか否かは,自動車の価値を減殺させるような消費行為の有無によるべきであるなどと主張する。 しかしながら,およそ道路損傷を生じる余地を生じないといえるのは車両番号の指定を受けていない軽自動車に限られるとみることができるから,かかる軽自動車をもって「使用しない軽自動車」であると る。 しかしながら,およそ道路損傷を生じる余地を生じないといえるのは車両番号の指定を受けていない軽自動車に限られるとみることができるから,かかる軽自動車をもって「使用しない軽自動車」であると解釈してもその文言と乖離するということはできないし,上記のとおり,使用しない軽自動車につき課税免除がされるのは軽自動車税が道路損傷に対する負担金としての性質を有することによると解されるから,自動車の価値の減殺といった点から課税の対象が定まると解するのは相当とはいえない。 したがって,原告の主張によって上記判断は左右されるものではない。 (2) 以上によれば,本件課税免除規定に該当する軽自動車は,商品であって,車両番号の指定を受けていない軽自動車と解すべきところ,本件軽自動車は,いずれも本件課税処分における賦課期日において車両番号の指定を受けていたのであるから(前記第2,3(2)),本件課税免除規定に該当する軽自動車であるとはいえない。 これに反する原告の主張は採用することができない。 2 争点(2)(国家賠償請求権の成否)について原告は,本件課税免除規定の内容が原告主張の内容に沿うものであることを 前提に,前記第2,5(2)ア記載のとおり,被告及びα町には,①本件軽自動車の課税要件該当性を調査し,課税処分をすべきでなかったのにこれを怠って漫然と本件課税処分を行ったという注意義務違反及び②本件課税免除規定について適切な情報提供をすべきであったのにこれを怠ったという注意義務違反があったから,原告に生じた損害を賠償する責任があると主張する。 しかし,本件課税免除規定を前記1(2)のとおり解すべきことは同判示のとおりであり,これと見解を異にし,本件軽自動車が本件課税免除規定に該当するものであることを前提に上記注意義務違反があるとする原告 しかし,本件課税免除規定を前記1(2)のとおり解すべきことは同判示のとおりであり,これと見解を異にし,本件軽自動車が本件課税免除規定に該当するものであることを前提に上記注意義務違反があるとする原告の主張は採用することができない。 また,原告は,前記第2,5(2)ア記載のとおり,③訴外会社と平等取扱いをすべきであったのに,取扱いを異にした注意義務違反があったから,原告に生じた損害を賠償すべき責任があるとも主張する。 確かに,平成19年度から平成21年度の軽自動車税の取扱いにおいて,被告は,本件課税免除規定について前記1(2)と異なる解釈の下,届出のあった訴外会社についてのみ,同届出に係る軽自動車についてのみ課税免除としていたことは認められる(前記第2,3(3))。しかしながら,これは,被告が,平成22年度より前は,「商品であって使用しない軽自動車」を所有者において販売を目的としている軽自動車をいうものと解釈し,販売を目的として軽自動車を所有しているとの届出をした者についてのみ課税免除を行うという,前記1(2)の解釈とは異なる運用を行っていたことに基づくものであり(なお,この運用は平成22年度以降改められた〔前記第2,3(3)〕。),原告においても同様の届出を行っていれば,同様の措置が採られたことがうかがわれる。 そして,本件課税処分自体は前記1(2)に沿う適正なものであり,むしろ,訴外会社についてした課税免除の取扱いはこれに反するものであったほか,被告が訴外会社についてした上記措置も,野洲市内において軽自動車を扱う自動車販売業者約5社(甲20,5枚目)のうちの1社につき,その保有する5台の 軽自動車についてのみ行われた限定的なものであったことが認められる。 以上の点に照らすと,被告が,課税要件に該当すべき本件軽自動車に対して本 ,5枚目)のうちの1社につき,その保有する5台の 軽自動車についてのみ行われた限定的なものであったことが認められる。 以上の点に照らすと,被告が,課税要件に該当すべき本件軽自動車に対して本件課税処分をしたからといって,この点が国家賠償法上違法と評価されるということはできない。 したがって,原告の被告に対する国家賠償請求を認めることはできない。 3 争点(3)(不当利得返還請求権の成否)について原告は,本件課税処分が本件課税免除規定に反すると主張するが,本件課税免除規定の内容については前記1(2)のとおり解すべきところ,本件課税処分はこれに沿うものであったということができるから,原告のかかる主張を認めることはできない。 原告は,本件課税処分が憲法14条及び84条に反するとも主張するが,本件課税処分が取り消されたとの事情は本件記録上窺われないところ,前記2判示の点に照らすと,本件課税処分が憲法14条及び84条に反する重大かつ明白な違法があるということはできないから,本件課税処分に基づく徴収が法律上原因のないものと評価することもできない。 したがって,原告の被告に対する不当利得返還請求も認められない。 4 以上の次第で,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 大津地方裁判所民事部裁判長裁判官長谷部幸弥 裁判官芝本昌征 裁判官奥田達生
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