【DRY-RUN】主 文 本件各控訴はいづれもこれを棄却する。 被告人Aの当審における未決勾留日数中五十日を本刑に算入する。 当審における訴訟費用は全部被告人Aの負担とする。
主文 本件各控訴はいづれもこれを棄却する。 被告人Aの当審における未決勾留日数中五十日を本刑に算入する。 当審における訴訟費用は全部被告人Aの負担とする。 理由 被告人Bの弁護人柏岡清勝及び被告人Aの弁護人木下三四彦の各控訴趣意はいづれも両弁護人の提出した控訴趣意書記載のとおりであるからそれぞれこれを引用する。 弁護人柏岡清勝の控訴趣意第一点(法令違反)について、原審第二回公判調書によれば、被告人両名に対する人定尋問、被告事件に対する供述に続いて証拠の請求及び取調のあつたことが記載されており、検察官の起訴状の朗読並びに検察官、被告人および弁護人の証拠調に関する冒頭陳述が行われたことの記載がないが、これは昭和二十六年最高裁判所規則第十五号により改正された刑事訴訟規則第四十四条により公判調書の記載要件とせられなくなつたことにもとづくのであつて、その記載<要旨第一>がなくとも右両者の手続がなされたものであることが推定せられる、而して右刑事訴訟規則第四十四条は被告</要旨第一>事件の処理を適正且つ迅速に行うという刑事訴訟法の目的に添うため公判調書の簡易化を図りその必要的記載事項の範囲を最小限度に止めたにすぎないのであつて勿論公判廷に於ける実際に於てはその手続を省略するわけではないから何等憲法及び刑事訴訟法の根本精神にもとるものではない。 論旨は理由がない。 右控訴趣意第二点(量刑不当)について、本件記録並びに原審の取り調べた証拠に現われた被告人Bが前科を有しながら本件犯行を敢えてしたこと、その他各般の事情を綜合すれば、所論を考慮に入れても、原審が同被告人を懲役一年六月に処したのは相当であつて、量刑重きに失するものとはいえない。論旨は理由がない。 弁護人木下三四彦の控訴趣意 たこと、その他各般の事情を綜合すれば、所論を考慮に入れても、原審が同被告人を懲役一年六月に処したのは相当であつて、量刑重きに失するものとはいえない。論旨は理由がない。 弁護人木下三四彦の控訴趣意第一点(審理不尽)について、原判決挙示にかかる各証拠を綜合すれば、被告人Aの本件犯行を優に認定することができ、原判決には審理不尽にもとづく理由のくいちがいはない。論旨は理由がない。 右控訴趣意第二点(法令違反)について、原審裁判官の発した被告人Aに対する勾留状は存するが同被告人に対する勾留尋問調書が添付されていないことは所論のとおりである。しかし刑事訴訟規則第百六十七条第一項によると検察官は逮捕又は勾留されている被告人について公訴を提起したときは速やかにその裁判所の裁判官に逮捕状又は逮捕状及び勾留状を差出さなければならないと規定されて居るが勾留尋問調書の差し出しを要求していないのである。けだし勾留尋問調書には通常被疑事実に対する被疑者の供述が記載されて居り将来証拠書類ともなり得るものであるから之が勾留状に添付せられ第一回公判期日後その裁判官より公判裁判所に差出されるときは適法な証拠調を経ない書類が実質的に判断の資料に供せられる虞れがあるからである。徒つて勾留尋問調書は勾留状に添付すべきもの<要旨第二>ではないから本件に於ても右尋問調書が添付せられなくとも特別の事情のないかぎり勾留尋問は適法に行われ</要旨第二>たものと推定すべく徒つてこれに基き発せられた勾留状は適法有効なものと解するのが正当である。又原審二回公判調書の同被告人の供述中に所論のような供述がなされているとしても、原審には同被告人の司法警察員乃至は検察官に対する自白調書が証拠として提出されていないのであるから該自白調書の任意性を云々するいわれはない。論旨は理由がない。 右 うな供述がなされているとしても、原審には同被告人の司法警察員乃至は検察官に対する自白調書が証拠として提出されていないのであるから該自白調書の任意性を云々するいわれはない。論旨は理由がない。 右控訴趣意第三点(量刑不当)について、本件記録並びに原審の取り調べた諸般の事情を綜合すれば、所論を考慮に入れても、原審が同被告人を懲役一年に処したのは妥当であつて、量刑重きにすぎるものとはいえない。論旨は理由がない。 よつて刑事訴訟法第三百九十六条により本件各控訴をいづれも棄却することとし、被告人李基正の当審における未決勾留日数の本刑算入につき刑法第二十一条、当審における訴訟費用の負担につき刑事訴訟法第百八十一条第一項を各適用して主文のように判決した。 (裁判長判事黒田俊一判事成智寿朗判事東徹)
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