- 1 -平成23年12月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成21年(ワ)第44391号特許権侵害差止等請求本訴事件平成23年(ワ)第19340号同反訴事件口頭弁論終結日平成23年7月12日判決イギリス国 <以下略>本訴原告・反訴被告サンジェニック・インターナショナル・リミテッド同訴訟代理人弁護士鮫島正洋同久礼美紀子同髙見憲同伊藤雅浩同訴訟復代理人弁護士和田祐造同補佐人弁理士蔵田昌俊同小出俊實同砂川克同吉田親司大阪市中央区<以下略>本訴被告・反訴原告アップリカ・チルドレンズプロダクツ株式会社同訴訟代理人弁護士国谷史朗同重冨貴光同若林元伸同竹平征吾同吉村幸祐同廣瀬崇史- 2 -同訴訟代理人弁理士伊藤英彦同竹内直樹主 廣瀬崇史- 2 -同訴訟代理人弁理士伊藤英彦同竹内直樹 主文 1 本訴被告(反訴原告)は,別紙イ号物件目録記載の製品を輸入し,販売し,又は販売の申出をしてはならない。 2 本訴被告(反訴原告)は,別紙イ号物件目録記載の製品を廃棄せよ。 3 本訴被告(反訴原告)は,本訴原告(反訴被告)に対し,2113万9152円及び内金21万1298円に対する平成21年12月1日から,内金114万3691円に対する平成22年1月1日から,内金64万2923円に対する平成22年2月1日から,内金143万7410円に対する平成22年3月1日から,内金111万0230円に対する平成22年4月1日から,内金157万3294円に対する平成22年5月1日から,内金53万7567円に対する平成22年6月1日から,内金86万3014円に対する平成22年7月1日から,内金94万3649円に対する平成22年8月1日から,内金125万5610円に対する平成22年9月1日から,内金87万8324円に対する平成22年10月1日から,内金93万5830円に対する平成22年11月1日から,内金128万6010円に対する平成22年12月1日から,内金6万2341円に対する平成23年1月1日から,内金27万9713円に対する平成23年2月1日から,内金71万3871円に対する平成23年3月1日から,内金201万2677円に対する平成23年4月1日から,内金67万3516円に対する平成23年5月1日から,内金54万2938円に対する平成23年6月1日から,内金84万4543円に対する平成23年7月1日から,内金319万0703円に 4月1日から,内金67万3516円に対する平成23年5月1日から,内金54万2938円に対する平成23年6月1日から,内金84万4543円に対する平成23年7月1日から,内金319万0703円に対する平成23年7月12日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 本訴原告(反訴被告)のその余の本訴請求を棄却する。 - 3 - 5 反訴原告(本訴被告)の反訴請求を棄却する。 6 訴訟費用は,本訴反訴を通じてこれを4分し,その1を本訴原告(反訴被告)の,その余を本訴被告(反訴原告)の各負担とする。 7 この判決は,1項ないし3項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 本訴(1) 主文1項,2項と同旨(2) 本訴被告(反訴原告)は,本訴原告(反訴被告)に対し,2億0672万9983円及び内金1562万3538円に対する平成21年11月6日から,内金210万4200円に対する平成21年12月1日から,内金1158万9132円に対する平成22年1月1日から,内金489万3768円に対する平成22年2月1日から,内金1043万0820円に対する平成22年3月1日から,内金891万5796円に対する平成22年4月1日から,内金1254万6042円に対する平成22年5月1日から,内金445万0884円に対する平成22年6月1日から,内金716万1294円に対する平成22年7月1日から,内金781万5600円に対する平成22年8月1日から,内金967万4310円に対する平成22年9月1日から,内金662万6226円に対する平成22年10月1日から,内金690万9792円に対する平成22年11月1日から,内金974万4450円に対する平成22年12月1日から,内金74万6 9月1日から,内金662万6226円に対する平成22年10月1日から,内金690万9792円に対する平成22年11月1日から,内金974万4450円に対する平成22年12月1日から,内金74万6490円に対する平成23年1月1日から,内金257万8146円に対する平成23年2月1日から,内金549万0960円に対する平成23年3月1日から,内金1481万5572円に対する平成23年4月1日から,内金515万5290円に対する平成23年5月1日から,内金415万6296円に対する平成23年6月1日から,内金7092万4915円に対する平成23年- 4 -7月12日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 仮執行宣言 2 反訴(1) 反訴被告(本訴原告)は,反訴原告(本訴被告)に対し,7527万4696円及びこれに対する平成23年6月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 仮執行宣言第2 事案の概要1(1) 本件本訴は,ゴミ貯蔵機器に関する特許権及び汚物入れ用カセットに関する意匠権を有するとともに,従前,本訴被告・反訴原告(以下「被告」という。)の旧会社との間で販売代理契約を締結していた本訴原告・反訴被告(以下「原告」という。)が,被告に対し,上記特許権,意匠権,販売代理契約に基づいて,被告が輸入・販売等している別紙イ号物件目録記載の製品(以下「イ号物件」という。)は,上記特許権及び意匠権を侵害する,あるいは,被告は上記契約において同契約の終了に伴う原告の知的財産権の使用の停止を約した等と主張して,イ号物件の輸入・販売等の差止(特許法100条1項,意匠法37条1項,上記約定)及び廃棄(特許法100条2項,意匠法37条2項)を求めるとともに,損害賠償(特許法102 の停止を約した等と主張して,イ号物件の輸入・販売等の差止(特許法100条1項,意匠法37条1項,上記約定)及び廃棄(特許法100条2項,意匠法37条2項)を求めるとともに,損害賠償(特許法102条2項,3項,意匠法39条2項,3項,民法709条)として合計2億0672万9983円及び損害の各内金に対する当該損害の発生月の初日(ただし,平成23年7月1日~同月7日までに発生した損害および積極損害については,同月7日付け訴えの変更の申立書送達日の翌日である同月12日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 (2) 本件反訴は,被告が,原告に対し,原告が平成21年7月ころ,被告の顧客に対し,被告が販売するイ号物件が原告の知的財産権を侵害していると- 5 -の事実を告知したとして,かかる行為は,被告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知(不正競争防止法2条1項14号)に該当すると主張して,損害賠償(不正競争防止法4条,民法709条,710条)として7527万4696円及びこれに対する反訴状送達日の翌日である平成23年6月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提となる事実(争いのない事実以外は,証拠を項目の末尾に記載する。なお,書証は枝番を含む。)(1) 当事者ア原告は,イギリス国に本拠地を有し,日本国外における幼児用製品の製造等を業とする会社である。 イ被告は,育児用品・子ども乗物・玩具等の製造販売等を業とする株式会社である。 ウ原告と被告は,いずれもごみ貯蔵機器及びごみ貯蔵機器用カセットの市場において,需用者が共通し,競争関係にある。 (2) 原告の特許権(甲2,17)原告は,次の特許権(以下「本件特許権」とい ウ原告と被告は,いずれもごみ貯蔵機器及びごみ貯蔵機器用カセットの市場において,需用者が共通し,競争関係にある。 (2) 原告の特許権(甲2,17)原告は,次の特許権(以下「本件特許権」といい,本件特許権に係る特許を「本件特許」といい,本件特許に係る発明を「本件発明」という。)を有している。 特許番号第4402165号発明の名称ごみ貯蔵機器出願日平成21年6月5日分割の表示特願2006-536164の分割原出願日平成16年10月21日優先日平成15年10月23日優先権主張国英国- 6 -登録日平成21年11月6日特許請求の範囲請求項14(請求項14に係る発明を「本件発明1」という。)ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセットであって,該ごみ貯蔵カセットは,略円柱状のコアを画定する内側壁と,外側壁と,前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と,前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と,前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように,前記外側壁から突出する構成と,を備え,前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された,ごみ貯蔵カセット。 請求項11(請求項11に係る発明を「本件発明2」という。) ,前記外側壁から突出する構成と,を備え,前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された,ごみ貯蔵カセット。 請求項11(請求項11に係る発明を「本件発明2」という。)ごみ貯蔵機器の上部に設けられたごみ貯蔵カセットを受け入れる小室と,前記小室内で前記ごみ貯蔵カセットを回転させるために,前記小室内に回転可能に据え付けられ,前記ごみ貯蔵カセットに係合するように形成されたごみ貯蔵カセット回転装置と,を備えるごみ貯蔵機器であって,前記ごみ貯蔵カセット回転装置は,上部環と,該上部環から下方へ延びる円筒壁と,前記ごみ貯蔵カセットの回転のためにごみ貯蔵カセットを支持するための,該円筒壁の下部から内側へ突出するフランジと,を備え,前記ごみ貯蔵機器は,前記ごみ貯蔵カセット回転装置に係合・支持されるごみ貯蔵カセットをさらに備え,前記ごみ貯蔵カセットは,略円柱状のコアを画定する内側壁と,外側壁と,前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と,を備え,前記ごみ貯蔵カセットは,前記外側壁に設けられ,前記外側壁から突出し,- 7 -前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成を有し,前記ごみ貯蔵カセットは前記構成によってごみ貯蔵カセット回転装置の前記内側へ突出するフランジから吊り下げられるように構成された,ごみ貯蔵機器。 (3) 構成要件の分説ア本件発明1を構成要件に分説すると,次のとおりとなる(括弧内の分説は,被告によるものである。以下,本件発明1,2の構成要件の分説のための符号については,下記のとおり,原告の分説のための符号を先に挙げ,括弧内でこれに対応する被告の分説の符号を示すこととする。)。 A(A) ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に 構成要件の分説のための符号については,下記のとおり,原告の分説のための符号を先に挙げ,括弧内でこれに対応する被告の分説の符号を示すこととする。)。 A(A) ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセットであって,B(B) 該ごみ貯蔵カセットは,(B-1) 略円柱状のコアを画定する内側壁と,C(B-2) 外側壁と,D(B-3) 前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と,E(B-4) 前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と,F(B-5) 前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように,前記外側壁から突出する構成と,を備え,G(C) 前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された,(D) ごみ貯蔵カセット。 - 8 -イ本件発明2を構成要件に分説すると,次のとおりとなる。 H(A) ごみ貯蔵機器の上部に設けられたごみ貯蔵カセットを受け入れる小室と,I(A) 前記小室内で前記ごみ貯蔵カセットを回転させるために,前記小室内に回転可能に据え付けられ,前記ごみ貯蔵カセットに係合するように形成されたごみ貯蔵カセット回転装置と,を備えるごみ貯蔵機器であって,J(B) 前記ごみ貯蔵カセット回転装置は,(B-1) 上部環と,K(B-2) 該上部環から下方へ延びる円筒壁と,L(B-3) 前記ごみ貯蔵カセットの回転のためにごみ貯蔵カセットを支持するための,該円筒壁の下部から内側へ突出するフランジと,を備え,M(C) 前記ごみ貯蔵機器は, ら下方へ延びる円筒壁と,L(B-3) 前記ごみ貯蔵カセットの回転のためにごみ貯蔵カセットを支持するための,該円筒壁の下部から内側へ突出するフランジと,を備え,M(C) 前記ごみ貯蔵機器は,前記ごみ貯蔵カセット回転装置に係合・支持されるごみ貯蔵カセットをさらに備え,N(D) 前記ごみ貯蔵カセットは,(D-1) 略円柱状のコアを画定する内側壁と,O(D-2) 外側壁と,P(D-3) 前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と,を備え,Q(E) 前記ごみ貯蔵カセットは,前記外側壁に設けられ,前記外側壁から突出し,前記小室内に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように備えられた構成を有し,R(F) 前記ごみ貯蔵カセットは前記構成によってごみ貯蔵カセット回転装置の前記内側へ突出するフランジから吊り下げられるように構成された,- 9 -(G) ごみ貯蔵機器。 (4) 原告の意匠権(甲7,8)原告は,次の意匠権(以下「本件意匠権」といい,本件意匠権に係る衣装を「本件意匠」という。)を有している。 登録番号意匠第1224008号意匠登録出願日平成16年4月22日パリ条約による優先権等の主張優先権主張番号 95468-0002優先日平成15年10月23日優先権主張国共同体商標意匠庁設定登録日平成16年10月15日意匠にかかる物品汚物入れ用カセット登録意匠別紙意匠公報記載のとおり意匠に係る物品の説明本物品は,汚物入れ等の中に装着されて使用されるものであり,その使用方法は,ドーナツ形凹陥部内に,引き出し可能に連続する多数の筒状の袋を収納し,順次その袋を引き出して,中央の穴に取り付け,汚物を回収 物品は,汚物入れ等の中に装着されて使用されるものであり,その使用方法は,ドーナツ形凹陥部内に,引き出し可能に連続する多数の筒状の袋を収納し,順次その袋を引き出して,中央の穴に取り付け,汚物を回収するものである。 (5) 被告の行為被告は,イ号物件を輸入し,販売し,販売の申し出をしている。 (6) イ号物件の構成a ごみ貯蔵容器の上部に取り付けるためのごみ貯蔵カセットであり,b ごみ貯蔵カセットは,b-1 略円柱状のコアを画定する内側壁と,b-2 外側壁と,b-3 前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と,- 10 -b-4 前記内側壁の上部から前記外側壁に向けて延出する延出部であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と,b-5 前記外側壁外周面の円周方向の等間隔の4箇所に欠け部を有する突出部と,を備える。 (7) 本件発明とイ号物件との対比等イ号物件は,本件発明1の構成要件B~E(B~B-4)を充足する。 (8) 特許出願の経緯等ア原告は,平成21年6月5日,平成16年10月21日に英国出願に基づく優先権を主張して我が国にされた特許出願(特願2006-536164)の分割出願として,本件特許出願をした。 イ本件特許は,平成21年11月6日,特許権の設定登録がされた。 (9) 販売代理契約の推移等(甲15,乙15~17)ア原告は,平成5年ころ以降,アップリカ育児研究会アップリカ葛西株式会社(以下「旧アップリカ」という。)を,日本における総代理店としていた。原告と旧アップリカは,平成15年11月26日には,次の約定を 告は,平成5年ころ以降,アップリカ育児研究会アップリカ葛西株式会社(以下「旧アップリカ」という。)を,日本における総代理店としていた。原告と旧アップリカは,平成15年11月26日には,次の約定を含む包括的な販売代理契約(甲15。以下「本件販売代理契約」という。)を締結した。 (ア) 理由の如何を問わず本契約が終了した場合には,旧アップリカは遅滞なく,原告から許諾を受けた原告のすべての知的財産権のいかなる利用(文具及び乗り物に対する使用を例外なく含む)も中止しなければならず,それらの知的財産権を旧アップリカが保有しているものと表示しているすべての印刷物(旧アップリカの一般的なカタログを除く)を原告に返還するか,無償で廃棄しなければならない(12.7項)。 (イ) 旧アップリカは,原告が買戻権を行使しない在庫品を販売する目的で行う場合を除き,製品の販売促進や広告,知的財産権の使用を中止し- 11 -なければならない。旧アップリカは,本契約終了から3か月間に限り,当該在庫品を販売することができる(14.4項)。 (ウ) 知的財産権「whetherornotregisteredorcapableofregistration」,本領域又はその他の領域で存在するかを問わず,特許,商標,サービスマーク,商号,ブランド名,著作権,デザインに関する権利,ノウハウ,機密情報,その他の知的財産権であって,それらに付随するあらゆる業務上・営業上の信用も含む(1.1項)。 イ旧アップリカは,原告との上記契約に基づき,原告の製品の販売を行い,平成5年ころから,MarkⅠ(商品名におわなくてポイ)と称するごみ貯蔵機器及び対応ごみ貯蔵カセットの,平成11年ころから,MarkⅡ(商品名におわなくてポイマルチ)と称するご 製品の販売を行い,平成5年ころから,MarkⅠ(商品名におわなくてポイ)と称するごみ貯蔵機器及び対応ごみ貯蔵カセットの,平成11年ころから,MarkⅡ(商品名におわなくてポイマルチ)と称するごみ貯蔵機器及び対応ごみ貯蔵カセットの,平成18年から,MarkⅢ(商品名におわなくてポイ・イージー)と称するごみ貯蔵機器及び対応ごみ貯蔵カセットの各販売を開始した。MarkⅠ本体及びMarkⅡ本体は,ごみ貯蔵カセット回転装置を備えていないが,MarkⅢ本体は,ごみ貯蔵カセット回転装置を備える構成である。 ウ原告と米国法人NewellRubbermaidInc.(以下「Newell」という。)は,平成20年3月7日付け契約(乙15)により,Newellが旧アップリカの事業を取得することに伴い,本件販売代理契約の契約上の地位を,旧アップリカからNewellに移転することを合意した。旧アップリカは,同年4月1日,Newellが日本において設立した被告に対し,事業を譲渡した(乙16)。 エ原告は,平成20年10月,同年11月27日以降は本件販売代理契約を更新しない旨を通知した。 - 12 -オ原告と東京都台東区<以下略>所在のコンビ株式会社(以下「コンビ社」という。)は,平成20年10月15日,赤ちゃん向けおむつ処理製品の販売店契約(甲56)を締結し,原告は,同年11月27日以降,コンビ社を,日本における総代理店とした。コンビ社は,原告製品MARKⅢを「ニオイ・クルルンポイ」の商品名で販売している。 (10) 原告による被告顧客に対する通知(乙48)ア原告は,平成21年7月28日ころ,被告の顧客に対し,通知書(乙48,以下「本件通知書」という。)を送付した(以下「本件通知行為」という。)。 イ本件通知書(乙48)には, (乙48)ア原告は,平成21年7月28日ころ,被告の顧客に対し,通知書(乙48,以下「本件通知書」という。)を送付した(以下「本件通知行為」という。)。 イ本件通知書(乙48)には,次のとおりの記載がある。 「紙おむつ処理システムの開発・生産者として,サンジェニックは,紙おむつ処理ポット及びスペアカセットのデザイン及び生産について,世界各地で多くの知的財産権を有しています。サンジェニックは,…競合製品が当社の知的財産権を侵害していると知った場合には,…当該侵害を行った生産者もしくは小売店に対して,徹底して当社の事業を守ります。」(11) イ号物件の販売数量及び売上額(乙38,55)イ号物件の平成21年11月6日から平成23年5月末日までの販売数量及び売上金額は,以下のとおり,販売数量が40万6602個(1セットは,イ号物件3個である。),売上金額が1億7103万9163円である。なお,各納入先との取引条件として,物流負担金,販促協力金及び割戻金等様々な名目により行われているイ号物件についての一括値引きを反映した売上総額は,1億6834万7196円である。 時期販売数量売上金額平成21年11月(6日~30日)2100セット211万2980円- 13 -平成21年12月11566セット1143万6919円平成22年1月4884セット642万9236円平成22年2月10410セット1437万4108円平成22年3月8898セット1110万2300円平成22年4月12521セット1573万2943円平成22年5月4442セット537万5678円平成22年6月7147セット863万0142円平成22年7月7800セット943万6498円 2521セット1573万2943円平成22年5月4442セット537万5678円平成22年6月7147セット863万0142円平成22年7月7800セット943万6498円平成22年8月9655セット1255万6108円平成22年9月6613セット878万3248円平成22年10月6896セット935万8305円平成22年11月9725セット1286万0108円平成22年12月745セット62万3414円平成23年1月2573セット279万7139円平成23年2月5480セット713万8714円平成23年3月14786セット2012万6774円平成23年4月5145セット673万5166円平成23年5月4148セット542万9383円 3 争点【本訴】(1) 本件発明1に係る特許権の侵害の有無(1)-1 本件発明1の構成要件充足性(直接侵害)(1)-1① 本件発明1の構成要件A(A),構成要件F(B-5),構成要件G(C)の解釈(1)-1② 本件発明1の構成要件充足性- 14 -(1)-2 本件発明1に係る特許の無効理由の有無(1)-2① 特許法36条6項2号違反(1)-2② 新規性欠如(乙14)(1)-2③a 進歩性欠如(主引用例乙14)(1)-2③b 進歩性欠如(主引用例乙14)(1)-2③c 進歩性欠如(主引用例乙18)(2) 本件発明2に係る特許権の侵害の有無(2)-1 本件発明2の間接侵害の成否(2)-2 消尽の成否(3) 本件意匠権の侵害の有無(3)-1 本件登録意匠の構成態様(3)-2 本件発明2に係る特許権の侵害の有無(2)-1 本件発明2の間接侵害の成否(2)-2 消尽の成否(3) 本件意匠権の侵害の有無(3)-1 本件登録意匠の構成態様(3)-2 イ号物件の構成態様(3)-3 本件登録意匠とイ号物件の意匠の類否(4) 契約に基づく差止請求の可否(5) 差止・廃棄請求の可否(6) 故意・過失の有無(7) 損害(7)-1 損害額の算定(特許法102条2項,意匠法39条2項)(7)-2 損害額の算定(特許法102条3項,意匠法39条3項)(7)-3 積極損害【反訴】(1) 不正競争行為の成否(不正競争防止法2条1項14号の虚偽の事実の告知,流布に当たるか)(2) 違法性阻却事由の有無(3) 故意・過失の有無(4) 損害- 15 - 4 争点に対する当事者の主張【本訴】(1) 本件発明1に係る特許権の侵害の有無(1)-1 本件発明1の構成要件充足性(直接侵害)(1)-1① 本件発明1の構成要件A(A),構成要件F(B-5),構成要件G(C)の解釈(原告)本件発明1の構成要件A(A),F(B-5),G(C)を充足するごみ貯蔵カセットは,「ごみ貯蔵カセット回転装置に係合されて回転可能に据え付け,かつ,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられる」との用途等に限定されるごみ貯蔵カセットではないものと解される。 (被告)ア原告の主張は,争う。 イ本件発明1の特許請求の範囲,発明の詳細な説明,図面,出願経過及び当時の技術水準(公知技術)によれば,本件発明1のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置に係合されて回転可能に据え付け,かつ,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成されたことを本質的特徴とし, 公知技術)によれば,本件発明1のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置に係合されて回転可能に据え付け,かつ,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成されたことを本質的特徴とし,この用途に限定して使用されるものを意味すると解され,「回転装置欠落ごみ貯蔵機器」に取り付け可能なごみ貯蔵カセットは,意識的に技術的範囲から除外されている。「回転装置欠落ごみ貯蔵機器」に取り付け可能なごみ貯蔵カセットが技術思想の範囲に含まれるとの原告の主張は,禁反言の原則に照らしても許されない。 (ア) 特許請求の範囲特許請求の範囲の記載によると,本件発明1のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置に係合させて使用されるものに限定されることを「ための」との文言で明確に表現した上(構成要件A(A)),ご- 16 -み貯蔵カセット回転装置とごみ貯蔵カセットとの構造上の関係を具体的・明確に表現する目的で,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するようにごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する構成を備えることによって,ごみ貯蔵カセットがごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成されることを明記している(構成要件B-5及びC)。 したがって,本件発明1のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置に係合されて回転可能に据え付けられ,かつ,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるとの用途に限定して使用されるものと解される。なお,本件特許のすべての請求項について,ごみ貯蔵カセット回転装置を備えたごみ貯蔵機器が構成要件として明記されており,本件発明1は,ごみ貯蔵カセット回転装置と切り離せない関係にあるものである。 (イ) 発明の詳細な説明,図面本件明細書(甲17)の発明の詳細な説明によると,本件発明1は,「ごみ貯蔵機器」の構造に関するもの ごみ貯蔵カセット回転装置と切り離せない関係にあるものである。 (イ) 発明の詳細な説明,図面本件明細書(甲17)の発明の詳細な説明によると,本件発明1は,「ごみ貯蔵機器」の構造に関するものであり(段落【0001】),本発明は改良された「ごみ貯蔵機器及びカセット」の構造全体を対象とするものであって,その改良点は,多数の異なるタイプの容器に据え付けることを可能にし,かつ,ごみ貯蔵カセットの回転抵抗を出来る限り低減させるために,ごみ貯蔵カセットをごみ貯蔵機器に設けられた回転可能な円板に係合させることにある(段落【0013】,【0017】,【0020】)。また,回転抵抗を低減させるより具体的な課題解決手段として,本件発明1の「ごみ貯蔵機器」は,ハンドルを備えた回転可能な円板を含むとともに,当該円板がごみ貯蔵機器の上部に設けられた小室上に形成された環状リム上で回転するように据付けられており,併せて,ごみ貯蔵カセットの外壁の周囲に上記環状リムの肩上に載っている環状フランジを設けることによって,円板の回転をもってごみ貯蔵カ- 17 -セットを回転させる構成を採用している(段落【0023】)。「ごみ貯蔵機器」の別の構成としては,ハンドルを備えた回転可能な円板の内側の円筒状壁の基底に環状支持フランジを備えるとともに,当該環状支持フランジに載せる環状フランジ又はくちびるをごみ貯蔵カセットに備えることによって,環状フランジ又はくちびるが環状支持フランジに載せられて係合する構成が説明されている(段落【0026】)。本件明細書の図4~図6からしても,ごみ貯蔵カセットについて,ごみ貯蔵カセット回転装置に係合して吊り下げられる構成のみが開示されており,それ以外の構成は開示も示唆もない。 したがって,本件発明1のゴミ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回 貯蔵カセットについて,ごみ貯蔵カセット回転装置に係合して吊り下げられる構成のみが開示されており,それ以外の構成は開示も示唆もない。 したがって,本件発明1のゴミ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置に係合し,当該装置から吊り下げられるという用途に限定して使用されるものであることが,当然の前提とされている。 (ウ) 出願経過出願人(原告)は,本件特許の出願経過において,特許庁から拒絶理由通知(乙25)を受けたが,公知技術(乙20~22,26)と本件発明1との差異点を明確にするため,「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された」との構成要件G(C)を補正により追加した上(甲5),ごみ貯蔵カセット回転装置と必ず係合して据え付けられることにより,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるという使用態様を必須の構成とすることを強調し(乙27),特許を取得したから,出願人(原告)は,回転装置欠落ごみ貯蔵機器に取り付けて使用することができるようなごみ貯蔵カセットについては,公知技術と相違がないとして,本件発明1より意識的に除外したものである。 (エ) 出願当時の技術水準本件特許の出願日前である平成15年7月24日に頒布された国際公開公報WO03/059748A2号及びこれに対応する公表特許公報- 18 -2005-514295号(乙14。以下「乙14文献」という。)には,ごみ貯蔵カセット回転装置との関係を明示する構成要件A(A),F(B-5),G(C)を除き,本件発明1の構成要件をすべて備えたごみ貯蔵カセットが開示されている。そして,仮に,原告が,ごみ貯蔵カセット回転装置と何ら関係なしに,回転装置欠落ごみ貯蔵機器に取り付けて使用することが可能な製品にまで本件発明1の技術的範囲を及ぼそうとすると,それは,公 されている。そして,仮に,原告が,ごみ貯蔵カセット回転装置と何ら関係なしに,回転装置欠落ごみ貯蔵機器に取り付けて使用することが可能な製品にまで本件発明1の技術的範囲を及ぼそうとすると,それは,公知技術をも本件発明1の技術的範囲に含める事態となり,権利行使できないものであるから,本件発明1の「ごみ貯蔵カセット」は,ごみ貯蔵カセット回転装置と必ず係合して回転可能に据え付けられることにより,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるという使用態様が必須であることが明らかである。 (1)-1② 本件発明1の構成要件充足性(原告)アイ号物件は,「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に…据え付けるため」のものであり,据付の態様は「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され」,故に「回転可能に据え付ける」ものであるから,構成要件A(A)を充足する。 イイ号物件は,「前記外側壁から突出する構成」である外側壁の円周に沿った突出部を有しており,当該突出部がごみ貯蔵カセット回転装置と係合することにより,ごみ貯蔵カセットが支持され,ごみ貯蔵カセット回転装置の回転とともに回転されるから,構成要件F(B-5)を充足する。 ウイ号物件は,突出部がごみ貯蔵カセット回転装置に係合し,「ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるよう」な状態になるから,構成要件G(C)を充足する。 エ仮に,イ号物件を,回転装置欠落ごみ貯蔵機器に取り付けて使用することが可能であるとしても,そのような特徴と,構成要件A(A),F(B- 19 --5),G(C)の充足は両立可能である。直接侵害の議論において,発明の全構成要件を満たすものが,発明の全構成要件の充足と両立可能なその他の用途のために用いることができるという特徴を有する 19 --5),G(C)の充足は両立可能である。直接侵害の議論において,発明の全構成要件を満たすものが,発明の全構成要件の充足と両立可能なその他の用途のために用いることができるという特徴を有するとしても,構成要件該当性は否定されない。 (被告)ア原告の主張は争う。イ号物件は,本件発明1の構成要件を充足しない。 イ上記のとおり,出願人(原告)は,本件発明1において,ごみ貯蔵カセット回転装置と必ずしも係合させることなく,回転装置欠落ごみ貯蔵機器に取り付けて使用することが可能なごみ貯蔵カセットについては,明確に除外しているところ,イ号物件は,公知文献(乙14文献)に係る公知技術に属するものであり,回転装置を備えているMarkⅢ本体のみならず,ごみ貯蔵カセット回転装置と必ずしも係合させることなく,回転装置欠落ごみ貯蔵機器であるMarkⅡ本体にも取り付けて使用できる製品であるから,本件発明1の技術的範囲に属しない。 (1)-2 本件発明1に係る特許の無効理由の有無(1)-2① 特許法36条6項2号違反(被告)ア本件特許1に係る請求項14は,特許を受けようとする発明を明確に記載しておらず,特許法123条1項4号,36条6項2号の無効理由がある。 イ本件発明1の請求項の記載は,特許を受けようとする発明が「ごみ貯蔵カセット」であるのか,「ごみ貯蔵カセットとごみ貯蔵機器(ごみ貯蔵カセット回転装置)との組合せ構造」にあるのかが不明確であり,また,本件発明1のごみ貯蔵カセット自体の構造的特徴は,乙14文献にすべて開示されており,乙14文献に記載されたカセットとどのように区別できるのか,不明確である。 - 20 -(原告)ア被告の主張は,争う。 イ審査基準には,特許法36条6項2号に関する留意事項として「『物の発 文献に記載されたカセットとどのように区別できるのか,不明確である。 - 20 -(原告)ア被告の主張は,争う。 イ審査基準には,特許法36条6項2号に関する留意事項として「『物の発明』の場合に,発明を特定するため…物の結合や構造の表現形式を用いることができる他…用途その他のさまざまな表現形式を用いることができる」と記載されているところ,原告は,これに則り,請求項14に係る発明である「ごみ貯蔵カセット」に関して,「ごみ貯蔵カセット」の構造・形状を特定するために同請求項のように記載したものである。同請求項の記載の骨組みを抽出すれば,同請求項に係る発明が「ごみ貯蔵カセット」に関する発明であることは明白であり,そうであるからこそ,審査段階でも,そのことが議論となることはなかった。したがって,同請求項の記載について,特許を受けようとする発明が明確であるとの要件を満たしており,特許法36条6項2号違反の無効理由はない。 (1)-2② 新規性欠如(乙14)(被告)ア乙14文献には,本件発明1がすべて開示されているから,本件発明には,新規性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条1項3号)がある。 (ア) 本件発明1の出願時(優先日)における当業者の技術水準ごみを包むためのフィルムを折りたたんだ状態で収納するゴミフィルム貯蔵カセット,およびこのカセットを容器の上部に取り付けたごみ貯蔵機器を開示している公知文献である乙14文献,本件特許の出願日前である平成14年10月24日に頒布された国際公開公報WO02/083525A1号(乙18,以下「乙18文献」という。),乙6,乙11,乙19~24によると,当業者は,次のとおり,優先日におけるごみフィルム貯蔵カセットの基本構造,フィルム貯蔵カセットの隙間の- 21 5A1号(乙18,以下「乙18文献」という。),乙6,乙11,乙19~24によると,当業者は,次のとおり,優先日におけるごみフィルム貯蔵カセットの基本構造,フィルム貯蔵カセットの隙間の- 21 -位置,臭気遮断構造,フィルム貯蔵カセットを支持する部材,フィルム貯蔵カセットの支持構造,フィルム貯蔵カセットに回転係合部を設ける技術及びごみを収容する内容器(袋)を外容器の上部開口部に取り付けた枠体から吊り下げる構造等についての公知技術水準及び周知技術を知ることができる。 ① ゴミフィルム貯蔵カセットの基本構造は,「ゴミフィルム貯蔵カセットが,基本構造として,外壁,内壁,底壁および上部の延出壁を備え,これらの壁に取り囲まれた空間内にフィルムを折り畳んで収容する」(乙14の図4,乙18の図1,乙19の図5,乙20の図1)ことが教示されている。 ② フィルム貯蔵カセットの隙間の位置は,「延出壁と外壁との間」(乙14の図4,乙18の図1,乙19の図5),「延出壁と内壁との間」(乙20の図1,乙21の図1,乙22の図2)であることが教示されている。 ③ 臭気遮断構造は,「容器本体に対してフィルム貯蔵カセットを回転させてフィルムを捩じるようにする」(乙18,20,21),「フィルム貯蔵カセットを容器本体で保持し,フィルムの下方部分を捩じるようにする」(乙14),「フィルム貯蔵カセットを容器本体で保持し,フィルムを両側から挟んで開口を閉じるようにする」(乙6)ことが教示されている。 ④ フィルム貯蔵カセットを支持する部材は,「容器本体に回転可能に支持された回転体で支持する」(乙18の図1),「容器本体で支持する」(乙14の図4,乙19の図5,乙20の図1,乙6の図1)ことが教示されている。 ⑤ フィルム貯蔵カセットの支持構造は,「カセット 持された回転体で支持する」(乙18の図1),「容器本体で支持する」(乙14の図4,乙19の図5,乙20の図1,乙6の図1)ことが教示されている。 ⑤ フィルム貯蔵カセットの支持構造は,「カセットの底部が浮くようにカセットを吊り下げる」(乙14の図4,乙19の図5,乙6の図- 22 -1),「カセットの底部を下から支持する」(乙18の図1,乙20の図1,乙11の図1)ことが教示されている。 ⑥ フィルム貯蔵カセットに回転係合部を設ける技術は,「フィルム貯蔵カセットに回転係合部を設ける」(乙18,20,11)ことが教示されている。 ⑦ ごみを収容する内容器(袋)を外容器の上部開口部に取り付けた枠体から吊下げる構造は,「外容器の上部開口部に枠体を取り付け,ごみを収容する内容器(袋)を枠体から吊下げる構造」(乙23の図3,乙24の図1)が教示されている。 (イ) 乙14文献の開示内容本件発明1におけるごみ貯蔵カセット自体は,内側壁と,外側壁と,貯蔵部と,延出部と,外側壁から突出する構成とを備えるものであるが,乙14文献は,この構造的特徴をそのまま備えるごみ貯蔵カセットを開示している。 (ウ) 本件発明1と乙14文献の対比乙14文献に開示されている発明と本件発明1とは,次の点において相違する。 ① 本件発明1のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合されて回転可能に据え付けられるのに対し,乙14文献のごみ貯蔵カセットは,静止状態の容器の上部に取り付けられている点,② 本件発明1のごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する構成は,ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するのに対し,乙14文献に開示されたごみ貯蔵カセットの外側壁 ,② 本件発明1のごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する構成は,ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するのに対し,乙14文献に開示されたごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する構成は,ごみ貯蔵カセットの支持のために,静止状態の容器の上部と係合するものである点,- 23 -③ 本件発明1のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成されているのに対し,乙14文献のごみ貯蔵カセットは,静止状態の容器の上端部から吊り下げられるように構成されている点(エ) 相違点の検討上記相違点は,いずれもごみ貯蔵カセットとごみ貯蔵カセット回転装置との組合せ構造に関連するものであり,カセット自体の構造は実質的に同じである。また,両者は,カセットが吊下げ式に支持されるものであり,吊下げ支持する部材が,静止した容器であるのか,回転装置であるのかが相違するが,この相違はごみ貯蔵カセットの構造的な差異を決定づけるものとはならない。さらに,本件発明1においては,カセットと回転装置が相対回転せず,一体的な関係にあり,乙14文献におけるカセットと容器との関係と同じである。 (オ) したがって,本件発明1と乙14文献に記載のごみ貯蔵カセットとは実質的に同じと認められるので,本件発明1は,新規性が否定される。 イ原告が主張する相違点について(ア) 原告が相違点として主張する「ごみ貯蔵カセット回転装置に係合するための構成」は,本件発明1の対象であるごみ貯蔵カセットに関連し,構成要件F(B-5)「外側壁から突出する構成」を指すが,これは,係合先に係り合う点,カセットと係合先が相対回転しない点等で,乙14発明にも開示されており,相違点とならない(イ) 原告が相 成要件F(B-5)「外側壁から突出する構成」を指すが,これは,係合先に係り合う点,カセットと係合先が相対回転しない点等で,乙14発明にも開示されており,相違点とならない(イ) 原告が相違点として主張するごみ貯蔵カセット支持部材側の具体的な構造如何(構成要件F(B-5),G(C)に関する相違点)は,本件発明1がごみ貯蔵カセット自体を対象とすることからすると,本件発明1と乙14発明の相違点になり得ない。 - 24 -(ウ) ごみ貯蔵カセット自体の構造として,乙14発明がごみ貯蔵カセット支持部材に係合する構造を備えていれば,本件発明1の構成要件F(B-5)と一致する構成を備えていると認定し得る。 ① 乙14発明のごみ貯蔵カセットは,「ごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する構成」である乙14発明の折り返し端部37によりごみ貯蔵カセット支持部材に引っ掛けて吊り下げることができ,かつ,ごみ貯蔵カセット自体の重みにより一定程度の力でカセット支持部材に接触するようになっている(FIG.4,152)から,ごみ貯蔵カセット自体の構造としてごみ貯蔵カセット支持部材に係り合う(係合する)構造を備えており,本件発明1の構成要件B-5に一致する。 ② 本件発明1の明細書の記載(段落【0023】等)や図面(図4,6等)からすると,「回転」とは,「ごみ貯蔵カセット」ではなく「ごみ貯蔵カセット回転装置」が「ごみ貯蔵機器」に対して回転可能に据え付けられていることを意味する。すなわち,本件発明1において,ごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵機器に対して間接的に回転可能に据え付けられているが,ごみ貯蔵カセット回転装置に対してはそれ自体として回転しない状態で直接的に支持されている。そして,この点は,乙14発明におけるごみ貯蔵カセットの支持構造と異ならない。 ③ 据え付けられているが,ごみ貯蔵カセット回転装置に対してはそれ自体として回転しない状態で直接的に支持されている。そして,この点は,乙14発明におけるごみ貯蔵カセットの支持構造と異ならない。 ③ 原告自身,「外側壁から突出する構成」が非回転装置にも係合することを以って「係合」該当性が否定されないとすることからすると,乙14発明は本件発明1の構成要件F(B-5)に一致する構成を備えていることは明らかである。 (原告)ア被告の主張は,争う。 イ被告が主張するような「特許請求の範囲の記載から一部を除外して発明の要旨を認定する」手法は,特許出願に係る発明の要旨の認定について- 25 -「願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきである」とする判例(甲45,最高裁判所平成3年3月8日第二小法廷判決)及び特許実務からも,認められない。 ウ本件発明1と乙14文献に係る発明(以下「乙14発明」という。)との間には,以下の相違点があるから,本件発明1には,新規性欠如の無効理由はない。 (ア) 相違点1(構成要件A(A))本件発明1は「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるための」ごみ貯蔵カセットであるのに対し,乙14発明は,ごみ貯蔵機器の上部に載せるためのごみ貯蔵カセットであるにすぎず,ごみ貯蔵カセット回転装置との係合や,ごみ貯蔵カセットの回転のための構成の開示がない。 (イ) 相違点2(構成要件F(B-5))本件発明1は,「前記ごみ貯蔵カセットの」「回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように,前記外側壁から突出する構成」を備えているのに対し,乙14発明では,このような構成の開示はない。乙14発明では,「ごみ貯蔵カセットの外側壁か のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように,前記外側壁から突出する構成」を備えているのに対し,乙14発明では,このような構成の開示はない。乙14発明では,「ごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する構成」である外側壁上の折り返し端部37は,「ごみ貯蔵カセットの」「回転のために」あるいは「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように」突出しているわけではない。 (ウ) 相違点3(構成要件Cに関する相違点)本件発明1は,「ごみ貯蔵カセット回転装置から」吊り下げられるように構成されているごみ貯蔵カセットであるのに対し,乙14発明は,「ごみ貯蔵機器から」吊り下げられるように構成されたごみ貯蔵カセットである。 (1)-2③a 進歩性欠如(主引用例乙14)- 26 -(被告)乙14文献を主引用例とした場合,本件発明には進歩性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条2項)がある。 ア乙14文献に開示されている発明と本件発明1とは,上記(1)-2②(被告)ア(ウ)①~③((1)-2②(原告)ウ(ア)~(ウ)と同じ)の点において相違する。 イ相違点の検討主引用例乙14文献と周知技術を組み合わせることにより,当業者は,本件発明1を容易に想到し得る。 すなわち,乙14文献には,廃棄物を収容したフィルムを器具で捩るようにしてもよいこと,および開示内容に対して様々な変形案や改良案をし得ることが記載されている。また,フィルムを捩るためにフィルムを収容しているカセットを回転させることは,乙18文献,乙20文献,乙21文献等に開示され,周知の事項である。そうすると,乙14文献には,フィルムを捩るために,ごみ貯蔵カセットを回転装置によって支持することの示唆があるから,種々の構造及び形態のごみ貯蔵カセット及びごみ容器を熟知して れ,周知の事項である。そうすると,乙14文献には,フィルムを捩るために,ごみ貯蔵カセットを回転装置によって支持することの示唆があるから,種々の構造及び形態のごみ貯蔵カセット及びごみ容器を熟知している当業者であれば,乙14文献のごみ貯蔵カセットを回転装置に吊下げ支持するようにして本件発明1に到達することは容易である。 (原告)ア被告の主張は,争う。 イ乙14文献に開示されている発明と本件発明1とは,上記(1)-2②(原告)ウ(ア)~(ウ)の点において相違する。 ウ後記(1)-2③b(原告)のとおり,乙14文献と乙18文献の組合せによっても本件発明1を容易に想到することができない以上,乙14文献,乙18文献の一方のみによって本件発明1を容易に想到することができないことは明白である。したがって,乙14文献のみを根拠として本件- 27 -発明1の進歩性が否定されることはないし,乙18文献のみを根拠として本件発明1の進歩性が否定されることもない。 (1)-2③b 進歩性欠如(主引用例乙14)(被告)乙14文献を主引用例,乙18文献を副引用例とした場合,本件発明には進歩性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条2項)がある。 ア乙14文献に開示されている発明と本件発明1とは,上記(1)-2②(被告)ア(ウ)①~③((1)-2(原告)ウ(ア)~(ウ)と同じ)の点において相違する。 イ主引用例乙14文献に係る発明(以下「乙14発明」という。)と,乙18文献に係る発明(以下「乙18発明」という。)を組み合わせることにより,当業者は,本件発明1を容易に想到し得る。 (ア) 課題の共通性乙14発明と乙18発明とは,廃棄物の臭気を遮断するためにフィルムを捩るという点で共通しており,両者の課題は共通である。 により,当業者は,本件発明1を容易に想到し得る。 (ア) 課題の共通性乙14発明と乙18発明とは,廃棄物の臭気を遮断するためにフィルムを捩るという点で共通しており,両者の課題は共通である。 (イ) 作用機能の共通性及び組合せの示唆乙14文献は,フィルムの捩りを「手で実施しても良いし,器具により実施しても良い」と記載しており,乙18発明には,カセットを回転させてフィルムを捩るために,カセットを回転装置(クラッチ270)の上に載せて回転体と共に回転させることを教示している。フィルムを捩るために,フィルムを収容しているカセットを回転させることは,優先日当時,周知であるから(乙18の5頁18~21行,乙20の2頁【0027】,乙21の段落【0004】~【0007】),乙14発明において,フィルムを捩るためにカセットを回転させることは周知技術により当業者には容易想到であり,また,乙18発明と組み合わせることの示唆がある。なお,乙14発明は,フィルムの捩りを器具によっ- 28 -て行なうことを記載しており,乙14発明においては,猫砂収集用のスコップの形状を考慮する必要のない通常のごみ貯蔵カセットは,円形であることが前提となっている。 そうすると,乙18発明の教示内容を知った当業者であれば,乙14発明のカセットを回転体に係合させて回転体と共に回転させるようにすることを容易に想到し得る。また,本件発明1の優先日の時点において,「吊り下げ式」のカセット支持構造(乙14の図4,乙6の図1,乙19の図5),「底部支持式」のカセット支持構造(乙18の図1,乙11の図1,乙20の図1)は,いずれも公知であるから,どちらの支持構造を採用するかは設計事項にすぎない。 (ウ) 「係合」,「小室」について乙18発明のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯 8の図1,乙11の図1,乙20の図1)は,いずれも公知であるから,どちらの支持構造を採用するかは設計事項にすぎない。 (ウ) 「係合」,「小室」について乙18発明のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット自体の重みにより一定程度の力でカセット支持部材に接触するようになっており,かつ,ごみ貯蔵カセットがごみ貯蔵回転装置とともに回転することができるから,接触部分は係合関係にあるということができ,乙18発明には,本件発明1の「係合」が開示されている。仮に開示されていない場合でも,上記関係から,乙18発明には「係合」についての示唆がある。 本件発明1は,ごみ貯蔵カセット自体を対象とするから,ごみ貯蔵カセット支持部材側の構造(「小室」等)は重視されない。仮に,「小室」の開示・示唆が必要としても,乙18文献のFIG.2,6及び7等によると,壁に囲まれて形成された小さい空間(「小室」)が形成されているから,乙18発明には,「小室」の開示または示唆がある。 (エ) 本件発明1は,ごみ貯蔵カセット自体を対象とするものであるから,ごみ貯蔵カセット支持部材側の構造如何は,進歩性を肯定するための論拠にならない。また,本件発明1におけるごみ貯蔵カセットは,ご- 29 -み貯蔵カセット自体がこれを直接支持するごみ貯蔵カセット回転装置に対して回転可能に据付けられているわけではないから,係る点は阻害要因とならない。 (原告)ア被告の主張は,争う。 イ乙14文献に開示されている発明と本件発明1とは,上記(1)-2②(原告)ウ(ア)~(ウ)の点において相違する。 ウ乙14発明と乙18発明は,技術的課題及び作用・機能の共通性,組合せのための内容中の示唆が欠如し,また,組合せの阻害要因も存在するから,両者を組み合わせることはできない。 (ア) 違する。 ウ乙14発明と乙18発明は,技術的課題及び作用・機能の共通性,組合せのための内容中の示唆が欠如し,また,組合せの阻害要因も存在するから,両者を組み合わせることはできない。 (ア) 課題及び作用・機能の共通性がない。 ① 乙14発明の課題は,ひだ付きチューブ(ごみ貯蔵フィルム)を提供するための新型のカセットを提供することであり(明細書2頁3~4行目),乙18発明の課題は,機械的に動作する密閉機構を備え,また,使用者が足による操作によって密閉機構を操作することが可能な,廃棄物貯蔵装置を提供することであるから(明細書2頁3~8行目),両者の課題が共通していることはない。 ② 乙18文献では,ごみ貯蔵カセットを機械的に回転させるという「作用・機能」が開示されているのに対し(明細書2頁22~25行目等),乙14文献では,廃棄物を包んだひだ付チューブを捩ることの開示はあるものの,どのような方法で捩るかについては開示がなく,ごみ貯蔵カセットを回転させる「作用・機能」は開示されていない。乙14文献では,捩るための装置は乙14発明の範囲外であることが明記されている(明細書6頁16~18行目参照)。乙14文献では,楕円形のカセットが提案されており(明細書6頁26~29行目),カセットがこのような形状で,カセットとごみ貯蔵機器の大き- 30 -さ・形が一致しているとすれば,カセットをごみ貯蔵機器内で回転させることは不可能である。したがって,乙14発明と乙18発明には,「作用・機能の共通」はない。 (イ) 内容中の示唆がない。 乙14発明の内容中には,フィルムを捩ることの開示はあるが,フィルムを捩る具体的手段の開示はない。フィルムを捩ることが,必然的にカセットを回転させることにもならない。乙14の開示内容によれば,カセットを回転さ 内容中には,フィルムを捩ることの開示はあるが,フィルムを捩る具体的手段の開示はない。フィルムを捩ることが,必然的にカセットを回転させることにもならない。乙14の開示内容によれば,カセットを回転させることにつながらないことは,楕円形のカセットが想定されていることからも明らかである。「フィルムのねじりを器具によって実施してもよい」との開示があるからといって,カセット回転装置を適用することの示唆があるとはいえない。 (ウ) 組合せについて阻害要因がある。 乙14発明には,ごみ貯蔵機器から吊り下げるごみ貯蔵カセットが開示され(Fig.4),乙18発明には,ごみ貯蔵カセット回転装置の上に載せるごみ貯蔵カセットが開示されている(明細書2頁22~25行目,4頁33行目から5頁1行目等)。そして,何らかの物品を「吊り下げる」場合,物品をその上部でのみ支持することを意味するのであって,同時に,物品の最下部や底面を下方から支持する構造を備える必要はないから,乙14発明の「吊り下げ」と,乙18発明の「底面からの支持」は両立せず,両者の組合せについては阻害要因がある。また,仮に,乙14発明においてごみ貯蔵機器とカセットが「係合」しているとすれば,ごみ貯蔵袋を捩るという目的について,カセットの回転を想定することはできず,これを不可欠の要素とする乙18発明と組み合わせることはできない。 エ仮に,乙14発明と乙18発明を組み合わせたとしても,本件発明1の構成は開示されていないし,本件発明1の構成を示唆する記載もない。 - 31 -(ア) 相違点1について乙18文献には,次のとおり,「ごみ貯蔵機器の上部に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に載置され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセット」が開示されているが,「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に 18文献には,次のとおり,「ごみ貯蔵機器の上部に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に載置され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセット」が開示されているが,「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセット」は開示されていないから,相違点1を満たす構成は開示も示唆もされていない。 ① 「係合」とは,「2つの物が,互いにかみ合うことにより,またはその突出部と対応する凹部がひっかかることにより,連動したり,両者の相対的位置が固定されたりするような構成をとること」をいう。 そして,本件発明1の「特許請求の範囲」において,「係合」は,ごみ貯蔵カセットがごみ貯蔵カセット回転装置に「係合されて」据え付けられ(構成要件A(A)),あるいは,「突出する構成」において,ごみ貯蔵カセットがごみ貯蔵カセット回転装置と「係合すること」とされており,「係合」は,「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」であることが規定されている。本件明細書の記載(段落【0023】,【0026】)によると,「係合」は,「ごみ貯蔵カセットの支持・回転のため」とされ,そのためには,小さな回転抵抗を持つカセット回転装置上に,ごみ貯蔵カセットを「係合」,つまり,「連動したり,両者の相対的位置が固定されたりするような構成」で設置する必要があるものとされ,これが実現されて,「前記ごみ貯蔵機器は,使用者の把持部をもつ外側の回転可能な円板を備えている。前記回転可能な円板は前記カセットに係合し,前記カセットそれ自体,あるいは前記袋織りに触れる必要がなく,ほとんど苦もなく,前記カセットは手動でねじる又は回転させることができる。」(段落【0017】)という本件発明1の課題の解決が可能とされている。 - 32 -したがって 袋織りに触れる必要がなく,ほとんど苦もなく,前記カセットは手動でねじる又は回転させることができる。」(段落【0017】)という本件発明1の課題の解決が可能とされている。 - 32 -したがって,本件発明1における「係合」とは,a「2つの物が,互いにかみ合うことにより,またはその突出部と対応する凹部がひっかかることにより,連動したり,両者の相対的位置が固定されたりするような構成をとること」,b「ごみ貯蔵カセット回転装置とごみ貯蔵カセットとを接続する態様であって,これにより,ごみ貯蔵カセットの支持・回転が実現されること」の2点を具備する態様であると解される。 ② 公知文献の記載によると,乙14発明の図4は,ごみ貯蔵機器からカセットが吊り下げられる構成が開示されているのみであり,乙14発明においては,本件発明1における「係合」の上記aを具備しない。また,ごみ貯蔵カセットに係合する対象であるカセット回転装置が存在せず,本件発明1における「係合」の上記bも具備しない。したがって,乙14発明に開示されたごみ貯蔵カセットとごみ貯蔵容器の接続関係は,本件発明1にいう「係合」とはいえない。 乙19発明は,カセット32が本体の一部に載せられていることは把握可能であるが,「係合」の上記aは開示されておらず,ましてや,「係合」の上記bの開示はない。乙19の回転装置36は,ゴミの入ったフィルムをカセットから引き込むための装置であり,カセット自体を回転させるための装置ではないから,「係合」の上記bとは無関係である。 乙6発明は,カセット3が本体の一部に載せられていることは把握可能であるが,「係合」の上記aは開示されていない。乙6のカセットは回転しないから,「係合」の上記bの開示はない。 したがって,ごみ貯蔵機器の上部においてカセットが吊り下げ せられていることは把握可能であるが,「係合」の上記aは開示されていない。乙6のカセットは回転しないから,「係合」の上記bの開示はない。 したがって,ごみ貯蔵機器の上部においてカセットが吊り下げられる構成が開示されているにすぎず,互いにかみ合ったり,突出部と対応する凹部がひっかかるような構成でないうえに,カセットの- 33 -「係合」の相手方であるカセット回転装置が開示されないから,カセットの据え付けに「係合」を用いることが開示されているとはいえない。 ③ 乙18発明では,ごみ貯蔵機器の回転するクラッチ上にカセットが備え付けられ,クラッチの回転とともにカセットが回転する構成が備えられているが(明細書2頁22~25行目,4頁33行目~5頁1行目,図1等),カセットは,クラッチ上に載置され,両者間の摩擦によって,両者がともに回転するようになっているだけであり,両者が「係合」するためのつめ.. 等の突出部は備えられていない。乙18発明において,クラッチとカセットの「係合」の上記aは開示されていない。したがって,乙18発明のごみ貯蔵カセットには,回転装置と係合するための構成は備えられていない。 ④ そうすると,全ての公知文献において構成要件B-5「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合する」点については開示がないから,仮に乙14,乙18その他の公知文献を組み合わせることができたとしても,本件発明を構成できるものではない。 ⑤ また,乙18発明では,独立した空間としての「小室」は備えられていない。乙18発明のごみ貯蔵機器本体に備えられたフランジ117は,クラッチ170及びカセット130を支持するための構成として備えられているにすぎず,フランジによって,独立した空間である「小室」は構成されて 18発明のごみ貯蔵機器本体に備えられたフランジ117は,クラッチ170及びカセット130を支持するための構成として備えられているにすぎず,フランジによって,独立した空間である「小室」は構成されていない。 (イ) 相違点2について乙18文献には,相違点2に関する構成は開示も示唆もされていない。すなわち,乙18発明は,カセットの外側壁から突出する構成を備えておらず,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合し,カセットの回転を可- 34 -能にするような,カセットの外側壁から突出する構成は備えていないから,乙18文献には,「回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように,前記外側壁から突出する構成」は開示されていない。 (ウ) 相違点3について乙18文献には,次のとおり,相違点3に関する構成は開示も示唆もされていない。 ① 乙18文献には,「ごみ貯蔵カセット回転装置上に載置する」ごみ貯蔵カセットは開示されているが,「ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように」構成されたごみ貯蔵カセットは開示されていない。 ② 乙14文献の図4,乙19文献の図5,乙6文献の図1には,ごみ貯蔵機器からの吊下げ支持構造は開示されているが,ごみ貯蔵カセット回転装置からの吊下げ支持構造は開示されていない。 ③ 本件発明1においては,吊り下げ構造の技術的意義は,かかる構造をとることにより,カセットと回転装置の係合部分に,カセットの自重がかかることとなる結果,カセットと回転装置の係合がより確実なものとなるとともに,異なるタイプの容器に据え付けることができ,回転のための抵抗が少なくなるという技術的意義がある(段落【0020】)。被告の挙げる公知文献によっても,ごみ貯蔵カセット回転装置からカセットを吊下げるという意味での「吊下げ式カセット支持 ができ,回転のための抵抗が少なくなるという技術的意義がある(段落【0020】)。被告の挙げる公知文献によっても,ごみ貯蔵カセット回転装置からカセットを吊下げるという意味での「吊下げ式カセット支持構造」が一般的に知られていたとはいえないし,上記技術的意義からすると,吊下げ式カセット支持構造と底部支持式カセット支持構造とのいずれを採用するかが設計的事項であるともいえない。したがって,「吊り下げる」,「載せる」は単なる設計的事項ではなく,本件発明1の進歩性を否定する根拠とはならない。 - 35 -(1)-2③c 進歩性欠如(主引用例乙18)(被告)乙18文献を主引用例とした場合,本件発明には進歩性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条2項)がある。 ア乙18文献に開示されている発明と本件発明1とは,次の点において相違する。 (ア) 相違点1(構成要件B5)本件発明1では,ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するのが外側壁から突出する構成であるのに対し,乙18文献の発明では,ごみ貯蔵回転装置と係合するのがカセットの底面に設けられた構成である点(イ) 相違点2(構成要件C)本件発明1では,ごみ貯蔵カセットがごみ貯蔵カセット回転装置から吊下げられるように構成されているのに対し,乙18文献の発明では,ごみ貯蔵カセットはごみ貯蔵カセット回転装置の上に置かれる構成である点イ相違点の検討主引用例乙18と周知の技術を組み合わせることにより,当業者は,本件発明の構成要件B-5及び構成要件Cを容易に想到し得る。 (ア) 本件発明1と乙18文献の発明との相違は,カセットを回転装置から吊下げて支持するのか,それともカセットを回転装置上に置いて支持するのかの点であり,支持構造の相違 要件Cを容易に想到し得る。 (ア) 本件発明1と乙18文献の発明との相違は,カセットを回転装置から吊下げて支持するのか,それともカセットを回転装置上に置いて支持するのかの点であり,支持構造の相違は,作用効果的に見て,顕著な差となるものではない。すなわち,本件明細書には,a)回転可能な円板はカセットに係合し,カセット自体,あるいは袋織りに触れる必要がなく,ほとんど苦もなく,カセットを手動で捩る又は回転させることができる,b)カセットは,その外側円筒状壁周りの環状フランジから吊る- 36 -すように設計されており,その結果として,多数の異なるタイプの容器に据え付けることができ,回転するために低抵抗であるとの作用効果が記載されているが,当該作用効果は,カセットを回転装置によって支持することによって達成されるものであり,その支持形態が吊り下げ式(本件発明1)であるのか,カセット底部支持式(乙18文献)であるのかは,特に重要な意味をもつものではない。 (イ) 本件発明1の優先日の時点において,カセットの外方突出部を支持部材に係合させてカセットを支持部材から吊下げて支持する「吊下げ式」を開示する公知文献として,乙14文献の図4,乙19文献の図5,乙6文献の図1が,カセットの底部を支持部材上に載せて支持する「底部支持式」を開示している公知文献として,乙18文献の図1,乙20文献の図1,乙11文献の図1があるので,上記時点において,吊下げ式カセット支持構造および底部支持式カセット支持構造の両者が一般的に知られていたものであり,当業者にとって,どちらの支持構造を採用するかは設計事項である。 (ウ) したがって,当業者であれば,乙18文献の開示内容を根拠に,本件発明1に到達することは容易である。 (原告)ア被告の主張は,争う。 イ上 支持構造を採用するかは設計事項である。 (ウ) したがって,当業者であれば,乙18文献の開示内容を根拠に,本件発明1に到達することは容易である。 (原告)ア被告の主張は,争う。 イ上記(1)-2③b(原告)のとおり,乙14文献と乙18文献の組合せによっても本件発明1を容易に想到することができない以上,乙14文献,乙18文献の一方のみによって本件発明1を容易に想到することができないことは明白である。したがって,乙18文献のみを根拠として本件発明1の進歩性が否定されることもない。 (2) 本件発明2に係る特許権の侵害の有無(2)-1 本件発明2の間接侵害の成否- 37 -(原告)ア原告製品(イ号物件が据え付けられたもの)は,次のとおり,本件発明2の各構成要件を充足する。 (ア) 原告製品は,上部に小室を有しており,「ごみ貯蔵機器の上部に設けられた…小室」を具備するところ,当該小室にごみ貯蔵カセットを据え付けるものであり,当該小室は「ごみ貯蔵カセットを受け入れる小室」に該当するから,原告製品は,構成要件H(A)を充足する。 (イ) 原告製品は,小室内にごみ貯蔵カセット回転装置を有しており,回転可能であるから,「前記小室内に回転可能に据え付けられ…たごみ貯蔵カセット回転装置」を有する。また,当該ごみ貯蔵カセット回転装置は,ごみ貯蔵カセットに係合する構成となっており,小室内のごみ貯蔵カセットが回転することが可能となるから,当該ごみ貯蔵カセット回転装置は,「前記小室内で前記ごみ貯蔵カセットを回転させるために,…前記ごみ貯蔵カセットに係合するように形成されたごみ貯蔵カセット回転装置」に該当する。従って,原告製品は,構成要件I(A)を充足する。 (ウ) 原告製品は,ごみ貯蔵カセット回転装置において,上部の環状部分と カセットに係合するように形成されたごみ貯蔵カセット回転装置」に該当する。従って,原告製品は,構成要件I(A)を充足する。 (ウ) 原告製品は,ごみ貯蔵カセット回転装置において,上部の環状部分と,そこから下に延びる円筒状の壁,その壁の下部から内側へ突出するフランジ部分を備えているから,構成要件J(B-1),K(B-2),L(B-3)を充足する。 (エ) 原告製品にかかる「ごみ貯蔵機器」は,ごみ貯蔵カセットをその小室内に据え付けて使用され,これは「ごみ貯蔵カセット回転装置に係合・支持される」ことによるから,原告製品は構成要件M(C)を具備する。 (オ) 本件発明2の構成要件N(D-1),O(D-2),P(D-3),Q(E)は,それぞれ,本件発明1の構成要件B(B-1),C- 38 -(B-2),D(B-3),E(B-4)と実質的に同一であるところ,イ号物件は,本件発明1の構成要件B(B-1)~E(B-4)を充足するから,イ号物件は,本件発明2の構成要件N(D-1)~Q(E)を充足する。 (カ) イ号物件は,原告製品のごみ貯蔵カセット回転装置の内側へ突出するフランジ部分から吊り下げられるように構成されているから,構成要件R(F,G)を充足する。 イイ号物件は,本件発明2の生産に用いるものである。 イ号物件は,本件発明2の構成要件N(D-1)ないしQ(E)を具備するものであるところ,原告製品の購入者(ユーザ)は,イ号物件を原告製品に据え付けることによって,本件発明2に係る物品を生産するから,イ号物件は本件発明2の生産に用いるものである。 ウイ号物件は,本件発明2による課題の解決に不可欠なものである。 本件発明2により解決されるべき課題は「前記カセットの回転抵抗を最小にすること」であるところ(甲17,段落【0013】 である。 ウイ号物件は,本件発明2による課題の解決に不可欠なものである。 本件発明2により解決されるべき課題は「前記カセットの回転抵抗を最小にすること」であるところ(甲17,段落【0013】),本件発明2では,「回転可能な円板」を「カセットに係合」させ(段落【0017】),カセットを「その外側円筒状壁周りの環状フランジから吊すように設計」することにより,「回転するために低抵抗」という特性を実現しているから(段落【0020】),ごみ貯蔵カセット回転装置(円板)とカセットの係合及びその吊下げにより,課題が解決されているものであり,ごみ貯蔵カセットは,本件発明2において「発明による課題の解決に不可欠なもの」といえる。なお,「ごみ貯蔵カセット回転装置」が発明による課題の解決に不可欠なものであることは,「ごみ貯蔵カセット」が発明による課題の解決に不可欠なものであるという主張を排斥しない。 エ主観的態様(ア) 被告は,本件発明2が特許発明であることを,少なくとも本訴状の- 39 -送達により知った。 (イ) 被告は,イ号物件の販売当初及びその前段階から,イ号物件が原告製品の生産に用いられることを知りながら,イ号物件の輸入,譲渡の申入れ,譲渡を行った。そして,被告は,少なくとも本訴状の送達により,同時点において,原告製品(イ号物件が据え付けられたもの)が本件発明2の実施品であり,イ号物件が本件発明2の実施に用いられることを知った。 オ本件において,本件発明2にかかる完成品を最終的に組み立てるのは一般消費者であるイ号物件のユーザーであるが,完成品を組み立てる者が,「業として」かかる組立行為を行うものではないとしても,被告の間接侵害の成立は否定されない(特許法101条1号に関する裁判例(東京地裁昭和56年2月25日判決 ザーであるが,完成品を組み立てる者が,「業として」かかる組立行為を行うものではないとしても,被告の間接侵害の成立は否定されない(特許法101条1号に関する裁判例(東京地裁昭和56年2月25日判決・昭和50(ワ)9647)参照)。 (被告)ア原告の主張は争う。間接侵害は成立しない。 イ本件特許1及び2は,いずれも「ごみ貯蔵カセット」を「ごみ貯蔵カセット回転装置」に係合させて「ごみ貯蔵カセット回転装置」から吊り下げられるよう使用されることを必須の要素とし,そのための具体的な構成を開示したものである。したがって,かかる具体的な構成の記載(段落【0023】,【0026】)からすると,本件発明2に係る「発明による課題の解決に不可欠なもの」には,少なくとも「ごみ貯蔵カセット回転装置(より具体的には環状リムないし環状支持フランジ)」を含むことが明らかであり,間接侵害が成立するためには,被告が「ごみ貯蔵カセット回転装置(より具体的には環状リムないし環状支持フランジ)」を生産等することが必要であるが,被告はこれを生産等していないから,被告は,「発明による課題の解決に不可欠なもの」を生産等しておらず,間接侵害は成立しない。 - 40 -ウ本件においては,イ号物件の顧客は一般消費者であるところ,一般消費者はイ号物件を個人用又は家庭用に使用するにすぎず,「業として」ごみ貯蔵機器を使用する者ではない。したがって,本件特許2の直接侵害が成立しない以上,イ号物件の輸入販売等の行為が間接侵害を構成すると解すべきでない。 エ原告の主張する裁判例は,直接侵害が成立しない場合でも常に間接侵害が成立するとまで判示しているものではない。 (2)-2 消尽の成否(被告)仮に本件において,イ号物件が取り付けられるごみ貯蔵機器が本件特許2の実施品 侵害が成立しない場合でも常に間接侵害が成立するとまで判示しているものではない。 (2)-2 消尽の成否(被告)仮に本件において,イ号物件が取り付けられるごみ貯蔵機器が本件特許2の実施品に該当し,特許権者(原告)はごみ貯蔵機器を我が国において譲渡しているとするならば,本件特許2は消尽している。 (原告)被告の主張は争う。 (3) 本件意匠権の侵害の有無(3)-1 本件登録意匠の構成態様(原告)ア本件登録意匠の構成態様の要旨は,次のとおりである。 (ア) 基本的構成態様全体が,底部において接続された内側壁面と外側壁面からなる,正面視横長略長方形状,上面視リング形状の略バームクーヘン形状の容器であり,その高さを外周径の略1/2とし,上面のリング形状の幅を半径の略1/3とする構成態様である。 (イ) 具体的構成態様(a) 容器の上面部に,外側壁面との間に隙間を設けて,略ドーナツ板状(図面では半截状態で表現)の延出部を形成している- 41 -(b) 延出部が,内側壁面の内側から半径方向の外方に向けて略庇状(断面視倒「L」字状)に形成されている(c) 外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している(d) 前記のリブの直下に,円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成しているイ本件登録意匠における延出部は「完全リング形状」と解される。具体的構成態様(a)では,延出部は半截状態で図示されているが,これは,本件意匠出願が第一国出願の欧州共同体意匠出願(意匠図面)を基礎として優先権主張をして日本に出願され,意匠登録を受けたことによる。 (ア) 欧州共同体登録意匠① 本件の創作者の意図は,延出部を完全なリング状とすることであったが,限られた図面において,外観写真 て優先権主張をして日本に出願され,意匠登録を受けたことによる。 (ア) 欧州共同体登録意匠① 本件の創作者の意図は,延出部を完全なリング状とすることであったが,限られた図面において,外観写真,外観図面の一部を切欠いて,切欠け図面の手法で物品の内部構造と外部構造の両方を開示する慣用的表現手法により,意匠出願図面では半裁状態としたものである。 ② 欧州共同体意匠登録では,1意匠につき7図以内の提出となるが,自由な表現が認められており,1図でも自らの創作が開示されていれば意匠登録を受けることができる。欧州諸国等では,一部切断図面によって意匠内部の形態を表現するのが一般的である。 ③ 欧州共同体意匠出願では,表現物や見本に関する説明的記述は義務付けられておらず,記述されても,欧州共同体登録意匠の保護範囲の認定の際には考慮されないから(甲20~22),延出部を便宜上半截状態とした旨の記載がなくても,当該意匠が「当該ドーナツ形凹陥部の形状を特徴とした」ことにはならない。 (イ) 我が国における登録意匠- 42 -① 我が国の意匠法24条1項についても,工業所有権にかかるパリ条約4条に定められた優先権主張における基礎出願と当該出願の同一性の問題のように,国際条約により要求されるべき別基準が存在する場合は,これを斟酌することが許される。そして,OHIMの法令によれば,完全リング形状の意匠と認定される以上,我が国でも同形状の創作が登録されていると解すべきであるし,優先権主張が認められているから,本件登録意匠の範囲は,優先権主張の基礎出願と同一の創作に係る意匠と定められるべきである。 ② 本件登録意匠願書の物品説明欄記載の使用方法による場合,半截リング形状だと,ビニール製チューブが不均衡に引き出され,上記使用方法の実現が困難であるの の創作に係る意匠と定められるべきである。 ② 本件登録意匠願書の物品説明欄記載の使用方法による場合,半截リング形状だと,ビニール製チューブが不均衡に引き出され,上記使用方法の実現が困難であるのに対し,完全リング形状だと,均一に引き出され,上記使用方法が実現できることからすると,本件登録意匠は「完全リング形状」で登録されていると解釈されるべきである。 (被告)ア原告の主張は,争う。 イ本件登録意匠の構成態様の要旨は,次のとおりである。 (ア) 基本的構成態様全体が,内側壁面と,外側壁面と,内外側壁面の底部を接続する底壁と,内側壁面の頂部から半径方向外方に向けて張り出している半截リング形状の延出部とからなる,正面視横長略長方形状,上面視リング形状の略バームクーヘン形状の容器であり,その高さを外周径の略1/2とし,上面のリング形状の幅を半径の略1/3とする構成態様である。 (イ) 具体的構成態様(a) 半截リング形状延出部は,内側壁面と外側壁面との間に形成されるドーナツ形凹陥部の円周方向の半分の領域(約180度)だけを覆う円周方向長さを有している- 43 -(b) 半截リング形状延出部の円周方向一方端部はリング幅全体に亘る半径方向長さの端面によって終端となり,その円周方向他方端部はリング幅を半径方向内側に向かって徐々に細くした先細形状としている(c) 半截リング形状延出部の半径方向外縁と外側壁面との間に隙間を設けている(d) 半截リング形状延出部が,内側壁面の内側から半径方向外方に向けて略庇状(断面視倒「L」字状)に形成されている(e) 外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している(f) 前記リブの真下に,円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成している(g) 略 状)に形成されている(e) 外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している(f) 前記リブの真下に,円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成している(g) 略鍔状の突出部の円周方向の一箇所には,突出部を取り除いた欠け部が設けられている(h) 外側壁面には,その底端から前記突出部の真下にまで急峻に立ち上がった裾広がりの山状の段差凹部が円周方向等間隔に6個設けられているウ本件登録意匠における延出部は「半截リング形状」と解される。 (ア) 欧州共同体登録意匠① 欧州共同体意匠出願における図面の作成要式や提出要件として,意匠の内部の開示を義務付ける法律上の根拠はない。欧州共同体意匠制度においても,願書の添付図面記載の意匠に基づいて審査が行われ,延出部を半截リング形状とした意匠を出願し登録査定を得た場合は,かかる意匠として登録される。 ② 欧州共同体登録意匠の権利範囲は,登録意匠の登録情報(乙1)等の客観的資料に基づいて確定されるところ,本件欧州共同体登録意匠には,延出部が完全リング形状であることを窺わせる記載はない。出- 44 -願の際の図面(斜視図,正面図及び底面図)では,斜視図には延出部が半截リング形状であることが示され,正面図においても上部に現れる延出部が中央で途切れて段差になっていることが示されている。 ③ 本件登録意匠の優先権主張の基礎とされる欧州共同体意匠登録番号000095468-0002の登録情報を参照しても,当該ドーナツ形凹陥部の形状を特徴として登録されている。 ④ 原告が,延出部が完全リング形状の意匠登録を意図していたのであれば,提出した3図面以外に,かかる形状を記載した図面を追加することで足りたが,かかる図面の提出はない。 (イ) 我が国における登録意匠 告が,延出部が完全リング形状の意匠登録を意図していたのであれば,提出した3図面以外に,かかる形状を記載した図面を追加することで足りたが,かかる図面の提出はない。 (イ) 我が国における登録意匠① 本件登録意匠の範囲は,日本国特許庁に提出された願書及び添付した図面等に記載された意匠に基づいて定められるところ(意匠法24条1項),原告は,延出部を半截リング形状にした6図面(斜視図,正面図,平面図,底面図,背面図及び右側面図)を日本特許庁に提出し登録を得た以上,延出部を完全リング形状と解する余地はない。我が国で意匠出願をした際に出願日より遡って「優先権を主張」するための要件は,我が国の登録意匠の範囲の解釈に影響を与えない。 ② 本件登録意匠を我が国において登録するに際し,内部構造を示す必要はなく,これを示したことを窺わせる記載もない。本件登録意匠の半截リング形状の延出部(切欠け部)は,内部構造を示すための表現ではない。 ③ 本件登録意匠の願書の物品説明欄に鑑みても「完全リング形状」との記載はない。袋の取り出し方に工夫を要する等も,願書及び図面に現された登録意匠の範囲に影響を与えるものではない。 (3)-2 イ号物件の構成態様(原告)- 45 -ア基本的構成態様全体が,底部において接続された内側壁面と外側壁面からなる,正面視横長略長方形状,上面視リング形状の略バームクーヘン形状の容器であり,その高さを外周径の略1/2とし,上面のリング形状の幅を半径の略1/3とする構成態様である。 イ具体的構成態様(a) 容器の上面部に,外側壁面との間に隙間を設けて,略ドーナツ板状の延出部を形成し,上面に小孔を環状の略等間隔に穿っている(b) 延出部が,内側壁面の内側から半径方向の外方に向けて略庇状(断面視倒「L」字状)に に,外側壁面との間に隙間を設けて,略ドーナツ板状の延出部を形成し,上面に小孔を環状の略等間隔に穿っている(b) 延出部が,内側壁面の内側から半径方向の外方に向けて略庇状(断面視倒「L」字状)に形成されている(c) 外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している(d) 前記のリブの直下に,円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成している(被告)ア基本的構成態様全体が,内側壁面と,外側壁面と,内外側壁面の底部を接続する底壁と,内側壁面の頂部から半径方向外方に向けて張り出している完全リング形状の延出部とからなる,正面視横長略長方形状,上面視リング形状の略バームクーヘン形状の容器であり,その高さを外周径の略1/2とし,上面のリング形状の幅を半径の略1/3とする構成態様である。 イ具体的構成態様(a) 完全リング形状延出部は,内側壁面と外側壁面との間に形成されるドーナツ形凹陥部の円周方向の全領域(約360度)を覆う円周方向長さを有している(b) 完全リング形状延出部は,同じリング幅で途切れることなく円周全- 46 -体に亘って延びている(c) 完全リング形状延出部の半径方向外縁と外側壁面との間に隙間を設けている(d) 完全リング形状延出部が,内側壁面の内側から半径方向外方に向けて略庇状に形成されている(e) 外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している(f) 前記リブの真下に,円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成している(g) 略鍔状の突出部の円周方向の等間隔の4箇所には,突出部を取り除いた欠け部が設けられている(h) 外側壁面には,その底端から前記突出部の真下に至るまで,段差や凹部のない滑らかな円筒面である(i) 完全リング の円周方向の等間隔の4箇所には,突出部を取り除いた欠け部が設けられている(h) 外側壁面には,その底端から前記突出部の真下に至るまで,段差や凹部のない滑らかな円筒面である(i) 完全リング形状延出部には,円周方向に沿ってほぼ等間隔に10個の丸穴が形成されている(3)-3 本件登録意匠とイ号物件の意匠の類否(原告)ア本件登録意匠の要部本件登録意匠の要部は,(1)-1(原告)アの基本的構成態様,具体的態様 (a)~ (d),同(a)ないし(d)が相俟って発揮される意匠的効果である。 (ア) 延出部及びその形状は本件登録意匠の要部を構成しない。 ① 本件登録意匠の延出部の略ドーナツ板状の形態自体は,「汚物入れ用カセット」としての格別の機能や意匠的効果を発揮しない。 ② 需要者の視点から考えると,本件登録意匠に係る物品の延出部は,使用時においては,ビニール製チューブによって覆われ,需要者がこ- 47 -れを目にするのは,取付けの直前から取付けまで,チューブの切取時などの短時間である。物品の購入時においても,延出部は,需要者の目に触れない。 (イ) 「公知意匠」及び「他社製品」① ありふれた形状であっても,当該意匠の支配的部分を占め,意匠的まとまりを形成して,看者の注意を引くものであれば,意匠の要部となり得る。種々の形状が公知であっても,それら公知の形状を新規に組み合わせたものであれば,組合せ全体として,意匠の要部となり得る。本件意匠では,略バームクーヘン形状,延出部の縁と対向する外側壁との間の隙間,外側壁面の外周面の上方のリブ及び鍔状の突出部の態様が,それぞれ公知意匠であるとしても,各要素が相俟って発揮される意匠的効果があるから,それらの組合せをもって本件登録意匠の要部と認定することができる。 面の外周面の上方のリブ及び鍔状の突出部の態様が,それぞれ公知意匠であるとしても,各要素が相俟って発揮される意匠的効果があるから,それらの組合せをもって本件登録意匠の要部と認定することができる。 ② 略バームクーヘン形状や,延出部の縁と対向する壁との間の隙間,リブ及び鍔状の突出部の態様は,そもそも本件登録意匠の優先日以前の公知意匠(乙5~13)に現れていない(略バームクーヘン形状が本体から分離可能か明らかでなかったり,上面が水平でない等)。 ③ 「他社製品」の意匠について,被告の主張する特徴の公知性は認定できない。 イ本件登録意匠とイ号物件意匠の対比本件登録意匠とイ号物件の意匠は,その基本的構成態様及び具体的態様(a)~(d)において共通しており,共通点は,本件登録意匠の要部についてのものであるから,両意匠は,類似する。 ウ本件登録意匠とイ号物件の差異点は,類否判断への影響が微弱である。 (ア) 差異点A延出部の形状が,本件登録意匠が半截リング形状,イ号物件が完全リ- 48 -ング形状であるとしても,延出部は通常の使用状態において需要者に見えない部分であるから,類否判断に大きく影響しない。 (イ) 差異点B本件登録意匠の延出部の終端の先細形状は,外観と内部構造を示すために,外観図面の一部を切欠いて表現した慣用的表現であるから,類否判断に大きく影響しない。 (ウ) 差異点Cイ号物件意匠の丸穴は,格段の特異性はなく,延出部も使用時には視認されないから,丸穴は,類否判断に大きく影響しない。 (エ) 差異点D本件登録意匠の裾広がりの山状の段差凹部は,段差が極浅いもので,幅の狭い,ありふれた「ラッパ」形状のものであるから,段差や凹部等のない滑らかな円筒面であるイ号物件意匠との類否 (エ) 差異点D本件登録意匠の裾広がりの山状の段差凹部は,段差が極浅いもので,幅の狭い,ありふれた「ラッパ」形状のものであるから,段差や凹部等のない滑らかな円筒面であるイ号物件意匠との類否判断に大きく影響しない。 (オ) 差異点E本件登録意匠とイ号物件意匠に共通する鍔状突出部の一部の切欠き部について,切欠き部が1箇所か4箇所かは,共通点に包摂される程度の僅かな差異である。 (被告)ア本件登録意匠の要部本件登録意匠の要部は,(1)-1(被告)イの基本的構成態様のうちの「半截リング形状の延出部」を備えた点,具体的構成態様(a),(b),(g),(h)である。 (ア) 需用者の視点からすると,需用者は,カセットを汚物入れ本体に取り付ける際,延出部と外側壁面の間隙からフィルムを引き出し,延出部を覆うようにフィルムを内側に導入する作業を行う際は,需要者は,間- 49 -近にカセットの延出部全体を観察する。 (イ) 他社製品が備える意匠から検討すると,本件登録意匠の優先権主張日以前から,全体的形状が略バームクーヘン形状の他社製品が広く市場に出回っており,汚物入れ用カセットの全体的形状が略バームクーヘン形状であることは一般的である。 (ウ) 本件登録意匠の優先権主張日以前の公知意匠(乙5~14)から検討すると,本件登録意匠のうち,全体が,内側壁面と,外側壁面と,内外側壁面の底部を接続する底壁と,延出部とから成る,正面視横長略長方形状,上面視リング形状の略バームクーヘン形状をする形状自体は,ありふれた形状である。容器の高さを外周径の略1/2とし,リング形状の幅は半径の略1/3とする形状も,寸法的に際だった特徴ではない。延出部が,内側壁面の内側から半径方向外方に向けて略庇状に形成されている点及び延出部の半径方向外縁と外 周径の略1/2とし,リング形状の幅は半径の略1/3とする形状も,寸法的に際だった特徴ではない。延出部が,内側壁面の内側から半径方向外方に向けて略庇状に形成されている点及び延出部の半径方向外縁と外側壁面との間に隙間を設けている点は,乙13,14に,延出部が略庇状に形成されている点及び延出部の縁と対向する壁との間に隙間を設けている点は,乙7~9,11,12にそれぞれ見られる。円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成している点は,乙8にほぼ見られる。 イ本件登録意匠とイ号物件の対比(ア) 本件登録意匠とイ号物件意匠の基本的構成態様における差異点は,内側壁面の頂部から半径方向外方に向けて張り出している延出部の形状が,本件登録意匠は半截リング形状であるのに対し,イ号物件意匠は完全リング形状である点である。 (イ) 本件登録意匠とイ号物件意匠の具体的構成態様における差異点は,次のとおりである。 ① 本件登録意匠の半截リング形状延出部は,内側壁面と外側壁面との間に形成されるドーナツ形状凹陥部の円周方向半分の領域(約180- 50 -度)を覆う円周方向長さを有し,その一方端部はリング幅全体に亘る半径方向長さの端面によって終端となり,他方端部はリング幅を半径方向内側に向かって徐々に細くした先細形状としているのに対し,イ号物件意匠の完全リング形状延出部は,内側壁面と外側壁面との間に形成されるドーナツ形凹陥部の円周方向全領域(360度)を覆う円周方向長さを有し,同じリング幅で円周全体にわたって延びている。 ② イ号物件意匠の完全リング形状延出部には,円周方向に沿ってほぼ等間隔に10個の丸穴が形成されているのに対し,本件登録意匠の半截リング形状延出部には丸穴はない。 ③ 本件登録意匠の外側壁面には,その底端から前記突出部の真下にまで急峻に立ち 周方向に沿ってほぼ等間隔に10個の丸穴が形成されているのに対し,本件登録意匠の半截リング形状延出部には丸穴はない。 ③ 本件登録意匠の外側壁面には,その底端から前記突出部の真下にまで急峻に立ち上がった裾広がりの山状の段差凹部が円周方向等間隔に6個設けられているのに対し,イ号物件意匠の外側壁面は,段差や凹部のない滑らかな円筒面である。 ④ 本件登録意匠の略鍔状の突出部には,円周方向の1箇所に突出部を取り除いた欠け部が設けられているのに対し,イ号物件意匠の突出部には,円周方向等間隔に4箇所に欠け部が設けられている。 (ウ) 差異点の評価本件登録意匠とイ号物件意匠は,要部において相違し,類似しない。 ① 基本的構成態様の差異点については,汚物入れ用カセットの基本的な形状を構成する壁要素の延出部において,本件登録意匠では半截リング形状であるため,ドーナツ形凹陥部の円周方向の半分の領域の上面が露出しているのに対し,イ号物件意匠では完全リング形状であるため,ドーナツ形凹陥部の円周方向の全領域の上面が閉鎖されている。カセット上面の延出部は,看者の注意を惹きやすい部分であり,両意匠の延出部は,異なった美感を生じさせる。 ② 具体的構成態様に関する差異点については,(イ)①の半截リング形- 51 -状延出部の終端の形状については,リング幅がリングの中心方向に向かって少しずつ細くなり,リング幅の半分弱の幅まで細くなった長さの端面により終端となる点に独創性がある。(イ)②の延出部の丸穴の有無・配置については,上部からイ号物件を視認すると,上面部の丸穴の存在に注意を惹かれる。(イ)③の外側壁面の凹部については,本件登録意匠においては,6個の凹部が,高さがカセット高さのほぼ2/3,裾の幅がカセット外側壁面の直径のほぼ15%を占める形状である。 穴の存在に注意を惹かれる。(イ)③の外側壁面の凹部については,本件登録意匠においては,6個の凹部が,高さがカセット高さのほぼ2/3,裾の幅がカセット外側壁面の直径のほぼ15%を占める形状である。(イ)④の鍔状突出部の欠落部分については,本件登録意匠では,一部だけが欠落し,イ号物件では,4箇所(円周の約22%)に分かれて鍔状の突出部が存在するとの異なる各印象を与える。 (4) 契約に基づく差止請求の可否(原告)ア(ア) 前提となる事実(9)のとおり,原告と旧アップリカは,本件販売代理契約において,いかなる理由による本件販売代理契約の終了時にも,旧アップリカは,原告の知的財産権の使用を停止することを規定していた。 (イ) 本件販売代理契約上の地位は,平成20年4月1日,旧アップリカから被告に対する事業譲渡に伴い,旧アップリカから被告に移転した。 (ウ) 前提となる事実(9)のとおり,原告は,平成20年11月27日以降,本件販売代理契約を更新しないことを通知した。 (エ) 被告は,契約終了から9か月後に,原告の知的財産権である本件登録意匠を使用したイ号物件の販売を開始した。 (オ) 被告によるイ号物件の輸入,販売,販売の申し出等の行為は,イ号物件の知的財産権を使用していることは明らかであるから,原告は,本件販売代理契約12.7項,14.4項に基づき,被告によるイ号物件販売行為等の中止を求める権利を有する(民法414条3項)。 - 52 -イ本件販売代理契約及び平成10年3月7日付け契約(乙15)では,文言上,契約の当事者は,原告とNewellとされている。しかしながら,本件販売代理契約の解釈について準拠法となる英国法(法の適用に関する通則法第7条,本件販売代理契約20条)においては,契約書等の文書の趣 約の当事者は,原告とNewellとされている。しかしながら,本件販売代理契約の解釈について準拠法となる英国法(法の適用に関する通則法第7条,本件販売代理契約20条)においては,契約書等の文書の趣旨を解釈する際,当該文書の記載内容が,関連する背景的な事実経緯と合致しないような場合には,当事者の合理的意思に反する当該文書の文言どおりの解釈ではなく,背景的な事実経緯に鑑みた当事者の合理的意思に沿った解釈をすべきとされているところ,これに従えば,本件販売代理契約は,文書上,Newellが契約上の地位の移転を受けたとされているが,以下の背景的な事実経緯からすれば,当事者らの意思は「本件販売代理契約上の地位は被告に移転されたものであり,本件販売代理契約は原告被告間において有効な契約である」というものとして合致しているから,本件販売代理契約の解釈も,かかる当事者の意思表示に従って行われるべきである。なお,仮に,日本法が準拠法となるとしても,被告が義務を免れるという主張は相当ではない。 (ア) Newellは,平成10年3月7日付け契約(乙15)の締結,及び被告の設立を行った後,原告に対して,本件販売代理契約に基づく代理店としての事業活動を行うための会社として,被告を設立したことを通知した。また,実際も,被告は,商品を発注し,その納入を受けるとともに,その代金の支払義務者となる等,本件販売代理契約に基づく販売代理店としての事業活動を行っていた。 (イ) 被告は,平成10年3月7日付けの契約書(乙15)締結時において未設立であり,契約主体となりえなかったが,その後,原告と被告間のやり取りにおいては,原告,被告及びNewellのいずれもが,被告が本件販売代理契約の当事者たる販売代理店であるという意思であり,契約書上も代理店を被告とするような修正を が,その後,原告と被告間のやり取りにおいては,原告,被告及びNewellのいずれもが,被告が本件販売代理契約の当事者たる販売代理店であるという意思であり,契約書上も代理店を被告とするような修正を行うことを前- 53 -提とした交渉が行われた。 (ウ) 被告は,本件に関する仮処分申立事件(平成21年(ヨ)第22057号事件)において,被告が本件販売代理契約上の地位の承継を受けたとの答弁を行った。 ウ本件販売代理契約に基づく債務の内容について本件販売代理契約1.1項の,「IntellectualPropertyRights」には,登録されていない知的財産権や登録することができない知的財産権も含まれることが明らかであるから,原告製カセットのデザインもその範囲に含まれる。したがって,被告によるイ号物件の輸入,販売,販売の申し出等の行為は「IntellectualPropertyRights」の使用に該当する。 ( ア) 本件販売代理契約1.1項のうち,“ … alloranyotherintellectualpropertyrightswhetherornotregisteredorcapableofregistration …”は,「登録されているか否か,または登録できるか否かを問わず」と解される。仮に,notがregisteredのみにかかるとしたとしても,「登録されているか否かを問わず,もしくは,登録可能なもの」との意味にしかならない。契約者の通常の意思から考えても,被告の主張するような解釈はありえない。 (イ) 当事者の意思解釈からしても,契約書上に明示して知的財産の使用の継続を中止すべきことを定めたのは,登録された知的財産権や登録可能な知的財産権以外の知的財産についても,そ 解釈はありえない。 (イ) 当事者の意思解釈からしても,契約書上に明示して知的財産の使用の継続を中止すべきことを定めたのは,登録された知的財産権や登録可能な知的財産権以外の知的財産についても,その使用を中止すべきとする当事者の意思があったからに他ならない。 (被告)ア原告の主張は争う。 イ被告は,本件販売代理店契約の当事者ではない。すなわち,同契約(甲15)は,平成20年3月7日付け契約(乙15)により,米国法人Newellが日本における子会社として設立した被告を通じて旧アップリカ- 54 -の事業を取得する取引が完遂した平成20年4月1日をもって契約上の地位が旧アップリカからNewellに移転したから,被告は,契約当事者ではなく,原告に対して契約上の義務を負うものではない。なお,実務的なやりとりは,契約当事者間でなくても通常なされる行為である。原告とのやり取りにおいても,原告は,契約の当事者はNewellであるとの認識であった。また,原告は,平成10年3月7日付け契約(乙15)締結の際は,信用力の観点から,旧アップリカの支払債務を保証する能力があるNewellと契約を締結したものであり,当時,未設立であった被告が契約の成立のために必要な意思表示を行うことはない。 ウ仮に,契約当事者論を措いたとしても,被告の本件販売代理店契約違反の事実はない。本件においては,本件販売代理店契約1.1所定の知的財産権は,(1)登録された知的財産権,または(2)登録が可能な知的財産権にすぎず,原告商品のデザインは既に公知であり,意匠登録を受けることができないから,いずれの知的財産権に該当せず,原告がかろうじて主張しうる知的財産権である本件登録意匠等についても,上記のとおり,イ号物件はこれを侵害するものではない。したがって,実質的にみて ことができないから,いずれの知的財産権に該当せず,原告がかろうじて主張しうる知的財産権である本件登録意匠等についても,上記のとおり,イ号物件はこれを侵害するものではない。したがって,実質的にみても,本件販売代理店契約違反は存しない。 (5) 差止・廃棄請求の可否(原告)被告は,イ号物件を製造販売することにより,原告の本件特許権,本件意匠権を侵害している。 (被告)原告の主張は,争う。 (6) 故意過失の有無(原告)被告は,原告の本件特許権,本件意匠権を侵害するイ号物件を製造販売す- 55 -ることについて,故意又は過失がある。 (被告)原告の主張は,争う。 (7) 損害(7)-1 損害額の算定(特許法102条2項,意匠法39条2項)(原告)原告は,被告の特許権侵害,意匠権侵害により,次のとおりの損害を被った(特許法102条2項,意匠法39条2項)。 ア本件には,特許法102条2項が適用される。 本件において,原告は,原告製カセット及び原告製本体を英国で製造し,訴外コンビと総代理店契約を締結し,同社が原告製カセット及び原告製本体を日本に輸入販売している。したがって,原告は,日本国内において特許権を実施しているものではないが,以下の理由により,本件では特許法102条2項が適用される。 (ア) 特許法102条2項適用に特許権者の実施は要件とされない。 ① 特許法102条2項は,損害額についての推定規定であり,損害(逸失利益)の発生についての推定規定ではないというのが通説判例である。したがって,同項の適否にあたり論じられるべきは,「逸失利益の発生の有無」であって「特許権者の実施の有無」ではない。要するに,「侵害者が一つの侵害製品を販売すれば,特許権者が一つの製品の販売機会を したがって,同項の適否にあたり論じられるべきは,「逸失利益の発生の有無」であって「特許権者の実施の有無」ではない。要するに,「侵害者が一つの侵害製品を販売すれば,特許権者が一つの製品の販売機会を喪失することになる」という因果関係があることに集約される。原告製カセットと被告のイ号物件は,いずれも原告製本体のみに適合し,日本市場において実質的に競合しているから,被告がイ号物件を1個販売すると,原告は原告製カセットを1個販売できなくなり,その分の利益を得られなくなるという損害を被っている。そして,かかる損害については,不法行為に- 56 -より発生した損害を妥当かつ公平に当該不法行為者に負担させるという不法行為の損害賠償制度(民法709条)の趣旨からも,被告が負担すべきである。 ② 102条2項には,損害賠償請求の行使主体につき,「特許権者又は専用実施権者」と規定するのみであり,その適用条件として「特許権者の実施」については明示していない。したがって,「特許権者の実施」の存否にかかわらず,「逸失利益の発生」が認められる場合に,同項を適用することは妨げられるべきではないと解するのが正しい法解釈である。 ③ 裁判例の中にも,市場における競合及びシェアを奪い合う関係があることを根拠に特許法102条2項の適用を認めたもの(東京地判平成21年8月27日判決)があり,また,侵害者が一つの製品を販売したときに,特許権者が一つの製品の販売機会を喪失するという逸失利益がないことから,同条項の適用を認めなかったもの(大阪地裁昭和56年3月27日判決,東京高裁平成11年6月15日判決)がある。 ④ 仮に,特許法102条2項ではなく同条3項が適用され,実施料率が低廉になると,侵害のペナルティとして低きに失し,違法な行為を助長する状況になる。 (イ 裁平成11年6月15日判決)がある。 ④ 仮に,特許法102条2項ではなく同条3項が適用され,実施料率が低廉になると,侵害のペナルティとして低きに失し,違法な行為を助長する状況になる。 (イ) 原告は本件発明1を実施していると同視できる。 ① 仮に特許権者自らの実施を同項適用の前提としたとしても,前記のとおり,原告は,原告製カセット及び原告製本体を英国で製造し,訴外コンビと総代理店契約を締結し,同社が原告製カセット及び原告製本体を日本に輸入販売しており,実質的には,原告が,訴外コンビを手足として日本国内で本件特許を実施しており,本件発明1の実施者と同視できる。 - 57 -② 上記のことは,原告による日本における訴外コンビの販売促進計画の承認及び販売促進活動への資金援助,原告がデザインした原告の名称をすべての原告製カセット及び原告製本体のパッケージに付し,日本国内での知的財産権を取得して,これを権利行使していることからも裏付けられる(甲52)。 イ損害額の算定(ア) 前提となる事実(11)のとおり,被告は,平成21年11月6日から平成23年5月まで,イ号物件を合計40万6602個販売しており,年間の販売個数は25万9074個となるから,平成21年9月から平成23年7月7日までの販売個数は47万9842個(=40万6602個+25万9074個×(5/30+2+1+7/31)/12)となる。 (イ) イ号物件1個あたりの販売利益額は334円(被告が反訴状において主張した額)であるから,前提となる事実(11)の各時期に発生した限界利益は,各時期の販売数量×3×334円で算出され,各時期の各末日の翌日には,当該限界利益に対する遅延損害金が発生する。 そうすると,平成21年9月から平成23年7月7日までに換算した被告の限 界利益は,各時期の販売数量×3×334円で算出され,各時期の各末日の翌日には,当該限界利益に対する遅延損害金が発生する。 そうすると,平成21年9月から平成23年7月7日までに換算した被告の限界利益額は,1億6026万7228円(=334円×47万9842個)であり,このうち,本件意匠権侵害行為に基づく平成21年9月から同年11月5日までの限界利益額は1562万3538円(=1億6026万7228円×(1+1+5/30)/(4+12+6+7/31)であり,本件特許権及び本件意匠権侵害に基づく同年11月6日から平成23年7月7日までの被告の限界利益額は1億4464万3690円(=1億6026万7228円-1562万3538円)である。 ウ被告の主張に対する反論- 58 -(ア) 原告がFOB引渡条件で原告製カセットを訴外コンビに引き渡していることは,被告の推測にすぎない。仮にそうだとしても,FOB,DDU,DDPといった製品の引渡条件という些細な取引条件により,販売元の特許実施の有無が定まり,特許法102条2項の適否が左右され,損害額が変わるという主張は,非本質的である。 (イ) そもそも逸失利益の発生は,被告の特許侵害との関係で原告に逸失利益が存在するかどうかという議論であり,特許侵害品ではない被告新製品・他社競合品の販売状況とは論理的に関係がない。被告の新製品である「におわなくてポイ消臭タイプ」のカセットは,原告製本体に適合するものではないから,原告が観念する「原告製本体に適用されるカセット」という市場とも無関係である。他社競合品も同様である。仮に新製品の市場が原告が観念する市場と関係するとしても,平成21年7月ころにイ号物件の販売が開始されてから,被告の新製品の販売が開始された平成22年7月ころまでは,新製品が存 競合品も同様である。仮に新製品の市場が原告が観念する市場と関係するとしても,平成21年7月ころにイ号物件の販売が開始されてから,被告の新製品の販売が開始された平成22年7月ころまでは,新製品が存在しないから,新製品の販売の影響は観念できない。 (ウ) 旧アップリカ及び原告間の契約には,最低購入量に係る購入義務規定は存在するが,当該義務不履行に対する制裁は契約解除のみであって(9.2条),金銭的補償をする条項は存在しない。 (被告)ア原告の法的主張は,いずれも争う。なお,原告の本件意匠権は侵害していないことが明らかであるから,損害論を論じる必要はない。 イ特許法102条2項の不適用(ア) 特許法102条2項は,不法行為の一般成立要件のうち侵害行為と損害との因果関係及び損害の額を推定する規定であり,損害の発生自体を推定するものではないから,同条項の適用が認められるためには,特許権者が損害の発生を立証すること,具体的には,特許権者が自ら特許- 59 -を実施していることを立証することが必要と解されている。また,特許発明の「実施」とは,同法2条3項各号所定の行為を意味し,属地主義の見地から,日本国内における同項所定の行為を意味すると解されている。したがって,特許法102条2項が本件に適用されるためには,原告自身が,日本国内において本件発明1の「実施」(特許法2条3項)をしている必要がある。 本件においては,以下に述べるとおり,原告は,原告製カセットを含む原告製品について日本国内において何らの事業を行っておらず,日本国内において本件発明1の実施をしていないから,特許法102条2項の適用は認められない。 ① 原告は,旧アップリカとの取引の際,日本において原告製カセットを製造していない。 ② 旧アップリカと原告間の引渡条 本件発明1の実施をしていないから,特許法102条2項の適用は認められない。 ① 原告は,旧アップリカとの取引の際,日本において原告製カセットを製造していない。 ② 旧アップリカと原告間の引渡条件は,FOB(甲15,乙43)であり,原告は,英国における輸出許可の取得や通関手続きの履践,船積港(英国)の本船上で旧アップリカに対して原告製カセットを引渡すだけであり,日本における輸入に関与していない。原告と訴外コンビ間の引渡条件は不明であるが,基本的には変更されていないと考えられるから,原告は,原告製カセットの輸入に関与していない。 ③ 原告は,訴外コンビに対して,日本における原告製品の販売・マーケティング活動を委ねているから,原告は,日本において原告製カセットを含む原告製品の販売及びマーケティングを行っていない。 (イ) 特許法102条2項が規定するような逸失利益型の損害が発生したというためには,前提として,特許権者が我が国において特許発明の実施等の事業に基づく独占的利益を享受していた事実状態が特許権侵害により損なわれたことを主張立証しなければならない。そして,かかる事実状態があるというためには,特許権者自身が我が国において事業を行- 60 -っていることが当然の前提となり,かかる事業は,特許権者自身が,我が国において特許発明の実施品を製造販売していることを指すと解するのが一般的であるが,仮に,その必要がないとの立場を採用した場合でも,最低限,特許権者自身が,我が国において競合品の製造販売をすることによって独占的事業利益を享受できたであろう事実状態が前提として形成されていたことが必要というべきである(名古屋高裁金沢支部平成12年4月12日判決・日刊工〔第2期版〕2563の23頁,東京地裁平成21年8月27日判決・平成19年(ワ) う事実状態が前提として形成されていたことが必要というべきである(名古屋高裁金沢支部平成12年4月12日判決・日刊工〔第2期版〕2563の23頁,東京地裁平成21年8月27日判決・平成19年(ワ)第3494号参照)。 本件において,原告は,我が国において,自ら本件発明1の実施も競合品の製造販売事業も行っていないから,特許法102条2項が適用される余地はない。 (ウ) 本件では,原告に逸失利益の発生が認められない諸事情が存在する。 ① イ号物件の存在以外に原告製カセットの販売数が減少する事情a 被告新製品(非侵害の競合品)の販売被告は,平成22年7月から,新製品である「におわなくてポイ消臭タイプ」(乙45)の本体及びカセットの販売を開始したが,これは,使用済みオムツを包むフィルムに消臭・抗菌作用を持ったものを用いること,使用済みオムツをフィルムで包む際にフィルムを捻る等の操作がなく短いフィルムで多量のオムツを簡単に収納することができて経済的であることを特徴とし,被告の販売促進活動等もあって,発売当初から平成23年5月末までに,本体約12万3000台,カセット約66万8000個が販売された。外部の調査結果(乙44別紙1参照)によれば,ごみ貯蔵機器本体の販売シェアは,上記新製品販売開始後,平成23年3月時点で被告56%,訴外コンビ41%,エンジェルケア社3%である。短期間に上- 61 -記新製品の販売シェアが増大したことからすれば,消費者が原告製品から上記新製品に乗り換えたことが原告製カセットの販売数減少に影響を与えたことは否定できない。 b 他社の競合品(非侵害製品)の存在原告製品と共通する用途を有する多数の競合製品(乙44別紙2)のうち,「らくらくおむつバケツ」(エンジェルケア社製)は,平成19年の日本での販売開始以 い。 b 他社の競合品(非侵害製品)の存在原告製品と共通する用途を有する多数の競合製品(乙44別紙2)のうち,「らくらくおむつバケツ」(エンジェルケア社製)は,平成19年の日本での販売開始以降,消費者から高評価を得て,市場占有率は徐々に拡大した。被告の平成20年の調査では,上記他社製品は,原告製品よりも,形状,色使い,においの密閉度,操作性が良いとの評価を得ていたものであり,カセットは,原告製カセットよりも1個あたりのオムツ収納量が大きく,本体も,原告製本体よりも低価格に設定されていた。したがって,上記他社製品の販売数量が増大することで,原告製カセットの販売数減少に影響を与えたことは否定できない。 c 原告製本体の使用中止,使用方法の変更平成22年当時,原告製品の本体に,部品が外れたり,カッターの切れ味がよくないなどの不具合が発生しており,その結果として原告製品の使用を中止,買換えした消費者がいる(乙46)。また,景気の動向から,家計の出費を抑えるため,フィルムの使用量が多い原告製カセットの買足しを控えたり,レジ袋のみでオムツを処理したり,原告製カセットの代わりにゴミ袋や買い物袋を原告製本体に入れてオムツを処理する消費者も相当数いると考えられる。 d 原告が根拠とする数値の不合理さ本体1つに対して販売されるべきカセットの数量,使用率について,原告から客観的証拠の提出はない。また,本体の使用継続期間は,消費者の子供の年齢・数,消費者の趣向,経済情勢を反映した- 62 -消費者のコスト意識,他の競合品の存在等によって左右され,毎年一律の数値とはならない。原告の主張する使用率等をもとに原告製カセットの販売数量が減少していると主張すること自体,根拠薄弱である。 ② その他逸失利益の不存在を基礎付ける事情原告は,訴外 毎年一律の数値とはならない。原告の主張する使用率等をもとに原告製カセットの販売数量が減少していると主張すること自体,根拠薄弱である。 ② その他逸失利益の不存在を基礎付ける事情原告は,訴外コンビに対し,原告製カセットを含む原告製品を販売し,かつ,我が国における販売の独占権を付与しているところ,独占的販売権を付与する売買型契約を締結するにあたっては,最低購入量の定めを設定することが一般的であり,最低購入量を強制的に購入させる旨の定めや,最低購入量に満たなかった部分における利益相当額を違約金として徴収する旨の定めが置かれる場合がある。そうすると,原告と訴外コンビ間の契約においても,かかる定めがあると考えられるから,原告は,原告製カセットの売上実績にかかわらず,最低購入量不達成時にも経済的な補填を受けることができ,仮に原告製カセットの販売がイ号物件の販売により減少したとしても,原告に逸失利益は発生しない。 (7)-2 損害額の算定(特許法102条3項,意匠法39条3項)(原告)原告は,被告の意匠権侵害,特許権侵害により,次のとおりの損害を被った(特許法102条3項,意匠法39条3項)。 ア本件において,原告は,訴外コンビとの総代理店契約を締結しており,被告に対して実施許諾をする可能性は皆無に等しいから,そもそも「特許権者等が実施許諾するにあたり客観的に相当な額」を観念できず,特許法102条3項の適用の余地はない。 イ仮に,適用する場合には,特許法102条3項の「受けるべき金銭の額に相当する額」(実施料相当額)とは「特許権者等が実施許諾するに- 63 -あたり客観的に相当な額」をいうところ,本件においては,①被告は,カセット1個あたり334円の利益を認めていること,②原告製カセットは,利益率が高いところ,特許の実 等が実施許諾するに- 63 -あたり客観的に相当な額」をいうところ,本件においては,①被告は,カセット1個あたり334円の利益を認めていること,②原告製カセットは,利益率が高いところ,特許の実施品の利益率が高い場合には,実施料率も高く設定されるべきこと,③原告が,総代理店である訴外コンビ以外に実施許諾することは,訴外コンビとの総代理店契約の変更を余儀なくされ,日本での販売戦略を考え直すことになるから,通常の実施料率(3~5%程度)より極めて高い実施料率でなければ商慣行上「客観的に相当」といえないこと,④その他,a原告は自ら開発したカセットにより日本市場を独占していたこと,b本件発明1は技術的に優れていること,c被告のイ号物件に対する本件発明1の貢献度が極めて高いこと,d原告が,訴外コンビ以外にライセンスを与えない方針を採用していることは,本件発明1の経済的魅力が大きいことの現れであること等の諸事情からすると,少なくとも被告の自認するイ号物件1個当たりの利益額334円の半額である167円(440円の販売価格の37. 95%相当額)が実施料相当額といえる。 ウ被告の主張に対する反論(ア) 原告製ごみ貯蔵機器本体のMarkⅢは,旧製品のMark Ⅱを改良した優れた製品であり,そのカセットにかかる本件発明1も高い価値を有することは推認できる。 (イ) 本件発明1の実施許諾は,MarkⅢに適合できることに着目してなされるもので,MarkⅡにも適合できることは,実施許諾を定める際の考慮要素にはならない。仮に,Mark Ⅱとともに使用されることが実施許諾を定める際の考慮要素とされるとしても,MarkIIは5年前に販売を停止し,日本に存在する本体のうちの7%程度しか残っていないことからすると,実施料率を引き下げる要因たり得ない。 ( が実施許諾を定める際の考慮要素とされるとしても,MarkIIは5年前に販売を停止し,日本に存在する本体のうちの7%程度しか残っていないことからすると,実施料率を引き下げる要因たり得ない。 (ウ) 被告側の原告製品販売についての貢献は,販売代理店契約に基づく- 64 -原告による金銭的貢献によって被告が対価を得て貢献したにすぎず,実施料率の考慮要素とはならない。需用者への浸透は,製品の品質・性能により定まるものであり,改良を行ったのは原告である。MarkⅡ本体ユニットは,原告名義とともにブランド化されていたものであり,原告こそが製品を開発改良し,知的財産権を取得したものであって,被告は貢献していない。MarkⅢカセットをMarkⅡとMark Ⅲ本体双方に適合可能に設計・製造したのは原告であり,本件の開発の本質である。原告は,消費者に対する社会的責任を真摯にとっており,この責任を果たすため,被告から訴外コンビへの確実で継ぎ目のない移行を果たし,原告の顧客が確実・効率的に商品の提供を受けられるようにした。(エ) 仮に,市場開発の努力により市場における地位が確立されたとしても,それを行ったのは旧アップリカであり,被告ではない。 (被告)アイ号物件の販売数量及び売上金額について前提となる事実(10)のとおり,イ号物件の一括値引きを反映した平成21年11月6日から平成23年5月末日までの売上総額は1億6834万7196円である。 イ実施料率について本件において,①本件発明1の技術的意義・価値が高いとは言えないこと,②イ号物件は,本件発明1の技術的特徴を利用しない態様で多く使用されていること,③イ号物件の販売実績の背景事情としての被告側によるごみ貯蔵機器の市場開拓,「アップリカ」のブランド力,被告側の販売網,販売努力に ,本件発明1の技術的特徴を利用しない態様で多く使用されていること,③イ号物件の販売実績の背景事情としての被告側によるごみ貯蔵機器の市場開拓,「アップリカ」のブランド力,被告側の販売網,販売努力による多大な貢献・寄与等の個別具体的事情を総合考慮すれば,本件発明1の実施料率は1%が相当である。 (ア) 本件発明1の内容等(公知技術との距離等)本件発明1は,ごみ貯蔵カセットの発明であるところ,ごみ貯蔵カセ- 65 -ット自身の構造は,乙14発明に記載されており,相違点は,外側壁から突出する構成の係合先が回転装置であるか否かにすぎない。本件発明1が新規性・進歩性を有する場合でも,公知技術からの距離が近く,外側壁から突出した構成自体も技術的に優れたものとはいえない。したがって,本件発明1は,発明として高い価値を備えたものではない。 本件発明1の実施許諾例がないのは,公知技術との距離が近いことや,原告製品の競合品(乙44別紙2)は,本件発明1の技術的特徴(ごみ貯蔵カセット回転装置と係合する延出部を有する)を使わずに製造販売される等,本件発明1を使用する必要がなく,第三者が実施許諾を受ける動機付けが存在しないからである。 (イ) MarkⅡ本体への使用MarkⅡ本体は,相当数が継続的に使用されているから,イ号物件も継続的に購入されているが,消費者が,イ号物件を,回転装置欠落ごみ貯蔵機器であるMarkⅡ本体に取り付けて使用するケースでは,本件発明1の技術的特徴は実現されず,その作用効果も奏しないから,本件発明1はイ号物件の販売について何ら寄与していない。 (ウ) 被告側の市場開拓努力について原告と契約関係にあった当時,被告側は,原告によって定められた原告製品の仕入価格を考慮しながら,利益を確保できる範囲で,自らの判断・計算・責任の ていない。 (ウ) 被告側の市場開拓努力について原告と契約関係にあった当時,被告側は,原告によって定められた原告製品の仕入価格を考慮しながら,利益を確保できる範囲で,自らの判断・計算・責任の下,パンフレットの作成(乙59,28~30),雑誌(乙60)やウェブへの広告の掲載,イベントの実施,小売店や卸への営業活動(乙61,62),市場調査等の積極的な活動を行うことで,日本におけるごみ貯蔵機器の市場を開拓し,MarkⅠ本体約16万7000個,MarkⅡ本体約47万個,MarkⅢ本体約24万個を日本市場において販売した。被告が市場を開拓できたからこそ,不特定多数の需要者に対してイ号物件を販売することが可能となった。ま- 66 -た,被告は,日本におけるベビー用品市場において,有数の知名度と信頼を誇る一流ブランドであり,その地位は,原告製カセットを含む原告製品の販売を始める前から,被告が日本において保有していた。そして,消費者は,乳幼児の健康・安全等を重視する傾向から,ベビー用品の選択の際には,信頼できる一流ブランドの製品であることを重要な要素として考慮するから,イ号物件の販売数量には,被告のブランド力が多大な貢献をしているものである。日本市場において第三者によって原告製カセットが販売されていることは,同市場における原告自らの販売力が低いことを示すものである。 ウ実施料相当額(ア) 平成21年11月~平成22年2月のアンケートに基づく技術分類別の実施料率の調査結果(乙56)によると,ごみ容器の属する「運輸」分類における実施料率の平均値は3%強程度であるが,本件では,業界相場よりも実施料率を減額してしかるべき事由が多数存在するので,実施料率は1%をもって相当とすべきである。特許発明の価値が低いこと等から,業界相場よりも低い1 値は3%強程度であるが,本件では,業界相場よりも実施料率を減額してしかるべき事由が多数存在するので,実施料率は1%をもって相当とすべきである。特許発明の価値が低いこと等から,業界相場よりも低い1%以下の実施料率を認定した裁判例も存在する(東京地判平成19年12月14日・パテント62巻8号58頁,東京地判平成19年2月15日・判タ1282号283頁参照)。 (イ) 上記のとおり,本件発明1の実施料率は1%が相当であるから,平成21年11月6日から平成23年5月末日までの実施料相当額は,売上総額×実施料率=実施料相当額1億6834万7196円×0. 01=168万3471円(小数点以下切捨て)である。 (7)-3 積極損害(原告)ア損害額の算定- 67 -(ア) 本件訴訟遂行においては代理人を選任せざるを得ず,弁護士・弁理士費用等の発生は不可避であるから,代理人費用の全額が,被告の侵害行為と相当因果関係のある損害と認定されるべきである。 (イ) 原告は,本件に関する平成21年7月から平成23年7月7日までの弁護士・弁理士費用として,平成21年7月から平成22年10月までに4142万3205円の,同年11月から平成23年7月7日までに503万9550円の,合計4646万2755円の支払をした(1£=135円で換算)。 (ウ) (イ)の費用のうち,30%相当の1393万8826円は,本件特許権侵害,本件意匠権侵害のいずれかに分類できない性質のものである。また,(イ)の費用のうち,70%相当の3252万3929円は,本件特許権侵害,本件意匠権侵害のいずれかに分類できる性質のものであり,そのうち,本件特許権侵害に基づく費用は70%相当の2276万6750円であり,本件意匠権侵害に基づく費用は30%相当の975万7179円で ,本件意匠権侵害のいずれかに分類できる性質のものであり,そのうち,本件特許権侵害に基づく費用は70%相当の2276万6750円であり,本件意匠権侵害に基づく費用は30%相当の975万7179円である。 イ弁護士・弁理士費用相当額の損害は,全額が認められるべきである。 (ア) 特許権・意匠権等侵害に基づく損害賠償請求事案における弁護士・弁理士費用相当額は,裁判例でも認容額の10%程度ではなく,訴訟の難易,審理の経過,認容内容,訴訟に至る経緯等を考慮している。 (イ) 本件において,原告は,在外者であり,原告本人が本件訴訟を遂行することが極めて困難であること,本件訴訟が専門性の高い特許権侵害・意匠権侵害に関する知的財産権侵害訴訟であること,本件では総合的侵害対策を講じなければならなかったこと,被告の侵害行為は,契約との関係で信義則違反である上,故意によるものである点で,極めて悪質であり,被告は,かかる侵害行為をすれば確実に紛争になり,在外者で- 68 -ある原告が代理人を選任せざるを得ないことは十分に予見し,または予見しえたはずであるから,代理人費用という特別損害について,被告はその損害を生じさせた事情を予見し,または予見することができたはずであることが明らかであること(民法第416条2項の類推適用)等の本件の特殊性に鑑みると,代理人費用の全額について,侵害行為と相当因果関係があると認めるべきである。 ウ以上によると,原告の損害は,次のとおりとなる。 (ア) 本件特許権又は本件意匠権侵害に基づく損害①本件意匠権侵害に基づく損害(意匠法39条2項)1562万3538円+②本件特許権又は本件意匠権侵害に基づく損害(特許法102条2項又は意匠法39条2項)1億4464万3690円+③本件意匠権侵害に基づく代理人費用 づく損害(意匠法39条2項)1562万3538円+②本件特許権又は本件意匠権侵害に基づく損害(特許法102条2項又は意匠法39条2項)1億4464万3690円+③本件意匠権侵害に基づく代理人費用に係る損害975万7179円+④本件特許権侵害に基づく代理人費用に係る損害2276万6750円+⑤本件特許権又は本件意匠権侵害に基づく代理人費用に係る損害1393万8826円=2億0672万9983円(イ) 本件特許権侵害に基づく損害②+④+⑤=1億8134万9266円(被告)ア原告の主張は争う。 イ弁護士・弁理士費用相当の損害額は,法的にみて訴訟遂行に必要であった費用相当額をもって定められるべきであり,過去の裁判例においても,認容額の10%程度を目安に認められている。特許侵害訴訟の専門性,難易度等を考慮して,認容額の10%を超える額が認められた事案が存在するが,認容額が10~600万円と少額であった場合が大半である。これは,認容額が少額となる一方,多大な労力を要した場合を救済するために,特に例外的な取扱いをしているものと考えられ,そのような事案で- 69 -も,弁護士・弁理士費用が数百万円を超えることはない。また,原被告間には契約関係がなく,被告による契約違反(信義則違反)もないから,それを根拠とした被告の故意に関する主張も認められない。 【反訴】(1) 不正競争行為の成否(不正競争防止法2条1項14号の虚偽の事実の告知,流布に当たるか)(被告)ア原告は,平成21年7月22日ころ以降,被告の大口取引先を訪問し,純正品である原告製品以外の商品は,知的財産権侵害の法的問題がある旨告知・流布していたが,同月28日,被告の顧客に対し,本件通知書(乙48)を送付し,被告の「イ号物件が原告のデザイ 取引先を訪問し,純正品である原告製品以外の商品は,知的財産権侵害の法的問題がある旨告知・流布していたが,同月28日,被告の顧客に対し,本件通知書(乙48)を送付し,被告の「イ号物件が原告のデザイン及び生産に関する知的財産権を侵害している」との事実(以下「本件通知事項」という。)を告知した。 (ア) 本件通知書の差出人には原告名が明記され,文書の主語も「サンジェニック」であるから,原告が本件通知書を日本において配布したものである。 (イ) 虚偽事実の告知・流布の内容に被告が明示されていなくとも,通知を受けた者が,当該事実の内容,競争関係の状況及びその他諸般の事情から,当該事実は被告に関する事実であると理解できる程度に特定されていれば,被告の営業上の信用を害すると優に認められるところ,本件通知行為等が,被告のイ号物件の販売活動開始後に行われていること,原告製ごみ貯蔵機器に装着可能な商品が被告のイ号物件しか存在しないこと等の事情のもとでは,本件通知書の送付を受けた被告の顧客が,上記(ア)の本件通知事項の意味として理解したことは明らかである。 イ被告のイ号物件は,次のとおり,原告のデザイン及び生産に関する知的財産権を侵害しておらず,本件通知事項は,被告の営業上の信用を害する- 70 -虚偽の事実である。 (ア) 「デザイン」に関する知的財産権については,原告の保有する本件意匠権の意匠と,イ号物件の意匠とは,基本的構成態様に大きな差異点があり,具体的構成態様においても要部に数多くの差異点があるから,意匠権侵害は存在しない。 (イ) 「生産」に関する知的財産権については,意味が不明であり,仮に特許権を意味するとしても,本件通知行為当時,原告の本件特許権は登録されていなかったから,平成21年11月6日の登録までは特許権侵害は 「生産」に関する知的財産権については,意味が不明であり,仮に特許権を意味するとしても,本件通知行為当時,原告の本件特許権は登録されていなかったから,平成21年11月6日の登録までは特許権侵害は存在しない。 (原告)ア本件反訴は,本訴の侵害論の審理終了後,半年以上経過し,損害論の審理も十分尽くされた段階で提起されたもので,訴訟手続を著しく遅延させるものであり,反訴提起の要件(民事訴訟法146条1項2号)を充足しない。本件反訴は,本件特許権の設定登録前の本件通知行為に対するもので,本件特許権の設定登録時には請求し得るものであった。本件は,本訴の審理・終結が遅れるほど反訴原告のみに利益となる状況にあるから,本件反訴の提起は,本訴の審理を遅らせようとする被告の意図的な訴訟遅延活動であることは明白である。 イ原告の主張する事実は否認し,法的主張は争う。 ウ本件通知行為は,虚偽の事実の告知ではない。 (ア) 本件通知書は,原告が,自らの顧客に対し,知的財産権の侵害者に対しては権利行使して,自社事業を守り,顧客に迷惑を及ぼさないという原告の権利行使ポリシー(意図ないし立場)を表明したにすぎず,何ら事実を告知するものではない。本件通知行為が被告の販売活動開始後に発生したこと,被告のイ号物件が原告製ごみ貯蔵機器に装着可能であること等の事情があるとしても,本件通知書は,被告による原告の知的財- 71 -産権の侵害を意味するものではない。 (イ) 本件通知書の告知内容は虚偽ではない。 本件通知書は,被告が原告の知的財産権を侵害しているとの事実を述べるものではなく,被告や被告商品への言及もない。また,本件通知書は,意匠権,特許権等の「知的財産権」の種類を特定せずに,侵害に対する権利行使ポリシーの意思・立場を表明しているにす いるとの事実を述べるものではなく,被告や被告商品への言及もない。また,本件通知書は,意匠権,特許権等の「知的財産権」の種類を特定せずに,侵害に対する権利行使ポリシーの意思・立場を表明しているにすぎず,将来発生する「知的財産権」の行使も排除していない。原告は,本件特許権の設定登録後,被告に対して権利行使を行い,上記ポリシーに合致した行動を取っており,本件通知書に虚偽の事実は含まれていない。 (2) 違法性阻却事由の有無(原告)ア本件通知行為は,原告の権利行使の一環としてなされたものであり,正当行為として違法性を阻却される(東京高裁平成14年8月29日判決参照)。すなわち,本件通知行為は,原告と被告側の親会社間の交渉の結果,既に原告商品の販売代理権を失っていたにもかかわらず,被告において,結果的に本件特許権を侵害する商品の販売を継続したため,原告において,自らの事業を守ることを自らの顧客に表明する必要が生じたことから,原告が保有するごみ貯蔵機器及びカセットに関する知的財産権に基づき行われたものであり,本件通知行為の態様においては,適切なビジネス上の方式に則り,原告の顧客に限定して配布されたものであり,本件通知書の内容においても,被告や被告商品に関する言及は一切無く,原告商品を守るとの内容に終始しているものであって,被告を誹謗中傷等して被告の信用を徒に毀損するものでも,市場での競争において被告より優位に立つことを目的としたものでもないから,正当な権利行使の一環としてなされたものであり,違法性が阻却される。 イ仮に,本件意匠権に対する侵害が認められないとしても,原告による本- 72 -件通知行為は,競業者である被告の営業上の信用を毀損し市場での競争において優位に立つことを目的としたものではないから,本件意匠権に基づく正当 る侵害が認められないとしても,原告による本- 72 -件通知行為は,競業者である被告の営業上の信用を毀損し市場での競争において優位に立つことを目的としたものではないから,本件意匠権に基づく正当な権利行使の一環として行われたものであり,違法性は阻却される。 (被告)ア原告の主張は争う。 イ本件は,東京高裁平成14年8月29日判決・判時1807号128頁とは異なり,①原告は,知的財産権(本件意匠権及び当時出願中の特許)に関し,被告に対して直接通知・交渉を行うことなく,突如,被告の取引先に対して本件通知書を送付し,被告のイ号物件の知的財産権侵害問題を通知していること,②原告の行為は,被告の重要顧客である株式会社赤ちゃん本舗(以下「赤ちゃん本舗」という。)及び西松屋チェーン株式会社(以下「西松屋」という。以下2社を合わせて「大手取引先2社」という。)らに対して一斉に行われたこと,③被告の重要顧客は,商品の流通に関わる者であり,独自に知的財産権侵害問題に対処する能力がなく,通知による影響を受けやすいこと,④原告は,通知した被告の重要顧客らに対して知的財産権を行使する意図も予定もなく,専ら被告との関係で競争上優位な地位に立つべく,被告の営業上の信用を毀損する目的で本件通知行為等に及んだと認められるから,違法性は阻却されない。 ウ原告は,権利行使の蓋然性が高い事情があり,正当な権利行使の一環である旨主張するが,「特許権は,設定の登録により発生」する以上(特許法66条1項),本件通知行為等がなされた平成21年7月における本件通知書記載の「当社の知的財産権」に同年11月に登録された本件特許権が含まれないことは明らかである。仮にその点を措いたとしても,本件特許権は,同年9月3日に拒絶理由通知を受け(乙25),その後,同年10月2日に 当社の知的財産権」に同年11月に登録された本件特許権が含まれないことは明らかである。仮にその点を措いたとしても,本件特許権は,同年9月3日に拒絶理由通知を受け(乙25),その後,同年10月2日に意見書を提出し(乙27),登録されるに至っているから,本- 73 -件通知行為等時点において「権利行使の蓋然性が高い」事情が存在したとはいえず,原告の見解を前提としても,本件信用毀損行為の違法性は阻却されない。 エ本件信用毀損行為は,煩雑な訴訟提起がされるリスクを顧客(小売業者)に通知することで,かかるリスクを回避するために顧客(小売業者)が被告との間の取引を中止する判断をさせることを目的としていたことは明らかであり,被告のイ号物件の販売差止めの自力救済を図る悪質なものであり,違法性は阻却されない。 (3) 故意・過失の有無(被告)本件意匠権の意匠と,イ号物件の意匠とは,基本的構成態様に大きな差異点があり,具体的構成態様においても要部に数多くの差異点があることや,本件通知行為当時,本件特許権が存在していないことからすると,被告のイ号物件が,原告のデザイン及び生産に関する知的財産権を侵害していないことは明らかであるから,原告には,本件通知行為による他人の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知について,故意又は少なくとも過失がある。 (原告)被告の主張する事実は否認し,法的主張は争う。 (4) 損害(被告)ア原告による信用毀損行為により,被告は,次項以下の損害を被った。 イ逸失利益(ア) 平成20年1月~12月における,被告の大手取引先2社に対するごみ貯蔵機器用カセットの販売数量は,次のとおりである(乙50,51,65~67)。なお,合計欄の下段は,同年11月,12月分の合計である。 - 74 - 月における,被告の大手取引先2社に対するごみ貯蔵機器用カセットの販売数量は,次のとおりである(乙50,51,65~67)。なお,合計欄の下段は,同年11月,12月分の合計である。 - 74 -平成20年赤ちゃん本舗西松屋チェーン1月2万9595個1万9402個2月6225個2万7239個3月1万3222個2万3608個4月3万8826個2万0584個5月4万1615個1万9053個6月2万9802個3万3707個7月3万3327個1万2352個8月2万8537個1万8600個9月3万8832個4万9120個10月3万5760個2万6332個11月3万2015個1万2131個12月14万6750個4万7805個合計47万4506個/17万8765個30万9933個/5万9936個そして,被告と原告間の販売協働体制が解消されることとなった後も,訴外コンビが原告製ごみ貯蔵機器本体の販売を継続していたことからすると,原告製ごみ貯蔵機器本体に用いるカセット全体の販売数量は,本件通知行為後である平成21年7月30日から本件特許権の登録前である同年11月5日までの期間(以下「被告の主張する信用毀損期間」という。)においても,上記と少なくとも同水準の数量が販売されたものと推認できる。 そこで,大手取引先2社に対する上記の販売数量を日割り(平成20年1月~12月の販売数量から算定する場合は365で除し,同年11月,12月の販売数量から算定する場合は61で除する。)して,1日- 75 -当たりの平均販売数量を算定し(①,ただし,小数点以下切り捨て),被告の主張する信用毀 する場合は365で除し,同年11月,12月の販売数量から算定する場合は61で除する。)して,1日- 75 -当たりの平均販売数量を算定し(①,ただし,小数点以下切り捨て),被告の主張する信用毀損期間99日を乗じると,同期間における大手取引先2社へのごみ貯蔵機器用カセットの推定販売数量となる(②)。 (イ) 次に,被告のイ号物件は原告製品と同性能であるにもかかわらず,イ号物件が2700円程度で小売されていたのに対し,原告製品は2800円程度と若干高額な価格で小売されていたこと,幼児用ごみ貯蔵機器の日本市場はそもそも「アップリカ」が開拓したものであり,特に顧客知名度が高かったこと等の事情を考慮すれば,被告の主張する信用毀損期間に販売されたと推定される全体の数量(②)のうち,少なくとも半数は,イ号物件が流通されたと推認できるから,大手取引先2社へのごみ貯蔵機器用カセットの推定販売数量に1/2を乗ずることで,大手取引先2社に販売できたイ号物件数量が算定される(③)。 他方,被告は,被告の主張する信用毀損期間において,大手取引先2社のうち西松屋に僅かながら販売したから(④,乙53),同期間における逸失利益算定の基礎となる販売数量(⑤)は,推定される販売数量(③)から,実際の販売数量(④)を控除した個数となる。以下の①~⑤は,平成20年1月~12月の販売数量から算定したものである。 赤ちゃん本舗西松屋①1300個849個②12万8700個8万4051個③6万4350個4万2025個④0個3600個⑤6万4350個3万8425個(ウ) そして,大手取引先2社の実際の売上金額から被告の仕入原価(ただし,仕入原価に関する原資料による81万2073円(1ドル=9 3600個⑤6万4350個3万8425個(ウ) そして,大手取引先2社の実際の売上金額から被告の仕入原価(ただし,仕入原価に関する原資料による81万2073円(1ドル=93.99円で算定))を控除すること等により,イ号物件の1個当たり- 76 -の平均販売利益額を算定すると,{217万2000円[売上合計]×(1-0.035[一括値引き分])-81万2073円[仕入原価合計]}÷3600[販売数量]=356円であると推定することができる(⑥)。 したがって,一個当たりの平均販売利益額(⑥)に逸失利益算定の基礎となる販売数量(⑤)を乗じることにより,逸失利益(⑦)を算定すると,被告が被った逸失利益は,3658万7900円と算定される。 赤ちゃん本舗西松屋⑥356円⑦2290万8600円1367万9300円なお,平成20年11月,12月の販売数量から算定し,上記仕入原価を,会計システムに入力されたデータである89万3474円として算定すると,被告が被った逸失利益は,6347万4696円となる。 (エ) 以上により,平成20年1月~12月の取引のデータ及び原資料による仕入原価を基礎に,取引を拒絶されたなどの理由で被告が商品を販売できなかったことによる損害(逸失利益)を算定すると,大手取引先2社に限定しても3658万7900円となる。被告は,本件通知行為等により上記以外の取引も多く失ったことを考慮すれば,逸失利益の額は(仮に,平成20年11月,12月の販売数量等に基づき算定した逸失利益額6347万4696円が認められなくとも),少なくとも3658万7900円を下らない。 ウ無形損害原告の信用毀損行為により,被告の顧客は被告が知的財産権を侵害する企業であるとの心証を 6347万4696円が認められなくとも),少なくとも3658万7900円を下らない。 ウ無形損害原告の信用毀損行為により,被告の顧客は被告が知的財産権を侵害する企業であるとの心証を抱くことにより,営業上の信用が著しく毀損され(乙47),かかる無形の損害を金銭で評価すれば,500万円を下らない。 - 77 -エ弁護士・弁理士費用被告は,原告の信用毀損行為により被告に生じた損害の賠償を請求するために,反訴提起を弁護士・弁理士に委任せざるを得ず,弁護士費用・弁理士費用相当額の損害は,680万円である。 (原告)被告の主張する事実は否認し,法的主張は争う。 第3 争点に対する裁判所の判断【本訴】について 1 争点(1) 本件発明1に係る特許権の侵害の有無,(1)-1 本件発明1の構成要件充足性(直接侵害),(1)-1① 本件発明1の構成要件A(A),構成要件F(B-5),構成要件G(C)の解釈について(1) 本件発明1の構成要件A(A),F(B-5),G(C)に関して,被告は,本件発明1のごみ貯蔵カセットは,「ごみ貯蔵カセット回転装置に係合されて回転可能に据え付け,かつ,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられる」との用途等に限定されるものと解されるとするのに対し,原告は,上記用途等に限定されるものではないと解されると主張するので,この点について検討する。 ア特許請求の範囲本件特許の特許請求の範囲によると,本件発明1(請求項14)において,「ごみ貯蔵カセット」は,「回転可能に据え付ける」「ため」に「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され」(構成要件A(A)),「ごみ貯蔵カセットの支持・回転の」「ために」,「ごみ貯蔵カセット回転装置と係 」「ため」に「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され」(構成要件A(A)),「ごみ貯蔵カセットの支持・回転の」「ために」,「ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように」,「外側壁から突出する構成」を備え(構成要件F(B-5)),「ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成」(構成要件G(C))されているから,本件発明1における「ごみ貯蔵カセット」は,ごみ貯蔵カ- 78 -セット回転装置に係合されて回転可能に据え付けられ,かつ,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられる構成であることが認められるものの,特段,それ以外の用途に使用されることを排除するような記載は存在しない。また,本件特許の特許請求の範囲について,本件発明1(請求項14)以外の請求項(請求項1~13,15~20)においても,ごみ貯蔵カセットを回転させるために,ごみ貯蔵カセットに係合し,ごみ貯蔵カセットを吊り下げるように構成されたごみ貯蔵カセット回転装置を備えた「ごみ貯蔵機器」(請求項1~8,11~13,19),又は,回転可能に据え付けるため,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合し,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された「ごみ貯蔵カセット」(請求項9,10,15~18,20)として構成要件が記載されているが,特段,それ以外の用途に使用されることを排除するような記載は存在しない。 したがって,特許請求の範囲の記載からみる限り,本件発明1における「ごみ貯蔵カセット」については,上記用途等に限定されるものではないと解するのが相当である。 被告は,本件発明1の構成要件A(A),F(B-5)に「ために」と記載されていることから,用途が限定されていると主張するが,上記「ために」との記載は,「回転可能に据え付ける」 するのが相当である。 被告は,本件発明1の構成要件A(A),F(B-5)に「ために」と記載されていることから,用途が限定されていると主張するが,上記「ために」との記載は,「回転可能に据え付ける」又は「ごみ貯蔵カセットの支持・回転」というごみ貯蔵カセットをごみ貯蔵カセット回転装置に係合させることの目的を表すにすぎず,それ以上に他の用途を排除するものと解することはできない。また,被告は,本件特許のすべての請求項の記載からも,上記用途に限定されるとするが,上記のとおり,本件発明1以外の請求項においても,その他の用途を排除する記載は存在しない。したがって,被告の主張を採用することはできない。 イ発明の詳細な説明,図面- 79 -(ア) 本件発明1の本件明細書(甲17)の記載及び図面を検討するに,本件明細書には,次のとおりの記載がある。 ① この発明は,例えば,おむつのようなごみを貯蔵するごみ貯蔵機器に関する。(段落【0001】)② カセットの設計に関しては,異なる容器の大きさに対して,異なるカセットの組が必要となることが判った。さらに,前記カセットの回転抵抗を最小にすることが望ましい。(段落【0013】)③ 概観すると,本発明は,改良されたごみ貯蔵機器及びカセットを提供する。前記ごみ貯蔵機器は,使用者の把持部をもつ外側の回転可能な円板を備えている。前記回転可能な円板は前記カセットに係合し,前記カセットそれ自体,あるいは前記袋織りに触れる必要がなく,ほとんど苦もなく,前記カセットは手動でねじる又は回転させることができる。(段落【0017】)④ さらなる改良は,前記カセットは,その外側円筒状壁周りの環状フランジから吊るすように設計されており,その結果として,多数の異なるタイプの容器に据え付けることができ,回転する 段落【0017】)④ さらなる改良は,前記カセットは,その外側円筒状壁周りの環状フランジから吊るすように設計されており,その結果として,多数の異なるタイプの容器に据え付けることができ,回転するために低抵抗である。(段落【0020】)⑤ 前記機器は,ハンドル102を備えた回転可能なスピナー又は円板100を含んでいる。前記円板100は,前記小室上に形成された環状リム104上で回転するように据付られている。前記カセット1は,その外壁の周囲に,前記肩104上に載っている環状フランジ106を有しており,前記袋織り2にねじりを起こさせるために,前記円板100の回転は前記カセットを回転させる。別の実施例(図示せず)では,前記カセット上の前記環状フランジ106は,前記小室それ自体に形成された構成上に置かれ,前記円板100は,前記カセット内の複数の切り欠きのような構成と係合作用をする複数の突起のよ- 80 -うな構成を含んでいる。いすれにしても,より簡単な,及び回転するためにより少ない抵抗を持つ,カセット回転手段が提供される。(段落【0023】)⑥ 前記回転可能な円板とカセット装置を,図5,図6を参照して詳細に説明する。前記回転可能な円板100は,使用者による前記円板の自由な回転を容易にするために回転する,前記ハンドル102が装着されたポストを備えた上部環110を含んでいる。外側の円筒状の壁112は前記環110から垂れ下がっており,該壁の下部表面は図4に見るように前記小室の支持表面上に支持されている。内側の円筒状壁114は前記環110の内側端部から垂れ下がっており,図6から理解できるように,その基底で前記カセット1を支持する前記肩を規定する内側方向に突出した環状支持フランジ115を備えている。前記カセット1は,その外壁上に,前記支持 部から垂れ下がっており,図6から理解できるように,その基底で前記カセット1を支持する前記肩を規定する内側方向に突出した環状支持フランジ115を備えている。前記カセット1は,その外壁上に,前記支持フランジ115上に載っている外方向に突出する環状フランジ又はくちびる116を備えている。さらに,前記外側円筒状壁の下部表面から突出している突出部118は,完全な回転係合を確実にするために,前記カセット1内で凹所又は孔119に係合する。…前記カセットは,その外部表面の周囲に,前記回転可能な円板100上の協同する突出部又は他の形成部と係合する複数の軸方向に方向付けられたリブを担持することができる。(段落【0026】)⑦ 図4(ごみ貯蔵機器の横断面図),図5(カセットを回転させるための回転する円板の横断面図),図6(カセットを保持した図5の回転する円板の横断面図)には,ごみ貯蔵カセット回転装置に係合して吊り下げられる構成のごみ貯蔵カセットが開示されている。 (イ) 以上の記載によると,本件発明は,例えばおむつのようなごみを貯蔵するごみ貯蔵機器に関する発明であり(段落【0001】),ごみ貯- 81 -蔵カセットは,異なる容器の大きさに対応でき,また,カセットの回転抵抗を最小にすることが望ましいところ(段落【0013】),本件発明のごみ貯蔵機器は,ごみ貯蔵カセットを回転させることができるよう,把持部をもつ外側の回転可能な円板を備え,回転可能な円板はごみ貯蔵カセットと係合しており(段落【0017】),さらに,ごみ貯蔵カセットは,その外側円筒状壁周りの環状フランジから吊るすように設計されている結果,多数の異なるタイプの容器に据え付けることができ,回転するために低抵抗であること(段落【0020】),実施例においても,同様の構成が開示されていること 状フランジから吊るすように設計されている結果,多数の異なるタイプの容器に据え付けることができ,回転するために低抵抗であること(段落【0020】),実施例においても,同様の構成が開示されていること(段落【0023】,【0026】)からすると,本件明細書において,ごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置に係合して吊り下げられる構成が開示されていると認められる。しかしながら,他方,本件明細書においては,上記の構成のみに限定し,それ以外の用途に使用される構成を含むことを排除するような記載は特段存していないこと,回転装置が欠落したごみ貯蔵機器にも適合することが本件発明1のごみ貯蔵カセットとしての技術的意義を損なうことをうかがわせるような記載は存在しないことからすると,本件発明1のごみ貯蔵カセットについては,ごみ貯蔵カセット回転装置に係合して吊り下げられる構成ではあるが,かかる用途等に限定されるものではないと解するのが相当であり,このように解することが,本件明細書の記載にも整合するというべきである。 したがって,本件明細書の記載によっても,本件発明1のごみ貯蔵カセットは,上記用途に限定されるものではないと解するのが相当であり,これに反する被告の主張を採用することはできない。 ウ出願経過,出願当時の技術水準被告は,出願経過及び出願当時の技術水準に照らすと,本件特許の出願人(原告)は,回転装置欠落ごみ貯蔵機器に取り付けて使用することがで- 82 -きるようなごみ貯蔵カセットについては,本件発明1より意識的に除外したと主張する。 そこで検討すると,本件特許の出願当時の技術水準については,本件特許の出願日前に頒布された乙14文献では,環状ボディと環状フランジで形成されるごみ貯蔵カセットが開示されているが,ごみ貯蔵カセット回転装置 検討すると,本件特許の出願当時の技術水準については,本件特許の出願日前に頒布された乙14文献では,環状ボディと環状フランジで形成されるごみ貯蔵カセットが開示されているが,ごみ貯蔵カセット回転装置の有無や,ごみ貯蔵カセットとごみ貯蔵カセット回転装置との関係等については開示されていないことが認められる。また,本件特許の出願経過によると,特許庁は,平成21年9月3日付け拒絶理由通知(乙25)により,本件特許の出願日前に頒布された特開2000-247401号公報(乙26)に係る発明である「フィルムカセットを受け入れる小室と,小室内でフィルムカセットを回転させるために,小室内に回転可能に据え付けられ,フィルムカセットに嵌合するように形成されたごみ貯蔵カセット回転装置とを備え,フィルムカセット回転装置はフィルムカセットの回転のためのフィルムカセットを支持する構成を備えたごみ貯蔵機器」を主引用例とし,同様に本件特許の出願日前に頒布された特開2002-226003号公報(乙21),実開平07-028104号公報のCD-ROM(乙22),米国特許出願公開2002/0162304号公報(乙20)に各記載された技術思想を適用すると,本件特許の請求項1~15に係る発明は,当業者が容易に発明することができた旨を通知したこと,これに対し,原告(出願人)は,特許庁に対し,同年10月2日付けで手続補正書(甲5)及び意見書(乙27)を提出し,本件発明1に係る請求項14のごみ貯蔵カセットについては,ごみ貯蔵機器の「上部に備えられた小室」に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けられ,ごみ貯蔵カセット回転装置から「吊り下げられるように構成された」(構成要件F(C))ものとしてその構成を補正し,意見書(乙27)においても,上記の引用例においては, 係合され回転可能に据え付けられ,ごみ貯蔵カセット回転装置から「吊り下げられるように構成された」(構成要件F(C))ものとしてその構成を補正し,意見書(乙27)においても,上記の引用例においては,上記補正後の構成の開- 83 -示や示唆はないと述べたことがそれぞれ認められる。したがって,本件特許の出願当時の技術水準及び本件特許の出願経過によれば,本件発明1にかかるごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合して据え付けられ,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられる構成として特定されたと認めるのが相当である。そして,他方において,上記の出願経過において,回転装置欠落ごみ貯蔵機器について特段の言及がないこと等からすると,原告(出願人)において,ごみ貯蔵カセットについて,補正により上記の構成とした以上に,回転装置欠落ごみ貯蔵機器に取り付けて使用することができるような構成のごみ貯蔵カセットを意識的に排除したと解することはできないというべきである。したがって,これを前提とする被告の主張は,いずれも採用することはできない。 (2) 以上によると,本件発明1の構成要件A(A),F(B-5),G(C)に関して,本件発明1のごみ貯蔵カセットは,「ごみ貯蔵カセット回転装置に係合されて回転可能に据え付け,かつ,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられる」構成であるが,かかる用途等に限定されるものではないと解するのが相当である。 2 争点(1) 本件発明1に係る特許権の侵害の有無,(1)-1 本件発明1の構成要件充足性(直接侵害),(1)-1② 本件発明1の構成要件充足性について(1)ア前提となる事実(7)のとおり,イ号物件は,本件発明1の構成要件B~E(B~B-4)を充足することは,当事者間において争いがない。 イ構成要件A( 件発明1の構成要件充足性について(1)ア前提となる事実(7)のとおり,イ号物件は,本件発明1の構成要件B~E(B~B-4)を充足することは,当事者間において争いがない。 イ構成要件A(A)について,前提となる事実(6)のとおり,イ号物件は,a ごみ貯蔵容器の上部に取り付けるためのごみ貯蔵カセットであり,b-5 外側壁外周面の円周方向の等間隔の4箇所に欠け部を有する突出部とを備えていること,イ号物件は,上部に備えられた小室にごみ貯蔵カセット回転装置が設けられたごみ貯蔵機器であるMarkⅢ本体に設- 84 -置することができ,イ号物件の上記外側壁外周面に設けられた突出部において,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合して回転可能に据え付けられていることが認められるから(甲40,53,55,乙31,弁論の全趣旨),イ号物件は,構成要件A(A)を充足する。 ウ構成要件F(B-5)について,前提となる事実(6)のとおり,イ号物件は,b-5 前記外側壁外周面の円周方向の等間隔の4箇所に欠け部を有する突出部とを備えており,当該突出部において,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合し,ごみ貯蔵カセットが支持されるとともに,ごみ貯蔵カセット回転装置の回転とともに回転されること(甲40,55,弁論の全趣旨)が認められるから,イ号物件は,構成要件F(B-5)を充足する。 エ構成要件G(C)について,イ号物件は,当該突出部において,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合し,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるような状態になること(甲40,55,弁論の全趣旨)が認められるから,イ号物件は,構成要件G(C)を充足する。 (2) したがって,イ号物件は,本件発明1の構成要件A(A)~G(D)のすべての構成要件を充足し,その技術的範囲に属している。 (3) 被 られるから,イ号物件は,構成要件G(C)を充足する。 (2) したがって,イ号物件は,本件発明1の構成要件A(A)~G(D)のすべての構成要件を充足し,その技術的範囲に属している。 (3) 被告は,本件発明1のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置と必ずしも係合させることなく,回転装置欠落ごみ貯蔵機器に取り付けて使用することが可能なものについては,明確に除外しているところ,イ号物件は,乙14文献に係る公知技術に属するものであり,回転装置を備えているMarkⅢ本体のみならず,ごみ貯蔵カセット回転装置と必ずしも係合させることなく,回転装置欠落ごみ貯蔵機器であるMarkⅡ本体にも取り付けて使用できる製品であるから,本件発明1の技術的範囲に属しないと主張する。しかしながら,前記1のとおり,本件発明1のごみ貯蔵カセットについて,上記のような用途等に限定して解するのは相当ではないから,被告の主張は本件構成要件の解釈という前提において見解を異にしており,採用する- 85 -ことができない。 なお,被告の主張は,本件発明1の技術的範囲は,ゴミ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるような用途のゴミ貯蔵カセットに限定されるところ,イ号物件は回転装置欠落ごみ貯蔵機器にも使用されるのであるから,イ号物件を差止めの対象とすることは,公知技術の範囲についてまで権利行使を認めることになるから許されないとの趣旨とも解されるところ,被告は,本件特許発明1を実施しない用途,すなわちゴミ貯蔵用カセットをごみ貯蔵機器に吊り下げて使用しないタイプのごみ貯蔵機器(MARKⅡ)に限定して製造販売しているわけではなく,むしろ,自ら積極的にごみ貯蔵機器に吊り下げて使用するタイプのごみ貯蔵機器にも適合するものとしてイ号物件を製造販売しているのであり(甲1),しかも,吊り Ⅱ)に限定して製造販売しているわけではなく,むしろ,自ら積極的にごみ貯蔵機器に吊り下げて使用するタイプのごみ貯蔵機器にも適合するものとしてイ号物件を製造販売しているのであり(甲1),しかも,吊り下げて使用しないタイプの上記MARKⅡは平成18年には既にその販売が終了しているのであるから(前提となる事実,甲52),イ号物件は,本件発明1に係る特許権を侵害するものとして,差止めの対象となるというべきである。また,損害賠償請求についても,上記事情及び後記のとおり損害賠償請求の期間が本件特許が設定登録された平成21年11月6日以後のことであって,MARKⅡが販売終了した時期から約3年を経過していることにかんがみれば,被告において,本件特許権成立後に製造販売されたイ号物件が吊り下げて使用しないタイプに使用された事実を具体的に主張立証しない限り,損害賠償義務を免れるものではないというべきである(被告は,MARKⅡが現在でも多数使用されているとし,その旨の従業員の陳述書(乙44)を提出しているが,それ以上の具体的主張立証はしていない。)。 3 争点(1) 本件発明1に係る特許権の侵害の有無,(1)-2 本件発明1に係る特許の無効理由の有無,(1)-2① 特許法36条6項2号違反について(1) 被告は,本件発明1に係る請求項14は,特許を受けようとする発明が「ごみ貯蔵カセット」であるのか,「ごみ貯蔵カセットとごみ貯蔵機器(ご- 86 -み貯蔵カセット回転装置)との組合せ構造」にあるかが不明確であり,乙14文献に記載されたカセットとどのように区別されるか不明確であるから,特許法123条1項4号,36条6項2号の無効理由があると主張する。 そこで,本件発明1の請求項14のゴミ貯蔵機器又はごみ貯蔵カセット回転装置について記載された部分を検討す か不明確であるから,特許法123条1項4号,36条6項2号の無効理由があると主張する。 そこで,本件発明1の請求項14のゴミ貯蔵機器又はごみ貯蔵カセット回転装置について記載された部分を検討すると,当該請求項のうち,構成要件A(A)の「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセットであって」の記載,及び構成要件G(C)の「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された」の記載は,いずれも,ごみ貯蔵機器又はごみ貯蔵カセット回転装置の構成を発明の内容とするのではなく,ごみ貯蔵カセットがどのような位置・状態でごみ貯蔵機器,ごみ貯蔵カセット回転装置に設置されるかを表したものである。 また,構成要件F(B-5)の「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように,前記外側壁から突出する構成と,を備え」の記載は,ごみ貯蔵カセット回転装置の構成を発明の内容とするものではなく,ごみ貯蔵カセットの外側壁から突出する構成が,どのような状態であるかを表したものであるそうすると,請求項14の記載のうち,ゴミ貯蔵機器又はごみ貯蔵カセット回転装置について記載された部分は,いずれもごみ貯蔵カセットの構成等を特定するための記載であり,その特定事項は明確であるから,本件発明1の請求項14に係る発明が「ごみ貯蔵カセット」に関する発明であることは明白であるというべきである。 また,被告は,乙14文献との区別が不明確であると主張するが,請求項14の発明と乙14文献とは,後記4(1)エ(イ)の相違点を有するものであり,その区別は明確であって,被告の主張は採用することができない。 (2) したがって,本件発明1に係る請求項14の記載につい 14の発明と乙14文献とは,後記4(1)エ(イ)の相違点を有するものであり,その区別は明確であって,被告の主張は採用することができない。 (2) したがって,本件発明1に係る請求項14の記載について,特許を受け- 87 -ようとする発明が明確であるとの要件は満たされており,特許法123条1項4号,36条6項2号の無効理由はない。 4 争点(1) 本件発明1に係る特許権の侵害の有無,(1)-2 本件発明1に係る特許の無効理由の有無,(1)-2② 新規性欠如(乙14)について(1) 被告は,乙14文献には,本件発明1がすべて開示されているから,本件発明には,新規性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条1項3号)があると主張する。 アそこで検討すると,乙14文献には,次のとおりの記載がある。 (ア) 特許請求の範囲環状ボディと、環状フランジとを備えたひだ付チューブ供給用カセットであって、前記環状ボディは、内壁、外壁、内壁と外壁を下部で結合した底壁により形成された、概略U字形の断面を持っており、これらの壁により、ひだ付チューブが層状に折畳まれて収納されているハウジングが形成されており、前記環状フランジは、前記ハウジングを覆うように広がっており、下方へ伸び前記ボディ内壁上部と係合している内側部分と、外側へ張出し前記ハウジングを覆うように広がる部分を有しており、前記外側張出し部は、前記チューブが通過できるような外周隙間を形成するため、前記ボディ外壁上端から離れた外周端を有し、更に、前記チューブが中央芯部を通過して引っ張られるときに、前記チューブを滑らすのを手伝う環状傾斜領域を有し、前記中央芯部は、前記ボディ内壁と前記フランジの前記下方伸長部とで形成されていることを特徴とする、ひだ付チューブ供給用カセット。(【請求項1】) 、前記チューブを滑らすのを手伝う環状傾斜領域を有し、前記中央芯部は、前記ボディ内壁と前記フランジの前記下方伸長部とで形成されていることを特徴とする、ひだ付チューブ供給用カセット。(【請求項1】)(イ) 発明の詳細な説明① 本発明は、ひだ付チューブ(tubing)供給用カセットに関する。(【技術分野】段落【0001】)② 本型式のカセットは、他の機器と一緒に使用して、廃棄物を管状チ- 88 -ューブ内に集めた状態で、パッケージの中に捨てる廃棄物収集用の台所調度のような器具を形成するために使用することができる。パックになったひだ付チューブを、全て使い果たしたとき、カセットを新品の同一カセットと取換えることができる。(段落【0002】)③ このカセットは、中央管状芯部及び芯部との間に環状空間を備える囲繞壁により形成された剛体から成る。弾力性のある柔軟なチューブが、環状空間内に収納されており、ケース内で軸方向に移動可能な蓋でカバーされている。この蓋は、ケース外壁から、蓋の内側端と管状中央芯部との間に隙間ができる位置まで、径方向に広がっている。チューブはパックから中央芯部の上端を越え芯部内を通過して下方へ供給される。ケース外壁は、蓋がパックから離れるような軸方向の動きを制限する繋止手段を持っている。(段落【0004】)④ 本発明の目的は、ひだ付チューブ供給用の新型カセットを提供することにある。これは、環状ボディと環状フランジの組立体により達成される。フランジは、チューブが環状ボディ中央芯部を下へ引っ張られるときにチューブに漏斗効果を与える構造となっている。(【発明の開示】,【発明が解決しようとする課題】,段落【0005】)⑤ 本発明は、環状ボディと、環状フランジとを備えたひだ付チューブ供給用カセットに関する。前記環状 果を与える構造となっている。(【発明の開示】,【発明が解決しようとする課題】,段落【0005】)⑤ 本発明は、環状ボディと、環状フランジとを備えたひだ付チューブ供給用カセットに関する。前記環状ボディは、内壁、外壁、内壁と外壁を下部で結合した底壁により形成されたU字形断面を持っており、これらの壁により、ひだ付チューブが層状に折畳まれて収納されているハウジングが形成されている。前記環状フランジは、ハウジングを覆うように広がっており、下方へ伸びボディ内壁上部と係合している内側部分と、外側へ張出しハウジングを覆うように広がる部分を有している。前記張出し部は、チューブが通過できるような外周隙間を形成するため、ボディ外壁上端から離れた外周端を有している。前記外- 89 -側張出し部は、チューブが中央芯部を通過して引っ張られるときに、チューブを滑らすのを手伝う漏斗を形成する環状傾斜領域を有する。 前記中央芯部は、ボディ内壁とフランジの下方張出し部とで形成されている。(段落【0006】)⑥ 図3に、2つの部品112と114から成る、全体として110で表示した別な実施例のカセットを示す。(段落【0018】)⑦ 部品112は、U字形断面を持つ環状ボディから成る。前記環状ボディは、内壁116、外壁118、内壁と外壁を下部で結合した底壁120により形成されており、ひだ付管状チューブ124のパック122(図4参照)を収納するハウジングを形成している。前記環状ボディの内壁116は、下部116aと上部116bで構成され、中央芯部を形成している。116aの部位と116bの部位は、肩部117を形成するために、軸方向で互いにずれている。(段落【0019】)⑧ カセットの部品114は、ボディ112のハウジングを覆うように広がる環状フランジから成る。前記 と116bの部位は、肩部117を形成するために、軸方向で互いにずれている。(段落【0019】)⑧ カセットの部品114は、ボディ112のハウジングを覆うように広がる環状フランジから成る。前記フランジは、芯部内を下方へ伸びボディ内壁の上部116bと係合している内側部分126を有する。 又、前記フランジ114は、外側への張出し部128を含んでおり、環状ボディのハウジングを覆うように広がっている。外側への張出し部128は,平坦部128aと漏斗形状の内側部128bで形成されており,その機能は,以後に記述する。(段落【0020】)⑨ 前記フランジの下方伸長部分126の下端130は、環状ボディ112の肩部117の上に載っている。(段落【0021】)⑩ 環状ボディ112とフランジ114は、一連の舌部132の協働手段により、互いにロックされて係合している。前記舌部132は、環状ボディ内壁表面の相手側開口部134内へスナップ留めするための- 90 -形状を有している。(段落【0022】)⑪ 一旦、係合すると、環状ボディ内壁の下部は、環状フランジの下方伸長部と同一面となる。パックにされたハウジング内ひだ付チューブのために滑らかな内面を提供するためである。(段落【0023】)⑫ 図4に、ハウジング内に収納したひだ付チューブのパックを持つ、本発明に係るカセット10の使い方を、模式的に示す。最初に、チューブを、前記ボディの頂部外周端152と前記フランジの滑らかな外周端154との間の隙間150を通過してハウジングから引出す。チューブの端部付近に結び目140を作る。それから、チューブを滑らかな環状端154に沿って平坦部128aの上をまたいで、更に漏斗領域128bに沿って滑らしながら、結び目を、カセット中央芯部を通過して下へ引っ張る。廃棄物1 目140を作る。それから、チューブを滑らかな環状端154に沿って平坦部128aの上をまたいで、更に漏斗領域128bに沿って滑らしながら、結び目を、カセット中央芯部を通過して下へ引っ張る。廃棄物142は、チューブの中へ捨てられ、包まれた廃棄物を固定するため、図示のように144においてねじられる。前記ねじりは、人手によって実施しても良いし、器具により実施しても良い(段落【0024】)。 ⑬ 収集可能な様々な廃棄物のうち、猫トイレ用の砂(猫砂)が考えられる。従って、猫砂収集用のスコップの楕円形状に全体的に適合させるために、カセットは、楕円形状にする。一方、円形のような、他の形状のカセットも考えられる。これは,廃棄された赤ちゃん用おむつを収集するために使用されても良い(段落【0027】)。 (ウ) 図面図4には,ごみ貯蔵機器の上部に設けられたカセットが開示されている。カセット本体である環状ボディが,横断面楕円形の円筒状の外側ケースに載置されている状態が示されており,同図によれば,環状ボディの外壁頂部外周端152が円筒状の外側ケースの上端部にまたがるようにして,円筒状の外側ケースに載置されている状態が示されており,他- 91 -に環状ボディと円筒状の外側ケースの配置関係を示す説明又は図面はない。 イ乙14文献に開示された発明の内容以上の記載によると,乙14文献には,以下の発明(以下「乙14発明」という。)が開示されていると認めることができる。 「廃棄物収集用の円筒状の外側ケースの上部に据え付けられたカセット110であって,カセット110は,環状の内側壁116と,外側壁118と,内側壁116と外側壁118と内壁と外壁を下部で結合した底壁120によって形成されるひだ付管状チューブ124を収納する環状ボディ112と,環状ボ ット110は,環状の内側壁116と,外側壁118と,内側壁116と外側壁118と内壁と外壁を下部で結合した底壁120によって形成されるひだ付管状チューブ124を収納する環状ボディ112と,環状ボディ112のハウジングを覆うように広がる環状フランジ114は、内側壁116の上部から外側壁118へ向けて延出する張出し部128を有し、使用時にひだ付管状チューブ124のパック122が張出し部128をこえて中央芯部へ引き出され,環状ボディ112の外壁頂部外周端152が円筒状の外側ケースの上端部にまたがるようにして載置されており,カセット110は,円筒状の外側ケースから吊り下げられるように構成されている廃棄物収集用カセット」ウ本件発明1と乙14発明の対比本件発明1と乙14発明の内容を対比する。 (ア) 乙14発明の「廃棄物収集用の円筒状の外側ケースの上部に据え付けられたカセット110」は,本件発明1の構成要件A(A)の「ごみ貯蔵機器の上部に据え付けられたごみ貯蔵カセット」に相応し,「小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能」とされていない点において,構成要件Aと異なる。 (イ) 乙14発明の「カセットは,環状の内側壁116」は,本件発明1の構成要件B(B,B-1)の「該ごみ貯蔵カセットは,略円柱状のコアを画定する内側壁と」に相応する。 - 92 -(ウ) 乙14発明の「外側壁118」は,本件発明1の構成要件C(B-2)の「外側壁と」に相応する。 (エ) 乙14発明の「内側壁116と外側壁118と内壁と外壁を下部で結合した底壁120によって形成されるひだ付管状チューブ124を収納する環状ボディ112」は,本件発明1の構成要件D(B-3)の「前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織 と外壁を下部で結合した底壁120によって形成されるひだ付管状チューブ124を収納する環状ボディ112」は,本件発明1の構成要件D(B-3)の「前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と」に相応する。 (オ) 乙14発明の「環状ボディ112のハウジングを覆うように広がる環状フランジ114は、内側壁116の上部から外側壁118へ向けて延出する張出し部128を有し、使用時にひだ付管状チューブ124のパック122が張出し部128をこえて中央芯部へ引き出され」は,本件発明1の構成要件E(B-4)の「前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と」に相応する。 (カ) 乙14発明の「環状ボディ112の外壁頂部外周端152が円筒状の外側ケースの上端部にまたがるようにして載置されており」は,本件発明1の構成要件F(B-5)の「前記外側壁から突出する構成,を備え」に相応するが,「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように」の点において異なる。 (キ) 乙14発明の「カセット110は,円筒状の外側ケースから吊り下げられるように構成されている廃棄物収集用カセット」は,本件発明1の構成要件G(C,D)の「吊り下げられるように構成された」「ごみ貯蔵カセット」の点において相応するが,「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から」の点において異なる。 エ本件発明1と乙14発明の一致点,相違点 (ア) 一致点- 93 -本件発明1と乙14発明は「ごみ貯蔵機器の上部に据え付けられたごみ貯蔵カセット」であって,「該ごみ貯蔵カセットは,略円柱状のコアを画定する内側壁と,外側壁 (ア) 一致点- 93 -本件発明1と乙14発明は「ごみ貯蔵機器の上部に据え付けられたごみ貯蔵カセット」であって,「該ごみ貯蔵カセットは,略円柱状のコアを画定する内側壁と,外側壁と,前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と,前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と」,「前記外側壁から突出する構成,を備え」,「吊り下げられるように構成されたごみ貯蔵カセット」の点で一致する。 (イ) 相違点本件発明1と乙14発明は,次の点で相違する。 ① 相違点1本件発明1のごみ貯蔵カセットは,「小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能」とされているのに対し,乙14発明のごみ貯蔵カセットは,「小室内に設けられた」「ごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能」とされていない点② 相違点2本件発明1のごみ貯蔵カセットは,「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように」外側壁から突出する構成とされているのに対し,乙14発明のごみ貯蔵セットは,ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように構成されているものではない点③ 相違点3本件発明1のごみ貯蔵カセットは「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から」吊り下げられるように構成されているが,乙14発明のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるようには構成されていない点- 94 -(2) したがって,本件発明1と乙14発明との間には,上記の3つの相違点があるから 発明のごみ貯蔵カセットは,ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるようには構成されていない点- 94 -(2) したがって,本件発明1と乙14発明との間には,上記の3つの相違点があるから,同一の発明ということはできず,本件発明1に新規性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条1項3号)があるとする被告の主張を採用することはできない。 被告は,上記相違点1~3は,いずれもごみ貯蔵カセットとごみ貯蔵カセット回転装置との組合せ構造に関連するものであり,カセット自体の構造は実質的に同じである,また,両者は,カセットが吊下げ式に支持されるものであり,吊下げ支持する部材が,静止した容器であるのか,回転装置であるのかが相違するが,この相違はごみ貯蔵カセットの構造的な差異を決定づけるものとはならない,さらに,本件発明1においては,カセットと回転装置が相対回転せず,一体的な関係にあり,乙14文献におけるカセットと容器との関係と同じであるから,本件発明1と乙14発明は実質的に同じである等と主張する。 しかしながら,前記明確性違反の判断で述べたとおり,本件発明1におけるごみ貯蔵カセット回転装置に関する構成要件の記載は,ごみ貯蔵カセットの特定に関する事項ではあるものの,ごみ貯蔵カセットの設置位置及び状態等を表すことにより,ごみ貯蔵カセットの構成を特定しており,その特定に関する事項の相違が形式的な相違にすぎないとみることはできず,本件発明1の内容に関わる実質的な相違点とみるべきである。また,カセットを支持する部材又はカセットが係合する部材が,ごみ貯蔵カセット回転装置であるのか,ごみ貯蔵機器本体であるのかという相違についても,上記のとおり,ごみ貯蔵カセット回転装置に関する構成要件の記載が,本件発明1の実質的な内容をなしていること 材が,ごみ貯蔵カセット回転装置であるのか,ごみ貯蔵機器本体であるのかという相違についても,上記のとおり,ごみ貯蔵カセット回転装置に関する構成要件の記載が,本件発明1の実質的な内容をなしていることからすると,上記相違を形式的な相違とみることはできないというべきである。したがって,被告の上記主張を採用することはできない。 5 争点(1) 本件発明1に係る特許権の侵害の有無,(1)-2 本件発明1に係- 95 -る特許の無効理由の有無,(1)-2③a 進歩性欠如(主引用例乙14)について(1) 被告は,乙14発明と,乙18文献,乙20文献,乙21文献等に開示された周知技術を組み合わせることにより,当業者は,ごみ貯蔵カセットを回転装置に吊り下げ支持するようにした本件発明1を容易に想到し得るから,本件発明には,進歩性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条2項)があると主張する。 アそこで検討すると,本件発明と乙14発明とを対比すると,両者は,第3【本訴】4(1)エ(イ)①~③の相違点1~3において相違する。 イ乙18文献,乙20文献,乙21文献に記載された技術(ア) 乙18文献① 乙18文献には,次の記載がある。 「1.発明の分野」,「本発明は廃棄物貯蔵装置に関するものであり,特に,機械的に操作される密閉機構を有する廃棄物貯蔵装置に関するものである。」,「2.従来技術」,「幼児用おむつのような廃棄物を処理するための廃棄物貯蔵装置が一般的に知られている。…フィルムカートリッジは上面を有し,その上面から貯蔵フィルムが延出している。そして,フィルムカートリッジは,カートリッジに設けられた同軸の穴に固定されたツイストリングを有している。貯蔵フィルムは,フィルムカートリッジから延出し,ツイストリングの内部を通 ムが延出している。そして,フィルムカートリッジは,カートリッジに設けられた同軸の穴に固定されたツイストリングを有している。貯蔵フィルムは,フィルムカートリッジから延出し,ツイストリングの内部を通って下方へと延びている。さらに,貯蔵フィルムは,フィルムカートリッジに設けられた穴を通って下方へと延び,貯蔵本体の内部へと至る。使用者は,手動で蓋を開蓋したときに,ツイストリングおよびフィルムカートリッジに設けられた穴を通過させて,貯蔵フィルムの内部におむつを廃棄することができる。ツイストリングは,そのときに使用者によって手動- 96 -で回転され,この動作によって,フィルムカートリッジおよび貯蔵フィルムが回転する。その結果,貯蔵フィルムが結束されて,貯蔵フィルムの内部に廃棄されたおむつを封止して密閉する。貯蔵フィルムは,フィルムカートリッジから連続的に供給される。」,「この装置においては,貯蔵フィルムを封止するために,使用者がツイストリングを手動で回転させる必要があった。本発明においては,貯蔵フィルムを封止するための操作が,機械的に行われる。」(【発明の背景】)「本発明の目的は,機械的に密閉操作を行う機構を備える廃棄物貯蔵装置を提供することである。」,「本発明は,本体と,蓋と,本体に配置されるように適合された貯蔵フィルムカセットとをそなえ,上記貯蔵フィルムカセットは,連続的に連なったフィルムを内部に有する,廃棄物貯蔵装置に用いられる密閉機構に関するものである。上記密閉機構は,蓋及び貯蔵フィルムカセットに操作可能に連結されたアクチュエータを有し,アクチュエータの操作によって蓋を開蓋し,かつフィルムを封止する。…さらに好ましくは,アクチュエータおよびクラッチに操作可能に連結されたラックギアと,ラックギアに連結されたばねとをさら ータを有し,アクチュエータの操作によって蓋を開蓋し,かつフィルムを封止する。…さらに好ましくは,アクチュエータおよびクラッチに操作可能に連結されたラックギアと,ラックギアに連結されたばねとをさらに有する。そして,アクチュエータの操作によって,ラックギアが,ばねが付勢する方向と反対の第1の方向へ向けて移動し,アクチュエータの操作解除によって,ラックギアがばねに付勢されて第1の方向と反対の第2の方向へ向けて移動してクラッチが貯蔵フィルムカセットを回転させる。」(【発明の概要】)「廃棄物貯蔵装置10は,本体100と,蓋120と,貯蔵フィルムカセット130と,フィルムリング140と,密閉機構200とを備える。…本体100は,…実質的に円筒形状となっている。…本体- 97 -100の下方部108には,凹み部または後述するペダルハウジング115が設けられている。…」,「本体100は,中心穴118と円形壁119とを含むカセットフランジ117をさらに有する。カセットフランジ117は,上方部106に近接した位置において,本体100の内壁に沿って円形状に形成されている。カセットフランジ117は,密閉機構200のクラッチ270と係合している。…中心穴118は,クラッチ270と,クラッチ270上に取り付けられたカセット130を支える支持部を提供する。円形壁は119は,カセットフランジ117から実質的に鉛直方向上方へ向けて延びている。…円形壁119は,カセット130が水平方向に移動することを防ぐように,カセット130を支持している。なお,カセット130は,中心穴118において回転可能となるように円形壁119に支持されている。」,「カセット130は,好ましくは,中心開口132を有する円筒形状または円環形状である。フィルム135は,連続的に連 0は,中心穴118において回転可能となるように円形壁119に支持されている。」,「カセット130は,好ましくは,中心開口132を有する円筒形状または円環形状である。フィルム135は,連続的に連なったフィルムシートであって,カセット130に貯蔵された円筒状フィルムである。フィルム135は,カセット130の上端からフィルムリング140の外縁を超えるように供給される。そして,フィルムリング140の内部を通って下方へと延び,中心開口132を通って内部空間110へと至る。フィルム135は,貯蔵空間138を提供するために,内部空間110内で下端137において結ばれる,または封止される。後述するように,好ましい実施形態として,おむつが貯蔵空間138に挿入された後に,密閉機構200がカセット130を回転させてフィルム上端139を封止する。」,「操作においては,使用者がペダル210を踏み込むと,…同時に,足ペダルリンク部材225の上方への移動によって,ラックリン- 98 -ク部材230が,実質的に水平方向に沿って本体100の前方部102に向けて移動する。これにより,ラックギア260が,水平方向に沿って前方部102へ向けて移動する。ラックギア260は,クラッチ270に操作可能に連結されており,これによって,クラッチ270が,第1の方向へ向けて回転することとなる。カセット130は,クラッチ270がワンウェイクラッチであるためカセット130の第1の方向への回転を防止することから,回転せずに静止している。」,「蓋120が開蓋し,貯蔵空間138が使用者に対してアクセス可能となると,おむつのような廃棄物を,フィルムリング140を通して貯蔵空間138の内部へと挿入することが可能となる。それから,使用者は,密閉操作を開始するためにペダル210を開放 に対してアクセス可能となると,おむつのような廃棄物を,フィルムリング140を通して貯蔵空間138の内部へと挿入することが可能となる。それから,使用者は,密閉操作を開始するためにペダル210を開放する。圧縮された圧縮ばね280のラックギア260に対する弾性力によって,ラックギア260が,後方部104に向けて水平方向後方へと移動する。このラックギア260の後方への移動によって,クラッチ270が,上記第1の方向とは逆の第2の方向へ向けて回転することとなる。そして,カセット130が,第2の方向へ向けて回転する。カセット130の回転によって,フィルム135が,フィルム上端139の近辺で結束(捩られる),または封止される。このようにペダル210を開放することによって,密閉機構200がフィルム135を封止することとなる。」(【発明の詳細な説明】)② 以上の記載によると,乙18文献には,以下の技術が開示されていると認めることができる。 「本体の上部に備えられた小室に設けられたクラッチ270に据え付けるためのカセット130であって,該カセット130は,略円柱状のコア132を画定する内側壁と,外側壁と前記内側壁と前記外側- 99 -壁との間に設けられたフィルム135を入れる貯蔵部と,前記内側壁の上部から前記外側壁に向けて延出するフィルムリング140であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋折りが前記フィルムリング140をこえて前記コア132内へ引き出されるフィルムリング140と,前記カセット130の支持・回転のために,前記クラッチと係合するように,カセット130の底面を載置する構成117,119と,を備え,前記クラッチ270上に置かれるように構成されたカセット130」(イ) 乙20文献乙20文献には,次の記載がある。 ① 「本発明は, 130の底面を載置する構成117,119と,を備え,前記クラッチ270上に置かれるように構成されたカセット130」(イ) 乙20文献乙20文献には,次の記載がある。 ① 「本発明は,概して可撓性のチューブを用いた廃棄物処理装置に関するものであって,特に,おむつ等や,医療廃棄物,産業廃棄物,およびその他の廃棄物等の衛生的且つ臭いの漏れないパッケージングおよび廃棄のための改善されたヘルスケア装置に関するものである。」(【技術分野】,段落【0002】)「本発明は,さらに,廃棄物処理装置に用いられる着脱可能なチューブカートリッジと,このようなチューブカートリッジを回転させるための回転機構に関するものである。回転機構の中には,自動的にチューブカートリッジを回転させるものも含む。」(段落【0003】)「他の従来のおむつ桶の技術としては,『おむつジェニー』の商標のもとで販売されたものが知られている。…」(段落【0007】)「『おむつジェニー』型のおむつ桶の主な不便利な点としては,おむつ桶の使用に際し,チューブの両端を手動で結ぶ必要があることである。…」(段落【0009】)「何度もチューブを結ばなければならない必要があることは煩わし- 100 -いものであり,さらに,結び目が弱いと,廃棄物の臭いが漏れることもあり得る。」(段落【0010】)「本発明の目的は,新規かつ改善された廃棄物処理装置を提供することであって,特に,おむつ…を廃棄するために用いる廃棄物処理装置を提供することである。」(【発明の目的及び発明の概要】,段落【0015】)「本発明のさらに他の目的は,可撓性のチューブを用いた新規かつ改善された廃棄物処理装置を提供することである。」(段落【0017】)「上記目的のいくつかを達成するために,本 段落【0015】)「本発明のさらに他の目的は,可撓性のチューブを用いた新規かつ改善された廃棄物処理装置を提供することである。」(段落【0017】)「上記目的のいくつかを達成するために,本発明に係る廃棄物処理装置は,廃棄物を受け入れる空間を画定するコンテナと,コンテナ内に配置され,コンテナ内に廃棄された廃棄物を密封する長尺な可撓性のチューブを含むカートリッジと備え,密封された廃棄物が,廃棄物受け入れ空間に保持される廃棄物受け入れ空間にアクセス可能となる開蓋位置と,廃棄物受け入れ空間が閉じられる閉蓋位置との間を移動可能な蓋部が,コンテナに取り付けられている。保持機構は,廃棄物パッケージを保持するためにコンテナに配置される。」(段落【0026】)「回転機構は,保持機構に廃棄物パッケージが保持されているときに,廃棄物パッケージの上方において結び目を設けるために,カートリッジと保持機構との間を相対回転可能に設けられている。それにより,廃棄物パッケージをチューブ内に密封する。すなわち,保持機構が固定されているときに,カートリッジが回転されるか,または,カートリッジが固定されているときに,保持機構が回転される。」(段落【0027】)「カートリッジが,回転機構の回転時にともに回転してもよい。 - 101 -…」(段落【0029】)「回転機構は,如何なる形態であってもよい。一実施形態として,回転機構は,フットペダルやプッシュボタンを押すまたは離すことによって,自動的に作動される構成であってもよい。また,代替として,回転機構は,蓋の開閉とともに自動的に作動されてもよい。このように,作業者は従来の装置のように,廃棄のためにツイストリムを回転することを記憶しておく必要がない。」(段落【0030】)「本発明に係る廃棄物処理装置に用 とともに自動的に作動されてもよい。このように,作業者は従来の装置のように,廃棄のためにツイストリムを回転することを記憶しておく必要がない。」(段落【0030】)「本発明に係る廃棄物処理装置に用いられるカートリッジは,可撓性のチューブを有し,廃棄物受け入れ空間を画定するものであれば如何なる従来のカートリッジを適用してもよい。」(段落【0041】)「カートリッジを保持機構に対して相対回転させる実施形態においては,回転機構は,蓋の動きとともに自動的にカートリッジを回転させる機構を備える。」(段落【0045】)「このタイプの回転機構は,…一実施形態として,ラックギアが蓋に取り付けられ,ギア組立体がコンテナ内に配置される。このとき,一つのギアが,蓋の下方への移動時にラックギアの歯と係合するように構成される。ギア組立体は,カートリッジの外縁に連って設けられた凸部と噛合する凸部または駆動ギアが形成された円形状のプレートを含む。この駆動ギアは,ギア組立体を通じてラックギアと係合するギアに結合され,ラックギアの動きによって,ギア組立体及び駆動ギアのギア全てが回転し,その結果,カートリッジを回転させる。ラックギアの代わりに,歯車プレートを適用してもよい。」(段落【0046】)② 「図1は,本発明になる廃棄物処理装置の第1実施形態を一部断面にして示す側面図である。」(段落【0048】)- 102 -「図2は,図1に示される廃棄物処理装置の第1実施形態を一部断面にして示す側面図である。」(段落【0049】)(同図面においては,カートリッジ24が,フランジ18上に載置されており,矢印E方向に回転する様子が開示されている。)「図20は,本発明になる廃棄物処理装置の他の実施形態を示す側面図であ…る。」(段落【0071】)「図22は, が,フランジ18上に載置されており,矢印E方向に回転する様子が開示されている。)「図20は,本発明になる廃棄物処理装置の他の実施形態を示す側面図であ…る。」(段落【0071】)「図22は,図20に示す廃棄物処理装置の断面図である。」(段落【0073】)「図26は,図20に示す廃棄物処理装置の他の保持機構およびカートリッジを示す分解図である。」(段落【0078】)(同図面においては,カートリッジ244が,ギアリング212の上方側の環状リム220と係合し,回転する仕組みが開示されている。 ③ 「まず,図1~4を参照して,本発明の一実施形態に係る廃棄物処理装置10が,図示されている。廃棄物処理装置10は,廃棄物受け入れ部が12aを画定し,概して円筒状のコンテナ12と,コンテナ12の上端に着脱可能に配置されたカバー14と,コンテナ12の下端に枢支されたアクセスドア16とを備える。カバー14は,コンテナ12の上端縁にぴたりと嵌め込まれ,廃棄物挿入開口20を画定している。蓋22は,コンテナ12内へ使用済みおむつ等の廃棄物を挿入可能とするために廃棄物挿入開口20を外部に開口する開蓋位置と,廃棄物挿入開口20を閉鎖する閉蓋位置との間を移動可能となるようにカバー14に枢支されている。コンテナ12内部表面に沿って,フランジ18が,コンテナ12と一体的に設けられている。このフランジ18は,コンテナ12の断面形状と一致しており,円筒状等に形成されている。」(【好ましい実施形態の詳細な説明】,段落【0098】)- 103 -「着脱可能なカートリッジ24は,フランジ18上に載置されており,円形状にヒダ状に折りたたまれた長尺なチューブ34を有する。 チューブ34は,ポリ袋を構成している。カートリッジ24は,円筒状の外壁26と,底壁28と,内壁 ジ24は,フランジ18上に載置されており,円形状にヒダ状に折りたたまれた長尺なチューブ34を有する。 チューブ34は,ポリ袋を構成している。カートリッジ24は,円筒状の外壁26と,底壁28と,内壁30と,上壁32とを含み,これらの壁によって,チューブ34を収納する空間を画定している。内壁30と上壁32との間の空間に,チューブ34を通過させるためのリング状の開口36が,形成されている。内壁30には,環状フランジまたはリップ38が設けられており,チューブ34がこれを乗り越えて内壁30によって画定された廃棄物挿入空間40内へと延びている。廃棄物挿入空間40は,カバー14によって画定された廃棄物挿入開口20と連通するように配列している。カートリッジ24は,チューブ34が使い切られたとき,コンテナ12からカバー14を分離することによって取り外され,新品のカートリッジ24と取り換えられる。そして,コンテナ12に再度カバー14が,取り付けられる。」(段落【0099】)「回転機構は,蓋22の動きをカートリッジ24の回転運動へと転換することを可能とするために設けられている。より具体的には,蓋22の下方への移動によって,カートリッジ24を自動的に回転させ,それとともに,廃棄物挿入空間40において廃棄物パッケージの上方でチューブ34を捩じる。…」(段落【0100】)「特に,機械的な回転機構は,蓋22が閉蓋位置に移動したときにカートリッジ24を回転させるものであり,蓋22に取り付けられた歯車部材であるラックギア42と,コンテナ12に連結するように配置された互いに協働するギア組立体44とを有する。」(段落【0101】)「図2を参照して,カートリッジ24は,外壁26の外縁26aか- 104 -ら外方へ突出するように連なって設けられた凸部66を有 た互いに協働するギア組立体44とを有する。」(段落【0101】)「図2を参照して,カートリッジ24は,外壁26の外縁26aか- 104 -ら外方へ突出するように連なって設けられた凸部66を有する。図示されてはいないが,凸部66は,外壁26の外周全体に均一に設けられている。ギア60に設けられた凸部64は,カートリッジ24に設けられた凸部66と係合するように設けられており,ギア組立体44からカートリッジ24へと回転力を伝達することを可能とする。このように,ギア60の図3中矢印D方向への回転は,カートリッジ24の図2中矢印E方向への回転となる。カートリッジ24の回転によって,廃棄物パッケージが固定されているときに,廃棄物の上方でチューブ34が捩られることになる。」(段落【0108】)「図2に示すように,ギア60は,外壁26の外縁26aの下方側に配置されており,ギア60に設けられた凸部64が,カートリッジ24に設けられた凸部66と下方から係合する。…」(段落【0110】)「回転機構は,図示しているように,蓋22の閉蓋時にカートリッジ24を回転させるように設計されている。…」(段落【0111】)「この廃棄物処理装置は,可撓性チューブ34が捩られているときに,密封される廃棄物パッケージが固定されて保持されるように設計されている。この目的のために,フランジ18に舌部やバネ72が設けられる。バネ72は,廃棄物パッケージ74をチューブ34内に固定して保持し,その一方でカートリッジは,回転してチューブ34を捩り,廃棄物パッケージ74の一端を密封する。…」(段落【0113】「廃棄物処理装置10を使用状態にするために,カバー14が開蓋され,カートリッジ24がフランジ18上に載置される。可撓性チューブ34の一端が,カートリッジ24か 密封する。…」(段落【0113】「廃棄物処理装置10を使用状態にするために,カバー14が開蓋され,カートリッジ24がフランジ18上に載置される。可撓性チューブ34の一端が,カートリッジ24から引き出され,チューブ34- 105 -の一定の長さが,開口36を通過して引き出される。そして,当該一端が結ばれる。それから,このチューブ34の結び目が,リップ38を超えて廃棄物挿入空間40内に入れられ,最初の廃棄物貯蔵用のバッグが形成される。カバー14は,コンテナ12に再度取り付けられ,装置が使用状態となる。」(段落【0115】)「使用時においては,蓋22は開蓋し,カバー14の廃棄物挿入開口20を外部に開口させる。そして,それにコンテナ12の廃棄物挿入空間40が連通している。使用済みおむつのような廃棄物パッケージ74が,可撓性チューブ34に形成された袋に挿入される。…」(段落【0116】)「そして,蓋22が閉蓋され,ラックギア42によってギア…60が回転する。カートリッジ24上に設けられた凸部66と係合するギア60が回転することによって,カートリッジ24が自動的に回転する。カートリッジ24が回転すると,廃棄物パッケージ74が固定されて保持される一方で,…可撓性チューブ34が固定されずに捩られる。このように,廃棄物パッケージ74の上方に位置する可撓性チューブ34が捩られ,廃棄物パッケージ74を密封する。」(段落【0117】)④ 「廃棄物パッケージがカートリッジに対して相対回転する廃棄物処理装置の他の実施形態を図20~27に示す。…」(段落【0176】)「密封機構202は,廃棄物パッケージを把持し,掴んだ廃棄物パッケージをカートリッジ94に対して一方方向に回転させることができる。これにより,廃棄物パッケージの上方においてチ 段落【0176】)「密封機構202は,廃棄物パッケージを把持し,掴んだ廃棄物パッケージをカートリッジ94に対して一方方向に回転させることができる。これにより,廃棄物パッケージの上方においてチューブ34に捩りを形成し,廃棄物パッケージを密封する。密封機構202は,一般的に,廃棄物パッケージと係合し一時的に保持する保持ユニット2- 106 -06と,保持ユニット206を回転させる回転機構208とを有する。」(段落【0177】)「保持ユニット206は,鉛直方向に延びるフレーム210と,環状のギアリング212を含む。フレーム210は,チューブ34部分によって囲まれた廃棄物が通過する通路を画定する壁部と,廃棄物通路に向けて内方へ延びる弾性部材または舌部72と,カートリッジ94が載置された支持フランジ214とを含む(図25)。」(段落【0178】)「ギアリング212は,上方側の環状リム220と,下方側の環状リム222との間に位置する環状のスロットとを含む。ここで,ギアリング212がコンテナ82に対して相対回転することを許容する一方で,コンテナに形成されたフランジ242が,コンテナ82に連結するようにギアリング212を保持するためにスロット218に挿入されている。ギアリム222は,連なって設けられた歯部を含む。図26に示すように,上方リム220およびギアリム222は,別々の部材によって構成され,適切な取り付け機構を備えている。この取り付け機構は,例えば,上方リム220の下面に設けられた凸部220Aと,ギアリム222の上面に設けられたノッチ222Aによって構成される。ギアリム222は,このように,異なる上方リムを備えることによって,異なるカートリッジにも適用可能である。カートリッジ(図26)または保持機構(図25)を回転させるた チ222Aによって構成される。ギアリム222は,このように,異なる上方リムを備えることによって,異なるカートリッジにも適用可能である。カートリッジ(図26)または保持機構(図25)を回転させるためにギア228と係合するギアリム222のみが,唯一コンスタントな部材である。つまり,二部材からなるギアリム212を使用することによって,異なるフレーム210が,上方リム220を有する核フレームとともに用いることが可能であり,全て共通のギアリム222と係合可能である。」(段落【0181】)- 107 -「…回転機構の一実施形態を,図20に示す。回転機構208は,上端にギア228を有するシャフト226を回転させるモーター224を有する。ギア228は,ギアリム222と係合しており,シャフト226の回転が,保持部材206の回転に転換される。…」(段落【0183】)「上記したように,カートリッジ94は,特殊なものである。しかしながら,図20~22に示す廃棄物処理装置は,可撓性のチューブを含む他のカートリッジを用い,廃棄物密封型の処理装置の用途に設計されることも考えられ得る。このようなカートリッジは,支持フランジ214上に配置される。…」(段落【0191】)「これらカートリッジは,支持フランジ214上に支持されるため,支持フランジ214に沿って回転可能である。しかしながら,保持ユニット206の回転時に,チューブ34の効果的な捩りをもたらすために,保持ユニット206に対して固定状態となるようにカートリッジを固定するための機構を設けることが望ましい。」(段落【0192】)「この目的のために,図26に示すように,ギアリング212が,上方側の環状リム220に設けられた凸部216と,カートリッジ224の外壁面に設けられたノッチ210Aと い。」(段落【0192】)「この目的のために,図26に示すように,ギアリング212が,上方側の環状リム220に設けられた凸部216と,カートリッジ224の外壁面に設けられたノッチ210Aとの係合を介して,従来のカートリッジ244を安定して取り付けるためのアダプタとして機能してもよい。いくつかの従来のカートリッジは,カートリッジの製造工程において生じたノッチを有する。それ故に,これらのノッチの存在は,従来のカートリッジをギアリング212に取り付けるために本発明において利用される。ギアリング212は,従来のカートリッジ244に設けられたノッチに対応する位置に,凸部が設けられる。カートリッジ244をギアリング212に連結することによって,ギア- 108 -リング212に設けられたギアリム222の回転が,カートリッジ244を回転させることとなる。」(段落【0193】)「例えば,図26に図示するカートリッジ94およびギアリング212の組立体が,小型化機構204とともに,如何なる回転構造を備えることなく用いられることも可能である。廃棄物パッケージの保持は,例えば柱部34の前端を固定して保持する筒部248の構造によって,小型化機構204によりもたらされる。…モーター224は,シャフト226およびギア228を回転させ,これにより,ギアリング212のギアリム222が回転する。ギアリング212の回転によって,それに取り付けられたカートリッジ244が回転する。チューブ34の前端が筒部248によって保持されて回転しないため,カートリッジ244の回転時に廃棄物パッケージの上方において捩りが形成される。このように,この実施形態においては,各廃棄物パッケージに関して,廃棄物パッケージの上方のチューブ34の部分と,廃棄物パッケージの下方のチューブ 時に廃棄物パッケージの上方において捩りが形成される。このように,この実施形態においては,各廃棄物パッケージに関して,廃棄物パッケージの上方のチューブ34の部分と,廃棄物パッケージの下方のチューブ34の部分との間において相対回転が生じ,これにより,捩りが形成され,廃棄物パッケージが密封される。」(段落【0211】)(ウ) 乙21文献乙21文献には,次の記載がある。 「筒状部の外周領域に円筒状の可撓性チューブを積層して収容し、前記筒状部の上端部から可撓性チューブを引出すとともに、引出した前記可撓性チューブを、前記筒状部の内面部において下方に向かって送りだすことが可能なパッケージ収容手段と、前記パッケージ収容手段を、前記筒状部の軸を回転中心として回転可能に支持する本体部と、おむつを前記可撓性チューブ内において下方に押し進めた後に、前記パッケージ収容手段を前記本体部に対して回転させて、前記可撓性チューブを捩じ- 109 -ることにより、おむつパッケージを順次形成するためのおむつ処理器であって、前記筒状部の内面部に設けられ、前記おむつパッケージの回転を防止するため、前記おむつパッケージに当接する弾性保持膜を備える、おむつ処理器。」(【請求項1】)「この発明は、おむつ処理器に関し、より特定的には、おむつのパッケージ処理を確実に行なうことのできるおむつ処理器の構造に関する。」(【発明の属する技術分野】,段落【0001】)「以下、図4を参照して、特開平1-126601号公報に開示されたおむつ処理器の構造について簡単に説明する。このおむつ処理器100Bは、本体部としてのコンテナ1を有し、このコンテナ1の内部には、内部フランジ2と、この内部フランジ2の内側から上方に延びるように設けられる筒状のシリンダ3とを備え 説明する。このおむつ処理器100Bは、本体部としてのコンテナ1を有し、このコンテナ1の内部には、内部フランジ2と、この内部フランジ2の内側から上方に延びるように設けられる筒状のシリンダ3とを備える。」(【従来の技術】,段落【0002】)「シリンダ3とコンテナ1とのより囲まれた環状領域には、管状コアからなるパッケージ収容手段としてのパック4が回転可能な状態で配置されている。このパック4には、円筒状の可撓性チューブ5がその全長の周囲にわたって充分折りたたまれた状態で収容されている。可撓性チューブ5は、パック4の上端部から外部に引き出し可能に設けられ、引出した可撓性チューブ5をシリンダ3の内面部において下方に向かって送り出すことが可能である。」(段落【0003】)「パック4の上部には、パック4をコンテナ1に対して回転させるため、中央に開口部を有する回転グリップ6が設けられている。」(段落【0004】)「上記構成において、可撓性チューブ5の先端部分には、結び目10が形成される。回転グリップ6を回転させることにより、可撓性チューブ5が捩じられ、この捩じられた領域によりベース領域11が形成され- 110 -る。おむつを可撓性チューブ5内においてベース領域11とともに下方に押し進めることにより、おむつを収容した可撓性チューブ5が弾性バネ7によって保持される。その後、再度、回転グリップ6を回転させることにより、おむつを収容したおむつパッケージ12が形成される。上記作業を順次繰り返すことにより、図4に示すように、おむつパッケージ12が順次形成され、コンテナ1内の収容領域13に収容される。」(段落【0007】)「上記構成からなるおむつ処理器100Bにおいて、弾性バネ7によってパッケージ12が保持されることにより、可撓性チューブ5の捩 され、コンテナ1内の収容領域13に収容される。」(段落【0007】)「上記構成からなるおむつ処理器100Bにおいて、弾性バネ7によってパッケージ12が保持されることにより、可撓性チューブ5の捩じりの戻り力に対抗して、可撓性チューブ5の捩じり状態が保持されるようにしている。しかしながら、実際には、弾性バネ7は円周上等ピッチで複数個配置されているだけであるために接触面積が小さく、十分にパッケージ12を保持することができず、徐々にパッケージ12が回転し、パッケージ12の捩じり部が開放してしまう問題が生じている。」(【発明が解決しようとする課題】,【0008】)「この発明の目的は、パッケージの捩じり部が開放することがない構造を有するおむつ処理器を提供することにある。」(段落【0009】)「この発明に基いたおむつ処理器においては、筒状部の外周領域に円筒状の可撓性チューブを積層して収容し、上記筒状部の上端部から可撓性チューブを引出すとともに、引出した前記可撓性チューブを、前記筒状部の内面部において下方に向かって送りだすことが可能なパッケージ収容手段と、上記パッケージ収容手段を、上記筒状部の軸を回転中心として回転可能に支持する本体部と、おむつを上記可撓性チューブ内において下方に押し進めた後に、上記パッケージ収容手段を上記本体部に対して回転させて、上記可撓性チューブを捩じることにより、おむつパッ- 111 -ケージを順次形成するためのおむつ処理器であって、上記筒状部の内面部に設けられ、上記おむつパッケージの回転を防止するため、上記おむつパッケージに当接する弾性保持膜を備える。」(【課題を解決するための手段】,段落【0010】)ウ(ア) 以上によると,乙18文献,乙20文献,乙21文献においては,いずれもごみ貯蔵カセットを支持・回 ケージに当接する弾性保持膜を備える。」(【課題を解決するための手段】,段落【0010】)ウ(ア) 以上によると,乙18文献,乙20文献,乙21文献においては,いずれもごみ貯蔵カセットを支持・回転するための回転装置・器具(クラッチ,回転装置,回転グリップ)が備えられ,本体に載置されたごみ貯蔵カセットを回転させることにより,可撓性チューブを捩るようにしたごみ貯蔵カセットの構成が開示されていると認めることができる。 そして,このような構成が採用されることとなった発明の課題及び解決手段についてみると,乙18文献においては,使用者がツイストリングを手動で操作する従来技術に対して,機械的に密閉することによって貯蔵フィルムの封止,密閉を確実に行おうとするものであり,まず,密閉操作を開始するための蓋の開閉がアクチュエータの第1の操作によって行われ,そして,アクチュエータの第2の操作により,ラックギアがクラッチを作動させ,カセットが回転することによってフィルムの封止,密閉が行われる。ここでフィルムの封止のための技術的手段の中心となるのがワンウェイクラッチによるカセットの一方向のみへの回転であると解される。また,乙20文献においては,従来技術においては,チューブの両端を手動で結んでいたため,何度も結ぶという煩わしさ,結び目が弱いと廃棄物の臭いが漏れるという問題点があったため,それを解決しようとするものであり,ギアリングでカートリッジあるいは保持機構を回転させるようにしたものである。乙21文献においては,従来の弾性バネが十分にパッケージ(可撓性チューブ)を保持することができないため,徐々にパッケージが回転しパッケージの捩り部が開放してしまうという問題点があったのを解決するために,パッケージ収容手- 112 -段であるパックを回転させてパッケージ 保持することができないため,徐々にパッケージが回転しパッケージの捩り部が開放してしまうという問題点があったのを解決するために,パッケージ収容手- 112 -段であるパックを回転させてパッケージを捩るおむつ処理器において,パッケージに当接する弾性保持膜を備えることによって,これを解決しようとするものである。 このように,上記各文献に記載された技術は,本体に載置された回転可能なフィルム貯蔵カセットを備えた処理器において,いずれも回転装置等による貯蔵カセットの回転によってフィルム(チューブ,パッケージ)が捩られ,その捩られたフィルムの捩りが元に戻らないよう,確実に捩られた状態を保持しようとする技術であると理解することができる。 (イ) 他方,乙14発明についてみると,その課題は明細書の記載からは必ずしも明確ではないが,発明の目的が「ひだ付チューブ供給用カセットを提供することにある」とされ,これは「環状ボディと環状フランジの組立体によって達成される」(【0005】)とされていることからみれば,従来の構造とは異なる,環状ボディと環状フランジの組立体からなるカセットを提供することに課題解決の主眼があることがうかがわれる。そして,このような新型カセットの作用効果としては,環状フランジの張出し部によって外周隙間が形成され,また,張出し部の漏斗状の形状によってチューブを滑らすことにあるものと解される(【0006】)。このように,乙14発明の課題はカセットの形状の改善にあるものと考えられる。したがって,明細書の【0024】において,チューブの捩りについて,「前記ねじりは,人手によって実施してもよいし,器具によって実施しても良いし,器具によって実施しても良い。」とされている部分についても,人手による捩りに,捩り部分が戻りやすいなどの欠 捩りについて,「前記ねじりは,人手によって実施してもよいし,器具によって実施しても良いし,器具によって実施しても良い。」とされている部分についても,人手による捩りに,捩り部分が戻りやすいなどの欠点があるなどという課題について意識があることはうかがわれない。また,フィルム(チューブ,パッケージ)の「捩り」については,構造上カセットを吊り下げ固定したままで廃棄物を収容したチュー- 113 -ブを人手や器具により回転させて捩るものであり,吊り下げたカセット自体を回転させて捩るという技術的思想はうかがわれない。 (ウ) 以上の乙18,20,21の各文献の技術の課題及びその解決手段と乙14発明の課題及びその解決手段を比較すると,両者はその課題を異にしており,またその解決手段も異なっている。そして,フィルム(チューブ,パッケージ)の「捩り」についても両者は技術的思想を大きく異にしており,特に乙18,20,21の各文献では,カセットを本体に載置して回転させてフィルムを捩るという技術的思想が開示されているものの,カセットを吊り下げて回転させてフィルムを捩るという技術的思想はいずれの文献にも開示されていない。 したがって,フィルムの捩り部分の戻りを防ぐという課題のない乙14発明に乙18,20,21の各文献の技術を適用する動機づけは認められず,また,仮に適用できたとしても,カセットを吊り下げて回転させてフィルムを捩るという技術事項はいずれの文献からも導くことはできない。 (2) したがって,本件発明1は,乙14発明に乙18文献,乙20文献,乙21文献に開示された周知技術を適用することにより,容易に想到しうるものではないから,本件発明には,かかる進歩性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条2項)は認められず,被告の上記主 献,乙21文献に開示された周知技術を適用することにより,容易に想到しうるものではないから,本件発明には,かかる進歩性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条2項)は認められず,被告の上記主張を採用することはできない。 6 争点(1) 本件発明1に係る特許権の侵害の有無,(1)-2 本件発明1に係る特許の無効理由の有無,(1)-2③b 進歩性欠如(主引用例乙14)について(1) 被告は,乙14発明と,乙18文献に開示された発明を組み合わせることにより,当業者は,ごみ貯蔵カセットを回転装置に吊り下げ支持するようにした本件発明1を容易に想到し得るから,本件発明には,進歩性欠如の無- 114 -効理由(特許法123条1項2号,29条2項)があると主張する。 アそこで検討すると,本件発明と乙14発明とを対比すると,両者は,上記第3【本訴】4(1)エ(イ)①~③の相違点1~3において相違する。 イ乙18文献には,上記第3【本訴】5(1)イ(ア)記載の発明が開示されている(以下「乙18発明」という。)ウ相違点の検討(乙14発明と乙18発明の組合せ)乙14発明は,猫砂や赤ちゃん用おむつ等の廃棄物収集用のひだ付きチューブ供給用カセットに関するものであり,乙18発明は,幼児用おむつ等の廃棄物貯蔵装置に関するものであるから,技術分野は共通する。しかしながら,5と同様の理由により,両者の課題は,共通しておらず,カセットを吊り下げて回転させてフィルムを捩るという技術的思想はいずれの文献にも開示されていない。 したがって,乙14発明に乙18発明を組み合わせることの動機付けは存しないものというべきであり,また,仮に組み合わせることができたとしても,カセットを吊り下げて回転させてフィルムを捩るという技術事項はいずれの文献からも導くこと 発明を組み合わせることの動機付けは存しないものというべきであり,また,仮に組み合わせることができたとしても,カセットを吊り下げて回転させてフィルムを捩るという技術事項はいずれの文献からも導くことはできない。 (2) 以上のとおり,本件発明1は,乙14発明と,乙18発明を組み合わせることにより,容易に想到し得るものではないから,本件発明には,かかる進歩性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条2項)は認められず,被告の上記主張を採用することはできない。 7 争点(1) 本件発明1に係る特許権の侵害の有無,(1)-2 本件発明1に係る特許の無効理由の有無,(1)-2③c 進歩性欠如(主引用例乙18)について(1) 被告は,乙18発明と,周知の技術を組み合わせることにより,当業者は,ごみ貯蔵カセットを回転装置に吊り下げ支持するようにした本件発明1を容易に想到し得るから,本件発明には,進歩性欠如の無効理由(特許法1- 115 -23条1項2号,29条2項)があると主張する。 ア乙18発明の内容そこで検討すると,前記のとおり,乙18文献には,以下の乙18発明が開示されていると認めることができる。 「本体の上部に備えられた小室にもうけられたクラッチ270に据え付けるためのカセット130であって,該カセット130は,略円柱状のコア132を画定する内側壁と,外側壁と前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたフィルム135を入れる貯蔵部と,前記内側壁の上部から前記外側壁に向けて延出するフィルムリング140であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋折りが前記フィルムリング140をこえて前記コア132内へ引き出されるフィルムリング140と,前記カセット130の支持・回転のために,前記クラッチと係合するように,カセット130の底面を載置す 貯蔵袋折りが前記フィルムリング140をこえて前記コア132内へ引き出されるフィルムリング140と,前記カセット130の支持・回転のために,前記クラッチと係合するように,カセット130の底面を載置する構成117,119と,を備え,前記クラッチ270上に置かれるように構成されたカセット130」イ本件発明1と乙18発明の対比本件発明1と乙18発明の内容を対比する。 (ア) 乙18発明の「本体の上部に備えられた小室にもうけられたクラッチ270に据え付けるためのカセット130」は,本件発明1の構成要件A(A)の「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に係合され回転可能に据え付けるためのごみ貯蔵カセット」に相応する。 (イ) 乙18発明の「該カセット130は,略円柱状のコア132を画定する内側壁と」は,本件発明1の構成要件B(B,B-1)の「該ごみ貯蔵カセットは,略円柱状のコアを画定する内側壁と」に相応する。 (ウ) 乙18発明の「外側壁と」は,本件発明1の構成要件C(B-2)の「外側壁と」に相応する。 - 116 -(エ) 乙18発明の「前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたフィルム135を入れる貯蔵部と,」は,本件発明1の構成要件D(B-3)の「前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と」に相応する。 (オ) 乙18発明の「前記内側壁の上部から前記外側壁に向けて延出するフィルムリング140であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋折りが前記フィルムリング140をこえて前記コア132内へ引き出されるフィルムリング140と,」は,本件発明1の構成要件E(B-4)の「前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前 2内へ引き出されるフィルムリング140と,」は,本件発明1の構成要件E(B-4)の「前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と」に相応する。 (カ) 乙18発明の「前記カセット130の支持・回転のために,前記クラッチと係合するように,構成と,を備え,」は,本件発明1の構成要件F(B-5)の「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように,構成と,を備え,」に相応するが,乙18発明が「カセット130の底面を載置する構成117,119と」であり,本件発明が「前記外側壁から突出する構成と」の点において異なる。 (キ) 乙18発明の「前記クラッチ270上に置かれるように構成されたカセット130」は,本件発明1の構成要件G(C,D)の「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された,ごみ貯蔵カセット。」と異なる。 ウ本件発明1と乙18発明の一致点,相違点 (ア) 一致点本件発明1と乙18発明は「ごみ貯蔵機器の上部に備えられた小室に設けられたごみ貯蔵カセット回転装置に回転可能に据え付けるためのご- 117 -み貯蔵カセット」であって,「該ごみ貯蔵カセットは,略円柱状のコアを画定する内側壁と,外側壁と,前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と,前記内側壁の上部から前記外部壁に向けて延出する延出部であって,使用時に前記ごみ貯蔵袋織りが前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と」,「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように,構成と,を備え,」た「ごみ貯蔵カセット」の点で一致 前記延出部をこえて前記コア内へ引き出される延出部と」,「前記ごみ貯蔵カセットの支持・回転のために,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように,構成と,を備え,」た「ごみ貯蔵カセット」の点で一致する。 (イ) 相違点本件発明1と乙18発明は,次の点で相違する。 ① 相違点1本件発明1のごみ貯蔵カセットは,前記ごみ貯蔵カセット回転装置と係合するように「前記外側壁から突出する構成と,を備え」とされているのに対し,乙18発明のごみ貯蔵カセットは,「カセット130の底面を載置する構成117,119と,を備え」とされている点② 相違点2本件発明1のごみ貯蔵カセットは,「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成された」とされているのに対し,乙18発明のごみ貯蔵カセットは,「前記クラッチ270上に置かれるように構成された」とされている点エ相違点の検討被告は,主引用例乙18と周知の技術を組み合わせることにより,当業者は,相違点を容易に想到し得ると主張する。すなわち,本件発明1と乙18発明との相違は,カセットの支持構造が,回転装置から吊下げる方式か,回転装置上に置く方式かであるが,支持構造の相違は,ほとんど苦もなくカセットを手動で回転等させることができること,及び,多数の異な- 118 -るタイプの容器に据え付けることができること等の作用効果的に見て,顕著な差となるものではなく,「吊り下げ式」を開示する公知文献(乙14文献の図4,乙19文献の図5,乙6文献の図1)も,「底部支持式」を開示する公知文献(乙18文献の図1,乙20文献の図1,乙11文献の図1)も存することから,両者は当業者にとって設計事項であるとする。 しかしながら,乙18発明の課題は,フィルム ,「底部支持式」を開示する公知文献(乙18文献の図1,乙20文献の図1,乙11文献の図1)も存することから,両者は当業者にとって設計事項であるとする。 しかしながら,乙18発明の課題は,フィルムカートリッジから供給され,廃棄物を入れた貯蔵フィルムについて,使用者がペダルを足で踏むこと等により,機械的に密閉操作を行うことが可能となる機構を備えた廃棄物貯蔵装置を提供することであり(【発明の概要】),カセットの回転装置との関係では,フィルムの捩り部の戻りを防止し,捩りを確実にするためにワンウェイクラッチを採用したものである。その具体的な技術としては,貯蔵フィルムカセットをワンウェイクラッチ上の回転装置の上に置く「底部支持式」を開示するに止まる。 ところで,乙18発明において,カセットを「吊り下げ式」とする場合には,クラッチ機構からの吊り下げ式となるから,乙18発明の載置式のものと比較して,足踏み式アクチュエータからクラッチ機構までの距離が遠くなるとともに,吊り下げ式にするためにギアやクラッチ機構自体の改善も必要である。したがって,当業者がこれらの改善を要すべき点を克服してまで,乙18発明を「吊り下げ式」に変更することが容易であるということはできない。また,同様に,載置式のカセットから吊り下げ式で回転するための「外側壁から突出する構成」を備えたカセットを想到することも容易であるとはいえない。 そうすると,乙14文献,乙18文献,乙20文献,乙21文献等において,「吊り下げ式」及び「底部支持式」が周知技術として開示されているとしても,これを乙18発明に組み合わせ,当業者において,本件発明1と乙18発明の相違点である,「前記外側壁から突出する構成」とされ- 119 -ている点,「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成 8発明に組み合わせ,当業者において,本件発明1と乙18発明の相違点である,「前記外側壁から突出する構成」とされ- 119 -ている点,「前記ごみ貯蔵カセット回転装置から吊り下げられるように構成」されている点を,いずれも容易に想到し得るということはできない。 (2) したがって,本件発明1は,乙18発明と,周知技術を組み合わせることにより,容易に想到し得るものではないから,本件発明1には,かかる進歩性欠如の無効理由(特許法123条1項2号,29条2項)は認められず,被告の上記主張を採用することはできない。 8 争点(2) 本件発明2に係る特許権の侵害の有無,(2)-1 本件発明2の間接侵害の成否について(1) 前提となる事実(7)のとおり,イ号物件が,本件発明1の構成要件B~E(B~B-4)を充足することは争いがない。そして,本件発明2の構成要件N~P(D~D3)は,本件発明1の構成要件B~D(B~B-3)と同一であるから,イ号物件が備え付けられた原告製品が本件発明2の構成要件N~P(D~D3)を充足することは争いがないものと認められる。 (2) 甲52~甲55によれば,イ号物件が備え付けられた原告製品MARKⅢは,以下の内容のものと認められる。 ① ごみ貯蔵器の上部に小室が設けられ,そこにごみ貯蔵カセットが配置されるものであり,② 前記小室内には,ごみ貯蔵カセット回転装置が据え付けられ,ごみ貯蔵カセット回転装置はごみ貯蔵カセットと係合するように形成されており,ごみ貯蔵回転装置の回転により,これに係合したごみ貯蔵器が回転するように構成され,③ ごみ貯蔵回転装置は,上部に平面状の環状部分を備え,④ 上記平面状の環状部分から下方へ円筒状の壁が設けられ,⑤ 上記円筒状の壁の下端には円筒の円周に するように構成され,③ ごみ貯蔵回転装置は,上部に平面状の環状部分を備え,④ 上記平面状の環状部分から下方へ円筒状の壁が設けられ,⑤ 上記円筒状の壁の下端には円筒の円周に沿って内部へやや突出した係合部分が設けられ,その係合部分にごみ貯蔵カセットの外側壁から突出した- 120 -部分が係合するように構成され,⑥ ごみ貯蔵カセットは略円柱状のコアを画定する内側壁と,⑦ 外側壁と,⑧ 前記内側壁と前記外側壁との間に設けられたごみ貯蔵袋織りを入れる貯蔵部と,を備え⑨ 前記ごみ貯蔵カセットは,前記外側壁に設けられた外側へ突出した部分がごみ貯蔵カセット回転装置の内部へ突出した係合部分と係合し,⑩ 前記ごみ貯蔵化カセットの外側壁に設けられた外側へ突出した構成によって,ごみ貯蔵カセットの円筒の内周に沿って内部へやや突出した係合部分と係合して,同部分から吊り下げられるように構成された,⑪ ごみ貯蔵機器(3) 前記(2)で示したイ号物件が備え付けられた原告製品の構成①ないし⑪は,① 構成(2)①が本件特許発明2の構成要件H(A)を充足し,② 構成(2)②が本件特許発明2の構成要件I(A)を充足し,③ 構成(2)③が本件特許発明2の構成要件J(B,B-1)を充足し,④ 構成(2)④が本件特許発明2の構成要件K(B-2)を充足し,⑤ 構成(2)⑤が本件特許発明2の構成要件L(B-3)を充足し,⑥ 構成(2)⑥ないし⑧が本件特許発明2の構成要件N~P(D~D-3)を充足し(この点は前記のとおり当事者間に争いがない。),⑦ 構成(2)⑨が本件特許発明2の構成要件Q(E)を充足し,⑧ 構成②⑩,⑪が本 件特許発明2の構成要件N~P(D~D-3)を充足し(この点は前記のとおり当事者間に争いがない。),⑦ 構成(2)⑨が本件特許発明2の構成要件Q(E)を充足し,⑧ 構成②⑩,⑪が本件特許発明2の構成要件R(F,G)を充足する。 以上により,イ号物件が備え付けられた原告製品は,本件発明2の構成要件を充足する。 (4) 「その物の生産に用いる物」の要件について- 121 -原告製品(MARKⅢ・商品名ニオイ・クルルンポイ)の販売においては,原告製のごみ貯蔵機器とごみ貯蔵カセットが一体として販売されている(甲6)。したがって,原告製品(MARKⅢ)用のごみ貯蔵カセットとしてイ号物件を購入する消費者は,一旦,原告製のごみ貯蔵機器と原告製ごみ貯蔵カセットが一体となった商品(甲6によれば税込み価格8400円)を購入した後,ごみ貯蔵カセット部分の交換品としてイ号物件を購入することになる(甲1によれば,イ号製品3個入りパックの価格は2700円,1個当たり900円である。)。したがって,この場合,イ号物件を購入した消費者は,特許実施品である原告製品MARKⅢを購入した後,そのうちの消耗品であるごみ貯蔵カセットの部分をイ号物件に取り替えたことになる。 このようなイ号物件の購入の態様,ごみ貯蔵機器本体との価格比等に照らすと,消費者による取替えの品としてのイ号物件の設置によって,新たな特許実施品であるごみ貯蔵機器が生産されたものとは認められないから,イ号物件は「その物の生産に用いる物」ということはできない。 (5) 以上のとおりであるから,その余の点について判断するまでもなく,イ号物件の製造販売について,特許法101条2項(間接侵害)が適用されるということはできない。 9 争点(3) 本件意匠権の侵害の有無,(3)-1 本 るから,その余の点について判断するまでもなく,イ号物件の製造販売について,特許法101条2項(間接侵害)が適用されるということはできない。 9 争点(3) 本件意匠権の侵害の有無,(3)-1 本件登録意匠の構成態様について(1) 本件登録意匠の構成態様は,証拠(甲8)によれば,以下のとおりと認められる。 ア基本的構成態様全体が,内側壁面と,外側壁面と,内外側壁面の底部を接続する底壁と,内側壁面の頂部から半径方向外方に向けて張り出している半截リング形状の延出部とからなる,正面視横長略長方形状,上面視リング形状の略バームクーヘン形状の容器であり,その高さを外周径の略1/2とし,上- 122 -面のリング形状の幅を半径の略1/3とする構成態様である。 イ具体的構成態様(a) 半截リング形状延出部は,内側壁面と外側壁面との間に形成されるドーナツ形凹陥部の円周方向の半分の領域(約180度)だけを覆う円周方向長さを有している(b) 半截リング形状延出部の円周方向一方端部はリング幅全体に亘る半径方向長さの端面によって終端となり,その円周方向他方端部は半径方向外縁が終端部付近でゆるやかにリング幅の中央部付近まで彎曲し,それによってリング幅を半径方向内側に向かって徐々に細くした先細形状としている(c) 半截リング形状延出部の半径方向外縁と外側壁面との間に隙間を設けている(d) 半截リング形状延出部が,内側壁面の内側から半径方向外方に向けて略庇状(断面視倒「L」字状)に形成されている(e) 外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している(f) 前記リブの真下に,円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成している(g) 略鍔状の突出部の円周方向の一箇所には,突出部を取り除いた欠け 1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している(f) 前記リブの真下に,円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成している(g) 略鍔状の突出部の円周方向の一箇所には,突出部を取り除いた欠け部が設けられている(h) 外側壁面には,その底端から前記突出部の近くまで立ち上がった裾広がりの細い山状の段差凹部が円周方向等間隔に6個設けられている(2) 原告は,本件登録意匠における延出部は,「半截リング形状」ではなく,略ドーナツ板状の「完全リング形状」であると主張する。そして,意匠公報(甲8)において,延出部が半截リング形状で図示されているのは,本件意匠出願が第一国出願の欧州共同体意匠出願(意匠図面)を基礎として優- 123 -先権主張をして日本に出願され,意匠登録を受けたことによると主張する。 しかしながら,登録意匠の範囲は,願書の記載及び願書に添附した図面等に記載された意匠に基づいて定められなければならないところ(意匠法24条1項),本件登録意匠(甲8)の添附図面においては,延出部を完全リング形状とする図面はなく,添附された7枚の図面のうち,斜視図,正面図,平面図,背面図,右側面図の5枚のいずれの図面においても,延出部は半截リング形状をなすものとして表現されていること,本件意匠出願において,延出部を半截リング形状として記載したことが,内部構造を示すための表現であったことを窺わせるような事情も存しないこと等からすると,本件登録意匠における延出部が「完全リング形状」と認めることはできない。 また,本件登録意匠の意匠に係る物品の説明欄には,「本物品は,汚物入れ等の中に装着されて使用されるものであり,その使用方法は,ドーナツ形凹陥部内に,引き出し可能に連続する多数の筒状の袋を収納し,順次その袋を引き出して,中央の穴に取り付け,汚物 ,「本物品は,汚物入れ等の中に装着されて使用されるものであり,その使用方法は,ドーナツ形凹陥部内に,引き出し可能に連続する多数の筒状の袋を収納し,順次その袋を引き出して,中央の穴に取り付け,汚物を回収するものである。」との記載があるが,上記説明欄の記載を考慮したとしても,かかる使用方法を実現するために,延出部の形状が必然的に「完全リング形状」となると解することはできない。 原告は,意匠法24条1項について,国際条約により要求されるべき別基準が存在する場合は,これを斟酌することが許されるところ,OHIMの法令によれば,完全リング形状の意匠と認定されるから,本件登録意匠の範囲についても,優先権主張の基礎出願と同一の創作に係る意匠と定められるべきであると主張する。しかしながら,優先権主張の要件(意匠法15条,特許法43条,43条の2,パリ条約4条D(1),C(4),A(2))は,我が国で意匠出願をした出願日より遡って優先権を主張するための要件にすぎない。我が国における意匠登録の範囲は我が国独自に決定され,それが決定された上で,それが優先権の基礎となった出願に含まれているか否かが判断さ- 124 -れるのであって,優先権主張があったからといって,我が国における登録意匠の範囲が優先権の基礎となった意匠の範囲と一致されるように解釈されるべきものではない。原告の主張は採用することができない。 原告は,本件の欧州共同体登録意匠においても,延出部は「完全リング形状」であり,半截リング形状の表現をしたのは,切欠け図面により物品の内部構造と外部構造の両方を開示する慣用的表現手法によったものである等と主張する。しかしながら,欧州共同体登録意匠の出願の趣旨,登録の範囲がどのようなものであれ,我が国における登録意匠の範囲は我が国独自に決定されるべきも を開示する慣用的表現手法によったものである等と主張する。しかしながら,欧州共同体登録意匠の出願の趣旨,登録の範囲がどのようなものであれ,我が国における登録意匠の範囲は我が国独自に決定されるべきものであるから,欧州共同体登録意匠の出願の趣旨,登録の範囲を我が国の登録意匠の解釈の参考にすべきであるとの原告の主張は採用することができない。 以上のとおり,原告の上記各主張は,いずれも採用することができない。 争点(3) 本件意匠権の侵害の有無,(3)-2 イ号物件の構成態様についてイ号物件の構成態様は,別紙イ号物件目録のとおりであり,以下のとおりと認められる。 (1) 基本的構成態様全体が,内側壁面と,外側壁面と,内外側壁面の底部を接続する底壁と,内側壁面の頂部から半径方向外方に向けて張り出している完全リング形状の延出部とからなる,正面視横長略長方形状,上面視リング形状の略バームクーヘン形状の容器であり,その高さを外周径の略1/2とし,上面のリング形状の幅を半径の略1/3とする構成態様である。 (2) 具体的構成態様(a) 完全リング形状延出部は,内側壁面と外側壁面との間に形成されるドーナツ形凹陥部の円周方向の全領域(約360度)を覆う円周方向長さを有している(b) 完全リング形状延出部は,同じリング幅で途切れることなく円周全体- 125 -に亘って延びている(c) 完全リング形状延出部の半径方向外縁と外側壁面との間に隙間を設けている(d) 完全リング形状延出部は,内側壁面の内側から半径方向外方に向けて略庇状に形成されている(e) 外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している(f) 前記リブの真下に,円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成している(g) 略鍔状 状に形成されている(e) 外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している(f) 前記リブの真下に,円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成している(g) 略鍔状の突出部の円周方向の等間隔の4箇所には,突出部を取り除いた欠け部が設けられている(h) 外側壁面には,その底端から前記突出部の真下に至るまで,段差や凹部のない滑らかな円筒面である(i) 完全リング形状延出部には,円周方向に沿ってほぼ等間隔に10個の丸穴が形成されている 11 争点(3) 本件意匠権の侵害の有無,(3)-3 本件登録意匠とイ号物件の意匠の類否について(1) 意匠の類否の判断は,当該意匠に係る物品の性質,用途,使用態様,公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌し,当該意匠に係る物品の看者となる需用者において,視覚を通じて最も注意を惹かれる部分である要部を対象となる意匠から抽出した上で,登録意匠とイ号物件の意匠とを対比し,要部における共通点及び差異点を検討し,全体として,美観を共通にするか否かを基本として行うべきものである。 ア公知意匠本件登録意匠の優先権主張日である平成15年10月23日以前において公知であった「流しのディスポーザ」に関する公開特許公報昭54-29272号(乙5),「廃棄物の処理装置」に関する公開実用新案公報昭- 126 -60-184807号(乙6),「パッケージング装置及びパッケージング方法」に関する公開特許公報平1-226601号(乙7,以下「乙7文献」という。),「繰出し可能な可撓性の管を収容したカセット」に関する公開特許公報平2-86565号(乙8,以下「乙8文献」という。),「パッキング装置」に関する公開特許公報平8-175603号(乙9,以下「乙9文献」という。),「病院 を収容したカセット」に関する公開特許公報平2-86565号(乙8,以下「乙8文献」という。),「パッキング装置」に関する公開特許公報平8-175603号(乙9,以下「乙9文献」という。),「病院および家庭の廃棄物を集めて封じ込めるための装置」に関する米国特許公報第6065272号(乙10),「廃棄物貯蔵装置」に関する公表特許公報2002-502784号(乙11,以下「乙11文献」という。),「廃棄物収納装置」に関する公開特許公報2002-541040号(乙12,以下「乙12文献」という。)及び「ごみ貯蔵装置用スプール」に関する国際特許公開公報WO02/100723A1(乙13,以下「乙13文献」という。)によると,ごみ貯蔵カセットについて,全体が,内側壁面と,外側壁面と,内外側壁面の底部を接続する底壁と,延出部とからなり,概ね,正面視の形状が,横長略長方形状であり,上面視の形状が,中心部が円筒状に空いたリング(環状)形状の略バームクーヘン形状をなすことが開示されるとともに,上記略バームクーヘン形状は,高さ及びリング形状の幅において,高さを外周径の略1/3~2/3とし,上面のリング形状の幅を半径の略1/3~1/2とすることが開示されている。また,乙7文献,乙9文献,乙11文献,乙12文献によると,延出部が一方の壁面から略庇状に形成されており,延出部の縁とその対向する壁面との間に隙間が設けられていることが開示されている。乙8文献には,円周方向に沿って外側壁から略鍔状の突出部が形成されていることが開示されている。乙10文献では,外側壁と内側壁の双方に庇状分部が形成され,これが交差する形状が開示されている。乙13文献には,延出部が,内側壁面から半径方向外方に向けて略庇状に形成されており,延出部の半径方向外縁と外側壁面- 127 -と の双方に庇状分部が形成され,これが交差する形状が開示されている。乙13文献には,延出部が,内側壁面から半径方向外方に向けて略庇状に形成されており,延出部の半径方向外縁と外側壁面- 127 -との間に隙間が設けられていることが開示されている。 イ本件登録意匠の要部本件登録意匠は,その意匠に係る物品が「汚物入れ用カセット」であり,需用者は,カセットをごみ貯蔵機器本体に取り付ける際には,間近にカセット全体の外観を観察し,カセットの延出部と外側壁面の間隙からフィルムを引き出し,延出部を覆うようにフィルムを内側に導入する作業を行う際には,上記作業を繰り返す度ごとに,間近にカセットの上面の延出部を中心に観察し,使用済みカセットをごみ貯蔵機器から取り出す際には,間近にカセット全体の外観を観察することからすると,看者である需用者においては,カセット全体の外観における特徴点とともに延出部の形状が,その注意が惹かれる部分であるというべきである。 したがって,本件登録意匠の要部は,基本的構成態様において,延出部が半截リング形状であること,また,具体的構成態様において,(a)延出部は,内側壁面と外側壁面との間に形成されるドーナツ形凹陥部の円周方向の半分の領域(約180度)を覆う円周方向長さを有していること,(b)延出部の円周方向一方端部はリング幅全体に亘る半径方向長さの端面によって終端となり,その円周方向他方端部は半径方向外縁が終端部付近でゆるやかにリング幅の中央部付近まで彎曲し,それによってリング幅を半径方向内側に向かって徐々に細くした先細形状としていること,(e)外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成していること,(g)略鍔状の突出部の円周方向の一か所には,突出部を取り除いた欠け部が設けられていること,( していること,(e)外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成していること,(g)略鍔状の突出部の円周方向の一か所には,突出部を取り除いた欠け部が設けられていること,(h)外側壁面には,その底端から前記突出部の近くにまで立ち上がった裾広がりの細い山状の段差凹部が円周方向等間隔に6個設けられていることであると認めるのが相当である(なお,基本的構成態様のうち,高さを外周径の略1/2とし,上面のリング形状の幅を半径の略1/3とすることは,形状的に際だった特徴と認- 128 -めることはできない。)。 原告は,延出部及びその形状は本件登録意匠の要部を構成せず,他方,種々の形状が公知であっても,それらを新規に組み合わせたものは,組合せ全体として意匠の要部となり得るから,本件においては,略バームクーヘン形状,延出部の縁と対向する外側壁との間の隙間,外側壁面の外周面の上方のリブ及び鍔状の突出部の態様の各要素の組合せは,本件登録意匠の要部となると主張する。しかしながら,上記のとおり,看者である需用者の視点からすると,本件登録意匠における延出部の形状は,特にその注意を惹くものとして要部となると解するのが相当である。また,上記各要素の組合せに関する原告の主張については,一般に,個別の形状が公知のものであっても,その組合せによって,全体として新規な意匠を構成することがあり得るとしても,本件においては,これを看者である需用者の注意を惹く部分として抽出することはできない。したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 ウ本件意匠とイ号物件の意匠の対比本件登録意匠とイ号物件の意匠を対比すると,本件登録意匠の要部を含む全体としての共通点と差異点は,次のとおりである。 (ア) 共通点① 基本的構成 意匠とイ号物件の意匠の対比本件登録意匠とイ号物件の意匠を対比すると,本件登録意匠の要部を含む全体としての共通点と差異点は,次のとおりである。 (ア) 共通点① 基本的構成態様全体が,内側壁面と,外側壁面と,内外側壁面の底部を接続する底壁と,内側壁面の頂部から半径方向外方に向けて張り出している延出部とからなる,正面視横長略長方形状,上面視リング形状の略バームクーヘン形状の容器であり,その高さを外周径の略1/2とし,上面のリング形状の幅を半径の略1/3とする構成態様である。 ② 具体的構成態様(c) 延出部の半径方向外縁と外側壁面との間に隙間を設けている- 129 -(d) 延出部が,内側壁面の内側から半径方向外方に向けて略庇状(断面視倒「L」字状)に形成されている(e) 外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している(f) 前記リブの真下に,円周方向に沿って略鍔状の突出部を形成している(イ) 差異点① 基本的構成態様における差異点内側壁面の頂部から半径方向外方に向けて張り出している延出部の形状が,本件登録意匠は半截リング形状であるのに対し,イ号物件の意匠は完全リング形状である点② 具体的構成態様における差異点a 本件登録意匠の半截リング形状延出部は,内側壁面と外側壁面との間に形成されるドーナツ形状凹陥部の円周方向半分の領域(約180度)を覆う円周方向長さを有し,その一方端部はリング幅全体に亘る半径方向長さの端面によって終端となり,他方端部はリング幅を半径方向内側に向かって徐々に細くした先細形状としているのに対し,イ号物件の意匠の完全リング形状延出部は,内側壁面と外側壁面との間に形成されるドーナツ形凹陥部の円周方向全領域(360度)を覆う円周方 径方向内側に向かって徐々に細くした先細形状としているのに対し,イ号物件の意匠の完全リング形状延出部は,内側壁面と外側壁面との間に形成されるドーナツ形凹陥部の円周方向全領域(360度)を覆う円周方向長さを有し,同じリング幅で円周全体にわたって延びている点b イ号物件の意匠の完全リング形状延出部には,円周方向に沿ってほぼ等間隔に10個の丸穴が形成されているのに対し,本件登録意匠の半截リング形状延出部には丸穴はない点c 本件登録意匠の外側壁面には,その底端から前記突出部の近くにまで立ち上がった裾広がりの山状の段差凹部が円周方向等間隔に6- 130 -個設けられているのに対し,イ号物件の意匠の外側壁面は,段差や凹部のない滑らかな円筒面である点d 本件登録意匠の略鍔状の突出部には,円周方向の1箇所に突出部を取り除いた欠け部が設けられているのに対し,イ号物件の意匠の突出部には,円周方向等間隔に4箇所に欠け部が設けられている点エ共通点,差異点の評価(ア) 以上によると,本件登録意匠とイ号物件の意匠は,本件登録意匠において需用者の注意を惹く部分である要部において差異点があるものである。 すなわち,基本的構成態様においては,内側壁面の頂部から半径方向外方に向けて張り出している延出部の形状が,本件登録意匠は半截リング形状であって,上面からカセットの半分の内容が見える形状となっているのに対し,イ号物件の意匠は完全リング形状であって,カセットの上面が覆われて見える形状となっているものであり,看者に対して異なる美観を与えるものといえる。 また,具体的構成態様においても,本件登録意匠における半截リング形状の延出部とイ号物件の意匠における完全リング形状の延出部とは,端部の形状等において相当異なっており,イ号物件の意匠における延出部には た,具体的構成態様においても,本件登録意匠における半截リング形状の延出部とイ号物件の意匠における完全リング形状の延出部とは,端部の形状等において相当異なっており,イ号物件の意匠における延出部には,本件登録意匠の延出部には設けられていない10個の丸穴が設けられている点においても,形状を異にしており,本件意匠の対象となる物品を使用する際に,その上面部を間近に観察する機会が多い看者に対し,相当に異なる美観を与えるものといえる。 さらに,本件登録意匠の外側壁面には,6個の段差凹部が設けられているのに対し,イ号物件の意匠の外側壁面には,段差や凹部がないこと,本件登録意匠の略鍔状の突出部の切り欠け部は,1か所設けられているのに対し,イ号物件の意匠の略鍔状の突出部の切り欠け部は,等間- 131 -隔に4か所の設けられていること等も,本件意匠の対象となる物品を使用する際に,その全体の外観を間近に観察することになる看者に対し,異なる美観を与えるものといえる。 そして,本件登録意匠とイ号物件の意匠には,上記の共通点も認められ,このうち(e)外側壁面の外周面の上方の略1/4部分に,縦に多数のリブを等間隔に形成している点は,本件登録意匠の要部といえるが,その余の共通点は,いずれも公知の形状であることに照らすと,これらの共通点が,上記差異点を凌駕するほどの影響を看者に及ぼすものということはできない。 したがって,イ号物件の意匠は,本件登録意匠に類似していない。 (イ) 原告は,①延出部は通常の使用状態において需要者に見えない部分である,②延出部の端部の形状は内部構造を示すための慣用的表現すぎない,③イ号物件意匠の延出部の丸穴は,格段の特異性はない,④外側壁面の段差凹部は,段差が極浅く幅も狭いありふれた形状である,⑤鍔状突出部の一部の切欠き部 の形状は内部構造を示すための慣用的表現すぎない,③イ号物件意匠の延出部の丸穴は,格段の特異性はない,④外側壁面の段差凹部は,段差が極浅く幅も狭いありふれた形状である,⑤鍔状突出部の一部の切欠き部の数は,共通点に包摂される程度の僅かな差異である等として,いずれも類否判断に大きく影響しないと主張する。 しかしながら,上記のとおり,原告の指摘する点は,いずれも本件登録意匠の要部に関する差異点であり,看者に対し,相当程度異なる美観を与えるものであって,共通点が差異点を凌駕するほどの影響を看者に及ぼすと認めることはできない。したがって,上記各差異点が,類否の判断に与える影響が微弱なものと認めることはできず,そのことを前提とする原告の上記各主張は,いずれも採用することができない。 (2) したがって,イ号物件の意匠は,本件登録意匠に類似していないから,本件意匠権を侵害しておらず,原告の意匠権侵害に基づく請求はいずれも理由がない。 12 争点(4) 契約に基づく差止請求の可否,(5) 差止・廃棄請求の可否につい- 132 -て以上によると,イ号物件は,原告の本件特許権の技術的範囲に属しており,本件特許権には,無効理由が存すると認めることができないところ,被告は,本件弁論終結時である平成23年7月12日時点において,イ号物件を輸入し,販売し,販売の申し出をしていることが認められるから(前提となる事実(5)),原告の本件特許権侵害に基づく差止請求及びイ号物件の廃棄請求については,いずれも理由があるというべきである。 以上のとおり,本件特許権侵害に基づく差止請求が認容される以上,契約に基づく差止請求については判断するまでもない。 13 争点(6) 故意・過失の有無について上記のとおり,被告のイ号製品は,本件発明1に係る本件特許権を 基づく差止請求が認容される以上,契約に基づく差止請求については判断するまでもない。 13 争点(6) 故意・過失の有無について上記のとおり,被告のイ号製品は,本件発明1に係る本件特許権を侵害しているものと認められるから,被告において,侵害行為について過失があったと推定されるものである(特許法103条)。そして,被告は,特段,これを覆すに足りる主張立証を行っていないことからすると,被告には,上記侵害行為について,過失があったと認めるのが相当である。 14 争点(7) 損害,(7)-1 損害額の算定(特許法102条2項),(7)-2損害額の算定(特許法102条3項),(7)-3 積極損害について(1) 以上のとおり,被告は,イ号物件の輸入,販売,販売の申し出により,本件発明1に係る特許権を侵害しているから,被告は,これにより原告が被った損害を賠償する義務がある。 (2) 特許法102条2項に基づく損害額の算定原告は,特許法102条2項に基づく損害の算定を主張するのに対し,被告は,原告は日本国内において本件発明1に係る特許権を実施していないから,同条項の推定は及ばないと主張するので,この点について検討する。 ア前提となる事実に加え,証拠(甲56)及び弁論の全趣旨によると,原告とコンビ社は,平成20年10月15日,「赤ちゃん向けおむつ処理製- 133 -品の販売店契約」を締結したこと,同契約において,●(省略)●原告は,コンビ社との間の独占的販売契約の内容について,甲56により開示した以外に,ロイヤルティの約定の有無や,製品の引渡し時期・場所,代金の支払い時期等について明らかにしていないことがそれぞれ認められる。 イ以上の認定事実及び原告自身も本件口頭弁論終結時までの間に原告が本件特許を日本国内で実施してい 引渡し時期・場所,代金の支払い時期等について明らかにしていないことがそれぞれ認められる。 イ以上の認定事実及び原告自身も本件口頭弁論終結時までの間に原告が本件特許を日本国内で実施しているとは主張していないことに照らせば,原告製品の所有権の移転の時期については,明確ではない点があるものの,原告は,コンビ社に独占的販売権を付与し,わが国におけるごみ貯蔵機器に関する原告製品の輸入及び販売等は,コンビ社において担当していたものと認めることができるのであって,原告が我が国において本件特許権を実施していたと認めることはできない。 したがって,原告においては,特許法102条2項の推定の前提を欠き,同条項に基づき損害額を算定することはできないというべきである。 ウこの点について,原告は,特許法102条2項を適用するについて,特許権者の実施は要件とされておらず,特許権者に逸失利益が認められる場合,すなわち,「侵害者が1つの侵害製品を販売すれば,特許権者が1つの製品の販売機会を喪失することになる」という因果関係があれば足りるのであり,市場において競合及びシェアを奪い合う関係があれば,同条項の適用の基礎があり,本件においては,被告がイ号物件を1個販売すると,原告は原告製カセットを1個販売できなくなることは明白であるから,逸失利益の発生が認められると主張し,また,原告は,本件発明1を実施しているのと同視できるとも主張する。 しかしながら,102条2項が適用されるためには,特許権者が我が国において当該特許発明を実施していることを要するものと解すべきことは前記のとおりである。 - 134 -なお,仮に,原告が主張するような立場に立って考えるとしても,ここでの問題は,侵害者が1つの侵害製品を販売すれば,特許権者が1つの製品の販売利益を喪失す とは前記のとおりである。 - 134 -なお,仮に,原告が主張するような立場に立って考えるとしても,ここでの問題は,侵害者が1つの侵害製品を販売すれば,特許権者が1つの製品の販売利益を喪失するかではなく,侵害者の侵害製品の販売によって,原告が特許権者が特許権を実施していたのと同様の利益を喪失するといえるかであり,また,原告が我が国において本件発明1を実施しているのと同視できるだけの事実関係が存在するか否かである。 この点について,原告は,コンビ社が原告製品を輸入して販売している事実を明らかにしているにすぎず,これによっては,侵害者が1つ侵害製品を販売した場合に原告が自ら特許権を実施していたのと同様の利益を喪失するということはできないし,原告が我が国において本件発明1を実施しているのと同視できるだけの事実関係が明らかにされているとはいえない。 したがって,原告の上記各主張を採用することはできない。 エ以上のとおり,原告について,特許法102条2項の推定は及ばず,同条項に基づいて損害額を算定することはできないというべきである。 (3) 特許法102条3項に基づく損害額の算定ア前提となる事実(11)のとおり,本件特許権が成立した平成21年11月6日から平成23年5月末日までの各月におけるイ号物件の販売数量及び売上額は,上記一覧表記載のとおりであり,販売数量の合計が40万6602個,売上金額の合計が1億7103万9163円である。 イそこで,「その特許発明の実施に対し受けるべき金額に相当する額」(特許法102条3項)の算定に当たり,考慮すべき事情について検討する。 (ア) 前提となる事実に加え,証拠(甲56,乙28~31,44,47,56,63)及び弁論の全趣旨によると,次の各事実を認めることができる。 - 135 ,考慮すべき事情について検討する。 (ア) 前提となる事実に加え,証拠(甲56,乙28~31,44,47,56,63)及び弁論の全趣旨によると,次の各事実を認めることができる。 - 135 -① ごみ処理機,ゴミ箱等の家庭のゴミおよびそれに類するゴミの収集・移送に関する国際特許分類B65は,「運輸」の技術分類に属するところ,平成22年8月31日財団法人経済産業調査会発行の「ロイヤルティ料率データハンドブック~特許権・商標権・プログラム著作権・技術ノウハウ~」によると,ごみ処理機,ゴミ箱等が属する特許分類「運輸」における,特許権のロイヤルティ料率は,最小値0.5%~最大値6.5%,平均値3.7%である。独占的なライセンスの場合は,最小値1.0%~最大値16.5%,平均値2.0%である。訴訟などの和解交渉による場合は,最小値-3.0%~最大値16.5%,平均値1.5%である。そして,ロイヤルティ料率の相場は,2~3%未満が14.3%,3~4%未満が40.8%,4~5%未満が26.5%である。(乙56)② 原告は,コンビ社との間で総代理店契約を締結し,同社に対し,ごみ貯蔵機器本体及びカセットの独占的な販売権を付与している。 ③ 原告と旧アップリカは,MarkⅡ,MarkⅢについて,いずれも原告と旧アップリカの双方の商標を付し,ダブルブランドの商品として販売してきた。原告と旧アップリカは,平成11年,MarkⅡの販売を開始して,その本体を累計で47万0362台販売し,平成18年,MarkⅢ本体の販売を開始して,その本体を累計で24万0521台販売した(乙28~31,63)。 ④ なお,MarkⅡ本体は,販売終了後も,使用が継続されているものがある。(乙47)⑤ また,被告は,平成22年7月からごみ貯蔵機器の新製品である「 521台販売した(乙28~31,63)。 ④ なお,MarkⅡ本体は,販売終了後も,使用が継続されているものがある。(乙47)⑤ また,被告は,平成22年7月からごみ貯蔵機器の新製品である「におわなくてポイ消臭タイプ」の本体及びカセットの販売を開始し,平成23年5月までに,本体合計12万3000台(月平均約1.1万台),カセット合計約66万8000個(月平均約6万- 136 -個)を販売した(乙44)。 ⑥ 上記新製品発売以前である平成22年6月以前における小売店におけるコンビ社,エンジェルケア社,被告のごみ貯蔵機器本体の販売シェアは,コンビ社が90%,エンジェルケア社が10%,被告が0%であったが,上記新製品発売後である平成23年3月時点では,コンビ社が41%,エンジェルケア社が3%,被告が56%となった(乙47)。 (イ) 以上の認定事実によると,本件特許が属する技術分野におけるロイヤルティの相場は3~4%であることが認められるが,本件において,原告は,コンビ社との間で総代理店契約を締結し,同社に対して独占的販売権を付与しているから,原告において,重ねて被告に対して実施許諾をする場合には,実施料率が高くなることが推認されることからすると,旧アップリカが原告とダブルブランドとしてMARKⅡ,MARKⅢを販売していた時期があり,旧アップリカが市場開拓に相応の努力,貢献をしたものと推認されること,被告による新製品販売開始後,コンビ社の市場における販売シェアが低下していることを考慮したとしても,実施料率は相当高くなるというべきであり,上記諸事情を考慮し,特許法102条3項の「その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額」を算定するための相当実施料率は10%と認めるのが相当である。 (ウ) 被告は,①本件発明1の ,上記諸事情を考慮し,特許法102条3項の「その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額」を算定するための相当実施料率は10%と認めるのが相当である。 (ウ) 被告は,①本件発明1の技術的意義・価値が高いとは言えないこと,②イ号物件は,本件発明1の技術的特徴を利用しない態様で多く使用されていること,③イ号物件の販売実績の背景事情としての被告側によるごみ貯蔵機器の市場開拓,「アップリカ」のブランド力,被告側の販売網,販売努力による多大な貢献・寄与等の個別具体的事情を総合考慮すれば,本件発明1の実施料率は1%が相当である等と主張する。し- 137 -かしながら,①については,公知文献と対比したとしても,本件発明1の技術的価値が高くないと認めることはできず,②については,その点についての具体的な主張立証はない。そして,③については,前記のとおり,そのような事情が認められるとしても,本件におけるその他の諸事情を考慮すると,本件においては実施料率はロイヤルティの相場における料率よりも相当高くなると認めるのが相当であるから,実施料率は1%が相当であるとの被告の主張は採用することはできない。 ウしたがって,特許法102条3項に基づく原告の損害は,各月の売上金額(前提となる事実(11))に相当実施料率10%を乗じることにより,次のとおりと認めるのが相当である。なお,平成23年6月及び7月(1日~7日。同月7日は原告が同日付け訴え変更の申立書で請求した損害賠償請求期間の末日である。)については,平成23年1月~5月までの売上額の平均値(月額844万5435円)をもって,当該期間の売上額として算定する。また,被告は値引額を考慮すべきであると主張するが,個別事情であって,特許法102条3項の相当額を算定するに当たってはその点を考慮す 額844万5435円)をもって,当該期間の売上額として算定する。また,被告は値引額を考慮すべきであると主張するが,個別事情であって,特許法102条3項の相当額を算定するに当たってはその点を考慮するのは相当でない。 (ア) 平成21年11月(6日~30日) 21万1298円(イ) 同年12月 114万3691円(ウ) 平成22年 1月 64万2923円(エ) 同年 2月 143万7410円(オ) 同年 3月 111万0230円(カ) 同年 4月 157万3294円(キ) 同年 5月 53万7567円(ク) 同年 6月 86万3014円(ケ) 同年 7月 94万3649円(コ) 同年 8月 125万5610円- 138 -(サ) 同年 9月 87万8324円(シ) 同年10月 93万5830円(ス) 同年11月 128万6010円(セ) 同年12月 6万2341円(ソ) 平成23年 1月 27万9713円(タ) 同年 2月 71万3871円(チ) 同年 3月 201万2677円(ツ) 同年 4月 67万3516円(テ) 同年 5月 54万2938円(ト) 同年 6月 201万2677円(ツ) 同年 4月 67万3516円(テ) 同年 5月 54万2938円(ト) 同年 6月 84万4543円(ナ) 同年 7月(1日~7日) 19万0703円(ニ) 合計 1813万9152円(4) 積極損害被告の侵害行為と相当因果関係の存する弁護士・弁理士費用等の積極損害については,本件の事案の性質等に鑑み300万円と認めるのが相当である。 (5) したがって,原告の特許権侵害に基づく損害賠償請求は,合計2113万9152円及びうち平成21年11月から平成23年6月までの各期間における各金額については,翌月1日から支払済みまで,平成23年7月における金額及び積極損害300万円については,平成23年7月7日付け訴え変更申立書の送達日の翌日である平成23年7月12日から支払済みまでいずれも民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるというべきである。 【反訴】について 1 争点(1) 不正競争行為の成否(不正競争防止法2条1項14号の虚偽の事実の告知,流布に当たるか)について- 139 -(1) 被告は,原告が被告の顧客に対し,本件通知書(乙48)を送付し本件通知事項を告知した本件通知行為が,被告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知したこと(不正競争防止法2条1項14号)に該当すると主張するので,この点について検討する。 ア前提となる事実に加え,証拠(乙47~49)及び弁論の全趣旨によると,次の各事実を認めることができる。 (ア) 被告は,平成21年5月ころ,イ号物件について,同年7月末の発売の見通しが立ったことから,顧客に対し, 加え,証拠(乙47~49)及び弁論の全趣旨によると,次の各事実を認めることができる。 (ア) 被告は,平成21年5月ころ,イ号物件について,同年7月末の発売の見通しが立ったことから,顧客に対し,商品説明及び受注の依頼等の営業活動を行うようになった。被告は,同年6月ころには,一定の顧客からイ号物件の受注の内諾を得た。 (イ) 被告は,平成21年7月22日ころ,原告とコンビ社が,業界において,知的財産権の侵害行為については厳格に対処する旨流布している旨の情報を得た。 (ウ) 前提となる事実(11)のとおり, 原告及びコンビ社は,平成21年7月28日ころ,原告及び被告の顧客に対し,本件通知書(乙48)を送付した。同通知書には,次のとおりの記載がある。 「さて,コンビ株式会社は,コンビ/サンジェニックの紙おむつ処理システムを所有・製造している英国法人サンジェニック・インターナショナル・リミテッドの日本におけるすべての顧客及び取引経路について,2008年11月27日付より販売パートナーとして任命されております。」「これらの製品は,1993年の日本市場での発売以来,長い間成功を博してきました。その間,サンジェニックの開発・生産システムは,マーケット・リーダーとしての地位を確立し,当該事業は当該分野における豊富な知識を蓄積し,英国の生産拠点から日本市場へ高品質な製品が納品されるよう,常に技術に関する特許に基づいた製品開- 140 -発に投資を続けてきました。コンビ/サンジェニックの紙おむつ処理システムの構成部分(ポット本体,スペアカセット及びフィルム)は,使用済みおむつの処理のために,高品質,機能的かつ衛生的な解決方法を提供するようデザインされています。…」「紙おむつ処理システムの開発・生産者として,サンジェニックは,紙おむつ処 フィルム)は,使用済みおむつの処理のために,高品質,機能的かつ衛生的な解決方法を提供するようデザインされています。…」「紙おむつ処理システムの開発・生産者として,サンジェニックは,紙おむつ処理ポット及びスペアカセットのデザイン及び生産について,世界各地で多くの知的財産権を有しています。サンジェニックは,…競合製品が当社の知的財産権を侵害していると知った場合には,…当該侵害を行った生産者もしくは小売店に対して,徹底して当社の事業を守ります。」(エ) 被告は,平成21年7月28日ころ,被告の複数の顧客から,イ号物件の取引を控える旨の通知を受けた。 (オ) 被告は,被告の顧客に対し,平成21年7月28日付け通知書(乙49)を送付し,「この度発売予定の弊社製品」(イ号物件)「が他社の特許権を侵害することは決してないということを皆様にお伝えしたいと思います。」等と通知した。 イ以上の認定事実によると,原告による本件通知行為は,被告によるイ号物件の販売時期と重なるものではあるが,本件通知書(乙48)においては,原告の保有する知的財産権や,侵害行為に関する侵害の主体,侵害品等について,具体的に言及したものとはなっておらず,また,原告は,本件通知書(乙48)において,「紙おむつ処理ポット及びスペアカセット」について,「競合製品が当社の知的財産権を侵害していると知った場合」には,「当該侵害を行った生産者もしくは小売店に対して,徹底して当社の事業を守ります。」と述べており,内容面においても,原告の顧客に対し,原告の保有する知的財産権の侵害の事実を知った場合には,侵害者に対して権利行使して自社事業を守る旨の一般的な意向を表明したに止- 141 -まると解されるものである。したがって,本件通知行為をもって,「他人の営 的財産権の侵害の事実を知った場合には,侵害者に対して権利行使して自社事業を守る旨の一般的な意向を表明したに止- 141 -まると解されるものである。したがって,本件通知行為をもって,「他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」を告知流布する行為と認めることはできず,その他,これを認めるに足りる証拠はない。 (2) 被告は,本件通知行為が行われた時期や,原告製ごみ貯蔵機器に装着可能な商品が被告のイ号物件しか存在しないこと等の事情の下では,本件通知書に被告が明示されていなくとも,その送付を受けた顧客において,当該事実は被告に関する事実であると理解できる程度に特定されているから,不正競争防止法2条1項14号の信用毀損行為に該当すると主張する。しかしながら,上記認定のとおり,本件通知書の記載は,「紙おむつ処理ポット及びスペアカセット」に関するものではあるが,一般的抽象的な意向表明に止まると解されることからすると,被告の主張するような虚偽の事実の告知が行われたと認めることはできないというべきである。したがって,被告の上記主張を採用することはできない。 2 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,被告の反訴請求は理由がない。 第4 結論以上により,原告の本訴請求は,イ号物件の輸入,販売,販売の申し出の差止及びイ号物件の廃棄を求めるとともに,上記各期間の金額及びこれに対する不法行為後となる期間の翌月1日(ただし,平成23年7月分及び積極損害分については同月12日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その限度で認容し,その余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,被告の反訴請求は,理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京 主文 める限度で理由があるから、その限度で認容し、その余の請求はいずれも理由がないから棄却することとし、被告の反訴請求は、理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官大須賀滋 裁判官菊池絵理 裁判官小川雅敏
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