令和2(ワ)21137 発信者情報開示請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年2月25日 東京地方裁判所
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令和3年2月25日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第21137号発信者情報開示請求事件口頭弁論終結日令和2年12月22日判決 原告 SODクリエイト株式会社 同訴訟代理人弁護士藤原宏髙同葛山弘輝同植松大雄 被告ソフトバンク株式会社 同訴訟代理人弁護士五十嵐敦同大山貴俊 同森田祐行主文 1 被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,原告が,氏名不詳者は,原告に無断で,原告が著作権を有する別紙著作物目録記載の各著作物(以下「本件各著作物」という。)に依拠して,その 一部と同一の内容の別紙被害動画目録記載の各動画(以下「本件各動画」とい う。)を再製した上,被告を経由プロバイダとして,米国法人であるFC2,INC.(以下「FC2」という。)の開設・運営する「FC2コンテンツマーケット」(以下「本件サイト」という。)に本件各動画を投稿し,一般閲覧者が有料で購入(受信)可能な状態に置き,原告の著作権(複製権又は送信可能化権)を侵害したと主張して,被告に対し,特定電 ンツマーケット」(以下「本件サイト」という。)に本件各動画を投稿し,一般閲覧者が有料で購入(受信)可能な状態に置き,原告の著作権(複製権又は送信可能化権)を侵害したと主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任 の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。なお,枝番号の記載を省略したものは,枝番号を含む。以下同様。) ⑴ 当事者ア原告は,アダルトビデオに関係する事業等を営む株式会社である(甲1,弁論の全趣旨)。 イ被告は,インターネット関連事業を営む株式会社である。 ⑵ 本件サイト FC2は,アメリカ合衆国ネバダ州に本店を設置し,FC2IDを有するユーザーが動画等のデジタルコンテンツを販売・購入する環境を提供する本件サイトを開設・運営している。 本件サイトにおいて,ユーザーは,アダルトビデオの動画等を有料で販売(アップロード)し,また有料で購入(ダウンロード)することができる。 (以上につき,甲1,3~7,弁論の全趣旨)⑶ 本件各動画のアップロード等本件サイト上に,被告を経由プロバイダとして,別紙被害動画目録記載の各投稿日時に,同目録記載の各IPアドレスを使用して,本件各動画(甲12)がアップロードされた(甲1,8~14,弁論の全趣旨)。 ⑷ 被告の「開示関係役務提供者」該当性及び本件発信者情報の保有 被告は,法4条1項の「開示関係役務提供者」に該当し,本件発信者情報を保有している。 2 争点及びこれに関する当事者の主張⑴ 役務提供者」該当性及び本件発信者情報の保有 被告は,法4条1項の「開示関係役務提供者」に該当し,本件発信者情報を保有している。 2 争点及びこれに関する当事者の主張⑴ 争点1(原告が本件各著作物に係る著作権を有しているか)ア原告の主張 原告は,平成23年頃までに,株式会社A(以下「A社」という。)との間で,原告(又はグループ会社)の名の下で販売を行うアダルトビデオの制作を目的として,本件各著作物に係る映像制作業務委託契約(甲17,18。以下「本件業務委託契約」という。)を締結した。 そして,A社の業務に従事する者である同社代表者等は,同社の発意に 基づき,その職務上,本件各著作物(無修正のアダルトビデオ)を制作した。なお,本件各著作物の制作時において,A社とその代表者等との間の契約や勤務規則等に,本件各著作物に係る著作権の帰属に関する別段の定めはなかった。 原告は,A社から本件各著作物の納品及びこれに係る著作権の譲渡を受 け,これにモザイク処理を施した上で,その複製物であるアダルトビデオ商品(甲19~21)の販売を行っており,同商品のパッケージ等には,原告が著作者として表示されている。 このように,A社が,本件各著作物の著作者(職務著作)であり,原告は,同社から,本件業務委託契約に基づき,本件各著作物に係る著作権の 譲渡を受け,これを取得したものである。 イ被告の主張原告の主張は,否認ないし争う。 原告が提出する本件業務委託契約に係る契約書は,その制作対象のコンテンツのタイトルと本件各著作物のタイトルが一致していないから,本件 業務委託契約に基づいて本件各著作物が制作されたことや原告がこれに 係る著作権を取得したことの明 制作対象のコンテンツのタイトルと本件各著作物のタイトルが一致していないから,本件 業務委託契約に基づいて本件各著作物が制作されたことや原告がこれに 係る著作権を取得したことの明確な根拠とはならない。 また,原告は本件各著作物のパッケージに原告の記載があることを指摘して,原告が著作権者であることが推定されると主張するが,著作権法14条によって推定されるのは「著作者」であって「著作権者」ではなく,かつ,原告は本件各著作物の著作者が原告でなくA社であると主張してい るのであるから,同条によって原告が本件各著作物の著作者ないし著作権者と推定されることはない。 ⑵ 争点2(原告が本件各著作物に係る複製権又は送信可能化権を侵害されたことが明らかであるといえるか)ア原告の主張 氏名不詳者は,原告に無断で,本件各著作物に依拠して,その一部と同一の内容の本件各動画を再製した上,別紙被害動画目録記載の各投稿日時に,同目録記載の各IPアドレスを使用して,本件サイト上における本件各動画のアップロード及び販売行為を開始し,公衆に送信し得る状態に置いたものであり,これについて著作権法30条以下の権利制限規定を適用 する事情も存在しない。 したがって,原告は,氏名不詳者による本件各動画のアップロード及び販売行為によって,本件各著作物に係る複製権又は送信可能化権を侵害されたことが明らかである。 イ被告の主張 原告の主張は,否認ないし争う。 本件各動画については,モザイクが施されている点で,本件各著作物と同一内容であるとはいえない。仮に,本件各動画が本件各著作物を複製したものであったとしても,著作権法30条以下の権利制限規定がいずれも適用されないことが明らかであるとはいえない。 で,本件各著作物と同一内容であるとはいえない。仮に,本件各動画が本件各著作物を複製したものであったとしても,著作権法30条以下の権利制限規定がいずれも適用されないことが明らかであるとはいえない。 ⑶ 争点3(原告に本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとい えるか)ア原告の主張原告は,氏名不詳者に対して,本件各著作物に係る著作権侵害に基づく損害賠償請求及び差止請求をする予定であり,そのためには,被告が保有する本件発信者情報の開示を受ける必要がある。 なお,法4条1項に係る総務省令においては,電子メールアドレスも侵害情報の発信者の特定に資する情報として規定されている上,転居等の事情によって,氏名不詳者の実際の住所が,被告の保有する氏名不詳者の住所と異なる可能性もあるから,電子メールアドレスの開示が不要であるとはいえない。 したがって,原告には,被告から,本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある。 イ被告の主張原告の主張は,否認ないし争う。 原告は,本件発信者情報のうち氏名又は名称及び住所の開示を受ければ, 氏名不詳者に対する損害賠償請求等をすることができるから,これに加えて電子メールアドレスの開示を受けるべき正当な理由はない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(原告が本件各著作物に係る著作権を有しているか)について前記前提事実に加え,証拠(甲1,16~22)及び弁論の全趣旨によれば, 原告は,平成23年頃までに,A社との間で,原告(又はグループ会社)の名の下で販売を行うアダルトビデオの制作を目的として,本件各著作物に係る映像制作業務委託契約(本件業務委託契約)を締結したこと,A社の業務に従事する者である同社代表者等が, 告(又はグループ会社)の名の下で販売を行うアダルトビデオの制作を目的として,本件各著作物に係る映像制作業務委託契約(本件業務委託契約)を締結したこと,A社の業務に従事する者である同社代表者等が,同社の発意に基づき,その職務上,本件各著作物(無修正のアダルトビデオ)を制作したこと,本件各著作物の作成時におい て,同社とその代表者等との間の契約や勤務規則等に,本件各著作物に係る著 作権の帰属に関する別段の定めはなかったこと,原告は,A社から本件各著作物の納品を受け,これにモザイク処理を施した上で,その複製物であるアダルトビデオ商品の販売を行ったこと,同商品のパッケージには,原告が著作者として表示されていることがそれぞれ認められる。 以上によれば,A社が,本件各著作物の著作者(職務著作)であり,原告は, 同社から,本件業務委託契約に基づき,本件各著作物に係る著作権の譲渡を受け,これを取得したものと認めるのが相当である。 2 争点2(原告が本件各著作物に係る複製権又は送信可能化権を侵害されたことが明らかであるといえるか)について前記前提事実及び前記1の認定事実に加え,証拠(甲1,12,14,20) 及び弁論の全趣旨によれば,氏名不詳者は,原告に無断で,本件各著作物に依拠して,その一部と同一の内容の本件各動画を再製した上,別紙被害動画目録記載の各投稿日時に,同目録記載の各IPアドレスを使用して,本件サイト上における本件各動画のアップロード及び販売行為を開始し,公衆に送信し得る状態に置いたことが認められ,当該行為について著作権法30条以下の権利制 限事由が存在することもうかがわれない。 以上によれば,原告は,氏名不詳者による本件各動画のアップロード及び販売行為(特定電気通信による侵害情報の流通)によって, 著作権法30条以下の権利制 限事由が存在することもうかがわれない。 以上によれば,原告は,氏名不詳者による本件各動画のアップロード及び販売行為(特定電気通信による侵害情報の流通)によって,少なくとも本件各著作物に係る送信可能化権を侵害されたことが明らかであるというべきである。 3 争点3(原告に本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえ るか)について前記前提事実及び前記1,2の認定事実に加え,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,氏名不詳者に対して,本件各著作物に係る著作権侵害に基づく損害賠償請求及び差止請求をする予定であること,そのためには,被告が保有する本件発信者情報の開示を受ける必要があることがそれぞれ認め られる。なお,法4条1項に係る総務省令においては,電子メールアドレスも 侵害情報の発信者の特定に資する情報として規定されている上,転居等の事情によって,氏名不詳者の実際の住所が,被告の保有する氏名不詳者の住所と異なる可能性もあるから,電子メールアドレスの開示が不要であるとはいえない。 以上によれば,原告には,被告から,本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると認められる。 4 結論以上によれば,原告は,法4条1項に基づき,被告に対し,本件発信者情報の開示を求めることができる。 よって,原告の請求は理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官田中孝一 裁判官奥俊彦 裁判官西尾信員 別紙 発信者情報目録 別紙被害動画目録記載の 裁判官奥俊彦 裁判官西尾信員 別紙 発信者情報目録 別紙被害動画目録記載の各IPアドレスを,同目録記載の各投稿日時に被告から割り当てられていた契約者に関する以下の情報 1 氏名又は名称 2 住所 3 電子メールアドレス 以上 (別紙被害動画目録省略)(別紙著作物目録省略)

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