令和5(行ウ)90 障害年金不支給処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年12月3日 東京地方裁判所
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判決文本文18,491 文字)

令和6年12月3日判決言渡令和5年(行ウ)第90号障害年金不支給処分取消等請求事件 主文 1 厚生労働大臣が令和3年2月2日付けで原告に対してした障害基礎年金を支給しない旨の処分を取り消す。 2 厚生労働大臣は、原告に対し、平成22年8月19日を受給権発生日とする障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定をせよ。 3 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 主文同旨第2 事案の概要 1 事案の骨子原告は、気分変調症、社会不安障害及び広汎性発達障害(以下「本件傷病」という。)により障害の状態にあるとして、厚生労働大臣に対し、障害認定日 である平成22年8月19日(以下「本件障害認定日」という。)を受給権発生日とする障害基礎年金の裁定請求(以下「本件裁定請求」という。)をしたところ、厚生労働大臣から、本件障害認定日における本件傷病による障害の状態は障害等級1級又は2級に該当する程度にあるとは認められないとして、障害基礎年金を支給しない旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けた。 本件は、原告が、本件障害認定日における本件傷病による障害の状態は障害等級2級に該当するとして、被告を相手に、本件処分の取消しを求めるとともに、本件障害認定日を受給権発生日とする障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定の義務付けを求める(以下、この請求に係る訴えを「本件義務付けの訴え」という。)事案である。 2 関係法令等 ⑴ 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において国民年金の被保険者であった かり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において国民年金の被保険者であった者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(以下「障害認定日」という。)において、その傷病により後記⑵の障害等級に 該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給することとされている(国民年金法30条1項本文)。 また、初診日において国民年金の被保険者であった者で、障害認定日において後記⑵の障害等級に該当する程度の障害の状態になかったものが、障害認定日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等 級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき(いわゆる事後重症の場合)は、その期間内に障害基礎年金の支給を請求することができるとされている(国民年金法30条の2第1項)。 ⑵ 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから、1級及び2級とし、各級の障害の状態は政令で定めることとされ(国民年金法30条2項)、これ を受けて、国民年金法施行令(令和3年政令第303号による改正前のもの。 以下「国年法施行令」という。)4条の6は、各級の障害の状態は、国年法施行令別表に定めるとおりとする旨を規定している。 国年法施行令別表は、障害等級2級の障害の状態につき、15号において「前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必 要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」を、16号において「精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」を掲げている。 ⑶ 国年法施行令 しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」を、16号において「精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの」を掲げている。 ⑶ 国年法施行令別表に規定する障害の程度の認定については、「国民年金・ 厚生年金保険障害認定基準」(平成29年12月1日改正を最後の改正とす るもの。以下「障害認定基準」という。乙1)が定められているところ、障害認定基準のうち、本件に関係する部分は、別紙1のとおりである。 また、厚生労働省が平成28年9月に策定した「国民年金・厚生年金保険精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(以下「等級判定ガイドライン」という。乙5)のうち、本件に関係する部分は、別紙2のとおりである。 3 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠等により容易に認定することができる事実)⑴ 原告は、昭和61年▲月▲日生まれの男性であり、令和2年10月8日、長野県知事から、障害等級を1級とする精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者である。 ⑵ア原告は、令和2年10月16日(以下「本件裁定請求日」という。)、厚生労働大臣に対し、初診日を平成21年2月19日とする本件傷病により障害の状態にあるとして、主位的に平成22年8月19日(本件障害認定日)を受給権発生日とする障害基礎年金の裁定請求(本件裁定請求)をし、予備的に事後重症による障害基礎年金の裁定請求をした。 イ原告が、上記アの各請求に係る請求書に添えて提出した診断書は、次の2通である(甲6の1・6~9枚目)。 (ア) B精神科のC医師が作成した、次の内容の令和2年10月12日付け診断書(平成22年9月8日現症に係るもの。以下「本件診断書」という。) a 「障害の原因となった傷病名 9枚目)。 (ア) B精神科のC医師が作成した、次の内容の令和2年10月12日付け診断書(平成22年9月8日現症に係るもの。以下「本件診断書」という。) a 「障害の原因となった傷病名」欄「気分変調症、社会不安障害、広汎性発達障害」と記載されている。 b 「障害の状態(平成22年9月8日現症)」欄「現在の病状又は状態像」欄は、「Ⅰ 抑うつ状態」のうち「1思考・運動制止」及び「3 憂うつ気分」、「Ⅴ 統合失調症等残遺 状態」のうち「1 自閉」及び「3 意欲の減退」、「Ⅷ 発達障害 関連症状」のうち「1 相互的な社会関係の質的障害」及び「2 言語コミュニケーションの障害」に丸が付されている。また、「Ⅳ 精神運動興奮状態及び昏睡の状態」の「8 その他」欄に「過食」と記載され、「Ⅺ その他」欄に「対人恐怖」と記載されている。 上記の状態の程度等については、「抑うつ状態を呈し、意欲低下が 著明」、「対人緊張も強く人と会うことがほとんどない状態で引きこもりぎみである」、「何かやろうとしても行為が止まってしまう傾向があるという」、「対人関係をうまく形成できずコミュニケーションに障害がみられる」などと記載されている。 「日常生活能力の判定」欄は、①「⑶金銭管理と買い物」及び「⑹ 身辺の安全保持及び危機対応」が「おおむねできるが時には助言や指導を必要とする」(4段階中2番目に程度が軽い項目)、②「⑴適切な食事」及び「⑵身辺の清潔保持」が「自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる」、「⑷通院と服薬」及び「⑺社会性-銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。 また、社会生活に必要な手続きが行えるなど」が「助言や指導があればできる」(いずれも4段階中3番目に程度が軽 院と服薬」及び「⑺社会性-銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。 また、社会生活に必要な手続きが行えるなど」が「助言や指導があればできる」(いずれも4段階中3番目に程度が軽い項目)、③「⑸他人との意思伝達及び対人関係」が「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」(4段階中4番目に程度が軽い項目)とされている。 「日常生活能力の程度」欄は、「⑷精神障害を認め、日常生活にお ける身のまわりのことも、多くの援助が必要である」に丸が付されている。 c 「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」欄「引きこもりぎみで学校へもいけなくなっており、かろうじて日常生活を継続している」と記載されている。 (イ) D病院心療内科・精神神経科のF医師が作成した、次の内容の令和2 年9月23日付け診断書(同年7月27日現症に係るもの。以下「本件事後重症診断書」という。)a 「障害の原因となった傷病名」欄本件診断書と同様である。 b 「障害の状態(令和2年7月27日現症)」欄 「現在の病状又は状態像」欄は、「Ⅰ 抑うつ状態」のうち「3憂うつ気分」、「Ⅴ 統合失調症等残遺状態」のうち「3 意欲の減退」、「Ⅷ 発達障害関連症状」のうち「1 相互的な社会関係の質的障害」にのみ丸が付されている。 上記の状態の程度等については、「つねに意欲が減退してすべてに 興味ももてない状態である。(中略)ほとんどの期間は疲れと抑うつ気分に支配される。」、「人間関係を築くことがなかなかできなくていつも自分に籠もり社会生活に楽しみをみつけることができない。」などと記載されている。 「日常生活能力の判定」欄は、「⑸他人との意思伝達及び対人関係」 が「助言や指導があればできる」(4段階中 つも自分に籠もり社会生活に楽しみをみつけることができない。」などと記載されている。 「日常生活能力の判定」欄は、「⑸他人との意思伝達及び対人関係」 が「助言や指導があればできる」(4段階中3番目に程度が軽い項目)とされているほかは、本件診断書と同様とされている。 「日常生活能力の程度」欄は、本件診断書と同様である。 c 「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」欄「もともと発達障害の特性が小学生、中学生のときから見られてい たが、就職時期に「抑うつ状態」が顕著で大学も卒業できず就職もできないままいわゆる引きこもりの状態で10年あまりをすごした。」などと記載されている。 ⑶ 厚生労働大臣は、令和3年2月2日付けで、原告に対し、本件障害認定日における本件傷病による障害の状態は国年法施行令別表に規定する障害等級 に該当する程度にあるとは認められないとして、障害基礎年金を支給しない 旨の本件処分をした。 また、厚生労働大臣は、令和3年2月4日付けで、受給権を取得した年月を令和2年10月、障害等級を2級16号として、事後重症による障害基礎年金を支給する旨の裁定をした。 ⑷ 原告は、令和3年2月19日付けで、本件処分を不服として、関東信越厚 生局社会保険審査官に対し、審査請求をしたが、同局社会保険審査官から、同年11月12日付けで、上記審査請求を棄却する旨の決定を受けた。 原告は、令和4年1月7日付けで、上記決定を不服として、社会保険審査会に対し、再審査請求をしたが、社会保険審査会から、同年8月31日付けで、上記再審査請求を棄却する旨の裁決を受けた。 ⑸ 原告は、令和5年2月27日、本件訴えを提起した(顕著な事実)。 4 争点及びこれに対する当事者の主張本件の争点は、本件障 で、上記再審査請求を棄却する旨の裁決を受けた。 ⑸ 原告は、令和5年2月27日、本件訴えを提起した(顕著な事実)。 4 争点及びこれに対する当事者の主張本件の争点は、本件障害認定日(平成22年8月19日)における原告の障害の状態が障害等級2級に該当するか否かであり、この点に関する当事者の主張は、次のとおりである。 (原告の主張)本件診断書及びB精神科の原告に係る診療録(以下「本件診療録」という。 甲8、9)の記載内容からすれば、本件障害認定日における原告の障害の状態は、障害認定基準において障害等級2級に相当するとされている発達障害及び気分(感情)障害による障害の状態の例示に当たるから、障害等級2級に該当 する程度のものであったことは明らかである。このことは、本件診断書の「日常生活能力の判定」欄及び「日常生活能力の程度」欄の記載内容を等級判定ガイドラインの表1に当てはめると、障害等級2級が目安となることや、本件診断書と本件事後重症診断書の記載内容等からすれば、本件裁定請求日よりも本件障害認定日の方が原告の障害の程度が重かったところ、原告は、障害等級を 2級16号とする事後重症による障害基礎年金を支給する旨の裁定を受けたこ とからしても、本件障害認定日において障害等級2級に該当していたと認められるべきである。 (被告の主張)原告は、本件障害認定日頃、引きこもりぎみではあったが、必要に応じて外出等も可能であり、少なくとも、日常生活における身の周りのことに関して は、基本的には、一人で行うことができる状態であり、日常生活を送ることが極めて困難な状態であったとはいえないから、障害認定基準第2の1⑵に定める障害等級2級に該当する障害の程度には当たらず、障害認定基準において障害等 で行うことができる状態であり、日常生活を送ることが極めて困難な状態であったとはいえないから、障害認定基準第2の1⑵に定める障害等級2級に該当する障害の程度には当たらず、障害認定基準において障害等級2級に相当するとされている気分(感情)障害による障害の状態の例示にも当たらない。この点、本件診断書の記載内容を等級判定ガイドラインの表 1に当てはめると、障害等級2級が目安となるものの、原告の本件障害認定日当時の日常生活能力は上記のとおりであり、本件診断書の記載内容よりも高かったところ、原告の本件障害認定日当時の日常生活能力に即して検討すれば、等級判定ガイドラインの表1によると3級が目安となり、等級判定ガイドラインに沿って、原告の病状、療養状況、生活環境等を総合評価しても、障害等級 2級に該当する程度のものであったということはできない。また、厚生労働大臣が原告に対し事後重症による障害基礎年金を支給する旨の裁定をしたのは、本件事後重症診断書によれば、令和2年7月27日当時の原告の障害の状態は、気分変調症及び社会不安障害による症状が遷延化、固定化して、本件障害認定日当時よりも悪化したと考えられるためであるから、上記裁定がされたか らといって、本件障害認定日における原告の障害の状態が障害等級2級に該当するということはできない。 なお、原告は、本件障害認定日当時、広汎性発達障害であったという診断は受けていないし、広汎性発達障害による不適応行動(自分の身体を傷つける行為、他人や物に危害を及ぼす行為等)はなかったから、障害認定基準において 障害等級2級に相当するとされている発達障害による障害の状態の例示には当 たらない。 第3 当裁判所の判断 1 判断枠組み等について⑴ 本件においては、原告が、本件障害認定日当時 障害等級2級に相当するとされている発達障害による障害の状態の例示には当 たらない。 第3 当裁判所の判断 1 判断枠組み等について⑴ 本件においては、原告が、本件障害認定日当時、本件傷病のうち少なくとも気分変調症及び社会不安障害であったことは当事者間に争いがないことか ら、まず、これらによる原告の本件障害認定日における障害の状態が障害等級2級に該当するか否かについて検討することとする。 ⑵ 国年法施行令別表において、精神の障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害の状態に係る障害等級は、2級とされている(2級15号、16号)。 そして、障害認定基準の定めは、その内容に照らせば、医学的知見を踏まえた障害等級の認定の基本的な指針を示すものとして合理的なものということができ、本件障害認定日における原告の障害の状態が障害等級2級に該当する程度のものであると認められるか否かについては、特段の事情がない限り、障害認定基準を参酌して判断するのが相当であるというべきであるとこ ろ、障害認定基準において、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものであり、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの、すなわち、家 庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものであるとされている。また、障害認定基準においては、気分変調症が障害等級2級に相当する場合(神経症性障害に分類される社会不安障害(社会恐怖症。甲25・1頁、31頁)も、これに準 家屋内に限られるものであるとされている。また、障害認定基準においては、気分変調症が障害等級2級に相当する場合(神経症性障害に分類される社会不安障害(社会恐怖症。甲25・1頁、31頁)も、これに準ずることとされている。)の例示として、「気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続 したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受け るもの」が挙げられている。 また、等級判定ガイドラインは、精神障害及び知的障害の認定に地域差による不公平が生じないようにするため、別紙2のとおり、障害等級の判定時に用いる目安や考慮すべき事項の例等を示し、これにより、当該認定が障害認定基準に基づき適正に行われるよう改善を図ることを目的として、「精 神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」における議論を経て、厚生労働省により策定されたものであること(乙5)からすると、本件においても、精神の障害の程度を認定するに当たり、等級判定ガイドラインの記載を参照するのが相当であるというべきである。 2 認定事実 前記前提事実、掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ⑴ 初診日までの状況(甲8、9、12、15、16、18、証人G)ア原告(昭和61年▲月▲日生まれの男性)は、小学生の頃から不登校の傾向があり、中学生や高校生の頃にも不登校となった時期があったが、通 信制の高校に転入し、平成17年3月、同校を卒業した。 イ原告は、平成17年、それまで居住していた長野県α市内の実家から北海道札幌市内の予備校の寮に転居して独居を開始し、平成18年4月1日、H大学(以下「本件大学」という。)に入学し、それに伴い、北海道β市内のアパート(以下「本件アパート」と 長野県α市内の実家から北海道札幌市内の予備校の寮に転居して独居を開始し、平成18年4月1日、H大学(以下「本件大学」という。)に入学し、それに伴い、北海道β市内のアパート(以下「本件アパート」という。)に転居した。 原告は、遅くともその頃から、原告の母I(以下「原告母」という。)から、月4万円程度の仕送りを受けていたところ、このうち月約1万円は電気代等として自動で引き落としがされ、残額を自分で管理していた(なお、賃料等は、原告の両親が支払っていた。)。 ウ原告は、大学3年生であった平成20年10月頃から就職活動を開始し たところ、その頃から、原告母が電話やメールにより連絡をしようとして もほとんど応答せず、連絡が取れたときにも「調子が悪い」と一言発するのみとなるなどの状況になり、また、翌年の正月に長野県α市内の実家への帰省をすることもなかった。 エ原告は、平成21年2月19日(初診日)、原告母から勧められ、B精神科においてJ医師による診察を受けた。本件診療録の同日の記載欄には、 就職活動を行おうとしたが、手が動かなくなり、できなくなる旨や、今のところ衣食住に関しては十分自立している旨の記載がある。 ⑵ 本件障害認定日(平成22年8月19日)前後の生活状況等ア生活状況(甲8、9、15~17、証人G)原告は、大学4年生であった平成21年4月末頃から、本件大学に通学 しなくなった。 母は、平成21年5月、本件アパートを訪ねたが、原告は応答しなかった。また、原告の父G(以下「原告父」という。)は、同年6月、本件大学学生課から、原告が同年4月から通学しておらず、連絡も取れない旨を電話で伝えられたため、本件アパートを訪れたが、原告は応答しなかった。 原告は、原告父の依頼を受けた大家及び警 年6月、本件大学学生課から、原告が同年4月から通学しておらず、連絡も取れない旨を電話で伝えられたため、本件アパートを訪れたが、原告は応答しなかった。 原告は、原告父の依頼を受けた大家及び警察官が本件アパートを訪れた際には応答し、また、原告父がその翌日に本件アパートを訪れた際には原告父と会ったが、原告父は、原告が外に出ることができるような様子ではなかったため、本件大学を休学するための手続をした。 原告父は、原告に対し、実家に戻ることを促したものの、原告がこれを 拒んだため、その後、月1回程度、本件アパートの近隣の店舗で1か月分の食料品や日用品を購入した上で本件アパートに届けるようになり、その際には、原告と夕食(外食)を共にしていた。しかし、原告は、平成22年になると、原告父と夕食を共にすることはなくなった。なお、原告父は、原告が開けたドアの隙間から暗い居室内の様子をうかがったり、電気メー ター等の居室の周囲の様子を確認したりしたことはあったものの、本件ア パートの原告の居室内に入ったことはない。 原告母は、自身の病気のため、本件アパートを訪れることはほとんどなかったものの、冷凍した料理を月1回程度本件アパートに送っていたほか、日用品や衣服等を季節ごとに購入して送っていた。 イ受診状況(甲8~10) (ア) 原告は、平成21年5月20日、B精神科において2回目の受診をし、以後、同年7月頃まではおおむね1週間に1回、同年8月頃から平成22年8月6日(本件障害認定日の直前の受診日)まではおおむね2週間に1回、B精神科を受診した。これらの間の原告の主治医はC医師であった。 (イ) 本件診療録の平成21年5月20日から同年7月29日までの記載欄には、対人恐怖があり、人と会うことが不安である旨、 、B精神科を受診した。これらの間の原告の主治医はC医師であった。 (イ) 本件診療録の平成21年5月20日から同年7月29日までの記載欄には、対人恐怖があり、人と会うことが不安である旨、過食傾向がある旨、体のだるさがある旨、引きこもっている旨の記載があるものの、対人恐怖以外の症状の有無は受診日によって異なり、また、食事を自分で作ることはある旨の記載や、「店に入ったりはする」、「外出はできて いる」との記載がされている日もある。 しかし、平成21年8月5日から平成22年8月6日までの記載欄には、原告の主要症状として、対人恐怖がある旨、過食傾向がある旨、体のだるさがある旨の記載がほぼ一貫してあり、年末年始の帰省を除き、外出をした旨の記載はされておらず、平成21年10月28日の記載欄 には、家にいる事が多い旨が、同年11月11日の記載欄には、日中特別なことはしていない旨が、平成22年4月7日の記載欄には、ほとんど引きこもりの生活をしており他の人との接触はない旨が、同年5月19日の記載欄には、やろうと思っても動けない旨が、同年6月16日の記載欄には、あまり動いていない旨が、同年7月14日の記載欄には、 「デイケア」について気が進まない旨が、同年8月6日の記載欄には、 両親に援助を求めたくない旨の記載がされている。また、原告は、同年2月から3月まで計4日間にわたり、B精神科において、心理検査を受けたが、通常よりも検査に非常に時間がかかり、一部の検査は中断となった。 (ウ) 原告は、平成21年5月20日、デプロメール(抗うつ薬。甲9、乙 6、弁論の全趣旨)の処方を受け、同年6月3日から、デプロメールに加え、レキソタン(抗不安薬。乙6、弁論の全趣旨)の処方を受けており、本件障害認定日においても、これ メール(抗うつ薬。甲9、乙 6、弁論の全趣旨)の処方を受け、同年6月3日から、デプロメールに加え、レキソタン(抗不安薬。乙6、弁論の全趣旨)の処方を受けており、本件障害認定日においても、これらの処方を受けていた。 ⑶ その後の生活状況等ア原告は、平成23年▲月▲日、本件大学を退学した(甲12)。 イ原告は、その後もB精神科に通院していたが、平成24年3月23日にB精神科で最後となる診察を受け(甲8、9)、同年4月頃、長野県α市内の実家に転居した(甲15、証人G)。 C医師が作成した平成24年3月23日付けの診療情報提供書には、傷病名として、気分変調症及び適応障害と記載されているほか、症状経過等 として、対人緊張が強く、外出もほとんどできなくなっていき、引きこもりがちの生活であった旨、対人関係はほとんどなく、過食傾向があり、カウンセリングと薬物投与を行うも、あまり改善を認めない状況であった旨等が記載されている(甲11の1)。 ウ原告は、平成24年5月、D病院心療内科への通院を開始し、平成25 年6月まで通院したが、その後、通院しなくなった。 原告は、令和2年7月、D病院心療内科への通院を再開した。(以上につき、甲6の1・8枚目、甲11の3)エ原告は、長野県α市内の実家に転居した後、L職業訓練校に自転車で通ったり東京都内で開催された引きこもりに関する講演会に参加したりした 時期もあったものの、おおむね実家に引きこもるようにして生活し、令和 2年10月16日(本件裁定請求日)当時も、就労することなく、実家で両親とともに生活していた(甲6の1・10枚目、甲13の1~8、甲15、証人G)。 ⑷ 医学的知見等気分変調症は、反復性うつ病性障害の診断基準を満たさない程度の慢性的 ることなく、実家で両親とともに生活していた(甲6の1・10枚目、甲13の1~8、甲15、証人G)。 ⑷ 医学的知見等気分変調症は、反復性うつ病性障害の診断基準を満たさない程度の慢性的 抑うつ気分を特徴とし、通常は成人期早期に始まり、少なくとも数年間、時には終生続くとされ、その治療方法としては、抗うつ薬を使用した薬物療法や精神療法がある(甲25・29頁、甲27・138頁、甲28・2枚目、甲31・388頁(なお、甲27及び甲31の頁数は、上部に記載された頁数を指す。以下同じ。))。 社会不安障害(社会恐怖症)は、青年期に好発し、比較的少人数の集団内で他の人々から注視される恐れを中核とし、社交場面を回避するようになるとされ、その治療方法としては、抗不安薬、抗うつ薬等を使用した薬物療法や精神療法がある(甲20・4枚目、甲25・31頁、甲27・148頁、甲31・281頁)。 3 原告の本件障害認定日頃の日常生活の状況に係る本件診断書の記載等⑴ 前記前提事実⑵イ(ア)bのとおり、本件診断書の「日常生活能力の判定」欄においては、①「⑶金銭管理と買い物」及び「⑹身辺の安全保持及び危機対応」は「おおむねできるが時には助言や指導を必要とする」(4段階中2番目に程度が軽い項目)、②「⑴適切な食事」及び「⑵身辺の清潔保持」は 「自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる」、「⑷通院と服薬」及び「⑺社会性-銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続きが行えるなど」は「助言や指導があればできる」(いずれも4段階中3番目に程度が軽い項目)、③「⑸他人との意思伝達及び対人関係」は「助言や指導をしてもできない若し くは行わない」(4段階中4番目に程度が軽い項目)と や指導があればできる」(いずれも4段階中3番目に程度が軽い項目)、③「⑸他人との意思伝達及び対人関係」は「助言や指導をしてもできない若し くは行わない」(4段階中4番目に程度が軽い項目)とされているところ、 これらの「日常生活能力の判定」の4段階評価について、程度の軽い方から1~4の数値に置き換えて算出した平均を組み合わせると、約2.86点となる。そして、前記前提事実⑵イ(ア)bのとおり、本件診断書の「日常生活能力の程度」欄は「⑷精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。」に該当するとされているから、等級判定ガイド ラインの表1によれば、障害等級の目安は2級となる。 ⑵ 被告は、本件障害認定日における原告の障害の状態について、引きこもりぎみではあったが、必要に応じて外出等も可能であり、少なくとも、日常生活における身の周りのことに関しては、基本的には、一人で行うことができ、本件診断書の「日常生活能力の判定」欄の記載については、本件診断書と異 なり、①「⑵身辺の清潔保持」、「⑶金銭管理と買い物」及び「⑷通院と服薬」は「できる」(4段階中1番目に程度が軽い項目)、②「⑴適切な食事」は「自発的にできるが時には助言や指導を必要とする」(4段階中2番目に程度が軽い項目)、③「⑸他人との意思伝達及び対人関係」は「助言や指導があればできる」(4段階中3番目に程度が軽い項目)と評価すべきであり (なお、⑹及び⑺については、本件診断書と異なる評価をすべきである旨の主張はしていない。)、「日常生活能力の程度」欄については「⑶精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活は普通にできるが、時に応じて援助が必要である。」に該当する旨を主張する。 しかしながら、前記2の認定事実によれば、原告は、本 活能力の程度」欄については「⑶精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活は普通にできるが、時に応じて援助が必要である。」に該当する旨を主張する。 しかしながら、前記2の認定事実によれば、原告は、本件障害認定日頃、 B精神科への受診時等を除き、独居している本件アパートに引きこもるようにして生活をし、両親ともほとんど接しておらず、父が本件アパートを訪れた際も、原告が開けたドアの隙間から原告の様子や暗い居室内の様子をうかがうのみで、居室内に入ったことはなく、原告と外出することもなかったところ(前記2⑵)、C医師は、平成21年5月から本件障害認定日までの1 年半にわたり、1~2週間に1回、原告の診察を行い、原告の日常生活の状 況や両親による援助に関する意向等についても問診していたのであるから(前記2⑵イ)、本件障害認定日頃の原告の日常生活の状況を最も詳細に把握していた者であるということができる。そうすると、C医師が作成した本件診断書の「日常生活能力の判定」欄や「日常生活能力の程度」欄の記載内容は、信用性があるということができ、本件全証拠を総合しても、本件診断 書の上記各欄の記載と異なる評価をすべき事情は見当たらないから、原告の本件障害認定日頃の生活状況は、本件診断書の「日常生活能力の判定」欄や「日常生活能力の程度」欄のとおり評価されるようなものであったと認められる。そうである以上、被告の上記主張は、いずれも採用することができない。 なお、「⑴適切な食事」について補足すると、前記2⑵イ(イ)の認定事実に加え、証拠(甲8、9)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成21年5月から本件障害認定日まで、頻繁に、C医師に対し、不安のため過食傾向にあることを伝えており、大学1年時は60kgであった体重が、同年11月 甲8、9)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成21年5月から本件障害認定日まで、頻繁に、C医師に対し、不安のため過食傾向にあることを伝えており、大学1年時は60kgであった体重が、同年11月11日は95.2kgにまで達していることが認められる。これらの事情に 鑑みれば、原告は、本件障害認定日頃、助言や指導がなければ食事を適正に行うことはできなかったものと評価すべきであって、「自発的にできるが時には助言や指導を必要とする」と評価すべき旨の被告の主張は採用することはできない。 また、「⑶金銭管理と買い物」に関し、被告は、原告が仕送りを受けてい た金員を自分で管理していた旨を指摘する。しかし、前記2の認定事実によれば、原告が母から仕送りを受けて管理していた金員は、自動で引き落としがされる額を除くと、月約3万円にとどまる上、原告は、食料品、日用品、衣服等の日常生活に必要な物品を両親から受領していたのであるから、上記額は治療費等の限定的な使途に充てていたものと考えられる。そうすると、 原告が、上記約3万円を管理していたことをもって、金銭管理や買い物をす ることが「できる」と評価すべき旨の被告の主張は採用することができない。 4 原告の本件障害認定日における障害の状態が2級に該当するかについて⑴ 前記2⑴、⑵及び⑷の認定事実によれば、原告は、初診日(平成21年2月19日)から本件障害認定日(平成22年8月19日)までの1年半(特に平成21年8月以降の約1年間)、対人緊張が強く、抑うつ状態を呈し、 意欲低下が著明な状態にあり、これらにより、ほとんど外出することや他人と接触することをせず、食料品や日用品等の日常生活に必要な品を両親から受け取るなどして本件アパートの居室内に引きこもり、同居室内でもほとんど活動す 態にあり、これらにより、ほとんど外出することや他人と接触することをせず、食料品や日用品等の日常生活に必要な品を両親から受け取るなどして本件アパートの居室内に引きこもり、同居室内でもほとんど活動することなく過ごす生活を継続していたものであり、このような状態は、平成21年5月以降の継続的な抗うつ薬の服薬等の気分変調症や社会不 安障害にも用いられる治療方法によっても改善されなかったことが認められる。 このような原告の病状、療養状況、生活状況等からすれば、原告は、本件障害認定日頃、気分変調症及び社会不安障害により、「気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに 繰り返したりするため」、活動の範囲はおおむね本件アパートの居室内に限られ、その活動の内容も、家庭内の極めて温和な活動はできるが、それ以上の活動はできなかったものといえ、前記3のとおり、等級判定ガイドラインの表1によれば、障害等級2級が目安となることも考慮すると、原告の本件障害認定日における障害の状態は、日常生活が著しい制限を受けるか又は日 常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害の状態(障害等級2級に該当する程度の障害の状態)にあったものと認められる。 ⑵ 被告は、障害認定基準においては、気分変調症について、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものであるから、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮するとされているところ、原告の本件 障害認定日における障害の状態は障害等級2級に該当せず、他方、本件裁定 請求日時点においては障害等級2級に該当すると判断されたのは、同時点までに気分変調症及び社会不安障害による症状が遷延化、固定化し、悪化したためである旨を主張し、これに沿う証 方、本件裁定 請求日時点においては障害等級2級に該当すると判断されたのは、同時点までに気分変調症及び社会不安障害による症状が遷延化、固定化し、悪化したためである旨を主張し、これに沿う証拠として、気分変調症の場合、通常の精神症状は軽症であり、一定の日常生活が可能である旨や、社会不安障害は、重大な生活機能、社会機能の低下を示すことはまれである旨の記載のある岩 波明医師の意見書(乙6)を提出する。 しかしながら、まず、前記前提事実⑵イの本件診断書及び本件事後重症診断書の記載に加え、前記2の認定事実によっても、本件裁定請求日における症状が、本件障害認定日頃よりも悪化したことはうかがわれない。また、上記意見書の上記の各記載は、気分変調症や社会不安障害の通常の症状を記載 したものにすぎず、障害認定基準においても、気分変調症や神経症による障害の状態が障害等級2級に該当する場合があることは前提とされている。しかるところ、原告の気分変調症等の症状やそれによる日常生活活動等は、本件障害認定日まで、継続的な治療によっても改善しなかったものであり、本件障害認定日における原告の障害の状態が障害認定基準等に照らして障害等 級2級に該当するものと認められることは、前記⑴のとおりである。被告の主張は採用することができない。 5 小括以上によれば、原告は、本件障害認定日頃、少なくとも気分変調症及び社会不安障害により、障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあったと認めら れる以上、広範性発達障害の点について判断するまでもなく、本件処分は違法であり、本件処分は取り消されるべきものである。 6 本件義務付けの訴えについて本件義務付けの訴えは、行政事件訴訟法3条6項2号のいわゆる申請型の義務付けの訴えであると解されるところ、前記 違法であり、本件処分は取り消されるべきものである。 6 本件義務付けの訴えについて本件義務付けの訴えは、行政事件訴訟法3条6項2号のいわゆる申請型の義務付けの訴えであると解されるところ、前記5のとおり、本件処分は違法であ って取り消されるべきものであるから、同法37条の3第1項2号の訴訟要件 を満たし、適法である。 そして、以上に説示したところによれば、厚生労働大臣が原告に対し本件障害認定日を受給権発生日とする障害等級2級の障害基礎年金を支給する旨の裁定をすべきことは明らかであると認められるから、同条5項に基づき、厚生労働大臣が上記決定をすべき旨を命ずる判決をするのが相当である。 第4 結論よって、原告の請求はいずれも理由があるからこれらを認容することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官鎌野真敬 裁判官志村由貴 裁判官都 築 健太郎 (別紙1)障害認定基準(乙1)の定め 1 「第2 障害認定に当たっての基本的事項」「1 障害の程度 (中略)⑵ 2級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。この日常生活が著しい制限を受けるか又は 日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものである。 例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、 、労働により収入を得ることができない程度のものである。 例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、 すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。 (以下略)」 2 「第3 障害認定に当たっての基準」「第1章障害等級認定基準」「第8節 精神の障害」「1 認定基準(中略)精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、(中略)日常 生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必 要とする程度のものを2級に、(中略)該当するものと認定する。 精神の障害は、多種であり、かつ、その症状は同一原因であっても多様である。 したがって、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮する。 2 認定要領精神の障害は、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」、「症状性を含む器質性精神障害」、「てんかん」、「知的障害」、「発達障害」に区分する。 (中略) A 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害⑴ 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。 障害の程度障害の状態1級(略)2級 2 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制 1級(略)2級 2 気分(感情)障害によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの3級(略)⑵ (中略)気分(感情)障害の認定に当たっては、次の点を考慮の上 慎重に行う。 (中略)イ気分(感情)障害は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する 時期を繰り返すものである。したがって、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する。 (中略)⑸ 神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであ っても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。 なお、認定に当たっては、精神病の病態がD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。 (中略)E 発達障害⑴ 発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいう。 ⑵ 発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う。 また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存している ときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。 (中略)⑷ 各等級に相当すると認められるものを一部例示する とその他認定の対象となる精神疾患が併存している ときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。 (中略)⑷ 各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。 障害の程度障害の状態1級(略)2級発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの3級(略)⑸ 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。 (以下略)」 (別紙2)等級判定ガイドライン(乙5)の定め 障害認定基準に基づく精神の障害の程度の認定については、後記1の「障害等級の目安」を参考としつつ、後記2の「総合評価の際に考慮すべき要素の例」で例示 する様々な要素を考慮した上で、障害認定診査医員が専門的な判断に基づき総合的に判定する。 1 障害等級の目安診断書の記載項目のうち、「日常生活能力の程度」の評価及び「日常生活能力の判定」の評価の平均を組み合わせたものが、どの障害等級に相当するかの目安 を示したもの(表1参照)。 「〔表1〕程度判定平均⑸⑷⑶⑵⑴3.5以上1級1級又は2級 3.0以上3.5未満1級又は2級2級2級 2.5以上3.0未満 2級2級又は3級 2.0以上2.5未満 2級2級又は3級3級又は3級非該当 1.5以上2.0未満 3級3級又は3級非該当 1.5未満 3級非該当3級非該当《表の見方》 1 「程度」は 級2級又は3級3級又は3級非該当 1.5以上2.0未満 3級3級又は3級非該当 1.5未満 3級非該当3級非該当《表の見方》 1 「程度」は、診断書の記載項目である「日常生活能力の程度」の5段階評価を指す。 2 「判定平均」は、診断書の記載項目である「日常生活能力の判定」の4段階評価について、程度の軽いほうから1~4の数値に置き換え、その平均を算出したものである。 3 略《留意事項》 障害等級の目安は総合評価時の参考とするが、個々の等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されるものであり、目安と異なる認定結果となることもあり得ることに留意して用いること。」 2 総合評価の際に考慮すべき要素の例診断書の記載項目(「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」を除 く。)を5つの分野(現在の病状又は状態像、療養状況、生活環境、就労状況、その他)に区分し、分野ごとに総合評価の際に考慮することが妥当と考えられる要素とその具体的な内容例を示したもの(表2参照)。 〔表2〕 略 以上

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