平成26(ワ)31864 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年9月25日 東京地方裁判所
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判決文本文14,508 文字)

- 1 -平成27年9月25日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第31864号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成27年7月29日判決東京都千代田区<以下略>原告A東京都港区<以下略>原告B同訴訟代理人弁護士神田知宏東京都港区<以下略>被告Y同訴訟代理人弁護士海川直毅同鍬竹昌利 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 被告は,原告A(以下「原告A」という。)に対し,80万円を支払え。 2 被告は,原告B(以下「原告B」という。)に対し,80万円を支払え。 第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等を掲げたもののほかは,当事者間に争いがない。)(1) 当事者原告A及び原告Bは,いずれも弁護士である。 被告は,企業や団体,個人等の広報の代行,インターネットに関するコンサルタント業務等を業とする株式会社である。〔弁論の全趣旨〕 - 2 -(2) 被告のホームページの開設被告は,「ネット誹謗中傷対策」について,ウェブサイト(以下「被告ウェブサイト」という。)を開設している。〔甲1の1~3,甲2〕 2 本件は,弁護士である原告らが,被告に対し,被告が被告ウェブサイトにおいて,「弁護士は,料金が高い」,「法律のプロの力を借りなければ削除が難しいサイトだけに限って弁護士に依頼 の1~3,甲2〕 2 本件は,弁護士である原告らが,被告に対し,被告が被告ウェブサイトにおいて,「弁護士は,料金が高い」,「法律のプロの力を借りなければ削除が難しいサイトだけに限って弁護士に依頼すれば,全体の費用を大幅に減らすことができます」等と表示し,「ネット削除に詳しい弁護士」として原告らの氏名を表示したことが,(1)原告らよりも契約条件において有利であるかのような表示をしている点において品質等誤認表示(不正競争防止法〔以下「不競法」という。〕2条1項13号)に,(2)原告らと被告とは競争関係にあるところ,原告らの料金が不相当に高額であり,被告に比べて「コストパフォーマンスが悪い」との営業上の信用を害する虚偽の事実の告知(不競法2条1項14号)にそれぞれ当たり,これにより原告らの営業権が侵害され,原告の名誉,信用に対する損害を被ったと主張して,慰謝料各80万円の支払を求める事案である。 3 争点(1) 被告ウェブサイトの記載が役務の品質等を誤認させる表示に当たるか(2) 被告による虚偽事実告知の不正競争の成否ア被告ウェブサイトの記載が虚偽の事実の告知に当たるかイ原告らと被告が競争関係にあるか(3) 原告らの営業上の利益の侵害の有無及び損害額第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(被告ウェブサイトの記載が役務の品質等を誤認させる表示に当たるか)について - 3 -〔原告らの主張〕(1) 被告は,被告ウェブサイトにおいて,「弁護士は,料金が高い」(甲1の3,1頁)と指摘し,あたかも自らの削除料金が低廉で有利であるかのように表示している。そして,「法律のプロの力を借りなければ削除が難しいサイトだけに限って弁護士に依頼すれば,全体の費用を大幅に減らすことができます」(甲1の3,2頁 削除料金が低廉で有利であるかのように表示している。そして,「法律のプロの力を借りなければ削除が難しいサイトだけに限って弁護士に依頼すれば,全体の費用を大幅に減らすことができます」(甲1の3,2頁)としたうえで,「ネット削除に詳しい弁護士」(甲1の3,2頁)として原告らの氏名を表している。 これは,被告の役務が原告らよりも「契約条件」において有利であるかのような表示をしている点において,役務の品質等を誤認させる表示に当たるというべきである。 (2) 被告は,被告ウェブサイトにおいて,自らの「削除代行」が「業界最安値」であり,弁護士の削除料金は高いと広告しているが,事業者による「削除代行」は非弁行為であり違法であって,自らの「削除代行」が弁護士の料金より安く「業界最安値」と広告することは,不競法に定める品質(有利)等誤認表示(不競法2条1項13号)に当たる。 〔被告の主張〕(1) 原告らの主張は否認ないし争う。被告は,自らの削除料金と対比させて弁護士費用を記載したものではなく,まして自らの方が「低廉で有利である」などと表記したものでもない。 被告ウェブサイトの記載内容は意見ないし論評にわたるものであり,内容的にも相当である。 ア原告らがその記載を引用する被告ウェブサイトのうちの甲1の3には,確かに「弁護士は,料金が高い」として種々の記載があるが,これらの内容を読めば,明らかに弁護士一般の費用が高いと述べているにすぎない。すな - 4 -わち,同ページの記載は,読者をして被告の業務に誘引しようとする目的ではなく,ネット上の被害への対処方法一般を広く知らせるにすぎない内容である。そして,被告ウェブサイトには,「2ちゃんねる等への仮処分の申請」の弁護士費用の「例」として,「33万円~」などと表記しているが(甲1 ト上の被害への対処方法一般を広く知らせるにすぎない内容である。そして,被告ウェブサイトには,「2ちゃんねる等への仮処分の申請」の弁護士費用の「例」として,「33万円~」などと表記しているが(甲1の3,1頁),これはあくまで「例」と表記していることからも明らかなとおり,弁護士への依頼すら行ったこともない一般人に対して,概ねの相場的な感覚を示しているにすぎない。 また,「30万円では済まないことも」(甲1の3,1頁)として,すべての事案でこの費用内で収まることはないという当然の事理を説明するなどし,「ネット削除の弁護士費用は,何かと高額になりがちです。予算のない方は,ご自分でできることはご自身で行い,どうしても弁護士が必要なことだけを依頼するのがいいでしょう。」(甲1の3,1頁),あるいは「法律のプロの力を借りなければ削除が難しいサイトだけに限って弁護士に依頼すれば,全体の費用を大幅に減らすことができます。」(甲1の3,2頁)などとして,ネット被害に悩む一般人に対して対処方法についての合理的な考え方の一つを提示しているにすぎない。 以上の記載内容をみれば,被告ウェブサイトの記載は,意見論評として行われたことは明らかである。 イこの点,弁護士は「基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命とする」とされ(弁護士法1条1項),その「使命に基き,誠実にその職務を行い,社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない」とされ(同条2項),「常に,深い教養の保持と高い品性の陶やに努め,法令及び法律事務に精通しなければならない」とされるように(同法2条),高い精神性に由来した専門性が要求されている。かかる精神性・専門性の高さ - 5 -故に,弁護士には相当額の費用を支払うことが社会的にコンセンサスとなってい されるように(同法2条),高い精神性に由来した専門性が要求されている。かかる精神性・専門性の高さ - 5 -故に,弁護士には相当額の費用を支払うことが社会的にコンセンサスとなっている。被告ウェブサイトの記載は,こうした社会的コンセンサスを踏まえて,無限定に弁護士に依頼をすると,結果として高額の費用の支出を免れない場合があるという,極めて一般的な事柄を示しているのであり,そのことが「弁護士は,料金が高い」などの記載の趣旨となっていることは,文脈上明らかである。 こうした被告ウェブサイトの記載は何ら不相当な内容ということはできず,役務の質,内容,用途若しくは数量について誤認させるような表示(不競法2条1項13号)をしたといえないことは明らかである。 (2) 原告らの主張に対しア原告らは,「弁護士は,料金が高い」などとする記載とともに,「ネット削除に詳しい弁護士」として原告らの氏名を表示していることを引用し,これが不正競争行為に当たると主張する。 しかし,被告ウェブサイトの記載から明らかなとおり,「弁護士は,料金が高い」との記載と,「ネット削除に詳しい弁護士」として原告らの氏名を表示していることの間には,何らの関係もない。被告ウェブサイトでは「原告らの」料金が高いなどと記載したことは全くなく,むしろ,「ネット削除に詳しい」として,一般人に対し原告らを勧めこそすれ,原告らの評判を低下させるものではないことは明らかである。弁護士一般に対する意見論評部分と全く文脈の異なる個所での「ネット削除に詳しい弁護士」としての紹介を,「弁護士費用が高い」という点で結びつける原告らの主張には無理がある。 以上のとおり,被告ウェブサイトの記載は,不競法2条1項13号に該当するものではない。 - 6 -イ ,「弁護士費用が高い」という点で結びつける原告らの主張には無理がある。 以上のとおり,被告ウェブサイトの記載は,不競法2条1項13号に該当するものではない。 - 6 -イ原告らは,被告ホームページにおいて「業界最安値」などと記述しているとして,適法になし得ない業務(非弁行為)と原告らの業務とを比較する以上,かかる表示自体が不正競争行為であると主張する。 しかし,原告らは被告の「削除代行」が違法な業務(非弁行為)であることを前提としているが,被告の業務は何ら非弁行為に該当するものではなく,その前提自体が誤りである。被告は法律事務に関する業務を行っておらず,業者としてなし得る「削除代行」(その内実は技術的サポートである。)と弁護士が担う業務とを適正にすみわけ,費用を抑えることを推奨しているにすぎない。被告ウェブサイトにも,法律事務に関する事項は顧客が依頼する弁護士と共同して対応するなどの対処を行っている(甲1の3)。被告が,弁護士の行うべき法律事件に関してなされる法律事務を担おうとしているわけでないことは被告ウェブサイトの記載からも明らかである。 被告ウェブサイトの「弁護士は,料金が高い」との記載は,被告が行う業務分野とは別の分野の,しかも弁護士一般について述べたものであることは明らかである。これら記載が,原告らの担う業務と被告の業務の価格を比較したものであるとする原告らの主張は失当であり,まして「弁護士は,料金が高い」との記載と「ネット削除に詳しい弁護士」として原告らの氏名を表示することによって,被告の「削除料金の方が低廉で有利」「弁護士を依頼することは費用対効果が悪い」との事実を明示又は黙示に指摘しているなどという原告らの主張は,論理の飛躍である。原告らの氏名等を表示したのも,読者への単なる情報提 料金の方が低廉で有利」「弁護士を依頼することは費用対効果が悪い」との事実を明示又は黙示に指摘しているなどという原告らの主張は,論理の飛躍である。原告らの氏名等を表示したのも,読者への単なる情報提供の趣旨であり特段の意味はない。 2 争点(2)ア(被告ウェブサイトの記載が虚偽事実の告知に当たるか)について〔原告らの主張〕 - 7 -被告は,前記1〔原告らの主張〕記載のとおり,「弁護士は,料金が高い」と指摘し,あたかも自らの削除料金が低廉で有利であるかのように表示しており,「法律のプロの力を借りなければ削除が難しいサイトだけに限って弁護士に依頼すれば,全体の費用を大幅に減らすことができます」(甲1の3)としたうえで,「ネット削除に詳しい弁護士」として原告らの氏名を表示している。 これは,原告らの料金が不相当に高額であり,被告に比べてコストパフォーマンスが悪いという,営業上の信用を害する虚偽の事実を告知しているにほかならない。 弁護士は,弁護士職務基本規程24条により「経済的利益,事案の難易,時間及び労力その他の事情に照らして,適正かつ妥当な弁護士報酬を提示しなければならない。」とされており,不相当に高額な料金は請求していないのであり,不相当に「料金が高い」との事実摘示は反真実である。 なお,被告ウェブサイトでは,「誹謗中傷の被害を『最速』『最安』で解決します」,「Yのネット削除の料金は,1サイトあたり8000円~と,業界最安値です。」,「『完全成功報酬』です。」,「削除されなかった場合は,費用はかかりません」(甲1の1),「弁護士に依頼して,裁判所から削除の仮処分決定をしてもらうこともできますが,この方法だと,たいていは30万~60万円以上の費用がかかります。お困りの場合は,当社にご相談下さい」(甲1の2)と ),「弁護士に依頼して,裁判所から削除の仮処分決定をしてもらうこともできますが,この方法だと,たいていは30万~60万円以上の費用がかかります。お困りの場合は,当社にご相談下さい」(甲1の2)との情報が掲示されている。 そのうえで,「弁護士は,料金が高い」,「ネット削除の仮処分は『30万円』以上」,「弁護士に依頼するデメリットは,高額の費用がかかることです」,「30万円では済まないことも」,「予算のない方は,ご自分でできることはご自身で行い,どうしても弁護士が必要なことだけを依頼するのがいい - 8 -でしょう。(そのあたりの線引きをどうすべきかについては,当社に相談ください)」と記載している(甲1の3)。 そうすると,「弁護士は,料金が高い」,「弁護士に依頼するデメリットは,高額の費用がかかること」といった記載は,一見すると弁護士の料金に関する被告による意見論評のようにも見えるが,上記のようなサイト全体に散在する記載に照らすと,「自らの削除料金ほうが低廉で有利であり」,「弁護士に削除を依頼することは費用対効果が悪い」との事実を明示または黙示に指摘しているものと読み取ることができる。 〔被告の主張〕原告らの主張は否認ないし争う。被告ウェブサイトの記載は,何ら不相当な内容ということができないのは前記1〔被告の主張〕記載のとおりであり,これによれば被告ウェブサイトの記載が営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に当たらないし,そもそも被告ウェブサイトには,原告らの主張する,原告らの料金が不相当に高額であるとか,被告に比べてコストパフォーマンスが悪いなどという記載はない。被告ウェブサイトの記載は,原告らの「営業上の信用を害する虚偽の事実の告知」(不競法2条1項14号)には当たらない。 3 争点(2)イ(原告らと被告が競争 パフォーマンスが悪いなどという記載はない。被告ウェブサイトの記載は,原告らの「営業上の信用を害する虚偽の事実の告知」(不競法2条1項14号)には当たらない。 3 争点(2)イ(原告らと被告が競争関係にあるか)について〔原告らの主張〕不競法2条1項14号の「競争関係」とは,事業者間の公正な競争を確保するという同法の目的に照らすと(同法1条),現実の市場における競合が存在しなくとも,市場における競合が生じるおそれがあれば足りる。 本件では,原告らと被告とは,人格権に基づく妨害排除請求権としての削除請求権の代理行使(または代行行使)業務において,市場において競合を生じるから,競争関係にある。 - 9 -〔被告の主張〕否認ないし争う。 4 争点(3)(原告らの営業上の利益の侵害の有無及び損害額)について〔原告らの主張〕被告ウェブサイトにおける記載による品質等誤認表示,虚偽事実の告知の不正競争行為は,原告らの営業権を侵害するものである。 原告らは,被告の不正競争行為により,営業上の利益(営業権)を侵害され,営業的名誉及び営業的信用を含む営業権である営業上の利益に対する損害を被った。その金額(慰謝料)は,各80万円をくだらない。 したがって,原告らは被告に対し,不正競争防止法違反の不法行為に基づき,各80万円の損害賠償請求権を有する。 〔被告の主張〕否認ないし争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(被告ウェブサイトの記載が役務の品質等を誤認させる表示に当たるか)について(1)ア被告ウェブサイトは,「トップページ」,「ネット削除」,「逆SEO」,「誹謗中傷対策サービス」,「WEBサービス」,「広報代行」,「会社概要」,「誹謗中傷対策ガイド」,「ネット炎上事件簿(セミナー資料)」 ブサイトは,「トップページ」,「ネット削除」,「逆SEO」,「誹謗中傷対策サービス」,「WEBサービス」,「広報代行」,「会社概要」,「誹謗中傷対策ガイド」,「ネット炎上事件簿(セミナー資料)」,「2chに対する裁判の事例」,「会社概要」,「お問い合わせ」からなる。〔甲1の1〕イ被告ウェブサイト(トップページ)には,「ネット誹謗中傷対策の専門会社」,「■『削除』と『逆SEO』でネット中傷を解決」とし,「Yは,インターネット上の誹謗中傷対策を専門とする会社です。2ちゃんねる(2ch)などの掲示板やブログなど各種WEBサイトで中傷の被害あっ - 10 -ている(判決注;ママ)企業様や個人の方々に,解決のためのサービスを提供しています。独自の技術と豊富なノウハウにより,誹謗中傷の被害を『最速』『最安』で解決します。」,「『名誉毀損』『業務妨害』『プライバシー侵害』などに対応」とし,「当社は,ネットの誹謗中傷を消す『削除代行サービス』と,誹謗中傷サイトの検索順位を引き下げる『逆SEO』(ぎゃくエスイーオー)を主力事業としています。ネット上で名誉毀損や信用毀損,プライバシー侵害,業務妨害などの被害を受けたら,まずは当社にご相談下さい。」などと記載されている。〔甲1の1〕また,被告ウェブサイト(「誹謗中傷対策ガイド」中の「弁護士に相談する」のページ。以下「相談ページ」という。)には,「弁護士への『ネット削除依頼』の相談」,「■裁判所を動かすには,弁護士が役立つ」,「ネットでの誹謗中傷への対応は,弁護士に依頼した方が良いケースもあります。それは,裁判所に削除の仮処分命令を下してもらうときです。仮処分の申請手続きは,やろうと思えばご自分でもできますが,弁護士に頼んだほうが,手っ取り早いです。また,誹謗中傷をした人物を相手取 ります。それは,裁判所に削除の仮処分命令を下してもらうときです。仮処分の申請手続きは,やろうと思えばご自分でもできますが,弁護士に頼んだほうが,手っ取り早いです。また,誹謗中傷をした人物を相手取り,損害賠償の訴訟を起こす場合も,弁護士への依頼が必要になります。」,「■弁護士は,料金が高い」,「ネット削除の仮処分は『30万円』以上弁護士に依頼するデメリットは,高額の費用がかかることです。 たとえば,一般的な弁護士事務所のネット削除の料金は,以下の通りとなっています。」として,「2ちゃんねる等への仮処分の申請」の弁護士費用の例として「33万円~(着手金22万円+成功報酬11万円)」などとし,「30万円では済まないことも」,「賢い『弁護士の使い方』は,当社にご相談を」,「ネット削除の弁護士費用は,何かと高額になりがちです。予算のない方は,ご自分でできることはご自身で行い,どうしても弁護士が必要なことだけを依頼するのがいいでしょう。(そのあたりの線引きをどうすべきかについては,当社にご相談下さい)」,「最後に弁護 - 11 -士の登場」,「法律のプロの力を借りなければ削除が難しいサイトだけに限って弁護士に依頼すれば,全体の費用を大幅に減らすことができます。」,「『ネットの削除』に詳しくない弁護士はNG」,「『ネットの削除』に詳しくない弁護士に誹謗中傷の対応を依頼しても,お金がかかるばかりで,結果が出ないことが多いです。また,慣れていない弁護士さんに任せると,誹謗中傷がかえって拡散したり,炎上したりする恐れもあります。弁護士を選定する際にも,よく調べたうえで,場合によっては,まず当社にご相談下さい。」,「ネット削除に詳しい弁護士」,「■削除の実績のある弁護士がオススメ」,「ネットの削除には,特殊な技能や経験が必要となるため, 際にも,よく調べたうえで,場合によっては,まず当社にご相談下さい。」,「ネット削除に詳しい弁護士」,「■削除の実績のある弁護士がオススメ」,「ネットの削除には,特殊な技能や経験が必要となるため,経験が豊富で,かつ,仕事に熱心な弁護士がオススメです。」との記載もあり,続けて,「〈ネット削除に詳しい弁護士〉」として,原告らの氏名,所属事務所,得意分野,ホームページのURL等が記載されており,得意分野について,原告Bの欄には「2ちゃんねる(2ch)削除」,「書き込んだ人物の特定(IPアドレス・ログ取得,発信者情報開示)」と,原告Aの欄には「Googleの検索結果の削除」が得意分野であると記載されている。また,「■会社として顧問弁護士を抱えている場合」,「企業や団体様などで顧問弁護士を抱えている場合は,顧問弁護士にネット削除を依頼することができます。しかし,顧問弁護士がITやネット削除に詳しくなかったり,2ちゃんなどの削除を行った経験が少なかったりすることもあります。そういう場合は,弊社のようにITに詳しい会社を上手くご活用いただき,顧問弁護士と連携しながら,効率よく削除を進めていただくことが賢明です。」,「■『内容証明』の依頼は弁護士へ」等の記載もある。〔甲1の3〕また,被告ウェブサイトにおいて(「ネット削除」のページ。以下「削除ページ」という。)は,自らの業務に関し,「ネット削除(削除依頼)のITサポート」,「Yでは,インターネット上の誹謗中傷や個人情 - 12 -報,名誉毀損のページを削除するITサービスを行っています。最新の技術とノウハウにより,誹謗中傷を素早く削除します。」,「■『ブログ』『掲示板』『2ちゃん』の削除代行」,「当社は,インターネット上の誹謗中傷の削除を代行する『ネット削除ITサポート会社』です。 の技術とノウハウにより,誹謗中傷を素早く削除します。」,「■『ブログ』『掲示板』『2ちゃん』の削除代行」,「当社は,インターネット上の誹謗中傷の削除を代行する『ネット削除ITサポート会社』です。ITやWEBの専門技術を生かし,削除依頼の手続きを最後までお手伝いします。 個人様,法人様を問わず対応しております。掲示板や2ちゃんねる(2ch),ブログ,ミラーサイトなど,幅広いサイトの削除を承っております。」,「ネット削除の費用」,「■削除料金は,1サイトあたり8000円~」,「当社の削除申請サービスの料金は,1サイトあたり8000円(税込)~です。10サイトまとめて削除申請する場合の料金は,計4万8000円(税込,同一の2chミラーサイトの場合)~です。」,「ネット削除申請サービス(技術サポート)」,「■ネットの削除申請には″コツ″がある」,「インターネットの削除要請には,コツがあります。 コツを知らないと削除はできません。当社では,これまでの数千件以上の削除実績と経験をふまえ,最も効果的な削除要請ができるよう,技術面からサポートいたします。」,「■根拠のある要請文書ネットの削除要請は,ネット上のフォームか書面の郵送により行います。その際,削除を要請する理由や根拠を明確に示す必要があります。『名誉毀損』『業務妨害』『著作権侵害』など,理由は案件ごとに異なりますが,しっかりと根拠のある削除要請文を提出しなければなりません。」等の記載もされている。 〔甲1の2〕ウ被告は,平成27年12月5日までには,前記(1)イの一部の記載につき,「■弁護士は,料金が高い」等の記載を削除し,「■ネット削除の『代理』は弁護士へ」などと被告ウェブサイトの記載を変更している。 〔甲2〕(2) 不競法2条1項13号は,「役務の質,内容・・・について誤認させ は,料金が高い」等の記載を削除し,「■ネット削除の『代理』は弁護士へ」などと被告ウェブサイトの記載を変更している。 〔甲2〕(2) 不競法2条1項13号は,「役務の質,内容・・・について誤認させるよ - 13 -うな表示」をする行為を不正競争とするところ,原告らは,被告ウェブサイトの記載は,被告の役務が原告らよりも契約条件において有利であるかのような表示をしている点において,上記役務の質等を誤認させる表示に当たると主張するので,以下検討する。 被告は,トップページにおいて,「ネット誹謗中傷対策の専門会社」であり「■『削除』と『逆SEO』でネット中傷を解決」するとし,「『名誉毀損』『業務妨害』『プライバシー侵害』」に対応し,「解決のためのサービスを提供しています。独自の技術と豊富なノウハウにより,誹謗中傷の被害を『最速』『最安』で解決します。」などと表記している(甲1の1)。被告ウェブサイトは,この「トップページ」のほか,「ネット削除」,「逆SEO」,「誹謗中傷対策サービス」,「WEBサービス」,「広報代行」,「会社概要」,「誹謗中傷対策ガイド」,「ネット炎上事件簿(セミナー資料)」,「2chに対する裁判の事例」,「会社概要」,「お問い合わせ」からなるところ,このうち「誹謗中傷対策ガイド」中の「弁護士に相談する」とのページ(相談ページ)には,原告らが主張するとおり,「弁護士は,料金が高い」,「ネット削除に詳しい弁護士」として,原告Bは「2ちゃんねる(2ch)削除」,原告Aは「Googleの検索結果の削除」が得意分野であると記載されている。 ここで,原告らの主張する「契約条件」が被告ウェブサイトのいかなる記載をいうのかは定かではないものの,前記(1)イの被告ウェブサイトの相談ページ及び削除ページの記載の内容,特に,「 載されている。 ここで,原告らの主張する「契約条件」が被告ウェブサイトのいかなる記載をいうのかは定かではないものの,前記(1)イの被告ウェブサイトの相談ページ及び削除ページの記載の内容,特に,「ネットでの誹謗中傷への対応は,弁護士に依頼した方が良いケースもあります。それは,裁判所に削除の仮処分を下してもらうときです。」,「最後に弁護士の登場」や「法律のプロの力を借りなければ削除が難しいサイトだけに限って弁護士に依頼すれば,全体の費用を大幅に減らすことができます。」などの記載につき,需要者として想定されるインターネットによる誹謗中傷の対策を検討する者 - 14 -の通常の注意と理解力を基準とすれば,需要者は,被告ウェブサイトにおいて「法律のプロ」であるとされている弁護士が提供する役務の内容と,削除ページに「当社では,これまでの数千件以上の削除実績と経験をふまえ,最も効果的な削除要請ができるよう,技術面からサポートいたします。」等の記載から理解される被告が提供する役務の内容とは異なるものであることを前提とした上で,それぞれに必要な費用について記載したものと理解するものと認められるから,上記被告ウェブサイトの記載内容は,被告の方が原告らよりも契約の条件である契約内容等において有利であるとの記載とは解されない。 そうすると,被告ウェブサイトの記載内容は,そもそも被告の役務の品質等を誤認させる表示には当たらないというべきである。 (3) 原告らは,被告は自らの「削除代行」が「業界最安値」であり,弁護士の削除料金は高いと広告しているが,事業者による「削除代行」は非弁行為であり違法であって,自らの「削除代行」が弁護士の料金より安く「業界最安値」と広告することは,不競法に定める品質(有利)誤認行為(不競法2条1項13号) ているが,事業者による「削除代行」は非弁行為であり違法であって,自らの「削除代行」が弁護士の料金より安く「業界最安値」と広告することは,不競法に定める品質(有利)誤認行為(不競法2条1項13号)に当たり,こうした被告ウェブサイトの記載(広告)は,原告らの営業権を侵害する不正競争に当たるものであると主張する。 しかし,被告ウェブサイトには,前記1(1)イのとおり「Yは,インターネット上の誹謗中傷対策を専門とする会社です。2ちゃんねる(2ch)などの掲示板やブログなど各種WEBサイトで中傷の被害あっている(判決注;ママ)企業様や個人の方々に,解決のためのサービスを提供しています。 独自の技術と豊富なノウハウにより,誹謗中傷の被害を『最速』『最安』で解決します。」と記載されているほか,「Yのネット削除の料金は,1サイトあたり8000円~と,業界最安値です。」(トップページ。甲1の1,1頁),「削除料金は,ミラーサイトの場合,1サイトあたり8000円~となっており,業界最安値です。」(トップページ。甲1の1,2頁)との - 15 -記載はあるが,被告ウェブサイトには,原告らないし弁護士と被告が同じ「業界」であるとの記載はなく,また原告ら弁護士を同業の「業界」であることを前提とした上で「最安」で解決すると記載するものではない。そうすると,被告ウェブサイトの記載と実質的な非弁行為との関係はともかくとしても,そもそも被告ウェブサイトの上記記載は,被告の行う役務の品質に伴う価格について誤認させる表示とはいえないから,原告らの上記主張は採用することができない。 (4) さらに原告らは,民間業者が人格権に基づく妨害排除請求権としての削除請求権を代行行使することは非弁行為としての業務であるから,その範囲で原告らとは競争関係にある者 用することができない。 (4) さらに原告らは,民間業者が人格権に基づく妨害排除請求権としての削除請求権を代行行使することは非弁行為としての業務であるから,その範囲で原告らとは競争関係にある者としての同じ業界に属する旨主張する。 なるほど被告ウェブサイトには,「当社は,インターネット上の誹謗中傷の削除を代行する『ネット削除ITサポート会社』です。ITやWEBの専門技術を生かし,削除依頼の手続きを最後までお手伝いします。」との記載など,被告が,顧客と顧客が削除を求める相手との間でどのように関わるのかについて明確でない記載が存する。しかし,被告ウェブサイトの記載が役務の品質に伴う価格について誤認させる表示といえないことは前記(2)で検討したところであるから,原告らの主張は前提を欠き,採用することができない。 2 争点(2)ア(被告ウェブサイトの記載が虚偽事実の告知に当たるか)について(1) 原告らは,被告ウェブサイトの記載は,原告らの料金が不相当に高額であり,被告に比べてコストパフォーマンスが悪いとの営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に当たると主張する。 不競法2条1項14号にいう「虚偽の事実」とは客観的事実に反する事実をいうところ,そこにいう事実は証拠等により虚偽か否かが判断可能な客観的事項をいい,事実ではない主観的な見解ないし判断,証拠等による証明に - 16 -なじまない物事の価値,善悪,優劣についての批評や論議ないし法的な見解の表明は,事実を摘示するものではなく,意見ないし論評の表明の範ちゅうに属すると解すべきである(最高裁平成15年(受)第1793号,第1794号同16年7月15日第一小法廷判決・民集58巻5号1615頁参照)。 この観点から被告ウェブサイトの記載をみると,被告ウェブサイトには すべきである(最高裁平成15年(受)第1793号,第1794号同16年7月15日第一小法廷判決・民集58巻5号1615頁参照)。 この観点から被告ウェブサイトの記載をみると,被告ウェブサイトには原告らを含む弁護士の報酬(料金)が不相当に高額であり,弁護士に対する依頼がその業務内容に照らしコストパフォーマンスないし費用対効果が悪いと指摘していると解される記載があるものとは認められない。なるほど被告ウェブサイトの相談ページには,「弁護士は料金が高い」との記載はあるが,これらについては,被告ウェブサイトの相談ページの記載によれば,弁護士報酬(料金)が算定される事実上の根拠を示した上でこれに対する被告なりの意見ないし評価を述べたものと理解されるというべきであるから,「虚偽の事実」に当たるものとは解されない。 (2) 原告らは,被告ウェブサイトの記載に照らすと,被告の削除料金の方が低廉で有利であり,弁護士への依頼は費用対効果が悪いとの事実を指摘するものと理解されると主張する。 しかし,被告が削除料金として表示する内容は被告との契約内容を前提とし,これは弁護士に依頼した場合とは異なることが前提となっており,被告が有利である旨の記載とは解されないことは前記1(2)で検討したとおりである。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (3) また,原告らは,被告は自らの「削除代行」が「業界最安値」であり,弁護士の削除料金は高いと広告しているが,事業者による「削除代行」は非弁行為であり違法であって,自らの「削除代行」が弁護士の料金より安く「業界最安値」と広告することは営業誹謗行為(不競法2条1項14号)に当た - 17 -り,こうした被告ウェブサイトの記載(広告)は,原告らの営業権を侵害する不正競争に の料金より安く「業界最安値」と広告することは営業誹謗行為(不競法2条1項14号)に当た - 17 -り,こうした被告ウェブサイトの記載(広告)は,原告らの営業権を侵害する不正競争に当たるとも主張するが,前記のとおり,被告ウェブサイトの記載は,原告らの営業を誹謗する内容を含むものではない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 (4) さらに原告らは,被告ウェブサイトに原告らの氏名が相談ページに記載されていることが原告らの営業上の信用を害するものであると主張する。 しかし,前記1(1)イ記載のとおり,相談ページに記載されている原告らの氏名は,「『ネットの削除』に詳しくない弁護士はNG 『ネットの削除』に詳しくない弁護士に誹謗中傷の対応を依頼しても,お金がかかるばかりで,結果が出ないことが多いです。また,慣れていない弁護士さんに任せると,誹謗中傷がかえって拡散したり,炎上したりする恐れもあります。」との記載を前提とした上で,「■削除の実績のある弁護士がオススメ」,「ネットの削除には,特殊な技能や経験が必要となるため,経験が豊富で,かつ,仕事に熱心な弁護士がオススメです。」との記載の文脈の中で,「〈ネット削除に詳しい弁護士〉」として紹介しているのであるから,そこでは原告らはネット削除に関し特殊な技能や豊富な経験を有し,かつ,仕事に熱心な弁護士として極めて好意的に紹介されているものであって,特段原告らの営業上の信用を害する事実は記載されていない。 したがって,被告ウェブサイトの記載が,原告らの営業上の信用を害するものであると認めることはできない。 3 結語以上のとおりであるから,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 主文 以上のとおりであるから,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 今井弘晃 裁判官 瀬孝

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