平成29(行ウ)403 法人税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和元年10月24日 東京地方裁判所
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判決文本文37,377 文字)

令和元年10月24日判決言渡平成29年(行ウ)第403号法人税更正処分等取消請求事件主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 豊島税務署長が,平成28年1月19日付けで,原告に対してした,(1) 原告の平成21年11月1日から平成22年10月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分のうち,所得金額が円 を超える部分及び差引所得に対する法人税額が円を超える部分,並びにこれらの部分に係る過少申告加算税の賦課決定処分,(2) 原告の平成22年11月1日から平成23年10月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分のうち,所得金額が円を超える部分及び差引所得に対する法人税額が円を 超える部分,並びにこれらの部分に係る過少申告加算税の賦課決定処分,(3) 原告の平成23年11月1日から平成24年10月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分のうち,所得金額が円を超える部分及び差引所得に対する法人税額が円を超える部分,並びにこれらの部分に係る過少申告加算税の賦課決定処分, (4) 原告の平成24年11月1日から平成25年10月31日までの事業年度に係る法人税の更正処分のうち,所得金額が円を超える部分及び差引所得に対する法人税額が円を超える部分,並びにこれらの部分に係る過少申告加算税の賦課決定処分,(5) 原告の平成25年11月1日から平成26年10月31日までの事業年 度に係る法人税の更正処分のうち,所得金額が円 を超える部分及び差引所得に対する法人税額が円を超える部分,並びにこれらの部分に係る過少申告加算税の賦課決定処分,をいずれも取り消す。 に係る法人税の更正処分のうち,所得金額が円 を超える部分及び差引所得に対する法人税額が円を超える部分,並びにこれらの部分に係る過少申告加算税の賦課決定処分,をいずれも取り消す。 2 豊島税務署長が,平成28年1月19日付けで,原告に対してした,(1) 原告の平成24年11月1日から平成25年10月31日までの課税事 業年度に係る復興特別法人税の更正処分のうち,課税標準法人税額が円を超える部分及び納付すべき復興特別法人税額が円を超える部分,並びにこれらの部分に係る過少申告加算税の賦課決定処分,(2) 原告の平成25年11月1日から平成26年10月31日までの課税事 業年度に係る復興特別法人税の更正処分のうち,課税標準法人税額が円を超える部分及び納付すべき復興特別法人税額が円を超える部分,並びにこれらの部分に係る過少申告加算税の賦課決定処分,をいずれも取り消す。 第2 事案の概要 1 アニメのキャラクター商品等の販売等を行う株式会社である原告は,顧客が原告の各店舗で商品等を購入する際に付与したポイントの各事業年度末における未使用分に相当する金額(以下「本件ポイント未払計上額」という。ただし,後記②から⑤までの各事業年度については,それぞれ前年度のポイント未払残 高より増額した金額を指す。)について,当該事業年度の所得の金額の計算上,①平成21年11月1日から平成22年10月31日まで,②同年11月1日から平成23年10月31日まで,③同年11月1日から平成24年10月31日まで,④同年11月1日から平成25年10月31日まで及び⑤同年11月1日から平成26年10月31日までの各事業年度(以下, 順次①「平成22年10月期」,②「平成23年10月期」,③「平成24年 月1日から平成25年10月31日まで及び⑤同年11月1日から平成26年10月31日までの各事業年度(以下, 順次①「平成22年10月期」,②「平成23年10月期」,③「平成24年 10月期」,④「平成25年10月期」及び⑤「平成26年10月期」といい,これらを総称して「本件各事業年度」という。)に係る法人税の各確定申告をするとともに,平成25年10月期及び平成26年10月期に係る各課税事業年度(以下「本件各課税事業年度」という。)の復興特別法人税の各確定申告をした。これに対し,豊島税務署長(処分行政庁)から,本件ポイント未払計 上額につき,本件各事業年度末において債務が確定しているとは認められず,はできないことを理由に,本件各事業年度に係る法人税の更正処分(以下「本件法人税各更正処分」という。)及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件法人税各賦課処分」といい,「本件法人税各更正処分」と併せて「本件法人税各更正処分等」とい う。)並びに本件各課税事業年度に係る復興特別法人税の更正処分(以下「本件復興法人税各更正処分」という。)及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件復興法人税各賦課処分」といい,「本件復興法人税各更正処分」と併せて「本件復興法人税各更正処分等」という。)をした。 本件は,これらの処分を受けた原告が,被告を相手に,本件法人税各更正処 分の一部(原告主張の所得金額及び法人税額を超える部分),本件復興法人税各更正処分の一部(原告主張の課税標準法人税額及び復興特別法人税額を超える部分),本件法人税各賦課処分及び本件復興法人税各賦課処分の各取消しを求める事案である。 2 関係法令の定め等 (1) 本件に関係する法人税法(平成30年法律第7号による改正前のもの える部分),本件法人税各賦課処分及び本件復興法人税各賦課処分の各取消しを求める事案である。 2 関係法令の定め等 (1) 本件に関係する法人税法(平成30年法律第7号による改正前のもの。 以下同じ。)の定めは別紙2-1,国税通則法(平成26年法律第69号による改正前のもの。以下「通則法」という。)の定めは別紙2-2,法人税基本通達(以下「基本通達」という。)の定めは別紙3のとおりである。 (2) 法人税法22条3項は,内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上, 別段の定めがあるものを除き,当該事業年度の販売費,一般管理費その他の 費用(以下「販管費等」という。)の額(同項2号)等を当該事業年度の損金の額に算入すべき金額とする旨を定めるところ,償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものは,上記販管費等から除かれ(同項2号括弧書き),損金の額に算入することができないものとされている(以下「債務確定要件」という。)。また,法人税法22条4項は,同条 3項各号に掲げる額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(以下「公正処理基準」という。)に従って計算されるものとしている。 (3) 本件各事業年度の当時,企業が運営するポイントシステムに係る債務確定要件の解釈を具体的に示す基本通達の定めは存在しなかった。 基本通達2-2-12(以下「債務確定通達」という。)は,債務確定要 件について,①当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること(以下「債務確定基準①」という。),②当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実(以下「具体的原因事実」という。)が発生していること(以下「債務確定基準②」という。),③当該事業年度終了の日ま ,②当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実(以下「具体的原因事実」という。)が発生していること(以下「債務確定基準②」という。),③当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することが できるものであること(以下「債務確定基準③」という。)を定めている。 また,基本通達9-7-2は,法人が商品等の金品引換券付販売により金品引換券と引換えに金銭又は物品を交付することとしている場合には,それらの代価に相当する額は,その引き換えた日の属する事業年度の損金の額に算入することとし,基本通達9-7-3(以下「金品引換券通達」という。) は,その金品引換券が販売価額又は販売数量に応ずる点数等で表示されており,かつ,たとえ1枚の呈示があっても金銭又は物品と引き換えることとしているものであるときは,基本通達9-7-2にかかわらず,所定の算式により計算した金額をその販売の日の属する事業年度において損金経理により未払金に計上することができる旨を定めている。 3 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨 により容易に認められる事実)(1) 原告について原告は,昭和62年▲月▲日に設立された,アニメのキャラクター商品等の企画及び販売等を目的とする株式会社である(甲5)。 原告は,本件各事業年度を通じて,原告の各店舗において商品等を購入し た顧客に対してポイントを付与するとともに,当該顧客が付与されたポイントを使用することのできるポイントシステム(以下「本件ポイントシステム」という。)を運営している。 (2) 本件ポイントシステムについてア本件ポイントシステムは,ポイントの付与や使用に関する内容が平成2 3年6月1日に変更されている 本件ポイントシステム」という。)を運営している。 (2) 本件ポイントシステムについてア本件ポイントシステムは,ポイントの付与や使用に関する内容が平成2 3年6月1日に変更されているところ,その変更前及び変更後における各利用規約等の内容は別紙4のとおりである(以下,平成23年6月に改定される前のカード利用規約〔甲7〕を「旧規約」,同規約によるポイントシステムを「旧ポイントシステム」,同システムにおけるポイントを「旧ポイント」といい,上記の改定後のカード利用規約〔甲8〕を「新規約」, 同規約によるポイントシステムを「新ポイントシステム」,同システムにおけるポイントを「新ポイント」という。)。 イ新旧いずれのポイントシステムにおいても,入会の申込み等の所定の手続を完了したポイントカード(A。以下「本件ポイントカード」という。)の会員(A会員。以下「カード会員」という。)は,原告の各店舗で本件 ポイントカードを利用することができる(新旧各規約3条1項)。カード会員は,商品等の購入(以下「初回購入」という。)の都度,ポイントを付与され,この付与されたポイントは,その後の商品等の購入(以下「次回購入」という。)の会計時に,購入代金の一部として利用し(以下「代金充当」という。),又は景品との交換に利用する(以下「景品交換」と いう。)ことができる(新旧各規約4条2項)が,ポイントを換金するこ とはできない(新旧各規約5条4項)。また,本件ポイントカードの最終利用日から2年を過ぎて利用のない場合には,蓄積されたポイントは全て失効するものとされている(新旧各規約7条)。 なお,旧ポイントシステムでは,旧ポイントは,初回購入に係る商品等の購入価格に応じ,1円当たり1ポイントが付与され(旧規約4条1 たポイントは全て失効するものとされている(新旧各規約7条)。 なお,旧ポイントシステムでは,旧ポイントは,初回購入に係る商品等の購入価格に応じ,1円当たり1ポイントが付与され(旧規約4条1項), 次回購入の会計時に原告が設定したポイント還元方法(1万ポイントごとに500円。甲10)で換算し,代金充当又は景品交換に利用することができるのに対し,新ポイントシステムでは,新ポイントは,初回購入に係る商品等の購入価格に応じ,原告が設定する還元率(購入額の5%。甲10,乙24)にて付与され(新規約4条1項),次回購入の会計時に,代 金充当(1ポイント当たり1円)又は景品交換に利用することができる。 また,新ポイントシステムでは,カード会員は,本件ポイントカードの利用に当たり,氏名,住所など,原告が定める所定の情報を登録(以下「会員情報登録」という。)する必要があり(新規約3条5項),新規のカード会員は,会員情報登録を行うことで,新ポイントの利用が可能となる (新規約4条3項)。 ウ平成23年6月の旧ポイントシステムから新ポイントシステムへの移行に際し,旧ポイントは,次回購入時の代金充当可能額500円を500ポイントとして新ポイントシステムに自動移行され,他方で,1万ポイントに満たない端数は切り捨てられた(甲10,乙24)。 (3) 新旧各ポイントに係る会計処理等ア原告は,平成22年10月期の事業年度末である平成22年10月31日に,旧ポイントの未使用残高について1万ポイント当たり500円として換算した金額円を, また,原告は, 原告が,本件各事業年度において,これらの会計処理により計上した本 件ポイント未払計上額は,別紙5のとおりである。 イ本件各事業 を, また,原告は, 原告が,本件各事業年度において,これらの会計処理により計上した本 件ポイント未払計上額は,別紙5のとおりである。 イ本件各事業年度の当時,ポイントの会計処理方法について個別に定める会計基準は存在しておらず,実務上は,①ポイントを顧客に付与した時点で費用処理する方法(以下「付与時費用処理法」という。),②ポイントが使用された時点で費用処理するとともに,期末に未使用ポイント 残高に応じた引当金を計上するという方法(以下「引当金処理法」という。),③ポイントが使用された時点で費用処理するが,引当金計上はしないという方法(以下「使用時費用処理法」という。)が行われていたところ,そのうち,②引当金処理法を採用する企業が多数であった(甲12,22,38,乙30)。 引当金処理法では,未使用ポイント残高に対して,過去の使用実績等を勘案して,将来使用が見込まれる部分を見積もり,当該部分につき,貸借対照表上引当金として負債に計上するとともに,損益計算書上費用に計上する(甲22)。 なお,企業会計上は上記のものを含め多種類の引当金が認められている が,法人税法において,当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に 算入することができる引当金は,貸倒引当金(52条)及び返品調整引当金(53条)に限られている。 (4) 課税の経緯等ア原告は,本件各事業年度の法人税について,別紙6の表6-1~6-5の「確定申告」欄のとおり記載した確定申告書を,いずれも法定申告期限 までに豊島税務署長に提出した(乙13,16及び19)。 (後記ウの修正申告においても同じ。)。 イ原告は,本件各課税事業年度の復興特別法人税について,別紙7の表7 -1~7 告期限 までに豊島税務署長に提出した(乙13,16及び19)。 (後記ウの修正申告においても同じ。)。 イ原告は,本件各課税事業年度の復興特別法人税について,別紙7の表7 -1~7-2の「確定申告」欄のとおり記載した復興特別法人税申告書を,いずれも法定申告期限までに豊島税務署長に提出した(乙22,23)。 ウ原告は,豊島税務署の職員による調査が行われたことを受け,平成24年6月19日,平成22年10月期及び平成23年10月期の法人税について,別紙6の表6-1及び6-2の「修正申告」欄のとおり記載した修 正申告書を豊島税務署長に提出した(乙7及び10)。 エ豊島税務署長は,平成27年3月から行われた東京国税局所属の調査担当職員の調査に基づき,平成28年1月19日付けで,本件各事業年度の法人税について別紙6の表6-1~6-5の「更正処分等」欄のとおり本件法人税各更正処分等(甲1の1~5)を,また,本件各課税事業年度の復 興特別法人税について別紙7の表7-1~7-2の「更正処分等」欄のとおり本件復興法人税各更正処分等をした(甲2の1及び2)。 (以下,「本件法人税各更正処分」と「本件復興法人税各更正処分」とを併せて「本件各更正処分」といい,「本件法人税各賦課処分」と「本件復興法人税各賦課処分」とを併せて「本件各賦課処分」という。また, 「本件各更正処分」と「本件各賦課処分」とを併せて「本件各処分」と いう。)また,豊島税務署長は,本件各事業年度に係る各課税期間の消費税等の更正処分(以下「本件消費税各更正処分」という。)及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分(以下,本件消費税各更正処分と併せて「本件消費税各更正処分等」という。)をした。なお,本件消費税各更 正処分等は,本件訴 消費税各更正処分」という。)及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分(以下,本件消費税各更正処分と併せて「本件消費税各更正処分等」という。)をした。なお,本件消費税各更 正処分等は,本件訴訟の対象とされていない。 オ原告は,平成28年3月23日,東京国税局長に対する異議申立て(通則法75条2項1号)を経ることなく,国税不服審判所長に対し,本件各処分及び本件消費税各更正処分等の取消しを求めて審査請求をした(乙1。 以下「本件審査請求」という。)。なお,本件各処分については,通則法 75条4項1号の規定により異議申立てを経ることなく審査請求をすることが可能であったが,本件消費税各更正処分等については,正当な理由があるとき等(同項2号,3号)を除き,異議申立てを経た上で審査請求をする必要があった。 カ国税不服審判所長は,平成29年3月1日,本件審査請求のうち,本件 各処分に係る審査請求を棄却するとともに,本件消費税各更正処分等に係る審査請求を却下する裁決をした(甲4)。原告は,同年8月30日,本件訴えを提起した。 (5) 課税の根拠被告が主張する本件各処分に係る課税根拠は,別紙8のとおりであり,原 告は,後記4の争点(2)に関する部分を除き,その計算の基礎となる金額及び計算方法を明らかに争わない。 4 争点(1) 本案前の争点(不服申立て前置等)(2) 本件各処分の適法性(本件ポイント未払計上額の損金算入の可否) なお,原告の確定申告において, 当該金額は,ポイント付与時の売上金額に対する値引きではないため,益金の額から減算することができないことは明らかである。本件訴訟では,上記のを費用の計上と捉えて損金の額に算入することができるか否かが争われている。 時の売上金額に対する値引きではないため,益金の額から減算することができないことは明らかである。本件訴訟では,上記のを費用の計上と捉えて損金の額に算入することができるか否かが争われている。 5 争点に関する当事者の主張の要旨は別紙9のとおりである。なお,同別紙で 使用した略語は本文においても用いる。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,本件ポイント未払計上額に係る費用は債務が確定していないため本件各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することができないから,本件各処分は適法であり,原告の請求は理由がなく棄却すべきものと判断する。 その理由の詳細は,以下のとおりである。 1 争点(1)(本案前の争点〔不服申立て前置等〕)について原告は,別紙9の1のとおり,平成24年10月期法人税更正処分及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定処分について,① 上記各処分のうち本件ポイント未払計上額に係る部分(所得金額 円を超える部分及び納付すべき税額円を超える部分並びにこれらの部分に係る過少申告加算税の賦課決定処分)について取消しを求めるのみならず,これに加えて,② 本件消費税等差額(本件消費税各更正処分について取消訴訟が提起されず確定したことから,平成24年10月期法人税更正処分の本件ポイント未払 計上額に係る部分が取り消された場合の計算における消費税等の金額との間の差額が生じる。)についても売上高から減算される(損金に算入される)べきであるとして,これに係る部分(請求の趣旨1(3)記載の各金額を超え,上記①の各金額に満たない部分〔本件各不超過部分〕)の取消しをも求めていることから,上記②について,不服申立て前置あるいは訴えの利益を欠く 不適法な訴えであるかが争われている。 ( の各金額に満たない部分〔本件各不超過部分〕)の取消しをも求めていることから,上記②について,不服申立て前置あるいは訴えの利益を欠く 不適法な訴えであるかが争われている。 (1) 前提事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 ア平成24年10月期法人税更正処分の内容豊島税務署長は,平成24年10月期法人税更正処分の内容について,「法人税額等の更正通知書及び加算税の賦課決定通知書」(甲1の3)に おいて,その理由及び金額を以下のとおり記載している。 (ア) 原告がカード会員に対して付与したポイントについて,平成24年10月期末において債務が確定していないから,円(同期末における本件ポイント未払計上額に相当〔別紙5〕)を所得金額に加算する。 (イ) 原告は,租税公課として計上した円に係る附帯税として円を加算しているが,法人税法55条3項の規定により加算すべき金額は円であるから,これらの差額である円を所得金額に加算する。 (ウ) 原告は,法人税・住民税及び事業税勘定で計上した道府県民税及 び市町村民税の額円を所得金額に加算しているが,同額については既に所得金額に加算されていることから,所得金額の加算過大として所得金額から減算する。 (エ) 平成24年10月期法人税更正処分による未払消費税等の増加額 円と,平成23年11月1日から平成24年10 月31日までの課税期間の消費税等の更正処分に伴う消費税等の納付税額の増加額円との差額21円を,雑損失として所得金額から減算する。 (オ) 原告の前事業年度の更正に伴い納付することとなる前事業年度分の事業税及び地方法人特別税の合計額円は損金の 額に算入されることから,所得金額から減算す して所得金額から減算する。 (オ) 原告の前事業年度の更正に伴い納付することとなる前事業年度分の事業税及び地方法人特別税の合計額円は損金の 額に算入されることから,所得金額から減算する。 イ原告が本件審査請求において取消しを求めた範囲原告が,平成28年3月18日付けで国税不服審判所長宛てに提出した審査請求書(乙1。以下「本件審査請求書」という。)には,審査請求の趣旨として,本件各処分及び本件消費税各更正処分等のうち,「Bに係る部分」について取消しを求めるとの記載がある。 平成24年10月期法人税更正処分に係る上記ア記載の更正理由(ア)から(オ)までのうち,本件ポイント未払計上額について損金に算入できないことを原因とするものは,(ア),(エ)及び(オ)(合計円)係る部分であり,それ以外の部分((イ)及び(ウ)に係る部分)については,本件ポイント未払計上額とは無関係な理由により更 正処分がされたものである。そして,上記(イ)及び(ウ)の更正理由については,原告もこれを争っていない。 本件審査請求において原告が取消しを求めた本件ポイント未払計上額に係る部分に相当する税額について,仮に平成24年10月期法人税更正処分が取り消された場合,その取り消された後の同処分における所得金 額及び納付すべき税額並びに同処分に伴う過少申告加算税の金額は,それぞれ,円,円及び円となる。 (2) 検討ア通則法115条1項は,国税に関する法律に基づく処分で不服申立てを することができるものの取消しを求める訴えは,異議申立てをすることができる処分にあっては異議申立てについての決定を,審査請求をすることができる処分にあっては審査請求についての裁決をそれぞれ経た後でなければ提起する ものの取消しを求める訴えは,異議申立てをすることができる処分にあっては異議申立てについての決定を,審査請求をすることができる処分にあっては審査請求についての裁決をそれぞれ経た後でなければ提起することができない旨を定めている。 そして,課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は当該課税処 分の違法一般であり,それは,同処分によって確定された税額の適否に より決せられるべきものであるから,その審理の範囲は,同処分によって確定された税額が総額において処分時に客観的に存在した税額を上回っているか否かを判断するために必要な事項の全般に及ぶところ,その前置として行われる審査請求における審査の対象も,当該課税処分の違法一般,すなわち同処分により確定された税額の適否であって,その 審査手続における審査の範囲も,総所得金額に対する課税の当否を判断するに必要な事項の全般に及ぶものというべきである(最高裁判所昭和48年(行ツ)第94号同49年4月18日第一小法廷判決・訟務月報20巻11号175頁,最高裁判所平成2年(行ツ)第155号同4年2月18日第三小法廷判決・民集46巻2号77頁参照)。 そして,本件審査請求は,平成24年10月期法人税更正処分により確定された税額の適否をその審査の対象とするものであり,本訴においても,同処分により確定された税額の適否が審判の対象とされているものであるから,本件訴えは,適法な不服申立て前置を経たものというべきである。 イ被告は,原告が本件各不超過部分について本件審査請求時に争わず,その取消しを求めなかったから,本件各不超過部分の取消しを求める訴えは,適法な不服申立て前置を欠いていると主張する。 しかし,審査請求における審査の対象は,当該課税処分によって確定された税額の ,その取消しを求めなかったから,本件各不超過部分の取消しを求める訴えは,適法な不服申立て前置を欠いていると主張する。 しかし,審査請求における審査の対象は,当該課税処分によって確定された税額の適否であることは,上記アで説示したとおりであるから,本 件審査請求書に「Bに係る部分」について取消しを求める旨が記載されているからといって,平成24年10月期法人税更正処分の不超過部分が審査請求の対象から排除されることになると解することはできない。 また,仮に,本件審査請求において,国税不服審判所長が,本件ポイント未払計上額の全部又は一部について損金に算入できる旨の判断をした 場合であっても,それ以外の理由を併せて考慮した上で最終的な課税標 準及び税額を認定することができるものであり,その金額に照らして,平成24年10月期法人税更正処分が確定した税額が適正であれば,本件審査請求を棄却する旨の裁決をすることができる。他方で,本件ポイント未払計上額以外にも課税標準又は税額の算定方法等に誤りがあるのであれば,それも併せて本件審査請求を認容し,その結果,本件ポイン ト未払計上額以外についても処分を取り消すことができるものである。 したがって,被告の上記主張は,採用することができない。 ウまた,被告は,原告が本件各不超過部分の取消しを求める訴えの利益はないとも主張するが,平成24年10月期法人税更正処分が判決によって取り消されることにより生じる本件消費税等差額につき,これを取消判決 が確定した事業年度の損失と解するかは,本案において審理判断すべき事柄であるから,原告がこれを平成24年10月期の損失と解すべきことを主張して本件各不超過部分の取消しを求めたことについて,訴えの利益を欠くものということはできない。 ( 案において審理判断すべき事柄であるから,原告がこれを平成24年10月期の損失と解すべきことを主張して本件各不超過部分の取消しを求めたことについて,訴えの利益を欠くものということはできない。 (3) 以上によれば,平成24年10月期法人税更正処分及びこれに伴う過少 申告加算税の賦課決定処分に係る訴えは,本件各不超過部分の取消しを求める部分についても,適法である。 2 争点(2)(本件各処分の適法性)について(1)ア法人税法22条1項は,内国法人の各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする旨 定めるところ,別段の定めがあるものを除き,益金の額に算入すべき金額は,資産の販売その他の資本等取引以外の取引に係る収益の額とするものとされ(同条2項),損金の額に算入すべき金額は,上記収益に係る売上原価,完成工事原価その他これらに準ずる原価の額(同条3項1号)のほか,当該事業年度の販売費,一般管理費その他の費用(販管費等)の額 (同項2号)とされ,これらの収益及び費用の額は,一般に公正妥当と認 められる会計処理の基準(公正処理基準)に従って計算されるものとされている(同条4項)。したがって,ある収益又は費用をどの事業年度に計上すべきかは,法令に定めるほか,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきである。 ところで,企業会計上,費用の認識は,いわゆる発生主義を原則としつ つも,当該費用が生み出した収益と同一の会計年度内にこれを計上させなければならないとの考え方(以下「費用収益対応の原則」という。)から,将来発生することが予想される未発生の費用であっても,その発生が当期以前の事象に起因し,かつ,発生の可能性が高いものについては,引当金として計上す 考え方(以下「費用収益対応の原則」という。)から,将来発生することが予想される未発生の費用であっても,その発生が当期以前の事象に起因し,かつ,発生の可能性が高いものについては,引当金として計上すべきものとされている。一方,法人税法におい ては,当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することができる引当金は貸倒引当金等に限定されており(前提事実(3)イ),これらに当たらない企業会計上の引当金については,同法22条3項各号のいずれかに該当しない限り損金の額に算入することができない。そして,同項2号に定める販管費等については,1号に定める原価とは異なり, 償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものは損金の額に算入することができないものとされており(債務確定要件。 2号括弧書き),その趣旨は,未発生の販管費等に係る引当金については,発生の見込みや金額の算定について法人の恣意が入りやすいため,当該事業年度終了の日までに債務が確定したものに限り損金算入を認め ることとして,課税計算の適正を図ろうとするものと解される。 すなわち,原価については,特定の収益を生み出すために直接必要であった費用であり,個別的かつ客観的に収益と対応するものといえることから,当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が確定していない場合であっても,近い将来にこれを支出することが相当程度の確実 さをもって見込まれており,かつ,その金額を適正に見積もることが可 能であれば,損金の額に算入し得るものである(最高裁判所平成12年(あ)第1714号同16年10月29日第二小法廷判決・刑集58巻7号697頁参照)のに対し,販管費等については,特定の収益と個別的かつ客観的に対応させることが困難であり,将来発生する費 平成12年(あ)第1714号同16年10月29日第二小法廷判決・刑集58巻7号697頁参照)のに対し,販管費等については,特定の収益と個別的かつ客観的に対応させることが困難であり,将来発生する費用の発生の可能性の評価や費用となる金額の算定に当たって,法人の恣意性が入 り込みやすいことから,企業会計上は引当金を計上するとともに費用処理する処理が一般に公正妥当なものといえる場合であっても,法人の所得の金額の計算上は,当該事業年度終了の日までに債務が確定したものに限り損金算入を認めることとして,損金の額に算入される販管費等の額につき法人の恣意が入り込む余地を排除し,もって課税計算の適正を 確保しようとするのが,債務確定要件の趣旨であるというべきである。 イそして,債務確定通達(基本通達2-2-12)は,債務確定要件の判定基準として,当該事業年度終了の日までに,当該費用に係る債務が成立していること(債務確定基準①),当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実(具体的原因事実)が発生していること(債務確定基 準②)及びその金額を合理的に算定することができること(債務確定基準③)を定める(関係法令等(3))ところ,その内容は,企業会計上,すべての費用及び収益はその発生した期間に割り当てるように処理しなければならないものとする発生主義の考え方に整合するとともに,その発生の可能性の評価等に関する法人の恣意を排除するという債務確定要件の上記趣 旨にも沿うものといえる。そして,上記のとおり法人税法が引当金の損金算入を限定していることや,上記の債務確定要件の趣旨に照らせば,債務確定基準②の具体的原因事実が発生したというためには,企業会計上引当金として計上できる程度に将来費用が発生する可能性が高いとされるだけでは足り ていることや,上記の債務確定要件の趣旨に照らせば,債務確定基準②の具体的原因事実が発生したというためには,企業会計上引当金として計上できる程度に将来費用が発生する可能性が高いとされるだけでは足りず,当期において費用の発生を基礎付ける具体的原因事実の発生 が認められなければならないものと解するのが相当である。 (2)アこれを本件ポイントシステムについてみると,新旧各規約が共通して定めるところによれば,原告の顧客(カード会員)において初回購入時に付与されたポイントを次回購入時の代金充当又は景品交換に使用することができるとするものであり(前提事実(2)イ),カード会員は,当該ポイントを代金充当に使用することにより,次回購入に係る商品等の価格のう ち,その使用するポイント数に応じた金額について,その分の支払代金の値引きを受けることができるものである。 商品等の購入に係る支払代金の値引きは,これを費用として捉えるとすれば,現実に値引きがされた時点で初めて,その費用が発生するものであるから,カード会員が次回購入においてポイントを使用する以前の 時点では,未だその費用が発生したものとはいえず,将来発生する可能性があるにすぎない。 イまた,カード会員は,付与されたポイントを景品交換にも使用することができるところ,景品交換をするために次回購入をする必要はない代わり,付与されたポイントが所定の数まで蓄積し,かつ,カード会員がその蓄積 したポイントを景品交換に使用することを選択することが必要である。そして,景品交換が選択される場合には,あらかじめ景品に設定された点数(旧ポイントシステム下)又はポイント数(新ポイントシステム下)に応じた景品と交換される(甲10)ため,これらの場合に原告に生じる費用は景品の調達 選択される場合には,あらかじめ景品に設定された点数(旧ポイントシステム下)又はポイント数(新ポイントシステム下)に応じた景品と交換される(甲10)ため,これらの場合に原告に生じる費用は景品の調達に係る費用となり,その費用の額は各景品ごとに異なり,使 用するポイント数を現金換算した額とは必ずしも一致するものではない。 そうすると,カード会員が付与されたポイントを次回購入時の代金充当に使用することを選択するか,景品交換に使用することを選択するかによって,またどのような景品と交換するかによって,同じポイント数であっても,原告に生じる費用は異なるものといわざるを得ない。 ウさらに,本件ポイントシステムでは,本件ポイントカードの最終利用日 から2年を過ぎて利用のない場合には,それまでに蓄積されたポイントは全て失効するのである(前提事実(2)イ)から,原告がカード会員に付与したポイントのうち,実際に代金充当又は景品交換に使用されるのはその一部に過ぎないことが合理的に見込まれる。 エ小括 以上のとおり,カード会員の初回購入時に付与されたポイントは,上記2年の期間内に失効して使用されなくなる可能性もある上,期間内に使用されるとしても,いつ,どのような内容(代金充当か,景品交換か。後者の場合,どの景品と交換するか。)を選択するかによって,費用の発生する時期や金額が異なってくるものといえる。そうすると,カード会員の初 回購入時にポイントが付与された時点では,仮にその時点で原告の主張する債務(次回購入時における代金充当又は景品交換をすべき債務)が成立しているとしても,次回購入時における代金充当の選択又は景品交換の選択がされない限り,その債務に基づいて給付をすべき具体的内容が明らかにならないため,これに伴う 充当又は景品交換をすべき債務)が成立しているとしても,次回購入時における代金充当の選択又は景品交換の選択がされない限り,その債務に基づいて給付をすべき具体的内容が明らかにならないため,これに伴う費用が発生したとはいえず,その費用の金額 を合理的に算定することができるともいえない。したがって,債務確定要件のうち当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実(具体的原因事実)が発生していること(債務確定要件②),同日までにその金額を合理的に算定することができるものであること(債務確定基準③)のいずれについても充足していると認めること ができず,本件ポイント未払計上額については本件各事業年度の終了の日までに債務が確定していないものというほかないから,これを法人税法22条3項2号に基づき損金の額に算入することはできないというべきである。 (3) 原告の主張について ア(ア) 原告は,カード会員が付与されたポイントを代金充当に使用する ことは値引きではなく,初回購入時のポイントの付与は,原告と顧客の間で,次回購入時における代金充当又は景品交換を請求できる権利を原告から顧客に付与することをその内容とするものであり,カード会員が上記権利を行使するに当たり,同時履行の抗弁権その他何ら実質的な障害は存在しないから,具体的原因事実が発生している旨主張 する。 しかし,新旧各規約には,カード会員が獲得したポイントを次回以降の会計時に購入代金の一部として利用できる旨が定められているのである(別紙4の1(5)及び2(7))から,次回購入に係る代金の一部について値引きを受けることができるものであることは明らかである。 また,仮に原告主張のとおり,カード会員にポイントが付与される (別紙4の1(5)及び2(7))から,次回購入に係る代金の一部について値引きを受けることができるものであることは明らかである。 また,仮に原告主張のとおり,カード会員にポイントが付与されることが次回購入時における代金充当又は景品交換を請求できる権利の付与に当たり,カード会員がその権利を行使するのに実質的な障害が存しないとしても,このような権利の行使に伴う費用の発生が,現実にカード会員が代金充当又は景品交換を選択するまでは具体化するも のではないことは,上記(2)に説示したとおりである。 (イ) 原告は,本件ポイントシステムにおけるポイントは企業通貨の性質を有するものであり,カード会員は新たな出捐を要せずに付与されたポイントを使用して商品等の購入をすることができるから,次回購入をすることが絶対条件となっているものではないとも主張する。しかし,カ ード会員が,新たな出捐をせずにポイントのみで商品等の購入をすることができるのは,ポイントの現金換算額が商品価格以上であり,かつ,カード会員が,次回購入の対象となる商品等の販売代金の全部について,ポイントにより代金充当するとの選択をする場合に限られるところ,このような場合であっても,次回購入時の商品等の代金にポイントを充当 するという点では異なるものではないから,代金充当が値引きであると の基本的性質が失われるものではない。また,カード会員が付与されたポイントを景品交換に使用することを選択した場合には,その費用の額が,使用するポイント数を現金換算した額と必ずしも一致するものではないことは上記(2)で説示したとおりであり,本件ポイントシステムにおけるポイントが企業通貨であるということはできない。 イ(ア) 原告は,本件ポイントシステムにおけるポイン 一致するものではないことは上記(2)で説示したとおりであり,本件ポイントシステムにおけるポイントが企業通貨であるということはできない。 イ(ア) 原告は,本件ポイントシステムにおけるポイントは,金品引換券と経済的性質が類似しており,金品引換券通達(基本通達9-7-3)の考え方を本件でも参照すべきである旨主張する。 この点,金品引換券通達は,法人が商品等の金品引換券付販売をした場合において,その金品引換券が販売価額又は販売数量に応ずる点数等 で表示されており,かつ,たとえ1枚の呈示があっても金銭又は物品と引き換えることとしているものであるときは,所定の金額をその販売の日の属する事業年度において損金経理により未払金に計上することができる旨定めており,このような条件を満たす場合には,債務確定要件を満たすものとして,金品引換券付販売をした日の属する事業年度におけ る損金算入を認めたものと解される。 他方,本件ポイントシステムにおけるポイントは,金銭と引き換えることはできないものであり(前提事実(2)イ),次回購入時における代金充当を選択することにより商品等の購入代金の値引きを受けることができるとするものであって,金銭又は物品と引き換えることができる金 品引換券とは,その性質を異にするものというべきであるから,金品引換券通達の考え方が直ちに本件ポイントシステムのポイントに及ぶものと解することはできない。 (イ) 原告は,事業税等の損金算入に係る基本通達9-5-2や退職給与の損金算入に係る基本通達9-2-28を根拠として,本件ポイント 未払計上額について損金算入が認められるべきであると主張するが,こ れらの通達は,いずれも,本件ポイントシステムにおけるポイントとはその性質が異なる費用についての損 本件ポイント 未払計上額について損金算入が認められるべきであると主張するが,こ れらの通達は,いずれも,本件ポイントシステムにおけるポイントとはその性質が異なる費用についての損金算入に係る解釈を示すものであるから,原告が挙げる各通達の定めにより,本件ポイント未払計上額につき債務確定要件を満たさないとする上記(2)の解釈が左右されるものではない。 ウ(ア) 原告は,本件各事業年度の当時,ポイントシステムの会計処理について,我が国においてどのような会計処理の基準が定められるかは未確定であり,付与時費用処理法による処理も否定されていなかったものであるところ,かかる処理は,ポイントシステムの経済的実態から見て合理的であると主張する。 しかし,ある費用をどの事業年度に計上すべきかは,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきであっても,法令で別段の定めがある場合には,その定めに従うべきことは明らかである。販管費等については,法人税法が当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものであることを損金算入の要件として定め(22条3項2号),かつ, 引当金につき損金算入できる場合を所定の引当金に限定している以上,たとえポイントに係る会計処理の方法として付与時費用処理法や引当金処理法によることが公正妥当な会計処理の基準によるものといえる場合であっても,上記所定の引当金に当たるものを除き,その費用につき債務確定要件を満たしていると認められない場合には,同号の規定により 当該事業年度における損金算入が許されないものである。そして,本件ポイント未払計上額について債務確定要件を満たしているといえないことは,上記(2)に説示したとおりである。 なお,原告は,公正処理基準に係る上記主張を裏付けるものと れないものである。そして,本件ポイント未払計上額について債務確定要件を満たしているといえないことは,上記(2)に説示したとおりである。 なお,原告は,公正処理基準に係る上記主張を裏付けるものとして,平成5年最判を引用するが,同最判は,船荷証券が発行されている商品 の輸出取引による収益について,船積みの時点で計上する会計処理が一 般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合し,当該事業年度の収益に計上することができるとしたものであり,本件のように費用の債務確定要件充足性が問題となっている場合とは異なるのであるから,本件とは事案を異にするものというべきである。 (イ) 原告は,平成30年税制改正に伴い定められた基本通達2-1- 1の7は,であり,本件各事業年度に先立ち国際財務報告解釈指針委員会により公表されていたポイントに関する解釈指針(IFRIC13)の内容に照らし ても,原告の会計処理は,本件各事業年度当時の会計実務に照らして合理的であったと主張する。 基本通達2-1-1の7は,我が国の企業会計基準委員会(ASBJ)が,我が国の会計基準を高品質で国際的に整合性のあるものとするとの観点から,国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議 会(FASB)が共同で開発した会計基準(「顧客との契約から生じる収益」)の定めを採り入れた新たな会計基準(以下「新会計基準」という。)を公表したことに対応して,平成30年に法人税法22条4項が改正され,新たに同法22条の2の規定が設けられたことに伴い,法人税基本通達が改正されたことにより新たに定められたものである(乙3 0,31)。 そして,新会計基準は,ポイントを付与した取引について,支払を受ける対価の額を,資産の販売等に係る 伴い,法人税基本通達が改正されたことにより新たに定められたものである(乙3 0,31)。 そして,新会計基準は,ポイントを付与した取引について,支払を受ける対価の額を,資産の販売等に係る引渡時の価額と,ポイント相当額とに合理的に割り振り,後者に係る収益の計上を顧客がポイントを行使した時点又はポイントの失効時まで繰り延べるものである(甲30)と ころ,原告の処理は, 初回購入時の売買代金についてポイント相当額を合理的に割り振り,その分の収益を次回購入時まで繰り延べるものではないから,原告の処理が,新会計基準に沿うものと認めることはできない。 また,原告が挙げるIFRIC13は,ポイントについて,将来使用 されることが見込まれる部分について,ポイント付与時の売上げから控除するというものであり(甲22),ではないから,本件ポイント未払計上額が全部代金充当に使用されることを前提とした原告の会計処理は,これに沿うものとはいえない。 エしたがって,原告の上記主張は,いずれも採用することができないから,本件各処分のうち本件ポイント未払計上額に係る部分の違法をいう原告の主張は,理由がない。 また,平成24年10月期法人税更正処分のうち本件各不超過部分及び同部分に係る過少申告加算税の賦課決定処分の違法をいう原告の主張に ついては,同更正処分のうち本件ポイント未払計上額に係る部分が取り消されることを前提に,既に確定した平成24年10月期に係る課税期間の消費税等の額との間に差額(本件消費税等差額)が生じるとして,これを同事業年度の所得の計算上損金に算入すべきことを主張するものであるところ,同更正処分のうち本件ポイント未払計上額に係る部分が 取り消されるべきものでないことは上記に説示し 生じるとして,これを同事業年度の所得の計算上損金に算入すべきことを主張するものであるところ,同更正処分のうち本件ポイント未払計上額に係る部分が 取り消されるべきものでないことは上記に説示したとおりであるから,原告の上記主張はその前提を欠くものであって理由がない。 ⑷ 以上によれば,本件ポイント未払計上額は,債務確定要件を満たさず,本件各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することができない。 以上の点及び前提事実(5)の課税の根拠を併せると,本件各処分は適法で ある。 3 結論以上の次第で,原告の請求は理由がないからいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官清水知恵子 裁判官村松悠史 裁判官松原平学(別紙1省略) (別紙8省略)(別紙2-1) ○ 法人税法(平成三十年法律第七号による改正前のもの) (各事業年度の所得の金額の計算) 第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の 年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。 一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額 二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。 )の額 三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算される 業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。 (別紙2-2) ○国税通則法(平成二十六年法律第六十九号による改正前のもの) (国税に関する処分についての不服申立て) 第七十五条 国税に関する法律に基づく処分で次の各号に掲げるものに不服がある者は、当該各号に掲げる不服申立てをすることができる。 一 税務署長がした処分(次項に規定する処分を除く。) その処分をした税務署長に対する異議申立て 二~五(略) (略) 第一項第一号、第二号イ若しくは の処分をした税務署長に対する異議申立て 二~五(略) (略) 第一項第一号、第二号イ若しくは第四号又は前項第一号の規定による異議申立て(法定の異議申立期間経過後にされたものその他その申立てが適法にされていないものを除く。 第五項において同じ。 )についての決定があつた場合において、当該異議申立てをした者が当該決定を経た後の処分になお不服があるときは、その者は、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。 第一項第一号若しくは第四号又は第二項第一号の規定により異議申立てをすることができる者は、次の各号のいずれかに該当するときは、その選択により、異議申立てをしないで、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができる。 一 所得税法若しくは法人税法に規定する青色申告書、同法第百三十条第一項(青色申告書等に係る更正)に規定する連結確定申告書等又は地方法人税法第二十七条第二項(青色 十条第一項(青色申告書等に係る更正)に規定する連結確定申告書等又は地方法人税法第二十七条第二項(青色申告)に規定する青色申告書に係る更正(その更正に係る国税を基礎として課される加算税の賦課決定を含む。 )に不服があるとき。 二~三(略) ~ (略) (不服申立ての前置等) 第百十五条 国税に関する法律に基づく処分(第八十条第二項(行政不服審査法との関係)に規定する処分を除く。 以下この節において同じ。 )で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えは、異議申立てをすることができる処分(審査請求をすることもできるもの(異議申立てについての決定を経た後審査請求をすることができるものを含む。 )を除く。 )にあつては異議申立てについての決定を、審査請求をすることができる処分にあつては審査請求についての裁決をそれぞれ経た後でなければ、提起することができない。 ただし、次の各号の一に該当するときは ついての裁決をそれぞれ経た後でなければ、提起することができない。 ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。 一 異議申立て(国税庁長官に対してされたものに限る。 )又は審査請求がされた日の翌日から起算して三月を経過しても決定又は裁決がないとき。 二 更正決定等の取消しを求める訴えを提起した者が、その訴訟の係属している間に当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等の取消しを求めようとするとき。 三 異議申立てについての決定又は審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、その他その決定又は裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。 国税に関する法律に基づく処分についてされた異議申立て又は審査請求について決定又は裁決をした者は、その決定又は裁決をした時にその処分についての訴訟が係属している場合には、その異 定又は裁決をした者は、その決定又は裁決をした時にその処分についての訴訟が係属している場合には、その異議決定書又は裁決書の謄本をその訴訟が係属している裁判所に送付するものとする。 (別紙3)法人税基本通達の定め 1 2-2-12(債務確定通達)法人税法22条3項2号の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに 債務が確定しているものとは,別に定めるものを除き,次に掲げる要件の全てに該当するものとする。 (1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること(債務確定基準①)。 (2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき 原因となる事実が発生していること(債務確定基準②)。 (3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること(債務確定基準③)。 2 9-7-2~9-7-5(1) 9-7-2 法人が商品等の金品引換券付販売により金品引換券と引換えに金銭又は物品を交付することとしている場合には,その金銭又は物品の代価に相当する額は,その引き換えた日の属する事業年度の損金の額に算入する。 (2) 9-7-3(金品引換券通達)法人が商品等の金品引換券付販売をした場合において,その金品引換券が 販売価額又は販売数量に応ずる点数等で表示されており,かつ,たとえ1枚の呈示があっても金銭又は物品と引き換えることとしているものであるときは,9-7-2にかかわらず,次の算式により計算した金額をその販売の日の属する事業年度において損金経 されており,かつ,たとえ1枚の呈示があっても金銭又は物品と引き換えることとしているものであるときは,9-7-2にかかわらず,次の算式により計算した金額をその販売の日の属する事業年度において損金経理により未払金に計上することができる(算式) 1枚又は1点について交付する金銭の額 × その事業年度において発行した枚数又は点数(注)1 算式中「1枚又は1点について交付する金銭の額」は,物品だけの引換えをすることとしている場合には,1枚又は1点について交付する物品の購入単価(2以上の物品のうちその一つを選択することができることとしている場合には,その最低購入単価) による。 2(略)(3) 9-7-49-7-3により損金の額に算入した未払金の額は,その翌事業年度の益金の額に算入する。ただし,引換期間の定めのあるものでその期間が終了 していないものの未払金の額は,その引換期間の末日の属する事業年度の益金の額に算入する。 (4) 9-7-59-7-3により未払金の計上を行う場合には,その計上を行う事業年度の確定申告書に未払金の額の計算の基礎及び金品引換券の引換条件等に関す る事項を記載した明細書を添付しなければならない。 3 9-5-1~9-5-2(1) 9-5-1法人が納付すべき国税及び地方税(略)については,次に掲げる区分に応じ,それぞれ次に定める事業年度の損金の額に算入する。 ア申告納税方式による租税納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日(略)の属する事業年度とし,更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度とする。(以下略)(2) 9-5-2 ついては当該納税申告書が提出された日(略)の属する事業年度とし,更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度とする。(以下略)(2) 9-5-2 当該事業年度の直前の事業年度(略)分の事業税及び地方法人特別税の額 (略)については,(略)9-5-1にかかわらず,当該事業年度終了の日までにその全部又は一部につき申告,更正又は決定……がされていない場合であっても,当該事業年度の損金の額に算入することができるものとする。 (以下略) 4 9-2-28 退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は,株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とする。ただし,法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理をした場合には,これを認める。 5 2-1-1の7(平成30年税制改正に伴い新設) 法人が資産の販売等に伴いいわゆるポイント又はクーポンその他これらに類するもの(略)で,将来の資産の販売等に際して,相手方からの呈示があった場合には,その呈示のあった単位数等と交換に,その将来の資産の販売等に係る資産又は役務について,値引きして,又は無償により,販売若しくは譲渡又は提供をすることとなるもの(・・・「自己発行ポイント等」という。)を相手 方に付与する場合(略)において,次に掲げる要件の全てに該当するときは,継続適用を条件として,当該自己発行ポイント等について当初の資産の販売等(略)とは別の取引に係る収入の一部又は全部の前受けとすることができる。 (1)~(3)(略)(4) 次のいずれかの要件を満たすこと イその付与した自己発行ポイント等の呈示があった場合に値引き等 収入の一部又は全部の前受けとすることができる。 (1)~(3)(略)(4) 次のいずれかの要件を満たすこと イその付与した自己発行ポイント等の呈示があった場合に値引き等をする金額(・・・「ポイント等相当額」という。)が明らかにされており,かつ,将来の資産の販売等に際して,たとえ1ポイント又は1枚のクーポンの呈示があっても値引き等をすることとされていること。 (注) 一定単位数等に達しないと値引き等の対象にならないもの,割引 券(将来の資産の販売等の対価の額の一定割合を割り引くことを約する 証票をいう。)及びいわゆるスタンプカードのようなものは上記イの要件を満たす自己発行ポイント等には該当しない。 ロ(略)以上 (別紙4)本件ポイントシステムについて 1 平成23年6月改定前カード利用規約(旧規約)(甲7)(1) カード会員とは,旧カード利用規約を承認の上,原告の各店舗及びCで 本件ポイントカードの入会を申し込み,原告の定める所定の手続きを完了した者を意味する(1条)。 (2) 本件ポイントカードは入会申込書に記入の上,入会した者に原告又はCが会員証として一人に1枚を発行する(2条1項)。 (3) 本件ポイントカードは,原告の各店舗で利用でき,カード会員は,原告 の各店舗にて商品・サービス(以下「商品」という。)を購入の際に,精算前に本件ポイントカードを提示した場合,4条の特典を受けることができる(3条1項及び2項)。 (4) カード会員は,商品購入の都度,旧ポイントが付与される。旧ポイントは,商品等の購入価格及びその決済方法に応じ,1円当たり1ポイントにて 会員情報として蓄積される(4条1項)。 (5) 獲得され ード会員は,商品購入の都度,旧ポイントが付与される。旧ポイントは,商品等の購入価格及びその決済方法に応じ,1円当たり1ポイントにて 会員情報として蓄積される(4条1項)。 (5) 獲得された旧ポイントは,次回以降の会計時に原告が設定したポイント還元方法で換算し,購入代金の一部として,又は景品との交換に利用できる(4条2項)。 (6) 蓄積した旧ポイントの換金はできない(5条4項)。 (7) 本件ポイントカードの最終利用日から2年を過ぎて利用のない場合には,蓄積された旧ポイントは全て失効する(7条)。 (8) 平成23年6月改定前カード利用規約をカード会員に予告なく変更し,あるいは一定の告示期間を設けた上で本件ポイントカードの運用を中断又は終了することがある(18条1項)。 2 平成23年6月改定後カード利用規約(新規約)(甲8) (1) カード会員とは,新カード利用規約を承認の上,原告の各店舗もしくは,Cで本件ポイントカードの入会を申し込み,原告の定める所定の手続きを完了した者をいう(1条)。 (2) 本件ポイントカードは,入会した者に原告が会員証として一人に1枚を発行する(2条1項)。 (3) 本件ポイントカードは,原告の各店舗で利用でき,カード会員は,原告が運営する会員専用WEBページ「D」を用いたサービスを受けることができる(3条1項及び2項)。 (4) カード会員は,原告の各店舗にて商品購入の際に,精算前に本件ポイントカードを提示した場合,4条の特典を受けることができる(3条3項)。 (5) カード会員は,本件ポイントカードの利用に当たり,Dにて,氏名・住所等,原告が定める所定の会員情報を登録する必要がある。ただし,WEB環境のないカード会員に限り,店頭で書面記入によ (5) カード会員は,本件ポイントカードの利用に当たり,Dにて,氏名・住所等,原告が定める所定の会員情報を登録する必要がある。ただし,WEB環境のないカード会員に限り,店頭で書面記入による会員情報登録を行うものとする(3条5項)。 (6) カード会員は,商品購入の都度,新ポイントが付与される。新ポイント は,商品等の購入価格及びその決済方法に応じ,原告が設定する還元率にて,会員情報として蓄積される(4条1項)。 (7) 獲得された新ポイントは,次回以降の会計時に,購入代金の一部(1ポイント当たり1円)として,又は所定のポイント数の景品との交換に利用できる(4条2項)。 (8) 新規カード会員は,3条に定める会員情報登録を行うことで新ポイントの利用が可能となる。カード会員情報の登録が完了するまでは,付与される新ポイントの蓄積は可能であるが,新ポイントの利用はできない(4条3項)。 (9) 蓄積した新ポイントの換金はできない(5条4項)。 (10) 本件ポイントカードの最終利用日から2年を過ぎて利用のない場合には, 蓄積された新ポイントは全て失効する(7条)。 (11) 新規約をカード会員に予告なく変更し,あるいは一定の告示期間を設けた上で本件ポイントカードの運用を中断又は終了することがある(18条1項)。 以上 (別紙5) 本件ポイント未払計上額 (単位:円)事業年度課税売上高(税抜き)からの減額課税売上高に係る消費税等の額平成22年10月期平成23年10月期平成24年10月期平成25年10月期平成26年10月期 (別紙6) 法人税の課税の経緯 表6-1 平成22年10月期 ( 23年10月期平成24年10月期平成25年10月期平成26年10月期 (別紙6) 法人税の課税の経緯 表6-1 平成22年10月期 (単位:円)区分年月日等所得金額納付すべき法人税額過少申告加算税確定申告法定申告期限内修正申告平成24年6月19日更正処分等平成28年1月19日審査請求平成28年3月22日 表6-2 平成23年10月期 (単位:円)区分年月日等所得金額納付すべき法人税額過少申告加算税確定申告法定申告期限内修正申告平成24年6月19日更正処分等平成28年1月19日審査請求平成28年3月22日 表6-3 平成24年10月期 (単位:円)区分年月日等所得金額納付すべき法人税額過少申告加算税確定申告法定申告期限内更正処分等平成28年1月19日審査請求平成28年3月22日 表6-4 平成25年10月期 (単位:円)区分年月日等所得金額納付すべき法人税額過少申告加算税確定申告法定申告期限内更正処分等平成28年1月19日審査請求平成28年3月22日 表6-5 平成26年10月期 (単位:円)区分年月日等所得金額納付すべき法人税額過少申告加算税確定申告法定申告期限内更正処分等平成28年1月19日審査請求平成28年3月22日 (別紙7) 復興特別法人税の課税の経緯 表7-1 平成25年10月課税事業年度 (単位: 限内更正処分等平成28年1月19日審査請求平成28年3月22日 (別紙7) 復興特別法人税の課税の経緯 表7-1 平成25年10月課税事業年度 (単位:円)区分年月日等課税標準法人税額納付すべき復興特別法人税額過少申告加算税確定申告法定申告期限内更正処分等平成28年1月19日審査請求平成28年3月22日 表7-2 平成26年10月課税事業年度 (単位:円)区分年月日等課税標準法人税額納付すべき復興特別法人税額過少申告加算税確定申告法定申告期限内更正処分等平成28年1月19日審査請求平成28年3月22日 (別紙9)争点に関する当事者の主張の要旨 1 争点(1)(本案前の争点)について(被告の主張の要旨) (1) 本件訴えのうち,豊島税務署長が,原告に対して平成28年1月19日付けで行った平成24年10月期の法人税に係る更正処分(以下「平成24年10月期法人税更正処分」という。)のうち,所得金額円を超えない部分及び納付すべき税額円を超えない部分並びに上記更正処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分のう ち円を超えない部分(これらの部分を併せて以下「本件各不超過部分」という。)の各取消しを求める部分は,以下に述べるとおり,不服申立て前置を欠いており,不適法である。 なお,上記の各金額は,上記更正処分等のうち本件ポイント未払計上額に係る部分を取り消した場合の金額であるが,原告は,後記ウの本件消費税等 差額につきさらに減算されるべきであるとして,その部分(本件各不超過部分)の取消しを求めているため,以下に述べるとおり,同部分に係る不服申立て前置の有無が争われているものである 本件消費税等 差額につきさらに減算されるべきであるとして,その部分(本件各不超過部分)の取消しを求めているため,以下に述べるとおり,同部分に係る不服申立て前置の有無が争われているものである。 ア納税者は,税務署長が行った処分のうち所得金額及び納付すべき税額について一定額を超える額に相当する部分の取消しのみを求めて不服申立 てをした場合には,その後提起される取消しの訴えにおいて当該一定額を超えない部分の適法性を争うことにつき,当該一定額を超えない部分については不服申立てを経ていないのであるから,通則法115条1項が要求する不服申立てを経ていないというべきである。 イそして,原告は,本件各不超過部分については,審査請求時に争わず, その取消しを求めなかったから,本件各不超過部分の取消しを求める訴 えは,適法な不服申立ての前置を欠いているというべきである。 ウ平成24年10月期法人税各更正処分が取り消された場合において算出される消費税等の金額と同事業年度に係る課税期間の消費税等の更正処分により確定した消費税等の金額との差額(以下「本件消費税等差額」という。)は,平成24年10月期の損金の額に算入されるものではなく, 上記更正処分の取消判決が確定した事業年度の損金の額に算入されるべきである。 本件消費税等差額という損失は,平成24年10月期法人税更正処分に係る取消判決によって初めて明確に生じたものであり,上記取消判決が確定した事業年度においてその損失の額を合理的に見積もることができ るものであり,上記取消判決が確定した事業年度の損失というべきである。仮に,上記取消判決により本件法人税各更正処分の効果が遡及的になかったものとされるとしても,その判決の効果は,本件法 でき るものであり,上記取消判決が確定した事業年度の損失というべきである。仮に,上記取消判決により本件法人税各更正処分の効果が遡及的になかったものとされるとしても,その判決の効果は,本件法人税各更正処分について生じるのみであり,本件法人税各更正処分の対象となっていない本件消費税等差額についてまで,その効果が及ぶものではない。 エ 「裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき」(通則法115条1項3号)に該当するという原告の主張については争う。 (2) 以上のとおり,本件消費税等差額は,本件法人税各更正処分の取消判決が確定した事業年度の損金の額に算入すべきであるから,本件各不超過部分について訴えの利益に欠けるところはないとする原告の主張についても理由 がない。 (原告の主張の要旨)(1) 以下に述べるとおり,平成24年10月期法人税更正処分に係る取消請求の対象の実質は本件ポイント未払計上額に係る部分であり,それは本件審査請求の対象となっているから,不服申立て前置の要件を満たしている。 ア原告は,本件審査請求において,本件各処分のうち本件ポイント未払計 上額に係る部分の取消しを請求しているところ,同請求には,同部分に伴う消費税等の処理といった,法令に基づく課税所得等の計算も含まれており,本訴における請求の趣旨が,その範囲にとどまっている限り,不服申立て前置の要件を欠くとはいえない。 イ原告は,本訴において,本件消費税各更正処分等の取消請求を行ってい ないため,仮に本件法人税各更正処分が取り消された場合には本件消費税等差額は永久差異となり,損失(社外流出)として処理することになるところ,これは,本件ポイント未払計上額に係る否認の取消しに伴う課税所得等の再計算 件法人税各更正処分が取り消された場合には本件消費税等差額は永久差異となり,損失(社外流出)として処理することになるところ,これは,本件ポイント未払計上額に係る否認の取消しに伴う課税所得等の再計算の結果生じるものであることから,本件審査請求における審理の対象に当然含まれている。かかる部分をも対象として平成 24年10月期の課税所得の計算をすると,平成24年10月期法人税更正処分に係る訴えは,本件各不超過部分についても不服申立て前置の要件を満たしているというべきである。 ウまた,本件審査請求においては,原告は,本件法人税各更正処分だけではなく,本件消費税各更正処分の取消しをも求めていたが,裁決で本件消 費税各更正処分に係る審査請求が却下されたことから,それにより確定した消費税等の金額と,本件法人税各更正処分の取消しによる課税所得計算において算出される消費税等の金額に差額(本件消費税等差額)が生じることになったものであるが,このような場合には,その処理を訴訟で争うことは,「裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき」(通則法11 5条1項3号)に該当する。 (2) 本件各事業年度(平成24年10月期を含む。)において,本件法人税各更正処分のうち本件ポイント未払計上額の税務処理に係る部分が取り消された場合に,本件消費税等差額を損失(社外流出)として処理すると,課税所得及びそれに対応する法人税額は,いずれも申告額を下回ることになった。 したがって,本件各不超過部分について,訴えの利益に欠けるところはない。 2 争点(2)(本件各処分の適法性)について(被告の主張の要旨)以下のとおり,本件ポイント未払計上額は,費用として損金の額に算入することはできないというべきであるから,本件各処分は 2 争点(2)(本件各処分の適法性)について(被告の主張の要旨)以下のとおり,本件ポイント未払計上額は,費用として損金の額に算入することはできないというべきであるから,本件各処分は適法である。 (1) 法人税法22条3項2号は,債務として確定していない費用について は, その発生の見込み及び金額が明確ではないことから,所得の金額の計算の明確及び課税の公平を確保するために,債務の確定を必要としたものと解され,「債務の確定」とは,同法が別途に引当金の規定を設け,限定された種類の引当金のみを損金に算入することを認めていることに照らすと,引当金の対象となる債務よりも,より確実に債務の存在及び金額が確定してい ることを意味するものである。 そして,以下のとおり,本件ポイント未払計上額については,債務確定通達(基本通達2-2-12)の要件を満たさない。 ア債務確定基準①(関係法令等(3)参照)について本件ポイントシステムにおいてカード会員がポイントを使用するために は,次回購入をすること等の条件が満たされることが必要であり,また,このポイントは金銭と引き換えることができないことからすれば,その性格又は経済的性質は単なる値引きの予約にすぎない。 そして,原告が本件各事業年度の終了の日において有していた本件ポイント未払計上額に係る債務は,当該ポイントが使用されるか否か,使用 される場合にいつどの商品等の購入において使用されるものかすら確定しておらず,給付の内容が確定したものとはいえない。 新ポイントについては,原告がカード会員にポイントを付与したとしても,その後に当該顧客が会員情報登録をし,原告が登録された会員情報を新ポイントシステムに反映するという手順を踏まなければ,新ポイン イントについては,原告がカード会員にポイントを付与したとしても,その後に当該顧客が会員情報登録をし,原告が登録された会員情報を新ポイントシステムに反映するという手順を踏まなければ,新ポイン トシステムの制度上,新ポイントを使用できる状態にはならないから, 給付の内容が確定したものとはいえない。 したがって,未使用のポイントは,それに係る債務が成立しているとはいえず,債務確定基準①を満たすものではない。 イ債務確定基準②について本件ポイントシステムにおいて,ポイントの使用について具体的原因事 実が発生するのは,次回購入がされる時点であるから,本件ポイント未払計上額は,債務確定基準②を満たすものではない。 すなわち,カード会員がポイントを使用して値引きがなされた時点で初めて,売上金額が減少するにすぎず,カード会員がポイントを使用する前の段階においては,未使用ポイントの存在が現に実現した売上げに係 る利益を何ら減少させるものではない。初回購入時に,将来的に生じ得る次回購入時のポイントの使用を見越して,債務を確定したものと解することは,確実性のない債務についてその確定を認めることになるものである。 ウ債務確定基準③について 上記ア及びイのとおり,ポイントの付与時において,債務確定基準①及び②をいずれも満たさない以上,当該債務の金額を合理的に算定することはできない。 (2) 原告が,その主張の根拠として挙げる以下の点は,上記(1)を左右するものではない。 ア金品引換券通達(基本通達9-7-3)について金品引換券通達は,商品等の金品引換券付販売をした場合のその引換えに要する費用の例外的取扱いに係る解釈を示したものであるところ,本件ポイントシステムにおける 通達(基本通達9-7-3)について金品引換券通達は,商品等の金品引換券付販売をした場合のその引換えに要する費用の例外的取扱いに係る解釈を示したものであるところ,本件ポイントシステムにおけるポイントの付与の性格又は経済的性質は,値引きの予約にほかならないから,上記通達にいう「金品引換券」とはその経 済的性質が異なる。 すなわち,このポイントは,換金することができないから,「1枚又は1点について交付する物品の購入単価」により算出した額を損金経理により未払金として計上した場合に限り,ポイントの付与時における未払金としての計上が認められ得ることになるが,原告が申告した額は,そのような算定に基づき算出されたものではない。 イ基本通達9-5-2について基本通達9-5-2は,当該事業年度の直前の事業年度分の事業税等の額について,当該事業年度の終了の日までに全部又は一部につき申告等がされていない場合であっても,当該事業年度の損金の額に算入することができるという債務確定基準の特例であるから,同通達をもって直ち に債務確定基準に係る法解釈一般を左右するものということはできない。 ウ基本通達9-2-28について基本通達9-2-28が役員に対する退職給与の損金算入の時期について,実際に退職給与を支払ったか否かにかかわらず,株主総会の決議等 によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とすることを原則としているのは,それに係る費用が債務確定基準①~③を満たすからであって,同通達により上記(1)の解釈が左右されるものではない。 エ平成30年度税制改正(基本通達2-1-1の7)について本件各事業年度の当時,ポイントを引当金として計上するのが一般的と されていた )の解釈が左右されるものではない。 エ平成30年度税制改正(基本通達2-1-1の7)について本件各事業年度の当時,ポイントを引当金として計上するのが一般的と されていたことからすれば,ポイントに関し,それに対応する値引き等の額について当初の販売時に収入に含めないこととして,課税所得からの減額を認める基本通達2-1-1の7が新設されたことをもってしても,原告におけるポイントの処理が,当時の実務に照らして合理的な処理であったことにはならない。また,本件ポイント未払計上額は,基本 通達2-1-1の7が定める計算方法に基づくものとはいえない。 (3) ア法人税法は,原則として実現した利益は全て所得を構成するという考え方(実現原則)を採用しているところ,本件ポイント未払計上額を売上げの値引きとして捉えた場合,カード会員が付与されたポイントを利用し,現実に値引きがなされた時点で,初めて,売上金額が減少するにす ぎず,本件ポイント未払計上額については,本件各事業年度末の時点において値引きが実現しているとは認められないから,は認められない。 イ原告はとともに,本件各 事業年度末に未払費用として負債計上していることから,原告の会計処理において,法人税法22条3項に規定する損金に算入すべき金額の前提となる費用が発生しているとは認められない。 (原告の主張の要旨)以下のとおり,本件ポイント未払計上額は,費用として損金の額に算入する ことができるというべきであるから,本件各処分は違法である。 (1) 債務確定要件は,債務として確定していない費用は発生の見込み及び金額が明確ではないことから,これを費用に算入することを認めると,所得金額の計算が不正確にな ら,本件各処分は違法である。 (1) 債務確定要件は,債務として確定していない費用は発生の見込み及び金額が明確ではないことから,これを費用に算入することを認めると,所得金額の計算が不正確になり,また所得の金額が不当に減少するおそれがあるから,債務の確定を必要としたものである。したがって,この趣旨に反しない 限り,債務の確定の意義は緩やかに解しても差し支えないものである。 そして,以下のとおり,本件ポイント未払計上額については,債務確定通達(基本通達2-2-12)の要件を満たすものである。 ア債務確定基準①について一般的に,ポイントシステムは,販売促進効果や顧客管理等のマーケテ ィング・ツールとして利用されているところ,その法的性格は,事業者 と消費者との間の民法上の契約であり,契約内容は,初回購入の際に,原告とカード会員の間で,当該商品等の購入契約とは別に,次回購入時における商品等の価格の一部への充当又は一定の景品との交換を請求できる権利をポイントという形で原告からカード会員に付与するものであって,次回購入時の代金からの値引きではない。本件ポイントシステ ムにおけるポイントは「企業通貨」として付与されるものであり,カード会員は,付与されたポイントを代金充当や景品交換に任意に使用することができ,その使用が制約されることはない。 民法上,給付の内容は債権成立の時に具体的に確定する必要はないとされていることからすれば,初回購入時に,本件ポイントシステムに係る 契約関係が原告とカード会員との間で成立し,ポイントの使用に係る債務が成立しているというべきである。カード会員が,当該ポイントの使用について代金充当又は景品交換を選択できるとしても,そのことをもって債務の成立が阻害されるものではない 立し,ポイントの使用に係る債務が成立しているというべきである。カード会員が,当該ポイントの使用について代金充当又は景品交換を選択できるとしても,そのことをもって債務の成立が阻害されるものではない。また,新ポイントの使用に当たっては,会員情報登録を行う必要があるところ,債権の行使にか かる手続が設けられていることは債務の成立とは無関係である。 なお,旧ポイントについては,1万ポイント当たり500円として使用可能であるところ,旧ポイントについても使用可能な分に限って未払費用計上されている。 イ債務確定基準②について 債務確定基準②の具体的原因事実は,相手方からの給付,その他納税者の債務履行に対する実質的な障害を取り除く事実をいうものと解すべきである。そして,本件ポイントシステムにおいては,初回購入により,カード会員は,次回購入時の代金充当又は景品交換を請求できる権利を取得するところ,これを行使するに当たり,同時履行の抗弁権その他の 実質的な障害は存在せず,カード会員は会員情報登録等の形式的な手続 さえ履践すれば,付与されたポイントを原告の許諾なく使用することができるのであるから,ポイントの付与をもって具体的原因事実が発生したというべきである。 カード会員が,次回購入時にポイントを代金充当する旨の意思表示をすることは,権利行使をするための意思表示にすぎない。本件ポイントシ ステムにおけるポイントは企業通貨の性質を有するものであり,カード会員は,ポイントのみでも商品を購入することができ,新たな出捐を要せずにポイントを使用して商品等の購入又は景品との交換をすることができるものであるから,付与されたポイントの使用は,カード会員が次回購入をすることが絶対条件になっているものではない。 たな出捐を要せずにポイントを使用して商品等の購入又は景品との交換をすることができるものであるから,付与されたポイントの使用は,カード会員が次回購入をすることが絶対条件になっているものではない。 ウ債務確定基準③について旧ポイントについては1万ポイント当たり500円,新ポイントについては1ポイント当たり1円として換算することにより,金額を算定することが可能である。また,金品引換券通達は,金品引換券が,金銭又は景品の交換のいずれかの選択ができる場合でも損金算入を認めているこ とからすれば,カード会員が給付内容を選択できる本件ポイントシステムにおけるポイントについても,合理的な算定は可能である。 (2) 金品引換券通達(基本通達9-7-3)について本件ポイントシステムにおけるポイントは,金銭又は物品と引き換えることができる点で,金品引換券と経済的性質が類似しており,金品引換券通達 の考え方が参照されるべきである。新ポイントは,付与されれば即時に1ポイントから使用が可能であり,カード会員は実質的な負担を負っておらず,ポイントが失効する可能性は低く,1ポイントを1円として合理的な金額を算定することができる。原告は,1ポイントに対応する1円の費用の支出を義務付けられているのであり,金品引換券通達が定める場合と区別する理由 はない。 また,基本通達9-7-3~9-7-5が定める手続的要件は課税要件ではないから,これを満たしていないことは,損金算入を否定する理由にはならない。 (3) その他の基本通達の定めについて基本通達の中には,債務が確定していない場合であっても,損金算入を認 める例がある。例えば,基本通達9-5-2は,当該事業年度の直前の事業年度分の事業税及び地方法人 他の基本通達の定めについて基本通達の中には,債務が確定していない場合であっても,損金算入を認 める例がある。例えば,基本通達9-5-2は,当該事業年度の直前の事業年度分の事業税及び地方法人特別税の債務について確定していないにもかかわらず損金算入を認めている。 また,基本通達9-2-28は,退職一時金が分割払いされる場合であっても,株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年 度に全額が未払費用として損金に算入されるものとし,具体的原因事実の発生には,個々の履行の請求や履行期の到来が必要とされるものではない。 (4) 平成5年最判について本件ポイントシステムでは,カード会員は,初回購入をすることによりその義務を実質的に完了しており,それ以降はいつでもその便益を得ることが できるという経済的実態がある。最高裁判所平成4年(行ツ)第45号同5年11月25日第一小法廷判決・民集47巻9号5278頁参照。以下「平成5年最判」という。)は,輸出取引に関し,純法律的な権利義務が確定した時点よりも,むしろ経済的実態を重視して益金計上を認めたものであるところ,益金算入時と債務確定時は一致することが多いことからすれば,未使 用のポイントについても債務の確定が認められるというべきである。 (5) 公正処理基準について本件各事業年度の当時,ポイントシステムの会計処理について,我が国においてどのような会計基準が定められるかは未確定であり,何が公正処理基準に当たるかは明確でなかったところ,一般に公正妥当と認められる会計慣 行は単一のものではなく,ある会計処理が取引の経済的実態から見て合理的 なものであれば,法人税法上,その処理は公正処理基準に該当するものとして認められるべきであって られる会計慣 行は単一のものではなく,ある会計処理が取引の経済的実態から見て合理的 なものであれば,法人税法上,その処理は公正処理基準に該当するものとして認められるべきであって,そのような解釈は,公正処理基準の解釈にあたり経済的実態を重視した平成5年最判の考え方に沿うものである。そして,本件各事業年度の当時,付与時費用処理法(前提事実(3)イ)による処理も否定されていなかったものであるところ,かかる処理は,ポイントシステム の経済的実態から見て合理的なものといえる。新ポイントシステムでは,初回購入時に,カード会員がなすべき義務が実質的に完了し,その後はカード会員は,いつでも1ポイント当たり1円として新ポイントを代金充当に使用することができるなど,当該ポイントの便益を享受し得るから,その経済的実態に照らし,初回購入時の損金算入が認められるべきである。 平成30年税制改正に伴い定められた基本通達2-1-1の7は,初回の販売の収入額とポイント相当額に合理的に割り振ることにより,後者を販売における収入とせず,別の取引に係る前受け(負債)とする(収入を繰り延べる)ものであり,ポイントシステムの経済的実態に照らして,ポイントに相当する経済的負担を初回販売時に課税所得に含めないことが合理的である とするものである。そして,上記通達による処理は,原告の処理が,その当時の実務においても合理的であったといえる。また,本件各事業年度に先立ち国際財務報告解釈指針委員会により公表されていたポ イントに関する解釈指針(IFRIC13)の内容に照らしても,原告の処理は合理的というべきである。 (6) ア法人税法の規定において損金経理要件が課されていない費用又は損失については,必ずしも費用又は損失と RIC13)の内容に照らしても,原告の処理は合理的というべきである。 (6) ア法人税法の規定において損金経理要件が課されていない費用又は損失については,必ずしも費用又は損失として経理することは要求されておら ず,それ以上に会計処理上の勘定科目と法人税法上の勘定科目が一致す ることは要求されていないから,本件ポイント未払計上額が損金算入されるためには,会計処理上,販管費等に該当することが必要となるものではない。したがって,原告が,は合理性を欠くものではない。 イまた,原告の会計処理は, であったが,ポイントの会計処理については,国内的にも国際的にも確立した会計基準が存在しない状況を前提とすると,原告の会計処理も「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(法人税法22条4項)に適合するものと認められるべきであり,この会計処理は本件ポイント未払計上額について損金算入を 否認する理由にはならない。原告は,ポイントについて一義的に確立した会計基準がないことから,比較的類似した経済的性格を有する売上値引きに準じて処理しただけであり,原告は,当該計上額がポイントの債務に係るものであることを明示して,一般の売上値引きと異なる性質を有することを会計上も明らかにしている。また,貸借対照表科目を未払 金ではなく未払費用とすることで,当該計上額が費用(損金)としての性格を持つことも明らかにしている。 以上

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