平成20(行コ)12 行政文書非開示処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成19年(行ウ)第342号)

裁判年月日・裁判所
平成20年6月5日 東京高等裁判所 情報公開
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判決文本文3,511 文字)

- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴人( )原判決を取り消す。 ( )控訴人が平成18年11月14日に行った東京都建築審査会裁決案の 評議の議事録の開示請求に対して,処分行政庁が同月28日に行った非開示処分(××都市建調第×××号)を取り消す。 被控訴人主文と同旨第2事案の概要 本件は,控訴人が東京都情報公開条例6条1項に基づき,東京都建築審査会で口頭審査が行われて裁決書が出された審査請求事件に関する議事録のうち,口頭審査の議事録を除いたものについて開示請求を行ったところ,処分行政庁が,裁決の評議は非公開とされていて,これが開示されると今後の審査会の審議において委員の自由かつ率直な意見交換が妨げられ,意思決定の中立性・正確性が不当に損なわれるおそれがある(同条例7条5号及び6号該当)として,これを全部開示しない旨の決定をしたことから,控訴人がその取消しを求め,原審が控訴人の請求を棄却したので,控訴人が控訴した事案である。 前提事実,法令の定め及び争点は,次のとおり当審での主張を付け加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の1ないし3に記載(原判決1頁22行目から3頁17行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 - 2 -( )控訴人の主張 ア被控訴人は,建築審査会が準司法機関的性格を有すると主張するが,そのように解すべき法的根拠はない。 イ建築審査会が正常に機能しその職責を遂行していれば,裁定の評議を,。 ,公開したとしても無用な誤解や憶測を招くことはあり得ないむしろ,,非公開にすることによって無用の誤解や憶測を増大させることになり建築という社会的に見て重要な財産に関する 裁定の評議を,。 ,公開したとしても無用な誤解や憶測を招くことはあり得ないむしろ,,非公開にすることによって無用の誤解や憶測を増大させることになり建築という社会的に見て重要な財産に関する全国民の様々な利益が不当に侵害されることになる。 仮に裁定の評議を公開することによって無用な誤解や憶測を招くことがあり得るとしても,これを非公開とすることによっても無用な誤解や憶測を招くことがあり得るのであり,いずれにしてもその可能性がある以上,行政は手抜きをせず,公開して,そこから生じる誤解を正すことをすべきである。 ウ控訴人が公開を求めた情報の中には「建築の敷地に対する道路の取,り扱い」という公共性の高い情報が含まれているが,それに関する議論が今後の建築問題に大いに資することが明白である。建築物が公共性を有するものである以上,建築審査会の審議の内容は公共の利益に資する可能性があるのであり,その内容は公開されるべきである。非公開とされるのは,個人情報に属する部分と意見発言者の氏名に限定されるべき,,でありそれ以外はすべて公開することが建築審査会の公明性を証明し信頼性を保つもとになる。 エ建築審査会の同意に関しては,同意議案の内容が開示されているのであり,同意議案の審査と同じ建築審査会の職責に属する裁決の評議が公開されないのは不当である。 オ裁決の評議における発言者の特定に関しては,既に口頭審査が公開されているのであり,その口頭審査を踏まえて裁決の評議が行われるので- 3 -あるから,裁決の評議での発言者が特定されても建築審査会の事務に支障はきたさない。 カ被控訴人は,控訴人が本件で公開を求めている審査請求事件に関する情報を,過去に開示しているから,本件公文書も公開すべきである。 ( )控訴人の主張に対する被控訴人の反論 支障はきたさない。 カ被控訴人は,控訴人が本件で公開を求めている審査請求事件に関する情報を,過去に開示しているから,本件公文書も公開すべきである。 ( )控訴人の主張に対する被控訴人の反論 ア控訴人の主張イについて無用な誤解や憶測は,建築審査会が正常に機能しているか否かにかかわらず,評議の内容の受け手側の認識の違いにより,常に生じ得るものであり,建築審査会が正常に機能しその職責を遂行していくためにも,検討段階の未成熟な情報等により無用な誤解や憶測を生じさせないことが必要である。 イ控訴人の主張エについて審査請求に係る裁決の評議は,東京都建築審査会条例6条1項ただし書により非公開にされているが,特定行政庁の一定の行為に対し同意を与える同意議案に係る会議については,審査請求に係る裁決の評議を非公開としなければならない事情を考慮する必要がないことから,同条例6条1項により,会議自体も原則公開とされている。これらを同列に論じる控訴人の主張には理由がない。 ウ控訴人の主張オについて建築審査会の評議における各委員の意見が公にされることが予定されているとすれば,各委員に対する外部利害関係者からの何らかの働きかけや,個人責任追及のおそれ等の心理的影響から,各委員の自由かつ率直な意見交換が阻害され,その結果,審査会としての適正な判断が損なわれるおそれが生じることが容易に予想される。そして,これは,当該審査請求事案にとどまらず,当該事案に直接関連するような何らかの事案が後日発生した場合や同種の類似事案はもちろんのこと,その他の評- 4 -議においても,同様の心理萎縮効果により,支障が生じるおそれがあるのであり,控訴人の主張は失当である。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人の本件請求は理由がないから棄却すべきものと判断す。 においても,同様の心理萎縮効果により,支障が生じるおそれがあるのであり,控訴人の主張は失当である。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人の本件請求は理由がないから棄却すべきものと判断す。 ,「」「」るその理由は原判決の 事実及び理由 欄の第3争点に対する判断の1及び2に記載(原判決3頁19行目から8頁末行まで)のとおりであるから,これを引用する。 控訴人は,当審において,前記のとおり主張するが,いずれも本件文書に東京都情報公開条例7条5号及び6号に該当する情報は記録されていないことを指摘したり又はその疑いを抱かせるものではなく(①建築審査会が準司法機関的性格を有するか否かは,上記条例7条5号及び6号の該当性判断において結論を左右する事柄ではなく,②裁定の評議を公開することによって無用な誤解や憶測を招くことがあり得るとしてもこれを公開してそこから生じる誤解を正すべきであるというのは,明らかに上記条例の趣旨に反するものであり,③本件審査請求事件に公共性の高い事柄が含まれそれに関する議論が今後の建築問題に大いに資することが明白であって建築審査会の審議の内容が公共の利益に資する可能性があるというだけで,非公開事由があるのにその内容が公開されるべきであるというのは,上記条例7条5号及び6号が非公開事由を定める趣旨に反するものであり,④同意議案の内容が開示されているからといって,それとは処分の性質も手続も異なる審査裁決の評議を同意議案と同様に開示すべきであるとはいえず,⑤口頭審査が公開されているからといって裁決の評議を公開しても差し支えないということはいえないし,⑥過去に本件審査請求事件に関する情報が開示されているからといって,その裁決の評議を公開すべきであるともいえない,本件処分の適法。)性について合理的な疑 ても差し支えないということはいえないし,⑥過去に本件審査請求事件に関する情報が開示されているからといって,その裁決の評議を公開すべきであるともいえない,本件処分の適法。)性について合理的な疑いを生じさせるに足りない。 そして,控訴人の指摘する点及び新たに当審で提出された証拠をも踏まえ- 5 -て検討しても,本件文書が東京都情報公開条例7条5号及び6号に該当するとの判断を覆すべき理由を見出すことはできない。なお,控訴人が指摘する最高裁第三小法廷平成19年4月17日判決(最高裁判所裁判集民事224号97頁)における藤田裁判官の補足意見は,本件とはまったく異なる事案に関するものであり,本件に適切ではない。 第4 結論 よって,控訴人の本件請求を棄却した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第8民事部裁判長裁判官原田敏章裁判官加藤謙一裁判官小出邦夫は,都合により署名押印することができない。 裁判長裁判官原田敏章

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