平成11(行ウ)48 損害賠償代位請求事件

裁判年月日・裁判所
平成13年9月12日 神戸地方裁判所 住民訴訟
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判決文本文15,402 文字)

主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告A,同B,同Cは,尼崎市に対し,連帯して,38万2935円及びこれに対する平成11年11月6日(本訴状送達の翌日)から,被告A,同B,同Dは,尼崎市に対し,連帯して,37万2935円及びこれに対する平成11年11月6日(本訴状送達の翌日)からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の概要尼崎市議会日中友好議員連盟(以下「日中友好議員連盟」という。)に所属する同市議会議員ら(但し,議員らは,私費で旅行をしたが,鞍山市滞在費用は,中国側が負担した。)が訪中団(以下「本件訪中団」という。)を結成して平成10年10月7日から同月12日まで友好都市である中国鞍山市などを訪問した。本件は,尼崎市の議会事務局の職員であった被告C及び同Dがその随行を命じられて同訪中団に随行したが,同訪中団の旅行は私的旅行であって,同被告らが随行すべき相当性,必要性はなく,したがって,同被告らそれぞれに対する随行費用(被告C分38万2935円,同D分37万2935円)の支出は,違法であったとして,尼崎市の住民である原告らが尼崎市に代位して,同支出を決定した総務課長の被告B及び同bの監督者でその支出に関する監督を怠った市長の被告Aに対しては,不法行為に基づいて,上記随行をした同C及び同Dに対しては,不当利得に基づいて,上記請求のとおりの金員の支払を求める事案である。 2 前提事実(文章末尾に証拠を挙げたものは,証拠によって認定した事実で,それ以外は,当事者間に争いのない事実)(1) 当事者① 原告らは,いずれも尼崎市の住民である。 ② 平成10年10月当時,被告Aは,尼崎市総務局総務課長Bの職務を は,証拠によって認定した事実で,それ以外は,当事者間に争いのない事実)(1) 当事者① 原告らは,いずれも尼崎市の住民である。 ② 平成10年10月当時,被告Aは,尼崎市総務局総務課長Bの職務を監督すべき尼崎市長で,同Bは,総務課長として同Cらの上記随行費用の支出に関して,専決権限を有していた。また,被告Cは,尼崎市議会事務局次長,同Dは,同事務局庶務課長であった。 (2) 本件財務会計上の行為など① 日中友好議員連盟に所属する議員らは,本件訪中団を結成して平成10年10月7日から同月12日までの間,私費で鞍山市,西安市,北京市を訪問した。 ② 被告C及び同Dは,本件訪中団の旅行に随行した。 ③ 被告Bは,平成10年9月21日,被告C及び同Dの随行費用75万5870円(被告C分38万2935円,同D分37万2935円)を支出する旨の決定(以下「本件支出命令」という。)をし,同月28日,尼崎市収入役が同決定に基づいて同金員を被告Cらに支出した(ただし,旅費の配分額は,弁論の全趣旨)。 (3) 被告Cらが随行した経緯① 尼崎市議会の事務を統理し,市議会を代表する尼崎市議会議長は,議員らの本件訪中団に被告C及び同Dを公費で随行させる旨の決定(以下「本件随行決定」という。)をした。 ② 被告C及び同Dは,尼崎市議会議長の本件随行決定に基づき,上司たる尼崎市議会事務局長から平成10年9月11日ころ,旅行命令を受け,それに従って本件訪中団の旅行に随行した(以下,同随行を「本件随行」という。)(乙6)。 ③ ところで,上記命令で定められた随行職員の復命事項は,以下のaのとおりであり,その職務内容は,以下のbのとおりであった(乙5,6)ところ,被告Cらは,本件訪中団の旅行に随行した際,その復命内容に従った行動をした。 aア鞍山市人民代表大会,鞍山市人民 以下のaのとおりであり,その職務内容は,以下のbのとおりであった(乙5,6)ところ,被告Cらは,本件訪中団の旅行に随行した際,その復命内容に従った行動をした。 aア鞍山市人民代表大会,鞍山市人民政府,鞍山市党委員会表敬訪問イ鞍山市台安県新開河鎮人民政府,鞍山市台安県新開初級中学校表敬訪問,同初級中学校での教育修学補助ウ鞍山市日本語学校訪問エ鞍山市,西安市,北京市の視察bア議長及び市長のメッセージの携行・伝達イ指示事項に基づく鞍山市内,西安市内,北京市内の文化施設やまちづくりの視察調査ウ交流先で公式行事前の相手方との打ち合わせ調整エ交流先・視察先での記録及び写真撮影オ団体行動であるため日程の打合せ及び団員への周知徹底カ移動に伴う交通機関の手続き及び宿泊施設での手続きキ議会事務局との連絡などク教育長メッセージ及び少年音楽隊訪中団の作文,写真パネルの携行・伝達ケ尼崎市交流協会,鞍山市訪中市民団,日中友好議員連盟からの長江水害見舞金の携帯(4) 監査請求原告らは,平成11年8月25日,本件随行に関する費用支出行為につき,尼崎市監査委員に対し,地方自治法(以下,単に「法」という。)242条1項により住民監査請求を行ったところ,同年10月15日付で,同委員は,原告らに対し,「合議が整わなかった」旨の通知を行った。 (5) 尼崎市議会行政視察等取扱要領制定の経過など尼崎市議会議員の不正出張問題が平成4年9月30日,報道され,そのことに端を発し,その後,尼崎市議会ぐるみの不正出張問題として社会的問題となった。 そのため,尼崎市議会各会派代表者で構成される幹事長会は,平成4年10月2日,行政視察等に係る諸問題を協議・検討するための行政視察等検討委員会を設置した。同委員会は,今後におけるチェック体制手続や手続の ため,尼崎市議会各会派代表者で構成される幹事長会は,平成4年10月2日,行政視察等に係る諸問題を協議・検討するための行政視察等検討委員会を設置した。同委員会は,今後におけるチェック体制手続や手続の厳格化,更には旅費の大幅な減額の提案等,適正な行政視察等の確立に向けた改善策を提案した。 尼崎市議会幹事長会は,平成4年10月31日,検討委員会の提案を受けて,尼崎市議会行政視察等取扱要領(以下,同日決定された同年12月1日施行のものを「旧取扱要領」という。)(乙18)を決定した。 そして,その後の平成6年10月3日,尼崎市議会議員総会において,常任委員会の委員活動行政視察〔委員視察〕が廃止されたことに伴い,一部改正(以下,同改正後のものを「新取扱要領」といい,新旧の取扱要領をあわせて,単に「取扱要領」という。)が行われた。 (6) 新取扱要領の内容新取扱要領には,以下の定めがある(甲3)。 第1 この要領は,尼崎市議会の行政視察等について必要な事項を定めるものとする。 第2 この要領において,「行政視察等」とは,次に掲げるものをいう。 (1) 常任委員会の行政視察(2) 常任委員会の上京陳情第3 委員会行政視察は,原則として2泊3日とする。 中略第5 行政視察等については,議会事務局職員が随行するものとする。 3 主要な争点本件訪中団の旅行に随行した被告Gらへの本件随行費用の支出は違法か。それを具体化すると以下のとおりである。 (1)① 議会事務局職員が議員の旅行に随行できる場合は,新取扱要領に定められた行政視察等に限定されるか。 ② 被告C及び同Dの本件随行の違法性。具体的には,同人らが随行した議員らの本件訪中団の活動には公務性が認められるか,また,被告C及び同Dが本件訪中団の旅行に随行する必要性,相当性があったか。 (2) 市議会議 び同Dの本件随行の違法性。具体的には,同人らが随行した議員らの本件訪中団の活動には公務性が認められるか,また,被告C及び同Dが本件訪中団の旅行に随行する必要性,相当性があったか。 (2) 市議会議長の判断に対し,執行機関としての市長(被告A)ないし専決権者である総務課長(被告B)は如何に対応すべきか。被告Bの本件支出命令は違法か。 (3) 被告Cらは,議長の本件随行決定に基づく尼崎市議会事務局長からの旅行命令(業務命令)に従うべき義務があったか。 4 主要な争点に対する当事者の各主張(1) 主要な争点(1)の①,②について(原告らの主張)① 尼崎市職員等の旅費に関する条例(以下「旅費条例」という。)は公務のために旅行する職員等に対して支給する旅費について,必要な事項を定めているところ(甲2の1,2),その支給が認められるのは,公務のために旅行する場合に限られる。 ②a ところで,平成6年10月3日に一部改正された新取扱要領は,議会事務局職員が議員の旅行に随行できる場合を,常任委員会及び法に基づかない委員会(法110条)の行政視察及び上京陳情(以下,両方をあわせて「行政視察等」という。)に限定している。ところが,本件訪中団の活動は,尼崎市市議会議員らが私費で行った私的旅行であって,新取扱要領で議会事務局職員の随行が認められる行政視察等に該当しない(公務性の欠如)。 ③a 仮に,職員の公費による随行が新取扱要領の上記例示に限定されないとしても,取扱要領の設定経過・事情・設定趣旨からすると,それが認められる範囲は,相当厳格に運用されるべきである。少なくとも,議員の旅行に公務性があり,かつ,職員随行の必要性,相当性が認められる場合でなければならない。また,職員の海外視察が研修といえるためには,研修が一般的に見聞を広めるという以上に行政目的と なくとも,議員の旅行に公務性があり,かつ,職員随行の必要性,相当性が認められる場合でなければならない。また,職員の海外視察が研修といえるためには,研修が一般的に見聞を広めるという以上に行政目的との関連における明確な目的・動機がなければならない。 b ところが,本件訪中団の活動に公務性が認められないことは,上記記載したとおりであり,しかも,被告C及び同Dが公費で本件訪中団の旅行に随行するに足る合理性(相当性,必要性)もなかった。 すなわち,被告C及び同Dが本件訪中団の旅行に随行して行ったことは,本件訪中団に参加した議員らでできることであって,敢えて,職員がしなければならないことでなく,仮に,職員が随行していなかったとしても訪問先との関係で非礼に当たることはなかった(職員随行の必要性,相当性の欠如)。 c また,同被告らの研修名目の西安及び北京の視察は,観光的側面が大きく,行政目的との関連が不明確で公費を支出するにふさわしい研修ではなかった。 ④ したがって,取扱要領に反する本件随行費用の支出は,法204条の2及び旅費条例に違反していることが明らかである。 (被告らの主張)①a 議会ないし議員の活動は,極めて多岐にわたっており,尼崎市議会においては,旧取扱要領設定以前から議長の裁量権に基づき,議長の決裁を経て,以下のような議員の活動に職員を随行させてきた。 ア常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会の視察並びに政府関係機関等への陳情活動イ全国市議会議長会等の議長会組織が実施する事案等を通じて行う活動ウ姉妹都市,友好都市等への交流活動b 旧取扱要領は,不正出張問題に関連する常任委員会の委員活動視察,行政視察,上京陳情に限定して定められ,新取扱要領では,最も問題とされていた常任委員会の委員活動視察が廃止されたため,常任委員会の行政視察と 扱要領は,不正出張問題に関連する常任委員会の委員活動視察,行政視察,上京陳情に限定して定められ,新取扱要領では,最も問題とされていた常任委員会の委員活動視察が廃止されたため,常任委員会の行政視察と上京陳情に関する事項だけが規定されることとなった。 c 旧・新の取扱要領制定後も,日中友好議員連盟による訪中や尼崎市議会代表団による訪中には,職員を随行させている。 d 新旧取扱要領は,議会内の申し合わせ事項であり,議長の事実上の裁量権行使の指針となるものであるが,条例,規則のように法的拘束力を持つものでない。 e 職員の随行が認められる議員の行政視察は,上記のとおり原告らが主張するような取扱要領に定められたものに限られるわけではない。 ②a 普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議決機関として,その機能を適切に果たすために必要な限度で広範な権能を有し,合理的な必要があるときには裁量により議員を海外に派遣することができる。 b 尼崎市は,鞍山市との交流を重ね,昭和58年には「友好都市提携議定書」に調印し,現在に至るまで各界,各層において相互に交流する諸施策を推進してきた。尼崎市議会においても,昭和56年4月29日,鞍山市との友好都市提携推進のため,鞍山市等に市議会議員10名による訪中団を派遣したほか,その交流を重ねてきた(乙2)。 c 今回の本件訪中団の活動も,尼崎市の友好都市である鞍山市との友好親善を図ることにあり,また,尼崎市長,尼崎市議会議長,尼崎市教育委員会教育長のメッセージを鞍山市側に伝達するほか,鞍山市側の主催する公式,公的な行事に参加する等極めて公務性の高い国際交流活動であって,公務性,相当性が認められる。 本件訪中団の活動のうち,西安市及び北京市への行程も鞍山市外事弁公室処長が同行したもので,尼崎市と鞍山市との友好と尼崎市政 する等極めて公務性の高い国際交流活動であって,公務性,相当性が認められる。 本件訪中団の活動のうち,西安市及び北京市への行程も鞍山市外事弁公室処長が同行したもので,尼崎市と鞍山市との友好と尼崎市政の発展に寄与するもので公務性,相当性が認められる。特に,被告C及び同Dは,本件訪中団への随行に当たって,尼崎市議会議長から北京市及び西安市の街づくりについて視察研修を行うよう具体的に指示されていた(乙8)もので,その公務性,相当性は明白である。 d 市議会事務局職員は,議長の命を受け議会の庶務を処理しているが,その事務は,議会の事務のみならず,議員の調査活動等も含めて広く議会及び議員に関する事務一般まで及んでいる。尼崎市議会の議員で構成される日中友好議員連盟に関する事務も,議員の職務に関するものとして議会事務局の事務とされている。 そこで,本件訪中団に対する被告Cら職員の随行は,本件訪中団の交流活動を補助するとともに職員の今後の国際化に対する資質の向上,育成を図るため,市議会議長の事務統理権(法104条)に基づいて決定されたものである。 したがって,被告C及び同Dの本件随行は,必要性,相当性を有していることは明らかである。 (2) 主要な争点(2)について(被告らの主張)① 普通地方公共団体の長は,独立かつ対等の機関である議会の議長の裁量を尊重することが必要であり,議長の決定に伴う経費の支出についても,その決定が一見明らかに不存在であるとか,これに重大かつ明白な瑕疵が存するものと認められる場合など特段の事由のない限り,その支出に応じなければならない。 ② 被告Bは,尼崎市議会議長が決定した被告C及び同Dに対する本件随行決定に重大かつ明白な瑕疵が存しなかったため,同決定に基づいて,本件支出命令をしたもので,そこには何らの違法もない。被告Bの本件 ② 被告Bは,尼崎市議会議長が決定した被告C及び同Dに対する本件随行決定に重大かつ明白な瑕疵が存しなかったため,同決定に基づいて,本件支出命令をしたもので,そこには何らの違法もない。被告Bの本件支出命令に問題がない以上,被告Aには,同Bの本件支出命令に関して,その監督責任について,違反がないことが明らかである。 (原告らの主張)① 地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づいて独立性が認められる教育委員会の人事に関する処分について,「地方自治体の長(執行機関)は,同処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵の存する場合でない限り,同処分を尊重してその内容に応じた財務会計上の措置を採るべき義務があり,これを拒むことは許されない。」(最高裁判所第3小法廷平成4年12月15日判決・民集46巻9号1753頁)とされている。 ところで,教育委員会に比較してその独立性が弱い議会の長の行為(処分)については,上記教育委員会との関係で示された執行機関の長として行為基準は,より緩やかな基準となると解するのが相当である。 ② 尼崎市議会議長のした本件随行決定が違法であることは,前記主要な争点(1)に関する原告らの主張で記載したとおりであり,同決定には「著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵」があるというべきである。したがって,被告Bは,本件支出命令をしてはならなかったのに,本件随行決定が違法であることを看過して行った違法がある。 ③ 被告Eは,同Bの違法な本件支出命令を阻止すべき指揮監督上の義務があるのに,故意又は過失によりそれを看過した違法がある。 (3) 主要な争点(3)について(被告らの主張)① 被告C及び同Dは,尼崎市議会議長の本件随行決定に基づいてなされた市議会 監督上の義務があるのに,故意又は過失によりそれを看過した違法がある。 (3) 主要な争点(3)について(被告らの主張)① 被告C及び同Dは,尼崎市議会議長の本件随行決定に基づいてなされた市議会事務局長の業務命令によって,本件随行をしたものである。職務命令を受けた職員は,それに服する義務がある(地方公務員法32条1項)ところ,このような場合,命令を受けた職員としては,その命令に一見明白に重大な暇疵が存し,違法性が明らかに認められる等の特段の事由がない限り,命令に応じるべきものである。 ② 本件においては,市議会事務局長の旅行命令には,一見明白で,重大な暇疵が存し,違法性が明らかに認められる等の特段の事由はなかった。したがって,被告Cらは,本件随行決定に基づいて本件随行をしなければならなかった。 ③ そうすると,被告C及び同Dは,本件随行費用を不当に利得したことにはならない。 (原告らの主張)① 本件随行費用として,被告Cは38万2935円,同Dは37万2935円それぞれ受領している。 ② 上記費用の支出は,前記主要な争点(1)に関する原告らの主張で記載したとおり違法である。したがって,同被告らには,その受領した費用を保持すべき正当な権限はなく,不当に同受領費用を利得している。 第3 当裁判所の判断 1 主要な争点(1)①について(1) 原告らは,議会事務局職員が随行できる議員の行政視察は,新取扱要領に定められた常任委員会及び法に基づかない委員会の行政視察等に限定される旨主張する。そこで,まず,この点について検討する。 (2) 前提事実及び証拠(乙2)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ① 普通地方公共団体の議会ないし議員の活動は,極めて多岐にわたっており,尼崎市議会においては,旧取扱要領設定以前から議長の裁量権に基づき, 2)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ① 普通地方公共団体の議会ないし議員の活動は,極めて多岐にわたっており,尼崎市議会においては,旧取扱要領設定以前から議長の裁量権に基づき,議長の決裁を経て,以下のような議員の活動に職員を随行させてきた。 a 常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会の視察並びに政府関係機関等への陳情活動b 全国市議会議長会等の議長会組織が実施する事案等を通じて行う活動c 姉妹都市,友好都市等への交流活動② 尼崎市は,鞍山市との交流を重ね,昭和58年2月2日,同市との間で友好都市提携を成立させ,その後も交流を重ねているところ,尼崎市議会においても,鞍山市との交流を重ね,以下のとおり同市に市議会議員を派遣し,その際,議会事務局職員を随行させた(乙2)。 記目的期間・旅行地a 友好都市提携推進昭和56年4月19日~同月27日鞍山・北京・瀋陽・上海b 友好都市提携答礼昭和58年8月31日~翌9月9日鞍山・北京・瀋陽・上海・蘇州c 友好都市提携5周年昭和63年4月18日~同月27日鞍山・北京・瀋陽・杭州・上海d 友好都市提携10周年平成4年4月18日~同月27日鞍山・北京・広州・桂林・上海e 友好都市提携15周年平成9年10月7日~同月12日鞍山・北京・上海・大連(3) そして,証拠(甲3ないし9〔枝番を含む〕,甲10〔一部〕,乙1ないし3,乙13ないし16,乙18ないし25,証人I〔一部〕,被告C)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ① 取扱要領は,前示第2の2の前提事実(5)のとおり尼崎市議会議員の不正出張事件を契機として いし16,乙18ないし25,証人I〔一部〕,被告C)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ① 取扱要領は,前示第2の2の前提事実(5)のとおり尼崎市議会議員の不正出張事件を契機として,それに対する反省に立ってその再発を防止するため制定された。 ② しかし,旧取扱要領(乙18)は,市議会の行政視察等に関して,不正出張問題に関連する市議会常任委員会の委員会活動視察,行政視察,上京陳情に限定して定められ,新取扱要領(甲3)では,最も問題とされていた常任委員会の委員活動視察が廃止された。その結果,常任委員会の行政視察と上京陳情に関する事項だけが規定された。新旧の取扱要領とも,その内容は,常任委員会での議員出張に関するものであって,それ以外の視察を一切許されないことを前提とするものではなかった。 ③ しかも,取扱要領は,議会内の単なる申し合わせ事項に過ぎず,事実上議長の裁量権行使の指針となるものであるが,法的拘束力を持つものではない。 ④ そのうえ,尼崎市も含めて普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議決機関としてその機能を果たすため広範な権能を有しているところ,その構成員たる議員の活動もその職責を果たすため広範囲に及ぶもので,必ずしも常任委員会での活動だけでなく,それ以外にも及ぶものである。尼崎市と友好関係にある友好都市の議会や執行機関等との交流もその主要な職責の1つである。 ⑤ 現に,取扱要領制定後も取扱要領には定められていないが,日中友好議員連盟による訪中や尼崎市議会代表団の訪中には,交流活動を円滑ならしめるため,議会事務局職員を随行させてきた。 ⑥ 更に,本件訪中後である平成11年6月1日に制定された「尼崎市議会議員の視察などに係る議会事務局職員の随行実施要項」(甲4の1)には,上記(2)①の趣旨を確認するため,日中 員を随行させてきた。 ⑥ 更に,本件訪中後である平成11年6月1日に制定された「尼崎市議会議員の視察などに係る議会事務局職員の随行実施要項」(甲4の1)には,上記(2)①の趣旨を確認するため,日中友好議員連盟による交流活動について,事務局職員が随行できる旨明記されている(甲4の1-第1,第2(5))。 (4) 以上の(3)の①ないし⑥の事実からすると,議会事務局職員が随行できる行政視察は,取扱要領に定められた行政視察等に必ずしも限られるわけでないと解するのを相当とする。 そうすると,原告らの前記(1)の主張は理由がない。もっとも,議会事務局職員の随行が無限定に認められるわけでなく,それが認められるためには,議員の行政視察,例えば,姉妹都市・友好都市との交流活動等に合理性(公務性,必要性,相当性)があり,しかも,その際の事務局職員の随行について,公務として随行する合理性(必要性・相当性)がなければならないと解する。 2 主要な争点(1)②,(2)について(1)① 被告らは,議長の決定に伴う経費の支出について,普通地方公共団体の長(執行機関)と議会との関係から,その支出の決定権者は,議長の決定が一見明らかに不存在であるとか,これに重大かつ明白な瑕疵が存するものと認められる場合など特段の事由のない限り,その支出に応じなければならないというべきで,本件支出命令の違法判断については,その判断枠組みに応じて判断すべきである旨主張する。 ② ところで,普通地方公共団体の長は,予算の執行権を有し(地方自治法149条2項),当該普通地方公共団体に対して予算の適正執行を確保すべき義務を負っている。しかし,執行機関の長としての普通地方公共団体の長(同法148条)と議決機関としての議会(同法96条)は相互に独立し,執行機関の長としての普通地方公共団体の長は, 執行を確保すべき義務を負っている。しかし,執行機関の長としての普通地方公共団体の長(同法148条)と議決機関としての議会(同法96条)は相互に独立し,執行機関の長としての普通地方公共団体の長は,議会を指揮監督する権限を有していない以上,普通地方公共団体の長ないしその権限の委任を受けて専決権者として支出決定権を持つ者は,議会ないし議長の支出を伴う決定については,被告らの主張する上記判断基準でなく,同決定が著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正を確保する趣旨から看過できない瑕疵が存する場合でない限り,同決定を尊重しその内容に応じた財務会計上の措置を採るべき義務があり,これを拒むことは許されないと解するのが相当である(最高裁判所第3小法廷平成4年12月15日判決・民集46巻9号2753頁)。 (2) これを本件についてみるに,証拠(乙1ないし5,乙12の2,乙19ないし25,被告C)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ① 議会事務局には,事務局長,事務局次長のほか25名の職員がおかれており,議長の命を受け議会の庶務を処理している。その事務は,本会議や委員会等の議会自体の事務のみならず,議長,副議長の活動に伴う秘書業務や議員個人の調査活動等にまで広く議会及び議員に関する事務全般に及んでいる。 たとえば,議員は,議員が行なう議員立法や立案に関する調査,情報収集,原案作成等について,議員としての職務に関する事項であるかぎり,事務局職員の補助を受けることができ,事務局職員は,これを職務として行なわなければならない。 そして,日中友好議員連盟,日朝友好促進議員連盟,日韓親善議員連盟に関する事務も,議員としての職務に関するものとして,議会事務局の事務とされてきた。 ② 市議会ないし日中友好議員連盟による鞍山市への議員の派遣は,昭和56 連盟,日朝友好促進議員連盟,日韓親善議員連盟に関する事務も,議員としての職務に関するものとして,議会事務局の事務とされてきた。 ② 市議会ないし日中友好議員連盟による鞍山市への議員の派遣は,昭和56年4月から本件訪中団まで7回(そのうち,日中友好議員連盟主催のものは2回,その他のものは市議会主催で,日中友好議員連盟主催のものは,いずれも議員の私費で賄われ,市議会主催のものは全て公費で賄われている。)行われてきたが,これまでも本件訪中団と同様,事務局職員が特に問題とされることもなくその随行をしてきた。なお,これまでの議員の訪中においても,友好都市である鞍山市の他,北京市,上海市,蘇州,杭州市,桂林などを訪れている。 ③ 尼崎市議会を代表して議会代表団が友好都市提携15周年を記念して平成9年10月に鞍山市を訪れた際,鞍山市長などから日中友好議員連盟として平成10年度に訪中をするよう強く要請された。日中友好議員連盟は,それに応じて,鞍山市との友好を重ねるため訪中団を派遣することを決め,鞍山市と連絡をとったところ,1998年(平成10年)8月19日付け書翰で,鞍山市人民代表大会常務委員会主任及び鞍山市長から,鞍山市と尼崎市との友好都市提携15周年を記念して,同年10月上旬から7日間の友好訪問の招待を受けた(乙12の1・2)。 ④ 上記招待に応じて日中友好議員連盟に所属する議員らによって本件訪中団が結成され,本件訪中団の訪中が実施された。本件訪中旅行の日程(平成10年10月7日~12日まで)は,以下のとおりであった。 日宿泊地日程7日鞍山市鞍山市人民代表大会表敬訪問鞍山市人民代表大会歓迎会8日鞍山市午前鞍山市人民政府表敬訪問玉仏院視察台安県新開河 市鞍山市人民代表大会表敬訪問鞍山市人民代表大会歓迎会8日鞍山市午前鞍山市人民政府表敬訪問玉仏院視察台安県新開河鎮人民政府表敬訪問午後台安県新開河鎮新開初級中学校訪問(学費補助金寄附)鞍山市人民政府歓迎会9日鞍山市午前千山風致区見学東鞍山鉄鉱山露天掘り見学鞍山市党委員会表敬訪問午後鞍山市日本語学校訪問訪中団主催答礼式10日西安市午後西安市内視察(兵馬俑博物館,秦始皇帝陵,華清池)11日午前西安市内視察(西安城,大雁塔など)北京市12日午前北京市内視察(天安門,故宮博物院)⑤ 本件訪中団の活動には,その訪中の全期間,鞍山市人民政府外事弁公室処長Xが,また,鞍山市滞在中の4日間は,鞍山市人民代表大会副主任のYがそれぞれ随行した(乙5)。 ⑥ 尼崎市議会議長,同事務局長は,被告Gらの本件訪中団への随行を復命するに当たっては,随行業務の他,尼崎市職員として国際的な視野を広げ,職務能力を高める海外研修としての趣旨をもつものとして,被告Gらに研修として北京市・西安市のまちづくりについて視察を行うことを復命している(乙7,8)。 上記復命に当たって,研修の具体的視点として,今後の尼崎市のまちづくりに活かすため,a歴史博物館の構想があるために兵馬俑博物館,故宮博物院,b中国にちなんだ公園整備に活かすために華清地,c国際的な視野を広めるために天安門広場の各視察を命じている(乙5)。 被告Cらは,上記研修目的の復命に応じて,北京市,西安市においては上記のとおり兵馬俑博物館,故宮博物院,華清地,天 めに華清地,c国際的な視野を広めるために天安門広場の各視察を命じている(乙5)。 被告Cらは,上記研修目的の復命に応じて,北京市,西安市においては上記のとおり兵馬俑博物館,故宮博物院,華清地,天安門広場の視察をそれぞれしている。 日中友好議員連盟ないし被告Cらは,本件訪中団の西安市,北京市を含めた全日程について,西安市,北京市での視察した内容など,相当な程度に具体的な内容が記載された報告書を作成している(乙5)。 ⑦ しかし,尼崎市では,本件訪中団の旅行が実施された当時,歴史博物館構想はあったものの何ら具体化していなかったし,また,友好都市がある中国にちなんだ公園整備については,その計画も具体化していなかった。また,被告Cらは,本件訪中旅行後,そこでの研修の成果が具体的な形で尼崎市の活動に活かされたとまでいうことができない。 (3)① 以上認定した事実を踏まえて,被告Bの本件支出命令が違法かどうか判断することとする。 a 本件訪中団の鞍山市滞在中の活動は,前記前提事実(3)③及び第3の2(2)④で認定したとおり,鞍山市の人民代表大会や人民政府,初級中学校などを公式に訪問したり,そこで,尼崎市長,尼崎市議会議長,尼崎市教育委員会委員長のメッセ-ジを伝達したりするなど鞍山市や関係機関との友好を重ねるもので,議会ないし議員の活動として合理性が認められるものであった。 b もっとも,北京市や西安市での訪中団ないし被告Cらの行動は,鞍山市での公的な活動を終えた後の行動であって,そこでは特に公式行事があったわけではなく,そこでの訪問先は主として観光地として有名な兵馬俑博物館,故宮博物院などの名所,旧跡であったことから,問題がないわけでない。 しかし,そこでの本件訪中団の視察も友好都市である鞍山市の職員が随行するものであり,両市での兵馬俑博物館,故 有名な兵馬俑博物館,故宮博物院などの名所,旧跡であったことから,問題がないわけでない。 しかし,そこでの本件訪中団の視察も友好都市である鞍山市の職員が随行するものであり,両市での兵馬俑博物館,故宮博物院などの視察も,それを通して中国の風土,文化に対する理解を深め,国際交流を促進するという側面を一概に否定することができないものであった。 そして,被告C,同Dらは,西安市,北京市での上記訪問に際しても本件訪中団とともに行動し,その随行業務を行なったもので,殊更,個人的に自由な行動をとったわけでなく,私的な観光,遊興目的で行動したものでもなかった。 c 被告Cらは,西安市,北京市への訪問に当たって,本件訪中団に対する随行業務の外,研修目的として市議会議長や同事務局長から北京市,西安市のまちづくりについて視察を行うことの復命を受け,研修の具体的視点として,今後の尼崎市のまちづくりに活かすために,<ア>歴史博物館の構想があるために兵馬俑博物館,故宮博物院,<イ>中国にちなんだ公園整備に活かすために華清地,<ウ>国際的な視野を広めるために天安門広場の視察を命じられ,それに従って兵馬俑博物館,故宮博物院などを視察している。 確かに,同随行の時点では,尼崎市では歴史博物館構想はあったものの何ら具体化していなかったし,また,友好都市がある中国にちなんだ公園整備についても計画が具体化していなかったし,本件訪中団の旅行に随行した後,同被告らの同研修の成果が具体的に尼崎市の活動に活かされたとまではいえない。しかし,西安市及び北京市への訪問を含めた本件訪中団の活動に関して,被告Cらによってその研修目的も踏まえて相当な程度具体的な内容記載のある報告書が作成されているうえ,同研修目的による視察によって,被告Cらは,本件訪中団に対する随行業務を行なう傍ら,尼崎市 関して,被告Cらによってその研修目的も踏まえて相当な程度具体的な内容記載のある報告書が作成されているうえ,同研修目的による視察によって,被告Cらは,本件訪中団に対する随行業務を行なう傍ら,尼崎市の職員として長期的にはその視野を広げるとともに国際感覚を身につけたということも可能であり,同人らの同視察を通して友好都市である鞍山市との友好関係を促進したともいえる。 c 本件随行決定は,これまで特に問題とされることなく行われてきた市議会ないし日中友好議員連盟による鞍山市及びそれに付随する訪問先への議員の派遣と同様に,議会事務局職員にその随行を命ずるもので,鞍山市などへの訪中内容もこれまでのものとそれほど差異なく,北京市,西安市への訪問には,上記のとおり随行目的だけでなく国際的な視野を広げ職務能力を高める趣旨としての職員研修目的も付加されていた。 ② ところで,普通地方公共団体の議会は,当該普通地方公共団体の議決機関として,その裁量により同地方公共団体の費用で議員を国内や海外に派遣することができるが,上記裁量権の行使を逸脱又は濫用があるときは,議会による議員派遣の決定が違法となる(最高裁判所第1小法廷昭和63年3月10日判決・判時1270号73頁,同第3小法廷平成9年9月30日判決・判時1620号50頁参照)。 本件訪中団の議員らの費用は,訪中議員個人及び鞍山市当局が負担しており,尼崎市は負担していない。しかし,上記①の判断に照らせば,仮に,尼崎市議会が全額尼崎市の費用負担で本件訪中団の派遣を決定していたとしても,その決定に裁量権の行使を逸脱又は濫用した違法があるものとは認めらない。 すなわち,本件訪中団の旅行には公務性があり,所定の手続きさえとれば公費支出も許されるものであって,単なる私的な私費旅行とはいえないものであった。 ③ 結局,前記( た違法があるものとは認めらない。 すなわち,本件訪中団の旅行には公務性があり,所定の手続きさえとれば公費支出も許されるものであって,単なる私的な私費旅行とはいえないものであった。 ③ 結局,前記(2)①で認定した尼崎市議会事務局職員の議会の庶務に関する職務内容の下で,上記(3)①②で検討した諸事情を踏まえると,尼崎市議会議長が決定した本件随行決定それ自体には,その相当性,必要性の判断において,裁量権を逸脱・乱用した違法があるということはできず,同随行決定は適法であるといわなければならない。 ④ 被告B(総務課長)は,市議会議長がした費用支出を伴う本件随行決定が著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正を確保する趣旨から看過できない瑕疵が存する場合でない限り,同決定を尊重し,その内容に応じた財務会計上の措置を採るべき義務があり,これを拒むことは許されないところ,本件随行決定には,上記のとおり市議会議長にその裁量判断を逸脱・濫用した違法があると認めることができないことからすると,被告Bの本件支出命令は適法といわなければならない。 ⑤ 次に,被告A(市長)の責任であるが,同Bの本件支出命令が適法である以上,同支出命令が違法であることを前提とする同Aの監督責任について,違法となる余地はない。 ⑥ また,被告C(市議会事務局次長),同D(同庶務課長)の不当利得であるが,同人らは,上記したとおり適法な本件随行決定に基づいて本件訪中団の旅行に随行したことは,前記認定したとおりであって,本件随行費用を不当に利得したとは認められない。 3 結論以上の次第で,原告らの本件請求は,いずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二裁判官中村哲裁判官今井輝幸 告らの本件請求は,いずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二裁判官中村哲裁判官今井輝幸

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