- 1 -主文原判決中,「被告人を罰金7万円に処する。その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。」との部分を破棄する。 本件公訴事実中道路交通法違反の点について公訴を棄却する。 理由 岡山地方裁判所は,平成19年12月4日,「被告人は,第1法定の除外事由がないのに,平成18年8月25日午前11時15分ころ,岡山県倉敷市a山陽自動車道下り線148.4キロポスト付近道路において,自動車検査証に記載された最大積載量1万800キログラムを9770キログラム超える2万570キログラムの廃プラスチック類を積載して大型貨物自動車を運転した。 第2前記日時ころ,業務として前記車両を運転し,前記道路を東から西に向かい時速50ないし60キロメートルで進行するに当たり,進路前方を自車と同方向に進行していたA(当時59歳)運転の普通貨物自動車(軽四)と十分な車間距離を保持し,その動静を注視して進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り,同車と十分な車間距離を保持せず,その動静を注視しないまま漫然上記速度で進行した過失により,折から前車に続いて停止した上記A運転車両を前方約6.6メートルに発見し,急制動の措置を講じたものの間に合わず,自車後部に衝突してきたB運転の普通貨物自動車もろとも進行して,自車前部を上記A運転車両後部に衝突させ,同車を前方に押し出し,同車前部をその前方で停止中のC(当時20歳)運転の普通乗- 2 -用自動車後部に衝突させ,更に同車を前方に押し出し,同車前部をその前方で停止中のD運転の大型貨物自動車後部に衝突させ,更に同車を前方に押し出し,同車前部をその前方で停止中のE(当時27歳)運転の普通乗用自動車後部に順次玉突き追突させ,よって,即時同所において,上記Aを外傷 中のD運転の大型貨物自動車後部に衝突させ,更に同車を前方に押し出し,同車前部をその前方で停止中のE(当時27歳)運転の普通乗用自動車後部に順次玉突き追突させ,よって,即時同所において,上記Aを外傷性くも膜下出血により死亡させるとともに,上記Cに加療221日間を要する右天骨骨折偽関節等の,上記Eに加療約5日間を要する頸椎捻挫等の,同人運転車両に同乗中のF(当時62歳)に加療約3日間を要する左手首打撲の各傷害をそれぞれ負わせた。」との事実を認定した上,上記第1について,道路交通法118条1項2号,57条1項,同法施行令22条2号を適用して罰金刑を選択し,上記第2について,刑法211条1項前段54条1項前段,10条を適用し,犯情の最も重い業務上過失致死罪の刑で処断することとして禁錮刑を選択し,更に関係法令を適用して,「被告人を禁錮1年及び罰金7万円に処する。その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。この裁判確定の日から3年間その禁錮刑の執行を猶予する。」旨の判決を宣告し,同判決は,平成19年12月19日確定した。 しかし,一件記録によると,上記第1の行為は,道路交通法125条1項の反則行為に該当し,被告人が当該反則行為をしたことによって上記第2の交通事故を起こしたとは認められないから,被告人は同条2項の反則者に該当するところ,被告人は,当該反則行為の告知及び反則金納付の通告を受け,平成18年10月13日,同法128条1項に従って反則金を納付していたが,検察官がこれを看過して本件公訴を提起したことが認められる。 以上によれば,上記第1の道路交通法違反の事実については,同法128条2項- 3 -により公訴を提起することが許されないのであるから,刑訴法338条4号により公訴棄却の判決がさ ことが認められる。 以上によれば,上記第1の道路交通法違反の事実については,同法128条2項- 3 -により公訴を提起することが許されないのであるから,刑訴法338条4号により公訴棄却の判決がされるべきであった。これと異なる原判決は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益である。 よって,本件非常上告は理由があるから,刑訴法458条1号,338条4号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官總山哲公判出席(裁判長裁判官甲斐中辰夫裁判官横尾和子裁判官泉徳治裁判官才口千晴裁判官涌井紀夫)
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