令和4(ネ)1542 損害賠償等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和5年5月30日 大阪高等裁判所 破棄自判
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判決文本文40,013 文字)

令和4年第1542号損害賠償等請求控訴事件令和5年5月30日大阪高等裁判所第2民事部判決 主文 1 控訴人A1の本件控訴に基づき、原判決中同人に関する部分を次のとおり変 更する。 ⑴ 被控訴人は、控訴人A1に対し、33万円及びこれに対する平成30年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 控訴人A1のその余の請求をいずれも棄却する。 2 その余の控訴人らの本件各控訴をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、第1・2審を通じて、控訴人A1に生じた費用の20分の1を被控訴人の負担とし、その余は控訴人らの負担とする。 4 この判決は、主文第1項⑴に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は、控訴人A1に対し、660万円及びこれに対する平成30年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被控訴人は、控訴人A2に対し、220万円及びこれに対する平成30年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被控訴人は、控訴人A3に対し、110万円及びこれに対する平成30年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被控訴人は、控訴人A4に対し、110万円及びこれに対する平成30年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 被控訴人は、原判決別表1記載のツイートをすべて削除せよ。 7 被控訴人は、原判決別紙ツイート目録記載の文章を、本判決確定の日から6 か月間、固定ツイートとして自らのツイッター上に掲載せよ。 第2 事案の概要 ートをすべて削除せよ。 7 被控訴人は、原判決別紙ツイート目録記載の文章を、本判決確定の日から6 か月間、固定ツイートとして自らのツイッター上に掲載せよ。 第2 事案の概要 1 事案の骨子本件は、大学教授等である控訴人ら(原審原告ら)が、国会議員である被控訴人(原審被告)に対し、被控訴人がSNSであるツイッターやインターネッ トテレビ等の各種媒体においてした投稿や発言など(以下「発言等」という。)により、名誉を毀損され又は名誉感情を害されたと主張して、民法709条に基づく損害賠償請求として、それぞれ慰謝料及び弁護士費用相当額(控訴人A1につき合計660万円、控訴人A2につき合計220万円、控訴人A3につき合計110万円、控訴人A4につき合計110万円)並びにこれらに対する 最後の不法行為の日(平成30年7月18日)から支払済みまで民法(平成29年法律第44号附則17条3項によりなお従前の例によることとされる場合における同法による改正前のもの。以下「旧民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、民法723条に基づく名誉回復請求としてツイッターにおける投稿の削除及び謝罪文の掲載を求める事案 である。 原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却した。 これに対し、控訴人らが控訴した。 2 前提事実及び争点等前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張の概要は、次のとおり補正す るほかは、原判決「事実及び理由」第2の1(原判決2頁24行目から23頁26行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。なお、引用文中を含め、本判決の判決文中「別表」とあるのは、いずれも原判決の別表を指す(以下同じ。)。 ⑴ 3頁1行目の「後記発言等がされた頃 26行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。なお、引用文中を含め、本判決の判決文中「別表」とあるのは、いずれも原判決の別表を指す(以下同じ。)。 ⑴ 3頁1行目の「後記発言等がされた頃」を「後記⑹の発言等がされた頃(平 成30年3月頃から6月頃まで)」と改める。 ⑵ 4頁4行目の「推移していた」を「推移し、新規応募に対する採択率は28%程度となっていた」と、25行目の「公開されている」を「公開され、研究者コミュニティーや配分機関による評価を受けることになる」と、それぞれ改め、25・26行目の「争いのない事実」の次に「、甲15・本文22頁」を加える。 ⑶ 5頁3行目の「原告ら外3名は」の次に「、平成25年10月」を加え、13行目の「②フェミニズム的平等論の精緻化」を「②フェミニズム的平等論とより包摂的なメンバーシップ論の精緻化」と、14行目の「ウエブサイト運営のノウハウ等を活用して」を「WAN(ウィメンズ・アクション・ネットワーク)サイト運営で培ったノウハウ等を活用して、①の知見を日本の 女性運動に活かし、②のジェンダー的正義の理論を基盤として」と、16・17行目の「応募されたものであった(甲18・3、4頁)」を「科研費に応募したものであった。本件研究の研究計画調書(甲18)には、控訴人ら外3名の応募者たちは、フェミニズム・ジェンダー研究の十分な蓄積を持ち、性暴力・女性労働・マイノリティ女性問題等々の運動を実践的に行ってきた 上、WANサイトの運営に関わる中でインターネット運用のノウハウを学んでおり、本件研究は、こうした実績に基づいて、これまで不十分であった日本のジェンダー研究と女性運動の連携をネットの活用で作り出す点で独創的な研究であること、研究計画・方法は、①「ジェンダー規範 学んでおり、本件研究は、こうした実績に基づいて、これまで不十分であった日本のジェンダー研究と女性運動の連携をネットの活用で作り出す点で独創的な研究であること、研究計画・方法は、①「ジェンダー規範の厳しい諸国での構造変換の諸要因の研究(調査研究)」については、諸外国を訪問調査する こと、②「フェミニズム的平等論とより包摂的なメンバーシップ論の精緻化(文献研究)」については、研究会を行うほか、諸学会・運動組織との研究成果の共有のため、シンポジウムやワークショップを開催すること、③「ジェンダー研究を真のジェンダー平等実現へつなげていく実践知の確立(実践活動)」については、ジェンダー平等社会の実現のために効果的な情報発信とネ ットワーキングを行うためのフェミニストアクションリサーチを全員で行う こと、29年度(最終年度)には、4年間・三つのサブテーマにわたって積み重ねてきた知見を総合する最終シンポジウム及びワークショップを行い、1年目以来行っている女性運動団体・学会に対するフェミニストアクションリサーチの成果を生かし、日本社会がめざすべきジェンダー的正義の実現される社会像を共有するとともに、各地の女性運動活動家・研究者・地方自治 および国政に携わる女性議員たちのオンライン参加とディスカッションを可能にし、本件研究がめざしてきた女性運動のネットワーキングの成果を実現することなどが記載されていた。なお、研究課題、研究目的、研究計画・方法に関し、慰安婦関連の記載はされていない(甲18・3~7頁)」と、それぞれ改め、18行目の「甲17」の次に「。以下「本件図書」という。」を加 える。 ⑷ 6頁3行目の「A1』」を「A1』」」と、13行目の「注目するなどとされていた」を「注目し、「怒り方のレシピ」を共有したいな 17」の次に「。以下「本件図書」という。」を加 える。 ⑷ 6頁3行目の「A1』」を「A1』」」と、13行目の「注目するなどとされていた」を「注目し、「怒り方のレシピ」を共有したいなどと記載されていた」と、それぞれ改め、18行目の「開催した」の次に「(甲3、4の1、弁論の全趣旨)」を加える。 ⑸ 8頁5行目末尾に次のとおり加える。 「本件図書の刊行控訴人らは、本件研究の最終年度末である平成30年3月、研究成果のまとめとして、「架橋するフェミニズム-歴史・性・暴力」(本件図書)を刊行した。本件図書は、全8章125頁からなり、慰安婦問題や性と暴力 の問題、それにとりくむ女性たちの運動について論じられており、うち3章は慰安婦問題を中心とするもの(第1章「なぜ「慰安婦」はこれほどバッシングされるのか」(控訴人A1執筆)、第7章「日本軍戦時性暴力/性奴隷制問題との出会い方」(乙執筆)、第8章「道徳的責任とはなにか」(控訴人A2執筆))であった(甲17、乙2)。 例えば、本件図書の第1 章(控訴人A1執筆)には、我が国においては、 平成5年(1993年)のZ談話(当時のZ官房長官が、慰安所設置及び慰安婦の募集に軍の関与が直接・間接にあったこと、慰安所の女性たちの生活は強制的な状況下にあり痛ましいものであったことを認め、心身に癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げるなどと述べたもの)及び平成7年(1995年)の法的責任を 認めず国家賠償をしないという前提の「女性のためのアジア平和国民基金」の創設の後、慰安婦問題を否定する動きが強まり、平成19年(2007年)には、Z談話にいたる政府の調査において軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記 提の「女性のためのアジア平和国民基金」の創設の後、慰安婦問題を否定する動きが強まり、平成19年(2007年)には、Z談話にいたる政府の調査において軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったとする閣議決定がされたり、N氏ら有力なジャーナリストや国会議員らによりワシントン・ポスト 紙に、彼女たちは性奴隷などではないとする意見広告が掲載されたりしたこと、そのような中で、平成27年(2015年)12月に慰安婦問題の最終的で不可逆的な解決であるとする「日韓合意」がされた一方、平成28年(2016年)1月には、国会で甲首相が、奴隷制は事実ではないと答弁し、同年2月には、前記のとおり、日本国外務審議官が、本件見解を 述べていたことなど一連の経緯を踏まえ、慰安婦に関する理解や認識が後退したのはなぜかという問題意識の下、慰安婦バッシングの背後には売春婦に対する差別意識の存在があること、経済的社会的力関係の下での「合意」による性交渉は、性交の強制と捉えることができること、慰安婦バッシングは民族差別的要素や排外的かつ盲目的な愛国心だけではなく、売春 婦であった女性らが、男性優位的な日本社会のジェンダー秩序に異を唱え、揺るがそうとすることに対する怒り等が背景にある等といった考察が示されている。本件図書の第7章(乙執筆)は、中国における日本軍戦時性暴力被害者の支援活動を行う若い女性らとのインタビューを通じ、支援活動を「反日」「ナショナリズム」といった言葉や抽象的な概念ではなく、個別 具体的にみる必要性について論じており、第8章(控訴人A2執筆)では、 米国のフェミニスト倫理学者であるマーガレット・ウォーカーの道徳の捉え方(表出=協調モデル)や「道徳的修復」の考え方を援用し、女性のためのアジア平和国 おり、第8章(控訴人A2執筆)では、 米国のフェミニスト倫理学者であるマーガレット・ウォーカーの道徳の捉え方(表出=協調モデル)や「道徳的修復」の考え方を援用し、女性のためのアジア平和国民基金や日韓合意は、過去の犯罪を認め、真摯に正義を遂行する、被害者の求めに応ずる、という修復的プロセスの失敗例であり、慰安婦問題の本質が性奴隷制にあると認めない限り、金銭的な支払は侮蔑 的な意味を帯びるといった見解が紹介されている。」⑹ 9頁15行目の「被告は」から17行目末尾までを次のとおり改める。 「 被控訴人は、平成30年2月26日、国会の予算委員会第四分科会において、産経新聞の前記記事を配布した上で、科研費という名目でかなりの金額が交付されているようである、今、慰安婦問題の次に徴用工問題というのが 反日のプロパガンダとして世界にばらまかれている中で、日本の科研費で研究者がその韓国の人たちと手を組んでやっているというのは問題ではないかという観点から、科研費の支出対象の審査や審査委員の公表等について質疑を行った(乙4)。 被控訴人は、もともと、自身のツイッターにおいて、女性が今のように活 躍することができるようになったのは、フェミニストのおかげではなく、きちんと仕事をした先輩女性たちのおかげだと思う、ジェンダーギャップ指数が上位なら女性が幸せになれるのか、外国の指標に左右されず日本女性が幸せであればいいのではないか、慰安婦問題に関して強制連行の証拠はなく、性奴隷は事実に反する、慰安婦=性奴隷というのは嘘であるなどという見解 を表明していた(甲34)。また、被控訴人は、従前から、国会においても、性差や男女の区別を否定し日本の文化とか伝統を壊してでも男女平等にしなさいというのには反対である、女性が輝けなくなった を表明していた(甲34)。また、被控訴人は、従前から、国会においても、性差や男女の区別を否定し日本の文化とか伝統を壊してでも男女平等にしなさいというのには反対である、女性が輝けなくなったのは、男女共同参画の名のもと、伝統や慣習を破壊するナンセンスな男女平等を目指してきたことに起因する、甲総理は、結婚や家族の価値を認めないジェンダーフリーは 文化の破壊につながるとも発言しているなどと述べていた(甲50~55)。」 ⑺ 9頁23行目末尾に「これらの発言等は、同年3月16日(別表3番号1)から同年6月7日(別表4番号2。公開は同年7月18日)までの間、以下の複数のメディア上で並行して行われたものである。」を加え、24行目の「ツイッターおける」を「被控訴人のツイッターにおける」と改める。 ⑻ 13頁7行目末尾に改行の上「エ仮に被控訴人の発言等が名誉毀損には 当たらないとしても、被控訴人の別表1番号6、別表3番号1の1・1の2・2の1、別表4番号2の発言等は、控訴人らを侮辱して名誉感情を害するものであり、不法行為に当たる。」を加える。 ⑼ 17頁20行目の「事実は指摘し」を「事実を指摘し」と改める。 ⑽ 18頁12行目の「科研」を「科研費」と改める。 ⑾ 19頁22・23行目の「どうかは」を「どうかを判断するのは」と改める。 ⑿ 21頁18行目の「政治活動ではない」を「政治活動である」と改める。 ⒀ 23頁3行目の「(ツイート」」を「(ツイート)」と、4行目の「(リツイート」」を「(リツイート)」と、それぞれ改める。 3 控訴人らの当審における主張の骨子⑴ 別表1についてア番号1及び2「『慰安婦問題は#MeTooだ!』に科研費を使うのは問題だ」というツイ ツイート)」と、それぞれ改める。 3 控訴人らの当審における主張の骨子⑴ 別表1についてア番号1及び2「『慰安婦問題は#MeTooだ!』に科研費を使うのは問題だ」というツイートは意見ではなく、本件動画への科研費支出が不正支出であるとい う事実摘示であるから、控訴人らの社会的評価を下げるものである。 イ番号3フェミニズムとは、女性の権利獲得を目指す運動又は思想であり、フェミニズムの立場にたったジェンダー研究をフェミニズム・ジェンダー研究といい、その内容は明確である。被控訴人は、本件シンポジウムがフェミ ニズム研究と無関係なイベントであり、それに科研費を支出し、控訴人ら が政治活動をしているという事実を摘示し、控訴人らの社会的評価を低下させたものである。なお、本件シンポジウムがフェミニズム研究に関係するイベントであることは証拠によって証明可能な事実である。 ウ番号4及び5被控訴人は、控訴人らがフェミニズム研究という名目で、それとは無関 係なイベントを行い、科研費を活動家支援に不正流用しているという事実を摘示しているから、事実の摘示により、控訴人らの社会的評価を低下させたものである。控訴人らが開催した本件シンポジウムが研究であるか否か、研究でないものに科研費を支出しているかどうかは、証拠をもってその存否を決することができるのであり、意見論評ではない。仮に意見論評 だとしても、フェミニズム研究と無関係なイベントを開催した事実や、活動家支援という事実もないから、前提となる事実は主要な部分で真実ではない。 さらに、控訴人らに対し、フェミニズム研究ではないものを無理矢理こじつけているとか、活動家支援に科研費を不正に流用しているという投稿 は 提となる事実は主要な部分で真実ではない。 さらに、控訴人らに対し、フェミニズム研究ではないものを無理矢理こじつけているとか、活動家支援に科研費を不正に流用しているという投稿 は、意見論評の域を超え、研究者としての控訴人らに対する人身攻撃に及ぶものである。 エ番号6被控訴人は、本件ワークショップが、卑猥で社会の健全な性道徳に違背し許されないものであるという事実を間接的に摘示している。イベントが 卑猥なものであるかどうかは、証拠をもってその存否を決することが可能であるから、被控訴人は、このような間接的な事実の摘示により、控訴人らの研究者としての品性、信用という社会的評価を低下させたものである。 仮に、名誉毀損が成立しないとしても、被控訴人は、「放送禁止用語を連発する」「見たこともない」「信じられない」等の表現によって、控訴人ら の科研費研究であるイベントが卑猥なものであることを強く印象付け、控 訴人らの名誉感情を傷つけたのであるから、侮辱に該当する。 オ番号7から9まで被控訴人は、控訴人らの研究がねつ造であるという事実を摘示し、控訴人らの社会的評価を低下させたものである。被控訴人が「強制連行の有無が核心的な問題である」という立場に立っていることは、「控訴人らの研究 がねつ造である」という事実摘示を否定する理由にはならない。誹謗中傷の対象は、控訴人らの研究であって、控訴人A1が「何が『捏造』なんですか?」とツイートしたのは、反語にすぎない。番号7の投稿は、控訴人A1に対し、反日活動に税金を使うなと要求しているのであるから、その前提として、控訴人らが科研費を反日活動に支出しているという事実を間 接的に摘示するものである(なお、国益と反日とは 、控訴人A1に対し、反日活動に税金を使うなと要求しているのであるから、その前提として、控訴人らが科研費を反日活動に支出しているという事実を間 接的に摘示するものである(なお、国益と反日とは全く意味が異なるものである。)。なお、番号7 は、番号8 及び番号9と比較し、リツイート数が多く、番号8及び番号9とは独立のものとして検討すべきであり、番号7を単独で読めば、被控訴人が「ねつ造」であると述べているのは、本件動画に対するものであることは明らかである。 「慰安婦問題は女性の人権問題ではありません。」という被控訴人のツイートは、本件見解においても慰安婦問題が当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であることは認めていること、司法判断においても慰安婦の被害の実態が認定されていること、学会においても慰安婦問題が女性の人権問題であることは通説であることに照らすと、事実に 反するものであることが明らかである。 カ番号10番号10は、控訴人A1が都合の悪いこと(科研費の不正使用)をしているという事実を摘示したものである。このことは、番号10の投稿の読者のリプライの内容をみれば明らかである。 キ番号11及び12 番号11及び12についても、読者のリプライをみれば、1750万円を使い4年間をかけた本件研究の研究成果が、本件動画のみであるという事実を摘示したものであることは明らかである。読者のリプライは、全員ではなくても、一定数の者が同様のリプライをしている場合には、一般読者基準を満たすというべきである。 ⑵ 別表2についてア番号1被控訴人が、本件研究の集大成と述べたのは①本件動画であり、視聴回数が「ほんの数回程度」と述べたのは②「 は、一般読者基準を満たすというべきである。 ⑵ 別表2についてア番号1被控訴人が、本件研究の集大成と述べたのは①本件動画であり、視聴回数が「ほんの数回程度」と述べたのは②「チュートリアルサイト」(初心者用の動画作成解説動画)である。原判決は、②については社会的評価を低 下させるものではないと判断しているから違法性阻却事由を論ずる必要がなく、①については、社会的評価を低下させるものであるか否かを判断していないにもかかわらず、違法性阻却事由を判断しており、非論理的である。 また、①の本件動画は、本件研究の成果の一つにすぎず、これが集大成 であるというのは真実ではない。控訴人らは、科研費で、ウイメンズ・アクション・ネットワークを立ち上げたことはなく、1755万円全額を②の動画作成に充てた事実もないから、真実性の要件を満たさない。被控訴人は、「とんでもない研究」と述べているから、誹謗中傷目的であって、「公益目的」もない。「とんでもない研究」とは、研究者である控訴人らの研究 内容や水準を全否定するものであるから、人身攻撃に及ぶものであって、意見・論評としての域を逸脱している。 イ番号2被控訴人は、本件シンポジウムがフェミニズム研究と無関係であるという事実を摘示している(無関係であるかどうかは、パネリストの発言内容 を含むシンポジウムの内容によって判断することができるから、証拠をも ってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項である。)。真実性の証明の対象も、「本件シンポジウムがフェミニズム研究と無関係であること」であって、登壇者の属性や謝金の支払の事実ではない。 ウ番号3「結論ありき」という表現は、控訴人らの社会的評価を低下さ 「本件シンポジウムがフェミニズム研究と無関係であること」であって、登壇者の属性や謝金の支払の事実ではない。 ウ番号3「結論ありき」という表現は、控訴人らの社会的評価を低下させる事実 の摘示である。また、被控訴人は、控訴人らが「研究」ではない活動(=政治活動)に科研費を支出しているとの事実摘示をしている。しかし、控訴人らの行っているのは研究者としての「研究」であり、社会活動(研究内容・研究成果を社会に還元したり、発信したりして、社会に貢献する活動)ではあり得るが、政治活動ではない。また、控訴人らは、社会活動を 行うことに重点を置いているのではなく、歴史的にフェミニズム・ジェンダー研究と社会活動とが車の両輪として発展してきたことから、研究と運動の相互作用に注目しているのである。 ⑶ 別表3についてア番号1の1 被控訴人は、意図的な発言と仕草表情により、本件ワークショップが卑猥な内容であるとの事実を摘示し、控訴人らの社会的評価を低下させた。 仮に、被控訴人の言動が控訴人らの客観的な社会的評価を低下させるものでなかったとしても、被控訴人は、控訴人らが卑猥な言葉を連発して研究をしているとして嘲笑を繰り返しており、社会通念上許容される限度を超 えて、控訴人らの名誉感情を傷つけたから、侮辱にあたる。 イ番号1の2被控訴人は、身振りを交えながら、嘲笑し、繰り返し強調するなどし、明らかに控訴人らの名誉感情を傷つけている。 ウ番号1の3 被控訴人の批判は、その前提として、科研費を使った研究論文は本来無 料公開されているはずであるという前提事実を含んでいる。 エ番号2の1被控訴人は、出席者全員で控訴人 被控訴人の批判は、その前提として、科研費を使った研究論文は本来無 料公開されているはずであるという前提事実を含んでいる。 エ番号2の1被控訴人は、出席者全員で控訴人らの研究を笑いものにしているのであるから、研究者である控訴人らの名誉感情を害する嘲笑であり、侮辱である。 オ番号2の2被控訴人の発言を一般視聴者の注意と視聴の仕方を基準としてみれば、被控訴人は、研究と活動を両立し得ないものと捉えた上で、本件シンポジウムは研究ではなく、活動(反政府、政治活動)であると断じており、本件研究が科研費で行われている旨の指摘と併せれば、控訴人らが科研費を 活動に流用して不正に使用しているという控訴人らの社会的評価を低下させる事実摘示をしているというべきである(控訴人らは、研究と運動の相互作用に着目した研究を行っているのであって、社会活動を行うことを重要視しているわけではないことは前記のとおりである。)。控訴人らが、科研費で行っているのは、純粋な学術研究である。研究者である控訴人らを 活動家の範疇と理解して「活動家の。」等と述べること自体が、控訴人らの社会的評価を低下させる事実摘示である。 カ番号2の3被控訴人は、「ずさんな経理」の主体が控訴人A1であるという事実を黙示的に摘示している。仮に、意見・論評であったとしても、控訴人らの科 研費の経理を「ずさん」であると指摘することは、研究者としての控訴人らの社会的評価を低下させるものである。被控訴人は、「歴史戦」を戦うために本件研究を標的にしたものであるから、「公益目的」によるとはいえない。また、真実性の証明の対象となる重要な前提事実は、研究期間終了後に本件動画に科研費を支出しているという事実であり、これ 戦うために本件研究を標的にしたものであるから、「公益目的」によるとはいえない。また、真実性の証明の対象となる重要な前提事実は、研究期間終了後に本件動画に科研費を支出しているという事実であり、これは真実ではな い。 キ番号3の1一般の視聴者の注意と視聴の仕方を基準とすると、被控訴人の発言は、控訴人らの研究は税金を使うに値しないのに科研費が支出されているとの印象を与えて控訴人らの研究者としての社会的評価を低下させる事実を摘示している。原判決は、社会的評価が低下したかどうかを検討することな く、違法性阻却事由の有無について判断している上、意見・論評の域を逸脱しているか否かという要件のみを検討しただけで、違法性阻却事由の他の要件を検討することなく違法性を欠くと判断しており、名誉毀損の判断の順序・方法を誤っている。 ク番号3の2と4 被控訴人は、科研費の助成期間が終了してから本件動画の制作に科研費を支出しており、期間を超えて不正に使用しているという事実を摘示している。仮にこれが意見・論評だったとしても、研究者としての控訴人らの社会的評価を低下させるものである。真実性の対象となるのは、助成期間終了後にショートムービーの制作に科研費を支出したことであり、これは 真実ではないから、違法性は阻却されない。 ケ番号3の3と5被控訴人は、控訴人A2が根拠を示すことなく慰安所制度を性奴隷制と結論付けており、論証もなしに論文を書き、研究者としての資質に欠けるという事実を摘示している。仮に意見・論評であったとしても、研究者と しての控訴人A2の社会的評価を低下させるものである。 コ番号3の3の6被控訴人の発言は、控訴人A1の研究が 事実を摘示している。仮に意見・論評であったとしても、研究者と しての控訴人A2の社会的評価を低下させるものである。 コ番号3の3の6被控訴人の発言は、控訴人A1の研究が、研究ではなく、研究者としての資質に欠ける、そのようなものに研究費を無駄遣いしているという事実を摘示するものである。仮に、意見・論評であったとしても、研究者とし ての控訴人A1の社会的評価を低下させるものである。 ⑷ 別表4についてア番号1被控訴人が出演するインターネットの番組を視聴する人の多くは、被控訴人の発言に関心を持ち、かつ、インターネットを情報収集に積極的に活用し、被控訴人のツイッターや他の出演番組を視聴している可能性が高い。 したがって、被控訴人の出演するインターネット番組の一般の視聴者の注意と視聴の仕方によれば、被控訴人の「反日」という言葉は、「嘘や事実に反することを海外、世界中に発信する人で、国益を損なう人のことであると理解することは明らかである。また、被控訴人の発言は、控訴人A2について、科研費を不正に取得しているという事実を摘示するものである。 イ番号2「私のアソコには呼び名がない」に関する被控訴人の言動は、その言葉の上でも、仕草・表情などのボディランゲージの上でも、控訴人らの研究が卑猥なものであるという印象を与えるものであるから、控訴人らの社会的評価を低下させるものである。なお、被控訴人の言動は、別表1番号6、 別表3番号1の1の発言と同様、控訴人らの名誉感情を害するものであり、侮辱に該当する。また「結論ありきに自分の意見を言うだけであれば、別に研究費って要らないじゃないですか。」という発言は、学術研究や政策等に関して議論するに際してされたものではなく、研究とはいえ り、侮辱に該当する。また「結論ありきに自分の意見を言うだけであれば、別に研究費って要らないじゃないですか。」という発言は、学術研究や政策等に関して議論するに際してされたものではなく、研究とはいえない旨の事実を摘示したものと解するほかはない。 「二重取り」だという聴衆の発言に被控訴人が同意する発言については、科研費の仕組みがどうであれ、「控訴人らが科研費とは別に印税を得て不正な利益を得ている」という事実を摘示したものである。 ⑸ 別表5についてア番号1の1 被控訴人の発言のみならず、被控訴人が対談相手の発言に同意してい ることも含めれば、被控訴人は、無料で製作することができるようなチュートリアルサイトに過大に支出して科研費を不正に使用しているという事実摘示をしたものというべきである。 イ番号1の2被控訴人の発言は、反政府的な活動を精力的にしている人たちに対し てそれを支援する目的で科研費を不当に支出しているという印象を与える事実摘示である。また、この場合の違法性阻却事由としての真実性の証明の対象は、本件シンポジウムの登壇者の氏名・所属団体名や謝金が支払われたことではなく、安保法制反対など反政府的な活動を精力的にしている人たちを支援する目的で科研費を不当に支出しているということで ある。 ウ番号2の1番組の字幕は、基本的に出演者の発言の一部を文字化したものであり、被控訴人はこのような字幕が付されることを知って出演し、発言しているのであるから、字幕(「科研費の闇…もはや政治活動資金に?」)から受 ける影響も含めて、被控訴人の発言を評価すべきである。また、控訴人らは、「控訴人A1がおよそ研究をしていない」旨の発言を被控訴人がしたとまで主張しているわけではない。控訴人らが ?」)から受 ける影響も含めて、被控訴人の発言を評価すべきである。また、控訴人らは、「控訴人A1がおよそ研究をしていない」旨の発言を被控訴人がしたとまで主張しているわけではない。控訴人らが主張していない過剰の否定の趣旨を付加した上で、そのような趣旨を読み取ることができないなどという論法は採用すべきではない。被控訴人が、控訴人らが研究費を使 って「研究と運動の双方が行われている」旨黙示的なものも含めて述べること自体が、控訴人らが科研費を運動に使用しているという事実摘示になるというべきである。 エ番号2の2科研費の審査に偏りがあるかどうか、審査が公正、公平に行われていな いかどうかについては証拠によって決することができる事実である。した がって、被控訴人の発言は、控訴人らがお手盛りの審査という不公正な方法で科研費の審査に通ったという印象を与えて社会的評価を低下させるものである。 オ番号2の3控訴人らについて「結論ありき」「それは研究じゃないんですよ」と述 べる発言は、研究者である控訴人らの社会的評価を低下させる事実摘示である。仮に、意見・論評であったとしても、研究者としての社会的評価を低下させるものである。 第3 当裁判所の判断 1 判断の骨子 当裁判所は、控訴人A1の請求については、33万円及び遅延損害金の限度で認容し、その余を棄却し、その余の控訴人らの請求については、いずれも棄却すべきであると判断する。その理由は、次のとおりである。 2 判断枠組み⑴ ある表現が名誉毀損に当たるかどうかは、一般読者(動画の場合は一般視 聴者。以下「一般読者等」という。)の普通の注意と読み方(動画の場合は視聴の仕方。以下同じ。)を基準として解釈した意味内容に従い、社会的評価を低下 るかどうかは、一般読者(動画の場合は一般視 聴者。以下「一般読者等」という。)の普通の注意と読み方(動画の場合は視聴の仕方。以下同じ。)を基準として解釈した意味内容に従い、社会的評価を低下させるものか否かによって判断される(最高裁判所昭和29年(オ)第634号昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)。問題とされる表現が、人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値に ついて社会から受ける客観的評価を低下させるものであれば、それが事実を摘示するものであるか、又は意見ないし論評を表明するものであるかを問わず、名誉毀損行為は成立し得る。事実の摘示と意見・論評の表明の区別は、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とし、証拠等をもってその存否を決することが可能な事項を主張するものと認められる場合(表現に用いられた 語のみを通常の意味に従って理解した場合に当該事項であると直ちに認めら れなかったとしても、前後の文脈や、公表当時に一般読者等が有していた知識や経験を考慮し、間接的ないしえん曲に当該事項を主張するものと理解される場合も含まれる。)には、事実を摘示するものと解される(最高裁判所平成6年(オ)第978号平成9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3804号)。 他方、このような証拠等による証明になじまない物事の価値、善悪、優劣についての批評や論議などは、意見・論評の表明に属することになる。意見・論評の表明それ自体は、その表明の自由が民主主義社会に不可欠な表現の自由の根幹を構成するものであり、手厚く保障すべきものであるから、その内容の正当性や合理性は問われることはないとされているが、それが人の社会 的評価を低下させるものである場合には、違法性阻却事由が認められない限り、違法評 、手厚く保障すべきものであるから、その内容の正当性や合理性は問われることはないとされているが、それが人の社会 的評価を低下させるものである場合には、違法性阻却事由が認められない限り、違法評価を免れない(最高裁判所平成15年(受)第1793号・1794号同16年7月15日第一小法廷判決・民集58巻5号1615頁、最高裁判所平15(受)900号同17年6月16日第一小法廷判決・裁判集民217号139頁)。 事実摘示による名誉毀損行為の違法性が阻却されるためには、公共の利害に関する事実に係り、専ら公益を図る目的に出た場合であること、摘示された事実の重要な部分について真実であることの証明がされる必要がある。また、ある事実を基礎としての意見・論評の表明による名誉毀損行為の違法性が阻却されるためには、同様に、公共の利害に関する事実に係り、専ら公益 を図る目的に出た場合であること、前提とされた事実の重要な部分について真実であることの証明がされる必要があるほか、人身攻撃に及ぶなど意見・論評としての域を逸脱したとはいえないと認められる必要がある(前掲最高裁判所平成9年9月9日第三小法廷判決)。 ⑵ したがって、被控訴人の発言等により控訴人らの社会的評価が低下したか 否か、当該発言等が事実の摘示なのか、又は事実を前提とした意見・論評の 表明なのかを判断するに当たっては、いずれも一般読者等の普通の注意と読み方とを基準とし、かつ、前後の文脈や、公表当時に一般読者等が有していたと考えられる知識や経験を考慮すべきこととなる。また、いずれの場合であっても、公共の利害に関する事実について、専ら公益を図る目的でされた言動については、違法性阻却事由が認められる余地がある。そこで、まず、 本件で問題とされている被控訴人の発言等 いずれの場合であっても、公共の利害に関する事実について、専ら公益を図る目的でされた言動については、違法性阻却事由が認められる余地がある。そこで、まず、 本件で問題とされている被控訴人の発言等が行われた全体的な経過や文脈をみておくこととする。 3 総論的検討⑴ 前提事実に加え、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア被控訴人は、平成30年2月26日、前提事実⑸のとおり、国会において、徴用工に対する科研費の使用に関し報じた産経新聞の記事を配布して科研費の支出対象の審査等について質疑を行った後、同年3月16日、N氏主宰の言論テレビ(インターネットテレビ番組。当日の出演者は、N氏、被控訴人ら女性8名で、当日のタイトルは「言論さくら組勢揃いSPスク ープ満載」であった。)に出演し、その中の「反日学者に支払われる4.5億円の科研費」の項目で、多額の科研費を受領している研究ないし研究者(P教授ら)について述べたほか、本件研究についての発言もした(別表3番号1)。 イ控訴人らは、平成30年3月23日、本件研究のチュートリアルサイト において、「科研費バッシングに応えて/無料電子書籍『架橋するフェミニズム』刊行しました!」と題する記事を掲載した。同記事には、3月初旬から「科研費の不正使用」「反日研究」などといった不当な攻撃を受けているが、不正使用などはないし、日本政府の慰安婦問題対応を批判する論文等を執筆しているが、それは膠着している慰安婦問題の解決を望み、日本 が国際的な人権レジームを積極的に支持する国になってほしいと願ってい るからであり、「反日」とされるいわれもないこと、科研費研究については、昨年12月に産経新聞が、日韓歴史問題を扱っている科研費課題を反日研究で 極的に支持する国になってほしいと願ってい るからであり、「反日」とされるいわれもないこと、科研費研究については、昨年12月に産経新聞が、日韓歴史問題を扱っている科研費課題を反日研究であると誹謗する記事を出してから、これに呼応して通常から種々の差別発言を繰り返しているD党のX議員(被控訴人)が国会で取り上げ、ネット上でも反日叩きが始まり、本件研究に対する攻撃もその流れにあるが、 学問の自由に反するものであり看過できないこと、X議員は攻撃を扇動することさえしていること、ジェンダー学の発祥以来、ジェンダー学なぞ研究でない・フェミニズムは取るに足りないイデオロギーであるなどの貶めを受ける中で先達フェミニストたちの努力によりその意義と意味が理解され始めるに至ったが、こうした攻撃自体がジェンダー研究の必要性を強く 示唆していることなどが記載されていたほか、本件研究の成果の一環として「慰安婦問題は#MeTooだ!」と題したショートムービーを製作中との記載もされていた。(乙2)ウこれに対し、被控訴人は、自身のツイッターにおいて、平成30年3月26日から4月14日にかけて、控訴人A1や本件研究に関する発言(投 稿、ツイート)をした(別表1番号1~10)。控訴人A1は、被控訴人のツイッターに、被控訴人の発言に反論する投稿をしていた(甲1の9~12)。 被控訴人は、同年4月20日、N氏主宰の言論テレビ(当日の出演者は、N氏、被控訴人ら女性3名であった。)に再び出演し、その中の「沖縄フェ ミニズム活動に流れる科研費、文科省はなぜ反日活動家に科研費を配るのか」の項目で、多額の科研費を受領している研究ないし研究者(P教授ら)について述べたほか、本件研究についての発言もした(別表3番号2)。 同年4月26日発売の雑誌「 はなぜ反日活動家に科研費を配るのか」の項目で、多額の科研費を受領している研究ないし研究者(P教授ら)について述べたほか、本件研究についての発言もした(別表3番号2)。 同年4月26日発売の雑誌「月刊WiLL」において、「血税科研費の蜜を吸う反日研究者を許すな数億円もの助成金をもらいながら研究内容は なぜか反日的なことばかり。どういう審査基準なの?」と題する、経済評 論家と被控訴人との対談形式の記事が掲載され、その中で、被控訴人は、Y教授の研究やP教授の研究について述べたほか、控訴人A1の本件研究についての発言もした(別表2)。 被控訴人は、同年5月7日、自身のツイッターにおいて、本件研究に関する発言をした(別表1番号10・11)。前記のとおり、控訴人A1は、 被控訴人のツイッターに反論の投稿をしていた(甲1の13・14)。 被控訴人は、同年5月7日、ユーチューブの「文化人放送局」(当日の出演者は、U氏、T氏と被控訴人の3名で、当日のタイトルは「特番X議員に聞く科研費special」であった。)に出演し、その中で、本件研究についての発言もし、これが同月10日及び同月13日に公開された(別表5番 号1・2)。 被控訴人は、同年5月18日、N氏主宰の言論テレビ(当日の出演者は、N氏、被控訴人ら女性3名であった。)に再び出演し、その中の「なぜ科研費は反日学者達に流れるのか」の項目で、本件研究についての発言もした(別表3番号3)。 被控訴人は、同年5月18日、ユーチューブ及びニコニコ動画で配信される「チャンネルAJER」(当日のタイトルは「Xのなでしこ復活『第25回科研費問題その後①』」であった。)に出演し、その中で、本件研究についての発言もした(別表4番号1)。 被控訴人は、同年6月18日、「科研 ルAJER」(当日のタイトルは「Xのなでしこ復活『第25回科研費問題その後①』」であった。)に出演し、その中で、本件研究についての発言もした(別表4番号1)。 被控訴人は、同年6月18日、「科研費の闇」と題する講演会(トークシ ョウ)に出演し、その中で、本件研究についての発言もしたところ、その模様が同年7月18日に「チャンネルAJER」(当日のタイトルは「特番:X講演会『科研費の闇』」であった。)で公開された(別表4番号2)。 ⑵ 以上の事実経過等を踏まえ、検討すると、次のとおりいうことができる。 ア前提事実のとおり、被控訴人は、従前から、従軍慰安婦について、強 制連行の証拠はなく、従軍慰安婦が性奴隷であるというのは事実に反する との見解を表明しており、フェミニズム、男女平等、ジェンダーフリーに対する考え方についても、控訴人らとは全く異なる価値観を有することを明らかにしている。本件で問題となっている被控訴人の一連の言動は、被控訴人のこのような意見や価値観を前提とし、本件研究に科研費が支出されていることを批判するものである。ジェンダー・男女平等や慰安婦問題 について、このような見解・立場の相違があることは、これらの問題に関心を有する者にとっては周知の事柄であると考えられる。 イしかるところ、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合、ある研究が科研費の対象として適切であるかどうかという問題は、当該研究の内容を前提事実とする評価であることは明らかであるから、意見・論評 の問題である。また、本件研究の内容や対象自体は、控訴人ら自身が公表しているとおりであり、その内容が事実として摘示されたからといって、控訴人らの社会的評価を低下させることにはならない。そして、科研費の使途は公金の使途の問題 究の内容や対象自体は、控訴人ら自身が公表しているとおりであり、その内容が事実として摘示されたからといって、控訴人らの社会的評価を低下させることにはならない。そして、科研費の使途は公金の使途の問題であるから、国会議員である被控訴人が、本件研究に対する科研費の支出の是非等について述べる意見は、「公共の利害に関 する事項につき、専ら公益を図ることを目的とするものであること」(以下、単に「公益目的等」という。)が推認されるというべきである(それが、被控訴人の有する価値観に基づくものであったとしても、当該価値観は被控訴人を全国民の代表者として選出した一定数の国民により支持されているのであって、当該価値観に基づき、被控訴人が、科研費の支出先について 意見を述べることは、なお公益を図ることを目的とするものと認められる。)。 ウ控訴人らは、被控訴人が述べる本件研究の内容及び対象の捉え方も含め事実の摘示の問題であると主張する。しかし、例えば、本件研究が学術的研究であるか否か、フェミニズムに関係するか否か、結論ありきの研究で あるか否か、卑猥な研究であるか否か等といった問題は、社会通念上その 意味が明らかな事実的概念の当てはめとは異なり、証拠によって存否等を決する前に、前提となる判断基準や概念の定義を決めなければ結論を出すことができない性質のものである。本件において、控訴人らが主張する価値観や物の見方は、社会通念上、普遍的なものとまではいうことはできないから、被控訴人において、これとは異なる価値観や判断基準等を適用す ることは妨げられないのであり、各人の価値観等により結論が左右されることは避けられない。前記のとおり、ジェンダー・男女平等などの問題について見解・立場の相違があることは、これらの問題に関心を有する者 ることは妨げられないのであり、各人の価値観等により結論が左右されることは避けられない。前記のとおり、ジェンダー・男女平等などの問題について見解・立場の相違があることは、これらの問題に関心を有する者にとっては周知の事柄であると考えられることも併せ考慮すると、一般読者等の普通の注意と読み方を前提とした場合、これらの問題は、証拠によっ て存否等を決することができる問題ということはできない(仮に、被控訴人が世間とは異なる独自の判断基準等に基づき、意見・論評を述べるものだとしても、意見・論評であることに変わりはなく、その説得力が問題になるだけである。)。また、本件研究において取り上げられた従軍慰安婦問題は、歴史的事実に基礎をおくものであるが、少なくとも強制連行の事実 や性奴隷という表現については、これを否定する本件見解が存在し、その性質決定(従軍慰安婦は性奴隷か、従軍慰安婦は女性の人権問題か等)は、事実のどの部分を重視するのかといった論者の観点その他思想や用語の選択により左右されるという性質を免れない(国連や学会で人権問題として議論されているという事実等は、被控訴人がこれと異なる見解や意見を述 べることを制限されるべき理由にはならない。)。当該性質決定は、証拠により存否等を決することができる問題ということはできないから、例えば、被控訴人が「従軍慰安婦は女性の人権問題ではない」こと等を前提とし、そうでない見解に立つ本件研究に対する批判的意見を述べた場合、後記のとおり、これにより控訴人らの社会的評価が直ちに低下することはないし、 仮に低下したとしても、それは意見・論評の表明による名誉毀損行為であ って、事実の摘示による名誉毀損行為ということはできない。 エしたがって、被控訴人が科研費の支出対象としての適否を述 仮に低下したとしても、それは意見・論評の表明による名誉毀損行為であ って、事実の摘示による名誉毀損行為ということはできない。 エしたがって、被控訴人が科研費の支出対象としての適否を述べる際に前提として述べた本件研究の内容及び対象のうち、本件研究の公表された内容及び対象以外の部分は、事実の摘示ではなく、それ自体、本件研究の公表された内容及び対象を前提事実とする被控訴人の意見・論評の表明の一 部であるというべきである。そして、本件研究が価値観や見解の対立する問題を対象とし、その意味において、批判的な勢力の存在を前提とし、又は予定していると考えられることに照らすと、本件研究に対する否定的な意見・論評が表明されたからといって、直ちに研究者個人の人格的価値たる社会的評価を低下させるものではないと考えられる。また、仮に当該意 見・論評が控訴人らの社会的評価を低下させ、名誉毀損行為の構成要件を充足したとしても、前提となる事実が本件研究の公表された内容及び対象である以上、通常、主要な部分について真実性の証明があることになる。 さらに、本件における被控訴人の発言等には、前記のとおり、公益目的等の存在が推認されるから、結局、控訴人らに対する人身攻撃に及ぶなど意 見・論評としての域を逸脱したものでない限り、名誉毀損行為の違法性は阻却されることになる。 オこれに対し、被控訴人による発言等の中には、科研費の支出先、支出方法に関するものがある(例えば、政治活動に支出している、1755万円もかけて本件動画を制作している、研究対象期間経過後に科研費を使用し ている等)。これらの発言等は、事実を摘示するとともに、これを前提に被控訴人の評価を加えるものである。しかし、本件研究が実践活動の在り方についての研究を含むことが公表されて に科研費を使用し ている等)。これらの発言等は、事実を摘示するとともに、これを前提に被控訴人の評価を加えるものである。しかし、本件研究が実践活動の在り方についての研究を含むことが公表されている以上、イベントなどに参加した活動家に対する謝金が科研費から支払われたという事実や、本件動画に使用された科研費が多額であるという事実は(それが真実と異なる部分が あったとしても)、それだけでは何ら控訴人らの社会的評価を低下させる事 実の摘示ということはできない。当該事実を前提とした被控訴人の意見・論評によって控訴人らの社会的評価が低下したか否かが問題となるだけである。このように考えたとしても、研究対象期間経過後に科研費を使用したという事実は、一般読者等の普通の注意と読み方を前提とすると、科研費が不適切に管理され、使用されているという事実を摘示するものであり、 当該事実は、少なくとも控訴人A1の社会的評価を低下させるものであるから、被控訴人の意見・論評を待つまでもなく、事実の摘示による名誉毀損行為ということができる。 4 各論的検討以上を前提に被控訴人の個々の発言等による名誉毀損等の成否について検 討する。 ⑴ 別表1についてア原判決の引用別表1についての認定判断は、当審における控訴人らの主張を踏まえ、後記イのとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の第3の2⑴ (原判決24頁24行目から38頁2行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 イ原判決の補正25頁23行目の「被告の投稿」を「被控訴人の番号4の投稿」と改める。 28頁3行目の「一般読者の」から6行目末尾までを「本件動画に科研費が使用されている」という事実の摘示は、それ自体では何ら控訴人らの社会的 投稿」を「被控訴人の番号4の投稿」と改める。 28頁3行目の「一般読者の」から6行目末尾までを「本件動画に科研費が使用されている」という事実の摘示は、それ自体では何ら控訴人らの社会的評価を低下させるものではないし、これを前提とする被控訴人の批判的な意見・論評部分も、一般読者等の普通の注意と読み方を基準として、控訴人らの本件研究や本件動画の作成につき何らかの不正が あるとの指摘をするものとまでは認めることはできない。また、人身攻 撃に及ぶものともいえない。」と改める。 28頁19行目の「これらの投稿のうち」から29頁16行目末尾までを次のとおり改める。 「これらの投稿により摘示された①ないし③の事実は、それ自体では、控訴人らの社会的評価を低下させるものではない。被控訴人の「フェミニ ズムのイベントなのに」等の発言は、政治的運動に参加している活動家らを登壇者に招いて意見交換等することがフェミニズムとどう関連するのか分からないとの意見・論評や、そのようなイベントの資金に科研費が使用されるのは相当ではないとの意見・論評を表明するものと認められるが、フェミニズムとの関連性の有無は、もともと論者の価値観や判 断基準等により左右される性質のものであるから、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合に、このような意見・論評により本件研究や控訴人らの社会的評価が低下したと認めることはできない。なお、仮に低下したとしても、本件シンポジウムの登壇者には、デモなどの政治的活動に参加する者らが複数名含まれていたこと(甲26・3頁から 45頁まで)、これらの者に対し科研費をもとに謝金が支払われたこと(原審控訴人A124、33頁)は、いずれも事実であると認められるから、被控訴人の前記意見・論評の前提となる事 26・3頁から 45頁まで)、これらの者に対し科研費をもとに謝金が支払われたこと(原審控訴人A124、33頁)は、いずれも事実であると認められるから、被控訴人の前記意見・論評の前提となる事実の重要な部分は真実である。そして、公益目的等の存在が推認されることは前記のとおりであり、かつ、被控訴人の発言等は、控訴人らに対する人身攻撃に及ぶも のともいえないから、いずれにしても違法性を欠く。」。 30頁5行目の「本件シンポジウムには」を「控訴人らが開催するイベントには」と改め、7行目の「しかし、」から16行目末尾までを次のとおり改める。 「前記のとおり、被控訴人が本件シンポジウム等のイベントとフェミニズ ムとは関連性がないという見解に基づき批判的な意見・論評を表明した からといって、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合に、このような意見・論評により本件研究や控訴人らの社会的評価が低下したと認めることはできない。なお、科研費を使って本件ワークショップ(私のアソコには呼び名がない)が開催されたことや、本件動画が制作されたこと、本件シンポジウム(出会う、つながる、フェミニズム)の 登壇者にOや安保や基地反対運動をしている活動家も含まれていたことや謝金が支払われたこと、平成30年3月開催のシンポジウム(多様な社会問題とフェミニズムの架橋)の登壇者にもヘイトスピーチや民族差別・人種差別等に関する論者も含まれていたこと(甲28)など、番号4・5の発言の中で指摘された事実は、いずれも真実であると認められ る。すなわち、仮に被控訴人の前記意見・論評により控訴人らの社会的評価が低下したとしても、その前提となる事実の重要な部分は真実であるし、人身攻撃に及ぶものともいえないことなどは、番号3と同様である。 。すなわち、仮に被控訴人の前記意見・論評により控訴人らの社会的評価が低下したとしても、その前提となる事実の重要な部分は真実であるし、人身攻撃に及ぶものともいえないことなどは、番号3と同様である。したがって、いずれにしても違法性は認められない。」31頁1・2行目の「認められる」を「認められるし、被控訴人が放 送禁止用語を連発する動画を見たことがないというのも事実であると考えられる」と、13・14行目の「相当性について」を「相当性やそれをフェミニズムのイベントとして行うことの相当性について」と、それぞれ改め、16行目末尾に「なお、被控訴人の前記意見の前提となる事実の重要な部分は真実であり、公益目的等が認められる上、人身攻撃に 及ぶものともいえないから、いずれにしても違法性を欠くし、社会通念上許される限度を超えて控訴人らを違法に侮辱するものともいえない。 控訴人らは、名誉感情を害された旨主張するが、もともと、控訴人らは、あえて女性器の名称を冠したイベント等を開催した時点で、価値観を共有しない他の勢力から反発を受ける可能性を認識していたはずである。 被控訴人の発言等は、既存概念からの自由や解放を求める場合に通常想 定される範囲内の反応であったというべきであるから、控訴人らの主張は採用することができない。」を加える。 32頁23行目の「慰安婦が強姦された」を「慰安婦は強姦された」と、33頁12行目の「であるというもの」を「であるという意見・見解を述べるもの」と、15行目の「であるとするのが一般的な見解であ る」を「であるかのように議論されている(これが日本政府の立場・見解であると解される。)」と、それぞれ改め、21行目の「が〔原告A2」から25行目の「2の1〕」までを削り、34頁2行目冒頭から16行目 を「であるかのように議論されている(これが日本政府の立場・見解であると解される。)」と、それぞれ改め、21行目の「が〔原告A2」から25行目の「2の1〕」までを削り、34頁2行目冒頭から16行目末尾までを次のとおり改める。 「そもそも、前記のとおり、歴史的事実としての慰安婦問題の性質決定の 問題は、前提となる事実関係がすべて確立されているわけではなく、その性質決定は論者の思想により左右される側面があるから、被控訴人において、「ねつ造はダメです。慰安婦問題は女性の人権問題ではありません。もちろん#MeTooではありません。」と述べたことは、事実の摘示というよりも、従軍慰安婦には強制の契機はなかったという被控訴人 の意見・論評の表明であると解するのが相当である。そして、このような意見・論評の表明により、控訴人らの社会的評価が低下するかどうかについてみると、慰安婦問題について立場・見解の相違があることは関心を有する者にとっては周知の事柄であり、被控訴人が国会議員で従前から慰安婦問題についても政府見解に同調する立場・見解であることを ツイッターにおいても述べていたことからすれば、被控訴人のツイッターの一般的な読者は、慰安婦問題についても少なからず関心ないし一定の知識を有しており、立場・見解の相違があることを把握していると考えられる。そのような一般読者等の普通の注意と読み方を基準として見れば、番号7ないし9における被控訴人と控訴人A1とのやりとりは、 互いに慰安婦問題に関する相手の立場・見解を強く否定する意見を表明 していると理解されるものであり、控訴人A1らの社会的評価を低下させるものであるとは認められない。なお、控訴人らは、番号7の発言を単独でみれば、被控訴人が「ねつ造」であると述べているのは、本件動 していると理解されるものであり、控訴人A1らの社会的評価を低下させるものであるとは認められない。なお、控訴人らは、番号7の発言を単独でみれば、被控訴人が「ねつ造」であると述べているのは、本件動画に対するものであることは明らかである旨主張するが、番号7の「ねつ造はダメです。慰安婦問題は女性の人権問題ではありません。もちろ ん#MeTooではありません。」との内容は、それを単独のものとしてみた場合でも、従軍慰安婦の問題に一定の関心のある一般読者等の普通の注意と読み方を基準とすると、従軍慰安婦に強制の契機がなかったという立場からみれば従軍慰安婦は女性の人権問題ではなく、「MeToo」と同様に扱うことも相当ではないという論理的帰結を述べたものと解さ れるのであって、ことさら本件動画をねつ造であると述べたものと認めることはできない(なお、仮に前提となる知識や前後の文脈(前後の投稿)等と完全に切り離して見るときには、被控訴人とA1なる人物(どのような立場の何をしている人かも分からない。)とが一体何のことを言い合っているのかすら理解困難となる。)。したがって、控訴人らの主張 は採用することができない。」34頁24・25行目の「公益的事項について、公益目的でされたものと認められ」を「公益目的等が認められることは前記のとおりであり」と改め、35頁4行目の「沿うもの」の次に「(日本政府の政策や方針等に反するもの)」を加え、14・15行目の「だと思います。と述べてい るが」」を「だと思います。」と述べているが」と、36頁6行目の「相当ではない」を「相当ではないとの」と、それぞれ改める。 36頁17行目の「解され、」の次に「一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合、これにより控訴人らの社会的評価を低下させるもの 「相当ではない」を「相当ではないとの」と、それぞれ改める。 36頁17行目の「解され、」の次に「一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合、これにより控訴人らの社会的評価を低下させるものと認めることはできない。」を加え、26行目の「内容にも」を「内容 的にも」と改め、37頁11行目末尾に「被控訴人は、1755万円の 科研費で4年間に渡って行われた本件研究の成果の一環として本件動画(慰安婦問題は#MeTooだ!)が制作されたことに否定的な意見・論評を表明したものということができる。一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合、そもそも慰安婦には強制の契機はなく、MeTooの問題ではないという立場をとっている被控訴人が、これと異なる 前提に立って制作された本件動画に対し、このような意見・論評を表明したからといって、本件研究及び控訴人らの社会的評価を下げるものということはできない。また、仮に社会的評価が下がったとしても、被控訴人の意見・論評の前提となる事実の重要な部分(控訴人らが1750万円余の科研費で本件研究を行ったこと、本件動画はその成果の一環で あること)は真実であり、公益目的等も認められる上、人身攻撃に及ぶものとも認められないから、いずれにしても違法性を欠く。」を加える。 ⑵ 別表2についてア原判決の引用別表2についての認定判断は、当審における控訴人らの主張を踏まえ、 後記イのとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の第3の2⑵(原判決38頁4行目から42頁6行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 イ原判決の補正 38頁5行目冒頭から17行目末尾までを次のとおり改める。 「 控訴人らは、控訴人らが「慰安婦問題はMeTooだ!」という本件動 りであるから、これを引用する。 イ原判決の補正 38頁5行目冒頭から17行目末尾までを次のとおり改める。 「 控訴人らは、控訴人らが「慰安婦問題はMeTooだ!」という本件動画やサイトを科研費で制作した事実、本件動画が研究の集大成であるとの事実、そのサイト内の動画はほとんど見られていないとの事実を摘示するものであり、研究期間と研究金額に比して研究の水準が著しく低く、社会的意味がないとの印象を与えるものであると主張する。 しかし、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とすると、控訴人ら が科研費の研究の集大成として「慰安婦問題は#MeTooだ!」という本件動画を作成したという事実の摘示は、控訴人らの社会的評価を低下させるような事実の摘示ということはできないし、動画やサイトの閲覧者数が少ない旨の事実の指摘も、当該動画やサイトを作成した人物の人格的価値に対する評価を低下させるものということはできない。確か に、研究成果の一環として制作されたサイト内の動画の視聴回数が少ないとの指摘は、当該研究の成果が社会一般に広く受け入れられているわけではないとの印象を与えるものではあるが、一般読者等の普通の注意と読み方を基準としても、研究の成果が広く受け入れられていないという事実の摘示により、研究の価値や研究者の人格的価値に対する社会的 評価が直ちに低下するものということはできない。被控訴人の前記発言は、本件研究の成果物の視聴回数が少ないという事実を前提に、本件研究に公金を支給するような科研費制度や審査基準には問題があるとの意見・論評を表明するものであり、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合、当該意見・論評の対象は、専ら科研費制度や審査基準で あると解されるから、このような意見・論評より、 があるとの意見・論評を表明するものであり、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合、当該意見・論評の対象は、専ら科研費制度や審査基準で あると解されるから、このような意見・論評より、本件研究の価値や控訴人らの社会的評価が低下するとまでは認めることができない。仮に、社会的評価を低下させるものだとしても、前提となる事実(控訴人らが本件動画やサイト等を制作したこと、サイト内の動画の視聴回数が少ないこと等)は真実であり、科研費の支出に関する投稿である以上、被控 訴人に公益目的等が認められ、人身攻撃に及んでいると認められないことは、前記と同様である。なお、控訴人らは、被控訴人が「とんでもない研究」と述べたのは、人身攻撃である旨主張するが、一般読者等の普通の注意及び読み方を前提とすると、「とんでもない研究」という表現は、研究の内容についての批判であると解され、控訴人らに対する人身攻撃 であると認めることはできないから、同主張は採用することができない。」 38頁22行目の「1つとなっており」を「1つとされている上、研究のより広い社会的発信のために制作されたものであること(甲19の1)からすれば」と、24行目の「本件動画」を「控訴人らが制作したサイト内の動画」と、それぞれ改め、39頁3行目の「別表3番号1の2」の次に「。なお、ここではサイト名は「ウィメンズアクション動画 発信ナビ」と言っている。」を、5行目の「認められる」の次に「(なお、控訴人らが科研費を使用して作成し、本件動画をアップしたサイトは、「ウィメンズアクションネットワーク」ではなく「ウィメンズ・アクション動画発信ナビ」(乙6)であり、被控訴人の別表2番号1の発言は、この点を言い間違えているが、両サイトは関連したものである(「ウィメ ンズアクションネットワーク」ではなく「ウィメンズ・アクション動画発信ナビ」(乙6)であり、被控訴人の別表2番号1の発言は、この点を言い間違えているが、両サイトは関連したものである(「ウィメ ンズ・アクション動画発信ナビ」サイトでは「ウィメンズ・アクション・ネットワーク」サイトも紹介されている(乙6の2)し、もともと動画発信チュートリアルサイト(ウィメンズ・アクション動画発信ナビ)は「ウィメンズ・アクション・ネットワーク」サイト上に公開される予定であった(甲19の4)。)ことや、被控訴人の前記意見表明の趣旨内容 に照らせば、この言い間違いは重要なものではないというべきである。)し、人身攻撃に及ぶものともいえない」を、それぞれ加える。 39頁14行目冒頭から23行目末尾までを次のとおり改める。 「 しかし、動画発信が研究に該当するか、あるイベントがフェミニズムと関係を有するかといった問題は、一般読者等の普通の注意と読み方を 基準とした場合、証拠によりその存否等を決することができる問題ではなく、意見・論評の表明と解すべきことは、前記のとおりである。当該意見・論評の前提となる事実(控訴人らが動画配信を行ったこと、イベントを開催したこと、イベントには一定の政治活動をしている者が登壇者として招かれていたこと)は、これを摘示しても何ら控訴人らの社会 的評価を低下させるものではない。また、これらの事実を前提とした被 控訴人の意見・論評(被控訴人の見解によればフェミニズムとは関係のない活動をする者が登壇者となっており、被控訴人は、本件シンポジウムはフェミニズムの研究というよりもそれらの活動そのものないし活動家支援になっているという批判的な意見を表明していると認められる。)が控訴人らの社会的評価を低下させるかどう 控訴人は、本件シンポジウムはフェミニズムの研究というよりもそれらの活動そのものないし活動家支援になっているという批判的な意見を表明していると認められる。)が控訴人らの社会的評価を低下させるかどうかについては、学術研究の 範囲やフェミニズムとの関連性の有無といった問題がもともと論者の価値観や判断基準等により左右される性質のものであることを踏まえると、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合に、このような意見・論評により本件研究や控訴人らの社会的評価が低下したと認めることはできない。仮に、社会的評価が低下したとしても、被控訴人の前記批判 的意見の前提となる事実の重要な部分は真実であるし、公益目的等が認められることに変わりはなく、人身攻撃に及ぶものともいえないから、いずれにしても違法性を欠く。」 40頁2行目冒頭に「一般読者等の普通の注意と読み方を基準として見れば、被控訴人の番号3の発言等は、慰安婦問題に関する控訴人らの 本件研究は「強制連行をした日本が悪い」という結論ありきで行われたものだとした上で、そのような反日的な考えの本件研究に科研費を出すのは問題であるとの意見・論評を表明するものといえる。」を加え、8行目の「また」から13行目末尾までを「また、被控訴人が用いた「『強制連行をした日本が悪い』という結論ありきで研究している人たち」とい う表現については、前記のとおり、もともと慰安婦問題に関しては、立場・見解の相違があり(本件見解は、軍による強制連行の証拠はない、性奴隷というのは事実に反するという立場・見解であるのに対し、控訴人らのように、そのような政府の見解・対応を批判する立場・見解もある。)、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とすると、このように見 解が別れている問題について、 場・見解であるのに対し、控訴人らのように、そのような政府の見解・対応を批判する立場・見解もある。)、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とすると、このように見 解が別れている問題について、一方の立場から他方の立場に対し、「結論 ありき」だという意見・論評を加えたからといって、当該他方の立場に属する控訴人らの社会的評価が低下するとはにわかに認めることはできない。仮に、社会的評価が低下したとしても、控訴人らは、本件研究において、強制連行の事実の有無にかかわらず、従軍慰安婦は性奴隷であったという立場を維持しており、本件図書においても、日本政府の慰安 婦問題についての認識が後退しているとの問題把握を示す一方、控訴人らにおいて、被控訴人のような見解(慰安婦には強制連行されたことはなく、性奴隷でもなかったのに、性奴隷であったことを前提にした情報を発信するのは、国益に反するといった見解)を踏まえ、慰安婦が性奴隷であるとの自らの見解を変更することはおよそ考えられない状況にあ ったということができる。これらの事実を前提とすると、「結論ありき」という被控訴人の前記意見・論評の前提となる事実の重要な部分(外務審議官の本件見解では性奴隷という表現は事実に反するとされているにもかかわらず、控訴人らにおいて、従軍慰安婦は性奴隷であるという見解を一貫して維持していること)は真実であると認められる。公益目的 等が認められることは前記のとおりであり、「結論ありき」という表現は、人身攻撃に及ぶものということはできない。したがって、いずれにしても違法性を欠く。」と改める。 41頁7・8行目の「原告らがそのように社会活動を行うことに重点を置いていること」を「本件研究が実践活動を通じてジェンダー平等社 会の実現に資す ても違法性を欠く。」と改める。 41頁7・8行目の「原告らがそのように社会活動を行うことに重点を置いていること」を「本件研究が実践活動を通じてジェンダー平等社 会の実現に資するという内容を含むものであり、研究と運動の相互作用に注目し、社会活動と連携していること」と、19行目の「公益事項について、公益目的によりされたものと認められる上」を「公益目的等が認められる上」と、それぞれ改める。 ⑶ 別表3について ア原判決の引用 別表3についての認定判断は、当審における控訴人らの主張を踏まえ、後記イのとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の第3の2⑶(原判決42頁7行目から50頁10行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 イ原判決の補正 42頁15・16行目及び21行目の各「本件シンポジウム」をいずれも「本件ワークショップ」と改め、22行目の「しぐさを見せた」の次に「(控訴人らは、嘲笑(嘲り笑った。)と主張するが、一般読者等の普通の注意と読み方を基準として見れば、照れ隠し笑いをしたと見る余地もある。)」を、25行目末尾に「社会通念上許される限度を超えて控 訴人らを違法に侮辱するものとも認められない。」を、それぞれ加える。 44頁8・9行目の「とどまるものと認められる。また、」を「とどまる(「ひどい内容でしたよね。」と発言したのはN氏(N氏が本件研究に対する感想を述べたもの)であって、被控訴人は特に否定しなかったというに止まる。)ものと認められる。確かに、被控訴人の「みんなで笑っ て見てた」という発言には、侮蔑的な感想も含まれているとみられるが、一般読者等の普通の注意と読み方を基準として前後の文脈と併せて見れば、「私のアソコには呼び名がない」 控訴人の「みんなで笑っ て見てた」という発言には、侮蔑的な感想も含まれているとみられるが、一般読者等の普通の注意と読み方を基準として前後の文脈と併せて見れば、「私のアソコには呼び名がない」などの本件研究について、科研費を使ってやるような研究ではないとの否定的意見・論評を表明するものと認められる。」と、12行目の「したがって」から13行目末尾までを「被 控訴人の侮辱的な発言は、一連の発言の中の短い一言(「みんなで笑って見てた」)のみであり、それは前記意見表明に係る感想として述べられているにすぎないことも考慮すれば、社会通念上許される限度を超えて控訴人らを違法に侮辱するものとまでは認められない。」と、それぞれ改める。 44頁20・21行目の「上記⑴ウ及びエ並びに⑵ウ」を「別表1の 番号3及び4並びに別表2の番号3についての認定判断」と、21行目の「すなわち」から45頁3・4行目の「いうべきである。」までを「すなわち、被控訴人は、本件シンポジウムについて「これ、反政府、政治活動なんですよ」などと述べているが、被控訴人の発言等は事実の摘示ではなく、本件シンポジウムに登壇者として参加した者に政治活動をし ていた者がいたことや、謝金が科研費から支出されたことを前提に、フェミニズム研究の目的で反政府政治活動を行っているという意見・論評を表明したものにすぎない。フェミニズムとの関連性の有無や政治性の有無は、もともと論者の価値観や判断基準等により左右される性質のものであるから、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合に、 このような意見・論評により本件研究や控訴人らの社会的評価が低下したと認めることはできない。なお、控訴人らは、研究者である控訴人らを活動家の範疇と理解して「活動家の。」等と述べるこ 場合に、 このような意見・論評により本件研究や控訴人らの社会的評価が低下したと認めることはできない。なお、控訴人らは、研究者である控訴人らを活動家の範疇と理解して「活動家の。」等と述べること自体が、控訴人らの社会的評価を低下させる事実摘示であるなどと主張するが、控訴人らの主観的な自己評価は別として、一般読者等の普通の注意と読み方を 基準とした場合、「活動家」の方が「研究者」よりも社会的評価が低いなどということはできないから、同主張は採用することができない。」と、それぞれ改め、45頁4行目の「また、」の次に「被控訴人の」を、5行目の「Rが」の次に「「学術研究とその、政治活動のその境が曖昧で。」」を、7行目の「べきであって。」」の次に「「要するに、日本をおとしめる ような活動に。」を、同行目の「まあ」の前に「こういうのを使っているのは、」を、それぞれ加え、10行目の「社会活動を行う」を「社会活動と連携する」と改め、12行目末尾に「これまでに説示してきたとおり、仮に被控訴人の前記意見・論評の表明が控訴人らの社会的評価を低下させるものであったとしても、当該意見・論評の前提となる事実の重要な 部分は真実であるし、公益目的等が認められ、人身攻撃に及ぶものとも いえないから、いずれにしても違法性を欠く。」を、それぞれ加える。 45頁18行目冒頭から46頁3行目末尾までを次のとおり改める。 「 確かに、被控訴人は、同番組の中で本件研究について控訴人A1の名前を出した(番号2の1・2)上、番号2の3において、本件動画について、「この方の研究費って、2017年度までなんです。」「ということ は3月で終わっているのに、まだできてませんとか言ってて、で、どんだけずさんな経理をやっているのかなっていうのは、そこか ついて、「この方の研究費って、2017年度までなんです。」「ということ は3月で終わっているのに、まだできてませんとか言ってて、で、どんだけずさんな経理をやっているのかなっていうのは、そこからも。」「はい、本当に科研費の闇だと思いますね。」などと述べており、一般読者等の普通の注意と読み方を基準として見れば、被控訴人の発言等は、本来は3月末までである科研費の使用(支出)をその後も行うという経理を 行っているとの事実を摘示するものであると認められる。そして、一般読者等の普通の注意と読み方を基準として見れば、当該摘示された事実は、それだけで控訴人A1の社会的評価を低下させるに足りるものである上、当該事実を前提にした「ずさんな経理」であるという被控訴人の意見・論評も控訴人A1の社会的評価を低下させるものいうことができ る。前記のとおり、本件動画が完成して公開されたのは平成30年5月であるが、本件証拠上、その制作のために科研費が同年3月末より後にも使用(支出)されたことを認めるに足りる証拠はなく、摘示された事実が真実であるとは認められないから、違法性阻却事由の存在は認められない。また、そもそも、科研費制度上、科研費を管理するのは研究者 個人(控訴人A1)ではなく所属研究機関(B1大学)であり、被控訴人において、控訴人A1がずさんな経理を行っていると信じる相当な理由があったということもできない。 したがって、被控訴人の番号2の3の発言は、控訴人A1の名誉を毀損する違法なものと認められる。なお、前記発言では控訴人A1以外の その余の控訴人らには触れられておらず、一般読者等の普通の注意と読 み方を基準として見て、その余の控訴人らもずさんな経理に関わったと受け取られるとは認められないから、当該発言により、そ その余の控訴人らには触れられておらず、一般読者等の普通の注意と読 み方を基準として見て、その余の控訴人らもずさんな経理に関わったと受け取られるとは認められないから、当該発言により、その余の控訴人らの名誉も毀損されたとは認めることはできない。」46頁8行目の「部分の中でも、」の次に「本件研究とは別の研究に対する科研費について討論している場面で、N氏が「ものの考え方はいろ いろありますから・・・」と述べたのに対し、「私もよく批判を受けて、あの反日の学者に流れているとかいろいろ言うけど、反日ってどこで線引きするんだとか。」」を、18行目の「照らして見れば」の次に「、控訴人らの本件研究について討論している場面での発言についても」を、23行目の「解される。」の次に「このような意見・論評の表明は、従軍 慰安婦には強制の契機がなかったという被控訴人の従前からの立場を前提とするもので、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合、このような意見・論評の表明により控訴人らの社会的評価が直ちに低下するものということはできない。仮に低下するとしても、これまでに説示してきたとおり、その意見の前提となる事実の重要な部分は真実であ り、公益目的等も認められる。」を、それぞれ加える。 47頁10行目冒頭から48頁11行目末尾までを、次のとおり改める。 「 しかし、被控訴人は、番号3の2及び4の中で、控訴人A1の名前を出した上で、本件動画について、「3月31日までにできあがらないとい けないものを、この方5月にできあがりましたっていうふうにおっしゃってるんですね。」と述べた上、「問い合わせをしたところ、科研費使われてないという回答がB1大学からきたんですね。」と述べ、本件動画の奥書に科研費を使っていると書いてあるに たっていうふうにおっしゃってるんですね。」と述べた上、「問い合わせをしたところ、科研費使われてないという回答がB1大学からきたんですね。」と述べ、本件動画の奥書に科研費を使っていると書いてあるにもかかわらず「B1大は科研費使ってないって。」と述べた上、N氏の「だからどっちが正しいかとい えば御本人が言っている方が正しいんであって、この奥書にも書いてあ るわけですから・・・」との発言に対しては「もしかしたら動画は自分たちでつくってお金かかってないかもしれない。」「この疑問に思うところはいろいろまた調べていかないといけないかなというふうには思っております。」などと述べたものである。一般読者の普通の注意と読み方を基準として見れば、別表3番号2の3の発言とは異なり、被控訴人の番 号3の2及び4における前記発言は、本来は3月末までである科研費を研究期間を超えて使用するというずさんな使い方をしているとの事実を摘示するものではなく、本件動画の奥書の記載やB1大学の回答からは、結局、本件動画に科研費が使用(支出)されたのかどうかはよく分からないから、引き続き調べていくという自己の意見・見解ないし今後の方 針を表明したものと認められる。したがって、一般読者等の普通の注意と読み方を基準として見た場合、このような意見・論評の表明により、控訴人A1の社会的評価が低下するとは認められないし、仮に低下するとしても、本件動画の奥書の記載やB1大学の回答など、その意見・見解の前提となる事実の重要な部分は真実であるし、公益目的等が認めら れる上、人身攻撃に及ぶものでもないから、いずれにしても違法性を欠くと認められる。」49頁7行目の「被告の発言」の次に「(A2論文についての「日本軍慰安所制度はなぜ軍事的性奴隷制であるのかって れる上、人身攻撃に及ぶものでもないから、いずれにしても違法性を欠くと認められる。」49頁7行目の「被告の発言」の次に「(A2論文についての「日本軍慰安所制度はなぜ軍事的性奴隷制であるのかっていう、もう性奴隷制って決めつけてるんですよ。」との発言)」を、18行目末尾に「なお、被 控訴人は、「科研費を使って別に私は慰安婦問題をやっても徴用工問題をやってもいいと思うんですよね」「最初からこれは結論ありきで、これは研究でもなくて、自分の考えを表明しているだけなんですよ。」などとも述べているが、一般読者等の普通の注意と読み方を基準として見れば、これは、慰安婦問題に関する本件研究(A2論文)は結論ありきで行わ れたとし、そのような研究に科研費を使うのは問題であるとの意見・論 評を表明するものといえる。歴史的事実としての慰安婦問題の性質決定の問題は、前提となる事実関係がすべて確立されているわけではなく、その性質決定は論者の思想により左右される側面があり、被控訴人の発言等は、控訴人A2が、強制連行の有無にかかわらず、従軍慰安婦は性奴隷であったという見解(本件見解とは異なる見解)を採っていること に対する意見・論評の表明であって、このような立場・見解の相違があることを前提に、一般読者等の普通の注意と読み方を基準としてみれば、被控訴人の前記意見・論評によって、控訴人A2の社会的評価が低下したと直ちに認めることはできない。仮に社会的評価が低下したとしても、被控訴人の前記意見・論評の前提となる事実の重要な部分は真実であり、 公益目的等も認められる上、被控訴人の発言が人身攻撃に及ぶものともいえない。したがって、いずれにしても違法性を欠く。」を、それぞれ加える。 49頁20行目の「原告A1の論文」を「控訴人A1の源 公益目的等も認められる上、被控訴人の発言が人身攻撃に及ぶものともいえない。したがって、いずれにしても違法性を欠く。」を、それぞれ加える。 49頁20行目の「原告A1の論文」を「控訴人A1の源氏物語に言及した論文」と改める。 ⑷ 別表4についてア原判決の引用別表4についての認定判断は、当審における控訴人らの主張を踏まえ、後記イのとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の第3の2⑷(原判決50頁11行目から52頁13行目まで)に記載のとおりである から、これを引用する。 イ原判決の補正50頁17行目の「しかし、」の次に「一般読者等の普通の注意と読み方を基準として見れば、被控訴人の番号1の発言は、科研費が文系のVが関わる研究に多く使用されたり、控訴人A2を含む反日の研究にも多 く使用されたりしているのは問題であるとの意見・論評を表明するもの と認められる。そして、弁論の全趣旨によれば、被控訴人の前記意見・論評の前提となる事実の重要な部分(科研費が文系のVが関わる研究に多く使用されていることや、控訴人A2の研究にも使用されていること)は、真実であると認められるし、人身攻撃に及ぶものともいえない。」を加え、同行目の「前記⑴カ」を「別表1番号7」と、19・20行目の 「解することはできないから、原告らの上記主張はその前提を欠くものというべきである。」を「解することはできない。「反日の研究に名を連らねている人」との表現は、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場合、日本の国益に反するような研究をしている人という意味であると解することはできても、控訴人らの主張するように「嘘や事実に反 することを世界中に発信する人」という意味であるとは解されない。ある研究が日本の国益に反す うな研究をしている人という意味であると解することはできても、控訴人らの主張するように「嘘や事実に反 することを世界中に発信する人」という意味であるとは解されない。ある研究が日本の国益に反するものか否かは、論者の価値観や視点により異なるから、被控訴人の前記表現は事実の摘示ではなく、意見・論評の表明である。そして、何をもって国益に沿うと考えるかは、様々な立場があり得るのであり、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とした場 合、被控訴人が自らの価値観に基づき、控訴人A2について反日の研究を行っているとの意見・論評を表明したからといって、控訴人A2の社会的評価が低下するということはできないし、仮に社会的評価が低下したとしても、当該意見・論評の前提となった事実(控訴人A2が従軍慰安婦は性奴隷であったとの立場から研究をしていること)は真実であり、 公益目的等も認められる。「反日の研究を行っている」という意見・論評は、研究者個人に対する人身攻撃にわたるものとまで認めることはできない。したがって、控訴人らの前記主張は採用することができない。」と、それぞれ改める。 51頁7行目の「しかし、」から8行目末尾までを「しかし、一般読者 等の普通の注意と読み方を基準として見れば、被控訴人の番号2の「私 のアソコには呼び名がない」に関する発言は、「私のアソコには呼び名がない」といったイベントはフェミニズムの科研費を使ってやる研究とは思えないという意見・論評を表明するものと認められる。別表1番号6についての認定判断のとおり、被控訴人は、性器を示す用語を多用することの相当性について否定的な態度を示したにすぎず、一般読者等の普 通の注意と読み方を基準として、控訴人らの研究が卑猥な内容であるとの印象を与えるものとは認められ 人は、性器を示す用語を多用することの相当性について否定的な態度を示したにすぎず、一般読者等の普 通の注意と読み方を基準として、控訴人らの研究が卑猥な内容であるとの印象を与えるものとは認められない。また、被控訴人の発言等が社会通念上許される限度を超えて控訴人らを違法に侮辱するものとも認められない。」と改める。 51頁14行目の「しかし、」から20行目の「認められない。」まで を「しかし、控訴人らの主張するような事実摘示があったと認めることはできないことは、別表2番号3並びに別表3番号3の3及び5についての認定判断と同様である。被控訴人は、控訴人A2が慰安所を性奴隷制であると述べていることを指摘した上で、「この結論ありきに自分の意見を言うだけであれば、別に研究費って要らないじゃないですか。その 結論が最初っからあってね。」と述べている。外務審議官の本件見解は、慰安婦について「性奴隷であったという表現は事実に反する」旨明確に述べているが(乙5)、控訴人A2は、慰安婦は性奴隷であったという立場を維持しており、慰安婦問題の表現について見解が分かれていたのであるから、一般読者等の普通の注意と読み方を基準とすると、このよう に見解が分かれている場合において、一方の立場に立つ被控訴人から他方の立場に立つ控訴人A2に対し、「結論ありき」だという意見・論評を加えたからといって、控訴人A2の社会的評価が低下するとは認めることはできない。仮に、社会的評価が低下したとしても、その意見・論評の前提となる事実の重要な部分が真実であることは、別表2番号3の認 定説示のとおりである。」と改め、26行目末尾に「仮に社会的評価を低 下させるものだとしても、被控訴人の前記意見・論評の前提となる事実の重要な部分は真実であるし、 別表2番号3の認 定説示のとおりである。」と改め、26行目末尾に「仮に社会的評価を低 下させるものだとしても、被控訴人の前記意見・論評の前提となる事実の重要な部分は真実であるし、公益目的等が認められ、人身攻撃に及ぶものともいえないから、いずれにしても違法性を欠く。」を加える。 ⑸ 別表5についてア原判決の引用 別表5についての認定判断は、当審における控訴人らの主張を踏まえ、後記イのとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の第3の2⑸(原判決52頁14行目から56頁16行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 イ原判決の補正 53頁5行目の「支給されているところ」を「支給され、本件動画にも科研費が使われているところ、本件動画は見る価値の乏しいものであるとの意見や」と、7行目の「原告が」を「控訴人らが」と、それぞれ改め、9行目末尾に「また、被控訴人の前記意見の前提となる事実(本件研究に科研費1755万円が支給されていることや、本件動画にもその 科研費が使われていること)の重要な部分は真実であるし、公益目的等が認められる上、人身攻撃に及ぶものともいえないから、いずれにしても違法性を欠く。」を加え、18・19行目の「上記⑴ウ、エ、⑵イ、⑶オ、⑷イ」を「別表1番号3並びに番号4及び5、別表2番号2、別表3番号2の2、別表4番号2」と、25行目の「いえるのであって」を 「いえるし、人身攻撃に及ぶものともいえないのであって」と、それぞれ改める。 54頁5行目の「学知術研究」を「学術研究」と、55頁1行目の「字幕」から3行目末尾までを「被控訴人が出演したYouTubeのチャンネル「文化人放送局」は、株式会社文化人放送局が運営するもの(前 提事実⑹ 「学知術研究」を「学術研究」と、55頁1行目の「字幕」から3行目末尾までを「被控訴人が出演したYouTubeのチャンネル「文化人放送局」は、株式会社文化人放送局が運営するもの(前 提事実⑹オ)であり、同字幕の具体的内容は、同社が考案し、作成した ものと推認される。被控訴人がこのような字幕が付されることを知って出演し、発言していた事実を認めるに足りる証拠はないから、同字幕の内容をもって、被控訴人の発言等と同視することはできない。」と、それぞれ改め、5行目の「問題を提起するものである」の次に「(本件研究は慰安婦問題も扱っていて政治的活動に近いとの意見や、そのような研究 に科研費を使うのは相当でないとの意見を表明するもの)」を加え、8行目の「発言をしており」から15行目末尾までを「発言をしている。一般読者等の普通の注意と読み方を基準とすると、被控訴人の当該発言は、学術研究と政治運動との判別が微妙であるという意見に賛同する意見を表明したにすぎず、控訴人らが主張するように「研究目的で政治運動を している。」という事実を摘示したということはできない。また、このような意見表明が、控訴人らの社会的評価を低下させるものと認めることはできない。仮に控訴人らの社会的評価を低下させるものだとしても、被控訴人の前記意見表明の前提となる事実の重要な部分は真実であるし、公益目的等も認められ、人身攻撃に及ぶものともいえないから、いずれ にしても違法性を欠く。」と改める。 56頁2行目の「解することができる。」の次に「すなわち、控訴人A2と控訴人A1が共同研究者として行った本件研究に科研費の支給を受けたことについて、不正があったのではなくきちんと手続に則って行われたものであるとしつつ、科研費の審査制度の仕組み・あり方自体 訴人A2と控訴人A1が共同研究者として行った本件研究に科研費の支給を受けたことについて、不正があったのではなくきちんと手続に則って行われたものであるとしつつ、科研費の審査制度の仕組み・あり方自体に対 する問題提起をしたものと認められる。」を加え、同行目の「また」から6行目の「ない。」までを削る。 56頁14行目の「当否にある」の次に「(本件研究の内容や本件動画が制作されたこと等の事実を前提に、本件研究は学術研究ではなく、政治的活動であるから、このような研究に科研費を使うのは相当でないと の意見・論評を表明するもの)」を、16行目末尾に「これまでに説示し てきたとおり、被控訴人の前記意見表明の前提となる事実の重要な部分は真実であると認められるし、公益目的等が認められ、人身攻撃に及ぶものともいえないから、いずれにしても違法性を欠く。」を、それぞれ加える。 56頁17行目の「以上のとおり認められ、ほかに」を「以上のとお り、被控訴人の本件発言等のうち、別表3番号2の3の発言(控訴人A1が科研費を研究期間経過後に本件動画制作のために使用(支出)したとの事実摘示)は控訴人A1の名誉を毀損する違法なものと認められるが、そのほかには、」と改める。 5 まとめ(争点2(損害額等)及び争点3(投稿の削除と謝罪の掲載の要否) についての判断)前記のとおり、被控訴人の別表3番号2の3の発言は、控訴人A1の名誉を毀損する不法行為に該当するところ、その内容程度等に照らせば、控訴人A1が被った精神的苦痛に対する慰謝料は、30万円と認めるのが相当である。また、被控訴人の前記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は3万円と認め るのが相当である。したがって、被控訴人の前記不法行為による控訴人A1の する慰謝料は、30万円と認めるのが相当である。また、被控訴人の前記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は3万円と認め るのが相当である。したがって、被控訴人の前記不法行為による控訴人A1の損害は、合計33万円となる。 控訴人A1は、別表1記載の投稿の削除を求めているが、不法行為が成立するのは、別表3番号2の3の被控訴人の発言であって、別表1記載の被控訴人の投稿ではないから、投稿の削除請求は理由がない。また、謝罪の掲載につい ては、別表3番号2の3に係る名誉毀損行為の内容及び程度を考慮すると、控訴人A1に対する名誉毀損行為に対する回復措置としては、前記の限度で被控訴人の損害賠償義務を認めれば足り、これに加え被控訴人に対し、謝罪のための固定ツイートをすることを命ずるまでの必要性・相当性があるとは認められない。したがって、謝罪の掲載請求も理由がない。 第4 結論 以上によれば、控訴人らの本件請求のうち、控訴人A1の請求は33万円及びこれに対する不法行為後の日である平成30年7月18日から支払済みまで旧民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、控訴人A1のその余の請求及びその余の控訴人らの請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がない。 よって、これと一部異なる原判決は一部相当でないから、控訴人A1の本件控訴に基づき、原判決中控訴人A1に関する部分を前記のとおり変更し、その余の控訴人らの本件各控訴をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官 大阪高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官 清水響 裁判官 田中俊行 裁判官 佐々木愛彦は、転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官 清水響

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