平成15(ハ)10067 製作費等請求

裁判年月日・裁判所
平成15年11月5日 東京簡易裁判所
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判決文本文2,673 文字)

平成15年11月5日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成15年(ハ)第10067号製作費等請求事件口頭弁論終結日平成15年10月15日判決 主文 1 被告は,原告に対し,33万5000円及びこれに対する平成15年1月1日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを10分し,その6を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,1項に限り仮に執行できる。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,83万5000円及び内金33万5000円に対する平成15年1月1日から支払済みまで年22.6%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 請求原因の要旨原告が,平成14年6月16日に被告から製作依頼を受けたDVD映画の製作残代金32万円及び同年6月22日に委託を受けたMC(司会)業務代金1万5000円の合計33万5000円及び遅延損害金と,度重なる支払督促にもかかわらず,被告が支払いをしないために原告が被った精神的損害に対する慰謝料50万円の支払請求 2 争点本件業務委託契約の当事者は,被告個人か,それとも株式会社A(現商号,B株式会社(以下「株式会社A」という。))か。 第3 争点に対する判断 1 被告は,本件製作委託契約の当事者は,株式会社Aであって,被告個人ではないと主張するので検討する。 2 確かに,業務委託契約書(甲5の1,2,以下「本件契約書」という。)によれば,委託者は株式会社Aと記載されている。しかしながら,証拠及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 (1) 原告は,平成14年6月に被告から本件DVD映画の製作を依頼された。 被告 によれば,委託者は株式会社Aと記載されている。しかしながら,証拠及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 (1) 原告は,平成14年6月に被告から本件DVD映画の製作を依頼された。 被告は,その際,「Aの社長のCです。DVD映画を一本作ってみないか。50万円くらいの予算しか出せないが。」と言われたので,渡された企画案を元に,台本を作って提出してOKが出たので,同年6月16日に本件契約書を作成した。 (2) 同年7月2日に,被告が15万円払ってくれたので,被告に領収書を出した。この時,被告は,最初は被告個人宛でよいと言ったが,後で株式会社A宛にしてくれと言われ会社宛にした。被告から,同年8月頭までに仕上げてくれと言われ,8月5日ころ納品した。納品と同時に残金を支払うのが通常だが,相手の都合で12月30日支払うことになった。その時,被告は,「株式会社Aは,僕が持っている会社だから何かあったら僕が責任持つ。」,「会社がつぶれたときは自分が責任を持って支払う。」と明言した。納品した映画は,12月には商品化されていた。 (3) ところが,同年12月30日になっても入金がないので,原告は,被告に対し,何度か催促したがその都度引き延ばされたため,平成15年4月17日,被告に支払い誓約書(甲4)を書いてもらった。この誓約書の文案は原告が作成したものであるが,その中の「ならびに株式会社Aの代表取締役であるC」とある部分について,被告が,「代表者は自分なので,会社が払えない場合は自分が払うのが当然だから,わざわざ書かなくてもいい。」と言って原告に削らせた。 (4) 原告は,被告の答弁書を見るまで,株式会社Aの商号がB株式会社に変更されたのを知らなかった。同年8月5日ころ,原告が電話した際にも,被告は,株式会社Aとして払うし,被告個人とし らせた。 (4) 原告は,被告の答弁書を見るまで,株式会社Aの商号がB株式会社に変更されたのを知らなかった。同年8月5日ころ,原告が電話した際にも,被告は,株式会社Aとして払うし,被告個人としても責任を持つと言ったが,B株式会社に商号変更したことも,また,被告が代表取締役を退任したことも告げなかった。 (5) 被告は,本件業務委託契約当時,株式会社Aの代表取締役であり,株式会社Aは,被告が原告に対する支払い誓約書を書いた日の翌日の平成15年4月18日に,B株式会社と商号変更され,代表取締役も,同日付けでDに交代しており,さらにB株式会社は,同日付けて本店を移転した旨を同年5月6日付けで登記した上で,同日付けで閉鎖登記されている。しかしながら,被告は,代表取締役退任後も取締役として留まっていること,閉鎖登記後も,事務所は株式会社Aの名で従前どおり営業していることが認められる。 (6) 被告は,特に理由を示すこともなく本件口頭弁論期日に一度も出頭せず,答弁書(2通)及び準備書面を提出して,本件契約の当事者は株式会社Aであるとして自己の個人責任を否認した上で,証拠として株式会社Aの資格証明3通を提出する。ところが,被告の準備書面によれば,被告は,株式会社Aの代表取締役を平成15年4月18日に退任したと言いながら,原告の和解条件としての代物弁済の提案に対して,製品在庫の引渡を除き可能であると回答しているのであって,被告は,形式的にはともかく,実質的な経営者として株式会社Aに留まっていることが認められる。また,被告の提出した株式会社A関係の商業登記証明書は,いずれも1ページ目だけを提出しており,役員欄の部分が提出されていないことも,被告の作為が感じられる。 3 以上の認定事実によれば,被告の主張は,株式会社Aという会社と被告個人を随時 証明書は,いずれも1ページ目だけを提出しており,役員欄の部分が提出されていないことも,被告の作為が感じられる。 3 以上の認定事実によれば,被告の主張は,株式会社Aという会社と被告個人を随時使い分けて責任を免れようとするものであって,法人格の濫用と言うべきであるから,被告は,原告に対して,本件製作費残代金及びMC業務代金の合計33万5000円を支払う義務を負っているものと解するのが相当である。 なお,原告は,遅延損害金の利率を年22.6%にすることについても,被告との間で合意があったとするが,その合意を認めるに足りる証拠はないので,商事法定利率である年6%の割合の限度で認めるのが相当である。 4 慰謝料請求については,相当因果関係が認められないから認容できない。 5 以上によれば,原告の請求は,主文の限度で理由がある。 東京簡易裁判所民事第2室 裁判官山中喜代志

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