【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人両名をそれぞれ罰金二、〇〇〇円に処する。右の罰金を完納する ことができないときは、金六〇〇円を一日に換算した期間その被告人を労役場に留 置す
主文原判決を破棄する。 被告人両名をそれぞれ罰金二、〇〇〇円に処する。右の罰金を完納することができないときは、金六〇〇円を一日に換算した期間その被告人を労役場に留置する。 被告人両名に対し、公職選挙法第二五二条第一項の規定を適用しない。 原審および当審における訴訟費用の二分の一を被告人両名の連帯負担とする。 本件公訴事実のうち戸別訪問の点については被告人両名は無罪。 理由本件控訴の趣意は各被告人が差し出した控訴趣意書および弁護人上田誠吉・同後藤昌次郎・同村野信夫・同谷村正太郎が連名で差し出した控訴趣意書に記載されたとおりで、これに対する当裁判所の判断は以下に示すとおりである。 弁護人の控訴趣意第四点およびA被告人の控訴趣意のうちこれと同趣旨と思われる部分について。 弁護人の論旨の前半およびA被告人の論旨は、要するに公職選挙法第二〇一条の一三第一項の解釈についての原判決の見解を争うものであり、弁護人の論旨の後半は、本件のB新聞号外の記事内容は同法第一四八条にいう報道・評論に該当する、というのである。 そこで、まず、公職選挙法第二〇一条の一三第一項の解釈について考えてみると、この規定は多くの事項を一つの文章の中に盛り込んでいるためやや難解な規定であるが、要するに、政党その他の政治団体の発行する<要旨第一>新聞紙および雑誌に関しては、選挙の期日の公示または告示の日からその選挙の当日までの間(以下これを「選</要旨第一>挙期間」と呼ぶことにする。)は、当該選挙につき第一四章の三の規定により政治活動をすることができる政党その他の政治団体(以下これを「確認団体」と呼ぶことにする。)が発行・頒布する機関新聞紙および機関雑誌で同項の要件を備えたもの各一に限つて選挙 第一四章の三の規定により政治活動をすることができる政党その他の政治団体(以下これを「確認団体」と呼ぶことにする。)が発行・頒布する機関新聞紙および機関雑誌で同項の要件を備えたもの各一に限つて選挙に関する報道・評論を掲載し、これを掲載したものを頒布しまたは掲示することができること、そして、その機関紙誌については同法第一四八条第三項に規定する要件を必要としないことを規定したものと解しなければならない。いいかえれば、この規定によると、政党その他の政治団体の発行する新聞紙または雑誌のうち右の要件に該当しないものは選挙に関する報道・評論を掲載することができず、これを掲載したものを頒布・掲示をすることも許されないことになるのである。なるほどこの規定の冒頭の部分、すなわち「政党その他の政治団体の発行する新聞紙及び雑誌については、……の間に限り、第百四十八条第三項(新聞紙及び雑誌の定義)の規定を適用せず、」とある部分だけを読むと、これらの団体の発行するもの一般について第一四八条第三項の定義規定による制限を解除する趣旨の規定のようにも解せられないではないけれども、続けて「当該選挙につき本章の規定により政治活動をすることができる政党その他の政治団体の本部において直接発行し、且つ、通常の方法(…………)により頒布する機関新聞紙又は機関雑誌で、自治大臣(………………)に届け出たもの各一に限り、第百四十八条第一項及び第二項の規定を適用する。」とあるところからみると、この前半と後半とは一個不可分の文章をなしており、冒頭の「政党その他の政治団体の発行する新聞紙及び雑誌については」という文言はこの文書全体にかかるものと解すべきで、つまり、この規定の文章は、「政党その他の政治団体の発行する新聞紙及び雑誌については、…………当該選挙につき本章の規定により政治活動をする ついては」という文言はこの文書全体にかかるものと解すべきで、つまり、この規定の文章は、「政党その他の政治団体の発行する新聞紙及び雑誌については、…………当該選挙につき本章の規定により政治活動をすることができる政党その他の政治団体の本部において直接発行し(中略)届け出たもの各一に限り、第百四十八条第一項及び第二項の規定を適用する。」ということをその骨子とするものと読むのが正しく、これによれば、本項は政党その他の政治団体の発行する新聞紙及び雑誌の全部をその規定の対象とし、そのうち後半に規定された特定の新聞紙・雑誌についてだけ報道・評論の自由を認め、その他のものについてはこれを認めないとする規定だと解するほかはない。このことは、「各一に限り、第百四十八条第一項及び第二項の規定を適用する。」という文言からみても明らかである。そして、この解釈は、この規定を含む第一四章の三「政党その他の政治団体の選挙における政治活動」の諸規定を通ずる法の趣旨とも一致するといわなければならない。けだし、同章の趣旨とするところは、選挙期間中は政党その他の政治団体の一定の政治活動を原則として禁止し、確認団体についてだけ一定の制限を付してこれを許すというのにあるのであつて、もし第二〇一条の一三第一項の規定を反対に解し、確認団体の発行する機関紙誌については厳重な制限を設け、それ以外の政党その他の政治団体の発行するものは自由に選挙に関する報道・評論を掲載することができる趣旨だとすると、同章の他の規定に示された法の趣旨とは全く反対の結果となるからである(ちなみに附言すれば、当裁判所のこの規定の解釈は「第百四十八条第三項の規定を適用せず」という文言を根拠とするものではない。 第一四八条第三項は同条第一・二項にいう「新聞紙又は雑誌」を特に定義し、いわばその範囲を限定した規定で、こ この規定の解釈は「第百四十八条第三項の規定を適用せず」という文言を根拠とするものではない。 第一四八条第三項は同条第一・二項にいう「新聞紙又は雑誌」を特に定義し、いわばその範囲を限定した規定で、これを適用しないということは第二〇一条の一三の適用される場合に関する限り「新聞紙又は雑誌」の範囲に特別の限定を設けないという効果を生ずるに止まり、第一四八条第一・二項の適用まで排除するといら趣旨のものと解することは到底できない。「第三項の規定を適用せず」というのは、第三項の規定が存在しないものとして扱うということであり、その場合には第一・二項の規定だけの適用があるということにほかならないのである。第一・二項の規定は第三項の規定がなくとも存在しうる規定であるから、第三項の規定を適用しないことによつて第一・二項の適用まで排除されるという解釈は成り立つ余地がないと考える。その意味で、この「規定を適用せず」という規定は改正前の「規定にかかわらず」という文言と全く同じ趣旨のもので、この文書を改めたことによつて法文の解釈が変るべきものとは思われない。むしろこの規定は改正前からさきに述べたような趣旨のものであつたと解するのが正しい。)それゆえ、原判決が第二〇一条の一三第一項についてとつた解釈は少なくともその結論において正当で、この点の論旨は理由がない。 次に、被告人らが頒布した本件のB新聞号外の記事内容が公職選挙法第一四八条にいう「報道・評論」に該当するという論旨の主張について考えてみると、当裁判所もまたその記事内容が同条所定の「報道・評論」に<要旨第二>あたることを否定するものではない。しかしながら、新聞紙・雑誌に掲載された記事が「選挙に関する報道・評</要旨第二>論」に該当するということは、これる掲載した新聞紙・雑誌が同法第一四二条にいう「選挙運動のた を否定するものではない。しかしながら、新聞紙・雑誌に掲載された記事が「選挙に関する報道・評</要旨第二>論」に該当するということは、これる掲載した新聞紙・雑誌が同法第一四二条にいう「選挙運動のために使用する文書図画」でないということを直ちに意味するものではなく、選挙に関する報道・評論を掲載したものの中には同時に「選挙運動のために使用する文書図画」たる性質をあわせ有するものもありうるのである。なんとなれば、新聞紙・雑誌が掲載する選挙に関する報道・評論の中でも、特定の候補者に関する事項を報道し、かつその候補者を高く評価し推薦するような評論をすることは、少なくとも結果的にはその候補者に当選を得させるのに効果があるわけであつて、このような新聞紙・雑誌を頒布・掲示することは、たとえば推薦状を頒布しポスターを掲示するのに比べてその実質的効果においてなんら劣るものではなく、そのような場合にはこれは「選挙運動のために使用する文書図画」の頒布または掲示たる性質を有するといわざるをえないからである。公職選挙法第一四八条はむしろこのことを前提とし、新聞紙および雑誌の社会における使命にかんがみ、そのような報道・評論であつても第一四二条以下の制限を適用せずその掲載・頒布を認めることを主眼としたものと解すべきで、もしそうでなく選挙に関する報道・評論がすべてその性質上文書図画による選挙運動に関する法の禁止に触れないものであるならば、あえて第一四八条第一・二項によつてその掲載・頒布の自由を規定する必要もほとんどなく、また第三項によつて新聞紙・雑誌の範囲を限定することも無意味であるはずである。したがつて、本件の選挙に関する報道・評論を掲載したB新聞以外も、もしそれが「選挙運動に使用する文書図画」たる性質をあわせ有し、かつそれが第二〇一条の一三によつて第一四八条第一・ 味であるはずである。したがつて、本件の選挙に関する報道・評論を掲載したB新聞以外も、もしそれが「選挙運動に使用する文書図画」たる性質をあわせ有し、かつそれが第二〇一条の一三によつて第一四八条第一・二項の適用を排除されるということになれば、これを頒布することはやはり第一四二条第一項の規定に違反することになるといわなければならない。 ところで、本件のB新聞号外が第一四二条にいう「選挙運動のために使用する文書図画」の性質を有するかどうかについて考えてみると、それはその外形内容自体からみて選挙運動のために使用すると推知されうるものを指すと解すべきであるが、右の号外はその第一面にCが候補者として演説をしている写真を大きく印刷し、上部に「参院選いよいよ大づめ―同盟員、全部でガンバル―」と題し、Cの支持は急速にひろがつているが楽観を許さない情勢なので東京のDはCの勝利をめざして連日活躍している旨の記事を掲げ、また「C・E選挙事務所をたずねて」と題する記事の中にはF党G都委員長の談話としてCが苦戦でありCを当選させるため青年が一人でも棄権しないようDも先頭に立つてほしいという趣旨のことが書かれてあり、そのほか「Cさんの演説を仲間をさそつてききにいこう」という記事と「みんなで投票を!〃棄権〃はやめましよう」という記事とが掲載されている。また、その第二面には「読者の希望訪問―Cさんていいなあ」という訪問記事と、「貧乏人の味方を!参院選にのぞむ青年の声」と題し、自分はCを応援するという趣旨の氏名入りの記事とCの経歴が掲載されているのである。そこで、これらの記事および写真を総合して全体として観察すると、このB新聞号外の記事内容はそれ自体からみて明らかに候補者Cを推薦し、その支持とこれに対する投票を求める趣旨のものだといわなければならない。そうであるとすれば よび写真を総合して全体として観察すると、このB新聞号外の記事内容はそれ自体からみて明らかに候補者Cを推薦し、その支持とこれに対する投票を求める趣旨のものだといわなければならない。そうであるとすれば、原判決がこれを公職選挙法第一四二条第一項の文書だと解したのは相当であつて、この点の論旨もまた理由がないことに帰着する。 弁護人の控訴趣意第五点について。 論旨は、公職選挙法第一四章の三にいう政治団体とは当該選挙において所属候補者を有するものをいうのであるし、またDはその実体からみても政治資金規正法の適用を受けるべき政治団体ではないから、公職選挙法第二〇一条の一三の適用はない、というのである。 しかしながら、公職選挙法第一四章の三すなわち第二〇一条の五から第二〇一条の一三までの諸規定を通じて、「政党その他の政治団体」という概念にはそれ以上のなんらの限定はないのであるから、所論のようにこれを当該選挙において所属候補者を有するものに限ると解する根拠は見当らない。むしろ、これらの規定の中に「当該選挙において全国を通じて……人以上の所属候補者を有する政党その他の政治団体」(第二〇一条の五第一項・第二〇一条の六第一項)という文言があり、ことに「政党その他の政治団体で所属候補者……を有するもの」(第二〇一条の八)という文言のあることは、所属候補者を有しないものもまたここにいう「政党その他の政<要旨第三>治団体」に該当することを示していることができる。そして、その「政党その他の政治団体」とは、政治資金規</要旨第三>正法にいう「政党、協会その他の団体」と同意義のものと解すべきこと原判決のいうとおりであり、Dがそのうちの政治団体に該当すると解されることも原判決の判示するとおりである。それゆえ、原判決にはこの点に関しなんら事実誤認も法令適用の誤りも存しない のものと解すべきこと原判決のいうとおりであり、Dがそのうちの政治団体に該当すると解されることも原判決の判示するとおりである。それゆえ、原判決にはこの点に関しなんら事実誤認も法令適用の誤りも存しないから、論旨は採用することができない。 弁護人の控訴趣意第三点について。 論旨は、公職選挙法第一四二条第一項、第二〇一条の一三および第二四三条第三号は表現の自由を規定した日本国憲法第二一条に違反するから、原判決には法令の適用に誤りがある、というのである。 思うに、公職選挙法第二〇一条の一二第一項は、前に述べたとおり、選挙期間中に限つて、確認団体以外の政党その他の政治団体の発行する新聞紙および雑誌につき同法第一四八条第一・二項の規定の適用を排除する趣旨の規定だと解すべきであるが、この第一四八条は、これも前に述べたように、同条にいう新聞紙または雑誌が選挙に関する報道・評論を掲載した場合、たとえそれがその性質からすれば「選挙運動のために使用する文書図画」とみられるものであつても、同法第一四二条・第一四三条などの禁止規定を適用しないとする規定であつて、いいかえれば、第二〇一条の一三第一項の規定がある結果として、確認団体以外の政党その他の政治団体の発行する新聞紙または雑誌でその内容が「選挙運動のために使用する文書図画」たる性質を有するものは第一四二条以下の規定の適用を受けることになるのである。したがつて、問題は、第一四二条(第一四三条以下の制限規定は本件では関係がないから、第一四二条だけをとり上げることとする。)およびその違反を罰する第二四三条第三号が違憲であるかどうか、また、第二〇一条の一三が確認団体以外の政党その他の団体の発行する新聞紙・雑誌について第一四八条第一・二項の適用を排除したことが違憲であるかどうかということに帰着する。ところで、まず公 あるかどうか、また、第二〇一条の一三が確認団体以外の政党その他の団体の発行する新聞紙・雑誌について第一四八条第一・二項の適用を排除したことが違憲であるかどうかということに帰着する。ところで、まず公職選挙法第一四二条およびその罰則である同法第二四三条第三号についていえば、それは選挙運動における不当な競争を防ぎ選挙の自由公正を保持するためのやむをえない規制だと認められるのであつて、この程度の制限は公共の福祉のため憲法上も許されていると解すべきであるから、表現の自由に関する日本国憲法第二一条第一項に違反するということはできない(最高裁判所昭和二八年(あ)第三一四七号、同三〇年四月六日大法廷判決、刑集九巻四号八一九頁参照)。したがつて、政党その他の政治団体の発行する新聞紙・雑誌であつても、同法第一四二条第一項の文書図画に該当する以上、その頒布を制限し、その制限に対する違反を処罰することは、それ自体違憲であるとはいえないのである。ただ、同法第一四八条第三項の要件を備える新聞紙・雑誌については、いやしくも選挙に関する報道・評論とみられるかぎり、たとえそれが第一四二条第一項の文書図画たる性質をもつと認められる場合でも、原則として第一四八条第一・二項によつてその掲載・頒布が許されているわけであるが、これは、新聞紙、雑誌が社会の公器たる使命を有し、その選挙に関する報道・評論が国民に対して正しい判断の資料を提供する点において重要な意味をもつこと、そして他方においてこの報道・評論が少なくともその結果において特定の候補者に有利に作用する場合のあることは否定しえないところであり、もしそれが直ちに第一四二条の適用を受けるということになれば選挙に関する報道・評論はその面からはなはだしく制限を受けることになり、報道・評論のもつ正しい機能まである程度犠牲にせざるをえ ころであり、もしそれが直ちに第一四二条の適用を受けるということになれば選挙に関する報道・評論はその面からはなはだしく制限を受けることになり、報道・評論のもつ正しい機能まである程度犠牲にせざるをえない結果となるし、またこのような制限が存すること自体が一般に新聞紙および雑誌の選挙に関する自由な報道・評論をいじけさせることになることを考慮したためであると思われる。そして、この規定がある結果として、当初から特定の候補者の当選を目的とする(すなわち、明らかに選挙運動たる性質を有する)報道・評論も許されることになるわけで、これは本来からいえばこの規定の趣旨とするところではないと考えられるが、しかしこの規定の目的を実効あらしめるためにはこのような弊害もまたやむをえないとしたものと解されるのである。ところで、同法第二〇一条の一三第一項がいわゆる確認団体以外の政党その他の政治団体の発行する新聞紙および雑誌について右の第一四八条第一・二項の適用を排除した理由を考えてみると、公職選挙法第一四章の三の諸規定は、従来選挙法が候補者個人を中心とする選挙運動しか認めなかつたのに対し、その候補者の属する政党その他の政治団体が一定の範囲で選挙運動をすることを認めると同時に、その運動の主体となる政党その他の政治団体をいわゆる確認団体に限定し、それ以外の政党その他の政治団体については、選挙期間中選挙運動はもとより政治活動をも原則として禁止することをその根幹の趣旨としているのであつて、本件で問題となつている第二〇一条の一三が確認団体以外の政党その他の政治団体の発行する新聞紙または雑誌に対し選挙に関する報道・評論を掲載することを禁止しているのも、まさに同じ趣旨に基づくのである。そして、このように一定の団体(確認団体)以外のものの選挙運動ないし政治活動を禁じているのは、公職選 雑誌に対し選挙に関する報道・評論を掲載することを禁止しているのも、まさに同じ趣旨に基づくのである。そして、このように一定の団体(確認団体)以外のものの選挙運動ないし政治活動を禁じているのは、公職選挙法が各候補者をして平等の条件のもとに選挙運動をさせる趣旨のもとに選挙運動につき種々の規制を加えていることに対応するものであつて、一の候補者については一の政党その他の政治団体だけにこれを許し、もつて各候補者間の公平を図ろうとしたことの結果であり、このことは現行公職選挙法の建て前からすればけだしやむをえないところだといわざるをえない。これを第二〇一条の一三第一項の新聞紙および雑誌に関する規制についてみると、そこに掲載される報道・評論の中には特定の候補者を支持し、推薦する趣旨のものがむしろ通例であろうことは発行者が政党その他の政治団体であることからして当然予想されるところであり、もしその発行を無制限に許すならば第一四二条が選挙運動のためにする文書図画の頒布を制限していることが実質上無意味となるためこれを確認団体の発行する機関紙誌各一に限つたものであつて、これは十分理由のあることだと<要旨第四>考えられる。ただ、その結果として、確認団体以外の政党その他の政治団体の発行する新聞紙または雑誌が選</要旨第四>挙期間中に限り選挙に関して報道・評論を掲載することが禁ぜられることが憲法の保障する表現の自由の原則と抵触するのではないかという問題があるわけであるが、少なくとも本件で問題となつているような「選挙運動のためにする文書図画」たる性質をもつている記事内容のものに関する限りは、これを掲載したものの頒布を禁じても日本国憲法第二一条第一項に反するといえないことは前に説明したとおりであるし、公職選挙法第一四八条第一・二項もこの種の事項の掲載・頒布を許すことを本 関する限りは、これを掲載したものの頒布を禁じても日本国憲法第二一条第一項に反するといえないことは前に説明したとおりであるし、公職選挙法第一四八条第一・二項もこの種の事項の掲載・頒布を許すことを本来の趣旨としたものではなく、一般の新聞紙・雑誌と違つて政党その他の政治団体の発行するものについてはその発行者の性質上そこに掲載される報道・評論が一般に特定候補者を支持する内容のものであり選挙運動のためにする文書図画の性質を帯びることは認めざるをえないところであるから、この種の新聞紙・雑誌について第一四八条第一・二項の適用を排除し、選挙運動のためにする文書図画とみられる報道・評論を掲載した場合に第一四二条を適用することにしたからといつて、第一四八条の趣旨とあえて矛盾するともいえず、中正な報道・評論の自由を害するものともいえない。 それゆえ、論旨は採用することができない。 弁護人の控訴趣意第二点および被告人らの各控訴趣意のうちこれと同趣旨と思われる部分について。 論旨は、原判決が被告人らが戸別訪問をしたと認定したのは事実を誤認したものだというのである。 そこで考えてみるのに、被告人両名が原判示の日時にHとともに原判示のとおりI方ほか七軒の家を順次訪問した事実は明らかで、争いのないところである。そして、この八戸のすべてにおいて被告人らが原水爆禁止の署名といわゆるカンパを求めていることからみてそれらがその訪問の一つの目的であつたことは疑いなく、また原判示B新聞号外をそのいずれの家にも置いて行つているところからみると、これを配布することもその目的の一つであつたことは認めざるをえないところである。ところで、被告人らがこれらの家を訪問した際の言動を証拠によつてみてみると、そのうち数箇所(たとえばJ方、K方、L方)では家人に対し参議院議員候補者Cを推薦 つたことは認めざるをえないところである。ところで、被告人らがこれらの家を訪問した際の言動を証拠によつてみてみると、そのうち数箇所(たとえばJ方、K方、L方)では家人に対し参議院議員候補者Cを推薦する趣旨のことも言つていることが認められるので、あるいは同候補者への投票を口頭で依頼することもその訪問の一つの目的となつていたのではないかという疑いがないわけではない。そして、もしそのような目的もあつてこれらの家を戸別に訪問したのならばまさしくその行為は公職選挙法第一三八条第一項にいう投票を得しめる目的をもつてする戸別訪問に該当し、現に投票を依頼するといなとにかかわらず戸別訪問罪が成立するわけである。しかしながら、証拠によれば、これらの家のうちM方、N方およびO方では被告人らはC候補のことを口に出した形跡はなく、P方では同人に対し投票する候補者が決まつているかどうかを尋ね、「決めていない」と答えると「棄権しないでほしい」と言つただけだというのであつて、もし投票依頼の目的があつたのならばこれらの家でも当然そのことを言い出しそうなものであるのに、それを言わず、しかもそれを言わなかつた原因として特段の事情のあつたことも証拠上明瞭でないところからみると、あるいはその場の空気で言いそびれたのではないかという疑いも決してないわけではないけれども、はたして本件の訪問の目的の中に口頭で投票を依頼することまで含まれていたかどうかについては、含まれていたと認定することになおなにがしかの疑いが残るといわなければならない。原判決は被告人らがCに投票を得しめる目的を有していたと認定すべき根拠として、(1)から(7)までの事実とその訪問が短時間の間にほぼ同じ態様で連続して行なわれていることを挙げているが、このうち(3)の事実から直ちにその目的を認定することに疑いが残るこ 認定すべき根拠として、(1)から(7)までの事実とその訪問が短時間の間にほぼ同じ態様で連続して行なわれていることを挙げているが、このうち(3)の事実から直ちにその目的を認定することに疑いが残ることは右に述べたとおりであり、その他の事実は、被告人らがCを当選させたい意思を有し原判示B新聞号外を配布したのがそのためであつたことを認定する根拠にはなりえても、口頭で投票を依頼する意思まで有していたことの根拠には直ちにはなりえないと考える。 このように、被告人らがこれら八軒の家を訪問した目的の中に口頭で投票を依頼することまで含まれていた<要旨第五>と認定するについては疑いがあるといわざるをえないが、被告人らにB新聞号外を配布する目的があつ</要旨第五>たことは前に述べたとおりであり、右の号外の内容が前に判断したようにCを推薦しその支持とこれに対する投票を求める趣旨のものであるとしてみると、この新聞紙を頒布する目的で戸別に訪問するのもまた第一三八条第一項にいう「選挙に関し、投票を得しめる目的」をもつてする戸別訪問にあたるのではないか、という問題を考えてみる必要がある。たしかに、このような文書を人に手渡すのも、結局は読む者に対し投票を勧めることになるから、一種の「投票を得しめる目的」があるといえないことはないであろう。しかし、文書を頒布するのには種々の方法があるわけで、各戸を訪問して文書を置いて行くのも要するに郵送その他と同じく頒布の一態様であるにすぎず、それを相手方の閲読しうる状態に置くという点ではなんら変るとろはない。他方、法が戸別訪問を禁止している趣旨を考えてみると、それは親しく訪問することに選挙運動として特段の意味のある場合を予想しているというべきで、いいかえるならば直接面接し口頭で投票(場合によつては投票しないこと)を依頼する行為を対 趣旨を考えてみると、それは親しく訪問することに選挙運動として特段の意味のある場合を予想しているというべきで、いいかえるならば直接面接し口頭で投票(場合によつては投票しないこと)を依頼する行為を対象としていると解すべきである。戸別に訪問して法定外文書を配布して歩く行為は、もしそれだけに止まるならば第一四二条第一項の違反として処罰すれば足りるのであつて、重ねて戸別訪問罪として処罰することは法の趣旨とするところでないと考えなければならない。本件においては被告人らが、前記号外を手渡す際「これを読んで下さい」という趣旨のことを言つたことは認められるが、この程度のことばは文書の交付に当然随伴するもので、これを言つたからといつて文書の頒布のほかに投票依頼がなされたとみることは困難である。 以上の次第で、本件においては被告人らの行為を公職選挙法第一三八条第一項の戸別訪問とみることはできないから、これを認めた原判決は事実を誤認したか法令の適用を誤つたかのいずれかであつて(原判決が文書頒布の目的があつたことをもつて直ちに「投票を得しめる目的」があつたものと解したのか、それともそれ以外に投票を依頼する目的があつたとみたのかは、原判文上必ずしも明瞭ではない。)その誤りは後記無罪の理由の項で説明するように判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、この点の論旨は理由があり、その他の論旨につき判断するまでもなく原判決は刑事訴訟法第三九七条第一項・第三八〇条・第三八二条によつて破棄を免れない。それゆえ、原判決を破棄し、刑事訴訟法第四〇〇条但書を適用して、被告事件につきさらに判決をすることとする。 (有罪部分の理由)原判決が法定外選挙運動文書の頒布として確定した事実、すなわち「被告人らは、いずれも、昭和三七年六月七日公示され同年七月一日に施行された参議院議員 に判決をすることとする。 (有罪部分の理由)原判決が法定外選挙運動文書の頒布として確定した事実、すなわち「被告人らは、いずれも、昭和三七年六月七日公示され同年七月一日に施行された参議院議員通常選挙に際し、公職選挙法第二〇一条の六によつて政治活動をすることのできない政治団体(すなわち、いわゆる「確認団体」ではない政治団体、同法第二〇一条の六第二項、第二〇一条の五第三項、第四項参照)であるDの同盟員であつたところ、Cが右選挙に東京地方区から立候補するや、Dの一員であるHと共謀のうえ、同年六月二四日午前一一時一五分ごろから午後零時四〇分ごろまでの間に右選挙区の選挙人である東京都大田区ab丁目c番地I方ほか原判決別表記載の七名方を順次訪れ、同人らに対しCの写真・経歴および同人を推薦する記事を主として掲載した同年六月二二日付Dの中央機関紙「B新聞」号外・参院選特集号・東京版を一部ずつ交付し、もつて法定外選挙運動文書を頒布した。」という事実に法令を適用すると、被告人らの所為はいずれも公職選挙法第一四二条第一項に違反し刑法第六〇条・公職選挙法第二四三条第三号に該当するので、所定刑のうち罰金刑を選択し情状により刑法第六六条・第七一条・第六八条第四号を適用して酌量減軽をした金額の範囲内で被告人両名をそれぞれ罰金二、〇〇〇円に処することとし、この罰金不完納の場合における労役場留置につき刑法第一八条、公職選挙法第二五二条第一項の規定を適用しないことにつき同条第四項、原審および当審における訴訟費用の負担につき刑事訴訟法第一八一条第一項本文をそれぞれ適用して、主文第二項から第五項までのとおり言い渡すこととする。 (一部無罪の理由)本件公訴事実のうち、被告人両名が昭和三七年六月二四日にHと共謀のうえI方ほか七名方を戸別訪問したとの点については、前に説 主文第二項から第五項までのとおり言い渡すこととする。 (一部無罪の理由)本件公訴事実のうち、被告人両名が昭和三七年六月二四日にHと共謀のうえI方ほか七名方を戸別訪問したとの点については、前に説明したとおり犯罪の成立を認めることができない。ただ、この戸別訪問と右に有罪とした法定外文書の頒布罪との関係については、検察官は第一審においてこれを観念的競合であると主張し、原判決もまた同様これを観念的競合としているので、この点について考えてみると、公職選<要旨第六>挙法第一三八条第一項の戸別訪問は同項に定める目的で戸別に訪問することをその内容とするもので、訪問を</要旨第六>すればそれ以上にたとえば現に投票の依頼をするに至らなくても同法第二三九条第三号の罪が成立することは疑いない。いいかえれば戸別訪問罪の実行行為は訪問をすることそのことなのである。ところが、法定外選挙運動文書頒布の罪は、当該文書を頒布することをその実行行為とするものであるこというまでもなく、したがつて、かりにその頒布を目的とした戸別訪問が戸別訪問罪を構成すると仮定するとしたところで、それぞれの罪の実行行為は全く別個であつて、どのように考えてもそれは一個の行為ではあり得ない。そして、その二者の間に通常手段結果の関係があるともいえないから、この両者は併合罪の関係に立つというほかはないのである。 <要旨第七>そうであるとすれば、検察官がこれを観念的競合だと主張したとしても、判決裁判所がこれを併合罪と解する</要旨第七>以上、その一部につき犯罪の成立を認めない場合にはその部分については主文で無罪を言い渡すべきものであるから、刑事訴訟法第三三六条により戸別訪問の点については被告人両名に対し主文第六項のとおり無罪の言渡をすることとする。 (裁判長判事新関勝芳判事中野次雄判事伊 無罪を言い渡すべきものであるから、刑事訴訟法第三三六条により戸別訪問の点については被告人両名に対し主文第六項のとおり無罪の言渡をすることとする。 (裁判長判事新関勝芳判事中野次雄判事伊東正七郎)
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